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特許7116139積層セラミックキャパシター及びその実装基板
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシター及びその実装基板
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
H01G4/30 513
H01G4/30 512
H01G4/30 515
H01G4/30 201C
H01G4/30 201K
H01G4/30 201L
H01G4/30 201N
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020186777
(22)【出願日】2020-11-09
(62)【分割の表示】P 2017214632の分割
【原出願日】2017-11-07
(65)【公開番号】P2021022754
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】10-2017-0048049
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0071512
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク、ムーン スー
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ジェ ホン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ビュン チュル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドン フン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、チャン ハク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビュン クン
【審査官】北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-179873(JP,A)
【文献】特開2000-311831(JP,A)
【文献】特開2004-096010(JP,A)
【文献】特開2004-345873(JP,A)
【文献】特表2010-518651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1誘電層及び第2誘電層を含み、積層方向において互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と互いに連結され、互いに対向する第3面及び第4面、前記第1面~前記第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を有する本体と、
前記第1誘電層に配置されており、前記第3面、前記第5面及び前記第6面を介して露出し、前記第4面から第1空間だけ離隔して配置される第1内部電極と、
前記第2誘電層に前記第1誘電層または前記第2誘電層を挟んで前記第1内部電極と対向するように配置されており、前記第4面、前記第5面及び前記第6面を介して露出し、前記第3面から第2空間だけ離隔して配置される第2内部電極と、
前記第1空間の少なくとも一部に配置される第1誘電体パターンと、
前記第2空間の少なくとも一部に配置される第2誘電体パターンと、
前記本体の前記第5面及び前記第6面に配置される側面絶縁層と、を含み、
前記第1内部電極は、第1容量部と、前記第1容量部と第1外部電極とを連結し、前記第1容量部に比べて幅が狭い第1リード部と、を含み、
前記第2内部電極は、第2容量部と、前記第2容量部と第2外部電極とを連結し、前記第2容量部に比べて幅が狭い第2リード部と、を含
前記第1誘電体パターンは、前記第1空間から前記第1内部電極の端部の段差を覆うオーバーラップ部を有するが、前記第1内部電極の前記第5面及び前記第6面を介して露出する端面を覆わないように配置され、
前記第2誘電体パターンは、前記第2空間から前記第2内部電極の端部の段差を覆うオーバーラップ部を有するが、前記第2内部電極の前記第5面及び前記第6面を介して露出する端面を覆わないように配置され、
前記第1誘電体パターンおよび前記第2誘電体パターンは、前記第1内部電極及び前記第2内部電極よりも厚く形成される
積層セラミックキャパシター。
【請求項2】
前記第3面に露出した部分の前記第1内部電極の前記第2面に対する角度を変形角としたときに、前記第1内部電極の前記変形角は15°以下である、請求項1に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項3】
前記第1誘電体パターン及び前記第2誘電体パターンは低温焼成が可能な誘電体を含む、請求項1または2に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項4】
前記第1容量部に対する前記第1リード部の幅が10~50%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項5】
前記第1誘電層の前記第1容量部と前記第1リード部とが接する部分に配置される第3誘電体パターンをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項6】
前記第2誘電層の前記第2容量部と前記第2リード部とが接する部分に配置される第4誘電体パターンをさらに含む、請求項5に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項7】
前記第3誘電体パターンは、アルカリ金属を含むガラス成分が含まれた低温焼成助剤を含む誘電体を含む、請求項5または6に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項8】
前記第1誘電体パターン及び前記第2誘電体パターンは、アルカリ金属を含むガラス成分が含まれた低温焼成助剤を含む誘電体を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項9】
前記第1誘電体パターン及び前記第2誘電体パターンは、前記第1誘電層及び前記第2誘電層に用いられた材料と異なる材料で形成される、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項10】
前記第1誘電体パターン及び前記第2誘電体パターンは、前記本体の前記第5面及び前記第6面を介して露出し、前記側面絶縁層と接している、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項11】
前記側面絶縁層はポリマーまたはセラミックを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項12】
前記側面絶縁層は誘電体を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項13】
一面に第1及び第2パッドが配置された基板と、
前記基板に実装される積層セラミックキャパシターと、を含む積層セラミックキャパシターの実装基板であって、
前記積層セラミックキャパシターは、
