(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】キャパシタモジュールバランシング及びメンテナンスのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20220802BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220802BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220802BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H02J7/00 X
(21)【出願番号】P 2019540349
(86)(22)【出願日】2018-01-25
(86)【国際出願番号】 US2018015310
(87)【国際公開番号】W WO2018140641
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-12
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522196146
【氏名又は名称】ユーキャップ パワー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イエン ロン
(72)【発明者】
【氏名】セッターバーグ ウルフ カール ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】チリヤンカンダス リーゼル マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】リンドバック マグヌス
(72)【発明者】
【氏名】リンズ ロバート ショウ
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-322925(JP,A)
【文献】特開2014-215137(JP,A)
【文献】特開2014-057489(JP,A)
【文献】特表2013-537791(JP,A)
【文献】特開2009-038857(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0093400(US,A1)
【文献】国際公開第2014/157449(WO,A1)
【文献】特開平10-051952(JP,A)
【文献】特開2009-148125(JP,A)
【文献】特開2001-197660(JP,A)
【文献】特開2003-244859(JP,A)
【文献】特表2009-512144(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0080662(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0278227(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0105948(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ1つ以上のセルを有するモジュールのストリング内のセルのバランスを取るための装置であって、
複数のモジュールのそれぞれから平均セル電圧値を受信し、
前記複数のモジュールの全体の平均セル電圧を求め、
前記複数のモジュールのそれぞれに、そのセルのそれぞれの相対容量を前記全体の平均セル電圧に基づいて求めさせ、
前記複数のモジュールのそれぞれに、そのセルのバランスを、前記モジュールの各セルのそれぞれの前記相対容量に基づいて取らせ
て、ゼロと所定の最大電圧との間のシステム設定点電圧を生成させることであって、前記システム設定点電圧は前記モジュールの前記セルのサンプリングされた電圧に基づいて動的に調節される、システム設定点電圧を生成させること、を行う
ように構成された処理システムと、
前記平均セル電圧値を前記複数のモジュールのそれぞれから受信するように構成された通信回路と
を備える装置。
【請求項2】
前記処理システムは、
バランスが取られたセル電圧の最大と最小との間の差に対応する低電圧セル差の最大値を求め、
前記低電圧セル差の最大値を前記セルの制約条件として定める
ように更に構成され、
前記通信
回路は、前記制約条件を前記複数のモジュールのそれぞれに送信するように更に構成され、
前記制約条件は、モジュールの前記ストリング内の全てのセルのうち最大セル電圧を有する第1セルとモジュールの前記ストリング内の全てのセルのうち最小セル電圧を有する第2セルとの間の差を、前記低電圧セル差の最大値以下にさせる
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記処理システムは、前記セルのそれぞれを最大セル
電圧に充電させ、最小セル
電圧に放電させることに基づいて、前記複数のモジュールのそれぞれに、前記モジュールのセルのそれぞれの相対容量を求めさせるように構成される
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記処理システムは、前記複数のモジュールのセルのそれぞれのバランスが取られているという表示を受信するように更に構成され、
前記通信回路は、前記表示を前記複数のモジュールのそれぞれから受信するように更に構成される
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記処理システムは、前記複数のモジュールのそれぞれに対する、前記複数のモジュールのセルのそれぞれを放電して
所定の電圧を達成する命令を生成するように更に構成され、
前記通信回路は、前記命令を前記複数のモジュールのそれぞれに送信するように更に構成される
請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記処理システムは、前記複数のモジュールのそれぞれに対する、前記モジュールのセルのそれぞれをゼロボルトに放電する命令を生成するように更に構成され、
前記通信回路は、前記命令を前記複数のモジュールのそれぞれに送信するように更に構成される
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記処理システムは、前記複数のモジュールのそれぞれのセルのそれぞれを、受動放電構成要素、能動放電構成要素、又は受動/能動放電構成要素の組合せのうちの1つによって完全に放電する
ように構成される
請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
前記処理システムは、
所定の最大セル電圧より大きい過剰
に正のセル電圧の放電及び
所定の最小セル電圧より小さい過剰
に負のセル電圧の放電のうちの少なくとも1つに基づいて、前記複数のモジュールのそれぞれに、前記モジュールの前記セルのバランスを取らせるように構成される
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記処理システムは、前記複数のモジュールのそれぞれからの前記平均セル電圧値の要求を生成するように更に構成され、
前記通信回路は、生成された前記要求を前記複数のモジュールのそれぞれに送信するように更に構成される
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記通信回路は、全体の平均セル電圧を前記複数のモジュールのそれぞれに送信するように更に構成される
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記平均セル電圧は、
前記モジュールについての所定の平均モジュール目標電圧(AMTV)を含み、
前記全体の平均セル電圧は、前記複数のモジュールのそれぞれから受信された前記AMTVの最小AMTVを含み、
前記処理システムは、前記複数のモジュールのそれぞれに、調節されたセル目標電圧を前記最小AMTVに基づいて求めさせるように更に構成され、
前記処理システムは、前記複数のモジュールのそれぞれに、前記モジュールの各セルのそれぞれの相対容量及び前記調節されたセル目標電圧に基づいて、前記モジュールのセルのバランスを取らせる
請求項1の装置。
【請求項12】
それぞれ1つ以上のセルを有する複数のモジュールのストリング内のセルのバランスを取る方法であって、
前記複数のモジュールのそれぞれから平均セル電圧値を受信すること、
前記複数のモジュールの全体の平均セル電圧を求めること、
前記複数のモジュールのそれぞれに、そのセルのそれぞれの相対容量を前記全体の平均セル電圧に基づいて求めさせること、及び、
前記複数のモジュールのそれぞれに、そのセルのバランスを、前記モジュールの各セルのそれぞれの相対容量に基づいて取らせ
て、ゼロと所定の最大電圧との間のシステム設定点電圧を生成させること
であって、前記システム設定点電圧は前記モジュールの前記セルのサンプリングされた電圧に基づいて動的に調節される、システム設定点電圧を生成させること、
を備える方法。
【請求項13】
バランスが取られたセル電圧の最大と最小との間の差に対応する低電圧セル差の最大値を求めること、
前記低電圧セル差の最大値を前記セルの制約条件として定めること、
前記制約条件を前記複数のモジュールのそれぞれに送信すること、及び、
モジュールの前記ストリング内の全てのセルのうち最大セル電圧を有する第1セルとモジュールの前記ストリング内の全てのセルのうち最小セル電圧を有する第2セルとの間の差を、前記低電圧セル差の最大値以下にさせること
を更に備える請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のモジュールのそれぞれに、前記モジュールのセルのそれぞれの相対容量を求めさせることは、前記セルのそれぞれ
を最大セル
電圧に充電させ、最小セル電圧に放電させることを含む
請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のモジュールのセルのそれぞれのバランスが取られていることの表示を受信することを更に備え、
前記表示は前記複数のモジュールのそれぞれから受信される
請求項
12に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のモジュールのそれぞれに、そのセルのバランスを取らせることは、
所定の最大セル電圧より大きい過剰
に正のセル電圧を放電すること及び
所定の最小セル電圧より小さい過剰
に負のセル電圧を放電することのうちの少なくとも1つに基づいて、前記複数のモジュールのそれぞれにそのセルのバランスを取らせることを備える
請求項
12に記載の方法。
【請求項17】
前記平均セル電圧は、
前記モジュールについての所定の平均モジュール目標電圧(AMTV)を含み、
前記全体の平均セル電圧は、前記複数のモジュールのそれぞれから受信されたAMTVの最小AMTVを含み、前記複数のモジュールのそれぞれに、前記最小AMTVに基づいて調節されたセル目標電圧を求めさせることを更に含み、
前記複数のモジュールのそれぞれに、そのセルのバランスを、その各セルのそれぞれの相対容量に基づいて取らせることは、前記複数のモジュールのそれぞれに、そのセルのバランスを、その各セルのそれぞれの相対容量及び前記調節されたセル目標電圧に基づいて取らせることを含む
請求項
12に記載の方法。
【請求項18】
非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体であって、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記コンピューティングデバイスに、
