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特許7116150免疫療法で使用するための新規ペプチドおよびペプチド組み合わせおよび膵臓がんおよびその他のがんに対して使用するためにスキャフォールドを作製する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】免疫療法で使用するための新規ペプチドおよびペプチド組み合わせおよび膵臓がんおよびその他のがんに対して使用するためにスキャフォールドを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20220802BHJP
   C12N 15/115 20100101ALI20220802BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220802BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220802BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20220802BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20220802BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220802BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20220802BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20220802BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20220802BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20220802BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20220802BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220802BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220802BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220802BHJP
   C12Q 1/6837 20180101ALN20220802BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20220802BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/115 Z
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12P21/02 C
C12N5/0783
C12N5/10
C07K14/725
C07K16/30
C07K19/00
A61K38/08
A61K31/7088
A61K48/00
A61K35/76
A61K35/12
A61K35/17 Z
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
A61K38/10
A61P1/18
A61K39/00 H
A61P37/04
G01N33/53 D
C12Q1/6837 Z
C12P21/08
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020210858
(22)【出願日】2020-12-19
(62)【分割の表示】P 2017564863の分割
【原出願日】2016-06-17
(65)【公開番号】P2021073998
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】1510771.7
(32)【優先日】2015-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】62/182,026
(32)【優先日】2015-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506258073
【氏名又は名称】イマティクス バイオテクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100174252
【弁理士】
【氏名又は名称】赤津 豪
(72)【発明者】
【氏名】メア,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァインシェンク,トニ
(72)【発明者】
【氏名】スホール,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】フリッチェ,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】シン,ハープリート
【審査官】山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-535330(JP,A)
【文献】国際公開第2013/148325(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0125477(US,A1)
【文献】特開2009-292810(JP,A)
【文献】国際公開第2015/063302(WO,A2)
【文献】PLOS ONE,2013年,8(5),e64235
【文献】Cellular Physiology and Biochemistry,2015年02月,35,983-996
【文献】Mol. Cell. Biochem.,2013年,376,21-32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
C12P
A61K
G01N
C12Q
A01K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号14のアミノ酸配列からなるペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
MHCクラスIまたはII分子に結合する能力を有し、前記MHCクラスIまたはII分子に結合すると、CD4および/またはCD8T細胞によって認識されることができる、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のペプチドとHLA-DR抗原関連不変鎖(Ii)の80個のN末端アミノ酸を含んでなる融合タンパク質。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のペプチドまたは請求項に記載の融合タンパク質をエンコードする核酸、または、該核酸が異種プロモーター配列と結合する、核酸。
【請求項5】
請求項に記載の核酸を発現する能力がある、発現ベクター。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のペプチドまたは請求項に記載の融合タンパク質、請求項に記載の核酸または請求項に記載の発現ベクターを含んでなる組換え宿主細胞、または該組換え宿主細胞が樹状細胞もしくは抗原提示細胞である、組換え宿主細胞。
【請求項7】
医療において使用するための、請求項1又は2に記載のペプチドまたは請求項に記載の融合タンパク質、請求項に記載の核酸、請求項に記載の発現ベクター、または請求項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のペプチドまたは請求項に記載の融合タンパク質または請求項に記載の核酸を発現する、または請求項に記載の発現ベクターを含んでなる、請求項に記載の組換え宿主細胞を培養するステップと、前記ペプチドまたは前記融合タンパク質を前記組換え宿主細胞またはその培養液から単離するステップとを含んでなる、請求項1又は2に記載のペプチドまたは請求項に記載の融合タンパク質を製造する方法。
【請求項9】
T細胞を、適切な抗原提示細胞の表面または抗原提示細胞を模倣する人工コンストラクトの表面に発現される抗原負荷ヒトMHCクラスIまたはII分子に、前記T細胞を抗原特異的様式で活性化するのに十分な時間にわたり、生体外で接触させるステップを含んでなり、前記抗原が、請求項1又は2に記載のペプチドである、活性化Tリンパ球を製造するインビトロ法。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のペプチドを提示する細胞を選択的に認識する、請求項に記載の方法によって製造される、活性化Tリンパ球。
【請求項11】
請求項1に記載の活性化Tリンパ球を含んでなる薬剤であって、請求項1又は2に記載のペプチドを提示する標的細胞を死滅させるための薬剤。
【請求項12】
請求項1又は2に記載のペプチドまたは請求項に記載の融合タンパク質を、または、MHC分子と結合する請求項1又は2に記載のペプチドを、特異的に認識する抗体、または、前記抗体が可溶性または膜結合抗体である抗体、または、前記抗体が、免疫刺激ドメインまたは毒素を含むエフェクター機能を保有する、抗体。
【請求項13】
がんの治療またはがんに対する薬剤の製造またはがん性細胞検出のための診断に使用するための薬剤であって、請求項1又は2に記載のペプチドまたは請求項に記載の融合タンパク質、請求項に記載の核酸、請求項に記載の発現ベクター、請求項に記載の組換え宿主細胞、請求項1に記載の活性化Tリンパ球または請求項1に記載の抗体を含む、薬剤。
【請求項14】
がんが、配列番号14に示されるペプチド配列を含んでなるタンパク質の過剰発現を示す、膵臓がん、肺がん、腎臓がん、脳がん、胃がん、結腸または直腸がん、肝臓がん、前立腺がん、白血病、乳がん、メルケル細胞がん(MCC)、メラノーマ、卵巣がん、食道がん、膀胱がん、子宮内膜がん、胆嚢がん、および胆管がんの群から選択される、請求項1に記載の薬剤。
【請求項15】
(a)請求項1又は2に記載のペプチドまたは請求項に記載の融合タンパク質、請求項に記載の核酸、請求項に記載の発現ベクター、請求項に記載の組換え宿主細胞、請求項1に記載の活性化Tリンパ球、または請求項1に記載の抗体を含有する医薬組成物を溶液または凍結乾燥形態で含んでなる容器を含み、さらに、(b)凍結乾燥製剤のための希釈剤または再構成溶液を含有する第2の容器;(c)配列番号1~配列番号13、および配列番号15~配列番号178からなる群から選択される少なくとも1つのペプチド、並びに(d)(i)前記溶液の使用、または(ii)凍結乾燥製剤の再構成および/若しくは使用のための取扱説明書の(b)~(d)のいずれか1以上を含んでなるキット。
【請求項16】
(iii)緩衝液、(iv)希釈剤、(v)フィルター、(vi)針、および(vii)シリンジの1つまたは複数をさらに含んでなる、請求項1に記載のキット。
【請求項17】
HLAリガンドと反応性であるT細胞受容体であって、前記HLAリガンドが配列番号14に示されるアミノ酸配列からなるペプチドである、もしくは前記HLAリガンドが前記ペプチドとMHC分子との複合体の一部である、T細胞受容体、または該T細胞受容体が可溶性または膜結合性であるT細胞受容体。
【請求項18】
前記T細胞受容体が可溶性分子として提供され、および/または、免疫刺激ドメインまたは毒素を含むエフェクター機能を保有する、請求項1に記載のT細胞受容体。
【請求項19】
請求項1または1に記載のT細胞受容体をエンコードする核酸、または、該核酸が異種プロモーター配列と結合する、核酸。
【請求項20】
請求項19に記載の核酸を発現する、発現ベクター。
【請求項21】
請求項19に記載の核酸、または請求項1に記載の抗体をコードする核酸、または請求項2に記載の発現ベクターを含んでなる組換え宿主細胞、または、該組換え宿主細胞がT細胞またはNK細胞である、組換え宿主細胞。
【請求項22】
請求項19に記載の核酸又は請求項2に記載の発現ベクターを含んでなる組換え宿主細胞を培養するステップと、前記T細胞受容体を前記組換え宿主細胞および/またはその培養液から単離するステップとを含んでなる、請求項1または1に記載のT細胞受容体を製造する方法。
【請求項23】
請求項1又は2に記載のペプチドまたは請求項に記載の融合タンパク質、またはMHC分子と結合する請求項1又は2に記載のペプチドを、特異的に認識するアプタマー。
【請求項24】
請求項1又は2に記載のペプチドまたは請求項に記載の融合タンパク質、請求項1または1に記載のT細胞受容体、請求項に記載の組換え宿主細胞、請求項1に記載の活性化Tリンパ球、請求項1に記載の抗体、請求項2に記載のアプタマーからなる群から選択される、少なくとも1つの活性成分と、薬学的に許容できる担体、薬学的に許容可能な賦形剤および/または安定剤とを含んでなる医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫療法において使用するためのペプチド、タンパク質、核酸、および細胞に関する。特に、本発明は、がんの免疫療法に関する。本発明は、単独のまたはその他の腫瘍関連ペプチドと組み合わされた、腫瘍関連T細胞ペプチドエピトープにさらに関し、それは、例えば、抗腫瘍免疫応答を刺激し、または生体外でT細胞を刺激して患者に移入する、ワクチン組成物の活性医薬品成分の役割を果たし得る。主要組織適合性複合体(MHC)の分子と結合しているペプチド、またはペプチドそれ自体もまた、抗体、可溶性T細胞受容体、およびその他の結合分子の標的になり得る。
【0002】
本発明は、ヒト腫瘍細胞のHLAクラスI分子に由来する、いくつかの新規ペプチド配列およびそれらの変異型に関し、それらは抗腫瘍免疫応答を引き起こすためのワクチン組成物中で、または薬理的/免疫学的活性化合物および細胞の開発のための標的として、使用され得る。
【背景技術】
【0003】
膵臓がんは、世界的に最も侵襲性で致死性のがんの1つである。2012年には、それは世界的に、男性では178,000症例で12番目に頻度が高いがんであり、女性では160,000症例で11番目に頻度の高いがんであった。同年、33万人の死亡が報告され、膵臓がんは、がんによる死亡の7番目に頻度が高い原因となった(World Cancer Report,2014)。
【0004】
膵臓がんは、単一のがん実体でなく、いくつかの異なるサブタイプが区別されなくてはならない。外分泌腫瘍は全ての膵臓がんのおよそ95%を占め、導管および腺房(acinary)腺がん、膵管内乳頭粘液性新生物(IPMN)、固形偽乳頭新生物、粘液性嚢腺腫、および漿液性嚢胞腺腫が含まれる。全ての膵臓がんの残る5%は、膵臓の神経内分泌腫瘍のサブグループに属する(World Cancer Report,2014)。
【0005】
浸潤管腺がんは、最も侵襲性の形態の膵臓がんに相当し、その高い発生頻度(全膵臓がんの90%)のために、疫学データは主にこの特定のサブタイプを反映する(World Cancer Report,2014)。
【0006】
2012年には、全ての新規症例の68%が先進国で発生し、発生率は、中欧および東欧、北米、アルゼンチン、ウルグアイ、オーストラリアで最も高かった。対照的に、アフリカや東アジアのほとんどの国は低発生率を示す。世界的に、発生率は、男女共に経時的にかなり安定しているように見える(World Cancer Report,2014)。
【0007】
特異的な症状が欠如するために、膵臓がんは、典型的に、進行した、往々にして既に転移性の病期に診断される。診断時の予後は非常に不良であり、5年生存率は5%で発生対死亡率は0.98である。(World Cancer Report,2014)。
【0008】
大部分の患者が診断時に65才を超えることから、高齢、そして米国では黒人人口が白人人口と比較して1.5倍高いリスクを有することから、人種などをはじめとする、膵臓がんを発症するリスクを増大させるいくつかの要素が報告されている。さらなるリスク因子は、喫煙、体脂肪率、糖尿病、非0型AB0血液型、膵炎、および膵臓がんの家族歴である(World Cancer Report,2014)。
【0009】
全ての膵臓がん症例の最大10%が、家族性に起こると考えられる。以下の遺伝子における生殖系列変異は、膵臓がんを発症するリスクの増大に関連している:p16/CDKN2A、BRCA2、PALB2、PRSS1、STK11、ATM、およびDNAミスマッチ修復遺伝子。さらに、膵臓がんの散発性症例は、異なるがん遺伝子および腫瘍抑制遺伝子の変異によっても特徴付けられる。管腺がんにおける最も一般的な変異は、発がん遺伝子KRAS(95%)およびAIB1(最大60%)、および腫瘍抑制遺伝子TP53(75%)、p16/CDKN2A(95%)、およびSMAD4(55%)内で発生する(World Cancer Report,2014)。
【0010】
膵臓がん患者のための治療の選択肢は、非常に限られている。効果的治療のための1つの大きな問題は、診断時における典型的に進行した腫瘍病期である。さらに、膵臓がんは化学療法薬に対してかなり抵抗性であり、それは、緻密で乏血管性の線維形成性腫瘍間質によって引き起こされるかもしれない。
【0011】
German Cancer Society、German Cancer Aid、およびAssociation of the Scientific Medical Societies in Germanyによって発表された指針によると、腫瘍の切除術が唯一の利用可能な根治的治療選択肢である。腫瘍が膵臓に限定されている、または転移が隣接する臓器に限定されている場合は、切除術が推奨される。腫瘍が遠位部位に広がっている場合は、切除術は推奨されない。切除術には、6ヶ月間にわたる、ゲムシタビンまたは5-フルオロウラシル+/-ロイコボリンによるアジュバント化学療法が続く(S3-Leitlinie Exokrines Pankreaskarzinom,2013)。
【0012】
進行した段階の手術不能な腫瘍を有する患者は、化学療法と放射線化学療法との併用で治療され得る(S3-Leitlinie Exokrines Pankreaskarzinom,2013)。
【0013】
緩和的化学療法の標準レジメンは、単独療法としての、またはEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブと組み合わされた、ゲムシタビンである。代案の選択肢は、FOLFIRINOXプロトコルとしてもまた知られている、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、およびオキサリプラチンの併用、あるいはMPACT試験においてゲムシタビン単剤療法と比較して、優れた効果が示されたゲムシタビンとnab-パクリタキセルとの併用である。(Von Hoff et al.,2013;S3-Leitlinie Exokrines Pankreaskarzinom,2013)。
【0014】
高い発生対死亡率は、膵臓がんにおいて、より有効な治療ストラテジーを実行することの差し迫った必要性を反映する。
【0015】
いくつかのその他のがん実体において、効力のあることが既に示されている標的療法は、興味深い選択肢に相当する。したがって、進行した膵臓がんにおける標的療法の恩恵を評価するために、いくつかの研究が行われているが、不運にも成功は非常に非常に限られている。(Walker and Ko,2014)。それでもなお、BRCA2またはPALB2の二対立遺伝子不活性化を有する浸潤性管腺がんは、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害剤およびマイトマイシンC療法に対してより感受性であることが示されたので、膵臓がんの遺伝子多様性は個別化治療法の可能性を提供するかもしれない。(World Cancer Report,2014)。
【0016】
腫瘍間質を標的とすることは、膵臓がんの新療法を開発するための代替アプローチを構成する。典型的に高密度で乏血管性の間質は、化学療法薬の障壁として機能し、腫瘍の増殖、浸潤、およびがん幹細胞の維持を促進するシグナルを伝達することが示された。したがって、間質枯渇および不活性化の影響が分析するために、種々の前臨床および臨床研究が設計された(Rucki and Zheng,2014)。
【0017】
ワクチン接種ストラテジーは、膵臓がんの治療のためのさらに革新的で有望な代案として研究されている。KRAS変異体、反応性テロメラーゼ、ガストリン、サバイビン、CEA、およびMUC1を標的とするペプチドベースのワクチンが臨床試験で既に評価されており、ある程度有望な結果が得られている。さらに、膵臓がん患者における、樹状細胞ベースのワクチン、同種異系GM-CSF分泌ワクチン、およびアルゲンパンツセル-Lの臨床試験もまた、免疫療法の有益な効果を明らかにした。異なるワクチン接種プロトコルの効率をさらに調べるための追加的な臨床試験が、現在進行中である(Salman et al.,2013)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
がんの治療に伴う重度の副作用および費用を考慮すると、がん全般、そして特に肝臓がんの治療に使用し得る要素を同定する必要がある。がんのより良い診断、予後の評価、および治療成功の予測につながる、がん全般、特に膵臓がんのためのバイオマーカーに相当する要素を同定する必要性もまたある。
【0019】
がんの免疫療法は、がん細胞を特異的に標的化しながら副作用を最小化する選択肢に相当する。がん免疫療法は、腫瘍関連抗原の存在を利用する。
【0020】
腫瘍関連抗原(TAA)の現行の分類は、次の主要群を含んでなる:
a)がん精巣抗原:T細胞によって認識され得る、これまでに同定された最初のTAAはこのクラスに属し、元々はがん精巣(CT)抗原と称されたが、それは、そのメンバーが組織学的に異なるヒト腫瘍において発現し、正常組織では精巣の精母細胞/精原細胞のみに存在し、時として胎盤に存在するためであった。精巣の細胞は、クラスIおよびII HLA分子を発現しないので、これらの抗原は正常組織のT細胞によって認識され得ず、したがって免疫学的に腫瘍特異的と見なされる。CT抗原の周知の例は、MAGEファミリーメンバーおよびNY-ESO-1である。
b)分化抗原:これらのTAAは、腫瘍と、それから腫瘍が生じる正常組織との間で共有される。既知の分化抗原のほとんどは、メラノーマおよび正常メラノサイトに見いだされる。これらのメラノサイト系関連タンパク質の多くは、メラニン生合成に関与し、したがって腫瘍特異的でないが、それでもなおがん免疫療法のために広く利用されている。例としては、メラノーマに対するチロシナーゼとMelan-A/MART-1、または前立腺がんに対するPSAが挙げられるが、これに限定されるものではない。
c)過剰発現TAA:広範に発現されるTAAをエンコードする遺伝子は、組織学的に異なる型の腫瘍において検出され、多数の正常組織においても概してより低い発現レベルで検出されている。正常組織によってプロセスされて潜在的に提示され得るエピトープの多くは、T細胞認識の閾値レベル未満であり得る一方で、腫瘍細胞におけるそれらの過剰発現は、以前確立された免疫寛容を破壊することによってより、抗がん応答を始動し得る。このクラスのTAAの顕著な例は、Her-2/neu、サバイビン、テロメラーゼまたはWT1である。
d)腫瘍-特異的抗原:これらのユニークなTAAは、正常な遺伝子(β-カテニン、CDK4など)の変異から生じる。これらの分子変化のいくつかは、腫瘍性形質転換および/または進行に関連している。腫瘍特異的抗原は、通常、正常組織に対する自己免疫反応のリスクなしに、強力な免疫応答を誘導できる。他方、これらのTAAは、ほとんどの場合、その上でそれらが同定されたまさにその腫瘍のみと関係があり、通常は、多くの個々の腫瘍間で共有されない。腫瘍特異的(関連)イソ型を有するタンパク質では、ペプチドの腫瘍特異性(または関連性)はまた、ペプチドが腫瘍(関連)エクソンに由来する場合に生じてもよい。
e)異常な翻訳後修飾から生じるTAA:このようなTAAは、特異的でなく腫瘍において過剰発現もされないタンパク質から生じてもよいが、それでもなお、腫瘍において主に活性である翻訳後プロセスによって腫瘍関連になる。このクラスの例は、腫瘍にMUC1のような新規エピトープをもたらす改変グリコシル化パターン、または腫瘍特異的であってもなくてもよい分解中のタンパク質スプライシングのような事象から生じる。
f)オンコウイルスタンパク質:これらのTAAはウイルスタンパク質であり、それらは発がん過程において重要な役割を果たしてもよく、外来性である(ヒト由来でない)ため、それらはT細胞応答を誘起し得る。このようなタンパク質の例は、子宮頸がんにおいて発現されるヒト乳頭腫16型ウイルスタンパク質E6およびE7である。
【0021】
T細胞ベースの免疫療法は、主要組織適合性複合体(MHC)の分子によって提示される、腫瘍関連または腫瘍特異的タンパク質由来ペプチドエピトープを標的とする。腫瘍特異的Tリンパ球によって認識される抗原、すなわちそれらのエピトープは、酵素、受容体、転写因子などの全てのタンパク質クラスに由来する分子であり得て、それはそれぞれの腫瘍細胞において発現されて、同一起源の非改変細胞と比較して、通常、上方制御される。
【0022】
MHC分子には、MHCクラスIおよびMHCクラスIIの2つのクラスがある。MHCクラスI分子はα重鎖およびβ2ミクログロブリンから構成され、MHCクラスII分子はαおよびβ鎖から構成される。それらの三次元立体構造は、ペプチドとの非共有結合相互作用のために使用される、結合溝をもたらす。
【0023】
MHCクラスI分子は、ほとんどの有核細胞上に見いだされる。それらは、主に内因性タンパク質、欠陥リボソーム産物(DRIP)、およびより大型のペプチドのタンパク質切断から得られる、ペプチドを提示する。しかし、エンドソームコンパートメントまたは外因性起源に由来するペプチドもまた、MHCクラスI分子上に頻繁に見いだされる。この非古典的様式のクラスI提示は、文献中で交差提示と称される(Brossart and Bevan,1997;Rock et al.,1990)。MHCクラスII分子は、大部分はプロフェッショナル抗原提示細胞(APC)に見いだされ、例えば、エンドサイトーシス中にAPCに取り込まれて引き続きプロセシングされる、外因性または膜貫通タンパク質のペプチドを主に提示する。
【0024】
ペプチドとMHCクラスIの複合体が、適切なT細胞受容体(TCR)を有するCD8陽性T細胞によって認識される一方で、ペプチドとMHCクラスII分子の複合体は、適切なTCRを有するCD4陽性ヘルパーT細胞によって認識される。その結果、TCR、ペプチド、およびMHCは、化学量論的に1:1:1の量で存在することが良く知られている。
【0025】
CD4陽性ヘルパーT細胞は、CD8陽性細胞傷害性T細胞による、効果的な応答の誘導と維持において重要な役割を果たす。腫瘍関連抗原(TAA)に由来するCD4陽性T細胞エピトープの同定は、抗腫瘍免疫応答を始動させる医薬品の開発に非常に重要である(Gnjatic et al.,2003)。腫瘍部位では、Tヘルパー細胞が、細胞毒性T細胞(CTL)親和的サイトカイン環境を維持して(Mortara et al.,2006)、例えば、CTL、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、および顆粒球などのエフェクター細胞を引きつける(Hwang et al.,2007)。
【0026】
炎症不在下では、MHCクラスII分子の発現は、免疫系細胞、特に、例えば、単球、単球由来細胞、マクロファージ、樹状細胞などのプロフェッショナル抗原提示細胞(APC)に主に限定される。がん患者においては、腫瘍細胞がMHCクラスII分子を発現することが判明している(Dengjel et al.,2006)。
【0027】
伸長された本発明のペプチドは、MHCクラスII活性エピトープとして作用し得る。
【0028】
MHCクラスIIエピトープによって活性化されたTヘルパー細胞は、抗腫瘍免疫におけるCTLのエフェクター機能を統合するのに重要な役割を果たす。TH1型のTヘルパー細胞応答を始動するTヘルパー細胞エピトープは、し、それらの細胞表面に腫瘍関連ペプチド/MHC複合体を提示する腫瘍細胞に向けられた、細胞傷害機能をはじめとする、CD8陽性キラーT細胞のエフェクター機能を支持する。このようにして腫瘍関連Tヘルパー細胞ペプチドエピトープは、単独で、またはその他の腫瘍関連ペプチドとの組み合わせで、抗腫瘍免疫応答を刺激するワクチン組成物の活性医薬品成分の役割を果たし得る。
【0029】
例えば、マウスなどの哺乳類動物モデルにおいて、CD8陽性Tリンパ球の不在下であっても、インターフェロンγ(IFNγ)の分泌による血管新生阻害を通じて腫瘍発現を阻害するには、CD4陽性T細胞で十分であることが示された(Beatty and Paterson,2001;Mumberg et al.,1999)。CD4 T細胞が、直接抗腫瘍エフェクターであるという証拠がある(Braumuller et al.,2013;Tran et al.,2014)。
【0030】
HLAクラスII分子の構成的発現は、通常、免疫細胞に限定されるので、原発性腫瘍からクラスIIペプチドを直接単離する可能性があり得るとは、これまで考えられなかった。しかし、Dengjel et al.は、いくつかのMHCクラスIIエピトープを腫瘍から直接成功裏に同定した(国際公開第2007/028574号パンフレット,欧州特許第1760088B1号明細書)。
【0031】
CD8およびCD4依存性の双方のタイプの応答は、抗腫瘍効果に共同して相乗的に寄与するので、CD8+T細胞(リガンド:MHCクラスI分子+ペプチドエピトープ)、またはCD4陽性Tヘルパー細胞(リガンド:MHCクラスII分子+ペプチドエピトープ)のどちらかによって認識される、腫瘍関連抗原の同定および特性解析は、腫瘍ワクチンの開発にとって重要である。
【0032】
MHCクラスIペプチドが、細胞性免疫応答を始動(惹起)するためには、それはまた、MHC分子に結合しなくてはならない。この過程は、MHC分子の対立遺伝子と、ペプチドのアミノ酸配列の特定の多形性とに依存する。MHCクラスI結合ペプチドは、通常は8~12アミノ酸残基長であり、通常は、MHC分子の対応する結合溝と相互作用するそれらの配列中に、2つの保存残基(「アンカー」)を含有する。このようにして、各MHC対立遺伝子は、どのペプチドが結合溝と特異的に結合し得るかを決定する、「結合モチーフ」を有する。
【0033】
MHCクラスI依存免疫反応においては、ペプチドは腫瘍細胞によって発現される特定のMHCクラスI分子に結合できるだけでなく、それらはまた、引き続いて特異的T細胞受容体(TCR)を有するT細胞によって認識されなくてはならない。
【0034】
タンパク質が、Tリンパ球によって腫瘍特異的または腫瘍関連抗原として認識され、治療で利用されるためには、特定の必要条件が満たされなくてはならない。抗原は、主に腫瘍細胞によって発現され、健常組織によって発現されず、または比較的少量発現されるべきである。好ましい実施形態では、ペプチドは、腫瘍細胞によって、健常組織と比較して過剰提示されるべきである。それぞれの抗原は、ある種の腫瘍に存在するだけでなく、高い濃度(すなわち、それぞれのペプチド細胞当たりのコピー数)で存在することもさらに望ましい。腫瘍特異的および腫瘍関連抗原は、例えば、細胞周期調節またはアポトーシス抑制における機能のために、正常細胞から腫瘍細胞への形質転換に直接関与するタンパク質に由来することが多い。さらに、形質転換の直接原因となるタンパク質の下流標的が、上方制御されてもよく、(und)したがって間接的に腫瘍関連であってもよい。このような間接的腫瘍関連抗原もまた、ワクチン接種アプローチの標的であってもよい(Singh-Jasuja et al.,2004)。このようなペプチド(「免疫原性ペプチド」)が、腫瘍関連抗原に由来して、生体外または生体内T細胞応答をもたらすことを確実にするためには、抗原のアミノ酸配列内にエピトープが存在することが必須である。
【0035】
基本的に、MHC分子に結合できるあらゆるペプチドが、T細胞エピトープとして機能してもよい。生体外または生体内T細胞応答誘導のための必要条件は、対応するTCRを有するT細胞の存在、およびこの特定のエピトープに対する免疫寛容の不在である。
【0036】
したがって、TAAは、腫瘍ワクチンをはじめとするが、これに限定されるものではない、T細胞ベースの治療法開発の出発点である。TAAを同定し特性決定する方法は、通常は、患者または健常人から単離され得るT細胞の使用に基づき、またはそれらは、腫瘍および正常組織間の示差的転写プロファイル、または示差的ペプチド発現パターンの生成に基づく。しかし、腫瘍組織またはヒト腫瘍細胞株において過剰発現され、またはこのような組織または細胞株において選択的に発現される遺伝子の同定は、免疫療法においてこれらの遺伝子から転写される抗原の使用に関する、正確な情報を提供しない。これは、これらの抗原のエピトープの個々の亜集団のみが、このような用途に適するためであり、その理由は、対応するTCRを有するT細胞が存在しなくてはならず、この特定のエピトープに対する免疫寛容が不在または最小でなくてはならないからである。したがって本発明の非常に好ましい実施形態では、それに対する機能性および/または増殖性T細胞が見いだされる、過剰にまたは選択的に提示されるペプチドのみを選択することが、重要である。このような機能性T細胞は、特異的抗原による刺激時にクローン増殖され得て、エフェクター機能を果たすことができるT細胞(「エフェクターT細胞」)と定義される。
【0037】
本発明による特異的TCR(例えば、可溶性TCR)および抗体またはその他の結合分子(スキャフォールド)によってペプチドMHCを標的化する場合、基礎となるペプチドの免疫原性は二次的である。これらの場合には、提示が決定要因である。
【0038】
発明の概要
本発明の第1の態様では、本発明は、配列番号1~配列番号161、または配列番号1~配列番号161と少なくとも77%、好ましくは少なくとも88%相同的な(好ましくは少なくとも77%または少なくとも88%同一の)その変異配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなるペプチドに関し、その中で前記変異体は、MHCと結合し、および/またはT細胞と前記ペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩との交差反応を誘導し、その中で前記ペプチドは、基礎となる完全長ポリペプチドでない。
【0039】
本発明は、配列番号1~配列番号161、または配列番号1~配列番号161と少なくとも77%、好ましくは少なくとも88%相同的な(好ましくは少なくとも77%または少なくとも88%同一の)その変異体からなる群から選択される配列を含んでなる、本発明のペプチドにさらに関し、前記ペプチドまたはその変異型は、8~100、好ましくは8~30、最も好ましくは8~14アミノ酸の全長を有する。
【0040】
続く表は、本発明によるペプチド、それらの各配列番号、およびそれらのペプチドの予測される起源(基礎)遺伝子を示す。表1および表2の全てのペプチドは、HLA-A*02に結合する。表2のペプチドは、誤り率が高い、またはアルゴリズムを使用して計算された、ハイスループットスクリーニングの結果としての大きなリスト中で以前開示されているが、これまでがんとは全く関連付けられていなかった。表3のペプチドは、本発明のその他のペプチドとの組み合わせで有用であってもよい、追加的なペプチドである。表4のペプチドは、それぞれの基礎ポリペプチドの過剰発現または過剰提示を伴う、様々なその他の悪性腫瘍の診断および/または治療においてさらに有用である。
【0041】
表1:本発明によるペプチド
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0042】
表2:がん関連性が以前知られていない本発明による追加的なペプチド
【表2】
【0043】
表3:例えば個別化がん治療で有用なペプチド
【表3】
【0044】
本発明は、さらに、例えば、肺がん、腎臓がん、脳がん、胃がん、結腸または直腸がん、肝臓がん、前立腺がん、白血病、乳がん、メルケル細胞がん(MCC)、メラノーマ、卵巣がん、食道がん、膀胱がん、子宮内膜がん、胆嚢がん、および胆管がんなどの増殖性疾患の治療において使用するための本発明によるペプチドに一般に関する。
【0045】
特に好ましいのは、配列番号1~配列番号161からなる群から選択される、本発明による単独のまたは組み合わされたペプチドである。より好ましいのは、配列番号1~配列番号79(表1を参照されたい)からなる群から選択される単独のまたは組み合わせのペプチド、および膵臓がん、肺がん、腎臓がん、脳がん、胃がん、結腸または直腸がん、肝臓がん、前立腺がん、白血病、乳がん、メルケル細胞がん(MCC)、メラノーマ、卵巣がん、食道がん、膀胱がん、子宮内膜がん、胆嚢がん、胆管がん、および好ましくは膵臓がんの免疫療法におけるそれらの使用である。
【0046】
以下の表4に示されるように、本発明によるペプチドの多くは、その他の腫瘍型上にもまた見いだされ、したがって、その他の適応症のための免疫療法においても使用され得る。図1および実施例1もまた、参照されたい。
【0047】
表4:本発明によるペプチド、およびその他の増殖性疾患、特にその他のがん性疾患における、それらの具体的使用。
表は、選択されたペプチドについて、測定された腫瘍サンプルの5%超で過剰提示されるか、または測定された腫瘍サンプルの5%超で3を超える腫瘍対正常組織の幾何学平均比で提示されるかのどちらかである、それらがその上で発見された追加的な腫瘍型を示す。過剰提示は、最大提示がある正常サンプルと比較して、より高い腫瘍サンプル上の提示と定義される。