第1誘電層及び第2誘電層を含み、積層方向において互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と互いに連結され、互いに対向する第3面及び第4面、前記第1面~前記第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を有する本体と、前記第1誘電層に配置されており、前記第3面、前記第5面及び前記第6面を介して露出し、前記第4面から第1空間だけ離隔して配置される第1内部電極と、前記第2誘電層に前記第1誘電層または前記第2誘電層を挟んで前記第1内部電極と対向するように配置されており、前記第4面、前記第5面及び前記第6面を介して露出し、前記第3面から第2空間だけ離隔して配置される第2内部電極と、前記第1空間の少なくとも一部に配置される第1誘電体パターンと、前記第2空間の少なくとも一部に配置される第2誘電体パターンと、前記本体の前記第5面及び前記第6面に配置される側面絶縁層と、を含み、
前記第1内部電極は、第1容量部と、前記第1容量部と第1外部電極とを連結し、前記第1容量部に比べて幅が狭い第1リード部と、を含み、
前記第2内部電極は、第2容量部と、前記第2容量部と第2外部電極とを連結し、前記第2容量部に比べて幅が狭い第2リード部と、を含
前記第1誘電体パターンは、前記第1空間から前記第1内部電極の端部の段差を覆うオーバーラップ部を有するが、前記第1内部電極の前記第5面及び前記第6面を介して露出する端面を覆わないように配置され、
前記第2誘電体パターンは、前記第2空間から前記第2内部電極の端部の段差を覆うオーバーラップ部を有するが、前記第2内部電極の前記第5面及び前記第6面を介して露出する端面を覆わないように配置され、
前記第1誘電体パターンおよび前記第2誘電体パターンは、前記第1内部電極及び前記第2内部電極よりも厚く形成される
積層セラミックキャパシターの実装基板。
【請求項14】
前記第3面に露出した部分の前記第1内部電極の前記第2面に対する角度を変形角としたときに、前記第1内部電極の前記変形角は15°以下である、請求項1に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
【請求項15】
前記第1誘電体パターン及び前記第2誘電体パターンは低温焼成が可能な誘電体を含む、請求項1または1に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
【請求項16】
前記第1容量部に対する前記第1リード部の幅が10~50%である、請求項1から1のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
【請求項17】
前記第1誘電層の前記第1容量部と前記第1リード部とが接する部分に配置される第3誘電体パターンをさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
【請求項18】
前記第2誘電層の前記第2容量部と前記第2リード部とが接する部分に配置される第4誘電体パターンをさらに含む、請求項17に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
【請求項19】
前記第3誘電体パターンは、アルカリ金属を含むガラス成分が含まれた低温焼成助剤を含む誘電体を含む、請求項17または18に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
【請求項20】
前記第1誘電体パターン及び前記第2誘電体パターンは、アルカリ金属を含むガラス成分が含まれた低温焼成助剤を含む誘電体を含む、請求項1から1のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
【請求項21】
前記第1誘電体パターン及び前記第2誘電体パターンは、前記第1誘電層及び前記第2誘電層に用いられた材料と異なる材料で形成される、請求項1から20のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
【請求項22】
前記第1誘電体パターン及び前記第2誘電体パターンは、前記本体の前記第5面及び前記第6面を介して露出し、前記側面絶縁層と接している、請求項1から21のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
【請求項23】
前記側面絶縁層はポリマーまたはセラミックを含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
【請求項24】
前記側面絶縁層は誘電体を含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信頼性が向上した積層セラミックキャパシター及びその実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシターは、電気を貯蔵することができる素子であって、基本的に、2つの電極を対向させ、電圧をかけると各電極に電気が蓄積されるものである。直流電圧を印加した場合には、電気が蓄積されながらキャパシターの内部に電流が流れるが、蓄積が完了すると、電流が流れなくなる。一方、交流電圧を印加した場合には、電極の極性が交番しながら交流電流が流れ続けるようになる。
【0003】
かかるキャパシターは、電極の間に備えられる絶縁体の種類によって、アルミニウムで電極を構成し、上記アルミニウム電極の間に薄い酸化膜を備えるアルミニウム電解キャパシター、電極材料としてタンタルを用いるタンタルキャパシター、電極の間にチタンバリウムなどの高誘電率の誘電体を用いるセラミックキャパシター、電極の間に備えられる誘電体として、多層構造の高誘電率系セラミックを用いる積層セラミックキャパシター(Multi-Layer Ceramic Capacitor、MLCC)、電極の間の誘電体としてポリスチレンフィルムを用いるフィルムキャパシターなど、様々な種類に区分され得る。
【0004】
中でも、積層セラミックキャパシターは、温度特性及び周波数特性に優れており、小型に実現可能であるという利点を有することから、近年、高周波回路などの様々な分野で多く応用されている。
【0005】
従来技術による積層セラミックキャパシターは、複数の誘電体シートが積層されて積層体を成し、上記積層体の外部には互いに異なる極性を有する外部電極が形成されており、上記積層体の内部に交互に積層された内部電極が、上記それぞれの外部電極に電気的に連結されることができる。
【0006】
近年、電子製品の小型化及び高集積化に伴い、積層セラミックキャパシターにおいても、小型化及び高集積化のための多くの研究が行われている。特に、積層セラミックキャパシターの場合、高容量化及び小型化のために、誘電体層を薄層化して高積層化し、且つ内部電極の連結性を向上させようとする様々な試みが行われている。
【0007】
特に、超高容量の積層セラミックを開発するにあたって、薄膜の誘電層及び内部電極の高積層製品に対する信頼性の確保がさらに重要となっている。積層数が増加するにつれて、内部電極と誘電層の厚さの差による段差が増加する。このような段差により、本体を圧着する緻密化工程で誘電層の横方向の伸びが発生し、これによって電極先端部の反り現象が起こるようになる。
【0008】
すなわち、内部電極の先端は段差を補うために反ることとなり、マージン部は、カバーの凹陥とマージン幅の減少により、段差による空き空間を除去するようになる。段差による空き空間の除去によって減少するマージン幅の分だけ、容量層も伸びるようになる。このような内部電極の構造的な不規則な伸びにより、積層セラミックキャパシターの耐電圧特性などの信頼性が低下する。
【0009】
