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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】自己湿潤接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20220802BHJP
   C08F 261/12 20060101ALI20220802BHJP
   C08F 287/00 20060101ALI20220802BHJP
   C09J 7/10 20180101ALI20220802BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220802BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20220802BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220802BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220802BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
C08F2/44 Z
C08F261/12
C08F287/00
C09J7/10
C09J7/38
C09J133/04
C09J11/06
C09J201/00
C09J4/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019544846
(86)(22)【出願日】2018-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 US2018018631
(87)【国際公開番号】W WO2018152469
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-17
(31)【優先権主張番号】62/461,153
(32)【優先日】2017-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/623,396
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】フォーノフ,アン アール.
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,カーラ エス.
(72)【発明者】
【氏名】ウィッティング,ティエン イ ティー.エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】コーダパラスト,パヤム
(72)【発明者】
【氏名】ナイスミス,ナサニエル ケー.
(72)【発明者】
【氏名】シッター,ブレット ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シーレン,ジェイムズ エー.
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-527342(JP,A)
【文献】特開2006-328094(JP,A)
【文献】特表2013-517373(JP,A)
【文献】特開平09-291258(JP,A)
【文献】国際公開第2014/046182(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00- 2/60
C08F 261/12
C08F 287/00
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも25℃のTg又はTmを有する、5重量部~40重量部の溶質コポリマー成分と、
b)(メタ)アクリレートモノマー及び多官能性アクリレートを含む、60重量部~95重量部の溶媒モノマー成分であって、a)とb)との合計は100重量部である、
溶媒モノマー成分と、
c)a)及びb)100部に対して、5部~100部の可塑剤成分であって、前記可塑剤成分は、酸基を含む少なくとも1種の可塑剤を含む、可塑剤成分と、
を含む組成物。
【請求項2】
前記溶媒モノマー成分が、
)5重量部~95重量部の低Tgモノマーと、
)0~20部の酸官能性モノマーと、
)0~20部の非酸官能性極性モノマーと、
)5~40部の多官能性アクリレート架橋剤と、
を含み、d)~g)の合計は、100重量部である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記可塑剤成分が、酸基を含まない少なくとも1種の可塑剤を更に含み、酸基を含まない前記可塑剤が、組成物中の可塑剤成分の5~5部である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物から形成されたフィルムであって、前記フィルムが、少なくとも0.16cm/秒の速度を有し、スタイラスに適用される重量が0グラム~1500グラムの範囲である前記スタイラスの直線的ストロークを受けたとき、フィルムの表面に目視可能な損傷が生じない、フィルム。
【請求項5】
前記フィルムが硬化接着フィルムであり、前記フィルムの幅0.5インチ、長さ0.5インチのサンプルが、2lbs/in ~10lbs/inの範囲の力が前記フィルムに適用されたとき、10分~40日の範囲の時間にわたって、ガラス基材に接着したままであり、前記フィルムが、前記溶質コポリマー成分を実質的に含まない対応するフィルムよりも実質的に長い期間にわたって、前記ガラス基材に接着したままである、請求項4に記載の硬化接着フィルム。
【請求項6】
前記フィルムが硬化接着フィルムであり、光学フィルム上に配置された、請求項4に記載のフィルムの層を備える、接着物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
感圧テープは、家庭及び職場で使用されることがある。例えば、テープを使用して、滑らかなガラス表面などの基材に物体を付着させることができる。テープの浸潤速度及びテープの剥離強度などのテープの特性は、物体を基材に付着させるテープの能力に直接影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【0002】
本開示の各種実施形態によると、組成物は、溶質コポリマー成分を約5重量部~約40重量部含む。溶質成分は、少なくとも25℃のT又はTを任意に有する。いくつかの実施形態において、溶質成分は、少なくとも25℃のT又はTを有する。組成物は、約60重量部~約95重量部の溶媒モノマーを更に含む。溶媒モノマー成分は、(メタ)アクリレートモノマー及び多官能性アクリレートを含む。いくつかの実施形態では、溶質コポリマー成分と溶媒モノマー成分との合計は、100重量部である。組成物は、100部の溶媒モノマー及び溶質コポリマーに対して、約5部~約100部の可塑剤成分を更に含む。可塑剤成分は、酸基を含む少なくとも1種の可塑剤を含む。
【0003】
更なる実施形態は、(メタ)アクリレートモノマー及び多官能性アクリレートを含む、約60重量部~約95重量部の溶媒モノマー成分を含む組成物を、少なくとも部分的に重合することを含む、硬化接着フィルムの製造方法に関する。組成物は、少なくとも部分的に重合した組成物を得るために、少なくとも25℃のT又はTを任意に有する、約5重量部~約40重量部の溶質コポリマー成分を更に含む。溶質コポリマー成分と溶媒モノマー成分との合計は、100重量部である。各種実施形態によれば、部分的に重合した組成物を硬化させて、接着フィルムを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の各種実施形態による、擦傷試験の写真である。
図2】本開示の各種実施形態による、擦傷試験の写真である。
図3】本開示の各種実施形態による、擦傷試験の写真である。
図4】本開示の各種実施形態による、擦傷試験の写真である。
図5】本開示の各種実施形態による、擦傷試験の写真である。
図6】本開示の各種実施形態による、擦傷試験の写真である。
図7】本開示の各種実施形態による、擦傷試験の写真である。
図8】本開示の各種実施形態による、擦傷試験の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示は、硬化して接着フィルムを形成することができる新規組成物を提供する。各種実施形態によれば、接着フィルムは、実質的に滑らかな表面に適用されるとき、実質的に自己湿潤性である。すなわち、接着フィルムには、実質的に自発的な浸潤が生じ、外部圧力を適用する必要は実質的にない。
【0006】
組成物を直接硬化させるか、又は組成物の一部を予備重合してシロップを形成し、その後に硬化させることができる。本明細書で更に説明されるように、本開示の組成物からキャストされた接着フィルムは、高い浸潤速度を有する他のフィルムと比較して、いくつかの有益な特徴を有し得る。例えば、接着フィルムは良好な剥離性を有し、良好な剪断保持を示し得る。例えば、接着フィルムは、約13.79kPa(2lb/in)~約62.05kPa(9lb/in)の範囲の力が適用されたとき、20,000分~約30,000分の範囲の時間にわたって、被着体に接着したままになり得る。これらの接着フィルムの高剪断保持力により、これらの接着フィルムは、ガラス、タイル、又はステンレス鋼などの滑らかな表面上に物体を据え付ける際に使用するのに適したものになり得る。接着フィルムを使用して、多くの異なる物体を据え付けることができる。例えば、写真、ポスター、カレンダー、時計、取り付けフックなどの装飾的な物体を、これらの接着フィルムによって、滑らかな表面に据え付けることができる。接着フィルムはまた、良好な耐擦傷特性を示し得る。
【0007】
本開示の接着フィルムは、粘着性、剥離接着性及び剪断保持力の所望のバランスを実現し、更に、ダールキスト基準に適合し、すなわち、適用温度(例えば、室温)での接着剤弾性率が、例えば、1Hzの周波数において3×10ダイン/cm未満である。
【0008】
