IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧 ▶ 株式会社アドヴィックスの特許一覧

<>
  • 特許-モータ装置 図1
  • 特許-モータ装置 図2
  • 特許-モータ装置 図3
  • 特許-モータ装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】モータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/215 20160101AFI20220802BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20220802BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H02K11/215
H02K11/33
H02K7/14 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018154495
(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公開番号】P2020031466
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 工
(72)【発明者】
【氏名】上濱 基
(72)【発明者】
【氏名】井上 厚
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-196627(JP,A)
【文献】特開2008-219994(JP,A)
【文献】特表2004-515413(JP,A)
【文献】特開2015-189366(JP,A)
【文献】特開2011-200022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/00- 7/20
H02K 11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ(30)及びロータ(20)を備えたモータ本体(12)と該モータ本体を制御する制御部(13)とを有し、前記モータ本体と前記制御部との間にハイドロユニット(11)が配置されるモータ装置(10)であって、
前記モータ本体は、前記ステータのコイル(33)と前記制御部との通電を図る複数の接続線(33a)が引き回され、引き回された前記複数の接続線とモータ回転軸(22)との間に形成されるスペース(S)内に前記ロータの回転を検出する回転検出部(70)を備え
前記モータ本体は、前記ステータ及び前記ロータを収容する有底筒状のヨークハウジング(16)と、該ヨークハウジングの開口部(16a)を閉塞するエンドフレーム(17)とを有し、
前記回転検出部は、基板上に設けられる回転検出装置を有し、
前記回転検出装置には、前記制御部との通電を図るターミナルが接続されており、
前記基板及び前記ターミナルは、前記エンドフレームに設けられたホルダに保持されている、モータ装置。
【請求項2】
前記モータ本体は、前記ステータの径方向内側に前記ロータが配置されるとともに、前記ロータの軸方向一端側であって前記ロータよりも径方向外側に、前記接続線を周方向に引き回すためのガイド部材(60)を備え、
前記回転検出部は、前記ガイド部材の径方向内側に設けられる請求項1に記載のモータ装置。
【請求項3】
記エンドフレームは、軸方向において前記ロータ側に窪んで前記接続線が形成する前記スペース内に挿通される凹部(17a)を有し、
前記該凹部に前記回転検出部が設けられる請求項1又は2に記載のモータ装置。
【請求項4】
前記エンドフレームは、導電部材を含む請求項3に記載のモータ装置。
【請求項5】
記ハイドロユニットは、前記複数の接続線及び前記ターミナルが挿通される挿通孔(11b)を有するものであり、
前記接続線は、軸方向に沿って設けられた前記挿通孔に沿って挿通され、
前記ターミナルは、前記挿通孔内において軸方向に延びる前記接続線を避けて前記接続線よりも径方向外側を通るように設けられる、請求項1~4の何れか1項に記載のモータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ装置を駆動源として電動でブレーキ動作を実施する電動ブレーキシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。このような電動ブレーキシステムとして、例えばポンプ等からなるハイドロユニットをモータ装置の回転軸の出力側において直接又は間接的に駆動連結させることで駆動させて所望の液圧を発生させるようになっている。
【0003】
