IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メディベイターズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7116053押込空気を利用する除染システムおよびそれを用いる方法
<>
  • 特許-押込空気を利用する除染システムおよびそれを用いる方法 図1
  • 特許-押込空気を利用する除染システムおよびそれを用いる方法 図2
  • 特許-押込空気を利用する除染システムおよびそれを用いる方法 図3
  • 特許-押込空気を利用する除染システムおよびそれを用いる方法 図4
  • 特許-押込空気を利用する除染システムおよびそれを用いる方法 図5
  • 特許-押込空気を利用する除染システムおよびそれを用いる方法 図6
  • 特許-押込空気を利用する除染システムおよびそれを用いる方法 図7
  • 特許-押込空気を利用する除染システムおよびそれを用いる方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】押込空気を利用する除染システムおよびそれを用いる方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/20 20060101AFI20220802BHJP
   A61L 101/36 20060101ALN20220802BHJP
【FI】
A61L2/20
A61L101:36
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019522258
(86)(22)【出願日】2017-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 US2017059670
(87)【国際公開番号】W WO2018085506
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】62/418,512
(32)【優先日】2016-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517392827
【氏名又は名称】メディベイターズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Medivators Inc.
【住所又は居所原語表記】14605 28th Avenue North,Minneapolis,Minnesota 55447,USA
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン,マイケル ピー.
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-081541(JP,A)
【文献】特開2003-339639(JP,A)
【文献】国際公開第2016/176442(WO,A1)
【文献】特表2018-519971(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107530461(CN,A)
【文献】特開平11-137650(JP,A)
【文献】米国特許第06066294(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0313962(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/20
A61L 101/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスを除染するためのシステムであって、前記システムは、
囲まれた空間を画定するチャンバであって、前記チャンバは、前記囲まれた空間内での圧力の変化に耐え、内腔を含むデバイスを収容するように構成される、チャンバと、
前記チャンバ内の温度および圧力を制御するように構成された制御装置と、
前記囲まれた空間と流体連通する真空ポンプと、
除染物質の供給源と、
前記除染物質の供給源と流体連通し、前記囲まれた空間内に気化した除染物質を提供するように構成された蒸発器および噴霧器のうちの少なくとも一方と、
前記チャンバ内に位置決めされたポンプであって、前記ポンプは入口および出口を有し、前記入口および前記出口のうちの一方は、前記チャンバの囲まれた空間と流体連通し、前記入口および前記出口のうちの他方は、前記内腔と流体連通するように構成され、前記ポンプの入口および出口の少なくとも一方は、前記ポンプおよび前記内腔に直接装着された導管を介して前記内腔と流体連通するように構成される、ポンプと、
前記囲まれた空間内に位置決めされ、前記デバイスを取り囲む容器であって、前記容器は、前記気化した除染物質によって透過可能である少なくとも1つの外壁によって形成され、前記ポンプは、前記容器の外側に位置決めされ、前記気化した除染物質の流れを前記容器の外壁を通じて前記内腔に提供する、容器と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記除染物質を前記ポンプの出口から前記内腔へと誘導するための、前記ポンプの出口に接続された導管をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記気化した除染物質を前記内腔および前記デバイスの外面に誘導するための、前記ポンプに接続された第1の端部と、前記内腔と流体連通する第2の端部とを有する導管をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月7日に提出された米国仮特許出願シリアル番号第62/418,512号に対して優先権を主張する。この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
技術分野
本開示は、医療デバイスなどのデバイスの除染に関する。より詳細には、本開示は、内腔を有する医療デバイスを除染するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
接着剤を利用してゴム部分と、プラスチック部分とで形成された高度医療器具は、壊れやすく、従来の蒸気オートクレーブに関連する高温および高圧に適さないことが多い。蒸気オートクレーブは、圧力循環プログラムの下で作動することで、滅菌を受けている医療デバイス、または医療デバイスの関連する包装容器内への蒸気の進入の割合を高めることが多い。重力、高圧または予備真空を利用する蒸気滅菌は、温度または圧力の急速な変化が起こり得る環境を生み出す。極めて精密な寸法、厳重な組み立て公差および繊細な光学要素を伴って形成され、そのように組み立てられることが多い複雑な器具、例えば内視鏡などは、高温および高圧または低圧を利用する過酷な滅菌方法によって破壊される、またはその有益な寿命が激しく縮められる場合がある。
【0004】
内視鏡は、そのようなデバイスが典型的には、微生物に隠れ場所を提供する可能性がある多数の外側の割れ目および内側の管腔を有するという特定の問題を提示し得る。微生物が、そのような割れ目や内側の管腔内の表面に、また内視鏡の外面にも見つかる場合がある。内腔、割れ目などを備える他の医療用または歯科用器具もまた、微生物に隠れる場所を提供し得る多様な内面および外面を除染するのに課題を提示し得る。よって、デバイスを損傷するリスクがなく、内腔を有するデバイスを適切に除染するのに使用することができる除染システムまたはプロセスに対する要望がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示されるのは、デバイスを除染するためのシステムである。このシステムは、囲まれた空間を画定するチャンバを備える。チャンバは、囲まれた空間内での圧力の変化に耐え、内腔を含むデバイスを収容するように構成される。システムは、チャンバ内の温度および圧力を制御するように構成された制御装置と、囲まれた空間と流体連通する真空ポンプと、除染物質の供給源とをさらに含む。システムは、除染物質の供給源と流体連通し、囲まれた空間内に気化した除染物質を提供するように構成された蒸発器または噴霧器の少なくとも一方と、チャンバ内に位置決めされたポンプとをさらに含む。ポンプは、入口と、出口とを有し、入口および出口のうちの一方は、チャンバの囲まれた空間と流体連通しており、入口および出口のうちの他方は、内腔と流体連通するように構成される。
【0006】
また本明細書に開示されるのは、内腔を有するデバイスを除染するためのシステムである。このシステムは、囲まれた空間を画定する除染チャンバを備える。除染チャンバは、囲まれた空間内での圧力の変化に耐えるように構成される。システムは、囲まれた空間内に位置決めされた容器をさらに含む。容器は、気化した除染物質が通り抜けることができる外壁を有する。システムは、内腔を有し、容器内に位置決めされてよいデバイスと、除染チャンバ内の温度および圧力を制御するための制御装置と、囲まれた空間と流体連通する真空ポンプと、除染物質の供給源とをさらに含む。システムは、除染物質の供給源および囲まれた空間と流体連通する、除染物質を気化させるための蒸発器または噴霧器のうちの少なくとも一方をさらに含む。システムは、除染チャンバ内に位置決めされたポンプをさらに含み、このポンプは、囲まれた空間と流体連通する第1の開口と、内腔と流体連通する第2の開口とを有する。
