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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】排気管及び排気管の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/18 20100101AFI20220802BHJP
   F01N 13/00 20100101ALI20220802BHJP
【FI】
F01N13/18
F01N13/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020190267
(22)【出願日】2020-11-16
(65)【公開番号】P2021107709
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】P 2019239611
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】横山 弘明
(72)【発明者】
【氏名】梅本 博
(72)【発明者】
【氏名】畔▲柳▼ 輝生
(72)【発明者】
【氏名】古賀 祐治
【審査官】齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-161308(JP,A)
【文献】特開2003-113714(JP,A)
【文献】特開2013-026191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/18
F01N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体部と、前記本体部の開口に配置され、該開口の一部又は全部を塞ぐ閉塞部と、を備える排気管であって、
前記本体部及び前記閉塞部のうちのいずれか1つである第1部分に備えられる筒状の挿入部と、
前記本体部及び前記閉塞部のうちの前記第1部分とは異なる1つである第2部分に分離不能に備えられ、筒状であって、前記挿入部が圧入により挿入された被挿入部と、を備え、
前記挿入部には、該挿入部の径方向への変形を促進する変形構造が設けられており、
前記挿入部及び前記被挿入部は、圧入され密着した部分が溶接により固定されており、
前記変形構造は、前記溶接された部分よりも前記挿入部の挿入方向側に位置する、排気管。
【請求項2】
請求項1に記載の排気管であって、
前記変形構造は、前記挿入部の挿入方向の端面に形成されたスリットを含む、排気管。
【請求項3】
請求項1に記載の排気管であって、
前記変形構造は、前記挿入部の筒状部分の一部が前記挿入部の内側に向かって突出する突出部を含む、排気管。
【請求項4】
筒状の本体部と、前記本体部の開口に配置され、該開口の一部又は全部を塞ぐ閉塞部と、を備える排気管の製造方法であって、
前記排気管は、前記本体部及び前記閉塞部のうちのいずれか1つである第1部分に備えられる筒状の挿入部と、前記本体部及び前記閉塞部のうちの前記第1部分とは異なる1つである第2部分に分離不能に備えられ、筒状であって、前記挿入部が挿入された被挿入部と、を備え、前記挿入部には該挿入部の径方向への変形を促進する変形構造が設けられており、さらに、前記挿入部及び前記被挿入部は溶接されており、前記変形構造は、前記溶接された部分よりも前記挿入部の挿入方向側に位置しており、
前記挿入部を前記被挿入部に圧入により挿入することと、
前記変形構造が設けられた位置よりも、前記挿入部の挿入方向とは反対方向の側において前記挿入部及び前記被挿入部における圧入されて密着した部分を溶接することと、を含む、排気管の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば内燃機関に用いられる排気管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排気管を構成する2部品を接合するときに、1つの部材をもう1つの部材に圧入し、その上で溶接する技術が用いられている。特許文献1には、車両用消音器であって、筒状のアウタシェルにアウタプレートの筒状部を圧入し、その後、レーザ溶接する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-113714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧入に必要な荷重は、圧入に係る2部品の僅かな寸法の差によって大きく変化する。2部品が設定された寸法公差を満たして製造されていても、外側の部品の寸法が小さく、内側の部品の寸法が大きい場合に、圧入に必要な荷重が大きくなってしまうことがある。圧入工程においてワークに加えられる荷重が大きくなると、変形や損傷が生じやすくなってしまう。
