(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】エピテーゼの着色方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/60 20060101AFI20220802BHJP
A61F 2/54 20060101ALI20220802BHJP
B33Y 10/00 20150101ALN20220802BHJP
【FI】
A61F2/60
A61F2/54
B33Y10/00
(21)【出願番号】P 2020193689
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2020-11-20
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520458635
【氏名又は名称】長庚學校財團法人長庚科技大學
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】陳 姿吟
(72)【発明者】
【氏名】許 孟娟
(72)【発明者】
【氏名】郭 俊棟
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-021063(JP,A)
【文献】特開2007-143976(JP,A)
【文献】特開2013-000333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/00 - 2/97
A61L 27/00 - 27/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのシリコン製のエピテーゼ(1)を提供するステップ1(S1)と、
少なくとも一つの顔料(2)と、
少なくとも一つの手動タトゥーペン(31)と、一つの電動タトゥーマシン(32)とを備えてなる少なくとも一つの着色ツール(3)とを提供するステップ2(S2)と、
エピテーゼ(1)の人工ボディ原型の形状に基づき、少なくとも前記人工ボディ原型に対応した色の分布、必要とされる再現される皮膚の模様、色調の再現が含まれる、エピテーゼサンプル立体造形の計画を立案するステップ3(S3)と、
前記ステップ3(S3)におけるエピテーゼサンプル立体造形の計画立案に基づき、前記着色ツール(3)で、前記エピテーゼサンプル立体造形の計画立案に応じる顔料(2)を用い、入れ墨技術の原理を利用して、前記エピテーゼ(1)に着色を行うステップであり、前記着色ツール(3)で、前記顔料(2)を、前記エピテーゼ(1)表層内のプリセット深さ(D)に注入して、前記エピテーゼ(1)の外観を前記エピテーゼ(1)の原型の形態に類似させるステップ4(S4)と、
が含まれることを特徴とするエピテーゼの着色方法。
【請求項2】
前記プリセット深さ(D)は、顔料(2)をエピテーゼ(1)内に注入する深さであって、深さ1~3mmであり、
前記顔料(2)は、植物由来の天然色素であることを特徴とする請求項
1に記載のエピテーゼの着色方法。
【請求項3】
前記エピテーゼ(1)は、耳エピテーゼ(11)、義肢(100)の使用に合わせる義肢用人工皮膚(12)、又は、遺体用補綴物(13)、の何れかの一つに該当することを特徴とする請求項
2に記載のエピテーゼの着色方法。
【請求項4】
前記ステップ1で提供されるシリコン製のエピテーゼ(1)は、
エピテーゼ(1)が耳エピテーゼ(11)である場合、スキャン技術により、採取対象者の健側の耳の画像を読み込み、耳の画像ファイル(1a)を取得するステップ1(S1a)と、
前記耳の画像ファイル(1a)から、ミラーイメージで再現して、印刷された原型(2a)を製作するステップ2(S2a)と、
前記印刷された原型(2a)に基づき、3Dプリンター(3a)で、耳エピテーゼキャスト(4a)を印刷するステップ3(S3a)と、
キャスト方法により、前記耳エピテーゼキャスト(4a)を用い、型(5a)を作るステップ4(S4a)と、
前記型(5a)に、シリコンを注ぎ、要求に一致するエピテーゼ(1)を成形するステップ5(S5a)と、
が含まれ
るエピテーゼの製作方法
により製作されることを特徴とする請求項1に記載の着色方法。
【請求項5】
前記耳エピテーゼ(11)の採取対象者は、使用者、又は、使用者と同じ遺伝特徴を有する使用者の親族、の何れかの一つに該当することを特徴とする請求項
4に記載のエピテーゼの