【0007】
また本明細書に開示されるのは、内腔を中に含むデバイスを除染する方法である。この方法は、容器の内部にデバイスを配置するステップと、囲まれた空間を画定する除染チャンバ内に容器を配置するステップとを含む。方法は、囲まれた空間の内部の圧力を大気圧を下回る圧力まで低下させるステップと、気化した除染物質を囲まれた空間内に誘導するステップと、囲まれた空間または容器内に配置されたポンプによって、気化した、または噴霧された除染物質を含む空気の流れを囲まれた空間からデバイスの内腔内に提供するステップとをさらに含む。
【0008】
複数の実施形態が開示されるが、本発明のさらに他の実施形態は、本発明の例示の実施形態を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、これらの図面および詳細な説明は、本質的に例示としてみなされるべきであり、限定とみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一部の実施形態による除染システムの概略図である。
図2】一例の除染サイクルにおける圧力対時間を示すグラフである。
図3】一部の実施形態による除染システムの概略図である。
図4】一部の実施形態による除染システムの概略図である。
図5】一部の実施形態による除染システムの概略図である。
図6】一部の実施形態による除染システムの概略図である。
図7】複数の内腔のデバイスのための除染システムの概略図である。
図8】複数の内腔のデバイスのための代替の除染システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
医療デバイスなどのデバイスは、過酸化水素(H)および/または過酢酸(PAA)化学物質を用いて比較的低温で除染または滅菌することができる。そのようなシステムでは、化学物質は、除染すべきデバイスを収容する除染チャンバ内に蒸気として提供されてよい。デバイスの表面が化学物質と接触する際に除染される。内腔デバイスは、内腔の中を通る除染物質の流れが必要であるため、除染することがとりわけ困難な場合がある。当開示は、内腔デバイスの除染を達成するために、内腔デバイスの中を通る除染物質の十分な流れを提供する除染システムを記載する。使用方法も記載される。
【0011】
図1は、除染システム10の概略図であり、これは除染チャンバ20、真空ポンプ32、蒸発器34、包装容器42の中に保持される除染物質36の供給源、制御装置38、排気口48、ポンプ80および容器60内に位置決めされたデバイス50を含む。真空ポンプ32は、導管44によって除染チャンバ20に接続される。蒸発器34は、導管40によって除染チャンバ20に接続される。除染物質36は、包装容器42内に保持され、導管46によって蒸発器34に接続される。制御装置38は、真空ポンプ32、蒸発器34およびポンプ80に接続され、これらの要素を制御するように構成される。一部の実装形態では、制御装置38は、除染チャンバ20、真空ポンプ32、蒸発器34、包装容器42およびポンプ80のうちの1つまたは複数に接続される。
【0012】
除染チャンバ20は、囲まれた空間を画定する。除染チャンバ20は、容器60の挿入または取り出しに対応するように構成されたドア30を含む。除染チャンバ20は、本明細書に記載されるように除染チャンバ20内の圧力の変化に耐えるように構成される。ドア30は、除染チャンバ20の外部の圧力より高い、またはそれより低い、除染チャンバ20内の密閉された環境を実現するために密閉されてよい、および/または補強されてよい。
【0013】
真空ポンプ32は、除染チャンバ20に接続され、除染チャンバ20内の圧力を変化させるように構成される。例えば真空ポンプ32は、除染チャンバ20から気体を引き抜いて、除染チャンバ20の内部の圧力を下げるように構成されてよい。真空ポンプ32はまた、除染チャンバ20に気体を加えることで除染チャンバ20の内部の圧力を上げるように構成されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、除染チャンバ20はまた、除染チャンバ内の圧力を調節するために排気口48を含んでもよい。例えば排気口48は、不完全なもしくは完全な開放位置または閉鎖位置になるように制御装置38によって制御されてよい。いくつかの実施形態において、排気口48は、真空ポンプ32が除染チャンバ20の内部の圧力を大気圧を上回る、または下回るように調節する際、閉鎖位置にあってよく、真空ポンプ32が除染チャンバ20の内部の圧力を大気圧に合わせる際、不完全なまたは完全な開放位置にあってよい。例えば排気口48は、不完全なまたは完全な開放位置になり得ることで、真空ポンプ32が除染チャンバ20から空気を吸い込む際、大気が除染チャンバ20に進入して除染チャンバ20を通り抜けるように空気を流すことができる。
【0015】
除染物質36を収容する包装容器42および蒸発器34は、除染チャンバ20の外側に配置される。包装容器42は導管46によって蒸発器34に接続され、蒸発器34は導管40によって除染チャンバ20に接続される。導管46および40は協働して、除染物質36が包装容器42から蒸発器34を通って除染チャンバ20に流れ込むように包装容器42から除染チャンバ20内への流体接続を実現する。
【0016】
除染物質36は、滅菌プロセスで使用するのに適した化学物質を含んでよい。例えば除染物質36は、国際標準化機構(ISO)基準ISO/TC198、健康管理用品の滅菌および/または医療機器振興協会(AAMI)基準ANSI/AAMI/ISO 11140-1:2005、「健康管理用品の滅菌-化学指示薬-第I部:一般的な要件」(バージニア州、アーリントン:AAMI2005)に準拠する化学物質または他の物質を含んでよい。一部の実施形態では、好適な除染物質36は、除染プロセス中に液体、蒸気またはその混合体(例えば霧)などの流体として拡散させることができる化学物質を含む。例えば好適な除染物質は、過酸化水素(H)および/または過酢酸(PAA)を含んでよい。除染物質36は、蒸発器34に提供される前は室温(例えば20℃から30℃)で維持されてよい。除染物質36は、蒸発器34に提供される前に冷蔵されたり加熱されたりする場合もある。
【0017】
蒸発器34は、除染物質36を蒸気、霧、または除染プロセスに対して他の好適な形態に変換する。例えばいくつかの実施形態において、蒸発器34は、液体の形態で提供された除染物質36を加熱して気化させてよい、またはそれ以外の方法で液体除染物質36を蒸気または気体に変える場合もある。いくつかの実施形態において、蒸発器34は、噴霧ノズルまたは噴霧器などの機械的手段を介して、除染物質36を蒸気または霧に変換してよい。例えば蒸発器は、回転ブレードまたは空気圧などの機械的な力を利用して液体の除染物質36の流れを個々の液滴に分解する、および/またはエーロゾルを生成する噴霧器を含んでよい。除染物質36の液滴またはエーロゾルは、除染チャンバ20内に放出されてよく、そこでそれらは蒸発して気相になり蒸気を形成してよい。いくつかの実施形態において、除染物質36は、蒸発器34の中に引き込まれてよい。他の実施形態において除染物質36は蒸発器34の中に押し出される場合もある。
【0018】
制御装置38は、除染システム10の他の要素に制御信号を提供する、および/または除染システム10の他の要素から状況感知信号および設備状態信号を受信する。例えば制御装置38は、蒸発器34、真空ポンプ32およびポンプ80の監視および制御を含んでよい。制御装置38は、蒸発器34への除染物質36の送達を調整してよい。制御装置38は、除染チャンバ20内の環境条件を調節してよい。制御装置38は、除染チャンバ20の圧力の調節のために真空ポンプ32に制御信号を提供する、および/または真空ポンプ32から状況感知信号および設備状態信号を受信してよい。
【0019】
除染チャンバ20は、容器60の中にデバイス50を収容するように構成される。デバイス50は、第1の端部70、第2の端部72および長さ74を有する1つまたは複数の内腔52を含んでよい。内腔52は、デバイス50の長さに延在し、内腔の長さ74より小さい内径を有する。例えばデバイス50は、デバイスの長さに延在する剛性または可撓性の内腔を有する内視鏡などの医療用デバイスであってよい。いくつかの実施形態において、内視鏡の内腔は、内径より数倍大きい長さを有してよい。例えば内視鏡の内腔は、およそ1から4ミリメートル(mm)の内径を有してよく、およそ1から3メートル(m)の長さを有してよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、除染チャンバ20は、室温(例えば20℃から30℃)で、室温を下回る温度で、または室温を上回る温度で作動されてよい。例えばいくつかの実施形態において、除染チャンバ20は、除染チャンバ20の温度を上昇させるために加熱器または他のデバイスをを含んでよい。いくつかの実施形態において、除染物質36を蒸気になるまで加熱することができ、この蒸気は、除染チャンバ20を室温(例えば20℃から30℃)を超える温度まで加熱し得る。
