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特許7116035両親媒性多糖誘導体及びそれを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】両親媒性多糖誘導体及びそれを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/22 20060101AFI20220802BHJP
   C11D 10/02 20060101ALI20220802BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20220802BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20220802BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20220802BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20220802BHJP
   C08B 37/00 20060101ALN20220802BHJP
【FI】
C11D3/22
C11D10/02
C11D17/08
C11D17/06
C11D17/04
C11D3/386
C08B37/00 G
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019203083
(22)【出願日】2019-11-08
(62)【分割の表示】P 2019532138の分割
【原出願日】2017-12-14
(65)【公開番号】P2020041150
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】62/435,158
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ヂァンヂァン・フアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘレン・エス・エム・ルー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイミン・チウ
(72)【発明者】
【氏名】マケシュ・シー・シャー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ダブリュ・シュエイー
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ロバート・シヴィック
(72)【発明者】
【氏名】クリスティ・リン・フリッター
【審査官】山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-070101(JP,A)
【文献】国際公開第2015/095046(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0368594(US,A1)
【文献】特表平09-507695(JP,A)
【文献】特開2002-338994(JP,A)
【文献】特開2000-319139(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1515237(KR,B1)
【文献】欧州特許出願公開第02982738(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
C08B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品であって、
重量%~60重量%の界面活性剤と、
.1重量%~10重量%の多糖誘導体であって、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
前記多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである多糖誘導体と
を含み、
酵素、洗剤ビルダー、錯化剤、ポリマー、汚れ放出ポリマー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、織物コンディショナー、粘土、起泡増進剤、泡抑制剤、腐食防止剤、汚れ懸濁化剤、汚れ再付着防止剤、殺菌剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、飽和若しくは不飽和脂肪酸、移染防止剤、キレート剤、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、視覚信号成分、消泡剤、構造化剤、増粘剤、固化防止剤、デンプン、砂、ゲル化剤、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含み、
前記製品が家庭用製品である、製品。
【請求項2】
液体、ジェル、粉末、ヒドロコロイド、水溶液、顆粒、錠剤、カプセル、単一区画袋、複数区画袋、単一区画パウチ、又は複数区画パウチの形態である、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
界面活性増強ポリマー、染料、香料、色相染料、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の製品。
【請求項4】
前記酵素が、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、又はこれらの組み合わせである、請求項に記載の製品。
【請求項5】
前記多糖誘導体が、2重量%にて、65mN/m未満の表面張力を有する、請求項1に記載の製品。
【請求項6】
水溶性単位用量物品であって、水溶性フィルム、並びに1重量%~60重量%の界面活性剤と、0.1重量%~10重量%の多糖誘導体であって、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
前記多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである多糖誘導体と、を含む組成物を含み、前記水溶性単位用量物品が家庭用製品である、水溶性単位用量物品。
【請求項7】
少なくとも2つの区画を備える、請求項6に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項8】
少なくとも3つの区画を備える、請求項6に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項9】
前記区画が、重ね合わせる向き、又は横並びの向きに配置されている、請求項7に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項10】
基材の処理方法であって、水の存在下で、前記基材を請求項1に記載の家庭用製品と接触させる工程を含み、前記基材が織物又は硬質表面である、基材の処理方法。
【請求項11】
請求項1に記載の製品で、織物を処理する方法であって、
前記処理された織物が、L*** WICIE法に従って測定される場合、処理前の前記織物に対して+1.5以上の単位のWICIEの変化を有する、織物を処理する方法。
【請求項12】
製品であって、
重量%~60重量%の非石油由来の界面活性剤と、
.1重量%~10重量%の多糖誘導体であって、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
前記多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである多糖誘導体と、を含み、前記製品が家庭用製品である、製品。
【請求項13】
前記製品が、染料及び光沢剤を含まない、請求項12に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示が参照により本明細書に全体として組み込まれる米国仮特許出願第62/435158号、発明の名称「Amphiphilic Polysaccharide Derivatives and Compositions Comprising Same」(2016年12月16日出願)の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、多糖誘導体を含む組成物であって、多糖誘導体が、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含む、組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
酵素合成又は微生物の遺伝子工学を使用して新規な構造の多糖類を見つけたいという願望によって動機付けられ、研究者らは生分解性であり、再生可能資源原料から経済的に製造することができるオリゴ糖及び多糖を見出した。
【0004】
洗濯用、織物用、食器洗い用、又は他の洗浄用組成物を含む最近の洗剤組成物は、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性、双性イオン性、及び/又は半極性界面活性剤などの一般的な洗剤成分;並びに、プロテアーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、及び/又はペルオキシダーゼなどの酵素を含む。洗濯洗剤及び/又は織物ケア組成物は、清潔、新鮮、及び衛生的であるだけでなく、外観及び一体性も保持されている織物を得るのに1つ以上の目的を有する様々な洗剤成分を更に含み得る。そのため、香料、衛生剤、昆虫防除剤、漂白剤、織物柔軟剤、染料固着剤、汚れ放出剤及び織物光沢剤などのベネフィット剤が洗濯洗剤及び/又は織物ケア組成物中に組み込まれてきた。このような洗剤組成物を使用する際、洗濯及び/若しくは織物ケアプロセス中に又は後に有効であるように、これらの化合物のいくつかが織物上に付着することが重要である。
【0005】
洗剤組成物の一部を形成する成分の多くは、再生不可能な石油原料から製造される。再生可能資源から製造される改善された洗浄性能をもたらす洗剤組成物を配合する必要性が依然として存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において、多糖誘導体を含む組成物であって、
多糖誘導体が、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである、組成物が開示される。
【0007】
一実施形態において、ポリα-1,3-グルカンは、グルコースモノマー単位の主鎖を含み、グルコースモノマー単位の50%以上はα-1,3-グリコシド結合を介して結合している。別の実施形態において、ポリα-1,3-グルカンは、グルコースモノマー単位の主鎖を含み、グルコースモノマー単位の90%以上はα-1,3-グリコシド結合を介して結合している。更なる実施形態において、ポリα-1,6-グルカンは、グルコースモノマー単位の主鎖を含み、グルコースモノマー単位の40%以上はα-1,6-グリコシド結合を介して結合している。一実施形態において、ポリα-1,6-グルカンは、
50%未満のα-1,2-分枝度を有する。
【0008】
一実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキル基、C~C18アルケン基、C~C18アルキン基、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)若しくはこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテル基[ここで、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である]、C~C20アリール基、ベンジル基、C~C18アルキルスルホニル基、C~C20アリールスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキル基、ベンジル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含む。更に別の実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、ベンジル基を含み、上記ベンジル基は、ハロゲン基、シアノ基、アミド基、エーテル基、C~Cアルキル基、アリール基、C~Cアルケン基、C~Cアルキン基、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上で更に置換されている。
【0009】
一実施形態において、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、アルキル置換されたアンモニウム塩、スルホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、チオサルフェート、又はこれらの組み合わせを含む。
【0010】
別の実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキル基、C~C18アルケン基、C~C18アルキン基、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)若しくはこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテル基[ここで、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である]、C~C20アリール基、ベンジル基、C~C18アルキルスルホニル基、C~C20アリールスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む。更なる実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキル基、ベンジル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、アルキル置換されたアンモニウム塩、スルホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、チオサルフェート、又はこれらの組み合わせを含む。また、更なる実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキル基、ベンジル基、又はp-トルエンスルホニル基を含み、少なくとも1つの親水基は、チオサルフェート、又はカルボキシメチル基を含む。
【0011】
一実施形態において、多糖誘導体は、約5~約1400の範囲の重合度を有する。別の実施形態において、多糖誘導体は、約0.001~約3.0の置換度を有する。更なる実施形態において、多糖誘導体は、2重量%にて、ASTM規格 D1331、2015の方法に従って測定される場合、65mN/m以下の表面張力を有する。
【0012】
別の実施形態において、組成物は、液体、ジェル、粉末、ヒドロコロイド、水溶液、顆粒、錠剤、カプセル、単一区画袋、複数区画袋、単一区画パウチ、又は複数区画パウチの形態である。
【0013】
更に別の実施形態において、組成物は、界面活性剤、酵素、洗剤ビルダー、錯化剤、ポリマー、汚れ放出ポリマー、界面活性増強ポリマー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、
織物コンディショナー、粘土、起泡増進剤、泡抑制剤、腐食防止剤、汚れ懸濁化剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、香料、飽和若しくは不飽和脂肪酸、移染防止剤、キレート剤、色相染料、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、視覚信号成分、消泡剤、構造化剤、増粘剤、固化防止剤、デンプン、砂、ゲル化剤、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0014】
一実施形態において、酵素は、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、又はこれらの組み合わせである。一実施形態において、酵素はセルラーゼである。別の実施形態において、酵素はプロテアーゼである。更なる実施形態において、酵素はアミラーゼである。更に別の実施形態において、酵素はリパーゼである。
【0015】
また、本明細書において、基材を処理するための方法であって、
A)多糖誘導体を含む組成物を提供する工程であって、多糖誘導体が、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである、工程と、
B)基材を組成物と接触させる工程と、
C)任意選択的に、基材をすすぐ工程と、
を含み、
基材が、カーペット、室内装飾材料、又は表面材である、方法が開示される。
【0016】
また、本明細書において、
約1重量%~約60重量%の界面活性剤と、
約0.1重量%~約10重量%の多糖誘導体であって、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである多糖誘導体と、を含む製品であって、家庭用製品である、製品が開示される。
【0017】
一実施形態において、製品は、液体、ジェル、粉末、ヒドロコロイド、水溶液、顆粒、錠剤、カプセル、単一区画袋、複数区画袋、単一区画パウチ、又は複数区画パウチの形態である。
【0018】
別の実施形態において、製品は、酵素、洗剤ビルダー、錯化剤、ポリマー、汚れ放出ポリマー、界面活性増強ポリマー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、織物コンディショナー、粘土、起泡増進剤、泡抑制剤、腐食防止剤、汚れ懸濁化剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、香料、飽和若しくは不飽和脂肪酸、移染防止剤、キレート剤、色相染料、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、視覚信号成分、消泡剤、構造化剤、増粘剤、固化防止剤、デンプン、砂、ゲル化剤、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0019】
製品の一実施形態において、酵素は、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、又はこれらの組み合わせである。
【0020】
製品の別の実施形態において、多糖誘導体は、2重量%にて、65mN/m未満の表面張力を有する。
【0021】
また、本明細書において、水溶性フィルム、並びに約1重量%~約60重量%の界面活性剤と、約0.1重量%~約10重量%の多糖誘導体であって、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである多糖誘導体と、を含む組成物を含む水溶性単位用量物品であって、家庭用製品である、水溶性単位用量物品が開示される。
【0022】
一実施形態において、水溶性単位用量物品は、少なくとも2つの区画を備える。更なる実施形態において、水溶性単位用量物品は、区画が、重ね合わせる向き、又は横並びの向きに配置されている、少なくとも2つの区画を含む。更なる実施形態において、水溶性単位用量物品は、少なくとも3つの区画を備える。
【0023】
また、本明細書において、基材の処理方法であって、水の存在下で、基材を家庭用製品と接触させる工程を含み、基材が織物又は硬質表面である、方法が開示される。更に、本明細書において、製品で織物を処理する方法であって、処理された織物が、L
WICIE法に従って測定される場合、処理前の織物に対して+1.5以上の単位のWICIEの変化を有する方法が開示される。
【0024】
更に、本明細書において、
約1重量%~約60重量%の非石油由来の界面活性剤と、
約0.1重量%~約10重量%の多糖誘導体であって、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである多糖誘導体と、を含む製品であって、家庭用製品である、製品が開示される。
一実施形態において、製品は、染料及び光沢剤を実質的に含まない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
引用する全ての特許文献及び非特許文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「実施形態」又は「開示」という用語は、限定されることを意味するものではなく、特許請求の範囲で定義されるか又は本明細書に記載される実施形態のいずれかに一般的に適用される。これらの用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0027】
本開示では、多数の用語及び略語を使用する。他に特に明記されない限り、下記の定義が当てはまる。
【0028】
1つの要素又は構成要素に先行する冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、その要素又は構成要素の事例(すなわち出現)の数に関して非限定的であることが意図されている。このため、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、1つ又は少なくとも1つを含むと解釈すべきであり、要素又は構成要素の単数形は、特にその数が明らかに単数であることを意味しない限り複数形も含む。
【0029】
用語「含む」は、特許請求の範囲で言及される既定の特徴、整数、工程又は構成要素の存在を意味するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、構成要素又はそれらの群の存在又は添加を排除するものではない。用語「含む」は、用語「~から本質的になる」及び「~からなる」によって包含される実施形態を含むことを意図される。同様に、用語「~から本質的になる」は、用語「~からなる」によって包含される実施形態を含むことが意図されている。
【0030】
存在する場合、全ての範囲は、包括的及び結合可能である。例えば、「1~5」の範囲が列挙されている場合、列挙されている範囲は、「1~4」、「1~3」、「1~2」、「1~2及び4~5」、「1~3及び5」などの範囲を含むと解釈すべきである。
【0031】
本明細書において数値と結び付けて使用する用語「約」は、その用語がその状況において他に特に定義されていない限り、数値の+/-0.5の範囲を指す。例えば、語句「約6のpH値」は、pH値が具体的にそうではないと定義されない限り、5.5~6.5のpH値を指す。
【0032】
本明細書を通して明示されたあらゆる最高数値限度は、それより低いありとあらゆる数値限度を、そのようなより低い数値限度が本明細書に明示的に記載されたかのように含むことが意図されている。本明細書を通して明示されたあらゆる最低数値限度は、それより高いありとあらゆる数値限度を、そのようなより高い数値限度が本明細書に明示的に記載されたかのように含むであろう。本明細書を通して明示されたあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に含まれるそれより狭いありとあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が本明細書に明示的に記載されたかのように含むであろう。
【0033】
当業者であれば、以下の詳細な説明を読むことにより、本開示の特徴及び利点を更に容易に理解するであろう。明確化のため、別個の実施形態の文脈において前後に記載されている本開示の特定の特徴はまた、単一の要素中で組み合わせて提供され得ることを理解すべきである。反対に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本開示の様々な特徴はまた、別個に又は任意の部分的組み合わせで提供され得る。更に、文脈に具体的に別の記載がない限り、単数形についての言及は、複数も含み得る(例えば、「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、1つ以上を意味し得る)。
【0034】
本願に明記した様々な範囲での数値の使用は、特に明示的に指示しない限り、規定範囲内の最小値と最大値のどちらにも用語「約」が先行するかのように近似値として記載されている。この方法で、規定範囲の上下のわずかな変動を使用しても、この範囲内の数値と実質的に同一の結果を達成することができる。また、これらの範囲の開示は、最小値と最大値との間のありとあらゆる数値を含む連続範囲であることが意図されている。
【0035】
本明細書で使用する場合、
用語「重量パーセント」、「重量パーセンテージ(wt%)」、「重量-重量パーセンテージ(w/w%)」などは、本明細書では同じ意味で用いられる。重量パーセントは、それが組成物中、混合物中又は溶液中に含まれるかのように質量に基づく物質のパーセンテージを指す。
【0036】
語句「水不溶性」は、物質、例えばα-(1,3-グルカン)ポリマーが23℃で水100mL中に5g未満しか溶解しないことを意味する。他の実施形態において、水不溶性は、物質が23℃で水に4g未満、又は3g未満、又は2g未満、又は1g未満しか溶解しないことを意味する。
【0037】
用語「水溶性」は、糖又は糖誘導体が、25℃のpH7の水中において1重量%以上で可溶性であることを意味する。重量パーセンテージは、水溶性の多糖の総重量に基づいており、例えば、100グラムの水中に1グラムの多糖である。
【0038】
水分散性は、25℃のpH7の水中において、1重量%以上で、溶液全体にわたって限定された粒子、又は小滴が分布する能力を有する化合物として定義される。重量パーセントは、水中の化合物、例えば100グラムの水中の1グラムの多糖又は多糖誘導体の総重量に基づく。
【0039】
本明細書で使用する場合、「重量平均分子量」又は「M」は、
=ΣN /ΣN[式中、Mは鎖の分子量であり、Nはその分子量の鎖の数である]として計算される。重量平均分子量は、静的光散乱、ガスクロマトグラフィ(GC)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)、小角中性子散乱、X線散乱、及び沈降速度などの技術によって決定され得る。
【0040】
本明細書で使用する場合、「数平均分子量」又は「M」は、試料中の全ポリマー鎖の統計的平均分子量に関する。数平均分子量は、M=ΣN/ΣN[式中、Mは鎖の分子量であり、Nはその分子量の鎖の数である]として計算される。ポリマーの数平均分子量は、例えばゲル透過クロマトグラフィー、(Mark-Houwinkの式)による粘度測定法及び例えば蒸気圧オスモメトリー法、末端基定量法又はプロトンNMR法などの束一的方法などの技術によって決定され得る。
【0041】
用語「疎水性の」は、非極性であり、水に対してほとんど又は全く親和性を有さず、水をはじく傾向がある分子又は置換基を指す。
【0042】
用語「親水性の」は、極性であり、極性溶媒、特に水、又は他の極性基と相互作用する親和性を有する分子又は置換基を指す。親水性分子又は置換基は水を引き付ける傾向がある。
【0043】
用語「両親媒性」は、疎水基及び親水基の両方を含有することを意味する。
【0044】
本明細書でいうグルコースの炭素の位置1、2、3、4、5、及び6は、当該技術分野で公知であり、構造I中に示される通りである:
【化1】
【0045】
用語「グリコシド結合(glycosidic linkage)」、及び「グリコシド結合(glycosidic bond)」は、本明細書では同じ意味で用いられ、炭水化物(糖)分子をまた別の炭水化物などの別の基に結合するタイプの共有結合を指す。本明細書で使用する場合、用語「α-1,6-グルコシド結合」は、α-D-グルコース分子を、隣接するα-D-グルコース環上の炭素1及び6を介して相互に結合するタイプの共有結合を指す。本明細書で使用する場合、用語「α-1,3-グルコシド結合」は、
α-D-グルコース分子を、隣接するα-D-グルコース環上の炭素1及び3を介して相互に結合するタイプの共有結合を指す。本明細書で使用する場合、用語「α-1,2-グルコシド結合」は、α-D-グルコース分子を、隣接するα-D-グルコース環上の炭素1及び2を介して相互に結合するタイプの共有結合を指す。本明細書で使用する場合、用語「α-1,4-グルコシド結合」は、α-D-グルコース分子を、隣接するα-D-グルコース環上の炭素1及び4を介して相互に結合するタイプの共有結合を指す。本明細書では、「α-D-グルコース」は、「グルコース」と呼ぶであろう。
【0046】
グルカン、デキストラン、置換されたグルカン、又は置換されたデキストランのグリコシド結合プロファイルは、当該技術分野において公知の任意の方法を使用して決定することができる。例えば、結合プロファイルは、核磁気共鳴(NMR)分光法(例えば、13C NMR又はH NMR)を使用する方法を用いて決定することができる。使用することができるこれらの方法及び他の方法は、Food Carbohydrates:Chemistry,Physical Properties,and Applications(S.W.Cui.Ed,Chapter 3,S.W.Cui,Structural Analysis of Polysaccharides,Taylor&Francis Group LLC,Boca Raton,FL,2005)に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
本明細書で使用する場合、用語「ポリグルカン(poly glucan)」は、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、及び/又はポリα-1,3-1,6-グルカンを指す。複数形の「ポリグルカン(poly glucans)」は、3つ全ての多糖類を指す。
【0048】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル基」は、不飽和を含有しない直鎖、分枝鎖、又は環状(「シクロアルキル」)の炭化水素基を指す。本明細書で使用する場合、用語「アルキル基」は、置換アルキル、例えば、少なくとも1つのヒドロキシアルキル基又はジヒドロキシアルキル基で置換されているアルキル基、並びに炭化水素鎖内に酸素、硫黄、及び/又は窒素などの1個以上のヘテロ原子を含有するアルキル基を包含する。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「アルケン」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖、分枝鎖、又は環状の炭化水素基を指す。本明細書で使用する場合、用語「アルケン」は、置換アルケン基、例えば、少なくとも1つのアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はジヒドロキシアルキル基で置換されているアルケン、並びに炭化水素鎖内に酸素、硫黄、及び/又は窒素などの1個以上のヘテロ原子を含有するアルケンを包含する。
【0050】
本明細書で使用する場合、用語「アルキン」は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含有する、直鎖及び分枝鎖の炭化水素基を指す。本明細書で使用する場合、用語「アルキン」は、置換アルキン基、例えば、少なくとも1つのアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はジヒドロキシ基で置換されているアルキン、並びに炭化水素鎖内に酸素、硫黄、及び/又は窒素などの1個以上のヘテロ原子を含有するアルキンを包含する。
【0051】
本明細書で使用する場合、用語「アリール」は、単環(例えば、フェニル)、多環(例えば、ビフェニル)、又は少なくとも1つが芳香族である多縮合環(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、又はフェナントリル)を有する芳香族炭素環基を意味し、これは任意選択的に、アルキル基で一置換、二置換、又は三置換されている。アリールとはまた、ヘテロアリール基を意味し、ここで、ヘテロアリールは、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する5、6、又は7員芳香環系として定義される。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、
ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、チアゾリル、及びチエニルが挙げられ、これは、任意選択的にアルキル基で置換されていてもよい。
【0052】
本明細書で使用する場合、用語「モル置換」(M.S.)は、多糖又はその誘導体の1モノマー単位当たりの有機基のモル数を指す。例えば、ポリα-1,3-グルカン誘導体のモル置換値は、非常に高い上限、例えば数百、又は更には数千あり得ることに注意する。例えば、有機基が、ヒドロキシル含有アルキル基である場合、ポリα-1,3-グルカンのヒドロキシル基の1つにエチレンオキシドが付加することによって、次いでエチレンオキシドからのそのように形成されたヒドロキシル基を更にエーテル化してポリエーテルを形成することができる。
