(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】耐変色性に優れた樹脂成形体
(51)【国際特許分類】
B65D 1/00 20060101AFI20220802BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220802BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20220802BHJP
B65D 1/26 20060101ALI20220802BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20220802BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
B65D1/00 111
B32B27/00 H
B32B27/18 F
B65D1/26 110
C08K3/08
C08L101/00
(21)【出願番号】P 2017144424
(22)【出願日】2017-07-26
【審査請求日】2020-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩介
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】石原 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】大槻 梓
(72)【発明者】
【氏名】田邉 利裕
(72)【発明者】
【氏名】厚木 将志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 剛
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0287318(US,A1)
【文献】特開2008-254765(JP,A)
【文献】国際公開第2017/093541(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/073590(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0104488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00- 1/48
B32B 1/00- 43/00
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Zn,Sn,Mnから選択される少なくとも1種から成る金属又は金属化合物と、該3種以外の金属又は金属化合物であって腐食性ガスもしくは揮発性硫黄化合物と反応して呈色する金属又は金属化合物とが添加されている熱可塑性樹脂から成る容器であって、
前記容器が、内層/中間層/酸素吸収層/外層を少なくとも有する多層構造を有し、前記3種から選択される金属又は金属化合物が前記中間層に含有され、前記3種以外の金属又は金属化合物が前記酸素吸収層に含有されている遷移金属又は遷移金属化合物であり、
前記腐食性ガスが、硫黄、塩素、フッ素から選択される少なくとも1
つを含有するガスであり、
前記3種の金属又は金属化合物が前記腐食性ガスもしくは揮発性硫黄化合物の捕捉剤として機能することを特徴とする高温高湿条件による殺菌用の容器。
【請求項2】
前記3種以外の金属が、Co及び/又はFeに由来する請求項1記載の
容器。
【請求項3】
前記腐食性ガスが、硫化水素である請求項1又は2記載の
容器。
【請求項4】
前記3種から選択される金属又は金属化合物が、酸化亜鉛又はステアリン酸亜鉛に由来する請求項1~3の何れかに記載の
容器。
【請求項5】
前記3種から選択される金属又は金属化合物が
容器中に、0.1~5.0重量%の量で含有されている請求項
1~4の何れかに記載の
容器。
【請求項6】
前記多層構造を有する
容器がカップ型容器であり、該カップ型容器の胴部におけるヘイズが70%以下である請求項
1~5の何れかに記載の
容器。
【請求項7】
硫黄元素を含むアミノ酸を含有する内容品を充填するため容器である請求項
1~6の何れかに記載の
容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂から成る成形体に関するものであり、より詳細には、硫黄元素等を含有する内容物を充填した場合にも容器の変色が抑制された、特定の金属又は金属化合物を含有する樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製容器は、金属容器やガラス容器に比して器壁の酸素透過が無視できないものであることから、従来より内容品の保存性を向上させるために、エチレン-ビニルアルコール共重合体等のガスバリア性樹脂を中間層とする多層容器とすることが広く行われている。
