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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20220802BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20220802BHJP
【FI】
H04W72/04 131
H04W84/18
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2018547969
(86)(22)【出願日】2017-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2017054765
(87)【国際公開番号】W WO2017157663
(87)【国際公開日】2017-09-21
【審査請求日】2020-02-17
(31)【優先権主張番号】16160878.1
(32)【優先日】2016-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518091705
【氏名又は名称】アール3-リライアブル リアルタイム レディオ コミュニケーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ボナナティ,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ボーゲ,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ジェームズ
【審査官】野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02110979(EP,A1)
【文献】特開平11-177622(JP,A)
【文献】特開2008-227796(JP,A)
【文献】特開2007-194787(JP,A)
【文献】特表2011-509601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4つの通信ノードを含む通信システムを動作させる方法であって、
- 通信システムは、時分割多重化技術で動作し、通信は、スロットに分割される連続する時間フレームにおいて実行され、
- 前記スロットの各々は、送信サブスロット及びエコーサブスロットと呼ばれる少なくとも2つの連続するサブスロットを含み、
- 前記通信ノードの各々は、データ信号を他の通信ノードに送信するときに、それ自身の送信サブスロットを有し、該送信サブスロットにおいて該データ信号を他の通信ノードに送信し、
- 直前の送信サブスロットにおいてデータ信号を受信した前記通信ノードの各々又は前記通信ノードのうちの予め定義されたサブセットは、正しい受信に関して、前記データ信号を分析し、
― 正しい受信の場合、前記通信ノードの各々又は前記通信ノードのうちの予め定義されたサブセットは、受信した前記データ信号がそれ自身に向けられたものか、又は前記通信システムの別の通信ノードに向けられたものかを決定し、後者の場合、同じスロットのうちの連続するエコーサブスロットにおいて対応するエコー信号を生成及び送信し、前者の場合、受信した前記データ信号を処理し、
- 受信した前記データ信号及び対応する前記エコー信号は同一である、あるいは各信号をデータ信号又はエコー信号のいずれかとして識別する単一のビット又は単一のビット列で構成された識別子が異なるにすぎないものである、方法。
【請求項2】
前記スロットは、前記スロットを前記通信ノードに予め割り当てる管理信号を送信することによって、任意の方式で前記通信ノードに割り当てられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記通信ノードの各々又は前記通信ノードのうちの予め定義されたサブセットは、受信したデータ信号を復号し、受信した信号データにエラーがないかどうかを決定するため、各データ信号に含まれるチェックサムを分析する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
エコーする通信ノードは、同期したやり方、すなわちエコーされなければならない以前に受信した前記データ信号の到着時間及び周波数に関して時間及び周波数領域で同期させてそれらのエコー信号を送信する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
