(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/66 20060101AFI20220802BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220802BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H04N5/66 Z
G09G5/00 530M
G09G5/36 520L
G09G5/00 510S
G09G5/00 555D
(21)【出願番号】P 2018014023
(22)【出願日】2018-01-30
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000209751
【氏名又は名称】池上通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 光徳
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-212613(JP,A)
【文献】特開2013-153410(JP,A)
【文献】特開2008-152377(JP,A)
【文献】特開平11-38953(JP,A)
【文献】米国特許第7400322(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/66-5/74
G09G 5/00-5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号に基づいて複数フレームからなる画像を表示する表示画面と、
一画面として表示すべき画像をマトリックス状に分割した複数の分割画面の映像信号を入力する複数の映像信号入力チャンネルと、
前記複数の分割画面の映像信号を並び替えて前記表示画面に一画面の映像として表示させる映像信号処理部とを備えた画像表示装置であって、
前記映像信号処理部は、
注目オブジェクトを特定して、基準チャンネルおよびその他のチャンネルそれぞれにおける注目オブジェクトの動きベクトルを検出するオブジェクト検出手段と、
前記検出した注目オブジェクトの動きベクトルに基づいて基準チャンネルに隣接する隣接分割画面のチャンネルの情報である隣接データを取得する隣接データ取得手段と、
前記取得した隣接データに基づいて、チャンネルごとに隣接分割画面となるチャンネルを組み合わせた隣接ブロックを作成する隣接ブロック作成手段と、
前記作成した隣接ブロックに基づいて
各分割画面の画面位置を決定する画面位置決定手段とを有する
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記その他のチャンネルにおいて、前記注目オブジェクトについて、基準チャンネルの動きベクトルと方向が一致する動きベクトルが検出されたチャンネルを前記基準チャンネルに隣接する隣接分割画面のチャンネルとして前記隣接データが取得される
ことを特徴とする請求項
1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記隣接ブロック作成手段において作成される隣接ブロックは、隣接可能な4方向のうち、2方向のみに隣接分割画面が存在するL型と、
3方向にのみ隣接分割画面が存在するT型と、4方向に隣接分割画面が存在する十字型とのいずれかである
ことを特徴とする請求項
1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
映像信号に基づいて複数フレームからなる画像を表示する表示画面と、
一画面として表示すべき画像をマトリックス状に分割した複数の分割画面の映像信号を入力する複数の映像信号入力チャンネルと、
前記複数の分割画面の映像信号を並び替えて前記表示画面に一画面の映像として表示させる映像信号処理部とを備えた画像表示装置における画像表示方法であって、
注目オブジェクトを特定して、基準チャンネルおよびその他のチャンネルそれぞれにおける注目オブジェクトの動きベクトルを検出するオブジェクト検出処理と、
前記検出した注目オブジェクトの動きベクトルに基づいて基準チャンネルに隣接する隣接分割画面のチャンネルの情報である隣接データを取得する隣接データ取得処理と、
前記取得した隣接データに基づいて、チャンネルごとに隣接分割画面となるチャンネルを組み合わせた隣接ブロックを作成する隣接ブロック作成処理と、
前記作成した隣接ブロックに基づいて
各分割画面の画面位置を決定する画面位置決定処理と、
前記決定された画面位置に応じて前記複数の分割画面の映像信号
を並び替えて前記表示画面に映像として表示させる表示処理とを含む
