(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】電気接続箱及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/14 20060101AFI20220802BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H02G3/14
H02G3/16
(21)【出願番号】P 2018164238
(22)【出願日】2018-09-03
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】山本 覚
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-25802(JP,A)
【文献】特開2013-59138(JP,A)
【文献】特開2013-59139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
H02G 3/16
H02G 3/08
B60R 16/02
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁及び内壁を有する二重壁構造のフレーム周壁と、該フレーム周壁に囲まれた開口部を覆うカバーとを備えて構成され、
前記フレーム周壁は、前記開口部近傍の前記外壁及び前記内壁の間にフレーム側ロック部を有する形状に形成され、
前記カバーは、可撓性を有し且つ前記外壁及び前記内壁の前記間に差し込まれるカバー側ロック部を有する形状に形成され、
前記フレーム側ロック部は、前記カバー側ロック部を撓ませ且つ乗り越えさせて係止する形状に形成され、
前記カバー側ロック部は、前記フレーム側ロック部への差し込み方向と、前記外壁及び前記内壁の間隔の方向とにそれぞれ直交する方向に撓む形状に形成される
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続箱において、
前記カバー側ロック部は、前記内壁の外面に対しロック部内面が離れる位置に、且つ、前記外壁の内面に対しロック部外面が摺接可能な位置に配置形成される
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気接続箱において、
前記カバーはロアカバーである
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項4】
端末に請求項1、2又は3に記載の電気接続箱を備えて自動車に配索される
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載される電気接続箱に関する。また、この電気接続箱を備えて自動車に配索されるワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される電気機器として、例えば電気接続箱が挙げられる。電気接続箱は、リレーボックスやヒューズボックス、或いはジャンクションブロック等を総称するものとして知られる。以下、従来例の電気接続箱(下記特許文献1参照)に関し簡単に説明をする。
【0003】
図9において、自動車に搭載される従来例の電気接続箱1は、電子部品ブロックと、この電子部品ブロックを収容するための筐体2とを備えて構成される。また、電気接続箱1は、筐体2の内部にワイヤハーネス3の端末が配設され、筐体2の下部からワイヤハーネス3が引き出されるように構成される。ワイヤハーネス3は、この端末等の所定位置に電気接続箱1が備えられて自動車に配索される。筐体2は、電子部品ブロックを着脱自在に組み付ける部分としてのフレーム4と、このフレーム4の上部開口部5及び電子部品ブロック6(
図10参照)を覆う部分としてのアッパーカバー7と、フレーム4の下部開口部8を覆う部分としてのロアカバー9とを備えて構成される。
【0004】
図9及び
図10において、フレーム4は、矩形枠状となるフレーム周壁10を有する図示形状に形成される。ここで、図中矢印Pの方向を上下、矢印Qの方向を左右、矢印Rの方向を前後と定義すると、フレーム周壁10における左壁11には、アッパーカバー7を係止するためのフレーム側ロック部12が形成される。また、右壁13には、アッパーカバー7の取り付けの際の回転中心となる突起係合部14が形成される。また、前壁15及び後壁16には、ロアカバー9を係止するためのフレーム側ロック部17が複数形成される。複数のフレーム側ロック部17は、外側に膨出するような枠状部分に形成される(後述するカバー側ロック部19が矢印Rの方向に撓むため、外側に膨出するような枠状部分に形成される)。
