(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】好気性菌を検出するための物品及び方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20220802BHJP
C12M 1/16 20060101ALI20220802BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20220802BHJP
C12N 1/00 20060101ALN20220802BHJP
【FI】
C12M1/34 D
C12M1/16
C12Q1/04
C12N1/00 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019233906
(22)【出願日】2019-12-25
(62)【分割の表示】P 2016573678の分割
【原出願日】2015-03-05
【審査請求日】2019-12-25
(32)【優先日】2014-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラパティ,シャイラジャ
(72)【発明者】
【氏名】ノードバイ,テラ エム.
【審査官】市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-516177(JP,A)
【文献】特開2001-128666(JP,A)
【文献】特表平07-501943(JP,A)
【文献】特表平09-512438(JP,A)
【文献】BD Bionutrients テクニカルマニュアル, [online], 2014.2.11 公開, [2018.12.7 検索], インターネット<URL: https://web.archive.org/web/20140211152034/https://www.bdj.co.jp/hkdqj2000001lwn0-att/67-001-00_BD-Bionutrients-technical-manual.pdf>
【文献】Food Chem.,Vol.60, No.2,1997年,pp.251-254
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を培養及び検出するための装置であって、
第1の主表面及び第2の主表面を有する自己支持型の基材シートと、
前記基材シートに取り付けられたカバーシートと、
前記基材シートと前記カバーシートとの間に配置されたサンプル受領領域と、
前記基材シートの前記第1の主表面に接着された、
乾燥しており、冷水溶解性の第1のヒドロゲル形成組成物を含む第1の層と、
前記基材シートに接着された通気性膜と、
複数の指示薬と、を含み、
前記複数の指示薬が、
異なるグリコシダーゼ酵素活性を検出するための3種類の指示薬と、
アルキルエステラーゼ酵素活性を検出するための指示薬と、
ホスファターゼ酵素活性を検出するための指示薬と、
テトラゾリウム染料を含む酸化還元指示薬と、を含み、
複数の前記指示薬のそれぞれは、検出可能なレポーター基を含み、
複数の前記指示薬のそれぞれは、前記基材シート又は前記カバーシートに接着された少なくとも1つの層上に配置されており、前記少なくとも1つの層は、所定量の水性液体が前記サンプル受領領域に配置されたときに前記サンプル受領領域と流体連通する、装置。
【請求項2】
前記基材シートと前記第1の層との間に配置された、第1の接着剤組成物を含む第2の層を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記通気性膜が前記基材シートと前記第1の層との間に配置されている、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記通気性膜が
不透明である、請求項1
~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記通気性膜が視認可能なしるしを含まない、請求項1~
4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記カバーシートが第1の主表面を含み、前記カバーシートの前記第1の主表面が前記基材シートの前記第1の主表面に面しており、
前記培養装置が、
第2の接着剤組成物を含み、前記カバーシートの一部分に接着されている第3の層と、
乾燥しており、冷水溶解性の第2のヒドロゲル形成組成物を含み、前記第3の層に接着されている第4の層と、を更に含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のヒドロゲル形成組成物
、又は
存在する場合は前記第2のヒドロゲル形成組成物が、好気性菌を生育させるのに有効量の少なくとも1種の栄養素を更に含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1種の栄養素が、ソイトン、肉ペプトン、トリプトン、酵母エキス、ピルビン酸、又は前述の栄養素のうちの任意の2種以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
L-アルギニン、スキムミルク、D-トレハロース、及び
これらのうちの任意の2種以上の組み合わせからなる群から選択される栄養素を更に含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の指示薬のうち少なくとも1種が、
前記第1のヒドロゲル形成組成物、
又は
、存在する場合は、前記第1の接着剤組成物、前記第2の接着剤組成物若しくは前記第2のヒドロゲル形成組成物
のいずれかに配合される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の指示薬のうち少なくとも3種が、前記第1の接着剤組成物
、又は
存在する場合は前記第2の接着剤組成物
のいずれかに配合される、請求項
2~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
サンプル中の好気性菌を検出する方法であって、
請求項1~
11のいずれか一項に記載の装置の前記サンプル受領領域においてサンプル材料と水性液体とを接触させて、接種を受けた培養装置を形成することと、
前記接種を受けた培養装置を所定の期間にわたってインキュベートすることと、
前記接種を受けた培養装置において細菌コロニーを検出することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記接種を受けた培養装置において細菌コロニーを検出することが、前記接種を受けた培養装置において、ホルマザン染料又は少なくとも1種の前記指示薬の前記検出可能なレポーター基の存在を検出することを含み、
前記ホルマザン染料又は前記検出可能なレポーター基の存在を検出することが、細菌コロニーの存在についての指標となる、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記接種を受けた培養装置をインキュベートすることが、接種を受けた培養装置を、25℃~42℃の温度にてインキュベートすることを含む、請求項11
又は12に記載の方法。
【請求項15】
前記接種を受けた培養装置を所定の期間にわたってインキュベートすることが、前記接種を受けた培養装置を、22時間~26時間にわたってインキュベートすることを含む、請求項
12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記接種を受けた培養装置のインキュベート後に、接種を受けた培養装置に存在する好気性菌のコロニーを計数することを更に含む、請求項
12~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第61/949,631号(2014年3月7日出願)に対する優先権を主張するものであり、この仮出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
(背景)
生菌数(APC)は試料(例えば、食品試料)中に含まれる総細菌数の指標として使用される。従来、APCは、混釈平板法、表面塗布法(surface-spread methods)、スパイラルプレートによるカウント法(spiralplate count methods)、又は膜ろ過法を用い実施され、これらのすべては、微生物の生育及び計数にあたって典型的には寒天培地を利用する。
【0003】
微生物を培養するための培地は、一般的に、養分と、特定の微生物の生育に必須なその他の成分とを含有している水性溶液に、固化剤を分散させることにより調製される。残念ながら、従来の固化材の使用は、しばしば最終消費者には不便なものである。例えば、水又は乳などの液体試料中の微生物数を測定するにあたって、一般的な「計数平板」法又は「混釈平板」法を実施するとき、従来の寒天培地の使用は、特に不便であり、時間がかかる。寒天培地は、一般に予め大量調製され、滅菌されるものであり、お湯に溶解され、又は蒸気流に暴露させることにより溶解される。次に、ペトリ皿に注ぎ入れる前に、熱い寒天液を注意深く約45℃に冷却する。次に、試験サンプルを段階希釈し、各希釈液の一部をペトリ皿に配置する。次に、ある程度冷めたものの未だ液体のままである寒天培地を各皿に注ぎ入れ、試験サンプルの一部と混合し、円を描くようゆすって混合させ、固化させる。インキュベート後、各皿において生育しているコロニー数を目視観察により計数する。この方法では、試験サンプルに存在する微生物数又はコロニー形成単位数を求めることができる。
【0004】
特に重要なことに、好気性菌を計数するにあたって最も一般的な方法では、正確な定量結果が取得可能となるまでに少なくとも48時間にわたるインキュベートが必要とされる。これらの方法では、インキュベートに長時間を要することから、好気性菌の混入の有無又は混入濃度が最終的に判明するまでに数日にわたり食品製品を保管する必要があった。
【0005】
好気性菌の生育及び計数には薄膜培養装置も利用可能である。米国特許第4,565,783号及び同第5,681,712号(参照によりその全体が本明細書に援用される)では、好気性菌を培養及び計数するための装置が開示されている。
【0006】
したがって、試験及びそれに関係する材料の改良が必要とされている。試験手順を簡略化し、並びにより短期間のうちに試験結果を取得することができれば、製品の品質及びプロダクト・インテグリティを犠牲にせずとも、製造元に製品を放出させて保管経費を削減させることができる。
【0007】
(概要)
本開示は、概して、微生物を培養及び検出する装置に関する。更に、本開示は、サンプル中の微生物を培養及び検出するための方法に関する。特に、本開示は、接着剤組成物中に高濃度で配合された複数の指示薬を含む、乾燥しており、液体により再溶解させることのできる培養装置において、好気性菌及び耐気性菌を迅速に検出することに関する。複数の指示薬としては、アルキルエステラーゼ酵素活性を検出するための指示薬、ホスファターゼ酵素活性を検出するための指示薬、異なるグリコシダーゼ酵素活性を検出するための3種類の指示薬、及び酸化還元指示薬が挙げられる。有利なことには、複数の指示薬により、多様な好気性菌を迅速に検出及び計数することができる。更により有利なことには、特定の指示薬に加え、それらの濃度及び微生物に対し指示薬を提供する手段により、約48時間以内、好ましくは約26時間以内の好気性及び/又は耐気性菌の検出及び計数が可能になる。
【0008】
一態様では、本開示は、微生物を培養及び検出するための装置を提供する。装置は、第1の主表面及び第2の主表面を有する自己支持型の基材シートと、基材シートに取り付けられたカバーシートと、基材シートとカバーシートとの間に配置されたサンプル受領領域と、基材シートの第1の主表面に接着された、実質的に乾燥しており、冷水溶解性の第1のヒドロゲル形成組成物を含む第1の層と、複数の指示薬と、を含み得る。複数の指示薬は、異なるグリコシダーゼ酵素活性を検出するための3種の酵素活性指示薬、すなわちアルキルエステラーゼ酵素活性を検出するための酵素活性指示薬、ホスファターゼ酵素活性を検出するための酵素活性指示薬、及び酸化還元指示薬を含み得る。複数の酵素活性指示薬のそれぞれは、検出可能なレポーター基を含み得る。複数の指示薬のそれぞれは、基材シート又はカバーシートに接着された少なくとも1つの層中に配合することができ、少なくとも1つの層は、所定量の水性液体がサンプル受領領域に配置されたときにサンプル受領領域と流体連通する。
【0009】
上記の任意の実施形態において、酸化還元指示薬は、テトラゾリウム染料を含む。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、テトラゾリウム染料は、トリフェニルテトラゾリウムクロリドを含む。上記の実施形態うちのいずれかにおいて、装置は、基材シートと第1の層との間に配置された第1の接着剤組成物を含む第2の層を更に含むことができ、装置は、任意選択的に基材シートに接着された通気性膜を含み得る。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、装置は、隙間を有する水不溶性のスペーサーを更に含むことができ、スペーサーは基材シート又はカバーシートに取り付けられており、隙間は基材シートとカバーシートとの間に配置されており、隙間は、サンプル受領領域の周辺の境界を画定する。
【0010】