【表4A-1】
【表4A-2】
【表4A-3】
【表4A-4】
【表4A-5】
【0048】
表4B:本発明によるペプチド、およびその他の増殖性疾患、特にその他のがん性疾患における、それらの具体的使用 (表4の修正)。表は、表4のように、選択されたペプチドについて、測定された腫瘍サンプルの5%超で過剰提示を示すか、または測定された腫瘍サンプルの5%超で3を超える腫瘍対正常組織の幾何学平均比で提示を示す、それらがその上で発見された追加的な腫瘍型を示す。過剰提示は、最大提示がある正常サンプルと比較して、より高い腫瘍サンプル上の提示と定義される。それに対する過剰提示が試験された正常組織は、脂肪組織、副腎、血液細胞、血管、骨髄、脳、食道、眼、胆嚢、心臓、腎臓、大腸、肝臓、肺、リンパ節、神経、膵臓、副甲状腺、腹膜、下垂体、胸膜、唾液腺、骨格筋、皮膚、小腸、脾臓、胃、甲状腺、気管、尿管、膀胱であった。
【表4B-1】
【表4B-2】
【表4B-3】
【表4B-4】
【0049】
NSCLC=非小細胞肺がん、SCLC=小細胞肺がん、RCC=腎臓がん、CRC=結腸または直腸がん、GC=胃がん、HCC=肝臓がん、PrC=前立腺がん、BRCA=乳がん、MCC=メルケル細胞がん、OC=卵巣がん、NHL=非ホジキンリンパ腫、AML=急性骨髄性白血病、CLL=慢性リンパ球性白血病。
【0050】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、非小細胞肺がん(NSCLC)の併用療法のための、配列番号4、5、8、14、19、22、29、30、31、35、37、46、60、69、70、79、85、90、92、95、101、102、118、123、124、125、128、131、136、138、142、147、149、150、151、154、158、160、167、6、9、21、84、85、94、96、99、111、113、114、116、129、134、152、159、および169のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0051】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、小細胞肺がん(SCLC)の併用療法のための、配列番号14、19、35、46、52、59、60、62、64、75、79、80、81、90、95、102、110、114、124、125、128、129、131、136、138、143、144、145、147、148、149、150、158、160、162、163、165、167、169、4、6、23、37、94、104、および155のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0052】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、腎臓がんの併用療法のための、配列番号13、14、29、46、84、115、147、162、175、12、30、38、75、95、99、111、130、および160のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0053】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、脳がんの併用療法のための、配列番号16、17、29、34、39、63、67、81、93、94、98、102、104、106、113、114、115、116、122、129、138、146、151、159、161、166、167、169、172、11、14、19、70、71、83、87、99、112、123、126、132、152、および160のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0054】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、胃がんの併用療法のための、配列番号31、32、68、84、88、95、97、117、120、121、147、174、9、41、77、149、および160のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0055】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、大腸および直腸がんの併用療法のための、配列番号5、28、29、30、31、37、40、41、60、85、90、92、93、94、99、114、115、120、124、125、128、131、137、142、145、148、151、152、154、157、158、159、165、4、34、84、111、146、149、および160のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0056】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、肝臓がんの併用療法のための、配列番号4、5、14、19、31、35、37、48、50、51、60、64、70、73、80、85、86、96、99、100、101、102、103、104、111、114、115、116、120、123、124、125、129、131、132、135、136、137、142、145、146、148、149、150、155、158、159、160、161、165、167、169、174、および176のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0057】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、膵臓がんの併用療法のための、配列番号2、8、10、22、31、39、46、79、86、104、111、123、130、142、156、および167のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0058】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、前立腺がんの併用療法のための、配列番号98、102、109、111、115、142、148、151、および167のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0059】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、白血病の併用療法のための、配列番号7、22、48、62、71、81、83、94、95、104、110、122、144、145、147、149、150、152、154、159、160、161、171、および176のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0060】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、AMLの併用療法のための、配列番号3、4、21、29、30、32、52、57、65、67、84、93、99、102、103、106、108、111、114、117、120、123、126、127、128、139、140、142、143、148、151、および158のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0061】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、CLLの併用療法のための、配列番号4、6、84、91、99、107、114、118、127、130、142、155、および158のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0062】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、乳がんの併用療法のための、配列番号2、4、8、9、16、22、26、31、35、37、41、59、77、79、84、90、93、99、110、137、142、150、169、175、29、42、60、69、70、75、80、82、86、95、111、120、124、127、128、129、138、144、149、151、155、158、および160のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0063】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、メルケル細胞がん(MCC)の併用療法のための、配列番号149、81、101、116、および124のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0064】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、メラノーマの併用療法のための、配列番号14、17、19、34、37、45、46、52、85、92、95、96、107、113、114、115、118、124、131、138、146、149、150、155、157、158、161、165、169、1、5、6、9、12、16、18、21、22、23、25、28、29、31、32、44、55、56、57、58、60、61、65、66、67、68、75、84、87、88、90、93、94、97、99、106、111、116、117、120、121、123、127、128、129、130、132、133、134、135、137、139、142、143、156、159、および160のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0065】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、卵巣がんの併用療法のための、配列番号4、14、35、37、46、52、60、70、81、85、92、94、95、101、120、124、125、129、131、132、134、136、142、146、147、149、150、154、157、158、160、162、165、167、3、47、57、84、89、99、111、138、および148のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0066】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、食道がんの併用療法のための、配列番号1、2、4、5、8、9、11、12、14、19、29、35、37、40、46、50、51、52、57、58、62、63、67、70、75、77、79、85、91、92、94、95、106、114、118、120、124、129、131、132、135、136、137、142、147、148、149、154、158、165、169、1、2、4、5、8、9、11、12、14、19、29、35、37、40、46、50、51、52、57、58、62、63、67、70、75、77、79、85、91、92、94、95、106、114、118、120、124、129、131、132、135、136、137、142、147、148、149、154、158、165、および169のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0067】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、膀胱がんの併用療法のための、配列番号3、4、20、29、37、41、42、59、60、64、82、88、91、93、95、97、99、101、104、106、114、115、120、122、131、135、137、142、150、151、152、154、156、157、160、166、169、170、171、175、1、5、6、12、14、15、19、30、31、38、46、52、57、65、67、70、71、74、84、86、89、92、94、100、103、107、109、111、113、118、123、126、127、128、129、130、138、148、149、158、および159のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0068】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、子宮内膜がんの併用療法のための、配列番号41、85、94、116、120、130、143、162、165、および166のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0069】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、胆嚢および胆管がんの併用療法のための、配列番号8、10、19、31、73、75、94、102、115、116、122、125、131、149、4、21、22、30、46、50、69、70、80、90、95、96、103、111、120、129、142、144、145、147、152、154、156、および160のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0070】
したがって、本発明の別の態様は、好ましい一実施形態では、子宮がんの併用療法のための、配列番号4、5、6、12、14、15、19、29、37、38、39、42、46、50、56、57、60、70、74、82、84、91、95、101、103、104、106、110、111、118、123、129、132、135、146、148、149、151、156、157、158、159、160、および161のいずれか1つに記載の本発明によるペプチドの少なくとも1つの使用に関する。
【0071】
したがって、本発明の別の態様は、好ましくは、膵臓がん、肺がん、腎臓がん、脳がん、胃がん、結腸または直腸がん、肝臓がん、前立腺がん、白血病、乳がん、メルケル細胞がん(MCC)、メラノーマ、卵巣がん、食道がん、膀胱がん、子宮内膜がん、胆嚢がん、および胆管がんの群から選択される増殖性疾患の併用治療のための、本発明によるペプチドの使用に関する。
【0072】
本発明は、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子に結合する能力、または長さ変異体などの伸長形態ではMHCクラスIIに結合する能力を有する、本発明によるペプチドにさらに関する。
【0073】
本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、前記ペプチドは、(それぞれ)配列番号1~配列番号161に記載のアミノ酸配列からなり、またはそれから本質的になる。
【0074】
本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、前記ペプチドは、修飾され、および/または非ペプチド結合を含む。
【0075】
本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、前記ペプチドは、特にHLA-DR抗原関連不変鎖(Ii)のN末端アミノ酸に融合した、または例えば樹状細胞に対して特異的な抗体などの抗体(またはその配列中)に融合した、融合タンパク質の一部である。
【0076】
本発明は、本発明によるペプチドをエンコードする核酸にさらに関する。本発明は、DNA、cDNA、PNA、RNA、またはそれらの組み合わせである、本発明による核酸にさらに関する。
【0077】
本発明は、本発明による核酸を発現でき、および/または発現する、発現ベクターにさらに関する。
【0078】
本発明は、疾患の治療においてそして医療において、特にがんの治療において使用するための本発明によるペプチド、本発明による核酸または本発明による発現ベクターにさらに関する。
【0079】
本発明は、本発明によるペプチドに、または前記本発明によるペプチドとMHCの複合体に、特異的に対抗する抗体と、それらを製造する方法とにさらに関する。
【0080】
本発明は、自己由来または同種異系T細胞に組み込まれた、T細胞受容体(TCR)、特に可溶性TCR(sTCR)、およびクローン化TCR、そしてこれらを製造する方法、ならびに前記TCRを有するまたは前記TCRと交差反応する、NK細胞またはその他の細胞を製造する方法にさらに関する。
【0081】
抗体およびTCRは、本発明によるペプチドの免疫療法用途の追加的な実施形態である。
【0082】
本発明は、前述のような本発明による核酸または発現ベクターを含んでなる、宿主細胞にさらに関する。本発明は、抗原提示細胞であり、好ましくは樹状細胞である、本発明による宿主細胞にさらに関する。
【0083】
本発明は、本発明による宿主細胞を培養するステップと、宿主細胞またはその培養液からペプチドを単離するステップとを含んでなる、本発明によるペプチドを製造する方法にさらに関する。
【0084】
本発明は、十分な量の抗原を抗原提示細胞に接触させることで、適切な抗原提示細胞または人工抗原提示細胞の表面に発現されるクラスIまたはII MHC分子上に抗原が負荷される、本発明による方法にさらに関する。
【0085】
本発明は、抗原提示細胞が、配列番号1~配列番号161を含有する、好ましくは配列番号1~配列番号79または変異アミノ酸配列を含有する、前記ペプチドを発現する能力がありまたは発現する、発現ベクターを含んでなる、本発明による方法にさらに関する。
【0086】
本発明は、本発明による方法によって製造される活性化T細胞にさらに関し、前記T細胞は、本発明によるアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを発現する細胞を選択的に認識する。
【0087】
本発明は、本発明によって製造されるT細胞の有効数を患者に投与するステップを含んでなる、患者において、本発明による任意のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する標的細胞を死滅させる方法にさらに関する。
【0088】
本発明は、薬剤としてのまたは薬剤の製造における、記載される任意のペプチド、本発明による核酸、本発明による発現ベクター、本発明による細胞、本発明による活性化Tリンパ球、T細胞受容体または抗体またはその他のペプチド-および/またはペプチド-MHC-結合分子の使用にさらに関する。好ましくは、前記薬剤は、がんに対して有効である。
【0089】
好ましくは、前記薬剤は、可溶性TCRまたは抗体に基づく、細胞療法、ワクチンまたはタンパク質である。
【0090】
本発明は、本発明による使用にさらに関し、前記がん細胞は、膵臓がん、肺がん、腎臓がん、脳がん、胃がん、結腸または直腸がん、肝臓がん、前立腺がん、白血病、乳がん、メルケル細胞がん(MCC)、メラノーマ、卵巣がん、食道がん、膀胱がん、子宮内膜がん、胆嚢がん、胆管がん、好ましくは膵臓がん細胞である。
【0091】
本発明は、がん、好ましくは膵臓がんの診断において使用され得る、本明細書で「標的」と称される、本発明によるペプチドをベースとするバイオマーカーにさらに関する。マーカーは、ペプチドそれ自体の過剰提示、または対応遺伝子の過剰発現であり得る。マーカーはまた、好ましくは免疫療法、最も好ましくはバイオマーカーによって同定されるのと同じ標的を標的とする免疫療法である、治療の成功確率を予測するのに使用されてもよい。例えば、抗体または可溶性TCRを使用して腫瘍切片が染色され、MHCと複合体形成する目的ペプチドの存在が検出され得る。
【0092】
任意選択的に、抗体は、免疫刺激ドメインまたは毒素などのさらなるエフェクター機能を保有する。
【0093】
本発明はまた、がん治療の文脈におけるこれらの新規標的の使用に関する。
【0094】
AAGABは、クラスリン被覆小胞輸送に関与する複合体のγ-アダプチンおよびα-アダプチンサブユニットと相互作用するタンパク質をコードする。この遺伝子の変異は、I型点状掌蹠角皮症に関連している(RefSeq,2002)。AAGABは、子宮頸がんにおいて過剰発現されるmiR-205の標的である(Xie et al.,2012)。AAGABのノックダウンは、細胞分裂および増殖の増加をもたらす(Pohler et al.,2012)。
【0095】
ACTR2は、ARP2/3複合体の主要構成要素である、ARP2アクチン関連タンパク質2ホモログをコードする。この複合体は、葉状仮足アクチンの集合および突起を通じた、細胞の形状および運動性に必須である(RefSeq,2002)。その他のタンパク質と複合体形成するARP2/3は、がん細胞の浸潤および遊走において重要な役割を果たすことが示された(Nurnberg et al.,2011; Feldner and Brandt,2002;Frugtniet et al.,2015;Kurisu and Takenawa,2010;Kirkbride et al.,2011)。WASP/WAVEタンパク質ファミリーメンバーと複合体形成するARP2/3は、乳がんにおける細胞の浸潤および遊走に寄与する(Frugtniet et al.,2015)。ArgBP2と複合体形成するARP2/3は、膵臓がん細胞の接着および遊走が調節される場合に、抗腫瘍機能を付与される(Roignot and Soubeyran,2009)。
【0096】
ADAM9は、ADAM(ディスインテグリンおよびメタロプロテアーゼドメイン)ファミリーの1つのメンバー(メンバー9)をコードする。このメンバーは、細胞-細胞および細胞-マトリックス相互作用に関与する(RefSeq,2002)。ADAM9遺伝子サイレンシングは、食道扁平上皮がん(ESCC)がんの増殖を減少させる(Liu et al.,2015b)。ADAM9は、メラノーマの増殖および浸潤において重要な役割を果たす(Ebrahimi et al.,2014)。ADAM9は、骨肉腫細胞、筋肉浸潤性(MI)膀胱がん細胞、非小細胞肺がん、膵臓がん、結腸がん、口腔扁平上皮がん、子宮頸がん、前立腺がん、腎臓がん、胃がん、リンパ節がん、および乳がんにおいて上方制御されることが示された(Shaker et al.,2011;Vincent-Chong et al.,2013;Li et al.,2013;Ebrahimi et al.,2014;Zhang et al.,2014a;Jia et al.,2014;O’Shea et al.,2003;Jiang et al.,2014a;Zubel et al.,2009)。ADAM9は、肺がんの脳への転移に関与するとされている(Sher et al.,2014;Lin et al.,2014a;Shintani et al.,2004)。
【0097】
AGAP9は、GTPアーゼドメイン、アンキリンリピート、およびPHドメイン9を有するArfGAPをコードし、染色体10q11.22上に位置する(RefSeq,2002)。
【0098】
AHCYは、アデノシルホモシステイナーゼをコードする。それは、メチル基転移反応に重要であると考えられる、細胞内S-アデノシルホモシステイン(SAH)濃度を調節する(RefSeq,2002)。AHCYの下方制御は、腫瘍形成に寄与する(Leal et al.,2008)。AHCYは、アポトーシスを促進し得る。それは食道扁平上皮がん細胞の遊走および接着を阻害し、食道の発がんにおける役割が示唆される(Li et al.,2014b)。AHCYタンパク質の発現は、結腸がんにおいて上方制御される(Kim et al.,2009;Watanabe et al.,2008;Fan et al.,2011)。AHCYは、卵巣がんにおける潜在的バイオマーカーであってもよい (Peters et al.,2005)。
【0099】
AK2は、アデニル酸キナーゼ2をコードする。AK2は、ミトコンドリア膜間腔に局在し、アポトーシスにおいて役割を果たしてもよい(RefSeq,2002)。AK2は、腫瘍形成に関与してもよい、新規内因的アポトーシス経路を媒介する(Lee et al.,2007)。
【0100】
ANKLE2は、アンキリンリピートおよびLEMドメイン含有2をコードする。ANKLE2は、核内膜タンパク質のLEMファミリーのメンバーである。コードされたタンパク質は、有糸分裂後核膜形成を通じて、有糸分裂調節因子として機能する(RefSeq,2002)。
【0101】
ANKRD1は、アンキリン反復ドメイン1をコードする。それは内皮細胞の核に局在し、IL-1およびTNF-α刺激によって誘導される。このタンパク質と、筋節(sarcometric)タンパク質であるミオパラジンおよびタイチンとの間の相互作用は、それが筋原線維伸展センサー系にもまた関与してもよいことを示唆する(RefSeq,2002)。ANKRD1の異所性発現は、肝腫瘍細胞において、コロニー形成の減少およびアポトーシス細胞死の亢進をもたらす(Park et al.,2005)。卵巣がんにおけるANKRD1の高度発現は、低生存率に関連している(Lei et al.,2015)。
【0102】
ANLNは、細胞の増殖および遊走と、細胞質分裂とにおいて役割を果たす、アクチン結合タンパク質をコードする。ANLNは、糸球体の構成要素である有足細胞において、アクチン細胞骨格動態を調節すると考えられる。この遺伝子の変異は、局所分節性糸球体硬化症8に関連している(RefSeq,2002)。ANLNは、乳がん組織ならびに頭頸部扁平上皮がんにおいて、高度に発現されることが分かった。ANLNのノックダウンは、乳がん細胞の増殖速度、コロニー形成能、および遊走を著しく阻害する(Zhou et al.,2015b)。ANLNは、増殖性胃腫瘍、膵臓がん、およびホルモン不応性前立腺がんにおいて過剰発現される(Pandi et al.,2014;Tamura et al.,2007;Shimizu et al.,2007;Olakowski et al.,2009)。ANLNは、肝細胞がんのバイオマーカーである(Kim et al.,2013a)。ANLNの発現は、腎細胞がんを有する患者における良好な予後のマーカーである(Ronkainen et al.,2011)。
【0103】
APOL6は、アポリポタンパク質L、6をコードする。APOL6は、アポリポタンパク質L遺伝子ファミリーのメンバーである。コードされたタンパク質は細胞質中に見いだされ、それはそこで脂質の移動に影響を及ぼしてもよく、または脂質の細胞小器官への結合を可能にしてもよい(RefSeq,2002)。APOL6は、がん細胞内でミトコンドリア媒介アポトーシスを誘導する(Liu et al.,2005)。
【0104】
ARMC9(KU-MEL-1とも称される)は、優先的にメラノサイトにおいて発現される以前単離されたメラノーマ抗原である、アルマジロリピート含有タンパク質をコードする。それは、フォークト・小柳・原田症候群に関連している(Otani et al.,2006)。ARMC9は、メラノーマ細胞株および組織サンプルにおいて強力に発現される。ARMC9に対する抗原は、脳、結腸、および食道がんに対して治療された患者の血清中で検出された(Kiniwa et al.,2001)。
【0105】
ASNSは、アスパラギンシンセターゼをコードする。ASNS遺伝子は、非許容温度において細胞周期のG1期の進行を阻止する、温度感受性ハムスター突然変異体ts11の変異を補完する(RefSeq,2002)。ASNS発現はグルコース枯渇によって誘導され、膵臓がん細胞をアポトーシスから保護する(Cui et al.,2007)。ASNSは、白血病および子宮がんにおける薬剤耐性に関連している(Lin et al.,2012;Zhang et al.,2013a)。A375細胞におけるASNSのノックダウンは、CDK4、CDK6、およびサイクリンD1の発現レベルを下方制御し、p21の発現を上方制御する(Li et al.,2015a)。ASNSの下方制御は、細胞周期停止を誘導し、乳がんの細胞増殖を阻害する(Yang et al.,2014a)。ASNSは、神経膠腫において高度に発現される(Panosyan et al.,2014)。ASNSは、卵巣がんにおける潜在的バイオマーカーである(Lorenzi et al.,2006;Lorenzi et al.,2008;Lorenzi and Weinstein,2009)。
【0106】
ATP5F1は、ミトコンドリアATPシンターゼのサブユニットである、ATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF0複合体、サブユニットB1をコードする(RefSeq,2002)。ATP5F1は、B型肝炎ウイルス関連肝細胞がんにおいて上方制御される(Lee et al.,2008a)。
【0107】
BMS1は、BMS1リボソームバイオジェネシス因子をコードして、染色体10q11.21上に位置する。酵母中の類似タンパク質は、40Sリボソームの形成に重要な一連の切断ステップを含む35S-rRNAプロセッシングにおいて機能する(RefSeq,2002;Perez-Fernandez et al.,2011)。
【0108】
BMS1P5は、BMS1リボソームバイオジェネシス因子偽遺伝子5をコードして、染色体10q11.22上に位置する(RefSeq,2002)。
【0109】
BRK1(C3orf10またはHSPC300とも称される)は、Wave複合体の最小サブユニットをコードし、胚発生および細胞形質転換中のアクチン細胞骨格動態に関与するWave/Scar経路の重要な調節因子である。(Derivery et al.,2008;Escobar et al.,2010)。BRK1は、肺がんおよび腎細胞がんをはじめとする異なるがん型において、発がん能を有する(Cascon et al.,2007;Cai et al.,2009;Escobar et al.,2010)。BRK1は、転写因子Sp1およびNRF-1によって調節される。それは、Arp2/3調節に続くWave/Scar経路に関与し、細胞増殖および形質転換に必要である(Li et al.,2014a;van’t Veer et al.,2006;Escobar et al.,2010;Wang et al.,2013c)。
【0110】
BTBD1は、BTB(POZ)ドメイン含有1をコードする。タンパク質のC末端は、トポイソメラーゼIに結合する。N末端はプロリン富化領域およびaBTB/POZドメインを含有し、そのどちらも典型的にタンパク質-タンパク質相互作用に関与する(RefSeq,2002)。
【0111】
BUB1Bは、紡錘体チェックポイント機能に関与するキナーゼをコードする。タンパク質は動原体に局在して、後期促進複合体/サイクロソーム(APC/C)の阻害において役割を果し、分裂後期の開始を遅延させて適切な染色体分離を確実にする。損なわれた紡錘体チェックポイントが、多数の形態のがんで発いだされている(RefSeq,2002)。BUB1Bは、抗腫瘍タンパク質である。BUB1Bは、紡錘体集合チェックポイントを調節する。BUB1Bは、腫瘍において不活性化されまたは下方制御される。BUB1Bの突然変異は、腫瘍発生とも関連している(Aylon and Oren,2011;Fagin,2002;Malumbres and Barbacid,2007;Rao et al.,2009)。BUB1Bは、発がん活性化を通じて、胃の発がんに関連している(Resende et al.,2010)。BUB1B突然変異は、結腸直腸がんの原因の1つである(Karess et al.,2013;Grady,2004)。
【0112】
C11orf70は、未同定機能を有するタンパク質をコードするが、筋萎縮性側索硬化を引き起こす変異タンパク質の結合に関連している(Wang et al.,2015i)。C11orf70は、正常精巣組織と比較して、精巣胚細胞腫瘍において下方制御される(Gonzalez-Exposito et al.,2015;Alagaratnam et al.,2009)。C11orf70の遺伝子領域は、口腔扁平上皮がんにおいてDNAコピー数の異常を示し、それは口腔がん特異的死亡率に関連している(Chen et al.,2015a)。
【0113】
C11orf80は染色体11オープンリーディングフレーム80をコードして、染色体11q13.2上に位置する(RefSeq,2002)。
【0114】
C1orf198は染色体1オープンリーディングフレーム198をコードして、染色体1q42.2上に位置する(RefSeq,2002)。
【0115】
C20orf24は染色体20オープンリーディングフレーム24をコードして、染色体20q11.23上に位置する(RefSeq,2002)。C20orf24は、腺腫からがん腫への染色体不安定性関連進行において重要な役割を果たす。C20orf24は、腺腫と比較して、がんにおいて有意に過剰発現される。C20orf24は、結腸直腸がんの高度に特異的なバイオマーカーの役割を果たしてもよい(Carvalho et al.,2009)。
【0116】
CADは、ピリミジン生合成経路の最初の3つの反応を触媒する三機能タンパク質、カルバモイルリン酸シンセターゼ2、アスパラギン酸トランスカルバミラーゼ、ジヒドロオロターゼをコードする(RefSeq,2002)。CAD活性は、肝細胞腫、肉腫、および腎臓腺がんをはじめとする異なるがん型において増大し、CAD遺伝子増幅に非常に頻繁に関連している(Smith et al.,1990;Aoki and Weber,1981;Smith et al.,1997)。CADは、MAPK、mTORC1、およびc-Mycのような異なる発がん遺伝子および腫瘍形成制御経路の標的である(Mac and Farnham,2000;Graves et al.,2000;Sharma et al.,2014)。CADはアンドロゲン受容体の核への移行を促進し、前立腺腫瘍細胞におけるその転写活性を刺激する。根治的前立腺切除術後、より高いCADmRNAレベルは、局所腫瘍拡大およがん再発に関連している(Morin et al.,2012)。
【0117】
CARM1は、活性化補助因子関連アルギニンメチルトランスフェラーゼ1をコードする。CARM1は、タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ(PRMT)ファミリーに属する。コードされた酵素は、タンパク質のアルギニル残基のグアニジン窒素のメチル化を触媒する。酵素は、遺伝子発現に関与する(RefSeq,2002)。CARM1は、結腸直腸および前立腺がん、メラノーマ、および乳がんにおいて、調節不全であることが示されている。CARM1は、前立腺腫瘍だけでなく、前立腺上皮内新生物(PIN)においても過剰発現される。CARM1は、非小細胞細胞肺がん(NSCLC)において顕著に過剰発現される。CARM1の発現は、腺腫において上昇し、肝細胞発がん中にがん種において異常である(Limm et al.,2013;Osada et al.,2013;Elakoum et al.,2014;Baldwin et al.,2014)。CARM1は、クロマチン再構築因子BAF155をメチル化して、腫瘍の進行および転移を亢進させる(Wang et al.,2014a;Stefansson and Esteller,2014)。
【0118】
CCNA2は、高度に保存されたサイクリンファミリーメンバーである、サイクリンA2をコードするCCNA2は、CDC2またはCDK2キナーゼに結合して活性化し、したがって細胞周期G1/SおよびG2/M遷移の双方を促進する(RefSeq,2002)。CCNA2の過剰発現は、肝細胞がん細胞の増殖を阻害する。子宮内膜腺がん細胞内のCCNA2の過剰発現は、細胞増殖を減少させてアポトーシスを増加させる。メラノーマ細胞におけるCCNA2の発現は、腫瘍の増殖および転移を減少させ、同時に腫瘍におけるアポトーシスを増加させる(Lau,2011)。CCNA2は、がん細胞の増殖、浸潤、接着、分化、生存、および転移を促進し得る。それは、血管新生および細胞外マトリックス生成において重要な役割を果たす。CCNA2は、胃腺がん細胞において過剰発現されると、腫瘍増殖を促進し、腫瘍血管新生を増加させる。CCNA2発現のサイレンシングは、膵臓がん細胞における腫瘍増殖を減少させる。CCNA2は、前立腺がん細胞の増殖を促進し得る(Lau,2011;Chen and Du,2007)。CCNA2の過剰発現は、上皮間葉転換を誘導し、喉頭腫瘍の浸潤および転移をもたらす(Liu et al.,2015e)。CCNA2は、結腸直腸がんにおいて調節不全である(Chang et al.,2014)。CCNA2は、前立腺がん、神経膠腫、膵臓がん、および乳がんにおいて過剰発現される。CCNA2は、乳がんにおける侵襲性、血管新生およびエストロゲン非依存性の増大に関連しており、乳がんの進行におけるCCNA2の主要な役割が示唆される(Zuo et al.,2010)。
【0119】
CCND1は、サイクリンD1をコードする。それは、細胞周期全体を通じてタンパク質存在量の劇的な周期性によって特徴付けられる、高度に保存されたサイクリンファミリーに属する。細胞周期の進行を変化させる、CCND1の変異、増幅、および過剰発現は、多様な腫瘍で頻繁に観察されて、腫瘍形成に寄与してもよい(RefSeq,2002)。CCND1は、口腔扁平上皮がん、消化管間質腫瘍、非小細胞肺がん、脳下垂体腫瘍、および乳がんにおけるリンパ節転移症例において、増幅され過剰発現される(Noorlag et al.,2015;Dworakowska,2005;Gautschi et al.,2007;Lambros et al.,2007;Yang et al.,2008;Yu and Melmed,2001)。CCND1は、マントル細胞リンパ腫、膵臓神経内分泌腫瘍、副甲状腺腺腫、およびユーイング肉腫において過剰発現される(Navarro et al.,2011;Sander,2011;Capurso et al.,2012;Delas et al.,2013;Setoodeh et al.,2013;Sanchez et al.,2008;Westin et al.,2009)。CCND1は、結腸直腸がんリスクを増大させ得る(Yang et al.,2012b;Andersen et al.,2013)。CCND1の遺伝子変異は、膀胱がんを引き起こし得る(Zhang et al.,2003;Baffa et al.,2006)。