このような段差の発生は、積層セラミックキャパシターの積層方向に垂直な第1方向と積層方向、及び第1方向に垂直な第2方向の全ての方向で問題となり得るため、これを解決するための方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国登録特許第10-114157号公報
【文献】韓国公開特許第2005-0075903号公報
【文献】韓国公開特許第2013-0063234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、誘電層及び内部電極の厚さによる段差の問題を解消することができる構造を有する積層セラミックキャパシターを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターは、第1及び第2誘電層を含み、積層方向において互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面及び上記第2面と互いに連結され、互いに対向する第3面及び第4面、上記第1面~上記第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を有する本体と、上記第1誘電層に配置されており、上記第3面、上記第5面及び上記第6面を介して露出し、上記第4面から第1空間だけ離隔して配置される第1内部電極と、上記第2誘電層に上記第1誘電層または上記第2誘電層を挟んで上記第1内部電極と対向するように配置されており、上記第4面、上記第5面及び上記第6面を介して露出し、上記第3面から第2空間だけ離隔して配置される第2内部電極と、上記第1空間の少なくとも一部に配置される第1誘電体パターンと、上記第2空間の少なくとも一部に配置される第2誘電体パターンと、上記本体の上記第5面及び上記第6面に配置される側面絶縁層と、を含み、上記第1内部電極は、第1容量部と、上記第1容量部と第1外部電極とを連結し、上記第1容量部に比べて幅が狭い第1リード部と、を含み、上記第2内部電極は、第2容量部と、上記第2容量部と第2外部電極とを連結し、上記第2容量部に比べて幅が狭い第2リード部と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターは、第1及び第2内部電極が、本体の幅方向の両端面である第5面及び第6面に露出しているため、幅方向の両端面で内部電極による段差が生じることがなく、長さ方向の両先端の段差を補う第1及び第2誘電体パターンを含むことで、長さ方向の両端面で内部電極による段差が生じることを防止することにより、積層セラミックキャパシターの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターの斜視図を概略的に示したものである。
図2】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターの本体の斜視図を概略的に示したものである。
図3図1のI-I'に沿った断面図を概略的に示したものである。
図4図1のII-II'に沿った断面図を概略的に示したものである。
図5a】比較例による積層セラミックキャパシターの断面を概略的に示したものである。
図5b】比較例による積層セラミックキャパシターの断面において、長さ方向の端部の断面を拡大したものであって、内部電極の変形角を測定したものである。
図6a】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターの断面を概略的に示したものである。
図6b】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターの断面において、長さ方向の端部の断面を拡大したものであって、内部電極の変形角を測定したものである。
図7】マージン部を有する比較例の積層セラミックキャパシターの断面を撮影したものであって、耐電圧特性が不良になる位置Pを表示したものである。
図8a】製造過程中にセラミックシート上に配置された内部電極と誘電体パターンとの間の間隔を示す図である。
図8b】製造過程中にセラミックシート上に配置された内部電極と誘電体パターンとの間の間隔を示す図である。
図9a】製造過程中にセラミックシート上に内部電極及び誘電体パターンが印刷される形状を概略的に示したものである。
図9b】製造過程中にセラミックシート上に内部電極及び誘電体パターンが印刷される形状を概略的に示したものである。
図10a】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシターの第1内部電極及び第2内部電極の平面図を概略的に示したものである。
図10b】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシターの第1内部電極及び第2内部電極の平面図を概略的に示したものである。
図11】本発明のさらに他の実施形態による積層セラミックキャパシターの実装基板の斜視図を概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0016】
積層セラミック電子部品
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターの斜視図を概略的に示したものであり、図2は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターの本体の斜視図を概略的に示したものである。また、図3図1のI-I'に沿った断面図を概略的に示したものであり、図4図1のII-II'に沿った断面図を概略的に示したものである。
【0017】
以下、図1から図4を参照して、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシター100について説明する。
【0018】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシター100は、複数の第1及び第2誘電層111a、111bが積層された本体110と、第1外部電極151と、第2外部電極152と、を含む。
【0019】
本体110は、複数の誘電層111a、111bを厚さ方向に積層してから焼成したものである。誘電層111a、111bの数は適宜調節可能であり、数十~数百層を積層することも可能である。この際、本体110の互いに隣接するそれぞれの誘電層111a、111b同士は、その境界を確認することが困難である程度に一体化されていることができる。また、本体110は六面体形状であることができるが、これに限定されるものではない。
【0020】
本体110が六面体である場合、本体110は、積層方向において互いに対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び上記第2面2と互いに連結され、互いに対向する第3面3及び第4面4、上記第1面~上記第4面1、2、3、4と連結され、互いに対向する第5面5及び第6面6を有することができる。
【0021】
この際、積層方向を厚さ方向または第1方向Zと定義し、第3面及び第4面が形成された方向を長さ方向または第2方向Xと定義し、第5面及び第6面が形成された方向を幅方向または第3方向Yと定義することができる。
【0022】
本体110の最下部の内部電極の下部及び最上部の内部電極の上部には、所定の厚さを有する下部及び上部カバー層112、113が形成されることができる。この際、下部カバー層112及び上部カバー層113は、誘電層111a、111bと同一の組成からなることができ、内部電極を含まない誘電層を、本体110の最上部の内部電極の上部と最下部の内部電極の下部にそれぞれ少なくとも1つ以上積層することで形成されることができる。