別の態様では、本開示は、サンプル中の好気性菌を検出する方法を提供する。方法は、上記の実施形態のいずれか一つに記載の装置のサンプル受領領域においてサンプル材料と水性液体とを接触させて、接種を受けた培養装置を形成することと、接種を受けた培養装置を所定の期間にわたってインキュベートすることと、培養装置において細菌コロニーを検出することと、を含み得る。本方法の任意の実施形態では、培養装置において細菌コロニーを検出することは、培養装置において、ホルマザン染料又は少なくとも1種の指示薬の検出可能なレポーター基の存在を検出することを含むことができ、ホルマザン染料又は指示薬の検出可能なレポーター基の存在の検出は、細菌コロニーの存在の指標となる。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「粉末」は、本発明の薄膜培養装置(複数可)における使用に適した平均径、好ましくは約10~400マイクロメートルの直径、より好ましくは約30~90マイクロメートルの直径を有する、1種以上のゲル化剤又は栄養素の粒状材料を指す。
【0012】
本明細書で使用するとき、「再溶解させた培地」は、水性液体に冷水溶解性の粉末を再溶解させることにより形成された溶液又はゲルを指す。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「冷水溶解性の粉末」は、水性試験サンプルと混ぜあわせたときに、室温の水(例えば、約18℃~24℃)でゲルを形成する粉末を指す。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「微生物及び水蒸気を実質的に不透過性である」は、薄膜培養装置(複数可)の輸送、保管、及び使用中の、冷水溶解性の粉末からなる下層の望ましくない汚染及び水和を予防し、並びに再溶解させた媒質をインキュベート中の微生物の生育を支持するのに好適なものとするよう、再溶解させた媒質の乾燥を回避する、カバーシートを指す。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「好気性菌」は、好気性呼吸において末端酸化剤として分子を酸素利用することができ、細胞過程用(例えば、代謝、生合成、複製)にエネルギーを生成する、典型的な、単細胞性原核微生物を指す。好気性菌としては、末端酸化剤として酸素分子を利用可能であることに加え、発酵によりエネルギーを産生することもできる、通性嫌気性菌が挙げられる。好気性菌としては、試験サンプル中に集団で存在する又は共存する1種以上の種が挙げられる。用語「好気性菌」は、例えば、試験サンプル中に見られる好気性菌群をも指す。用語「好気性菌」は、何らかの所定の数のこれらの微生物又は種を意味するものとして制限されるものではなく、並びに未だ発見されていないものの将来的には同定され当業者によるこの定義に含まれ得る種を排除することを意味するものでもない。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「試験サンプル」は、食品製品、ヒト又は動物の試験対象、医薬製品又は美容製品、土壌、水、大気又はその他の環境資源、あるいは測定する好気性菌及び/又は耐気性菌の存在が確認される、並びに任意選択的に計数がなされる、任意のその他の供給源から採取された成分又は部分を指す。試験サンプルは、例えば、注ぎ入れる、ピペッティングする、拭い取る、ろ過する、及び接触させるなどの当該技術分野で知られる手法を用い供給源から採取することもできる。更に、試験サンプルは、例えば、混合、消化、均質化、濃縮、選択的濃縮、又は希釈などの当該技術分野で知られる様々なサンプル調製プロセスにかけることもできる。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に水を含まない」は、水分含有量が周囲環境のおよその水分含量以下であることを示す。
【0018】
「好ましい」及び「好ましくは」なる語は、特定の状況下で特定の効果をもたらし得る本発明の実施形態のことを指す。しかしながら、同じ、又は他の状況下において他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の引用は、他の実施形態が有用ではないことを示唆するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを目的とするものではない。
【0019】
本明細書で使用するとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。したがって、例えば、「1種の(an)」指示薬を含む培養装置は、「1種以上」の指示薬を含み得る培養装置を意味するものと解釈することができる。
【0020】
用語「及び/又は」は、挙げられた要素の1つ若しくはすべて、又は挙げられた要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0021】
また、本明細書における端点による数の範囲の記載には、その範囲に含まれるすべての数が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、などが含まれる)。
【0022】
本発明の特徴及び利点は、発明を実施するための形態、及び添付の特許請求の範囲を考慮することで理解される。本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、本発明の様々な例示的な実施形態に関連して以下で説明され得る。
【0023】
上記の本発明の概要は、開示される本発明の実施形態のそれぞれ又はすべての実施態様を説明することを目的としたものではない。以下の図面及び発明を実施するための形態は、実例となる実施形態をより具体的に例示するものである。他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の培養装置の一実施形態の概略断面図であり、ある種の特徴を示す。
【
図4】本開示の培養装置の代替的な実施形態の概略断面図である。
【0025】
(詳細な説明)
本開示の実施形態を詳細に述べるのに先立って、本発明はその応用に際して以下の説明文に記載されるか、あるいは以下の図面に示される構造の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではない点は理解されるべきである。本発明には他の実施形態が可能であり、本発明は様々な方法で実施又は実行することが可能である。また、本明細書で使用される専門語及び専門用語は、説明目的のためであり、限定するものと見なされるべきではないことが理解されるべきである。「含む(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」、及びこれらの変化形は、その後に列記される要素及びそれらの均等物、並びに更なる要素を包含することを意味するものである。特に特定又は限定しない限り、用語「連結された」及び「結合された」並びにその変化形は広義で用いられ、直接的及び間接的な連結及び結合の両方を含むものである。更に、「接続された」及び「結合された」とは物理的又は機械的な連結若しくは結合に限定されるものではない。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、構造的又は論理的な変更がなされてもよいことを理解すべきである。更に、「前」、「後」、「上」、「下」といった用語は、各要素の互いに対する関係を説明するためにのみ用いられるものであり、装置の特定の向きを説明すること、装置に必要とされる若しくは求められる向きを指示又は示唆すること、又は本明細書に記載される発明が、使用時にどのように使用、装着、表示、又は配置されるかを特定することを目的とするものでは決してない。
【0026】
好気性菌は普遍的な微生物であり、そのうちのある程度のものが食品及び飲料の腐敗に顕著に関係している。サンプル(例えば、食品サンプル、水サンプル、又は環境表面サンプル)中の好気性菌数は、食品、水、又は環境中に病原微生物が存在する可能性についての指標となり得る。更に、食品又は飲料サンプル中の好気性菌の総数は、サンプルに由来する食品又は飲料に残された保存可能期間の指標となり得る。したがって、ほとんどの食品製品及び飲料製品では、好気性菌の存在及び量について製品及び/又は加工環境を経時観察することが日常的なものとなっている。
【0027】
好気性菌についての従来の試験法は、典型的には、微生物を寒天培地又は3M PETRIFILM Aerobic Count Plate(3M社(St.Paul,MN)から利用可能)などの薄膜培養装置で培養することを伴う。サンプル中の酵母及びカビを検出するための薄膜培養装置は、例えば、米国特許第4,565,783号に記載される。従来の試験法は、試験プレートを少なくとも2日間インキュベートして正確な計数を行うことを伴う。好気性菌の試験完了にはある程度の時間がかかるため、食品加工業者は、保管及び使用に関する通常の条件中に、食品製品が食品製品の品質及び/又は安全性に悪影響を及ぼし得るほどの量で好気性菌を含有するか評価することを目的として、少なくとも約2~3日間にわたって食品製品を保持する必要が生じ得る。
【0028】
3M PETRIFILM Aerobic Count platesに使用される培養培地を含むいくつかの培養培地は、好気性菌により、検出可能な(例えば、吸光度、反射率、及び又は蛍光により検出可能な)生成物(例えば、ホルマザン)に転換される、少なくとも1種の指示薬(例えば、トリフェニルテトラゾリウムクロリド)を含む。Townsend及びChenに特許付与されており、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第6,387,650号は、試験サンプル中の細菌を検出するための組成物を開示しており、組成物は、細菌で見られる、対応する酵素活性により加水分解されたときに、検出可能な同一種のシグナル(例えば、蛍光)を生じる又は生成する3種の酵素基質を含む。第1の酵素基質はグリコシダーゼ酵素活性により加水分解され、第2の酵素基質はペプチダーゼ酵素活性により加水分解され、並びに第3の酵素基質はホスファターゼ酵素活性により加水分解される。本発明では、Townsend及びChenは、試験サンプル中の微生物の最確数(MPN)の算出を可能にする指示薬を含む培地の、培養装置における使用を更に記載する。
【0029】
一態様では、本開示は、サンプル中の好気性及び/又は耐気性菌を検出する培養装置を提供する。水性液体と接触させたとき、培養装置の構成要素は協調的に作用して、サンプル中の好気性及び/又は耐気性菌の培養及び任意選択的に定量のため使用される水性培養培地を形成し得る。任意の実施形態では、本開示の培養培地は、好気性又は耐気性菌の生育を支持するのに必要とされる栄養素をすべて又は実質的にすべて含む混合物であり得る。いくつかの実施形態では、好気性又は耐気性菌の生育を支持する1種以上の栄養素が、サンプルに提供され得る。
【0030】
本開示の培養装置は、当該技術分野で知られるその他の装置及び方法と比較して改良された検出(すなわち、検出時間が短縮されており、所定のインキュベート期間内で、好気性及び/又は耐気性菌がより包括的に検出される)を提供する。いくつかの態様では、本開示の培養装置は、米国特許第4,565,783号、同第5,089,413号、及び同第5,681,712号に記載の薄膜培養装置に関し、これらの特許文献のすべては参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0031】
本発明の培養装置に使用するのに適したサンプルは、多様な供給源から取得することができ、あるいはそれらから由来するものであってよい。用語「供給源」は、概して、好気性及び耐気性菌について試験するのが望ましい食品又は非食品を指すために使用される。供給源は、固体、液体、半固体、ゼラチン状物質、気体(例えば、空気)、及びこれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、供給源は、例えば、対象表面又は大気から供給源を回収するために使用された補捉要素(例えば、フィルター膜、綿棒、布地、又はスポンジ)により準備されたものであり得る。いくつかの実施形態では、液体サンプルは、更に分解させて(例えば、撹拌又は溶解プロセス中に)供給源及び対象とする任意の微生物の回収を増強させることのできる、捕捉要素を含み得る。対象とする表面には、これらに限定されるものではないが、壁(ドアを含む)、床、天井、排水管、冷蔵システム、ダクト(例えば、エアダクト)、通気口、トイレの便座、ハンドル、ドアノブ、手すり、カウンタートップ、テーブルトップ、食事を行う表面(例えば、トレイ、皿等)、作業面、機器表面、衣類等、及びこれらの組み合わせを含む様々な表面の少なくとも一部を含むことができる。本方法において、供給源のすべて又は一部分を、使用することができる。供給源の一部分が使用される場合、これは、供給源の「試料」と称される場合があってもよい。しかしながら、本明細書で使用するとき、用語「試料」は、一般に、供給源から得られ、微生物の検出のための試験器具に導入される材料の体積又は質量の一部を指す。
【0032】
用語「食料」は、一般に、固体、液体(例えば、溶液、分散液、乳濁液、懸濁液等、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない)、及び/又は半固体の食用組成物を指すために使用される。食料の例には、肉、鶏肉、卵、魚、魚介類、野菜、果物、加工食品(例えば、スープ、ソース、ペースト)、穀物製品(例えば、小麦粉、穀物、パン)、缶詰、牛乳、その他の乳製品(例えば、チーズ、ヨーグルト、サワークリーム)、油脂、油、デザート、香辛料、薬味、パスタ、飲料、水、動物用飼料、その他の好適な食材、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
図1~2を参照すると、本開示の装置100は、撥水性基材シート10と、カバーシート20と、実質的に乾燥しており、冷水溶解性の第1のヒドロゲル形成組成物を含む第1の層12と、を含む。基材シート10は、第1の主表面10aと、第1の主表面とは反対側の第2の主表面10bとを有する。基材シート10と、カバーシート20と、第1の層12とは任意の好適な関係性において配置することができるが、