接着フィルムは、溶質コポリマー成分、溶媒モノマー成分、及び可塑剤成分を含む組成物から形成することができる。溶質コポリマー成分は、少なくとも25℃のT又はTを任意に有する。組成物の各種実施形態において、Tは少なくとも25℃である。組成物の各種実施形態において、Tは少なくとも25℃である。溶媒モノマー成分は、(メタ)アクリレートモノマー及び多官能性アクリレートを含む。溶質コポリマーは、溶媒モノマーに対して約5重量部~約40重量部、又は溶媒モノマーに対して約10重量部~約20重量部、又は溶媒モノマーに対して約10重量部~約15重量部、又は溶媒モノマーに対して約15重量部~約20重量部の範囲であり得る。溶媒モノマーは、溶質コポリマーに対して約20重量部~約95重量部、又は溶質コポリマーに対して約20重量部~約60重量部、又は溶質コポリマーに対して約30重量部~約50重量部、又は溶質コポリマーに対して約50重量部~約90重量部、又は溶質コポリマーに対して約60重量部~約95重量部の範囲であり得る。溶質コポリマーと溶媒モノマーの部分の合計は、100重量部に等しい。
【0009】
可塑剤成分は、溶質コポリマー及び溶媒モノマーに対して、約5部~約100部、又は約10部~約80部、約15部~約40部、約30部~約40部、又は約40部~約70部の範囲であり得る。
【0010】
溶質コポリマーは、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルピロリドン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ((メタ)アクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリビニルアルコール及びアルカナール由来のポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリ尿素、ポリブタジエン、ポリスチレン、これらの任意のコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせから選択することができる。アルカナールは、式I:
【化1】
による構造を有し得る。
【0011】
式(I)中、Rは、(C~C20)ヒドロカルビルから選択することができる。更なる実施形態において、Rは、(C~C20)アルキルであってよい。更なる実施形態では、溶質コポリマー成分は、ポリ(ビニルブチラール)を含む。更なる実施形態では、溶質コポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)とポリ(n-ブチルアクリレート)とのブロックコポリマーを含む。
【0012】
溶媒モノマー成分は、約5重量部~約95重量部の低Tモノマー、又は約60重量部~約95重量部の低Tモノマー、又は約10重量部~約50重量部、若しくは約20重量部~約40重量部、若しくは約60重量部~約90重量部の低Tモノマーであり得る。溶媒モノマー成分は、酸官能性モノマーをも含み得る。酸官能性モノマーは、約0重量部~約20重量部の溶媒モノマー、又は約0重量部~約15重量部の溶媒モノマー、又は約0重量部~約10重量部の溶媒モノマーであり得る。溶媒モノマーはまた、非酸官能性極性モノマーをも含み得る。非酸官能性極性モノマーは、約0重量部~約20重量部の溶媒モノマー、又は約0重量部~約15重量部の溶媒モノマー、又は約0重量部~約10重量部の溶媒モノマーであり得る。溶媒モノマーはまた、多官能性アクリレート架橋剤をも含み得る。多官能性アクリレート架橋剤は、約5部~約50部の溶媒モノマー、又は約10部~約30部の溶媒モノマー、又は約15部~約25重量部の溶媒モノマーであり得る。全体として、低Tモノマー、酸官能性モノマー、非酸官能性極性モノマー、及び多官能性アクリレート架橋剤の合計は、100重量部の溶媒モノマーに等しい。
【0013】
溶媒モノマーの(メタ)アクリレートモノマーは、1~18個の炭素原子又は4~12個の炭素原子を含む、非第三級アルコールの単量体(メタ)アクリル酸エステルであり得る。このようなモノマーの混合物を使用してもよい。
【0014】
(メタ)アクリレートモノマーとして使用するのに好適なモノマーの例としては、非三級アルコール、例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、イソオクチルアルコール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-デカノール、2-プロピルヘプタノール、1-ドデカノール、1-トリデカノール、1-テトラデカノール、シトロネロール、ジヒドロシトロネロール等と、アクリル酸又はメタクリル酸のいずれかとのエステルが挙げられる。いくつかの実施形態において、(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリル酸とブチルアルコール若しくはイソオクチルアルコールとのエステル、又はこれらの組み合わせであるが、2種以上の異なる(メタ)アクリレートエステルモノマーの組み合わせも同様に好適である。
【0015】
いくつかの実施形態において、(メタ)アクリレートモノマーは、2-オクタノール、シトロネロール、ジヒドロシトロネロールなどの、再生可能資源に由来するアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステルである。いくつかの実施形態において、上記の(メタ)アクリレートエステルの一部は、2-アルキルアルカノール由来の(メタ)アクリレートで置換され得る。
【0016】
溶媒モノマー成分が酸官能性モノマーを含む例において、酸官能性モノマーの酸官能基は、それ自体、カルボン酸若しくはそのエステルなどの酸であってもよく、又は一部は、その塩、例えば、アルカリ金属炭酸塩であってもよい。有用な酸官能性モノマーとしては、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和スルホン酸、エチレン性不飽和ホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なエチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、及びこれらの混合物から選択されるものを挙げることができる。エチレン性不飽和スルホン酸の例としては、ビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2-メタクリロイルオキシエタンスルホン酸、2-アクリロイルオキシ-及び3-メタクリロイルオキシプロパンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、及びこれらの混合物を挙げることができる。エチレン性不飽和リン酸の例としては、ビニルホスホン酸ビニルリン酸、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0017】
低Tモノマー及び任意の酸官能性モノマーに加えて、これらの2種の構成成分を使用して製造されたコポリマーは、得られるコポリマーが<0℃のTを有し、可塑剤成分との相溶性を維持し、必須の光学特性及び接着特性を有することを条件として、例えば、上記のような非酸官能性極性モノマー、ビニルモノマー及びビニルエーテルモノマーなどの、他のモノマーを任意に含んでよい。
【0018】
好適な非酸官能性極性モノマーの代表的な例としては、ヒドロキシル含有モノマー、エチレン性不飽和アミン含有モノマー、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。更に、非酸官能性極性モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;N-ビニルピロリドン;N-ビニルカプロラクタム;アクリルアミド;モノ-又はジ-N-アルキル置換アクリルアミド;t-ブチルアクリルアミド;ジメチルアミノエチルアクリルアミド;N-オクチルアクリルアミド;2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含むポリ(アルコキシアルキル)(メタ)アクリレート;ビニルメチルエーテルを含むアルキルビニルエーテル;及びこれらの混合物を挙げることができる。極性モノマーの好適例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びN-ビニルピロリドンの群から選択されるものが挙げられる。
【0019】
各種モノマーの特定の組み合わせに関するTの有用な予測因子は、Foxの式:1/T=ΣWi/Tg,iの適用によって計算することができる。この式中、Tは混合物のガラス転移温度であり、Wiは混合物中の成分iの重量分率であり、Tg,iは成分iのガラス転移温度であり、すべてのガラス転移温度はケルビン(K)の単位で計算されている。本明細書で使用するとき、用語「低Tモノマー」は、ホモポリマー化の際に、Foxの式を使用して計算したときに約-50℃~約0℃、又は約-20℃~約-50℃の範囲のTを有する(メタ)アクリレートコポリマーを生成する、モノマーを指す。あるいは、ガラス転移温度は、既知の各種方法、例えば、示差走査熱量計(differential scanning calorimetry、DSC)によって測定することができる。
【0020】
接着剤組成物の十分な凝集力を得るため、多官能性(メタ)アクリレートが、重合性モノマーのブレンド中に組み込まれる。有用な多官能性(メタ)アクリレートの例としては、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、及びテトラ(メタ)アクリレート、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、及びプロポキシル化グリセリントリ(メタ)アクリレート、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。多官能性(メタ)アクリレートの量及び同一性は、以下で更に例示されるように、接着剤組成物の用途に応じて調整することができる。