ことを特徴とする画像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置では、4K、8Kと表示対象の映像の高解像度化が進むにつれて、1画面で扱う情報量が多くなってきている。一方で画像表示装置の入出力インターフェースとして従来使用している入出力インターフェースを用いる場合、そのインターフェースが伝送可能な情報量は限られる。そのため、4K、8Kといった高画質の映像を画面に表示させる場合には、画像表示装置に入力する映像信号を画面の各表示領域に対応する分割画面のものに分割した映像信号を、複数のチャンネル(チャンネルを単に「CH」ともいう)を介して入力し、これら複数の映像信号を組み合わせて1つの画面に画像を表示させている場合が多い。こうした入力手法に対応した画像表示装置は、画面分割式多入力モニタとして知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画面分割式多入力モニタの場合、映像信号を入力するチャンネル数が多くなるにつれて誤接続をする可能性が高くなり、また、誤接続した場合に手動によって接続切り替えをして誤接続を修正することも簡単なことではない。特に映像の入力コネクタが背面にあり、パネルサイズが大きい場合は、表示画面を確認しながら接続切り替えをすることは困難になる。
【0005】
例えば特許文献1に記載の画像表示装置では、4K田の字4分割(Square Division(田の字型分割))画像のチャンネル選択を自動化し、並び替えて表示している。チャンネル選択は、各画面の4隅周辺の輝度データを測定し、各チャンネル同士の輝度データの分散値を計算して行う。分散値の比較結果から4チャンネルの配置パターンを導き出している。しかしながら、画面の位置決定に各画面4隅の輝度値を用いるため、分割画面の4隅において輝度値の差が検出できない場合に並び替えをおこなうことができない。
【0006】
本発明は上記従来の問題に鑑みなされたものであって、本発明の課題は、複数チャンネルの分割多入力映像の入力チャンネルを誤接続した場合でも、各入力チャネルに入力される分割画面の映像信号の画面位置を正確に把握して、画面に正しく表示されるように各入力チャンネルに入力された分割画面の映像信号の表示位置を並べ替えることができる画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、第1の実施形態として記載された発明は、映像信号に基づいて複数フレームからなる画像を表示する表示画面と、一画面として表示すべき画像をマトリックス状に分割した複数の分割画面の映像信号を入力する複数の映像信号入力チャンネルと、前記複数の分割画面の映像信号を並び替えて前記表示画面に一画面の映像として表示させる映像信号処理部とを備えた画像表示装置であって、前記映像信号処理部は、前記並び替えを、前記複数の映像信号入力チャンネルからの複数の分割画面の映像信号について、前記複数の映像信号入力チャンネルを順次1つの基準チャンネルとその他のチャンネルとに分けて取得した、当該基準チャンネルに隣接するチャンネルを示す隣接データに基づいて行い、前記隣接データは、基準チャンネル内のオブジェクトであって複数のフレーム経過後において、当該基準チャンネルからその他のチャンネルに移動するオブジェクトを注目オブジェクトとして、該注目オブジェクトの動きを検出することにより取得されることを特徴とする画像表示装置である。
【0008】
第2の実施形態として記載された発明は、映像信号に基づいて複数フレームからなる画像を表示する表示画面と、一画面として表示すべき画像をマトリックス状に分割した複数の分割画面の映像信号を入力する複数の映像信号入力チャンネルと、前記複数の分割画面の映像信号を並び替えて前記表示画面に一画面の映像として表示させる映像信号処理部とを備えた画像表示装置であって、前記映像信号処理部は、注目オブジェクトを特定して、基準チャンネルおよびその他のチャンネルそれぞれにおける注目オブジェクトの動きベクトルを検出するオブジェクト検出手段と、前記検出した注目オブジェクトの動きベクトルに基づいて基準チャンネルに隣接する隣接分割画面のチャンネルの情報である隣接データを取得する隣接データ取得手段と、前記取得した隣接データに基づいて、チャンネルごとに隣接分割画面となるチャンネルを組み合わせた隣接ブロックを作成する隣接ブロック作成手段と、前記作成した隣接ブロックに基づいて前記画面位置を決定する画面位置決定手段とを有することを特徴とする画像表示装置である。
【0009】
他の実施態様としては、第1の実施形態または第2の実施形態において、前記その他のチャンネルにおいて、前記注目オブジェクトについて、基準チャンネルの動きベクトルと方向が一致する動きベクトルが検出されたチャンネルを前記基準チャンネルに隣接する隣接分割画面のチャンネルとして前記隣接データが取得されることを特徴とする。
【0010】
他の実施態様としては、第2の実施形態において、前記隣接ブロック作成手段において作成される隣接ブロックは、隣接可能な4方向のうち、2方向のみに隣接分割画面が存在するL型と、4方向にのみ隣接分割画面が存在するT型と、4方向に隣接分割画面が存在する十字型とのいずれかであることを特徴とする。
【0011】