着色方法。
【請求項6】
前記ステップ1で提供されるシリコン製のエピテーゼ(1)は、
エピテーゼ(1)が義肢用人工皮膚(12)である場合、型取り技術により、使用する対象者(200)の健側肢体(300)から、それに対応する健側肢体模型(1b)を取得するステップ1(S1b)と、
ミラーイメージにより、形状変更を行い、前記健側肢体模型(1b)により、肢体原型(2b)を製作するステップ2(S2b)と、
キャスト方法により、前記肢体原型(2b)を用い、型(3b)を作るステップ3(S3b)と、
前記型(3b)に注入して、肢体モールド(4b)を成形するステップ4(S4b)と、
雌型である前記肢体モールド(4b)に応じて、シリコンで、要求に一致し、義肢(100)の使用に対応可能なエピテーゼ(1)を製作するステップ5(S5b)と、
が含まれ
るエピテーゼの製作方法
により製作されることを特徴とする請求項1に記載の着色方法。
【請求項7】
前記ステップ5(S5b)では、シリコンを用いる前に、更に、離型剤(A)を塗布使用するステップが含まれることを特徴とする請求項
6に記載のエピテーゼの
着色方法。
【請求項8】
前記肢体原型(1b)、肢体モールド(4b)は、シリコン造形物、又は、石膏造形物の何れかの一つに該当し、
前記義肢(100)は更に、殻構造義肢(10)を備えてなり、
前記殻構造義肢(10)は、3Dスキャナーにより、前記使用する対象者(200)の健側肢体(300)を3Dスキャンして、生成された画像ファイルをミラーイメージで処理したあと、3Dプリンターで、印刷、成形されるように設けられることを特徴とする請求項
6に記載のエピテーゼの
着色方法。
【請求項9】
前記ステップ1で提供されるシリコン製のエピテーゼ(1)は、
エピテーゼ(1)が遺体用補綴物(13)である場合、一つの人体模型(1c)を提供するステップ1(S1c)と、
遺体の欠損した状態により、補綴計画を立案し、計画立案に基づき、前記人体模型(1c)に対応する初期モデル(2c)を作製するステップ2(S2c)と、
前記初期モデル(2c)に応じて、キャスト方法により、型(3c)を作るステップ3(S3c)と、
前記型(3c)に、シリコンを注ぎ、要求に一致するエピテーゼ(1)を成形するステップ4(S4c)と、
が含まれ
るエピテーゼの製作方法
により製作されることを特徴とする請求項1に記載の着色方法。
【請求項10】
前記遺体用補綴物(13)が四肢である場合、前記遺体用補綴物(13)と遺体とをつなぐところには、継手部(131)が設けられ、前記継手部(131)の開口縁部には、少なくとも一つのスロット部(132)が設けられ、前記継手部(131)の開口縁部には更に、位置決め補助用の位置決めユニット(133)が設けられることを特徴とする請求項
9に記載のエピテーゼの
着色方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、エピテーゼ上の着色方法に関わり、特に、耳エピテーゼ、義肢の使用に合わせる義肢用人工皮膚、遺体用補綴物の着色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エピテーゼは現在、プラチナシリコンで製作されるのが主であり、一色で着色された一体成形品だけに作られ、本物らしい肌色を再現するよう作り上げることができない。
【0003】
エピテーゼは成形後、オブジェクトの表面に着色されるのが困難であり、それを解決するため、通常は、希釈剤入りの油性ペーストをスプレー塗布して行なわれる。しかし、軽くて薄い顔料は、磨耗されて色落ちやすく、メンテナンスや手入れが必要なうえ、希釈剤は、健康を害するシリコン有機溶剤である。
【0004】
エピテーゼの製作は、一定レベルの専門知識やスキルが求められ、製作時間が長く、製作コストが高く、失敗して作り直す場合が多く、その人材育成が難しい。また、完成品の見た目の自然さを再現できないのが、最大な問題点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それに鑑みて、上述した問題を解決して、エピテーゼの着色方法を提供するのが、本考案の改善しようとする課題である。
【0006】
本考案は、上述した問題を克服して、見た目の自然さを高められる、エピテーゼの着色方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