【0021】
組成物は、可塑剤成分を更に含む。可塑剤成分は、酸基を含む少なくとも1種の可塑剤を含む。すなわち、可塑剤は、少なくとも1つの酸官能基を含む。例えば、可塑剤は、カルボン酸官能基又は酸無水物基などの酸性水素原子を有する少なくとも1つの官能基を含み得る。酸基を含む可塑剤は、可塑剤成分の約5重量部~約100重量部、可塑剤成分の約5重量部~約99重量部、約10重量部~約90重量部、約20重量部~約80重量部、約30重量部~約70重量部、又は約40重量部~約60重量部の範囲であり得る。酸基を含む可塑剤に加えて、可塑剤成分は、酸基を含まない少なくとも1種の可塑剤を含むことができる。酸基を含まない可塑剤は、可塑剤成分の約1重量部~約95重量部、又は可塑剤成分の約5重量部~約95重量部、約10重量部~約90重量部、約20重量部~約80重量部、約30重量部~約70重量部、又は約40重量部~約60重量部の範囲であり得る。
【0022】
可塑剤成分は、一般に、接着フィルムの内部改質(例えば、溶媒和)により硬化接着フィルムの可撓性を増加させ、接着フィルムの浸潤特性を向上させるように作用する。
【0023】
酸基を含む可塑剤は、組成物の極性を増加させるように作用し得る。溶媒モノマーが酸官能性モノマーを含む組成物の例では、酸官能性モノマーの酸基及び可塑剤の酸基は、酸基の濃度が組成物中で増加するという点で、組成物の極性の増加をもたらす。極性の増大は、組成物中の極性溶質を溶解するのに役立ち得る。例えば、溶質コポリマー成分がポリ(ビニルブチラール)である組成物の例において、酸基を含む可塑剤は、溶解するために比較的高い極性を必要とする場合がある、いくつかの形態のポリ(ビニルブチラール)を溶解するのに役立つ場合がある。
【0024】
すなわち、酸基を含む可塑剤を含む接着フィルムは、酸基を含む可塑剤を含まない対応する接着フィルムよりも剛性が低く、柔らかくなり得る。
【0025】
可塑剤成分に含まれる可塑剤は、室温で固体又は液体であってよい。固体である場合、可塑剤を加熱して軟化又は液化させて、可塑剤を溶融させることができる。
【0026】
固体である場合、可塑剤は結晶質固体であってもよく、示差走査熱量計(DSC)を使用して測定したときに測定可能な融解温度を示す。本開示で使用される固体可塑剤の融解温度は、必要とされ得る任意の加熱を最小限に抑えるために、比較的低い温度(例えば、約10℃~約60℃)であってよい。室温で液体である可塑剤が使用される場合、接着を適時に形成させるための加熱は必要とされない。
【0027】
接着フィルムからの又は接着フィルム全体にわたる可塑剤のいくらかの移動、例えば、組成物の平衡又は温度の影響によるわずかな分離などは、許容され得る。ただし、いくつかの実施例において、可塑剤は、硬化接着コポリマーと可塑剤との間に相分離が生じる程度まで移動するわけではない。
【0028】
可塑剤成分を形成する1種以上の可塑剤は、いくつかの実施形態では、不揮発性である。「不揮発性」とは、接着形成条件下で実質的に蒸発しない可塑剤を指す。すなわち、可塑剤は、3%未満のVOC(揮発性有機含量)を生成する。VOC含量は、可塑剤配合接着剤を強制通風オーブン内で100℃に1時間曝露することによって、ASTM D 5403-93と同様に決定することができる。3%未満の可塑剤が可塑剤配合接着剤から失われた場合、可塑剤は「不揮発性」であると考えられる。
【0029】
可塑剤成分を形成する1種以上の可塑剤は、いくつかの実施形態において、接着剤の他の成分、基材、又は空気に対して非反応性である。例えば、可塑剤は、接着剤(コ)ポリマー及び基材を含む、系内の他の成分に対して不活性であってもよい。可塑剤が空気に対して非反応性である場合、曇り又は黄変などによる光学特性の損失を最小限に抑えることができる。他の実施例では、1種以上の可塑剤が、接着剤の他の成分と反応することが可能であり得る。
【0030】
有用な可塑剤は、広範な分子量及び構造を有している。可塑剤は、ポリマー又はモノマーであってよい。
【0031】
酸基を含む可塑剤の好適な例としては、カプリン酸、ラウリン酸、脂肪酸、オレイン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、2-エチルヘキサン酸、ミリスチン酸、フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、グルタル酸、塩酸、次亜塩素酸、塩素酸、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルホン酸、硫酸、ポリ硫酸、ペルオキシ一硫酸、ペルオキシ二硫酸、ジチオン酸、チオ硫酸、二亜硫酸、亜硫酸、亜ジチオン酸、ポリチオン酸、チオ亜硫酸、酸性酸、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、及びセバシン酸が挙げられる。
【0032】
存在する場合、酸基を含まない好適な可塑剤のクラスとしては、エステル、エーテル、炭化水素、パラフィン、スルホンアミド、スルホネート、テレフタレート、テルペン、及びトリメリテートから選択されるものが挙げられる。エステル系可塑剤の中で一般的なものは、モノ-又はジ-塩基酸、例えば、ミリステートエステル、フタレートエステル、アジペートエステル、ホスフェートエステル、シトレート、トリメリテート、グルタレート、及びセバケートエステル(例えば、ジアルキルフタレート、例えば、ジブチルフタレート、ジイソクチルフタレート、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート;2-エチルヘキシルジフェニルジホスフェート;t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート;ブチルベンジルフタレート;ジブトキシエトキシエチルアジペート;ジブトキシプロポキシプロピルアジペート;アセチルトリ-n-ブチルシトレート;ジブチルセバケート等)である。ホスフェートエステル可塑剤は、Monsanto(St.Louis,MO)から商品名SANTICIZERで市販されている。グルタレート可塑剤は、CP.Hall Co.(Chicago,IL)からPLASTHALL 7050の商品名で市販されている。
【0033】
エステル系可塑剤の更なる例としては、脂肪族モノアルキルエステル、芳香族モノアルキルエステル、脂肪族ポリアルキルエステル、芳香族ポリアルキルエステル、脂肪族アルコールのポリアルキルエステル、ホスホン酸ポリアルキルエステル、脂肪族ポリ(アルコキシル化)エステル、芳香族ポリ(アルコキシル化)エステル、脂肪族アルコールのポリ(アルコキシル化)エーテル、及びフェノールのポリ(アルコキシル化)エーテルが挙げられる。いくつかの実施形態において、エステルは、アルコール、又は再生可能資源、例えば、2-オクタノール、シトロネロール、ジヒドロシトロネロール、又は2-アルキルアルカノールに由来する。
【0034】
本明細書に記載の組成物を硬化させて、接着フィルムを形成することができる。組成物を硬化させるために、組成物に追加の成分を添加することが必要になることがある。例えば、重合を補助するために光開始剤を添加してもよい。充填剤、酸化防止剤、安定剤、及び着色剤などの追加成分を組成物に添加してもよい。
【0035】
組成物を硬化させることは、光開始剤の存在下での、紫外線による処理を含んでもよく、この処理は、同時に溶媒モノマーを重合させ、組成物を多官能性アクリレートと架橋させる。
【0036】
任意の好適なフリーラジカル反応開始剤を使用して、組成物中に初期重合を発生させてもよい。好適な熱反応開始剤の例としては、過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、ジラウリルペルオキシド、シクロヘキサンペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ヒドロペルオキシド、例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシド及びクメンヒドロペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、2,2,-アゾ-ビス(イソブチロニトリル)、並びにt-ブチルペルベンゾエートが挙げられる。市販の熱反応開始剤の例としては、VAZO(商標)67(2,2’-アゾービス(2-メチルブチロニトリル))、VAZO(商標)64(2,2’-アゾービス(イソブチロニトリル))、及びVAZO(商標)52(2,2’-アゾービス(2,2-ジメチルバレロニトリル))を含む、商品名VAZOとしてDuPont Specialty Chemical,Wilmington,Del.から入手可能な反応開始剤、並びにLUCIDOL(商標)70としてElf Atochem North America,Philadelphia,Pa.から入手可能な反応開始剤が挙げられる。
【0037】
溶質(コ)ポリマーを、非モノマー溶媒中で通常通りに調製し、高い変換率(重合度、例えば、90%~100%)に進行させてもよい。溶媒(モノマー又は非モノマー)が使用される場合、重合の前又は後のどちらかに(例えば、真空蒸留により)溶媒を除去してもよい。
【0038】
上記のように、組成物を硬化させることは、光開始フリーラジカル重合を含み得る。光重合法の利点は、1)モノマー溶液を加熱する必要がないこと、及び2)活性化光源のスイッチを切ると光開始が完全に停止することである。コーティング可能な粘度を得るための重合は、モノマーからポリマーへの変換が、約5%~約30%、又は約10%~約20%の範囲になるように行ってよい。重合は、光源を取り外すことによって、及び溶液中に空気(酸素)をバブリングしてフリーラジカルの伝播をクエンチすることによって、停止させることができる。
【0039】
硬化中、モノマー混合物は一般に、部分的に重合(変換)されて、溶媒モノマー中に約5重量部~約40重量部、又は約10重量部~約30重量部、又は約30重量部~約40重量部の溶質コポリマーを含むコポリマーを生成する。
【0040】