ストリングに配置された複数のモジュールのそれぞれから平均セル電圧値を受信
することであって、前記複数のモジュールのそれぞれは1つ以上のセルを備え
る、
平均セル電圧値を受信すること、
前記複数のモジュールの全体の平均セル電圧を求め
ること、
前記複数のモジュールのそれぞれにそのセルのそれぞれの相対容量を求めさせるこ
と、及び、
前記複数のモジュールのそれぞれに
、そのセルのバランスを、その各セルのそれぞれの相対容量に基づいて取らせ
て、ゼロと所定の最大電圧との間のシステム設定点電圧を生成させること
であって、前記システム設定点電圧は前記モジュールの前記セルのサンプリングされた電圧に基づいて動的に調節される、システム設定点電圧を生成させること、
をさせる、前記媒体に記憶された命令を備える媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウルトラキャパシタ及びスーパーキャパシタを含むキャパシタモジュール及びシステム、並びに特に高電圧直列構成に配置されたキャパシタモジュールのような、エネルギー貯蔵装置及びシステムに一般に関し、各モジュールは、いくつかの数のキャパシタセルを含み、いくつかの数の他のモジュールに結合される。
【背景技術】
【0002】
過剰なセル電圧を放電することによってエネルギー貯蔵システムにおいて個々のセルの電圧のバランスを取るためのさまざまなシステム及び技術が存在する。しかし、従来の方法は、結合されたモジュールの列のそれぞれにおけるセルの過剰セル電圧を十分にかつ効果的には放散しない。
【0003】
キャパシタの充電及び電圧は、その容量値に比例する。したがって、直列構成の多数のキャパシタを使用するいかなるエネルギー貯蔵システムも、少なくとも部分的に、多数のキャパシタ間の容量差によって生じる電圧不均衡問題に遭遇する。キャパシタ間の容量差は、特定のキャパシタの製造時のばらつき、経年変化等の結果として生じ得る。運転中のキャパシタをベースにしたシステムの電圧のバランスを取るバランシングシステムは、ほとんど存在しない。しかし、それらのシステムのいずれも、高電圧でキャパシタモジュールと他のキャパシタモジュールとのバランスを取ることはできない。更に、それらのシステムのいずれも、キャパシタモジュールの直列構成がゼロボルトに放電するされるときに、多数のモジュールの全体にわたって個々のセルを完全に放電することはできない。そのような放電において、直列のキャパシタモジュールの全体の測定電圧はゼロボルトであるかもしれないが、同じモジュール又は異なるモジュールにおいてバランスを取るために同等の反対の電荷が存在する限り、1つ以上のモジュールの個々のセルは正又は負の電荷を保ち得る。例えば、3キャパシタ(又はセル)モジュールの測定された充電電圧はゼロボルトであり得るが、そのモジュール中のキャパシタのうちの1つは、他の2つのキャパシタが0.5Vに充電されるのに対して、-1V(ボルト)に充電され得る。よって、モジュールが充電ゼロと測定されるのに対して、個々のキャパシタは電荷を保ち得る。そのような個々のキャパシタの不均衡は、部分的には、キャパシタの容量の間の不均衡によって引き起こされ得る。したがって、このような筋書きを解決するシステム及び方法が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書において開示される実施形態は、従来技術についての上述の問題に対処する。本開示のシステム、方法及び装置はそれぞれいくつかの革新的な局面を有し、それらのいずれの1つも単独では本明細書において開示される望ましい特質の原因ではない。
【0005】
添付の特許請求の範囲の範囲内の方法及び装置のさまざまな実施形態はそれぞれ、いくつかの局面を有し、それらのいずれの1つも単独では本明細書において開示される望ましい特質の原因ではない。添付の特許請求の範囲の範囲を制限することなく、いくつかの顕著な特徴が本明細書において説明される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
関連出願の相互参照
この特許出願は、2017年1月25日に出願され、「キャパシタモジュールバランシング及びメンテナンスのためのシステム及び方法」との表題の、本願の譲受人に譲渡された米国仮特許出願第62/450,501号の利益を主張する。この先の出願の開示は本願の一部とみなされ、その全体が参照によりここに組み込まれる。
【0007】
1つの局面において、この発明の実施形態は、それぞれ1つ以上のセルを有するモジュールのストリング内のセルのバランスを取るための装置を含む。装置は、処理システム及び通信回路を備える。処理システムは、複数のモジュールのそれぞれから平均セル電圧値を受信するように構成される。処理システムは、複数のモジュールの全体の平均セル電圧を求めるようにも構成される。処理システムは、複数のモジュールのそれぞれに、そのセルのそれぞれの相対容量を全体の平均セル電圧に基づいて求めさせるように、更に構成される。処理システムは、複数のモジュールのそれぞれに、そのセルのバランスを、モジュールの各セルのそれぞれの相対容量に基づいて取らせるように、更に構成される。通信回路は、平均セル電圧値を複数のモジュールのそれぞれから受信するように構成される。
【0008】
他の局面において、この発明の実施形態は、それぞれ1つ以上のセルを有する複数のモジュールのストリング内のセルのバランスを取る方法を含む。方法は、複数のモジュールのそれぞれから平均セル電圧値を受信することを備える。方法は、複数のモジュールの全体の平均セル電圧を求めることも備える。方法は、複数のモジュールのそれぞれに、そのセルのそれぞれの相対容量を全体の平均セル電圧に基づいて求めさせることを更に備える。方法は、複数のモジュールのそれぞれに、そのセルのバランスを、モジュールの各セルのそれぞれの相対容量に基づいて取らせることを更に備える。
【0009】
他の局面において、この発明の実施形態は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体であって、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、コンピューティングデバイスに、ストリングに配置された複数のモジュールのそれぞれから平均セル電圧値を受信させる、媒体に記憶された命令を備える媒体を含み、複数のモジュールのそれぞれは1つ以上のセルを備える。命令は更に、コンピューティングデバイスに、複数のモジュールの全体の平均セル電圧を求めさせる。命令は更に、コンピューティングデバイスに、複数のモジュールのそれぞれにそのセルのそれぞれの相対容量を求めさせることをさせる。命令はまた、コンピューティングデバイスに、複数のモジュールのそれぞれにそのセルのバランスを、その各セルのそれぞれの相対容量に基づいて取らせることをさせる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示に説明された主題の1つ以上の実施形態の詳細が、添付の図面及び以下の説明に述べられる。この開示で提供される例は、キャパシタ又はキャパシタセルに関して説明されることがあるが、本明細書で提供される思想は、他のタイプのエネルギー貯蔵システムに当てはまり得る。他の特徴、局面、及び有利な点が、説明、図面及び特許請求の範囲から明らかになる。以下の図の相対的な寸法は、一律の縮尺に従って描かれていない可能性がある。
【
図1】
図1は、キャビネット内に配置されシステムコントローラによって制御されるキャパシタモジュールの直列に結合されたストリングを含むシステムの構成要素のための階層的な制御及び通信構造を、実施形態に従って示す。
【
図2】
図2は、異なるモジュール間、及びモジュールとそのモジュール内のセルとの間の例示的な通信を詳述する、
図1の階層的な制御及び通信構造の抜粋を、実施形態に従って示す。
【
図3】
図3は、
図1のシステムの要素間の同期通信を詳述する通信タイミングダイアグラムを、実施形態に従って示す。
【
図4】
図4は、
図1のシステムの作動プロセスのさまざまな段階を示すグラフを、実施形態に従って示す。
【
図5】
図5は、
図4に説明された作動プロセス中における
図1のシステムのシステムコントローラとシステムのキャビネット及びモジュールとの間の通信フローダイアグラムを、実施形態に従って示す。
【
図6】
図6は、
図1のシステムの放電プロセスのさまざまな段階を示すグラフを、実施形態に従って示す。
【
図7】
図7は、
図6に説明された放電プロセス中における
図1のシステムのシステムコントローラとシステムのキャビネット及びモジュールとの間の通信フローダイアグラムを、実施形態に従って示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面に関連して以下に説明される詳細な説明は、例としての実施形態の説明として意図されており、本発明が実施され得る実施形態のみを表すことは意図されない。“例として”という用語は、この説明を通して“例、実例、又は例証としての役割を果たすこと”を意味し、必ずしも他の例としての実施形態に対して好ましい又は有利であるとして解釈されるべきではない。詳細な説明は、例としての実施形態の十分な理解を提供する目的のための特定の細部を含む。いくつかの実例において、いくつかの装置はブロック図の形で示される。
【0012】
エネルギー貯蔵システムは、直列に配置されてエネルギー貯蔵モジュール又はバンクを形成する複数の個々のキャパシタセルを含み得、エネルギー貯蔵モジュール又はバンクは、個々のセルより高い電圧を出力する。モジュールは、次に、他のモジュールと直列に接続され得てより高い組合せ電圧を出力する。モジュールの個々のキャパシタは、キャパシタセル、又はより一般的にセルと呼ばれることがある。いくつかの実施形態において、モジュールのセルは、バッテリセルを備え得、キャパシタの代わりにモジュールに統合され得る。
【0013】
過剰なセル電圧は、個々のセル、セルが位置するモジュール、又は両者に、損傷を与え得る。セルバランシング回路(「バランシング回路」)は、バッテリ又はウルトラキャパシタセルを放電して、セル電圧を平均化し過剰セル電圧状態によって引き起こされる損傷を防止又は最小化するために使用され得る。そのような過剰セル電圧は、バランシング回路において、1つ以上の受動構成要素、例えば1つ以上の抵抗器、及び、能動構成要素、例えば1つ以上のトランジスタ又はレギュレータによって放電され得る。モジュール内のセルのバランスを取るのに一般に適用可能な3つのタイプのバランスを取る戦略が存在する。1つの選択肢は、各セルに並列の抵抗器(又は抵抗要素)を用いて、個別の又は独立した制御をしないパッシブバランシングである。他の選択肢は、ある電圧範囲内で、1つ以上の電圧閾値に基づいてバランシング回路(例えばバランサ)の起動/停止を制御する能力を有するアクティブバランシングである。更に、アクティブバランシングは、全てのセルが満充電時に同じ電圧(例えば同じ高電圧)に達するようにするために、モジュール内の全てのセルの平均容量と比較した、モジュールの各セルの相対容量に基づいて行われ得る。いくつかの実施形態において、これらの選択肢の組合せが、単一の応用において使用され得る。これらの実施形態は、単一のモジュールへの適用にフォーカスしているが、高電圧又は超高電圧(例えば10kV(キロボルト)を超える)においては適用され得ない。いくつかの実施形態において、アクティブバランシングは、類似の充電状態又は健全性の状態の測定又は計算を用いて、バッテリを備えるセルに対して同様に行われ得る。
【0014】
