(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】光ファイバフォルダ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/46 20060101AFI20220802BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
G02B6/46
G02B6/00 B
(21)【出願番号】P 2019170927
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591004146
【氏名又は名称】平河ヒューテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】藤枝 智之
(72)【発明者】
【氏名】森 明春
(72)【発明者】
【氏名】高山 将主
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06379053(US,B1)
【文献】特開2000-035516(JP,A)
【文献】特開2015-031801(JP,A)
【文献】特開2016-020938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0141722(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0264884(US,A1)
【文献】特開2013-254481(JP,A)
【文献】特開2008-032522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00
6/02
6/24- 6/27
6/30- 6/34
6/36- 6/43
6/46- 6/54
G06F 11/30
11/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ(90)その他の電子機器の外面の発光部(92)の発光状態を光ファイバ(20)を通してカメラ(30)で撮像するために、前記光ファイバ(20)の端面を、前記カメラ(30)又は前記発光部(92)に対向配置した状態に保持する光ファイバホルダ(
22)であって、
エラストマ製
で板状をなし、前記カメラ(30)又は前記発光部(92)との対向方向が板厚方向となったグリップ部材(
36)と、
前記グリップ部材(
36)を、前記カメラ(30)又は前記発光部(92)との対向位置に固定する固定部材(
35)と、
前記グリップ部材(
36)を、前記カメラ(30)又は前記発光部(92)との対向方向に貫通し、前記光ファイバ(20)の端部が圧入される貫通孔(
22A)と
、
前記グリップ部材(36)をその板厚方向の両側から挟む第1と第2の補強板部材(35T,37)と、を備え、
前記貫通孔(22A)は、前記第1と第2の補強板部材(35T,37)と前記グリップ部材(36)とを一直線状に貫通すると共に、前記第1及び第2の補強板部材(35T,37)の前記貫通孔(22A)の内径が、前記光ファイバ(20)の外径より大きい光ファイバホルダ(
22)。
【請求項2】
前記グリップ部材(
36)を構成するエラストマは、多孔質構造になっている請求項1に記載の光ファイバホルダ(
22)。
【請求項3】
前記グリップ部材(
36)を構成するエラストマは、EVA又はウレタンである請求項1又は2に記載の光ファイバホルダ(
22)。
【請求項4】
前記グリップ部材(
36)を構成するエラストマは、独立気泡構造の発泡EVAである請求項1に記載の光ファイバホルダ(
22)。
【請求項5】
前記発泡EVAの発泡倍率は、5~20倍である請求項4に記載の光ファイバホルダ(
22)。
【請求項6】
前記グリップ部材(
36)は、前記カメラ(30)に対向配置され、
前記貫通孔(22A)は、前記グリップ部材(36)に複数形成されてマトリクス状に配置されている請求項1
から5の何れか1の請求項に記載の光ファイバホルダ(
22)。
【請求項7】
前記固定部材(35)は、前記第1又は第2の補強板部材(35T,37)から延長された板部(35S)に、ボルト挿通孔(35D)を形成してなる請求項1から6の何れか1の請求項に記載の光ファイバホルダ(22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの端部を保持する光ファイバフォルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の光ファイバフォルダとして、サーバその他の電子機器の外面の発光部の発光状態を光ファイバを通してカメラで撮像するために使用されるものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-254481号公報(