このような電動ブレーキシステムでは、モータ装置のロータの回転位置をホール素子等の回転検出部で検出し、検出したロータの回転位置に基づいて液圧を調整するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6139472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなモータ装置では、ロータの回転位置を回転検出部で検出しているが、それらの設置箇所によってはモータ装置の大型化してしまう虞があり、モータ装置の小型化が望まれている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、小型化を図るモータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するモータ装置は、ステータ(30)及びロータ(20)を備えたモータ本体(12)と該モータ本体を制御する制御部(13)とを有し、前記モータ本体と前記制御部との間にハイドロユニット(11)が配置されるモータ装置(10)であって、前記モータ本体は、前記ステータのコイル(33)と前記制御部との通電を図る複数の接続線(33a)が引き回され、引き回された前記複数の接続線とモータ回転軸(22)との間に形成されるスペース(S)内に前記ロータの回転を検出する回転検出部(70)を備える。
【0008】
上記態様によれば、コイルと制御部との通電を図る複数の接続線が引き回され、その引き回された複数の接続線とモータ回転軸との間に形成されるスペースに回転検出部を備えるため、前記スペースから逸脱した位置に回転検出部を備える場合と比較して小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態におけるモータ装置の概略構成図。
図2】同実施形態におけるガイド部材を取り外した状態を示すステータの平面図。
図3】同実施形態におけるモータ装置の断面図。
図4】同実施形態におけるモータ装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、モータ装置の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
【0011】
図1に示すように、モータ装置10は、電動ブレーキシステムに用いられるものである。電動ブレーキシステムは、ブレーキ液の液圧を調整するハイドロユニット11と、ハイドロユニット11を駆動させるモータ装置10と、を有する。モータ装置10は、ハイドロユニット11と連結されてハイドロユニット11を駆動させる前記モータ本体12と、モータ本体12の駆動を制御する制御部としてのEDU(Electric Driver Unit)13とを有する。本例のブレーキシステムでは、EDU13とモータ本体12との間にハイドロユニット11が介在されている。モータ本体12とEDU13とは、ハイドロユニット11の筐体11aに設けられた挿通孔11bを通して電気的に接続されている。
【0012】
本実施形態のモータ本体12は、ハウジング15の内部にロータ20とステータ30とを有する。ハウジング15は、略有底円筒状をなすヨークハウジング16と、ヨークハウジング16の開口部16aを閉塞するエンドフレーム17とを有する。エンドフレーム17は、例えば鉄等の導電部材で構成される。エンドフレーム17は、中央部に軸方向に窪んだ凹部17aを有する。ここで、エンドフレーム17の凹部17aは軸方向に窪ませた形状であるため、凹部17aと逆側の位置に凸部17bを有する構成となっている。つまり、凹部17aと凸部17bとは表裏一体のものである。また、凹部17a及び凸部17bはエンドフレーム17をヨークハウジング16に取り付けた状態でヨークハウジング16内に一部挿通された状態となる。
【0013】
図1に示すように、ロータ20は、ロータコア21と、ロータコア21に設けられる図示しないマグネットと、ロータコア21の径方向中心に設けられる回転軸22とを有する。回転軸22は、ヨークハウジング16の底部16b中央に設けられた軸受B1と、エンドフレーム17の凹部17a中央に設けられた軸受B2とによって回転可能に支持される。
【0014】
回転軸22は、その軸方向一端部が直接又は間接的にハイドロユニット11内のギヤ11cと連結される。これにより、回転軸22が回転駆動することでハイドロユニット11内のギヤ11cが駆動してブレーキ液の液圧が調整されることとなる。
【0015】
図2及び図3に示すように、ステータ30は、ステータコア31と、ステータコア31のインシュレータ32と、コイルとしてのステータコイル33とを備えている。
ステータコア31は、略円環状の環状部31aと、環状部31aから径方向内側に延出する複数のティース31bとを有する。本実施形態のティース31bは、例えば12個設けられる。各ティース31bには、インシュレータ32を介してステータコイル33が巻回されている。ステータコイル33は、例えば集中巻きにて巻回される。
【0016】
ステータコイル33は、図示しない第1インバータ回路と電気的に接続される第1の三相巻線40と、図示しない第2インバータ回路と電気的に接続される第2の三相巻線50とを有する。すなわち、本実施形態では2系統のインバータ回路によって各三相巻線40,50に対して電流を供給して励磁されるようになっている。