例えば、Brookfield粘度計(モデルDV2T)によって測定したとき、液化時に22℃で50cP~約3,000cP、又は22℃で約100cp~約500cP、約500cP~約1,000cP、約500cp~約40,000cP、約1,000cP~約20,000cP、又は約5,000cP~約10,000cPの混合物の粘度。部分変換後、多官能性アクリレート、可塑剤、及び任意の追加のモノマーが添加され、組成物は、例えば、光開始剤を用いた光重合によって、更に重合される。
【0041】
有用な光開始剤としては、ベンゾインエーテル、例えば、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル;置換アセトフェノン、例えば、Irgacure(商標)651光開始剤(Ciba Specialty Chemicals)又はEsacure(商標)KB-1光開始剤(Sartomer Co.;West Chester,PA)として入手可能な2,2-ジメトキシアセトフェノン、及びジメトキシヒドロキシアセトフェノン;置換α-ケトール、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン;芳香族スルホニルクロライド、例えば、2-ナフタレン-スルホニルクロライド;及び光学活性オキシム、例えば、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシ-カルボニル)オキシムが挙げられる。
【0042】
他の有用な光開始剤としては、ノルリッシュI開裂を経て、アクリル二重結合の付加により開始し得るフリーラジカルを生成する、主成分cis-4-tert-ブチル-1-ベンゾイルシクロヘキサン又は2-ベンゾイルアダマンタン(benxoyladamantane)構造を有するケトンなどの光活性化合物が挙げられる。コポリマーが形成された後にコーティングされる混合物に、追加の光開始剤を添加することができ、例えば、光開始剤を組成物に添加することができる。
【0043】
組成物及び光開始剤に紫外線を照射して、モノマー成分を重合してもよい。紫外線光源は、以下の2種類のものがあり得る。1)比較的低い光強度の光源、例えば、280nm~400nmの波長範囲にわたり、概して10mW/cm以下(米国標準技術局により承認された手順に従い、例えば、Electronic Instrumentation & Technology,Inc.,Sterling,VA製Uvimap(商標)UM 365 L-S放射計によって測定)をもたらすブラックライト、及び2)比較的高い光強度の光源、例えば、概して10mW/cm超、例えば15mW/cm~450mW/cmの強度をもたらす中圧水銀ランプ。化学線を使用して組成物を完全に又は部分的に重合させる場合、高い強度及び短い曝露時間が好ましいことがある。例えば、600mW/cmの強度及び約1秒の曝露時間を有効に用いることができる。強度は、約0.1mW/cm~約150mW/cm、又は約0.5mW/cm~約100mW/cm、又は約0.5mW/cm~約50mW/cmの範囲であり得る。このような光開始剤は、ポリマー組成物100pbw当たり約0.1pbw~約1.0pbw、又は100pbw当たり約0.3pbw~約0.7pbwの量で存在し得る。
【0044】
硬化により、初期のフリーラジカル重合における「デッドポリマー」、例えば、完全に重合された、フリーラジカル重合性ではないポリマーが生成され得ることが理解されよう。その後、溶媒モノマーは、存在する溶質コポリマーへフリーラジカル重合しない。ポリマーを配合すると、紫外線への更なる曝露が、溶媒モノマー及び多官能性アクリレート架橋剤のフリーラジカル重合を開始して、別個の架橋コポリマーを生成する。硬化すると、a)低T(コ)ポリマー(初期重合によるもの)、b)高度に架橋された低T(コ)ポリマー(その後のモノマー及び多官能性アクリレート成分の重合によるもの)及びc)可塑剤の均質な混合物として、生成物を特徴付けることができる。
【0045】
所望であれば、組成物を、更なる重合の前に基材上にコーティングしてもよい。
【0046】
加えて、充填剤、酸化防止剤、安定剤、及び着色剤などの他の添加剤を、有益な特性のために接着剤とブレンドしてもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、1種以上の追加の充填剤を含んでよい。多くの実施形態において、充填剤は、組み込みが接着剤の光学特性及び接着特性に悪影響を及ぼさないような種類のものであり、そのような量で使用される。いくつかの実施形態では、少量の充填剤を使用して、接着剤の凝集力を向上させることができる。
【0047】
そのような組成物は、組成物の総重量を基準として、1重量%~約50重量%、又は約10重量%~約40重量%の充填剤を含んでもよい。
【0048】
充填剤は、当該技術分野において既知の幅広い材料から1種以上選択することができ、充填剤としては、有機及び無機充填剤が挙げられる。無機充填剤粒子としては、シリカ、サブミクロンシリカ、ジルコニア、サブミクロンジルコニア、非ガラス質微細粒子、ナノサイズシリカ粒子、ナノサイズ金属酸化物粒子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
いくつかの実施形態において、組成物は、約5ナノメートル~約100ナノメートル、又は約10ナノメートル~約50ナノメートルの範囲の平均一次粒径を有するナノ粒子充填剤を含む。本明細書で使用するとき、用語「一次粒径」は、非会合型の単一粒子のサイズを指す。
【0050】
いくつかの実施形態では、表面改質充填剤が使用され得る。充填剤のための表面改質剤は、分散性又はレオロジー特性を高めることができる。表面改質剤の例としては、アリールポリエーテル、アルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリール、又はアクリレート、アミノアルキル官能性シランなどのシランが挙げられる。
【0051】
いくつかの実施形態において、充填剤は、Degussa製Aerosil(商標)R972ヒュームドシリカなどの、疎水性ヒュームドシリカである。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、接着フィルムは、組成物の予備重合部分を含むシロップ重合技術によって調製することができる。本明細書で使用するとき、「シロップポリマー組成物」は、1種以上の溶媒モノマー中の溶質(コ)ポリマーの溶液を指し、組成物は、液化時に50cP~約40,000cPの粘度を有し得る。ここでは、(メタ)アクリレートモノマー、任意の酸官能性モノマー及び他のモノマーを含むモノマー混合物を組み合わせ、熱開始剤又は光開始剤を使用して部分的に重合させる。溶質(メタ)アクリレートコポリマー及び未反応溶媒モノマーを含む、得られたシロップポリマーは、次に、多官能性アクリレート架橋剤及び光開始剤と混ぜ合わされる。所望であれば、追加の溶媒モノマー及び開始剤を初期部分重合の後に添加してもよい。充填される追加のモノマーは、初期モノマー充填物と同じであっても異なっていてもよい。
【0053】
硬化組成物は、複数の有用な特徴を有する接着フィルムを形成する。そのような特徴の例を以下に記載する。
【0054】
本開示の組成物からキャストされた接着フィルムは、優れた追従性を示し、ガラス又は他の硬質で滑らかな表面などの基材上での自発的な浸潤を可能にする。したがって、接着フィルムは自己湿潤性と称されることがある。「自己湿潤性」とは、接着フィルムが、外部圧力をほとんど又は全く用いずに適用される滑らかな表面上で自発的に浸潤することを意味する。いくつかの実施形態において、接着フィルムの浸潤速度は、約7.7秒/dm(0.5秒/in)~約775.0秒/dm(50秒/in)の範囲、又は約418.5秒/dm(27秒/in)~約620.0秒/dm(40秒/in)、又は約7.7秒/dm(0.5秒/in)~約155.0秒/dm(10秒/in)の範囲である。いくつかの実施形態において、酸基を含む可塑剤を有する組成物からキャストされた接着フィルムの浸潤速度は、酸基を含む可塑剤を含まない対応する接着フィルムよりも速い。
【0055】
フィルムの表面特性はまた、再配置又は再加工のために、接着フィルムを繰り返し接着し基材から剥がすことも可能にする。接着フィルムの強力な凝集力は、接着フィルムに構造的完全性を与えて、永久的な再剥離性に加えて、低温流を制限し、高温耐性を与える。いくつかの実施形態において、ガラス基材に接着された接着フィルムの初期の再剥離性は、180°剥離接着力試験によって測定されるとき、約0.5ニュートン/デシメートル~約5ニュートン/デシメートルの範囲となる。いくつかの例において、酸官能基を含む可塑剤は、光学検査によって決定されたとき、接着フィルムを剥がした後に基材上に残留物を実質的に残さない。
【0056】
各種実施形態において、本開示の組成物からキャストされた接着フィルムは、約0.16cm/秒~約0.5cm/秒の範囲の速度を有するスタイラスの直線的ストロークを受けるとき、及び約0グラム~約1500グラムの荷重がスタイラスにかかる場合に、耐擦傷性である。特定の理論に拘束されることを意図してはいないが、本発明者らは、溶質コポリマーは接着フィルムの耐擦傷性を高めると考えている。したがって、接着フィルムは、溶質コポリマー成分を実質的に含まない対応する接着フィルムよりも耐擦傷性が高い。
【0057】
更に、接着フィルムの幅0.5インチ、長さ0.5インチのサンプルは、約2lbs/in~約10lbs/inの範囲の力が接着フィルムに適用されたとき、約10分~40日間の範囲の時間にわたり、基材に接着したままになる。何らかの理論に拘束されることを意図してはいないが、本発明者らは、溶質コポリマーは接着フィルムの接着性を高めると考えている。したがって、溶質コポリマーを含む接着フィルムは、溶質コポリマー成分を実質的に含まない対応する接着フィルムよりも実質的に長い期間にわたって、基材に接着したままとなる。
【0058】