第3の実施形態として記載された発明は、映像信号に基づいて複数フレームからなる画像を表示する表示画面と、一画面として表示すべき画像をマトリックス状に分割した複数の分割画面の映像信号を入力する複数の映像信号入力チャンネルと、前記複数の分割画面の映像信号を並び替えて前記表示画面に一画面の映像として表示させる映像信号処理部とを備えた画像表示装置における画像表示方法であって、注目オブジェクトを特定して、基準チャンネルおよびその他のチャンネルそれぞれにおける注目オブジェクトの動きベクトルを検出するオブジェクト検出処理と、前記検出した注目オブジェクトの動きベクトルに基づいて基準チャンネルに隣接する隣接分割画面のチャンネルの情報である隣接データを取得する隣接データ取得処理と、前記取得した隣接データに基づいて、チャンネルごとに隣接分割画面となるチャンネルを組み合わせた隣接ブロックを作成する隣接ブロック作成処理と、前記作成した隣接ブロックに基づいて前記画面位置を決定する画面位置決定処理と、前記決定された画面位置に応じて前記複数の分割画面の映像信号並び替えて前記表示画面に映像として表示させる表示処理とを含むことを特徴とする画像表示方法である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の画像表示装置の概略構成を示す図である。
【
図3】映像信号処理部における処理の処理フロー例を示す図である。
【
図4】基準チャンネルの注目オブジェクトの動きベクトルを検出する処理の処理フロー例を示す図である。
【
図5】注目オブジェクトの消失を確認する処理の処理フロー例を示す図である。
【
図7】基準チャンネル以外のチャンネルでの注目オブジェクトの動きベクトルを検出する処理の処理フロー例を示す図である。
【
図9】隣接分割画面の方向データ取得処理の処理フロー例を示す図である。
【
図10】基準CHでの注目オブジェクトの動きベクトルとその延長線を現した図である。
【
図11】隣接分割画面の種類データ取得処理の処理フロー例を示す図である。
【
図12】注目オブジェクトの移動先のCHにおける動きベクトルとその後ろ側の延長線を現した図である。
【
図13】基準CHの方向データに対する隣接分割画面の種類データのカウント処理の処理フロー例を示す図である。
【
図14】隣接分割画面ブロックについて説明する図である。
【
図15】隣接分割画面データ数判定処理の処理フロー例を示す図である。
【
図16】基準画面に対する隣接ブロック判定処理の処理フロー例を示す図である。
【
図17】隣接分割画面ブロック数の判定処理の処理フロー例を示す図である。
【
図18】画面位置決定処理の処理フロー例を示す図である。
【
図19】画面位置決定処理の処理フロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0014】
図1は本実施形態の画像表示装置の概略構成を示す図である。本実施形態の画像表示装置1の構成として、
図1には、複数の映像入力チャンネル(チャンネルを単に「CH」ともいう)10
1~10
Nと、映像信号処理部20と、表示画面30とが示されている。本実施形態の画像表示装置1では、複数の映像入力チャンネル10
1~10
Nから入力された映像信号が映像信号処理部20で信号処理されて、表示画面30に所望の映像として表示される。
【0015】
複数の映像入力チャンネル101~10Nは、有線の信号入力ケーブルや無線の通信インターフェースにより映像信号が入力される端子であって、映像信号の入出力インターフェースである。複数の映像入力チャンネル101~10Nは、分割画面の映像信号が独立した信号として入力されるように、物理的に別々の端子に構成されている。映像信号処理部20は、入力された映像信号を画像表示装置1での表示形式に変換するとともに、分割画面の映像信号を1つの画面を形成するように並び替えて表示画面30に出力するLSI(Large―Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの信号処理回路である。映像信号処理部20は、CPU等の汎用処理装置を用いてもよい。表示画面30は、液晶画面などの映像を表示する画面であるが、プロジェクタなどの投影表示する手段であってもよい。
【0016】
図2は分割画面を説明する図である。複数の映像入力チャンネル10
1~10
Nには、
図2に示すように1つの画面を複数のマトリックス状の領域に分割した分割画面の映像信号が入力される。1つの画面は、各分割画面の映像信号がn×m個(n×m=N個)並んで構成される。各分割画面の大きさ、形状は同じである。複数の映像入力チャネル10
1~10
Nは、それぞれ、座標(x、y)の分割画面への入力端子として機能することになる。なお、xは1からn、yは1からmである。この場合、分割画面(1、1)への入力端子は映像入力チャネル1CHであり、分割画面(1、2)への入力端子は映像入力チャネル2CHであるものとして説明する。各映像入力チャンネル10
1~10
Nに接続されたケーブルから入力される映像信号は、そのチャンネルに対応する分割画面の位置に表示されると、例えば映像入力チャンネル1から分割画面(1、2)に出力すべき映像信号と映像入力チャンネル2から分割画面(1、1)に出力すべき映像信号とが入力されると、分割画面が入り乱れ、全体で1つの画面を形成することができず、本来表示すべき画像が表示出来ない場合がある。
【0017】
映像信号処理部20は、複数の映像入力チャンネル1011~10nmから入力された映像信号がどの領域に出力されるべきなのかを識別(映像信号識別処理)して、表示画面30の適切な領域に表示される信号として処理し、表示画面30上に出力する。