図5,段落[0034])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の光ファイバフォルダでは、光ファイバの側面に接着剤を塗布して光ファイバフォルダの貫通孔に光ファイバを挿入するという手間を要する作業を強いられていた。このため、従来より作業性に優れる光ファイバフォルダの開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、サーバ(90)その他の電子機器の外面の発光部(92)の発光状態を光ファイバ(20)を通してカメラ(30)で撮像するために、前記光ファイバ(20)の端面を、前記カメラ(30)又は前記発光部(92)に対向配置した状態に保持する光ファイバホルダ(22)であって、エラストマ製で板状をなし、前記カメラ(30)又は前記発光部(92)との対向方向が板厚方向となったグリップ部材(36)と、前記グリップ部材(36)を、前記カメラ(30)又は前記発光部(92)との対向位置に固定する固定部材(35)と、前記グリップ部材(36)を、前記カメラ(30)又は前記発光部(92)との対向方向に貫通し、前記光ファイバ(20)の端部が圧入される貫通孔(22A)と、前記グリップ部材(36)をその板厚方向の両側から挟む第1と第2の補強板部材(35T,37)と、を備え、前記貫通孔(22A)は、前記第1と第2の補強板部材(35T,37)と前記グリップ部材(36)とを一直線状に貫通すると共に、前記第1及び第2の補強板部材(35T,37)の前記貫通孔(22A)の内径が、前記光ファイバ(20)の外径より大きい光ファイバホルダ(22)である。
【発明の効果】
【0006】
本開示の光ファイバホルダ(21,22,61~64)は、エラストマ製のグリップ部材(21,36,62G,63)を貫通する貫通孔(21B,22A)を有して、それら貫通孔(21B,22A)に光ファイバ(20)が圧入されて摩擦係止されるので、光ファイバ(20)を光ファイバホルダ(21,22,61~64)に保持させる作業を、接着材の塗布を要する従来のものより容易に行うことができると共に、光ファイバ(20)の入光面又は出光面が接着剤で汚れることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るサーバ監視システムの全体構成図
【
図9】第2実施形態の光ファイバフォルダの側断面図
【
図10】第3実施形態の光ファイバフォルダの側断面図
【
図11】第4実施形態の光ファイバフォルダの側断面図
【
図13】第5実施形態の光ファイバフォルダの正面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図8を参照して、サーバ監視装置10に使用される光ファイバフォルダ21,22,33について説明する。
図1に示したサーバ監視システム100は、レンタルサーバ業者からサーバ90を借りた借り主101が、そのサーバ90の状態を監視するために用いられるものである。同図に示すように、サーバ90は、サーバ90の借り主101(以下、「監視者101」という)が所有する端末104から通信ネットワーク103を介してアクセス可能になっている。サーバ監視システム100は、サーバ90が設置されている場所でサーバ90の状態を監視するサーバ監視装置10と、このサーバ監視装置10に通信ネットワーク103を介して接続されてサーバ90の状態を監視者101に報知するサーバ状態判定装置105とを備えてなる。
【0009】
サーバ90は、サーバ90のレンタルサーバ業者が所有するサーバ室95に設置されている。また、
図2に示すように、サーバ90は、複数のサーバ機器91からなり、それらサーバ機器91は、上下に並べられた状態でサーバラック93に固定されている。さらに、サーバラック93の前側には、その一側部を中心にして回動する回動扉94が設けられ、その回動扉94によって複数のサーバ機器91の前面
91Zが覆われるようになっている。なお、サーバ室95には、例えば上記サーバ90以外にも図示しない複数のサーバが備えられ、監視者101以外の第三者によってレンタルされている。
【0010】
各サーバ機器91は、例えば、直方体状をなし、その前面91Z(サーバ90の前面でもある)には複数の発光部92A~92E(以下、「発光部92A~92E」を総称する場合には、「発光部92」という)が備えられている。そして、発光部92の点灯状態によって電子機器であるサーバ機器91の状態を表示する。具体的には、
図3には、サーバ機器91の前面91Zの一例が示されている。そして、同図に示された発光部92A~92Eの点灯状態が、サーバ機器91の電源のオンオフ、故障の有無、ハードディスクドライブ91Aが作動中か否か、LANの通信状況が良好か否か等によって変わる。