解決手段として、着色方法は、次のステップが含まれることを特徴とする。
ステップ1(S1):少なくとも一つのシリコン製的エピテーゼ(1)を提供する。
ステップ2(S2):少なくとも一つの顔料(2)と、少なくとも一つの着色ツール(3)とを提供する。
ステップ3(S3):エピテーゼ(1)の人工ボディ原型の形状に基づき、少なくとも前記人工ボディ原型の色の分布、必要とされる再現される皮膚の模様、色調の再現が含まれる、エピテーゼサンプル立体造形の計画を立案する。
ステップ4(S4):ステップ3(S3)におけるエピテーゼサンプル立体造形の計画立案に基づき、前記着色ツール(3)で、前記エピテーゼサンプル立体造形の計画立案に応じる顔料(2)を用い、入れ墨技術の原理を利用して、前記エピテーゼ(1)に着色を行う。前記着色ツール(3)で、前記顔料(2)を、前記エピテーゼ(1)表層内のプリセット深さ(D)に注入して、前記エピテーゼ(1)の外観を、前記エピテーゼ(1)の原型の形態に類似させる。
【0008】
前記着色ツール(3)は、少なくとも一つの手動タトゥーペン(31)と、一つの電動タトゥーマシン(32)とを備えてなる。
【0009】
前記プリセット深さ(D)は、顔料(2)をエピテーゼ(1)内に注入する深さであって、深さ1~3mmであり、前記顔料(2)は、植物由来の天然色素であることが好ましい。
【0010】
前記エピテーゼ(1)は、耳エピテーゼ(11)、義肢(100)の使用に合わせる義肢用人工皮膚(12)、又は、遺体用補綴物(13)、の何れかの一つに該当することが好ましい。
【0011】
ステップ1で提供されるシリコン製のエピテーゼ(1)が製作される方法には、三つの製作方法がある。一つ目の製作方法は、次のステップが含まれることを特徴とする。
ステップ1(S1a):エピテーゼ(1)が耳エピテーゼ(11)である場合、スキャン技術により、採取対象者の健側の耳の画像を読み込み、耳の画像ファイル(1a)を取得する。
ステップ2(S2a): 前記耳の画像ファイル(1a)から、ミラーイメージで再現して、印刷された原型(2a)を製作する。
ステップ3(S3a):前記印刷された原型(2a)に基づき、3Dプリンター(3a)で、耳エピテーゼキャスト(4a)を印刷する。
ステップ4(S4a):キャスト方法により、前記耳エピテーゼキャスト(4a)を用い、型(5a)を作る。
ステップ5(S5a):前記型(5a)に、シリコンを注ぎ、要求に一致するエピテーゼ(1)を成形する。
【0012】
前記耳エピテーゼ(11)の採取対象者は、使用者、又は、使用者と同じ遺伝特徴を有する使用者の親族、の何れかの一つに該当することが好ましい。
【0013】
二つ目の製作方法は、次のステップが含まれることを特徴とする。
ステップ1(S1b):エピテーゼ(1)が義肢用人工皮膚(12)である場合、型取り技術により、使用する対象者(200)の健側肢体(300)から、それに対応する健側肢体模型(1b)を取得する。
ステップ2(S2b):ミラーイメージにより、形状変更を行い、前記健側肢体模型(1b)により、肢体原型(2b)を製作する。
ステップ3(S3b):キャスト方法により、前記肢体原型(2b)を用い、型(3b)を作る。
ステップ4(S4b):前記型(3b)に注入して、肢体モールド(4b)を成形する。
ステップ5(S5b):雌型である前記肢体モールド(4b)に応じて、シリコンで、要求に一致し、義肢(100)の使用に対応可能なエピテーゼ(1)を製作する。
【0014】
前記ステップ5(S5b)では、シリコンを用いる前に、更に、離型剤(A)を塗布使用するステップが含まれることが好ましい。
【0015】
前記肢体原型(1b)、肢体モールド(4b)は、シリコン造形物、又は、石膏造形物の何れかの一つに該当し、前記義肢(100)は更に、殻構造義肢(10)を備えてなり、前記殻構造義肢(10)は、3Dスキャナーにより、前記使用する対象者(200)の健側肢体(300)を3Dスキャンして、生成された画像ファイルをミラーイメージで処理したあと、3Dプリンターで、印刷、成形されるように設けられることが好ましい。
【0016】
三つ目の製作方法は、次のステップが含まれることを特徴とする。
ステップ1(S1c):エピテーゼ(1)が遺体用補綴物(13)である場合、一つの人体模型(1c)を提供する。
ステップ2(S2c):遺体の欠損した状態により、補綴計画を立案し、計画立案に基づき、前記人体模型(1c)に対応する初期モデル(2c)を作製する。