【0005】
本開示の目的は、圧入部の密着性を確保しつつ排気管の変形や損傷を抑制する技術を提案することである。また本開示の別の目的は、排気管の製造を容易にする技術を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、筒状の本体部と、本体部の開口に配置され、開口の一部又は全部を塞ぐ閉塞部と、を備える排気管であって、挿入部と、被挿入部と、を備える。挿入部は、本体部及び閉塞部のうちのいずれか1つである第1部分に備えられており、筒状の形状である。被挿入部は、本体部及び閉塞部のうちの上記第1部分とは異なる1つである第2部分に備えられており、筒状の形状であって、挿入部が挿入される。挿入部には、挿入部の径方向への変形を促進する変形構造が設けられている。
【0007】
このような構成であれば、挿入部が変形構造を有するため、挿入部を被挿入部に挿入する際に、挿入部が内側に変形しやすくなる。そのため、挿入に必要な荷重が過剰に大きくなってしまうことが抑制される。その結果、挿入工程において、圧入部の密着性を確保するとともに、本体部及び閉塞部に加わる負荷が大きくなることに起因する、排気管の変形や損傷を抑制できる。
【0008】
上述した排気管において、変形構造は、挿入部の挿入方向の端面に形成されたスリットを含んでもよい。このような構成であれば、スリットによって挿入部の挿入方向の端部の変形を促進できる。
【0009】
また上述した排気管において、変形構造は、挿入部の筒状部分の一部が挿入部の内側に向かって突出する突出部を含んでもよい。このような構成であれば、突出部によって挿入部の変形を促進できる。なぜならば、突出部が形成されることで、筒状部分の一部が内側に入り込み、それにより筒状部分が中心側に変形するための空間が形成されるためである。
【0010】
また上述した排気管において、挿入部及び被挿入部は溶接されていてもよい。変形構造は、溶接された部分よりも挿入部の挿入方向側に位置してもよい。このような構成であれば、変形構造の形状による制約を受けることなく本体部と閉塞部との重なり部分が溶接されるので、溶接による本体部と閉塞部との接合を好適に行うことができる。
【0011】
本開示の別の一態様は、筒状の本体部と、本体部の開口に配置され、開口の一部又は全部を塞ぐ閉塞部と、を備える排気管の製造方法である。排気管は、挿入部と、被挿入部と、を備える。挿入部は、本体部及び閉塞部のうちのいずれか1つである第1部分に備えられており、筒状である。被挿入部は、本体部及び閉塞部のうちの上記第1部分とは異なる第2部分に備えられており、挿入部が挿入可能な筒状である。挿入部には、挿入部の径方向への変形を促進する変形構造が設けられている。そして上記製造方法では、挿入部を被挿入部に挿入することと、変形構造が設けられた位置よりも、挿入部の挿入方向とは反対方向の側において挿入部及び被挿入部を溶接することと、を含む。
【0012】
このような製造方法であれば、挿入部が変形構造を有するため、挿入部を被挿入部に挿入する際に挿入部が内側に変形しやすくなる。そのため、挿入に必要な荷重が過剰に大きくなってしまうことが抑制され、排気管の製造を容易にすることができる。また、本体部と閉塞部との溶接を変形構造とは異なる位置で行うため、変形構造の形状による制約を受けることなく本体部と閉塞部との重なり部分を溶接でき、本体部と閉塞部との接合を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】排気管の一例である第1実施形態の消音器を示す分解斜視図である。
図2】第1実施形態の消音器の断面図である。
図3】第1実施形態の消音機の第1閉塞部と本体部の端部とを示す拡大図である。
図4】第1実施形態の消音機の第1閉塞部と本体部の端部とを示す断面図である。
図5】第1実施形態の変形例の消音器の断面図である。
図6】第1実施形態の変形例の消音器の断面図である。
図7】第2実施形態の消音器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本開示の実施形態を図面と共に説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.消音器の構成]
図1図3に示される消音器1は、内燃機関の排気ガス流路を構成する排気システムに用いられる消音器である。この消音器1は、本体部11、第1閉塞部12、及び第2閉塞部13を備える。消音器1は、インレットパイプ14及びアウトレットパイプ15(以下、これらを単にパイプとも記載する)を備えていてもよい。
【0015】