【0011】
このように、複数の発光部92の発光状態は、サーバ90の状態を表している。従って、サーバ室95にカメラを設置して、発光部92の発光状態を撮像すれば、サーバ90の状態を把握することが可能となる。しかしながら、上述したように、サーバ室95には、監視者101以外の第三者のサーバも設置されているため、セキュリティ上の観点から、サーバ室95内の様子をカメラで撮像することは禁止されている。これに対し、本実施形態のサーバ監視装置10は、セキュリティ上の問題を回避しつつ、発光部92の発光状態を撮像できる構成となっている。
【0012】
以下、サーバ監視装置10の具体的な構成について説明する。また、以下の説明では、光ファイバ20のうち入光面である端面を有する一端部を、適宜、「始端部」といい、出光面である端面を有する他端部を、適宜、「終端部」ということとする。
【0013】
図2に示すように、サーバ監視装置10は、サーバ90に備えた複数の発光部92と光学的に結合可能な複数の光ファイバ20を備えている。また、サーバ90のラックの前面に備えた回動扉94には、サーバ90の複数の発光部92と対向する複数の貫通孔94A(
図4参照)が穿孔され、回動扉94の裏面には貫通孔94Aに同軸上に
図4に示した光ファイバホルダ21が固定されている。
【0014】
光ファイバホルダ21は、例えば多孔質構造のエラストマ製であって、全体が円柱状をなしている。また、光ファイバホルダ21の中心部には貫通孔21Bが貫通し、その貫通孔21Bの一端部を段付き状に拡径して受容凹部21Aが形成されている。また、光ファイバホルダ21は、受容凹部21Aと反対側の端面が回動扉94の裏面に例えば接着材で固定されている。そして、回動扉94が閉じられたときに、受容凹部21Aに発光部92が受容されるようになっている。なお、この光ファイバホルダ21に関しては、上述の接着材が固化してなる接着材層21Kが、特許請求の範囲の「固定部材」に相当し、光ファイバホルダ21の全体が、特許請求の範囲の「グリップ部材」に相当する。
【0015】
また、回動扉94の貫通孔94Aは、光ファイバ20の外径より僅かに大きく、光ファイバホルダ21の貫通孔21Bは、光ファイバ20の外径より僅かに小さくなっている。そして、光ファイバ20の始端部が貫通孔21Bを押し広げるように挿入され、つまり、光ファイバ20の始端部が貫通孔21Bに圧入され、光ファイバ20の入光面が受容凹部21Aの奥面と面一に配置されている。このようにして、光ファイバ20の始端部が、光ファイバホルダ21の弾性反力による摩擦係止により光ファイバホルダ21に保持される。
【0016】
なお、光ファイバ20を光ファイバホルダ21の貫通孔21Bに圧入する際には、受容凹部21Aに図示しない突当部材を挿入しておき、その突当部材に光ファイバ20の入光面が当接する位置まで圧入することで、光ファイバ20の入光面を受容凹部21Aの奥面と面一に配置することが好ましい。
【0017】
また、光ファイバホルダ21を、受容凹部21A内にカップ状の透光部材を、その底部が受容凹部21Aの奥面に重なるように収容した構成としてもよい。そうすれば、貫通孔21Bに光ファイバ20を投入して透光部材の底面に突き当てて、光ファイバ20を光ファイバホルダ21の正規位置に位置決めすることができると共に、光ファイバホルダ21の補強が図られる。
【0018】
図5に示すように、複数の光ファイバ20の終端部は、外部からの入光を遮断する遮光ボックス31の内部で光ファイバホルダ22に保持されて、それら複数の光ファイバ20の出光面がカメラ30に対向配置されている。
【0019】
光ファイバホルダ22は、遮光ボックス31内で起立した板状をなし、その板厚方向に貫通する複数の貫通孔22Aを備えている。また、
図6に示すように複数の貫通孔22Aは、例えばマトリクス状に配置され、それら複数の貫通孔22A内に複数の光ファイバ20の終端部が配置され、
図7に示すように、それら光ファイバ20の出光面が光ファイバホルダ22のうちカメラ30に対向する前面と面一に配置されている。
【0020】
また、
図2に示すように、カメラ30は、画像送信端末40に接続されていて、画像送信端末40からの指示を受けて光ファイバホルダ22の前面を撮像する。これにより、光ファイバホルダ22に保持された複数の光ファイバ20の全ての出光面が含まれる発光パターンの画像が画像送信端末40に取り込まれる。そして、
図1に示される前述の通信ネットワーク103を介して監視者101のサーバ状態判定装置105へと送信することが可能になる。
【0021】
