(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】巻き取り装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
H01M4/04 A
H01M4/04 Z
(21)【出願番号】P 2019565077
(86)(22)【出願日】2018-02-12
(86)【国際出願番号】 IB2018050831
(87)【国際公開番号】W WO2018146638
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】102017000015423
(32)【優先日】2017-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519293829
【氏名又は名称】マンツ・イタリー・エッセ・エッレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルカ・ザンボネッリ
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-243971(JP,A)
【文献】特開2014-122112(JP,A)
【文献】中国実用新案第205058044(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-4/62
B65H 18/00-18/28
B65H 23/195-23/198
H01G 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- フレーム(F)と、
- 前記フレーム(F)によって担持される第1の電動軸(h)によって回転される第1のクランク手段(R1)と、
- 前記第1のクランク手段(R1)によって担持される第2の電動軸(j)によって回転される第2のクランク手段(R2)と、
- コア(S)であって、当該コア(S)上に材料(M)が巻き取られ、前記コア(S)は、前記第2のクランク手段(R2)に担持される第3の電動軸(k)によって回転される、コア(S)と、
を備えることを特徴とする巻き取り装置(1)。
【請求項2】
前記第1の電動軸(h)と、前記第2の電動軸(j)と、前記第3の電動軸(k)とは、互いに独立してモータ駆動されることを特徴とする請求項1に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項3】
前記第1の電動軸(h)、前記第2の電動軸(j)および前記第3の電動軸(k)を第1の運動法則、第2の運動法則、および第3の運動法則で各別に制御するためのコンピュータプログラム命令が提供されたプログラム可能な電子制御手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項4】
前記第1の運動法則は、前記第2の運動法則とは異なることを特徴とする請求項3に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項5】
前記第2の運動法則は、前記第3の運動法則とは異なることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項6】
前記第1の運動法則は、前記第3の運動法則とは異なることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項7】
前記第1の運動法則は、一定でない回転速度を含むことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項8】
前記第2の運動法則は、一定でない回転速度を含むことを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項9】
前記第3の運動法則は、一定でない回転速度を含むことを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項10】
前記第1の運動法則、前記第2の運動法則、および前記第3の運動法則は、条件として、少なくとも2つのパラメータを設定することによって生成され、
少なくとも2つの前記パラメータは、前記コア(S)の一部または前記材料(M)の一部の少なくとも1つの位置と、前記コア(S)の一部または前記材料(M)の一部の少なくとも1つの速度と、を含むことを特徴とする請求項3から請求項9のいずれか一項に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項11】
前記第1の運動法則、前記第2の運動法則、および前記第3の運動法則は、条件として、前記コア(S)の入口における前記材料(M)の位置が変動しないこと、および前記コア(S)の前記入口における前記材料(M)の速度が変動しないことを設定することによって生成されることを特徴とする請求項10に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項12】