【0021】
容器60は、囲まれた空間を形成し、1つまたは複数のデバイス50を保持する。容器60は、囲まれた空間を形成する1つまたは複数の側面または部分64を有してよい。側面または部分64は、可撓性または剛性であってよい。容器60の側面または部分64は、同一の材料であっても異なる材料であってもよい。例えば容器60は、1つまたは複数の柔軟なまたは可撓性の部分64から全体がまたは一部が作成された可撓性のパウチであってよい。別の例では、容器60は、剛性材料から形成されたケースまたは他の筐体であってよい。さらなる例では、容器60は、剛性の底部62と、部分64とを有してよく、可撓性の頂部66または蓋を有してよい。いくつかの実施形態において、容器60は、使い捨ての場合がある。他の実施形態において容器60は、再利用可能であってよい。容器60は、除染プロセス中デバイス50を収容し、デバイス50が除染チャンバ20から取り出された後、デバイス50を滅菌状態に維持するように設計されてよい。
【0022】
容器60は、除染物質36が侵入する、または通り抜けることができる表面の少なくとも特定の区域76を有してよい。例えば除染チャンバ20内の気化した除染物質36は、容器60の外面76に接触し、これを除染してよい。除染チャンバ20内の気化した除染物質36はまた、容器60の外面76を通り抜け、容器60に進入し、デバイス50の少なくとも外面54を除染する場合もある。
【0023】
ポンプ80は、デバイス50の内腔52に接続され、除染チャンバ20内に、かつ容器60の外側に位置決めされる。いくつかの実施形態において、ポンプ80は、除染チャンバ20の内面に装着される場合もある。ポンプ80は、除染チャンバ20からの流体が内腔52の全長74に流れるように十分な流量を提供するように構成される。ポンプ80は、空気を移動させるため、または物質の流れを誘導するための任意の好適なデバイスであってよい。例えばポンプ80は、空気ポンプ、ファン、圧縮機、送風機またはふいごであってよい。
【0024】
ポンプ80は、入口96と、出口98とを有する。流体は、入口96を通ってポンプ80に進入し、出口98を通ってポンプ80から出て行く。入口96は、除染チャンバ20内の環境に曝される、または除染チャンバ20内の環境と流体連通する。いくつかの実施形態において、除染システム10は、空気流をポンプからデバイス50および内腔52まで誘導するために、ポンプ80からデバイス50までの流体連通を実現する。例えば除染サイクル中、ポンプ80は、除染物質36を含む空気をデバイス50の内腔52内に誘導する。いくつかの実施形態において、出口98は、内腔52から特定の距離だけ離間されてよく、空気流の一部を内腔52の周りに誘導し、空気流の一部を内腔52の中を通るように誘導してよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、ポンプ80は、磁気結合を利用して動力が与えられてよい。例えばポンプ80は、除染チャンバ20の壁の内面に位置決めされてよく、磁気結合を利用して動力が与えられて、除染チャンバ20の外部からポンプ80を駆動する電源または機械的な力を利用してポンプ80を回す場合もある。追加として、または代替として、ポンプ80は、電池駆動式であってよい。いくつかの実施形態において、ポンプ80は、ドア30が開放している間、オンになるように構成されてよい。追加として、または代替として、ポンプ80は、ドア30が閉鎖位置にあるとき、オンになるように構成されてもよい。例えば、制御装置38は、ドア30が閉鎖位置にあるときポンプ80をオンにしてよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、システム10は、除染チャンバ20の内部の空気圧を検出するためのセンサ58を含んでよい。例えば除染チャンバ20の内部の好適な空気圧が検出されたとき、ポンプ80は、制御装置38によってオンにされてよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、ポンプ80は、デバイス50と流体連通しており、ポンプ80は、デバイス50の内腔52に空気を押し込む。いくつかの実施形態において、ポンプ80は、ポンプの出口98に装着された導管78を介してデバイス50と流体連通してよい。導管78は、ポンプ80からの空気の流れをデバイス50および/または内腔52などの任意の好適な場所に誘導するのに使用されてよい。導管78は、直接、または追加の接続部を介してデバイス50に装着されてよい。例えば導管78は、導管78から容器60の内部のデバイス50までの流体連通を実現するポート82に装着されてよい。いくつかの実施形態において、デバイス50は、容器60の中に収容されない場合もあり、デバイス50は、ポンプ80の出口98に直接接続されてよい、またはポンプ80の出口98に接続される導管78に接続される場合もある。
【0028】
いくつかの実施形態において、デバイス50は、直接の接続を介して、または一連の中間接続を介してポンプ80の出口98と流体連通してよい。例えばポート82は、ポンプ80から容器60の側面64または頂部66を通って内腔52まで流れを誘導するように容器60上に位置決めされてよい。ポート82は、容器60の外側から延びる部分と、容器60内へと延びる部分とを含んでよい。ポート82は、ポンプ80と流体連通するようにデバイス50を接続するのに使用されてよい。いくつかの実施形態において、導管78が、ポンプ80をポート82に接続し、内腔52がポート82に接続されてよい。いくつかの実施形態において、導管78は、ポンプ80をポート82に接続し、導管84はポート82を内腔52に接続する。ポート82は、気化した除染物質36が通り抜けることを可能にする透過性材料をポート82の両端に含んでよい。好適な透過性材料は、例えば商標Tyvek(登録商標)の下に販売されたものなどの不織布が含まれる。ポート82の両端の透過性材料は、容器60がチャンバ20から取り出された後、滅菌環境が容器60内で維持されることを可能にする。ポート82は、ねじ込み式接続、接続部の周りを締め付けるスナップ接続、または雄型内側パイプをばね荷重式の雌型外側パイプに挿入させることができ、雌のパイプを後退させ、これにより雄の接続部を解放することによって取り外すことができるクイック接続などの任意の好適な接続を利用して導管78に装着されてよい。いくつかの実施形態において、ポンプ80は、ポート82なしで壁92に直接接続される場合もある。
【0029】
図1に示されるようにポンプ80は、内腔52の第1の端部70においてデバイス50に接続される。使用中、ポンプ80は、気化した除染物質36を含む空気を内腔52の第1の端部70へと押し込むことができる。ポンプ80はまた、内腔52の第1の端部70から空気を引き寄せ、これにより気化した除染物質36を含む空気が内腔52の第2の端部72に吸い込まれるようにすることもできる。気化した除染物質36を含む除染チャンバ20内の空気は、容器60を通り抜け、内腔52の第2の端部72に吸い込まれてよい。いくつかの実施形態において、ポンプ80は、内腔52の内部に空気を押し出す作業と、内腔52の内部から空気を引き寄せる作業を交互に行うように設計されてよい。この方法において、ポンプ80は、内腔52の長さ74に沿っていずれか方向にも流れを提供することができる。
【0030】
一部の用途では、長く幅の狭い内腔のために、内視鏡の適切な除染を達成するのが困難である。内視鏡の長さの内部に沿った物質の移動は、化学物質の受動拡散を利用して達成するのは難しい場合が多い。例えば、内視鏡は、1.0メートル、2.0メートル、3.0メートルまたはそれを超える長さ74を有する内腔52を有してよく、0.2mm、0.5mm、1.0mm、2.0mm、3.0mmまたは4.0mmの内径を有してよい。内視鏡の長さに至るまでの化学物質の受動拡散を利用するシステムは典型的には、適切な除染を達成するのに長い接触時間および/または高い化学濃度を必要とする。長い処理時間および/または高い濃度は、内視鏡を損傷させるリスクを高める。長い処理時間はまた、所与の時間量の中でより少ないデバイスしか処理することができないため、より高いコストでの作動にもつながる。
【0031】
除染プロセス中、ポンプ80は、内腔52の中を通り、内腔52の全長74に沿うように除染物質36を押しやる。例えばポンプ80は、空気または除染物質36を含む他の流体を、内腔52の長さ74を進むのに適切な体積流量で内腔52内に押しやる、または内腔52内に誘導する。このようにして、内腔52の面全体が除染物質36と接触させられる。