硬化組成物から形成された接着フィルムは、多くの異なる用途を有し得る。例えば、接着物品は、接着フィルムを含むことができ、可撓性裏材などの好適な担体上に接着フィルムを形成することによって調製することができる。接着フィルムは、担体に組成物をコーティングし、その上の組成物を硬化させることによって形成することができる。可撓性裏材に含ませ得る材料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン(アイソタクチックポリプロピレンを含む)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(カプロラクタム)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリラクチド、セルロースアセテート、及びエチルセルロース等などの、ポリオレフィンが挙げられる。本発明において有用な市販の裏材材料としては、クラフト紙(Monadnock Paper,Inc.から入手可能);セロハン(Flexel Corp.から入手可能);及びポリ(エチレン)及びポリ(プロピレン)から得られる多孔質フィルム、例えば、Teslin(商標)(PPG Industries,Inc.から入手可能)、及びCellguard(商標)(Hoechst-Celaneseから入手可能)が挙げられる。
【0059】
接着フィルムはまた、微細構造表面上に形成されてよい。微細構造化表面は、例えば、微細複製技術、レーザーアブレーション又はエンボス加工を使用することを含む各種方法で製造することができる。本開示のいくつかの実施形態において、微細構造化樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリカーボネートフィルムなどのポリマーフィルム基材上に与えられる。高精細ツールは、例えば、PCT国際出願公開第00/48037号(Campbellら)、並びに米国特許第7,350,442号(Ehnesら)及び第7,328,638号(Gardinerら)に記載されているようなダイヤモンド旋削方法を使用して、作製することができる。例えば、米国特許第5,175,030号(Luら)及び同第5,183,597号(Lu)に記載されているキャスト硬化プロセスにおいてツールを使用して、基材フィルム上に正弦波構造などの微細構造を製造することができる。いくつかの実施形態では、構造体を形成するためにアクリレート樹脂が使用される。
【0060】
裏材は、金属、金属化ポリマーフィルム、又はセラミックシート材料で形成されてもよい。本明細書における接着物品は、ラベル、テープ、標識、カバー、マーキング表示等の、感圧接着剤組成物と共に利用されることが従来から知られている任意の物品の形態をとることができる。
【0061】
上記の接着フィルムは、特定の基材に応じて適宜変更され得る従来のコーティング技術を使用して、基材上に組成物を堆積させることによって、基材上に部分的に形成することができる。例えば、組成物は、ローラーコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ナイフコーティング、及びダイコーティングなどの方法によって、各種固体基材に適用することができる。これらの様々なコーティング方法によって、組成物を様々な厚さで基材上に配置することが可能となり、それによって組成物のより広範な使用が可能となる。コーティングの厚さは様々であってよいが、2ミクロン~500ミクロン(乾燥厚さ)、又はいくつかの実施形態では、約10ミクロン~250ミクロンのコーティングの厚さが考えられる。
【0062】
いくつかの実施形態において、組成物、例えば、溶質(コ)ポリマー、未反応モノマー、多官能性アクリレート架橋剤及び可塑剤は、裏材又は剥離ライナー上にコーティングされ、次いで、更に重合される。
【0063】
基材は、それが使用される特定の用途に応じて選択される。例えば、接着剤は、シート製品(例えば、装飾的グラフィック及び反射性製品)、ラベルストック、及びテープ裏材に適用することができる。加えて、接着剤は、自動車パネル、ガラス窓、コンピュータスクリーン若しくはハンドヘルドデバイスのスクリーンに直接適用されてもよく、又は別の基材若しくは物体を基材に付着させることができるように、自動車パネル、ガラス窓、コンピュータスクリーン若しくはハンドヘルドデバイスのスクリーン、又は台所若しくは浴室表面などの他の滑らかな表面に適用されてもよい。
【0064】
接着フィルムは、感圧性接着剤転写テープの形態で提供することもでき、このようなテープでは、後に永久基材に適用するために、剥離ライナー上に少なくとも1層の接着フィルム層が配置される。接着フィルムはまた、接着剤が永久裏材の片面側又は両面側に配置されている、片面コーティング又は両面コーティングテープとして提供することもできる。
【0065】
接着フィルムの自己湿潤及び再剥離性の特徴が重要であり得る接着物品の例としては、例えば、グラフィック物品及び保護フィルムなどの大型判型物品、並びに情報表示デバイスが挙げられる。
【0066】
大型判型グラフィック物品又は保護フィルムは、典型的に、接着剤によって裏打ちされた薄いポリマーフィルムを含む。これらの物品は、取り扱いが困難であり、基材の表面上に適用され得る。大型判型物品は、「湿式」適用プロセスと呼ばれることがあるプロセスによって、基材表面上に適用されてもよい。湿式適用プロセスは、液体、典型的には水/界面活性剤溶液を、大型判型物品の接着剤側に、及び任意に基材表面上に、噴霧することを含む。この液体は接着剤を一時的に「非粘着化(detackify)」し、その結果、設置者は大型判型物品を取り扱い、滑らせ、基材表面上の所望の位置に再配置することができる。液体はまた、大型判型物品がそれ自体に付着するか、又は早すぎる段階で基材の表面に付着した場合に、設置者が大型判型物品を引き離すことを可能にする。接着剤に液体を適用することはまた、基材の表面上に与えられた良好な接着力と共に、滑らかな気泡を含まない外観をもたらすことによって、設置された大型判型物品の外観を改善することができる。
【0067】
大型判型保護フィルムの例としては、太陽光制御フィルム、シャーター保護フィルム、装飾フィルム等の窓用フィルムが挙げられる。いくつかの例において、接着フィルムは、多層IRフィルム(例えば、赤外反射フィルム)などの多層接着フィルム、例えば、光学的に透明であるが赤外を反射するフィルムなどの、選択的透過率を有する微細層フィルムであってよい。
【0068】
湿式適用プロセスは、多くの場合に、有効に使用されてきたが、時間がかかり、困難なプロセスになり得る。情報表示デバイスなどの他の用途では、湿式適用プロセスを使用することはできないが、接着フィルムは依然として適用され得る。接着フィルムは、有利には、乾式設置プロセスによって適用することができる。「乾式」適用プロセスは、一般に、大型判型グラフィック物品及び他の情報表示デバイスを取り付けるために望ましい。情報表示デバイスの例としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)ディスプレイ、前面及び背面投影ディスプレイ、陰極線管、並びに標識などの、広範な表示領域構成を有するデバイスが挙げられる。このようなディスプレイ領域構成は、携帯情報端末、携帯電話、タッチスクリーン、腕時計、カーナビゲーションシステム、汎世界測位システム、測深器、計算機、電子書籍、CD又はDVDプレーヤー、投影型テレビスクリーン、コンピューターモニター、ノート型コンピューターディスプレイ、計器ゲージ、計器パネルカバー、グラフィックディスプレイ(屋内及び屋外グラフィック、バンパーステッカー等)などの標識、反射シート、仮想現実(virtual reality、VR)デバイス、拡張現実(augmented reality、AR)デバイス等の、各種携帯式及び非携帯式情報表示デバイスにおいて採用され得る。したがって、接着フィルムを使用すると、物品は、自己湿潤性であるので、大型の基材により容易に付着することができるが、必要に応じて容易に剥がして再配置することができる。
【0069】
多種多様な情報表示デバイスが使用されており、照明式デバイス及び非照明式デバイスの両方が使用されている。これらのデバイスの多くは、接着剤コーティングフィルムなどの接着物品をその構造の一部として利用する。情報表示デバイスに頻繁に使用される1つの接着物品は、保護フィルムである。このような接着フィルムは、頻繁に取り扱われるか、又は露出した目視面を有する情報表示デバイス上で頻繁に使用される。
【0070】
いくつかの実施形態において、本開示の接着フィルムは、このようなフィルムを情報表示デバイスに付着させるか、又は情報表示デバイスに組み込むために使用することができる。なぜなら、接着フィルムは光学的透明度(例えば、約5%未満のヘイズ又は約2%未満のヘイズ)、自己湿潤性、及び再剥離性の特性を有するためである。光学的透明度という接着特性は、干渉を伴わずに、接着フィルムを通して情報を目視することを可能にする。自己湿潤性及び再剥離性という特徴は、接着フィルムをディスプレイの前面に容易に適用することを可能にし、組み立て中に必要に応じて剥がして再加工し、更に、情報表示デバイスの動作寿命中に剥がして交換することを可能にする。
【0071】
本開示の接着フィルムは、約0.03ミリメートル超の厚さ、概して1×10-6未満の平均複屈折(絶対)、約85%~約100%、及び約90%~約95%の範囲の平均光透過率、及び約500ミクロンの接着剤厚さを有するサンプルについて約0.5単位~約1.5単位、又は約0.5単位~約1.0単位の範囲のCIELAB bを有してよい。更に、これらの物品の接着剤層は、物品が透明に見えるように、複合物品の光学特性に少なくとも等しい光学特性を有してよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、本開示は、太陽光制御物品、例えば、紫外線、可視光線、及びIRを含む関心対象のスペクトル領域上の透過率を選択的に低減するために窓に適用され得る接着フィルムを含むフィルムを提供する。太陽光制御物品は、太陽光制御フィルム及びその主表面上の本開示の接着剤の層を含む。いくつかの既知の太陽光制御フィルムは、望ましくは、可視範囲(400nm~700nm)において、少なくとも80%の透過率を有し、IR(700nm~2000nm)及び/又は紫外線(100nm~400nm)の範囲において、少なくとも80%未満、70%未満、又は60%未満の低減された透過率を有することが望ましい。