前記第3の運動法則に基づいて、前記コア(S)は、周期的に変動する回転速度(θ’)で前記コア(S)自体の前記第3の電動軸(k)の周りで回転し、
前記コア(S)自体の前記第3の電動軸(k)周りでの前記コア(S)の1つの完全な旋回中に、2つの最大速度値と2つの最小速度値とに到達することを特徴とする請求項3から請求項11のいずれか一項に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項13】
2つの前記最小速度値は、ゼロに等しい2つの値であることを特徴とする請求項12に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項14】
前記第1の運動法則、前記第2の運動法則、および前記第3の運動法則に基づいて、前記第3の電動軸(k)周りでの前記コア(S)の1つの完全な回転・旋回(θ)は、前記第1の電動軸(h)周りでの前記第1のクランク手段(R1)の2つの完全な回転・旋回(α)に対応することを特徴とする請求項3から請求項13のいずれか一項に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項15】
前記第1の運動法則、前記第2の運動法則、および前記第3の運動法則に基づいて、前記第3の電動軸(k)周りでの前記コア(S)の1つの完全な旋回(θ)は、前記第2の電動軸(j)周りでの前記第2のクランク手段(R2)の2つの完全な回転・旋回(β)に対応することを特徴とする請求項3から請求項14のいずれか一項に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項16】
前記第1の運動法則および/または前記第2の運動法則および/または前記第3の運動法則は、巻き取られた前記材料(M)の蓄積に起因する前記コア(S)の寸法の増加を補償するために、前記材料(M)の寸法の少なくとも1つの
値に基づいて設定されることを特徴とする請求項3から請求項15のいずれか一項に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項17】
前記材料(M)の前記寸法の値は、前記材料(M)の厚さを含むことを特徴とする請求項16に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項18】
前記フレーム(F)に固定されたモータ手段に前記第2の電動軸(j)を接続する少なくとも1つの運動伝達機構を備えることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項19】
前記コア(S)は、非円形の形状のものであることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の巻き取り装置(1)。
【請求項20】
電極手段および/または分離手段を巻き取るための、請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の巻き取り装置を使用することによって電気エネルギー貯蔵デバイスを製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ少なくとも部分的にベルトの形態、つまりストリップまたはシートの形態の材料を巻き取るための巻き取り装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
具体的には、限定するものではないが、本発明は電気エネルギー貯蔵デバイスの製造に適用できる。
【0003】
従来技術は、電気エネルギー貯蔵デバイスの製造に使用される様々な巻き取り装置を含む。これら装置では、巻き取りコアは概して、長円形の非円形形状のものであり、そのため巻き取られる材料の動きは一定ではないつまり均等にならないことがある。巻き取りコアに供給される材料の動きをより一定にして均等にするために、いくつかの補償システムが提案されてきた。
【0004】
特許文献1は、回転リールへのシートの巻き取りを開示しており、当該巻き取りにおいて、ローラが、シートをリールに押し付けたまま維持するために往復運動を行うように駆動される。
【0005】
特許文献2は、巻き取りコアと、引き込みベルトの垂直方向変位を補償するためのY軸に沿う補償ユニットと、ベルトにおける張力を均一に維持するために巻き取りに起因するベルト速度の変動を補償するためのX軸に沿う補償ユニットと、を有する装置を開示している。
【0006】
特許文献3は、長円形の回転コアと、テンションローラが固定された揺動アームが設けられた補助調整ユニットを備える、直線的な交互運動によって巻き取りコアの形状によって発生する張力の変動を補償する張力調整システムと、を有する巻き取り装置を開示している。
【0007】
特許文献4は、円軌道に沿ってプレートの回転中心を移動させる電極体を製造するための方法および巻き取り装置を開示している。
【0008】