なお、サーバ状態判定装置105側で発光パターンの画像からサーバ機器91の状態を読み取るために、複数の光ファイバ20の終端部は予め定められた基準に則って光ファイバホルダ22の複数の貫通孔22A内に配置される。
【0022】
光ファイバホルダ22は、各貫通孔22A内に各光ファイバ20の終端部を保持するために以下の構造を有する。即ち、
図6に示すように、光ファイバホルダ22は、ブラケット35とグリップ部材36と位置決部材37とを重ねて備えている。
【0023】
図8に示すように、ブラケット35は、例えば、板金をL形に折り曲げてなり、互いに直交する第1板部35Tと第2板部35Sとを備えている。また、第2板部35Sには1対のボルト挿通孔35Dが穿孔されていて、それに通したボルトBにより第2板部35Sが遮光ボックス31(
図5参照)の底面に固定されている。
【0024】
また、第1板部35Tの前面(第2板部35Sと反対側の面)には、四隅に円筒形ナット35Aが固定(例えば、溶接又は接着)されて前方に突出している。また、第1板部35Tには、複数の円筒形ナット35Aに包囲された部分に、前述の複数の貫通孔22Aがマトリクス状に並べて形成されている。
【0025】
グリップ部材36は、例えば、多孔質構造のエラストマ製であって、第1板部35Tと前面形状が略同じで第1板部35Tより厚い板状をなしている。また、グリップ部材36の板厚は、円筒形ナット35Aの軸長と同じになっている。さらに、グリップ部材36には、ブラケット35の複数の円筒形ナット35Aの同軸上となる四隅に組付孔36Aが備えられると共に、ブラケット35の複数の貫通孔22Aの同軸上に複数の貫通孔22Aがマトリクス状に並べて形成されている。そして、
図7に示すように、グリップ部材36は、第1板部35Tの前面に重ねられ、複数の円筒形ナット35Aが組付孔36Aに嵌合した状態に組み付けられる。
【0026】
図8に示すように、位置決部材37は、例えば、非発泡の合成樹脂製であって、グリップ部材36より僅かに薄い板状をなしている。また、位置決部材37は、グリップ部材36の複数の組付孔36Aの同軸上となる四隅に組付孔37Aを備えると共に、グリップ部材36の複数の貫通孔22Aの同軸上に複数の貫通孔22Aをマトリクス状に並べて備える。そして、
図7に示すように、位置決部材37は、グリップ部材36の前面に重ねられて、複数の組付孔37Aに通したボルトN
が複数の円筒形ナット35A内の螺旋孔に締め付けられる。これにより、グリップ部材36がブラケット35の第1板部35Tと位置決部材37とに挟まれた状態になって補強される。なお、ボルトNが強く締め付けられても、円筒形ナット35Aの先端面が位置決部材37に当接することでグリップ部材36の過度の圧縮変形が防がれる。
【0027】
なお、光ファイバホルダ22に関しては、第1板部35Tと位置決部材37とが、特許請求の範囲の「第1及び第2の補強板部材」に相当し、ブラケット35が特許請求の範囲の「固定部材」に相当する。
【0028】
上記したブラケット35及び位置決部材37の各貫通孔22Aの内径は、光ファイバ20の外径より僅かに大きく、位置決部材37の各貫通孔22Aの内径の方が、ブラケット35の各貫通孔22Aの内径より僅かに小さくなっている。これらに対し、グリップ部材36の各貫通孔22Aは、光ファイバ20の外径より僅かに小さくなっている。そして、複数の光ファイバ20の終端部が、ブラケット35側から光ファイバフォルダ22の各貫通孔22Aに挿入され、グリップ部材36の貫通孔22Aを押し拡げながら進んで通過し(つまり、圧入されて通過し)、出光面が光ファイバホルダ22の前面(詳細には、位置決部材37の前面)と面一になる位置に配置される。このようにして、複数の光ファイバ20は、グリップ部材36の弾性反力による摩擦係止により光ファイバホルダ22に保持される。また、複数の光ファイバ20の終端部は、グリップ部材36より剛性が高い位置決部材37によってマトリクス状に配置された位置に位置決めされる。
【0029】
なお、複数の光ファイバ20を光ファイバホルダ22の複数の貫通孔22Aに挿入する際には、位置決部材37の前面に板部材等を重ねた状態にしておけば、それら複数の光ファイバ20の出光面を容易に位置決部材37の前面と面一に配置することができる。また、位置決部材37のうちグリップ部材36と反対側の前面に、透明又は半透明な樹脂製又はガラス製の透光板を重ねて固定しておき、複数の光ファイバ20の出光面が透光板に突き当てられて位置決めされる構成としてもよい。
【0030】
図5に示すように、光ファイバホルダ22には、反射光用光ファイバ27の終端部も保持されている。その反射光用光ファイバ27の始端部は、サーバラック93の回動扉94と対峙する光ファイバホルダ33に保持されている。また、光ファイバホルダ33には、始端部を光源29に光学的に結合された出射光用光ファイバ28の終端部が保持されている。そして、回動扉94が閉位置に配置されたときにのみ、出射光用光ファイバ28からの光が回動扉94で反射して反射光用光ファイバ27の始端部に入光するようになっている。これにより、回動扉94が閉じているか否かの情報もカメラ30を介して画像送信端末40に取り込まれる。