また容器内の酸素を除去するために、脱酸素剤の使用も古くから行われているが、鉄粉等の脱酸素剤を配合した容器は、酸素吸収性能という点では優れているが、容器を固有の色相に着色してしまうため、透明性が要求される容器には使用できないという用途の制約がある。
【0003】
容器の透明性を損なうことなく、容器内の酸素を捕集可能な酸素吸収性樹脂組成物を用いた容器も知られており、例えば下記特許文献1には、20℃及び0%RHでの酸素透過係数が10-12cc・cm/cm2・sec・cmHg以下で且つ20℃及び100%RHでの水分吸着量が0.5%以上であるガスバリア性熱可塑性樹脂に遷移金属の有機金属錯体を配合した樹脂組成物を中間層とし、該中間層の両側に耐湿性可塑性樹脂の層を設けた積層構造物から成ることを特徴とするプラスチック多層容器が記載されている。
また下記特許文献2には、ポリマーから成り酸素捕集特性を有する組成物または該組成物の層を含有する包装用障壁において、組成物が酸化可能有機成分の金属触媒酸化により酸素を捕集することを特徴とする包装用障壁が記載されている。
このような酸素吸収性樹脂組成物から成る層を有する容器においては、容器の透明性を確保しながら、外部からの酸素透過を抑制するだけでなく、容器内の残存酸素を取り除くことによって、更に優れた内容物の保存性を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平1-278344号公報
【文献】特表平2-500846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した酸素吸収性樹脂組成物には、酸素吸収反応を促進するための触媒としてコバルト塩等の遷移金属触媒が含有されている。かかる酸素吸収性樹脂組成物から成る層を有する容器に、肉類、魚介類等の含硫アミノ酸を含有する内容品を充填し、レトルト殺菌やボイル殺菌等の高温高湿度条件下に賦すると、内容品から発生する硫化水素が器壁中のコバルト塩等の遷移金属触媒と反応して硫化コバルト等を形成してしまい、器壁が黒色に変化するという問題を生じることが分かった。
また上記酸素吸収性樹脂組成物以外にも、金属又は金属化合物を含有する樹脂組成物と、内容品から発生する腐蝕性ガスや揮発性硫黄化合物が反応して器壁が変色してしまうこともある。
【0006】
従って本発明の目的は、酸素吸収性樹脂組成物から成る層を有する容器等のように、腐食性ガスや揮発性硫黄化合物と反応して呈色する金属又は金属化合物が配合されている熱可塑性樹脂から成る成形体において、レトルト殺菌等に賦されても変色が抑制されている成形体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、Zn,Sn,Mnから選択される少なくとも1種から成る金属又は金属化合物と、該3種以外の金属又は金属化合物であって腐食性ガスもしくは揮発性硫黄化合物と反応して呈色する金属又は金属化合物とが添加されている熱可塑性樹脂から成る容器であって、前記容器が、内層/中間層/酸素吸収層/外層を少なくとも有する多層構造を有し、前記3種から選択される金属又は金属化合物が前記中間層に含有され、前記3種以外の金属又は金属化合物が前記酸素吸収層に含有されている遷移金属又は遷移金属化合物であり、前記腐食性ガスが、硫黄、塩素、フッ素から選択される少なくとも1つを含有するガスであり、前記3種の金属又は金属化合物が前記腐食性ガスもしくは揮発性硫黄化合物の捕捉剤として機能することを特徴とする高温高湿条件による殺菌用の容器が提供される。
【0008】
本発明の容器においては、
1.前記3種以外の金属が、Co及び/又はFeに由来すること、
2.前記腐食性ガスが、硫化水素であること、
3.前記3種から選択される金属又は金属化合物が、酸化亜鉛又はステアリン酸亜鉛に由来すること、
4.前記3種から選択される金属又は金属化合物が容器中に、0.1~5.0重量%の量で含有されていること、
5.前記多層構造を有する容器がカップ型容器であり、該カップ型容器の胴部におけるヘイズが70%以下であること、
6.硫黄元素を含むアミノ酸を含有する内容品を充填するため容器であること、