特許文献5は、シートを積層するための積層ローラを備える、電気エネルギー貯蔵要素を作るためのデバイスを開示しており、積層体は、形状プロファイルを有するスピンドルと、スピンドルと接触する加圧ローラとを備える巻き取り手段によって巻き取られる。
【0009】
特許文献6は、非円形断面を有する巻き取りコアと、回転軸周りで回転するローラと、巻き取りコアの回転の関数としてローラの中心位置を変位させる変位手段と、を備える、シート材料の巻き取り速度の振れを防止する巻き取りデバイスを開示している。
【0010】
特許文献7は、均一な直線運動に従って巻き取り部材を移動させて均一な張力を維持しかつ巻き取り速度の振れを回避するために、巻き取り軸Z周りで回転する巻き取り部材と、巻き取り軸Zを変位させるために配置された旋回手段と、巻き取り部材の角速度を調整するための機構と、旋回手段の角速度を調節するための調節機構と、を備える巻き取り機を開示している。
【0011】
特許文献8は、水平および垂直方向に応じて巻き取りコアの回転軸に直交する平坦面上の可動プレートによって平坦な巻き取りコアが支持されている方法および巻き取りデバイスを開示している。
【0012】
特許文献9は、材料を巻き取るための非円形のコアと、コアを回転させるモータと、モータからコアへの運動伝達機構と、を備える巻き取りデバイスを開示しており、運動伝達機構は、ギアホイールによって伝達される回転運動の速度がコアの角度に応じて変動可能となるよう構成されたギアホイールを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第5,312,064号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2595233号明細書
【文献】韓国特許出願公開第20140015994号明細書
【文献】特開昭61-68736号公報
【文献】欧州特許出願公開第2006/0123622号明細書
【文献】特開2001-243971号公報
【文献】特開2001-233511号公報
【文献】特開2003-146538号公報
【文献】特開2012-051725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の1つの目的は、巻き取られる材料の規則的かつ均一な前進を可能にする巻き取り装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
1つの利点は、材料が巻き付けられる回転可能なコアが非円形形状を有する場合でも、材料を均等に巻き取る補償システムを備える巻き取り装置を提供することである。
【0016】
1つの利点は、処理される材料の振動および/または加速を低減できる巻き取り装置を作ることである。
【0017】
1つの利点は、巻き取り装置に供給される材料の一定かつ均一な張力を保証することである。
【0018】
1つの利点は、電気エネルギー貯蔵デバイスの製造に適した巻き取り装置を利用可能にすることである。
【0019】
1つの利点は、高品質かつ高性能の電気エネルギー貯蔵デバイスを製造するための方法を提供することである。
【0020】
1つの利点は、構造的に単純かつ安価であり、かつフォーマットの変更、とりわけ巻き取りコアの寸法および/または形状の変更に容易に適応可能な巻き取り装置を生み出すことである。
【0021】
1つの利点は、とりわけ非円形部分を有する巻き取りコアに材料を正確かつ確実に巻き取ることである。
【0022】
1つの利点は、必要に応じて円形コアとまったく同じように、材料を非円形コアに巻き取ることができることである。
【0023】
そうした目的および利点ならびにさらに他の事項は、以下に記載する請求項の1つ以上に基づく装置および/または方法によって達成される。
【0024】
一実施形態では、材料を巻き取るための装置は、回転軸によって回転される巻き取りコアを備えており、当該回転軸は、回転軸によって回転される第1の回転要素(クランク)によって担持され、この回転軸は、続いて第2の回転要素(クランク)によって担持される。上述の3つの回転軸(コアの回転軸および2つの回転要素の回転軸)は、3つの(異なる)運動法則で、それぞれの電気カムによって独立してモータ駆動され、3つの運動法則の1つはコアの巻き取り運動に関し、他の2つは回転要素の2つの補償運動に関する。
【0025】
巻き取りコアの回転軸は、一方向回転運動で、例えば波状(正弦波)パターンを伴う回転速度で、とりわけ最小値がゼロ速度となる状態で、駆動されてもよい。第1の回転要素の回転軸は、一方向(連続)回転動作で駆動されてもよい。第2の回転要素の回転軸は、一方向(連続)回転動作で駆動されてもよい。
【0026】
巻き取り装置は、とりわけ電気エネルギー貯蔵デバイスを製造するために使用されてもよい。
【0027】
3つの電気カムは、1つは巻き取り運動に関しかつ他の2つは2つの補償運動に関する3つの運動法則を伴うようプログラムされてもよく、コアの入口における材料の位置の変動を相殺(または少なくとも大幅に低減)するように、かつコアの入口における材料の速度の変動を相殺(または少なくとも大幅に低減)するように構成されている。