【0023】
第1及び第2誘電層111a、111bは、高誘電率のセラミック材料を含み、例えば、BaTiO(チタン酸バリウム)系セラミック粉末などを含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。上記BaTiO系セラミック粉末としては、例えば、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶した(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)Oなどが挙げられるが、本発明がこれに限定されるものではない。また、誘電層111a、111bには、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤及び分散剤の少なくとも1つ以上がさらに含まれてもよい。上記セラミック添加剤としては、例えば、遷移金属酸化物または炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などが用いられることができる。
【0024】
第1誘電層111aには第1内部電極121が配置される。第1内部電極121は、本体110の第3面3、第5面5、及び第6面6を介して露出するように第1誘電層111aに配置される。この際、第1内部電極121は、第4面4から所定距離離隔するように配置される。第1内部電極121と第4面4との間の離隔領域を第1空間121'と定義することができる。
【0025】
第2誘電層111bには第2内部電極122が配置される。第2内部電極122は、本体110の第4面4、第5面5、及び第6面6を介して露出するように第2誘電層111bに配置される。この際、第2内部電極122は、第3面3から所定距離離隔するように配置される。第2内部電極122と第3面3との間の離隔領域を第2空間122'と定義することができる。
【0026】
第1及び第2内部電極121、122は、第1誘電層111a及び第2誘電層111bを成すセラミックシート上に形成されて積層された後、焼成により、1つの誘電層111a、111bを挟んで本体110の内部に厚さ方向に交互に配置される。
【0027】
このような第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する電極であって、誘電層111a、111bの積層方向に沿って互いに対向するように配置されており、その間に配置された誘電層111a、111bによって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0028】
内部電極が本体の外側に露出すると、伝導性異物などの流入に起因する短絡が発生し、積層セラミックキャパシターの信頼性が低下するようになる。したがって、従来は、誘電層に内部電極を形成する際に、誘電層の面積を内部電極の面積よりも大きく形成し、内部電極のうち外部電極と連結される部分を除いた残りの縁部分にマージン部を形成していた。すなわち、マージン部は、内部電極が形成されていない誘電体の領域を意味する。製造工程で誘電層に内部電極を形成すると、内部電極がマージン部から突出したような形状を有するようになる。このような突出した形状によって段差が生じ、数十~数百層の誘電層を積層すると、誘電層が段差を補うために伸びるようになる。誘電層が伸びると、内部電極もともに反るようになる。内部電極が反ると、該当部分で耐電圧特性(BDV;Breakdown Voltage)が低下するという問題が発生する。
【0029】
したがって、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターは、本体110の第5面5及び第6面6のマージン部を除去することで、内部電極による段差が生じることを防止した。これにより、幅方向に内部電極が反ることを防止し、耐電圧特性が低下する問題を予防することから、積層セラミックキャパシターの信頼性を向上させることができる。
【0030】
第3面3と第4面4には、それぞれ第1内部電極121または第2内部電極122が引き出されるように形成されるが、後で第3面3に第1外部電極151が形成され、第4面4には第2外部電極152が形成されるため、第1内部電極121と第2内部電極122は外部に露出せず、それぞれ第1外部電極151及び第2外部電極152によって保護されることができる。
【0031】
しかし、第5面5と第6面6には、第1内部電極121と第2内部電極122が全て露出するように形成されるため、別の側面絶縁層140を配置して内部に形成された内部電極を保護する必要がある。
【0032】
側面絶縁層140を形成するために、本体110をセラミックを含むスラリーにディッピング(dipping)することができる。スラリーは、セラミック粉末、有機バインダー、及び有機溶剤を含むことができる。上記セラミック粉末は、高い誘電率を有する材料であって、側面絶縁層140を形成する際に、耐熱性及び耐久性に優れて作動可動範囲の広い材料が用いられることができる。
【0033】
上記セラミック粉末としては、これに制限されるものではないが、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、チタン酸ストロンチウム系材料などが使用でき、チタン酸バリウム粉末を用いることが好ましい。
【0034】
有機バインダーは、スラリー中におけるセラミック粉末の分散性を確保するためのものであって、これに制限されるものではないが、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、及びこれらの混合物が用いられることができる。
【0035】
上記のように製造されたスラリーに本体110をディッピング(dipping)すると、本体110とスラリーが接する面にスラリーが塗布され、側面絶縁層140が形成されることができる。そして、所望の厚さを有する本体110を形成するために、ディッピング(dipping)及び乾燥を繰り返すことで、所望の量のスラリーを本体110に塗布することができる。
【0036】
本体110をスラリーにディッピング(dipping)する際に、本体110の第3面3と第4面4には外部電極151、152が形成されるべきであるため、スラリーが塗布されることを防止する必要がある。したがって、第3面3と第4面4が外部に露出しないようにするために、第3面3と第4面4にフィルムを付着してスラリーにディッピング(dipping)することができ、これに制限されるものではないが、第3面3と第4面4が切断される前に、第3面3と第4面4が露出していない状態でディッピング(dipping)が行われることができる。すなわち、このようなディッピング(dipping)により、本体110の第5面5及び第6面6にスラリーが塗布されることができる。
【0037】
側面絶縁層140が第5面5及び第6面6に配置されることで、第5面5及び第6面6に露出している内部電極に伝導性異物が流入されることを防止することができる。
【0038】
また、側面絶縁層140はポリマーを用いて形成されることができる。例えば、エポキシを本体110の側面に塗布することで形成されることができる。
【0039】