が好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、酸素吸収性樹脂組成物等を含有する成形体のように、内容物からの腐食性ガス又は揮発性硫黄化合物と反応して呈色する金属又は金属化合物(以下、総称して「黒変金属」ということがある)が添加されている成形体であっても、Zn,Sn,Mnから選択される少なくとも1種から成る金属又は金属化合物(以下、「捕捉剤」ということがある)を含有することにより、これら3種の金属又は金属化合物が、内容物からの腐食性ガス又は揮発性硫黄化合物を効率よく捕捉するため、揮発性硫黄化合物等との反応による成形体の変色を抑制することが可能になる。
また捕捉剤として上記3種の金属の有機酸塩を使用することにより、成形体の透明性を損なうことがなく、外観特性に顕著に優れており、カップ型容器の形状を有する本発明の成形体では、内容物充填・レトルト殺菌後における容器胴部のヘイズが70%以下の透明性を有している。
すなわち、後述する実施例の結果から明らかなように、ネオデカン酸コバルトを含有する酸素吸収性バリア樹脂組成物を備えて成る多層容器において、Zn,Sn,Mnの少なくとも1種から成る金属又は金属化合物を含有していない場合(比較例1)は、亜鉛含有樹脂組成物から成る層を有する場合(実施例1~6)に比して、Δ*E及びヘイズが劣っており、Zn,Sn,Mnの少なくとも1種から成る金属又は金属化合物により硫黄化合物が優先的に捕捉されていると共に、これらの3種の金属又は金属化合物が硫黄化合物と反応しても容器の外観に影響を与えることが少ないことがわかる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の成形体においては、Zn,Sn,Mnから選択される少なくとも1種から成る金属又は金属化合物と、該3種以外の金属又は金属化合物であって腐食性ガスもしくは揮発性硫黄化合物と反応して呈色する金属又は金属化合物とが添加されている熱可塑性樹脂から成る成形体であることが重要な特徴であり、前記3種の金属又は金属化合物が前記腐食性ガスもしくは揮発性硫黄化合物の捕捉剤として機能することにより、前記3種以外の金属又は金属化合物が内容物からの腐食性ガス或いは揮発性硫黄化合物と反応することを抑制し、成形体の変色を防止することが可能になる。
【0011】
(捕捉剤)
本発明においては、Zn,Sn,Mnから選択される少なくとも1種の金属又はその金属化合物が、腐食性ガス又は揮発性硫黄化合物と優先的に反応して、例えばZnSのような塩を形成することによってこれらの腐食性ガス等を捕捉することにより、Zn,Sn,Mn以外の腐食性ガスなどと反応して黒変する前述した金属又は金属化合物が腐食性ガス又は揮発性硫黄化合物の反応を抑制し、成形体の変色を有効に防止できる。
すなわち、前述したZn,Sn,Mnから選択される少なくとも1種の金属又は金属化合物が、成形体の変色の原因となる腐食性ガス又は揮発性硫黄化合物と反応すると、白色のZnS、黄緑色のSnS、ピンク色のMnSといずれも淡色であることから、変色しても目立たないので、容器の外観を損なうことがない。
本発明においては、捕捉剤として使用されるZn,Sn,Mnから選択される金属の化合物としては、これらの金属の無機塩又は有機塩等の金属化合物を挙げることができる。無機塩としては、酸化物、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ塩、ケイ酸塩等を例示でき、有機塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩等を例示できる。また成形体の透明性を向上させるためには、有機塩であることが好ましく、具体的には、ステアリン酸金属塩等の高級脂肪酸金属塩が好ましい。
最も好適な捕捉剤として、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛を使用することができる。
【0012】
捕捉剤は、成形体中に含有されている黒変金属の種類及び含有量、或いは腐食性ガス等を発生する内容物の種類や充填量等を考慮して、配合すべき金属種やその量を決定すべきであり、一概にその配合量を規定することはできないが、例えば、ネオデカン酸コバルトを触媒として含有する酸素吸収性樹脂組成物を含有する成形体において、ネオデカン酸コバルトが金属換算で10~1000ppmの量で酸素吸収性樹脂組成物中に含有されている場合には、成形体中に上記3種が金属換算で0.001~5.0重量%、特に0.01~0.52重量%で含有されていることが望ましい。
【0013】
(Zn,Sn,Mn以外の金属又は金属化合物)