【0032】
いくつかの実施形態において、ポンプ80は、内腔52の内側に沿って乱流を生み出すために好適な体積流量を提供してよい。他の実施形態においてポンプ80は、内腔52の内側に沿って層流を生成する場合もある。ポンプ80の流量は、流れの好適なタイプ(すなわち層流または乱流)を提供するために内腔52の内径に基づいて調節されてよい。
【0033】
ポンプ80によって提供される体積流量は、指定された量の除染物質36を特定の割合で提供するように事前に決められてよい。例えば除染チャンバ20内の空気中の気化した除染物質36の濃度が計算されてよく、適切な量の除染物質36を含む必要な体積の空気が、必要な除染を達成するために適切な時間量の中で内腔52の中を通るように押しやられてよい。
【0034】
ポンプ80を備えた除染システム10によって、十分なまたは適切な除染を達成するのに必要とされる時間を短縮し、そのために必要とされる化学物質の濃度を低下させることによって、ユーザが、除染すべきデバイスに対する損傷のリスクを抑えることを可能にする。より迅速な除染プロセスはまた、より短い除染プロセスを使用することを可能にし、このことは、所与の期間の間、単一の除染システム10によって処理することができるデバイスの数を増加させる。加えて、低濃度の除染物質36は、除染システム10を作動させるのにより少ない除染物質36およびより少ない時間しか必要としない除染プロセスを実現し、これにより除染プロセスのコストを低下させる。
【0035】
除染プロセスは、図1に記載される除染システム10を参照して、および対応する参照番号を参照して以下で説明される。しかしながら本明細書に記載される除染プロセスは、図1図3図4図5および図6に示される除染システム10、210、310、410のいずれかによって実行されてよい。本明細書に記載されるように、除染プロセスは、少なくとも1つの除染サイクルを含み、除染サイクルは、除染チャンバ20内への除染物質36の少なくとも1回の放出を含む。いくつかの実施形態において、除染プロセスは、2つ以上の同一の除染サイクルを含んでよい。除染サイクルの第1のステップは、除染チャンバ20内の圧力を大気圧を下回るように低下させることであってよく、最後のステップは、除染チャンバ20内の圧力を大気圧まで戻すことであってよい。いくつかの実施形態において、除染プロセスは、デバイス50が除染チャンバ20の中に配置されたときに始まり、デバイス50が除染チャンバ20から取り出されたときに終了する。
【0036】
いくつかの実施形態において、デバイス50および内腔52を除染するために、デバイス50が容器60の中に配置されてよく、内腔52は導管84に装着される。デバイス50は、容器60の中で密閉され、除染チャンバ20の中に配置されてよい。容器60は、導管84をポート82に接続することによってポンプ80に接続されてよい。
【0037】
デバイス50が除染チャンバ20の中に配置された後、ドア30が閉じられ密閉される。除染チャンバ20内の圧力は次いで、大気圧を下回るまで低下させられ、除染物質36が除染チャンバ20の中に投入されてよい。いくつかの実施形態において、圧力は、除染物質36が投入されるのと同時に低下させられる場合もある。あるいは、除染物質36は、圧力がチャンバ20内で減少した後に投入される場合もある。
【0038】
いくつかの実施形態において、除染物質36は、蒸気または霧に変換された後、除染チャンバ20に投入される。例えば蒸気は、除染物質36を蒸発器34に送り込み、そこで除染物質36が気化されることによって生成されてよい。気化した除染物質36は次いで、除染チャンバ20を満たす周囲以下の圧力下で除染チャンバ20に投入される。除染物質36は、除染チャンバ20の圧力が大気圧を下回ったとき、例えば100トール未満、50トール未満または10トール未満のとき、除染チャンバ20に投入されてよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、除染物質36は、およそ59%の過酸化水素と、バランスウォーターとを含んでよい。他の実施形態では、除染物質36は、過酢酸(PAA)を含む場合もある。例えば除染物質36は、好適な濃度でPAAを除染チャンバ20に送達する化学物質を含んでよい。いくつかの実施形態において、好適な濃度は、およそ1.0wt%から8.0wt%、およそ2.0wt%からおよそ7.0wt%、またはおよそ3.0wt%からおよそ6.0wt%の除染物質36の重量による特定の重量パーセンテージのPAAまたはこのような範囲内の任意の重量パーセンテージのPAAを含んでよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、除染物質36は、デバイス50および内腔52を除染するのに十分な、事前に計測された体積で提供される。例えばいくつかの実施形態において、除染プロセスは、所定の量の水性過酸化水素または過酢酸(PAA)などの除染物質36を包装容器42まで運ぶことを含む。追加として、または代替として、除染物質36は、大量にまたは一塊で提供されてもよく、除染システム10は、特定の除染サイクルのために蒸発器34に十分な量の除染物質36を提供してよい。
【0041】
本明細書で説明されるように、デバイス50を有する容器60の外面76の少なくとも特定の区域は、気化した除染物質36に対して透過性がある。除染サイクル中、気化した除染物質36は、容器60の外面76を通り抜け、デバイス50の外面54を除染する。ポンプ80が、空気を押し出す、または引き寄せることによって、気化した除染物質36を含む空気を除染チャンバ20から内腔52の中を通るように押しやる。内腔52の中を通るように空気を押しやることによって、内腔52の中を通る除染物質36を含む空気の流量が増大する。これは、内腔52が曝される化学物質の量を増大させ、デバイス50および内腔52の除染を達成するために必要とされるサイクル時間を減少させる、および/または化学物質の濃度を低下させる。
【0042】
除染物質36は、デバイス50の除染を促進するために、一定の期間除染チャンバ20内、および/または内腔52の中に保持されてよい。除染物質36が好適な時間量にわたって保持されたとき、制御装置38が、これより高い圧力まで、但し一部の実施形態ではなおも大気圧以下である圧力まで除染チャンバ20の気体を排出することができる。空気洗浄を利用して、除染物質36を含む蒸気を除染チャンバ20およびデバイス50から取り除くことができる。空気洗浄中、制御装置38は、除染チャンバ20内の圧力を増大させ、その後除染チャンバ20内の圧力を低下させてよい。いくつかの実施形態において、ポンプ80は、内腔52の中のいかなる残った除染物質36も除去するためにデバイス50の中に空気を誘導する場合がある。空気洗浄後、除染チャンバ20の内部を大気圧に戻すことができる。デバイス50の中を通る、および具体的には内腔52の中を通る流体流れを提供するための複数の実施形態が想像されるが、各実施形態において、当開示の目的は、内腔52を除染するために内腔52の長さに沿って十分な除染物質36を提供することである。種々の実施形態において、当出願は、気化した除染物質36を含む空気を内腔52の長さに至るまで押しやることを可能にするシステムを開示する。
【0043】
図2は、除染サイクルの一例の実施形態における除染チャンバ20内の圧力対時間のグラフを示す。図2に示されるように、グラフのx軸は、時間または継続時間を示しており、y軸は、除染チャンバ内の圧力を示す。図2に示されるように、いくつかの実施形態において、除染サイクルは、除染チャンバ内の複数の圧力の変化を含む場合がある。図2に図示される除染サイクルまたは除染サイクルの一部は、除染プロセスの中で複数回繰り返される場合もある。
【0044】
図2の除染サイクルは、真空前処理ステップ610、第1の除染ステップ620および第2の除染ステップ630を含む。真空前処理ステップ610は、圧力が除染チャンバから吸い出される第1のポンプダウン640と、任意選択の内腔ウォームアップ期間642とを含む。ウォームアップ期間642の間、除染チャンバ内の圧力は比較的一定に保持される。
【0045】
いくつかの実施形態において、真空前処理ステップ610の後に第1の除染ステップ620が続いてよい。第1の除染ステップ620中、除染物質は、第1の噴射ステップ650において除染チャンバに噴射される。第1の噴射ステップ650中、除染チャンバ内の圧力は増大する。一例の実施形態では、除染物質は、第1の噴射ステップ650中に除染チャンバに噴射される。除染物質は、第1の噴射ステップ650に示されるように一定の速度の単一の噴射で除染チャンバに噴射されてよい、またはそれは複数の段階的な噴射で噴射される場合もある。
【0046】