ステップ3(S3c): 前記初期モデル(2c)に応じて、キャスト方法により、型(3c)を作る。
ステップ4(S4c): 前記型(3c)に、シリコンを注ぎ、要求に一致するエピテーゼ(1)を成形する。
【0017】
前記遺体用補綴物(13)は四肢である場合、前記遺体用補綴物(13)と遺体とをつなぐところには、継手部(131)が設けられ、前記継手部(131)の開口縁部には、少なくとも一つのスロット部(132)が設けられ、前記継手部(131)の開口縁部には更に、位置決め補助用の位置決めユニット(133)が設けられることが好ましい。
【0018】
(本考案の効果)
本考案は従来の技術に対して、次のような効果がある。
【0019】
1.本考案のエピテーゼの着色方法では、入れ墨の技術により、着色ツール(3)で、顔料(2)を、エピテーゼ(1)の表層内に注入して、肌の色素粒子分布の再現シミュレーションを行い、エピテーゼ(1)原型の形態に類似させる。エピテーゼ(1)のシリコンの光透過性により、肌の色素粒子のように見えるように、或いは、見えないような透明感のある効果が生じられる。
【0020】
2.本考案のエピテーゼの着色方法では、前記着色ツール(3)は、手動タトゥーペン(31)と電動タトゥーマシン(32)である。そのため、皮膚表面の模様を破壊せず、シリコン注入後の針穴が見えない。かつ、エピテーゼ(1)のシリコンは弾力性があり、注入された顔料(2)を被覆するように設けられ、色持ちをよくさせることができる。
【0021】
3.本考案では、耳エピテーゼ(11)は、スキャン技術と、ミラーイメージによる再現と、3Dプリンターの技術とを通じて製作される。従来の場合に対して、製作担当者は、立体形状作りの専門知識やスキルを有する必要がなく、注入後の完成品は左右対称の形状に作り上げられ、粘土による形作りを行なう必要がなく、使用者に待たせる時間が短縮される。
【0022】
4.本考案では、義肢用人工皮膚(12)は、型取り技術と、キャスト方法とを通じて製作され、従来の場合に対して、作業時間が短縮可能なうえに、ミラーイメージにより、形状変更を行い、使用する対象者(200)の健側肢体(300)に近いように設けられ、左右対称の形状に作り上げられる。製作の時間やコストが削減可能で、使用する対象者(200)は義肢(100)を装着された後、使用する意欲が高められる。
【0023】
5.本考案では、義肢(100)の殻構造義肢(10)は、3Dスキャナーと、3Dプリンターと、ミラーイメージで処理して製作され、使用する対象者(200)の健側肢体(300)に一致させるように設けられる。着色後の義肢用人工皮膚(12)の見た目の自然さを見せられる。
【0024】
6.本考案では、遺体用補綴物(13)は、人体模型(1c)を用いて製作され、従来の場合に対して、より簡単かつ素早く製作可能である。注入後の完成品は、形状作りの時間が短く、着色方法の応用も可能で、遺体の状態に合わせて見た目の自然さを見せられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】本考案の電動タトゥーマシンを使用する場合のイメージを示す図。
【
図3】本考案の手動タトゥーペンを使用する場合のイメージを示す図。
【
図7】本考案の一つ目の製作方法におけるステップ1のイメージを示す図。
【
図8】本考案の一つ目の製作方法におけるステップ2のイメージを示す図。
【
図9】本考案の一つ目の製作方法におけるステップ3のイメージを示す図。
【
図10】本考案の一つ目の製作方法におけるステップ4のイメージを示す図。
【
図11】本考案の一つ目の製作方法におけるステップ5のイメージを示す図。
【
図13】本考案の二つ目の製作方法におけるステップ1のイメージを示す図。
【
図14】本考案の二つ目の製作方法におけるステップ2のイメージを示す図。
【
図15】本考案の二つ目の製作方法におけるステップ3のイメージを示す図。
【
図16】本考案の二つ目の製作方法におけるステップ4のイメージを示す図。
【
図17】本考案の二つ目の製作方法におけるステップ5のイメージを示す図。
【
図18】本考案の義肢用人工皮膚に義肢を合わせて実施されたイメージを示す図。
【
図20】本考案の四肢でない場合の三つ目の製作方法におけるステップ1~2のイメージを示す図。
【
図21】本考案の四肢でない場合の三つ目の製作方法におけるステップ3~4のイメージを示す図。
【