本発明は、内容物の保存性を高めるために、反応触媒である遷移金属化合物を含有する酸素吸収性樹脂組成物を含有する成形体のみならず、抗菌性を付与するために、銀、銅の微粒子を含有する抗菌性樹脂組成物を含有する成形体をはじめ、金属又は金属化合物を含有する成形体は腐食性ガスや揮発性硫黄化合物を発生させる成分が接触することにより、上記遷移金属化合物や金属微粒子と反応して黒色に変色し、商品価値を損なうおそれがある。
Zn,Sn,Mn以外の金属又は金属化合物としては、腐食性ガスや揮発性硫黄化合物と反応して変色する限り制限はないが、以下の金属又はこの金属化合物を例示できる。
例えば、後述する酸素吸収性樹脂組成物においては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属の他、銅、銀等の第I族金属、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウム等の第V族金属、クロム等の第VI族金属等、が酸化性有機成分の酸化を促進するための反応触媒として含有され、また成形体に抗菌性等を付与する目的で、銀、銅、金等の微粒子が含有されている場合がある。
【0014】
成形体中に含有される場合がある上記金属の化合物としては、これらの金属の無機塩又は有機塩等の金属化合物を挙げることができ、金属化合物の例は前述した捕捉剤の例と同様である。
本発明においては上記金属の中でも、腐食性ガス又は揮発性硫黄化合物等と反応して黒変し、成形体の色味に大きな影響を与える金属種として、コバルト、鉄、銀、銅、チタン等を例示することができ、特にコバルト、鉄が含有されている場合に効果が大きい。尚、これらの金属又は金属化合物は複数種が含有されている場合もある。
【0015】
(腐食性ガス及び揮発性硫黄化合物)
本発明において、捕捉剤により捕捉可能な腐食性ガス又は揮発性硫黄化合物は、硫黄、塩素、フッ素等のハロゲンを含有するガス、特に硫化水素ガス等である。
具体的には、成形体内に充填される内容物である魚介類や肉類等のシスチンやシステイン等の含硫アミノ酸がレトルト殺菌等の加熱により熱分解することによって発生する硫化水素である。
【0016】
(成形体)
本発明の成形体においては、前述した腐食性ガス又は揮発性硫黄化合物と反応して呈色するZn,Sn,Mn以外の金属又はその金属化合物(黒変金属)と、Zn,Sn,Mnから選択される少なくとも1種の金属又はその金属化合物から成る捕捉剤の両方を含有しており、これらを同一の層中に設けることも可能だが、捕捉剤が腐食性ガス等と優先的に反応するために、これらは別の層で成形体内に含有されていることがより好ましい。
また内容物から発生する腐食性ガス等と捕捉剤が優先的に反応するという観点から、捕捉剤は黒変金属よりも内側となる層に含有されていることが好ましい。
尚、本発明の成形体は、上述したように、捕捉剤及び黒変金属をそれぞれ含有する層を有すると共に、捕捉剤を含有する層が黒変金属を含有する層よりも内側に位置することが好適であるが、他の層の種類や位置、或いは成形体の形状や成形方法については特に限定されない。
【0017】
[成形方法]
本発明の成形体は、それ自体公知の射出成形或いは押出成形により、所定の層構造を有するプリフォームを成形し、次いで、得られたプリフォームを溶融成形及び固相成形(例えばブロー成形、真空成形、プラグアシスト成形等)することにより製造される。また、各樹脂を多層ダイ内で合流させ、中間層樹脂が封入するように溶融樹脂を押し出し、中間層樹脂が存在しない部分で切断し、金型内に投入後、コア型で圧縮成形することにより製造される。
ボトル形状の容器を製造する場合には、試験管形状のプリフォームを成形した後、ブロー成形を行えばよい。この場合、プリフォームの形状をチューブ状とし、その一端をピンチオフして閉じた後、ダイレクトブロー成形することによりボトル形状の容器を得ることもできる。
また、カップ型容器やトレイ型容器を製造する場合には、シート状のプリフォームを成形し、次いで、真空圧空成形や圧空成形等のプラグアシスト成形を行うことにより、カップ型容器やトレイ型容器を得ることができる。
更に、上記の他、多層ダイを用い押出成形によるチューブ状容器や、フィルム、シート等の成形体であってもよい。
本発明においては、上記真空圧空成形や圧空成形等のプラグアシスト成形によるカップ型容器とすることが特に好適である。
【0018】
本発明において、黒変金属含有樹脂層(具体例として酸素吸収性層)、捕捉剤含有樹脂層は、いずれも中間層として成形体中に存在することが好ましく、これら以外の層としては、内外層の他、用途等に応じてガスバリア性層、リグラインド層、ゼオライト等の吸着剤を含有する吸着剤含有層等、適宜選択することができる。
【0019】
[内外層]