別の通信ノードの前記送信サブスロットのいずれかにおけるデータ信号の受信中であって、連続する前記エコーサブスロットにおいて対応する前記エコー信号を送信する前に、エコーする各通信ノードは、タイマを開始し、該タイマが満了したら対応する前記エコー信号を送信する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
別の通信ノードの前記送信サブスロットのいずれかにおけるデータ信号の受信中であって、連続する前記エコーサブスロットにおいて対応する前記エコー信号を送信する前に、エコーする各通信ノードは、前記データ信号に含まれる同期ビット列を識別し、該同期ビット列を受信したらタイマを開始し、該タイマが満了したら対応する前記エコー信号を送信することによって、前記エコー信号の送信を該同期ビット列に関して同期させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
エコーする通信ノードの各々は、直前の前記データ信号を受信したのと同じ周波数で対応する前記エコー信号を送信する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
- 各時間フレームにおけるすべてのスロットは同じ長さを有し、
- 各エコーサブスロットは、直前の前記送信サブスロットと同じ長さを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
- 前記通信システムは、トークンリングシステムであって、各通信ノードは、直接的に、又は間接的、すなわち、中継ノードとして機能する1つ以上の他の通信ノードを介して、割り当てられた下流通信ノードにデータ信号を送信し、割り当てられた上流通信ノードからデータ信号を受信し、
- 各送信サブスロットの終端及びそれによる長さ並びに連続するエコーサブスロットの長さは、それぞれのトークンが割り当てられた前記下流通信ノードに送信される時点によって定義される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
- 前記通信システムの通信ノードのうちの1つはマスタであり、他の通信ノードはスレーブであり、
- 各スレーブは、その内部クロックを前記マスタのクロックと同期させる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記マスタは、各時間フレームにより構成される1つ以上の別々の同期時間サブスロットにおいて、及び/又は別々の周波数での別々の通信チャネルにおいて、その送信サブスロットにおいてマスタ同期ビット列を前記スレーブに送信する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
- その送信サブスロットの各々において、前記通信ノードの各々は、現在又は直前の時間フレームにおいて、データ信号及び/又はエコー信号がどの他の通信ノードから受信しされたかを示す情報を送信する、及び/又は
- その送信サブスロットの各々において、前記通信ノードの各々は、現在又は直前の時間フレームにおいて、他の通信ノードから受信したデータ信号及び/又はエコー信号に関する受信信号の品質を示す情報を送信する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記スロットの各々は、送信サブスロット及びエコーサブスロットと以下呼ばれる、2つの連続するサブスロットからなる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも4つの通信ノードを含む通信システムであって、
前記通信ノードの各々は、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実行し、別の通信ノードからデータ信号の受信を完了したら、受信した前記データ信号がそれ自身に向けられたものか、又は前記通信システムの別の通信ノードに向けられたものかを決定し、後者の場合、受信した前記データ信号に対応するエコー信号を生成するように構成される、通信システム。
【請求項15】
請求項14に記載の通信システムのための通信ノードであって、
前記通信ノードは、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実行し、別の通信ノードからデータ信号の受信を完了したら、受信した前記データ信号がそれ自身に向けられたものか、又は前記通信システムの別の通信ノードに向けられたものかを決定し、後者の場合、受信した前記データ信号に対応するエコー信号を生成するように構成される、通信システム。
【請求項16】
請求項15に記載の通信ノードであって、
前記通信ノードは、
- トランシーバと、
- プロセッサと、