能動放熱要素は電流を個別に制御し得るが、受動放熱要素は電流を個別に制御し得ない。能動及び受動放熱要素のいずれも、電圧を損失し得る。いくつかの実施形態において、受動放熱要素は、定電流放電又は電気抵抗による放電によって電圧を放電し得る。定電流放電回路の場合には、セル電圧又は充電されている電圧に関係なく、一定の放電電流がセルから引き出される。抵抗放電回路は、セル電圧に比例する放電電流を引き出す。セル電圧が増加するにつれて放電電流も増加し、逆の場合も同様である。受動放熱要素の例には、抵抗、可変抵抗、サーミスタ、パッシブアッテネータ、ポテンショメータ等が含まれ得る。能動放熱要素の例には、トランジスタ、レギュレータ、アクティブアッテネータ、アクティブダイオード等が含まれる。
【0015】
本明細書で説明されるバランシング回路のいくつかの実施形態により、能動要素と受動要素との両方の間で実際の電圧消費を分割することが可能になる。これは、従来のセルバランシング回路と比較して、電圧消費の効率を増加させ得、必要な要素の数を削減し得、かつ、いくつかの高価な能動又は受動要素の必要性をなくし得る。
【0016】
上述のこれらの技術のいずれも、システムのモジュールストリング中のモジュール電圧のバランスを取ることはできない。
【0017】
- 改良されたモジュール及びシステムのバランシング回路 -
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されるセルバランシング回路は、モジュール内のセルに結合される。モジュールのシステム内の複数のモジュールのバランスを取る際には、各モジュールは、独立して各モジュールのバランスを取るがシステムの残りのモジュールと連係して働くように実装される自身のセルバランシング回路を含み得る。モジュール及びセルのシステムにおいてバランシングを利用することにより、システム内のより古いセルがシステム内のより新しいセルより速く老朽化する代わりに、これはシステムのモジュール全体のバランスを取ることができるバランシングシステムを使用しないと生じ得ることであるが、システムの全てのセルはほぼ同時にそれぞれの故障点(failure point)に到達し得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、モジュールのセルのバランスを取ることは、モジュールのシステムの所定の電圧において生じ得る、又は行われ得る。例えば、セルは特定の電圧においてバランスが取られ、既知のバランス情報に基づいて所望の電圧に調節される(例えば低減させられる)。したがって、バランスが取られたシステムは、所望のシステム電圧において更にバランスを取る必要なく総電圧を所望のシステム電圧にしながら、個々のセルはそれらのそれぞれの対応する値に設定されるように、いかなる電圧にも調節され得る。したがって、所望のシステム電圧が、さらなるバランシング等の必要なしに、単に所望のシステム電圧に基づいて、動的に調節され得る。いくつかの実施形態において、所望のシステム電圧は、最大システム電圧(例えば、モジュールのシステムが生成可能な最大電圧)とゼロボルトとの間に定められる設定値であり得る。
【0019】
図1は、キャビネット内に配置されシステムコントローラによって制御されるキャパシタモジュールの直列に結合されたストリングを含むシステムの構成要素のための階層的な制御及び通信構造を、実施形態に従って示す。システムコントローラ105は、複数のキャビネット115A~115nの間の通信を調整する。いくつかの実施形態において、キャビネット115A~115nは、互いに、又は他のキャビネット115のサブセットと、直接通信し得る。いくつかの実施形態において、キャビネット115A~115nは、システムコントローラ105を経由して互いに通信し得るのみである。キャビネット115A~115nは、1つ以上のキャパシタモジュール125A~125n(モジュール125)を含み得る。いくつかの実施形態において、モジュール125A~125nは、互いに、又は他のモジュール125のサブセットと、直接通信し得る。いくつかの実施形態において、モジュール125A~125nは、キャビネット115及びシステムコントローラ105を経由して互いに通信し得るのみである。モジュール125A~125nは、1つ以上のキャパシタセル135A~135n(セル135)を含み得る。いくつかの実施形態において、セル135A~135nは、互いに、又は他のセル135のサブセットと直接通信し得る。いくつかの実施形態において、セル135A~135nは、モジュール125、キャビネット115及びシステムコントローラ105を経由して互いに通信し得るのみである。ここには示されていないが、システム100は、それぞれが10個のモジュール125を含む20個のキャビネット115を含み得、各モジュール125は48個のセル135を備える。いくつかの実施形態において、モジュール125とセル135とのシステムは、示されているように配置されていなくてもよい。その代わりに、モジュール125とセル135とのシステムは、1つのキャビネット115に配置され得、システムコントローラ105は、1つ以上のモジュール125と一体化され、モジュール125とセル135とのシステムの他の全てのモジュール125と通信するように構成され得る。
【0020】
図1に示された階層システム100において、システムコントローラ105は、モジュール125A~125nのストリングの中の全てのセル135A~135nのセルバランシングを、最高電圧(例えば、システム100の最大所望電圧)において制御し得る。そのようなバランシングの結果、経年変化したセル135(例えば、システム100の平均セル135より小さな容量を有する、システム100のセル135)より高い電圧で動作する経年変化したセル135(例えば、システム100の平均セル135より大きな容量を有する、システム100のセル135)の数が少なくなる。最高電圧においてシステム100のバランスを取るために、システムコントローラ105によって実装されるバランシングシステムは、モジュール125A~125n内のセル135A~135nの間で相対容量を最初に求め得る。各セルのバランスを、そのセルの、システム100の残りのセル135の平均容量に対する容量に基づいて正しく取るために、必要に応じて、これらの相対容量はセル135、モジュール125、及び/又はキャビネット115の間で伝達され得る。いくつかの実施形態において、セル135のバランシングは、そのセルの、同じモジュール125の残りのセル135に対する容量に基づいてもよい。いくつかの実施形態において、セル135は、セル135のモジュール125以上のものを含むシステム100のサブセット内でバランスが取られ得る。したがって、システム100内の通信は、モジュール125同士の間、キャビネット115を通して、又はコントローラ105を通して(システム100のレベルに応じて)行われ得て、システム100の単一又は複数のレベル内でセルのバランスを取る。いくつかの実施形態において、各セル135又はモジュール125は、システムコントローラ105又は1つ以上のモジュール125によって定められた目標電圧になるようにバランスが取られ得る。いくつかの実施形態において、相対容量は、システムコントローラ105へ、又はモジュール125間で、伝達され得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、システムコントローラ105は、低電圧セル差の最大値(maximum low voltage cell difference)(例えば、最高の「バランスが取られた」電圧を有するセルと最低の「バランスが取られた」電圧を有するセルとの差)を、多数のセル135及びモジュール125を有するシステム100のバランスを取るための目標オフセットとして定める。これは、個々のセル135を最大所望電圧範囲内に維持する助けとなり得、それによって改善されたバランシングが可能になる。例えば、システム100全体がその目標電圧にある場合でも、システム100内の各モジュール125は異なる電圧を有し得る。例えば、モジュール125のうちの1つ以外の全てが120Vであり、1つのモジュール125が60Vであるとき、システム100全体の平均セル電圧は2.488Vであり得る(120Vのモジュール125が2.5Vのセル135を有し、60Vのモジュール125が1.25Vのセル135を有するとき)。よって、120Vのモジュール125内のセルは、平均電圧(2.488V)より高い電圧(2.5V)で動作させられることによって、より高いストレスにさらされ得る。しかし、この電圧差(0.012V)は、120Vのモジュール125を低下させるためにバランシング回路の電源を入れるには小さすぎる。目標電圧オフセットを利用することによって、各セル135の個々の目標電圧は、120Vのモジュール125のバランシング回路の電源を入れるのに十分大きな値に低下させられ得る。いったん差(0.012V)がバランシング閾値内に減少すると、返される目標値は通常に戻る。更に、システム100は、システム100の1つ以上のセル又はモジュールのための初期相対容量を定めるために使用される作動ステップ(commissioning step)を含み得る。作動ステップは、初期相対容量を定め得、及び/又は相対容量をいつでもリセットするために使用され得る。いくつかの実施形態において、相対容量は、メンテナンス後に、又はセルの経年変化を識別するための延長期間後に相対容量値を更新するために、リセットされ得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、システム100(又は1つ以上のモジュール125)は、逆電圧バランシングを行う能力を含み得る。逆電圧バランシングは、システム100が放電されるときにセル135を完全放電することを可能にする。システム100が放電されるとき、ゼロボルトの平均放電電圧は、1つ以上のセル135を正及び/又は負の電圧に保ち得る。逆電圧バランシングプロセスは、モジュール125のセル135内に残されたこれらの正又は負の充電を最小化するのに役立ち得る。本明細書で説明されるシステムにおいて、さまざまな構成要素間の通信は(例えば、作動又はバランシング等の期間中に)、セル135がバランシングしていることを利用可能な最も正確な情報に基づいて保証するために、時間に制約があり得る。したがって、システム100のモジュール及びセルのストリングにおけるセル群135及びモジュール群125の間で電圧測定の高速なサンプルレート及び同期を保証するために、通信が調整及び確立され得る。
【0023】
キャパシタモジュール125A~125n(例えばモジュール125)は、複数のセル135A~135xを含み得る。いくつかの実施形態において、モジュール125のそれぞれは、同じ数のセル135又は異なる数のセル135を含み得る。いくつかの実施形態において、セル135は、モジュール125の所望の総電圧を得るために各モジュールにおいて直列構成で配置され得るので、各モジュール125に含まれるセル135の数は、モジュール125の所望の電圧に基づき得る。いくつかの実施形態において、モジュール125は、システムの複雑性及びモジュールの列内のモジュールの相互運用性を維持するため、同じ数のセル135を含むように設計され得る。本明細書における説明のために、全てのモジュール125A~125nの間に分配されるセル135A~135nの総数に対して、各モジュール125は同じ数のセル135A~135xを有すると仮定され得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、モジュール125Aの個々のセル135A~135xは、さまざまなパラメータ(例えば、電圧、識別子、容量等)をモジュール125Aに伝送し得、モジュール125Aによって制御され得る。例えば、モジュール125Aは、キャビネット115Aからの信号に基づいて、モジュール125Aの個々のセル135A~135xのバランシングを制御し得る。いくつかの実施形態において、モジュール125Aは、キャビネット115Aからの信号を受信することなくセル135A~135xのバランシングの必要性を決定し得、代わりに、バランシングする要求をキャビネット115Aに送信し得る。いくつかの実施形態において、モジュール125Aは、バランシング情報(例えば、セル135A~135xの相対容量又はキャビネット115Aから受信した相対容量)に基づいてセル135A~135xのバランスを取ることを絶えず繰り返し行い得る。