【0073】
太陽光制御フィルムは、入射光、例えば日光からの各種スペクトル領域の透過率を低減する、染色又は着色され真空コーティングされたポリマーフィルムが挙げられる。入射光からの熱負荷を低減するために、太陽光スペクトルの可視光部分又は赤外部分のいずれか(すなわち、400nm~2500nm以上の範囲の波長)において太陽光の透過を遮断する。着色フィルムは、主に吸収を通じて、可視光の透過を制御することができ、その結果、グレアの低減をもたらす。ただし、着色フィルムは一般に近赤外太陽エネルギーを遮断することがなく、そのため、他の太陽光制御フィルムとして完全に有効であるわけではない。他の窓用フィルムは、真空蒸着された灰色の金属、例えば、ステンレス鋼、インコネル、モネル、クロム、又はニクロム合金を使用して作製される。蒸着した灰色の金属フィルムは、太陽光スペクトルの可視部及び赤外部で、ほぼ同程度の透過率をもたらす。灰色の金属フィルムは、光、酸素、及び/又は水分に曝露しても比較的安定しており、酸化によってコーティングの透過率が上昇するケースでも、一般に変色は検出されない。灰色の金属は、透明ガラスに塗布した後は、太陽光の反射量及び吸収量がほぼ等しいことによって光の透過を防ぐ。銀、アルミニウム、及び銅等の真空蒸着層は、主に反射によって太陽放射を制御するとともに、高レベルな可視反射が原因で、限られた数の用途でしか有用でない。中程度の選択性(例えば、赤外透過率よりも高い可視透過率)は、銅及び銀などの特定の反射性材料によって与えられる。金属堆積フィルムはまた、空気及び水蒸気バリア特性を有してもよい。
【0074】
加えて、多層光学フィルム(multilayer optical film、MLOF)に基づく太陽光制御フィルムが開発されており、これらの太陽光制御フィルムは、いくつかの実施形態において、数百又は更には数千のフィルム層及び任意のナノ粒子を含み、隣接フィルム層の屈折率及びナノ粒子の反射率又は吸光度の小さな差に基づいて選択的に透過又は反射する。一部の光が隣接層同士の境界面で反射されるように、フィルム層は異なる屈折率特性を有する。これらの層は十分に薄いため、複数の境界面で反射した光は強め合う干渉又は弱め合う干渉を受けて、フィルムに所望の反射特性又は透過特性を与える。紫外、可視、又は近赤外波長で光を反射するように設計された光学フィルムの場合、各層は、一般に、約1マイクロメートル未満の光学厚さ(例えば、物理的厚さに屈折率を乗じたもの)を有する。ただし、フィルムの外側表面のスキン層、又は複数の層のパケットを分離させる、フィルム内に配置された保護境界層などの、より厚い層も含まれ得る。
【0075】
この文書全体にわたって、範囲の形式で表される値は、その範囲の限界として明示的に記載されている数値を含むだけでなく、その範囲内に含まれる全ての個々の数値又は部分範囲も、各数値範囲及び部分範囲が明示的に記載されている場合と同様に含むように、柔軟に解釈すべきである。例えば、「約0.1%~約5%」又は「約0.1%~5%」という範囲は、約0.1%~約5%だけでなく、示された範囲内の各値(例えば、1%、2%、3%、及び4%)及び部分範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)も含むと解釈すべきである。「約X~Y」という記述は、特に断りのない限り、「約Y~約X」と同じ意味を有する。同様に、「約X、Y、又は約Z」という記述は、特に断りのない限り、「約X、約Y、又は約Z」と同じ意味を有する。
【0076】
本文書において、「1つの(a)」、「1つの(an)」、又は「その(the)」という用語は、文脈上明確な別段の指示がない限り、1つ以上を含めるために使用される。「又は」という用語は、特に断りのない限り非排他的な(nonexclusive)「又は」を指すために使用される。「A及びBのうちの少なくとも1つ」という記述は、「A、B、又はA及びB」と同じ意味を有する。加えて、本明細書で用いられている特に定義されていない表現又は用語は、説明のみを目的としており、限定するためではないと理解されるべきである。節の見出しの使用はいずれも、本文書の読み取りを補助することを意図しており、限定と解釈すべきではなく、節の見出しに関連する情報は、その特定の節の中又は外に存在し得る。
【0077】
本明細書に記載の方法において、行為は、時間的又は操作上の順序が明示的に記載されている場合を除いて、本発明の原理を逸脱することなく任意の順序で行うことができる。更に、特定の行為が別個に行われることが請求項で明示的に記載されていない限り、それらの行為は同時に行うことができる。例えば、Xするという特許請求されている行為及びYするという特許請求されている行為は、単一の操作で同時に行うことができ、結果として生じるプロセスは特許請求されている文言上の範囲内に入る。
【0078】
本明細書で使用される「約」という用語は、値又は範囲のある程度の変動性、例えば、記述されている値の又は記述されている範囲の限界の10%以内、5%以内、又は1%以内を許容することができ、かつ正確な記述されている値又は範囲を含む。
【0079】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、若しくは少なくとも約99.999%以上等の大部分若しくはほとんど又は100%を指す。
【0080】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、1個~40個の炭素原子、1個~約20個の炭素原子、1個~12個の炭素原子、又はいくつかの実施形態において1個~8個の炭素原子を有する、直鎖状及び分枝状アルキル基、並びにシクロアルキル基を指す。直鎖状アルキル基の例としては、1個~8個の炭素原子を有するもの、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、及びn-オクチル基が挙げられる。分枝状アルキル基の例としては、イソプロピル基、イソ-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、及び2,2-ジメチルプロピル基が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用する場合、「アルキル」という用語は、n-アルキル、イソアルキル、及びアンテイソアルキル基並びにアルキルの他の分枝鎖形態を包含する。代表的な置換アルキル基は、本明細書に列挙されている基のいずれか、例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、チオ基、アルコキシ基、及びハロゲン基で、1回以上置換されていてもよい。
【0081】
本明細書で使用するとき、アミンという用語は、-NH、-NHR、-NR、-NR (式中、各Rは独立して選択され、プロトン化され得ない-NR を除き、それぞれのプロトン化形態である)の置換基を指す。したがって、アミノ基で置換された任意の化合物をアミンとして見ることができる。本明細書の意味での「アミノ基」は、一級、二級、三級、又は四級アミノ基であり得る。「アルキルアミノ」基としては、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、及びトリアルキルアミノ基が挙げられる。
【0082】
本明細書で使用する「炭化水素」又は「ヒドロカルビル」という用語は、炭素原子及び水素原子を含む分子又は官能基を指す。この用語はまた、通常、炭素原子及び水素原子の両方を含むが、全ての水素原子が他の官能基で置換されている分子又は官能基も指し得る。
【0083】
本明細書で使用する「室温」という用語は、約15℃~28℃の温度を指す。
【実施例
【0084】
材料
【0085】
【表1】
【0086】
組成物の配合
【0087】
【表2】
【0088】
紫外線硬化用組成物の調製
以下のとおり、諸成分を下表2に示す量で混合することにより、シロップを調製した。
【0089】
PVBを含有するサンプルについては、アクリルモノマー、架橋剤、可塑剤、PVB及び光開始剤をMAX100 Speedmixカップ内で混ぜ合わせ、遠心樹脂ミキサー(Max 100混合カップ及びFlackTek SPEEDMIXER DAC 150 FV;共にFlackTek Incorporated,Landrum,SC製)を使用して3000rpmで5分間混合し、均質な混合物を得た。
【0090】
LA410を含有するサンプルについては、すべての成分を混合カップ内で混ぜ合わせ、次いで、溶液を一晩回転させて、アクリルモノマー中にポリマーを溶解させた。
【0091】
ポリマー添加剤を含有しないサンプルについては、まず、400グラムのEHA及び0.16グラムのIrg651を有する1クォート(0.95リットル)ジャーに充填し、光開始剤が溶解し均質な混合物が得られるまで撹拌することによって、EHAポリマーシロップを調製した。ジャーの蓋にある開口部を介して挿入した管を通して、窒素ガスを導入することによって、混合物を脱気し、少なくとも5分間激しくバブリングした。撹拌しながら、混合物を、被覆に適していると思われる粘度を有するプレ接着剤シロップが形成されるまで、UV-A光に曝露した。UV曝露後、空気をジャー内に導入した。光源は、365nmのピーク発光波長を有するLEDアレイであった。次いで、EHAポリマーシロップを含むサンプルのすべての成分をMAX100 Speedmixカップ内で混ぜ合わせ、遠心樹脂ミキサーを使用して3000rpmで2分間混合し、均質な溶液を得た。
【0092】
自己湿潤接着剤のコーティング