【0017】
図2に示すように、第1の三相巻線40は、前記第1インバータ回路から120度位相の異なる三相交流電流が供給される複数の三相巻線41a~41fを有する。複数の三相巻線41a~41fは、U+相巻線41aと、U-相巻線41bと、V+相巻線41cと、V-相巻線41dと、W+相巻線41eと、W-相巻線41fとを有する。
【0018】
図2に示すように、第2の三相巻線50は、前記第2インバータ回路から120度位相の異なる三相交流電流が供給される複数の三相巻線51a~51fを有する。複数の三相巻線51a~51fは、X+相巻線51aと、X-相巻線51bと、Y+相巻線51cと、Y-相巻線51dと、Z+相巻線51eと、Z-相巻線51fとを有する。
【0019】
そして、本実施形態のステータコイル33は、各ティース31b毎に、例えばU+相巻線41a、Z+相巻線51e、Y-相巻線51d、W-相巻線41f、V+相巻線41c、X+相巻線51a、Z-相巻線51f、U-相巻線41b、W+相巻線41e、Y+相巻線51c、X-相巻線51b、V-相巻線41dの順で巻回されている。
【0020】
ここで、U+相巻線41aとU-相巻線41bとは、ティース31bに対して巻回される巻回方向が逆向きとなっている。またV+相巻線41cとV-相巻線41dとは、ティース31bに対して巻回される巻回方向が逆向きとなっている。またW+相巻線41eとW-相巻線41fとは、ティース31bに対して巻回される巻回方向が逆向きとなっている。また、U+相巻線41a及びU-相巻線41bは、互いに周方向において150度異なる位置に設けられたティース31bに巻回されている。V+相巻線41c及びV-相巻線41dは、互いに周方向において150度異なる位置に設けられたティース31bに巻回されている。W+相巻線41e及びW-相巻線41fは、互いに周方向において150度異なる位置に設けられたティース31bに巻回されている。
【0021】
また、X+相巻線51aとX-相巻線51bとは、ティース31bに対して巻回される巻回方向が逆向きとなっている。またY+相巻線51cとY-相巻線51dとは、ティース31bに対して巻回される巻回方向が互いに逆向きとなっている。またZ+相巻線51eとZ-相巻線51fとは、ティース31bに対して巻回される巻回方向が逆向きとなっている。X+相巻線51a及びX-相巻線51bは、互いに周方向において150度異なる位置に設けられたティース31bに巻回されている。Y+相巻線51c及びY-相巻線51dは、互いに周方向において150度異なる位置に設けられたティース31bに巻回されている。Z+相巻線51e及びZ-相巻線51fは、互いに周方向において150度異なる位置に設けられたティース31bに巻回されている。
【0022】
U+相巻線41aとU-相巻線41bとは図示しない渡り線によって接続されている。V+相巻線41cとV-相巻線41dとは図示しない渡り線によって接続されている。W+相巻線41eとW-相巻線41fとは図示しない渡り線によって接続されている。X+相巻線51aとX-相巻線51bとは図示しない渡り線によって接続されている。Y+相巻線51cとY-相巻線51dとは図示しない渡り線によって接続されている。Z+相巻線51eとZ-相巻線51fとは図示しない渡り線によって接続されている。
【0023】
本実施形態の第1の三相巻線40は、第1インバータ回路に対してデルタ結線にて接続される。第2の三相巻線50は、第2インバータ回路に対してデルタ結線にて接続される。より詳しくはU+相巻線41aの端末線33aは、W-相巻線41fの端末線33aとともに第1インバータ回路の電気的に同一の端子に接続される。U-相巻線41bの端末線33aは、V+相巻線41cの端末線33aとともに第1インバータ回路の電気的に同一の端子に接続される。W+相巻線41eの端末線33aは、V-相巻線41dの端末線33aとともに第1インバータ回路の同一の端子に接続される。
【0024】
X-相巻線51bの端末線33aは、Y+相巻線51cとともに第2インバータ回路の電気的に同一の端子に接続される。Y-相巻線51dの端末線33aは、Z+相巻線51eとともに第2インバータ回路の電気的に同一の端子に接続される。Z-相巻線51fの端末線33aは、X+相巻線51aとともに第2インバータ回路の電気的に同一の端子に接続される。上述した各端末線33aは、各巻線40,50と一体形成された可撓性を有する導線である。
【0025】
図1に示すように、ステータ30には、ステータコア31の軸方向一方側であるハイドロユニット11側にはガイド部材60が設けられる。
ガイド部材60は、ステータコイル33の端末線33aをEDU13まで案内するものであり、ガイド本体61と、引き出し用ガイド62とを有する。
【0026】
ガイド本体61は、略円環状をなすように構成され、端末線33aがガイド本体61に沿って引き回されている。