図1は、これらの構成要素の好ましい配置を示し、第1の層12は、サンプル受領領域30の少なくとも一部分に接着し、かかる受領領域をコーティングする。任意の実施形態では、任意選択的な第2の層14は、基材シート10と、第1の層12との間に配置され得る任意の実施形態では、第2の層は、第1の接着剤組成物を含み得る。任意の実施形態では、装置100は、任意選択的なスペーサー50を更に含む。スペーサー50は、サンプル受領領域30の周辺を画定する隙間52を含む。
【0034】
サンプル受領領域30は、基材シート10と、カバーシート20との間の領域を占有する。この領域は、均一な形状であっても、不均一な形状であってもよい。任意の実施形態では、容積は、スペーサー50の隙間52により画定され得る。隙間52は任意の空間であってよい。サンプル受領領域30(又は隙間52)に有用な形状の非限定的な例としては、正方形、長方形、円形、楕円形、多角形、六角形、及び八角形が挙げられる。
【0035】
サンプル受領領域の面積は、例えば、受領領域に配置される水性液体の用量をもとに選択することができる。任意の実施形態では、0.5~3mL体積の水性液体に関しては、サンプル受領領域の面積は約10cm2である。任意の実施形態では、0.5~3mL体積の水性液体に関しては、サンプル受領領域の面積は約15cm2である。任意の実施形態では、1~5mL体積の水性液体に関しては、サンプル受領領域の面積は約20cm2である。別の実施形態では1~5mL体積の水性液体に関しては、サンプル受領領域の面積は約25cm2である。任意の実施形態では、1~5mL体積の水性液体に関しては、サンプル受領領域の面積は約30cm2である。任意の実施形態では、1~5mL体積の水性液体に関しては、サンプル受領領域の面積は約31cm2である。1~5mL体積の水性液体に関しては、サンプル受領領域の面積は約25~35cm2である。
【0036】
第1の層12は、基材シート10の部分及び/又は存在する場合には第2の層14の部分に固定される。第1の層12は、装置100のサンプル受領領域30の少なくとも一部分をコーティングする。輸送、保管、及びインキュベート中に第1の層12をコーティングするためのカバーシート20も、
図1及び2において、ヒンジ様の様式でスペーサー50の一縁部に取り付けられているものとして示される。カバーシート20は、例えば、
図2に示すとおり、両面接着テープ56を含む、任意の好適な手段により取り付けられ得る。好適な基材シート10と、第1のヒドロゲル形成組成物の成分と、カバーシート20とは、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第4,565,783号に記載のものを含む。第1の層12の少なくとも一部分は、所定量の水性液体による装置100の水和後にサンプル受領領域30と流体連通している。
【0037】
基材シート10は、相対的に堅固なフィルム(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、又はポリスチレン)、あるいは水を吸収せず又は別の方法で水により悪影響を受けない耐水性コーティングを有する相対的に堅固な紙又はボール紙であってよい。厚さ約100μm~180μmのポリエステルフィルム、厚さ約100μm~200μmのポリプロピレンフィルム、及び厚さ約300μm~380μmのポリスチレンフィルムは、基材シート10に好適な材料の非限定的な例である。基材シート10は、観察者が、基材シートを介しての微生物コロニーの観察を望むかに応じ、透明又は不透明のいずれであってもよい。微生物コロニーの計数を容易にするため、基材シート10は、任意選択的に、シート上に格子柄(例えば、図示しないが、正方形)を印刷されていてもよい。
【0038】
第2の層14における第1の接着剤組成物は、好ましくは、米国特許第4,565,783号に記載のとおり、感圧接着性であり、水不溶性であり、対象とする微生物の生育を実質的に阻害させない。任意の実施形態では、第2の層を、好適な基材シート上に(例えば、ナイフコーターを用いて)コーティングすることができる。好ましくは、第1の接着剤組成物は、微生物コロニーを視認可能にするべく湿潤させたときに実質的に透明である。第2の層14の少なくとも一部分は、所定量の水性液体による装置100の水和後にサンプル受領領域30と流体連通している。
【0039】
図1~2を再度参照すると、基材シート10の少なくとも一部分(例えば、サンプル受領領域30の少なくとも一部分)は、直接又は間接的に第1の層12に接着される。第1の層12は、第1の、実質的に水を含まない、冷水溶解性の第1のヒドロゲル形成組成物を含む。任意の実施形態では、基材シート10(例えば、基材シート10の第1の面10a)に第1の層12の一部又は全部を直接接触させることができる。任意の実施形態では、存在する場合第2の層14に、第1の層12の一部又は全部を直接接触させることができる。第1のヒドロゲル形成組成物を、水性液体(例えば、脱イオン水)に溶解及び/又は懸濁させ、例えば、米国特許第4,565,783号に記載のとおりに基材シート10に対しコーティングした後、実質的に水を含有しなくなるまで、乾燥させることができる。
【0040】
第1の層12の第1のヒドロゲル形成組成物は、少なくとも1種の冷水溶解性ゲル化剤を含む。上記のとおり、第1の組成物はゲル化剤のみを含有することができ、栄養素は含まない。任意選択的に、任意の実施形態では、第1のヒドロゲル形成組成物は、好気性菌及び/又は耐気性菌の生育を促進させるのに有効な量の栄養素も含む。
【0041】
第1のヒドロゲル形成組成物に使用するのに好適なゲル化剤としては、冷水溶解性の天然及び合成のゲル化剤が挙げられる。好適な天然のゲル化剤の非限定例としては、アルギン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ローカストビーンガム、キサンタンガムが挙げられる。好適な合成ゲル化剤としては、例えば、ポリアクリルアミドが挙げられる。天然及び/又は合成ゲル化剤の組み合わせが意図される。好ましいゲル化剤としては、グアーガム、キサンタンガム、及びローカストビーンガムが挙げられ、これらのゲル化剤は、任意の実施形態においては個々で、あるいは互いとの組み合わせで有用である。冷水溶解性の第1のヒドロゲル形成組成物及び/又は第2のヒドロゲル形成組成物が、水和のため露出させるのに十分な表面積を有する均一な単層であることは望ましい。任意の実施形態では、第1の及び/又は第2のヒドロゲル形成組成物は、ゲル化剤の混合物を含む。任意の実施形態では、混合物は、グアーガム及びキサンタンガムを含む。任意の実施形態では、混合物は、質量比約1:1でグアーガムとキサンタンガムとを含み得る。驚くべきことに、キサンタンガムに対するグアーガムの質量比が1:1であるゲル化剤混合物は、グアーガムを液化(すなわち、加水分解)する酵素を産生するある種の微生物(例えば、ある種のバチルス(Bacillus)種)による液化に耐性である。
【0042】
第1の層12の第1のヒドロゲル形成組成物は、好ましくは、所定量、例えば、1~3mLの水又は水性サンプルがサンプル受領領域30に配置されて、適切な粘度、例えば、Brookfield Model L VF粘度計で、25℃、60rpmにて測定したときに約1500cps以上を有するヒドロゲルを形成し得るような量で、冷水溶解性のゲル化剤を含む。この粘度のヒドロゲルにより、インキュベート中の培養装置100の取扱い及び積み重ねが可能になり、ヒドロゲルに明瞭なコロニー形成が提供される。例えば、0.025g~0.050gの粉末グアーガムを、20.3cm2の表面領域を覆って実質的に均一に広げることで、1~3mLの水性サンプルに再溶解させたときに十分な粘性の培地がもたらされる。サンプル受領領域の単位領域あたりに好適な量のゲル化剤(例えば、グアーガム)は、例えば米国特許第5,089,413号に開示されている。
【0043】
任意の実施形態では、第1のヒドロゲル形成組成物は、好気性菌及び/又は耐気性菌の生育を促進する少なくとも1種の栄養素を更に含む。任意の実施形態では、第1のヒドロゲル形成組成物は、好気性菌及び/又は耐気性菌の生育を促進する複数種の栄養素を含む。好気性菌及び/又は耐気性菌の生育を促進するのに好適な栄養素は、当業者には既知である。任意の実施形態では、第1のヒドロゲル形成組成物は、このような栄養素を1種以上含み得る。
【0044】
好気性菌及び耐気性菌の生育及び増殖を促進する栄養素を含む培養培地(例えば、無水、粉末化培養培地)は、当該技術分野で知られている。培養培地の成分としては、例えば、窒素源(例えば、酵母エキス、肉又はその他のタンパク質の酵素消化物、麦芽エキス);炭素源(例えば、各種糖類、多糖類、オリゴ糖類、その他の炭化水素類);1種以上の多様な無機塩類(例えば、塩化カルシウム、クエン酸鉄アンモニウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸亜鉛);並びに、任意選択的に、緩衝剤、が挙げられる。本開示の観点において、当業者は、好気性菌及び耐気性菌を検出する本開示の酵素基質指示薬として使用することができる多様な栄養組成物を認識し、但し、栄養組成物の成分が、酵素基質の加水分解を実質的に阻害するものではなく、かつ栄養組成物の成分が、指示薬として使用される酵素基質の生成物を実質的にマスク(例えば、蛍光を消光するなどして)するものではない、と認識されるであろう。
【0045】
任意の実施形態では、培養装置は、タンパク質、オリゴペプチド、及び/又はアミノ酸を含む栄養素を含み得る。このような栄養素の非限定例としては、酵母抽出物(例えば、酵母の自己消化物)及びタンパク質消化産物が挙げられる。好気性菌及び/又は耐気性菌の生育を促進するのに好適な栄養素の非限定例を表1に示す。第1のヒドロゲル形成組成物は、粉末(又は凝集粉末)コーティング又は乾燥させた液体コーティングとしてとして、装置100に提供することができる。このような粉末コーティング及び液体コーティングの製造プロセス、並びに基材シートに対しかかるコーティングを接着させるためのプロセスは、当該技術分野で知られており、例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第4,565,783号、同第5,601,998号、同第5,364,766号、並びに同第5,681,712号に見ることができる。
【0046】
【0047】
現在では、L-アルギニン、スキムミルク、及びD-トレハロースのうちの少なくとも1種又は任意の2種以上の組み合わせが、ある種の好気性又は耐気性菌の約22~26時間のインキュベートによる生育及び検出を促進/容易にできることが判明している。したがって、任意の実施形態では、本開示の培養装置は、任意選択的に、L-アルギニン、スキムミルク、D-トレハロース、又は前述の栄養素のうちの任意の2種以上の組み合わせ、を含み得る。任意の実施形態では、本開示の培養装置における乾燥コーティング(例えば、第1のヒドロゲル形成組成物)には、乾燥固体分約0.2~0.6%(例えば、約0.5%)の濃度でL-アルギニンを存在させることができる。任意の実施形態では、本開示の培養装置における乾燥コーティング(例えば、第1のヒドロゲル形成組成物)には、乾燥固体分約0.5~3.0%(例えば、約1.2%)の濃度でL-アルギニンを存在させることができる。任意の実施形態では、本開示の培養装置における乾燥コーティング(例えば、第1のヒドロゲル形成組成物)には、乾燥固体分約0.5~2.0%(例えば、約1.2%)の濃度でD-トレハロースを存在させることができる。任意の実施形態では、本開示の培養装置の乾燥コーティング(例えば、第1のヒドロゲル形成組成物)には、乾燥固体分約5%以下の濃度でL-アルギニン、スキムミルク、及びD-トレハロースを累積的に存在させることができる。
【0048】
任意の実施形態では、培養装置は、緩衝剤を含み得る。第1の及び/又は第2のヒドロゲル形成組成物には緩衝剤を提供することができる。好適な緩衝剤の非限定例としては、タンパク質、リン酸塩化合物(例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム)、炭酸ナトリウム、MOPS(2-[N-モルホリノ]エタンスルホン酸)遊離酸、及びMOPSナトリウム塩が挙げられる。
【0049】
本開示の培養装置には、好気性又は耐気性菌の生育を促進する1種以上の無機元素を含ませることができる。これらの成分としては、次のもの(栄養素の各種成分についての上記の供給源において未だ提供されていない):カルシウム、塩素、コバルト、鉄、マンガン、リン、カリウム、硫黄、ナトリウム、スズ、及び亜鉛のうちの任意の1種以上が挙げられる。塩はイオン源として提供することもできる。塩類としては、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、ホウ酸、硫酸銅、ヨウ化カリウム、塩化第二鉄、硫酸マンガン(II)、モリブデン酸ナトリウム、及び硫酸亜鉛が挙げられる。第1のヒドロゲル形成組成物及び/又は存在する場合第2のヒドロゲル形成組成物には、無機元素(複数可)、及び/又は塩(複数可)を提供することができる。
【0050】
表2は、好気性菌及び耐気性菌の生育を促進する栄養素混合物の一実施形態を示す。本開示の培養装置には、好気性又は耐気性菌の生育を促進するために、当該技術分野で知られているその他の栄養素混合物を使用することができる。
【0051】
【0052】