【0053】
本開示は、多糖誘導体を含む組成物であって、多糖誘導体が、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである、組成物に関する。
【0054】
本明細書にて開示された多糖誘導体は、両親媒性多糖誘導体、すなわち、疎水基及び親水基の両方を含有する多糖と称される。両親媒性多糖誘導体は、界面での吸着特性が向上しているために重要であり、表面張力の低下を招き得る。これらの特性は、洗濯、洗浄、食品、化粧品、工業、フィルム、紙の製造など、幅広い用途に有益である。洗濯用途に関して、両親媒性多糖誘導体は、疎水基は疎水性基材表面に吸着し、親水基は汚れをはじく、汚れ放出剤として機能し得る。両親媒性多糖誘導体はまた、フィルム及び紙の表面コーティングとして機能し、疎水性基材への良好な接着を可能にし、親水性表面を提供し得る。両親媒性多糖誘導体は、油が水に分散している場合、水及び油滴の界面でそれ自身で配向し得る。水中油型分散体に関して、両親媒性多糖誘導体の疎水基は油相に溶解しているが、一方で親水基は水相に溶解している。それによって両親媒性多糖誘導体は、油滴の周りにフィルムを形成し、エマルションを安定化させる。このように、両親媒性多糖誘導体は、これらの界面活性に応じて、洗浄、食品、及び化粧品の用途において、乳化安定剤及び/又は発泡剤として使用され得る。典型的には、このような用途における使用に関して、両親媒性多糖誘導体は、水溶性又は水分散性である。
【0055】
一実施形態において、多糖誘導体は、多糖主鎖に沿ってランダムに置換された疎水基及び親水基を有する多糖を含むので、多糖主鎖は、非置換及び置換α-D-グルコース環を含む。本明細書で使用する場合、用語「ランダムに置換された」は、ランダムに置換された多糖中のグルコース環上の置換基が、非繰り返し、又はランダムな様式で生じることを意味する。すなわち、置換されたグルコース環上の置換基[すなわち、多糖中のグルコース環中の異なる原子上の置換基(これは、同一でも異なっていてもよい)]は、多糖中の第2の置換されたグルコース環上の置換基と同一でも異なっていてもよいので、ポリマー上の全体的な置換はパターンを持たない。更に、置換されたグルコース環は、多糖内にランダムに生じる(すなわち、多糖内に置換及び非置換グルコース環を有するパターンはない)。
【0056】
一実施形態において、多糖誘導体は、a)少なくとも1つの疎水基、及びb)少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、多糖はポリα-1,3-グルカンである。別の実施形態において、多糖誘導体は、a)少なくとも1つの疎水基、及びb)少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、多糖はポリα-1,6-グルカンである。更なる実施形態において、多糖誘導体は、a)少なくとも1つの疎水基、及びb)少なく
とも1つの親水基で置換されている多糖を含み、多糖はポリα-1,3-1,6-グルカンである。両親媒性多糖誘導体の混合物もまた、使用することができる。
【0057】
置換された多糖誘導体はまた、上記の本明細書にて開示された多糖の混合物を含み得る。
【0058】
多糖誘導体は、1つ以上の位置で、a)少なくとも1つの疎水基、及びb)少なくとも1つの親水基で置換されているポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンを含む。好適な疎水基としては、C~C18アルキル基、C~C18アルケン基、C~C18アルキン基、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)又はこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテル基[ここで、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である]、C~C20アリール基、ベンジル基、C~C18アルキルスルホニル基、C~C20アリールスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な親水基としては、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基は、各々独立して、特定の多糖に適切なように、グルコースモノマーの2、3、4、及び/又は6のヒドロキシル位置で多糖を誘導体化することができる。疎水基及び親水基は、独立して、アルキレン、エステル(COO-、-OOC)、アミド(-CONH-)、カルバメート(-NHCO-)、エーテル(-O-)、チオエーテル(-S-)、スルホネート(-OSO-)、サルフェート(-OSOO-)、チオサルフェート(-SS(O)O)、カーボネート(-OCOO-)、ウレタン(-NHCOO-、-OOCNH)、ウレア(-NHCONH-)、アミン(-NH-)、ホスフェート(-OPO(OR)、又はホスホネート(-PO(OR)などの化学結合を介して多糖に結合している。
【0060】
以下の構造II及び構造IIIは、ポリα-1,3-グルカングルコース繰り返し単位、及びポリα-1,6-グルカングルコース繰り返し単位の誘導体化を表す2つの一般化された実施形態をそれぞれ示しており、グルコース単位が誘導体化され得る位置及びグルカンポリマーと構造中に示される置換基Rとの間の化学結合(Zとして示される)をより明確に示す。誘導体化された多糖中に存在する疎水基(式中、R=R’)及び親水基(式中、R=R”)の数は、誘導体化多糖の置換度に反映され:非置換位置では、Z-R部分はヒドロキシル基であろう。
【化2】

ポリ-1,3-グルカン内のグルコース単位の誘導体化
【化3】

ポリ-1,6-グルカン内のグルコース単位の誘導体化
【0061】
疎水基が、C~C18アルキル基、C~C18アルケン基、C~C18アルキン基、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)又はこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテル基[ここで、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である]、C~C20アリール基、又はベンジル基(アリール-CH-)である場合、疎水基は、エーテル結合を介してグルカンポリマーに化学的に結合している。疎水基が、p-トルエンスルホニル基(CH-C-SO-)である場合、疎水基は、ポリα-1,3-グルカン内のグルコース単位について下記の構造IVに示すように結合しており、ここでp-トルエンスルホニル基は6の位置に示されている:
【化4】
【0062】
ポリα-1,3-グルカンが酸化されて、グルコース環の6の位置にカルボン酸部分(-COO-)を含む親水基を含有する場合、カルボン酸基(又は塩)は、下記の構造Vに一般的に示されているように、炭素-炭素結合を介してグルカンに結合する:
【化5】
【0063】
構造VIは、グルコース環の2の位置に疎水性ベンジル基を、及び6の位置に親水性アルキルスルホネート基(アニオンとして示す)を有するポリα-1,3-グルカングルコース繰り返し単位の誘導体化を表す一般化された実施形態である:
【化6】
【0064】
多糖誘導体は、約0.001~約3.0の置換度を有する。本明細書で使用する場合、用語「置換度」DoSは、多糖誘導体の各モノマー単位(グルコース)中で置換されたヒドロキシル基の平均数を指す。グルカンポリマー中のグルコースモノマー単位中にはヒドロキシル基が最大で3つであるので、全体の置換度は3以下であり得る。他の実施形態において、置換度は、0.02~2.5、又は0.02~2.0、又は0.2~2、又は0.2~1の範囲であり得る。あるいは、DoSは、約0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、又は任意の0.001~3の間の値であり得る。本明細書に開示されるような多糖誘導体は、約0.001~約3.0の間の置換度を有するので、多糖上の置換基は水素のみであることはできないということが当業者によって理解されるであろう。本明細書にて開示された両親媒性多糖誘導体の置換度は、少なくとも1つの疎水基に関して、少なくとも1
つの親水基に関して、又は総置換度、すなわち疎水基と親水基のDoSの合計に関して言及され得る。本明細書で使用する場合、置換度が疎水基又は親水基に関して述べられていない場合は、全体的な置換度が意味される。多糖誘導体は、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含むので、疎水基単独に関する、又は親水基単独に関するDoSは、必然的に3未満である。
【0065】
一実施形態において、疎水基に関する多糖誘導体のDoSは、約0.02~約1.5、又は例えば約0.1~1の範囲であり得、親水基に関する多糖誘導体のDoSは、約0.1~約2.5、又は例えば約0.2~約1.5の範囲であり得るが、ただし、多糖誘導体の全体のDoSは3以下であることを条件とする。
【0066】
多糖誘導体は、約5~約1400の範囲、例えば、約5~約100、又は約5~約500、又は約5~約1000、又は約5~約1100、又は約5~約1200、又は約5~約1300、又は約5~約1400の範囲の重合度を有する。
【0067】
多糖誘導体の構造、分子量、及び置換度は、例えばNMR分光法及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)などの当該技術分野において公知の様々な物理化学的分析法を使用して確証され得る。
【0068】
多糖又は多糖誘導体の「分子量」は、数平均分子量(M)、又は重量平均分子量(M)で表され得る。あるいは、分子量は、ダルトン、グラム/モル、DPw(重量平均重合度)、又はDPn(数平均重合度)で表され得る。これらの分子量測定値を計算するために、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、又はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)などの様々な手段が当該技術分野において公知である。
【0069】
用語「ポリα-1,3-グルカン」、「α-1,3-グルカンポリマー」、及び「グルカンポリマー」は、本明細書では同じ意味で用いられる。ポリα-1,3-グルカンは、グリコシド結合によって互いに結合しているグルコースモノマー単位を含むポリマーを意味し、ここでグリコシド結合の少なくとも約50%は、α-1,3-グリコシド結合である。ポリα-1,3-グルカンは、多糖の一種である。ポリα-1,3-グルカンのα-1,3-グリコシド結合は、以下の構造VIIで示され得る:
【化7】
【0070】
ポリα-1,3-グルカンは、化学的な方法を使用して調製可能である。あるいは、ポリα-1,3-グルカンを産生する真菌などの様々な生物からそれを抽出することによって調製することができる。あるいは、ポリα-1,3-グルカンは、例えば、米国特許第7,000,000号明細書;同第8,642,757号明細書;及び同第9,080,
195号明細書(その全体が参考により本明細書に組み込まれる)においてなど、1種以上のグルコシルトランスフェラーゼ(gtf)酵素(例えば、gtfJ)を用いて、糖から酵素的に製造することができる。そこに与えられている手順を使用して、触媒として組み換えグルコシルトランスフェラーゼ酵素、例えばgtfJ酵素、及び基質としてスクロースを使用して一段階酵素反応でポリマーを直接製造する。ポリα-1,3-グルカンは、副生成物としてのフルクトースともに製造される。反応の進行に伴って、ポリα-1,3-グルカンは、溶液から沈殿する。gtfJ酵素を使用して製造されると、ポリα-1,3-グルカンは、4~500の範囲の数平均重合度(DPn)を有し得る。他の実施形態において、DPnは、30~500、又は40~500、又は50~400の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、ポリα-1,3-グルカンは、約10~約400、10~約300、10~約200、10~約100、10~約50、400~約1400、又は約400~約1000、又は約500~約900のDPwを有する。
【0071】
いくつかの実施形態において、α-1,3であるポリα-1,3-グルカンのグルコースモノマー単位間のグリコシド結合のパーセンテージは、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%(又は50%~100%の間の任意の整数値)以上である。したがって、このような実施形態において、ポリα-1,3-グルカンは、50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、又は0%(又は0%~50%の間の任意の整数値)以下のα-1,3ではないグリコシド結合を有する。ポリα-1,3-グルカンは、1,2-、1,4-及び/又は1,6-の位置で結合しているグルコースモノマーを比較的低いパーセンテージで有し得る。いくつかの実施形態において、ポリα-1,3-グルカンは、93~97%以上のα-1,3-グリコシド結合、及び3%未満のα-1,6-グリコシド結合を含む。他の実施形態において、ポリα-1,3-グルカンは、95%以上のα-1,3-グリコシド結合、及び約1%のα-1,6-グリコシド結合を含む。更なる実施形態において、ポリα-1,3-グルカンは、1~3%以下のα-1,3,6-グリコシド結合を含む。
【0072】
いくつかの実施形態における不溶性のポリα-1,3-グルカンは、(i)少なくとも約100000ダルトンの分子量を有する、(例えば、少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のα-1,6結合を有する)デキストランを含む主鎖と、(ii)少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のα-1,3-グルコシド結合を含むα-1,3-グルカン側鎖と、を有する、コポリマー(例えば、グラフトコポリマー)の形態であり得る。このようなコポリマーは、国際公開第2017/079595号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるとおりであり得る。
【0073】
用語「ポリα-1,6-グルカン」、及び「デキストラン」は、本明細書では同じ意味で用いられる。デキストランは、一般に、α-1,3-結合によって直鎖に結合した周期的側鎖(分枝鎖)を有する、α-1,6-結合したグルコースモノマーの鎖を含む複雑な分枝鎖α-グルカンのファミリーを表す(Ioan et al.,Macromolecules 33:5730-5739)。デキストランの製造は、典型的には、バクテリア(例えば、ロイコノストック(Leuconostoc)、又はストレプトコッカス(Streptococcus)種)とともにスクロースを発酵を通して行われ、ここでスクロースは、デキストラン重合のためのグルコース源として役立つ(Naessens
et al.,J.Chem.Technol.Biotechnol.80:845-860;Sarwat et al.,Int.J.Biol.Sci.4:379-386;Onilude et al.,Int.Food Res.J.20:1645-1651)。ポリα-1,6-グルカンは、(限定されるわけではないが)国際公開第2015/183714号パンフレット、及び同第2017/091533号パンフレット(どちらも参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているようなGTF17
29、GTF1428、GTF5604、GTF6831、GTF8845、GTF0088、及びGTF8117などのグルコシルトランスフェラーゼを使用して調製可能である。
【0074】
ポリα-1,6-グルカンは、4~1400の範囲の数平均重合度(DPn)を有し得る。他の実施形態において、DPnは、4~100、又は4~500、又は40~500、又は50~400の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、ポリα-1,6-グルカンは、約10~約400、10~約300、10~約200、10~約100、10~約50、400~約1400、又は約400~約1000、又は約500~約900のDPwを有する。
【0075】
いくつかの実施形態において、ポリα-1,6-グルカンは、グルコースモノマー単位の40%以上が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合しているグルコースモノマー単位、例えば、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は90%以上のグルコースモノマー単位の主鎖を含む。
【0076】
本明細書のデキストラン「長鎖」は、「実質的に[又は大部分が]α-1,6-グリコシド結合」を含み得るが、これはいくつかの態様ではそれらが少なくとも約98.0%のα-1,6-グリコシド結合を有し得ることを意味する。本明細書のデキストランは、いくつかの態様では、「分枝鎖構造(branching structure)」(分枝状構造(branched structure))を含み得る。この構造における長鎖は、おそらく反復方法で、他の長鎖から分枝する(例えば、長鎖は他の長鎖からの分枝鎖であってよく、これは順にその分枝鎖自体が他の長鎖からの分枝鎖であってよく、と続く)と考えられる。この構造における長鎖は、分枝鎖構造内の全長鎖の少なくとも70%の長さ(DP[重合度])が分枝鎖構造の全長鎖の平均長の±30%内であることを意味する「長さが類似」であり得ると考えられる。
【0077】
いくつかの実施形態におけるデキストランはまた、典型的には、長さが1~3個のグルコースモノマーであり、典型的には、デキストランポリマーの全グルコースモノマーの約10%未満を含む、長鎖から分枝している「短鎖」を含み得る。このような短鎖は、典型的には、α-1,2-、α-1,3-、及び/又はα-1,4-グルコシド結合を含む(いくつかの態様では、長鎖内に少ないパーセンテージのこのような非α-1,6結合もまた存在し得ると理解されている)。特定の実施形態において、分枝鎖を有するポリα-1,6-グルカンは、国際公開第2015/183714号パンフレット、及び同第2017/091533号パンフレットの手順に従って酵素的に製造され、例えば「gtfJ18T1」又は「GTF9905」などのα-1,2-分枝鎖酵素をデキストランポリマー(多糖)の製造中又は製造後に添加することができる。他の実施形態において、α-1,2-分枝鎖を製造することが知られている任意の他の酵素が添加され得る。このような実施形態におけるポリα-1,6-グルカンの分枝度は、50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、又は0%以下(又は0%~50%の任意の整数値)の短い分枝鎖、例えば、α-1,2-分枝鎖を有する。一実施形態において、ポリα-1,6-グルカンは、50%未満のα-1,2-分枝度を有する。一実施形態において、ポリα-1,6-グルカンは、主に直鎖である。
【0078】
一実施形態において、多糖は、ポリα-1,3-1,6-グルカンである。ポリα-1,3-1,6-グルカンは、米国特許出願公開第2015/0232785(A1)号明細書に開示されるような、グルコシルトランスフェラーゼ酵素の生成物である。いくつかの実施形態において、不溶性のα-グルカンは、少なくとも約30%のα-1,3結合、並びにα-グルカン中のα-1,3及びα-1,6結合の両方の合計を100%にするパーセンテージのα-1,6結合を含む。例えば、α-1,3及びα-1,6結合のパーセ
ンテージは、それぞれ、約30~40%、及び60~70%であり得る。いくつかの態様において、少なくとも約30%のα-1,3結合を含む不溶性のα-グルカンは、直鎖である。少なくとも約30%のα-1,3結合を含む不溶性のα-グルカンを製造するためのグルコシルトランスフェラーゼは、米国特許出願公開第2015/0232819号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0079】
一実施形態において、多糖は、ポリα-1,3-1,6-グルカンを含み、ここで(i)ポリα-1,3-1,6-グルカンの少なくとも30%のグリコシド結合は、α-1,3結合であり、(ii)ポリα-1,3-1,6-グルカンの少なくとも30%のグリコシド結合は、α-1,6結合であり、(iii)ポリα-1,3-1,6-グルカンは、少なくとも10の重量平均重合度(DP)を有し、(iv)ポリα-1,3-1,6-グルカンのα-1,3結合及びα-1,6結合は、連続してお互い交互になっていない。別の実施形態において、ポリα-1,3-1,6-グルカンのグリコシド結合の少なくとも60%は、α-1,6結合である。
【0080】
ポリα-1,3-1,6-グルカンのグリコシド結合の少なくとも30%は、α-1,3結合であり、ポリα-1,3-1,6-グルカンのグリコシド結合の少なくとも30%は、α-1,6結合である。あるいは、本明細書のポリα-1,3-1,6-グルカン中のα-1,3結合のパーセンテージは、少なくとも31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、又は64%であり得る。あるいは、更に、本明細書のポリα-1,3-1,6-グルカン中のα-1,6結合のパーセンテージは、少なくとも31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%又は69%であり得る。
【0081】
ポリα-1,3-1,6-グルカンは、パーセンテージの合計が100%を超えない限り、α-1,3結合の前述のパーセンテージのいずれか1つと、α-1,6結合の前述のパーセンテージのいずれか1つとを有することができる。例えば、本明細書のポリα-1,3-1,6-グルカンは、パーセンテージの合計が100%を超えない限り、(i)30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%又は40%(30%~40%)のいずれか1つのα-1,3結合と、(ii)60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%又は69%(60%~69%)のいずれか1つのα-1,6結合と、を有し得る。非限定的な例としては、31%のα-1,3結合と67%のα-1,6結合とを有するポリα-1,3-1,6-グルカンが挙げられる。特定の実施形態において、ポリα-1,3-1,6-グルカンのグリコシド結合の少なくとも60%は、α-1,6結合である。
【0082】
ポリα-1,3-1,6-グルカンは、例えば、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満のα-1,3及びα-1,6以外のグリコシド結合を有し得る。別の実施形態において、ポリα-1,3-1,6-グルカンは、α-1,3結合及びα-1,6結合のみを有する。
【0083】
本明細書に開示のポリα-1,3-1,6-グルカンの主鎖は、直鎖/非分枝鎖であり得る。あるいは、ポリα-1,3-1,6-グルカンに分枝鎖が存在してもよい。そのため、特定の実施形態におけるポリα-1,3-1,6-グルカンは、分枝点を有さないか、又は約30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、
21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、若しくは1%未満の分枝点をポリマー中のグリコシド結合のパーセントとして有し得る。
【0084】
ポリα-1,3-1,6-グルカンのα-1,3結合及びα-1,6結合は、連続してお互い交互になっていない。以下の議論に関して、...G-1,3-G-1,6-G-1,3-G-1,6-G-1,3-G-...(ここで、Gはグルコースを表す)は、α-1,3結合及びα-1,6結合が連続的に交互になって結合している6つのグルコースモノマー単位の延伸を表すことを考慮されたい。本明細書の特定の実施形態におけるポリα-1,3-1,6-グルカンは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上のα-1,3結合及びα-1,6結合の交互の結合で連続的に結合しているグルコースモノマー単位を含む。
【0085】
ポリα-1,3-1,6-グルカンの分子量は、DP(重量平均重合度)、又はDPn(数平均重合度)として測定され得る。あるいは、分子量は、ダルトン又はグラム/モルで測定され得る。ポリα-1,3-1,6-グルカンの数平均分子量(M)又は重量平均分子量(M)を参照することもまた、有用であり得る。
【0086】
本明細書のポリα-1,3-1,6-グルカンは、例えば、少なくとも約1600、3000、4000、5000、8000、10000、15000、20000、25000、30000、35000、40000、50000、100000、200000、300000、400000、500000、600000、700000、800000、900000、1000000、1100000、1200000、1300000、1400000、1500000、又は1600000(又は50000~1600000の間の任意の整数)のMwを有し得る。特定の実施形態におけるMは、少なくとも約1000000である。あるいは、ポリα-1,3-1,6-グルカンは、例えば、少なくとも約1600、3000、4000、5000、10000、20000、30000、又は40000のMを有し得る。
【0087】
本明細書のポリα-1,3-1,6-グルカンは、例えば、少なくとも10個のグルコースモノマー単位を含み得る。あるいは、グルコースモノマー単位の数は、例えば、少なくとも10、25、50、100、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、又は9000(又は10~9000の間の任意の整数)であり得る。
【0088】
多糖誘導体は、1つ以上の位置で、a)少なくとも1つの疎水基、及びb)少なくとも1つの親水基で置換されているポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンを含む。好適な疎水基としては、直鎖又は分枝鎖C~C18アルキル基、直鎖又は分枝鎖C~C18アルケン基、直鎖又は分枝鎖C~C18アルキン基、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)又はこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテル基[ここで、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である]、C~C20アリール基、ベンジル基、C~C18アルキルスルホニル基、C~C20アリールスルホニル基、又はp-トルエンスルホニル基が挙げられる。
【0089】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル基」は、不飽和を含有しない直鎖、分枝鎖、又は環状(「シクロアルキル」)の炭化水素基を指す。アルキル基は、例えば、別のアルキル基、又は少なくとも1つのヒドロキシアルキル基、若しくはジヒドロキシアルキル基で置換可能である。一実施形態において、疎水基は、C~C18アルキル基であり、アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデカニル基、テトラデカニル基、ペンタデカニル基、ヘキサデカニル基、ヘプタデカニル基、又はオクタデカニル基であり得る。別の実施形態において、アルキル基は、C~C18アルキル基である。アルキル基の1個以上の炭素を別のアルキル基で置換して、アルキル基を分枝させることができる。直鎖アルキル基の分枝鎖異性体の例としては、イソプロピル、iso-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、イソヘキシル、ネオヘキシル、2-エチルヘキシル、及びイソオクチルが挙げられる。アルキル基の1個以上の炭素は、少なくとも1つのヒドロキシアルキル基で置換可能である。好適なヒドロキシアルキル基は、ヒドロキシメチル基(-CHOH)、ヒドロキシエチル基(例えば、-CHCHOH、-CH(OH)CH)、ヒドロキシプロピル基(例えば、-CHCHCHOH、-CHCH(OH)CH、-CH(OH)CHCH)、ヒドロキシブチル基、及びヒドロキシペンチル基である。他の例としては、ジヒドロキシメチル基、ジヒドロキシエチル基、ジヒドロキシプロピル基、ジヒドロキシブチル基、及びジヒドロキシペンチル基などの、ジヒドロキシアルキル基(ジオール)が挙げられる。別の実施形態において、アルキル基は、シクロアルキル基であり、シクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニ基、又はシクロデシル基であり得る。一実施形態において、シクロアルキル基は、C~C10シクロアルキル基である。
【0090】
特定の実施形態におけるアルキル基上の置換は、アルキル基の末端炭素原子に結合していてもよく、ここで末端炭素基は、グルカンポリマーの酸素にエーテル結合している炭素原子とは反対側にある。この末端置換の例は、ヒドロキシプロピル基-CHCHCHOHにある。あるいは、置換は、アルキル基の内部炭素上であってもよい。内部置換の例は、ヒドロキシプロピル基-CHCH(OH)CHにある。
【0091】
任意選択的に、アルキル基は、炭化水素鎖内に酸素、硫黄、及び/又は窒素などの1個以上のヘテロ原子を含有することができる。例としては、アルキルグリセロールアルコキシレート部分(-アルキレン-OCHCH(OH)CHOH)、又は2-エチルヘキシルグリシジルエーテルの開環から誘導される部分を含有するアルキル基が挙げられる。
【0092】
別の実施形態において、疎水基は、C~C18アルケン基であり、アルケン基は、直鎖状、分枝状、又は環状であり得る。本明細書で使用する場合、用語「アルケン基」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含有する、炭化水素基を指す。アルケン基の例としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキシル基、及びアリル基が挙げられる。他の実施形態において、アルケン基の1個以上の炭素は、アルキル基を持った又はヒドロキシアルキル基若しくはジヒドロキシアルキル基を持った置換基を有し得る。このような置換アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、及びプロピル基が挙げられる。例えば、R基は、-CH(CH)CHCH、又は-CHCH(CH)CH[式中、両方のプロピル基はメチル置換を有する]であり得る。一実施形態において、アルケン基は、C~C18アルケン基である。
【0093】
任意選択的に、アルケン基は、炭化水素鎖内に酸素、硫黄、及び/又は窒素などの1個以上のヘテロ原子を含有することができ、例えば、アルケン基は、アリルグリシジルエーテルの開環から誘導される部分を含有することができる。
【0094】
別の実施形態において、疎水基は、C~C18アルキン基であり、アルキン基は、例えば、プロピン、ブチン、又はヘキシンであり得る。アルキン基は、直鎖又は分枝鎖であってもよく、例えば、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はジヒドロキシアルキル基で置換され得る。任意選択的に、アルキン基は、炭化水素鎖内に酸素、硫黄、及び/又は窒素などの1個以上のヘテロ原子を含有することができる。
【0095】
別の実施形態において、疎水基は、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)、又はこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテルであって、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である。一実施形態において、疎水基は、(-CHCHO-)4~100を含むポリエーテル基である。別の実施形態において、疎水基は、(-CHCH(CH)O-)4~100を含むポリエーテル基である。本明細書で使用する場合、値の範囲を指定する下付き文字は、繰り返し単位の可能性のある数を指定するために使用され、例えば、(CHCHO)4~100は、3~100個の範囲の繰り返し単位を含有するポリエーテル基を意味する。
【0096】
更に別の実施形態において、疎水基はアリール基であり、アリール基は、例えば、フェニル又はビフェニルであってもよく、任意選択的に、メチル基、エチル基、又はプロピル基などのアルキル基で置換されている。一実施形態において、アリール基は、C~C20アリール基である。別の実施形態において、アリール基は、メチル置換されたアリール基である。
【0097】