本発明の成形体の内外層としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂を例示することができる。
オレフィン系樹脂としては、従来より包装材料として使用されている、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)等のポリエチレンや、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリブテン-1、エチレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン-1共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、環状オレフィンコポリマ-(COC)等を挙げることができる。
またオレフィン系樹脂は、従来から包装材料の分野で使用されている押出グレード或いは射出グレードのものである。
【0020】
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステルや、これらのポリエステルとポリカーボネートやアリレート樹脂等のブレンド物を挙げることができる。
一般に、エステル反復単位の大部分(一般に60モル%以上、特に80モル%以上)がエチレンテレフタレート単位であり、ガラス転移点(Tg)が50乃至90℃、特に55乃至80℃であり、且つ融点(Tm)が200乃至275℃、特に220乃至270℃のポリエチレンテレフタレート(PET)系ポリエステルが好適に容器成形に用いられている。
【0021】
また、PET系ポリエステルとしては、ホモポリエチレンテレフタレートが最適であるが、エチレンテレフタレート単位の含有量が上記範囲内にある共重合ポリエステルも好適に使用される。
かかる共重合ポリエステルにおいて、テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;等の1種又は2種以上の組み合わせを例示することができ、エチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられる。
ポリエステル樹脂においても、少なくともフィルムを形成し得るに足る分子量を有しているべきであり、一般に固有粘度(I.V)が、0.6乃至1.40dl/g、特に0.63乃至1.30dl/gの範囲にある。
【0022】
尚、内層と外層は同種の樹脂で形成されている必要は必ずしもなく、例えば外層を前述したポリエステル樹脂で形成し、内層をオレフィン系樹脂で形成することも勿論可能である。更に内外層中には、必要により、核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、改質剤、顔料、紫外線吸収剤等が配合されていてよい。
【0023】
[ガスバリア性層]
ガスバリア性層を構成する樹脂としては、これに限定されないが、エチレンビニルアルコール(EVOH)共重合体、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。
EVOH共重合体としては、従来より包装材料の分野で酸素バリア性樹脂として使用されているものを挙げることができ、これに限定されないが、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が好適に使用されている。このEVOH共重合体は、フィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般に、フェノール/水の重量比が85/15の混合溶媒中、30℃で測定して0.01dl/g以上、特に0.05dl/g以上の固有粘度を有する。
【0024】
ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/6,6共重合体、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13、キシリレン基含有ポリアミド等のポリアミド樹脂を挙げることができる。