- エコーソフトウェアモジュールを記憶するメモリであって、該エコーソフトウェアモジュールは、起動後に、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実行し、別の通信ノードからデータ信号の受信を完了したら、受信した前記データ信号がそれ自身に向けられたものか、又は前記通信システムの別の通信ノードに向けられたものかを決定し、後者の場合、受信した前記データ信号に対応するエコー信号を生成するように前記プロセッサをプログラムする、メモリと、を含む通信ノード。
【請求項17】
少なくとも4つの通信ノードを含む通信システムを動作させる方法であって、
- 前記通信システムは時分割多重化技術で動作し、通信は、スロットに分割される連続する時間フレームにおいて実行され、
- 少なくとも1つのスロットは前記通信ノードの各々に割り当てられ、
- 前記スロットの各々は、送信サブスロット及びエコーサブスロットと以下呼ばれる、少なくとも2つの連続するサブスロットを含む、又はこれからなり、
- 前記通信ノードの各々は、割り当てられたスロットの送信サブスロットにおいてそのデータ信号を送信し、
- 前記通信ノードの各々及び前記通信ノードのうちの予め定義されたサブセットは、正しい受信に関して、前の前記送信サブスロットにおいて任意の他の通信ノードから受信した各データ信号を分析し、
- 正しい受信の場合、前記通信ノードの各々及び前記通信ノードのうちの予め定義されたサブセットは、受信した前記データ信号がそれ自身に向けられたものか、又は前記通信システムの別の通信ノードに向けられたものかを決定し、後者の場合、連続する前記エコーサブスロットにおいて対応するエコー信号を生成し、前者の場合、受信した前記データ信号を処理し、
- 前記データ信号及び前記エコー信号は同一である、あるいは各信号をデータ信号又はエコー信号のいずれかとして識別する単一のビット又は単一のビット列で構成された識別子が異なるにすぎない、方法。
【請求項18】
前記スロットは、前記スロットを前記通信ノードに予め割り当てる管理信号を送信することによって、任意のやり方で前記通信ノードに割り当てられる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記通信ノードの各々又は前記通信ノードのうちの予め定義されたサブセットは、受信したデータ信号を復号し、受信した信号データにエラーがないかどうかを決定するため、各データ信号に含まれるチェックサムを分析する、請求項17から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
エコーする前記通信ノードは、同期したやり方、すなわちエコーされなければならない以前に受信した前記データ信号の到着時間及び周波数に関して時間及び周波数領域で同期させてそれらのエコー信号を送信する、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
別の通信ノードの前記送信サブスロットのいずれかにおけるデータ信号の受信中であって、連続する前記エコーサブスロットにおいて対応する前記エコー信号を送信する前に、エコーする各通信ノードは、タイマを開始し、該タイマが満了したら対応する前記エコー信号を送信する、請求項17から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
別の通信ノードの前記送信サブスロットのいずれかにおけるデータ信号の受信中であって、連続する前記エコーサブスロットにおいて対応する前記エコー信号を送信する前に、エコーする各通信ノードは、前記データ信号に含まれる同期ビット列を識別し、該同期ビット列を受信したらタイマを開始し、該タイマが満了したら対応する前記エコー信号を送信することによって、前記エコー信号の送信を前記同期ビット列に関して同期させる、請求項17から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
エコーする通信ノードの各々は、直前の前記データ信号を受信したのと同じ周波数で対応する前記エコー信号を送信する、請求項17から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
- 各時間フレームにおけるすべてのスロットは同じ長さを有し、
- 各エコーサブスロットは、直前の前記送信サブスロットと同じ長さを有する、請求項17から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