更に別の実施形態において、疎水基は、ベンジル基である。ベンジル基は、任意選択的に、ハロゲン基、シアノ基、エステル基、アミド基、エーテル基、C~Cアルキル基、アリール基、C~Cアルケン基、C~Cアルキン基、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上で更に置換され得る。
【0098】
更なる実施形態において、疎水基は、C~C18アルキルスルホニル基、又はC~C20アリールスルホニル基であり、任意選択的に、アルキル基で置換されている。アルキルスルホニルの例は、メタンスルホニル基である。C~C20アリールスルホニル基の例は、p-トルエンスルホニル基であり、これは、CH-アリール-SO-として表され得る。誘導体化された多糖上の置換基として、アルキルスルホニル又はアリールスルホニル部分は、硫黄-酸素結合を介して多糖に結合する。C~C18アルキルスルホニル基、C~C20アリールスルホニル基、及びp-トルエンスルホニル基は、イオン性ではない。
【0099】
多糖誘導体は、少なくとも1つの親水基でもまた置換されているポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンを含む。好適な親水基としては、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、及び四級化イミダゾール塩が挙げられる。これらの親水基は、イオン性である。親水基は、それらが単離されるか又は使用されるpHに応じて、固体として又は配合物若しくは水溶液として、中性又はイオン形態で存在し得る。
【0100】
一実施形態において、親水基は、カルボン酸基である。好適なカルボン酸基の例は、カルボキシ基(-COH)、カルボキシメチル基(-CHCOOH)、カルボキシエチル基(例えば、-CHCHCOOH、-CH(COOH)CH)、カルボキシプロピル基(例えば、-CHCHCHCOOH、-CHCH(COOH)CH、-CH(COOH)CHCH)、カルボキシブチル基及びカルボキシペンチル基である。一実施形態において、親水基は、カルボキシメチルである。別の実施形態において、親水基は、カルボキシエチルである。更に別の実施形態において、親水基は、カルボキシプロピルである。カルボン酸部分は、アルキル鎖上の任意の置換部位に存在し得る。
【0101】
別の実施形態において、親水基は、カルボン酸塩であり、塩は、本明細書の上記で開示されたカルボン酸基のカルボキシレートアニオン、及び無機カチオン、例えば、Li、N
a、K、Rb、Cs、Mg、Ca、又はBaのいずれか1つ;有機カチオン、例えば、アンモニウムイオン、アンモニウム(NH )、テトラアルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0102】
別の実施形態において、親水基は、硫酸誘導体、スルホン酸誘導体、又はチオサルフェート(-SS(O)OH)である。本明細書で使用する場合、「硫酸誘導体」は、サルフェート(-OS(O)OH)、及びアルキルサルフェート(-アルキレン-OS(O)OH)[式中、アルキル基はC~C基であり得る]を包含する。本明細書で使用する場合、「スルホン酸誘導体」は、スルホネート(-S(O)OH)、及びアルキルスルホネート(-アルキレン-S(O)OH)[式中、アルキル基はC~C基であり得る]を包含する。アルキルスルホネートの例としては、エチルスルホネート、プロピルスルホネート、及びブチルスルホネートが挙げられる。
【0103】
更なる実施形態において、親水基は、スルホン酸誘導体の塩又は硫酸誘導体の塩、例えば、サルフェート塩、アルキルサルフェート塩、スルホネート塩、アルキルスルホネート塩、又はチオサルフェート塩である。塩は、本明細書の上記で開示されたサルフェート基、アルキルスルホネート基、及びチオサルフェート基のアニオン、及び無機カチオン、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、又はBaのいずれか1つ;有機カチオン、例えば、アンモニウムイオン、アンモニウム(NH )、テトラアルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0104】
一実施形態において、親水基は、サルフェート、又はサルフェート塩である。別の実施形態において、親水基は、アルキルスルホネート、又はアルキルスルホネート塩である。更に別の実施形態において、親水基は、チオサルフェート、又はチオサルフェート塩である。
【0105】
別の実施形態において、親水基は、リン酸誘導体、例えば、ホスフェート(-OPO(OR’)[式中、R’は、H、アルキル、又はアリールである])、又はホスホネート(-PO(OR’)-[式中、R’は、H、アルキル、又はアリールである])である。更に別の実施形態において、親水基は、リン酸誘導体の塩、例えば、ホスフェート塩(ここで、アニオンは-OPO 2-である)、又はホスホネート塩(ここで、アニオンは-PO 2-である)であり、塩は、無機カチオン、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、又はBaのいずれか1つ;有機カチオン、例えば、アンモニウムイオン、アンモニウム(NH )、テトラアルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの組み合わせを更に含む。
【0106】
一実施形態において、親水基は、ホスフェートである。別の実施形態において、親水基は、ホスフェート塩である。更なる実施形態において、親水基は、ホスホネートである。更に別の実施形態において、親水基は、ホスホネート塩である。
【0107】
一実施形態において、親水基は、アルキルアミン基である。アルキルアミン基は、-NR[式中、R及びRは、独立して、水素及びC~C12アルキルである]によって表すことができる。アルキルアミンの例としては、ジエチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン、エチレンジアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミンが挙げられる。一実施形態において、アルキルアミン基は、エチレンジアミン誘導体である。
【0108】
別の実施形態において、疎水基は、アルキル置換されたアンモニウム塩である。アルキル置換されたアンモニウム塩は、以下の構造:
【化8】

[式中、R、R及びRは、各々独立して、水素原子、又はアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アラルキル基、又はアルカリル基を表す]によって表され得る。構造中の炭素原子(C)は、正に荷電した有機基の1つ以上の炭素の鎖(「炭素鎖」)の一部である。炭素原子は、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンのグルコースモノマーに直接エーテル結合しているか、又はポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合している2個以上の炭素原子の鎖の一部であるかのいずれかである。構造中の炭素原子は、-CH-、-CH-[式中、Hは、ヒドロキシ基などの別の基で置換されている]、又は-C-[式中、両方のHは置換されている]であり得る。
【0109】
置換されたアンモニウム基は、上記構造のR、R及びRの組成に応じて、「一級アンモニウム基」、「二級アンモニウム基」、「三級アンモニウム基」、又は「四級アンモニウム基」であり得る。本明細書における一級アンモニウム基は、R、R及びRの各々が水素原子である上記構造を指す(すなわち、-C-NH )。本明細書における二級アンモニウム基は、R及びRの各々が水素原子であり、Rがアルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基である上記構造を指す。本明細書における三級アンモニウム基は、Rが水素原子であり、R及びRの各々がアルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基である上記構造を指す。本明細書における四級アンモニウム基は、R、R及びRの各々がアルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基である(すなわち、R、R及びRのいずれも水素原子ではない)上記構造を指す。
【0110】
本明細書における四級アンモニウムポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンエーテルは、例えば、トリアルキルアンモニウム基(ここで、R、R及びRの各々は、アルキル基である)を含み得る。トリメチルアンモニウム基は、トリアルキルアンモニウム基の例であり、ここで、R、R及びRの各々は、メチル基である。この命名法において「四級」によって意味される第四の構成要素(すなわち、R)は、ポリグルカンのグルコースモノマーにエーテル結合している正に荷電した有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが理解されよう。
【0111】
四級アンモニウムポリα-1,3-グルカンエーテル化合物の例は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα-1,3-グルカンである。このエーテル化合物の正に荷電した有機基は、以下の構造:
【化9】

[式中、R、R及びRの各々は、メチル基である]によって表され得る。上記構造
は、四級アンモニウムヒドロキシプロピル基の例である。
【0112】
本明細書における「ヒドロキシアルキル」基は、アルキル基の1個以上の水素原子が、ヒドロキシル基で置換されている置換されたアルキル基を指す。
【0113】
一実施形態において、親水基は、四級化ピリジン塩である。別の実施形態において、親水基は、四級化イミダゾール塩である。
【0114】
一実施形態において、多糖誘導体は、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、ここで少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキル基、C~C18アルケン基、C~C18アルキン基、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)若しくはこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテル基[ここで、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である]、C~C20アリール基、ベンジル基、C~C18アルキルスルホニル基、C~C20アリールスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む。
【0115】
一実施形態において、多糖誘導体は、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、ここで少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキル基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキル基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、アルキル置換されたアンモニウム塩、スルホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、チオサルフェート基、又はこれらの組み合わせを含む。
【0116】
別の実施形態において、多糖誘導体は、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、ここで少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルケン基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルケン基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、アルキル置換されたアンモニウム塩、スルホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、チオサルフェート基、又はこれらの組み合わせを含む。
【0117】
更に別の実施形態において、多糖誘導体は、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、ここで少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキン基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキン基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、アルキル置換されたアンモニウム塩、スル
ホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、チオサルフェート基、又はこれらの組み合わせを含む。
【0118】
更なる実施形態において、多糖誘導体は、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、ここで少なくとも1つの疎水基は、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)又はこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテル[ここで、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である]を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)又はこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテル[ここで、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である]を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、アルキル置換されたアンモニウム塩、スルホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、チオサルフェート基、又はこれらの組み合わせを含む。
【0119】
更なる実施形態において、多糖誘導体は、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、ここで少なくとも1つの疎水基は、C~C20アリール基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、C~C20アリール基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、アルキル置換されたアンモニウム塩、スルホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、チオサルフェート基、又はこれらの組み合わせを含む。
【0120】
更なる実施形態において、多糖誘導体は、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、ここで少なくとも1つの疎水基は、ベンジル基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、ベンジル基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、アルキル置換されたアンモニウム塩、スルホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、又はチオサルフェート基を含む。
【0121】
更なる実施形態において、多糖誘導体は、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、ここで少なくとも1つの疎水基は、ハロゲン基、シアノ基、エステル基、アミド基、エーテル基、C~Cアルキル基、アリール基、C~Cアルケン基、C~Cアルキン基、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上で置換されているベンジル基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、ハロゲン基、シアノ基、エステル基、アミド基、エーテル基、C~Cアルキル基、アリール基、C~Cアルケン基、C~Cアルキン基、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上で置換されているベンジル基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、アルキル
置換されたアンモニウム塩、スルホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、又はチオサルフェート基を含む。
【0122】
更なる実施形態において、多糖誘導体は、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、ここで少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキルスルホニル基、又はC~C20アリールスルホニル基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキルスルホニル基、又はC~C20アリールスルホニル基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、アルキル置換されたアンモニウム塩、スルホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、又はチオサルフェート基を含む。
【0123】
更なる実施形態において、多糖誘導体は、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、ここで少なくとも1つの疎水基は、p-トルエンスルホニル基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、p-トルエンスルホニル基を含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、アルキル置換されたアンモニウム塩、スルホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、又はチオサルフェート基を含む。
【0124】
一実施形態において、多糖誘導体は、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、ここで少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキル基、ベンジル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含み、少なくとも1つの親水基は、カルボン酸、アルキル置換されたアンモニウム塩、スルホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、チオサルフェート、又はこれらの組み合わせを含む。
【0125】
一実施形態において、多糖誘導体は、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含み、ここで少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキル基、ベンジル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含み、少なくとも1つの親水基は、チオサルフェート、又はカルボキシメチル基を含む。
【0126】
更なる実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、ベンジル基、又はp-トルエンスルホニル基を含み、少なくとも1つの親水基は、チオサルフェート、又はカルボキシメチル基を含む。また、更なる実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキル基、又はp-トルエンスルホニル基を含み、少なくとも1つの親水基は、チオサルフェート、又はカルボキシメチル基を含む。別の実施形態において、少なくとも1つの疎水基は、C~C18アルキル基、又はベンジル基を含み、少なくとも1つの親水基は、チオサルフェート、又はカルボキシメチル基を含む。
【0127】
ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンは、アルカリ性条件下で多糖を疎水性有機基を含む少なくとも1種のエーテル化剤と接触させることにより疎水変性され得る。この工程は、例えば、溶液又は混合物を提供するために多糖を溶媒及び1種以上のアルカリ性水酸化物と接触させることによって最初にアルカリ性条件を準備することによって実施され得る。したがって、反応のアルカ
リ性条件は、アルカリ水酸化物溶液を含み得る。アルカリ性条件のpHは、少なくとも約11.0、11.2、11.4、11.6、11.8、12.0、12.2、12.4、12.6、12.8、又は13.0であり得る。
【0128】
疎水性有機基を含むエーテル化剤としては、例えば、ジアルキルサルフェート、ジアルキルカーボネート、ハロゲン化アルキル(例えば、塩化アルキル)、ヨードアルカン、アルキルトリフレート(アルキルトリフルオロメタンスルホネート)、アルキルフルオロスルホネート、1,2-エポキシアルキル、及びエポキシドが挙げられる。したがって、メチルポリα-1,3-グルカンエーテル、メチルポリα-1,6-グルカンエーテル、又はメチルポリα-1,3-1,6-グルカンエーテルを製造するためのエーテル化剤の例としては、ジメチルサルフェート、ジメチルカーボネート、塩化メチル、ヨードメタン、メチルトリフレート及びメチルフルオロスルホネートが挙げられる。エチルポリグルカンエーテルを製造するためのエーテル化剤の例としては、ジエチルサルフェート、ジエチルカーボネート、塩化エチル、ヨードエタン、エチルトリフレート、及びエチルフルオロスルホネートが挙げられる。プロピルポリグルカンエーテルを製造するためのエーテル化剤の例としては、ジプロピルサルフェート、ジプロピルカーボネート、塩化プロピル、ヨードプロパン、プロピルトリフレート、及びプロピルフルオロスルホネートが挙げられる。ブチルポリグルカンエーテルを製造するためのエーテル化剤の例としては、ジジブチルサルフェート、ジブチルカーボネート、塩化ブチル、ヨードブタン、ブチルトリフレート、及び1,2-エポキシブタンが挙げられる。ベンジルポリグルカンエーテルを製造するためのエーテル化剤の例としては、塩化ベンジル、及び臭化ベンジルが挙げられる。
【0129】
多糖のポリエーテル、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、又はこれらの混合物から誘導されるポリエーテルはまた、塩基の存在下で、多糖をエポキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はこれらの混合物に接触させることにより得てもよい。ヒドロキシル基は、エポキシドと更に反応して、2つ以上のエーテル繰り返し単位を有するポリエーテルを生成し得る。エポキシド及び多糖のモル量に応じて、多糖のヒドロキシル基のうちの1つ以上は、モノアルコキシル化又はポリアルコキシル化され得る。多糖は、式(-CHCHO-)4~100、(-CHCH(CH)O-)4~100、又はこれらの組み合わせによる1つ以上のポリエーテル繰り返し単位を有し得る。組み合わせて使用する場合、繰り返し単位は、ランダム配置又はブロック配置であり得る。本明細書で使用する場合、値の範囲を指定する下付き文字は、繰り返し単位の可能性のある数を指定するために使用され、例えば、(CHCHO)4~100は、3~100個の範囲の繰り返し単位を含有するポリエーテル基を意味する。
【0130】
ポリグルカンの親水性アニオン性誘導体は、当該技術分野において公知の反応から調製され得る。例えば、グルカンは、アルカリ条件下にて、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンを、モノクロロ酢酸と接触させることにより、カルボキシメチル基で誘導体化され得る。カルボキシアルキルポリグルカンエーテル化合物を調製するために好適なエーテル化剤としては、ハロアルキレート(例えば、クロロアルキレート)を挙げてもよい。ハロアルキレートの例としては、ハロアセテート(例えば、クロロアセテート)、3-ハロプロピオネート(例えば、3-クロロプロピオネート)、及び4-ハロブチレート(例えば、4-クロロブチレート)が挙げられる。例えば、クロロアセテート(モノクロロアセテート)(例えば、クロロ酢酸ナトリウム)は、カルボキシメチルポリα-1,3-グルカン、又はカルボキシメチルポリα-1,6-グルカンを調製するためのエーテル化剤として使用できる。
【0131】
ポリグルカンのホスフェート、ホスホネート、スルホネート、及びサルフェート誘導体は、Solarek,D.B.,Phosphoryated Starches an
d Miscellaneous Inorganic Esters in Modified Starches:Properties and Uses,Wurzburg,O.B.,Ed.,CRC Press,Inc.Boca Raton,Fla,1986,pp.97-108で記載されるのと同様に製造され得る。ホスフェート及びサルフェートなどのグルカンの無機エステルは、当該技術分野において公知の方法から生成され得る。例えば、ホスフェート基は、Modified Starches:Properties and Uses,by O.B.Wurzburg,CRC Press,2000)に記載されるように、多糖とトリポリリン酸ナトリウム、又はアルキルホスフェート及びピロホスフェートジエステルとの反応によって導入することができる。多糖は、Modified Starches:properties and Uses,by O.B.Wurzburg,CRC Press,2000)に記載されているように、硫酸、有機溶媒中のクロロスルホン酸、又は三酸化硫黄錯体による硫酸化を含む様々な方法により硫酸化され得る。
【0132】
ポリグルカンのアルキルスルホネートエーテルは、アルカリポリグルカンと、ビニルスルホン酸又はクロロアルカンスルホネートとのマイケル付加により調製され得る。あるいは、ポリグルカンをプロパンスルトン又はブタンスルトンと反応させて対応するスルホアルキルポリグルカンを得てもよい。ポリグルカンの硫酸化は、クロロスルホン酸又は三酸化硫黄錯体を用いて実施され得る。三酸化硫黄錯体の例としては、SO-DMF、SO-トリエチルアミン、SO-ピリジンなどの三酸化硫黄-窒素塩基錯体が挙げられる。
【0133】
ポリグルカンの親水性カチオン性誘導体は、当該技術分野において公知の反応から調製され得る。例えば、ポリグルカンの誘導体は、Solarek,D.B.,Cationic Starches:Properties and Uses,Wurzburg,O.B.,Ed.,CRC Press,Inc.Boca Raton,Fla,1986,pp.113-148で記載されるのと同様に製造され得る。ポリグルカンのカチオン性誘導体を調製するために使用されるいくつかの一般的な試薬としては:2-ジエチルアミノエチルクロリド(DEC);2-ジメチルアミノエチルクロリド;2-ジイソプロピルアミノエチルクロリド;2-ジエチルアミノエチルブロミド、N-アルキル-N-(2-ハロエチル)-アミノメチルリン酸;及び2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0134】
トリメチルアンモニウム基、置換されたアンモニウム基、又は四級アンモニウム基などの正に荷電した有機基を含有するポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンエーテル化合物を含む組成物の調製方法は、米国特許出願公開第2016/0311935号明細書(その全容が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0135】
ジヒドロキシアルキルポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンエーテル化合物を調製するのに好適なエーテル化剤としては、例えば、ハロゲン化ジヒドロキシエチル、ハロゲン化ジヒドロキシプロピル(例えば、2,3-ジヒドロキシプロピルクロリド[すなわち、3-クロロ-1,2-プロパンジオール])、又はハロゲン化ジヒドロキシブチルなどのハロゲン化ジヒドロキシアルキル(例えば、ジヒドロキシアルキルクロリド)が挙げられる。2,3-ジヒドロキシプロピルクロリドは、例えば、ジヒドロキシプロピルポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンを調製するために使用できる。
【0136】
2つ以上の異なる有機基を有するポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンエーテル化合物を製造する場合、それに応じ
て2種以上の異なるエーテル化剤が使用されるであろう。例えば、アルキルヒドロキシアルキルポリα-1,3-グルカンエーテル、アルキルヒドロキシアルキルポリα-1,6-グルカンエーテル、又はアルキルヒドロキシアルキルポリα-1,3-1,6-グルカンを生成するためには、酸化アルキレン及び塩化アルキルの両方をエーテル化剤として使用することができよう。このため、2つ以上の異なる有機基を有するポリグルカンエーテル化合物を製造するためには、本明細書で開示されるエーテル化剤のいずれかを組み合わせてもよい。このような2種以上のエーテル化剤は、反応中同時に使用され得るか、又は反応中に連続的に使用され得る。連続的に使用した場合、各添加間には、以下に開示される任意の温度処理(例えば、加熱)工程を任意選択的に使用してもよい。各有機基の所望のDoSを制御するために、エーテル化剤の連続的な導入を選択してもよい。一般に、エーテル生成物中でそれが形成する有機基が添加すべき他の有機基のDoSと比較してより高いDoSであることが所望される場合は、最初に特定のエーテル化剤が使用されるであろう。
【0137】
アルカリ性条件下で反応中のポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンと接触させられるエーテル化剤の量は、生成されるエーテル化合物において必要とされる置換度に基づいて決定することができる。本明細書で製造されるポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンエーテル化合物中の各モノマー単位上のエーテル置換基の量は、核磁気共鳴(NMR)分光法を使用して決定できる。ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンに対するモル置換(MS)値には上限がない。一般に、エーテル化剤は、ポリグルカン1モル当たり少なくとも約0.05モルの量で使用され得る。使用できるエーテル化剤の量に上限はない。
【0138】
本明細書のポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンエーテル化合物を製造するための反応は、任意選択的に、例えばParr反応装置、オートクレーブ、振とう器チューブなどの圧力容器又は当該技術分野において周知の任意の他の圧力容器中で実施できる。特定の実施形態において、振とう器チューブを使用して反応を実施する。
【0139】
本明細書の反応は、任意選択的に、アルカリ性条件下でポリグルカンをエーテル化剤と接触させる工程に続いて加熱できる。反応温度及びこのような温度を適用する時間は、広範囲の限度内で変化させることができる。例えば、反応は、任意選択的に、周囲温度で最大14日間維持され得る。あるいは、反応は、還流しながら、又は還流せずに約25℃~約200℃で(又は25~200℃の間の任意の整数)で加熱され得る。反応時間は、対応して変動させることができる;低温ではより長時間及び高温ではより短時間。
【0140】
カルボキシメチルポリα-1,3-グルカン、カルボキシメチルポリα-1,6-グルカン、又はカルボキシメチルポリα-1,3-1,6-グルカンを製造する特定の実施形態において、反応は、約3時間にわたり約55℃まで加熱され得る。したがって、本明細書のカルボキシメチルポリグルカンを調製するための反応は、例えば、約2時間~約5時間にわたり約50℃~約60℃(又は50~60℃の間の任意の整数)まで加熱され得る。
【0141】
任意選択的に、本明細書の反応は、加熱を用いて、又は用いずに、不活性ガス雰囲気下で維持され得る。本明細書で使用する場合、用語「不活性ガス」は、例えば本明細書の反応を調製するために開示された条件などの一連の所定の条件下で化学反応にさらされることのないガスを指す。