基材シート10に、直接又は間接のいずれかで取り付けられるのはカバーシート20である。カバーシート20は、第1の主表面20aと、第1の主表面とは反対側の第2の主表面20bとを有する。任意の実施形態では、カバーシート20の部分(例えば、縁部に沿った部分)は、基材シート10の部分(例えば、縁部に沿った部分)に直接貼付(例えば、ヒートシール又は両面テープ56により)することができる。あるいは、又は更に、カバーシート20の部分は、基材シート10に直接又は間接的に接着された層(例えば、第1の層12及び/又は第2の層14)に接着させることができる。
【0053】
カバーシート20は、基材シート10とカバーシート20との間に配置されたサンプル受領領域をカバーする寸法である。したがって、カバーシート20は、好ましくは、基材シート10とほぼ同じ寸法及び形状である。任意の実施形態では、カバーシート20は、基材シート10の縁部を超えて延びるタブ27を含み得る。任意の実施形態では、タブ27は、
図1に示すとおり、基材シート10の、カバーシート20が基材シート10に連結されている縁部とは反対側の縁部に近接する。使用に際し、基材シート10から離れるようカバーシート20を持ち上げて、サンプル受領領域30にサンプルを配置するために、タブ27を掴んでもよい。
【0054】
カバーシート20は、微生物コロニーの計数を容易にするため半透明であり、又は好ましくは透明であり、かつ微生物及び水蒸気の両方を実質的に不透過性である。概して、カバーシート20は、基材シート10と同様の透明度及び好ましくは水不透過性などといった特性を有し得る。更に、カバーシート20には、細菌コロニーの計数を補助し、水性の試験サンプルを配置する際の目標を提供するため、及び/又は見栄えを良くするために、シート上に方眼枠線パターンなどのパターンを印刷することができ、あるいは縁部をマスク(図示せず)することもできる。カバーシート20は、好気性菌に必要とされる酸素透過量を提供するよう選択することができ、好気性菌の一部は、最適な生育条件のため相対的に酸素に富む環境を好み得る。好適なカバーシート材料は、米国特許第5,681,712号に開示されている。
【0055】
任意の実施形態では、カバーシート20は任意のコーティングを含まなくてもよく、あるいは第1の層12に対するカバーシート20の密着を容易にする目的で、カバーシートの一部(例えば、基材シート10に面する主表面上)を第2の接着剤組成物による第3の層22でコーティングしてもよい。更に、カバーシート20の一部分又は第3の層(例えば、基材シート10に面する主表面上)には、任意選択的に、第2のヒドロゲル形成組成物を含む第4の層24でコーティングすることができる。
【0056】
任意の実施形態では、第3の層22の第2の接着剤組成物は、第1の接着剤組成物と同じであっても異なっていてもよい。任意の実施形態では、第2のヒドロゲル形成組成物は、第1のヒドロゲル形成組成物と同じ成分又は異なる成分を含んでよい。カバーシート20に対するコーティングは、基材シート10に面する全面を覆ってよいものの、好ましくは、サンプル受領領域30と流体連通させて表面の少なくとも一部分を覆う。このようなコーティングを施したカバーシートは、第1のヒドロゲル形成組成物のみに組み込まれ得るものよりも多量のゲル化剤を有する装置を提供することが望まれるときに特に好ましい。存在する場合、第3の層22の少なくとも一部分と、存在する場合、第4の層は、所定量の水性液体による装置100の水和後にサンプル受領領域30と流体連通している。
【0057】
図3は、サンプル受領領域30を強調した培養装置100の上面図を示す。サンプルは、サンプル受領領域30の任意の部分において培養装置100に配置することができるものの、好ましくは、サンプルはサンプル受領領域の中央領域付近に配置される。
【0058】
第4の層24は、実質的に水を含まない、冷水溶解性の第2のヒドロゲル形成組成物を含む。任意の実施形態では、第4の層24の第2のヒドロゲル形成組成物は、本明細書に開示するとおりの1種以上の冷水溶解性のゲル化剤(例えば、グアーガム)を含む。任意の実施形態では、第2のヒドロゲル形成組成物は、好気性又は耐気性菌の生育を促進するため、本明細書において開示される有効量の1種以上の栄養素(例えば、トリプトン)を更に含み得る。任意の実施形態では、第2のヒドロゲル形成組成物は、本明細書に開示するとおりの1種以上の指示薬(例えば、3-インドキシル-ホスフェート)を含み得る。任意の実施形態では、第2のヒドロゲル形成組成物は、少なくとも1種の冷水溶解性のゲル化剤と、1種以上の指示薬又は1種以上の栄養素とを含む。任意の実施形態では、第2のヒドロゲル形成組成物は、例えば、米国特許第4,565,783号に記載のとおりの粉末又は凝集粉末として第2の接着剤組成物を含む、第3の層22に適用され得る。
【0059】
任意の実施形態では、第4の層24の第2のヒドロゲル形成組成物には、実質的に乾燥している粉末(又は凝集粉末)コーティングとして第3の層22を適用することができる。このような粉末コーティングの調製及び適用に好適なプロセスは、米国特許第4,565,783号に記載される。
【0060】
使用の際、水性液体(例えば、サンプル材料及び/又は水、緩衝液、又は栄養培地などサンプルを懸濁している媒質)は、培養装置100のサンプル受領領域30に配置される。サンプル受領領域において、水性液体を、ゲル化剤(例えば、第1のヒドロゲル形成組成物中のゲル化剤と、存在する場合、第2のヒドロゲル形成組成物中のゲル化剤)と接触させると、液体はゲル化剤と混ざり合って、ヒドロゲルを形成する。このようにして得られるヒドロゲルは、好気性及び/又は耐気性菌のコロニーの生育及び検出を促進/容易にする水性環境を提供する。
【0061】
第1の接着剤組成物と、好ましくは、存在する場合第2の接着剤組成物は、感圧接着剤である。より好ましくは、接着剤は、アルキルアクリレートモノマーとアルキルアミドモノマーとのコポリマーを含む、水不溶性接着剤などの感圧接着剤である。好ましくはこれらのコポリマー中の、アルキルアミドモノマーに対するアルキルアクリレートモノマーの重量比は、約90:10~99:1、より好ましくは94:6~98:2である。アルキルアクリレートモノマーが、例えば、イソオクチルアクリレート(IOA)、2-エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソアミル、及びこれらの混合物アクリル酸の低級アルキル(C2~C10)モノマーを含むのに対し、アルキルアミドモノマーは、限定するものではないが、アクリルアミド(ACM)、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニルカプロラクタム(NVCL)、N-ビニル-2-ピペリジン、N-(モノ-又はジ-低級アルキル(C2~C5))(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物を含み得る。
【0062】
任意の実施形態では、第1の接着剤組成物及び/又は第2の接着剤組成物は、指示薬を含み得る。任意の実施形態では、指示薬は、有機溶媒(例えば、メタノール)に溶解させて、接着剤組成物と混合した後で、基材シート10及び/又はカバーシート20に接着剤組成物に適用することができる。任意の実施形態では、第1の接着剤組成物及び/又は第2の接着剤組成物は、本明細書に記載するとおりの複数の指示薬を含み得る。任意の実施形態において、第1の接着剤組成物及び第2の接着剤組成物には、それぞれ、別個の指示薬を含ませてもよい。任意の実施形態において、第1の接着剤組成物及び第2の接着剤組成物のそれぞれは、他の接着剤組成物には含まれない指示薬を含み得る。
【0063】
任意の実施形態では、第1のヒドロゲル形成組成物及び/又は第2のヒドロゲル形成組成物は、指示薬を含み得る。任意の実施形態では、第1のヒドロゲル形成組成物は少なくとも1種の指示薬を含み、第2のヒドロゲル形成組成物は少なくとも1種の指示薬を含み得る。
【0064】
本開示の培養装置100は、好気性又は耐気性菌の存在を検出するための複数の指示薬を含む。任意の実施形態では、好適な指示薬は、例えば、酵素基質を含む。任意の実施形態では、各指示薬は、指示薬と、生物活性(すなわち、好気性又は耐気性最近と関連性のある酵素活性)との反応の検出を可能にするレポーター基(例えば、発蛍光団又は発色団)と、指示薬とを含む。任意の実施形態では、複数の指示薬は、5種類の指示薬を含み得る。任意の実施形態では、5種類の指示薬は、3種の異なるグリコシダーゼ酵素活性を検出するための3種類の指示薬と、エステラーゼ酵素活性(例えば、アルキルエステラーゼ酵素活性)を検出するための1種類の指示薬と、ホスファターゼ酵素活性を検出するための1種類の指示薬と、を含み得る。
【0065】
好気性及び/又は耐気性菌種は、多様なグリコシダーゼ酵素活性のうちの1種以上をもたらし得るものであり、指示薬と反応し得る各々のグリコシダーゼ酵素活性により、検出可能な産物を生成する。表3及び4には、存在する場合、好気性又は耐気性菌のコロニー内で、又はコロニーに近接して、対応する酵素活性により反応し得る試薬の非限定例を掲載する。
【0066】
【0067】
【0068】
好気性又は耐気性菌種は、例えば、アルキルエステラーゼ(例えば、脂肪酸アルキルエステラーゼ)酵素活性及びホスファターゼ(例えば、リン酸加水分解酵素)酵素活性などの多様なエステラーゼ酵素活性を提供し得る。表4には、存在する場合、好気性又は耐気性菌のコロニー内又は付近で対応するエステラーゼ酵素活性により反応し得る指示薬の非限定例を掲載する。
【0069】
【0070】
好ましい実施形態では、本開示の培養装置は、α-グルコシダーゼ酵素活性を検出するための指示薬と、α-グルコシダーゼ酵素活性を検出するための指示薬と、β-ガラクトシダーゼ酵素活性を検出するための指示薬と、を含む。任意の実施形態では、前述の三種類の指示薬のうちのすべては類似する又は同一のレポーター基を含む。特定の好ましい実施形態では、本開示の培養装置は、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-α-D-グルコピラノシド、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルコピラノシド、及び5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシドを含む。一実施形態では、本開示の培養装置には、酸化還元指示薬が更に含まれる。好適な酸化還元指示薬の非限定例は、トリフェニルテトラゾリウムクロリドである。任意の実施形態では、酸化還元指示薬は、第1の接着剤組成物及び/又は第2の接着剤組成物中に配合され得る。任意の実施形態では、複数の酵素基質指示薬は、1つの接着剤組成物(例えば、第1の接着剤組成物)に配合することができ、酸化還元指示薬は、別の接着剤組成物(例えば、第2の接着剤組成物)に配合することができる。
【0071】
好適な酸化還元指示薬(例えば、トリフェニルテトラゾリウムクロリド)は、酸化又は還元されて検出可能なシグナルを生成する(例えば、検出可能な色又は蛍光の変化)、レポーター基(例えば、発色団及び/又は発蛍光団)を含む。例えば、トリフェニルテトラゾリウムクロリドは、細菌により還元され、検出可能な色を帯びたホルマザン生成物を生成する。本開示の培養装置における検出可能なレポーター基(例えば、ホルマザン)の検出は、好気性又は耐気性菌が存在する可能性についての指標となる。
【0072】
本開示によると、複数の指示薬は、培養装置100の基材シート10又はカバーシート20上に配置された1つ以上の層に提供され得る。任意の実施形態では、1種以上の指示薬を第1の層12に提供することができる。これらの実施形態において、少なくとも1種の指示薬を、第1のヒドロゲル形成組成物の冷水溶解性のゲル化剤と、任意選択的に栄養素と混合して、これにより基材シート10(及び/又は存在する場合、第2の層の一部分)の少なくとも一部分上をコーティングすることができる。
【0073】
任意の実施形態では、1種以上の指示薬を第2の層14に提供することができる。これらの実施形態では、少なくとも1種の指示薬を、第1の接着剤組成物の接着剤と混合して、これにより基材シート10の少なくとも一部分上をコーティングすることができる。
【0074】
任意の実施形態では、1種以上の指示薬を、第3の層22に提供することができる。これらの実施形態において、少なくとも1種の指示薬を、接着剤と、任意選択的に第2の接着剤組成物の選別剤と混合して、これによりカバーシート20の少なくとも一部分上をコーティングすることができる。
【0075】
任意の実施形態では、1種以上の指示薬を、第4の層24に提供することができる。これらの実施形態において、少なくとも1種の指示薬を、冷水溶解性のゲル化剤と、任意選択的に第2のヒドロゲル形成組成物の栄養素と混合して、これによりカバーシート20(及び/又は存在する場合、第3の層22の部分)の少なくとも一部分上をコーティングすることができる。
【0076】
有利なことに、少なくとも1種の接着剤組成物に提供するとき、1種以上の指示薬は、培養装置のサンプル受領領域30内に均一に分散させることができ、非常に高濃度で接着剤組成物に提供することができる。理論に束縛されるものではないが、培養装置において、指示薬は、相対的に疎水性の接着剤組成物から、相対的に親水性の、液体で再溶解させたゲルに効果的に分画され、これによりサンプル中に好気性又は耐気性菌が存在する場合に、これらの細菌と反応する指示薬の濃度は、一貫して均一なものになるものと考えられる。
【0077】