- 前記通信システムは、トークンリングシステムであって、各通信ノードは、直接的に、又は間接的、すなわち、中継ノードとして機能する1つ以上の他の通信ノードを介して、割り当てられた下流通信ノードにデータ信号を送信し、割り当てられた上流通信ノードからデータ信号を受信し、
- 各送信サブスロットの終端及びそれによる長さ並びに連続するエコーサブスロットの長さは、それぞれのトークンが割り当てられた前記下流通信ノードに送信される時点によって定義される、請求項17から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
- 前記通信システムの通信ノードのうちの1つはマスタであり、他の通信ノードはスレーブであり、
- 各スレーブは、その内部クロックを前記マスタのクロックと同期させる、請求項17から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記マスタは、各時間フレームにより構成される1つ以上の別々の同期時間サブスロット及び/又は別々の周波数における別々の通信チャネルにおいて、その送信サブスロットにおいてマスタ同期ビット列を前記スレーブに送信する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
- その送信サブスロットの各々において、前記通信ノードの各々は、他の通信ノードの各々は、現在又は直前の時間フレームにおいて、データ信号及び/又はエコー信号がどの他の通信ノードから受信されたかを示す情報を送信する、及び/又は
- その送信サブスロットの各々において、前記通信ノードの各々は、現在又は直前の時間フレームにおいて、他の通信ノードから受信したデータ信号及び/又はエコー信号に関する受信信号の品質を示す情報を送信する、請求項17から27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信ノード、及び通信システムを動作させる方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102012206529号明細書は、トークンリングシステムを動作させる方法を開示して、ここでは、通信ノードが、割り当てられた上流通信ノードに信号を送信し、割り当てられた下流通信ノードから信号を受信する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、非常に信頼できるやり方で通信システムを動作させることができる方法を提供することである。
【0004】
本発明のさらなる目的は、非常に信頼できるやり方で動作することができる通信システム及び通信ノードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、少なくとも4つの通信ノードを含む通信システムを動作させる方法に関連する。システムは時分割多重化技術で動作し、通信はスロットに分割される連続する時間フレームにおいて実行される。スロットの各々は、少なくとも2つの連続するサブスロット、つまり、送信サブスロット及びエコーサブスロットを含む、又は好ましくはこれらからなる。通信ノードの各々は、データ信号を他の通信ノードに送信するときは、それ自身の送信サブスロットを有し、そのデータ信号をその送信サブスロットにおいて他の通信ノードに送信する。直前の送信サブスロット(TSS1~TSS4)においてデータ信号(DS1~DS4)を受信した通信ノードの各々又は通信ノードのうちの予め定義されたサブセットは、正しい受信に関してデータ信号を分析する。正しい受信の場合、通信ノードの各々又は通信ノードのうちの予め定義されたサブセットは、受信したデータ信号がそれ自身に向けられた(そのようなことはそれ自身によって処理されることを意味する)ものか、又は通信システムの別の通信ノードに向けられたものかを決定する。後者の場合、通信ノードは、同じスロットの連続するエコーサブスロットにおいて対応するエコー信号を生成及び送信し、そうでなければ受信したデータ信号を処理する。受信したデータ信号と対応するエコー信号は同一である、あるいは各信号をデータ信号又はエコー信号のいずれかとして識別する単一のビット又は単一のビット列で好ましくは構成される識別子が異なるにすぎない。
【0006】
本発明のこの実施形態の利点は、通信の信頼性が高まることである。エコーする通信ノードが、エコー信号をブロードキャストすることにより、データの専用受信者への首尾よい送信の可能性を高める。例えば、通信ノードが、何らかの理由(例えば、雑音、干渉)により送信サブスロットにおいてデータ信号を受信しなかった場合に、その通信ノードには、エコー又は再送する別の通信ノードから対応するエコー信号を受信することによって、連続するエコーサブスロットにおいて取り損なったデータ信号で構成される情報を受信する機会が与えられる。