【0120】
CCT3は、分子シャペロンである、TCP1含有シャペロニン、サブユニット3(γ)をコードする(RefSeq,2002)。CCT3は、肝細胞がんにおいて上昇する(Midorikawa et al.,2002;Skawran et al.,2008)。CCT3は、卵巣がんの可能な新規バイオマーカーである(Peters et al.,2005)。
【0121】
CCT4は、TCP1含有シャペロニン、サブユニット4をコードする。CCT4は、複数回のATP駆動放出および部分的に折り畳まれた中間体の再結合を通じて、新たに翻訳されたポリペプチド基質の折り畳みを助ける(RefSeq,2002)。CCT4の調節解除は、食道扁平上皮がんおよび肺腺がんを引き起こす(Wang et al.,2015j;Tano et al.,2010)。CCT4は、胃がんにおいて上方制御される(Malta-Vacas et al.,2009)。
【0122】
CDC27は、細胞分裂周期27をコードする。この遺伝子によってコードされたタンパク質は、後期促進複合体(APC)の構成要素である。タンパク質は、有糸分裂のタイミング調節に関与してもよい(RefSeq,2002)。下方制御された場合、CDC27は、トリプルネガティブ乳がん細胞および扁平細胞子宮頸部がんに、放射線耐性を与える(Rajkumar et al.,2005;Ren et al.,2015)。CDC27は、肝細胞がんの進行において重要な役割を果たし、また食道扁平上皮がんおよび膵臓がんにおける予後不良と相関する(Ahn et al.,2014;Wang et al.,2015h)。CDC27多型性は、細胞の有糸分裂進行に影響を及ぼすことを通じて、乳がんの易罹患性に寄与してもよい(Guo et al.,2015)。CDC27変異は、前立腺がんに関与する(Lindberg et al.,2013)。CDC27の変異および下方制御は、いくつかの乳がんおよび大腸がん細胞株に関与する(Fan et al.,2004;Roy et al.,2010;Pawar et al.,2010)。
【0123】
CDK12は、サイクリン依存性キナーゼ12をコードして、染色体17q12上に位置する(RefSeq,2002)。CDK12変異体は、卵巣、乳房、前立腺、および腸管腫瘍をはじめとする、多様な腫瘍において同定された(Vrabel et al.,2014)。
【0124】
CDK13は、サイクリン依存性セリン/スレオニンタンパク質キナーゼファミリーのメンバーである、サイクリン依存性キナーゼ13をコードする。このファミリーのメンバーは、細胞周期調節におけるマスタースイッチとしてのそれらの本質的役割が知られている。それらは、mRNAプロセッシングにおいて役割を果たしてもよく、造血の調節に関与してもよい(RefSeq,2002)。CDK13は、膵臓がんおよび皮膚がんに関連している(Ansari et al.,2015;Nelson et al.,1999;Chandramouli et al.,2007)。CDK13は、肝細胞がんにおいて増幅される(Kim et al.,2012b)。
【0125】
CDK2は、細胞周期調節に関与するセリン/スレオニンタンパク質である、キナーゼサイクリン依存性キナーゼ2をコードする。このタンパク質の活性は、G1~S期への移行中に特に重要である(RefSeq,2002)。CDK2の過剰発現は、がん細胞における過剰増殖に直接関連し得る、細胞周期の異常調節を示唆する(Chohan et al.,2015)。CDK2は、白血病、結腸直腸がん、メラノーマ、ヒトパピローマウイルス関連子宮頸新生物、肺がん、乳がん、および前立腺がんに関連している(Foster et al.,2001;Zajac-Kaye,2001;Raso et al.,2013;He et al.,2013;Duensing and Munger,2002;Hu and Zuckerman,2014;Agarwal,2000)。CDK2は、マントル細胞リンパ腫において高度に発現される(Rummel et al.,2004)。
【0126】
CDK5RAP3は、CDK5調節サブユニット関連タンパク質3をコードする。CDK5RAP3は、シグナル伝達経路支配転写調節および細胞周期進行において役割を果たす。それは、腫瘍形成および転移における機能を有してもよい(RefSeq,2002)。CDK5RAP3は、肝細胞がんにおいて過剰発現され、転移を促進する(Mak et al.,2011;Mak et al.,2012)。CDK7は、サイクリン依存性タンパク質キナーゼファミリーのメンバーである、サイクリン依存性キナーゼ7をコードする。これは、転写開始およびDNA修復に関与する、転写因子TFIIHの必須構成要素である。このタンパク質は、転写調節と細胞周期との間の直接的な関係の役割を果たすと考えられている(RefSeq,2002)。CDK7遺伝的多型は、遺伝子環境または遺伝子-遺伝子相互作用によって、個人を乳がんに罹患しやすくする(Yoo and Kang,2003)。CDK7は、膵臓がんのリスク増大に関連している(Efthimiou et al.,2001)。CDK7は、乳がんに関連付けられている(Cance and Liu,1995)。
【0127】
CDK9は、サイクリン依存性タンパク質キナーゼファミリーのメンバーである、サイクリン依存性キナーゼ9をコードする。このタンパク質は、その調節サブユニットであるサイクリンTまたはサイクリンKと複合体を形成し、その制御下にある(RefSeq,2002)。CDK9は、筋肉細胞、単球、およびニューロンなどのいくつかの細胞型の分化プログラムに関与するようである。CDK9は、単球において抗アポトーシス機能を有するようである。細胞内のいくつかの生理学的過程におけるCDK9の関与は、がんの発生をもたらすこともある(De and Giordano,2002)。
【0128】
CELSR3は、カドヘリン、EGF遅滞7回膜貫通型G型受容体3をコードする。コードされたタンパク質は、接触依存性神経突起増殖の調節に関与してもよく、腫瘍形成において役割を果たしてもよい(RefSeq,2002)。マイクロアレイスクリーニングは、正常口腔粘膜との比較で、原発性口腔扁平上皮がんにおけるCELSR3過剰メチル化を明らかにした(Khor et al.,2014)。CELSR3は、卵巣がんおよび脳腫瘍に関連している(Asad et al.,2014;Katoh and Katoh,2007)。CELSR3は、膵臓腫瘍のおよび肝臓腫瘍の星状細胞において、上方制御される(Erkan et al.,2010)。
【0129】
CEP97は、中心体タンパク質97kDaをコードして、染色体3q12.3上に位置する(RefSeq,2002)。CEP97は、乳がんに関連している(Rappa et al.,2014)。
【0130】
CFL1は、コフィリン1をコードする。それは、アクチン-コフィリン複合体の細胞質から核への移行に関与する。(RefSeq,2002)。CFL1変異は、多発性内分泌腺腫4型および多形性神経膠芽細胞腫に関連している(Solomon et al.,2008;Georgitsi,2010)。CFL1は、リンパ腫、白血病、神経芽細胞腫、卵巣、前立腺、乳がん、および肺がん、および中皮腫において過剰発現される(Rana et al.,2008)。CFL1は、精巣胚細胞腫瘍において下方制御される(von Eyben,2004)。
【0131】
CHD3は、クロモドメインヘリカーゼDNA結合タンパク質3をコードする。タンパク質は、ヒストン脱アセチル化によるクロマチンのリモデリングに関与する、Mi-2/NuRD複合体と称されるヒストン脱アセチル化酵素複合体の構成要素の1つである(RefSeq,2002)。CHD3は、膵臓上皮内新生物および膵臓がんにおいて上方制御される(Wang et al.,2011)。CHD3変異は、胃および結腸直腸がんに関連している(Kim et al.,2011a)。CHD3は、急性骨髄性白血病において過剰発現される(Camos et al.,2006)。
【0132】
CHD4は、クロモドメインヘリカーゼDNA結合タンパク質4をコードする。それは、ヌクレオソーム再構築およびデアセチラーゼ複合体の主要構成要素であり、エピジェネティックな転写抑制において重要な役割を果たす。この遺伝子の体細胞変異は、漿液性子宮内膜腫瘍に関連している(RefSeq,2002)。CHD4は、急性骨髄性白血病の新規治療標的である(Sperlazza et al.,2015)。CHD4は、EpCAM+肝臓がん幹細胞における遺伝子調節およびDNA損傷応答をエピジェネティックに調節する(Nio et al.,2015)。CHD4は、BRCA2変異がん細胞における治療応答を調節する(Guillemette et al.,2015)。CHD4は、神経膠芽腫および結腸がんに関連している(Cai et al.,2014;Chudnovsky et al.,2014)。
【0133】
CHD5は、クロモドメインヘリカーゼDNA結合タンパク質5をコードする。CHD5は、神経芽細胞腫の発生において役割を果たしてもよい、潜在的腫瘍抑制因子である(RefSeq,2002)。CHD5は、神経膠腫において、そして乳がん、結腸がん、肺がん、卵巣がん、および前立腺がんをはじめとする多様なその他の腫瘍型において、腫瘍抑制因子遺伝子として機能する(Kolla et al.,2014)。
【0134】
CIRH1A(Cirhinとも称される)は、核小体に局在するWD40反復含有タンパク質である、硬変常染色体性劣性1Aをコードする。それは、北米インディアン小児肝硬変(NAIC)を引き起こす(RefSeq,2002)。CIRH1Aは、標準的NF-κB因子を上方制御し得て、NF-κB因子を含有するその他の遺伝子の調節に関与するかもしれない。これは、CIRH1Aが、がん関連NF-κB経路に影響を与え得ることを示唆する(Yu et al.,2009)。
【0135】
COL1A1は、コラーゲン、1型、α1をコードする。1型は、ほとんどの結合組織に見いだされる原線維形成コラーゲンであり、骨、角膜、真皮、および腱に豊富である。この遺伝子と血小板由来成長因子βの遺伝子が位置する、染色体17と22との間の相互転座は、増殖因子の無制御発現に起因する、隆起性皮膚線維肉腫と呼ばれる特殊な型の皮膚腫瘍に関連している(RefSeq,2002)。COL1A1は、胃がんにおいて示差的に発現される(Yasui et al.,2004)。COL1A1は、色素性隆起性皮膚線維肉腫に関連している(Zhang et al.,2013c)。
【0136】
COL1A2は、コラーゲン、1型、α2をコードする。1型は、ほとんどの結合組織に見いだされる原線維形成コラーゲンであり、骨、角膜、真皮、および腱に豊富である(RefSeq,2002)。COL1A2は、胃がんに関連している(Yasui et al.,2004;Yasui et al.,2005)。
【0137】
COL6A1は、コラーゲン、6型、α1をコードする。コラーゲンVIは、ミクロフィブリルの主要構成要素である。コラーゲンVIサブユニットをコードする遺伝子の変異は、常染色体優性疾患であるベスレムミオパチーを引き起こす(RefSeq,2002)。COL6A1は、去勢抵抗性前立腺がんの反応性間質において上方制御され、腫瘍増殖を促進する(Zhu et al.,2015c)。COL6A1は、CD166+がん細胞よりも浸潤性および遊走性活性がより強い、CD166-膵臓がん細胞において過剰発現される(Fujiwara et al.,2014)。COL6A1は、骨転移において高度に発現される(Blanco et al.,2012)。COL6A1は、子宮頸がんおよび卵巣がんにおいて上方制御されることが判明した(Zhao et al.,2011;Parker et al.,2009)。COL6A1は、星細胞腫および膠芽細胞腫において示差的に発現される(Fujita et al.,2008)。
【0138】
COL6A3は、コラーゲンVI型α3をコードするが、これはほとんどの結合組織に見いだされてマトリックス成分の組織化に重要な、数珠状フィラメントコラーゲンであるVI型コラーゲンの3つのα鎖の1つである(RefSeq,2002)。COL6A3は、ほとんどの結合組織に見いだされてマトリックス要素の組織化に重要な役割を果たす数珠状フィラメントコラーゲンである、VI型コラーゲンのα3鎖をコードする(RefSeq,2002)。COL6A3は、結腸、膀胱、および前立腺がんにおいて、選択的にスプライスされる。COL6A3の長いイソ型は、がんサンプル中でほぼ排他的に発現され、新しいがんマーカーの役割を果たす可能性がある(Thorsen et al.,2008)。COL6A3は、膵臓導管腺がん組織で高度に発現されて、腫瘍特異的選択的スプライシングを受ける(Kang et al.,2014)。COL6A3は、高悪性度卵巣がんと相関し、シスプラチン抵抗性に寄与することが実証されている。COL6A3は、胃がん組織で頻繁に過剰発現されることが観察された(Xie et al.,2014)。COL6A3変異は、腫瘍分化およびTNM進行度診断とは無関係に、結腸直腸がんのある患者のより良好な全生存期間を顕著に予測した(Yu et al.,2015b)。COL6A3の発現は、膵臓がん、結腸がん、胃がん、粘液性類表皮腫、および卵巣がんにおいて増加することが報告された。エクソン3、4、および6をはじめとするがん関連転写変異体が、結腸がん、膀胱がん、前立腺がん、および膵臓がんにおいて検出された(Arafat et al.,2011;Smith et al.,2009;Yang et al.,2007;Xie et al.,2014;Leivo et al.,2005;Sherman-Baust et al.,2003;Gardina et al.,2006;Thorsen et al.,2008)。卵巣がんではCOL6A3レベルはより高い腫瘍悪性度と相関し、膵臓がんでは、COL6A3は適切な診断血清バイオマーカーに相当することが示された(Sherman-Baust et al.,2003;Kang et al.,2014)。
【0139】
COPG1(COPGとも称される)は、ゴルジ体からERへの逆行性輸送およびゴルジ体内輸送を媒介する、コートマータンパク質複合体(COPI)のγサブユニットをコードする。COPG1は、ARF-GAPと結合する(Waters et al.,1991;Watson et al.,2004)。COPG1は、患者の年齢およびより高い悪性病変等級ならびに神経膠肉腫等級と相関する(Coppola et al.,2014)。COPG1は、肺がんおよび肺がん関連内皮細胞において豊富に発現されることが判明した(Park et al.,2008)。
【0140】
CREB3L1は、cAMP応答因子結合タンパク質3様1をコードする。CREB3L1は、ERストレスに応答して切断され、放出された細胞質転写因子ドメインは、核に移行する。そこで、それはbox-B因子に結合することによって、標的遺伝子の転写を活性化する(RefSeq,2002)。CREB3L1変異体は、硬化性類上皮線維肉腫(SEF)において頻繁に見いだされる(Prieto-Granada et al.,2015)。CREB3L1は、ヒト神経膠腫細胞株におけるERストレスによって誘導され、折り畳まれていないタンパク質応答、細胞外マトリックス産生および細胞遊走に寄与する(Vellanki et al.,2013)。CREB3L1は、膀胱がんにおいてエピジェネティックに発現停止され、腫瘍細胞の拡散および遊走を促進する(Rose et al.,2014)。CREB3L1は、乳がんにおける腫瘍形成抑制において重要な役割を果たす。転移性表現型の発生には、発現の喪失が必要である(Mellor et al.,2013)。
【0141】
CSTF1は、切断刺激因子である、3’プレRNA、サブユニット1、50kDaをコードする。それは、プレmRNAのポリアデニル化および3’末端切断に関与する(RefSeq,2002)。CSTF1の変異は、BRCA2変異キャリアにおける乳がんリスクに関連することが判明した(Blanco et al.,2015)。
【0142】
CTHRC1は、コラーゲン三重らせん反復含有1をコードする。CTHRC1は、血管再構築に関与することで、動脈損傷に対する細胞応答において役割を果たしてもよい。この遺伝子座における変異は、バレット食道および食道腺がんに関連している(RefSeq,2002)。CTHRC1は、胃がんおよび乳管がんにおいて、発現増加を示す(Kim et al.,2013b;Yu et al.,2015a;Song et al.,2015)。CTHRC1は、結腸直腸がんにおいて上方制御される(Yan et al.,2015a;Yan et al.,2015b)。CTHRC1の発現は、B型肝炎ウイルスに感染した患者における肝細胞がん進行と高度に相関するCTHRC1は、肝細胞腫細胞のコロニー形成、遊走、および浸潤を増強する(Tameda et al.,2014;Zhang et al.,2015b)。CTHRC1は、非小細胞肺がんにおいて過剰発される。過剰発現は、腫瘍の侵襲性と予後不良に関連している(Ke et al.,2014b)。CTHRC1は、食道扁平上皮がんおよびバレット腺がんにおいて上方制御される(Timme et al.,2014)。CTHRC1は、メラノーマにおける細胞接着および生存を促進する(Ip et al.,2011)。
【0143】
CXCL5は、ケモカインC-X-Cモチーフリガンド5をコードする。このタンパク質は、Gタンパク質共役型受容体ケモカインCXCモチーフ受容体2に結合して好中球を動員し、血管新生を促進して、結合組織を再構築することが提案されている。このタンパク質は、がん細胞の増殖、遊走、および浸潤において役割を果たすと考えられる(RefSeq,2002)。CXCL5は、腎細胞がんの発生率、増殖、および転移において、重要な役割を果たす(Parihar and Tunuguntla,2014)。CXCL5は、慢性炎症の食道がんおよび胃がんへの移行に関与している(Verbeke et al.,2012)。CXCL5は、急性骨髄性白血病に関連している(Kittang et al.,2010)。
【0144】
DCBLD2は、膜貫通共受容体タンパク質であって、内皮および平滑筋細胞誘導ニューロピリン様タンパク質とも称される、ジスコイジン、CUBおよびLCCLドメイン含有タンパク質2をコードする(RefSeq,2002)。DCBLD2は、膠芽細胞腫および頭頸部がん(HNC)において上方制御され、EGFR刺激腫瘍形成に必要である(Feng et al.,2014)。さらに、DCBLD2は高度に転移性の肺がん亜系および組織サンプルにおいて、上方制御される(Koshikawa et al.,2002)。対照的に、DCBLD2の発現は、胃がんにおいてそのプロモーターの過剰メチル化によって停止される(Kim et al.,2008)。
【0145】
DDX43は、DEAD(Asp-Glu-Ala-Asp)ボックスポリペプチド43をコードするDDX43は、ATP依存性RNAヘリカーゼであり、腫瘍特異的発現を示す(RefSeq,2002)。DDX43は、ぶどう膜メラノーマ細胞および急性および慢性骨髄性白血病において過剰発現される(Chen et al.,2011a;Lin et al.,2014b;Ambrosini et al.,2014)。DDX43は、乳がん予後のバイオマーカーである(Wiese and Pajeva,2014)。DDX43は、神経膠腫細胞株で発現される(Akiyama et al.,2014)。
【0146】
DDX53は、DEAD(Asp-Glu-Ala-Asp)ボックスポリペプチド53をコードするDDX53は、DEADボックスヘリカーゼタンパク質ファミリーのメンバーに見いだされる、いくつかのドメインを含有する(RefSeq,2002)。がん/精巣抗原DDX53はHDAC2を通じてp53発現に負の調節をもたらし、抗がん剤に対する抵抗性を与える(Kim et al.,2010b)。miR-200bおよびがん/精巣抗原DDX53はフィードバックループを形成して、微小管標的薬に対する、がん細胞株の浸潤および腫瘍形成および血管新生の応答を調節する(Kim et al.,2013c)。miR-217およびDDX53は、EGFRおよびHER2を通じてフィードバックループを形成し、抗がん剤に対する応答を調節する(Kim et al.,2016)。DDX53は、子宮平滑筋腫において異常なDNA低メチル化状態を有する、いくつかの遺伝子の1つである(Maekawa et al.,2011)。21個のB細胞悪性腫瘍および4個のT細胞悪性腫瘍に由来する細胞株では、広範なmRNA発現プロフィールがDDX53について観察された(Liggins et al.,2010)。
【0147】
DNAJC7は、DNAJ熱ショックタンパク質(HSP)40タンパク質ファミリーのメンバーである、DnaJ(Hsp40)ホモログ、サブファミリーC、メンバー7をコードする。このタンパク質は、シャペロンタンパク質であるHSP70およびHSP90にATP依存様式で結合し、コシャペロンとして機能してもよい(RefSeq,2002)。DNAJC7は、p53とMDM2との間の複合体形成をブロックすることによって、p53の安定性および活性を高める(Kubo et al.,2013)。
【0148】
DPP9は、ジペプチジルペプチダーゼ9をコードする。DPP9は、その基質の活性調節に関与しているようであり、II型糖尿病、肥満、およびがんをはじめとする多様な疾患と結びつけられている(RefSeq,2002)。DPP9は、乳がんおよび卵巣がんにおいて潜在的役割を果たす(Wilson and Abbott,2012)。DPP9は、細胞生存および増殖経路の調節において、重要なシグナル伝達の役割を果たす(Yao et al.,2011)。DPP9mRNAレベルは、精巣腫瘍において上昇する(Yu et al.,2010)。DPP9は、髄膜腫において過剰発現される(Stremenova et al.,2010)。
【0149】
DPYD(DPDとしてもまた知られている)は、ピリミジン異化作用酵素であって、ウラシルおよびチミジン異化作用経路における初期および律速因子である、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼをコードする。この遺伝子の変異は、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ欠損症、チミンウラシル尿症に伴うピリミジン代謝異常、5-フルオロウラシル化学療法を受けているがん患者の毒性リスク増大をもたらす(RefSeq,2002)。DPYD発現レベルは、胃がんにおける化学療法有効性の予測因子として使用され得る(Wan et al.,2016)。DPYD変異体と、アジュバントフルオロウラシルベースの併用化学療法で治療された患者における、グレード3以上のフルオロウラシル関連有害事象の発生率増加との間に、統計的に有意な関連性が見いだされた(Cavalcante et al.,2015;Lee et al.,2016;Boige et al.,2016)。結腸直腸がんにおけるDPYD多型性と、KRAS野生型発現との間には相関がある(Kleist et al.,2015)。DPYD遺伝子発現の上方制御は、結腸直腸がんにおけるフルオロピリミジン毒性をもたらす(Chai et al.,2015;Falvella et al.,2015;van Staveren et al.,2015;Nakamura et al.,2015;Chen et al.,2015c;Hu et al.,2015b)。DPYDの多型性発現は、頭頸部がん、膵臓がん、食道扁平上皮がん、消化器がん、胃がん、肝細胞がん、および結腸直腸がんを有する患者における治療応答を判定するのに重要であってもよい(Kim et al.,2015;Toffoli et al.,2015;Ishizuka et al.,2015;Baba et al.,2015;Launay et al.,2016;Kikuchi et al.,2015;Li et al.,2016;Shimamoto et al.,2016;Bai et al.,2015;Dhawan et al.,2016)。
【0150】
マイクロRNA生合成における2つの重要な酵素の1つであるDROSHAは、胃腸腫瘍、乳がん、および子宮頸がんをはじめとする、いくつかのがんにおいて過剰発現されて、腫瘍細胞の増殖、コロニー形成、および遊走を亢進させるようである(Avery-Kiejda et al.,2014;Havens et al.,2014;Zhou et al.,2013)。
【0151】
DSELは、デルマタン硫酸エピメラーゼ様をコードして、染色体18q22.1上に位置する(RefSeq,2002)。DSEは、DSELの重要なパラログである。DSEは、肝細胞がんおよび結腸直腸がんの免疫療法のための免疫原性標的である(Mizukoshi et al.,2011;Sasatomi et al.,2002)。
【0152】
DST(水疱性類天疱瘡抗原I(BPAG1)としてもまた知られている)は、接着結合プラークタンパク質のプラキンタンパク質ファミリーのメンバーである、ジストニンをコードする。完全長イソ型は定義されていないが、神経および筋肉組織または上皮組織において発現されるいくつかのイソ型があり、神経性中間径フィラメントをアクチン細胞骨格に、またはケラチン含有中間径フィラメントを半接着斑に固着させる(RefSeq,2002;Bouameur et al.,2014;Li et al.,2007)。DSTは、乳がん転移に関連してもよい(Sun et al.,2006)。DSTに対する自己抗体は、リンパ球性白血病および濾胞性リンパ腫において見いだされ得る(Aisa et al.,2005;Taintor et al.,2007)。DSTは、鼻咽頭がんにおける6-10B細胞(腫瘍形成性であるが転移能を欠く)と比較して、5-8F細胞(高い腫瘍形成能および転移能)において上方制御される(Fang et al.,2005)。DSTは、頭頸部扁上皮がんにおいて高度に発現される(Lin et al.,2004)。新生物に関連する腫瘍随伴性天疱瘡には、DSTに対する自己抗体がある(Yong and Tey,2013;Wang et al.,2005;Preisz and Karpati,2007;Zhu and Zhang,2007)。前立腺がんにおけるDSTの発現は、進行と強く逆相関する(Vanaja et al.,2003)。抗DST自己抗体は、メラノーマ診断のための有望なマーカーである(Shimbo et al.,2010)。DSTは、悪液質がん患者の尿中に見いだされ得る(Skipworth et al.,2010)。DSTは、腺がんおよび肺の扁平上皮がんにおいて示差的に発現される(McDoniels-Silvers et al.,2002)。DSTは、浸潤性細胞増殖の開始と共に、明確に上方制御される(Herold-Mende et al.,2001)。
【0153】
DYNC1H1は、微小管に沿った逆行性輸送のための主要モータータンパク質のサブユニットである、ダイニン重鎖1をコードする。全エクソーム配列決定試験は、膵管内乳頭状粘液新生物を有する患者のDYNC1H1遺伝子内における体細胞変異を明らかにした(Furukawa et al.,2011)。
【0154】
EIF3Cは、真核生物翻訳開始因子3、サブユニットCをコードして、染色体16p11.2上に位置する(RefSeq,2002)。EIF3Cは過剰発現され、ヒトU-87MG細胞における細胞増殖を促進する(Hao et al.,2015)。EIF3Cは、結腸がんにおいて高度に発現される(Song et al.,2013)。EIF3C mRNAは、精巣セミノーマにおいて過剰発現される(Rothe et al.,2000)。
【0155】
EIF3CLは、真核生物翻訳開始因子3、サブユニットC様をコードする。それは、染色体16p11.2上に位置する(RefSeq,2002)。
【0156】
EIF3Eは、真核生物翻訳開始因子3、サブユニットEをコードして、染色体8q22-q23上に位置する(RefSeq,2002)。EIF3Eは、口腔扁平上皮がんの発がんにおいて役割を果たすかもしれない(Yong et al.,2014)。EIF3Eは、神経膠芽腫細胞の増殖および生存に必須である(Sesen et al.,2014)。EIF3Eは、乳がんの進行において発がん性の役割を有する。EIF3E発現減少は、乳房上皮細胞において上皮から間葉への転換を引き起こす(Gillis and Lewis,2013;Grzmil et al.,2010)。EIF3E発現レベルは、膀胱がんにおいて顕著に上昇する(Chen et al.,2011b)。EIF3Eは、非小細胞肺がんに関与する(Marchetti et al.,2001)。
【0157】
EXT2は、ヘパリン硫酸生合成の鎖伸長ステップに関与する2つのグリコシルトランスフェラーゼの1つである、エクソストシングリコシルトランスフェラーゼ2をコードする。この遺伝子(his gene)の変異は、複数のタイプII型外骨腫を引き起こす(RefSeq,2002)。EXT2変異は、軟骨肉腫において役割を果たす(Samuel et al.,2014)。EXT2変異は、複数の骨軟骨腫症候群を誘導する(Jochmann et al.,2014)。EXT2変異は、遺伝性の複数の外骨腫を引き起こし、ヘパラン硫酸欠乏をもたらす(Huegel et al.,2013)。
【0158】
F2R(PAR1としてもまた知られている)は、血栓応答の調節に関与する膜貫通受容体である、血液凝固第II因子トロンビン受容体をコードする(RefSeq,2002)。F2Rは、Etk/Bmxのプレクストリン相同性(PH)ドメインと結合する。PHドメインに結合できないF2R変異体は、乳房腫瘍および絨毛外栄養膜浸潤を減少させる(Kancharla et al.,2015)。F2Rは、腫瘍細胞遊走、血管新生、および宿主血管細胞との相互作用を容易にすることで、がんの浸潤および転移を促進すると考えられる(Wojtukiewicz et al.,2015)。F2Rの下方制御は、がん細胞死をもたらす(Burns and Thevenin,2015)。F2Rにおける多形性は、直腸がん患者における急性傷害に関連している(Zhang et al.,2015a)。F2Rは、ER陰性乳がん患者における予後不良と明確に相関する(Lidfeldt et al.,2015)。F2R欠損マウスは、結腸腺がん増殖の減少を示す(Adams et al.,2015)。マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)-1は、F2Rを活性化して血管新生を誘導する(Fan et al.,2015)。F2Rは、肺がんにおけるPTENの下方制御に関与する(Xu et al.,2015)。F2R活性化は、上皮間葉転換と相関するHippo-YAP経路を誘導する(Jia et al.,2015;Owens et al.,2015;Yang et al.,2015a;Fujimoto et al.,2015)。F2R活性化の阻害は、HER-2陰性乳がん、肝細胞がんおよび胃がんにおいて、がん細胞遊走および浸潤を減少させる(Mussbach et al.,2015;Wang et al.,2015g;Gonda et al.,2015)。
【0159】
FADS2は、脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子ファミリーのメンバーである、脂肪酸デサチュラーゼ2をコードする。デサチュラーゼ酵素は、脂肪酸アシル鎖の画定された炭素間への二重結合の導入により、脂肪酸の不飽和を調節する(RefSeq,2002)。FADS2は、肝細胞がんにおいて上方制御される(Muir et al.,2013)。FADS2活性は、乳がん組織において上昇する(Pender-Cudlip et al.,2013)。FADS2の発現は、乳がんの侵襲性に関連している(Lane et al.,2003)。FADS2阻害は、腸管腫瘍形成を妨害する(Hansen-Petrik et al.,2002)。
【0160】
FADS3は、脂肪酸デサチュラーゼ3をコードする。デサチュラーゼ酵素は、脂肪酸アシル鎖の画定された炭素間への二重結合の導入により、脂肪酸の不飽和を調節する(RefSeq,2002)。
【0161】
FAM83Dは、配列類似性83を有するファミリー、メンバーDをコードして、染色体20q11.23上に位置する(RefSeq,2002)。FAM83Dの上方制御は、肝細胞がん細胞の増殖および浸潤に影響を及ぼす(Wang et al.,2015a;Liao et al.,2015)。FAM83Dは、乳がん細胞株および原発性ヒト乳がんにおいて有意に上昇する(Wang et al.,2013e)。
【0162】
FN1は、糖タンパク質であるフィブロネクチン1をコードするが、これは血漿中に可溶性二量体形態で存在し、細胞表面および細胞外マトリックスには二量体または多量体形態で存在する。それは、胚形成、創傷治癒、血液血液凝固、宿主防御、および転移をはじめとする、細胞接着および移動プロセスに関与する(RefSeq,2002)。FN1は、重要な腫瘍関連血管新生標的化剤である(Sollini et al.,2015)。FN1は、膵臓がんのいくつかのバイオマーカーの1つである(Ansari et al.,2014)。FN1は、乳がんの内分泌抵抗性の原因となる多くの要因の1つである。FN1は、乳がんにおいて顕著に調節解除されて、腫瘍の進行および転移の広がりを促進する(Oskarsson,2013;Zheng et al.,2014)。それは、扁平上皮がんにおける上皮間葉転換のバイオマーカーである(Scanlon et al.,2013)。FN1は、多発性骨髄腫において重要な役割を果たす(Neri and Bahlis,2012)。
【0163】
分泌型ヒトα-Lーフコシダーゼ2であるFUCA2は、L-フコースの転移を担う重要な酵素であると同定された。加水分解酵素は、ヒト胃がん細胞へのH.ピロリ(H.pylori)接着に必須であることが判明し、H.ピロリ(H.pylori)関連胃がんの診断マーカー、および治療処置の標的としての大きな可能性を示す(Liu et al.,2009)。
【0164】
GCGは、グルカゴンをコードする。それは、グリコーゲン分解および糖新生を刺激することにより、インスリンのグルコース低下作用を抑制する膵臓ホルモンである。それは、そのシグナル伝達経路が細胞増殖を調節する、特定のGタンパク質結合受容体のリガンドである(RefSeq,2002)。GCG受容体イメージングは、膵臓β細胞量を評価するための潜在的なツールのようである。それはまた、ガストリノーマ、褐色細胞腫、および髄様甲状腺がんなどのその他の腫瘍をイメージングするための標的となるかもしれない(Hubalewska-Dydejczyk et al.,2015)。GCGは、結腸発がんにおいて重要な役割を果たす(Kannen et al.,2013)。GCGは、神経内分泌腫瘍の新たに出現したトレーサーである(Reubi and Maecke,2008)。
【0165】
GFPT2は、グルタミンフルクトース6リン酸塩トランスアミナーゼ2をコードして、染色体5q34-q35上に位置する(RefSeq,2002)。GFPT2は、乳がんおよびリンパ球性白血病において重要な役割を果たす(Kuang et al.,2008;Simpson et al.,2012)。
【0166】
GPN1は、GPNループGTPアーゼ1をコードして、染色体2p23.3上に位置する(RefSeq,2002)。GPN1は、ヌクレオチド切除修復シグナル伝達経路を調節する決定的因子である、DNA修復遺伝子XPAの核局在化に関与する細胞質GTPアーゼである(Nitta et al.,2000)。
【0167】
GRIK2は、グルタミン酸受容体、イオンチャネル型、kainite2をコードする。この遺伝子の変異は、常染色体性劣性精神遅滞と連付けられている(RefSeq,2002)。TRMT11-GRIK2は、前立腺がんにおいて見いだされるいくつかの融合転写物の1つであり、腫瘍侵襲性に関連している(Yu et al.,2014)。GRIK2SNPは、口腔がんのリスクまたは易罹患性の増大に関連している(Bhatnagar et al.,2012)。GRIK2は、肺がんの潜在的バイオマーカーである(Rauch et al.,2012)。染色体欠失によるGRIK2不活性化は、T細胞リンパ腫の発生に寄与してもよい。GRIK2の不活性化は、胃の発がんにおいて役割を果たす(Resende et al.,2011;Lopez-Nieva et al.,2012)。
【0168】
GRIK3は、グルタミン酸受容体、イオンチャネル型、kainite 3をコードする。それはグルタミン酸受容体のファミリーに属し、これは哺乳類の脳における優勢な興奮性神経伝達物質受容体であり、多様な正常な神経生理学過程において活性化される(RefSeq,2002)。GRIK3は肺腺がん(メチル化、機能修飾)、小児中枢神経系腫瘍、リンパ球性白血病、および神経芽細胞腫神に関連している(Pradhan et al.,2013)。GRIK3は、中枢神経系のいくつかの小児腫瘍において示差的に発現される(Brocke et al.,2010)。