特に、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシター100は、第5面5及び第6面6のマージン部を除去することで、有効容量面積を最大に確保し、積層セラミックキャパシターの容量をさらに向上させることができる。すなわち、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシター100は、マージン部に代わり、マージン部より相対的に薄く、且つ伝導性異物の流入を防止することができる側面絶縁層140を本体110の第5面5及び第6面6に配置することで、積層セラミックキャパシター100において容量を実現できる体積を増加させることができる。
【0040】
しかし、幅方向のマージン部による段差の発生と同様に、内部電極が外部電極と連結される長さ方向においても段差が生じる。すなわち、幅方向のマージン部による段差の発生を解消したとしても、長さ方向の段差により、積層セラミックキャパシターの耐電圧特性が目標値まで向上することができない。
【0041】
第1及び第2内部電極121、122は、それぞれ本体の長さ方向の両端面である第3面3及び第4面4に交互に露出しており、第1及び第2外部電極151、152と連結される。
【0042】
すなわち、第1内部電極121は第1外部電極151のみと連結され、第2内部電極122は第2外部電極152のみと連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4から所定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3から所定距離離隔して形成される。
【0043】
このような形状を有する内部電極が形成された誘電層を積層する場合、第1及び第2内部電極121、122が交互に第3面3及び第4面4に露出することにより、積層方向Zに第1内部電極121のみまたは第2内部電極122のみが形成された部分に段差が生じるようになる。
【0044】
数十~数百の誘電層111を積層する場合、積層方向Zに第1内部電極121のみまたは第2内部電極122のみが形成された部分における段差によって誘電層111が伸びるようになる。誘電層の伸びにより、図5a及び図5bのように、積層方向に第1内部電極のみまたは第2内部電極のみが形成された部分の第1内部電極または第2内部電極がともに反るようになる。図5bに示された内部電極の反り部分で主に耐電圧特性が低下する問題が発生する。
【0045】
しかし、本発明の一実施形態によるキャパシター100は、第1内部電極121と第4面4との間の離隔している領域を第1空間121'と定義したときに、第1空間121'に第1誘電体パターン131が配置され、第2内部電極122と第3面3との間の離隔している領域を第2空間122'と定義したときに、第2空間122'に第2誘電体パターン132が配置される。これにより、第1内部電極121のみまたは第2内部電極122のみが形成された部分に段差が生じることを防止することができる。
【0046】
すなわち、本発明の一実施形態によるキャパシターは、第1及び第2誘電体パターン131、132を含むことで、第1及び第2内部電極121、122のうち第1内部電極121のみまたは第2内部電極122のみが形成された部分に段差が生じることを防止し、内部電極の反り部分で発生する耐電圧特性の低下問題を解消することができる。
【0047】
したがって、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシター100は、第5面5及び第6面6のマージン部を除去し、側面絶縁層140を配置することで、幅方向の段差による耐電圧特性の低下を防止するとともに、第1及び第2誘電体パターン131、132により、第1及び第2内部電極121、122のうち第1内部電極121のみまたは第2内部電極122のみが形成された部分に段差が生じることを防止することで、長さ方向の段差による耐電圧特性の低下を解消して、実質的に、積層セラミックキャパシター100の全体の耐電圧特性を向上させることができる。
【0048】
図5aは、比較例による積層セラミックキャパシターの断面を撮影したものであり、図5bは、比較例による積層セラミックキャパシターの断面において、長さ方向の端部の断面を拡大したものであって、内部電極の変形角を測定したものである。
【0049】
図6aは、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターの断面を撮影したものであり、図6bは、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターの断面において、長さ方向の端部の断面を拡大したものであって、内部電極の変形角を測定したものである。
【0050】
図5b及び図6bの内部電極の変形角は、内部電極の長さ方向Xの先端部の曲げ角度を意味する。図5bを参照すると、第1及び第2誘電体パターンが形成されていない比較例の積層セラミックキャパシターの内部電極の変形角(θ)は25~50°である。これに対し、図6bを参照すると、第1及び第2誘電体パターン131、132が、それぞれ第1及び第2内部電極121、122が形成されていない領域である第1及び第2空間121'、122'に形成された本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシター100は、内部電極の変形角(θ)が0~15°であることを確認することができた。
【0051】
このような内部電極の変形角は、第1及び第2誘電体パターン131、132を形成するセラミックペーストに含まれる固形分の含量と印刷厚さによって決定され得る。すなわち、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシター100は、第1及び第2誘電体パターン131、132が、それぞれ第1及び第2内部電極121、122が形成されていない領域である第1及び第2空間121'、122'に形成されるため、内部電極による段差を減らし、内部電極の変形角を従来に比べて著しく減少させることができ、これにより、積層セラミックキャパシターの耐電圧特性を向上させることができる。
【0052】
第1及び第2誘電体パターン131、132は、低温焼成が可能な誘電体を含むようにすることができる。図7のように、耐電圧特性の不良位置Pは、チップの角部分に故障が集中することが分かる。このことから、段差による影響が最も大きい上部を除くと、焼成緻密度が相対的に低いカバー層またはマージン部に故障位置が集中されていることが分かる。したがって、第1及び第2誘電体パターン131、132を低温焼成が可能な誘電体を含むペーストで形成することで、焼結性の低下位置における焼結性を促進し、積層セラミックキャパシターの信頼性を向上させることができる。低温焼成が可能な誘電体とは、低温焼成助剤を含むBaTiOを意味することができる。低温焼成助剤は、Na、Liなどのアルカリ金属を含むガラス成分が含まれたものを意味する。
【0053】
図8a及び図8bは、製造過程中にセラミックシート上に配置された内部電極と誘電体パターンとの間の間隔を示した図であり、図9a及び図9bは、製造過程中にセラミックシート上に内部電極及び誘電体パターンが印刷される形状を概略的に示したものである。
【0054】
図8a、図8b、図9a及び図9bを参照すると、一般に、積層セラミックキャパシターの製造過程中に内部電極及び誘電体パターンを形成する段階では、治具10にセラミックシート11を形成し、セラミックシート11の一面に内部電極20を印刷した後、印刷された内部電極の長さ方向Xの間に誘電体パターン30を印刷する。
【0055】