2つのライナーを組み合わせた厚さよりも0.002インチ(51マイクロメートル)大きい間隙を設定した2ロールコーターを使用して、350ナノメートルのピーク放射波長を有する複数の蛍光灯を使用して約1824ミリジュール/平方センチメートルの総UV-Aエネルギーに曝露させて、PET1とPET2との間で自己湿潤接着剤シロップをコーティングした。低出力感知ヘッドを装備したPOWER PUCK II放射計(EIT Incorporated,Sterling,VAから入手可能)を使用して、4.6メートル/分(15フィート/分)のウェブ速度で、総UV-Aエネルギーを決定した。次に、放射計ウェブ速度及エネルギーを使用して、アクリル系組成物の硬化中に使用したウェブ速度での総曝露エネルギーを計算した。別途記載のない限り、その後、PET1剥離ライナーを剥がして、下記の試験方法に従って試験するために自己湿潤接着テープを提供した。
【0093】
試験方法
浸潤試験
3インチ×1インチの寸法を有するスライドガラスを69°の角度で保持し、自己湿潤接着剤表面上に落とした。スライドガラスに浸潤する時間を秒単位で記録し、浸潤面積(例えば、スライドガラスでは3in)で除算した。各サンプルについて試験を3回行い、平均を表3に示すように報告した。
【0094】
180°剥離接着性試験(剥離)
幅0.5インチ(12.2cm)×長さ7インチ(178cm)の自己湿潤性接着剤コーティングテープを100cm×250cmのガラス上に置くことによって、試験用サンプルを調製した。試験前にイソプロパノールで拭くことによって、プレートを洗浄した。テープをパネル上にロールダウンして、2kgローラーを2回通過させた。スリップ/剥離試験機(Instrumentors Inc.;Strongsville,OH)で試験を実施した。180°の剥離角度及び12インチ/分(305mm/分)のプラテン速度で、合計5秒かけて、プレートからテープを剥がした。テープを剥がすために必要な力を0.5インチ当たりグラム数の単位で測定し、1インチ当たりグラム数(g/in)に変換した。すべての試験は、23℃及び50%相対湿度(RH)のCTH条件で実施した。試験前に、サンプルの条件を、CTH条件でガラス基材上で10分間の放置時間、CTH条件でガラス基材上の7日間の放置時間、及び65℃でガラス基材上で7日間の放置時間(オーブン内、湿度制御なし)とした。結果は、各接着剤についての3つの試験の平均である。結果を表3に示し、グラム毎インチ(g/in)及びニュートン毎デシメートル(N/dm)の両方で報告する。表3において、NTは、サンプルが試験されなかったことを意味する。
【0095】
【表3】
【0096】
耐擦傷性試験
ポリプロピレンスタイラスアタッチメントを備えたTABERリニア摩耗試験機モデル5750(Taber Industries,North Tonawanda,NY)を使用して、耐擦傷性試験を実施した。計測器は、直線運動で前後に動く自由浮動水平アームを有し、垂直スプラインシャフトが水平アームに取り付けられており、シャフトに荷重を加えることができる。各実験のために、サンプルを約1.5インチ×1インチの細片に切り出した。PET1シリコーン剥離ライナーを剥離し、接着剤/裏材をローラーでスライドガラス上に取り付けた。スタイラスアタッチメントが裏材に接触するように、試験片をスプラインシャフトの底部に固定した。重量ディスク0個、重量ディスク1個、重量ディスク2個、及び重量ディスク3個をシャフトに取り付けて、それぞれ対応する350グラム、600グラム、850グラム、及び1100グラムの荷重をかけて、試験を実施した。各標本に、0.16cm/秒又は1.3cm/秒のいずれかの水平磨耗試験機アーム動作速度で、1回の直線的ストローク(サイクルの半分)を与えた。それぞれの速度及び重量の組み合わせごとに、新しいサンプルを使用した。
【0097】
耐擦傷性試験の結果を図1~8に示す。図1は、同じ可塑剤充填量(15%)を含有するサンプル1及びC14に関するTABER摩耗試験機での擦傷試験の写真を示す。より低い速度及びより高い重量(0.16cm/秒、1100グラム;1.3cm/秒、1100グラム;0.16cm/秒、850グラム)において、スタイラスは、PVBを含有しないサンプルであるC14の接着剤層に目視可能な損傷を与えた。対照的に、PVBを含有するサンプル1は、擦傷試験に耐えることができる。これらの画像では、サンプルは依然としてガラス基材に積層されているため、裏打ち側がカメラに面している。
【0098】
図2は、サンプル1及びC14についてのTABER磨耗試験機での擦傷試験の写真を示す。これらの画像では、サンプルはガラス基材から剥がされ、裏返されて、接着剤側がカメラに面している。スタイラスは、PVB(C14)を含有しないサンプルに永久的な損傷を与え、明らかに観察可能な擦傷跡を伴い、ガラス基材上に残留物を残した。対照的に、15%のPVB(1)を含有するサンプルは、永久的な損傷を示さず、残留物を残さなかった。
【0099】
図3は、同じ可塑剤充填量(30%)を含有するサンプル5及びC15に関するTABER摩耗試験機での擦傷試験の写真を示す。高重量及びより低い速度(0.16cm/秒、850グラム)では、両方のサンプルが目視可能な損傷を示したが、PVB(5)を含有するサンプルは、より低い重量及びより高い速度で比較的少ない損傷を示した。重量ディスク0個(250グラム)では、スタイラスは、PVBを含有しないサンプルであるC15の接着剤層に目視可能な損傷を与えた。対照的に、PVBを含有するサンプル5は、擦傷試験に耐えることができる。これらの画像では、サンプルは依然としてガラス基材に積層されているため、裏打ち側がカメラに面している。
【0100】
図4は、サンプル5及びC15についてのTABER磨耗試験機での擦傷試験の写真を示す。これらの画像では、サンプルはガラス基材から剥がされ、裏返されて、接着剤側がカメラに面している。スタイラスはPVB(C15)を含有しないサンプルに永久的な損傷を与えたが、15%のPVB(5)を含有するサンプルは、永久的な損傷を示さなかった。
【0101】
図5は、同じ可塑剤充填量(45%)を含有するサンプル6及びC16に関するTABER摩耗試験機での擦傷試験の写真を示す。高重量及びより低い速度(0.16cm/秒、850グラム)では、両方のサンプルが目視可能な損傷を示したが、PVB(6)を含有するサンプルは、より低い重量及びより高い速度で比較的少ない損傷を示した。重量ディスク0個(250グラム)では、スタイラスは、PVBを含有しないサンプルであるC16の接着剤層に目視可能な損傷を与えた。対照的に、PVBを含有するサンプル6は、擦傷試験に耐えることができる。これらの画像では、サンプルは依然としてガラス基材に積層されているため、裏打ち側がカメラに面している。
【0102】
図6は、サンプル6及びC16についてのTaABER磨耗試験機での擦傷試験の写真を示す。これらの画像では、サンプルはガラス基材から剥がされ、裏返されて、接着剤側がカメラに面している。スタイラスはPVB(C16)を含有しないサンプルに永久的な損傷を与えたが、15%のPVB(6)を含有するサンプルは、永久的な損傷を示さなかった。
【0103】
図7は、同じ可塑剤充填量(15%)を含有するサンプルC17及びC14に関するTABER摩耗試験機での擦傷試験の写真を示す。すべての速度及び重量で、スタイラスは、C14と比較して、同様の程度の又はより目視可能な損傷をC17の接着剤層に与え、添加されたポリマーとしてのLA410は接着剤の耐擦傷特性を向上させなかったことを示している。これらの画像では、サンプルは依然としてガラス基材に積層されているため、裏打ち側がカメラに面している。
【0104】
図8は、同じ重量及び速度での、サンプルC17及び21についてのTABER磨耗試験機での擦傷試験の写真を示す。これらの画像では、サンプルはガラス基材から剥がされ、裏返されて、接着剤側がカメラに面している。スタイラスはPVB(C17)を含有するサンプルに永久的な損傷を与えなかったが、LA410を含有するサンプルは同じ耐擦傷性挙動を示さなかった。
【0105】
剪断力試験方法
静的剪断力は、ASTM D3654-82、名称「感圧テープの保持力(Holding Power of Pressure-Sensitive Tapes)」の方法(以下の変更を行った)に従って決定した。剥離ライナー(単一又は複数)が存在する場合、それを試験用サンプルから取り外した。CTHの条件は、70°F(21℃)及び50% RHであった。高湿度実験では、条件は90°F(32℃)及び90% RHであった。幅1.27cm(0.5インチ)、長さ7.62cm(3インチ)の接着剤コーティングテープのサンプルを、3つの複製にダイカットした。長さ方向における最初の1.27cm(0.5インチ)の接着剤を、6.8kg(15lb)のハンドヘルドローラーが上記の長さのサンプルの上を30.48cm/分(12インチ/分)の速度で2回通過するようにすることで、5.08cm(2インチ)×5.08cm(2インチ)のガラス基材の縁部に接着させた。接着剤の反対側をそれ自体の上に折り重ねてステープルで留め、フック型の形状を作り、ハンガーを掛けて、次いで、重りを掛けた。サンプルを静的剪断スタンド(CHEMInstruments;Fairfield,OH)に取り付けた。
【0106】
試験用サンプルを、CTH試験のために、21℃及び50% RHで、試験基材上に1時間放置し、高湿度試験のために、90°F(32℃)及び90% RHで放置し、その後、2000g、3000g、又は4000gの重りをハンガーに掛けた。破損するまでの時間(分)を記録して、試験用サンプル全てについて、標準検査法の第10.1章の手順A及びCに従って算出される平均値を報告した。4個のサンプルを試験して、4個のサンプルが破損するまでの平均時間を記録した。結果を表4に示す。
【0107】
【表4】
【0108】
追加的実施形態
以下の例示的な実施形態を示すが、その番号付けは重要度を示すものと解釈されるものではない。
【0109】
実施形態1 a)少なくとも25℃のT又はTを任意に有する、約5重量部~約40重量部の溶質コポリマー成分と、
b)(メタ)アクリレートモノマー及び多官能性アクリレートを含む、約60重量部~約95重量部の溶媒モノマー成分であって、
a)とb)との合計は100重量部である、溶媒モノマー成分と、
c)a)及びb)100部に対して、約5部~約100部の可塑剤成分であって、可塑剤成分は、酸基を含む少なくとも1種の可塑剤を含む、可塑剤成分と、