【0007】
スロットは、例えば、通信ノードにスロットを予め割り当てる管理信号を送信することによって、任意の方式で通信ノードに割り当てられてよい。
【0008】
好ましい実施形態では、通信ノードの各々又は通信ノードのうちの予め定義されたサブセットは、受信したデータ信号を復号し、受信したデータ信号にエラーがないかどうかを決定するために、各データ信号に含まれるチェックサムを分析する。
【0009】
例えば、通信ノードの各々又は通信ノードのうちの予め定義されたサブセットは、検出されたエラーが除去されたかどうかを決定するためにチェックサムを分析し、ビットエラーが残っている場合には、エラーのないデータ信号を得るためにエラーを訂正することを試みてよい。
【0010】
エコーする通信ノードの各々は、直前のデータ信号を受信したものと同じ周波数で対応するエコー信号を送信してよい。
【0011】
好ましい実施形態によれば、エコーする通信ノードは、同期したやり方、すなわちエコーされなければならない以前に受信したデータ信号の到着時間及び周波数に関して時間及び周波数領域で同期させてそれらのエコー信号を送信する。
【0012】
別の通信ノードの送信サブスロットのいずれかにおけるデータ信号の受信中であって、連続するエコーサブスロットにおいて対応するエコー信号を送信する前に、エコーする各通信ノードはタイマを開始し、タイマが満了したら対応するエコー信号を送信してよい。
【0013】
別の通信ノードの送信サブスロットのいずれかにおけるデータ信号の受信中であって、連続するエコーサブスロットにおいて対応するエコー信号を送信する前に、エコーする各通信ノードは、データ信号に含まれる同期ビット列を識別し、好ましくは同期ビット列を受信したらタイマ(又は上述のタイマ)を開始し、タイマが満了したら対応するエコー信号を送信することによって、同期ビット列に関してエコー信号の送信を同期させる。
【0014】
各時間フレームのすべてのスロットは好ましくは同じ長さを有し、各エコーサブスロットは好ましくは直前のデータ送信サブスロットと同じ長さを有する。
【0015】
通信システムは、トークンリングシステムとしてよく、各通信ノードは直接的に、又は間接的、すなわち、中継ノードとして機能する1つ以上の他の通信ノードを介して、割り当てられた下流通信ノードにデータ信号を送信し、割り当てられた上流通信ノードからで―他信号を受信する。
【0016】
各送信サブスロットの終端及びそれによる長さ並びに連続するエコーサブスロットの長さは、好ましくは、それぞれのトークンが割り当てられた下流通信ノードに送信される時点によって定義される。
【0017】
通信システムの通信ノードの1つはマスタとしてよく(又はマスタとして動作してもよい)、他の通信ノードはスレーブとしてよい(又はスレーブとして動作させてよい)。各スレーブは、好ましくは、その内部クロックをマスタのクロックと同期させる。
【0018】
マスタは、その送信サブスロットにおいてマスタ同期信号、好ましくはマスタ同期ビット列をスレーブに送信してよい。同期信号は、各時間フレームにより構成される1つ以上の別々の同期時間サブスロットにおいて、及び/又は別々の周波数での別々の通信チャネルにおいて送信してよい。
【0019】
その送信サブスロットの各々において、通信ノードの各々は、現在又は直前の時間フレームにおいて、データ信号及び/又はエコー信号がどの他の通信ノードから受信されたかを示す情報を送信してよい。
【0020】
さらに、その送信サブスロットの各々において、通信ノードの各々は、現在又は直前の時間フレームにおいて、他の通信ノードから受信したデータ信号及び/又はエコー信号に関する受信信号の品質を示す情報を送信してよい。
【0021】
要約すると、本発明の実施形態は、少なくとも4つの通信ノードを含む通信システムを動作させる方法に関連してよい。システムは時分割多重化技術で動作してよく、通信は、スロットに分割される連続する時間フレームにおいて実行される。少なくとも1つのスロットが通信ノードの各々に割り当てられる。スロットの各々は、少なくとも2つの連続するサブスロット、すなわち送信サブスロット及びエコーサブスロットを含むか、又は好ましくはそれらからなる。
【0022】