これらのポリアミド樹脂の中でも、特にガスバリア性に優れるものとして、キシリレン基含有ポリアミド樹脂が用いられる。キシリレン基含有ポリアミドとしては、具体的には、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスベラミド、ポリパラキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド等の単独重合体、及びメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体等の共重合体、或いはこれらの単独重合体または共重合体の成分とヘキサメチレンジアミンの如き脂肪族ジアミン、ピペラジンの如き脂環式ジアミン、パラ-ビス(2アミノエチル)ベンゼンの如き芳香族ジアミン、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、ε-カプロラクタムの如きラクタム、7-アミノヘプタン酸の如きω-アミノカルボン酸、パラ-アミノメチル安息香酸の如き芳香族アミノカルボン酸等を共重合した共重合体が挙げられるが、メタキシリレンジアミン及び/又はパラキシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分と、脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸とから得られるポリアミド樹脂が特に好適に用いられる。
【0025】
[酸素吸収性層]
本発明において、前述した黒変金属は酸素吸収性樹脂組成物の触媒として使用されている。このような酸素吸収性樹脂組成物としては、上述したオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ガスバリア性樹脂等から選択される樹脂を基材樹脂とし、この基材樹脂に酸化性有機成分及び遷移金属触媒を含有して成る樹脂組成物から成るものを使用できる。
酸化性有機成分としては、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム、ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等のポリエン系重合体を例示することができる。
これらのポリエン系重合体は、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、水酸基が導入されていることが好ましい。これらの官能基を導入するのに用いられる単量体としては、上記官能基を有するエチレン系不飽和単量体が挙げられる。
これらの単量体としては、不飽和カルボン酸又はこれらの誘導体を用いるのが好ましく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等のα,β-不飽和カルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等のα,β-不飽和カルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸の無水物が挙げられる。
【0026】
〈遷移金属触媒〉
上述した酸化性有機成分と共に使用される遷移金属触媒において、遷移金属としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属が好適であるが、他に銅、銀等の第I族金属、錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウム等の第V族金属、クロム等の第VI族金属、マンガン等の第VII族金属等であってもよい。これらの中でも特にコバルトは、酸素吸収性(酸化性有機成分の酸化)を著しく促進させることから、用いられることが多く、前述したとおり、腐食性ガス又は揮発性硫黄系化合物と反応して、黒変する可能性が高いものである。
【0027】
遷移金属触媒は、一般に、上記遷移金属の低価数の無機塩、有機塩或いは錯塩の形で使用される。無機塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ塩、ケイ酸塩等が挙げられる。
有機塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、本発明の目的にはカルボン酸塩が好適である。その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩を挙げることができる。
【0028】
また、遷移金属の錯体としては、β-ジケトンまたはβ-ケト酸エステルとの錯体が挙げられる。β-ジケトンやβ-ケト酸エステルとしては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3-シクロヘキサジオン、メチレンビス-1,3-シクロヘキサジオン、2-ベンジル-1,3-シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2-アセチルシクロヘキサノン、2-ベンゾイルシクロヘキサノン、2-アセチル-1,3-シクロヘキサジオン、ベンゾイル-p-クロルベンゾイルメタン、ビス(4-メチルベンゾイル)メタン、ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4-クロルベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4-メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)メタン及びジピバロイルメタン等を用いることができる。