任意の実施形態では、第1の及び/又は第2の接着剤組成物は、複数の指示薬(例えば、少なくとも5種類の指示薬)又はその塩を含み得る。複数の指示薬(又はその塩類)は、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルアセタート、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルコピラノシド、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-α-D-グルコピラノシド、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェートp-トルイジン塩、及びTTCを含み得る。本発明者らは、本発明の特定の種類の指示薬の組み合わせは、発色団を伴う酵素基質又は酸化還元基質のみを有する類似の培養装置を使用した場合には検出できない少なくとも1種の微生物(例えば、シュードモナス(Pseudomonas)及び乳酸菌群に属する微生物)を検出するという驚くべき効果を有しており、組み合わせによる相乗作用が存在し得ることを示唆することを見出した。
【0078】
任意の実施形態では、第1の及び/又は第2の接着剤組成物は、約0.05~1.0重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルアセタート、約0.05~1.0重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド、0.05~1.0重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルコピラノシド、約0.05~1.0重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-α-D-グルコピラノシド、及び/又は約0.05~1.0重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェートp-トルイジン塩を累積的に含み得る。
【0079】
任意の実施形態では、第1の及び/又は第2の接着剤組成物は、約0.18~0.5重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルアセタートを累積的に含み得る。任意の実施形態では、第1の及び/又は第2の接着剤組成物は、約0.34~0.72重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシドを累積的に含み得る。任意の実施形態では、第1の及び/又は第2の接着剤組成物は、約0.34~0.72重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルコピラノシドを累積的に含み得る。任意の実施形態では、第1の及び/又は第2の接着剤組成物は、約0.34~0.72重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルコピラノシドを累積的に含み得る。任意の実施形態では、第1の及び/又は第2の接着剤組成物は、約0.36~0.76重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェートp-トルイジン塩を累積的に含み得る。
【0080】
任意の実施形態では、第1の及び/又は第2の接着剤組成物は、約0.18~0.5重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルアセタート、約0.34~0.72重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド、約0.34~0.72重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルコピラノシド、約0.34~0.72重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-α-D-グルコピラノシド、及び約0.36~0.76重量%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェートp-トルイジン塩を累積的に含み得る。
【0081】
任意の実施形態では、第1の及び/又は第2のヒドロゲル形成組成物は、ゲル化剤のみを含有してよく、栄養素又は指示薬は含有しなくてもよい。任意の実施形態では、培養装置に接種する際、好気性又は耐気性菌の生育を促進する1種以上の栄養素は、培養装置(例えば、サンプル受領領域30)において、水性液体(例えば、水性懸濁媒質又は希釈剤)中に配合され得る。
【0082】
上記のとおり、本開示の任意の培養装置は第1の及び/又は第2のヒドロゲル形成組成物は、好気性又は耐気性菌の生育を促進する少なくとも1種の栄養素を更に含み得る。好気性菌及び耐気性菌種は、代謝的に、及び生態学的に多様であってよく、したがって、それらの細菌の生育及び増殖を支持する多様な栄養素を利用し得る。表5は、本開示による好気性菌及び耐気性菌を含む属の非限定例を示す。
【0083】
【0084】
任意の実施形態では、本開示の培養装置は、培養装置に配置された好気性又は耐気性菌の好気的生育を促進する通気性膜を更に含む。
図4~6は、通気性膜32を含む培養装置200の一実施形態を示す。
【0085】
培養装置200は、それぞれ本明細書において上記したとおりの基材シート10と、第1のヒドロゲル形成組成物を含む第1の層12と、カバーシート20と、を含む。カバーシート20は、本明細書において上記したとおりに基材シート10に、直接又は間接のいずれかで取り付けられる。任意の実施形態では、培養装置200は、本明細書において上記したとおりの、第1の接着剤組成物を含む任意選択的な第2の層14、及び/又は第2の接着剤組成物を含む任意選択的な第3の層22、及び/又は第2のヒドロゲル形成組成物を含む任意選択的な第4の層24、を更に含み得る。
【0086】
任意の実施形態では、通気性の膜32は、基材シート10に接着され得る(例えば接着剤層16を介し接着され得る)。接着剤層16は、第3の接着剤組成物を含み得る。第3の接着剤組成物は、本明細書に記載のとおりの第1の又は第2の接着剤組成物として同じ接着剤成分を含んでよく、かつ例えば、ナイフコーティングプロセスにより基材シート10に塗布され得る。多孔性膜32を基材シート10に固定する方法は、第2の層14中の接着剤組成物の性質に依存するであろう。例えば、接着剤組成物が感圧性である場合、多孔性膜32を第2の層14上に配置し、押圧することにより、その場で接着させる。任意の実施形態では、細菌コロニーを可視化させる目的で湿潤させる際、多孔性膜32は、半透明であっても実質的に透明であってもよい。
【0087】
図4~6に例示する実施形態において、通気性膜32は、接着剤層16を介し基材シート10に接着される。通気性膜32の少なくとも一部分(又は全部)に対し配置(例えば、コーティング)されているのは任意選択的な第2の層14である。第2の層14は、本明細書に記載するとおりの第1の接着剤組成物を含む。第1の接着剤組成物は、本明細書に記載するとおりの1種以上の指示薬を含み得る。第2の層14の少なくとも一部分(又は全部)に対し配置(例えば、コーティング)されているのは第1の層12である。第1の層12は、本明細書に記載するとおりの第1のヒドロゲル形成組成物を含む。
【0088】
理論に束縛されるものではないが、通気性膜32は、装置への接種後にカバーシート20が適切な位置にあるときに、ヒドロゲル形成組成物を含む第1の層12に大気を適切に供給させる。その際、膜32は、装置における好気性微生物の生育の支持に有用である。膜32の通気性と、膜32は膜32の縁部(複数可)にて大気に実質的に曝露されることに基づき、大気は膜の縁部(複数可)に進入し、膜内を水平に透過し、第1の層12に進入し得る。特定の膜に対する大気の水平な透過は、膜の垂直方向の通気性(すなわち、膜の上面及び底面に対し垂直方向での透過性)を評価することにより、最も都合よく評価される。好適な通気性膜32材料は、合成材料又は天然材料による多孔性フィルム及び多孔性不織布ウェブは、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第5,089,413号に記載されている。好ましい膜材料の非限定例は、多孔性ポリオレフィンフィルム(APTRA Classic;RKW Danafilms;Westborough,MA)である。
【0089】
任意の実施形態では、通気性膜32は、実質的に不透明である。これらの実施形態において、基材シート10が、シート上に配置された(例えば、印刷された)枠線を含む場合、好ましくはこの枠線は、カバーシート20の第1の主表面20aを光源に向けて培養装置100に光照射したときに(すなわち、「前側」光照射)、実質的に視認不能である。しかしながら、基材10上に配置された枠線(図示せず)は、基材シートの第2の主表面10bを光源に向けて培養装置100に光照射したときに(すなわち、「裏側」光照射)実質的に視認可能である。有利に、通気性膜32の構成により鮮明なコロニー色が提供され、かつ周囲光源下で観察者が肉眼でコロニーを計数しやすくなる(すなわち、装置が「前側光照射」であるとき、コロニーには枠線は組み合わせられず、又はコロニーは不明瞭である)一方、装置が「裏側光照射」であるとき、望ましくは計数を促進するべく枠も提供される。
【0090】
通気性膜32は、典型的なコロニー色(すなわち、青色、赤色、紫色)の検出に実質的に干渉しない、任意の様々な色とすることができる。明色の膜が好ましい。任意の実施形態では、通気性膜は白色である。任意の実施形態では、通気性膜は、生育域に水性サンプルを配置することにより流体と接触させたときに白色である。
【0091】
任意の実施形態では、基材シート10又は膜32は、米国特許第4,565,783号に記載のとおり、細菌コロニーの計数を容易にする、自身の上に印刷された視認可能な方眼枠のパターンを有している。本開示の装置は、様々な手法を用い作製され得る。概して、装置は、手製することも、あるいは米国特許第4,565,783号に記載のとおりの一般的な研究設備により製造することもできる。
【0092】
本開示の任意の実施形態において、直接又は間接のいずれかで基材シート10に接着されるのはスペーサー50である。
図4~6に記載のとおり、培養装置200は、基材シート10、第1の層12、及び又は第2の層14の第1の表面10aに対し接着された(例えば、熱封止又は感圧接着剤により)スペーサー50を含む。スペーサー50は、隙間(例えば、中央部を横断し第1の層12に露出している円形の隙間52)を含む。隙間52の壁部は、培養装置200のサンプル受領領域30を画定する所定の寸法及び形状を備えたウェルを提供する。スペーサー50は、サンプル受領領域における、水性液体による第1のヒドロゲル形成組成物の水和後のヒドロゲルを隔離する。隙間52は、概して、培養装置の生育域の輪郭を形成する。スペーサー52は、所望の体積、例えば、1、2又は3ミリリットルのウェルを形成できるように十分厚くなければならない。例えば、独立気泡型ポリエチレン又はポリスチレンフォームは、スペーサー50に好ましい材料であるものの、疎水性(非ぬれ性)、微生物に対し不活性、及び滅菌耐久性である任意の材料を使用できる。いくつかの実施形態では(図示せず)、スペーサーは、複数の隙間(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、又は20個の隙間)を含むことができ、これらの隙間のそれぞれに別個のサンプルを接種することができる。
【0093】
スペーサー部材に好適な材料は、シート形状で容易に利用可能であり、なおかつ微生物の生育場所にはならない、任意の固体の、非阻害性の天然又は合成物質である。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、及びポリスチレンは、好適な合成材料の数例である。特に、比較的安価な市販のポリスチレンフォーム及びポリエチレンフォームは好ましい。
【0094】
スペーサー50は、米国特許第5,681,712号に記載のものなどの相対的に厚みのある形状を含み得る。厚みをもたせる目的の1つには(例えば、少なくとも約0.5mm厚、約1mm厚、約1.5mm厚及び約2mm厚)、隙間をもたせたスペーサー50を、第1のヒドロゲル形成組成物と接触させてスペーサー50の隙間52に配置した膜に対し位置させることで膜を保護する(例えば、膜フィルター、図示せず)というものがある。任意の実施形態では、スペーサー50に厚みをもたせる別の目的には、カバーシート20と微生物の生育コロニーとの接触を低減又は予防する(すなわち、生育表面とカバーシート20との間に、好気性又は耐気性微生物のコロニーを生育させるためのエアレーションを向上させ得る「ヘッドスペース」を提供する)というものがある。
【0095】
スペーサー50を含む培養装置の任意の実施形態において、カバーシート20は、好ましくは、ヒンジ様の様式でスペーサー50の一縁部に沿って接着される。任意選択的に、カバーシート20は、それぞれ本明細書において記載のとおりの第2の接着剤組成物を含む第3の層22と、第2のヒドロゲル形成組成物を含む第4の層24とによりコーティングされる。任意の実施形態では、第2の接着剤組成物は、好気性及び/又は耐気性菌に使用される複数の指示薬のうち1種以上(例えば、すべて)を含み得る。
【0096】
別の態様では、本開示は、好気性又は耐気性微生物の検出方法を提供する。方法は、本開示の培養装置の任意の実施形態のサンプル受領領域において、サンプルと水性液タイトを接触させて、接種を受けた培養装置を形成することを含む。任意の実施形態では、サンプルは、水性液体を含み得る。概して、培養装置のサンプル受領領域におけるゲル化剤、指示薬、及び栄養素(存在する場合)の量は、これらの成分(すなわち、ゲル化剤、指示薬、及び栄養素)を所定量(例えば、1mL、2mL、5mL)の水性液体により再溶解させたときに、好気性又は耐気性菌を検出するにあたって有効濃度を提供するよう選択される。任意の実施形態では、水性液体にはサンプル材料を添加することができる(例えば、サンプル材料は、例えば、滅菌水、水性緩衝剤、又は水性栄養培地などの水性液体に、溶解、均質化、懸濁、及び/又は希釈することができる)。任意の実施形態では、サンプルは、(例えば、膜フィルターの上又は中に固定された材料を有する)固体材料又は半固体材料を含み、装置への接種に固体又は半固体サンプルを使用する前又は後に所定量の液体(例えば、滅菌水、水性栄養培地)を使用して、培養装置を再溶解させることができる。