【0031】
なお、光ファイバホルダ33は、例えば多孔質構造のエラストマ製で、互いに徐々に接近するように非平行に延びる1対の貫通孔33Aを有し、それら1対の貫通孔33Aに出射光用光ファイバ28の終端部と反射光用光ファイバ27の始端部とが圧入されて保持されている。また、光ファイバホルダ33は、回動扉94の近傍の支柱94Sに接着材層33Kにて固定され、回動扉94が回動しても干渉しない位置に配置されている。
【0032】
図5に示すように、光ファイバホルダ22には、環境光用光ファイバ26の終端部も保持されている。その環境光用光ファイバ26の始端部は、サーバ室95内に配置されている。これにより、サーバ室95の室内光に係る情報もカメラ30を介して画像送信端末40に取り込まれる。
【0033】
以上が、サーバ監視装置10の構成に関する説明である。サーバ状態判定装置105は、例えば、監視者101が有するパソコンであって、画像送信端末40から送信される前述の発光パターンの画像をモニタに表示する。また、サーバ状態判定装置105では、画像データに基づいて発光パターンを解析し、サーバ90の状態を判定する。そして、何れのサーバ機器91にも故障がない場合には、正常である旨を報知し、何れかのサーバ機器91に故障がある場合には、故障しているサーバ機器91と故障原因(例えば、ハードディスクの故障やネットワークの接続エラーなど)を報知する。
【0034】
本実施形態の構成に関する説明は以上である。本実施形態のサーバ監視装置10によれば、サーバ90の動作状況を示す複数の発光部92に複数の光ファイバ20の始端部が光学的に結合される一方、終端部が予め定められた配列に配置され、それら終端部の出光面の発光パターンの画像が監視者101に送信されるので遠隔地からサーバ90の状態を容易に把握することが可能になる。
【0035】
また、このサーバ監視装置10に使用されている光ファイバホルダ21,22,33は、多孔質構造のエラストマ製の部材を貫通する貫通孔21B,22A、33Aを有して、それら貫通孔21B,22A、33Aに光ファイバ20が圧入されて摩擦係止されるので、光ファイバ20を光ファイバホルダ21,22,33に保持させる作業を容易に行うことができる。具体的には、貫通孔21B,22A,33A内に光ファイバ20を保持するために光ファイバ20の外面に接着剤を塗布したり、光ファイバ20をメカ的にクランプさせたりする作業を要さず、光ファイバ20を光ファイバホルダ21,22,33に容易に保持させることができる。また、光ファイバ20の入光面又は出光面が接着剤で汚れることが防がれると共に、光ファイバ20の交換作業も容易に行うことができる。しかも、光ファイバ20より多孔質構造のエラストマ製の部材の硬度の方が低いので、光ファイバ20の外面に摺接傷が付くことも防がれる。なお、光ファイバ20を光ファイバホルダ21,22,33に保持させた後に、光ファイバ20を光ファイバホルダ21,22,33に接着剤で固定してもよい。その場合、光ファイバ20は光ファイバホルダ21,22,33に保持されているので、接着剤の塗布作業を容易に行うことができる。
【0036】
ここで、上記した光ファイバホルダ21,22,33及び後述する光ファイバホルダ61~64(以下、「光ファイバホルダ21,22等」という)に含まれる多孔質構造のエラストマは、エチレン系、ウレタン系、スチレン系、オレフィン系、エステル系等の何れでもよい。また、加硫ゴムであってもよい。ただし、光ファイバホルダ21,22等による光ファイバ20に対するグリップ力を考慮すると前記エラストマは、エチレン系、ウレタン系が好ましく、エチレン系エラストマであるEVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー:ethylene vinyl acetate copolymer)がより好ましい。また、多孔質構造としては、独立気泡又は連続気泡等の発泡構造、ピーズ発泡成形による構造、それら以外の多孔質構造の何れでもよい。ただし、形状品質及び強度を考慮すると、独立気泡構造であることが好ましい。
【0037】
また、上記した光ファイバホルダ21,22等に含まれる多孔質構造のエラストマを、非多孔質構造のエラストマとしてもよい。ただし、光ファイバ20を光ファイバホルダ21,22等の貫通孔21B,22A等に挿入(圧入)する際の操作性や軽量化を考慮すると、多孔質構造のエラストマであることが好ましい。特に、上記した光ファイバホルダ21,22等に含まれる多孔質構造のエラストマとしては、独立気泡構造の発泡EVAが好ましく、その発泡倍率は好ましくは5~20倍であり、より好ましくは12倍である。