この際、誘電体パターン30を所望の位置に正確に形成することが、不良率を低める重要な要因となる。したがって、図8aのように、誘電体パターン30が内部電極20の間に正確に形成されるべきであるが、製造誤差によって誘電体パターン30が目標位置に正確に印刷されないと、図8bのように、誘電体パターン30が一側に偏って形成される。図8bのように、誘電体パターン30が内部電極20の間で一側に偏って形成され、誘電体パターン30が他側の内部電極20と接しないと、誘電体パターン30が形成されたにもかかわらず、内部電極20による段差問題を解消することができない。
【0056】
このような製造誤差によって誘電体パターン30が内部電極20の間で一側に偏って形成されることを防止するために、誘電体パターン30は、内部電極20の端部を覆うオーバーラップ部Oを有するように配置されることができる。図9a及び図9bを参照すると、誘電体パターン30が内部電極20の端部を覆うように配置されることで、図9aのように、誘電体パターン30が所望の位置に正確に形成された場合だけでなく、図9bのように、誘電体パターン30が内部電極20の間で一側に偏って形成された場合にも、内部電極20による段差問題を解消することができる。さらに、誘電体パターン30を内部電極20よりも厚く形成することで、圧着時に誘電層及び内部電極のずれ現象によって積層方向に内部電極20の間で短絡が発生することを防止することができる。
【0057】
したがって、図3を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシター100は、第1誘電体パターン131は第1空間121'から第1内部電極121の端部を覆うように配置され、第2誘電体パターン132は第2空間122'から第2内部電極122の端部を覆うように配置されることができる。第1誘電体パターン131は第1空間121'から第1内部電極121の端部を覆うように配置され、第2誘電体パターン132は第2空間122'から第2内部電極122の端部を覆うように配置されることで、圧着時に第1及び第2誘電体パターンがずれて段差解消の役割を十分に担うことができないという問題を解消することができる。
【0058】
結論として、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターは、第1及び第2内部電極121、122が第5面5及び第6面6に露出するように配置されることで、マージン部によって発生する段差の問題を解消することができ、第1及び第2内部電極121、122のうち第1内部電極121のみまたは第2内部電極122のみが形成された部分と対応する位置である第1及び第2空間121'、122'に第1及び第2誘電体パターン131、132が配置されることで、第1及び第2内部電極121、122のうち第1内部電極121のみまたは第2内部電極122のみが形成された部分によって発生する段差の問題を解消することができる。
【0059】
したがって、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターは、従来の積層セラミックキャパシターに比べて耐電圧特性が著しく向上することができる。
【0060】
図10a及び図10bは、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシターの第1内部電極及び第2内部電極の平面図を概略的に示したものである。
【0061】
上述の本発明の一実施形態と同一の構成についての説明は省略する。
【0062】
図10a及び図10bを参照すると、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシターの第1内部電極221は第1容量部221a及び第1リード部221bを含み、第2内部電極222は第2容量部222a及び第2リード部222bを含むことができる。
【0063】
第1及び第2リード部221b、222bは、第1及び第2容量部221a、222aに比べて幅が狭く、第1及び第2外部電極と連結される部分を意味する。
【0064】
上述のように、第1及び第2内部電極221、222が第5面及び第6面に露出するように配置される場合、伝導性異物による短絡、カバー層のデラミネーション現象などの問題が発生し得る。
【0065】
第5面5及び第6面6の場合、側面絶縁層を第5面5及び第6面6に配置することで、伝導性異物による短絡などの問題を解消することができるが、第3面3または第4面4の場合、外部電極のみが配置されているため、耐湿信頼性などの伝導性異物による信頼性の低下が問題となる。
【0066】
かかる問題を解消するために、第1及び第2リード部221b、222bの幅を、第1及び第2容量部221a、222aの幅の10~50%となるようにすることができる。
【0067】
下記の表1は、高温高湿信頼性評価及びESR(Equivalent Series Resistance、等価直列抵抗)を測定したものである。
【0068】
【表1】
【0069】
高温高湿信頼性評価は、幅wに対する第1及び第2リード部221b、222bの幅w、wの比(w/w、w/w)による吸湿信頼性を評価するために、100個のチップに対して高温高湿条件下で経時による抵抗を測定し、抵抗が急減したチップの数を計算して測定した。
【0070】
表1を参照すると、第1及び第2リード部221b、222bの幅が第1及び第2容量部221a、222aの幅の10%未満である場合、高温高湿信頼性の増加効果が微小である。これと異なって、第1及び第2リード部221b、222bの幅w、wが第1及び第2容量部221a、222aの幅wの50%を超える場合には、外部電極と内部電極の接触面積の減少により、ESRが増加するという問題がある。
【0071】
したがって、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシターは、第1及び第2リード部221b、222bの幅w、wを第1及び第2容量部221a、222aの幅wの10~50%となるようにすることで、伝導性異物による短絡などの問題を解消することができる。または、高温高湿信頼性を著しく向上させるために、第1及び第2リード部221b、222bの幅w、wを第1及び第2容量部221a、222aの幅wの10%超、50%以下となるようにすることができる。
【0072】
第1及び第2リード部221b、222bの幅が第1及び第2容量部221a、222aの幅より小さいため、第1及び第2誘電層211a、211bに内部電極が形成されていない領域が生じる。すなわち、第1及び第2リード部221b、222bと第1及び第2容量部221a、222aとが接する地点で、内部電極の厚さによる段差が生じる。このように、第1及び第2リード部221b、222bと第1及び第2容量部221a、222aとが接する地点で生じた段差は、誘電層の積層及び圧着時に、誘電層の伸びと内部電極の伸びを誘発する。これにより、内部電極の反り部分で耐電圧特性が低下するようになる。
【0073】
したがって、第1容量部221aと第1リード部221bとが接する部分に第3誘電体パターン233を配置し、第2容量部222aと第2リード部222bとが接する部分に第4誘電体パターン234を配置することで、段差の問題を解消することができる。すなわち、第3誘電体パターン233は第3面に露出し、第1誘電層211aの第1容量部221aと第1リード部221bとが接する部分に配置されることができる。また、第4誘電体パターン234は第4面に露出し、第2誘電層211bの第2容量部222aと第2リード部222bとが接する部分に配置されることができる。この際、第3及び第4誘電体パターン233、234は、上述の低温焼成が可能な誘電体パターンで形成されることで、該当部分の焼結性を向上させることができる。