を含む組成物。
【0110】
実施形態2 溶媒モノマー成分が、
d)約5重量部~約95重量部の低Tモノマーと、
e)約0部~約20部の酸官能性モノマーと、
f)約0部~約20部の非酸官能性極性モノマーと、
g)約5部~約40部の多官能性アクリレート架橋剤と、
を含み、d)~g)の合計は、100重量部である、
実施形態1に記載の組成物。
【0111】
実施形態3 組成物が、シロップポリマー組成物である、実施形態1に記載の組成物。
【0112】
実施形態4 シロップポリマー組成物が、22℃で約500cPs~約40,000cPsの粘度を有する、実施形態3に記載の組成物。
【0113】
実施形態5 溶質コポリマーが、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルピロリドン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリビニルアルコール及びアルカナール由来のポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリ尿素、ポリブタジエン、ポリスチレン、これらの任意のコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせから選択される、実施形態1に記載の組成物。
【0114】
実施形態6 アルカナールが、以下の構造を有する、実施形態5に記載の組成物。
【化2】
(式中、Rは、(C~C20)ヒドロカルビルから選択される。)
【0115】
実施形態7 Rが、(C~C20)アルキルである、実施形態6に記載の組成物。
【0116】
実施形態8 溶質コポリマー成分が、ポリ(ビニルブチラール)を含む、実施形態5に記載の組成物。
【0117】
実施形態9 溶質コポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)とポリ(n-ブチルアクリレート)とのブロックコポリマーを含む、実施形態1に記載の組成物。
【0118】
実施形態10 溶媒モノマーが、約0重量部~15重量部の酸官能性モノマーと、約60重量部~約90重量部の低Tモノマーとを含む、実施形態2に記載の組成物。
【0119】
実施形態11 溶媒モノマー成分が、約20重量部~約60重量部の低Tモノマー単位を含む、実施形態1に記載の組成物。
【0120】
実施形態12 溶質コポリマーが、組成物の約10重量部~約20重量部である、実施形態1に記載の組成物。
【0121】
実施形態13 溶媒モノマー中の酸官能性モノマーのうちの少なくとも1種が、カプリン酸、ラウリン酸、脂肪酸、オレイン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、2-エチルヘキサン酸、ミリスチン酸、フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、グルタル酸、塩酸、次亜塩素酸、塩素酸、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルホン酸、硫酸、ポリ硫酸、ペルオキシ一硫酸、ペルオキシ二硫酸、ジチオン酸、チオ硫酸、二亜硫酸、亜硫酸、亜ジチオン酸、ポリチオン酸、チオ亜硫酸、酸性酸、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、及びセバシン酸のうちの少なくとも1種である、実施形態2に記載の組成物。
【0122】
実施形態14 溶媒モノマー中の非酸官能性極性モノマーが、エチレン性不飽和ヒドロキシル含有モノマー、エチレン性不飽和アミン含有モノマー、又はこれらの組み合わせである、実施形態2に記載の組成物。
【0123】
実施形態15 溶媒モノマー成分が、約0重量部~約15重量部の非酸官能性極性モノマーを含む、実施形態2に記載の組成物。
【0124】
実施形態16 溶媒モノマー成分が、約0重量部~約15重量部の酸官能性モノマーを含む、実施形態2に記載の組成物。
【0125】
実施形態17 組成物が、a)及びb)100部に対して、約10部~約80部の可塑剤成分を含む、実施形態1に記載の組成物。
【0126】
実施形態18 酸を含む可塑剤が、約100重量部の可塑剤成分である、実施形態1に記載の組成物。
【0127】
実施形態19 酸を含む可塑剤が、約5重量部~約99重量部の可塑剤成分である、実施形態18に記載の組成物。
【0128】
実施形態20 酸を含む可塑剤が、カプリン酸、ラウリン酸、脂肪酸、オレイン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、2-エチルヘキサン酸、ミリスチン酸、フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、グルタル酸、及びセバシン酸のうちの少なくとも1種である、実施形態18に記載の組成物。
【0129】
実施形態21 可塑剤成分が、酸基を含まない少なくとも1種の可塑剤を更に含む、実施形態18に記載の組成物。
【0130】
実施形態22 酸基を含まない可塑剤が、約1部~約95部の可塑剤成分である、実施形態21に記載の組成物。
【0131】
実施形態23 酸基を含まない可塑剤が、約5部~約50部の可塑剤成分である、実施形態21に記載の組成物。
【0132】
実施形態24 酸基を含まない可塑剤が、脂肪族モノアルキルエステル、芳香族モノアルキルエステル、脂肪族ポリアルキルエステル、芳香族ポリアルキルエステル、脂肪族アルコールのポリアルキルエステル、ホスホン酸ポリアルキルエステル、脂肪族ポリ(アルコキシル化)エステル、芳香族ポリ(アルコキシル化)エステル、脂肪族アルコールのポリ(アルコキシル化)エーテル、及びフェノールのポリ(アルコキシル化)エーテルのうちの少なくとも1種である、実施形態1に記載の組成物。
【0133】
実施形態25 実施形態1の組成物から形成されたフィルム。
【0134】
実施形態26 フィルムが、硬化接着フィルムである、実施形態25に記載のフィルム。
【0135】
実施形態27 フィルムが、少なくとも0.16cm/秒の速度を有し、スタイラスに適用される重量が約0グラム~約1500グラムの範囲であるスタイラスの直線的ストロークを受けたとき、耐擦傷性を有する、実施形態26に記載の硬化接着フィルム。
【0136】
実施形態28 フィルムが、溶質コポリマー成分を実質的に含まない対応するフィルムよりも耐擦傷性が高い、実施形態27に記載の硬化接着フィルム。
【0137】
実施形態29 フィルムの幅0.5インチ、長さ0.5インチのサンプルが、約2lbs/in~約10lbs/inの範囲の力がフィルムに適用されたとき、約10分~40日の範囲の時間にわたって、基材に接着したままである、実施形態26に記載の硬化接着フィルム。
【0138】
実施形態30 フィルムが、最大約30日間の範囲の時間にわたって基材に接着したままである、実施形態29に記載の硬化接着フィルム。
【0139】
実施形態31 フィルムが、約5日~約10日の範囲の時間にわたって基材に接着したままである、実施形態29に記載の硬化接着フィルム。
【0140】
実施形態32 フィルムが、溶質コポリマー成分を実質的に含まない対応するフィルムよりも実質的に長い期間にわたって基材に接着したままである、実施形態26に記載の硬化接着フィルム。
【0141】
実施形態33 フィルムの浸潤率が、約0.5秒/in~約50秒/inの範囲である、実施形態26に記載の硬化接着フィルム。
【0142】
実施形態34 フィルムの浸潤率が、約27秒/in~約40秒/inの範囲である、実施形態26に記載の硬化接着フィルム。
【0143】
実施形態35 フィルムの浸潤率が、約0.5秒/in~約10秒/inの範囲である、実施形態26に記載の硬化接着フィルム。
【0144】
実施形態36 180度の剥離角度及び12in/分の速度でフィルムをガラス基材から剥離する力が、約0.1N/dm~約10N/dmの範囲である、実施形態26に記載の硬化接着フィルム。
【0145】
実施形態37 180度の剥離角度及び12in/分の速度でフィルムをガラス基材から剥離する力が、約0.1N/dm~約5N/dmの範囲である、実施形態26に記載の硬化接着フィルム。
【0146】
実施形態38 硬化接着フィルムが、偏光子に適用される、実施形態26に記載の硬化接着フィルム。
【0147】
実施形態39 光学フィルム上に配置された、実施形態26に記載の硬化接着フィルムの層を備える、接着物品。
【0148】
実施形態40 光学フィルムが、多層光学フィルムである、実施形態39に記載の接着物品。
【0149】
実施形態41 光学フィルムが、微細構造化光学フィルムである、実施形態39に記載の接着物品。
【0150】
実施形態42 光学フィルムの反対側の硬化接着フィルム表面に配置された剥離ライナーを更に備える、実施形態39に記載の接着物品。
【0151】
実施形態43 実施形態1に記載の組成物を光重合することを含む、硬化接着フィルムの製造方法。
【0152】
実施形態44 硬化接着フィルムの製造方法であって、
実施形態1に記載の組成物のフィルムを形成することと、
組成物を光重合することと、
を含む、製造方法。
【0153】
実施形態45 a)(メタ)アクリレートモノマー及び多官能性アクリレートを含む、約60重量部~約95重量部の溶媒モノマー成分と、
b)少なくとも25℃のT又はTを任意に有する、約5重量部~約40重量部の溶質コポリマー成分であって、
a)とb)との合計は、100重量部である、溶質コポリマー成分と、
を含む組成物を少なくとも部分的に重合して、少なくとも部分的に重合した組成物を得ること、
を含む、硬化接着フィルムの製造方法。
【0154】
実施形態46 c)約5部~約40部の多官能性アクリレート架橋剤を添加することと、
d)a)及びe)100重量部に対して約5部~約100部の可塑剤を、少なくとも部分的に重合した組成物に添加し、第2の組成物を得ることと、
e)第2の組成物を更に光重合することと、
を更に含む、実施形態45に記載の製造方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8