【0028】
本発明は、非限定的な例示としてその実施形態を示す添付の図面を参照して、より良く理解されかつ実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に基づいて作られた巻き取り装置の一実施形態の図である。
【
図2】本発明に基づいて作られた巻き取り装置の一実施形態の概略側面図である。
【
図3】
図1の角度θ、α、βの、時間の、角度変位の、および角速度の関数におけるダイアグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
とりわけ巻き取りコア周りにベルト、ストリップ、シートなどの形態の材料Mを巻き取るための巻き取り装置全体が参照符号1によって示されている。
【0031】
巻き取り装置1は、例えば電極手段(例えば少なくとも1つの電極膜)および/または分離手段(例えば電極のための少なくとも1つの分離要素、とりわけ少なくとも部分的にリボンの形態の分離要素)を備える材料Mを巻き取るための、とりわけ電気エネルギー貯蔵デバイスの製造に使用されてもよい。
【0032】
巻き取り装置1は、とりわけ少なくとも1つの(水平)供給面に沿って材料Mを供給するための供給手段(例えば公知のタイプのものであり、図示しない)を備えてもよい。この供給手段は、例えば、少なくとも1つの材料巻き出しリールを備えてもよい。
【0033】
巻き取り装置1は、とりわけ少なくとも1つのフレームFを備えてもよい。巻き取り装置1は、とりわけフレームFに回転可能に連結される少なくとも1つの第1の回転要素を備えてもよい。巻き取り装置1は、とりわけ、第1の回転要素に回転可能に連結される少なくとも1つの第2の回転要素を備えてもよい。巻き取り装置1は、とりわけ、第2の回転要素に回転可能に連結される少なくとも1つの材料の巻き取りコアSを備えてもよい。第1の回転要素は、モータ手段によって回転されてもよい。第2の回転要素は、モータ手段によって回転されてもよい。巻き取りコアSは、モータ手段によって回転されてもよい。第1の回転要素と第2の回転要素と巻き取りコアSとは、互いに独立した駆動装置によって(互いに異なりかつ独立した3つの駆動手段によって)回転されてもよい。
【0034】
第1の回転要素は、とりわけフレームFによって担持された第1の(水平)電動軸hによって回転される第1のクランク手段R1を備えてもよい。第1のクランク手段R1は、とりわけフレームFに取り付けられた少なくとも1つの第1のクランクを備えてもよい。第1の軸hは、とりわけ第1のモータM1から回転運動を受け取ってもよい。第1の軸hは、とりわけ第1のモータM1の駆動シャフトと同軸であってもよい。
【0035】
第2の回転要素は、とりわけ、第1のクランク手段R1によって担持される第2の(水平)電動軸jによって回転される第2のクランク手段R2を備えてもよい。第2のクランク手段R2は、とりわけ、第1のクランクに取り付けられた少なくとも1つの第2のクランクを備えてもよい。第2の軸jは、とりわけ、第2のモータM2から回転運動を受け取ってもよい。第2の軸jは、とりわけ、第2のモータM2の駆動シャフトと同軸であってもよい。第2のモータM2は、第1のクランク手段R1によって支持されてもよい。第2の軸jは、とりわけ、第1の軸hに平行であってもよい。図示されていない他の例では、第2のモータM2は、フレームFに取り付けられ、かつ運動伝達機構によって第2の軸jに接続可能であり、当該運動伝達機構は、例えば伝動装置、とりわけ遊星歯車(遊星歯車または衛星歯車システム)を備えてもよい。
【0036】
巻き取りコアSは、とりわけ、(フィルム)材料が巻き付けられる非円形形状の断面(垂直断面)を有するコアを備えてもよい。コアSは、例えば、平坦形状の断面(垂直断面)を有していてもよい。コアSは、例えば、矩形状の断面(垂直断面)を有していてもよい。コアSは、例えば、積層形状のものであってもよい。コアSは、例えば、楕円形、卵型、菱形、長円形などの形状の断面(垂直断面)を有していてもよい。それにも関わらず、コアSは円形形状の断面(垂直断面)を有することができる。
【0037】
コアSは、第2のクランク手段R2によって担持される第3の(水平)電動軸kによって回転されてもよい。第3の軸kは、とりわけ、第3のモータM3から回転運動を受け取ってもよい。第3の軸kは、とりわけ、第3のモータM3の駆動シャフトと同軸であってもよい。第3のモータM3は、第2のクランク手段R2によって支持されてもよい。第3の軸kは、とりわけ、第1の軸hおよび/または第2の軸jに平行であってもよい。
【0038】
第1の軸h、第2の軸jおよび第3の軸kは、この実施形態におけるように、互いに独立してモータ駆動されてもよい。
【0039】
第1の回転要素(第1のクランク手段R1)は、とりわけ、第1の転がり支持手段10の介在によってフレームFに回転可能に連結されてもよい。第2の回転要素(第2のクランク手段R2)は、とりわけ、第1の回転要素に担持された第2の転がり支持手段20の介在によって第1の回転要素に回転可能に連結されてもよい。巻き取りコアSは、とりわけ、第2の回転要素によって担持された第3の転がり支持手段30の介在によって第2の回転要素に回転可能に連結されてもよい。