第1の噴射ステップ650の後に任意選択で圧力増大ステップ651が続く場合がある。圧力増大ステップ651において、除染チャンバ内部の圧力は、除染プロセスの効果を高めるために決められた好適な圧力まで増大される。除染物質が噴射された後、それは任意選択で、拡散期間652において除染チャンバ全体に拡散されてよく、その間圧力は一定に保持される。一部の実施形態では、任意選択の拡散期間652は使用されない。
【0047】
いくつかの実施形態において、拡散期間652の後、第2のポンプダウン654が実施されてよい。第2のポンプダウン654において、除染チャンバ内の圧力は低下する。第2のポンプダウン654の後、第2の除染ステップ630が実施される。第2の除染ステップ630において、第2の噴射ステップ660を利用して除染チャンバに除染物質を加えてよく、その間除染チャンバ内の圧力は増大する。第2の噴射ステップ660は、単一の噴射ステップで、または除染チャンバに除染物質を徐々に加えるのに使用され得る複数の段階的な噴射ステップで除染チャンバに除染物質を加えることを含んでよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、ポンプを使用して、除染サイクルと連携して、除染チャンバ内の空気をデバイスの特定の内腔または複数の内腔の中を通るように誘導してよい。例えば第1の噴射ステップ650、第2の噴射ステップ660または両方の噴射ステップにおいて、ポンプを使用して、除染チャンバ内の空気をデバイスの内腔に向けて、および/またはデバイスの内腔の中を通るように誘導してよい。いくつかの実施形態において、ポンプは、第1の噴射ステップ650または第2の噴射ステップ660のいずれかの前、またはそのいずれかの間、オンにされてよい。例えばポンプは、第1の噴射ステップ650および/または第2の噴射ステップ660に合わせてオンにされる、またはほぼそれに合わせてオンにされてよい。いくつかの実施形態において、ポンプは、第1の噴射ステップ650の前、またはそのステップの間オンにされてよく、第1の噴射ステップ650の終わりに、またはそのステップの後、オフにされてよい。追加として、または代替として、ポンプは、第2の噴射ステップ660の前、またはそのステップの間オンにされてよく、第2の噴射ステップ660の終わりに、またはそのステップの後、オフにされてよい。いくつかの実施形態において、ポンプは、第1の噴射ステップ650および第2の噴射ステップ660の両ステップの前、または両ステップの間、オンにされてよく、ポンプは第一の噴射ステップ650の前か始まりにオンされてよき、第2の噴射ステップ660の終わりに、またはそのステップの後、オフにされてよい。
【0049】
第2の噴射ステップ660の後、複数の空気洗浄662が実施されてよい。図2に示されるように、複数の空気洗浄662は、除染チャンバ内の圧力を繰り返し増大させたり、低下させたりすることを含んでよい。いくつかの実施形態において、ポンプ80は、除染すべきデバイスの内部に沿って空気を押しやるために複数の空気洗浄662において稼働されてよい。空気洗浄は、除染チャンバから適切な量の除染物質を取り除くために任意の回数行われてよい。適切な回数の空気洗浄662の後、除染チャンバ内の圧力は、最終的な排気ステップ664において大気圧に到達するようにされてよい。
【0050】
図3は、除染システム100の概略図であり、このシステムは、除染チャンバ20、真空ポンプ32、蒸発器34、包装容器42内に保持される除染物質36の供給源、制御装置38、容器60の中に位置決めされたデバイス50およびポンプ80を含む。図3に示されるようにポンプ80は、内腔52の第2の端部72においてデバイス50に接続される。この構成において、ポンプ80は、流体を内腔52の中を通して第1の端部70から第2の端部72へと引き寄せることができる、またはポンプ80は、第2の端部72から第1の端部70へと空気を押し出すことができる。
【0051】
図3に示されるように、ポンプ80は、気化した除染物質36を含む空気を内腔52の第2の端部72内に押し出してよく、空気は、第1の端部70において内腔52から出て行く。他の実施形態においてポンプ80は、内腔52の第2の端部72から空気を引き寄せるように構成されてもよく、これは、気化した除染物質36を含む空気が内腔52の第1の端部70に引き込まれるようにする。気化した除染物質36を含む除染チャンバ20内の空気は、容器60を通り抜け、内腔52の第1の端部70へと吸い込まれてよい。
【0052】
図4は、除染システム200の概略図であり、このシステムは、除染チャンバ20、真空ポンプ32、蒸発器34、包装容器42内に保持される除染物質36の供給源、制御装置38、容器60の中に位置決めされたデバイス50およびポンプ80を含む。図4に示されるように、一部の実施形態では、ポンプ80は、容器60の内部でデバイス50に直接結合されない。すなわち、除染物質36をデバイス50に提供するのに使用される構造体、例えばポンプ80の出口98または容器60の内部のポート82に装着される導管78などがデバイス50から物理的に隔てられており、すなわち離間されている端部88において終端してよく、デバイス50には触れていない。すなわちポンプ80の出口98、導管78またはポート82は、デバイス50から一定の距離だけ離間されることによって物理的に隔てられてよい。図4に示されるように、空気を容器60内に誘導するのに使用される構造体、例えばポート82は、デバイス50から離間された、容器60内の端部88を有してよい。出口98および/またはポート82は、デバイス50から離間され、ポンプ80からデバイス50まで流れを誘導するように成形されてよく、これによりデバイス50がポンプ80に触れることなく、または出口98などのポンプ80、ポート82またはポート82の端部88とのいかなる物理的な接続もなしに、ポンプ80と内腔52との間の流体連通を可能にする。
【0053】
いくつかの実施形態において、デバイス50は、流体の流れの一部がデバイス50の周りに流れることを可能にするために、デバイス50とポート82の端部88との間、またはデバイス50とポンプの出口98との間に好適な間隔を有して位置決めされてよい。この間隔は、端部88とデバイス50との間の一定の距離または隙間を可能にし得ることで、端部88とデバイス50が触れることがなく、その一方で内腔52の中を通る十分な流体の流れと、デバイス50の周りの流体の流れも可能にする。いくつかの実施形態において、内腔52の第1の端部54は、ポンプ80からの流体流路の端部から、すなわち図4における端部88からおよそ0.5cm以下、1.0cm以下または3.0cm以下だけ離間されてよい。いくつかの実施形態において、内腔52の第1の端部54と端部88は互いに接触せず、0.5cm以下だけ離間される場合もある。内腔52の第1の端部54は、ポンプ80を出て行く空気の好適な一部が内腔52の中を流れることを可能にする距離だけポート82の端部88から、またはポンプ出口98から離間されてよい。例えば内腔52の第1の端部54は、ポンプ80からの流体流路の端部、すなわち図4における端部88から出て行く流れの少なくともおよそ90%、少なくともおよそ80%または少なくともおよそ70%が内腔52に進入しその中を流れることを可能にするようにポート82の端部88から離間されてよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、内腔52の中を通るように誘導されるポート82を出て行く空気流の一部が、除染サイクル中、内腔52の十分な除染を達成するために内腔52の中を通る好適な体積流量の空気を提供するように、デバイス50は好適な距離だけ離間されてよい。すなわち、内腔52の中を通るように誘導される空気に時間量を掛けたとき、好適な総体積の空気が内腔52の中を通るように誘導されるように、内腔52の中を通るように誘導される空気の一部は、好適な体積流量の空気である。好適な空気の体積は、除染サイクル中デバイス50の周りを流れ、デバイス50の外側を除染するようにされる場合もある。
【0055】
図4に示されるようにいくつかの実施形態において、ポンプ80は、空気を除染チャンバ20内から容器60の中に押しやり、デバイス50および内腔52の内側と外側の両方を流れるように構成されてよい。このような構成では、気化した除染物質36を含むポンプ80からの空気の流れは、デバイス50の内腔52に向けて運ばれてよく、空気の流れの一部は、デバイス50の外側の周りを流れるようにされ、空気の流れの一部は内腔52の中を流れるようにされる。いくつかの実施形態において、端部88は、端部88から流れ出る流体を誘導するように成形されてよい。例えば端部88は、流体が端部88を出て行く際、流体を誘導するためにテーパまたは先端を含んでよい。いくつかの実施形態において、除染物質36を含む空気を内腔52に誘導するのに使用される構造体は、内腔52と整列されてよい。例えばポート82は、内腔52の中心軸と整列された中心軸を有し、内腔52の中に、またはデバイス50の入口に空気の好適な流れを提供してよい。
【0056】