【0142】
本明細書に開示された反応の全ての成分は、同時に混合して所望の反応温度に導くこと
ができ、その時点から、温度は、攪拌しながら、又は攪拌せずに、所望のポリグルカンエーテル化合物が生成するまで維持される。あるいは、混合した成分は、上記のように、周囲温度で放置され得る。
【0143】
エーテル化に続いて、反応のpHを中和できる。反応の中和は1種以上の酸を用いて実施され得る。本明細書で使用する場合、用語「中性のpH」は、実質的に酸性でも塩基性でもないpH(例えば、約6~8、又は約6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、若しくは8.0のpH)を指す。この目的で使用できる様々な酸としては、硫酸、酢酸、塩酸、硝酸、任意の鉱(無機)酸、任意の有機酸又はこれらの酸の任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
本明細書の反応で製造されるポリグルカンエーテル化合物は、任意選択的に、この化合物を容易には溶解しない液体で1回以上洗浄され得る。例えば、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンエーテルは、(洗浄のために溶解度の欠如が所望の場合は)その中のエーテル化合物の溶解度に依存して、水、アルコール、アセトン、芳香族、又はこれらの任意の組み合わせを用いて洗浄され得る。一般に、洗浄には、アルコールなどの有機溶媒を含む溶媒が好ましい。ポリグルカンエーテル生成物は、例えば、メタノール又はエタノールを含有する水溶液を用いて1回以上洗浄され得る。例えば、生成物を洗浄するには、70~95重量%のエタノールを使用できる。別の実施形態において、ポリグルカンエーテル生成物は、メタノール:アセトン(例えば、60:40)溶液を用いて洗浄され得る。アルキルポリα-1,3-グルカン、又はポリα-1,6-グルカンエーテル(例えば、エチルポリα-1,3-グルカン)、及びアルキルヒドロキシアルキルポリα-1,3-グルカンエーテル(例えば、エチルヒドロキシエチルポリα-1,3-グルカン)を洗浄するためなどの特定の実施形態において、温水(約95~100℃)が使用され得る。
【0145】
ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンはまた、1つ以上のベンジル基で修飾することもできる。ポリグルカンは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水素化ナトリウムなどの塩基を使用して、ヒドロキシル基の1つ以上を脱プロトン化し、続いて、ベンジル化剤、例えば、ハロゲン化ベンジルで処理することによって、ベンジル化され得る。ベンジル化剤のベンジル基は、任意選択的に、ハロゲン基、シアノ基、エステル基、アミド基、エーテル基、C~Cアルキル基、アリール基、C~Cアルケン基、C~Cアルキン基、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上により置換され得る。いくつかの実施形態において、ベンジル化剤は:
【化10】

[式中、LGは脱離基、例えば、塩素、臭素、ヨウ素であり;Rは、ハロゲン、シアノ、エステル、アミド、エーテル、C~Cアルキル、アリール、C~Cアルケン、C~Cアルケンであり;nは、1、2、3、4、又は5である]であり得る。ハロゲンは、フッ化物、塩化物、臭化物、又はヨウ化物であり得る。エステルは、ベンジル-C(O)O-R’であり得るか、又はエステルは、ベンジル-OC(O)-R’[式中、R’基は、C~Cアルキル又はアリール基である]であり得る。エーテルは、C~Cアルキルエーテル又はアリールエーテルであり得る。アミドは、ベンジル-C(O)N(R’’)、又はベンジル-N(R’’)(O)C-[式中、各R’’は、独立して、
水素、又はC~Cアルキルである]であり得る。上記の例の各々において、用語「ベンジル」は、ベンジル化剤を指す。
【0146】
ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンは、1つの繰り返し単位当たり、3つのヒドロキシル基を有する。そのため、使用できるベンジル化剤の量は、最大値3.0を有する置換度を生じるのに十分である。語句「置換度」は、ポリグルカンの1つの繰り返し単位当たりの結合した置換基、例えばベンジル基の平均数を意味する。例えば、0.5の置換度は、平均して、2つの繰り返し単位当たり1つのヒドロキシル基がベンジル基で置換されていることを意味する。3の置換度は、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンの全てのヒドロキシル基が置換されていることを意味する。いくつかの実施形態において、置換度は、0.1~0.6の範囲である。他の実施形態において、置換度は、0.1~0.5、又は0.01~1.0、又は0.2~0.45、又は0.4~0.6の範囲である。置換度を決定する1つの方法は、炭素13NMRスペクトルのピークを積分することによるものであり得る。プロトンNMR分析もまた、使用することができる。
【0147】
脱プロトン化は、塩基及び水性溶媒、塩基及び有機溶媒、又は塩基並びに水性溶媒及び有機溶媒の混合物の存在下で起こり得る。好適な有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、1-メチル-2-ピロリジノン、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかの実施形態において、ポリグルカンは、塩基と溶媒の混合物に添加され得る。任意選択的に、混合物は加熱され得る。次いで、ベンジル化剤、例えば、塩化ベンジルが添加され得る。水溶液系において、ベンジル化度は増大し、溶液からベンジルポリグルカンが沈殿して、濾過により除去され得る。有機溶媒を使用すること、又は温度若しくは濃度を変化させることにより、置換度を、0.4超に増大させることができる。ベンジルポリグルカンは、公知の技術を使用して単離され得る。
【0148】
上記エーテル化反応のいずれかは、更なる変性のために、出発材料として、ポリα-1,3-グルカンエーテル、ポリα-1,6-グルカンエーテル、又はポリα-1,3-1,6-グルカンエーテルを使用して繰り返され得る。このアプローチは、有機基のDoSを増加させること、及び/又はエーテル生成物に1つ以上の異なる有機基を付加することに好適であり得る。例えば、ベンジルポリα-1,3-グルカンエーテル生成物は、カルボキシルメチル基を用いた更なる変性のための基質として使用され得る。
【0149】
ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンは、塩基の存在下で、多糖をC~C18アルキルスルホニルクロリド、C~C20アリールスルホニルクロリド、又はp-トルエンスルホニルクロリドと接触させることによって疎水変性させられ得る。この疎水変性は、例えば、溶液又は混合物を提供するために多糖を溶媒及び1種以上のアルカリ性水酸化物と接触させることによって最初にアルカリ性条件を準備することによって実施され得る。したがって、反応のアルカリ性条件は、アルカリ水酸化物溶液を含み得る。アルカリ性条件のpHは、少なくとも約11.0、11.2、11.4、11.6、11.8、12.0、12.2、12.4、12.6、12.8、又は13.0であり得る。次いで、塩基性溶液に、C~C18アルキルスルホニルクロリド、C~C20アリールスルホニルクロリド、又はp-トルエンスルホニルクロリドを添加して、混合物を室温で、又は加熱しながら反応させた。
【0150】
所望される用途に応じて、本明細書にて開示される多糖誘導体は、様々な組成物、例えば、洗濯ケア、布地/織物ケア、及び/又はパーソナルケア製品において使用するための組成物における使用に好適な1つ以上の他の物質、及び/又は活性成分を用いて配合(例
えば、ブレンド、混合、組み込むなど)することができる。本文脈中、用語「多糖誘導体を含む組成物」としては、例えば、水性配合物、レオロジー改質組成物、織物処理/ケア組成物、洗濯ケア配合物/組成物、織物柔軟剤、又はパーソナルケア組成物(ヘア、スキン及びオーラルケア)を挙げてもよく、その各々がa)少なくとも1つの疎水基、及びb)少なくとも1つの親水基で置換されているポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンを含む。
【0151】
本明細書で使用する場合、用語「有効量」は、所望の効果を達成するために好適である、使用又は投与される物質の量を指す。物質の有効量は、用途に応じて変動し得る。当業者であれば、典型的には、過度の(undo)実験を行わずに特定の用途又は被験者にとっての有効量を決定できるであろう。
【0152】
用語「酵素的加水分解に対する耐性」は、酵素的加水分解に対する多糖誘導体の相対的安定性を指す。加水分解に対する耐性を有することは、洗剤、織物ケア、及び/又は洗濯ケアなどの用途においてなどの、酵素が存在する用途においてこれらの材料を使用するために重要である。いくつかの実施形態において、多糖誘導体は、セルラーゼに耐性がある。他の実施形態において、多糖誘導体は、プロテアーゼに耐性がある。また、更なる実施形態において、多糖誘導体は、アミラーゼに耐性がある。更に他の実施形態において、多糖誘導体は、リパーゼに耐性がある。更に他の実施形態において、多糖誘導体は、マンナナーゼに耐性がある。他の実施形態において、多糖誘導体は、複数の部類の酵素、例えば、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、又はこれらの組み合わせの2つ以上に耐性がある。任意の特定の酵素に対する耐性は、それぞれの酵素を用いた処理後に残存する物質の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、又は100%を有するとして定義されるであろう。残存パーセンテージは、SEC-HPLCを使用して、酵素処理後の上清を測定することによって決定され得る。酵素耐性を測定するためのアッセイは、以下の手順を使用して決定することができる:多糖誘導体の試料をバイアル中の水に添加し、PTFEマグネティックスターラーを使用して混合して1重量%溶液を作製する。水性混合物をpH7.0及び20℃で生成する。これらの多糖誘導体が完全に溶解した後、1.0ミリリットル(mL)(1重量%の酵素配合物)のセルラーゼ(PURADEX(登録商標)EGL)、アミラーゼ(PURASTAR(登録商標)ST L)プロテアーゼ(SAVINASE(登録商標)16.0L)、又はリパーゼ(Lipex(登録商標)100L)を添加し、20℃で72時間(hrs)混合する。72時間の攪拌後、反応混合物は、添加された酵素を不活性化するために70℃まで10分間加熱し、生じた混合物を室温に冷却し、任意の沈降物を除去するために遠心する。上清は、回収された多糖誘導体についてSEC-HPLCによって分析し、反応混合液に酵素が全く添加されていないコントロールと比較する。これらのそれぞれの多糖誘導体についての面積総数における変化率を使用すると、それぞれの酵素処理に対する物質の相対耐性を試験するために使用できる。全体に対する面積における変化率は、特定酵素を用いた処理後に残存している物質の相対量を評価するために使用されるであろう。少なくとも10%、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、95、又は100%の回収率を有する物質は、それぞれの酵素処理に対して「耐性」があると見なされるであろう。
【0153】
本明細書の語句「水性組成物」は、溶媒が少なくとも約1重量%の水であり、多糖誘導体を含む溶液又は混合物を指す。
【0154】
用語「ヒドロコロイド」及び「ヒドロゲル」は本明細書において同じ意味で用いられる。ヒドロコロイドは、水が分散媒であるコロイド系を指す。本明細書の「コロイド」は、別の物質全体にわたって微視的に分散している物質を指す。そのため、本明細書のヒドロコロイドはまた、水又は水溶液中の多糖誘導体の分散体、エマルション、混合物又は溶液
も意味し得る。
【0155】
本明細書の用語「水溶液」は、溶媒が水を含む溶液を指す。多糖誘導体は、水溶液に分散、混合及び/又は溶解され得る。水溶液は、本明細書のヒドロコロイドの分散媒として機能し得る。
【0156】
用語「分散剤(dispersant)」及び「分散剤(dispersion agent)」は、1つの物質の別の物質中の分散系の形成及び安定化を促進する物質を意味するために本明細書において同じ意味で用いられる。本明細書の「分散体」は、水性組成物全体にわたって散乱しているか、又は一様に分布している1つ以上の粒子、例えばパーソナルケア製品、医薬品、食品、家庭用製品、又は工業製品の任意の成分を含む水性組成物を指す。多糖誘導体は、本明細書で開示される水性組成物中で分散剤として機能し得ると考えられる。
【0157】
本明細書で使用する場合、用語「粘度」は、流体又は水性組成物、例えばヒドロコロイドが、それを流動させる傾向がある力に抵抗する程度の尺度を指す。本明細書で使用できる粘度の様々な単位としては、センチポイズ(cPs)及びパスカル秒(Pa・s)が挙げられる。1センチポアズは1/100ポアズであり;1ポアズは、0.100kg・m-1・s-1に等しい。そのため、本明細書で使用する場合、用語「粘度調整剤(viscosity modifier」及び「粘度調整剤(viscosity-modifying agent)」は、流体又は水性組成物の粘度を変更/変性できるあらゆるものを指す。
【0158】
用語「織物」、「布地」及び「布」などは、天然及び/又は化学繊維の網状組織を有する織布又は不織布材料を意味するために、本明細書では同じ意味で用いられる。このような繊維は、例えば、縫合糸又は編み糸であり得る。
【0159】
本明細書の「織物ケア組成物」は、何らかの方法で織物を処理するのに好適な任意の組成物である。このような組成物の好適な例としては、非洗濯繊維処理(湯通し、精錬、シルケット加工、漂白、彩色、乾燥、印刷、バイオポリッシング、抗菌処理、防皺処理、耐汚染性処理など)、洗濯ケア組成物(例えば、洗濯ケア洗剤)及び織物柔軟剤が挙げられる。
【0160】
用語「洗剤組成物」、「重質洗剤」、及び「万能洗剤」は、任意の温度で、例えば、食器、カトラリー、ビヒクル、織物、カーペット、衣類、白色及び着色布地の通常の洗濯のために有用な組成物を指すために、本明細書では同じ意味で用いられる。織物、織物及びホームケアの領域における硬質表面並びに任意のその他の表面を処理するための洗剤組成物としては:洗濯洗剤、織物コンディショナー(柔軟剤を含む)、洗濯及びすすぎ添加剤並びにケア組成物、織物消臭組成物、洗濯予洗い用洗剤、洗濯前処理剤、硬質表面処理組成物、カーケア組成物、食器洗い組成物(手洗い用製品及び自動食器洗い用製品を含む)、空気ケア製品、多孔性基材若しくは不織布の上又は中に含有される洗剤、及び消費者用又は業務用のその他の洗浄製品が挙げられる。
【0161】
用語「セルラーゼ」及び「セルラーゼ酵素」は、セルロース中のβ-1,4-D-グルコシド結合を加水分解し、それによりセルロースを部分的又は完全に分解する酵素を意味するために、本明細書では同じ意味で用いられる。セルラーゼは、あるいは、例えば「β-1,4-グルカナーゼ」と呼ぶことができ、エンドセルラーゼ活性(EC3.2.1.4)、エキソセルラーゼ活性(EC3.2.1.91)又はセロビアーゼ活性(EC3.2.1.21)を有し得る本明細書の特定の実施形態におけるセルラーゼはまた、例えばカルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル誘導体中でβ-1,4-D-グル
コシド結合を加水分解することもできる。「セルロース」は、β-1,4-結合D-グルコースモノマー単位の直鎖を有する不溶性多糖を指す。
【0162】
本明細書で使用する場合、用語「織物の風合」又は「手触り」は、物理的、生理学的、心理学的、社会的、又はこれらの任意の組み合わせであり得る織物に対する個人の触覚感覚応答を意味する。いくつかの実施形態において、織物の風合は、米国繊維化学者・色彩技術者協会(AATCC test method,“202-2012,Relative Hand Value of Textiles:Instrumental Method”)により与えられるように、相対風合値を測定するためのPHABROMETER(登録商標)システム(Nu Cybertek,Inc.Davis,CAから入手可能)を使用して測定できる。
【0163】
組成物は、液体、ジェル、粉末、ヒドロコロイド、水溶液、顆粒、錠剤、カプセル、単一区画袋、複数区画袋、単一区画パウチ、又は複数区画パウチの形態であり得る。いくつかの実施形態において、組成物は、液体、ジェル、粉末、単一区画袋、又は複数区画袋の形態である。
【0164】
いくつかの実施形態において、多糖誘導体を含む組成物は、織物ケア組成物の形態であり得る。織物ケア組成物は、手洗い、洗濯機洗浄及び/又は他の目的、例えば織物の浸漬及び/又は前処理などの他の目的のために使用できる。織物ケア組成物は、例えば、洗濯用洗剤;織物コンディショナー、任意の洗濯用製品、リンス用製品又は乾燥機添加製品;単位用量又はスプレーの形態を取り得る。液体形態の織物ケア組成物は、水性組成物の形態であり得る。他の実施形態において、織物ケア組成物は、乾燥形態、例えば顆粒状洗剤又は乾燥機添加用織物柔軟剤シートなどの乾燥形態であり得る。織物ケア組成物の他の非限定的例としては;顆粒形態又は粉末形態の万能又は重質洗浄剤;液体形態、ゲル形態又はペースト形態の万能又は重質洗浄剤;液体又はドライの細(例えば、繊細)繊維用洗剤;例えば漂白用添加物、「ステイン・スティック」又は前処理剤などのクリーニング補助剤;基質積載製品、例えばドライワイプ又はウェットワイプ、パッド又はスポンジ;スプレー剤及びミスト剤;水溶性単位用量物品を挙げることができる。
【0165】
いくつかの実施形態において、多糖誘導体を含む組成物は、パーソナルケア製品の形態であり得る。パーソナルケア製品としては、ヘアケア組成物、スキンケア組成物、日焼けケア組成物、ボディクレンザー組成物、口腔ケア組成物、拭き取り布、美容ケア組成物、化粧品組成物、抗真菌組成物、及び抗菌組成物が挙げられるが、これらに限定されない。パーソナルケア製品としては、クレンジング、洗浄、保護、堆積、保湿、コンディショニング、閉塞性バリア、及び皮膚軟化剤組成物を挙げることができる。
【0166】
本明細書で使用する場合、「パーソナルケア製品」はまた、限定されるものではないが、シャンプー、ボディーローション、シャワージェル、局所保湿剤、練り歯磨き、歯磨きジェル、マウスウォッシュ、マウスリンス、抗プラークリンス及び/又は他の局所クレンザーを含む、髪の毛、肌、頭皮、及び歯の洗浄、漂白、及び/又は消毒に使用される製品が挙げられる。いくつかの実施形態において、これらの製品はヒトに利用されているが、他の実施形態においては、これらの製品はヒト以外の動物にも使用されている(例えば、獣医用途)。一態様において、「パーソナルケア製品」として、ヘアケア製品が挙げられる。ヘアケア製品は、粉末、ペースト、ジェル、液体、軟膏、スプレー、発泡体、錠剤、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナーリンス、又はこれらの任意の組み合わせの形態であり得る。
【0167】
本明細書に記載された多糖誘導体を含む製品配合物は、任意選択的に水、又は主に水からなる溶液で希釈されて、目的の用途に所望される多糖誘導体濃度を有する配合物を製造
し得る。当業者であれば明らかに、選択されたパーソナルケア製品のための所望の多糖誘導体濃度を達成するために反応成分及び/又は希釈量を調節することができる。
【0168】
本明細書に記載されるパーソナルケア組成物は、既知の又はそうでなくともヘアケア若しくはその他のパーソナルケア製品で使用するように効果的な1つ以上の皮膚科学的又は美容的に許容可能な成分を更に含んでもよいが、ただし、任意成分が本明細書に記載の必須成分と物理的及び化学的に適合性があるか、そうでなければ製品の安定性、審美性、又は性能を過度に損なわないことを条件とする。このような任意選択の成分の非限定的な例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,第9版,2002,及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,第10版,2004に開示されている。
【0169】
一実施形態において、皮膚科学的に許容される担体は、約10重量%~約99.9
重量%、あるいは約50重量%~約95重量%、あるいは約75重量%~約95重量%の皮膚科学的に許容される担体を含み得る。組成物との使用に好適な担体としては、例えば、ヘアスプレー、ムース、トニック、ジェル、皮膚保湿剤、ローション、及びリーブオンコンディショナーの配合物で使用されるものを挙げてもよい。担体は、水;有機油;シリコーン、例えば、揮発性シリコーン、アミノ又は非アミノのシリコーンガム又は油、及びこれらの混合物;鉱油;植物油、例えば、オリーブ油、ヒマシ油、菜種油、ヤシ油、小麦麦芽油、甘扁桃油、アボカード油、マカダミア油、アプリコット油、ベニバナ油、ククイ油、亜麻仁油、タマヌ油、レモン油、及びこれらの混合物;ワックス;並びに有機化合物、例えば、C~C10アルカン、アセトン、メチルエチルケトン、揮発性有機C~C12アルコール、C~C20酸及びC~Cアルコールのエステル(エステルの選択は、ペルヒドロラーゼに対するカルボン酸エステル基質として機能し得るか否かに依存し得るという理解を前提として)、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、及びミリスチン酸イソプロピル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、C10~C30脂肪アルコール、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコール;C10~C30脂肪酸、例えば、ラウリン酸及びステアリン酸;C10~C30脂肪アミド、例えば、ラウリン酸ジエタノールアミド;C10~C30脂肪アルキルエステル、例えば、C10~C30脂肪アルキルベンゾエート;ヒドロキシプロピルセルロース;並びにこれらの混合物を含んでもよい。一実施形態において、担体は、水、脂肪アルコール、揮発性有機アルコール、及びこれらの混合物を含む。
【0170】
本発明の組成物は更に、組成物に所望の粘度を付与する助けとなる、約0.1%~約10%、あるいは約0.2%~約5.0%のゲル化剤を含み得る。好適な任意選択のゲル化剤の非限定的な例としては、架橋カルボン酸ポリマー;非中和型架橋カルボン酸ポリマー;非中和型変性架橋カルボン酸ポリマー;架橋エチレン/無水マレイン酸コポリマー;非中和型架橋エチレン/無水マレイン酸コポリマー(例えば、Monsantoから市販されるEMA81);非中和型架橋アルキルエーテル/アクリレートコポリマー(例えば、Allied Colloidsから市販されるSALCARE(商標)SC90);ポリアクリル酸ナトリウム、鉱油、及びPEG-1 トリデセス-6の非中和型架橋コポリマー(例えば、Allied Colloidsから市販されるSALCARE(商標)SC91);メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸の非中和型架橋コポリマー(例えば、International Specialty Productsから市販されるSTABILEZE(商標)QM-PVM/MAコポリマー);疎水変性ノニオン性セルロースポリマー;疎水変性エトキシレートウレタンポリマー(例えば、Union Carbideから市販されるアルカリ膨潤性ポリマーのUCARE(商標)Polyphobe Series);並びにこれらの組み合わせが挙げられる。本文脈中、用語「非中和型」は、任意選択のポリマー及びコポリマーゲル化剤材料が非中和型酸モノマーを含有することを意味する。好ましいゲル化剤としては、水溶性非中和型架橋エチレン/無水
マレイン酸コポリマー、水溶性非中和型架橋カルボン酸ポリマー、水溶性疎水変性ノニオン性セルロースポリマー、及び界面活性剤/脂肪アルコールゲルネットワーク、例えば、ヘアコンディショニング製品での使用に好適なものなどが挙げられる。
【0171】
本明細書に記載された多糖誘導体は、限定されないが、ヘアコンディショニング剤などのヘアケア組成物及び製品に組み込んでもよい。ヘアコンディショニング剤は当該技術分野において周知であり、例えば、Green et al.(国際公開第0107009号パンフレット)が参照され、様々な供給元から市販されている。ヘアコンディショニング剤の好適な例としては、カチオン性ポリマー(カチオン化グアーガム、ジアリル第4級アンモニウム塩/アクリルアミドコポリマー、四級化ポリビニルピロリドン及びその誘導体、並びに種々のポリクオタニウム化合物など)、カチオン性界面活性剤(塩化ステアラルコニウム、塩化セントリモニウム、及びサパミン塩酸塩など)、脂肪アルコール(ベヘニルアルコールなど)、脂肪アミン(ステアリルアミンなど)、ワックス、エステル、ノニオン性ポリマー(ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びポリエチレングリコールなど)、シリコーン、シロキサン(デカメチルシクロペンタシロキサンなど)、ポリマーエマルション(アモジメチコンなど)、並びにナノ粒子(シリカナノ粒子及びポリマーナノ粒子など)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
ヘアケア製品はまた、典型的には、美容的に許容可能な媒体中に見出される付加的な成分を含み得る。このような成分の非限定的な例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary」,Ninth Edition,2002、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Tenth Edition,2004に開示されている。また、ヘアケアのための美容的に許容可能な媒体中に含まれることが多い成分の非限定的なリストは、Philippe et al.により米国特許第6,280,747号明細書において、及びOmura et al.により米国特許第6,139,851号明細書において、及びCannell et al.により米国特許第6,013,250号明細書において記載されている(これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、ヘアケア組成物は水性、アルコール性、又は水-アルコール性の溶液であり得、水-アルコール性溶液の場合、好ましくは、アルコールは全重量に対して約1~約75重量%の比率のエタノール又はイソプロパノールである。さらに、ヘアケア組成物は、酸化防止剤、保存剤、充填剤、界面活性剤、UVA及び/又はUVB日焼け止め、香料、増粘剤、ゲル化剤、湿潤剤及びアニオン性、ノニオン性又は両性ポリマー、並びに染料又は顔料を含むがこれらに限定されない、1つ以上の従来の化粧品又は皮膚科用添加剤又は補助剤を含有し得る。
【0173】
ヘアケア組成物及び方法はまた、毛髪、皮膚、又は爪の色を変化させるために使用され得る任意の染料、レーキ、顔料などの少なくとも1つのカラーリング剤を含み得る。ヘアカラーリング剤は当該技術分野において周知であり(例えば、Green et al.supra,CFTA International Color Handbook,2nd ed.,Micelle Press,England (1992)及びCosmetic Handbook,US Food and Drug Administration,FDA/IAS Booklet(1992)を参照)、様々な供給元(例えば、Bayer,Pittsburgh,PA;Ciba-Geigy,Tarrytown,NY;ICI,Bridgewater,NJ;Sandoz,Vienna,Austria;BASF,Mount Olive,NJ;及びHoechst,Frankfurt,Germany)から市販されている。好適なヘアカラーリング剤としては、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、4-アミノ-3-ニトロフェノール、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、2-ニトロ-パラフェニレンジアミン、N,N-ヒドロキシエチル-2-ニトロ-フェニレンジアミン、4-ニトロ-インドール、Henna、HC Blue 1、HC Blue 2、HC Y
ellow 4、HC Red 3、HC Red 5、Disperse Violet 4、Disperse Black 9、HC Blue 7、HC Blue 12、HC Yellow 2、HC Yellow 6、HC Yellow 8、HC
Yellow 12、HC Brown 2、D&C Yellow 1、D&C Yellow 3、D&C Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse violet 1、エオシン誘導体(D&C Red No
.21など)、及びハロゲン化フルオレセイン誘導体(D&C Red No.27、D&C Red Orange No.5と、D&C Red No.21、及びD&C Orange No.10との組み合わせなど)などの染料と、D&C Red No.36及びD&C Orange No.17、D&C Red Nos.7、11、31及び34のカルシウムレーキ、D&C Red No.12のバリウムレーキ、D&C Red No.13のストロンチウムレーキ、FD&C Yellow No.5、FD&C Yellow No.6、D&C Red No.27、D&C Red No.21、及びFD&C Blue No.1のアルミニウムレーキ、酸化鉄、マンガンバイオレット、酸化クロム、二酸化チタン、二酸化チタンナノ粒子、酸化亜鉛、酸化バリウム、ウルトラマリンブルー、クエン酸ビスマス、並びにカーボンブラック粒子などの顔料が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、ヘアカラーリング剤は、D&C Yellow 1及び3、HC Yellow 6及び8、D&C Blue 1、HC Blue 1、HC Brown 2、HC Red 5、2-ニトロ-パラフェニレンジアミン、N,N-ヒドロキシエチル-2-ニトロ-フェニレンジアミン、4-ニトロ-インドール、並びにカーボンブラックである。金属及び半導体ナノ粒子もまた、その強力な発光のためにヘアカラーリング剤として使用され得る(米国特許出願公開第2004-0010864号明細書(Vic et al.))。
【0174】
ヘアケア組成物としては、シャンプー、コンディショナー、ローション、エアロゾル、ジェル、ムース、及び毛髪染料が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0175】
パーソナルケア製品は、ローション、クリーム、ペースト、バーム、軟膏、ポマード、ジェル、リキッド、又はこれらの組み合わせの形態であってもよい。パーソナルケア製品はまた、例えば、メーキャップ、リップスティック、マスカラ、ルージュ、ファンデーション、ブラシ、アイライナー、リップライナー、リップグロス、他の化粧品、サンスクリーン、サンブロック、マニキュア、ムース、ヘアスプレー、スタイリングジェル、ネイルコンディショナー、バスジェル、シャワージェル、ボディソープ、洗顔料、シャンプー、ヘアコンディショナー(リーブオン又はリンスアウト)、クリームリンス、毛髪染料、ヘアカラーリング製品、ヘアシャイン製品、ヘアセラム、毛髪縮れ防止製品、毛髪枝毛修復製品、リップバーム、スキンコンディショナー、コールドクリーム、保湿剤、ボディースプレー、石鹸、ボディスクラブ、剥離剤、収れん剤、スクラッフィングローション、脱毛剤、パーマネント液、ふけ防止配合物、制汗組成物、デオドラント、シェービング製品、プレシェーブ製品、アフターシェーブ製品、クレンジング剤、スキンジェル、リンス、歯磨き組成物、練り歯磨き、又はマウスウォッシュの形態であり得る。
【0176】
パーソナルケア製品は、本明細書にて開示したような多糖誘導体を含むことができ、サンスクリーン剤、保湿剤、湿潤剤、毛髪、皮膚、爪及び口に有益な剤、付着剤、例えば、界面活性剤、閉塞剤、水分バリア、潤滑剤、皮膚軟化剤、抗老化剤、帯電防止剤、研磨剤、抗菌剤、コンディショナー、剥離剤、芳香剤、粘性化剤、塩、脂質、リン脂質、ビタミン、気泡安定剤、pH調整剤、防腐剤、懸濁化剤、シリコーンオイル、シリコーン誘導体類、精油、油、脂肪、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、ワックス、ポリオール、炭化水素、及びこれらの混合物を含む、パーソナルケア活性成分材料を更に含み得る。
【0177】