【0025】
モジュール125A~125nのそれぞれは、キャビネット115A~115nのうちの1つの中に配置され得る。各キャビネット115は、複数のモジュール125A~125xを含み得る。いくつかの実施形態において、キャビネット115のそれぞれは、同じ数のモジュール125又は異なる数のモジュール125を含み得る。いくつかの実施形態において、モジュール125はキャビネット115の所望の総電圧を得るために直列構成で各キャビネット115に配置され得るので、各キャビネット115に含まれるモジュール125の数は、キャビネット115又はシステム100の所望の電圧に基づき得る。いくつかの実施形態において、キャビネット115は、システムの複雑性及びキャビネット115の列内のキャビネット115の相互運用性を維持するため、同じ数のモジュール125を含むように設計され得る。本明細書における説明のために、全てのキャビネット115A~115nの間に分配されるモジュール125A~125nの総数に対して、各キャビネット115は同じ数のモジュール125A~125xを有すると仮定され得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、キャビネット115Aの個々のモジュール125A~125xは、さまざまなパラメータをキャビネット115Aに伝送し得、キャビネット115Aによって制御され得る。例えば、モジュール125Aは、そのセル135A~135xのうちの1つ以上に関する情報(例えば容量、電圧、識別子等)を、システムコントローラ105又は他のモジュール125若しくはキャビネット115への伝送のために、キャビネット115Aに提供し得る。いくつかの実施形態において、モジュール125Aは、そのセルの最大値及び最小値(例えば、モジュール125内で最大の電圧を有するセル135の最大電圧及び識別子、最小電圧及び識別子、最大容量及び識別子、最小容量及び識別子等)に関する情報を伝送し得る。
【0027】
キャビネット115A~115nのそれぞれは、システムコントローラ105と通信し得る。システムコントローラ105は、複数のキャビネット115A~115xと通信し得る。いくつかの実施形態において、キャビネット115はシステム100の所望の総電圧を得るために直列構成で配置され得るので、システム100に含まれるキャビネット115の数は、システム100の所望の電圧に基づき得る。本明細書における説明のために、システム100において分配されるモジュール125A~125nの総数及びセル135A~135nの総数に対して、システム100は2つのキャビネット115A~115xを有すると仮定され得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、キャビネット115A~115xは、さまざまなパラメータをシステムコントローラ105に伝送し得る。例えば、キャビネット115Aは、そのセル135A~135xのうちの1つ以上に関する情報(例えば容量、電圧、識別子等)を、システムコントローラ105又は他のモジュール125若しくはキャビネット115に提供し得る。いくつかの実施形態において、キャビネット115Aは、そのセルの最大値及び最小値(例えば、キャビネット115内で最大の電圧を有するセル135の最大電圧及び識別子、最小電圧及び識別子、最大容量及び識別子、最小容量及び識別子等)に関する情報を伝送し得る。
【0029】
図2は、異なるモジュール間、及びモジュールとそのモジュール内のセルとの間の例示的な通信を詳述する、
図1の階層的な制御及び通信構造の抜粋を、実施形態に従って示す。示されているように、モジュール125Aは、モジュール125Bと通信し得る。例えば、モジュール125A及び125Bは、いくつかを挙げると、モジュール電圧値、セルの個数、及び高/低電圧オフセットを交換し得る。モジュール125A及び125Bのそれぞれは、それらのそれぞれのセル135A~135nと通信し得る。示されているように、他のプロセス及び/又は情報も伝送され得るが、モジュール125A及び125Bとセル135A~135nとの間で行われる通信は、セルバランシングのために使用される情報を提供し得る。
【0030】
図3は、
図1のシステムの要素間の同期通信を詳述する通信タイミングダイアグラムを、実施形態に従って示す。示されているように、通信タイミングダイアグラム300は、
図1のシステムコントローラ105を最も左の位置に、通信サイクルが開始及び終了する位置として図示する。時間は垂直軸に沿っている。通信サイクルは、システムコントローラ105が各セル135、モジュール125、又はキャビネット115からのさまざまな情報についての要求を送信するときから、システムコントローラ105が最後のモジュール125からキャビネット115を経由して最終的な応答を受信するときまでの時間を含み得る。いくつかの実施形態において、システムコントローラ105とキャビネット115との間の通信は、キャビネット115とモジュール125との間の通信とは異なるプロトコルによって行われ得る。例えば、システムコントローラ105は、その要求を、プロフィバス(Profibus)又は類似のトークンベースの通信プロトコルを介してキャビネット115へ送信し得る。キャビネット115からモジュール125への通信は、イーサネット、コントローラエリアネットワーク、又は類似のマルチキャスト通信プロトコルによって行われ得る。よって、システムコントローラ105とモジュール125との間の通信は、遅延若しくはサイクルタイムの増加なし、又は最小限の遅延若しくはサイクルタイムで、少なくとも2つの通信プロトコルに跨る。
【0031】
システムコントローラ105は、システム100の複数のモジュール125間でさまざまなパラメータを同期させるために通信サイクルを利用し得る。例えば、通信サイクルは、セル電圧又はモジュール電圧を同期させ得る。したがって、サイクルゼロは、電圧同期要求を含む、システムコントローラ105からのメッセージ302によって開始される。システムコントローラ105からのこの電圧同期要求は、キャビネット115A(例えば、システム100のキャビネット1)に伝送される。いったんメッセージがキャビネット115Aにおいて受信されると、システムコントローラ105は同期要求をキャビネット115x(例えば、システム100のキャビネット20)にメッセージ304によって送信し得る。キャビネット115xは、システム100内の最後のキャビネット115である。約7.6ms(ミリ秒)が、メッセージ302が送信されるときとメッセージ304が送信されるときとの間に経過し得、システムコントローラ105からキャビネット115のそれぞれまでのメッセージ間305に、平均約8msが存在する。システムコントローラ105とキャビネット115との間の最初の通信がトークンベースの通信プロトコルによって行われ得るので、キャビネット115への通信のそれぞれは、特定のシーケンスにおいて、キャビネット115とシステムコントローラ105との間の通信遅延は最小限で、一度に1つ行われ得る。更に、キャビネット115からシステムコントローラ105への通信は、システムコントローラ105から各キャビネット115への通信に基づいてスケジュール設定され得る。キャビネット115A及び115xしか示されていないが、これはキャビネット115A~115xを表すことが理解される。
【0032】
いったんキャビネット115A~115xが、それらのそれぞれの同期要求をシステムコントローラ105から第1通信プロトコルによって受信すると、キャビネット115A~115xは、それらのそれぞれのモジュール125に、例えばメッセージ306によって、同期メッセージをそれぞれ同報送信する。いくつかの実施形態において、キャビネット115A~115xのそれぞれは、それらのそれぞれの同期メッセージを同時に(又は調整されたやり方で)送信し得る。キャビネット115とそれらのモジュール125との間の通信がマルチキャストネットワークを介して行われ得るので、同期メッセージはメッセージ306によってキャビネット115の全てのモジュール125に同時に同報送信され得、モジュール125からキャビネット115への応答は、競合するモジュール125間の衝突が例えば(キャビネット115xの最初のモジュール125Aからの)メッセージ308と(キャビネット115xの最後のモジュール125Aからの)メッセージ310とによって起こり得るランダムな順序で行われ得る。
【0033】
示されているように、モジュール125Aが、モジュール125A内のセル135A~135xの全ての電圧をサンプリングするための約10ms(ミリ秒)の遅延307が存在し得る。この遅延307は、各セルからの必要な情報をサンプリングするための時間を説明し得る。いくつかの実施形態において、この遅延307は、特定の値(例えば、最大及び最小のセル及び電圧等)を識別するために必要な時間も説明し得る。衝突によって生じた遅延、又はプロトコルがクリアされ他のモジュール125からの他のメッセージが利用可能になるのを待つ時間のみならず、10msのサンプリングタイムも含む近似的な遅延309が存在し得る。よって、遅延309は、30ms近くであり得る(10msのサンプリングタイム+約20msの通信遅延)。
【0034】
システムコントローラ105とキャビネット115との間で確立される周期的な通信の性質のため、キャビネット115がモジュール125からのデータを待っている間でさえ、通信はシステムコントローラ105とキャビネット115との間で継続し得る。この時間の間(例えばキャビネット115がデータを待っている間)、システムコントローラ105は同じ電圧同期要求を繰り返し続け得る。電圧同期に関係する他のパラメータとともに、システムコントローラ105とキャビネット115との間で交換されるデータは、システムコントローラ105が同期要求をキャビネット115に対して発行したことを示す唯一の値Xにセットされたカウンタ値でも構成され得る。キャビネット115のカウンタ値は、キャビネット115が要求を受け入れてそのモジュール125のサンプリングを開始するときに、同じ値Xに更新される。このカウンタ値は、要求されたデータが用意できていないこと、及び、キャビネット115から受信された対応するデータが古いデータであり、システムコントローラ105による処理の用意ができていないことを、システムコントローラ105に示す(キャビネット115からシステムコントローラ105に返された全ての通信に含まれる)。
【0035】
いったんキャビネット115がそれぞれのモジュール125からの全てのデータをサンプリングすると、システムコントローラ105へ返信するために、キャビネット115はカウンタ値を異なる唯一の値Yに更新し、値Yは平均モジュール電圧が利用可能であることを示す。このカウンタ値は、キャビネット115から受信されたデータが現在の、及び/又は更新されたデータ(例えば、平均モジュール電圧)であり、かつ、システムコントローラ105による処理の用意ができていることを、システムコントローラ105に示す。
【0036】