本体部11は、いわゆるアウタシェルであり、筒状形状である。図2に示す中心軸Aは、本体部11、第1閉塞部12、及び第2閉塞部13の中心軸Aである。本開示において、中心軸とは、筒状形状を有する部分に関して、その断面における重心位置を通過する直線である。本体部11の中心軸Aと直交する平面による断面形状は正円ではなく、楕円形に近い形状である。この本体部11は中心軸Aの長さ方向の両端に開口が形成されている。2つ開口を形成する2つの開口端部11aは、本体部11と同じく筒状の形状である。本体部11の内部には、パイプを本体部11の内部で固定するとともに、本体部11の内部空間を仕切る2つの仕切り壁16が設けられる。
【0016】
第1閉塞部12は、いわゆるアウタプレート又はエンドプレートである。第1閉塞部12には、筒部21が備えられている。また第1閉塞部12には、プレート部22及び挿入孔23が備えられていてもよい。
【0017】
筒部21は、本体部11の開口端部11aに挿入可能な筒状形状である。筒部21は開口端部11aに圧入されている。すなわち、圧入前の筒部21の外縁形状は、本体部11の内周形状と略同等または内周形状よりも僅かに大きい。筒部21における開口端部11aへの挿入方向の端部には、テーパ部21aが設けられている。テーパ部21aは、挿入方向の先端ほど中心側に位置するテーパ形状である。
【0018】
筒部21には、4つのスリット24が周方向に間隔を開けて形成されている。4つのスリット24は、筒部21の挿入方向の端面から中心軸Aの長さ方向に延びている。
プレート部22は、筒部21の上記挿入方向とは反対の方向の端部から拡がっており、本体部11の開口を覆う。このプレート部22には上述した挿入孔23が形成されており、インレットパイプ14は挿入孔23を通過するように配置される。
【0019】
第2閉塞部13は、上述した第1閉塞部12と同様の特徴を有している。すなわち、筒部31、テーパ部31a、プレート部32、挿入孔33、及び4つのスリット34を有している。これらの構成は、筒部21、テーパ部21a、プレート部22、挿入孔23、及びスリット24と同様である。
【0020】
[1-2.消音器の製造方法]
消音器1の製造方法を説明する。まず2つの仕切り壁16に対してインレットパイプ14及びアウトレットパイプ15を固定する。その後、組み付けたパイプ及び仕切り壁16を、本体部11に挿入する。
【0021】
続いて、第1閉塞部12を一対の開口端部11aの一方に挿入する。上述したように、第1閉塞部12は開口端部11aに圧入される。この圧入は、圧入装置を用いて行われる。
【0022】
続いて、本体部11と第1閉塞部12とを溶接する。図4に示されるように、本体部11の端面11bは筒部21と重なるように配置されている。この端面11b付近、より好ましくは端面11bからスリット24までの間、より好ましくは端面11bに沿って溶接が行われ、溶接ビードが形成される。つまり端面11bに沿う位置または端面11bに近い位置で溶接線が形成される。なおスリット24の挿入方向と反対の先端は、端面11bよりも挿入方向側に位置している。すなわち、本体部11と第1閉塞部12との溶接は、スリット24よりも挿入方向と反対方向の側の位置にて行われる。
【0023】
第2閉塞部13は、第1閉塞部12と同様に、開口端部11aに圧入され、その後、溶接される。なお、第1閉塞部12の溶接が完了した後に第2閉塞部13の圧入を行ってもよいし、第1閉塞部12及び第2閉塞部13の圧入の後に第1閉塞部12及び第2閉塞部13の溶接を行ってもよい。なお第2閉塞部13の挿入方向は、第1閉塞部12の挿入方向とは反対向きになる。
【0024】
[1-3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)本実施形態の消音器1では、第1閉塞部12の筒部21が4つのスリット24を有するため、筒部21を開口端部11aに挿入する際に、筒部21が内側に変形しやすい。そのため、筒部21と開口端部11aとの密着性を確保しつつも、筒部21の挿入に必要な荷重が過剰に大きくなってしまうことが抑制される。その結果、挿入工程を容易に行うことができる。また、挿入工程において本体部11及び第1閉塞部12に加わる負荷が大きくなることに起因する、消音器1の変形や損傷を抑制できる。なお、第2閉塞部13についても、第1閉塞部12と同様の形状を有しているため、同様の効果を奏する。
【0025】
(1b)4つのスリット24は、筒部21の挿入方向の端面11bから挿入部の中心軸Aの長さ方向に延びる。このような構成であれば、スリット24によって第1閉塞部12の挿入方向の端部の変形を促進できる。なぜならば、スリット24の存在により筒部21の周囲の強度が低くなることに加え、筒部21が中心側に変形するための周方向の隙間がスリット24により形成されるためである。仮に周方向の隙間が存在しない場合、筒部21の全周に中心軸Aに向かう力が加えられたとしても、筒部21が偏りなく変形するためには筒部21が縮径するより他ない。しかしながら、金属材料ではそのような変形は困難である。その結果、加えられた力は筒部21の周方向の応力に打ち消されてしまうこととなり、荷重を加えても筒部21は中心軸A方向に変形しにくい。しかしながら、スリット24によって上記の問題が生じにくくなり、変形しやすくなる。