【0005】
図9において、アッパーカバー7には、フレーム4のフレーム側ロック部12に係止される部分として、カバー側ロック部18が形成される。また、カバー側ロック部18の反対側の位置には、突起係合部14に係合して取り付けの際の回転中心となる突起(図示省略)が形成される。
【0006】
図9及び
図10において、ロアカバー9には、フレーム4の複数のフレーム側ロック部17にそれぞれ係止される部分としての、カバー側ロック部19が複数形成される。また、ロアカバー9には、ワイヤハーネス3を引き出す部分としての通し部20が形成される。通し部20は、筒状に形成される。尚、ワイヤハーネス3は、排水管21と共に引き出され、テープ巻き22にて通し部20に固定される。ロアカバー9の複数のカバー側ロック部19は、それぞれ矢印Rの方向に撓む片持ちアーム形状に形成される。また、カバー側ロック部19は、外側に膨出するとともに上方に突出するような部分に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術にあっては、例えばフレーム4及びロアカバー9の二部材を見ると、フレーム4の複数のフレーム側ロック部17及びロアカバー9の複数のカバー側ロック部19が外側に膨出するように形成されることから、その膨出分だけ少なくとも電気接続箱1の搭載スペースを確保しなければならないという問題点を有する。また、外側に膨出するように形成されることから外力の影響を受け易く、場合によってはフレーム側ロック部17及びカバー側ロック部19の係止状態(ロック状態)が解除されてしまうという問題点も有する。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、小型化を図るとともにロック外れを防止することが可能な電気接続箱と、この電気接続箱を備えるワイヤハーネスとを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明の電気接続箱は、外壁及び内壁を有する二重壁構造のフレーム周壁と、該フレーム周壁に囲まれた開口部を覆うカバーとを備えて構成され、前記フレーム周壁は、前記開口部近傍の前記外壁及び前記内壁の間にフレーム側ロック部を有する形状に形成され、前記カバーは、可撓性を有し且つ前記外壁及び前記内壁の前記間に差し込まれるカバー側ロック部を有する形状に形成され、前記フレーム側ロック部は、前記カバー側ロック部を撓ませ且つ乗り越えさせて係止する形状に形成され、前記カバー側ロック部は、前記フレーム側ロック部への差し込み方向と、前記外壁及び前記内壁の間隔の方向とにそれぞれ直交する方向に撓む形状に形成されることを特徴とする。
【0011】
このような請求項1の特徴を有する本発明によれば、フレーム側ロック部がフレーム周壁の外壁及び内壁の間に配置形成され、また、カバー側ロック部がフレーム周壁の外壁及び内壁の間に差し込まれるような配置に形成されることから、フレーム側ロック部及びカバー側ロック部がある部分においては従来例のような外側に膨出する形状にならず、結果、従来例と比べて小型化を図ることができる。また、本発明によれば、カバー側ロック部が、フレーム側ロック部への差し込み方向と、外壁及び内壁の間隔の方向とにそれぞれ直交する方向に撓むような形状に形成されることから、撓み方向が従来例と異なり、結果、従来例のような外側に膨出する形状にはならない。すなわち、上記同様に小型化を図ることができる。また、本発明によれば、フレーム側ロック部が外壁及び内壁の間に配置形成され、ここにカバー側ロック部が差し込まれて係止状態(ロック状態)になることから、従来例と比べて外力からの影響を受け難くすることができる。すなわち、ロック外れを防止することができる。
【0012】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の電気接続箱において、前記カバー側ロック部は、前記内壁の外面に対しロック部内面が離れる位置に、且つ、前記外壁の内面に対しロック部外面が摺接可能な位置に配置形成されることを特徴とする。
【0013】
このような請求項2の特徴を有する本発明によれば、カバーのカバー側ロック部がフレーム周壁の外壁に対し摺接可能な位置に配置形成されることから、フレーム周壁とカバーとのガタツキを防止することができる。また、上記位置に配置形成されることから、外部からの水分の浸入をし難くすることもできる。この他、カバーが請求項3のようなロアカバーであれば、外壁及び内壁の間に落とし込まれた水分をロアカバーに導き易くするような配置にすることができる。これにより、ロアカバーを介しての排水性を十分に確保することができる。