いったんシステムコントローラ105が全てのキャビネット115からデータを受信すると、システムコントローラ105は、全体の平均モジュール電圧及び他の必要なパラメータを評価し、システムコントローラ105からの通信における平均モジュール電圧が更新されたことをキャビネット115に示す異なる唯一の値Zにカウンタ値を更新する。いくつかの実施形態において、全体の平均モジュール電圧は、全てのキャビネット115から受信された全てのモジュール電圧の平均であり得る。いくつかの実施形態において、全体の平均モジュール電圧は、キャビネット115から受信された最大の、又は最小の平均モジュール電圧のうちの1つであり得る。例えば、全体の平均モジュール電圧は、全体の最低若しくは最小平均モジュール電圧、又は全体の最高若しくは最大平均モジュール電圧であり得る。キャビネット115のカウンタ値は、それがその後の要求を受け入れて新たな値を記憶するときに、同じ値Zに更新される。同じカウンタ値Zは、同期の次のサイクルが始まりシステムコントローラ105が次の同期要求をカウンタ値Xとともに送信するまで、システムコントローラ105とキャビネット115との間で交換され続ける。
【0037】
いくつかの実施形態において、同期メッセージがキャビネット115から全てのモジュール125へ同時にブロードキャストされるので、各モジュール125は、メッセージがキャビネット115からモジュール125へ伝搬するのに要する時間に応じて異なる時間に、同期メッセージを受信し得る。いくつかの実施形態において、モジュール125とキャビネットコントローラとの間の距離は、メッセージが伝搬するのに要する時間を決定し得る。よって、メッセージ308はキャビネット115xの最初のモジュール125Aから受信され得る一方、メッセージ310はキャビネット115xの最後のモジュール125xから受信され得る。いくつかの実施形態において、キャビネット115xのモジュール125から受信されるメッセージは、伝送された同期メッセージに関係する1つ以上のパラメータを含み得る。システムコントローラ105によって伝送された同期メッセージは、セル又はモジュール電圧のバランシング及び/又は電圧ポーリングに対応し、キャビネット115xのモジュール125は、それらの平均モジュール電圧を(例えばそれらのそれぞれのセル電圧に基づいて)伝送し得る。いくつかの実施形態において、キャビネット115xのモジュール125は、それらの最大セル電圧及び最小セル電圧、又はシステムコントローラ105又はキャビネット115xが関心を持ち得る対応するセル電圧についての情報を伝送し得る。
【0038】
いったんキャビネット115A~115xがそれらのそれぞれのモジュール135A~135xから情報を受信すると、キャビネット115A~115xは、受信した情報(又はその情報のサブセット)をシステムコントローラ105に伝送し得る。いくつかの実施形態において、キャビネット115からシステムコントローラ105に伝送される情報のサブセットは、それぞれのキャビネット115のためのセル135及び/又はモジュール125の最大又は最小値を含み得る。いったんシステムコントローラ105がキャビネット115A~115xから情報を受信すると、システムコントローラ105はシステム100の全てのモジュール125の平均モジュール電圧を求めて、それらのそれぞれのモジュール125A~125xへの分配のために平均モジュール電圧をキャビネット115A~115xに含め得る。平均モジュール電圧は、モジュール125内の各セル135の目標セル電圧を計算するため、及び、モジュール125が各セル135の実際の電圧を目標電圧と比較してバランシング回路が通電され又は動作状態になるべきかを決定することを可能にするために、使用され得る。いくつかの実施形態において、平均モジュール電圧は、100ms毎(例えばサイクル毎に1回)更新される。示されているように、上述のステップはサイクル1で繰り返し、それは約100msにおいて開始する。
【0039】
図4は、
図1のシステムの作動プロセス(commissioning process)のさまざまな段階を示すグラフを、実施形態にしたがって示す。グラフ405~430は、システム100のモジュール125及びセル135が0Vから最大電圧まで充電される、システム100の作動プロセスに対応する。示されているように、最大電圧は約25kVであるが、この電圧は25kV未満又は25kVより大きいいかなる電圧も含み得る。作動プロセス中においては、システム100の全てのセルのバランスが取られるまで、最大電圧を維持するために、システム100のモジュール125及びセル135は、それらの電圧に維持され得る。システム100は最大電圧より低い電圧で動作しているが、システム100のバランスが取られると、セル電圧は、各セル135の相対容量値に基づいて変化する。各セル135の電圧の差は、相対容量値の差に依存する。
【0040】
25kV(キロボルト)の最大電圧を維持しながら、いったん全てのセルのバランスが取られると、システム100のセル135は約0.5Vより大きく放電される。示されているように、システム100のセル135は約0.8Vに(又は1.7Vだけ)放電される。説明される電圧低下は1.7Vであるが、電圧低下は、それによってセル135の相対容量が求められ得るいかなる値でもあり得る(例えば、使用されているキャパシタに基づいて、最小電圧低下は0.52Vであり得る)。更に、示されたシステム100は、セル135のバランシングの前における25kVの最大ストリング電圧、33Vの最大モジュール電圧差(例えばモジュール電圧における最大許容差)、及び0.7Vの最大セル電圧差(例えばセル電圧における最大許容差)を有し得る。
【0041】
グラフ405は、y軸に沿ってストリング電圧をkV単位で、電力をMW(メガワット)単位で、x軸に沿った1時間(hr)単位の時間の関数として示す。線406はストリング電圧を時間に対して示し、線407はストリング電力を時間に対して示す。線406は、時刻0においてストリング電圧が0Vから約25kVまで立ち上がり、線407で示された電力には短いスパイクが存在する。ストリングは、次にその電圧を25kVに維持する(線406の一定値)。時間4hrにおいて、ストリング電力に短い低下(線407の落ち込み)が存在し、ストリング電圧は約8kVに低下する(線406の低下)。ストリング電圧及びストリング電力は、4hrより後ではともに一定である。
【0042】
グラフ410は、y軸に沿ってモジュール電圧をV単位で、x軸に沿った1時間(hr)単位の時間の関数として示す。線411は、モジュールの電圧をその寿命の最初から示す(例えば、最近置換されたモジュール又は新モジュール)。線412は、ストリング電圧を時間に対して示し、線407はストリング電力を時間に対して示す。線413は、システム100の全てのモジュール125の平均電圧を示す。グラフ410において、線411は、時間0と時間約3hrとの間において、新モジュールの電圧が約90Vから約120Vに増加することを示す。同じ期間にわたって、線412及び413は、既にストリングの一部であった又は寿命の終わりに近いモジュールのモジュール電圧が、時間0からおよそ時間4hrまで120Vであることを示し、その時点で3つの線411~413の全てが低下する。線411は約60Vに低下し、4hrより後では徐々に低下を始め、線412及び413は40Vに直接低下し、そこで一定値となる。
【0043】
グラフ415は、y軸に沿って置換モジュールの相対容量パーセンテージ(%)を、x軸に沿った1時間(hr)単位の時間の関数として示す。グラフ415の線416は、グラフ410に関して説明された新モジュールの実際の相対容量を、時間に対して変化するのにつれて示す。線417は、新モジュールの計算された相対容量を、同じ期間の時間にわたって示す。グラフ415において、線416は、新モジュールがグラフ415の全時間において約27%の実際の相対容量を有することを示す。線417は、新モジュールの実際の相対容量は約27%であるのに対して、そのモジュールが新しく以前に作動させられていないので計算された相対容量はゼロであることを示す。しかし、いったんストリング電圧が4hrにおいて8kVに低下すると、システム100は、新モジュールの相対容量を、約27%の実際の相対容量であるとして計算することができ、それはグラフ415に4hrより後において示されている。
【0044】
グラフ420は、y軸に沿ってストリング電流をアンペア(A)単位で、x軸に沿ったhr単位の時間の関数として示す。グラフ420の線421は、ストリング電流を、時間に対して変化するのにつれて示す。グラフ420において、線421は、ストリング電流が、時間0hrにおいて約300Aに急上昇し、その後、約4hrにおいて-100Aに低下する前に0hrから4hrまで0を維持することを示す。
【0045】
グラフ425は、y軸に沿ってセル電圧をV単位で、x軸に沿ったhr単位の時間の関数として示す。グラフ425の線426は、新モジュールのセルのうちの1つのセル電圧を、時間に対して変化するのにつれて示す。線427は、存在するモジュール又は寿命の終わりにあるモジュールのうちの1つのセルのうちの1つのセル電圧を、時間に対して変化するのにつれて示す。線428は、システム100のセルの平均セル電圧を、時間に対して変化するのにつれて示す。グラフ425において、線426は、新モジュールのセルのうちの1つのセル電圧が、約3.4hrにおいて約2.5Vに達するまで絶えず上昇する前に、約1.8Vから始まることを示す。3.4hrにおいて線426(及びセル電圧)は、4hrにおいて1.3Vに低下する前に短い期間一定になり、そこから新モジュールのセル電圧は4hrより後において絶えず低下する。同じ期間の時間にわたって、線427は、時間0において古いモジュールのセルのセル電圧が0Vから約2.5Vまで直ちに充電され、時間4hrまでそれらの2.5Vの充電を維持し、それらはその時間において約0.8Vに低下し、そこで維持される。線428は、平均セル電圧が同じ期間の時間にわたって概して線427に似ていることを示す。
【0046】
グラフ430は、y軸に沿って元からある(original)モジュールの相対容量パーセンテージ(%)を、x軸に沿った1時間(hr)単位の時間の関数として示す。グラフ430の線431は、グラフ410に関して説明された元からあるモジュールの実際の相対容量を、時間に対して変化するのにつれて示す。線432は、元からあるモジュールの計算された相対容量を、同じ期間の時間にわたって示す。グラフ430において、線431は、元からあるモジュールがグラフ430の全ての時間にわたって約-0.14%の実際の相対容量を有することを示す。線432は、元からあるモジュールの実際の相対容量が約-0.14%であるが、計算された相対容量はゼロであることを示す。しかし、いったんストリング電圧が4hrにおいて8kVに低下すると、システム100は、元からあるモジュールの相対容量が約-0.14%の実際の相対容量であるとして計算することができ、それはグラフ430に4hrより後において示される。
【0047】
互いに組み合わせて見ると、グラフ405~430は、システム100が充電されるとき(例えば、ストリング電圧が0kVから約25kVまで増加するとき)、線421の電流がゼロから約300Aに増加することを示す。ストリング電圧が25kVに維持される間、電流はゼロに維持される。次にシステム100のストリング電圧が約8kVに放電されるとき、システム100のストリング電流は、再びゼロで安定しストリング電圧が8kVに維持される前に、約-100Aに低下する。同様に、システム100がその最大電圧の約25kVに充電されるとき、各モジュールは120Vに充電される一方(線412で示される)、新モジュールも同じ電圧に充電される(線411で示される)。同様に、システム100がその最大電圧の約25kVに充電されるとき、各セルは約2.5Vに充電される一方(線428で示される)、新セルも同じ電圧に充電される(線426で示される)。新モジュールを充電及び放電することによって、システム100は、線417で示されるように、新モジュールの相対容量を求めることができる。元からあるモジュールを充電及び放電することによって、システム100は、線432で示されるように、元からあるモジュールの相対容量を求めることができる。よって、作動プロセスのステップを経ることによって、システム100は、新モジュール及び元からあるモジュールの相対容量を求めることができる。