【0029】
[接着樹脂層]
接着樹脂層は必ずしも必要ではないが、従来から接着層形成用の接着性樹脂として使用されている、例えば、無水マレイン酸によりグラフト変性されたグラフト変性オレフィン系樹脂を用いることができる。この場合、グラフト変性すべきオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-αオレフィン共重合体が好適である。
【0030】
[層構成]
本発明の成形体の層構成の例としては、これに限定されないが、以下の層構造を例示することができる。
尚、以下の例において、黒変金属含有樹脂層である酸素吸収性層はSC層、捕捉剤含有層はZn層、EVOH共重合体等のバリア性樹脂から成る酸素バリア層はGB層、接着層はAD層、リグラインド層はRG層として示した。
内層/Zn層/Sc層/外層
内層/AD層/Zn層/SC層/AD層/外層
内層/Zn層/GB層/SC層/GB層/外層
内層/Zn層/AD層/Sc層/AD層/外層
内層/Zn層/AD層/GB層/SC層/GB層/AD層/外層
内層/Zn層/AD層/Sc層/GB層/AD層/外層
内層/Zn層/AD層/GB層/SC層/外層
内層/Zn層/Sc層/AD層/GB層/AD層/外層
内層/Zn層/AD層/GB層/Sc層/GB層/AD層/RG層/外層
内層/Zn層/AD層/GB層/AD層/RG層/Sc層/AD層/GB層/AD層/外層
上記層構成の中でも、内層/Zn層/AD層/GB層/Sc層/GB層/AD層/外層が好適である。また、各層の何れかにゼオライト等の吸着剤を配合したり、各層間の何れかに吸着層脱臭層を設けることがより好ましい。
【実施例】
【0031】
(評価方法)
熱処理時に容器黒変の原因になり得ない内容物として水を充填した多層容器をサンプルA、熱処理時に容器黒変の原因となり得る内容物として0.5wt%システイン水溶液を充填した多層容器をサンプルBとし、各実施例のサンプルA、Bを115℃ 60分のレトルト殺菌処理を行い、その後下記の評価を実施した。
【0032】
[変色評価]
サンプルA及びBの内容物を排出後に胴部側面をカットして得たサンプル片について、*L*a*bを色彩色差計(コニカミノルタ社製 CR-400)にて測定し、下記式(1)からΔ*Eを算出した。
Δ*E={(*LB-*LA)2+(*aB-*aA)2+(*bB-*bA)2}0.5・・・(1)
(*LA
*aA
*bAはサンプルAの*L*a*b測定値、*LB
*
a
B
*bBはサンプルBの*L*a*b測定値)
【0033】
[透明性評価]
サンプルBにおいて内容物を排出後に胴部側面をカットしたサンプル片に流動パラフィンを塗布し、内部ヘイズをSM カラーコンピューター(スガ試験機社製 MODEL SM-4)にて測定した。
【0034】
(実施例1)
MFR0.5g/10minのポリプロピレン樹脂、接着樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂(以下「EVOH」という)、EVOH94.77重量部に対しネオデカン酸コバルト0.23重量部、マレイン酸変性ポリブタジエン5.00重量部含有する酸素吸収性バリア性樹脂組成物ペレット、MFR0.5g/10minのポリプロピレン樹脂95重量部に対しステアリン酸亜鉛5重量部含有する亜鉛含有樹脂組成物ペレット(亜鉛化合物濃度5wt%)を用い5種8層の多層シートを作製した。
層構成及び重量比率は外層側より、ポリプロピレン層(39wt%)/接着樹脂層(2wt%)/EVOH層(6wt%)/酸素吸収性バリア性樹脂組成物層(6wt%)/EVOH層(6wt%)/接着樹脂層(2wt%)/亜鉛含有樹脂組成物層(10wt%)/ポリプロピレン層(29wt%)であり、総厚みは1200μmであった。
また、このときの亜鉛含有樹脂組成物層中の亜鉛化合物濃度(以下、「層内亜鉛化合物濃度」という)は5wt%、多層シート中の亜鉛化合物濃度(以下、「総亜鉛化合物濃度」という)は0.5wt%であり、金属(亜鉛)換算では0.052wt%であった。