図4に示されるように除染物質36を含む空気は、ポンプ80またはポンプの出口98をデバイス50と物理的に接触させることなく、内腔52の中を流れるように運ばれてよい、または誘導されてよい。いくつかの実施形態において、デバイス50とポンプ80からの導管との間の接続部など、接続地点において表面を除染するのが困難な場合がある。システム200の構成は、デバイス50およびポンプ80からの導管の接続面をなくす。
【0057】
図5は、除染システム202の概略図であり、このシステムは、除染チャンバ20、真空ポンプ32、蒸発器34、包装容器42内に保持される除染物質36の供給源、制御装置38、容器60の中に位置決めされたデバイス50およびポンプ80を含む。除染システム202は、ポンプ80と容器60の内部のデバイス50との間の流体連通を実現するのに使用される構造体、例えばポンプ80の出口98またはポート82に装着される導管78などを含んでよい。図5に示されるように、噴射接続機構86がポート82に装着され、少なくとも一部が内腔52の中に位置決めされて、内腔52に触れることなく内腔52内に流体を誘導する。いくつかの実施形態において、噴射接続機構86は、内腔52の中に位置決めされる噴射接続機構86の外径が内腔52の内径より小さくなるようにサイズが決められる。例えばいくつかの実施形態において、噴射接続機構86は、内腔52に触れずにデバイス50の内腔52に嵌合する。システム202では、噴射接続機構86が除染物質36を含む空気をデバイス50の内腔52へと運ぶことで、内腔52と接触し、場合によっては内腔52を汚染することなしに、内腔52の除染のために好適な流量の空気が内腔52に投入されることを保証することができる。
【0058】
図6は、除染システム210の概略図であり、このシステムは、内腔252を含むデバイス250を取り囲む容器260の内部にポンプ280を含む。容器260は、デバイス250およびポンプ280を保持する囲まれた空間を形成する。
【0059】
図6に示されるように除染システム210は、除染チャンバ220、真空ポンプ232、蒸発器234、包装容器242内に保持される除染物質236の供給源、制御装置238、容器260の中に位置決めされたデバイス250およびポンプ280を含む。真空ポンプ232は、導管244によって除染チャンバ220に接続される。蒸発器234は、導管240によって、除染チャンバ220に接続される除染物質236は、包装容器242の中に保持され、導管246によって蒸発器234に接続される。制御装置238は、真空ポンプ232、蒸発器234およびポンプ280のうちの1つまたは複数に接続され、それらを制御するように構成される。
【0060】
容器260は、容器260に関して上記で説明したような囲まれた空間を形成する1つまたは複数の側面または部分264を有してよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、ポート282が容器260上に位置決めされ、ポンプの入口296に接続される。ポート282は、ねじ込み接続またはクイック接続などの任意の好適な接続を利用してポンプの入口296に装着されてよい。ポート282は、流体が、容器260の壁292を通り抜け、ポンプの入口296まで流れるのを可能にする。すなわちポンプの入口296は、ポート282を介して除染チャンバ220と流体連通している。いくつかの実施形態において、ポンプ280は、壁292から離間されてよい。いくつかの実施形態において、気化した除染物質236が通り抜けることを可能にし、容器260が除染チャンバ220から取り出された後、滅菌環境が容器260の中で維持されることを可能にする透過性材料がポート282の両端に配置される。
【0062】
いくつかの実施形態において、ポンプの入口296は、ポート282なしで壁292に直接接続されてもよい。例えばポンプ280は、容器260の内側で壁292に装着されてよく、ポンプの入口296は、容器260の外側に配置されてよい。いくつかの実施形態において、容器260は、ポート282を含まず、ポンプ280の入口と整列された容器の一部は、気化した除染物質236が通り抜けることが可能である、または侵入可能である。例えば使用中、除染チャンバ220内の気化した除染物質236は、容器260の表面276を通り抜け、容器260に進入し、ポンプの入口296に流れ込むことができる。いくつかの実施形態において、容器は、ポート282と、除染物質236が侵入する、または通り抜ける可能性のある表面276の特定の区域の両方を有する場合もある。このような構成は、除染チャンバ220からの空気が、ポート282を通って進入し、容器の表面276を通り抜けて出て行くことを可能にしてよい。
【0063】
ポンプ280は、内腔252と流体連通し、除染サイクルの少なくとも一部において、除染チャンバ220からの空気をデバイス250の内腔252の中に押しやる、またはその中に誘導する。除染チャンバ220からの空気は内腔252の全長274を進むように、ポンプ280は十分な流量を提供するように構成される。ポンプ280は、内腔252の長さ274に沿って乱流を形成するために内腔252を通る好適な体積流量を提供するように制御されてよい。この方法において、ポンプ280は、除染チャンバ220からの空気を長さ274に沿って内腔252の中を通り第2の端部272まで押し出す、または押しやることで内腔252の内側面全体を除染する。
【0064】
いくつかの実施形態において、ポンプの出口298は、導管284によって内腔252の第1の端部270に接続され、これは図1のシステム10と同様である。他の実施形態では、ポンプの出口298は、内腔252の第2の端部272に接続されてもよく、これは図3のシステム10と同様である。いくつかの実施形態において、導管284は、内腔252と物理的に接触せず、内腔252から離間されており、これは図4のシステム200と同様である。いくつかの実施形態において、空気を内腔252内に誘導するのに、図5に示されるものと同様の噴射接続機構が使用されてよい。
【0065】
ポンプ280は、内腔252の内部容積に好適な体積流量を提供するように構成されてよい。例えばポンプ280の体積流量は、内腔252の長さ274に至るまで特定の速度で空気を提供するために、例えば内腔252の内側に沿って乱流を提供するように設計されてよい。ポンプ280は、長さと幅の大きな比を有する場合があり、またそうでなければ好適な除染プロセスを実行するためにより高い濃度の気化した除染物質236を必要とする可能性があるデバイス250をユーザが迅速に除染することを可能にする。ポンプ280はよって、ユーザが内腔252を有するデバイス250をより素早く、かつより低濃度の除染物質236によって除染することを可能にし、これによりユーザがデバイス250に対する潜在的な損傷を回避することを可能にする。
【0066】
ポンプ280は、電池および外部電源を含めた任意の好適な手段によって動力が与えられてよい。ポンプ280が電池によって動力が与えられることによって、容器260の外部の電源への接続を必要とせずに、容器260内のどこにでもポンプ280が配置されるようにする。ポンプ280は、例えば、容器260の内部のポンプ280を回す容器260の外部に配置された電源にポンプ280を磁気結合させることによって、容器の外部の電源によって動力が与えられる場合もある。
【0067】
いくつかの実施形態において、ポンプ280は、ドア230を除染チャンバ220に対して閉める前に容器260の中に配置され、オンにされてよい。いくつかの実施形態において、ポンプ280は、容器260の中に配置され、容器260が、内部のポンプ280によって密閉される場合もある。いくつかの実施形態において、ポンプ280は、容器260の中に配置されてよく、ポンプ280は、容器260が密閉される前にオンにされてよい。追加として、または代替として、ポンプ280は、除染チャンバ220の内部または容器260の内部の空気圧を検出するセンサを含んでよい。除染チャンバ220の内部か容器260の内部で好適なまたは指定された空気圧が検出された場合、ポンプ280は、オンになるように構成されてよい。
【0068】
図7は、2つの内腔、すなわち第1の内腔352と、第2の内腔356とを含む内腔デバイス350の除染のための除染システム310の概略図である。図7は、図1および図6を参照してこれまでに説明したのと同様の特徴を示しており、同等の要素の数字は、3が頭に付いている。
【0069】
図7に示されるように、除染システム310は、除染チャンバ320、真空ポンプ332、蒸発器334、包装容器342内に保持される除染物質336の供給源、制御装置338、容器360の中に位置決めされたデバイス350およびポンプ380を含む。真空ポンプ332は、導管344によって除染チャンバ320に接続される。蒸発器334は、導管340によって除染チャンバ320に接続される。除染物質336は、包装容器342の中に保持され、導管346によって蒸発器334に接続される。制御装置338は、真空ポンプ332、蒸発器334およびポンプ380のうちの1つまたは複数に接続され、これらを制御するように構成することができる。