【0026】
(1c)上記消音器1において、本体部11と第1閉塞部12は、開口端部11aと第1閉塞部12とを溶接することにより接合されている。本体部11と第1閉塞部12との溶接は、スリット24よりも挿入方向と反対方向の位置にて行われる。すなわち、スリット24は、溶接が為された部分よりも筒部21の挿入方向側に位置している。そのため、スリット24によって溶接が適切に行えなくなる危険が抑制されるので、溶接による本体部11と第1閉塞部12との接合を好適に行うことができる。
【0027】
[1-4.対応関係]
第1実施形態において、消音器1が排気管の一例である。また、第1閉塞部12及び第2閉塞部13が閉塞部の一例である。また、筒部21が挿入部の一例であり、開口端部11aが被挿入部の一例である。また、複数のスリット24、34が、変形構造の一例である。本第1実施形態では、第1閉塞部12及び第2閉塞部13が、挿入部を備える第1部分に対応し、本体部11が、被挿入部を備える第2部分に対応する。
【0028】
なお、挿入部の径方向への変形を促進する変形構造とは、以下のような構造である。挿入部に変形構造が設けられている場合と変形構造が設けられていない場合とを比較したときに、挿入部に対して中心軸に向かう荷重を加えると、変形構造が設けられている場合の方がより大きく挿入部が径方向内側に変形する。すなわち、挿入部を径方向内側の同じ位置まで変形させようとするとき、変形構造が設けられている場合の方が、小さい力で変形が実現できる。
【0029】
[1-5.第1実施形態の変形例]
第1実施形態では、変形構造としてスリットを備える消音器を例示した。しかしながら、変形構造はスリットでなくてもよい。
【0030】
図5及び図6に示す消音器101は、スリットに類似する機能を有する変形構造を有する消音器の例である。消音器101は、消音器1と比較して、スリット24を有しておらず、スリット24の変わりに4つの突出部103を備える。突出部103は、挿入部の筒状部分の一部が挿入部の中心軸に向かって突出するように押し出された形状である。突出部103は、筒部21の挿入方向の端部から挿入方向とは反対側に向かって長さを有している。
【0031】
このような構成であれば、突出部103によって筒部21の弾性変形を促進できる。なぜならば、突出部103が形成されることで、その内部の空間が、上記(1b)にて説明する「筒部21が中心側に変形するための周方向の隙間」となるためである。また、突出部103は、筒部21における突出部103の周囲の部分よりも屈曲しやすいため、それによっても変形を促進できる。
【0032】
突出部103の形状は図6に示されるような半円形状でなくてもよい。例えば、突出した中心側の先端が尖った形であってもよい。また、筒部21の周方向に長さを有していてもよい。
【0033】
[2.第2実施形態]
[2-1.消音器の構成]
第2実施形態は、排気管の一例として、第1実施形態と異なる形状の排気管を例示する。
【0034】
図7に示される触媒ケース201は、内燃機関の排気ガス流路を構成する排気システムに用いられる。この触媒ケース201は、本体部211、第1閉塞部212、及び第2閉塞部213を備える。
【0035】
本体部211は、いわゆるアウタシェルであり、筒状形状である。本体部211は両端に開口が形成されている。2つ開口を形成する2つの開口端部211aは、本体部211の全体と同じく筒状の形状である。
【0036】
第1閉塞部212は、いわゆるアウタプレート又はエンドプレートである。第1閉塞部212には、筒部221が備えられている。また第1閉塞部212には、テーパ壁部222及び挿入口223が備えられていてもよい。
【0037】
筒部221は、開口端部211aに圧入可能な筒状形状である。筒部221には、筒部221の挿入方向の端面から中心軸の長さ方向に延びる4つのスリット224が、周方向に間隔を開けて形成されている。
【0038】
第2閉塞部213は、上述した第1閉塞部212と同様の特徴を有している。すなわち、筒部231、テーパ壁部232、挿入口233、及び4つのスリット234を有している。これらの構成は、筒部221、テーパ壁部222、挿入口223、及びスリット224と同様である。
【0039】
触媒ケース201の製造方法を説明する。第1閉塞部212を一対の開口端部211aの一方に圧入する。そして、第1閉塞部212と本体部211を溶接する。本体部211と第1閉塞部212との溶接は、スリット224よりも挿入方向と反対方向の側の位置にて行われる。第2閉塞部213も第1閉塞部212と同様に、開口端部211aに圧入され、その後、溶接される。