【0097】
本方法の任意の実施形態では、サンプルを装置に添加する前、間、又は後に装置に、栄養素を装置に添加することができる(例えば、水性溶液として)。任意の実施形態では、例えば、栄養素は、サンプル及び/又は希釈剤と混合され所定量が達成されたときに、接種を受けた培養装置において適切な濃度に希釈される、濃縮溶液として添加できる。任意の実施形態では、培養装置に添加される栄養素は、任意選択的に、L-アルギニン、スキムミルク、D-トレハロース、又は前述の栄養素農地の任意の2つ以上の組み合わせを含み得る。
【0098】
サンプルは、当該技術分野で知られる方法を用い(例えば、液体サンプルを培養装置に注ぎ入れる又はピペッティングすることにより)、培養装置のサンプル受領領域に接触させることができる。任意の実施形態では、カバーシートは、典型的には、カバーシートと基材シートとの間に、好ましくは、存在する場合、培養装置におけるスペーサーの隙間にサンプルを配置するため、持ち上げられる。任意の実施形態では、サンプル受領領域においてサンプル及び水性液体をゲル化剤と接触させることで、接種を受けた培養装置を形成する。接種を受けた培養装置の形成後、カバーシートを下げて、インベート中の水性液体の汚染及び/又は過剰な蒸発に対し保護バリアを形成する。任意の実施形態では、サンプルは、例えば、カバーした装置の上に重しを配置することにより、生育域に均一に広げることができる。
【0099】
上記のとおりの隙間を有するスペーサーを含まない培養装置の実施形態を用いるとき、密閉後、テンプレート(例えば、生育域を画定するよう容積設定した円環)により確定される生育域において限定して培地を再溶解させるよう、カバーシート20の上側にテンプレートを適用することができる(例えば、サンプル受領領域の中央領域に近接させた直径5cmの円形の生育域)。
【0100】
任意の実施形態では、サンプルと、培養装置の第1のヒドロゲル形成組成物又は第2のヒドロゲル形成組成物との接触は、サンプルを少なくとも1種の栄養素と流体連通させて配置させることを含む。サンプルを、栄養素を含む液体(例えば、水性液体)に懸濁又は希釈することにより、あるいはサンプル及び水性液体を、少なくとも1種の栄養素を含む本明細書に記載の第1のヒドロゲル形成組成物又は第2のヒドロゲル形成組成物と接触させることにより、達成することができる。したがって、任意の実施形態では、サンプル材料を、培養装置の第1のヒドロゲル形成組成物又は第2のヒドロゲル形成組成物を接触させることは、栄養素と流体連通させてサンプルを配置して、好気性又は耐気性菌の生育を促進することを含む。
【0101】
任意の実施形態では、方法は、接種を受けた培養装置を所定の時間にわたってインキュベートすること(例えば、環境温度の制御されているチャンバ中で)を更に含む。インキュベート条件(例えば、インキュベート温度)は、サンプル中に存在する好気性及び/又は耐気性菌の生育速度に影響し得る。当業者でれば、特定の好気性及び/又は耐気性菌を検出するのに好適なインキュベート温度を認識されるであろう。本開示の接種を受けた培養装置は、例えば、包括的に約25℃~約42℃の温度でインキュベートされ得る。任意の実施形態では、培養装置は好気性(例えば、標準大気圧)気体環境下でインキュベートできる。
【0102】
接種を受けた培養装置は、好気性及び/又は耐気性菌を生育させるのに十分な時間にわたってインキュベートする。任意の実施形態では、インキュベート時間は、包括的に約22時間~約72時間とすることができる。任意の実施形態では、インキュベート時間は、包括的に約22時間~約48時間とすることができる。任意の実施形態では、インキュベート時間は、包括的に約22時間~約36時間とすることができる。任意の実施形態では、インキュベート時間は、包括的に約22時間~約26時間とすることができる。任意の実施形態では、インキュベート時間は、約24時間とすることができる。任意の実施形態ではインキュベート時間は、最長で約48時間とすることができる。任意の実施形態では、インキュベート時間は、最長で約24時間とすることができる。
【0103】
本開示の方法は、培養装置において、好気性又は耐気性菌のコロニーを検出すること(例えば、培養装置において好気性及び/又は耐気性菌のコロニーを観察すること)を更に含む。任意の実施形態では、培養装置において好気性及び/又は耐気性菌のコロニーを検出することは、培養装置において、少なくとも1種の指示薬の備える検出可能なレポーター基の存在又は非存在を検出することを含み、検出可能なレポーター基の存在が検出されることが、好気性及び/又は耐気性菌の存在の指標となる。好気性及び/又は耐気性菌のコロニーが本開示の培養装置において生育するにつれて、コロニー中の細胞が1種以上の指示薬と反応し、レポーター基を活性化することにより(例えば、発色又は発蛍光酵素基質を加水分解することにより)、直接的に又は間接的にレポーター基が検出可能になる。発色指示薬の場合、レポーター基は、レポーター基が吸収及び/又は反射する特徴的な光波長をもとに検出することができる。例えば、インドリルレポーター基を含む指示薬は、二量体化して、インヂゴ又はこれらの誘導体を形成し得る。したがって、特定のレポーター基と関連付けられる色を有するコロニー(例えば、色を有するコロニー又はコロニーに近接しており色を有するヒドロゲルのいずれか)が存在することは好気性及び/又は耐気性菌のコロニーの指標となる。
【0104】
発蛍光指示薬の場合、検出可能なレポーター基は、培養装置に適切な波長の光(例えば、4-メチルウンベリフェロンを含むレポーター基を検出するには約365nm)を照射し、レポーター基からの発光を観察することにより観察できる。当業者であれば、培養装置への照射、並びに特定の発蛍光指示薬と関連付けられるレポーター基の検出のそれぞれに必要とされる好適な波長の光を認識するであろう。発蛍光レポーター基の備える色を有するコロニー、又はコロニーに近接するヒドロゲル中の発蛍光レポーター基の存在は、好気性及び/又は耐気性菌を含むコロニーの指標となる。
【0105】
任意の実施形態では、レポーター基を検出することは、培養装置を肉眼で観察することを含む。任意の実施形態では、レポーター基の検出は、培養装置のイメージを取得すること、並びにイメージを肉眼で観察すること又は自動イメージ解析法を用いイメージを解析すること、を含み得る。培養装置における微生物コロニーの自動検出用の方法及び装置は、例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第5,448,652号、同第6,058,209号、同第6,243,486号、同第6,271,022号、同第7,298,885号、及び同第7,319,031号に記載されている。
【0106】
任意の実施形態では、本開示の方法は、接種を受けた培養装置のインキュベート後に接種を受けた培養装置に存在する好気性及び/又は耐気性菌のコロニーを計数することを含む。したがって、好気性及び/又は耐気性菌のコロニーを本明細書に記載のとおりに検出した後、検出されたコロニー数を、手作業で、又は当該技術分野で知られている自動化されたプロセスを利用して求める。
【0107】
例示的実施形態
実施形態Aは、微生物を培養及び検出するための装置であって、
第1の主表面及び第2の主表面を有する自己支持型の基材シートと、
基材シートに取り付けられたカバーシートと、
基材シートとカバーシートとの間に配置されたサンプル受領領域と、
基材シートの第1の主表面に接着された、実質的に乾燥しており、冷水溶解性の第1のヒドロゲル形成組成物を含む第1の層と、
複数の指示薬と、を含み、
この複数の指示薬が、
異なるグリコシダーゼ酵素活性を検出するための3種類の指示薬と、
アルキルエステラーゼ酵素活性を検出するための指示薬と、
ホスファターゼ酵素活性を検出するための指示薬と、
テトラゾリウム染料を含む酸化還元指示薬と、を含み、
複数の指示薬のそれぞれが、検出可能なレポーター基を含み、
複数の指示薬のそれぞれが、基材シート又はカバーシートに接着された少なくとも1つの層に配置されており、少なくとも1つの層は、所定量の水性液体がサンプル受領領域に配置されたときにサンプル受領領域と流体連通する、装置。
【0108】
実施形態Bは、基材シートと第1の層との間に配置された第1の接着剤組成物を含む第2の層を更に含む、実施形態Aに記載の装置である。
【0109】
実施形態Cは、基材シートに接着された通気性膜を更に含む、実施形態A又は実施形態Bに記載の装置である。
【0110】
実施形態Dは、通気性膜が、基材シートと第1の層との間に配置される、実施形態Cに記載の装置である。
【0111】
実施形態Eは、通気性膜は実質的に不透明である、実施形態Cに記載の装置である。
【0112】
実施形態Fは、通気性膜が、視認可能なしるしを実質的に含まない、実施形態C又は実施形態Dに記載の装置である。
【0113】
実施形態Gは、第1のヒドロゲル形成組成物が、好気性菌の生育を促進する栄養素を更に含み、第1のヒドロゲル形成組成物が、基材シート又はカバーシートの少なくとも一部分に接着され、かかる部分が、サンプル受領領域と流体連通されている、前述の実施形態のいずれか一態様に記載の装置である。
【0114】
実施形態Hは、カバーシートが第1の主表面を含み、カバーシートの第1の主表面が基材シートの第1の主表面に面しており、
培養装置が、
第2の接着剤組成物を含み、カバーシートの一部分に接着されている第3の層と、
実質的に乾燥しており、冷水溶解性の第2のヒドロゲル形成組成物を含み、第3の層に接着されている第4の層と、を更に含む、前述の実施形態のいずれか一態様に記載の装置である。
【0115】
実施形態Iは、複数の指示薬のうち少なくとも1種が、第1の接着剤組成物、第2の接着剤組成物、第1のヒドロゲル形成組成物、及び/又は第2のヒドロゲル形成組成物に配合されている、前述の実施形態のいずれか一態様に記載の装置である。
【0116】
実施形態Jは、複数の指示薬のうち少なくとも3種の指示薬が、第1の接着剤組成物及び/又は第2の接着剤組成物に配合されている、実施形態Iに記載の装置である。
【0117】
実施形態Kは、第1のヒドロゲル形成組成物、及び/又は第2のヒドロゲル形成組成物が、ゲル化剤の混合物を含む、前述の実施形態のいずれか一態様に記載の装置である。
【0118】
実施形態Lは、ゲル化剤の混合物が、質量比約1:1でキサンタンガム及びグアーガムを含む、実施形態Kに記載の装置である。
【0119】
実施形態Mは、少なくとも3種の、異なるグリコシダーゼ酵素活性を検出するための酵素活性指示薬が、α-グルコシダーゼ酵素活性を検出するための化合物、β-グルコシダーゼ酵素活性を検出するための化合物、及びβ-ガラクトシダーゼ酵素活性を検出するための化合物を含む、前述の実施形態のいずれか一態様に記載の装置である。
【0120】
実施形態Nは、少なくとも3種の、異なるグリコシダーゼ酵素活性を検出するための酵素活性指示薬が、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド又はその塩、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-α-D-グルコピラノシド又はその塩、及び5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルコピラノシド又はその塩を含む、実施形態Mに記載の装置である。
【0121】
実施形態Oは、アルキルエステラーゼ酵素活性を検出するための酵素活性指示薬が、3-インドリル-アセタート又はその塩を含む、前述の実施形態のいずれか一態様に記載の装置である。
【0122】
実施形態Pは、ホスファターゼ酵素活性を検出するための酵素活性指示薬が、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスフェート又はその塩を含む、前述の実施形態のいずれか一態様に記載の装置である。
【0123】
実施形態Qは、隙間を有する水不溶性のスペーサーを更に含み、スペーサーが基材シート又はカバーシートに取り付けられており、基材シートとカバーシートとの間に隙間が配置されており、隙間がサンプル受領領域の周辺の境界を画定する、前述の実施形態のいずれか一態様に記載の装置である。
【0124】
実施形態Rは、スペーサーが厚みを含み、厚みが、カバーシート又はカバーシートに接着された任意の層をサンプル受領領域に配置される所定の体積の水性液体から離間させるものである、実施形態Qの装置である。
【0125】
実施形態Sは、サンプル受領領域において、基材シートとカバーシートとの間に配置された所定量の水性液体を更に含む、前述の実施形態のいずれか一態様に記載の装置である。
【0126】
実施形態Tは、第1のヒドロゲル形成組成物又は第2のヒドロゲル形成組成物が、好気性菌を生育させるのに有効量の少なくとも1種の栄養素を更に含む、前述の実施形態のいずれか一態様に記載の装置である。
【0127】
実施形態Uは、少なくとも1種の栄養素が、ソイトン、肉ペプトン、トリプトン、酵母エキス、ピルビン酸、又は前述の栄養素のうちの任意の2種以上の組み合わせからなる群から選択される、実施形態Tに記載の装置である。
【0128】
実施形態Vは、L-アルギニン、スキムミルク、D-トレハロース、及び前述の栄養素のうちの任意の2種以上の組み合わせからなる群から選択される栄養素を更に含む、前述の実施形態のいずれか一態様に記載の装置である。
【0129】
実施形態Wは、第1のヒドロゲル形成組成物又は第2のヒドロゲル形成組成物が、実質的に乾燥している凝集粉末を含む、前述の実施形態のいずれか一態様に記載の装置である。