【0018】
本実施形態の画像表示装置では、映像信号処理部20において、各分割画面の映像信号についてオブジェクト検出技術とオブジェクト追跡技術を用いて、各チャンネルの4方向に隣接するチャンネル番号と位置関係を示すデータを取得する。さらに、取得したデータをもとに、チャンネルごとに隣接分割画面となるチャンネルを組み合わせた隣接分割画面ブロックを作成する。作成した隣接分割画面ブロックを組み合わせることで全体画面に対する分割画面チャンネルの配置を決定し、並び替えて表示させる。本実施形態の画像表示装置によれば、オブジェクトの検出が可能な映像であれば輝度の差が無い場合であっても全体画面の正しい位置関係を導くことができる。かかる映像信号処理部20における処理の詳細について、以下に説明する。
【0019】
図3は、映像信号処理部20における処理の処理フロー例を示す図である。本実施形態の映像信号識別処理では、最初に、画像表示装置を初期化し(S301)、全チャネルに映像信号が入力されていることを確認(S302)した後に、基準チャンネルを設定して(S303、S304)、設定した基準チャネルについて、オブジェクト検出処理(処理グループ1:S305からS307)と、隣接データ取得処理(処理グループ2:S308、S309、S310)と、隣接ブロック作成処理(処理グループ3:S311、S312、S313、S314)と、画面位置決定処理(処理グループ4:S316)とを実行することにより、各チャンネルに入力される映像信号を識別している。処理グループ3では全てのCHのデータが取得できているかどうかが判断されて(S312)、全てのCHのデータが取得できていない場合は(S312:No)、データが足りないCHのうち一番小さいCH番号を基準チャンネルとしてS304の処理に戻る(S315)。
【0020】
本実施形態の映像信号識別処理では、オブジェクト検出処理において、注目オブジェクトを特定して、基準チャンネルおよびその他のチャンネルそれぞれにおける注目オブジェクトの動きベクトルを検出し、隣接データ取得処理において、検出した注目オブジェクトの動きベクトルに基づいて基準チャンネルに隣接する隣接分割画面のチャンネルの情報(隣接データ)を取得し、隣接ブロック作成処理において、隣接データに基づいて隣接ブロックを作成し、画面位置決定処理において、隣接ブロックに基づいて画面位置を決定する。
【0021】
まず、本実施形態の映像信号識別処理の各処理グループについてそれぞれ説明する。
【0022】
(処理グループ1:オブジェクト検出処理)
オブジェクト検出処理(処理グループ1)では、基準チャンネルにおいて、適切なオブジェクトを注目オブジェクトとして特定し、注目オブジェクトの動きベクトルを基準チャンネルおよびそれ以外のチャンネルの両方においてそれぞれ検出する。具体的には、基準チャンネルの注目オブジェクトの動きベクトルを検出する処理(
図4)を行い、注目オブジェクトの消失を確認する処理(
図5)を行い、基準チャンネル以外のチャンネルでの注目オブジェクトの動きベクトルを検出する処理(
図7)を行う。
【0023】
図4は基準チャンネルの注目オブジェクトの動きベクトルを検出する処理の処理フロー例を示す図である。
図4に示すように、まず、基準CH内でオブジェクトを検出できるか否かが判断され(S401)、オブジェクトを検出できた場合は(S401:Yes)、検出されたオブジェクトを注目オブジェクトとし、注目オブジェクトが他のCHで同時に検出されるか否かが判断される(S402)。S402の処理は、注目オブジェクトとそれ以外のオブジェクトの区別をつけるため、基準CH内で検出された注目オブジェクトが他CHで同時に検出されないことを確認して重複検出を避ける処理である。
【0024】
注目オブジェクトが基準CH内のみで検出され、他のCHで同時に検出されない場合は(S402:Yes)、注目オブジェクトを所定のフレーム間(pフレーム間)追跡する(S403)。追跡した結果、注目オブジェクトの動きを検知できた場合(S404:Yes)は、注目オブジェクトの移動方向と移動速度、すなわち動きベクトルを取得し(S405)、基準チャンネルの注目オブジェクトの動きベクトルを検出する処理が終了する。
【0025】
所定のフレーム間追跡した注目オブジェクトの動きを検知できなかった場合は(S404:No)、静止オブジェクトとして判断し(S406)、S401に戻って、今回S401で検出したオブジェクトとは別のオブジェクトについて検出と追跡を行う。
図4のオブジェクトの検出処理は任意のオブジェクトの移動ベクトルを検出できるまで繰り返し行う。
【0026】
図5は、注目オブジェクトの消失を確認する処理の処理フロー例を示す図である。本実施形態の映像信号識別処理では、注目オブジェクトの移動を追跡することで基準CHに隣接するCHを決定する。注目オブジェクトがCH間を移動するときは、基準CH内で追跡していた注目オブジェクトが消失し、同時に移動先のCHに注目オブジェクトが出現することになる。この場合、基準CH内での注目オブジェクトの消失は画面の中央でなく端部領域で生じると考えられる。このフローでは、画面端付近で注目オブジェクトの消失があったときに、基準CH内で消失したか否かが判断される。注目オブジェクトの消失が基準CH内で消失したものである場合は、注目オブジェクトに適さないとして、基準チャンネルの注目オブジェクトの動きベクトルを検出する処理に戻って、対象とする注目オブジェクトを別のオブジェクトに変えることができる。