【0040】
巻き取り装置1は、とりわけ、それぞれ第1の運動法則、第2の運動法則および第3の運動法則で第1の軸hおよび/または第2の軸jおよび/または第3の軸kを制御するためのコンピュータプログラム命令が提供されたプログラム可能な電子制御手段(CPU)を備えてもよい。
【0041】
第1の運動法則は、第2の運動法則とは異なってもよい。第2の運動法則は、第3の運動法則とは異なってもよい。第1の運動法則は、第3の運動法則とは異なってもよい。第1の運動法則は、とりわけ、第1の軸hの一定でない回転速度を含んでもよい。第2の運動法則は、とりわけ、第2の軸jの一定でない回転速度を含んでもよい。第3の運動法則は、とりわけ、第3の軸kの一定でない回転速度を含んでもよい。
【0042】
第1の運動法則、第2の運動法則、および第3の運動法則は、コアSの一部または材料Mの一部の少なくとも1つの位置と、コアSの一部または材料Mの一部の少なくとも1つの速度と、を含む少なくとも2つのパラメータを条件として設定することによって生成されてもよい。とりわけ、第1の運動法則、第2の運動法則、および第3の運動法則は、次の条件、すなわち:コアSの入口における材料Mの位置が変動しないこと、およびコアSの入口における材料Mの速度が変動しないこと、を設定することによって生成されてもよい。
【0043】
図3は、3つの運動法則の経時的なパターンの一実施形態を示しており、とりわけ上部のグラフでは、(60進法で表現された)第1の軸hの角度変位α(アルファ)、第2の軸jの角度変位β(ベータ)、第3の軸kの角度変位θ(シータ)のパターンが図示されており、さらに下のグラフでは、(rpmでの)角速度α’、β’、θ’の対応するパターンが図示される。角度α(アルファ)、β(ベータ)、θ(シータ)は、この実施形態におけるように、基準(ゼロ)として水平線をとることによって測定されてもよい。
【0044】
第3の運動法則に基づいて、コアSは、この実施形態におけるように、例えば正弦波パターンで周期的に変動する回転速度θ’でコアS自体の軸(第3の軸k)周りで回転することができ、コアS自体の軸(第3の軸k)周りでのコアSの1回の完全な旋回の過程において2つの最大速度値と2つの最小速度値θ’に到達する。2つの最小速度値θ’は、この実施形態におけるように、ゼロに等しい2つの値であってもよい。
【0045】
第1、第2、および第3の運動法則に基づいて、コアSの1つの完全な回転・旋回は、この実施形態におけるように、第1のクランク手段R1の2つの完全な回転・旋回および第2のクランク手段R2の2つの完全な回転・旋回に対応できる。
【0046】
第1の運動法則および/または第2の運動法則および/または第3の運動法則は、コアSの寸法の増加を補償するように、材料Mの少なくとも1つの厚さの値に基づいて設定されてもよく、コアSの寸法の増加は、巻き取られた材料Mがコアに蓄積することに起因して巻き取り旋回ごとに発生する。
【0047】
2つの回転要素(第1のクランク手段R1および第2のクランク手段R2)は、とりわけ第1の回転軸h周りでの第1の(軌道)補償運動および第2の回転軸j周りでの第2の(軌道)補償運動をそれぞれ行うような方法で構成される。補償運動は、とりわけ、巻き取りコアSの入口における(少なくとも部分的にフィルム形態の)材料Mの位置を一定に維持するため、かつ/またはコアSの入口における(前進方向Aにおける)材料Mの前進速度を一定に維持するために、調整されてもよい。
【0048】
図示されていない一実施形態では、第1の電動軸hは、運動伝達手段(例えばギア手段)によって駆動手段(第1のモータM1)に接続されてもよい。図示されていない一実施形態では、第2の電動軸jは、運動伝達手段(例えばギア手段)によって駆動手段(第2のモータM2)に接続されてもよい。図示されていない一実施形態では、第3の電動軸kは、運動伝達手段(例えばギア手段)によって駆動手段(第3のモータM3)に接続されてもよい。
【0049】
説明したように、3つの軸h、j、kは互いに独立してモータ駆動されてもよい。とりわけ、3つの軸h、j、kは、互いに異なる3つのモータM1、M2、M3によって回転されてもよい。3つのモータM1、M2、M3は、とりわけ、公知のタイプのモータ(例えば電気モータ)を備えてもよい。
【0050】
説明したように、3つの軸h、j、kの回転を調整する電気カムは、材料に均等な運動を付与するために、巻き取りに伴う少なくとも1つの可動体の、例えばコアSの一部または材料Mの一部の、1つの位置と1つの速度とを含む少なくとも2つのパラメータを条件として有する(3つのそれぞれの運動法則を生成する)プログラムを組まれてもよい。
【0051】