【0130】
実施形態Xは、サンプル中の好気性菌を検出する方法であって、
実施形態A~Wのいずれか一態様に記載の装置のサンプル受領領域においてサンプル材料と水性液体とを接触させて、接種を受けた培養装置を形成することと、
接種を受けた培養装置を所定の期間にわたってインキュベートすることと、
接種を受けた培養装置において細菌コロニーを検出することと、を含む。
【0131】
実施形態Yは、接種を受けた培養装置において細菌コロニーを検出することが、接種を受けた培養装置においてホルマザン染料又は少なくとも1種の指示薬の検出可能なレポーター基の存在を検出することを含み、ホルマザン染料又は検出可能なレポーター基が、細菌コロニーの存在についての指標となる、実施形態Xに記載の方法である。
【0132】
実施形態Zは、サンプル材料を装置の第1のヒドロゲル形成組成物又は第2のヒドロゲル形成組成物と接触させることが、好気性菌の生育を促進させる栄養素と流体連通させてサンプルを配置することを含む、実施形態X又は実施形態Yに記載の方法である。
【0133】
実施形態AAは、接種を受けた培養装置をインキュベートすることが、接種を受けた培養装置を、包括的に、約25℃~約42℃の温度にてインキュベートすることを含む、実施形態X~Zのいずれか一態様に記載の方法である。
【0134】
実施形態BBは、接種を受けた培養装置を所定の期間にわたってインキュベートすることが、接種を受けた培養装置を、包括的に約22時間~約26時間にわたってインキュベートすることを含む、実施形態X~AAのいずれか一態様に記載の方法である。
【0135】
実施形態CCは、接種を受けた培養装置のインキュベート後に、接種を受けた培養装置に存在する好気性菌のコロニーを計数することを更に含む、実施形態X~BBのいずれか一態様に記載の方法である。
【0136】
本開示の利点及び実施形態を、以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量並びに他の諸条件及び詳細によって、本開示を不当に制限するものではないと解釈すべきである。他に言及されるか、明らかでない限り、全材料は市販であるか、又は当業者に知られている。
【実施例】
【0137】
指示薬
実施例に使用した指示薬を表6に掲載する。
【0138】
【0139】
培養培地組成物
それぞれの培養培地組成物は、配合原料を混ぜ合わせることにより均質な混合物として調製した。実施例で使用した培養培地組成物の内容物を表7~8に掲載する。
【0140】
【0141】
【表8】
a-実施例4及び5。
b-実施例2及び3。
【0142】
接種及びインキュベート
細菌株は、MicroBiologics社(St.Cloud,MN)からKWIK STIK(商標)デバイスとして購入するか、又は食品又は臨床サンプルからの天然の単離物とした。細菌は、製造元の指示によりKWIK STIK devicesから単離し、トリプチックソイ寒天培地に継代した。単離後、各コロニーを5mLの滅菌トリプチックソイ培地に移し、適温にて24時間インキュベートした。
【0143】
一晩培養物のサンプルを、それぞれButterfield緩衝液に段階希釈して、薄膜培養装置のカウント範囲内のコロニー形成単位(cfu)(装置あたり約15~300cfu)カウントが得られる濃度を得た。
【0144】
【0145】
【0146】
標準寒天(SMA)プレートは次のとおりに調製した:SMA培地(23.5g;Becton Dickinsonから入手;New Franklin,NJ)を1Lの精製水に懸濁し、オートクレーブにかけた。使用前に、滅菌SMAを48+/-2℃で馴化した。接種菌液1mLを滅菌ペトリ皿に二連で添加し、12~15mLのSMA培地(予め48+/-2℃に馴化)を加えた。円を描くようゆっくりとペトリ皿をゆすり、寒天と、接種材料とを確実に混合させた後、32℃にて48時間にわたってインキュベートした。インキュベート期間の終了時に、各装置中のコロニーを肉眼観察により計数した。それぞれの装置のcfuカウントを平均し、平均カウント数を求めた。
【0147】
培養装置
米国特許第4,565,783号及び同第5,089,413号に記載の一般手順を用い薄膜培養装置を準備した。多様な薄膜培養装置の準備についての詳細を、実施例1~5に具体的に記載する。キサンタンガム及びグアーガムはSigma-Aldrich社から取得した。
【0148】
実施例1.好気性菌の検出及び計数のための検出装置の準備(多孔性フィルム、複数の指示薬、及びゲル化剤混合液を有する)
参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第4,565,783号の実施例11に記載のとおり、薄膜培養装置のカバーシート用の第1のコーティング組成物(TTCと感圧接着剤(すなわち、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第5,601,998号の実施例1に記載のイソオクチルアクリレート/アクリル酸接着剤)とを含有している)を調製し、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムにコーティングした。次に、BOPPフィルムの接着剤コーティング面を、予め配合したグアーガム及びキサンタンガムの1:1混合物でパウダーコーティングした。粉末を均一に塗布し、フィルムを手でゆすって接着剤層から過剰な粉末を取り除いた。
【0149】
基材シート用の指示薬コーティング組成物には、表6に掲載する5種類の発色団基質(インドリル)を含有させた。指示薬は、好適な極性溶媒に溶解させた。得られた組成物を均質になるまで撹拌した。指示薬の均質な溶媒混合物を、第1のコーティング組成物(上記)の調製に使用したものと同じ感圧接着剤(すなわち、イソオクチルアクリレート/アクリル酸接着剤)に添加して、表11に示す各指示薬の最終濃度を得た。
【0150】
【0151】
予め配合した培養培地製剤A(表7に記載)と、水(1L)と、12gのキサンタンガム及びグアーガム混合物(重量比1:1)とを組み合わせて培養培地コーティング組成物を調製した。得られた混合物を撹拌しながら80℃に加熱した。混合物を室温に放冷し、基材シートのコーティングに使用するまでの間冷蔵庫で保管した。
【0152】
疎水性紙(耐水性ポリマー層でコーティングした漂白クラフト紙)を使用して薄膜培養装置の基材シートを作製した。接着剤をコーティングした紙に対し、多孔性ポリプロピレンフィルム(APTRA Classic film;約38μm厚、約25g/m坪量;RKW Danafilms(Westborough,MA)から利用可能)を押圧ラミネートした。表11のインドリル指示薬を含有する指示薬組成物を感圧接着剤に混ぜ込んだものを、基材シートに取り付けた多孔性フィルムに対しナイフコートし(間隙は約0.1mmに設定)、コーティングしたラミネートは風乾させた。
【0153】
次に、冷却した培養培地コーティング組成物を、乾燥させた指示薬組成物層に対しナイフコーティングした(間隙は約0.3mmに設定)。この、コーティングしたラミネートは、93~104℃の炉で1~20分間乾燥した。コーティングし、乾燥したラミネートを、装置の基材シートを形成させるよう幅76mm×丈102mmの切片に切り出した。円形開口部を備える(直径61mm)フォームスペーサー(ポリスチレンフォーム;幅76mm×丈102mm×厚み0.57mm)を、基材シートのコーティング面に対し接着剤により積層した。円形開口部はフォーム層の中央部付近に配置し、装置の生育域を確定した。
【0154】
図4~6に例示するとおり、両面接着剤テープを使用して、基材シートの一縁部に沿ってカバーシート(基材シートの寸法に合わせて裁断)を取り付けることにより、薄膜培養装置を組み立てる。コーティングした表面を互いに向かい合わせて、それぞれの装置のカバーシート及び基材シートを配向させる。
【0155】
薄膜培養装置には、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Stapylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonasaeruginosa)、大便レンサ球菌(Enterococcus faecalis)、バチルス・スピジゼニィ(Bacillus spizizenii)、マイクロバクテリウム・エステラロマチカム(Microbacteriumesteraromaticum)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcusagalactiae)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、コクリア属(Kocuria spp.)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcuscremoris)(細菌株セットA、表9)から選択した単一の微生物サンプルを接種した。装置のカバーシートを持ち上げ、1mLの接種菌液を基材シート上の培養培地に対し(ピペットにより)添加した。カバーシートを配置し、3M PETRIFILM Flat Spreader(3M社(St.Paul、MN))により下向きに圧をかけ、円形開口部の縁部までサンプルを均一に塗り広げた。各サンプルについて、薄膜培養装置は2つずつ用意した。接種した装置は32℃で24時間、又は35℃で24時間インキュベートした。
【0156】
インキュベート期間の終了時(24時間後)に、各装置中のコロニーを肉眼観察により計数した。色は考慮せずに円形の生育域内のすべてのコロニーを計数した。それぞれの装置のcfuカウントを平均し、平均カウント数を求めた。
【0157】
薄膜培養装置について記載したのと同様の方法で、参照SMAプレート上のコロニーを計数した。48時間のインキュベート後に、SMAプレートのcfuカウントを行った。結果を表12に示す。
【0158】
【0159】
実施例2.好気性菌の検出及び計数のための検出装置の準備(複数の指示薬、及びゲル化剤混合液を有する)。
参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第4,565,783号の実施例11に記載のとおり、薄膜培養装置のカバーシート用の第1のコーティング組成物(TTCと、感圧接着剤(すなわち、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第5,601,998号の実施例1に記載のイソオクチルアクリレート/アクリル酸接着剤)とを含有している)を調製し、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムにコーティングした。次に、BOPPフィルムの接着剤コーティング面を、予め配合したグアーガム及びキサンタンガムの1:1混合物でパウダーコーティングした。粉末を均一に塗布し、フィルムを手でゆすって接着剤層から過剰な粉末を取り除いた。
【0160】
発色性酵素基質と感圧接着剤とを含有する指示薬コーティング組成物を実施例1に記載のとおりに調製した。
【0161】
予め配合した培養培地製剤B(表8に記載)と、水(1L)と、12gのキサンタンガム及びグアーガム混合物(重量比1:1)とを組み合わせて培養培地コーティング組成物を調製した。得られた混合物を撹拌しながら80℃に加熱した。混合物を室温に放冷し、基材シートのコーティングに使用するまでの間冷蔵庫で保管した。混合物を室温に放冷し、基材シートのコーティングに使用するまでの間冷蔵庫で保管した。
【0162】
疎水性紙(耐水性ポリマー層でコーティングした漂白クラフト紙)を使用して薄膜培養装置の基材シートを作製した。表11のインドリル指示薬を含有する指示薬組成物を感圧接着剤に混ぜ込んだものを、基材シートに対しナイフコートし(間隙は約0.1mmに設定)、コーティングした基材シートは風乾させた。
【0163】
次に、冷却した培養培地コーティング組成物を、乾燥させた指示薬組成物層に対しナイフコーティングした(間隙は約0.3mmに設定)。この、コーティングしたラミネートは、93~104℃の炉で1~20分間乾燥した。コーティングし、乾燥したラミネートを、装置の基材シートを形成させるよう幅76mm×丈102mmの切片に切り出した。円形開口部を備える(直径51mm)フォームスペーサー(ポリスチレンフォーム;幅76mm×丈102mm×厚み0.57mm)を、基材シートのコーティング面に対し接着剤により積層した。円形開口部はフォーム層の中央部付近に配置し、装置の生育域を確定した。
【0164】
図1~2に例示するとおり、両面接着剤テープを使用して、基材シートの一縁部に沿ってカバーシート(基材シートの寸法に合わせて裁断)を取り付けることにより、薄膜培養装置を組み立てる。コーティングした表面を互いに向かい合わせて、それぞれの装置のカバーシート及び基材シートを配向させる。
【0165】
薄膜培養装置には、微生物株セットB(表10)から選択した単一の微生物サンプルを接種した。装置のカバーシートを持ち上げ、1mLの接種菌液を基材シート上の培養培地に対し(ピペットにより)添加した。カバーシートを配置し、3M PETRIFILM Flat Spreader(3M社(St.Paul、MN))により下向きに圧をかけ、円形開口部の縁部までサンプルを均一に塗り広げた。接種した装置は32℃で24時間インキュベートした。
【0166】
インキュベート期間の終了時(24時間後)に、各装置中のコロニーを肉眼観察により計数した。色は考慮せずに円形の生育域内のすべてのコロニーを計数した。
【0167】
3M PETRIFILM Aerobic Count plates(「PETRIFILM AC plates」;3M社(St.Paul,MN)を参照培養装置として使用した。薄膜培養装置について記載したのと同様の方法で、PETRIFILM ACプレートに接種し、プレート上のコロニーを計数した。しかしながら、PETRIFILM ACプレートは32℃で48時間インキュベートした。結果を表13に示す。