【0027】
図5に示すように、まず、
図4の処理において動きベクトルを検出した注目オブジェクトをpフレーム間追跡する(S501)。追跡している注目オブジェクトが、基準CH内から消失するか否かを判断する(S502)。基準CH内から消失した場合(S502:Yes)、基準CHに対応する分割画面の画面端付近で注目オブジェクトが消失したか否かが判断される(S503)。
【0028】
図6は画面端付近の領域を説明する図である。
図6には、分割画面60が示されており、画面端付近とは、分割画面60の周辺領域61のことである。かかる領域で注目オブジェクトが消失した場合は、単に映像から注目オブジェクトが消失したというよりも、隣に位置する分割画面に注目オブジェクトが移動したと考えられる。したがって、この注目オブジェクトの移動先を特定することにより、隣接分割画面を特定することができる。
【0029】
図5に戻って、画面端付近で注目オブジェクトが消失した場合は(S503:Yes)、隣接分割画面に注目オブジェクトが移動したこと、すなわちCH間消失したと判断し(S504)、終了する。また、画面端付近で注目オブジェクトが消失していない場合は(S503:No)、他の画面に注目オブジェクトは移動しておらず、基準CHで注目オブジェクトが消失したと判断し(S505)、
図4の基準CHの注目オブジェクトの動きベクトル検出処理に戻って、対象とする注目オブジェクトを別のオブジェクトにする。
【0030】
図7は、基準チャンネル以外のチャンネルでの注目オブジェクトの動きベクトルを検出する処理の処理フロー例を示す図である。注目オブジェクトのCH間での消失が確認できた場合、
図7の処理フローにより、基準CH以外のCHにて同様に注目オブジェクトの検出と動きベクトルの取得を行う。
【0031】
まず、pフレーム間、各チャンネルにて注目オブジェクトの検出を行い(S701)、基準CHにて追跡していた注目オブジェクトが他CHにて検出できる場合は(S702:Yes)、検出したCHを注目オブジェクトの移動先と判定する(S703)。
【0032】
その次にpフレーム間、注目オブジェクトの追跡を行う(S704)。ここで注目オブジェクトの動きが検知できる場合(S705:Yes)は動きベクトルを取得(S706)して処理を終了する。一方、注目オブジェクトの動きが検知できない場合(S705:No)は静止オブジェクトと判断(S708)して
図4の基準CHの注目オブジェクトの動きベクトル検出処理に戻る。また、基準CH以外のCHにてpフレーム間で注目オブジェクトが検出できない場合(S702:No)は、移動先に画面が無いと判定(S707)して処理を終える。S707での判定は隣接分割画面が画面無しであることを意味する。
【0033】
(処理グループ2:隣接データ取得処理)
隣接データ取得処理(処理グループ2)では、処理グループ1で検出した注目オブジェクトの基準チャンネル内およびそれ以外のチャンネルそれぞれにおける動きベクトルに基づいて、基準チャンネルに対する隣接データを取得する。
【0034】
図8は隣接データの一例を示す図である。隣接データは、基準チャンネルに対してどの方向にどのチャンネルの分割画面が隣接しているかを示すデータである。
図8に示す例では、基準チャンネルのチャンネル番号と隣接方向とが主キーとなり、画面種類(チャンネル番号または画面無し)がこの主キーに対するフィールドとなり、各レコードの数値は、主キーの基準チャンネルの隣接方向に個々のフィールドのチャネル番号の分割画面が存在すると判断された回数である。また、データ数は、主キーごとのカウント数の合計値である。
図8の例では、主キーには、基準CHがN=1の場合は、CH1右、CH1左、CH1上、CH1下が選択される。隣接データ取得処理では、この選択した基準CHの上下左右の方向に対して、CH番号または画面無しといった隣接分割画面の種類データをカウントしていく。隣接分割画面の種類データは、隣接分割画面のCH番号または画面無しという画面種類を意味する。
【0035】
隣接データ取得処理(処理グループ2)では、具体的には、隣接分割画面の方向データ取得処理(
図9)を行い、隣接分割画面の種類データ取得処理(
図11)を行い、基準CHの方向データに対する隣接分割画面の種類データのカウント処理(
図13)を行う。これらの3つの処理を通して、基準CHの上下左右、4方向に対する隣接分割画面の種類データをカウントする。
【0036】
図9は、隣接分割画面の方向データ取得処理の処理フロー例を示す図である。隣接分割画面の方向データ取得処理では、基準CHでの注目オブジェクトの動きベクトルから、移動先の画面が基準CHに対して隣接している上下左右の方向を決定する(S901)。
【0037】
図10は基準CHでの注目オブジェクトの動きベクトルとその延長線を現した図である。隣接分割画面の方向データは、注目オブジェクトの動きベクトルの延長線が交わる辺が4方向のうちどの辺になるかで判定する。