引き出し用ガイド62は、軸方向に沿って長い柱状をなすように構成される。引き出し用ガイド62は、複数の貫通孔を有し、貫通孔内部に端末線33aが挿通されている。引き出し用ガイド62は、例えば樹脂等の絶縁材で構成される。このため、引き出し用ガイド62の前記貫通孔内に挿通された端末線33aが他の貫通孔に挿通された他の端末線33aと絶縁された状態となる。同様にハイドロユニット11の筐体11aと引き出し用ガイド62の各貫通孔に挿通された端末線33aとが絶縁された状態となる。
【0027】
また、本実施形態のモータ装置10は、ロータ20の回転を検出する回転検出部70を備える。回転検出部70は、エンドフレーム17の凹部17a内に設けられる。つまり、回転検出部70は、ガイド部材60に沿って周方向に引き回された端末線33aとモータ回転軸22との間に形成されたスペースS内に設けられることとなる。
【0028】
本例の回転検出部70は、センサマグネット71と、ホール素子72とを有する。
センサマグネット71は、円環状に構成され、回転軸22に固定されたマグネット収容部73に固定され、回転軸22並びにロータ20と一体回転するようになっている。
【0029】
ホール素子72は、軸方向視で円弧状のセンサ用基板SB上に設けられ、軸方向において前記センサマグネット71と対向配置される。本例では、センサ用基板SB上に3つのホール素子72が設けられる。各ホール素子72には、直接又は間接的にターミナルTが接続される。ターミナルTは、EDU13に対してセンサ情報を出力するための出力用のターミナルと、各ホール素子72に電力供給するための電力供給用のターミナルとを有し、計5つ設けられる。各ターミナルTは、ハイドロユニット11の挿通孔11b内に前記端末線33aとともに挿通されている。このとき、ターミナルTは、前記端末線33aを避けるように径方向外側まで延び、前記端末線33aよりも径方向外側を通るように前記挿通孔11b内に設けられている。ターミナルTは挿通孔11b内において端末線33aを離間させることで、端末線33aによるノイズの影響を抑えることができる。また、5つのターミナルTの内のセンサ情報を出力するための3つの出力用のターミナルと、5つのターミナルTの内の電力供給用の2つのターミナルとの導出経路を、2股に分岐させた後、前記端末線33aよりも径方向外側において集約するように配索している。
【0030】
図3及び図4に示すようにセンサ用基板SB並びにターミナルTは、サーキットホルダ80によって保持される。サーキットホルダ80は、エンドフレーム17に固定されている。本例では、サーキットホルダ80とエンドフレーム17とは例えば接着等によって取り付けられる。なお、接着に限らず、スナップフィット構造等によってサーキットホルダ80とエンドフレーム17とを固定する構成を採用してもよい。
【0031】
また、サーキットホルダ80には、エンドフレーム17に設けられた3つの突起17cとそれぞれ周方向に係合する係合凹部80aが設けられる。これにより、エンドフレーム17に対するサーキットホルダ80の周方向の位置決めがなされるため、サーキットホルダ80に保持されるセンサ用基板SBの位置も決まる。その結果、センサ用基板SBに設けられるホール素子72も位置決めされることとなる。
【0032】
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態のモータ装置10では、ステータ30のステータコイル33を構成する各巻線40,50に電力供給されることで各巻線40,50が励磁されてロータ20を回転させる回転磁界が発生する。エンドフレーム17の凹部17a内に設けられた回転検出部70によってロータ20の回転位置が検出されるようになっている。EDU13は、前記回転検出部70によって検出されたロータ20の回転位置に基づいてモータ装置10の制御を実施してハイドロユニット11によるブレーキ液の液圧を調整するようになっている。
【0033】
本実施形態の効果を記載する。
(1)ステータコイル33とEDU13との通電を図る複数の端末線33aが引き回され、その引き回された複数の端末線33aとモータ回転軸22との間に形成されるスペースSに回転検出部70を備えるため、スペースSから逸脱した位置に回転検出部70を備える場合と比較して小型化を図ることができる。
【0034】
(2)ロータ20の軸方向一端側であってロータ20よりも径方向外側に、端末線33aを周方向に引き回すためのガイド部材60を備えることで、端末線33aの引き回しを容易とすることができる。また、端末線33aが引き回されたガイド部材60の径方向内側に回転検出部70を設けることで、前述したように小型化を図ることができる。
【0035】
(3)エンドフレーム17は、軸方向においてロータ20側に窪んで端末線33aが形成する前記スペースS内に挿通される凹部17aを有する。この凹部17aに回転検出部70を設けることで小型化を図ることができる。