【0070】
容器360は、図1に関して説明した容器60と同様であってよい。追加として、容器360は、第1のポート382および第2のポート386などの1つまたは複数のポートを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1のポート382は、導管378を接続するために容器360の外側にある部分と、導管384を接続するために容器360の内側にある部分とを含んでよい。気化した除染物質336が通り抜けることができる膜が、第1のポート382の部分の間に位置決めされてよい。この方法において、気化した除染物質336は、除染プロセス中、容器360の中に浸透することができ、容器360が除染チャンバ320から取り外された後、滅菌環境が容器360内で維持されることを可能にする。
【0071】
ポンプ380は、除染チャンバ320の中で、かつ容器360の外側に位置決めされる。ポンプ280は、入口396、第1の出口398および第2の出口399を有する。流体は入口396を通ってポンプ380に進入し、出口398および399を通ってポンプ380を出て行く。
【0072】
入口396は、除染チャンバ320内の環境に曝される、またはそれと流体連通している。出口398および399は、導管378および379を介してデバイス350に接続されるため、ポンプ380は除染チャンバ320からの空気をデバイス350の第1の内腔352および第2の内腔356内に押しやる。例えば除染サイクル中、ポンプ380は、除染物質336を含む空気をデバイス350の第1の内腔352および第2の内腔356内に誘導する。ポンプ380は、除染チャンバ320からの空気が第1の内腔352および第2の内腔356の全長に流れるように十分な流量を提供するように構成される。
【0073】
いくつかの実施形態において、第1の弁392が、ポンプ380と第1のポート382との間に含まれてよく、第2の弁394が、ポンプ380と第2のポート386との間に含まれてよい。第1の弁392は、ポンプ380と第1のポート382との間の流れを調整し、第2の弁394は、ポンプ380と第2のポート386との間の流れを調整する。第1の弁392は、ポンプ380および第1の内腔352からの気化した除染物質336を含む空気の第1の流量を制御してよい。第2の弁394は、ポンプ380および第2の内腔356からの気化した除染物質336を含む空気の第2の流量を制御してよい。
【0074】
第1の弁392および第2の弁394は、互いに独立して第1の流量および第2の流量を制御してよい。いくつかの実施形態において、第1の弁392および第2の弁394は、除染物質336が所定の時間に単一の内腔を通って流れるように制御されてよい。例えば第1の弁392は、第2の弁394が開かれるとき、閉じられてよく、除染物質336は、第2の内腔356を通って流れることができ、第1の内腔352を通って流れないようにされる。
【0075】
いくつかの実施形態において、デバイス350は、異なる長さまたは異なる内径を有する第1の内腔352と、第2の内腔356とを含んでよい。第1の弁392および第2の弁394を使用して、第1の内腔352および第2の内腔356の各々に対して独立して、第1の内腔352および第2の内腔356の各々の特定の内径にとって好適な第1の流量および第2の流量を制御することができる。
【0076】
いくつかの実施形態において、ポンプ380は、除染チャンバ320内からの空気をデバイス350内に押しやることで、第1の内腔352および第2の内腔356の除染を促進させてよい。例えばポンプ380は、除染チャンバ320内から、気化した除染物質336を含む空気を吸い込み、第1のポート382および第2のポート386を通ってそれを容器360内に送ることができる。デバイス350は、第1の内腔352の第1の端部370または第2の端部372において容器360の内側にある第1の接続機構384に接続されてよく、第2の内腔356の第1の端部374または第2の端部376において第2の接続機構388に接続されてよい。ポンプ380は、除染チャンバ320内からの気化した除染物質336を含む空気を第1の内腔352の第1の端部370内および/または第2の内腔356の第1の端部374内に押し出してよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、ポンプ380は、第1の内腔352の第1の端部370および/または第2の内腔356の第1の端部374から空気を吸い込み、これが、気化した除染物質336を含む空気を第1の内腔352の第2の端部372および/または第2の内腔356の第2の端部376に吸い込まれるようにすることに関わる場合もある。空気を容器360から第1の内腔352および第2の内腔356に吸い込むことによって、除染物質336を含む除染チャンバ320内の空気は、容器360の表面368を通り抜け、第1の内腔352の第2の端部372および第2の内腔356の第2の端部376に吸い込まれてよい。
【0078】
ポンプ380は、第1の内腔352および第2の内腔356の内部容積に適した体積流量を提供するように構成されてよい。ポンプ380の体積流量は、第1の内腔352および第2の内腔356の各々の長さに至るまで特定の速度で空気を提供してよい。ポンプ380および弁392、394は、第1の内腔352および第2の内腔356の内部に沿って乱流を提供してよい。第1の内腔352および第2の内腔356の各々の内径に応じて、ポンプ380および弁392、394は、必要とされる構成に応じて、特定の体積流量で層流または乱流である空気を提供するように調節されてよい。ポンプ380は、特定の割合で特定の量の除染物質336を提供するために特定の体積流量で空気を提供するように設計されてよい。例えば除染チャンバ320内の空気中の気化した除染物質の濃度が計算されてよく、好適な量の除染物質336を含む空気の必要とされる量が、必要とされる除染を達成するために好適な時間量の中で第1の内腔352および第2の内腔356の中を通るように押しやられてよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、ポンプ380は、第1の内腔352および第2の内腔356の第2の端部372、376に装着されてよい。いくつかの実施形態において、ポンプ380は、第1の内腔352および第2の内腔356の第2の端部372、376内に空気を押し出す、またはそこから空気を引き寄せてよい。いくつかの実施形態において、容器360の内部にある第1の接続機構384と第1の内腔352との間、および容器360の内部にある第2の接続機構388と第2の内腔356との間に間隔があってよい。すなわち第1の内腔352および第2の内腔356は、デバイス350と第1の接続機構384との間、およびデバイス350と第2の接続機構388との間に隙間を有して容器360の中に位置決めされ得ることで、第1の内腔352と第1の接続機構384および第2の内腔356と第2の接続機構388は、互いに触れていない。いくつかの実施形態において、第1の接続機構384とデバイス350との間、および第2の接続機構388とデバイス350との間に特定の間隔がある場合もあり、第1の接続機構384および第2の接続機構388がデバイス350の中に空気を誘導するように成形される場合もある。例えば、第1の接続機構384および第2の接続機構388は、デバイス350の第1の内腔352および第2の内腔356に触れることなく、デバイス350の第1の内腔352および第2の内腔356内に空気を誘導するために先細になった端部を有するように成形されてよい。第1の接続機構384および第2の接続機構388は、デバイス350内に好適な空気の流れを誘導するために、第1の接続機構384および第2の接続機構388の各々の中心軸が、デバイス350の第1の内腔352および第2の内腔356の中心軸と整列した状態で位置決めされてよい。
【0080】
ポンプ380は、長さと幅の大きな比を有する1つまたは複数の内腔を有する場合があり、そうでなければ好適な除染プロセスを実行するためにより高い濃度の気化した除染物質336を必要とし得るデバイス350をユーザが迅速に除染することを可能にする。ポンプ380はよって、ユーザが1つまたは複数の内腔を有するデバイス350をより素早く、かつより低濃度の除染物質336によって除染することを可能にし、これによりユーザがデバイス350に対する潜在的な損傷を回避することを可能にする。追加として、低濃度の除染物質336は、除染システム310を作動させるのにより少ない除染物質336と、より少ない時間しか必要としない除染プロセスを実現し、これにより除染プロセスのコストを低下させる。
【0081】