各通信ノードは、割り当てられたスロットのサブスロットにおいてそのデータ信号を送信する。通信ノードの各々又は通信ノードのうちの予め定義されたサブセットは、正しい受信に関して、以前の送信サブスロットにおいて任意の他の通信ノードから受信した各データ信号を分析する。正しい受信の場合、通信ノードの各々又は通信ノードのうちの予め定義されたサブセットは、受信したデータ信号がそれ自身に向けられた(そのようなことはそれ自身によって処理されることを意味する)ものか、又は通信システムの別の通信ノードに向けられたものかを決定する。後者の場合、通信ノードは、連続するエコーサブスロットにおいて対応するエコー信号を生成し、そうでなければ受信したデータ信号を処理する。データ信号とエコー信号は同一である、あるいは各信号をデータ信号又はエコー信号のいずれかとして識別する単一のビット又は単一のビット列で好ましくは構成される識別子が異なるにすぎない。
【0023】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも4つの通信ノードを含む通信システムに関連する。通信ノードの各々は、別の通信ノードからデータ信号を受信したら、受信したデータ信号がそれ自身に向けられたものか、又は通信システムの別の通信ノードに向けられたものかを決定し、後者の場合、受信したデータ信号に対応するエコー信号を生成するように構成される。
【0024】
通信ノードは、好ましくは、別の通信ノードからデータ信号を受信したら、受信したデータ信号がそれ自身に向けられたものか、又は通信システムの別の通信ノードに向けられたものかを決定し、後者の場合、受信したデータ信号に対応するエコー信号を生成するように構成される。
【0025】
通信ノードは、プロセッサと、エコーソフトウェアモジュールを記憶するメモリとを含んでよい。エコーソフトウェアモジュールは、起動後、プロセッサが、別の通信ノードからのデータ信号を受信したら、受信したデータ信号がそれ自身に向けられたものか、又は通信システムの別の通信ノードに向けられたものかを決定し、後者の場合、受信したデータ信号に対応するエコー信号を生成するようにプログラムする
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の上述した及び他の利点が得られる方法を容易に理解するために、上記に簡潔に説明した本発明のより特定の説明を、添付の図面に示した本発明の具体的な実施形態を参照して行う。これらの図面は、本発明の代表的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定するものと考えられるべきではないと理解し、添付の図面の使用によって、本発明の追加的な具体性及び詳細を記載及び説明する。
【0027】
図1】4つのブロードキャスト型通信ノードを含む通信システムの例示的な実施形態を示す。
図2】時分割多重化技術において動作中の異なるタイムスロットにおける図1の通信システムを示す。
図3】時分割多重化技術において動作中の異なるタイムスロットにおける図1の通信システムを示す。
図4】時分割多重化技術において動作中の異なるタイムスロットにおける図1の通信システムを示す。
図5】時分割多重化技術において動作中の異なるタイムスロットにおける図1の通信システムを示す。
図6】時分割多重化技術において動作中の異なるタイムスロットにおける図1の通信システムを示す。
図7】時分割多重化技術において動作中の異なるタイムスロットにおける図1の通信システムを示す。
図8図1による通信システムの通信ノードに割り当てられた送信サブスロット及びエコーサブスロットを示す。
図9図1による通信システムにおいて動作することができる通信ノードの例示的な実施形態を示す。
図10】4つのブロードキャスト型通信ノードを含む通信システムの別の例示的な実施形態を示す。
図11】時分割多重化技術において動作中の異なるタイムスロットにおける図10の通信システムを示す。
図12】時分割多重化技術において動作中の異なるタイムスロットにおける図10の通信システムを示す。
図13図10による通信システムの通信ノードに割り当てられた送信サブスロット及びエコーサブスロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の好ましい実施形態は、図面を参照することによって最もよく理解されるであろう。本発明は、本明細書において一般的にと説明され図面に示されているように、広い範囲で変化することができると容易に理解されるであろう。したがって、本発明の例示的な実施形態についての次のより詳細な説明は、図面に表されているように、特許請求の範囲に記載されているようには発明の範囲を限定することを意図しておらず、本発明の現時点で好ましい実施形態の単なる代表例にすぎない。
【0029】
図1は、本発明による通信システム10の例示的な実施形態を示す。通信システム10は、複数のブロードキャスト型通信ノードA、B、C及びDを含む。
【0030】