図22】本考案中の四肢でない場合の遺体用補綴物を遺体に装着したときのイメージを示す図。
【
図23】本考案の四肢である場合の遺体用補綴物の製作方法におけるステップ1~2のイメージを示す図。
【
図24】本考案の四肢である場合の遺体用補綴物の製作方法におけるステップ3~4のイメージを示す図。
【
図25】本考案の四肢である場合の遺体用補綴物の製作方法におけるステップ4のイメージを示す図。
【
図26】本考案中の四肢である場合の遺体用補綴物を遺体に装着したときのイメージを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を合わせて、次のように詳しく説明する。
【0027】
図1~
図5に示すように、本考案のエピテーゼの着色方法のフロー及びそのイメージが掲示される。着色方法のフローは、次のステップが含まれる。
ステップ1(S1):少なくとも一つのシリコン製的エピテーゼ(1)を提供する。
ステップ2(S2):少なくとも一つの顔料(2)と、少なくとも一つの着色ツール(3)とを提供する。
ステップ3(S3):エピテーゼ(1)の人工ボディ原型の形状に基づき、少なくとも前記人工ボディ原型に対応した色の分布、必要とされる再現される皮膚の模様、色調の再現が含まれる、エピテーゼサンプル立体造形の計画を立案する。
ステップ4(S4):ステップ3(S3)におけるエピテーゼサンプル立体造形の計画立案に基づき、前記着色ツール(3)で、前記エピテーゼサンプル立体造形の計画立案に応じる顔料(2)を用い、入れ墨技術の原理を利用して、前記エピテーゼ(1)に着色を行なう。前記着色ツール(3)で、前記顔料(2)を、前記エピテーゼ(1)表層内のプリセット深さ(D)に注入して、前記エピテーゼ(1)の外観を前記エピテーゼ(1)の原型の形態に類似させ、色持ちをよくさせる。
【0028】
上述した入れ墨の技術により、着色ツール(3)で、顔料(2)をエピテーゼ(1)表層内に注入して、肌の色素粒子分布の再現シミュレーションを行い、着色方法で作り上げられたエピテーゼ(1)を、エピテーゼ(1)原型の形態に類似させる。
【0029】
着色ツール(3)で、エピテーゼ(1)表層内に注入された顔料(2)は、エピテーゼ(1)のシリコンの光透過性により、肌の色素粒子のように見えるように、或いは、見えないような透明感のある効果があり、エピテーゼ(1)の見た目の自然さを見せられる。
【0030】
入れ墨技術により、着色されたシリコン製のエピテーゼ(1)は、皮膚表面の模様が破壊されず、着色ツール(3)によるシリコンの針穴が簡単に見えない。また、エピテーゼ(1)表層内に注入された顔料(2)がエピテーゼ(1)のシリコンに被覆され、色持ちをよくすることができる。
【0031】
図2、
図3に示すように、前記着色ツール(3)は、少なくとも一つの電動タトゥーマシン(32)と、一つの手動タトゥーペン(31)とが含まれ、着色のニーズに応じて、異なる着色ツール(3)が用いられる。例えば、着色面積が小さく、細やかに着色される場合、手動タトゥーペン(31)で簡単に行なわれ、着色面積が大きい場合、電動タトゥーマシン(32)で、省力的かつ簡単に行なわれる。
【0032】
図4、
図5に示すように、前記プリセット深さ(D)は、顔料(2)をエピテーゼ(1)内に注入する深さであって、深さ1~3mmである。前記プリセット深さ(D)により、深みの変化が形成され、エピテーゼ(1)のシリコンの光透過性により、全体的な外観は、エピテーゼ(1)原型の形態に近いように設けられる。一般的に、電動タトゥーマシン(32)の刺す深さは2~3mm、手動タトゥーペン(31)の刺す深さは1mmである。
【0033】
エピテーゼ(1)内に注入された前記顔料(2)は、シリコン製の表層に被覆されるため、色落ちが生じない。前記顔料(2)は植物由来の天然色素であり、着色作業中、担当者が前記顔料(2)に触れても安全である。
【0034】
前記エピテーゼ(1)は、耳エピテーゼ(11)[
図12参照]、義肢(100)[
図18参照]の使用に合わせる義肢用人工皮膚(12)、又は、遺体用補綴物(13)[
図21参照]、の何れかの一つに該当し、本考案の適用範囲は広い。
【0035】
図6~
図11に示すように、本考案のエピテーゼの一つ目の製作方法のフロー及びそのイメージが掲示される。その製作方法は、次のステップが含まれる。
ステップ1(S1a):エピテーゼ(1)が耳エピテーゼ(11)である場合、スキャン技術により、採取対象者の健側の耳の図像を読み込み、耳の画像ファイル(1a)を取得する。