特定の実施形態において、スキンケア製品は、化粧効果をもたらしながら、皮膚疾患を治療若しくは予防するため、又は皮膚に保湿効果をもたらすための少なくとも1つの活性成分、例えば、酸化亜鉛、ワセリン、白色ワセリン、鉱油、タラ肝油、ラノリン、ジメチコン、硬質脂肪、ビタミンA、アラントイン、カラミン、カオリン、グリセリン、若しくはコロイド状オートミール、及びこれらの組み合わせを含み得る。スキンケア製品は、1種以上の天然保湿要素、例えば、セラミド、ヒアルロン酸、グリセリン、スクアラン、アミノ酸、コレステロール、脂肪酸、トリグリセリド、リン脂質、グリコスフィンゴ脂質、ウレア、リノール酸、グリコサミノグリカン、ムコ多糖、乳酸ナトリウム、又はピロリドンカルボン酸ナトリウムを含み得る。スキンケア製品に含まれ得る他の成分としては、限定されるものではないが、グリセリド、杏仁油、キャノーラ油、スクアラン、スクアレン、ココナツ油、コーン油、ホホバ油、ホホバワックス、レシチン、オリーブ油、ベニバナ油、ゴマ油、シアバター、大豆油、甘
扁桃油、ヒマワリ油、ティーツリー油、シアバター、パーム油、コレステロール、コレステロールエステル、ワックスエステル、脂肪酸、及びオレンジ油が挙げられる。
【0178】
組成物は、例えば、粉末、顆粒、ペースト、バー、単位用量又は液体などの任意の有用な形態であり得る。
【0179】
単位用量の形態は、水溶性であってもよく、例えば、水溶性フィルムと、液体又は固体の洗剤組成物と、を含む水溶性単位用量物品は、パウチとも称される。水溶性単位用量パウチは、少なくとも1つの区画内に液体又は固体の洗剤組成物を完全に封入する水溶性フィルムを備える。水溶性単位用量物品は、単一区画、又は複数区画を備え得る。水溶性単位用量物品は、少なくとも2つの区画、又は少なくとも3つの区画を備え得る。区画は、重ね合わせる向き、又は横並びの向きに配置され得る。
【0180】
単位用量物品は、典型的には、液体又は固体の洗濯洗剤組成物を含む内容積を囲む水溶性フィルムでできた密閉構造である。パウチは、組成物を、例えば、パウチからの組成物を、パウチが水に接触する前に解放させることなく、保持及び保護するために好適な、任意の形態及び形状であり得る。
【0181】
液体洗剤組成物は水性であってもよく、典型的には、最大約70重量%の水と、0重量%~約30重量%の有機溶媒と、を含有する。それはまた、30重量%以下の水を含有するコンパクトジェルタイプの形態であってもよい。
【0182】
a)少なくとも1つの疎水基、及びb)少なくとも1つの親水基で置換されている多糖を含む多糖誘導体であって、多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである多糖誘導体は、所望の製品中の成分として使用してもよいか、又は1種以上の更なる好適な成分とブレンドして、例えば織物ケア用途、洗濯ケア用途、及び/又はパーソナルケア用途として使用してもよい。開示された組成物のいずれか、例えば織物ケア、洗濯ケア又はパーソナルケア組成物は、組成物の総乾燥重量に基づいて(乾燥固形分に基づいて)、0.01~99重量%の範囲の多糖誘導体を含み得る。用語「総乾燥重量」は、任意の溶媒、例えば存在し得る任意の水を除いた組成物の重量を意味する。他の実施形態において、組成物は、0.1~10重量%、又は0.1~9重量%、又は0.5~8重量%、又は1~7重量%、又は1~6重量%、又は1~5重量%、又は1~4重量%、又は1~3重量%、又は5~10重量%、又は10~15重量%、又は15~20重量%、又は20~25重量%、又は25~30重量%、又は30~35重量%、又は35~40重量%、又は40~45重量%、又は45~50重量%、又は50~55重量%、又は55~60重量%、又は60~65重量%、又は65~70重量%、又は70~75重量%、又は75~80重量%、又は80~85重量%、又は85~90重量%、又は90~95重量%、又は95~99重量%の多糖誘導体
を含み、ここで、重量パーセントは、組成物の総乾燥重量に基づく。
【0183】
組成物は、界面活性剤、酵素、洗剤ビルダー、錯化剤、ポリマー、汚れ放出ポリマー、界面活性増強ポリマー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、織物コンディショナー、粘土、起泡増進剤、泡抑制剤、腐食防止剤、汚れ懸濁化剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、香料、飽和若しくは不飽和脂肪酸、移染防止剤、キレート剤、色相染料、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、視覚信号成分、消泡剤、構造化剤、増粘剤、固化防止剤、デンプン、砂、ゲル化剤、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含み得る。一実施形態において、酵素はセルラーゼである。別の実施形態において、酵素はプロテアーゼである。更に別の実施形態において、酵素はアミラーゼである。更なる実施形態において、酵素はリパーゼである。
【0184】
組成物は、例えば、織物ケア、洗濯ケア、パーソナルケアに有用な洗剤組成物であり得、1種以上の活性酵素を更に含有し得る。好適な酵素の非限定的な例としては、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、脂肪分解酵素(例えば、金属脂肪分解酵素)、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ(例えば、アリールエステラーゼ、ポリエステラーゼ)、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ(例えば、コリンオキシダーゼ)、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、メタロプロテイナーゼ、アマドリアーゼ、グルコアミラーゼ、アラビノフラノシダーゼ、フィターゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、アミラーゼ、又はこれらの組み合わせが挙げられる。酵素が含まれる場合、組成物の総重量に基づいて、約0.0001~0.1重量%の活性酵素で組成物中に存在し得る。他の実施形態において、酵素は、組成物の総重量に基づいて、(例えば、純粋酵素タンパク質として計算して)約0.01~0.03重量%の活性酵素で存在し得る。いくつかの実施形態において、2種以上の酵素の組み合わせが、組成物中で使用され得る。いくつかの実施形態において、2種以上の酵素は、セルラーゼ及び、プロテアーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、脂肪分解酵素、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、メタロプロテイナーゼ、アマドリアーゼ、グルコアミラーゼ、アラビノフラノシダーゼ、フィターゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、アミラーゼ、又はこれらの組み合わせのうちの1種以上である。
【0185】
いくつかの実施形態において、組成物は、各酵素が、組成物の総重量に基づいて、約0.00001重量%~約10重量%で存在する1種以上の酵素を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物はまた、組成物の総重量を基準として、約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%、又は約0.005重量%~約0.5重量%の濃度で各酵素を含み得る。
【0186】
セルラーゼは、エンドセルラーゼ活性(EC3.2.1.4)、エキソセルラーゼ活性(EC3.2.1.91)又はセロビアーゼ活性(EC3.2.1.21)を有し得る。セルラーゼは、セルラーゼ活性を維持するための好適な条件下で活性を有する「活性セルラーゼ」である;このような好適な条件を決定することは、当該技術分野の範囲内である。セルロースを分解できることに加えて、特定の実施形態におけるセルラーゼは、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル誘導体をまた分解することができる。
【0187】
セルラーゼは、細菌又は真菌などの任意の微生物源由来であり得る。化学変性されたセルラーゼ又はタンパク質工学により産出された突然変異体セルラーゼが含まれる。好適なセルラーゼとしては、例えば、バチルス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ストレプトミセス(Streptomyces)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、フミコーラ(Humicola)属、フザリウム(Fusarium)属、チエラビア(Thielavia)属、及びアクレモニウム(Acremonium)属からのセルラーゼが挙げられる。他の例として、セルラーゼは、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、マイセリオフトラ・サーモフィレ(Myceliophthora thermophile)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、又はこれらの組み合わせから誘導され得る。前述のいずれかなどのセルラーゼは、N末端シグナルペプチドが欠損している成熟型であり得る。本明細書で有用である市販のセルラーゼとしては、CELLUSOFT(登録商標)、CELLUCLEAN(登録商標)、CELLUZYME(登録商標)、及びCAREZYME(登録商標)(Novozymes A/S);CLAZINASE(登録商標)、及びPURADAX(登録商標)HA、及びREVITALENZ(商標)(DuPont Industrial Biosciences)、BIOTOUCH(登録商標)(AB Enzymes);並びにKAC-500(B)(登録商標)(花王株式会社)が挙げられる。
【0188】
あるいは、本明細書のセルラーゼは、当該技術分野で公知の任意の手段によって製造され得、例えば、セルラーゼは、微生物又は真菌異種発現系などの異種発現系で組み換えにより製造され得る。異種発現系の例としては、細菌(例えば、大腸菌(E.coli)、バチルス種(Bacillus sp.))、及び真核細胞系が挙げられる。真核細胞系は、例えば、酵母(例えば、ピチア種(Pichia sp.)、サッカロミセス種(Saccharomyces sp.))、又は真菌(例えば、T.リーゼイ(T.reesei)などのトリコデルマ種(Trichoderma sp.)、A.ニガー(A.niger)などのアスペルギルス種(Aspergillus sp.))発現系を用いることができる。
【0189】
特定の実施形態におけるセルラーゼは、熱安定性であり得る。セルラーゼ熱安定性は、ある時間(例えば、約30~60分間)にわたる高温(例えば、約60~70℃)への曝露後に酵素が活性を保持する能力を意味する。セルラーゼの熱安定性は、その時間中に規定条件下でセルラーゼ活性の半分が失われる分、時間又は日単位で与えられるその半減期(t1/2)によって測定することができる。
【0190】
特定の実施形態におけるセルラーゼは、広範囲のpH値(例えば、約7.0~約11.0などの中性又はアルカリ性pH)まで安定であり得る。このような酵素は、このようなpH条件下で、所定の期間(例えば、少なくとも約15分、30分、又は1時間)安定を維持し得る。
【0191】
少なくとも1つ、2つ、又はそれ以上のセルラーゼが、組成物中に含まれ得る。本明細書の組成物中のセルラーゼの総量は、典型的には、組成物中にセルラーゼを使用する目的に好適な量(「有効量」)である。例えば、セルロース含有織物の感触及び/又は外観を改善することを目的とした組成物中の有効量のセルラーゼは、織物の感触に測定可能な改善をもたらす(例えば、織物の滑らかさ及び/又は外観を改善し、織物の外観の鮮明さを低下させがちな毛玉及び小繊維を除去する)量である。別の例として、本明細書の織物ストーンウォッシュ組成物中の有効量のセルラーゼは、所望の効果(例えば、継ぎ目及び織物パネルに磨耗及び色あせた外観を生じさせるため)を提供する量である。本明細書の組成物中のセルラーゼの量は、例えば、組成物が使用されるプロセスパラメータ(例えば、
機器、温度、時間など)及びセルラーゼ活性にも依存し得る。織物が処理される水溶性組成物中のセルラーゼの有効濃度は、当業者が容易に決定することができる。織物ケアプロセスにおいて、セルラーゼは、織物が処理される水溶性組成物(例えば、洗浄液)中に、例えば、最低約0.01~0.1ppmの全セルラーゼタンパク質、又は約0.1~10ppbの全セルラーゼタンパク質(例えば、1ppm未満)から、最大で約100、200、500、1000、2000、3000、4000、又は5000ppmまでの全セルラーゼタンパク質である濃度で処理される。
【0192】
好適な酵素は、当該技術分野において公知であり、例えば、MAXATASE(登録商標)、MAXACAL(商標)、MAXAPEM(商標)、OPTICLEAN(登録商標)、OPTIMASE(登録商標)、PROPERASE(登録商標)、PURAFECT(登録商標)、PURAFECT(登録商標)OXP、PURAMAX(商標)、EXCELLASE(商標)、PREFERENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P100、P110、P280)、EFFECTENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P1000、P1050、P2000)、EXCELLENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P1000)、ULTIMASE(登録商標)、及びPURAFAST(商標)(Genencor);ALCALASE(登録商標)、SAVINASE(登録商標)、PRIMASE(登録商標)、DURAZYM(商標)、POLARZYME(登録商標)、OVOZYME(登録商標)、KANNASE(登録商標)、LIQUANASE(登録商標)、NEUTRASE(登録商標)、RELASE(登録商標)、及びESPERASE(登録商標)(Novozymes);BLAP(商標)、及びBLAP(商標)変異体(Henkel Kommanditgesellschaft auf Aktien,Duesseldorf,Germany)、及びKAP(B.アルカロフィルス(B.alkalophilus)サブチリシン;花王株式会社、日本国東京)プロテアーゼ;MANNASTAR(登録商標)、PURABRITE(商標)、及びMANNAWAY(登録商標)マンナーゼ;M1 LIPASE(商標)、LUMA FAST(商標)、及びLIPOMAX(商標)(Genencor);LIPEX(登録商標)、LIPOLASE(登録商標)、及びLIPOLASE(登録商標)ULTRA(Novozymes);並びにLIPASE P(商標)「Amano」(天野製薬株式会社、日本)リパーゼ;STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、NATALASE(登録商標)、DURAMYL(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、及びBAN(商標)(Novo Nordisk A/S及びNovozymes
A/S);RAPIDASE(登録商標)、POWERASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、及びPREFERENZ(商標)(DuPont Industrial Biosciences)アミラーゼ;GUARDZYME(商標)(Novo Nordisk A/S及びNovozymes A/S)ペルオキシダーゼ、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0193】
いくつかの実施形態において、組成物中の酵素は、従来の安定化剤、例えば、プロピレングリコール又はグリセロールなどのポリオール;糖又は糖アルコール;乳酸;ホウ酸又はホウ酸誘導体(例えば、芳香族ボレートエステル)を使用して安定化することができる。
【0194】
本明細書において、洗剤組成物は、典型的には、1種以上の界面活性剤を含み、界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、半極性ノニオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される。界面活性剤は、石油由来(合成とも称される)でも非石油由来(天然とも称される)であってもよい。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、洗浄組成物の約0.1重量%~約60重量%の濃度で存在し、代替実施形態において、濃度は約1重量
%~約50重量%であり、更に別の実施形態において、濃度は約5重量%~約40重量%である。洗剤は、通常は0重量%~約50重量%のアニオン性界面活性剤、例えば直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、α-オレフィンスルホネート(AOS)、アルキルサルフェート(高級アルコールサルフェート)(AS)、アルコールエトキシサルフェート(AEOS又はAES)、第二級アルカンスルホネート(SAS)、α-スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル若しくはアルケニルコハク酸、又は石鹸などを含有するであろう。
【0195】
洗剤組成物は、式R-(OCHCH-O-SOM[式中、Rは、非石油由来の、約C~約C20の偶数の炭素鎖長からなる直鎖又は分枝鎖脂肪族アルコールであり、xは、約0.5~約8であり、Mはアルカリ金属又はアンモニウムカチオンである]のアルコールエトキシサルフェートを含み得る。アルコールエトキシサルフェートの脂肪族アルコール部分(R)は、地質的に誘導される(例えば、石油由来)のではなく、再生可能資源(例えば、動物又は植物由来)から誘導される。再生可能資源から誘導される脂肪族アルコールは、天然脂肪族アルコールと呼んでよい。天然脂肪族アルコールは、末端炭素に結合した単一のアルコール(-OH)と共に偶数個の炭素原子を有する。界面活性剤の脂肪族アルコール部分(R)は、偶数の炭素鎖長、例えば、C12、C14、C16、C18などの分布を含み得る。
【0196】
加えて、洗剤組成物は、任意選択的に0重量%~約40重量%のノニオン性界面活性剤、例えば、アルコールエトキシレート(AEO又はAE)、カルボキシル化アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミン、脂肪酸モノエタノールアミド、又はポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドを含有してもよい。洗剤組成物は、式R-(OCHCH-OH[式中、Rは、非石油由来の、約C10~約C18の偶数の炭素鎖長からなる直鎖又は分枝鎖脂肪族アルコールであり、yは、約0.5~約15である]のアルコールエトキシレートを含み得る。アルコールエトキレートの脂肪族アルコール部分(R)は、地質的に誘導される(例えば、石油由来)のではなく、再生可能資源(例えば、動物又は植物由来)から誘導される。界面活性剤の脂肪族アルコール部分(R)は、偶数の炭素鎖長、例えば、C12、C14、C16、C18などの分布を含み得る。
【0197】
組成物は、1種以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を更に含み得る。少なくとも1種のビルダーを組み込んでいるいくつかの実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約1重量%、約3重量%~約60重量%、又は約5重量%~約40重量%のビルダーを含む。ビルダーとしては、例えば、アルカリ金属、ポリホスフェートのアンモニウム塩及び/若しくはアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属シリケート、アルカリ土類及びアルカリ金属カーボネート、アルミノシリケート、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、マレイン酸無水物とエチレン若しくはビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン-2,4,6-トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、ポリ酢酸の様々なアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩、例えばエチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸、並びにポリカルボキシレート、例えばメリット酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5-トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びこれらの可溶塩が挙げられる。洗剤ビルダー又は錯化剤の例としては、ゼオライト、ジホスフェート、トリホスフェート、ホスホネート、シトレート、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTMPA)、アルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸、可溶シリケート又は層状シリケート(例えば、HoechstからのSKS-6)が挙げられる。洗剤は、未構築、すなわち本質的に洗剤ビルダーを含まないものでもよい。
【0198】
組成物は、少なくとも1種のキレート剤を更に含み得る。好適なキレート剤としては、例えば、銅、鉄及び/又はマンガンキレート剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。少なくとも1種のキレート剤が使用されるいくつかの実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約15重量%、又は更には約3.0重量%~約10重量%のキレート剤を含む。
【0199】
組成物は、少なくとも1種の沈着助剤を更に含み得る。好適な沈着助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカルボキシレート、ポリテレフタル酸などの汚れ放出ポリマー、カオリナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト、イライト、ベントナイト、ハロイサイトなどの粘土又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0200】
組成物は、1種以上の移染防止剤を更に含み得る。好適な移染防止剤としては、例えば、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、ポリビニルイミダゾール、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、エチレンジアミン-四酢酸(EDTA);ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP);ヒドロキシ-エタンジホスホン酸(HEDP);エチレンジアミンN,N’-ジコハク酸(EDDS);メチルグリシン二酢酸(MGDA);ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);プロピレンジアミン四酢酸(PDTA);2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(HPNO);又はメチルグリシン二酢酸(MGDA);グルタミン酸N,N-二酢酸(N,N-ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩)(GLDA);ニトリロ三酢酸(NTA);4,5-ジヒドロキシ-m-ベンゼンジスルホン酸;クエン酸、及びこれらの任意の塩;N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(EDTP)、並びにこれらの誘導体又はこれらの組み合わせが挙げられる。少なくとも1種の移染防止剤が使用される実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.0001重量%~約10重量%、約0.01重量%~約5重量%、又は更には約0.1重量%~約3重量%の移染防止剤を含み得る。
【0201】
組成物は、シリケートを更に含み得る。好適なシリケートとしては、例えば、ケイ酸ナトリウム、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、結晶性フィロシリケート、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかの実施形態において、シリケートは、組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約20重量%の濃度で存在し得る。他の実施形態において、シリケートは、組成物の総重量を基準として、約5重量%~約15重量%の濃度で存在し得る。
【0202】
組成物は、分散剤を更に含み得る。好適な水溶性有機材料としては、例えば、その中でポリカルボン酸が2個以下の炭素原子で互いに分離された少なくとも2つのカルボキシル基を含むホモポリマー酸若しくはコポリマー酸、又はこれらの塩を挙げることができる。
【0203】
組成物は、本発明のポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカン誘導体に加えて、1種以上の他のポリマーを更に含み得る。本明細書において有用なポリマーの他の種類の例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリカルボキシレート、例えば、ポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー及びラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーが挙げられる。
【0204】
組成物は、漂白系を更に含み得る。例えば、漂白系としては、過酸形成漂白活性化剤、例えば、ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシ安息香酸若しくはその塩、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、又はナノニルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)と結合し得る、ペルボレート、ペルカーボネート、ペルハイドレート塩などのH源、ペルボレート、ペルサルフェート、ペルホスフェート、ペルシリケートの一水和物又は四水和物ナトリウム塩、ペルカルボン酸及び塩、過炭酸及び塩、ペルイミド酸及び塩、ペルオキシモノ硫酸酸及び塩、スルホン化亜鉛フタロシアニン、スルホン化アルミニウムフタロシアニン、キサンテン染料を挙げることができる。あるいは、漂白系は、ペルオキシ酸(例えば、アミド、イミド又はスルホンタイプのペルオキシ酸)を含み得る。他の実施形態において、漂白系は、ペルヒドロラーゼを含む酵素的漂白系であり得る。上述のうち任意のものの組み合わせもまた、使用してよい。
【0205】
組成物は、従来の洗剤成分、例えば、織物コンディショナー、粘土、起泡増進剤、泡抑制剤、腐食防止剤、汚れ懸濁化剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、又は香料を更に含み得る。本明細書における洗剤組成物の(使用濃度にある水溶液中で測定した)pHは、中性又はアルカリ性(例えば、約7.0~約11.0のpH)であり得る。
【0206】
組成物は、洗剤組成物、任意選択的には、重質(万能)洗濯洗剤組成物であり得る。いくつかの実施形態において、洗剤組成物は、アニオン洗浄性界面活性剤(直鎖若しくは分枝鎖若しくはランダム鎖の、置換若しくは非置換アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアルコキシル化サルフェート、アルキルホスフェート、アルキルホスホネート、アルキルカルボキシレート、及び/又はこれらの混合物の群から選択される)、及び任意選択的にノニオン性界面活性剤(直鎖若しくは分枝鎖若しくはランダム鎖の、置換若しくは非置換アルキルアルコキシル化アルコール、例えばC~C18アルキルエトキシ化アルコール、及び/又はC~C12アルキルフェノールアルコキシレートの群から選択される)などの洗浄性界面活性剤(10%~40%wt/wt)を含むことができ、ここで、アニオン洗浄性界面活性剤(6.0~9の親水性指数(HIc)を有する)対ノニオン洗浄性界面活性剤の重量比は、1:1よりも大きい。好適な洗浄性界面活性剤としてはまた、カチオン洗浄性界面活性剤(アルキルピリジニウム化合物、アルキル第四級アンモニウム化合物、アルキル第四級ホスホニウム化合物、アルキル三元スルホニウム化合物及び/又はこれらの混合物の群から選択される);双性及び/又は両性(amphoteric)洗浄性界面活性剤(アルカノールアミンスルホベタインの群から選択される);両性(ampholytic)界面活性剤;半極性ノニオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0207】
組成物は、洗剤組成物であり得、任意選択的に、例えば、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマーからなる界面活性増強ポリマーが挙げられる。好適な両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマーとしては、例えば、分枝鎖親水性及び疎水性を有するアルコキシル化ポリマー(例えば、アルコキシル化ポリアルキレンイミン)、モノマー(例えば、不飽和C1~C6カルボン酸、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、糖単位、アルコキシ単位、マレイン酸無水物、飽和ポリアルコール(例えばグリセロール)、及びこれらの混合物)を含む親水性主鎖;及び疎水性側鎖、例えば、1つ以上のC4~C25アルキル基、ポリプロピレン、ポリブチレン、飽和C1~C6モノ-カルボン酸のビニルエステル、アクリル酸又はメタクリル酸のC1~C6アルキルエステル、及びこれらの混合物を有するランダムグラフトポリマーを挙げることができる。
【0208】
好適な重質洗濯洗剤組成物としては、任意選択的に、更なるポリマー、例えば汚れ放出
ポリマー(アニオンで末端キャップされたポリエステル、例えばSRP1、ランダム又はブロック構造の糖、ジカルボン酸、ポリオール及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種のモノマー単位を含むポリマー、ランダム又はブロック構造のエチレンテレフタレート系ポリマー及びこれらのコポリマー、例えばREPEL-O-TEX SF、SF-2及びSRP6、TEXCARE SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300及びSRN325、MARLOQUEST SL)を挙げることができ、再付着防止ポリマーとしては、カルボキシレートポリマー、例えばアクリル酸、マレイン酸(又はマレイン酸無水物)、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、及びこれらの任意の混合物、ビニルピロリドンホモポリマー及び/又はポリエチレングリコール(500~100,000ダルトン(Da)の範囲の分子量)から選択される少なくとも1種のモノマーを含むポリマー;並びにポリマーカルボキシレート(例えば、マレエート/アクリレートランダムコポリマー又はポリアクリレートホモポリマー)を挙げることができる。存在する場合、汚れ放出ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~10重量%で含まれ得る。
【0209】
重質洗濯洗剤組成物は、任意選択的に、飽和又は不飽和脂肪酸、好ましくは飽和又は不飽和C12~C24脂肪酸;沈着助剤(例えば、多糖類、セルロースポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物(DADMAC)、並びにランダム又はブロック構造のDADMACとビニルピロリドン、アクリルアミド、イミダゾール、イミダゾリウムハロゲン化物、及びこれらの混合物とのコポリマー、カチオン性グアールガム、カチオン性デンプン、カチオン性ポリアクリルアミド、並びにこれらの組み合わせ)を更に含み得る。存在する場合、脂肪酸及び/又は沈着助剤は、各々、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~10重量%で存在し得る。