通信システム10はトークンリングを形成してよく、各通信ノードが直接的に、又は間接的、すなわち、1つ以上の他の通信ノードを介して、割り当てられた下流通信ノードにデータ信号DS1~DS4を送信し、割り当てられた上流通信ノードからデータ信号DS1~DS4を受信する。データ信号DS1~DS4は、図1において矢印で示されている。矢印の向きは通信の方向を示し、したがって、各通信ノードに対して、他の通信ノードのうちのどれがそれぞれの上流ノード、それぞれの下流ノードであるかを定義する。
【0031】
通信システム10は、時分割多重化技術で動作し、通信は、スロット(図8のスロットS1~S4を参照)に分割される連続する時間フレーム(図8のフレームF1及びF2を参照)において実行される。
【0032】
通信ノードA、B、C及びDの各々は、図8に示すように、割り当てられたスロットS1~S4のうちの送信サブスロットTSS1~TSS4においてそのデータ信号DS1~DS4を送信する。図8は、送信サブスロットTSS1が通信ノードAに割り当てられ、送信サブスロットTSS2が通信ノードBに割り当てられ、送信サブスロットTSS3が通信ノードCに割り当てられ、送信サブスロットTSS4が通信ノードDに割り当てられることを示す。
【0033】
通信システム10の信頼性を高めるために、通信ノードA、B、C及びDは、エコー信号を生成するように構成される。エコー信号はエコーされるデータ信号と同じ情報を搬送し、したがってシステムの冗長性を上げる。エコー信号はエコーサブスロットESS1~ESS4において送信される(図8を参照)。これは、図2図7を参照した例示的な方式で説明する。
【0034】
図2は、図8のフレームF1の送信サブスロットTSS1中の通信システム10を示す。通信ノードAは、割り当てられた通信ノードBにデータ信号DS1を送信する。例示的なやり方でここでは、通信ノードCもデータ信号DS1を受信したが、通信ノードDはデータ信号DS1の受信に失敗したと想定する。
【0035】
通信ノードCは、通信ノードBがデータ信号DS1を首尾よく受信したかどうかについての知識がない。したがって、通信ノードCは、スロットS1のうち連続するエコーサブスロットESS1(図3及び図8を参照)においてエコー信号E(DS1)を生成し、ブロードキャストする。エコー信号E(DS1)及びそれぞれのデータ信号DS1は、同一であってもよく、好ましくは、識別子が異なるにすぎないものとしてもよい。そのような識別子は、各信号をデータ信号又はエコー信号のいずれかとして識別する単一のビット又は単一のビット列で構成されてよい。
【0036】
通信ノードCは、エコー信号E(DS1)をブロードキャストすることによって、データ信号DS1に含まれるデータのその専用受信者、ここでは通信ノードBへの首尾よい送信の可能性を高める。例えば、通信ノードBが、何らかの理由(例えば、雑音、干渉)により送信サブスロットTSS1(図5を参照)において通信ノードAから信号DS1を受信していない場合、通信ノードBには、通信ノードCからエコー信号E(DS1)を受信することにより、連続するエコーサブスロットESS1においてデータ信号DS1で構成される情報を受信する機会が与えられる。
【0037】
図3では、通信ノードDは、直前の送信サブスロットTSS1(図2を参照)においてデータ信号DS1を受信していないため、エコー信号を生成することができない。
【0038】
通信ノードBがデータ信号DS1を通信ノードAから首尾よく受信する場合、通信ノードBはそれに含まれる情報を処理する。通信ノードBによるエコー信号の生成は、明らかに必要ではない。
【0039】
連続する送信サブスロットTSS2では、通信ノードBは、図4に示すように、割り当てられた下り通信ノードCにデータ信号DS2をブロードキャストする。ここでは、他のすべての通信ノードがデータ信号DS2を首尾よく受信したと想定する。
【0040】
通信ノードCは、受信データ信号DS2が通信ノードC(すなわち、「それ自身」)によって処理されることを意味していると決定し、それに応じてエコー信号を生成せずに進める。
【0041】
通信ノードA及びDは、通信ノードCがデータ信号DS2を首尾よく受信したかどうかについての知識がない。したがって、通信ノードA及びDは、連続するエコーサブスロットESS2(図5及び図8を参照)においてエコー信号E(DS2)を生成し、ブロードキャストする。エコー信号E(DS2)及びそれぞれのデータ信号DS2は、同一であってもよく、好ましくは、上述の識別子が異なるにすぎないものとしてもよい。
【0042】
連続する送信サブスロットTSS3では、通信ノードCは、図6及び図8に示すように、割り当てられた下流通信ノードDにデータ信号DS3をブロードキャストする。ここでは、通信ノードA及びBはデータ信号DS3を受信するが、通信ノードDへの送信は失敗したと想定する。