【0168】
実施例3 好気性菌の検出及び計数のための検出装置の準備(多孔性フィルム、複数の指示薬、及びゲル化剤混合液を有する)。
参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第4,565,783号の実施例11に記載のとおり、薄膜培養装置のカバーシート用の第1のコーティング組成物(TTCと、感圧接着剤(すなわち、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第5,601,998号の実施例1に記載のイソオクチルアクリレート/アクリル酸接着剤)とを含有している)を調製し、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムにコーティングした。次に、BOPPフィルムの接着剤コーティング面を、予め配合したグアーガム及びキサンタンガムの1:1混合物でパウダーコーティングした。粉末を均一に塗布し、フィルムを手でゆすって接着剤層から過剰な粉末を取り除いた。
【0169】
発色性酵素基質と感圧接着剤とを含有する指示薬コーティング組成物を実施例1に記載のとおりに調製した。
【0170】
予め配合した培養培地組成物B(表8に記載)と、水(1L)と、12gのキサンタンガム及びグアーガム混合物(重量比1:1)とを組み合わせて培養培地コーティング組成物を調製した。得られた混合物を撹拌しながら80℃に加熱した。混合物を室温に放冷し、基材シートのコーティングに使用するまでの間冷蔵庫で保管した。混合物を室温に放冷し、基材シートのコーティングに使用するまでの間冷蔵庫で保管した。
【0171】
疎水性紙(耐水性ポリマー層でコーティングした漂白クラフト紙)を使用して薄膜培養装置の基材シートを作製した。接着剤をコーティングした紙に対し、多孔性ポリプロピレンフィルム(APTRA Classic film;約38μm厚、約25g/m坪量;RKW Danafilms(Westborough,MA)から利用可能)を押圧ラミネートした。表11のインドリル指示薬を含有する指示薬組成物を感圧接着剤に混ぜ込んだものを、基材シートに取り付けた多孔性フィルムに対しナイフコートし(間隙は約0.1mmに設定)、コーティングしたラミネートは風乾させた。
【0172】
次に、冷却した培養培地コーティング組成物を、乾燥させた指示薬組成物層に対しナイフコーティングした(間隙は約0.3mmに設定)。この、コーティングしたラミネートは、93~104℃の炉で1~20分間乾燥した。コーティングし、乾燥したラミネートを、装置の基材シートを形成させるよう幅76mm×丈102mmの切片に切り出した。円形開口部を備える(直径61mm)フォームスペーサー(ポリスチレンフォーム;幅76mm×丈102mm×厚み0.57mm)を、基材シートのコーティング面に対し接着剤により積層した。円形開口部はフォーム層の中央部付近に配置し、装置の生育域を確定した。
【0173】
図4~6に例示するとおり、両面接着剤テープを使用して、基材シートの一縁部に沿ってカバーシート(基材シートの寸法に合わせて裁断)を取り付けることにより、薄膜培養装置を組み立てる。コーティングした表面を互いに向かい合わせて、それぞれの装置のカバーシート及び基材シートを配向させる。
【0174】
薄膜培養装置には、微生物株セットB(表10)から選択した単一の微生物サンプルを接種した。装置のカバーシートを持ち上げ、1mLの接種菌液を基材シート上の培養培地に対し(ピペットにより)添加した。カバーシートを配置し、3M PETRIFILM Flat Spreader(3M社(St.Paul、MN))により下向きに圧をかけ、円形開口部の縁部までサンプルを均一に塗り広げた。接種した装置は32℃で24時間インキュベートした。
【0175】
インキュベート期間の終了時(24時間後)に、各装置中のコロニーを肉眼観察により計数した。色は考慮せずに円形の生育域内のすべてのコロニーを計数した。
【0176】
PETRIFILM ACプレートを参照培養装置として使用した。薄膜培養装置について記載したのと同様の方法で、PETRIFILM ACプレートに接種し、プレート上のコロニーを計数した。しかしながら、PETRIFILM ACプレートは32℃で48時間インキュベートした。結果を表13に示す。
【0177】
実施例4 好気性菌の検出及び計数のための検出装置の準備(複数の指示薬を有する)。
参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第4,565,783号の実施例11に記載のとおり、薄膜培養装置のカバーシート用の第1のコーティング組成物(TTCと、感圧接着剤(すなわち、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第5,601,998号の実施例1に記載のイソオクチルアクリレート/アクリル酸接着剤)とを含有している)を調製し、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムにコーティングした。次に、BOPPフィルムの接着剤コーティング面を、グアーガムでパウダーコーティングした。粉末を均一に塗布し、フィルムを手でゆすって接着剤層から過剰な粉末を取り除いた。
【0178】
発色性酵素基質と感圧接着剤とを含有する指示薬コーティング組成物を実施例1に記載のとおりに調製した。
【0179】
予め配合した培養培地組成物B(表8に記載)と、水(1L)と、12gのグアーガムとを組み合わせて培養培地コーティング組成物を調製した。得られた混合物を撹拌しながら80℃に加熱した。混合物を室温に放冷し、基材シートのコーティングに使用するまでの間冷蔵庫で保管した。混合物を室温に放冷し、基材シートのコーティングに使用するまでの間冷蔵庫で保管した。
【0180】
疎水性紙(耐水性ポリマー層でコーティングした漂白クラフト紙)を使用して薄膜培養装置の基材シートを作製した。表11のインドリル指示薬を含有する指示薬組成物を感圧接着剤に混ぜ込んだものを、基材シートに対しナイフコートし(間隙は約0.1mmに設定)、コーティングした基材シートは風乾させた。
【0181】
次に、冷却した培養培地コーティング組成物を、乾燥させた指示薬組成物層に対しナイフコーティングした(間隙は約0.3mmに設定)。この、コーティングしたラミネートは、93~104℃の炉で1~20分間乾燥した。コーティングし、乾燥したラミネートを、装置の基材シートを形成させるよう幅76mm×丈102mmの切片に切り出した。円形開口部を備える(直径61mm)フォームスペーサー(ポリスチレンフォーム;幅76mm×丈102mm×厚み0.57mm)を、基材シートのコーティング面に対し接着剤により積層した。円形開口部はフォーム層の中央部付近に配置し、装置の生育域を確定した。
【0182】
図1~2に例示するとおり、両面接着剤テープを使用して、基材シートの一縁部に沿ってカバーシート(基材シートの寸法に合わせて裁断)を取り付けることにより、薄膜培養装置を組み立てる。コーティングした表面を互いに向かい合わせて、それぞれの装置のカバーシート及び基材シートを配向させる。
【0183】
薄膜培養装置には、微生物株セットB(表10)から選択した単一の微生物サンプルを接種した。装置のカバーシートを持ち上げ、1mLの接種菌液を基材シート上の培養培地に対し(ピペットにより)添加した。カバーシートを配置し、3M PETRIFILM Flat Spreader(3M社(St.Paul、MN))により下向きに圧をかけ、円形開口部の縁部までサンプルを均一に塗り広げた。接種した装置は32℃で24時間インキュベートした。
【0184】
インキュベート期間の終了時(24時間後)に、各装置中のコロニーを肉眼観察により計数した。色は考慮せずに円形の生育域内のすべてのコロニーを計数した。
【0185】
3M PETRIFILM Aerobic Count plates(「PETRIFILM AC plates」;3M社(St.Paul,MN)を参照培養装置として使用した。薄膜培養装置について記載したのと同様の方法で、PETRIFILM ACプレートに接種し、プレート上のコロニーを計数した。しかしながら、PETRIFILM ACプレートは32℃で48時間インキュベートした。結果を表13に示す。
【0186】
実施例5 好気性菌の検出及び計数のための検出装置の準備(多孔性フィルム及び複数の指示薬を有する)。
参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第4,565,783号の実施例11に記載のとおり、薄膜培養装置のカバーシート用の第1のコーティング組成物(TTCと、感圧接着剤(すなわち、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第5,601,998号の実施例1に記載のイソオクチルアクリレート/アクリル酸接着剤)とを含有している)を調製し、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムにコーティングした。次に、BOPPフィルムの接着剤コーティング面を、グアーガムでパウダーコーティングした。粉末を均一に塗布し、フィルムを手でゆすって接着剤層から過剰な粉末を取り除いた。
【0187】
発色性酵素基質と感圧接着剤とを含有する指示薬コーティング組成物を実施例1に記載のとおりに調製した。
【0188】
予め配合した培養培地組成物B(表8に記載)と、水(1L)と、12gのグアーガムとを組み合わせて培養培地コーティング組成物を調製した。得られた混合物を撹拌しながら80℃に加熱した。混合物を室温に放冷し、基材シートのコーティングに使用するまでの間冷蔵庫で保管した。混合物を室温に放冷し、基材シートのコーティングに使用するまでの間冷蔵庫で保管した。
【0189】
疎水性紙(耐水性ポリマー層でコーティングした漂白クラフト紙)を使用して薄膜培養装置の基材シートを作製した。接着剤をコーティングした紙に対し、多孔性ポリプロピレンフィルム(APTRA Classic film;約38μm厚、約25g/m坪量;RKW Danafilms(Westborough,MA)から利用可能)を押圧ラミネートした。表11のインドリル指示薬を含有する指示薬組成物を感圧接着剤に混ぜ込んだものを、基材シートに取り付けた多孔性フィルムに対しナイフコートし(間隙は約0.1mmに設定)、コーティングしたラミネートは風乾させた。
【0190】
次に、冷却した培養培地コーティング組成物を、乾燥させた指示薬組成物層に対しナイフコーティングした(間隙は約0.3mmに設定)。この、コーティングしたラミネートは、93~104℃の炉で1~20分間乾燥した。コーティングし、乾燥したラミネートを、装置の基材シートを形成させるよう幅76mm×丈102mmの切片に切り出した。円形開口部を備える(直径51mm)フォームスペーサー(ポリスチレンフォーム;幅76mm×丈102mm×厚み0.57mm)を、基材シートのコーティング面に対し接着剤により積層した。円形開口部はフォーム層の中央部付近に配置し、装置の生育域を確定した。
【0191】
図4~6に例示するとおり、両面接着剤テープを使用して、基材シートの一縁部に沿ってカバーシート(基材シートの寸法に合わせて裁断)を取り付けることにより、薄膜培養装置を組み立てる。コーティングした表面を互いに向かい合わせて、それぞれの装置のカバーシート及び基材シートを配向させる。
【0192】
薄膜培養装置には、微生物株セットB(表10)から選択した単一の微生物サンプルを接種した。装置のカバーシートを持ち上げ、1mLの接種菌液を基材シート上の培養培地に対し(ピペットにより)添加した。カバーシートを配置し、3M PETRIFILM Flat Spreader(3M社(St.Paul、MN))により下向きに圧をかけ、円形開口部の縁部までサンプルを均一に塗り広げた。接種した装置は32℃で24時間インキュベートした。
【0193】
インキュベート期間の終了時(24時間後)に、各装置中のコロニーを肉眼観察により計数した。色は考慮せずに円形の生育域内のすべてのコロニーを計数した。
【0194】
3M PETRIFILM Aerobic Count plates(「PETRIFILM AC plates」;3M社(St.Paul,MN)を参照培養装置として使用した。薄膜培養装置について記載したのと同様の方法で、PETRIFILM ACプレートに接種し、プレート上のコロニーを計数した。しかしながら、PETRIFILM ACプレートは32℃で48時間インキュベートした。結果を表13に示す。
【0195】
【0196】
本明細書で引用したすべての特許、特許出願、刊行物、及び電子的に入手可能な資料の全開示内容が参照によって本願に援用される。本出願の開示と、参照により本明細書に組み込まれる任意の文書に関係する開示(複数可)との間に何らかの不一致が存在する場合、本出願の開示が優先される。前述の発明を実施するための形態及び実施例は、単に理解を明瞭にするために示している。そこから不必要な限定が何らなされることはない。当業者に明らかである変形形態が、特許請求の範囲によって定義される本発明に含まれるため、本発明は、図示し説明した厳密な詳細に限定されるものではない。
【0197】
すべての見出しは読者の利便性のためであって、特に指示がない限り、見出しの後に続く文面の意味を制限するために使用しているのではない。
【0198】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を行ってもよい。これら及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。