【0074】
また、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシターも、一実施形態と同様に、第1及び第2誘電体パターン231、232を含むことができる。
【0075】
積層セラミックキャパシターの実装基板
図11は、本発明のさらに他の実施形態による積層セラミックキャパシターの実装基板の斜視図を概略的に示したものである。
【0076】
図11を参照すると、本発明のさらに他の実施形態による積層セラミックキャパシターの実装基板1000は、基板1100と、パッド1201、1202と、積層セラミックキャパシター100と、を含む。
【0077】
基板1100は印刷回路基板(PCB)であることができるが、これに制限されるものではない。基板1100の一面には第1及び第2パッド1201、1202が配置されることができる。第1パッド1201は積層セラミックキャパシター100の第1外部電極151と連結され、第2パッド1202は第2外部電極152と連結される。
【0078】
積層セラミックキャパシターの実装基板1000に実装される積層セラミックキャパシター100としては、本明細書において説明している様々な実施形態の積層セラミックキャパシター100を用いることができる。
【0079】
例えば、本発明のさらに他の実施形態による積層セラミックキャパシターの実装基板1000に実装される積層セラミックキャパシター100は、図1図4に示されたように、第1及び第2誘電層111a、111bを含み、積層方向において互いに対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び上記第2面2と互いに連結され、互いに対向する第3面3及び第4面4、上記第1面~上記第4面1、2、3、4と連結され、互いに対向する第5面5及び第6面6を有する本体110と、上記第1誘電層111aに配置されており、上記第3面3、上記第5面5及び上記第6面6を介して露出し、上記第4面4から第1空間121'だけ離隔して配置される第1内部電極121と、上記第2誘電層111bに上記第1誘電層111aまたは第2誘電層111bを挟んで上記第1内部電極121と対向するように配置されており、上記第4面4、上記第5面5及び上記第6面6を介して露出し、上記第3面3から第2空間122'だけ離隔して配置される第2内部電極122と、上記第1空間121'の少なくとも一部に配置される第1誘電体パターン131と、上記第2空間122'の少なくとも一部に配置される第2誘電体パターン132と、上記本体110の上記第5面5及び上記第6面6に配置される側面絶縁層140と、を含むことができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
また、本願によれば、以下の各項目もまた開示される。
[項目1]
第1誘電層及び第2誘電層を含み、積層方向において互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面及び上記第2面と互いに連結され、互いに対向する第3面及び第4面、上記第1面~上記第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を有する本体と、
上記第1誘電層に配置されており、上記第3面、上記第5面及び上記第6面を介して露出し、上記第4面から第1空間だけ離隔して配置される第1内部電極と、
上記第2誘電層に上記第1誘電層または上記第2誘電層を挟んで上記第1内部電極と対向するように配置されており、上記第4面、上記第5面及び上記第6面を介して露出し、上記第3面から第2空間だけ離隔して配置される第2内部電極と、
上記第1空間の少なくとも一部に配置される第1誘電体パターンと、
上記第2空間の少なくとも一部に配置される第2誘電体パターンと、
上記本体の上記第5面及び上記第6面に配置される側面絶縁層と、を含む、積層セラミックキャパシター。
[項目2]
上記第1誘電体パターンは、上記第1空間から上記第1内部電極の端部を覆うように配置され、
上記第2誘電体パターンは、上記第2空間から上記第2内部電極の端部を覆うように配置される、項目1に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目3]
上記第3面に露出した部分の上記第1内部電極の上記第2面に対する角度を変形角としたときに、上記第1内部電極の上記変形角は15°以下である、項目1または2に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目4]
上記第1誘電体パターン及び上記第2誘電体パターンは低温焼成が可能な誘電体を含む、項目1から3のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目5]
上記第1内部電極は、第1容量部と、上記第1容量部と第1外部電極とを連結し、上記第1容量部に比べて幅が狭い第1リード部と、を含む、項目1から4のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目6]
上記第1容量部に対する上記第1リード部の幅が10~50%である、項目5に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目7]
上記第1誘電層の上記第1容量部と上記第1リード部とが接する部分に配置される第3誘電体パターンをさらに含む、項目5または6に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目8]
上記第3誘電体パターンは、アルカリ金属を含むガラス成分が含まれた低温焼成助剤を含む誘電体を含む、項目7に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目9]
上記第1誘電体パターン及び上記第2誘電体パターンは、アルカリ金属を含むガラス成分が含まれた低温焼成助剤を含む誘電体を含む、項目1から8のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目10]
上記第1誘電体パターン及び上記第2誘電体パターンは、上記第1誘電層及び上記第2誘電層に用いられた材料と異なる材料で形成される、項目1から9のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目11]
上記第1誘電体パターン及び上記第2誘電体パターンは、上記本体の上記第5面及び上記第6面を介して露出し、上記側面絶縁層と接している、項目1から10のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目12]
上記側面絶縁層はポリマーまたはセラミックを含む、項目1から11のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目13]
上記側面絶縁層は誘電体を含む、項目1から12のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目14]
一面に第1及び第2パッドが配置された基板と、
上記基板に実装される積層セラミックキャパシターと、を含む積層セラミックキャパシターの実装基板であって、
上記積層セラミックキャパシターは、