前記多層シートを用いて、プラグアシスト真空圧空成形機によりカップ成形し、多層容器を作製した。得られた多層容器より、上記評価方法に基づきレトルト処理を施したサンプルA、サンプルBを作製し、変色評価及び透明性評価を行った。各評価結果を表1に示す。
【0035】
(実施例2)
多層シート中の亜鉛含有樹脂組成物層を前記亜鉛含有樹脂組成物ペレット(亜鉛化合物濃度5wt%)及びMFR0.5g/10minのポリプロピレン樹脂を用い、層内亜鉛化合物濃度を1wt%、総亜鉛化合物濃度を0.1wt%とする以外は実施例1と同様にして、多層シート、多層容器、サンプルA、サンプルBを作製し、変色評価及び透明性評価を行った。各評価結果を表1に示す。
【0036】
(実施例3)
多層シートの層構成及び重量比率を、外層側よりポリプロピレン層(39wt%)/接着樹脂層(2wt%)/EVOH層(6wt%)/酸素吸収性バリア性樹脂組成物層(6wt%)/EVOH層(6wt%)/接着樹脂層(2wt%)/亜鉛含有樹脂組成物層(20wt%)/ポリプロピレン層(19wt%)とし、亜鉛含有樹脂組成物層を亜鉛含有樹脂組成物ペレット(亜鉛化合物濃度5wt%)およびMFR0.5g/10minのポリプロピレン樹脂を用い、層内亜鉛化合物濃度を2wt%、総亜鉛化合物濃度を0.4wt%とする以外は実施例1と同様にして、多層シート、多層容器、サンプルA、サンプルBを作製し、変色評価及び透明性評価を行った。各評価結果を表1に示す。
【0037】
(実施例4)
多層シートの層構成及び重量比率を、外層側よりポリプロピレン層(15wt%)/リグラインド層(23wt%)/接着樹脂層(2wt%)/EVOH層(6wt%)/酸素吸収性バリア樹脂組成物層(6wt%)/EVOH層(6wt%)/接着樹脂層(2wt%)/亜鉛含有樹脂組成物層(10wt%)/吸着剤層(10wt%)/ポリプロピレン層(20wt%)とした。前記吸着剤層は吸着剤としてNa型のZSM5ゼオライト、ベース樹脂としてMFR0.5g/10minのポリプロピレン樹脂を用い、層中の吸着剤濃度が2wt%になるようにした。
さらに、前記亜鉛含有樹脂組成物層は前記亜鉛含有樹脂組成物ペレット及びMFR0.5g/10minのポリプロピレン樹脂を用い、層内亜鉛化合物濃度が2wt%、総亜鉛化合物濃度が0.2wt%になるようした。上記以外は実施例1と同様にして、多層シート、多層容器、サンプルA、サンプルBを作製し、変色評価及び透明性評価を行った。各評価結果を表1に示す。
【0038】
(実施例5)
多層シートの層構成及び重量比率を、外層側よりポリプロピレン層(39wt%)/接着樹脂層(2wt%)/EVOH層(6wt%)/酸素吸収性バリア性樹脂組成物層(6wt%)/EVOH層(6wt%)/接着樹脂層(2wt%)/亜鉛含有樹脂組成物・吸着剤混合層(10wt%)/ポリプロピレン層(29wt%)とした。前記亜鉛含有樹脂組成物・吸着剤混合層は前記亜鉛含有樹脂組成物ペレット(亜鉛化合物濃度5wt%)、吸着剤としてNa型のZSM5ゼオライト、MFR0.5g/10minのポリプロピレン樹脂吸着を用い、層中の吸着剤濃度が2wt%、層内亜鉛化合物濃度が2wt%、総亜鉛化合物濃度が0.2wt%になるようした。上記以外は実施例1と同様にして、多層シート、多層容器、サンプルA、サンプルBを作製し、変色評価及び透明性評価を行った。各評価結果を表1に示す。
【0039】
(実施例6)
前記亜鉛含有樹脂組成物ペレット(亜鉛化合物濃度5wt%)において、ステアリン酸亜鉛の代わりに酸化亜鉛を含有すること以外は実施例5と同様にして、多層シート、多層容器、サンプルA、サンプルBを作製し、変色評価及び透明性評価を行った。各評価結果を表1に示す。
【0040】
(比較例1)
多層シートの層構成及び重量比率を、外層側よりポリプロピレン層(10wt%)/リグラインド層(29wt%)/接着樹脂層(2wt%)/EVOH層(6wt%)/酸素吸収性バリア性樹脂組成物層(6wt%)/EVOH層(6wt%)/接着樹脂層(2wt%)/吸着剤層(10wt%)/ポリプロピレン層(29wt%)とする以外は実施例4と同様にして、多層シート、多層容器、サンプルA、サンプルBを作製し、変色評価及び透明性評価を行った。各評価結果を表1に示す。
【0041】
【0042】
表1から明らかなように、本発明によれば容器黒変の原因となり得る内容物のサンプルにおいても容器黒変を低減でき、一部の実施例においては透明性も向上されていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の成形体は、レトルト殺菌等に賦されることによって腐食性ガス又は揮発性硫黄化合物を発生する、含硫アミノ酸を含有する肉類、魚介類を充填するための容器として好適に使用できる。