【0210】
洗剤組成物は、任意選択的に、シリコーン若しくは脂肪酸系泡抑制剤;色相染料、カルシウム及びマグネシウムカチオン、視覚信号成分、消泡剤(組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~約4.0重量%)並びに/又はジグリセリド及びトリグリセリド、エチレングリコールジステアレート、微結晶セルロース、マイクロファイバーセルロース、バイオポリマー、キサンタンガム、ジェランガム、並びにこれらの混合物からなる群から選択される構造化剤/増粘剤(組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%)を含み得る。
【0211】
本明細書で開示される組成物は、食器洗い用洗剤組成物の形態であり得る。食器洗い用洗剤の例としては、自動食器洗い用洗剤(典型的には、食器洗い機で使用される)及び手洗い食器用洗剤が挙げられる。食器洗い用洗剤組成物は、例えば、本明細書に開示された任意の乾燥又は液体/水性形態であり得る。食器洗い用洗剤組成物の特定の実施形態に含まれ得る成分としては、例えば、ホスフェート;酸素系若しくは塩素系漂白剤;ノニオン性界面活性剤;アルカリ性塩(例えば、メタシリケート;アルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム);本明細書で開示される任意の活性酵素;防錆剤(例えば、ケイ酸ナトリウム);消泡剤;セラミックスからの艶及び模様の除去を減速するための添加物;香料;固化防止剤(顆粒状洗剤中);デンプン(錠剤系洗剤中);ゲル化剤(液体/ジェル系洗剤中);及び/又は砂(粉末状洗剤)のうちの1つ以上が挙げられる。
【0212】
多糖誘導体に加えて、食器洗い用洗剤組成物は、(i)0~10重量%の範囲の、任意のエトキシル化ノニオン性界面活性剤、アルコールアルコキシル化界面活性剤、エポキシキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコール、若しくはアミンオキシド界面活性剤を含むノニオン性界面活性剤;(ii)任意のホスフェートビルダー(例えば、モノホスフェート、ジホスフェート、トリポリホスフェート、その他のオリゴマーポリホスフェート、ナトリウムトリポリホスフェート-STPP)、任意の無リンビルダー(例えば、
メチル-グリシン二酢酸[MGDA]及びこれらの塩若しくは誘導体、グルタミン-N,N-二酢酸[GLDA]及びこれらの塩若しくは誘導体、イミノ二酢酸(IDS)及びこれらの塩若しくは誘導体、カルボキシメチルイヌリン及びこれらの塩若しくは誘導体、ニトリロ三酢酸[NTA]、ジエチレントリアミン五酢酸[DTPA]、B-アラニン二酢酸[B-ADA]及びこれらの塩を含むアミノ酸系化合物)、ポリカルボン酸及びこれらの部分若しくは完全中和塩のホモポリマー及びコポリマー、0.5重量%~50重量%の範囲のモノマーポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸及びこれらの塩若しくは約0.1重量%~約50重量%の範囲のスルホン化/カルボキシル化ポリマーを含む約5~60重量%の範囲のビルダー;(iii)約0.1重量%~約10重量%の範囲の乾燥助剤(例えば、任意選択的に3~6個の官能基を有する更なるモノマー、例えば、重縮合を誘導する酸、アルコール若しくはエステル官能基を備えるモノマーと一緒にポリエステル、特にアニオン性ポリエステル、ポリカーボネート-、ポリウレタン-及び/又はポリウレア-ポリオルガノシロキサン化合物若しくはこれらの前駆体化合物、特に反応性環状カーボネート及びウレアタイプの);(iv)約1重量%~約20重量%の範囲内のシリケート(例えば、ケイ酸ナトリウム若しくはカリウム、例えば二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及び結晶性フィロシリケート);(v)無機漂白剤(例えば、ペルボレート塩、ペルカーボネート塩、ペルホスフェート塩、ペルサルフェート塩及びペルシリケート塩などのペルハイドレート塩)及び/若しくは有機漂白剤(例えば、ジアシル-及びテトラアシルペルオキシド、特にジペルオキシドデカン二酸、ジペルテトラデカン二酸及びジペルオキシヘキサデカン二酸などの有機ペルオキシ酸);(vi)漂白活性化剤(例えば、約0.1重量%~約10重量%の範囲の有機過酸前駆体)及び/若しくは漂白触媒(例えば、マンガントリアザシクロノナン及び関連錯体;Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン及び関連錯体;及びペンタミン酢酸コバルト(III)及び関連錯体);(vii)約0.1重量%~5重量%の範囲の金属ケア剤(例えば、ベンザトリアゾール、金属塩及び錯体及び/又はシリケート);並びに/又は(viii)自動食器洗い機用洗剤組成物1グラム当たり約0.01~5.0mgの範囲の活性酵素の本明細書に開示した任意の活性酵素、及び酵素安定化剤を含み得る。重量パーセントは組成物の総重量に基づく。
【0213】
少なくとも1種の多糖誘導体を含む洗剤配合物の様々な例を、以下(1~21)に開示する。
【0214】
1)少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として配合された、約7~12重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算);約1~4重量%のアルコールエトキシサルフェート(例えば、C12~18アルコール、1~2エチレンオキシド[EO])又はアルキルサルフェート(例えば、C16~18);約5~9重量%のアルコールエトキシレート(例えば、C14~15アルコール);約14~20重量%の炭酸ナトリウム;約2~6重量%の可溶性シリケート(例えば、NaO2SiO);約15~22重量%のゼオライト(例えば、NaAlSiO);約0~6重量%の硫酸ナトリウム;約0~15重量%のクエン酸ナトリウム/クエン酸;約11~18重量%の過ホウ酸ナトリウム;約2~6重量%のTAED;最大約2重量%の多糖誘導体;約0~3重量%のその他のポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG);任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、泡抑制剤、香料、蛍光増白剤、光漂白剤)を含む、洗剤組成物。
【0215】
2)少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として配合された、約6~11重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算);約1~3重量%のアルコールエトキシサルフェート(例えば、C12~18アルコール、1~2EO)又はアルキルサルフェート(例えば、C16~18);約5~9重量%のアルコールエトキシレート(例えば、C14~15アルコール);約15~21重量%の炭酸ナトリウム;約1~4重量
%の可溶性シリケート(例えば、NaO2SiO2);約24~34重量%のゼオライト(例えば、NaAlSiO4);約4~10重量%の硫酸ナトリウム;約0~15重量%のクエン酸ナトリウム/クエン酸;約11~18重量%の過ホウ酸ナトリウム;約2~6重量%のTAED;最大約2重量%の多糖誘導体;約1~6重量%のポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG);任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、泡抑制剤、香料、蛍光増白剤、光漂白剤)を含む、洗剤組成物。
【0216】
3)少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として配合された、約5~9重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算);約7~14重量%のアルコールエトキシサルフェート(例えば、C12~18アルコール、7EO);約1~3重量%の脂肪酸(例えば、C16~22脂肪酸)としての石鹸;約10~17重量%の炭酸ナトリウム;約3~9重量%の可溶性シリケート(例えば、NaO2SiO);約23~33重量%のゼオライト(例えば、NaAlSiO);約0~4重量%の硫酸ナトリウム;約8~16重量%の過ホウ酸ナトリウム;約2~8重量%のTAED;約0~1重量%のホスホネート(例えば、EDTMPA);最大約2重量%の多糖誘導体;約0~3重量%のその他のポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG);任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、泡抑制剤、香料、蛍光増白剤)を含む、洗剤組成物。
【0217】
4)少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として配合された、約8~12重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホンスルホネート(酸として計算);約10~25重量%のアルコールエトキシレート(例えば、C12~18アルコール、7EO);約14~22重量%の炭酸ナトリウム;約1~5重量%の可溶性シリケート(例えば、NaO2SiO);約25~35重量%のゼオライト(例えば、NaAlSiO);約0~10重量%の硫酸ナトリウム;約8~16重量%の過ホウ酸ナトリウム;約2~8重量%のTAED;約0~1重量%のホスホネート(例えば、EDTMPA);最大約2重量%の多糖誘導体;約1~3重量%のその他のポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG);任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、泡抑制剤、香料)を含む、洗剤組成物。
【0218】
5)約15~21重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算);約12~18重量%のアルコールエトキシレート(例えば、C12~18アルコール、7EO;又はC12~15アルコール、5EO);約3~13重量%の脂肪酸(例えば、オレイン酸)としての石鹸;約0~13重量%のアルケニルコハク酸(C12~14);約8~18重量%のアミノエタノール;約2~8重量%のクエン酸;約0~3重量%のホスホネート;最大約2重量%の多糖誘導体;約0~3重量%のその他のポリマー(例えば、PVP、PEG);約0~2重量%のボレート;約0~3重量%のエタノール;約8~14重量%のプロピレングリコール;任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、分散剤、泡抑制剤、香料、蛍光増白剤)を含む、水性液体洗剤組成物。
【0219】
6)約15~21重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算);約3~9重量%のアルコールエトキシレート(例えば、C12~18アルコール、7EO;又はC12~15アルコール、5EO);約3~10重量%の脂肪酸(例えば、オレイン酸)としての石鹸;約14~22重量%のゼオライト(例えば、NaAlSiO);約9~18重量%のクエン酸カリウム;約0~2重量%のボレート;最大約2重量%の多糖誘導体;約0~3重量%のその他のポリマー(例えば、PVP、PEG);約0~3重量%
のエタノール;約0~3重量%のアンカリングポリマー(例えば、ラウリルメタクリラート/アクリル酸コポリマー、モル比25:1、MW 3800);約0~5重量%のグリセロール;任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、分散剤、泡抑制剤、香料、蛍光増白剤)を含む、水性構造化液体洗剤組成物。
【0220】
7)少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として配合された、約5~10重量%の脂肪族アルコールサルフェート、約3~9重量%のエトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド;約0~3重量%の脂肪酸としての石鹸;約5~10重量%の炭酸ナトリウム;約1~4重量%の可溶性シリケート(例えば、NaO2SiO);約20~40重量%のゼオライト(例えば、NaAlSiO);約2~8重量%の硫酸ナトリウム;約12~18重量%の過ホウ酸ナトリウム;約2~7重量%のTAED;最大約2重量%の多糖誘導体;約1~5重量%のその他のポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PEG);任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、蛍光増白剤、泡抑制剤、香料)を含む、洗剤組成物。
【0221】
8)顆粒として配合された、約8~14重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算);約5~11重量%のエトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド;約0~3重量%の脂肪酸としての石鹸;約4~10重量%の炭酸ナトリウム;約1~4重量%の可溶性シリケート(例えば、NaO2SiO);約30~50重量%のゼオライト(例えば、NaAlSiO);約3~11重量%の硫酸ナトリウム;約5~12重量%のクエン酸ナトリウム;最大約2重量%の多糖誘導体;約1~5重量%のその他のポリマー(例えば、PVP、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PEG);任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、泡抑制剤、香料)を含む、洗剤組成物。
【0222】
9)顆粒として配合された、約6~12重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算);約1~4重量%のノニオン性界面活性剤;約2~6重量%の脂肪酸としての石鹸;約14~22重量%の炭酸ナトリウム;約18~32重量%のゼオライト(例えば、NaAlSiO);約5~20重量%の硫酸ナトリウム;約3~8重量%のクエン酸ナトリウム;約4~9重量%の過ホウ酸ナトリウム;約1~5重量%の漂白活性化剤(例えば、NOBS又はTAED);最大約2重量%の多糖誘導体;約1~5重量%のその他のポリマー(例えば、ポリカルボキシレート又はPEG);任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、蛍光増白剤、香料)を含む、洗剤組成物。
【0223】
10)約15~23重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算);約8~15重量%のアルコールエトキシサルフェート(例えば、C12~15アルコール、2~3EO);約3~9重量%のアルコールエトキシレート(例えば、C12~15アルコール、7EO;又はC12~15アルコール、5EO);約0~3重量%の脂肪酸(例えば、ラウリン酸)としての石鹸;約1~5重量%のアミノエタノール;約5~10重量%のクエン酸ナトリウム;約2~6重量%のハイドロトロープ(例えば、トルエンスルホン酸ナトリウム);約0~2重量%のボレート;最大約1重量%の多糖誘導体;約1~3重量%のエタノール;約2~5重量%のプロピレングリコール;任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、分散剤、香料、蛍光増白剤)を含む、水性液体洗剤組成物。
【0224】
11)約20~32重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算);約6~12重量%のアルコールエトキシレート(例えば、C12~15アルコール、7EO
;又はC12~15アルコール、5EO);約2~6重量%のアミノエタノール;約8~14重量%のクエン酸;約1~3重量%のボレート;最大約2重量%の多糖誘導体;約1~3重量%のエタノール;約2~5重量%のプロピレングリコール;約0~3重量%のその他のポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、ラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーなどのアンカリングポリマー);約3~8重量%のグリセロール;任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、ハイドロトロープ、分散剤、香料、蛍光増白剤)を含む、水性液体洗剤組成物。
【0225】
12)少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として配合された、約25~40重量%のアニオン性界面活性剤(例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、α-オレフィンスルホネート、α-スルホ脂肪酸メチルエステル、アルカンスルホネート、石鹸);約1~10重量%のノニオン性界面活性剤(例えば、アルコールエトキシレート);約8~25重量%の炭酸ナトリウム;約5~15重量%の可溶性シリケート(例えば、NaO2SiO);約0~5重量%の硫酸ナトリウム;約15~28重量%のゼオライト(NaAlSiO);約0~20重量%の過ホウ酸ナトリウム;約0~5重量%の漂白活性化剤(例えば、TAED又はNOBS);最大約2重量%の多糖誘導体;任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~3重量%の微量成分(例えば、香料、蛍光増白剤)を含む、洗剤組成物。
【0226】
13)直鎖アルキルベンゼンスルホネートの全て又は一部が、C12~C18アルキルサルフェートに置換されている、上記(1)~(12)に記載の洗剤組成物。
【0227】
14)少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として配合された、約9~15重量%のC12~C18アルキルサルフェート;約3~6重量%のアルコールエトキシレート;約1~5重量%のポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド;約10~20重量%のゼオライト(例えば、NaAlSiO);約10~20重量%の層状ジシリケート(例えば、HoechstからのSK56);約3~12重量%の炭酸ナトリウム;0~6重量%の可溶性シリケート(例えば、NaO2SiO);約4~8重量%のクエン酸ナトリウム;約13~22重量%の過炭酸ナトリウム;約3~8重量%のTAED;最大約2重量%の多糖誘導体;約0~5重量%のその他のポリマー(例えば、ポリカルボキシレート及びPVP);任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、蛍光増白剤、光漂白剤、香料、泡抑制剤)を含む、洗剤組成物。
【0228】
15)少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として配合された、約4~8重量%のC12~C18アルキルサルフェート;約11~15重量%のアルコールエトキシレート;約1~4重量%の石鹸;約35~45重量%のゼオライトMAP又はゼオライトA;約2~8重量%の炭酸ナトリウム;0~4重量%の可溶性シリケート(例えば、NaO2SiO);約13~22重量%の過炭酸ナトリウム;約1~8重量%のTAED;最大約3重量%の多糖誘導体;約0~3重量%のその他のポリマー(例えば、ポリカルボキシレート及びPVP);任意選択的に、約0.0001~0.1重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~3重量%の微量成分(例えば、蛍光増白剤、ホスホネート、香料)を含む、洗剤組成物。
【0229】
16)安定化された又はカプセル化された過酸を、更なる成分としてか、又は既に明示された漂白系の代替としてかのいずれかとして含む、上記(1)~(15)に記載の洗剤配合物。
【0230】
17)ペルボレートがペルカーボネートに置換されている、上記(1)、(3)、(7)、(9)、及び(12)に記載の洗剤組成物。
【0231】
18)マンガン触媒を更に含有する、上記(1)、(3)、(7)、(9)、(12)、(14)、及び(15)に記載の洗剤組成物。マンガン触媒は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるHage et al.(1994,Nature 369:637-639)により記載された化合物のうちの1つである。
【0232】
19)非水性洗剤液体として配合された、液体ノニオン性界面活性剤(例えば、直鎖アルコキシ化一級アルコール)、ビルダー系(例えば、ホスフェート)、多糖誘導体、任意選択的に、酵素、及びアルカリを含む、洗剤組成物。洗剤は、アニオン性界面活性剤及び/又は漂白系も含み得る。
【0233】
20)約30~45重量%の非石油由来のアルコールエトキシサルフェート(例えば、C12アルコール、1EO)硫酸ナトリウム;約3~10重量%の非石油由来のアルコールエトキシレート(例えば、C12~14アルコール、9EO);約1~5重量%の脂肪酸(例えば、C12~18)としての石鹸;約5~12重量%のプロピレングリコール;約4~8重量%のC12~14アルキルアミンオキシド;約2~8重量%のクエン酸;最大約4重量%の多糖誘導体;約0~3重量%のその他のポリマー(例えば、PVP、PEG);約0~4重量%のボレート;約0~3重量%のエタノール;任意選択的に、約0.0001~0.3重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、分散剤、泡抑制剤、香料、蛍光増白剤、安定化剤)並びに残部である水を含む、水性液体洗剤組成物。
【0234】
21)約10~25重量%のアルコールエトキシサルフェート(例えば、C12~15アルコール、2~3EO)硫酸ナトリウム;約15~25重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算);約0.5~10重量%のアルコールエトキシレート(例えば、C12~14アルコール、9EO);約0.5~10重量%のアルコールエトキシレート(例えば、C12~15アルコール、7EO);約1~8重量%の脂肪酸(例えば、C12~18)としての石鹸;約6~15重量%のプロピレングリコール;約0.5~8重量%のクエン酸;最大約4重量%の多糖誘導体;約5~10重量%のモノエタノールアミン、約0~3重量%のその他のポリマー(例えば、PVP、PEG、PVOH);約2~6重量%のジプロピレングリコール、約2~5重量%のグリセリン;任意選択的に、約0.0001~0.3重量%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0~5重量%の微量成分(例えば、分散剤、泡抑制剤、香料、蛍光増白剤、安定化剤)並びに残部である水を含む、水溶性単位用量洗剤組成物。
【0235】
少なくとも1種の多糖誘導体を含むパーソナルケア配合物の様々な例を、以下(22~24)に開示する。
【0236】
22)セチルアルコール(1~3%)、イソプロピルミリステート(1~3%)、ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol(登録商標)250 HHR)0.1~1%、本発明の多糖誘導体(0.1~2%)、カリウム塩(0.1~0.5%)、防腐剤(International Specialty Productsから入手可能なGermaben(登録商標)II)(0.5%)、及び水である残部を含むヘアコンディショナー組成物。
【0237】
23)5~20%のラウレス硫酸ナトリウム、1~2重量%コカミドプロピルベタン(betane)、1~2重量%の塩化ナトリウム、0.1~2%の本発明の多糖誘導体、及び防腐剤(0.1~0.5%)、並びに残部である水を含む、ヘアシャンプー組成物。
【0238】
24)1~5%のグリセリン、1~5%グリコールステアレート、1~5%のステアリン酸、1~5%の鉱油、0.5~1%のアセチル化ラノリン(Lipolan(登録商標)98)、0.1~0.5のセチルアルコール、0.2~1%のトリエタノールアミン、0.1~1重量%のGermaben(登録商標)II防腐剤、0.5~2重量%の本発明の多糖誘導体、及び水である残部を含む、スキンローション組成物。
【0239】
一実施形態において、本開示は、基材を処理するための方法であって、
A)多糖誘導体を含む組成物を提供する工程であって、多糖誘導体が、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、ポリα-1,6-グルカン又はこれらの混合物である、工程と、
B)基材を組成物と接触させる工程と、
C)任意選択的に、基材をすすぐ工程と、を含む方法に関する。
【0240】
一実施形態において、基材は、布地、織物、カーペット、又は衣料であり得る。別の実施形態において、基材は、カーペット、室内装飾材料、又は表面材であり得る。「室内装飾材料」は、肘掛け椅子やソファなどの家具に固定されている柔らかい、パッド入りの布地カバーを意味する。処理は、基材に対して、例えば、織物の風合の改善、汚れ付着に対する耐性の改善、彩色堅牢度の改善、耐摩耗性の改善、防しわ性の改善、抗真菌活性の改善、耐汚れ性の改善、洗濯時のクリーニング性能の改善、乾燥速度の改善、染料、顔料若しくはレーキ更新の改善、白色度維持の改善、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上の利益をもたらす。別の実施形態において、基材は、表面、例えば壁、床、ドア、若しくはパネル、若しくは紙であり得るか、又は基材はテーブルなどの物体の表面であり得る。処理は、基材に対して、例えば、汚れ付着に対する耐性の改善、耐汚れ性の改善、クリーニング性能の改善、又はこれらの組み合わせの利益をもたらす。
【0241】
本明細書における織物は、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、又はこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。半合成繊維は、化学的に誘導体化されている天然型材料を使用して製造されるが、その1つの例はレーヨンである。本明細書の織物タイプの非限定的な例としては、(i)セルロース繊維、例えば綿(例えば、ブロードクロス、キャンバス、シャンブレー、シェニール、チンツ、コーデュロイ、クレトン、ダマスク、デニム、フランネル、ギンガム、ジャガード、ニット、マテラーゼ、オックスフォード、パーケール、ポプリン、プリッス、サテン、シャーサッカー、シアー、テリークロス、ツイル、ベルベット)、レーヨン(例えば、ビスコース、モーダル、リオセル)、リネン及びTENCEL(登録商標);(ii)タンパク質性繊維、例えばシルク、ウール及び関連哺乳動物繊維;(iii)合成繊維、例えばポリエステル、アクリル、ナイロンなど;(iv)ジュート、亜麻、ラミー、コイア、カポック、サイザル、ヘネッケン、アバカ、ヘンプ及びサンヘンプ由来の植物性長繊維;並びに(v)(i)~(iv)の織物の任意の組み合わせから製造された織物が挙げられる。織物タイプ(例えば、天然及び合成)の組み合わせを含む織物としては、例えば、綿繊維及びポリエステルの両方を備える織物が挙げられる。1種以上の織物を含有する材料/製品としては、例えば、衣類、カーテン、厚手のカーテン、掛け布、カーペット、ベッド用リネン、バス用リネン、テーブルクロス、スリーピングバッグ、テント、車の内装材などが挙げられる。天然及び/又は合成繊維を含むその他の材料としては、例えば、不織布、詰め物、紙、及び発泡体が挙げられる。織物は、典型的には、織布又は編み物構造である。
【0242】
接触工程は、様々な条件、例えば時間、温度、洗浄/すすぎ容量で実施され得る。織物
又は布地基材を接触させる方法、例えば、織物ケア法又は洗濯法は、一般的に、周知である。例えば、織物を含む材料は、開示された組成物と:(i)少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、若しくは120分間;(ii)少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、若しくは95℃(例えば、洗濯洗浄、又はすすぎのためには:約15~30℃の「低」温、約30~50℃の「中」温、約50~95℃の「高」温)で;(iii)約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12のpH(例えば、約2~12、又は約3~11のpH範囲)で;(iv)少なくとも約0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、若しくは4.0重量%の塩(例えば、NaCl)濃度で;又は(i)~(iv)の任意の組み合わせで接触させることができる。織物ケア法又は洗濯法における接触工程は、例えば、洗浄工程、浸漬工程及び/又はすすぎ工程のいずれかを含み得る。いくつかの実施形態において、すすぎ工程は、水ですすぐ工程である。
【0243】
また本明細書で開示されるのは、白色度維持の改善をもたらす織物処理方法である。白色度維持は、白色アイテムが白色アイテム上で再付着し得る汚れの存在下で洗浄されたときに、洗浄されるたびに白さが失われるのを防ぐ、洗剤の能力である。一実施形態において、方法は、
A)多糖誘導体を含む組成物を提供する工程であって、多糖誘導体が、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである、工程と、
B)織物を組成物と接触させる工程と、
C)任意選択的に、基材をすすぐ工程と、
を含み、
工程B)又は工程C)で得られた織物が、L WICIE法に従って測定される場合、処理前の織物に対して+1.5以上の単位のWICIEの変化を有する。
【0244】
疎水及び親水基は、本明細書で開示したとおりである。一実施形態において、多糖誘導体を含む組成物、又は多糖誘導体自体は、2重量%にて、ASTM規格 D1331、2015に従って測定される場合、70nM/m以下の表面張力を有する。別の実施形態において、多糖誘導体を含む組成物、又は多糖誘導体自体は、2重量%にて、ASTM規格
D1331、2015に従って測定される場合、65nM/m以下の表面張力を有する。更に別の実施形態において、多糖誘導体を含む組成物、又は多糖誘導体自体は、2重量%にて、ASTM規格 D1331、2015の方法に従って測定される場合、54mN/m以下の表面張力を有する。更なる実施形態において、多糖誘導体を含む組成物、又は多糖誘導体自体は、1重量%にて、ASTM規格 D1331、2015の方法に従って測定される場合、70mN/m以下の表面張力を有する。
【0245】
接触させることができる他の基材としては、例えば食器用洗剤(例えば、自動食器洗浄機用洗剤又は食器手洗い用洗剤)を用いて処理できる表面が挙げられる。このような材料の例としては、セラミック材料、磁器、金属、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)及び木で作られた、皿、グラス、ポット、鍋、グラタン皿、調理器具及び食卓食器(本明細書では、集合的に「食器類(tableware)」と呼ぶ)の表面が挙げられる。食器洗浄又は食器類洗浄方法を実施するための条件(例えば、時間、温度、洗浄量)の例は、当技術分野において公知である。他の例において、食器類物品は、織物含有材料を接触させることに関して上記で開示された条件のうちのいずれかなどの好適な一連の条件下で、本明細書の組成物と接触させることができ
る。
【0246】
基材を処理する方法の特定の実施形態は、材料を組成物と接触させた後に乾燥させる乾燥工程を更に含む。乾燥工程は、接触工程の直後に、又は接触工程に続く可能性がある1つ以上の更なる工程に続いて、例えば水中すすぎ後の織物の乾燥、水性組成物中での洗浄に続いて行うことができる。乾燥は、例えば、少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、170、175、180、又は200℃の温度での空気乾燥なども当該技術分野において公知のいくつかの手段のいずれかによって行うことができる。本明細書における乾燥した材料は、典型的には、その材料中に3、2、1、0.5、又は0.1重量%未満の水分を含む。
【0247】
別の実施形態において、基材は表面、例えば壁、床、ドア、若しくはパネルであり得るか、又は基材はテーブルなどの物体の表面であり得る。処理は、基材に対して、例えば、汚れ付着に対する耐性の改善、耐汚れ性の改善、クリーニング性能の改善、又はこれらの組み合わせの利益をもたらす。接触の工程は、組成物を用いて基材を拭くこと又はスプレーすることを含み得る。
【0248】
本明細書にて開示された実施形態の非限定的な例としては、次のものが挙げられる。
【0249】
1.