【0036】
(4)エンドフレーム17を導電部材で構成することでロータ20に設けられるマグネットやステータ30で発生する磁束の影響がホール素子72側に現れることを抑えることができ、所謂電磁シールド効果に寄与できる。
【0037】
(5)ターミナルTは、挿通孔11b内において軸方向に延びる前記端末線33aを避けて端末線33aよりも径方向外側を通るように設けられる。このような構成を採用することで、EDU13とモータ本体12との間にハイドロユニット11が位置する場合であってもハイドロユニット11内のギヤ11cの影響を抑えつつEDU13側にターミナルTを導出することができる。また、電力線である端末線33aを避けるようにターミナルTを導出することで端末線33aを軸方向に沿って直線状に引き出すことができるため、モータ本体12の体格を決めるヨークハウジング16の径方向への大型化を抑えることができる。
【0038】
(6)本例の5つのターミナルTは、3つのターミナルTと2つのターミナルTとで端末線33aを基準として2股に分岐させているため、ターミナルTを一方向から端末線を迂回するように配索した場合と比較してバランス良く配置することができる。これにより、ターミナルTの一部の導出経路が極端に長くなったりすることが抑えられ体格増加を抑えることができる。
【0039】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0040】
・上記実施形態では、エンドフレーム17を導電部材で構成したが、これに限らず、非導電部材で構成してもよい。
・上記実施形態では、エンドフレーム17に凹部17aを備え、凹部17aに回転検出部70を設ける構成を採用したが、これに限らない。例えば凹部17aを省略し、ハウジング15内の端末線33aにより形成されるスペースSに回転検出部70を設ける構成を採用してもよい。
【0041】
・上記実施形態では、端末線33aよりも径方向外側をターミナルTが通るような構成を採用したが、径方向内側や径方向同位置をターミナルTが通るような構成を採用してもよい。
【0042】
・上記実施形態では、5つのターミナルTを、端末線33aを基準として2股に分岐したが、分岐しない構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、ガイド部材60を用いる構成としたが、ガイド部材60を省略した構成を採用してもよい。また、ガイド部材60の内、ガイド本体61を省略した構成を採用してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、ガイド部材60を円環状としたが、他の環状形状としてもよい。また、ガイド部材60を周方向で一部途切れたC字状などの非環状形状としてもよい。また、ガイド部材60を複数の部材で構成してもよい。
【0044】
・上記実施形態では、接続線としての端末線33aをステータコイル33と一体形成された可撓性を有する導線で構成したが、これに限らない。例えば、バスバー等の剛性を有する導体で接続線を構成してもよい。
【0045】
・上記実施形態では、回転検出部70としてホール素子72を用いる構成としたが、これに限らない。例えば、MR素子、レゾルバやエンコーダ等の他の回転検出装置を用いる構成を採用してもよい。また、それぞれの回転検出装置に応じてセンサ線の本数は変動する場合がある。
【0046】
・上記実施形態では、第1の三相巻線40及び第2の三相巻線50をデルタ結線にて各インバータ回路と接続するようにしたが、これに限らず、スター結線を採用してもよい。
・上記実施形態では、2系統のインバータ回路を用いる構成としたが、これに限らず、1系統のインバータ回路を用いる構成としてもよい。
【0047】
・上記実施形態では、ステータコイル33をU+相巻線41a、Z+相巻線51e、Y-相巻線51d、W-相巻線41f、V+相巻線41c、X+相巻線51a、Z-相巻線51f、U-相巻線41b、W+相巻線41e、Y+相巻線51c、X-相巻線51b、V-相巻線41dの順で周方向に配置されるように結線したが、これに限らず、その順序は適宜変更可能である。
【0048】
・上記実施形態では、ステータコイル33を10極12スロットの位相差通電を前提とした結線態様を示しているが、これに限らない。例えば、2直2並列結線、4直列結線、4並列結線などの他の結線態様において上述した構成を適用できる。また、極数やスロット数も適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
10…モータ装置、11…ハイドロユニット、11b…挿通孔、12…モータ本体、13…EDU(制御部)、16…ヨークハウジング、16a…開口部、17…エンドフレーム、17a…凹部、20…ロータ、22…モータ回転軸、30…ステータ、33…ステータコイル(コイル)、33a…端末線(接続線)、60…ガイド部材、70…回転検出部、S…スペース、T…ターミナル。
図1
図2
図3
図4