【0169】
GSK3Bは、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3βをコードする。それは、エネルギー代謝、神経細胞発生、および身体パターン形成に関与する(RefSeq,2002)。GSK3Bの異常調節は、いくつかのがんでは細胞増殖を促進する一方で、その他のがんでは抑制することが示され、食道がんにおいて重要な役割を果たしてもよい(Gao et al.,2014b)。GSK3Bは、多形性神経膠芽細胞腫において調節不全である(Atkins et al.,2013)。調節解除GSK3Bは、胃がん、膵臓がん、および肝臓がんを促進する(Miyashita et al.,2009)。
【0170】
HLA-Aは、小胞体管腔由来のペプチドを提示することにより免疫系において中心的役割を果たす、主要組織適合性複合体クラス1Aをコードする(RefSeq,2002)。HLA-A抗原の喪失は、ヒト腫瘍における共通の特徴である。HLA-A、HLA-B、およびHLA-C陽性細胞の百分率の減少、特定の抗原の選択的喪失、およびクラス1分子発現の完全喪失が、メラノーマ、がん種、リンパ腫、神経芽細胞腫、および急性白血病において実証されている(Garrido and Ruiz-Cabello,1991;Salerno et al.,1990)。HLA-Aの発現は、胃および食道がんにおけるMAPK経路によって主に調節され、臨床腫瘍サンプルにおけるp-Erk発現とHLAクラス1発現との間に強い逆相関を有する、Akt経路の影響をある程度受ける(Mimura et al.,2013)。
【0171】
HNRNPU(SAF-Aとも称される)は、mRNA前駆体プロセッシングおよびその他のmRNAの代謝および核内輸送の側面に関連するヘテロ核リボタンパク質(hnRNPs)のRNA結合サブファミリーに属する、ヘテロ核内リボ核タンパク質Uをコードする。HNRNPUは、大型リボ核タンパク質複合体へのhnRNAのパッケージングに関与すると考えられる(RefSeq,2002)。肺がん細胞の転移を阻害するmiR-193a-3pの上方制御は、HNRNPUの発現を下方制御する(Deng et al.,2015b)。長い非コードRNAH19は、HNRNPU/PCAF/RNAPol IIタンパク質複合体との結合を通じて、miR-200経路を活性化し得て、したがって間葉系から上皮細胞への転換に、および肝細胞がんにおける腫瘍転移の抑制に寄与する(Zhang et al.,2013d)。HNRNPUは、いくつかのヒトがんにおいて再活性化されるようである、胚性および成体幹細胞の幹細胞性を維持するための重要な遺伝子であるSOX2と相互作用する(Fang et al.,2011)。
【0172】
HSPA2は、精母細胞およびがん細胞の増殖に必須である、精巣特異的熱ショックタンパク質70-2をコードする。異なる研究が、子宮頸がん、腎細胞がん、および膀胱がんの疾患進行における、HSPA2の重要な役割を示唆する遺伝子内多形性は、胃がんの発生に関連している(Ferrer-Ferrer et al.,2013;Garg et al.,2010a;Garg et al.,2010b;Singh and Suri,2014)。
【0173】
HSPA8は、食道扁平上皮がんで過剰発現されることが示された。食道がん細胞におけるHSPA8の高発現レベルは、生体外でこれらの細胞の酸化的ストレス誘発アポトーシスを相殺した。さらに、HSPA8は、多発性骨髄腫および結腸がんにおいて過剰発現され、BCR-ABL1誘導性のHSPA8の発現は、慢性骨髄性白血病において細胞生存を促進する(Chatterjee et al.,2013;Dadkhah et al.,2013;Jose-Eneriz et al.,2008;Kubota et al.,2010;Wang et al.,2013a)。
【0174】
HSPA8P8は、偽遺伝子である(RefSeq,2002)。
【0175】
HSPA9は、熱ショック70kDaタンパク質9をコードする。このタンパク質は、細胞の増殖、ストレス応答、およびミトコンドリアの維持において役割を果たす(RefSeq,2002)。HSPA9は、ウイルス感染から、発がんもまた含む神経変性にまで及ぶ細胞過程を調節する(Flachbartova and Kovacech,2013)。HSPA9は、肝細胞がんおよび結腸直腸がんにおいて上方制御される(Rozenberg et al.,2013;Chen et al.,2014a;Kuramitsu and Nakamura,2005)。HSPA9は、胃がんの発生において役割を果たす(Ando et al.,2014)。HSPA9は、薬剤耐性卵巣がんの改善された治療のための潜在的な治療標的である(Yang et al.,2013)。
【0176】
IGDCC4は、免疫グロブリンスーパーファミリー、DCCサブクラス、メンバー4をコードして、染色体15q22.31上に位置する(RefSeq,2002)。GDCC4は、肝細胞がんにおいて発現される(Joy and Burns,1988;Marquardt et al.,2011)。GDCC4は、急性リンパ芽球性白血病において役割を果たす(Taylor et al.,2007)。
【0177】
IGF2BP3は、インスリン様成長因子IIの翻訳を抑制するがん胎児性タンパク質である、インスリン様成長因子II mRNA結合タンパク質3をコードする(RefSeq,2002)。いくつかの研究は、IGF2BP3が、細胞極性化、遊走、形態、代謝、増殖、および分化などの細胞機能の様々な重要な側面において機能することを示した。生体外実験は、IGF2BP3が、腫瘍細胞増殖、接着、および浸潤を促進することを示した。さらに、IGF2BP3は、侵襲性で進行したがんに関連することが示されている(Bell et al.,2013;Gong et al.,2014)。IGF2BP3の過剰発現は、多数の腫瘍型で記載され、例えば、神経芽細胞腫、結腸直腸がん、肝臓内胆管細胞がん、肝細胞がん、前立腺がん、および腎細胞がんなどにおいて、予後不良、進行した腫瘍病期および転移と相関する(Bell et al.,2013;Findeis-Hosey and Xu,2012;Hu et al.,2014a;Szarvas et al.,2014;Jeng et al.,2009;Chen et al.,2011c;Chen et al.,2013;Hoffmann et al.,2008;Lin et al.,2013b;Yuan et al.,2009)。
【0178】
IPO5は、インポーチンベータファミリーのメンバーである、インポーチン5をコードする。インポーチンは、核膜孔複合体を通じたタンパク質の移行に不可欠である(RefSeq,2002)。
【0179】
IPO7は、インポーチン7をコードする。インポーチンα/β複合体およびGTPアーゼRanは、古典的な核局在化シグナルを有するタンパク質の核内搬入を媒介する(RefSeq,2002)。IPO7は、がんにおいて頻繁に過剰発現される(Golomb et al.,2012)。IPO7は、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、および乳がんにおいて調節不全である(Jung et al.,2013;Ju et al.,2013;Nagel et al.,2014;Xue et al.,2015)。IPO7は、前立腺がんにおいて下方制御されるマイクロRNA標的である (Szczyrba et al.,2013)。結腸直腸がんにおけるIPO7 mRNAのレベルの上昇は、増殖の増加に関連している(Li et al.,2000)。
【0180】
IQGAP3は、細胞シグナル伝達と細胞骨格との間のインターフェイスで機能する、IQモチーフ含有GAPファミリーメンバーをコードする。IQGAP3は、Rac1/Cdc42により促進される神経突起伸長を調節し、カルモジュリンおよびミオシン軽鎖と直接相互作用する(Wang et al.,2007;Atcheson et al.,2011)。IQGAP3は、肺がんにおいて過剰発現され、腫瘍細胞増殖、遊走および浸潤に関連している。さらに、それは肝細胞がんにおける染色体増幅によって上方制御され、IQGAP3の発現は、低生存率を有するp53変異大腸がん患者において増加する(Katkoori et al.,2012;Yang et al.,2014b;Skawran et al.,2008)。IQGAP3は、EGFR/Ras/ERKシグナル伝達カスケードを調節し、Rac/Cdc42と相互作用する(Yang et al.,2014b;Kunimoto et al.,2009)。
【0181】
KDELR1は、KDEL(Lys-Asp-Glu-Leu)小胞体タンパク質保持受容体1をコードする。KDELR1は、酵母ERD2遺伝子産物と構造的および機能的に類似している(RefSeq,2002)。KDELR1は、腫瘍形成において役割を有する(Yi et al.,2009)。KDELR1レベルの低下は、肝細胞腫細胞において見いだされる(Hou et al.,2015)。KDELR1の下方制御は、急性骨髄性白血病において見られる(Caldarelli et al.,2013)。
【0182】
KPNA2は、カリオフェリンα2をコードする。KPNA2は、タンパク質核輸送に関与してもよい(RefSeq,2002)。KPNA2の発現は、上皮性卵巣がんにおいて調節不全である(Lin et al.,2015)。KPNA2は、小型腫瘍と比較して、大型口腔扁平上皮がん腫において下方制御される(Diniz et al.,2015)。KPNA2は、主要タンパク質の異常な局在性および乳がんの予後不良に寄与する(Alshareeda et al.,2015)。KPNA2の発現は、上部尿路上皮がんおよび子宮内膜がんにおいて有意に上方制御される(Ikenberg et al.,2014;Shi et al.,2015)。KPNA2は、肝細胞がんにおいて腫瘍増殖を促進する(Hu et al.,2014b)。
【0183】
KRT19は、ケラチンファミリーのメンバーをコードする。ケラチンは、上皮細胞の構造的完全性に関与する中間径フィラメントタンパク質であり、サイトケラチンおよび毛髪ケラチンに細分化される。KRT19は、発生中の表皮を包む一過性の表面層である周皮において、特異的に発現される(RefSeq,2002)。腫瘍細胞におけるKRT19の発現は、乳がん、肺がん、卵巣がん、および肝細胞がんなどのいくつかの腫瘍実体の予後マーカーである(Skondra et al.,2014;Gao et al.,2014a;Liu et al.,2013a;Lee et al.,2013)。KRT19は、膵臓神経内分泌腫瘍、特にインスリン陰性腫瘍の独立予後因子であることが示されている。KRT19陽性腫瘍は、サイズ、有糸分裂、リンパ管浸潤、および壊死などのなどの確立された病理学的パラメータに関わりなく、転帰不良に関連している(Jain et al.,2010)。
【0184】
KRT8(CK8とも称される)は、ケラチン18と二量体化して単層上皮細胞内で中間径フィラメントを形成する、II型ケラチンファミリーのメンバーをコードする。KRT8は、細胞の構造的完全性を維持する役割を果たし、また、シグナル伝達および細胞分化における機能を有する(RefSeq,2002)。KRT8は上方制御されて、肺がん、前立腺がん、および乳がんをはじめとする様々ながん細胞から分泌される。高レベルのKRT8は、遊走および浸潤の増加と相関する(Gonias et al.,2001;Kuchma et al.,2012;Fukunaga et al.,2002;Takei et al.,1995)。TheMEK/ERK経路は、Ser431におけるスフィンゴシルホスフォリルコリン(sphingosylphosphorycholine)誘発KRT8リン酸化を調節する。これは、ケラチン細胞骨格の再構成をもたらし、結果的に腫瘍細胞の遊走が亢進される(Busch et al.,2012)。腫瘍抑制因子SMARはKRT8発現を下方制御し、これは細胞の遊走および浸潤性の低下をもたらす(Pavithra et al.,2009;Mukhopadhyay and Roth,1996)。
【0185】
KRT8P44は、染色体6q26上に位置する、ケラチン8偽遺伝子44をコードする。(RefSeq,2002)。
【0186】
MACC1は、細胞増殖、上皮間葉転換、血管新生、細胞運動性、浸潤性、および転移に関与する、肝細胞増殖因子(HGF)受容体経路の重要な調節因子をコードする(RefSeq,2002)。MACC1は、胃がん、結腸直腸がん、肺がん、および乳がんをはじめとする多くのがん実体において過剰発現され、患者のがんの進行、転移、および低生存率に関連している(Huang et al.,2013b;Ma et al.,2013;Stein,2013;Wang et al.,2015b;Wang et al.,2015m;Ilm et al.,2015)。MACC1は、c-Metおよびβカテニンの増加と、c-Myc、サイクリンD1、caspase9、BAD、およびMMP9をはじめとするそれらの下流標的遺伝子の増加とをもたらす、βカテニンおよびPI3K/AKTシグナル伝達経路を標的化することを通じて、発がんを促進する(Zhen et al.,2014;Yao et al.,2015)。
【0187】
MAGED2は、X連鎖精神遅滞のホットスポットであるXp11.2における新たに定義されたMAGE-Dクラスターのメンバーである、メラノーマ抗原ファミリーD、2をコードする。MAGED2は、特定の脳領域および精巣の間質において高発現レベルで遍在的に発現される。MAGED2は、野生型p53活性の潜在的な負の調節因子である(Langnaese et al.,2001;Papageorgio et al.,2007)。MAGED2の過剰発現は、メラノーマ、乳がんおよび結腸がんに関連している(Li et al.,2004;Strekalova et al.,2015)。
【0188】
MAN2A1は、ゴルジ体に局在してアスパラギン結合オリゴ糖成熟経路の最終加水分解ステップを触媒する、マンノシダーゼαクラス2A、メンバー1をコードする。(RefSeq,2002)。スワインソニンはMAN2A1を阻害し、腫瘍細胞の悪性表現型に関連するβ1,6分枝N結合グリカンの産生を阻害する(Yagel et al.,1990;Gerber-Lemaire and Juillerat-Jeanneret,2010;Santos et al.,2011;Przybylo et al.,2005;Dennis and Laferte,1987;Baptista et al.,1994;Goss et al.,1994;Fujieda et al.,1994;Korczak and Dennis,1993;Roberts et al.,1998;Goss et al.,1997;Goss et al.,1995;Seftor et al.,1991)。MAN2A1のSNPは、小児急性リンパ芽球性白血病と強く関連している(Han et al.,2010)。
【0189】
MAP1Aは、神経発生の必須段階である微小管集合に関与する、微小管関連タンパク質1Aをコードする。(RefSeq,2002)。MAP1Aは、レチノイン酸誘導P19胚性がん細胞に蓄積する(Vaillant and Brown,1995)。MAP1Aは、前立腺がんの腫瘍隣接間質において下方制御される(Zhu et al.,2015b)。MAP1Aは、細胞増殖において役割を果たしてもよい(Matsuno et al.,2004)。ダヌセルチブは、乳がんにおける膜結合型MAP1Aの発現レベルを有意に増大させる(Li et al.,2015c)。バイカレインは、肝細胞がん細胞株HepG2においてMAP1Aを上方制御する(Wang et al.,2015l)。MAP1Aは、皮膚扁平上皮がんにおいてp62と逆相関する(Yoshihara et al.,2014)。γトコトリエノールは、MAP1Aの細胞質イソ型から脂質化イソ型への変換増加を誘導する(Tiwari et al.,2014)。
【0190】
MAT2Aは、メチオニンおよびATPからのS-アデノシルメチオニンの生成を触媒する、メチオニンアデノシルトランスフェラーゼ2Aをコードする。(RefSeq,2002)。MAT2Aは、タモキシフェン抵抗性MCF-7乳がん細胞において上方制御される(Phuong et al.,2015)。結腸がんでは、SUMO化されたMAT2Aおよび全MAT2Aのレベルがより高い。Ubc9、Bcl2、およびMAT2A間の相互作用は、がん細胞の増殖および生存を促進する(Tomasi et al.,2015)。MAT2Aの発現は、腎細胞がんおよびS-アデノシルメチオニン処置肝細胞がん細胞株WCH17において下方制御される(Kuang et al.,2014;Wang et al.,2014b)。MAT1A:MAT2Aスイッチは、肝細胞がんにおける包括的なDNA低メチル化、DNA修復低下、ゲノム不安定性、およびシグナル調節解除に関連している(Woodburn et al.,2013;Frau et al.,2013)。MAT2Aは、肝細胞細胞がん、胃がん、および結腸がんにおいて上方制御される(Frau et al.,2012;Zhang et al.,2013e;Tomasi et al.,2013;Frau et al.,2013;Lo et al.,2013)。MAT2Aは、胃がん患者における腫瘍分類、リンパ節転移、および腫瘍分化不良と相関する(Liu et al.,2011b;Zhang et al.,2013e)。MAT2Aは、腫瘍性タンパク質MafKの転写共抑制因子である(Katoh et al.,2011)。MAT2Aは、肝臓がんにおける腫瘍増殖および進行に関連している(Vazquez-Chantada et al.,2010;Liu et al.,2011a;Lu and Mato,2008)。
【0191】
MBTPS2は、転写のステロール制御に関与するタンパク質のシグナル伝達を活性化し、ERストレス応答において役割を果たす、膜埋め込み亜鉛メタロプロテアーゼである(Oeffner et al.,2009)。
【0192】
MCM4は、真核生物ゲノム複製開始に必須のミニ染色体維持複合成分4をコードする(RefSeq,2002)。MCM4の発現は、食道がんをはじめとするいくつかの実体における、生存率低下およびがん進行と相関する膜貫通糖タンパク質である、上方制御された炭酸脱水酵素IXに関連している(Huber et al.,2015)。Has-miR-615-3pは、MCM4を調節することにより、鼻咽頭がんに関与してもよい(Chen et al.,2015b)。MCM4は、膀胱がんの発生において役割を果たすかもしれない(Zekri et al.,2015)。p53の機能獲得型変異は、乳がんにおけるMCM4の発現を増加させる(Polotskaia et al.,2015)。ヘリカーゼ活性の低下を示すヒト皮膚がんにおいて、MCM4の変異がある(Ishimi and Irie,2015)。MCM4の過剰発現単独では、乳がんにおけるより短い生存と弱く関連するだけである。MCM複合体の6つの部分全ての過剰発現は、より短い生存と強く関連している(Kwok et al.,2015)。MCM4は、肺腺がんおよび喉頭扁平上皮がんにおいて示差的に発現される(Lian et al.,2013;Zhang et al.,2014c)。MCM4は、子宮頸がんにおいて有意に過剰発現される(Das et al.,2013;Das et al.,2015)。MCM4は、結腸直腸がんのバイオマーカーとして使用されてもよい(Fijneman et al.,2012)。
【0193】
MIER1(MI-ER1とも称される)は、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)(Xenopusleavis)において最初に同定された、転写調節因子をコードする。(RefSeq,2002)。MIER1は、慢性骨髄性白血病(CML)および乳がんにおいて上方制御され、核転写変異体αの喪失が、がんの進行および増殖に関連している(McCarthy et al.,2008;Ding et al.,2003;Mascarenhas et al.,2014)。転写リプレッサーMIER1は、HDAC1との相互作用が原因で機能する(Ding et al.,2003)。
【0194】
MIR2861は、mRNAの安定性および翻訳の双方に影響を及ぼすことによって、遺伝子発現の転写後調節に関与する短い非コードRNAである(RefSeq,2002)。MIR2861の発現は、リンパ節転移のない乳頭状甲状腺がん(PTC)と比較して、リンパ節転移を有するPTCにおいて上方制御される(Wang et al.,2013f)。
【0195】
MLECは、I型膜固定型ERタンパク質である、マレクチンをコードする。MLECは、Glc2Man9GlcNAc2(G2M9)N-グリカンに親和性を有し、ERにおけるグリコシル化の調節に関与する。MLECは、リボフォリンIと相互作用することも示されており、誤って折り畳まれたタンパク質の分解の誘導に関与してもよい(RefSeq,2002;Pierce and Taniguchi,2009)。MLECは、結腸直腸がんにおいて脱調節され、神経膠芽腫において増強される(Sethi et al.,2015;Demeure et al.,2016)。MLECは、甲状腺乳頭がんのバイオマーカーかもしれない(Ban et al.,2012)。
【0196】
MVPは、MAPK、JAK/STAT、およびPI3K/Aktシグナル伝達経路を調節することによって、複数の細胞過程において役割を果たしてもよいタンパク質である、ヴォールト複合体の主要な区画をコードする。それはまた、多剤耐性、先天免疫、細胞の生存および分化において役割も果たし、この遺伝子の発現は、いくつかのがん型の予後マーカーであってもよい(RefSeq,2002;Tucci et al.,2009;Lara et al.,2011;Scagliotti et al.,1999;van den Heuvel-Eibrink MM et al.,2000;Perez-Tomas,2006;Scheffer et al.,2000;Ramachandran,2007;Sekine et al.,2007;Lu and Shervington,2008)。MVPは、いくつかの中枢神経系腫瘍において高度に発現される(Yang et al.,2012a)。MVPは、がんにおいて、およびいくつかの化学療法抵抗性がん細胞株において、高度に発現される(Szaflarski et al.,2011;Mossink et al.,2003)。MVP発現レベルは加齢に伴って増大し、アポトーシス耐性を促進する(Ryu and Park,2009)。
【0197】
MYBBP1A(p160とも称される)は、Mybプロトオンコジーンタンパク質と結合するその能力によって最初に同定された、核小体転写調節因子をコードする。MYBBP1Aは、核小体ストレスへの応答、腫瘍抑制、およびリボソームDNAの合成をはじめとする、多くの細胞過程において役割を果たすかもしれない(RefSeq,2002)。MYBBP1Aは、肺がん、乳がん、および頭頸部がんをはじめとする、異なるがん実体において脱調節される。それは、細胞の増殖および転移に関連している(Bidkhori et al.,2013;George et al.,2015;Acuna Sanhueza et al.,2012;Akaogi et al.,2013)。MYBBP1Aはp53活性化ならびにMyb結合を通じて転写活性を促進し、細胞周期および有糸分裂を調節して染色体分離の制御に影響を及ぼすことにより、G2/M停止または異常な有糸分裂をもたらす(Tavner et al.,1998;Tsuchiya et al.,2011;Mori et al.,2012;Ono et al.,2013)。
【0198】
NCAPD2(とも称されるCNAP1)は、染色体凝縮に関与して、アルツハイマー病に関連する、非SMCコンデンシンI複合体サブユニットD2tをコードする。(Ball,Jr.et al.,2002;Zhang et al.,2014b)。NCAPD2の過剰発現は、卵巣がんの発生において、腫瘍進行中のその増幅および変異と共に見いだされた(Emmanuel et al.,2011)。
【0199】
NCAPGは、有糸分裂および減数分裂中の染色体の凝縮および安定化を担う、非SMC凝縮I複合体サブユニットGをコードする(RefSeq,2002)。NCAPGは、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病を有する患者、および血液または骨髄腫細胞に由来する白血病細胞において下方制御される(Cohen et al.,2014)。NCAPGは、結腸直腸がんにおける多剤耐性遺伝子であってもよい(Li et al.,2012)。NCAPGは、ヒト細胞がんの色素嫌性亜型において高度に上方制御されるが、従来のヒト腎細胞がんでは上方制御されない(Kim et al.,2010a)。NCAPGの上方制御は、メラノーマ進行に関連している(Ryu et al.,2007)。NCAPGは、ぶどう膜メラノーマに関連している(Van Ginkel et al.,1998)。NCAPGは、異なる腫瘍細胞において、変動する発現を示す(Jager et al.,2000)。
【0200】
NLE1は、異なるシグナル経路による胚発生に関与する、ノッチレスホモログおよびWD40リピートタンパク質ファミリーのメンバーをコードし、リボソーム成熟において役割を果たすようである(Beck-Cormier et al.,2014;Romes et al.,2016;Lossie et al.,2012)。
【0201】
NOMO1(PM5とも称される)は、脊椎動物の発生中にNodalシグナル伝達経路に関与するタンパク質複合体の一部かもしれない、Nodalモジュレーター1をコードする(RefSeq,2002)。NOMO1は、前立腺がんにおいて、およびT細胞リンパ腫細胞において脱調節される(Stubbs et al.,1999;Lange et al.,2009)。
【0202】
NOMO2は、脊椎動物の発生中にNodalシグナル伝達経路に関与するタンパク質複合体の一部かもしれない、Nodalモジュレーター2をコードする(RefSeq,2002)。NOMO2は、上皮性腫瘍細胞過密に対する応答であってもよい浸潤促進性ゲノムシグネチャの一部として、子宮頸上皮内新生物(CIN)3および子宮頸がんへの転換において、上皮/間質細胞界面で上方制御される(Gius et al.,2007)。
【0203】
NOMO3は、脊椎動物の発生中にNodalシグナル伝達経路に関与するタンパク質複合体の一部かもしれない、Nodalモジュレーター3をコードする(RefSeq,2002)。NOMO3は、非小細胞肺がんにおいてDNAメチル化によって脱調節される(Mullapudi et al.,2015)。NOMO3は、卵巣がん組織におけるグリコシル化に関連している、富化された膜タンパク質である(Allam et al.,2015)。
【0204】
NONO(p54nrbとしてもまた知られている)は、非POUドメイン含有、八量体結合をコードする。NONOは、核内で、転写調節およびRNAスプライシングをはじめとする々な役割を果たすRNA結合タンパク質である。この遺伝子と転写因子E3との間の再配列が、乳頭状腎細胞がんにおいて観察されている(RefSeq,2002;Macher-Goeppinger et al.,2012)。NONOの発現は、血管浸潤および生存率低下と強く相関する(Barboro et al.,2008)。フロスピノスリンは、おそらくNONOへの直接結合を通じて、低酸素適応がん細胞の増殖を選択的に阻害する、(Arai et al.,2016)。NONOはMIA/CD-RAPの作用を媒介して、軟骨形成および悪性メラノーマの進行を促進する(Schmid et al.,2013)。NONOの発現は、c-Myc、サイクリンD1、およびCDK4の発現と相関する(Nelson et al.,2012)。YB-1を過剰発現する結腸直腸がんにおけるNONOのノックアウトは、それらをオキサリプラチンに感作させ得る(Tsofack et al.,2011)。シムバスタチンは、NONOを強力に下方制御して、メラノーマ進行を低下させる(Schiffner et al.,2011;Zanfardino et al.,2013)。NONOは、乳がんおよびメラノーマにおいて過剰発現される(Schiffner et al.,2011;Zhu et al.,2015d)。
【0205】
NPC1は、エンドソームおよびリソソームの境界膜に存在してコレステロールのN末端ドメインへの結合を通じた細胞内コレステロール輸送を媒介する大型タンパク質である、ニーマン・ピック病、C1型をコードする(RefSeq,2002)。食道がんにおいて、NPC1のプロモーターは低メチル化され、NPC1発現は上方制御される(Singh et al.,2015)。NPC1は、同質遺伝子型転移性がん細胞株、ヒト胚性幹細胞、およびヒト胚性がん細胞において示差的に発現される(Lund et al.,2015;Dormeyer et al.,2008)。NPC1分解は、Aktによって調節される。したがってNPC1は、子宮頸がんにおける細胞の増殖および遊走に関連している(Du et al.,2015)。シルデナフィルによる治療は、NPC1発現を減少させて、脳がん幹細胞を殺滅する(Booth et al.,2015)。コレステロール取り込みのためのNPC1をはじめとするコレステロール代謝の阻害剤は、がん治療に有益であると考えられる(Ali-Rahmani et al.,2014)。NPC1は、TNF-α-抵抗性MCF-7乳腺がん細胞において上方制御される(Vincent et al.,2010;Moussay et al.,2011)。
【0206】
NPC2は、後期エンドソーム/リソソーム系を通じたコレステロール輸送の調節において機能してもよい脂質認識ドメインを有する、タンパク質をコードする。この遺伝子の変異は、ニーマン・ピック病および前頭葉萎縮症に関連している(RefSeq,2002)。NPC2は、乳房、結腸、肺、腎臓、および肝臓がんをはじめとする、異なるがん実体において脱調節される(McDonald et al.,2004;Garcia-Lorenzo et al.,2012;Liao et al.,2013)。NPC関連コレステロール摂動は異常なシグナル伝達経路を誘導して、p38MAPK活性化、Mdm2媒介性p53分解、ROCK活性化、およびRhoA合成増加をもたらす、(Qin et al.,2010)。
【0207】
NUP160は、核細胞質輸送を媒介する核膜孔複合体の一部である、160kDaのヌクレオポリンをコードする(RefSeq,2002)。NUP160-SLC43A3は、血管肉腫における再発性融合腫瘍遺伝子であり、腫瘍進行に関連している(Shimozono et al.,2015)。
【0208】
NUP205は、ヌクレオポリン205kDaをコードする(RefSeq,2002)。NUP205は、TMEM209によって安定化される。この相互作用は、肺がん増殖の重要な駆動機構である(Fujitomo et al.,2012)。
【0209】
NUP98は、核内搬入、核外搬出、有糸分裂進行、および遺伝子発現調節をはじめとする、多くの細胞過程に関与するヌクレオポリン98kDaをコードする。この遺伝子と多くの他のパートナー遺伝子との間の転座が、異なる白血病で観察されている。再配列は、典型的に、この遺伝子のN末端GLGFドメインからパートナー遺伝子のC末端に向かう、キメラをもたらす(RefSeq,2002)。NUP98再配列は、マウスにおいて白血病を誘発する。それは、原発性ヒト造血前駆細胞の増殖を増強して、分化を妨害する(Takeda and Yaseen,2014)。NUP98再配列を引き起こすホメオボックス遺伝子の調節不全は、白血病性形質転換をもたらす(Gough et al.,2011;De et al.,2014;Slape and Aplan,2004;Grier et al.,2005;Abramovich et al.,2005;Nakamura,2005;Shimada et al.,2000;Argiropoulos and Humphries,2007)。NUP98は、急性骨髄性白血病、急性転化期にある慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球性白血病、および二系統/二表現型白血病をはじめとする造血性悪性腫瘍において、いくつかのパートナーと再配列する(Tosic et al.,2009;Haznedaroglu and Beyazit,2010;Shi et al.,2011;Gough et al.,2011;Panagopoulos et al.,2003;Morerio et al.,2006;Moore et al.,2007;Ahuja et al.,2001;McCormack et al.,2008;Lam and Aplan,2001)。NUP98は、腫瘍形成に関連している(Xu and Powers,2009;Simon and Rout,2014)。NUP98は、ゲノム安定性の修飾物質であり、腫瘍発生の抑制因子である(Rao et al.,2009)。
【0210】
OXSR1は、酸化ストレスに応答して下流キナーゼを調節するSer/Thrタンパク質キナーゼをコードし、アクチン細胞骨格を制御する役割を果たしてもよい(RefSeq,2002)。OXSR1は、ヒト乳がん患者に由来する腫瘍間質において上方制御され、再発に関連している(Pavlides et al.,2010)。
【0211】
PCSK9は、分泌経路の調節されたまたは構成的な分枝を通じて、タンパク質およびペプチド前駆体の輸送をプロセスするプロテアーゼを含むサブチリシン様プロタンパク質コンバターゼファミリーのメンバーをコードする。それは、コレステロールおよび脂肪酸代謝において役割を果たす(RefSeq,2002)。PCSK9は、肝臓がん、肺がん、および胃がんをはじめとする、異なるがん実体において脱調節される(Bhat et al.,2015;Marimuthu et al.,2013;Demidyuk et al.,2013)。PCSK9欠損は、コレステロールレベルを低下させるその能力によって、そしてTNFα媒介アポトーシスを増強することによって、肝臓転移を減少させる。これとは対照的に、その他の研究は、がんリスクに対するコレステロール値の影響がないことを示す(Folsom et al.,2007;Sun et al.,2012)。
【0212】
PDAP1は、線維芽細胞のPDGFA刺激増殖を上方制御してもよく、PDGFBの分裂促進性もまた下方制御してもよい、リンタンパク質をコードする。(RefSeq,2002)。PDAP1は、胃がんおよび直腸がんをはじめとする様々ながん型において過剰発現され、それによってバイオマーカーとしての役割を果たし得る(Choi et al.,2011;Marimuthu et al.,2013)。
【0213】
PDIA3(ERp57としてもまた知られている)は、レクチンシャペロン(chaperons)、カルレティキュリン、およびカルネキシンと相互作用して新規合成糖タンパク質の折り畳みを調節する小胞体のタンパク質である、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼファミリーAメンバー3をコードする(RefSeq,2002;Coe and Michalak,2010)。PDIA3は、バイオマーカーとして、および腫瘍の診断において使用されてもよい(Shishkin et al.,2013)。PDIA3は、神経膠腫において示差的に発現される(Deighton et al.,2010)。PDIA3は、がんおよびアルツハイマー病をはじめとするヒト病変に関与するとされる(Coe and Michalak,2010)。PDIA3は、MHCクラスI上に、ウイルスおよび自己ペプチドを負荷するTAPの補助因子である(Coe and Michalak,2010;Abele and Tampe,2011)。
【0214】
PFDN1は、新たに合成されたポリペプチドに結合して安定化し、それによりそれらが正しく折り畳まれるようにする分子シャペロン複合体である、プレフォルディンの6つのサブユニットの1つである、プレフォルディンサブユニット1をコードする(RefSeq,2002)。PFDN1は結腸直腸がん進行に関与して、腫瘍サイズおよび浸潤と正の相関がある(Wang et al.,2015e)。PFDN1iは、結腸直腸がんをはじめとする、いくつかのがんにおいて上方制御される(Wang et al.,2015e)。PFDN1は、鼻咽頭がんにおける参照遺伝子として使用され得る(Guo et al.,2010)。
【0215】
PHBは、ヒト細胞の老化および腫瘍抑制において役割を果たすことが提案されているプロヒビチンをコードする(RefSeq,2002;Mishra et al.,2010;Theiss and Sitaraman,2011;Zhou and Qin,2013;Mishra et al.,2005;McClung et al.,1995;Rajalingam and Rudel,2005)。PHBは、細胞増殖および悪性形質転換に関与するRaf/MEK/ERK経路を活性化する(Rajalingam and Rudel,2005)。PHBは、放射線療法に対する治療応答を予測する、鼻咽頭がんにおける潜在的バイオマーカーである(Chen et al.,2015e)。PHBは、薬剤耐性がん細胞、薬物作用、および疾病状態組織のプロテオミクス分析において同定された(Guo e al.,2013)。PHBは、多くのがん実体において過剰発現される(Zhou and Qin,2013)。肝細胞がんの主要危険因子である、C型肝炎ウイルスのコアタンパク質は、プロヒビチンを損なうことにより、酸化的ストレスの過剰生成を誘導する(Theiss and Sitaraman,2011;Schrier and Falk,2011;Koike,2014)。PHBは、神経膠腫において示差的に発現される(Deighton et al.,2010)。