多糖誘導体を含む組成物であって、多糖誘導体が、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである、組成物。
【0250】
2.ポリα-1,3-グルカンが、グルコースモノマー単位の主鎖を含み、グルコースモノマー単位の50%以上が、α-1,3-グリコシド結合を介して結合している、実施形態1に記載の組成物。
【0251】
3.ポリα-1,3-グルカンが、グルコースモノマー単位の主鎖を含み、グルコースモノマー単位の90%以上が、α-1,3-グリコシド結合を介して結合している、実施形態1又は2に記載の組成物。
【0252】
4.ポリα-1,6-グルカンが、グルコースモノマー単位の主鎖を含み、グルコースモノマー単位の40%以上が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している、実施形態1に記載の組成物。
【0253】
5.ポリα-1,6-グルカンが、50%未満のα-1,2-分枝度を有する、実施形態1又は4に記載の組成物。
【0254】
6.少なくとも1つの疎水基が、C~C18アルキル基、C~C18アルケン基、C~C18アルキン基、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)若しくはこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテル基[ここで、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である]、C~C20アリール基、ベンジル基、C~C18アルキルスルホニル基、C~C20アリールスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1、2、3、4、又は5のいずれか1つに記載の組成物。
【0255】
7.少なくとも1つの疎水基が、C~C18アルキル基、ベンジル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1、2、3、4、又は5のいずれか1つに記載の組成物。
【0256】
8.少なくとも1つの疎水基が、ベンジル基を含み、ベンジル基が、ハロゲン基、シアノ基、エステル基、アミド基、エーテル基、C~Cアルキル基、アリール基、C~Cアルケン基、C~Cアルキン基、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上で更に置換されている、実施形態6又は7に記載の組成物。
【0257】
9.少なくとも1つの親水基が、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1、2、3、4、又は5のいずれか1つに記載の組成物。
【0258】
10.少なくとも1つの親水基が、カルボン酸、アルキル置換されたアンモニウム塩、スルホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、チオサルフェート、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1、2、3、4、又は5のいずれか1つに記載の組成物。
【0259】
11.少なくとも1つの疎水基が、C~C18アルキル基、C~C18アルケン基、C~C18アルキン基、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)若しくはこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテル基[ここで、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である]、C~C20アリール基、ベンジル基、C~C18アルキルスルホニル基、C~C20アリールスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含み、少なくとも1つの親水基が、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1、2、3、4、5、又は8のいずれか1つに記載の組成物。
【0260】
12.少なくとも1つの疎水基が、C~C18アルキル基、ベンジル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含み、少なくとも1つの親水基が、カルボン酸、アルキル置換されたアンモニウム塩、スルホネート、アルキルスルホネート、サルフェート、チオサルフェート、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1、2、3、4、5、又は8のいずれか1つに記載の組成物。
【0261】
13.少なくとも1つの疎水基が、C~C18アルキル基、ベンジル基、p-トルエンスルホニル基を含み、少なくとも1つの親水基が、チオサルフェート、又はカルボキシメチル基を含む、実施形態1、2、3、4、5、又は8のいずれか1つに記載の組成物。
【0262】
14.多糖誘導体が、約5~約1400の範囲の重合度を有する、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13のいずれか1つに記載の組成物。
【0263】
15.多糖誘導体が、約0.001~約3.0の置換度を有する、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14のいずれか1つに記載の組成物。
【0264】
16.多糖誘導体が、2重量%にて、ASTM規格 D1331、2015の方法に従
って測定される場合、65mN/m以下の表面張力を有する、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15のいずれか1つに記載の組成物。
【0265】
17.組成物が、液体、ジェル、粉末、ヒドロコロイド、水溶液、顆粒、錠剤、カプセル、単一区画袋、複数区画袋、単一区画パウチ、又は複数区画パウチの形態である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16のいずれか1つに記載の組成物。
【0266】
18.界面活性剤、酵素、洗剤ビルダー、錯化剤、ポリマー、汚れ放出ポリマー、界面活性増強ポリマー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、織物コンディショナー、粘土、起泡増進剤、泡抑制剤、腐食防止剤、汚れ懸濁化剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、香料、飽和若しくは不飽和脂肪酸、移染防止剤、キレート剤、色相染料、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、視覚信号成分、消泡剤、構造化剤、増粘剤、固化防止剤、デンプン、砂、ゲル化剤、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含む、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、又は17のいずれか1つに記載の組成物。
【0267】
19.酵素が、セルラーゼである、実施形態18に記載の組成物。
【0268】
20.酵素が、プロテアーゼである、実施形態18に記載の組成物。
【0269】
21.酵素が、アミラーゼである、実施形態18に記載の組成物。
【0270】
22.酵素が、リパーゼである、実施形態18に記載の組成物。
【0271】
23.酵素が、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、又はこれらの組み合わせである、実施形態18に記載の組成物。
【0272】
24.基材を処理するための方法であって:
A)多糖誘導体を含む組成物を提供する工程であって、多糖誘導体が、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである、工程と、
B)基材を組成物と接触させる工程と、
C)任意選択的に、基材をすすぐ工程と、
を含み、
基材が、カーペット、室内装飾材料、又は表面材である、方法。
【0273】
25.多糖誘導体を含む組成物が、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、又は23に記載の組成物である、実施形態24に記載の方法。
【0274】
26.
約1重量%~約60重量%の界面活性剤と、
約0.1重量%~約10重量%の多糖誘導体であって、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである多糖誘導体と、を含む製品であって、家庭用製品である、製品。
【0275】
27.液体、ジェル、粉末、ヒドロコロイド、水溶液、顆粒、錠剤、カプセル、単一区画袋、複数区画袋、単一区画パウチ、又は複数区画パウチの形態である、実施形態26に記載の製品。
【0276】
28.酵素、洗剤ビルダー、錯化剤、ポリマー、汚れ放出ポリマー、界面活性増強ポリマー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、織物コンディショナー、粘土、起泡増進剤、泡抑制剤、腐食防止剤、汚れ懸濁化剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、香料、飽和若しくは不飽和脂肪酸、移染防止剤、キレート剤、色相染料、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、視覚信号成分、消泡剤、構造化剤、増粘剤、固化防止剤、デンプン、砂、ゲル化剤、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含む、実施形態26又は27に記載の製品。
【0277】
29.酵素が、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、又はこれらの組み合わせである、実施形態28に記載の製品。
【0278】
30.多糖誘導体が、2重量%にて、65mN/m未満の表面張力を有する、実施形態26、27、28、又は29のいずれか1つに記載の製品。
【0279】
31.少なくとも1つの疎水基が、C~C18アルキル基、C~C18アルケン基、C~C18アルキン基、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)若しくはこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテル基[ここで、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である]、C~C20アリール基、ベンジル基、C~C18アルキルスルホニル基、C~C20アリールスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含み、少なくとも1つの親水基が、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態26、27、28、29、又は30のいずれか1つに記載の製品。
【0280】
32.水溶性フィルム、並びに約1重量%~約60重量%の界面活性剤と、約0.1重量%~約10重量%の多糖誘導体であって、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである多糖誘導体と、を含む組成物を含む水溶性単位用量物品であって、家庭用製品である、水溶性単位用量物品。
【0281】
33.少なくとも2つの区画を備える、実施形態32に記載の水溶性単位用量物品。
【0282】
34.区画が、重ね合わせる向き、又は横並びの向きに配置されている、実施形態33に記載の水溶性単位用量物品。
【0283】
35.少なくとも3つの区画を備える、実施形態32に記載の水溶性単位用量物品。
【0284】
36.少なくとも1つの疎水基が、C~C18アルキル基、C~C18アルケン基、C~C18アルキン基、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)若しくはこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテル基[ここで、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である]、C~C20アリール基、ベンジル基、C~C18アルキルスルホニル基、C~C20アリールスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含み、少なくとも1つの親水基が、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態32、33、34、又は35のいずれか1つに記載の水溶性単位用量物品。
【0285】
37.基材の処理方法であって、水の存在下で、基材を実施形態26、27、28、29、30、又は31のいずれかに記載の家庭用製品と接触させる工程を含み、基材が織物又は硬質表面である、基材の処理方法。
【0286】
38.処理された織物が、L WICIE法に従って測定される場合、処理前の織物に対して+1.5以上の単位のWICIEの変化を有する、実施形態26、27、28、29、30、又は31のいずれか1つに記載の製品で織物を処理する方法。
【0287】
39.
約1重量%~約60重量%の非石油由来の界面活性剤と、
約0.1重量%~約10重量%の多糖誘導体であって、
a)少なくとも1つの疎水基、及び
b)少なくとも1つの親水基
で置換されている多糖を含み、
多糖が、ポリα-1,3-グルカン、ポリα-1,6-グルカン、又はポリα-1,3-1,6-グルカンである多糖誘導体と、を含む製品であって、家庭用製品である、製品。
【0288】
40.製品が、染料及び光沢剤を実質的に含まない、実施形態39に記載の製品。
【0289】
41.少なくとも1つの疎水基が、C~C18アルキル基、C~C18アルケン基、C~C18アルキン基、(-CHCHO-)、(-CHCH(CH)O-)若しくはこれらの組み合わせの繰り返し単位を含むポリエーテル基[ここで、繰り返し単位の総数は、3~100の範囲である]、C~C20アリール基、ベンジル基、C~C18アルキルスルホニル基、C~C20アリールスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、又はこれらの組み合わせを含み、少なくとも1つの親水基が、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体塩、硫酸誘導体、硫酸誘導体塩、チオサルフェート、チオサルフェート塩、リン酸誘導体、リン酸誘導体塩、アルキルアミン、アルキル置換されたアンモニウム塩、四級化ピリジン塩、四級化イミダゾール塩、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態39又は40に記載の製品。
【実施例
【0290】
特に指示しない限り、全ての成分は、Sigma-Aldrich(St.Louis,Missouri)から入手可能であり、受け入れたままの状態で使用した。
【0291】
本明細書で使用する場合、「比較例(Comp.Ex.)」は、比較実施例(Comparative Example)を意味する;「実施例(Ex.)」は実施例(Example)を意味する。
【0292】
ポリα-1,3-グルカンの代表的な調製
米国特許第7,000,000号明細書;米国特許出願公開第2013/0244288号明細書(現在では、米国特許第9,080,195号明細書);及び米国特許出願公開第2013/0244287号明細書(現在では、米国特許第8,642,757号明細書)(それらすべての全体が、本明細書に参照により組み込まれる)に記載されるように、gtfJ酵素試料を用いて、ポリα-1,3-グルカンを調製することができる。
【0293】
米国特許出願公開第2014/0179913号明細書(現在では、米国特許第9,139,718号明細書)(例えば、その中の実施例12を参照)(その両方のそれら全体が、本明細書に参照により組み込まれる)に開示された手順に従って、ポリα-1,3-グルカンポリマーを合成し、そのウェットケーキを調製することができる。
【0294】
ポリα-1,6-グルカンの調製
以下の手順に従って、ポリα-1,6-グルカンの2つの試料を調製した。試料番号1は、10.2%のα-1,2-分枝を含有した。試料番号2は、23.7%のα-1,2-分枝を含有した。
【0295】
試料番号1
以下の手順に従い、グルコシルトランスフェラーゼGTF8117及びα-(1,2)分枝酵素GTFJ18T1の段階的組み合わせによる可溶性α-(1,2)-分枝ポリα-1,6-グルカンを調製した。
【0296】
スクロース(450g/L)、GTF8117(9.4U/mL)、及び酢酸ナトリウムから構成される反応混合物(2L)をpH5.5に調節し、47℃で攪拌した。予定時間にアリコート(0.5~1mL)を取り出し、90℃で15分間加熱することによりクエンチした。得られた熱処理アリコートを0.45μmフィルタに通した。素通り画分をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖及び多糖の濃度を決定した。23.5時間後、反応混合物を30分間90℃まで加熱した。熱処理反応混合物のアリコートを0.45μmフィルタに通し、素通り画分を可溶性単糖/二糖、オリゴ糖及び多糖について分析した(表1)。主要な生成物は、93のDPwを有する直鎖デキストランであった。
【0297】
【表1】
【0298】
直前で説明したスクロースとGTF8117との反応から得られた残りの熱処理した反応混合物に、95.3gのスクロース、及び210mLのα-(1,2)-分枝酵素GTFJ18T1(5.0U/mL)を添加することにより、第2反応混合物を調製した。混合物を約2.2Lの容積で30℃にて攪拌した。予定時間にアリコート(0.5~1mL)を取り出し、90℃で15分間加熱することによりクエンチした。得られた熱処理アリコートを0.45μmフィルタに通した。素通り画分をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖及び多糖の濃度を決定した。95時間後、反応混合物を30分間90℃まで加熱した。熱処理反応混合物のアリコートを0.45μmフィルタに通し、素通り画分を可溶性単糖/二糖、オリゴ糖及び多糖について分析した(表2)。残りの熱処理した混合物を、1Lの遠心ボトルを使用して遠心分離した。上清を回収し、限外濾過システム(1又は5KDaのMWCOカセットを有するPellicon Mini)を使用して、脱イオン水で200倍以上洗浄した。洗浄したオリゴ糖/多糖生成物溶液を乾燥させた。次いで、乾燥試料をHNMR分光法により分析し、オリゴ糖及び多糖のアノマー結合を決定した(表3)。
【0299】
【表2】
【0300】
【表3】
【0301】
試料番号2
以下の手順に従い、グルコシルトランスフェラーゼGTF8117及びα-(1,2)分枝酵素GTFJ18T1の段階的組み合わせによる可溶性α-(1,2)-分枝ポリα-1,6-グルカンを調製した。
【0302】
スクロース(450g/L)、GTF8117(9.4U/mL)、及び酢酸ナトリウムから構成される反応混合物(2L)をpH5.5に調節し、47℃で攪拌した。予定時間にアリコート(0.2~1mL)を取り出し、90℃で15分間加熱することによりクエンチした。得られた熱処理アリコートを0.45μmフィルタに通した。素通り画分をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖及び多糖の濃度を決定した。23.5時間後、反応混合物を30分間90℃まで加熱した。熱処理反応混合物のアリコートを0.45μmフィルタに通し、素通り画分を可溶性単糖/二糖、オリゴ糖及び多糖について分析した(表4)。主要な生成物は、93のDPwを有する直鎖デキストランであった。
【0303】
【表4】
【0304】
直前で説明したスクロースとGTF8117との反応から得られた残りの熱処理した反応混合物に、238.2gのスクロース、及び210mLのα-(1,2)-分枝酵素GTFJ18T1(5.0U/mL)を添加することにより、第2反応混合物を調製した。混合物を約2.2Lの容積で30℃にて攪拌した。予定時間にアリコート(0.2~1mL)を取り出し、90℃で15分間加熱することによりクエンチした。得られた熱処理アリコートを0.45μmフィルタに通した。素通り画分をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖及び多糖の濃度を決定した。95時間後、反応混合物を30分間90℃まで加熱した。熱処理反応混合物のアリコートを0.45μmフィルタに通し、素通り画分を可溶性単糖/二糖、オリゴ糖及び多糖について分析した(表5)。残りの熱処理した混合物を、1Lの遠心ボトルを使用して遠心分離した。上清を回収し、1又は5KDaのMWCOカセットを有する限外濾過システムを使用して、脱イオン水で200倍以上洗浄した。洗浄したオリゴ糖/多糖生成物溶液を乾燥させた。次いで、乾燥試料をHNMR分光法により分析し、オリゴ糖及び多糖のアノマー結合を決定した(表6)。
【0305】
【表5】
【0306】
【表6】
【0307】
実施例1A:ポリ-1,3-グルカンのベンジル化
ポリ-1,3-グルカン(27.5重量%のグルカンを含有する180gのウェットケーキ、残部水)を、3口1L反応器に充填した。これに、110mLの水を添加した。この混合物を、氷水浴で18~21℃まで冷却した。これに、63gの50重量%水酸化ナトリウム溶液を添加し、混合物を30分間攪拌した。水を混合物に添加した(150mL)。反応混合物を48℃まで加熱し、塩化ベンジル(89g)を40分間にわたって添加した。次いで、反応混合物を78℃まで3時間加熱した。混合物を冷却し、pH7.0まで中和し、濾過した。固体を冷たい20%の水性メタノールで3回洗浄して、40℃の真空オーブンで乾燥させて、53gの黄色の固体を得た。ベンジル置換度は、H NMRにより、0.57であると決定した。
【0308】
実施例1B:カルボキシメチルベンジルグルカンの調製
53gのベンジルグルカン(実施例1Aから得られた)を、410mLの92重量%水性エタノール中に懸濁し、室温で攪拌した。混合物を、氷水浴で15~19℃まで冷却した。冷却した攪拌懸濁液に、48gの50重量%水酸化ナトリウム溶液を、20分にわたって添加した。氷水浴を取り外し、混合物を25分間攪拌した。混合物を氷水浴上で冷却し、30.9gのクロロ酢酸(30gの92重量%エタノール中)を2度にわけて添加し、1度目は2/3を添加し、次いで、15℃で15分間攪拌し、続いて、最後の1/3を添加した。氷水浴を取り外し、反応混合物を室温で15分間300rpmにて攪拌した。次いで、混合物を90℃の予熱した油浴に浸漬させた。次いで、反応混合物を74℃(内
部温度)で3時間加熱した。次いで、反応混合物を冷却し、53gの水で希釈し、10重量%のHClでpH6.7まで中和した。反応混合物を濾過し、固体を70%の水性メタノールで洗浄して、茶色の固体を得た。固体を200mLの水中に溶解させ、0.1NのNaOHでpH8まで調節し、次いで冷メタノールに添加した。懸濁液を10℃で1時間攪拌した。溶液をデカントで除き、更なる冷メタノールを残留固体に添加し、続いてデカントした。このプロセスを2回繰り返した。残留物に2-プロパノールを添加することによって最終画分を得て、オフホワイトの固体を得て、濾過によって単離した。固体を合わせて40gを得た。カルボキシメチル基の置換度を、H NMRにより0.59であると決定した。ベンジル置換度は、0.57であった。
【0309】
実施例2A:ベンジルグルカンの調製
4口の2Lフラスコに、980mLの水、及びポリα-1,3-グルカン(40重量%グルカン及び60%の水を含有する270gのウェットケーキ)を攪拌しながら、少しづつ添加した。反応混合物を20~25℃、次いで室温で2時間攪拌しながら、水酸化ナトリウム(55gの50重量%水溶液)を10分間にわたって滴加した。反応混合物を75℃まで加熱した。塩化ベンジル(77g)を75℃で添加した。反応混合物を85℃まで加熱し、85℃で3.5時間維持した。反応混合物を冷却し、濾過した。ウェットケーキを水(3X700mL)、エタノール(50重量%、800mL)、メタノール(80重量%、800mL)、アセトン(800mL)、及びヘキサン(2X500mL)で洗浄した。得られたウェットケーキをフリット上で真空及びNパージしながら3時間乾燥させて、白色の固体を得た。固体を窒素掃引しながら一晩80℃の真空オーブンで乾燥させて、96gの白色の固体を得た。ベンジル置換度を、H NMRにより0.17であると決定した。
【0310】
実施例2B:カルボキシメチルベンジルグルカンを調製するためのベンジルグルカンのカルボキシメチル化