図10に示す例では、注目オブジェクトの動きベクトルの延長線が右辺に交わっているので、基準CHの方向データが右に決定(選択)される。
【0038】
図9に戻って、基準CHでの注目オブジェクトの動きベクトルの延長線が交わる辺が右であるか否か(S902)と、左であるか否か(S904)と、上であるか否か(S906)と、左であるか否か(S908)とが順次判断され、該当する場合(S902、S904、S906、S908:Yes)は、その決定された辺が基準CHの方向データとして選択される(S903、S905、S907、S909)。なお、左右上下いずれの辺をどの順に判断していくかは
図9の例は一例にすぎない。S902、S904、S906、S908における判断の際、動きベクトルの延長線が頂点に交わるなど4方向を導くことが出来ない場合は、基準CHの注目オブジェクト検出処理までフローを戻す。
【0039】
図11は、隣接分割画面の種類データ取得処理の処理フロー例を示す図である。隣接分割画面の種類データの取得処理では、CH間移動前後のオブジェクトの動きベクトルを比較することで隣接分割画面の種類データを決定する。隣接分割画面の種類データはCH番号または画面無しの情報のことである。
【0040】
まず、オブジェクトの移動先が基準CH以外のCHであるかどうかを判断する(S1101)。この処理は、
図7のS707にて注目オブジェクトの移動先が画面無しであると判定した場合に、Noと判断し、隣接分割画面の種類データは、「画面無し」であると決定する(S1105)。画面が無い方向への移動(種類データが「画面無し」)と判断した際には本処理を終了する。
【0041】
一方、注目オブジェクトの移動先が他のCHである場合は、CH間移動前後のオブジェクトの動きベクトルを比較する(S1102)。
図12は注目オブジェクトの移動先のCHにおける動きベクトルとその後ろ側の延長線を現した図である。S1102では、
図9に示す基準CH内の注目オブジェクトの動きベクトルの延長線と、
図12の動きベクトルの後ろ側の延長線とを比較して、両者が一致するか否かを判断する。これにより画面種類判定の精度を上げることができる。2つの動きベクトルが一致する場合(S1103:Yes)は、画面の種類データは移動先CHのCH番号であると決定(S1104)して処理を終了する。動きベクトルが一致しない場合(S1103:No)は、対象とする注目オブジェクトを変えるべく基準CHのオブジェクト検出処理に戻る。
【0042】
図13は、基準CHの方向データに対する隣接分割画面の種類データのカウント処理の処理フロー例を示す図である。種類データのカウント処理では、移動先CHが隣接分割画面であることを確認し、正しいと判定した場合に移動先CHを基準CHの方向データに対する隣接分割画面としてカウントする処理を行う。
【0043】
隣接の判定は、
図12のように移動後CHでの注目オブジェクトの動きベクトルに対し、その後ろ側の延長線が交わる辺の4方向が移動前後で合致するかどうかを調べることで行われる。移動前後の方向の比較なので、基準CHでの注目オブジェクトの出力方向(
図10)と基準CHからの注目オブジェクトの入力方向(
図12)は逆方向になる。
図13の処理例では、隣接分割画面の種類データ取得処理において決定した画面の種類データ(移動先のCH番号)に基づいて、移動先のCHにおける注目オブジェクトの動きベクトルの後方部分の延長線が交わる辺を決定する(S1301)。交わる辺が左である場合(S1302:Yes)は、基準CHの方向データが対応しているか否か、すなわち右であるか否かが判断される(S1303)。移動先のCHにおける交わる辺と基準CHの方向データが対応している場合は、移動前後で合致するとして、基準CHの方向データに対する移動先のCHのCH番号がカウントされ(S1304)、
図13の処理を終了する。終了するまで4辺について順次行なう(S1305からS1312)。4辺の判断の順序は、
図13に示す例に限らない。判定の結果、誤りとなった場合(移動先のCHにおける交わる辺と基準CHの方向データが対応していない場合)は、対象とする注目オブジェクトを変えるべく基準CHのオブジェクト検出処理に戻る。
【0044】
(処理グループ3:隣接分割画面ブロック作成処理)
隣接分割画面ブロック作成処理(処理グループ3)では、処理グループ2で取得した隣接データに基づいて、画面位置決定に使用する隣接分割画面ブロックを作成する。
【0045】
図14は、隣接分割画面ブロックについて説明する図である。隣接分割画面ブロックとは基準CHに対する隣接分割画面と判断されたチャンネルのグループであり、画面分割をマトリックス状とする場合、それぞれの基準CHの分割画面に隣接する隣接分割画面の数により大きく3つに分類することが出来る。
図14に示すように、隣接分割画面数が2つの基準CHをL型(
図14の左側)と分類でき、隣接分割画面数が3つの基準CHをT型(
図14の中央)と分類でき、隣接分割画面数が4つの基準CHを十字型(
図14の右側)と分類できる。画面全体のうち、4つ角に位置するL型は、L左上型、L右下型、L右上型、L左下型の4種に分けられる。L型の個数はそれぞれ1個ずつとなる。画面端に位置するT型はT下型、T右型、T左型、T上型の4種類ある。画面全体の上下端に位置するT下型とT上型はそれぞれ(n-2)個ある。画面全体の左右端に位置するT右型とT左型はそれぞれ(m-2)個ある。画面端以外に位置する十字型は、m×n-2(n-2)-2(m-2)-4個ある。