ステップ2(S2a):前記耳の画像ファイル(1a)から、ミラーイメージで再現して、印刷された原型(2a)を製作する。
ステップ3(S3a):前記印刷された原型(2a)に基づき、3Dプリンター(3a)で、耳エピテーゼキャスト(4a)を印刷する。
ステップ4(S4a):キャスト方法により、前記耳エピテーゼキャスト(4a)を用い、型(5a)を作る。
ステップ5(S5a):前記型(5a)に、シリコンを注ぎ、上述した要求に一致するエピテーゼ(1)を成形する。
【0036】
該製作方法は従来の場合に対して、スキャン技術と、ミラーイメージによる再現とを通じて、5~10分間で、スキャンして、耳の画像ファイル(1a)を取得することができる。手間隙がかからず、粘土による形作りを行なう必要がなく、耳エピテーゼ(11)の見た目の自然さが高められ、事前作業の時間が短縮できる。
【0037】
3Dプリンターの技術により製作され、立体形状作りの専門知識やスキルがなくても、自然な見た目の耳エピテーゼ(11)に作り上げられ、製作時間が短縮できる。注入後の完成品は、左右対称の形状に作り上げられ、不良率低減、待つ時間が短縮可能、それに続き、着色されたあと、素早く、使用者に提供される。
【0038】
前記耳エピテーゼ(11)の採取対象者は、使用者、又は、使用者と同じ遺伝特徴を有する使用者の親族、の何れかの一つに該当する。採取対象者は、使用者により調整されて、最適な採取の効果が得られ、使用者の耳エピテーゼ(11)のフィット感や見た目のよさが高められ、使用者の心理的ニーズを満たすことができる。
【0039】
図12~
図18に示すように、本考案のエピテーゼの二つ目の製作方法のフロー及びそのイメージが掲示される。その製作方法は、次のステップが含まれる。
ステップ1(S1b):エピテーゼ(1)が義肢用人工皮膚(12)である場合、型取り技術により、使用する対象者(200)の健側肢体(300)から、それに対応する健側肢体模型(1b)を取得する。
ステップ2(S2b):ミラーイメージにより、形状変更を行い、前記健側肢体模型(1b)により、肢体原型(2b)を製作する。
ステップ3(S3b):キャスト方法により、前記肢体原型(2b)を用い、型(3b)を作る。
ステップ4(S4b):前記型(3b)に注入して、肢体モールド(4b)を成形する。
ステップ5(S5b):雌型である前記肢体モールド(4b)に応じて、シリコンで、義肢(100)の使用に対応可能なエピテーゼ(1)を製作する。
【0040】
型取り技術により、人体を測るのは不要であり、健側肢体模型(1b)を素早く取得可能である。ミラーイメージにより、形状変更を行い、肢体原型(2b)を製作して、製作上の面倒が省け、手間隙がかからず、製作時間が短縮可能なうえに、左右対称でない場合が避けられ、事前作業の時間が短縮できる。
【0041】
キャスト方法により、素早く、型(3b)を作って、肢体モールド(4b)を得られ、最終的に、シリコン製の義肢用人工皮膚(12)を得られる。製作担当者のレベルが高く求められず、製作コストが削減可能であるため、使用する対象者(200)の経済的負担を減らせ、義肢(100)の見た目の自然さが高められる。
【0042】
注入後の完成品は、不良率が低く、待つ時間が短縮可能、不具合などが発生しても、作り直しに要するコストや時間が比較的に低減できるということで、使用する対象者(200)に無理に使用させる必要がなく、本考案の応用に有利である。
【0043】
図17に示すように、前記ステップ5(S5b)では、シリコンを用いる前に、更に、離型剤(A)を塗布使用するステップが含まれる。前記離型剤(A)の使用により、肢体モールド(4b)の表面が取り外されやすくなり、製作担当者は、義肢用人工皮膚(12)を肢体モールド(4b)から、うまく取り外すことができ、不良品の発生が避けられる。
【0044】
前記肢体原型(1b)、肢体モールド(4b)は、シリコン造形物、又は、石膏造形物の何れかの一つに該当する。前記義肢(100)は更に、殻構造義肢(10)を備えてなり、前記殻構造義肢(10)は、3Dスキャナーにより、前記使用する対象者(200)の健側肢体(300)を3Dスキャンして、生成された画像ファイルをミラーイメージで処理したあと、3Dプリンターで、印刷、成形される。
【0045】