【0043】
通信ノードA及びBは、通信ノードDがデータ信号DS3を首尾よく受信したかどうかについての知識がない。したがって、通信ノードA及びBは、連続するエコーサブスロットESS3(図7及び図8を参照)においてエコー信号E(DS3)を生成し、ブロードキャストする。データ信号DS3のデータに関するデータ送信の繰り返しは、通信ノードDがそれぞれのデータを受信する別の機会を提供する。
【0044】
エコー信号E(DS3)及び各データ信号DS3は、同一であってもよく、好ましくは、上述した識別子が異なるにすぎないものであってもよい。
【0045】
データ及びエコー信号のさらなる送信は、上記に展開した原理に従って進めることができる。
【0046】
図9は、図1図8の通信システム10における通信ノードA、B、C及びDのいずれかを形成することができる通信ノード100の例示的な実施形態を示す。
【0047】
通信ノード100は、電磁波を送受信可能なトランシーバ110と、プロセッサユニット120と、メモリ130とを含む。メモリ130は、プロセッサユニット120が上述のように動作することを可能にする制御プログラムCPを記憶する。
【0048】
制御プログラムCPは、エコーソフトウェアモジュールESMを含み、それは、起動後に、別の通信ノードからデータ信号したら、プロセッサが、受信したデータ信号がその通信ノードに向けられたものか、又は通信システムの別の通信ノードに向けられたものかを決定し、後者の場合、受信したデータ信号に対応するエコー信号を生成するようにプログラムする。
【0049】
図10は、本発明による通信システム10の別の例示的な実施形態を示す。通信システム10は、複数のブロードキャスト型通信ノードA、B、C及びDを含む。
【0050】
通信システム10は時分割多元接続(TDMA)システムを形成してよく、各通信ノードが直接的に、又は間接的、すなわち、1つ以上の他の通信ノードを介して、アドレス指定されたノードにデータ信号DS1~DS4を送信し、システムの任意の通信ノードからデータ信号DS1~DS4を受信する。データ信号DS1~DS4は、図10において矢印で示されている。矢印の向きは、通信の方向を示し、したがって、各通信ノードに対して、他の通信ノードのうちのどれがそれぞれの上流ノード及びそれぞれの下流ノードであるかを定義する。
【0051】
通信システム10は、時分割多重化技術で動作し、通信は、スロット(図13のスロットS1~S4を参照)に分割される連続する時間フレーム(図13のフレームF1及びF2を参照)において実行される。
【0052】
通信ノードA、B、C及びDの各々は、図13に示すように、割り当てられたスロットS1~S4のうちの送信サブスロットTSS1~TSS4においてそのデータ信号DS1~DS4を送信する。図13は、送信サブスロットTSS1が通信ノードAに割り当てられ、送信サブスロットTSS2が通信ノードBに割り当てられ、送信サブスロットTSS3が通信ノードCに割り当てられ、送信サブスロットTSS4が通信ノードDに割り当てられることを示す。
【0053】
通信システム10の信頼性を高めるために、通信ノードA、B、C及びDは、エコー信号を生成するように構成される。エコー信号はエコーされるデータ信号と同じ情報を搬送し、したがってシステムの冗長性を上げる。エコー信号はエコーサブスロットESS1~ESS4において送信される(図13を参照)。これは、図11図12を参照して例示的な方式で説明される。
【0054】
図11は、図13のフレームF1の送信サブスロットTSS1中の通信システム10を示す。通信ノードAは、アドレス指定された通信ノードDにデータ信号DS1を送信する。例示的なやり方でここでは、通信ノードB及びCはデータ信号DS1を受信したが、通信ノードDはデータ信号DS1の受信に失敗したと想定する。
【0055】
通信ノードB及びCは、通信ノードDがデータ信号DS1を首尾よく受信したかどうかについての知識がない。したがって、通信ノードB及びCは、スロットS1の連続するエコーサブスロットESS1(図12及び図13を参照)においてエコー信号E(DS1)を生成し、ブロードキャストする。エコー信号E(DS1)及びそれぞれのデータ信号DS1は同一であってもよく、好ましくは、識別子が異なるにすぎないものとしてもよい。そのような識別子は、各信号をデータ信号又はエコー信号のいずれかとして識別する単一のビット又は単一のビット列で構成されてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13