図8は、除染システム410の概略図である。除染システム410は、除染チャンバ420、真空ポンプ432、蒸発器434、除染物質436の供給源、制御装置438、導管440、および除染物質436を収容する、および/または送達するための包装容器442とを含む。除染物質436は、包装容器442の中に保持され、導管446によって蒸発器434に接続される。除染チャンバ420は、開放し、容器460内に収容される除染すべきデバイス450を受け入れるように構成されたドア430を有してよい。ドア430は、閉じられ密閉され、除染チャンバ420の外部の圧力より高い、またはそれより低い除染チャンバ420の内部の圧力を維持してよい。
【0082】
図8に示される除染システム410を使用して、第1の端部470および第2の端部472を有する第1の第1の内腔452と、第1の端部474および第2の端部476を有する第2の内腔456とを除染することができる。
【0083】
容器は、底部462、頂部466および側部464を有してよい。容器460は、表面469を画定してよい。容器460は、少なくとも1つの部分、例えば除染物質436が侵入する、または通り抜けることができる少なくとも1つの第1の面468を有してよい。図7に示されるようにポンプ480は、容器460の中に含まれてよい。いくつかの実施形態において、除染システム410は、除染すべきデバイス450を収容する容器460の中に流れを誘導するためのポート482を含んでよい。いくつかの実施形態において、ポート482は、容器460の外側から容器460内への流体連通を実現するように構築されてよい。
【0084】
ポンプ480は、除染チャンバ420内に空気を押しやるための空気ポンプ、ファン、、送風機、圧縮機またはふいごであってよい。ポンプ480は、ポート482と流体連通してよい。容器460は、容器460の内部に第1の接続機構484と、第2の接続機構486とを含んでよい。第1の接続機構484は、第1の内腔452の第1の端部470または第2の端部472に接続されてよく、第2の接続機構486は、第2の内腔456の第1の端部474または第2の端部476に接続されてよい。第1の弁492が、ポンプ480と、第1の接続機構484との間に含まれてよく、第2の弁494が、ポンプ480と、第2の接続機構486との間に含まれてよい。第1の弁492は、ポンプ480と、第1の内腔452に接続される第1の接続機構484との間の流れを調整してよく、第2の弁494は、ポンプ480と、第2の内腔456に接続される第2の接続機構486との間の流れを調整してよい。第1の弁492および第2の弁494は、第1の内腔452および第2の内腔456の各々に対して独立して、第1の内腔452および第2の内腔456の各々の特定の内径にとって好適な第1の体積流量および第2の体積流量を制御するのに使用されてよい。
【0085】
ポンプ480は、内腔452、456の除染を実現するために、除染チャンバ420内からポート482を通ってデバイス450内へと空気を吸い込んでよい。ポンプ480は、気化した除染物質436を含む空気を、除染チャンバ420内からポート482を通って容器460の中に吸い込むように構成されてよい。ポンプ480は、気化した除染物質436を含む空気を、容器460の内部にある第1の接続機構484および/または第2の接続機構486内に、ならびに第1の内腔452および第2の内腔456の中に押しやることができる。例えば除染すべきデバイス450は、第1の内腔452の第1の端部470または第2の端部472において容器460の内部にある第1の接続機構484に接続されてよい、および/または第2の内腔456の第1の端部474または第2の端部476において第2の接続機構486に接続されてよい。ポンプ480は、気化した除染物質436を含む空気を除染チャンバ420内からポート482を通って吸い込み、それを第1の接続機構484を通って第1の内腔452の第1の端部470内に送ることができる。いくつかの実施形態において、ポンプ480は、第1の内腔452の第1の端部470に真空を形成し、これが気化した除染物質436を含む空気を容器460の中から第1の内腔452の第2の端部472内に吸い込むことによって、第1の内腔452の第1の端部470から空気を吸い出す場合もある。
【0086】
ポンプ480は、第1の内腔452および第2の内腔456の内部容積に適した体積流量を提供するように構成されてよい。ポンプ480の体積流量は、第1の内腔452および第2の内腔456の各々の長さに至るまで特定の速度で空気を提供してよい。ポンプ480および弁492、494は、第1の内腔452および第2の内腔456の内部に沿って乱流を提供してよい。第1の内腔452および第2の内腔456の各々の内径に応じて、ポンプ480および/または弁492、494は、必要とされる構成に応じて層流または乱流である空気を特定の体積流量で提供するように調節されてよい。ポンプ480は、特定の割合で特定の量の除染物質436を提供するために特定の体積流量で空気を提供するように設計されてよい。例えば除染チャンバ420内の空気中の気化した除染物質436の濃度が決められてよく、好適な量の除染物質436を含む必要な体積の空気が、必要とされる除染を達成するために好適な時間量の中で第1の内腔452および第2の内腔456を通るように押しやられてよい。
【0087】
ポンプ480は電池駆動式であってよく、これは容器460の外部の電源への接続を必要とせずに、容器460の中にそれを配置することを可能にし得る。例えばポンプ480は、ドア430を除染チャンバ420に対して閉める前に、容器460の中に配置され、オンにされてよい。あるいはポンプ480は、除染チャンバ420の内部の空気圧を検出するセンサを含んでよい。除染チャンバ420の内部で好適な空気圧が検出された場合、ポンプ480は、オンになるように構成されてよい。いくつかの実施形態において、ポンプ480は、除染チャンバ420の内部のポンプ480をオンにする除染チャンバ420の外部に配置された電源への磁気結合(図示せず)によって動力が与えられる場合もある。
【0088】
ポンプ480は、長さと幅の大きな比を有する内腔を有する場合があり、そうでなければ好適な除染プロセスを実行するためにより高い濃度の気化した除染物質436を必要とする可能性のあるデバイス450をユーザが迅速に除染することを可能にする。ポンプ480はよって、内腔を有するデバイス450をユーザがより素早く、かつより低濃度の除染物質436によって除染することを可能にし、これによりユーザがデバイス450に対する潜在的な損傷を回避することを可能にする。追加として、低濃度の除染物質436は、除染システム410を作動させるのにより少ない除染物質436と、より少ない時間しか必要としない除染プロセスを実現し、これにより除染プロセスのコストを低下させる。
【0089】
除染サイクルおよび除染プロセスに必要とされる時間を短縮し、その一方でなおも所望される除染レベルを達成することが望ましい。デバイスの効果的な除染に必要とされる時間を減少させることは、ユーザがより少ない時間でより多数のデバイスを除染することを可能にする。デバイスの内腔を通るように除染物質を押しやることは、ユーザが、細長いおよび/または曲がりくねった流路を有するデバイスの中に除染物質を直接流すことを可能にする。例えば内視鏡、または長さと幅の大きな比を有する内腔を有する他のデバイスは、除染物質を内腔の内部に直接噴射させることから利益を得ることができる。
【0090】
除染物質を内腔の内部に直接噴射することによって、除染物質が内腔の内面に接触するのにより効果的な手段が提供され、これはポンプを含まないプロセスと比べて、より少ない除染物質しか必要としない除染プロセスを提供してよい。このプロセスはまた、内腔の内面全体が除染物質と接触することも保証する。すなわち、直接噴射は、除染物質が内腔の全長に浸透する能力を高める。除染物質を内腔の中に直接噴射することの1つの潜在的な利点は、内腔の全長に沿った適切な除染に必要とされるサイクル時間が減少することである。
【0091】
上記に記載したシステムおよび方法を用いて、本明細書に開示される除染システムは、1.0、2.0、3.0または4.0メートルの長さの内腔を効果的に滅菌することができることが分かった。本明細書に開示されるプロセスは、除染サイクルの作動パラメータを内腔の圧力と温度の許容範囲内に維持しつつ、3.5メートルの長さの内腔を首尾よく滅菌することが分かった。本明細書に開示されるプロセスは、1mm、1.6mm、2mmおよび3.45mmの内径および3mm、3.18mm、4mmおよび4.76mmの外径、ならびにその間の任意の値のものを有する内腔を首尾よく滅菌することが分かった。59%の過酸化水素を含有する2.0、1.0または0.9mLのわずかな除染物質が、複数の内腔を同時に除染することに成功することも分かった。
【0092】
本発明の範囲から逸脱することなく、種々の修正および追加を考察された一例の実施形態に対して行うことができる。例えば上記に記載した実施形態は、特定の機構を指しているが、本発明の範囲は、上記に記載される機構の全ては含んでいない機構および実施形態の異なる組み合わせを有する実施形態も含んでいる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8