【0048】
図5は、
図4に説明された作動プロセス中における
図1のシステムのシステムコントローラとシステムのキャビネット及びモジュールとの間の通信フローダイアグラムを、実施形態に従って示す。この通信フローダイアグラムは、システムコントローラ105からキャビネット115への通信、及び、キャビネット115からモジュール125への通信を含む。単一のキャビネット115のみが示されているが、システムコントローラ105とキャビネット115との間の全ての通信は、システム100のシステムコントローラ105と全てのキャビネット115との間で起こると理解される。同様に、単一のキャビネット115及びモジュール125のみが示されているが、キャビネット115とモジュール125との間の全ての通信は、全てのキャビネット115とそれらのそれぞれのモジュール125の全てとの間で起こると理解される。
【0049】
作動プロセスは、システムコントローラ105がシステム100を作動させるコマンド(図示せず)を受信することで始まる。いくつかの実施形態において、システムコントローラ105は、代わりに、作動プロセスが行われる必要があることを決定し得る(例えば、最後の作動、置換されたキャビネット115、モジュール125又はセル135等の検出から経過した時間に基づいて)。したがって、システムコントローラ105は、システム100をその最大電圧に充電し、システムをその電圧に保持することを決定し得る。システムコントローラ105は、次に、相対容量をリセットするために通知502をキャビネット115に送信し得る。いくつかの実施形態において、この通知502は、相対容量リセットを示すビットを含み得る(例えば、reset_relcap = "1")。キャビネット115は、この通知(例えば相対容量リセットビット)を受信して、その通知をモジュール125に通知504によって、例えば、相対容量リセットを示すビットによって渡し得る。いくつかの実施形態において、例えばシステムコントローラ105の制御機能がモジュール125間に分散しているときに、1つ以上のモジュール125は、ストリング中の全てのモジュール125へのreset_relcap = "1"の送信に基づいて、ストリングの全てのモジュールに相対容量をリセットするように命令し得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、システムコントローラ105は、複数のモジュール125のそれぞれに、そのそれぞれのセル群135の各セルの相対容量を、全体の平均セル電圧に基づいて求めさせ得る。例えば、相対容量リセットビットの受信、及びシステムコントローラ105から受信される他のモジュール125又はストリング全体の平均セル電圧に関するさまざまな情報に基づいて、モジュール125は、そのそれぞれのセル群の各セルの相対容量を求め得る。いくつかの実施形態において、システムコントローラ105は、各モジュール125に、そのそれぞれのセル群の各セルの相対容量を求めるよう明示的に命令し得る、又は、特定のモジュール群125に、そのそれぞれのセル群の各セルの相対容量を求めるよう命令し得る。
【0051】
相対容量をリセットする命令を受信すると、モジュール125は、そのセルのバランスを取り得、次にそのセルバランシング回路をオフにし得る。システム100のセルのバランシングは、以下の等式に従って行われ得る。モジュール又はセルは、以下の等式1を使用して個々のセル又はモジュールの相対容量を最初に求めることによって、バランスが取られ得る。
Ci_rel = 1 - (n/Σi=1
n(1/Ci))/Ci = 1 = dVi/dVavg 等式1
ここで、
・Ci_rel: 個々のユニット(セル又はモジュール)の相対容量値
・Ci : 個々のユニット(セル又はモジュール)の容量
・n : 各ストリングにおける各モジュール又はモジュール群内のセルの総数
・dVi : 充電又は放電中のセル又はモジュールあたりの電圧変化
・dVavg: 充電又は放電中のストリングにおけるモジュール又はモジュール群内のセルの平均電圧変化
である。
【0052】
いくつかの実施形態において、システムコントローラ105は、複数のモジュール125のそれぞれに、モジュールのセルのバランスを、モジュールのセルのそれぞれの相対容量に基づいて取らせ得る。例えば、相対容量リセットビットの受信、及びシステムコントローラ105から受信される他のモジュール125又はストリング全体の平均セル電圧に関するさまざまな情報に基づいて、モジュール125は、そのセルのバランスを、モジュールの各セルの計算された相対容量に基づいて取ることを決定し得る。いくつかの実施形態において、システムコントローラ105は、各モジュール125にバランスを取るように明示的に命令し得る、又は、特定のモジュール群125にバランスを取るように命令し得る。
【0053】
いったん相対容量が知られると、モジュール又はセルの目標バランシング電圧は、以下の等式2に基づいて求められ得る。
Vi_target =min(Vmax, Vavg+Ci_rel*(Vmax-Vavg)) 等式2
ここで、
・Vavg = Vstring/ストリング中のセル数
・Ci_rel : 個々のユニット(セル又はモジュール)の相対容量値
・Vi_target: 個々のユニット(セル又はモジュール)の目標バランシング電圧
・Vavg : ストリングにおける平均セル電圧
・Vmax : 最大セル充電電圧変化
である。
【0054】
バランシング回路は、1秒毎に、サンプリングされた電圧が前の電圧と比較されて相対容量値を更新することができるか否かが決定されるように、制御され得る。バランシング回路は、100ms毎に、各セル電圧が順序通りにサンプリングされて上述の等式2において計算された目標電圧と比較されるように、制御され得る。もし、Vi>Vi_target-dViなら、バランサをオンにし、もし、Vi≦Vi_targetなら、バランサをオフにし、ここでdVi=max(0, Vi_target-Vi)である。いくつかの実施形態において、これらの比較は、計算の正確さに基づき、1つ以上のオフセット又は閾値に基づいて調節され得る。
【0055】
100ms以内に、200μs毎に、各セルの電力が計算され、電力閾値に達するまで積算される。もし電力閾値に100ms以内に達すると、セルバランシング回路はオフにされる。100ms以内に、200μs毎に、モジュール全体の電力が計算され、モジュール電力閾値に達するまで積算される。もしモジュール電力閾値に100ms以内に達すると、セルバランシング回路はオフにされる。
【0056】
したがって、モジュールは、それらのセルのバランスを最高電圧(例えばセルの最大電圧)において取り、いったんセル群135のバランスが全て取られるとバランシング回路を止める。
【0057】
いったん全てのセルバランシング回路がオフになると(例えば、モジュール125のセル135のバランスが全て取られると)、モジュール125は、モジュール125がそのセルのバランスを取ること(balancing)を終えたことを、ビット(例えば、cell_balanced = "1")を含む通知506によってキャビネット115に示す。キャビネット115は、次に、そのような表示(indication)(例えばビット)をそのモジュール125のそれぞれから受信すると、その全モジュール125の全セル135のバランスが取られたことを示す信号をシステムコントローラ105に送信する(例えば通知508によって)。これは、通知508において、他のビット(例えば、sum_cell_balancedビット)によって通知され得る。いったんシステム100内の全てのセル135のバランスが取られると、システムコントローラ105は、セル135の最小セル電圧を開始電圧(Vc0)としてサンプリングする。システム100は、次に最大セル電圧(Vc1)-Vc0>0.52V(相対容量計算のための例としてのデルタ電圧)になるまでシステム100を放電する。システムコントローラ105は、次に放電を停止し、モジュール125が相対容量値をリセットするのを少なくとも1秒待つ。いくつかの実施形態において、システムコントローラ105は、相対容量値がリセットされたことを示す指標を各モジュール125から受信するのを待ち得る。モジュール125は初期相対容量値をリセットし、システムコントローラ105は、リセット相対容量指標をゼロにセットし、それを全てのキャビネット115及びモジュール125に通知510及び512によって送信する(例えば、reset_relcapビットがその時"0")。
【0058】
よって、作動プロセスにおいて、システム100は0Vで開始する。システム100は、次に、5.5MWの充電電力を消費して、約25kVの最大電圧(又は約2.5Vのセル電圧)に充電される。システム105は次に、システム105の負荷を下げる(de-rate)ために、セル135の最大電圧に関係なく2.5Vの最大セル電圧に制御される。最大電圧は4時間保持され、全てのセルの電圧が2.5Vの最高電圧(又はセル135の最高所望電圧)においてバランスが取られる。システムは次に、作動を可能にし(例えば、作動フラグ又はビットを"1"にセットする)、最初の放電において初期相対容量をプリセットする。システム100は次に、17kVに放電され、5.5MWの電力が放電される(又は任意の予め規定された電流又は電力が放電される)。
【0059】
図6は、
図1のシステムの放電プロセスのさまざまな段階を示すグラフを、実施形態に従って示す。グラフ605~630は、システム100のモジュール125及びセル135が0Vに(例えば最大電圧から)放電されるシステム100の放電プロセスに対応する。示されているように、最大電圧は約25kVであるが、この電圧は25kV未満又は25kVを超えるいかなる電圧をも含み得る。システムは、全てのセルのバランスが取れてそれらがそれらの目標電圧になるまで、最大電圧に保持される。システムは次に、相対容量学習のために8kV(又は任意の他の予め規定された電圧)に放電される。システムは次に、その最大電圧に充電され、逆バランシングが要求されてそこで4時間保持される。システムは次に、0V(又は任意の他の予め規定された電圧)に放電され、蓄積された電力が最大電流で放電される。いくつかの実施形態において、システム100は、システム100の任意の電圧から放電され得る。
【0060】
グラフ605は、y軸に沿ってストリング電圧をkV単位で、電力をMW(メガワット)単位で、x軸に沿った1時間(hr)単位の時間の関数として示す。線606は時間に対するストリング電圧を、線607は時間に対するストリング電力を示す。線607によって示された電力において短い負のスパイクが存在するのに対して、線606は、ストリング電圧が、時間4hrにおいて約25kVであり、時間約7.5hrにおいて0Vに低下することを示す。ストリングは次に、その電圧及び電力を0V及び0Wにそれぞれ維持する(線606及び607における停滞期)。
【0061】
グラフ610は、y軸に沿ってモジュール電圧をV単位で、x軸に沿ったhr単位の時間の関数として示す。線611は新モジュールの電圧を示す。線612は、元からあるモジュールの電圧を時間に対して示す。線613は、システム100の全てのセル125の平均電圧を時間に対して示す。グラフ610において、線611は、時間4hrと約7.5hrとの間において、新モジュールの電圧が約120Vから約90Vに減少することを示す。同じ期間にわたって、線612及び613は、既にストリングの一部であったモジュール、又は寿命の終わりに近いモジュールのモジュール電圧が時間4hrから約7.5hrまで120Vであり、時間約7.5hrの時点で3つの線611~613が約0Vに低下することを示す。