【0040】
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)~(1c)と同等の効果を奏する。
[2-2.対応関係]
第2実施形態において、触媒ケース201が排気管の一例である。また、第1閉塞部212及び第2閉塞部213が閉塞部の一例である。また、筒部221が挿入部の一例であり、開口端部211aが被挿入部の一例である。また、複数のスリット224、234が、変形構造の一例である。本第2実施形態では、第1閉塞部212及び第2閉塞部213が挿入部を備える第1部分に対応し、本体部211が被挿入部を備える第2部分に対応する。
【0041】
[3.その他の実施形態]
以上本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0042】
(3a)上記各実施形態では、排気管の例として消音器及び触媒ケースを例示した。しかしながら、本開示の排気管は消音器及び触媒ケースに限定されるものではなく、排気管を構成する様々な部品において採用することができる。ここでいう排気管とは、たとえば、内燃機関の排気のために用いられる配管を広く意味する。
【0043】
(3b)上記各実施形態では、第1閉塞部及び第2閉塞部が、挿入部を備える第1部分に相当し、本体部が被挿入部を備える第2部分に相当する構成を例示した。しかしながら、第1閉塞部及び第2閉塞部が被挿入部であり、本体部が挿入部であってもよい。すなわち、本体部の端部の外縁形状が、第1閉塞部及び第2閉塞部よりも小さく構成されていてもよい。
【0044】
(3c)上記各実施形態では、変形構造の例として、スリット又は突出部を示した。しかしながら、変形を促進できる構成であれば、変形構造は、上述した構成以外であってもよい。例えば、変形構造は、周囲よりも肉薄に構成された部分や、周囲よりも柔軟性が高い材料で形成された部分であってもよい。また、変形構造は、スリット及び突出部の両方を有していてもよい。なお、挿入部に設けられる変形構造の数は特に限定されず、1つ~3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。上記各実施形態では、スリットは端面に形成された、いわゆる切欠きである構成を例示した。しかしながら、スリットは、周囲が閉じられた隙間であってもよい。また、スリット及び突出部は、挿入部の周方向に長さを有していてもよい。
【0045】
(3d)上記各実施形態では、スリット及び突出部よりも挿入方向と反対方向の位置にて溶接が為される構成を例示した。しかしながら、変形構造が設けられた位置において溶接が為されてもよい。また、挿入部と被挿入部の溶接をしない構成であってもよい。
【0046】
(3e)本体部、閉塞部、挿入部、及び被挿入部の具体的な形状は、上記各実施形態において開示した構成に限定されない。例えば、挿入部及び被挿入部の断面形状は、円形、楕円形、それらに近い円状形状、及び、多角形のような形状であってもよい。挿入部は、大きな加圧を行わない方法で被挿入部に挿入されてもよい。本体部は、長さ方向に関して断面形状が変化してもよい。閉塞部は1つのみが用いられてもよい。
【0047】
なお、本開示における閉塞部は、本体部の開口の一部又は全部を塞ぐように構成されていればよい。ここでいう「開口の一部を塞ぐ」とは、上述した各実施形態のように、本体部の開口部分の断面積と、閉塞部の開口部分の断面積と、を比較したときに、閉塞部の開口部分の断面積が小さいことを意味する。閉塞部の開口部分とは、第1実施形態の消音器1における第1閉塞部12の挿入孔23及び第2閉塞部13の挿入孔33、並びに、第2実施形態の触媒ケース201における第1閉塞部212の挿入口223及び第2閉塞部213の挿入口233が該当する。また、閉塞部が開口の全部を塞ぐ場合、例えば本体部の筒状の壁面に貫通孔が形成されており、その孔を通って流体が流れるように構成されていてもよい。
【0048】
(3f)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,101,201…消音器、11,211…本体部、11a…端部、11a,211a…開口端部、11b…端面、12,212…第1閉塞部、13,213…第2閉塞部、14…インレットパイプ、15…アウトレットパイプ、16…仕切り壁、21,31,221,231…筒部、21a,31a…テーパ部、22,32…プレート部、23,33…挿入孔、24,34,224,234…スリット、103…突出部、222,232…テーパ壁部、223,233…挿入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7