4口の250mL丸底フラスコに、オーバーヘッド機械的攪拌機、熱電対、及びN導入口を取り付けた。ベンジルグルカン(実施例2Aから、20g)及びエタノール(92重量%)をフラスコ中に添加した。混合物を室温で30分間攪拌した。水酸化ナトリウム(40gの50重量%水溶液)を、攪拌しながら、10分にわたって、滴加した。スラリーを室温で15分間攪拌した。クロロ酢酸(5gの92重量%エタノール中に11.6g)を5分で添加した。スラリーを63~65℃で3時間攪拌した。30℃まで冷却した後、反応混合物のpHを、18.5重量%のHCl溶液を添加することにより約7まで調節した。濾過により固体を回収し、温メタノール(90重量%、150mL)で再スラリー化し、次いで、濾過してウェットケーキを得た。再スラリー/濾過法によりウェットケーキをメタノール(90重量%、3X150mL)で洗浄し、次いで、真空上で乾燥させて、22.3gの固体を得て、これをTFF(ナノ濾過:膜:PES、5K MWCO)により、約5Lの水交換で更に精製し、次いで、10K MWCO 膜により更に精製した。濃縮水を濃縮し、乾燥させて、18.1gの固体としてカルボキシメチルベンジルグルカンを得た。カルボキシメチル基の置換度は、H NMRにより、1.75であると決定した。ベンジル置換度は、0.17であった。
【0311】
実施例3A:ベンジルグルカンの調製
ポリα-1,3-グルカン(89%のグルカン及び11%の水を含有する、53kgのウェットケーキ)を、150ガロン反応器に充填し、続いて窒素下で水(2216kg)を入れた。これに水酸化ナトリウム溶液(10%固体、202kg)を添加し、混合物を窒素下で2時間室温で攪拌した。反応器を65℃まで加熱し、塩化ベンジル(58.5kg)を反応器に添加した。反応温度を80~85℃まで上昇させ、反応を3.5時間加熱した。反応器を70℃まで冷却し、反応混合物のpHを3Mの硫酸を使用してpH3まで調節した。反応混合物を、メタノール/水(5:1)、アセトン(2X)、メタノールで
洗浄し、乾燥させた。ベンジル基の置換度は、H NMRにより、0.5であると決定した。
【0312】
実施例3B:ベンジルグルカンのカルボキシメチル化
4口の250mL丸底フラスコに、オーバーヘッド機械的攪拌機、熱電対、及びN導入口を取り付けた。ベンジルグルカン(実施例3Aから、20g)及びエタノール(92重量%、120mL)をフラスコ中に添加した。混合物を室温で30分間攪拌した。水酸化ナトリウム(20g、50重量%水溶液)を、攪拌しながら、10分間にわたって滴加した。スラリーを室温で15分間攪拌した。クロロ酢酸(5gの92重量%エタノール中に11.6g)を5分で添加した。スラリーを60~62℃で4時間攪拌した。固体は完全には水に溶けなかった。35℃まで冷却した後、水酸化ナトリウム(11.5g、50重量%水溶液)及び6.8gのクロロ酢酸(3gの92重量%エタノール中を添加した。得られた混合物を60℃で攪拌した。60℃で1.5時間後、大きな塊が形成された。加熱を止めた。最上層の液体をデカントし、メタノール(50重量%、150mL)、得られた混合物のpHを、18.5重量%のHCl溶液を添加することにより約7まで調節した。混合物を室温で一晩ゆっくりと攪拌し、ゲルを形成した。ゲルを攪拌しながら、メタノール(50mL)をゆっくりと添加した。柔らかい固体が沈殿した。最上層の液体をデカントした。メタノール(90重量%、150mL)を添加した。固体を濾過により回収し、メタノール(90重量%、3X100mL)で洗浄し、次いで真空上で乾燥させて、20.5gの固体を得た。固体を限外濾過により更に精製した。茶色の固体を約1.5Lの水中に溶解させた。溶液を、TFF(ナノ濾過、膜:再生セルロース、10K MWCO)により、約5Lの水の交換で精製した。濃縮水を濃縮し、乾燥させて、16.8gの固体としてカルボキシメチルベンジルグルカンを得た。カルボキシメチル基の置換度は、H NMRにより、0.95であると決定した。ベンジル基の置換度は、0.5であった。
【0313】
実施例4:四級アンモニウムベンジルグルカンの調製
4口の250mL丸底フラスコに、オーバーヘッド機械的攪拌機、熱電対、及びN導入口を取り付けた。ベンジルグルカン(実施例2Aから、20g)及びイソプロピルアルコール(120mL)をフラスコに添加した。混合物を室温で攪拌し、水酸化ナトリウム(18.64gの50重量%水溶液)を、攪拌しながら、10分間にわたって滴加した。反応混合物を予熱した油浴(60℃)で50℃まで加熱した。3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(52.3gの60重量%水溶液)を5分で添加した。スラリーを55~60℃で3時間攪拌した。大きな塊が形成された。液体(約100mL)をデカントした。メタノール(100mL)を添加し、塊を手で破壊した。この混合物のpHを、18.5重量%のHCl溶液を添加することにより約7まで調節した。固体を濾過により回収し、90重量%メタノール(2X150mL)で洗浄し、次いで濾過し、ウェットケーキを得て、これを80℃の真空上で乾燥させて、固体を得た。この固体を水(700mL)に懸濁させ、遠心分離にかけた。最上層の溶液をメタノール中に滴下し、生成物を沈殿させ、これを乾燥させて、14.5gの白色固体を得た。四級アンモニウムの置換度は、H NMRにより、0.25であると決定した。ベンジル基の置換度は、0.17であった。
【0314】
実施例5A:ヒドロキシペンチルグルカン
ポリ-1,3-グルカン(27.5重量%のグルカンを含有する50gのウェットケーキ、0.085mol)を、3口1L反応器に充填する。これに、30mLの水を添加する。この混合物を、氷水浴で18~21℃まで冷却する。これに、18gの50重量%水酸化ナトリウム溶液を添加し、混合物を30分間攪拌する。水を混合物に添加する(50mL)。反応混合物を48℃まで加熱し、1,2-エポキシペンタン(17g)を40分間にわたって添加する。次いで、反応混合物を75℃で3時間加熱する。混合物を冷却し
、pH7.0まで中和し、濾過する。固体を20%の水性メタノールで3回洗浄して、真空オーブンで乾燥させる。-CH-CH(OH)CHCHCH基の置換度は、H NMRにより決定する。
【0315】
実施例5B:ヒドロキシペンチルグルカンのカルボキシメチル化
25gのヒドロキシペンチルグルカン(実施例5Aから得られた)を、200mLの92重量%水性エタノール中に懸濁し、室温で攪拌する。混合物を、氷水浴で15~19℃まで冷却する。冷却した攪拌懸濁液に、24gの50重量%水酸化ナトリウム溶液を、20分にわたって添加する。氷水浴を取り外し、混合物を25分間攪拌する。混合物に、15gのクロロ酢酸(15gの92重量%エタノール中)を滴加する。氷水浴を取り外し、反応フラスコを70℃まで3時間加熱する。次いで、反応混合物を冷却し、25gの水で希釈し、10重量%のHClでpH7まで中和する。反応混合物を濾過し、固体を70%の水性メタノールで洗浄する。カルボキシメチル基の置換度は、H NMRにより決定する。
【0316】
実施例6A:ポリα-1,6-グルカントシレートの調製
NaOH(35g、50%濃度)、ウレア(30g)、及び水(160.5mL)を混合し、攪拌して、透明溶液を得た。本明細書の上記のように調製したポリα-1,6-グルカン(17K、10%分枝、35g、31.4%)を、攪拌しながら添加した。混合物をアセトン-ドライアイス浴で-12℃まで1時間冷却し、0℃まで温めたら、溶液を激しく攪拌して透明なポリα-1,6-グルカン溶液を得た。
【0317】
氷浴により冷却した上記グルカン溶液に、p-トルエンスルホニルクロリド(53グラム)、及びImbentin AGS/35(20mL)を添加した。混合物を0℃で少なくとも3時間激しく攪拌して、室温まで一晩温めた。混合物を2つの層に相分離した。最上の淡黄色の透明液体層を取り除いた。底部のゲル様層を、イソプロパノール中で白色粉末として沈殿させた。生成物をイソプロパノール(200mL/1回、5回)で完全に洗浄し、所望のグルカン-トシレートを定量的収率で得た。トシル置換度は、NMRにより、1.0であると決定した。
【0318】
実施例6B:ポリα-1,6-グルカン-トシレート-エチレンジアミンの調製
DMSO(45mL)中の実施例6Aからのグルカン-トシレート(15g)に、N-エチレンジアミン(31.6mL)を室温で添加した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(7.8mL)を添加した。反応を100℃で6時間攪拌した。混合物を冷却し、5M HCl水溶液(40mL)を用いてpH7まで酸性化した。粗混合物を脱イオン水で更に5倍希釈し、膜チューブ(3K MWCO)を用いた透析で精製し、所望の水溶性ポリα-1,6-グルカン-トシレート-アミンを得た。トシル置換度は、元素分析により、0.5であると決定した。アミン置換度は、元素分析により、0.3であると決定した。
【0319】
実施例7A:ポリα-1,6-グルカントシレートの調製
NaOH(30g、50%濃度)、ウレア(25g)、及び水(154mL)を混合し、攪拌して、透明溶液を得た。本明細書の上記のように調製したポリα-1,6-グルカン(17K、25%分枝、20g)を、攪拌しながら添加した。混合物をアセトン-ドライアイス浴で-12℃まで1時間冷却し、0℃まで温めたら、溶液を激しく攪拌して透明なポリα-1,6-グルカン溶液を得た。
【0320】
氷浴により冷却した上記グルカン溶液に、p-トルエンスルホニルクロリド(47グラム)、及びImbentin AGS/35(5mL)を添加した。混合物を0℃で少なくとも3時間激しく攪拌して、室温まで一晩温めた。生成物をイソプロパノール中に沈殿
させ、イソプロパノール(200mL/1回、5回)で完全に洗浄し、所望のグルカン-トシレートを定量的収率で得た。トシル置換度は、元素分析により、0.7であると決定した。
【0321】
実施例7B:ポリα-1,6-グルカン-トシレート-エチレンジアミンの調製
DMSO(30mL)及びCHCN(15mL)中の本明細書の実施例と同様の調製物からのグルカン-トシレート(15g、DoS(Ts)=0.9)に、N-エチレンエチレンジアミン(30mL)を室温で添加した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(45mL)を添加した。反応を70℃で20時間攪拌した。混合物を冷却し、5M HCl水溶液を用いてpH7まで酸性化した。粗混合物を脱イオン水で更に5倍希釈し、膜チューブ(3K MWCO)を用いた透析で精製し、10.5グラムの所望の水溶性ポリα-1,6-グルカン-トシレート-アミンを得た。トシル置換度は、元素分析により、0.5であると決定した。アミン置換度は、元素分析により、0.3であると決定した。
【0322】
実施例8:トシレート-チオサルフェートグルカンの調製
DMSO(160mL)中の実施例7Aからのグルカン-トシレート(18g)に、Na(36グラム)、及び水(40mL)を室温で添加した。反応を85℃(外部温度)で18時間攪拌した。その後、反応混合物を室温まで冷却した。飽和NaHCO(100mL)及び水(100mL)を添加した。得られた透明溶液を、spectra/Por(登録商標)6透析膜(3.5K)で更に精製し、乾燥させて、13グラムの所望の生成物を得た。トシル置換度は、元素分析により、0.2であると決定した。チオサルフェート置換度は、元素分析により、0.5であると決定した。トシレート置換度は、0.7であった。
【0323】
実施例9A:ポリα-1,3-グルカンカルボキシレートの調製
硝酸(69%、500mL)、及びリン酸(85%、250mL)を室温で混合した。この溶液に、グルカン(ジェットミルされた粉末、130g)を、室温で添加した。混合物を15分間攪拌し、次いで、反応器を氷浴で冷却しながら、亜硝酸ナトリウム(6g)を一度に添加した。反応混合物をゆっくりと4時間攪拌した。反応混合物を水浴で冷却し、内部温度を35~40℃を超えないように制御した。得られた混合物を室温で更に44時間置いた。氷水(500mL)を添加し、得られた混合物を約6Lの総容量になるまで氷水中に注ぎ、約7~8のpHまでNaOHで処理した。得られた溶液を、限外濾過(5K膜)で精製した。濃縮水を濃縮し、残留物を得て、これを凍結乾燥機で乾燥させて、固体生成物(58g)を得た。NMR分析は、グルカンが、C6位でカルボキシレート基(-COOH)に約96%酸化したことを示した。DoSは、約1であった。
【0324】
実施例9B:ポリα-1,3-グルカンカルボキシレートベンジル誘導体の調製
実施例9Aからの生成物(20g)を、室温で水(70mL)中に溶解させた。この溶液に、NaOH(12g、0.15モルの50%溶液)を室温で添加した。均一溶液を形成した。混合物を65℃まで加熱した。塩化ベンジル(15.6g、0.123モル)を、反応混合物に添加した。次いで、反応混合物を85℃まで加熱し、85℃で3時間維持した。室温まで冷却した後、反応混合物を水(500mL)中に注ぎ、HCl(18.5重量%溶液)で約7~8のpHまで処理し、次いで、塩化メチレンで抽出して、できるだけ多くの有機物を除去した。次いで、この水溶液を約3Lまで水で希釈し、限外濾過(5K膜)で更に精製した。濃縮水を濃縮し、残留物を得て、これを凍結乾燥させて、固体生成物(9.0g)を得た。ベンジル基のDoSは、NMR分析を基準として約1であった。
【0325】
実施例10A:アリルポリα-1,6-グルカンの調製
本明細書の上記のように調製したポリα-1,6-グルカン(17K、10%分枝、4
1g)を、追加の漏斗、オーバーヘッド攪拌機、及び窒素導入口を取り付けた3口フラスコ中の100mL脱イオン水中に溶解させた。混合物を0~5℃まで冷却した。これに、滴下漏斗を介して50%の水酸化ナトリウム(21g)、続いて、アリルグリシジルエーテル(90g)を添加した。混合物を65℃まで加熱し、窒素下で6時間攪拌した。琥珀溶液を冷却して、18重量%のHClで中和した。溶液を3Lまで希釈し、限外濾過(MWCO 5K、PES)によって精製した。生成物をフリーズドライして、白色粉末を得た。NMR分析は、アリル基の置換度が1.3であることを示した。
【0326】
実施例10B:アリルポリα-1,6-グルカンのカルボキシメチル化
実施例10Aからのアリルポリα-1,6-グルカン(20g)を、追加の漏斗、オーバーヘッド攪拌機、及び窒素導入口を取り付けた3口フラスコ中の50mL脱イオン水中に溶解させた。混合物を0~5℃まで冷却した。これに、滴下漏斗を介して50%の水酸化ナトリウム(21g)を添加し、混合物をさらに10分間攪拌して、オレンジ色のスラリーを得た。これに、滴下漏斗を介してクロロ酢酸(5.2gを3.5g水中に溶解させた)を添加した。混合物を65℃まで加熱し、窒素下で3時間攪拌した。琥珀溶液を冷却して、18重量%のHClで中和した。生成物を、限外濾過(MWCO 5K、PES)によって精製した。生成物をフリーズドライして、白色粉末を得た。NMR分析は、アリル基の置換度は1.3であり、カルボキシメチル基の置換度は、0.1であることを示した。
【0327】
実施例11:トシレート-アルキルスルホネートグルカンの調製
DMSO(50mL)中の実施例7Aからのポリα-1,6-グルカン-トシレート(10g)に、1,3-プロパンスルトン(10g)、続いてトリメチルアミン(3g)を窒素下で添加した。反応混合物を60℃で6時間攪拌する。混合物を室温まで冷却し、500mLの水で希釈する。生成物を、透析(spectra/Por(登録商標)6透析膜(3.5K)で精製し、フリーズドライする。
【0328】
実施例12:ポリα-1,6-グルカン-トシレート-カルボキシメチル誘導体の調製
4口の250mL丸底フラスコに、オーバーヘッド機械的攪拌機、熱電対、及びN導入口を取り付ける。実施例7Aからのポリα-1,6-グルカン-トシレート(10g)及びエタノール(92重量%、60mL)をフラスコ中に添加する。混合物を室温で30分間攪拌する。水酸化ナトリウム(10g、50重量%水溶液)を、攪拌しながら、10分間にわたって滴加する。スラリーを室温で15分間攪拌する。クロロ酢酸(3gの92重量%エタノール中に5.8g)を5分で添加する。スラリーを60~62℃で4時間攪拌する。混合物を室温まで冷却し、18.5重量%のHCl溶液で中和する。混合物を溶解させ、限外濾過(MWCO 5kD、PES膜)によって精製する。
【0329】
実施例13A:ベンジルグルカンの調製
4口の2Lフラスコ中に、610mLの水、及び270gのポリα-1,3-グルカンウェットケーキ(約100gの乾燥グルカンを含有する)を添加した。混合物を室温で30分間攪拌した。水酸化ナトリウム溶液(50%、129g)を添加した。反応混合物を65℃まで加熱した。塩化ベンジル(155g)を添加し、得られた反応混合物を84℃まで加熱し、80~85℃で3時間維持した。反応混合物を約35℃まで冷却し、塩酸(18.5重量%)で約7のpHまで処理した。反応スラリーを濾過し、水(500mL)、メタノール溶液(水と1:1、500mL)、次いでアセトン(3X500mL)で洗浄した。得られたウェットケーキを40℃の真空オーブンでNを流しながら一晩乾燥させてベンジルグルカン(68g)を得た。NMR分析に基づいて、ベンジル基のDoSは、0.6であると決定した。
【0330】
実施例13B:ベンジルグルカンのカルボキシメチル化
4口の1Lフラスコに、400mLのエタノール(92重量%)、及び実施例13Aからのベンジルグルカン(57.7g)を添加した。混合物を室温で30分間攪拌した。水酸化ナトリウム溶液(50%、51.5g)を添加した。混合物を室温で15分間攪拌した。エタノール(23g)中のモノクロロ酢酸(30.5g)を反応混合物に添加した。反応混合物を72~75℃まで3時間加熱した。反応混合物を約35℃まで冷却し、塩酸(18.5重量%)で約7~8のpHまで処理した。反応スラリーを濾過した。ウェットケーキを水(4L)中に溶解させ、濾過した。濾液を限外濾過(5K膜)によって精製した。濃縮水を濃縮し、凍結乾燥機で乾燥させて、カルボキシメチルベンジルグルカン(60.7g)を得た。NMR分析に基づいて、ベンジル基に関するDoSは0.7であり、カルボキシメチル基に関するDoSは0.5であった。
【0331】
実施例14:ヒドロキシエチルカルボキシメチルグルカンの調製
3.5のMSのEO置換を有するヒドロキシエチルグルカンを、米国特許第9139718号明細書に記載されているように調製した。カルボキシメチル化反応は、以下のように実施した。
【0332】
4口250mLの丸底フラスコに、20gのヒドロキシエチルグルカン及び水(80g)を充填した。混合物を攪拌し、水酸化ナトリウム(28.5g、50重量%溶液)を20分間にわたって添加した。混合物を更に60分間攪拌した。5gの水中16.8gのモノクロロ酢酸を添加した。得られた混合物を60~63℃で3時間加熱した。水(100mL)を添加し、混合物のpHを、HCl(18.5重量%)を添加することにより、約7まで調節した。混合物を水(1.2L)中に注ぎ、限外濾過によって更に精製した。濃縮水を濃縮し、凍結乾燥機で乾燥させて、固体生成物(12.6g)を得た。NMR分析は、DoS(カルボキシメチル)=0.4、及び3.5のMS(EO)を示した。
【0333】
実施例15:ベンジル-カルボキシメチルグルカンの汚れ放出試験
実施例1Bからのベンジル-カルボキシメチルグルカンを使用した。織物見本(JoAnn’s Fabric Symphony Broadcloth:65%ポリエステル:35%綿)を、使用に先立って400ppmのノニオン性界面活性剤中で洗い流した。織物を4”X4”にカットし、1つの試験当たり3つの見本を使用した。見本を100ppmのベンジル-カルボキシメチルグルカン水溶液中に浸漬し、一定の液体塊までしぼり、平らに置いて空気乾燥させた。ソルベントレッド27で染色した植物油を使用して各見本を汚した(各見本に約0.13gの汚れを塗布した)。見本を、洗浄前に一晩乾燥させた。洗浄条件:1L水道水、60ppmの硬度。80rpmの攪拌、38℃の洗浄温度、3分のすすぎをともなう10分の洗浄。使用した洗剤:Arms & Hammer Clean Burst 0.68g/L;追加オーダー:水、洗剤、布。見本をすすぎサイクルの前後で一定の質量にしぼり、空気乾燥させた。
【0334】
対照実験を同様に行ったが、水溶液中にベンジル-カルボキシメチルグルカンを含まなかった。比較例A及びBも同様に行ったが、それぞれ、ベンジル-カルボキシメチルグルカンで置換されている、Repel-O-Tex Crystal and Fisher’s LSDを含んだ。
【0335】
汚した後及び洗浄後の両方で、Hunter比色計を使用して各見本について反射率の読み取り(x、y、z色空間)を4回測定した。y値を使用して、洗浄効果を決定した。2つの値の差が報告されている(デルタR、より大きい値はより多くの汚れ除去を示す)。下記表7に示す結果は、ベンジル-カルボキシメチルグルカンが油性汚れの汚れ放出に有効であることを示している。
【0336】
【表7】
【0337】
実施例16:ベンジル-カルボキシメチルグルカン、及びトシレート-チオサルフェートグルカンの白色度試験
実施例13Bで記載したのと同様に製造されたベンジル-カルボキシメチルグルカン、及び実施例8で得られたトシレート-チオサルフェートグルカンを使用する。白色度保存とも称される白色度維持は、白いアイテムが汚れの存在下で洗浄される場合に、白色度の損失から守るための洗剤の能力である。汚れた衣服から汚れが取り除かれて洗濯水中に堆積され、次いでその汚れが衣服に再付着して、洗濯するたびに衣服の白さが少なくなる場合、白色衣類は、時間が経過すると、汚れたり/薄汚なくなったりすることがある。
【0338】
白色度の計算:CIELab b、並びにGanz及びCIE白色度指数
白色度指数(「WI」)は、測色の3つの構成要素-色相、彩度、及び明度-を含む式によって計算される色の適格な評価であり、これは次に標準的な白色値に指数化される。セルロース系基材上の白色度を測定するために、いくつかの白色度式を使用することができる。2つの一般式は、Ganz白色度指数及びCIE白色度である。Ganz白色度指数は、式:WI=(DY)+(Px)+(Qy)+C[式中、Y、x、及びyは、比色分析値であり、D、P、Q、及びCは、式パラメータである]で表される。CIE白色度は、式:WI=Y-(800x)-(1700y)+813.7[式中、Y、x、及びyは、比色分析値である]で表される。更なる情報は、Rolf Griesser,Ciba-Geigy Ltd,「Whiteness and Tint」,1993年6月の出版物に掲載されている。
【0339】
物品の表面色は、分光光度計を使用して試料を測定することによって生成された一連の測定値(L、a、及びb)を使用して定量化され得る。この試験に使用される装置は、Konica Minolta CM-3610D分光光度計である。使用したソフトウエアプログラムは、SpectraMagic NXソフトウェアである。「L」は、試料中の白又は黒の量の程度である;より高い「L」値はより明るい色の試料を示す。試料中の赤又は緑の量の程度は、「a」値によって決定される。試料中の青又は黄の量の程度は、「b」値によって決定される;より低い(より負の)b値は試料上でより青であることを示す。
【0340】
この方法は、バックグランドの汚れを洗浄水中に懸濁させ、それが衣服に付着するのを防ぐ製品配合物の能力を測定する。この試験の複数サイクルの性質及びサイクルにわたる織物の変化を読み取る能力によって、データを3回の洗浄サイクル後に以下に報告した。
【0341】
平均洗浄量は、約40gの汚れを含有する。この洗浄汚れのうち、70%が体の汚れ、10%が環境(土、芝)の汚れ、10%が偶発的な食物のしみ、及び最後の10%がその他/未確認である。SBL2004試験汚れストリップ(人工汚れ、WFK Testgewebe GmbHから入手可能)は、この食物、体の汚れ、並びに粘土及び顔料の多様性を再現する。SBL2004試験汚れストリップは、消費者の汚れレベルをシミュレートするために添加される。1つのSBL2004シートには、平均して8gの汚れが担
持されている。WFK:WFK Testgewebe GmbH、試験材料(ECE-2洗剤、人工汚れSBL2004及び白色トレーサー)の欧州の供給元。WFK Testgewebe GmbH。
【0342】
この方法は、0.31%の汚れ/洗浄サイクル及び5ポット自動小型洗浄機(AMW)を使用して、タイプIIIの洗浄条件下で行われる。小型洗浄機の製品濃度、時間及び洗浄温度は、同等の本格的規模の洗浄条件における製品濃度、時間及び洗浄温度と同じである。
【0343】
【表8】
【0344】
上記の表8は、それぞれの洗浄条件下での、7.57リットルの5ポット自動小型洗浄機のための好適な製品濃度、硬度及び汚れ担持量を示す。白色度試験に使用された織物見本を表9で提供する。
【0345】
【表9】
【0346】
小型洗浄機試験に関して、1サイクル当たり、1ウォッシュレッグ(約28gの汚れ)当たり、約3.5SBLのストリップを使用する 1試験レッグあたり、3サイクルの処理を通して残っている3つの各織物タイプがある。SBL汚れストリップを、各洗浄後に取り換える。白色度の読み取りは、L WICIE法(Hunter Labs)を用いて処理の前後に行われる。表10に報告されているデータは、3回目の洗浄サイクル後のものである。
【0347】
【表10】
【0348】
実施例17:表面張力測定
両親媒性グルカンポリマーの表面活性を、ASTM Standard D1331,
2015法に従い、CAHN DCA-312表面張力計を使用して、duNuoyリング法を用いた表面張力測定によって決定した。表11のデータは、表面張力の低下によって実証されるように、両親媒性多糖誘導体が表面活性を有することを示している。比較例Cに関する結果は、カルボキシメチル化ポリα-1,3-グルカンが界面活性を示さないことを示している。カルボキシメチル化グルカンは、米国特許第9139718号明細書に記載されているように調製され、NMR分析に基づいて0.6のカルボキシメチル化DoSを有した。
【0349】
【表11】