【0216】
PKM2は、解糖に関与するタンパク質であるピルビン酸キナーゼ、筋肉をコードする。PKM2は甲状腺ホルモンと相互作用し、したがって甲状腺ホルモンによって誘導される細胞代謝効果を媒介してもよい。それはまた、細菌病原性にも関与すると考えられる(RefSeq,2002;Israelsen and VanderHeiden,2015)。PKM2は、がん細胞増殖および腫瘍増殖に重要であることが示された(Chen et al.,2014b;Li et al.,2014c;DeLaBarre et al.,2014)。N-mycは、髄芽細胞腫においてPKM2の転写調節因子の役割を果たす(Tech et al.,2015)。PKM2は、肝臓がん発生、上皮間葉転換、および血管新生において役割を果たすようである(Nakao et al.,2014)。PKM2は、ワールブルク効果の2つの重要な因子の1つである(Tamada et al.,2012;Warner et al.,2014;Ng et al.,2015)。PKM2の発現は、がん細胞において上方制御される(Chaneton and Gottlieb,2012; Luo and Semenza,2012;Wu and Le,2013)。悪性細胞では、PKM2は、転写共活性化因子として、およびプロテインキナーゼとして、解糖において機能する。後者の機能において、それは核に移行し、ヒストン3をリン酸化して、それは最終的に膠芽細胞腫において細胞周期の進行を引き起こす(Semenza,2011;Luo and Semenza,2012;Tamada et al.,2012;Venneti and Thompson,2013;Yang and Lu,2013;Gupta et al.,2014;Iqbal et al.,2014;Chen et al.,2014b;Warner et al.,2014)。低活性二量体PKM2は、活性四量体形態の代わりに、がんにおいて役割を果たすかもしれない(Mazurek,2011;Wong et al.,2015;Iqbal et al.,2014;Mazurek,2007)。
【0217】
PKP3は、デスモソームおよび核に局在してカドヘリンを細胞骨格内の中間径フィラメントに連結するのに関与する、アームリピートおよびプラコフィリンファミリーのメンバーであるプラコフィリン3をコードする。PKP3は、細胞のデスモソーム依存性接着およびシグナル伝達経路において機能してもよい(RefSeq,2002)。PKP3 mRNAの増加は、バイオマーカーおよび疾患転帰の予測因子として使用され得る(Valladares-Ayerbes et al.,2010)。PKP3の過剰発現が、乳がん、肺がん、および前立腺がんにおける転帰不良と相関した一方で、膀胱がんにおける下方制御は、浸潤性挙動に関連している(Furukawa et al.,2005;Breuninger et al.,2010;Demirag et al.,2012;Takahashi et al.,2012)。PKP3の喪失は、細胞遊走および腫瘍形成に必要なMMP7およびPRL3のタンパク質レベルの増大をもたらす(Khapare et al.,2012;Basu et al.,2015b)。
【0218】
PLECは、細胞骨格および接着複合体の架橋および組織化に関与するタンパク質である、プラキンファミリーのメンバー、プレクチンをコードする(Bouameur et al.,2014)。PLECは、結腸直腸腺がん、頭頸部扁平上皮がん、および膵臓がんにおいて過剰発現される(Lee et al.,2004;Katada et al.,2012;Bausch et al.,2011)。
【0219】
PLXNA2は、セマフォリン共受容体であるプレキシンA2をコードする。PLXNA2は、セマフォリン3Aおよび3Cからシグナルを伝達すると考えられる(RefSeq,2002)。KIAA1199はPLXNA2に結合し、EGFR安定化およびシグナル伝達を通じて、セマフォリン3A媒介細胞死の阻害をもたらす(Shostak et al.,2014)。PLXNA2は、TMPRSS2-ERG陽性前立腺がんおよび転移性前立腺がんにおいて上方制御され、細胞の遊走および浸潤の亢進をもたらす(Tian et al.,2014)。PLXNA2は、より侵襲性の乳がんにおいてより高い発現レベルを有して、腫瘍形成に関連している(Gabrovska et al.,2011)。
【0220】
POLA2は、触媒サブユニットAとプライマーゼ複合体とをつなぎ合わせることによって、DNA複製の開始において重要な役割を果たすDNAポリメラーゼα(70/68kDaまたはBサブユニットとも呼ばれる)のアクセサリーサブユニットをコードする(Collins et al.,1993;Pollok et al.,2003)。POLA2は、消化管間質腫瘍および非小細胞肺がんをはじめとする、異なるがん型において脱調節される(Mah et al.,2014;Kang et al.,2015)。S期中に、POLA2はテロメアに付着する。それはテロメラーゼ活性に関連し、フィルイン合成を通じた適切なテロメアオーバーハングプロセッシングに重要である(Diotti et al.,2015)。
【0221】
PPM1Gは、タンパク質ホスファターゼ、Mg2+/Mn2+依存性、1Gをコードする。このタンパク質は、機能性スプライセオソームの形成に重要なプレmRNAスプライシング因子の脱リン酸化に関与することが判明している(RefSeq,2002)。PPM1Gは、細胞p73およびDeltaNp73を示差的に調節するE3リガーゼWWP2を調節する(Chaudhary and Maddika,2014)。PPM1Gは、様々な実体においてユニークに過剰発現される、p53のアポトーシス刺激タンパク質に結合できる(Skene-Arnold et al.,2013)。PPM1Gは、脱リン酸化によってUSP7Sを下方制御し、p53蓄積をもたらす(Khoronenkova et al.,2012)。
【0222】
PPP1R15Bは、タンパク質ホスファターゼ-1(PP1)結合タンパク質をコードする。PPP1R15Bは、PP1触媒性サブユニットの動員を通じて、転写開始因子EIF2-αの脱リン酸化を促進する(RefSeq,2002)。PPP1R15Bの下方制御は、細胞周期のG1からS期への移行不全、カスパーゼ3/7の活性増大によるアポトーシス誘導、およびERα活性の調節に起因する、増殖障害をもたらす(Shahmoradgoli et al.,2013)。
【0223】
PPYは、ランゲルハンスの膵島において95アミノ酸ポリペプチド前駆体として合成されるタンパク質をコードする。それは、36アミノ酸の活性ホルモン、および機能不明のイコサペプチドの2つのペプチド産物に切断される。ホルモンは、膵臓および胃腸機能の調節因子の役割を果たし、食物摂取量の調節において重要であってもよい(RefSeq,2002)。膵臓がんに続発する糖尿病(diabetes melitus)を有する患者は,II型糖尿病(diabetes melitus)を有する患者と比較して、混合食に対する鈍いPPY応答を有する。しかし、鈍いPPY応答は、膵臓頭部に腫瘍を有する膵臓がん患者においてのみ観察される(Hart et al.,2015)。
【0224】
PRKDCは、DNA依存性タンパク質キナーゼ(DNA-PK)の触媒サブユニットをコードする(RefSeq,2002)。PRKDCは、子宮内膜症関連卵巣がんおよび乳がんにおいて、頻繁に変異する遺伝子である(Er et al.,2016;Wheler et al.,2015)。PRKDCは、結腸直腸がん中の正常組織と比較して、がん組織において上方制御される。高いPRKDC発現を有する患者は、低い全生を示す(Sun et al.,2016b)。
【0225】
PSEN1は、アルツハイマー病に関連しているプレセニリン1をコードする。それは、Notch活性化に必要なγセクレターゼ複合体の一部である(RefSeq,2002;Ponnurangam et al.,2015)。低分子干渉RNAによるPSEN1の過剰発現は、化学療法抵抗性膀胱がん細胞を薬物誘発細胞死に感作させる(Deng et al.,2015a)。PSEN1は、E-カドヘリンを下方制御することによって、上皮間葉転換および化学療法抵抗性において重要な役割を果たす(Sehrawat et al.,2014;Dinicola et al.,2016)。TRAF6媒介性PSEN1活性化は、腫瘍浸潤性の促進をもたらす(Gudey et al.,2014;Sundar et al.,2015)。γ-セクレターゼ複合体の下方制御された発現は、乳がん特異的死亡のリスク因子であると考えられる(Peltonen et al.,2013)。PSEN1は、脱調節されたNotch1によって引き起こされるT細胞急性リンパ芽球性白血病において、示差的に発現される(Paryan et al.,2013)。PSEN1は、口腔扁平上皮がん細胞株、および原発性口腔ケラチノサイトから単離された口腔扁平上皮がん組織において、過剰発現される。PSEN1の過剰発現は、P-カドヘリンに影響を及ぼすことによって、口腔扁平上皮がんにおける細胞接着低下をもたらす(Bauer et al.,2013)。内在性カンナビノイドであるアナンドアミドは、胆管細胞がんにおけるPSEN1の発現および動員を増加させる(Frampton et al.,2010)。p53は、PSEN1発現を調節できる(Checler et al.,2010)。PSEN1は、腫瘍復帰変異に関与する(Telerman and Amson,2009)。
【0226】
PSEN2は、アルツハイマー病に関連しているプレセニリン2をコードする。それは、Notch活性化に必要なγセクレターゼ複合体の一部である(RefSeq,2002)。酸化ストレスおよびp53発現レベルは、変異型PSEN2遺伝子を保有するPC12細胞において増大する(Nguyen et al.,2007)。PSEN2は、乳がんにおける有用な予後因子である。新規PSEN2対立遺伝子R62HおよびR71WはPSEN2機能に影響を及ぼし、乳がんに対する易罹患性の中程度のリスクを潜在的に与えてもよい(To et al.,2006;Xu et al.,2006)。PSEN2は、卵巣がんにおける、全生存期間ではなく、無再発性生存期間に関連している、10遺伝子シグネチャーセットの一員である(Chen and Liu,2015)。PSEN2の喪失は、iPLA2を上方制御することによって、肺腫瘍の発生を引き起こしてもよい(Yun et al.,2014)。γ-セクレターゼ複合体の下方制御された発現は、乳がん特異的死亡のリスク因子であると考えられる(Peltonen et al.,2013)。PSEN2は、巨核球白血病および胃がんにおいて示差的に発現される。PSEN2の発現は、腫瘍型、UICC腫瘍病期、腫瘍悪性度、および患者生存と相関する(Warneke et al.,2013;Hao et al.,2006)。PSEN2のプロモーターは神経膠腫組織脱においてメチル化され、PSEN2過剰発現を引き起こす(Liu et al.,2012)。2-アラキドニルグリセロールは、胆管がんにおけるPSEN2の発現および動員を増加させる(Frampton et al.,2010)。PSEN2は、EpCを切断することによって、ラット膵臓がんにおいて腫瘍細胞増殖を引き起こす(Maetzel et al.,2009;Thuma and Zoller,2013)。
【0227】
PTGS1(Cox1としてもまた知られている)は、プロスタグランジン-エンドペルオキシドシンターゼ1(プロスタグランジンG/Hシンターゼおよびシクロオキシゲナーゼ)をコードする。PTGS1は構成的に発現されて、アラキノデートのプロスタグランジンへの変換を触媒する。コードされたタンパク質は、内皮細胞における血管新生を調節し、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬によって阻害される。シクロオキシゲナーゼおよびペルオキシダーゼの双方として機能するその能力に基づいて、PTGS1は二職兼業タンパク質として同定されている。タンパク質は、腫瘍進行中に細胞増殖を促進してもよい(RefSeq,2002;Tietz et al.,2013)。PTGS1は、腫瘍形成に関与してもよい(Rouzer and Marnett,2009)。腫瘍増殖の亢進は、プロスタグランジンおよびVEGF産生において役割を果たす、PTGS1の上方制御によって維持される(Campione et al.,2015)。PTGS1は、再発性小唾液腺がんの生存率低下に関連している(Haymerle et al.,2015)。PTGS1は、乳がんの発生に関連している(Basu et al.,2015a;Serra et al.,2016)。PTGS1は、がんの進行において頻繁に脱調節される(Karnezis et al.,2012)。PTGS1の欠損は、基底細胞がんの強力な減少をもたらす(Arbiser,2010)。アスピリンは、結腸直腸がん、頭頸部がん、胃腸がん、および膵臓がんをはじめとする、炎症およびがんの発生に関与すると考えられる、PTGS1誘導性血小板活性化を阻害する(Pereira et al.,2009;Perrone et al.,2010;Schror,2011;Garcia Rodriguez et al.,2013;Bruno et al.,2012;Yue et al.,2014;Sostres et al.,2014;Schror and Rauch,2013;Guillem-Llobat et al.,2014;Patrignani and Patrono,2015;Patrono,2015;Dovizio et al.,2015;Jimenez et al.,2007;Klass and Shin,2007)。
【0228】
PTGS2(COX-2とも称される)は、ジオキシゲナーゼおよびペルオキシダーゼの役割を果たす、プロスタグランジン生合成における重要な酵素である、プロスタグランジン-エンドペルオキシドシンターゼ2(シクロオキシゲナーゼ)をコードする。(RefSeq,2002)。PTGS2およびプロスタグランジンの発現は、乳がん、肺がん、胃がん、膵臓がん、結腸直腸がん、および前立腺腫瘍をはじめとする、様々ながん型に関連している。発現レベルはまた、転移をはじめとする腫瘍侵襲性にも正比例する(Shao et al.,2012;Kunzmann et al.,2013;Misra and Sharma,2014;Aziz and Qiu,2014;Thill et al.,2014;Knab et al.,2014;Huang and Huang,2014;Wang et al.,2014c)。PTGS2に対する活性を有する抗炎症剤は、がんの化学的予防の強力な可能性を有する(Harris,2009;Ghosh et al.,2010)。
【0229】
PTPN14は、哺乳動物のリンパ発生を調節するようである、タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体タイプ14をコードする。機能喪失型変異が、リンパ浮腫-後鼻孔閉鎖症を有する家系において見いだされている(RefSeq,2002)。PTPN14は、TGF-βシグナル伝達を誘導し、内皮-間葉系転換、および器官形成を調節する(Wyatt and Khew-Goodall,2008)。PTPN14は、胆管がんにおいて下方制御され、臨床病理学的特徴および生存率と逆相関する(Wang et al.,2015d;Wang et al.,2015c)。PTPN14は、可溶性および膜結合タンパク質の輸送を阻害して、転移の予防をもたらす(Belle et al.,2015)。PTPN14は、臓器のサイズおよび腫瘍形成に関与するHippo経路の重要なタンパク質であるがんタンパク質、Y関連タンパク質(YAP)を負に調節する(Liu et al.,2013b;Huang et al.,2013a;Lin et al.,2013a)。PTPN14における機能喪失型変異は、神経芽細胞腫再発、乳がん、および結腸直腸がんに関与する(Laczmanska and Sasiadek,2011;Wang et al.,2004;Schramm et al.,2015;Wyatt and Khew-Goodall,2008)。
【0230】
RABGGTBは、Rab GTPアーゼの翻訳後ゲラニルゲラニル化を触媒する、Rabゲラニルゲラニルトランスフェラーゼのβサブユニットである(Pylypenko et al.,2003)。RABGGTBは、化学療法難治性びまん性大細胞リンパ腫で過剰発現される(Linderoth et al.,2008)。
【0231】
RAC1は、小型GTP結合タンパク質のRASスーパーファミリーに属するGTPアーゼである、ras関連C3ボツリヌス毒素基質1(rhoファミリー、小型GTP結合タンパク質Rac1)をコードする。このスーパーファミリーのメンバーは、細胞増殖の抑制、細胞骨格再構成、およびタンパク質キナーゼの活性化をはじめとする、多様な一連の細胞事象を調節するようである(RefSeq,2002)。RAC1は、神経堤の発達にとって重要であり、メラノーマ形成を予防し得る(Shakhova,2014)。RAC1は、肝細胞増殖因子およびMetチロシンキナーゼ受容体によって活性化され得て、内皮細胞の増殖および遊走がもたらされる(Barrow-McGee and Kermorgant,2014;Gallo et al.,2015)。RAC1は、カポジ肉腫のウイルス発がんにおいてROSを誘導する(Mesri et al.,2013)。RAC1は、メラノーマの開始と、乳がんおよび頭頸部がんにおける進行とに関与する(Alan and Lundquist,2013;Imianitov,2013;Meierjohann,2014)。Tiam1は、RAC1を調節でき、それは次に、細胞骨格活性、細胞極性、エンドサイトーシスおよび膜輸送、細胞遊走、接着および浸潤、細胞の増殖および生存、転移、血管新生、および発がんに関与するシグナル伝達経路を調節する(Bid et al.,2013;Boissier and Huynh-Do,2014)。RAC1は、発がん遺伝子であると考えられる(Kunz,2013;Kunz,2014)。RAC1の変異は、悪性形質転換をはじめとする多様な疾患を引き起こし得る(Read,2013;Chi et al.,2013)。Rac1の活性化は、アクチンストレス繊維、膜ラッフル、葉状仮足、および糸状仮足の形成をもたらす(Klopocka et al.,2013;van and van Buul,2012;Lane et al.,2014)。RAC1は、アストロサイト腫瘍では下方制御されるが、髄芽細胞腫腫瘍では過剰発現される(Khalil and El-Sibai,2012)。
【0232】
RAC3は、小型GTP結合タンパク質のRASスーパーファミリーに属するGTPアーゼである、ras関連C3ボツリヌス毒素基質3(rhoファミリー、小型GTP結合タンパク質Rac3)をコードする。このスーパーファミリーのメンバーは、細胞増殖抑制、細胞骨格再構成、およびタンパク質キナーゼ活性化をはじめとする、多様な一連の細胞事象を調節するようである(RefSeq,2002)。RAC3の過剰発現は、子宮内膜がんにおける予後不良に関連している(Balmer et al.,2006)。RAC3は、子宮頸がんにおいて腫瘍抑制因子の役割を果たすARHGAP6を標的とする(Li et al.,2015b)。RAC3は、細胞骨格構成、細胞遊走、および浸潤に関与している(Liu et al.,2015c)。RAC3は、白血病および非小細胞肺がんにおいて示差的に発現され、腫瘍増殖に関与する(Tan and Chen,2014;Liu et al.,2015c;Koldehoff et al.,2008)。RAC3は、食道がんにおいて、E-カドヘリンのTGF-β誘導下方制御に関与する(Dong et al.,2014;Xu et al.,2007)。Rac3は、乳がん細胞の侵襲性を引き起こす、Rac3/ERK-2/NF-κBシグナル伝達経路を誘導する。内因性Rac活性は、乳がん細胞における高い転移能と相関する(Gest et al.,2013;Baugher et al.,2005)。RAC3は、白血病、前立腺がん、および乳がんをはじめとするいくつかのがんにおいて上方制御される(Fernandez Larrosa et al.,2012;Liu et al.,2015c;Culig and Bartsch,2006;Calaf and Roy,2007;Engers et al.,2007;Colo et al.,2007a;Colo et al.,2007b)。RAC3は、サイクリンD1発現を調節するNF-κB活性化補助因子である(Rubio et al.,2012;Colo et al.,2007b)。ERα陽性乳がんにおけるRAC3の過剰発現は、細胞遊走の亢進をもたらす(Walker et al.,2011;Rubio et al.,2006)。
【0233】
RAD54は、DEAD様ヘリカーゼスーパーファミリーに属するタンパク質をコードする。それは、そのどちらもがDNAの相同組換えおよび修復に関与する、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)RAD54およびRDH54との類似性を共有する。このタンパク質は二本鎖DNAに結合し、DNA存在下ではATPアーゼ活性を示す。この遺伝子は、精巣および脾臓で高度に発現され、それは減数分裂および有糸分裂組換えにおける積極的役割を示唆する(RefSeq,2002)。RAD54Bのホモ接合型変異体は、原発性リンパ腫および結腸がんで観察された(Hiramoto et al.,1999)。RAD54Bは、ヒト腫瘍細胞において、dsDNAに対するRAD51の直接結合のゲノム不安定化効果を抑制する(Mason et al.,2015)。
【0234】
RAI14(NORPEGとも称される)は、レチノイン酸誘導14をコードする。この遺伝子は、網膜色素上皮細胞において検出され、そこでそれは、遍在的にヒト組織において発現される全トランスレチノイン酸によって誘導され、ヒト精巣発生および精子形成において役割を果たしてもよい(Kutty et al.,2001;Yuan et al.,2005)。RAI14は、胃がんにおいて脱調節され、細胞増殖に関連している。これは、肺がん患者および乳がん患者の無再発性生存の予後マーカーである(Zhou et al.,2015a;Hsu et al.,2013)。
【0235】
RBM19は、6つのRNA結合モチーフを含有してリボソーム生合成に関与してもよい、核小体タンパク質をコードする(RefSeq,2002)。RBM19は、ヒト結腸直腸がんにおいて広く発現される(Lorenzen et al.,2005)。RBM19の変異不活性化は、マウスにおいてp53活性の上昇およびアポトーシスの増加をもたらす(Zhang et al.,2008;Deisenroth and Zhang,2010)。
【0236】
RPF1(BXDC5とも称される)は、σ(70)様モチーフを含有してリボソーム生合成に必要とされる、核小体RNA結合タンパク質をコードする(Wehner and Baserga,2002)。RPL13Aは、60Sリボソームサブユニットの構成要素である、リボソームタンパク質のL13Pファミリーのメンバーをコードする。コードされたタンパク質はまた、IFN-γ活性化翻訳阻害因子(GAIT)複合体の構成要素として、炎症性遺伝子の抑制において役割を果たす(RefSeq,2002)。RPL13Aは、前立腺がん、肝臓がんん、および結腸直腸がんをはじめとする、異なるがん型において脱調節される(Kasai et al.,2003;Ohl et al.,2005;Yoon et al.,2006)。RPL13Aの枯渇は、p27、p53、およびSNAT2 mRNAに由来するIRES因子によって媒介される、リボソームRNAのメチル化およびキャップ非依存性翻訳の有意な低下を引き起こす(Chaudhuri et al.,2007)。RPL13AP20は、染色体12p13.1上に位置する、リボソームタンパク質L13a偽遺伝子をコードする。(Balasubramanian et al.,2009)。
【0237】
RPL13AP5は、染色体10q24.1上に位置する、リボソームタンパク質L13a偽遺伝子をコードする(Balasubramanian et al.,2009)。
【0238】
RPL34は、60Sサブユニットの構成要素である、リボソームタンパク質L34をコードする。この遺伝子の過剰発現は、いくつかのがん細胞において観察されている(RefSeq,2002)。RPL34の過剰発現は、非小細胞肺がんにおける悪性増殖の促進をもたらす(Yang et al.,2016)。RPL34は、ヒト悪性胃細胞の細胞増殖、細胞周期分布、およびアポトーシスにおいて重要な役割を果たす(Liu et al.,2015a)。
【0239】
RPTOR(RAPTORとしてもまた知られている)は、mTOR、複合体1の調節関連タンパク質をコードする。このタンパク質は、栄養素およびインスリンレベルに応えて細胞増殖を調節する、シグナル伝達経路の区画である。このタンパク質は、下流エフェクターリボソームタンパク質S6キナーゼを正に調節し、mTORキナーゼを負に調節する(RefSeq,2002)。結節硬化症複合体1または2のどちらかの不在下では、mTOR-RPTORシグナル伝達は構成的に活性化されて、タンパク質合成および細胞増殖の亢進および脱調節をもたらす(Avruch et al.,2005;Kwiatkowski and Manning,2005)。mTORは、主にRPTORとの直接的相互作用を通じて、細胞増殖および生存を正に調節する(Sun,2013)。mTORとの複合体形成時に、RPTORはキャップ依存性翻訳を制御し、この機能はPI3K開始性発がんに必須である(Vogt et al.,2010)。ラパログは、主にmTOR-RPTOR複合体1(mTORC1、ラパマイシン感受性)を阻害し、乳がん治療に使用される薬剤である(Wysocki,2009;De et al.,2013;Vinayak and Carlson,2013;Le et al.,2008)。
【0240】
SEC24Dは、SEC24ホモログD、COPII被覆複合体成分をコードする。SEC24Dは、COPIIの酵母Sec24p成分との類似性を有する。COPIIは、ERからの小胞の出芽に関与するコートタンパク質複合体である。この遺伝子産物は、小胞の形成、そしてカーゴの選択および濃縮にもまた関与するとされる。この遺伝子の変異は、骨形成に影響を及ぼして頭蓋顔面奇形および易骨折性をもたらす障害である、Cole-Carpenter症候群に関連付けられている(RefSeq,2002)。ヒト前立腺がん細胞株LNCaP SEC24Dの誘導比は、ヒト前立腺がん細胞株LNCaPにおいて亢進される(DePrimo et al.,2002;Zhao et al.,2004)。SEC24Dは、Aktによってリン酸化され得る(Sharpe et al.,2011)。
【0241】
SEPT10は、フィラメント形成細胞骨格GTPアーゼのセプチンファミリーのメンバーをコードする。それは細胞質および核に局在し、GTP結合およびGTPアーゼ活性を示す(RefSeq,2002)。SEPT10は、膀胱がん、乳がん、肝臓がん、肺がん、膵臓がん、および前立腺がん、ならびにメラノーマおよび白血病をはじめとする、異なるがん型において下方制御される。それは、生存の予後不良に関連している(Kienle et al.,2010;Liu et al.,2010b)。
【0242】
SEPT11は、細胞質分裂および小胞輸送をはじめとする多様な細胞機能に関与する、フィラメント形成細胞骨格GTPアーゼの保存されたセプチンファミリーのメンバーをコードする(RefSeq,2002)。SEPT11は、脳がん、子宮頸部がん、膵臓がん、および前立腺がん、メラノーマおよび白血病をはじめとする、異なるがん実体において過剰発現される(Liu et al.,2010b)。SEPT11のヘテロ接合性の喪失(LOH)は、肝細胞がんにおける予後不良に関連している。MLLとの融合転写物が、骨髄性新生物において同定されている。(Huang et al.,2010;Cerveira et al.,2011)。
【0243】
SEPT8は、高度に保存されて細胞骨格構成および細胞質分裂の調節において役割を果たす、ヌクレオチド結合タンパク質のセプチンファミリーのメンバーをコードする。(RefSeq,2002)。SEPT8は、膀胱がん、肝臓がん、膵臓がん、および肺がんならびに白血病をはじめとする、異なるがん型において上方制御される(Liu et al.,2010b)。
【0244】
SERPINB2(PAI2としてもまた知られている)は、セルピンペプチダーゼインヒビター、分岐群B(卵白アルブミン)、メンバー2をコードして、染色体18q21.3に位置する。それは、遺伝子発現、細胞増殖および分化、およびアポトーシスに影響を及ぼす、非従来的なセリンプロテアーゼ阻害剤(SERPIN)である(RefSeq,2002;Medcalf and Stasinopoulos,2005)。SERPINB2は、細胞外プロテアーゼウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーターおよび組織プラスミノーゲンアクチベーターのインヒビターである、セルピンペプチダーゼインヒビター、分岐群B(卵白アルブミン)、メンバー2をコードする(Schroder et al.,2014)。SERPINB2は、いくつかの異なる腫瘍において発現される。SERPINB2の発現は、乳がんおよび膵臓がんにおける良好な予後に関連しているが、子宮内膜がん、卵巣がん、および結腸直腸がんにおいては予後不良に関連している(Schroder et al.,2014)。SERPINB2は、浸潤および転移関連遺伝子である(Pucci et al.,2016)。SERPINB2は、プラスミノーゲンのプラスミンへの変換を引き起こす、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)を調節する。プラスミンは細胞外マトリックス(ECM)を分解することができ、これは腫瘍進行の重要な過程である(Gershtein and Kushlinskii,1999;Ulisse et al.,2009;Berger,2002;Baldini et al.,2012;Mekkawy et al.,2014;Andreasen et al.,2000)。ECMの分解は、腫瘍の進行、腫瘍の腫大、腫瘍増殖因子の放出、サイトカインの活性化、腫瘍細胞の増殖、遊走、および浸潤をもたらす(Hildenbrand et al.,2010;Magdolen et al.,2003;Halamkova et al.,2012;Duffy,2004;Mekkawy et al.,2014;Dass et al.,2008)。多くの腫瘍は、uPA系の構成要素と、腫瘍侵襲性および生存との間に相関を示す(Mekkawy et al.,2014;Duffy and Duggan,2004;Han et al.,2005)。高レベルのSERPINB2は、腫瘍増殖および転移を減少させる(Croucher et al.,2008)。
【0245】
SH3BP4は、クラスリン媒介エンドサイトーシスのカーゴ特異的調節に関与するSH3ドメイン結合タンパク質4をコードし、特異的タンパク質受容体の内部移行を特異的に調節する(RefSeq,2002)。SH3BP4の発現は、網膜芽腫細胞株Y79において7倍増加した(Khanobdee et al.,2004)。SH3BP4枯渇細胞における線維芽細胞増殖因子受容体10刺激は、乳がん細胞における細胞遊走低下およびマウス肺外植片における上皮分枝の阻害を引き起こす(Francavilla et al.,2013)。
【0246】
SHCBP1は、タンパク質をコードし、それはヒトセントラルスピンドリンと結合し、中心体組織化および細胞質分裂完了に関与する重要な因子の1つである。(Asano et al.,2014)。SHCBP1は、ヒト肝細胞がんにおいて上方制御される。SHCBP1を標的とすることは、ヒト肝細胞がん細胞株における細胞増殖を阻害する(Tao et al.,2013)。随伴性ゲノム変化を有する16の遺伝子の中で、SHCBP1は、腫瘍形成に、および前浸潤性乳管がんから浸潤性乳管がんへの浸潤および進行過程に、関与してもよい(Colak et al.,2013)。
【0247】
SIGMAR1(OPRS1またはSIG-1Rとも称される)は、コカインおよびアンフェタミンをはじめとする、多様な精神異常発現薬物と相互作用するσ非オピオイド細胞内受容体をコードする。この遺伝子の変異は、若年性筋萎縮性側索硬化に関連している(RefSeq,2002)。SIGMAR1は、腫瘍細胞株、および肺がん、結腸がん、皮膚がん、および乳がんをはじめとする、様々ながん組織の腫瘍において過剰発現される。SIGMAR1の過剰発現は、細胞増殖に関連している(Vilner et al.,1995;Aydar et al.,2004;Aydar et al.,2006;Bem et al.,1991;Skrzycki and Czeczot,2013)。SIGMAR1は、hERG/bet1インテグリンシグナル伝達を促進し、PI3K/Akt経路の活性化を引き起こし、p70S6K、S6、および4E-BP1のような翻訳調節タンパク質のリン酸化を誘導する。SIGMAR1は、運動性およびVEGF分泌を増加させ、したがって腫瘍細胞の侵襲性を高める(Crottes et al.,2016;Kim et al.,2012a)。
【0248】
SLC16A3は、プロトン結合モノカルボン酸輸送体である、溶質輸送体ファミリー16メンバー3をコードする。(RefSeq,2002)。ほとんどの固形腫瘍は、エネルギー産生を解糖に依存していることが知られている。高速の解糖は、臨床転帰不良、および腫瘍の成長および進行への直接的寄与に関連付けられている、乳酸産生の増加をもたらす。SLC16A3は、がん細胞において乳酸の搬入を促進する、少数のモノカルボン酸輸送体の1つである(Dhup et al.,2012;Draoui and Feron,2011)。SLC16A3の発現は、肝細胞がん患者における予後不良に関連付けられており、細胞株実験において、細胞増殖、遊走、および浸潤を増加させた(Gao et al.,2015)。腫瘍形成におけるSLC16A3の機能的関与が、膵臓がんのサブセットにおいて示された(Baek et al.,2014)。
【0249】
SLC1A4(ASCT1としてもまた知られている)は、染色体2p15-p13上に位置する、溶質輸送体ファミリー(グルタミン酸/中性アミノ酸輸送体)、メンバー4をコードする(RefSeq,2002)。肝細胞がん細胞株C3Aは、システイン枯渇後におけるSLC1A4発現を増強する(Lee et al.,2008b)。SLC1A4は、食道腺がんにおけるアミノ酸の動員係の役割を果たす(Younes et al.,2000)。ASCT2のノックダウンは、ヒト肝腫瘍細胞におけるSLC1A4mRNAレベルを高める(Fuchs et al.,2004)。v-myc骨髄球腫症ウイルス発がん遺伝子ホモログ遺伝子の活性化は、ヒト神経膠腫細胞株Hs683におけるSLC1A4の上方制御をもたらす(Jiang et al.,2012)。グルタミン枯渇は、神経芽腫におけるSLC1A4の上方制御を引き起こさない(Wasa et al.,2002)。
【0250】
SLC1A5(ASCT2としてもまた知られている)は、RD114/D型レトロウイルスの受容体として作用し得るナトリウム依存性中性アミノ酸輸送体である、溶質輸送体ファミリー(グルタミン酸/中性アミノ酸輸送体)、メンバー5をコードする(RefSeq,2002)。c-Mycの活性化は、SLC1A5発現を増加させる(Perez-Escuredo et al.,2016)。SLC1A5の過剰発現は、明細胞腎細胞がんにおける予後不良に関連している(Liu et al.,2015d)。CD147の高度発現は、膵臓がんを有する患者におけるSLC1A5と有意に関連している(Kaira et al.,2015)。SLC1A5は、非小細胞肺がんのバイオマーカーであるかもしれない(Hassanein et al.,2015;Hassanein et al.,2016)。ユビキチンリガーゼRNF5は、乳がんにおいてSLC1A5を調節する(Jeon et al.,2015)。SLC1A5は、進行した喉頭がん、前立腺がん、および腺様嚢胞がんをはじめとする、いくつかのがん実体において過剰発現される(Koo and Yoon,2015;Wang et al.,2015f;Bhutia et al.,2015;Nikkuni et al.,2015;Ganapathy et al.,2009)。乳がんにおけるSLC1A5の阻害は、グルタミン取り込みおよび増殖の減少をもたらす(Chen et al.,2015d;van et al.,2015)。SLC1A5は、mTORを調節することによって腫瘍増殖を刺激してもよい(Nakanishi and Tamai,2011;Fuchs and Bode,2005;Corbet et al.,2016;McGivan and Bungard,2007)。