【0014】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の電気接続箱において、前記カバーはロアカバーであることを特徴とする。
【0015】
このような請求項3の特徴を有する本発明によれば、カバーがロアカバーであることから、フレーム周壁とロアカバーとの部分においての小型化を図ることや、この部分でのロック外れを防止することができる。
【0016】
また、上記課題を解決するためになされた請求項4に記載の本発明のワイヤハーネスは、端末に請求項1、2又は3に記載の電気接続箱を備えて自動車に配索されることを特徴とする。
【0017】
このような請求項4の特徴を有する本発明によれば、小型化を図るとともにロック外れを防止することが可能な電気接続箱を備えたワイヤハーネスを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電気接続箱によれば、小型化を図るとともにロック外れを防止することができるという効果を奏する。また、本発明のワイヤハーネスによれば、上記効果を奏する電気接続箱を構成に備えることから、より良いものを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の電気接続箱の一実施形態を示す正面図である。
【
図2】
図1のフレーム及びロアカバーを模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図2に対しフレームの内部構造を示す斜視図である。
【
図4】フレームを示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA-A線断面図である。
【
図5】ロアカバーを示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である(円内は要部拡大図である)。
【
図6】フレーム側ロック部及びカバー側ロック部の係止状態を示す断面図である(円内は拡大図である)。
【
図7】フレーム側ロック部及びカバー側ロック部の係止状態を示す拡大斜視図である。
【
図8】フレーム側ロック部及びカバー側ロック部の係止状態を示す断面図である(円内は拡大図である)。
【
図10】
図9のフレーム及びロアカバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ワイヤハーネスの端末に備えられる電気接続箱は、外壁及び内壁を有する二重壁構造のフレーム周壁と、このフレーム周壁に囲まれた開口部を覆うカバーとを備えて構成される。フレーム周壁は、開口部近傍の外壁及び内壁の間にフレーム側ロック部を有する形状に形成される。カバーは、可撓性を有し且つ外壁及び内壁の間に差し込まれるカバー側ロック部を有する形状に形成される。フレーム側ロック部は、カバー側ロック部を撓ませ且つ乗り越えさせて係止する形状に形成される。カバー側ロック部は、フレーム側ロック部への差し込み方向と、外壁及び内壁の間隔の方向とにそれぞれ直交する方向に撓む形状に形成される。
【実施例】
【0021】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
図1は本発明の電気接続箱の一実施形態を示す正面図を示す図である。また、
図2は
図1のフレーム及びロアカバーを模式的に示す斜視図、
図3は
図2に対しフレームの内部構造を示す斜視図、
図4はフレームを示す図、
図5はロアカバーを示す図、
図6~
図8はフレーム側ロック部及びカバー側ロック部の係止状態を示す図である。尚、図中の矢印Pは上下方向、矢印Qは左右方向、矢印Rは前後方向を示すものとする。
【0022】
<電気接続箱31について>
図1において、電気接続箱31は、ワイヤハーネス32の所定位置の端末に設けられた状態で自動車やトラック等の車両に搭載される。このような電気接続箱31は、電子部品ブロック33と、この電子部品ブロック33を収容するための筐体34とを備えて構成される。尚、本実施例においては、電気接続箱31がリレーボックスのような外観にて図示されるが、これは一例であるものとする。図中の引用符号35は、ワイヤハーネス32の電線束36と共に筐体34から引き出される排水管を示す。また、引用符号37はテープ巻きを示す。
【0023】
電気接続箱31は、以下の説明で分かるようになるが、従来例のものと比べて小型化を図ることができるように構成される。また、後述するフレーム周壁44とロアカバー42とのロック外れも防止することができるように構成される。以下、電気接続箱31の上記構成部材について説明をする。
【0024】
<電子部品ブロック33について>