第1のパラメータは、例えばコアSの1つの端部、とりわけコアSの入口における材料Mの端部、つまりコアSの端部であって、毎回、巻き取り回転の半旋回ごとに、巻き取られるべく(供給面に沿って)前進する材料Mを受け取るコアSの端部における材料Mの位置を含んでもよい。条件は、例えば、コアSの端部が常に巻き取り中に材料Mの供給面上または当該供給面の近くに配置されたまま留まることを伴ってもよい。
【0052】
第2のパラメータは、例えば、コアSの上述の端部における材料Mの速度(または巻き取る必要がある材料Mの供給面に沿った速度)を含んでもよい。条件は、例えば、コアSの上述の端部の速度(または当該端部に配置された材料Mの速度)が巻き取り中に常に(一方向においてかつ/または絶対値として)一定の値、あるいはいずれにせよ設定された変動範囲の間の値を有することを伴ってもよい。
【0053】
上で特定された条件の順守を容易にするために、(例えば上述の供給面を横切る少なくとも1つの方向において)少なくとも1つの復元運動を行うための様式で制御される3つの回転軸h、j、kの1つ以上を、コアSの周りに漸進的に巻き取られる製品(材料M)の体積の漸進的な増加に追従させるよう影響を与えることが可能である。
【0054】
材料Mを巻き取りコアSに巻き取る間、コアSは、第3の回転軸k周りで、電気カム(当該電気カムは第3の軸kの第3の駆動モータM3を制御する)によって制御される回転速度θ’で回転し、電気カムは、続いて、第1の軸hの第1の駆動モータM1と第2の軸jの第2の駆動モータM2とを制御する2つの電気カムによって制御される軌道を実行する。3つの電気カムは、材料Mの入口位置(半旋回ごとに材料を受け取るコアSの端部における、コアSの入口における位置)が一定となる様式で、かつ(水平)前進方向Aにおける材料Mの前進速度も一定となる様式で、構成されている。
【0055】
上述のシステムでは、コアS自体の回転軸k周りでのコアSの(回転)巻き取り運動と、コアSの回転軸kの(2つの軸hおよびjの回転によってこの実施形態において決定される2つの自由度を伴う)補償運動とが、とりわけ3つの個別の電動駆動装置によって互いに独立して行われており、当該システムは、得られる材料Mの位置および入口速度に恒常性をもたらすことができる。
【0056】
したがって、第1の電動軸hおよび第2の電動軸jは、(2つの自由度を伴う)補償運動、すなわち第1の回転要素(第1のクランク手段R1)の角度α(アルファ)の角度変位と第2の回転要素(第2クランク手段R2)の角度β(ベータ)の角度変位との組み合わせを生じさせるためにともに協働してもよい。第3の電動軸kは巻き取り運動を生じさせ、当該巻き取り運動は、適切な場合には、角度θ(シータ)の角度変位、すなわちコアS自体における第3の軸k周りでのコアSの回転を含む。
【0057】
コアSの入口における材料Mの位置および前進速度の変動は、3つの電動軸h、j、kの駆動装置の3つの電気制御カムによって相殺される。上述のように、電気カムの運動法則は、プロセス条件として、材料Mの入口位置および前進速度を取得し、設定された条件を順守するのに適した巻き取りコアSの角度位置θ(シータ)と第2の回転要素(第2のクランク手段R2)の角度位置β(ベータ)と第1の回転要素(第1のクランク手段R1)の角度位置α(アルファ)とを瞬時に計算して、繰り返し生成されてもよい。巻き取られた材料MがコアS上に蓄積するにつれて、巻き取り旋回ごとにコアSの体積が漸進的に増加することを考慮に入れたさらなる条件を付与することができる。
【0058】
上述のように、
図3の上部におけるグラフは、時間(秒)の関数における、1つの巻き取りプロセスの実施形態における単一の巻き取り旋回(コアSの360°までの回転)に関する、回転する巻き取りコアSの角度位置(角度θ(シータ))と、第2の回転要素の角度位置(補償角度β(ベータ))と、第3の回転要素の角度位置(補償角度α(アルファ))とのパターンの1つの実際的な実施形態を示す。
図3の下部に示されたグラフは、同じ巻き取り旋回に関する、rpmでのコアSの回転速度(巻き取り速度θ’(シータ’))の対応パターンと、2つの自由度(速度β’(ベータ’)およびα’(アルファ’))を伴う補償システムの対応パターンと、を示す。
【0059】
この実施形態において、巻き取りコアSの回転(コアS自体の360°の回転)ごとに、第1の軸hの2つの補償旋回と第2の軸jの2つの補償旋回(第1のクランク手段R1の720°の回転および第2のクランク手段R2の720°の回転)とが提供されることに留意されたい。
【0060】
上述のように、上記補償システムは、最初の旋回に続く旋回で、巻き取られた材料の蓄積に起因するコアSの寸法の漸進的な増加を補償するように制御されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 巻き取り装置
10 第1の転がり支持手段
20 第2の転がり支持手段
30 第3の転がり支持手段
F フレーム
M 材料
M1 第1のモータ
M2 第2のモータ
M3 第3のモータ
R1 第1のクランク手段
R2 第2のクランク手段
S 巻き取りコア
h 第1の電動軸
j 第2の電動軸
k 第3の電動軸