【0038】
[第2実施形態]
図9には、本実施形態の光ファイバホルダ61が示されている。この光ファイバホルダ61は、カメラ30に直接固定される点が第1実施形態の光ファイバホルダ
22と相違する。具体的には、光ファイバホルダ61は、支持部材39の一端部に透光板37Zとグリップ部材36とを嵌合してなる。支持部材39は、非透明な部材で構成され、例えば、四角錐形の錐形筒部39Bの窄んだ側の端部から円筒部39C(特許請求の範囲の「固定部材」に相当する。)を延長する一方、拡張された側の端部から四角形の枠部39Aを延長した構造になっている。また、透光板37Zは、透明又は半透明な板状をなし、枠部39Aと錐形筒部39Bとの境界部分に嵌め込まれている。さらに、グリップ部材36は、多孔質構造のエラストマであって、四角形の板状に複数の貫通孔22Aをマトリクス状に並べた状態に貫通形成した形状をなし、枠部39Aに嵌合されて例えば接着材にて固定されている。
【0039】
そして、複数の貫通孔22Aに光ファイバ20が圧入されて保持され、円筒部39Cがカメラ30に固定されて、複数の光ファイバ20の出光面を撮像することができる。なお、本実施形態の支持部材39を円錐状、枠部39Aを円筒状、グリップ部材36を円板状にしてもよい。
【0040】
[第3実施形態]
図10には、本実施形態の光ファイバホルダ62が示されている。この光ファイバホルダ62は、第2実施形態の支持部材39の代わりに円筒状の支持部材62Kを備える。また、支持部材62Kの軸方向の途中位置には、透明又は半透明な円板状の透光板62Bが接着材等にて嵌合固定され、支持部材62Kのうち透光板62Bより一端側に、円柱状のグリップ部材62Gが接着材等にて嵌合固定されている。さらに、グリップ部材62Gには、支持部材62Kの軸方向と平行に延びる複数の貫通孔22Aが形成されている。そして、支持部材62Kの他端部がカメラ30に固定されるようになっている。
【0041】
なお、この光ファイバホルダ62は、例えば、複数の監視カメラ(特許請求の範囲の「電子機器」に相当する)の電源ランプ(特許請求の範囲の「発光部」に相当する)に入光面を対向配置された複数の光ファイバ20の終端部が保持される。そして、全てのカメラの異常の有無を容易に監視することができる。なお、支持部材62Kは、特許請求の範囲の「固定部材」に相当する。
【0042】
[第4実施形態]
図11及び
図12には、本実施形態の光ファイバホルダ63が示されている。この光ファイバホルダ63は、例えば、前記第1実施形態の複数の光ファイバホルダ21(
図4参照)に置き換えられるものであって、光ファイバホルダ21と同様に回動扉94の裏面に例えば接着剤にて固定される。具体的には、光ファイバホルダ63の全体は、サーバ機器91の前面形状に対応した例えば横長の板状をなし、全体が多孔質のエラストマによって形成されている。また、光ファイバホルダ63は、サーバ機器91の前面のうち発光部92に対応する位置に、各サーバ機器91の大きさに合わせた複数の受容凹部21Aを備える。そして、
図12に示すように、各受容凹部21Aの同軸上に光ファイバ20が圧入される貫通孔21Bを備えている。
【0043】
[第5実施形態]
図13には、本実施形態の光ファイバホルダ64が示されている。この光ファイバホルダ64は、例えば、前記第1実施形態の光ファイバホルダ22(
図6参照)に置き換えられるものであって、複数の貫通孔22Aをマトリクス状に並べて備える板状のグリップ部材36の内部に支持部材35Xが埋設された構造をなしている。支持部材35Xは、例えば、金属製又は非発泡の樹脂製であって、格子構造をなし、グリップ部材36の板厚方向の中央に配置されている。また、複数の貫通孔22Aは、格子の升目を貫通するように配置されている。また、支持部材35Xには、グリップ部材36から下方に張り出す1対の脚部35Yが備えられ、それら脚部35Yの下端部に接続された板部35Zに形成される貫通孔にボルトを通して遮光ボックス31(
図2,
図5参照)の底面に固定される。なお、板部35Zは、特許請求の範囲の「固定部材」に相当する。
【符号の説明】
【0044】
20 光ファイバ
21,22,33,61~64 光ファイバホルダ
21,36,62G,63 グリップ部材
21B,22A,33A 貫通孔
21K 接着材層(固定部材)
30 カメラ
35S 第2板部
35T 第1板部(補強板部材)
35Z 板部(固定部材)
37 位置決部材(補強板部材)
39C 円筒部(固定部材)
61~64 光ファイバホルダ
62K 支持部材(固定部材)
90 サーバ
92 発光部