図1において、電子部品ブロック33は、複数の電子部品が組み付けられる部材として備えられる。また、電子部品ブロック33は、上記電子部品が所定回路に接続される部材として備えられる。具体的には、リレーが樹脂製のリレー組み付け部に組み付けられるとともに、ヒューズが樹脂製のヒューズ組み付け部に組み付けられるような部材として備えられる(一例であるものとする)。
【0025】
以上のような電子部品ブロック33は、カセット式のものであって、後述するフレーム38に対し着脱自在に組み付けられる。電子部品ブロック33に関しては、この名称をカセットブロックと読み替えてもよいものとする。
【0026】
<筐体34について>
図1において、筐体34は、絶縁性を有する樹脂製の部材の組み合わせであって、具体的には、電子部品ブロック33が着脱自在に組み付けられるフレーム38と、このフレーム38の上部開口部39を覆うアッパーカバー40と、フレーム38の下部開口部41(開口部)を覆うロアカバー42(カバー)とを備えて構成される。このような筐体34には、ワイヤハーネス32の電線束36及び排水管35が共に引き出される(挿通される)通し部43が筒状に突出形成される。尚、本実施例においては、特許請求の範囲に記載されたカバーがロアカバー42に相当するものとしているが、アッパーカバー40の側に本発明の特徴部分を適用することも可能である。従って、ロアカバー42だけに限定されないものとする。
【0027】
<フレーム38について>
図1ないし
図4において、フレーム38は、樹脂成形品であって、フレーム周壁44と、このフレーム周壁44に設けられる図示しない固定脚部とを有する。フレーム38は、上下が開口する矩形枠状の部材に形成される。フレーム38の上側の開口は、上部開口部39として形成される。また、フレーム38の下側の開口は、下部開口部41として形成される。図示しない固定脚部は、電気接続箱31を車両に搭載する際の固定部分として形成される。固定脚部には、ボルトにて車両に締結するための貫通孔が形成される。
【0028】
<フレーム周壁44について>
図1ないし
図4において、フレーム周壁44は、矩形枠状の外壁45と、この外壁45の内側に配設される矩形枠状の内壁46とを有する二重壁構造のものに形成される。また、フレーム周壁44は、外壁45及び内壁46を所定の間隔で連結・配置するための複数の連結部47及び複数の連結部48と、ロアカバー42を係止するための複数のフレーム側ロック部49と、従来例同様の突起係合部50(
図1参照。
図2以降は図示省略)及びフレーム側ロック部51(
図1参照。
図2以降は図示省略)とを有して図示形状に形成される。
【0029】
外壁45及び内壁46は、特に符号を付さないが、それぞれ四つの壁にて形成される(壁の数は一例であるものとする)。具体的には、矢印Rの方向にある前側の壁及び後側の壁と、矢印Qの方向にある左側の壁及び右側の壁にて形成される。外壁45及び内壁46は、これら上端の位置が同じに形成される。一方、下端の位置は、外壁45の方が下に長く(内壁46が短く)なるように形成される。外壁45及び内壁46は、下端の位置で段付きとなる形状に形成される。この段付きとなる形状の部分は、ロアカバー42に対する継ぎ目部52として形成される。
【0030】
図3、
図4、及び
図6において、複数の連結部47は、外壁45及び内壁46を所定の間隔で連結・配置するため、内壁46の下端から上端近傍に向けて真っ直ぐのびるリブ状の部分に形成される。一方、複数の連結部48は、外壁45及び内壁46を所定の間隔で連結・配置するためのリブ状の部分であるが、内壁46の下端近傍から上端近傍にかけて真っ直ぐのびるように形成される。複数の連結部48は、複数の連結部47よりも矢印Pの上下方向に短い長さで形成される。複数の連結部47及び複数の連結部48は、外壁45及び内壁46の間に隙間53を生じさせるために形成される。この隙間53は、例えば高圧洗浄等でアッパーカバー40の側から浸入した水分をロアカバー42に落とし込むための部分として形成される(ロアカバー42に落とし込まれた水分は排水管35(
図1参照)を介して外部へ排水される)。
【0031】
尚、複数の連結部47及び複数の連結部48が内壁46の上端までのびないのは、上端位置の部分がアッパーカバー40に対する継ぎ目部54として形成されるからである。また、複数の連結部48が内壁46の下端までのびないのは、フレーム側ロック部49が形成されるからであり、且つ、後述するカバー側ロック部60が挿入されるからである。
【0032】
<フレーム側ロック部49について>
図3、
図4、
図6、及び