【0046】
隣接分割画面ブロック作成処理では、まず隣接分割画面データ数の判定処理を行う。その後、隣接分割画面データ数が必要数揃っているかの判定をし、全てのCHに対して必要数が揃っている場合は、基準CHに対する隣接分割画面ブロックの種類を判定して、隣接分割画面ブロックを作成する。
【0047】
隣接分割画面ブロック作成処理(処理グループ3)では、具体的には、隣接分割画面データ数の判定処理(
図15)を行い、基準画面に対する隣接分割画面ブロック判定処理(
図16)を行い、隣接分割画面ブロック数の判定処理(
図17)を行う。
【0048】
図15は、隣接分割画面データ数判定処理の処理フロー例を示す図である。本実施形態の映像信号識別処理では、注目オブジェクトの検出から基準画面の方向データに対する隣接分割画面の種類を決定する処理を所定回数以上繰り返し行って隣接分割画面判定の精度を上げることができる。隣接分割画面データ数判定処理では、基準CHの4方向の位置に対して、画面種類データ(隣接分割画面データ数)が画面位置決定に必要な数だけ揃っているかの判定を行う。
【0049】
図15に示す処理では始めに、対象とする基準CH(Nとする)の4方向(N右、N左、N上、N下)に対してデータが20個以上あるかどうかの確認を行う(S1501からS1504)。ここで見ている個数は、例えば
図8の隣接データの主キーごとのカウント数の合計値(データ数というフィールド)である。それぞれ20個以上無い場合(S1501からS1504:No)は、基準CHの注目オブジェクト検出処理に移行してこれまでの処理を再度実行する。ここで必要データ数は暫定的に20個としているが、実際は統計的に信頼性が得られる数であればこれに限定されない。
【0050】
データが必要数揃っている場合(S1501からS1504:Yes)は、方向データに対する画面種類のデータ数が一番多い画面種類を隣接分割画面として決定する(S1505)。
【0051】
ひとつの基準CHに対して、4方向の方向データに対して決定された画面種類データは、画面無し以外は同じ種類の画面が重複することはない。そこで、次に4方向の画面種類データの比較を行う(S1506からS1508)。まず、4方向の画面種類データが一つも重複しない場合(S1506:Yes)は正しいデータと判断して、隣接分割画面データ数の判定処理を終了する。4方向の画面種類データに重複がある場合(S1506:No)、画面無しデータ数によってフローを分岐させる(S1507)。画面無しデータ数は画面端の場合に1個、角の画面で2個、それ以外は0個である。よって、画面無しデータ数が2個以上ある場合(S1507:No)、CH番号の画面種類データが重複する場合(S1508:No)は対象とした基準CHに対する画面種類データを全て削除して、基準CHのオブジェクト検出処理に移行する(
図3のS1317)。
【0052】
図16は、基準画面に対する隣接ブロック判定処理の処理フロー例を示す図である。基準画面に対する隣接分割画面ブロック判定処理では、基準CHの隣接分割画面ブロックの種類を決定する。隣接分割画面ブロックは
図14を用いて説明したように、隣接分割画面の数によって3種類に分類することが出来る。基準画面に対する隣接ブロック判定処理では隣接分割画面数が4つの場合に十字型、隣接分割画面数が3つの場合にT型、隣接分割画面数が2つ以下の場合にL型と判定するように条件分岐を行っている。T型とL型においては、それぞれの上下左右の4種類の分類も行う。L型と判定された後に4種類に分類できない場合はそのCHの画面種類データを削除して基準CHのオブジェクト検出処理に移行する。隣接ブロック判定処理は基準チャンネル番号N=1から判定処理を開始し、判定終了ごとにNをインクリメントして繰り返し行う。処理は全チャンネル数Mまで判定できたら終了する。
【0053】
図16において、まず最初に、チャンネル番号1を基準チャンネルとし(S1601)、基準CHに対する隣接分割画面データがすべてCH番号である(画面無しデータがない)か否かが判断され(S1602)、すべてCH番号の場合(S1602:Yes)は、基準CHは十字型と判定する(S1603)。
【0054】
すべてCH番号でない場合(S1602:No)は、基準CHに対する隣接分割画面データのうち、画面無しデータ数が1つ(または3つがCH番号)か否かが判定され(S1604)、画面無しデータ数が1つの場合(S1604:Yes)、基準CHはT型と判定する(S1605)。さらに、画面無しのデータの隣接方向をもとに、T下型、T右型、T左型、T上型のいずれかを分類する(S1606)。
【0055】
隣接分割画面データのすべてがCH番号でなく、画面無しデータ数が1つではない場合(S1604:No)、基準CHはL型と判定する(S1607)。さらに、画面無しのデータの隣接方向をもとに、L左上型、L右下型、L右上型、L左下型のいずれかを分類する(S1608)。S1608における分類が、L型の4種類に重複なく分類できたかを判定する(S1609)。重複がある場合(S1610)は、その基準CHに対する画面種類データを削除し、基準CHの注目オブジェクトの動きベクトルの検出処理に戻る。