【0251】
SLC26A6は、アニオン輸送タンパク質からなる溶質輸送体ファミリー26のメンバーをコードする。SLC26A6は、塩化物、シュウ酸塩、硫酸塩、および炭酸水素塩イオンの輸送に関与する(RefSeq,2002)。SLC26A6の変異が、異なる結腸直腸がん細胞株において同定されている(Donnard et al.,2014)。SLC26A6遺伝子発現およびプロモーター活性は、IFN-γによって阻害される(Saksena et al.,2010)。
【0252】
SLC52A3(RFT2またはC20orf54とも称される)は、溶質輸送体ファミリー52のメンバーをコードする。これは、リボフラビンの腸管吸収において役割を果たす可能性が高い、リボフラビン輸送体タンパク質である(RefSeq,2002)。SLC52A3は、胃がん、食道扁平上皮がん、および子宮頸がんをはじめとする、異なるがん実体において脱調節される。SLC52A3の一塩基多型は、食道扁平上皮がんおよび胃噴門腺がんにおけるがんリスクと相関する(Jiang et al.,2014b;Duan et al.,2015;Matnuri et al.,2015;Eli et al.,2012;Aili et al.,2013)。SLC52A3のノックダウンは、p21およびp27タンパク質レベルを増大させ、その下流標的であるサイクリンE1およびCdk2を減少させ、G1-G1/S期における細胞周期停止を導く。SLC52A3のノックダウンはまた、カスパーゼ-3およびアポトーシスの活性化をもたらす(Jiang et al.,2014b)。
【0253】
SLC6A15は、中性アミノ酸を輸送する溶質輸送体ファミリー6のメンバーをコードする。SLC6A15は、神経細胞のアミノ酸輸送において役割を果たすかもしれず、大うつ病に関連するかもしれない(RefSeq,2002)。SLC6A15は、過剰メチル化され、それによって結腸直腸がんにおいて下方制御され、大便に基づくアッセイのための候補バイオマーカーでであってもよい(Kim et al.,2011b;Mitchell et al.,2014)。
【0254】
SMIM10(CXorf69またはLOC644538とも称される)は、染色体Xq26.3上に位置する、小型内在性膜タンパク質をコードする。(RefSeq,2002)。
【0255】
SNX14はソーティングネキシンファミリーのメンバーをコードし、Gタンパク質シグナル伝達(RGS)ドメインのレギュレーターを含有する(RefSeq,2002)。SNX14はマウス胚線維芽細胞のrasV12/E1A形質転換時に下方制御され、腫瘍発生に関連してもよい(Vasseur et al.,2005)。
【0256】
SSH1(SSH1Lとも称される)は、ホスファターゼのスリングホモログ(SSH)ファミリーのメンバーをコードする。SSHファミリーは、コフィリンタンパク質を再活性化することによって、アクチン動態において役割を果たすようである(RefSeq,2002)。SSH1は、膵臓がんにおいて過剰発現され、腫瘍細胞遊走に関連している(Wang et al.,2015k)。ニューレグリンによるPKD1の阻害は、SSH1のF-アクチンへの局在化、コフィリン活性の増大、およびアクチン細胞骨格再構成および細胞遊走の増加をもたらす。コフィリンのSSH1依存性活性化は、PI3K/Aktシグナル伝達経路によって誘導される(Wang et al.,2010;Doppler et al.,2013)。
【0257】
STAT2は、IFNによって誘発される転写活性化応答において、正の調節因子として機能する(Steen and Gamero,2012)。STAT2は、インターフェロンに対する腫瘍細胞応答を調節してもよい(Shodeinde et al.,2013)。STAT2と腫瘍形成間の関連性が、STAT2が欠如している(Yue et al.,2015)、または脳内でIFN-αを構成的に発現する(Wang et al.,2003)、遺伝子組換えマウスで観察された。
【0258】
SUPT16Hは、クロマチンにパッケージされたDNAの転写に必要な補助要素であるFACTのサブユニット(クロマチン転写を促進する)をコードする(RefSeq,2002)。SUPT16Hは、若年性鼻咽頭血管線維腫(JNA)の内皮および間質構成要素において脱調節され、それにより潜在的な分子マーカーとしての役割を果たし得る(Silveira et al.,2012)。SUPT16Hは、クロマチンの再構築によるDNA二本鎖切断修復に関与する。SUPT16Hは、CK2と複合体を形成することによりp53を活性化する(Keller et al.,2001;Kari et al.,2011)。
【0259】
SUSD1は、sushiドメイン含有タンパク質をコードして、静脈血栓塞栓症のリスク増大に関連している(Tang et al.,2013)。ヘテロ接合のSUSD1-ROD1/PTBP3融合転写物は、ヒト乳がん細胞株において発現される(Newman et al.,2013)。
【0260】
TAF6Lは、ヒストン様TATA-ボックス結合タンパク質関連因子6(TAF6)と構造的に類似する、タンパク質をコードする。これは、筋原性転写および分化に必要なPCAFヒストンアセチラーゼ複合体の構成要素である(RefSeq,2002)。miR-145およびmiR-196aの発現は、TAF6Lの発現と負に相関する(Havelange et al.,2011)。TAF6Lは、小細胞肺がん細胞株H187において、融合転写物TAF6L-GNG3を形成することによって不活性化される(Fernandez-Cuesta et al.,2015)。
【0261】
TEP1は、染色体末端への新たなテロメアの付加を触媒する、テロメラーゼ活性を担うリボ核タンパク質複合体構成要素である、テロメラーゼ関連タンパク質1をコードする(RefSeq,2002;Szaflarski et al.,2011)。TEP1は、主要ボールトタンパク質(MVP)が属するヴォールトの主要部分である(Lara et al.,2011;Mossink et al.,2003)。TEP1は、甲状腺がんにおいて発現される(Hoang-Vu et al.,2002)。
【0262】
TFPIは、血液凝固の組織因子(TF)依存性経路を調節するプロテアーゼインヒビターである、組織因子経路インヒビターをコードする(RefSeq,2002)。TFPIは、乳がん、結腸直腸がん、および膵臓がん細胞株において発現される(Kurer,2007)。TFPIは、乳がんにおいて、HIF1α、c-Myc、c-SRC、およびHDAC2を誘導する(Davies et al.,2014)。TFPI発現レベルは、非悪性病変と比較して、肉腫において低下する(Savitskaya et al.,2012)。TFPIは、転移に関与するTF-VIIa複合体のプロテアーゼ活性を阻害する(Fischer et al.,1999;Sandset and Abildgaard,1991;Lindahl et al.,1991)。
【0263】
TFPI2は、第VIIa因子/組織因子、Xa因子、プラスミン、トリプシン、キモトリプシン、および血漿カリクレインをはじめとする多様なセリンプロテアーゼを阻害し得る、組織因子経路インヒビター2をコードする。この遺伝子は、いくつかのがん型において腫瘍抑制遺伝子として同定されている(RefSeq,2002;Sierko et al.,2007)。TFPI2は、膵臓がんにおける再発予測のためのバイオマーカーとして使用されてもよい(Zhai et al.,2015c)。TFPI2のDNAメチル化は、糞便潜血検査において結腸直腸がんのバイオマーカーとして使用され得る(Koga et al.,2015)。TFPI2は、アポトーシスを誘導し、浸潤性、新生物の成長、転移、および血管新生を阻害する(Ghilardi et al.,2015;Amirkhosravi et al.,2007;Sierko et al.,2007)。TFPI2はがんにおいて過剰メチル化されて下方制御され、発現はがんの程度、早期の腫瘍再発、予後不良と相関する(Sun et al.,2016a;Sierko et al.,2007)。TFPI2は、膵臓がんおよび胆管細胞がんにおいて下方制御される(Chu et al.,2015;Zhai et al.,2015a;Zhai et al.,2015b)。TFPI2は、胃がん、イヌびまん性大細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、非小細胞肺がん、子宮頸がん、口腔扁平上皮がん、炎症関連結腸がん、および肝細胞がんにおいてメチル化される(Qu et al.,2013;Ferraresso et al.,2014;Liu et al.,2014b;Shao et al.,2014;Lai et al.,2014;Hamamoto et al.,2015;Li et al.,2015d;Gerecke et al.,2015;Dong et al.,2015;Sun et al.,2016a)。TFPI2は、がんにおける十分に確認されたDNAメチル化バイオマーカーである(Fukushige and Horii,2013;Huisman et al.,2015)。
【0264】
TGFBIは、I型、II、およびIVコラーゲンと結合するRGD含有タンパク質をコードし、それは細胞-コラーゲン相互作用において役割を果たして細胞接着阻害するように機能する、形質転換成長因子-βによって誘導される(RefSeq,2002)。TGFBIの発現は、胆管細胞がん、肝臓がん、胃がん、食道扁平上皮がん、および腎明細胞がんにおいて上昇することが示されたさらに、TGFBIは、結腸直腸がんに関連することが示された(Lebdai et al.,2015;Ozawa et al.,2014;Zhu et al.,2015a;Han et al.,2015)。
【0265】
TGIF2-C20orf24は、TGIF2およびC20orf24と配列同一性を共有する融合タンパク質をコードする(RefSeq,2002)。
【0266】
TMEM154は、膜貫通タンパク質をコードし、それはII型糖尿病のリスク上昇に関連し、β細胞機能において役割を果たすようである(Harder et al.,2015)。
【0267】
TRAM2は、移行関連膜タンパク質2をコードする。これは、小胞体(ER)膜における新生分泌タンパク質および膜タンパク質の翻訳後プロセシングを制御する、ゲートされた高分子のチャネルであるトランスロコンの構成要素である(RefSeq,2002)。Runx2は、TRAM2発現を調節してもよい(Pregizer et al.,2007)。TRAM2中のSNPは、ER陽性乳がん患者において骨折リスクを増大させ得る(Liu et al.,2014a)。
【0268】
TRPV2は、摂氏52度以上の温度で活性化されるイオンチャネルをコードする。それは、知覚神経節における高温熱応答の伝達に関与してもよい(RefSeq,2002)。TRPV2は、食道がん、前立腺がん、肝臓がん、および膀胱がん、および白血病をはじめとする、異なるがん型において脱調節される。TRPV2の喪失または変化は、制御されない増殖とアポトーシス刺激に対する抵抗性とをもたらす(Liberati et al.,2014a;Zhou et al.,2014;Liberati et al.,2014b;Liu et al.,2010a;Morelli et al.,2013)。神経膠腫細胞におけるTRPV2のサイレンシングは、Fasおよびプロカスパーゼ8の下方制御、ならびにサイクリンE1、CDK2 E2F1、およびBcl-2関連Xタンパク質の上方制御をもたらす。膀胱がん細胞におけるTRPV2過剰発現は、細胞の遊走および浸潤の亢進をもたらす(Nabissi et al.,2010;Liu and Wang,2013)。
【0269】
TSEN15は、tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼサブユニット15をコードする。このエンドヌクレアーゼは、tRNA前駆体からのイントロンの除去を触媒する(RefSeq,2002;Trotta et al.,2006)。TSEN15は、神経芽細胞腫の腫瘍抑制因子として機能する、miRNA-449aの標的である。TSEN15は、miRNA-449aの分化誘導機能の媒介において重要な役割を果たす(Zhao et al.,2015)。TSEN15は、ヒト胎児大腿骨由来細胞における細胞分化能に関連している(Mirmalek-Sani et al.,2009)。
【0270】
UBE2C(UBCH10とも称される)は、E2ユビキチン結合酵素ファミリーのメンバーをコードする。それは、また有糸分裂サイクリンの破壊および細胞周期の進行に必要である(RefSeq,2002)。乳がん、肺がん、および結腸直腸がんを有する患者において観察されるように、UBE2Cはしばしば遺伝子増幅によって上方制御される。UBE2Cの上方制御は、予後不良および腫瘍進行と相関する(Okamoto et al.,2003;Wagner et al.,2004;Fujita et al.,2009;Chen et al.,2010;Hao et al.,2012)。UBE2Cは、U251神経膠腫細胞において、および結腸直腸がん(CRC)患者由来の組織において上方制御される。UBE2Cのノックダウンは、Baxおよびp53の誘導、細胞周期のBcl-2およびG2/M停止の下方制御によって、アポトーシスを誘導する。UBE2C抑制は、CRCにおいてサイクリンBおよびERK1を脱調節する(Cacciola et al.,2015;Jiang et al.,2010)。
【0271】
UBIAD1(TERE1とも称される)は、コレステロールおよびリン脂質代謝に関与するかもしれない、UbiAプレニルトランスフェラーゼドメインを含むタンパク質をコードする(RefSeq,2002)。腫瘍抑制因子であるUBIAD1は、膀胱がん、前立腺がん、および腎臓がんをはじめとする、異なるがん実体において下方制御され、成長調節に関連している(McGarvey et al.,2001;Fredericks et al.,2011;McGarvey et al.,2003;Fredericks et al.,2013)。UBIAD1は、増殖因子関連p42/44MAPキナーゼのリン酸化を調節する。UBIAD1の適切なゴルジ体局在化は、アポトーシスをはじめとするその腫瘍抑制活性に影響を及ぼす(McGarvey et al.,2005;Wang et al.,2013d)。
【0272】
UBR1は、ユビキチンタンパク質リガーゼE3構成要素N-レコグニン1をコードする。それは、基質タンパク質の不安定化N末端残基に結合して、基質結合多ユビキチン鎖の形成に関与し、タンパク質をユビキチン系のタンパク分解経路に方向付ける(RefSeq,2002)。UBR1発現の喪失または減少は、特発性B細胞リンパ腫およびT細胞急性リンパ芽球性白血病に関連している(Chen et al.,2006)。UBR1は、アルキル化剤の発がん効果から細胞を保護するDNA修復酵素である、MGMTの恒常性を調節する(Leng et al.,2015)。
【0273】
UBR2は、不安定化N末端残基を有するタンパク質を、ポリユビキチン化およびプロテアソーム媒介分解に標的化する、末端規則タンパク質分解経路のE3ユビキチンリガーゼをコードする(RefSeq,2002)。UBR2に対する自己抗体が、自己免疫性膵臓炎および膵臓がんを有する患者の血清中に検出される(Frulloni et al.,2009)。UBR2は、腫瘍細胞誘発悪液質刺激によって、p38β/MAPKの活性化、C/EBP βリン酸化、およびUBR2プロモーターへの結合を通じて、アップレギュレートされる(Zhang et al.,2013b)。
【0274】
URB1は、60Sリボソームサブユニットの早期成熟中のリボソーム生合成に必要である(Rosado and delaCruz,2004)。
【0275】
USP11は、ユビキチン特異的ペプチダーゼ11をコードする。タンパク質ユビキチン化は、細胞周期の進行、転写活性化、およびシグナル伝達をはじめとする、多くの細胞内プロセスを制御する(RefSeq,2002)。USP11は、DNA損傷に応答したp53活性化に必要なp53の新規調節因子である(Ke et al.,2014a)。USP11は、前骨髄球性白血病および膵臓がんにおいて主要な役割を果たす(Burkhart et al.,2013;Wu et al.,2014)。
【0276】
USP22は、ユビキチン特異的ペプチダーゼ22をコードして、染色体17p11.2上に位置する(RefSeq,2002)。USP22の高度発現は、肝細胞がん、大腸がん、胃がん、上皮性卵巣がん、膵臓がん、神経膠腫、唾液腺様嚢胞がん、および乳頭状甲状腺がんにおいて観察された。(Wang et al.,2013b;Dai et al.,2014;Liang et al.,2014a;Liang et al.,2014b;Ji et al.,2015;He et al.,2015;Wang et al.,2015n;Tang et al.,2015)。USP22は、腫瘍進行を促進し、肺腺がんにおける上皮間葉転換を誘導する(Hu et al.,2015a)。USP22は、非小細胞肺がんにおいて、シクロオキシゲナーゼ2の安定性を調節することによって、発がん遺伝子の役割を果たす(Xiao et al.,2015)。USP22は、鼻咽頭がんの病的過程において重要な調節的役割を果たし、潜在的な治療標的であってもよい(Zhuang et al.,2015)。USP22の過剰発現は、乳がんの進行に寄与してもよい(Zhang et al.,2011)。
【0277】
UTP20は、U3小核RNAタンパク質複合体の成分であり、18srRNAプロセシングに関与する(RefSeq,2002)。UTP20の発現は、転移性ヒト乳房腫瘍細胞株において低下する(Schwirzke et al.,1998;Goodison et al.,2003)。UTP20は、胃がん組織および前がん病変において高レベルで発現され、細胞形質転換におけるUTP20の関与が示唆される(Xing et al.,2005)。
【0278】
WLS(EVIまたはGPR177とも称される)は、Wntless Wntリガンド分泌媒介物をコードする。WLSはWntの古くからのパートナーに相当し、細胞外環境へのそれらの分泌の促進に特化されている(Banziger et al.,2006)。WLSは、乳がん、胃がん、卵巣がん、および結腸直腸がん、ならびに白血病をはじめとする、異なるがん実体において過剰発現され、転帰不良に関連している(Chiou et al.,2014;Stewart et al.,2015;Lu et al.,2015;Voloshanenko et al.,2013)。WLSは、全てのWntタンパク質の分泌に重要である。それは、βカテニンおよびサイクリン-D1の発現を調節し、それによって細胞増殖に影響する(Yang et al.,2015b;Banziger et al.,2006)。
【0279】
YIF1Aは、Yip1相互作用因子ホモログAをコードして、染色体11q13上に位置する(RefSeq,2002)。いくつかの変異体(増幅および欠失)が,肝細胞がんのYIF1A遺伝子において検出されている(Nalesnik et al.,2012)。YIF1Aの発現は、正常サンプルと扁平上皮がんサンプルの間で有意差を示す(Sugimoto et al.,2009)。
【0280】
ZRANB3は、ジンクフィンガー、RAN結合ドメイン含有3をコードして、染色体2q21.3上に位置する(RefSeq,2002)。ZRANB3は、構造特異的ATP依存性エンドヌクレアーゼであるジンクフィンガータンパク質をコードする。これは、複製ストレス応答に関与し、ゲノムの完全性を維持する(Ciccia et al.,2012;Weston et al.,2012)。染色体2q21.3上のZRANB3に位置する一塩基多型rs4954256は、食道がんの治療における同時化学放射線療法に対する、病理学的完全寛解の3.93倍の増加に関連していた(Chen et al.,2012)。ZRANB3は、子宮内膜がんにおいて頻繁に変異する(Lawrence et al.,2014)。
【発明を実施するための形態】
【0281】
免疫応答の刺激は、宿主免疫系によって外来性として認識された抗原の存在に依存する。腫瘍関連抗原の存在の発見は、宿主の免疫系を用いて腫瘍成長に介入する可能性を高めた。免疫系の体液性および細胞性アームの双方を活用する様々な機構が、がん免疫療法のために目下探求されている。
【0282】
細胞性免疫応答の特定の要素は、腫瘍細胞を特異的に認識して破壊できる。腫瘍浸潤性細胞集団からの、または末梢血からのT細胞の単離は、がんに対する自然免疫防御において、このような細胞が重要な役割を果たすことを示唆する。特に、細胞質ゾル内に位置するタンパク質または欠陥リボソーム産物(DRIPS)に由来する、通常は8~10アミノ酸残基の主要組織適合性複合体(MHC)保有ペプチドのクラスI分子を認識するCD8陽性T細胞が、この応答において重要な役割を果たす。ヒトのMHC分子はまた、ヒト白血球抗原(HLA)とも称される。
【0283】
「T細胞応答」という用語は、生体外または生体内でペプチドによって誘導される、エフェクター機能の特異的増殖および活性化を意味する。MHCクラスI限定細胞毒性T細胞では、エフェクター機能は、ペプチドパルスされた、ペプチド前駆体パルスされたまたは天然ペプチド提示標的細胞の溶解;好ましくはペプチドによって誘導されるインターフェロン-γ、TNF-α、またはIL-2であるサイトカインの分泌;好ましくはペプチドによって誘導されるグランザイムまたはパーフォリンであるエフェクター分子の分泌;または脱顆粒であってもよい。
【0284】
「ペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα-アミノおよびカルボニル基の間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基を命名するために、本明細書で使用される。ペプチドは、好ましくは9アミノ酸長であるが、8アミノ酸長程度に短くあり得て、10、11、12、13アミノ酸以上に長くあり得て、MHCクラスIIペプチド(本発明のペプチドの伸長された変種)の場合、それらは14、15、16、17、18、19または20アミノ酸長以上に長くあり得る。
【0285】
さらに「ペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα-アミノおよびカルボニル基の間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基の塩を含むものとする。好ましくは、塩は、例えば、塩化物塩または酢酸塩(トリフルオロ酢酸塩)などの、ペプチドの薬学的に許容可能な塩である。ペプチドは生体内においては塩ではないので、本発明によるペプチドの塩は、それらの生体内の状態が、ペプチドと実質的に異なることに留意すべきである。
【0286】
「ペプチド」という用語は、「オリゴペプチド」もまた含むものとする。「オリゴペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα-アミノおよびカルボニル基の間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基を命名するために、本明細書で使用される。オリゴペプチドの長さは、その中で正しいエピトープまたはエピトープが保持されれば、本発明には重要でない。オリゴペプチドは、典型的に、約30アミノ酸残基長未満であり、約15アミノ酸長を超える。
【0287】
「ポリペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα-アミノおよびカルボニル基の間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基を指す。正しいエピトープが保持されれば、ポリペプチドの長さは本発明にとって重要でない。ペプチドまたはオリゴペプチドという用語とは対照的に、ポリペプチドという用語は、約30を超えるアミノ酸残基を含有する分子を指すことが意図される。
【0288】
ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質またはこのような分子をコードするポリヌクレオチドは、免疫応答を誘導できれば「免疫原性」である(したがって本発明における「免疫原」である)。本発明では、免疫原性は、より具体的には、T細胞応答を誘導する能力と定義される。したがって「免疫原」は、免疫応答を誘導できる分子であり、本発明では、T細胞応答を誘導できる分子である。別の態様では、免疫原は、それに対する特異的抗体またはTCRを生じさせるのに使用される、ペプチド、ペプチドとMHCの複合体、オリゴペプチド、および/またはタンパク質であり得る。
【0289】
クラスI T細胞「エピトープ」は、クラスI MHC受容体に結合している短いペプチドを必要とし、三成分複合体(MHCクラスIα鎖、β-2-ミクログロブリン、およびペプチド)を形成し、それは、適切な親和性でMHC/ペプチド複合体に結合する適合T細胞受容体を保有するT細胞によって、認識され得る。MHCクラスI分子に結合するペプチドは、典型的に8~14アミノ酸長であり、最も典型的には9アミノ酸長である。
【0290】
ヒトにおいては、MHCクラスI分子(ヒト白血球抗原(HLA)ともまた称されるヒトのMHC分子)をコードする、3つの異なる遺伝子座、HLA-A、HLA-B、およびHLA-Cがある。HLA-A*01、HLA-A*02、およびHLA-B*07は、これらの遺伝子座から発現され得る、異なるMHCクラスI対立遺伝子の例である。
【0291】
表5:HLA-A*02およびHLA-A*24の発現頻度F、および最も高頻度のHLA-DR血清型。頻度は、ハーディ・ワインベルグ式、F=1-(1-Gf)2;を用いてMori et al. (Mori et al.,1997)から適応された、米国人母集団内のハプロタイプ頻度Gfから推定される。連鎖不均衡のために、A*02またはA*24と特定のHLA-DR対立遺伝子との組み合わせは、それらの単一頻度から予測されるよりも、豊富でありまたは低頻度であるかもしれない。詳細については、Chanock et al.を参照されたい。 (Chanock et al., 2004)
【表5-1】
【表5-2】
【0292】
本発明のペプチドは、好ましくは、本明細書に記載される本発明のワクチンに包含される場合、A*02に結合する。ワクチンはまた、汎結合MHCクラスIIペプチドを含んでもよい。したがって、本発明のワクチンを使用して、A*02陽性の患者においてがんを治療し得る一方で、これらのペプチドの汎結合特性のために、MHCクラスIIアロタイプを選択する必要はない。
【0293】
本発明のA*02ペプチドが、例えばA*24などの別の対立遺伝子に結合するペプチドと組み合わされた場合、MHCクラスI対立遺伝子のいずれか単独による対処と比較して、任意の患者集団のより高い割合を治療し得る。大多数の母集団では、対立遺伝子のいずれか単独によって、50%未満の患者が対処され得る一方で、HLA-A*24およびHLA-A*02エピトープを含んでなるワクチンは、任意の妥当な母集団で、少なくとも60%の患者を治療し得る。具体的には、様々な地域において、以下の百分率の患者が、これらの対立遺伝子の少なくとも1つについて陽性である:米国61%、西欧62%、中国75%、韓国77%、日本86%(www.allelefrequencies.netから計算された)。
【0294】
好ましい実施形態では、「ヌクレオチド配列」という用語は、デオキシリボヌクレオチドのヘテロ重合体を指す。
【0295】
特定のペプチド、オリゴペプチド、またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、天然起源であってもよく、またはそれらは合成的に構築されてもよい。一般に、本発明のペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質をエンコードするDNA断片は、cDNAフラグメントと短いオリゴヌクレオチドリンカーから構築され、またはひと続きのオリゴヌクレオチドから構築されて、微生物またはウイルスオペロンに由来する調節因子を含んでなる、組換え転写単位で発現できる合成遺伝子が提供される。
【0296】
本明細書の用法では「ペプチドをコーディング(またはコード)するヌクレオチド」という用語は、配列が、例えば、TCRの製造に有用な樹状細胞または別の細胞株によって発現される生体系と適合性である、人工(人造)開始および停止コドンを含むペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を指す。
【0297】
本明細書の用法では、核酸配列への言及は、一本鎖および二本鎖の核酸の双方を含む。したがって、例えば、特異的配列は、文脈上明らかに別の意味が示唆されない限り、このような配列の一本鎖DNA、このような配列とその補体との二本鎖(二本鎖DNA)、およびこのような配列の補体を指す。
【0298】
「コード領域」という用語は、その天然ゲノム環境内で、遺伝子の発現産物を天然にまたは正常にコードする遺伝子の部分、すなわち、遺伝子の天然発現産物を生体内でコードする領域を指す。
【0299】
コード領域は、非変異(「正常」)、変異または改変遺伝子に由来し得て、またはDNA合成技術の当業者に周知の方法を使用して実験室で完全に合成された、DNA配列または遺伝子にさえ由来し得る。
【0300】
「発現産物」という用語は、遺伝子の、そして遺伝コード縮重に起因する同等物をコードし、したがって同一アミノ酸をコードする任意の核酸配列の天然翻訳産物である、ポリペプチドまたはタンパク質を意味する。
【0301】
コード配列に言及する場合、「フラグメント」という用語は、その発現産物が、完全コード領域の発現産物と本質的に同一の生物学的機能または活性を保つ、完全未満のコード領域を含んでなるDNAの部分を意味する。
【0302】
「DNA断片」という用語は、別々のフラグメントの形態の、またはより大型のDNAコンストラクトの構成要素としての、DNAポリマーを指し、それは、実質的に純粋な、すなわち、混入内因性物質を含まない形態で、例えばクローニングベクターを使用した標準生化学的方法によって、断片およびその構成ヌクレオチド配列が同定、操作、および回収できる量または濃度で、少なくとも1回単離されたDNAに由来する。このような断片は、典型的に真核生物遺伝子内に存在する内部非翻訳配列またはイントロンによって中断されていない、読み取り枠の形態で提供される。非翻訳DNA配列は、それがコード領域の操作または発現を妨げない、読み取り枠下流に存在してもよい。
【0303】
「プライマー」という用語は、短い核酸配列を意味し、それはDNAの1本鎖と対合し得て、DNAポリメラーゼがそこでデオキシリボヌクレオチド鎖合成を開始する、遊離3’-OH末端を提供する。
【0304】
「プロモーター」という用語は、転写を開始するためのRNAポリメラーゼ結合に関与する、DNAの領域を意味する。
【0305】
「単離」という用語は、物質が、その元の環境(例えば、それが天然起源であれば天然環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物に存在する天然ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていないが、天然システムで共存する物質の一部または全部から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されている。このようなポリヌクレオチドはベクターの一部であり得て、および/またはこのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは組成物の一部であり得るが、このようなベクターまたは組成物がその天然環境の一部でないと言う意味では、なおも単離されている。
【0306】
本発明によって開示されるポリヌクレオチド、および組換えまたは免疫原性ポリペプチドは、「精製」形態であってもよい。「精製」という用語は、完全に純粋である必要はなく;むしろ、それは相対的定義であることが意図されて、これらの用語が当業者によって理解されるように、高度に精製された調製物、または部分的にのみ精製された調製物を含み得る。例えば、cDNAライブラリーから単離された個々のクローンは、電気泳動的に均一に、従来法で精製されている。少なくとも1桁、好ましくは2または3桁、より好ましくは4または5桁までの、出発原料または天然物質の精製が明示的に検討される。さらに、重量基準で、好ましくは99.999%、または少なくとも99.99%または99.9%;さらに望ましくは99%以上の純度を有する、特許請求されるポリペプチドが明示的に包含される。
【0307】
本発明によって開示される核酸およびポリペプチド発現産物、ならびにこのような核酸および/またはこのようなポリペプチドを含有する発現ベクターは、「富化形態」であってもよい。本明細書の用法では、「富化」という用語は、物質濃度が、(例えば)その天然濃度の少なくとも約2、5、10、100、または1000倍であることを意味し、有利には重量基準で0.01%、好ましくは重量基準で少なくとも約0.1%である。重量基準で約0.5%、1%、5%、10%、および20%の富化調製物もまた、検討される。本発明を構成する、配列、コンストラクト、ベクター、クローン、およびその他の物質は、有利には、富化または単離形態であり得る。「活性フラグメント」という用語は、通常は、単独で、または任意選択的に適切なアジュバントと共に、またはベクター中で、例えば、ウサギまたはマウスのようなそしてまたヒトをはじめとする哺乳類などの動物に投与すると免疫応答を生じる(すなわち、免疫原性を有する)ペプチド、ポリペプチドまたは核酸配列のフラグメントを意味し、このような免疫応答は、ヒトなどのレシピエント動物内でT細胞応答を刺激する形態を取る。代案としては、「活性フラグメント」はまた、生体外T細胞応答を誘導するのに使用されてもよい。
【0308】
本明細書の用法では、ポリペプチドとの関連で使用される場合、「部分」、「断片」、および「フラグメント」という用語は、アミノ酸残基などの連続する残基の配列を指し、その配列は、より大型の配列の部分集合を形成する。例えば、ポリペプチドが、トリプシンまたはキモトリプシンなどの一般的エンドペプチダーゼのいずれかによって処理されれば、このような処理から得られるオリゴペプチドは、出発ポリペプチドの部分、断片またはフラグメントに相当するであろう。ポリヌクレオチドに関して使用される場合、これらの用語は、いずれかのエンドヌクレアーゼによる前記ポリヌクレオチドの処理によって生じる生成物を指す。
【0309】
本発明によると、配列に言及する場合、「同一性百分率」または「パーセント同一」という用語は、比較される配列(「比較配列」)と、記載されまたは特許請求される配列(「参照配列」)とのアライメント後に、配列が、特許請求されまたは記載される配列と比較されることを意味する。次に同一性百分率は、次式に従って判定される:
同一性百分率=100[1-(C/R)]
式中、Cは、参照配列と比較される配列との間のアライメント長にわたる、参照配列と比較配列の間の差異の数であり、
(i)比較配列中に対応する整列塩基またはアミノ酸を有しない、参照配列中の各塩基またはアミノ酸、および
(ii)参照配列中の各ギャップ、および
(iii)比較配列中の整列塩基またはアミノ酸と異なる、参照配列中の各整列塩基またはアミノ酸が差異を構成して、
(iiii)アライメントは、整合配列の1位から開始しなくてはならず;
Rは、比較配列とのアライメント長にわたる参照配列中の塩基またはアミノ酸の数であり、参照配列中に生じる任意のギャップもまた、塩基またはアミノ酸として数えられる。
【0310】
比較配列と、それに対して同一性百分率が上のように計算される参照配列との間に、特定の最小同一性百分率とほぼ同じまたはそれを上回るアライメントが存在すれば、その中に、上記のように計算された同一性百分率が特定の同一性百分率未満であるアライメントが存在したとしても、比較配列は、参照配列との特定の最小同一性百分率を有する。
【0311】
したがって上述したように、本発明は、配列番号1~配列番号161、または配列番号1~配列番号161と88%相同的であるその変異体、またはT細胞を前記ペプチドと交差反応させるその変異体からなる群から選択される配列を含んでなる、ペプチドを提供する。本発明のペプチドは、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子または前記ペプチドの伸長バージョンをクラスIIに結合する能力を有する。
【0312】
本発明では、「相同的」という用語は、2つのアミノ酸配列、すなわちペプチドまたはポリペプチド配列の配列間の同一性の程度を指す(上の同一性百分率を参照されたい)。前述の「相同性」は、比較される配列にわたり、最適条件下でアライメントされた2つの配列を比較することで判定される。このような配列相同性は、例えばClustalWアルゴリズムを使用してアライメントを作成することで、計算され得る。一般に利用できる配列解析ソフトウェア、より具体的には、Vector NTI、GENETYXまたはその他のツールが、公共データベースによって提供される。
【0313】
当業者は、特定のペプチドの変異体によって誘導されるT細胞が、ペプチドそれ自体と交差反応できるかどうかを評価できるであろう(Appay et al.,2006;Colombetti et al.,2006;Fong et al.,2001;Zaremba et al.,1997)。