第1誘電層及び第2誘電層を含み、積層方向において互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面及び上記第2面と互いに連結され、互いに対向する第3面及び第4面、上記第1面~上記第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を有する本体と、上記第1誘電層に配置されており、上記第3面、上記第5面及び上記第6面を介して露出し、上記第4面から第1空間だけ離隔して配置される第1内部電極と、上記第2誘電層に上記第1誘電層または上記第2誘電層を挟んで上記第1内部電極と対向するように配置されており、上記第4面、上記第5面及び上記第6面を介して露出し、上記第3面から第2空間だけ離隔して配置される第2内部電極と、上記第1空間の少なくとも一部に配置される第1誘電体パターンと、上記第2空間の少なくとも一部に配置される第2誘電体パターンと、上記本体の上記第5面及び上記第6面に配置される側面絶縁層と、を含む、
積層セラミックキャパシターの実装基板。
[項目15]
上記第1誘電体パターンは上記第1空間から上記第1内部電極の端部を覆うように配置され、
上記第2誘電体パターンは上記第2空間から上記第2内部電極の端部を覆うように配置される、項目14に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
[項目16]
上記第3面に露出した部分の上記第1内部電極の上記第2面に対する角度を変形角としたときに、上記第1内部電極の上記変形角は15°以下である、項目14または15に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
[項目17]
上記第1誘電体パターン及び上記第2誘電体パターンは低温焼成が可能な誘電体を含む、項目14から16のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
[項目18]
上記第1内部電極は、第1容量部と、上記第1容量部と第1外部電極とを連結し、上記第1容量部に比べて幅が狭い第1リード部と、を含む、項目14から17のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
[項目19]
上記第1容量部に対する上記第1リード部の幅が10~50%である、項目18に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
[項目20]
上記第1誘電層の上記第1容量部と上記第1リード部とが接する部分に配置される第3誘電体パターンをさらに含む、項目18または19に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
[項目21]
上記第3誘電体パターンは、アルカリ金属を含むガラス成分が含まれた低温焼成助剤を含む誘電体を含む、項目20に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
[項目22]
上記第1誘電体パターン及び上記第2誘電体パターンは、アルカリ金属を含むガラス成分が含まれた低温焼成助剤を含む誘電体を含む、項目14から21のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
[項目23]
上記第1誘電体パターン及び上記第2誘電体パターンは、上記第1誘電層及び上記第2誘電層に用いられた材料と異なる材料で形成される、項目14から22のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
[項目24]
上記第1誘電体パターン及び上記第2誘電体パターンは、上記本体の上記第5面及び上記第6面を介して露出し、上記側面絶縁層と接している、項目14から23のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
[項目25]
上記側面絶縁層はポリマーまたはセラミックを含む、項目14から24のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
[項目26]
上記側面絶縁層は誘電体を含む、項目14から25のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシターの実装基板。
[項目27]
第1誘電層及び第2誘電層を含み、積層方向において互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面及び上記第2面と互いに連結され、互いに対向する第3面及び第4面、上記第1面~上記第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を有する本体と、
上記第1誘電層に配置されており、上記第3面を介して露出し、上記第4面から第1空間だけ離隔して配置される第1内部電極と、
上記第2誘電層に上記第1誘電層または上記第2誘電層を挟んで上記第1内部電極と対向するように配置されており、上記第4面を介して露出し、上記第3面から第2空間だけ離隔して配置される第2内部電極と、
上記第1空間の少なくとも一部に配置される第1誘電体パターンと、
上記第2空間の少なくとも一部に配置される第2誘電体パターンと、
上記本体の上記第3面及び上記第4面に配置され、上記第1内部電極及び上記第2内部電極とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含む、積層セラミックキャパシター。
[項目28]
上記第1誘電体パターン及び上記第2誘電体パターンは、上記第1誘電層及び上記第2誘電層に用いられた材料と異なる材料で形成される、項目27に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目29]
上記第1誘電体パターンは上記第1内部電極の端部を覆うように延長されて第1空間を満たしており、
上記第2誘電体パターンは上記第2内部電極の端部を覆うように延長されて第2空間を満たす、項目27または28に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目30]
上記第3面に露出した部分の上記第1内部電極の上記第2面に対する角度を変形角としたときに、上記第1内部電極の上記変形角は15°以下である、項目27から29のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目31]
上記第1内部電極は、第1容量部と、上記第1容量部と上記第1外部電極とを連結し、上記第1容量部に比べて幅が狭い第1リード部と、を含み、上記第1誘電層の上記第1容量部と上記第1リード部とが接する部分に配置される第3誘電体パターンをさらに含む、項目27から30のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目32]
上記第1内部電極は、上記第5面及び上記第6面を介して露出し、上記第2内部電極は、上記第5面及び上記第6面を介して露出し、上記本体の上記第5面及び上記第6面に配置される側面絶縁層をさらに含む、項目27から31のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシター。
[項目33]
上記第1誘電体パターン及び上記第2誘電体パターンは、上記本体の上記第5面及び上記第6面を介して露出し、上記側面絶縁層と接している、項目32に記載の積層セラミックキャパシター。
【符号の説明】
【0081】
110 本体
111 誘電層
121、122 内部電極
131、132 誘電体パターン
140 側面絶縁層
151、152 外部電極
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b
図11