【0056】
これらの(S1602からS1609)の処理をすべての基準CHに対して実行する(S1611、S1612)。
【0057】
図17は、隣接分割画面ブロック数の判定処理の処理フロー例を示す図である。
図16までの処理で、全てのCHに対して隣接分割画面ブロックの決定が終わっている。隣接分割画面ブロックの個数は種類ごとに決まっているため、隣接分割画面ブロック数の判定処理では、隣接分割画面ブロックの種類と数の照合を行う。
【0058】
データの照合は始めにL型の4種類に対して行う(S1701からS1704)。照合の際にデータ数が合致しない場合(S1701からS1704:No)はその種類のデータを削除する(S1709からS1712)。データの削除が行われた場合は、削除したCHのうち、CH番号が最小のCHを基準CHとして(S1713)、基準CHのオブジェクト検出処理までフローを戻す。
【0059】
L型の次はT型の4種類に対して数の照合を行う(S1705からS1708)。T型の判定時に個数が一致しなかった場合(S1705からS1708:No)は、T型と判定されたCHのデータの削除(S1714)に加えて十字型と判定されたCHのデータも削除する(S1715)。これは、T型のデータが間違っている場合に十字型のデータの信頼性も低くなるためである。データの削除が行われた場合の処理はL型のフローと同じである。L型、T型の個数が正しい場合は残りの十字型の個数も正しくなるため、本処理を終了する。
【0060】
(処理グループ4:画面位置決定処理)
画面位置決定処理(処理グループ4)では、処理グループ3で作成した隣接分割画面ブロックを並べることで各CHの画面位置を決定する。
【0061】
図18、
図19は画面位置決定処理の処理フロー例を示す図である。まず、L型の位置は4隅となるため、L型を配置する(S1801)。L左上型は左上角、L右下型は右下角、L右上型は右上角、L左下型は左下角に配置する。この説明では、画面位置の座標(x、y)は、分割画面を合成した画面の左上部を原点とし、右側へx、下方向にyとして表している。
図2の例では、xの最大値がnであり、yの最大値がmである。
【0062】
次にx=1として(S1802)、T下型のブロックを(基準CHの座標:2,1)から右方向に埋めていき、T上型のブロックを(基準CHの座標:2,m)から右方向に埋めていく(S1803からS1808)。このとき、次に配置するブロックの左側に隣接するCHが重なるように配置していく。すなわち、前に配置したT上型またはT下型のブロックの基準CHのCH番号が次に配置するブロックの左側(基準CHの左隣)のCH番号と一致するように配置していく。この処理は右端を除いたx=n-1になるまでxをインクリメントして繰り返す。
【0063】
T下型、T上型のブロックの配置が終了したら、次にy=1として(S1809)、T右型のブロックを(基準CHの座標:1,2)から下方向に埋めていき、T左型のブロックを(基準CHの座標:n,2)から下方向に埋めていく(S1810からS1815)。このとき、次に配置するブロックの上側に隣接するCHが重なるように配置していく。すなわち、前に配置したT右型またはT左型のブロックの基準CHのCH番号が次に配置するブロックの上側(基準CHの上隣)のCH番号と一致するように配置していく。この処理は下端を除いたy=m-1になるまでyをインクリメントして繰り返す。
【0064】
ここまでの処理で、画面の上下左右の端に位置するCHの位置が決定している。次は、十字型のブロックの配置を行う。x=1,y=1として(S1816)、(基準CHの座標:2,1)から順に右方向に埋めていく。このとき、次に配置するブロックの上側と左側のCHが重なるように配置する(S1817からS1822)。すなわち、前に配置した十字型のブロックの基準CHのCH番号が次に配置するブロックの上側および左側(基準CHの上隣および左隣)のCH番号と一致するように配置していく。この処理は右端を除いたx=n-1になるまでxをインクリメントして繰り返す。x方向に対して繰り返した後はy方向にインクリメントして同様の処理をx方向に対して繰り返す。これらの処理は下端を除いたy=m-1になるまで繰り返す。
【0065】
これらの隣接分割画面ブロックの配置の際に、隣接CHが繋がらない場合は、全てのデータの初期化を行い(S1823)、全CHの信号入力確認判定後(すなわち基準CHの注目オブジェクトの動き検出処理)までフローをもどす。
【0066】
画面位置決定処理の結果、各分割画面の映像信号について画面位置が決定する。
【0067】
図3に戻って、画面位置決定処理(処理グループ4)において決定された画面位置に従って映像信号を並び替える(S317)。ここまでの処理をした時点で、全てのCHの表示位置が決定している。したがって最後は、映像信号処理部20により決定したCHの画面位置になるように表示する画面を切り替えて表示画面30に表示させれば、所望の映像が表示される。
【符号の説明】
【0068】
1 画像表示装置
101~10N 複数の映像入力チャンネル
20 映像信号処理部
30 表示画面