【0314】
所与のアミノ酸配列の「変異型」によって、本発明者らは、ペプチドが、配列番号1~配列番号161からなる所与のアミノ酸配列からなるペプチドと実質的に同様に、HLA分子となおも結合できるように、(例えば、それらを別の天然アミノ酸残基の側鎖で、またはその他の側鎖で置換することにより)例えば、アミノ酸の1つまたは2つの残基の側鎖が変化することを意味する。例えば、ペプチドは、それがHLA-A*02または-DRなどの適切なMHC分子の結合溝と相互作用して結合する能力を改善せずとも、少なくとも維持するように修飾されてもよく、このようにしてそれは、活性化CTLのTCRに結合する能力を改善せずとも、少なくとも維持する。
【0315】
これらのT細胞は、引き続いて細胞と交差反応して、本発明の態様で定義される同族ペプチドの天然アミノ酸配列を含有するポリペプチドを発現する細胞を殺滅し得る。学術文献およびデータベース(Rammensee et al.,1999;Godkin et al.,1997)から誘導され得るように、HLA結合ペプチドの特定の位置は、典型的に、アンカー残基であり、結合溝を構成するポリペプチド鎖の極性、電気物理的、疎水性、および空間特性によって画定されるHLA受容体の結合モチーフと適合する、コア配列を形成する。したがって、当業者は、既知のアンカー残基を保つことで、配列番号1~配列番号161に記載されるアミノ酸配列を修飾でき、このような変異型がMHCクラスIまたはII分子に結合する能力を維持するかどうかを判定できるであろう。本発明の変異型は、活性化T細胞のTCRに結合する能力を維持し、それは引き続いて、本発明の態様で定義されるような同族ペプチドの天然アミノ酸配列を含有するポリペプチドを発現する細胞と交差反応して、それを殺滅し得る。
【0316】
本明細書で開示される元の(未修飾)ペプチドは、特に明記されない場合は、ペプチド鎖内の異なる、おそらくは選択的な部位における、1つまたは複数の残基の置換によって修飾され得る。好ましくはこれらの置換は、アミノ酸鎖の末端に位置する。このような置換は、保存的性質であってもよく、例えば、疎水性アミノ酸が別の疎水性アミノ酸によって置換されるなど、構造および特徴の類似したアミノ酸によってアミノ酸が置換される。さらにより保存的な置換は、ロイシンのイソロイシンによる置換などの、同一または類似サイズおよび化学的性質のアミノ酸の置換である。天然起源相同タンパク質ファミリーの配列多様性の研究では、特定のアミノ酸置換は、他よりも耐容されることが多く、これらは、元のアミノ酸とその置換物の間のサイズ、電荷、極性、および疎水性の類似性との相関を示すことが多く、これが「保存的置換」の定義の基礎である。
【0317】
保存的置換は、本明細書では、以下の5つのグループの1つの中の交換として定義される:グループ1-小型脂肪族、非極性またはわずかに極性の残基(Ala、Ser、Thr、Pro、Gly);グループ2-極性の負に帯電した残基およびそれらのアミド(Asp、Asn、Glu、Gln);グループ3-極性の正に帯電した残基(His、Arg、Lys);グループ4-大型脂肪族非極性残基(Met、Leu、Ile、Val、Cys);およびグループ5-大型芳香族残基(Phe、Tyr、Trp)。
【0318】
より保存的でない置換は、アラニンのイソロイシン残基による置換などの、類似した特徴を有するがサイズがいくらか異なる別のアミノ酸による置換を伴うかもしれない。高度に非保存的な置換は、極性アミノ酸の、または塩基性アミノ酸の酸性アミノ酸による置換を伴うかもしれない。しかし化学効果は完全に予測可能でなく、遊離基置換は単純な化学的原理からは予測できない偶然の効果を生じさせる可能性があるので、このような「遊離基」置換は、潜在的に無効であるとして却下され得ない。
【0319】
もちろんこのような置換には、通常のL-アミノ酸以外の構造体が関与してもよい。したがってD-アミノ酸が、本発明の抗原性ペプチドに通常見いだされるL-アミノ酸を置換するかもしれず、依然として本明細書の開示に包含される。さらに、非標準アミノ酸(すなわち、一般的な天然タンパク質新生アミノ酸以外)もまた置換目的で使用して、本発明による免疫原および免疫原性ポリペプチドが製造されてもよい
【0320】
2つ以上の位置における置換が、以下に定義されるように実質的に同等のまたはそれを超える抗原活性のあるペプチドをもたらすことが判明した場合、これらの置換の組み合わせを試験して、置換の組み合わせが、ペプチドの抗原性に相加または相乗効果をもたらすかどうかが判定される。最大でも、ペプチド内の4つ以上の位置を超えて同時に置換されることはない。
【0321】
本明細書で示されるようなアミノ酸配列から本質的になるペプチドは、非修飾ペプチドと比較すると、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはII分子に結合する能力が、実質的に変化したり悪影響を受けたりすることなく交換される、1つまたは2つの非アンカーアミノ酸を有し得る(アンカーモチーフについては下記を参照されたい)。別の実施形態では、本明細書で示されるようなアミノ酸配列から本質的になるペプチドにおいては、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはII分子に結合する能力が非修飾ペプチドと比較して実質的に変化したり悪影響を受けることなく、1つまたは2つのアミノ酸が、それらの保存的交換パートナー(以下を参照されたい)で交換され得る。
【0322】
T細胞受容体との相互作用に実質的に寄与しないアミノ酸残基は、その組み込みが、T細胞反応性に実質的に影響を及ぼさず、関連MHCとの結合を排除しない、その他のアミノ酸での置換によって修飾され得る。したがって与えられた但し書きを除いて、本発明のペプチドは、与えられたようなアミノ酸配列またはそれらの部分または変異体を含む、任意のペプチド(本発明者らは、その用語にオリゴペプチドまたはポリペプチドを含める)であってもよい。
【0323】
表6:配列番号7、32、46、および76に記載のペプチドの好ましい変異体およびモチーフ:
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0324】
より長い(伸長された)ペプチドもまた、適切であってもよい。MHCクラスIエピトープは、通常は8~11アミノ酸長であるが、実際のエピトープを含むより長いペプチドまたはタンパク質から、ペプチドプロセッシングによって作製することが可能である。実際のエピトープ側面に位置する残基は、プロセッシング中に実際のエピトープを曝露させるのに必要なタンパク質分解切断に、実質的に影響を及ぼさない残基であることが好ましい。
【0325】
本発明のペプチドは、最大4個のアミノ酸によって伸長させ得て、すなわち4:0~0:4の間のあらゆる組み合わせで、どちらかの末端に1、2、3または4個のアミノ酸が付加され得る。本発明による伸長の組み合わせは、表7にある。
【0326】
表7:本発明のペプチドの伸長の組み合わせ
【表7】
【0327】
伸長/延長のためのアミノ酸は、元のタンパク質配列のペプチドまたは任意のその他のアミノ酸であり得る。伸長を利用して、ペプチドの安定性または溶解度を高め得る。
【0328】
したがって本発明のエピトープは、天然起源腫瘍関連または腫瘍特異的エピトープと同一であってもよく、またはそれらが実質的に同一の抗原活性を有しさえすれば、4つ以下の残基が参照ペプチドと異なるエピトープを含んでもよい。
【0329】
代案の実施形態では、ペプチドは、4つを超えるアミノ酸で、好ましくは最大30アミノ酸の全長まで、片側または両側で伸長される。これは、MHCクラスII結合ペプチドをもたらしてもよい。MHCクラスIIへの結合は、当該技術分野で公知の方法によって試験される得る。
【0330】
したがって、本発明は、MHCクラスIエピトープのペプチドおよび変異型を提供し、ペプチドまたは変異型は、8~100、好ましくは8~30、最も好ましくは8~14、すなわち8、9、10、11、12、13、14アミノ酸の全長を有し、伸長されたクラスII結合ペプチドの場合、長さはまた、15、16、17、18、19、20、21または22アミノ酸であり得る。
【0331】
もちろん、本発明によるペプチドまたは変異型は、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIの分子に結合する能力を有する。ペプチドまたは変異体のMHC複合体への結合は、当該技術分野で既知の方法によって試験されてもよい。
【0332】
好ましくは、本発明によるペプチドに特異的なT細胞を置換ペプチドについて試験する場合、置換ペプチドが背景に対して最大溶解増加の半分を達成するペプチド濃度は、約1mM以下、好ましくは約1μM以下、より好ましくは約1nM以下、さらにより好ましくは約100pM以下、最も好ましくは約10pM以下である。置換ペプチドが、2人以上、少なくとも2人、より好ましくは3人の個人からのT細胞によって認識されることもまた好ましい。
【0333】
本発明の特に好ましい実施形態では、ペプチドは、配列番号に1~配列番号161に記載のアミノ酸配列からなり、またはそれから本質的になる。
【0334】
「から本質的になる」は、本発明によるペプチドが、配列番号1~配列番号161のいずれかに記載の配列またはその変異体に加えて、MHC分子エピトープのエピトープとして機能するペプチドの一部を必ずしも構成しない、追加的なNおよび/またはC末端に位置するアミノ酸の一連の配列を含有することを意味するものとする。
【0335】
それでもなお、これらの一連の配列は、本発明によるペプチドの細胞への効率的な導入を提供するのに重要であり得る。本発明の一実施形態では、ペプチドは、例えば、NCBI、GenBank受入番号X00497に由来する、HLA-DR抗原関連不変鎖(p33、以下の「Ii」)の80個のN末端アミノ酸を含んでなる、融合タンパク質の一部である。その他の融合物においては、本発明のペプチドは、本明細書に記載されるような抗体、またはその機能的部分に、特に抗体の配列に、前記抗体によって特異的に標的化されるように融合し得て、または例えば、本明細書に記載されるような樹状細胞に対して特異的な抗体に、またはその中に融合し得る。
【0336】
さらにペプチドまたは変異型は、より強力な免疫応答を引き起こすために、安定性および/またはMHC分子への結合を改善するようにさらに修飾されてもよい。ペプチド配列のこのような最適化方法は当該技術分野で周知であり、例えば、逆ペプチド結合または非ペプチド結合の導入が挙げられる。
【0337】
逆ペプチド結合においては、アミノ酸残基はペプチド(-CO-NH-)結合によって連結せず、ペプチド結合が逆転する。このようなレトロ-インベルソペプチド模倣剤は、例えば、参照により本明細書に援用される、Meziere et al(1997)(Meziere et al.,1997)に記載されるものなどの当該技術分野で既知の方法を使用して製造されてもよい。このアプローチは、側鎖の方向でなく主鎖に関与する変化を含有する、擬ペプチドの生成を伴う。Meziere et al.(Meziere et al.,1997)は、MHC結合およびTヘルパー細胞応答のために、これらの擬ペプチドが有用であることを示す。CO-NHペプチド結合の代わりにNH-CO結合を含有するレトロインバースペプチドは、タンパク質分解に対してはるかにより高い耐性がある。
【0338】
非ペプチド結合は、例えば、-CH-NH、-CHS-、-CHCH-、-CH=CH-、-COCH-、-CH(OH)CH-、および-CHSO-である。米国特許第4,897,445号明細書は、標準手順によって合成されるポリペプチド、およびNaCNBHの存在下でアミノアルデヒドとアミノ酸を反応させることで合成される非ペプチド結合が関与する、ポリペプチド鎖中の非ペプチド結合(-CH-NH)を固相合成する方法を提供する。
【0339】
上述の配列を含んでなるペプチドは、それらのアミノおよび/またはカルボキシ末端に存在する追加的な化学基と共に合成して、ペプチドの安定性、生物学的利用能、および/または親和性を高めてもよい。例えば、カルボベンゾキシル、ダンシル、またはt-ブチルオキシカルボニル基などの疎水性基が、ペプチドのアミノ末端に付加されてもよい。同様に、アセチル基または9-フルオレニルメトキシ-カルボニル基が、ペプチドのアミノ末端に配置されてもよい。さらに、疎水性基、t-ブチルオキシカルボニル、またはアミド基が、ペプチドのカルボキシ末端に付加されてもよい。
【0340】
さらに、本発明のペプチドは、それらの立体配置を改変するように合成されてもよい。例えば、通常のL異性体でなく、ペプチドの1つまたは複数のアミノ酸残基のD異性体が使用されてもよい。なおもさらに、本発明のペプチドのアミノ酸残基の少なくとも1つは、周知の非天然起源アミノ酸残基の1つで置換されてもよい。これらのような変化は、本発明のペプチドの安定性、生物学的利用能および/または結合作用の増大に役立ってもよい。
【0341】
同様に、本発明のペプチドまたは変異体は、ペプチド合成の前または後のどちらかに、特定のアミノ酸を反応させることで化学的に修飾されてもよい。このような修飾の例は、当該技術分野で周知であり、例えば、参照により本明細書に援用される、R.Lundblad,Chemical Reagents for Protein Modification,3rd ed.CRC Press,2004(Lundblad, 2004)に要約される。アミノ酸の化学修飾としては、これに限定されるものではないが(although without limitation thereto)、アシル化、アミジン化、リジンのピリドキシル化、還元アルキル化、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)によるアミノ基のトリニトロベンジル化、システインのシステイン酸への過ギ酸酸化によるカルボキシル基のアミド修飾およびスルフヒドリル修飾、水銀誘導体形成、その他のチオール化合物との混合ジスルフィド形成、マレイミドとの反応、ヨード酢酸またはヨードアセトアミドによるカルボキシメチル化、およびアルカリ性pHでのシアネートによるカルバモイル化による修飾が挙げられるが、これに限定されるものではない(is not limited to)。この点において、当業者は、タンパク質の化学修飾に関するより詳細な手順について、Current Protocols In Protein Science,Eds.Coligan et al.(John Wiley and Sons NY 1995-2000)(Coligan et al.,1995)の第15章を参照されたい。
【0342】
簡単に述べると、例えばタンパク質中のアルギニル残基の修飾は、付加体を形成するためのフェニルグリオキサール、2,3-ブタンジオン、および1,2-シクロヘキサンジオンなどの隣接するジカルボニル化合物の反応に基づくことが多い。別の実施例は、メチルグリオキサールとアルギニン残基の反応である。システインは、リジンおよびヒスチジンなどのその他の求核性部位の同時の修飾なしに修飾され得る。その結果、システイン修飾のために多数の試薬が利用可能である。Sigma-Aldrichなどの会社のウェブサイト(http://www.sigma-aldrich.com)が、特定の試薬に関する情報を提供する。
【0343】
タンパク質中のジスルフィド結合の選択的還元もまた、一般的である。ジスルフィド結合は、生物医薬品の加熱処理中に形成されて酸化され得る。ウッドワード試薬Kを使用して、特定のグルタミン酸残基が修飾されてもよい。N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N’-エチルカルボジイミドを利用して、リジン残基とグルタミン酸残基の間に分子内架橋が形成され得る。例えば、ジエチルピロ炭酸は、タンパク質中のヒスチジル残基修飾のための試薬である。ヒスチジンはまた、4-ヒドロキシ-2-ノネナールを使用して修飾され得る。リジン残基およびその他のα-アミノ基の反応物は、例えば、ペプチドの表面への結合またはタンパク質/ペプチド架橋で有用である。リジンはポリ(エチレン)グリコールの付着部位であり、タンパク質のグリコシル化の主要な修飾部位である。タンパク質中のメチオニン残基は、例えば、ヨードアセトアミド、ブロモエチルアミン、およびクロラミンTによって修飾され得る。
【0344】
テトラニトロメタンおよびN-アセチルイミダゾールを使用して、チロシル残基が修飾され得る。ジチロシンの形成を通じた架橋は、過酸化水素/銅イオンによって達成され得る。
【0345】
トリプトファンの修飾に関する最近の研究では、N-ブロモサクシニミド、臭化2-ヒドロキシ-5-ニトロベンジルまたは3-ブロモ-3-メチル-2-(2-ニトロフェニルメルカプト)-3H-インドール(BPNS-スカトール)が使用されている。
【0346】
PEGによる治療用タンパク質およびペプチドの成功裏の修飾が、循環半減期の延長に関連することが多い一方で、タンパク質と、グルタルアルデヒド、ポリエチレングリコールジアクリレート、およびホルムアルデヒドとの架橋は、ハイドロゲル調製のために使用される。免疫療法のためのアレルゲンの化学修飾は、カリウムシアネートでのカルバミル化によって達成されることが多い。
【0347】
ペプチドが修飾されまたは非ペプチド結合を含む、ペプチドまたは変異体は、本発明の好ましい実施形態である。一般に、ペプチドおよび変異体(少なくともアミノ酸残基間にペプチド結合を含有するもの)は、Lukas et al.(Lukas et al.,1981)によって、そしてその中で引用される参考文献によって開示される、Fmoc-ポリアミド様式の固相ペプチド合成によって合成されてもよい。一時的なN-アミノ基保護は、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基によってもたらされる。この高度に塩基不安定性の保護基の反復性切断は、N,N-ジメチルホルムアミド中の20%ピペリジンを使用して実施される。側鎖官能基は、それらのブチルエーテル(セリン、スレオニン、およびチロシンの場合)、ブチルエステル(グルタミン酸およびアスパラギン酸の場合)、ブチルオキシカルボニル誘導体(リジンおよびヒスチジンの場合)、トリチル誘導体(システインの場合)、および4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル誘導体(アルギニンの場合)として保護されてもよい。グルタミンまたはアスパラギンがC末端残基である場合、側鎖アミド官能基を保護するために、4,4’-ジメトキシベンズヒドリル基が活用される。固相担体は、ジメチルアクリルアミド(主鎖単量体)、ビスアクリロイルエチレンジアミン(架橋剤)、およびアクリロイルサルコシンメチルエステル(機能化因子)の3つの単量体から構成される、ポリジメチル-アクリルアミドポリマーをベースとする。使用されるペプチド-対-樹脂の切断可能な結合因子は、酸不安定性4-ヒドロキシメチル-フェノキシ酢酸誘導体である。逆転N,N-ジシクロヘキシル-カルボジイミド/1ヒドロキシベンゾトリアゾール媒介共役手順を使用して付加されるアスパラギンおよびグルタミンを除いて、全てのアミノ酸誘導体は、それらのあらかじめ形成された対称的な無水物誘導体として付加される。全ての共役および脱保護反応は、ニンヒドリン、トリニトロベンゼンスルホン酸またはイサチン(isotin)試験手順を使用してモニターされる。合成完了時に、ペプチドは樹脂担体から切断され、同時に、50%スカベンジャー混合物を含有する95%トリフルオロ酢酸での処理によって、側鎖保護基が除去される。一般に使用されるスカベンジャーとしては、エタンジチオール、フェノール、アニソール、および水が挙げられ、正確な選択は、合成されるペプチドの構成アミノ酸に左右される。ペプチドの合成のための固相法と溶液相法の組み合わせもまた、可能である(例えば、(Bruckdorfer et al.,2004)、およびその中で引用される参考文献を参照されたい)。
【0348】
トリフルオロ酢酸は、真空蒸発によって除去され、引き続くジエチルエーテルを用いた磨砕は、粗製ペプチドをもたらす。存在する任意のスカベンジャーは、単純な抽出手順によって除去され、それは水相の凍結乾燥時に、スカベンジャーを含まない粗製ペプチドを与える。ペプチド合成のための試薬は、通常、例えば、Calbiochem-Novabiochem(Nottingham,UK)から入手できる。
【0349】
精製は、再結晶化、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および(通常は)例えば、アセトニトリル/水勾配分離を使用した逆相高速液体クロマトグラフィーなどの技術の任意の1つまたは組み合わせによって実施されてもよい。
【0350】
ペプチドの分析は、薄層クロマトグラフィー、電気泳動法、特にキャピラリー電気泳動法、固相抽出(CSPE)、逆相高速液体クロマトグラフィー、酸加水分解後のアミノ酸分析を使用して、高速原子衝撃(FAB)質量分光分析によって、ならびにMALDIおよびESI-Q-TOF質量分光分析によって、実施されてもよい。
【0351】
過剰提示ペプチドを選択するために、中央値サンプル提示ならびに反復試験変動を示す、提示プロファイルが計算される。プロファイルは、目的腫瘍実体のサンプルを正常なサンプルのベースラインに並置させる。次に、線形混合効果モデルのp値を計算し(Pinheiro et al.,2015)、誤検出率によって複数試験について補正することで(Benjamini and Hochberg,1995)、これらの各プロファイルが過剰提示スコアに統合され得る。
【0352】
質量分析によるHLAリガンドの同定と相対的定量化のために、衝撃凍結サンプルからのHLA分子が精製されて、HLA関連ペプチドが単離された。単離ペプチドを分離して、オンラインナノエレクトロスプレーイオン化(nanoESI)液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)実験によって配列を同定した。その結果生じたペプチド配列は、膵臓がんサンプル(N=20A*02陽性サンプル)から記録されたTUMAPの断片化パターンと、同一配列の対応する合成標準ペプチドの断片化パターンとの比較によって、確認された。ペプチドは、腫瘍細胞のHLA分子のリガンドとして直接同定されたので、これらの結果は、膵臓がん組織上における同定されたペプチドのプロセッシングおよび提示の直接的証拠を提供する。
【0353】
発見パイプラインXPRESIDENT(登録商標)v2.1(例えば、その内容全体が参照により本明細書に援用される、米国特許第2013-0096016号明細書を参照されたい)は、いくつかの異なる非がん性組織および臓器と比較した、がん組織上のHLA拘束性ペプチドレベルの直接相対定量化に基づく、妥当な過剰提示ペプチドワクチン候補の同定と選択ができるようにする。これは、独自仕様のデータ解析パイプラインで処理された獲得LC-MSデータを使用して、配列同定のためのアルゴリズム、スペクトルクラスタリング、イオン計数、滞留時間アライメント、電荷状態のデコンボリューション、および正規化を組み合わせる、無標識示差定量化の開発によって達成された。
【0354】
各ペプチドおよびサンプルの誤差推定値を含む、提示レベルが確立された。腫瘍組織上で排他的に提示されるペプチド、および腫瘍において過剰提示されるペプチドが、非がん性の組織および臓器との比較で同定されている。
【0355】
膵臓がんサンプルからのHLAペプチド複合体は精製されてHLA結合ペプチドが単離され、LC-MSによって分析された(実施例を参照されたい)。本出願に含まれる全てのTUMAPは、この膵臓がんサンプルに対するアプローチを用いて同定され、それらの膵臓がん上の提示が確認された。
【0356】
複数の膵臓がんおよび正常組織上で同定されたTUMAPは、無標識LC-MSデータのイオン計数を使用して定量化された。方法は、ペプチドのLC-MSシグナル面積が、サンプル中のその存在量と相関すると仮定する。様々なLC-MS実験におけるペプチドの全ての定量的シグナルは、中心傾向に基づいて正規化され、サンプル当たりで平均化されて、提示プロファイルと称される棒グラフにマージされた。提示プロファイルは、タンパク質データベース検索、スペクトルクラスタリング、電荷状態デコンボリューション(除電)、および滞留時間アライメントおよび正規化のような、異なる解析法を統合する。
【0357】
本発明は、本発明のペプチドを過剰にまたは排他的に提示する、好ましくは膵臓がんである、がん/腫瘍を治療するのに有用なペプチドを提供するこれらのペプチドは、ヒト膵臓がんサンプル上で、HLA分子によって天然に提示されることが、質量分析法によって示された。
【0358】
それにペプチドが由来する起源遺伝子/タンパク質(「完全長タンパク質」または「基礎タンパク質」とも称される)の多くは、正常組織と比較してがんにおいて高度に過剰発現されることが示されて、起源遺伝子の高度な腫瘍関連性が実証され、「正常組織」は、本発明との関連で、健康な膵臓細胞またはその他の正常組織細胞のどちらかを意味するものとする(実施例2を参照されたい)。さらに,ペプチドそれ自体が腫瘍組織上で強力に過剰提示され、本発明との関連で「腫瘍組織」は、膵臓がんサンプルを意味するものとするが、正常組織は意味しない(実施例1を参照されたい)。
【0359】
HLA結合ペプチドは、免疫系、特にTリンパ球によって認識され得る。T細胞は、例えば誘導ペプチドを提示する肝臓がん細胞などの、認識されたHLA/ペプチド複合体を提示する細胞を破壊し得る。
【0360】
本発明のペプチドは、T細胞応答を刺激でき、および/または過剰提示されることが示されおり、したがって本発明に従って、抗体および/または可溶性TCRなどのTCRの製造のために使用され得る(実施例3、実施例4を参照されたい)。さらに、ペプチドは、それぞれのMHCと複合体化した場合に、本発明による抗体および/またはTCR、特にTCR製造のためにも使用され得る。それぞれの方法は当業者に良く知られており、それぞれの参考文献にもまた見られる。したがって本発明のペプチドは、それによって腫瘍細胞が破壊され得る、患者における免疫応答を生じさせるのに有用である。患者における免疫応答は、理想的には免疫原性を増強する薬剤(すなわちアジュバント)との組み合わせで、記載されるペプチド、または適切な前駆体(例えば伸長ペプチド、タンパク質、またはこれらのペプチドをコードする核酸)を患者に直接投与することで、誘導され得る。本発明の標的ペプチドは、正常組織上では同等のコピー数で提示されないので、このような治療的ワクチン接種から生じる免疫応答は、腫瘍細胞に対して高度に特異的であることが予測され得て、患者の正常細胞に対する望まれない自己免疫反応のリスクを防止する。
【0361】
本明細書は、鎖およびaβ鎖(「α/βTCR」)を含んでなるT細胞受容体(TCR)にさらに関する。MHC分子によって提示された際に、TCRおよび抗体に結合できるHAVCR1-001ペプチドもまた提供される。本明細書はまた、本明細書のTCRおよびペプチドを発現するための核酸、ベクター、および宿主細胞;そしてそれを使用する方法にも関する。
【0362】
「T細胞受容体」(TCRと略記される)という用語は、αポリペプチド鎖(α鎖)およびaβポリペプチド鎖(β鎖)を含んでなるヘテロ二量体分子を指し、ヘテロ二量体受容体は、HLA分子によって提示されるペプチド抗原と結合できる。本用語は、いわゆるγ/δTCRもまた含む。
【0363】
一実施形態では、本明細書は、本明細書に記載されるようなTCRを製造する方法を提供し、方法は、TCRの発現を促進するのに適した条件下でTCRを発現できる、宿主細胞を培養するステップを含んでなる。
【0364】
本明細書の別の態様では、十分な量の抗原を抗原提示細胞に接触させることで、適切な抗原提示細胞または人工抗原提示細胞の表面に発現されるクラスIまたはII MHC分子上に、抗原が負荷され、または抗原/クラスIまたはII MHC複合体モノマーを四量体化することで、クラスIまたはII MHC四量体上に抗原が負荷される、本明細書に記載の方法に関する。
【0365】
α/βTCRのαおよびβ鎖、そしてγ/δTCRのγおよびδ鎖は、一般にそれぞれ2つの「領域」、すなわち可変および定常領域を有すると見なされる。可変領域は、可変領域(V)の連結と、連結領域(J)とからなる。可変領域はまた、リーダー領域(L)を含んでもよい。βおよびδ鎖はまた、多様性領域(D)を含んでもよい。αおよびβ定常領域はまた、αおよびβ鎖を細胞膜に固着させるC末端膜貫通(TM)領域を含んでもよい。
【0366】
γ/δTCRに関して、「TCRγ可変領域」という用語は、本明細書の用法ではリーダー領域(L)のないTCRγV(TRGV)領域とTCRγJ(TRGJ)領域との連結を指し、TCRγ定常領域という用語は、細胞外TRGC領域を指し、またはC末端トランケート型TRGC配列を指す同様に「TCRδ可変領域」という用語は、リーダー領域(L)のないTCRδV(TRDV)領域とTCRδD/J(TRDD/TRDJ)領域との連結を指し、「TCRδ定常領域」という用語は、細胞外TRDC領域を指し、またはC末端トランケート型TRDC配列を指す。
【0367】
本明細書のTCRは、好ましくは、約1μM以下、約001μM以下、約25μM以下、または約10μM以下の結合親和性(KD)で、HAVCR1-001ペプチド-HLA分子複合体に結合する。より好ましいのは、約1μM以下、約100nM以下、約50nM以下、約25nM以下の結合親和性を有する、高親和性TCRである。本発明のTCRの好ましい結合親和性範囲の非限定的例としては、約1nM~約10nM;約10nM~約20nM;約20nM~約30nM;約30nM~約40nM;約40nM~約50nM;約50nM~約60nM;約60nM~約70nM;約70nM~約80nM;約80nM~約90nM;および約90nM~約100nMが挙げられる。
【0368】
本明細書の用法では、本明細書のTCRとの関連で、「特異的結合」およびそれらの文法的変種は、HAVCR1-001ペプチド-HLA分子複合体に対して、1μM以下の結合親和性(KD)を有するTCRを意味するために使用される。
【0369】
本明細書のα/βヘテロ二量体TCRは、それらの定常領域の間に導入された、ジスルフィド結合を有してもよい。このタイプの好ましいTCRとしては、TRAC定常領域配列とTRBC1またはTRBC2定常領域配列とを有するものが挙げられるが、ただし、TRACのThr48およびTRBC1またはTRBC2のSer57は、システイン残基によって置換されており、前記システインは、TCRのTRAC定常領域配列とTRBC1またはTRBC2定常領域配列との間に、ジスルフィド結合を形成する。
【0370】
上述の導入された鎖間結合の存在下または不在下で、本明細書のα/βヘテロ二量体TCRは、TRAC定常領域配列とTRBC1またはTRBC2定常領域配列とを有してもよく、TCRのTRAC定常領域配列と、TRBC1またはTRBC2定常領域配列とが、TRACのエクソン2のCys4と、TRBC1またはTRBC2のエクソン2のCys2との間の天然ジスルフィド結合によって連結されてもよい。
【0371】
本明細書のTCRは、放射性核種、フルオロフォア、およびビオチンからなる群から選択される、検出可能な標識を含んでなってもよい。本明細書のTCRは、放射性核種、化学療法剤、または毒素などの治療的活性薬剤にコンジュゲートされてもよい。
【0372】
一実施形態では、α鎖に少なくとも1つの変異を有し、および/またはβ鎖に少なくとも1つの変異を有する本明細書のTCRは、非変異TCRと比較して修飾されたグリコシル化を有する。
【0373】
一実施形態では、TCRα鎖および/またはTCRβ鎖に少なくとも1つの変異を含んでなるTCRは、HAVCR1-001ペプチド-HLA分子複合体に対して、非変異TCRα鎖および/または非変異TCRβ鎖を含んでなるTCRの少なくとも倍の結合親和性および/または結合半減期を有する。腫瘍特異的TCRの親和性増大とその利用は、最適TCR親和性のウィンドウの存在に依存する。このようなウィンドウの存在は、HLA-A2限定病原体に対して特異的なTCRが、HLA-A2限定腫瘍関連自己抗原に対して特異的なTCRと比較して、一般に約10分の1のKD値を有するという観察に基づく。腫瘍抗原は免疫原性である可能性を有するが、腫瘍は個人自身の細胞から生じるので、改変された翻訳プロセッシングのある変異型タンパク質またはタンパク質のみが、免疫系によって異質と見なされことが今や知られている。上方制御されまたは過剰発現される抗原(いわゆる自己抗原)は、腫瘍に対する機能性免疫応答を必ずしも誘導しない。これらの抗原に対して高度に反応性のTCRを発現するT細胞は、中枢性免疫寛容として知られている過程、すなわち自己抗原に対する低親和性TCRを有するT細胞のみが残留する過程によって、胸腺において負選択される。したがって、HAVCR1-001に対する本明細書のTCRまたは変異体の親和性は、当技術分野で周知の方法によって高め得る。
【0374】
本明細書は、本明細書に従ってTCRを同定して単離する方法にさらに関し、前記方法は、HLA-A*02陰性健常ドナーからのPBMCをA2/HAVCR1-001A2と共にインキュベートするステップと、PBMCを四量体フィコエリトリン(PE)と共にインキュベートするステップと、高結合活性T細胞を蛍光活性化細胞選別(FACS)Calibur分析によって単離するステップとを含んでなる。
【0375】
本明細書は、本明細書に従ってTCRを同定して単離する方法にさらに関し、前記方法は、そのT細胞がマウスTCR欠損を補償する多様なヒトTCRレパートリーを発現する、全ヒトTCRαβ遺伝子遺伝子座(1.1および0.7Mb)を有する遺伝子組換えマウスを得るステップと、マウスをHAVCR1-001で免疫化するステップと、四量体フィコエリトリン(PE)を有する遺伝子組換えマウスから得られたPBMCをインキュベートするステップと、高結合活性T細胞を蛍光活性化細胞選別(FACS)Calibur分析によって単離するステップとを含んでなる。
【0376】
一態様では、本明細書のTCRを発現するT細胞を得るために、本明細書のTCR-αおよび/またはTCR-β鎖をコードする核酸が、γレトロウイルスまたはレンチウイルスなどの発現ベクターにクローン化される。組換えウイルスが生成され、次に、抗原特異性および機能性結合活性などの機能について試験される。次に、最終生成物のアリコートを使用して、標的T細胞集団(一般に患者のPBMCから精製される)が形質導入され、それは患者への輸液前に増殖される。
【0377】
別の態様では、本明細書のTCRを発現するT細胞を得るために、例えば、生体外転写システム(sys-tems)などの当該技術分野で公知の技術によって、TCR RNAが合成される。次に生体外で合成されたTCR RNAは、健常ドナーから得られた原発性CD8+T細胞内に電気穿孔によって導入され、腫瘍特異的TCR-αおよび/またはTCR-β鎖が再発現される。
【0378】
発現を増加させるために、本明細書のTCRをコードする核酸は、レトロウイルス長末端反復(LTR)、サイトメガロウイルス(CMV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)U3、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、β-アクチン、ユビキチン、およびシミアンウイルス40(SV40)/CD43複合プロモーター、伸長因子(EF)-1a、および脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)プロモーターなどの強力なプロモーターと作動可能に連結されてもよい。好ましい実施形態では、プロモーターは、発現される核酸に対して異種である。
【0379】
強力なプロモーターに加えて、本明細書のTCR発現カセットは、レンチウイルスコンストラクトの核転座を促進する、中央ポリプリントラクト(cPPT)(Follenzi et al.,2000)、およびRNA安定性を増大させることで導入遺伝子発現のレベルを高める、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節因子(wPRE)(Zufferey et al.,1999)をはじめとする、導入遺伝子発現を高め得る追加的な要素を含有してもよい。
【0380】
本発明のTCRのαおよびβ鎖は、別々のベクターにある核酸によってコードされてもよく、または同一ベクターにあるポリヌクレオチドによってコードされてもよい。
【0381】
高レベルのTCR表面発現の達成には、導入されたTCRのTCR-αおよびTCR-β鎖の双方が、高レベルで転写される必要がある。これを行うために、本明細書のTCR-αおよびTCR-β鎖は、この障害を克服できることが示されている、単一ベクター内のバイシストロニックコンストラクトにクローン化されてもよい。TCR-αおよびTCR-β鎖は、翻訳中に2つのタンパク質に分かれて等モル比のTCR-αおよびTCR-β鎖の生成を確実にする単一転写物から生成されるので、TCR-αおよびTCR-β鎖の間のウイルス配列内リボソーム進入部位の使用は、双方の鎖の協調発現をもたらす(Schmitt et al.2009)。
【0382】
本明細書のTCRをコードする核酸はコドン最適化されて、宿主細胞からの発現が増加されてもよい。遺伝コードの重複は、いくつかのアミノ酸が2つ以上のコドンによってコードされるようにするが、特定のコドンは、適合tRNAの相対可用性ならびにその他の要因のために、他のものよりも「最適」でない(Gustafsson et al.,2004)。各アミノ酸が、哺乳類遺伝子発現のための最適コドンによってコードされるように、TCR-αおよびTCR-β遺伝子配列を修飾すること、ならびにmRNA不安定モチーフまたは潜在的スプライス部位を除去することは、TCR-αおよびTCR-β遺伝子発現を有意に高めることが示されている(Scholten et al.,2006)。