【0062】
グラフ615は、y軸に沿って置換モジュールの相対容量パーセンテージ(%)を、x軸に沿った1時間(hr)単位の時間の関数として示す。グラフ615の線616は、新モジュールの実際の相対容量を、時間に対して変化するのにつれて示す。線617は、新モジュールの計算された相対容量を、同じ期間の時間にわたって示す。グラフ615において、線616は、新モジュールがグラフ615の全時間において約27.173%の実際の相対容量を有することを示す。線617は、新モジュールの実際の相対容量は約27%であるのに対して、計算された相対容量は約27.166%であることを示す。
【0063】
グラフ620は、y軸に沿ってストリング電流をアンペア(A)単位で、x軸に沿ったhr単位の時間の関数として示す。グラフ620の線621は、ストリング電流を、時間に対して変化するのにつれて示す。グラフ620において、線621は、ストリング電流が、時間7.5hrにおいて約-100Aに急降下し、その後、7.5hrより後からは0を維持することを示す。
【0064】
グラフ625は、y軸に沿ってセル電圧をV単位で、x軸に沿ったhr単位の時間の関数として示す。グラフ625の線626は、新モジュールのセルのうちの1つのセル電圧を、時間に対して変化するのにつれて示す。線627は、存在するモジュール又は寿命の終わりにあるモジュールのうちの1つのセルのうちの1つのセル電圧を、時間に対して変化するのにつれて示す。線628は、システム100のセルの平均セル電圧を、時間に対して変化するのにつれて示す。グラフ625において、線626は、新モジュールのセルのうちの1つのセル電圧が、約7.5hrにおいて約1.8Vに達するまで絶えず下降する前に、約2.5Vから始まることを示す。7.5hrにおいて線626~628は、0Vに低下する。時間4hrから7.5hrまでの期間にわたって、線627及び628は、古いモジュールのセルのセル電圧が、7.5hrにおいて0Vに低下する前に2.5Vに維持されることを示す。
【0065】
グラフ630は、y軸に沿って元からあるモジュールの相対容量パーセンテージ(%)を、x軸に沿った1時間(hr)単位の時間の関数として示す。グラフ630の線631は、グラフ610に関して説明された元からあるモジュールの実際の相対容量を、時間に対して変化するのにつれて示す。線632は、元からあるモジュールの計算された相対容量を、同じ期間の時間にわたって示す。グラフ630において、線631は、元からあるモジュールがグラフ630の全ての時間にわたって約-0.14%の実際の相対容量を有することを示す。線632は、元からあるモジュールの実際の相対容量が約-0.14%であるが、計算された相対容量は-0.02であることを示す。
【0066】
互いに組み合わせて見ると、グラフ605~630は、システム100が0Vまで放電されるとき、線621の電流がゼロから-100Aに低下することを示す。モジュール電圧及びセル電圧は、同様の時間において低下する。
【0067】
図7は、
図6に説明された放電プロセス中における
図1のシステムのシステムコントローラとシステムのキャビネット及びモジュールとの間の通信フローダイアグラムを、実施形態に従って示す。通信フローダイアグラム700は、システムコントローラ105からキャビネット115への通信、及び、キャビネット115からモジュール125への通信を含む。単一のキャビネット115のみが示されているが、システムコントローラ105とキャビネット115との間の全ての通信は、システム100のシステムコントローラ105と全てのキャビネット115との間で起こると理解される。同様に、単一のキャビネット115及びモジュール125のみが示されているが、キャビネット115とモジュール125との間の全ての通信は、全てのキャビネット115とそれらのそれぞれのモジュール125の全てとの間で起こると理解される。
【0068】
放電プロセスは、システムコントローラ105がシステム100を放電させるコマンドを受信することで始まる。いくつかの実施形態において、システムコントローラ105は、代わりに、放電プロセスが行われる必要があることを決定し得る(例えば、最後の放電、キャビネット115、モジュール125又はセル135等の置換の必要性の検出から経過した時間に基づいて)。したがって、システムコントローラ105は、システム100の充電を停止することを決定し得る。システムコントローラ105は、次に、メンテナンスモード又は状態に入るために通知702をキャビネット115に送信し得る。いくつかの実施形態において、この通知702は、メンテナンスモードコマンドを示すビットを含み得る(例えば、maintenance_flag = "1")。キャビネット115は、この通知(例えばメンテナンスフラグビット)を受信して、その通知をモジュール125に通知704によって、例えば、メンテナンスモードコマンドを示すビットによって渡し得る。
【0069】
メンテナンスモードに入る命令を受信すると、モジュール125は、逆目標電圧を計算して逆目標電圧に従って全てのセルのバランスを取り得、次にそのセルバランシング回路をオフにし得る。システム100のセルのバランシングは、以下の等式に従って行われ得る。モジュール又はセルは、以下の等式3を使用して新たな逆目標電圧に従って、バランスが取られ得る。
Vi_target = max(0, min(Vmax, (1-Ci_rel)*(Vavg))) 等式3
ここで、
・Vavg = Vstring/ストリング中のセル数
・Ci_rel : 個々のユニット(セル又はモジュール)の相対容量値
・Vi_target: 個々のユニット(セル又はモジュール)の目標バランシング電圧
・Vavg : ストリングにおける平均セル電圧
・Vmax : 最大セル充電電圧変化
である。
【0070】
バランシング回路は、最大セル電圧に反して0Vの目標セル電圧を伴う作動プロセスに関した上述の説明と同様に制御され得る。適切に放電するために、システムコントローラ105は、システム100の充電を停止して完全放電指標又はコマンドをモジュール125に送信し得る(例えば、キャビネット115を通るメッセージによって)。モジュール125は次に、相対容量に基づいて目標電圧を計算し、全てのセル電圧を0Vにバランスさせる。いったんセルのバランスが取れると、モジュール125は、モジュールセル135のバランスが取れたという指標を(例えばバランスフラグビットによって)、システムコントローラ105にキャビネット115を通して送信する。いったん全てのモジュールセル135のバランスが取られると、システムコントローラ105はシステム100をゼロ(又は何らかの他の所定の値)に放電する。
【0071】
いったん全てのセルバランシング回路がオフになると(例えば、モジュール125のセル135のバランスが全て取られると)、モジュール125は、モジュール125がそのセルのバランスを取ることを終えたことを、ビット(例えば、cell_balanced = "1")を含む通知706によってキャビネット115に示す。キャビネット115は、次に、そのような表示(例えばビット)をそのモジュール125のそれぞれから受信すると、その全モジュール125の全セル135のバランスが取られたことを示す信号をシステムコントローラ105に送信する(例えば通知708によって)。これは、通知508において、他のビット(例えば、sum_cell_balancedビット)によって通知され得る。
【0072】
システムコントローラ105は、全キャビネット115の全モジュール125の全セル135のバランスが取られたことを示す表示を受け取ると、システムコントローラ105は次に、システム100に放電するよう命令する。
【0073】
本明細書で説明されるバランシング回路は、セル又はモジュールに結合されるとき、電圧を放電し得る。バランシング回路は、1つ以上の共有電力消費(shared-dissipation)バランシング回路を含み得る。代替のバランシング回路は、電圧入力のための2つの端子と出力端子とを有する能動構成要素を含み得る。この代替のバランシング回路の能動構成要素は、結合されたセル又はモジュールの電圧を電圧入力端子によって監視することができ、結合されたセルの電圧が所定の閾値電圧より高くなると、その出力端子に信号を出力することができる。他の代替のバランシング回路は、抵抗器及びトランジスタを更に含み得る。能動構成要素からの出力信号は、抵抗器のうちの第1抵抗器を経由してトランジスタに供給され得る。トランジスタは、出力された信号によって制御されるスイッチとして働き得、出力された信号は、トランジスタを起動させ、又はオンにする。トランジスタが起動するとき、トランジスタは結合されたセルから第2抵抗器及びトランジスタを通るパスを作り、それによって、結合されたセルの過剰な電圧を消費し得る抵抗による放電(可変電流)をもたらす。この他の代替のバランシング回路は、主に、過剰なセル電圧を第2抵抗器を通して消費し得る。第1抵抗器及びトランジスタは、過剰なセル電圧を放電することには大きく寄与しないかもしれない。
【0074】
第2の代替のバランシング回路は、また、セル又はモジュールに結合され得、かつ、能動構成要素及び受動構成要素を含み得る。能動構成要素は、3端子デバイスであり得る。端子のうちの1つは、参照端子であって、それによって能動構成要素が結合されたセル又はモジュールの電圧を監視し得る、参照端子であり得る。もし結合されたセル又はモジュールの電圧が閾値電圧より高く上昇するなら、能動構成要素は、放電電流が結合されたセルから能動構成要素及び受動構成要素を通って流れることを可能にすることができ、よって、過剰なセル電圧が能動構成要素及び受動構成要素の両方にわたって消費されるようにする。いくつかの実施形態において、シャントレギュレータ、例えばテキサスインスツルメンツ(登録商標)のTL431シャントレギュレータは、能動構成要素を実現するために使用され得る。
【0075】
第3のバランシング回路は、第2の、共有電力消費バランシング回路に構成が類似し得る。第3のバランシング回路は、第2のバランシング回路の線形の実施形態であり得る。したがって、第3のバランシング回路の能動構成要素の参照端子は、能動構成要素と受動構成要素との間のノードに結合し得る。よって、能動構成要素は、このノードの電圧を監視するように構成され得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、1つ以上のモジュール125は、モジュール125の小さな(例えば、2モジュールと50モジュールとの間の)ストリングに配置され得る。そのような実施形態において、ストリングはシステムコントローラを含まなくてもよく、代わりにモジュール125間に制御を分散し得る。したがって、モジュール125のセルのバランシングに関係する全ての制御及び計算は、各モジュール125によって個々に行われ得る。よって、本明細書においてシステムコントロール105にあるいかなる機能も、代わりに小さなストリング内の1つ以上の(又はそれぞれの)モジュール125によって行われ得る。例えば、モジュール125は、集中化されたシステムコントロール105とは反対に、それらのそれぞれのセル135に関するさまざまなパラメータを、ストリングの他のモジュール125のそれぞれに伝送し得る。
【0077】