図7において、フレーム側ロック部49は、ロアカバー42の後述するカバー側ロック部60を係止して、これによりフレーム周壁44とロアカバー42とを係止状態(ロック状態)にするような部分に形成される。本発明ではこのような部分、すなわちフレーム側ロック部49が下部開口部41の近傍の外壁45及び内壁46の間に配置形成されることが特徴の一つになる。フレーム側ロック部49は、矢印Qの左右方向に所定の間隔をあけて配置される一対の係止ブロック55として形成される。一対の係止ブロック55は、この部分だけを見れば、直方体となる形状に形成される。一対の係止ブロック55は、後述するカバー側ロック部60を撓ませ且つ乗り越えさせて係止することができるような形状の部分に形成される。一対の係止ブロック55は、複数の連結部47及び複数の連結部48と同様に、外壁45及び内壁46を所定の間隔で連結・配置する部分に形成される。
【0033】
図8において、一対の係止ブロック55(フレーム側ロック部49)がある位置の外壁45を見ると、この部分は従来例のような外側に膨出する部分でないことが分かる。
【0034】
<アッパーカバー40について>
図1において、アッパーカバー40は、上記の如くフレーム38の上部開口部39を覆う部材として備えられる。アッパーカバー40は、樹脂成形品である。このようなアッパーカバー40には、従来例と同様に、カバー側ロック部56と、突起係合部50に係合して取り付けの際の回転中心になる図示しない突起とが形成される。
【0035】
<ロアカバー42について>
図1ないし
図3において、ロアカバー42は、上記の如くフレーム38の下部開口部41を覆う部材として備えられる。ロアカバー42は、樹脂成形品である。このようなロアカバー42は、底壁57と、この底壁57の周縁に連続するカバー周壁58と、カバー周壁58の上端位置に配置形成される継ぎ目部59と、複数のカバー側ロック部60と、底壁57に配置形成される上記通し部43とを有して図示形状に形成される。底壁57は、平面視長方形状に形成される。カバー周壁58は、矩形枠状に形成される。尚、カバー周壁58は、フレーム周壁44と異なり二重壁でないものとする。
【0036】
図6ないし
図8において、継ぎ目部59は、フレーム周壁44の継ぎ目部52に対し係合する部分として形成される。ロアカバー42側の継ぎ目部59は、フレーム周壁44の外壁45の下端61が当接する段差部62と、外壁45の内面63に対向する(接触する)外面64と、この外面64の上側に連続するテーパ面65とを有して図示形状に形成される。段差部62は、外側に突出する環状の突起部分に形成される。継ぎ目部59は、外面64がある部分がカバー周壁58よりも若干薄肉に形成される。また、テーパ面65がある部分は、先細りに形成される。
【0037】
<カバー側ロック部60について>
図3、
図5、
図6、
図7、及び
図8において、カバー側ロック部60は、フレーム周壁44のフレーム側ロック部49に係止されて、これによりフレーム周壁44とロアカバー42とを係止状態(ロック状態)にするような部分に形成される。本発明ではこのような部分、すなわちカバー側ロック部60が特徴の一つになる。カバー側ロック部60は、矢印Qの左右方向に所定の間隔をあけて配置される一対の係止アーム66として形成される。一対の係止アーム66は、可撓性を有するアーム本体67と、このアーム本体67の先端側に形成される係止凸部68とを有して図示形状に形成される。
【0038】
一対のアーム本体67は、矢印Pの上下方向にのびる形状に形成される。また、一対のアーム本体67は、互いが近づく方向に撓み可能となる形状に形成される。すなわち、上記左右方向に撓み可能となる形状に形成される(別な言い方をすれば、フレーム側ロック部49への差し込み方向と、外壁45及び内壁46の間隔の方向とにそれぞれ直交する方向に撓み可能となる形状に形成される)。一対の係止凸部68は、フレーム側ロック部49に引っ掛かり係止される凸状の部分に形成される。一対の係止凸部68には、フレーム側ロック部49を乗り越える際に摺接するテーパ69が形成される。
【0039】
カバー側ロック部60である一対の係止アーム66において、引用符号70で示す面をロック部外面、引用符号71で示す面をロック部内面とすると、ロック部外面70は、継ぎ目部59の外面64と面一に形成される。また、ロック部外面70は、外壁45の内面63に摺接する(対向する)ように形成される。一方、ロック部内面71は、継ぎ目部59の内面72と面一に形成される。また、ロック部外面70は、内壁46の外面73から離れるように配置形成される。
【0040】