上述した内容では、ニーズにより、異なる造形物が用いられ、コストや作業時間の求めに適合し、製作担当者は、順調に作業を行い、使用する対象者(200)のニーズを満たす完成品が得られる。
【0046】
義肢(100)の殻構造義肢(10)は、3Dスキャナーと、3Dプリンターと、ミラーイメージで処理して製作され、使用する対象者(200)本人の健側肢体(300)に一致させるように設けられる。着色後、その見た目の自然さが高められ、使用者の心理的ニーズを満たすことができる。
【0047】
図19~
図26に示すように、本考案のエピテーゼの三つ目の製作方法のフロー及びそのイメージが掲示される。その製作方法は、次のステップが含まれる。
ステップ1(S1c):エピテーゼ(1)が遺体用補綴物(13)である場合、一つの人体模型(1c)を提供する。
ステップ2(S2c):遺体の欠損した状態により、補綴計画を立案し、計画立案に基づき、前記人体模型(1c)に対応する初期モデル(2c)を作製する。
ステップ3(S3c):前記初期モデル(2c)に応じて、キャスト方法により、型(3c)を作る。
ステップ4(S4c):前記型(3c)に、シリコンを注ぎ、要求に一致するエピテーゼ(1)を成形する。
【0048】
従来の場合に対して、上述した技術の使用により、手間隙がかからず、事前作業の時間が短縮可能、遺体用補綴物(13)の見た目の自然さが高められる。
【0049】
製作担当者が、立体形状作りの専門知識やスキルを有さなくても実施できることで、人材育成のハンドルを下げられ、製作時間が短縮可能なうえ、作り上げられた遺体用補綴物(13)の見た目の自然さが高められる。
【0050】
注入後の完成品は、遺体用補綴物(13)が正しい形状に作り上げられ、不良率が低く、待つ時間が短縮可能、着色されたあと、素早く、遺体に装着されるものである。
【0051】
前記遺体用補綴物(13)は四肢である場合、前記遺体用補綴物(13)と遺体とをつなぐところには、継手部(131)が設けられ、前記継手部(131)の開口縁部には、少なくとも一つのスロット部(132)が設けられ、前記継手部(131)の開口縁部には更に、位置決め補助用の位置決めユニット(133)が設けられる。前記継手部(131)とスロット部(132)の使用により、簡単に操作できるように設けられ、遺体用補綴物(13)を遺体に装着しやすいようにし、移動中の脱落などが避けられる。
【0052】
位置決めユニット(133)、例えば、面ファスナーにより、継手部(131)の位置決め機能が向上し、遺体が移動されているとき、脱落などが避けられる。
【0053】
図22に示すのは、四肢でない場合の遺体用補綴物(13)であり、例えば、耳である場合、着色後、医療用接着剤で、それを、遺体の対応したところに装着させるように設けられ、更に、コンシーラーなどで、きれいにカバー、化粧して、見た目の自然さを見せられ、遺体の完全なる外観を呈し、その遺族を満足させるように設けられる。
【0054】
図26に示すのは、四肢である場合の遺体用補綴物(13)であり、例えば、足である場合、着色後、継手部(131)で、それを遺体に装着させ、位置決めユニット(133)で、補助的位置決めが行なわれる。外に露出された前記足は、見た目の自然さが高められ、遺体の完全なる外観を呈し、その遺族を満足させるように設けられる。
【0055】
以上は、本考案の好適な実施例に関する説明だが、それを以って、実施範囲を制限してはならないものとし、本考案のコンセプトに一致した改造や変化などを行って、それと同等な効果を得て行われた範囲は全て、本考案の特許請求範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0056】
1 エピテーゼ
11 耳エピテーゼ
12 義肢用人工皮膚
13 遺体用補綴物
131 継手部
132 スロット部
133 位置決めユニット
2 顔料
3 着色ツール
31 手動タトゥーペン
32 電動タトゥーマシン
1a 耳の画像ファイル
2a 印刷された原型
3a 3Dプリンター
4a 耳エピテーゼキャスト
5a 型
1b 健側肢体模型
2b 肢体原型
3b 型
4b 肢体モールド
1c 人体模型
2c 初期モデル
3c 型
A 離型剤
D プリセット深さ
100 義肢
200 使用する対象者
300 健側肢体
S1、S1a、S1b、S1c ステップ1
S2、S2a、S2b、S2c ステップ2
S3、S3a、S3b、S3c ステップ3
S4、S4a、S4b、S4c ステップ4
S5a、S5b ステップ5