そのような分散形の実施形態において、各モジュール125は、ストリングの他の各モジュール125の平均セル電圧を受信し得、ストリングの全体の平均セル電圧を求め得る。この全体の平均セル電圧は、各モジュール125によって、それぞれのモジュール125の個々のセルのそれぞれの相対容量を求めるために使用され得る。いくつかの実施形態において、各モジュール125は、モジュール125自身の、及び/又はモジュール125のストリング全体の、相対容量を求め得る。いくつかの実施形態において、各モジュール125は、その個々のセル135のそれぞれの相対容量に基づいて、そのそれぞれのセル135のバランスを取るか否かを制御することもし得る。したがって、モジュール125のストリングのバランシングは、モジュール125に分散した制御を使用して行われ得る。同様に、個々のセル135及びモジュール125の相対容量の計算は、各モジュール125によって、同様の計算を行う他のモジュール125とは独立して、行われ得る。
【0078】
各モジュール125におけるバランシング回路又は他のハードウェアは、セル135を放電することのみができるように制限され得る。よって、バランシング回路は、動作中に、モジュール125内のセル135のセル電圧を低下又は減少させることができ得る。いくつかの実施形態において、モジュール125のバランシング回路は、モジュール125内の1つ以上のセル135のセル電圧がそのモジュール125内のセル135の目標電圧より小さいということを明らかにし得るが、それは、計算されたセル相対容量及びシステム100の平均セル/モジュール電圧に基づいて明らかにされ得る。そのような実施形態において、システム100における残りのモジュール125の他のセル135を放電する必要がある。多くの数のセル135を有するシステムにおいて、平均セル/モジュール電圧は、他のモジュール125にバランスを取らせるきっかけとなるほど十分に低くはないかもしれない。代替として、そのセル電圧が低すぎるということを明らかにしたモジュール125のバランシング回路は、低いセル電圧という事態をシステム100の残りに通知し得る。
【0079】
多数のセル135を有するシステムにおいて、平均セル/モジュール電圧は、他のモジュール125にバランスを取らせるきっかけとなるのに十分低くあり得る。いくつかの実施形態において、モジュール125は、システムコントローラ105にトリガーを信号で送り得、システムコントローラ105は次に、トリガーをシステムコントローラ105に結合された全てのモジュール125に渡す。そのような実施形態において、各モジュール125は、そのセル群の目標電圧を、セル群135の相対容量、及びセル135の電圧とセル135又はモジュール125の目標電圧との間の平均セルデルタ電圧に基づいて求める。モジュール125が、そのセル135のいずれもが目標電圧より高いことを明らかにするとき、モジュール125はそれらのセル135のバランスを取る。モジュール125が、そのセル135のいずれもが目標電圧より少なくとも閾値電圧(例えばXmV、Xは所定の又は動的なmV値)だけ低いことを明らかにするとき、モジュール125は、ビット(例えば、バランシング要求ビット)を他のモジュール125に送信し得る(例えば、直接又はシステムコントローラ105経由で)。モジュール125は、そのセル群135の放電又はバランスを取ることを、システム100のモジュール125のどれもが対応するバランシング要求ビットをセットしなくなるまで(例えば、全セル135がそれらのそれぞれの目標電圧以上になるまで、又は目標電圧の閾値電圧内に入るまで)続け得る。
【0080】
モジュール125のうちの1つが、そのセル電圧が低すぎるということを明らかにするとき、モジュール125は、その低セル電圧という事態をシステム100の残りに通知し得る。したがって、各モジュール125は、そのローカルなセル目標電圧を、そのセル群135の相対容量、及びセル135の電圧とセル135又はモジュール125の目標電圧との間の平均セルデルタ電圧に基づいて求め得る。モジュール125は次に、ローカルなセル目標電圧を変換又は操作して、モジュール125のセル群135の平均モジュール目標電圧(AMTV)を求める。モジュール125は、モジュール125内の最小AMTVも求めて、最小AMTVをシステム100の他のモジュール125に、通信インフラストラクチャーを経由して(例えば、システムコントローラ105、又は他のモジュール125のそれぞれに直接)、送信/通知する。各モジュール125(又はシステムコントローラ105)は、システム100における最小AMTVを、各モジュール125から受信した最小AMTVに基づいて求め得る。各モジュール125は次に、そのセル135のそれぞれの相対容量を使用して、調節されたセル目標電圧を、システム100全体の最小AMTVに基づいて求め得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、AMTVという用語は、到達すべき目標システム電圧のためにストリング内のモジュール125が到達する必要がある平均モジュール電圧に対応する。AMTVは、セル135及び/又はモジュール125の相対容量を使用して求められ得る。
【0082】
システム内のどこかの低セル電圧を考慮するために他の全てのCMSにそれらのセル目標を調節/低下させることを可能にし、平均モジュール電圧目標(average module voltage target)(各セル目標は正規化されてシステム平均に戻る)を送信する各CMSによって行われる我々のシステム設計内に,この通信は存在する。この問題を解決する他の例は、セル目標の集中化された計算、又はシステムを通してブロードキャストされるデルタ電圧である。
【0083】
上述されたように、全体の平均セル電圧は、全体の最大又は最小平均セル電圧に決定され得る。いくつかの実施形態において、全体の平均セル電圧は、モジュール125のそれぞれから受信されたAMTVに基づいて、全体の最小AMTVを含み得る。調節されたセル目標電圧は、少なくとも部分的に最小AMTVに基づいて求められ得、モジュール群125のセル群135のバランスを取るのに使用され得る。
【0084】
本開示の範囲は、このセクション又はこの明細書の他の場所の好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることは意図されず、このセクション又はこの明細書の他の場所に提示されている又は将来提示される特許請求の範囲によって規定され得る。特許請求の範囲の文言は、特許請求の範囲で使用される文言に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書において又は本願の遂行中に説明される例に限定されず、その例は非排他的であるとして解釈されるべきである。
【0085】
上述の方法のさまざまな動作は、さまざまなハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素、回路、及び/又はモジュールのような、その動作を実行できるいかなる適切な手段によっても実行され得る。一般に、図に示された動作は、その動作を実行できる対応する機能的手段によって実行され得る。
【0086】
本明細書に開示の実施形態に関連して説明したさまざまな例示の論理ブロック、モジュール、回路、及び方法ステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両者の組み合わせとして実現され得る。このハードウェアとソフトウェアとの互換性を明瞭に示すために、さまざまな例示のコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、概してそれらの機能に関して上述されている。そのような機能がハードウェア又はソフトウェアのどちらで実現されるかは、個々の用途及びシステム全体に課せられる設計の制約に依存する。上述の機能は、個々の用途の各々においてさまざまなやり方で実行することができるが、そのような実施形態の決定を、本実施形態の技術的範囲からの逸脱を引き起こすものと解釈してはならない。
【0087】
本明細書に開示の実施形態に関連して説明されたさまざまな例示のブロック、モジュール、及び回路は、本明細書に記載の機能を実行するように設計された汎用のハードウェアプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)若しくは他のプログラマブルな論理素子、ディスクリートなゲート若しくはトランジスタロジック、ディスクリートなハードウェアコンポーネント、又はこれらの任意の組み合わせで、実現又は実行され得る。汎用のハードウェアプロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、ハードウェアプロセッサは、いかなる従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械でもあり得る。ハードウェアプロセッサは、演算装置の組合せ、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアとともに使用される1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成として実現され得る。
【0088】
本明細書に開示の実施形態に関連して説明された、方法のステップ及び機能は、ハードウェア、ハードウェアプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、又は両者の組み合わせにおいて、直接的に具現化され得る。ソフトウェアにおいて実現されるなら、機能は、有形の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶、又はその媒体上の1つ以上の命令又はコードとして送信され得る。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的にプログラマブルなROM(EPROM)、電気的消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、又は当該技術において知られている任意の他の形式の記憶媒体に存在し得る。記憶媒体は、ハードウェアプロセッサがその記憶媒体から情報を読み出し、その記憶媒体に情報を書き込むことができるように、ハードウェアプロセッサに結合される。代替として、記憶媒体はハードウェアプロセッサと一体であり得る。本明細書において使用されるディスクは、コンパクト・ディスク(CD、compact disc)、レーザーディスク(laser disc)、光ディスク(optical disc)、デジタル多用途ディスク(DVD、digital versatile disc)、フロッピーディスク(floppy disk)、及びブルーレイディスク(Blu-ray disc)を含み、ディスク(disc)はデータをレーザーで光学的に再生する一方、ディスク(disk)は通常、データを磁気的に再生する。上述のものの組合せも、コンピュータ読み取り可能な媒体の範囲に含まれるべきである。ハードウェアプロセッサ及び記憶媒体はASIC内に存在し得る。
【0089】
本開示を要約する目的のために、本明細書には、いくらかの局面、有利な点、及び斬新な特徴が説明されている。そのような有利な点の全てが任意の特定の実施形態に基づいて必ずしも達成されるわけではないということが、理解されるべきである。よって、本明細書において教示される1つの有利な点又は有利な点の集まりを、本明細書において教示又は示唆され得る他の有利な点を必ずしも達成することなく、達成又は最適化するというやり方で、本発明は、具体化又は実行され得る。
【0090】
上述の実施形態のさまざまな修正は、容易に明らかであり、本明細書に規定された包括的な原理は、本願の精神及び範囲を逸脱することなく、他の実施形態に適用され得る。よって、本願は、本明細書に示された実施形態に限定されることは意図されておらず、本願には、本明細書に開示された原理及び斬新な特徴と整合性のある最も広い範囲が与えられるべきである。