一対の係止アーム66の間には、テーパ面74が配置形成される。このテーパ面74は、継ぎ目部59のテーパ面64と同じ部分として形成される。テーパ面74には、樹脂成形の際に「ヒケ」にて一対の係止アーム66が倒れ込まないようにするための肉盛り75が一対形成される。
【0041】
図8において、一対の係止アーム66(カバー側ロック部60)を見ると、この部分は従来例のような外側に膨出する部分でないことが分かる。
【0042】
<フレーム側ロック部49及びカバー側ロック部60によるロック状態について>
図6及び
図7において、組み付けの際に、ロアカバー42のカバー側ロック部60がフレーム周壁44のフレーム側ロック部49に向けて差し込まれると、一対の係止アーム66の一対の係止凸部68が(テーパ69が)一対の係止ブロック55に当接し、これにより一対の係止アーム66が矢印Qの左右方向に撓んで一対の係止ブロック55の間を通過する。そして、一対の係止凸部68が一対の係止ブロック55を乗り越えると、撓んでいた一対の係止アーム66が元の状態に戻り、一対の係止凸部68が一対の係止ブロック55に係止される。この係止により、フレーム側ロック部49及びカバー側ロック部60は、ロック状態になる。
【0043】
<電気接続箱31の効果について>
以上、
図1ないし
図8を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態である電気接続箱31によれば、フレーム側ロック部49がフレーム周壁44の外壁45及び内壁46の間に配置形成され、また、カバー側ロック部60がフレーム周壁44の外壁45及び内壁46の間に差し込まれるような配置に形成されることから、フレーム側ロック部49及びカバー側ロック部60がある部分においては従来例のような外側に膨出する形状にならず、結果、従来例と比べて小型化を図ることができるという効果を奏する。また、電気接続箱31によれば、カバー側ロック部60が、フレーム側ロック部49への差し込み方向(矢印Pの上下方向と同じ)と、外壁45及び内壁46の間隔の方向(矢印Rの前後方向と同じ)とにそれぞれ直交する方向(矢印Qの左右方向と同じ)に撓むような形状に形成されることから、撓み方向が従来例と異なり、結果、従来例のような外側に膨出する形状にはならない。すなわち、上記同様に小型化を図ることができるという効果を奏する。また、電気接続箱31によれば、フレーム側ロック部49が外壁45及び内壁46の間に配置形成され、ここにカバー側ロック部60が差し込まれて係止状態(ロック状態)になることから、従来例と比べて外力からの影響を受け難くすることができるという効果を奏する。すなわち、ロック外れを防止することができるという効果を奏する。
【0044】
この他、電気接続箱31によれば、カバー側ロック部60がフレーム周壁44の外壁45に対し摺接可能な位置に配置形成されることから、フレーム周壁44とロアカバー42とのガタツキを防止することができるという効果を奏する。また、上記位置に配置形成されることから、外部からの水分の浸入をし難くすることができるという効果も奏する(
図8の円内の形状を見れば水分に浸入がし難くなっていることが分かる)。また、上記位置に配置形成されることから、外壁45及び内壁46の間に落とし込まれた水分をロアカバー42に導き易くすることができ、以てロアカバー42を介しての排水性を十分に確保することができるという効果も奏する。
【0045】
<ワイヤハーネス32の効果について>
また、ワイヤハーネス32によれば、小型化を図るとともにロック外れを防止することが可能な電気接続箱31を備えることから、より良いものを提供することができるという効果を奏する。
【0046】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
31…電気接続箱、 32…ワイヤハーネス、 33…電子部品ブロック、 34…筐体、 35…排水管、 36…電線束、 37…テープ巻き、 38…フレーム、 39…上部開口部、 40…アッパーカバー、 41…下部開口部(開口部)、 42…ロアカバー(カバー)、 43…通し部、 44…フレーム周壁、 45…外壁、 46…内壁、 47、48…連結部、 49…フレーム側ロック部、 50…突起係合部、 51…フレーム側ロック部、 52…継ぎ目部、 53…隙間、 54…継ぎ目部、 55…係止ブロック、 56…カバー側ロック部、 57…底壁、 58…カバー周壁、 59…継ぎ目部、 60…カバー側ロック部、 61…下端、 62…段差部、 63…内面、 64…外面、 65…テーパ面、 66…係止アーム、 67…アーム本体、 68…係止凸部、 69…テーパ、 70…ロック部外面、 71…ロック部内面、 72…内面、 73…外面、 74…テーパ面、 75…肉盛り