【0383】
さらに、導入TCR鎖と内因性TCR鎖の間の誤対合は、自己免疫に重大なリスクをもたらす特異性の獲得を引き起こすこともある。例えば、混合TCR二量体の形成は、適切に対合するTCR複合体を形成するために利用できるCD3分子の数を減少させてもよく、ひいては導入TCRを発現する細胞の機能性結合活性を有意に低下させ得る(Kuball et al.,2007)。
【0384】
誤対合を減少させるために、本明細書の導入TCR鎖のC末端領域は、鎖間親和性を高める一方で、導入鎖が内因性TCRと対形成する能力を低下させるために、修飾されてもよい。これらのストラテジーとしては、ヒトTCR-αおよびTCR-βのC末端領域をそれらのマウス対応物(マウス化C末端領域)で置換する;導入TCRのTCR-αおよびTCR-β鎖の双方に第2のシステイン残基を導入することで、C末端領域に第2の鎖間ジスルフィド結合を作製する(システイン修飾);TCR-αおよびTCR-β鎖C末端領域内の相互作用残基を交換する(「ノブ・イン・ホール」);そしてTCR-αおよびTCR-β鎖の可変領域をCD3ζに直接融合させる(CD3ζ融合)(Schmitt et al.2009)ことが挙げられる。。
【0385】
一実施形態では、宿主細胞は、本細書のTCRを発現するように遺伝子操作される。好ましい実施形態では、宿主細胞は、ヒトT細胞またはT細胞前駆細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞またはT細胞前駆細胞は、がん患者から得られる。その他の実施形態では、T細胞またはT細胞前駆細胞は、健常ドナーから得られる。本明細書の宿主細胞は、治療される患者に関して、同種異系または自己由来であり得る。一実施形態では、宿主は、α/βTCRを発現するように形質転換されたγ/δT細胞である。
【0386】
「医薬組成物」は、医学的状況においてヒトへの投与に適する組成物である。好ましくは、医薬組成物は無菌であり、GMPガイドラインに準拠して製造される。
【0387】
医薬組成物は、遊離形態または薬学的に許容可能な塩の形態のどちらかのペプチドを含んでなる(上記もまた参照されたい)。本明細書の用法では、「薬学的に許容可能な塩」は、開示されたペプチドの誘導体を指し、ペプチドは、薬剤の酸性または塩基性塩を生成することで修飾される。例えば、酸性塩は、適切な酸との反応を伴って、遊離塩基から調製される(典型的に、薬剤の中性形態が中性NH2基を有する)。酸性塩を調製するための適切な酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などの有機酸、ならびに例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸リン酸などの無機酸の双方が挙げられる。逆に、ペプチド上に存在してもよい酸部分の塩基性塩の調製物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミンなどの薬学的に許容可能な塩基を使用して調製される。
【0388】
特に好ましい一実施形態では、医薬組成物は、酢酸(酢酸塩)、トリフルオロ酢酸または塩酸(塩化物)の塩としてのペプチドを含んでなる。
【0389】
好ましくは、本発明の薬剤は、ワクチンなどの免疫療法剤である。それは、患者に直接、罹患臓器に、または全身的に、i.d.、i.m.、s.c.、i.p.、およびi.v.投与され、または生体外で患者またはヒト細胞株に由来する細胞に適用されて、それが引き続いて患者に投与され、または生体外で使用されて患者に由来する免疫細胞の亜集団が選択され、次にそれが患者に再投与されてもよい。核酸が、生体外で細胞に投与される場合、インターロイキン2などの免疫刺激サイトカインを同時発現させるように、細胞を形質移入することが有用であってもよい。ペプチドは、実質的に純粋であり、または免疫刺激アジュバント(下記参照)と組み合わされ、または免疫賦活性サイトカインと組み合わせて使用され、または例えば、リポソームなどの適切な送達系によって投与されてもよい。ペプチドはまた、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)またはマンナンなどの適切な担体に共役されてもよい(国際公開第95/18145号パンフレットおよび(Longenecker et al.,1993)を参照されたい)。ペプチドはまた、標識されてもよく、融合タンパク質であってもよく、またはハイブリッド分子であってもよい。その配列が本発明に記載されるペプチドは、CD4またはCD8 T細胞を刺激することが予測される。しかし、CD8 T細胞の刺激は、CD4 Tヘルパー細胞によって提供される援助の存在下で、より効率的である。したがって、CD8 T細胞を刺激するMHCクラスIエピトープでは、ハイブリッド分子の融合パートナーまたはセクションは、適切にはCD4陽性T細胞を刺激するエピトープを提供する。CD4およびCD8刺激エピトープは、当該技術分野で周知であり、本発明で同定されたものが挙げられる。
【0390】
一態様では、ワクチンは、配列番号1~配列番号161に記載されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのペプチドと、少なくとも1つの追加的なペプチド、好ましくは2~50、より好ましくは2~25、なおもより好ましくは2~20、最も好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18個のペプチドとを含んでなる。ペプチドは、1つまたは複数の特異的TAAから誘導されてもよく、MHCクラスI分子に結合してもよい。
【0391】
本発明のさらなる態様は、本発明のペプチドまたはペプチド変異体をエンコードする核酸(例えばポリヌクレオチド)を提供する。ポリヌクレオチドは、それがペプチドをコードしさえすれば、例えば、単鎖および/または二本鎖のいずれかのDNA、cDNA、PNA、RNAまたはそれらの組み合わせであってもよく、または例えばホスホロチオエート主鎖を有するポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチドの未変性または安定化形態であってもよく、それはイントロンを含有してもまたはしなくてもよい。もちろん、天然起源ペプチド結合によって連結する天然アミノ酸残基を含有するペプチドのみが、ポリヌクレオチドによってエンコードされ得る。本発明のなおもさらなる態様は、本発明によるポリペプチドを発現できる発現ベクターを提供する。
【0392】
例えば相補的付着端を通じて、ポリヌクレオチド、特にDNAをベクターに連結する、多様な方法が開発されている。例えば、ベクターDNAに挿入されるDNA断片に、相補的ホモポリマー配列が付加され得る。次に、相補的ホモポリマー尾部間の水素結合によって、ベクターおよびDNA断片が連結されて組換えDNA分子が形成する。
【0393】
1つまたは複数の制限酵素認識部位を含有する合成リンカーは、DNA断片をベクターに連結する代替え方法を提供する。多様な制限エンドヌクレアーゼ部位を含有する合成リンカーは、International Biotechnologies Inc.New Haven,CN,USAをはじめとするいくつかの供給元から商業的に入手できる。
【0394】
本発明のポリペプチドをコードするDNAを修飾する望ましい方法は、Saiki RK,et al.(Saiki et al.,1988)で開示されるようなポリメラーゼ連鎖反応を用いる。この方法は、例えば適切な制限酵素認識部位を改変することで、DNAを適切なベクターに導入するために使用されてもよく、またはそれは、当該技術分野で既知のその他の有用な様式でDNAを修飾するために使用されてもよい。ウイルスベクターを使用するのであれば、ポックスウイルスまたはアデノウイルスベクターが好ましい。
【0395】
次にDNA(またはレトロウイルスベクターの場合はRNA)を適切な宿主において発現させ、本発明のペプチドまたは変異体を含んでなるポリペプチドが製造されてもよい。このようにして、本明細書に含まれる教示を考慮して適切に修正された既知の技術に従って、本発明のペプチドまたは変異体をコードするDNAを使用して、発現ベクターが構築されてもよく、次にそれを使用して、本発明のポリペプチドの発現および製造のために、適切な宿主細胞が形質転換される。このような技術としては、例えば、米国特許第4,440,859号明細書、米国特許第4,530,901号明細書、米国特許第4,582,800号明細書、米国特許第4,677,063号明細書、米国特許第4,678,751号明細書、米国特許第4,704,362号明細書、米国特許第4,710,463号明細書、米国特許第4,757,006号明細書、米国特許第4,766,075号明細書、および米国特許第4,810,648号明細書で開示されるものが挙げられる。
【0396】
本発明の化合物を構成するポリペプチドをエンコードするDNA(またはレトロウイルスベクターの場合はRNA)は、適切な宿主への導入のために、多種多様なその他のDNA配列に連結されてもよい。コンパニオンDNAは、宿主の性質、DNAの宿主への導入様式、およびエピソームの維持または組み込みが所望されるかどうかに左右される。
【0397】
一般に、DNAは、発現のための適切な方向および正しい読み枠で、プラスミドなどの発現ベクターに挿入される。必要ならば、DNAは、所望の宿主によって認識される適切な転写および翻訳調節制御ヌクレオチド配列に連結されてもよいが、このような制御は、一般に発現ベクター中で利用できる。次に、標準的な技術を通じて、ベクターが宿主に導入される。一般に、全ての宿主がベクターによって形質転換されるわけではない。したがって、形質転換された宿主細胞を選択することが必要になる。一選択技術は、抗生物質耐性などの形質転換細胞内で選択可能な形質をコードする、任意の必要な制御因子を有するDNA配列を発現ベクター内に組み込むことを伴う。
【0398】
代案としては、このような選択可能な形質の遺伝子は、所望の宿主細胞を同時形質転換するのに使用される、別のベクター上にあり得る。
【0399】
次に、本明細書で開示される教示を考慮して、当業者に知られている適切な条件下で十分な時間にわたり、本発明の組換えDNAによって形質転換された宿主細胞が培養されてポリペプチドが発現され、次にそれが回収れされ得る。
【0400】
細菌(例えば大腸菌(E.coli)およびバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、酵母(例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、糸状菌(例えばアスペルギルス属(Aspergillus))、植物細胞、動物細胞、および昆虫細胞をはじめとする多数の発現系が知られている。好ましくは、発現系は、ATCC Cell Biology Collectionから入手できるCHO細胞などの哺乳類細胞であり得る。
【0401】
構成的発現のための典型的な哺乳類細胞ベクタープラスミドは、適切なポリA尾部と、ネオマイシンなどの耐性マーカーとを有する、CMVまたはSV40プロモーターを含んでなる。一例は、Pharmacia,Piscataway,NJ,USAから入手できるpSVLである。誘導性哺乳類発現ベクターの一例であるpMSGもまた、Pharmaciaから入手できる。有用な酵母プラスミドベクターは、pRS403-406およびpRS413-416であり、通常、Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA 92037,USAから入手できる。プラスミドpRS403、pRS404、pRS405、およびpRS406は、酵母組み込みプラスミド(YIps)であり、酵母の選択可能なマーカーHIS3、TRP1、LEU2、およびURA3が組み込まれている。プラスミドpRS413-416は、酵母セントロメアプラスミド(Ycps)である。CMVプロモーターベースのベクター(例えばSigma-Aldrich製)は、一過性または安定性発現、細胞質内発現または分泌、およびFRAG、3xFLAG、c-mycまたはMATの様々な組み合わせでのN末端またはC末端標識付けを提供する。これらの融合タンパク質は、組換えタンパク質を検出、精製、および分析できるようにする。二重標識融合物は、検出に融通性を与える。
【0402】
強力なヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター調節領域は、COS細胞において、構成タンパク質発現レベルを1mg/L程度の高さに駆動する。効力がより低い細胞株では、タンパク質レベルは、典型的に約0.1mg/Lである。SV40複製起点の存在は、SV40複製許容COS細胞における高レベルのDNA複製をもたらす。CMVベクターは、例えば、細菌細胞におけるpMB1(pBR322の誘導体)複製起点、細菌におけるアンピシリン耐性選択のためのb-ラクタマーゼ遺伝子、hGHポリA、およびf1起点を含有し得る。プレプロトリプシンリーダー(PPT)配列を含有するベクターは、抗FRAG抗体、樹脂、およびプレートを使用した精製のために、培養液中へのFRAG融合タンパク質分泌を誘導し得る。多様な宿主細胞において使用するためのその他のベクターおよび発現系が、当該技術分野で周知である。
【0403】
別の実施形態では、本発明の2つ以上のペプチドまたはペプチド変異型がコードされ、したがって順次発現される(「数珠玉構造」コンストラクトに類似する)。その際に、ペプチドまたはペプチド変異型は、例えばLLLLLLなどの一続きのリンカーアミノ酸によって、共に連結または融合されてもよく、またはそれらの間のいかなる追加的なペプチドもなしに連結されてもよい。これらのコンストラクトはまた、がん療法のために使用され得て、MHC IとMHC IIの双方が関与する免疫応答を誘導してもよい。
【0404】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドベクターコンストラクトで形質転換された宿主細胞にも関する。宿主細胞は、原核または真核生物のどちらかであり得る。細菌細胞は、いくつかの状況では、好ましい原核宿主細胞であってもよく、典型的には、例えば、Bethesda Research Laboratories Inc.,Bethesda,MD,USAから入手できる大腸菌(E.coli)DH5株、および米国微生物系統保存機関(ATCC)Rockville,MD,USAから入手できるRR1(ATCC番号31343)などの大腸菌(E.coli)株である。好ましい真核宿主細胞としては、酵母、昆虫、および哺乳類細胞、好ましくはマウス、ラット、サルまたはヒト線維芽および結腸細胞株に由来するものなどの脊椎動物細胞が挙げられる。酵母宿主細胞としては、Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA 92037,USAから一般に入手できる、YPH499、YPH500、およびYPH501が挙げられる。好ましい哺乳類宿主細胞としては、ATCCからCCL61として入手できるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ATCCからCRL1658として入手できるNIH Swissマウス胚細胞NIH/3T3、ATCCからCRL1650として入手できるサル腎臓由来COS-1細胞、およびヒト胎児由来腎細胞である293細胞が挙げられる。好ましい昆虫細胞は、バキュロウイルス発現ベクターで形質移入され得るSf9細胞である。発現のための適切な宿主細胞の選択に関する概説は、例えば、Paulina Balbas and Argelia Lorenceによる教科書”Methods in Molecular Biology Recombinant Gene Expression、Reviews and Protocols,”Part One、Second Edition、ISBN 978-1-58829-262-9、および当業者に知られているその他の文献にある。
【0405】
本発明のDNAコンストラクトによる適切な細胞宿主の形質転換は、典型的に使用されるベクターのタイプに左右される周知の方法によって達成される。原核宿主細胞の形質転換に関しては、例えば、Cohen et al.(Cohen et al.,1972)および(Green and Sambrook,2012)を参照されたい。酵母細胞の形質転換は、Sherman et al.(Sherman et al.,1986)に記載される。Beggs(Beggs,1978)の方法もまた有用である。脊椎動物細胞に関しては、このような細胞を形質移入するのに有用な、例えば、リン酸カルシウムおよびDEAE-デキストランまたはリポソーム製剤などの試薬が、Stratagene Cloning Systems,or Life Technologies Inc.,Gaithersburg,MD 20877,USAから入手できる。電気穿孔もまた、細胞を形質転換および/または形質移入するのに有用であり、酵母細胞、細菌細胞、昆虫細胞、および脊椎動物細胞を形質転換する技術分野で周知である。
【0406】
成功裏に形質転換された細胞、すなわち本発明のDNAコンストラクトを含有する細胞は、PCRなどの周知の技術によって同定され得る。代案としては、抗体を使用して、上清中のタンパク質の存在が検出され得る。
【0407】
例えば、細菌、酵母、および昆虫細胞などの本発明の特定の宿主細胞は、本発明のペプチドの調製において有用であることが理解されるであろう。しかしその他の宿主細胞が、特定の治療法において有用であってもよい。例えば、樹状細胞などの抗原提示細胞は、それらが適切なMHC分子中に負荷されてもよいように、本発明のペプチドを発現するために有用に使用されてもよい。したがって、本発明は、本発明による核酸または発現ベクターを含んでなる宿主細胞を提供する。
【0408】
好ましい実施形態では、宿主細胞は、抗原提示細胞、特に樹状細胞または抗原提示細胞である。前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)を含有する組換え融合タンパク質が負荷されたAPCは、無症候性または微小症候性転移性HRPCを治療するために、米国食品医薬品局(FDA)によって2010年4月20日に認可された(シプロイセルT)(Rini et al.,2006;Small et al.,2006)。
【0409】
本発明のさらなる態様は、宿主細胞を培養するステップと、宿主細胞またはその培養液からペプチドを単離するステップとを含んでなる。ペプチドまたはその変異型を製造する方法を提供する。
【0410】
別の実施形態では、本発明のペプチド、核酸または発現ベクターは、医療において使用される。例えば、ペプチドまたはその変異体は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、筋肉内(i.m.)注射のために調合されてもよい。ペプチド注射の好ましい方法としては、s.c.、i.d.、i.p.、i.m.、およびi.v.が挙げられる。DNA注射の好ましい方法としては、i.d.、i.m.、s.c.、i.p.、およびi.v.が挙げられる。例えば、50μg~1.5mg、好ましくは125μg~500μgのペプチドまたはDNAの用量が投与されてもよく、それぞれのペプチドまたはDNAに左右される。この範囲の用量は、以前の治験で成功裏に使用された(Walter et al.,2012)。
【0411】
活性ワクチン接種のために使用されるポリヌクレオチドは、実質的に純粋であってもよく、または適切なベクターまたは送達系に含有されてもよい。核酸は、DNA、cDNA、PNA、RNAまたはそれらの組み合わせであってもよい。このような核酸をデザインして導入する方法は、当該技術分野で周知である。概説は、例えば、Teufel et al.(Teufel et al.,2005)によって提供される。ポリヌクレオチドワクチンは調製が容易であるが、免疫応答誘導におけるこれらのベクターの作用機序は、完全には分かっていない。適切なベクターおよび送達系としては、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス、または2つ以上のウイルスの構成要素を含有するハイブリッドベースのシステムなどのウイルスDNAおよび/またはRNAが挙げられる。非ウイルス送達系としては、カチオン性脂質およびカチオン性ポリマーが挙げられ、DNA送達技術分野において周知である。「遺伝子銃」などを通じた物理的送達もまた、使用されてもよい。核酸によってコードされるペプチド(単数)またはペプチド(複数)は、例えば、上述のように、それぞれの逆CDRのT細胞を刺激する、エピトープとの融合タンパク質であってもよい。
【0412】
本発明の薬剤は、1つまたは複数のアジュバントもまた含んでもよい。アジュバントは、免疫応答(例えば、CD8陽性T細胞およびヘルパーT(TH)細胞によって媒介される抗原に対する免疫応答を非特異的に促進または増強する物質であり、したがって本発明の薬剤中で有用であると見なされる。適切なアジュバントとしては、1018 ISS、アルミニウム塩、AMPLIVAX(登録商標)、AS15、BCG、CP-870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、フラジェリンまたはフラジェリン由来TLR5リガンド、FLT3リガンド、GM-CSF、IC30、IC31、イミキモド(ALDARA(登録商標))、レシキモド、ImuFact IMP321、IL-2やL-13やIL-21などのインターロイキン、インターフェロン-αまたは-βまたはそれらのPEG化誘導体、ISパッチ、ISS、ISCOMATRIX、ISCOM、JuvImmune(登録商標)、LipoVac、MALP2、MF59、モノホスホリルリピドA、モンタニドIMS1312、モンタニドISA206、モンタニドISA50V、モンタニドISA-51、油中水型および水中油型エマルション、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、OspA、PepTel(登録商標)ベクター系、ポリ(ラクチドコグリコリド)[PLG]ベースおよびデキストラン微粒子、タラクトフェリンSRL172、ビロソームおよびその他のウイルス様粒子、YF-17D、VEGFトラップ、R848、β-グルカン、Pam3Cys、サポニンに由来するAquila’s QS21 stimulon、マイコバクテリア抽出物および合成細菌細胞壁模倣体、およびRibi’s DetoxまたはQuilまたはSuperfosなどのその他の独自仕様の補助剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。フロイントまたはGM-CSFなどのアジュバントが好ましい。樹状細胞およびそれらの調製物に対して特異的な、いくつかの免疫学的アジュバント(例えばMF59)が、以前記載されている(Allison and Krummel,1995)。サイトカインもまた使用されてもよい。数種のサイトカインは、樹状細胞のリンパ組織(例えばTNF-)への移動に影響を与えること、Tリンパ球(例えば、GM-CSF、IL-1、およびIL-4)のための効率的な抗原提示細胞への樹状細胞の成熟を加速すること(その内容全体が参照により本明細書に具体的に援用される、米国特許第5,849,589号明細書)、および免疫増強剤(例えば、IL-12、IL-15、IL-23、IL-7、IFN-α、IFN-β)として作用することと、直接関連付けられている(Gabrilovich et al.,1996)。
【0413】
CpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドもまた、ワクチン環境において、アジュバント効果を増強することが報告されている。理論により拘束されることなく、CpGオリゴヌクレオチドは、Toll様受容体(TLR)、主にTLR9を通じた、内在的(非適応性)免疫系の活性化によって作用する。CpG誘導性TLR9活性化は、ペプチドまたはタンパク質抗原、生きたまたは死滅ウイルス、樹状細胞ワクチン、自己細胞ワクチン、そして予防的および治療的ワクチンの双方における多糖コンジュゲートをはじめとする、多種多様な抗原に対する、抗原特異的体液性および細胞性応答を増強する。より重要なことには、それは樹状細胞の成熟と分化を増強し、CD4 T細胞援助の不在下であってさえも、TH1細胞の活性化の促進、および強力な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)生成をもたらす。TLR9刺激によって誘導されるTH1バイアスは、通常はTH2バイアスを促進するミョウバンまたは不完全フロイントアジュバント(IFA)などのワクチンアジュバント存在下であってさえも、維持される。CpGオリゴヌクレオチドは、その他のアジュバントと調合されまたは同時投与された際に、または微粒子、ナノ粒子、脂質エマルションなどの配合物、または類似配合物中で、なおもより高いアジュバント活性を示し、それは、抗原が比較的弱い場合、強力な応答を誘導するのに特に必要である。それらは免疫応答もまた加速し、いくつかの実験では、CpGなしのワクチン総量と同等の抗体応答で、抗原用量のほぼ2桁分の低減を可能にする(Krieg,2006)。米国特許第6,406,705B1号明細書は、抗原特異的免疫応答を誘導するためのCpGオリゴヌクレオチド、非核酸アジュバント、および抗原の併用を記載する。CpG TLR9拮抗薬は、本発明の医薬組成物の好ましい構成要素である、Mologen(Berlin,Germany)製のdSLIM(二重ステムループ免疫調節剤)である。RNA結合TLR7、TLR8および/またはTLR9などのその他のTLR結合分子もまた、使用されてもよい。
【0414】
有用なアジュバントその他の例としては、化学修飾CpG(例えば、CpR、Idera);ポリ(I:C)などのdsRNAアナログおよびそれらの誘導体(例えばAmpliGen(登録商標)、Hiltonol(登録商標)、ポリ(ICLC)、ポリ(IC-R)、ポリ(I:C12U)、非CpG細菌DNAまたはRNA;ならびにシクロホスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ(登録商標)、セレブレックス、NCX-4016、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ソラフェニブ、テモゾロマイド、テムシロリムス、XL-999、CP-547632、パゾパニブ、VEGF Trap、ZD2171、AZD2171、抗CTLA4などの免疫活性小型分子および抗体;免疫系の重要な構造体を標的にするその他の抗体(例えば、抗CD40、抗TGFβ、抗TNFα受容体);SC58175が挙げられるが、これに限定されるものではなく、これらは治療的におよび/またはアジュバントとして作用してもよい。本発明の文脈で有用なアジュバントおよび添加剤の量と濃度は、過度の実験を実施することなく、当業者によって容易に判定され得る。
【0415】
好ましいアジュバントは、抗CD40、イミキモド、レシキモド、GM-CSF、シクロホスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ、インターフェロンα、CpGオリゴヌクレオチドおよび誘導体、ポリ(I:C)および誘導体、RNA、シルデナフィル、およびPLGまたはビロソーム微粒子調合物である。
【0416】
本発明による薬剤組成物の好ましい実施形態では、アジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、サルグラモスチム)、シクロホスファミド、イミキモド、レシキモド、およびインターフェロンαなどのコロニー刺激因子からなる群から選択される。
【0417】
本発明による医薬組成物の好ましい実施形態では、アジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、サルグラモスチム)、シクロホスファミド、イミキモド、およびレシキモドなどのコロニー刺激因子からなる群から選択される。本発明による薬剤組成物の好ましい実施形態では、アジュバントは、シクロホスファミド、イミキモドまたはレシキモドである。なおもより好ましいアジュバントは、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 20、Montanide ISA 50V、Montanide ISA-51、ポリICLC(Hiltonol(登録商標))、および抗CD40mABまたはそれらの組み合わせである。
【0418】
この組成物は、皮下、皮内、筋肉内などの非経口投与、または経口投与のために使用される。このためには、ペプチドおよび任意選択的にその他の分子が、薬学的に許容可能な、好ましくは水性担体に溶解され、または懸濁される。さらに組成物は、緩衝液、結合剤、ブラスチング剤、希釈剤、風味、潤滑剤などの賦形剤を含有し得る。ペプチドはまた、サイトカインなどの免疫刺激物質と共に投与され得る。このような組成物中で使用され得る賦形剤の詳細な一覧は、例えば、A.Kibbe,Handbook of Pharmaceutical Excipients(Kibbe,2000)から採用され得る。組成物は、腺腫様またはがん性疾患の阻止、予防法および/または治療法のために使用され得る。例示的調合物は、例えば、欧州特許第2112253号明細書にある。
【0419】
本発明によるワクチンによって引き起こされる免疫応答は、異なる細胞分裂期および異なる発生段階のがんを攻撃することを理解することが重要である。さらに、異なるがん関連シグナル伝達経路が攻撃される。これは、1つまたは少数の標的のみに対処して、攻撃に対する腫瘍の容易な適応(腫瘍エスケープ)を引き起こすこともある、ワクチンに優る利点である。さらに個々の腫瘍の全てが、同一パターンの抗原を発現するとは限らない。したがって、いくつかの腫瘍関連ペプチドの組み合わせによって、ありとあらゆる腫瘍が標的の少なくとも一部を有することが確実になる。組成物は、それぞれの腫瘍が抗原のいくつかを発現することを予期して設計され、腫瘍の増殖と維持に必要ないくつかの独立した経路をカバーする。したがって、ワクチンは、より大きな患者集団のために、容易に「出来合」で使用され得る。これは、ワクチンで治療される患者の予備選択が、HLAタイピングに限定され得て、抗原発現に関する任意の追加的なバイオマーカーアセスメントを必要としないことを意味するが、いくつかの標的が誘導免疫応答によって同時に攻撃されることはなおも確実であり、これは有効性にとって重要である(Banchereau et al.,2001;Walter et al.,2012)。
【0420】
本明細書の用法では、「スキャフォールド」という用語は、(例えば、抗原性)決定因子に特異的に結合する分子を指す。一実施形態では、スキャフォールドはまた、それが付着する実体(例えば、(第2の)抗原結合部分)を例えば、抗原決定基(例えば本出願書に記載のペプチドとMHCの複合体)を有する特異的腫瘍細胞または腫瘍間質などの型標的部位に誘導できる。別の実施形態では、キャフォールドは、例えば、T細胞受容体複合体抗原などのその標的抗原を介して、シグナル伝達を活性化できる。スキャフォールドとしては、抗体およびそれらのフラグメント、抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域を含んでなる抗体の抗原結合ドメイン、少なくとも1つのアンキリンリピートモチーフと単一ドメイン抗原結合(SDAB)分子とを含んでなる結合タンパク質、アプタマー、(可溶性)TCR、および同種または自己由来T細胞などの(改変)細胞が挙げられるが、これに限定されるものではない。分子が標的に結合するスキャフォールドであるかどうかを評価するために、結合アッセイが実施され得る。
【0421】
「特異的」結合は、特異的標的を保有する細胞を殺滅できる活性分子を装備したスキャフォールドが、特異的標的がないがその他のペプチド-MHC複合体を提示する別の細胞を殺滅できない程度に、スキャフォールドがその他の天然ペプチド-MHC-複合体よりもさらに良好に、目的ペプチド-MHC-複合体に結合することを意味する。交差反応性ペプチド-MHCのペプチドが天然に存在せず、すなわち、ヒトHLA-ペプチドームに由来しない場合、その他のペプチド-MHC複合体への結合は無関係である。標的細胞死滅を評価する試験は、当該技術分野で周知である。それらは、非改変ペプチド-MHC提示を有する標的細胞(初代細胞または細胞株)、または天然に存在するペプチド-MHCレベルに達するようにペプチドを負荷された細胞を使用して、実施されるべきである。
【0422】
各スキャフォールドは標識を含んでなり得て、それは、標識によって提供されるシグナルの存在または不在を判定することで、結合スキャフォールドが検出され得ることを提供する。例えば、スキャフォールドは、蛍光染料または任意のその他の適用可能な細胞マーカー分子で標識され得る。このようなマーカー分子は、当該技術分野で周知である。例えば、蛍光染料によって提供される蛍光標識は、蛍光またはレーザー走査顕微鏡またはフローサイトメトリーによる、結合アプタマーの視覚化を提供し得る。
【0423】
各スキャフォールドは、例えば、IL-21、抗-CD3、および抗-CD28などの第2の活性分子にコンジュゲートされ得る。
【0424】
ポリペプチドスキャフォールドに関するさらなる情報については、例えば国際公開第2014/071978A1号パンフレットの背景セクション、およびその中で引用された参考文献を参照されたい。
【0425】
本発明は、アプタマーにさらに関する。アプタマー(例えば、国際公開第2014/191359号パンフレット、およびその中で引用される文献を参照されたい)は、短い一本鎖核酸分子であり、それは、所定の三次元構造に折り畳まれて、特異的標的構造体を認識し得る。それらは、標的療法を開発するための適切な代案のようであった。アプタマーは、高い親和性および特異性で、多様な複合体標的と選択的に結合することが示されている。
【0426】
細胞表面に位置する分子を認識するアプタマーは、過去10年内に同定されており、診断および治療的アプローチを開発する手段を提供する。アプタマーは、毒性および免疫原性がほぼ皆無であることが示されているので、それらは生物医学的用途のための有望な候補である。確かに、例えば、前立腺特異的膜抗原認識アプタマーなどのアプタマーは、標的療法のために成功裏に用いられており、異種移植片生体内モデルにおいて機能できることが示されている。さらに、特異的腫瘍細胞株を認識するアプタマーが同定されている。
【0427】
DNAアプタマーは、様々ながん細胞、特に固形腫瘍に由来するものに対して広域スペクトル認識特性を示す一方で、非腫瘍形成性および主要健常細胞を認識しないように選択され得る。同定されたアプタマーが、特異的腫瘍サブタイプを認識するだけでなく、むしろ一連の腫瘍と相互作用する場合、これは、アプタマーをいわゆる広域スペクトル診断薬および治療薬として応用可能にする。
【0428】
さらに、フローサイトメトリーによる細胞結合挙動の研究は、アプタマーが、ナノモル濃度範囲内の非常に良好な見かけの親和性を見せたことを示した。
【0429】
アプタマーは、診断および治療目的で有用である。さらに、アプタマーの一部は腫瘍細胞に取り込まれ、したがって腫瘍細胞内へのsiRNAなどの抗がん剤の標的化送達のための分子ビヒクルとして、機能し得ることが示され得た。
【0430】
アプタマーは、細胞SELEX(試験管内進化法)技術を使用して、細胞および組織などの複合体標的に対して、および本発明による配列番号1~配列番号161のいずれかに記載の配列とMHC分子とを含んでなり、好ましくはそれからなるペプチド複合体などに対して、選択され得る。
【0431】
本発明のペプチドを使用して、MHC/ペプチド複合体に対する特異的抗体が生成され、開発され得る。これらは、毒素または放射性物質を患部組織に標的化する治療法のために、使用され得る。これらの抗体の別の用途は、PETなどのイメージング目的の放射性核種の患部組織への標的化であり得る。この用途は、小規模な転移の検出、または病的組織のサイズと正確な位置確認の判定を助け得る。
【0432】
したがってHLA拘束性抗原と複合体化した、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIと特異的に結合する、組換え抗体を製造する方法を提供することが、本発明のさらなる態様であり、方法は、前記ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIを発現する細胞を含んでなる、遺伝子操作された非ヒト哺乳類を前記HLA拘束性抗原と複合体化した可溶性形態のMHCクラスIまたはII分子によって免疫化するステップと;mRNA分子を前記非ヒト哺乳類の抗体産生細胞から単離するステップと;前記mRNA分子によってコードされるタンパク質分子を提示する、ファージディスプレイライブラリーを作製するステップと;少なくとも1つのファージを前記ファージディスプレイライブラリーから単離するステップとを含んでなり、前記少なくとも1つのファージは、前記HLA拘束性抗原と複合体化した前記ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIと特異的に結合する、前記抗体を提示する。
【0433】
HLA拘束性抗原と複合体化したヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIと特異的に結合する抗体を提供することも、本発明のさらなる態様であり、その中で抗体は、好ましくは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体および/またはキメラ抗体である。
【0434】
このような抗体および一本鎖クラスI主要組織適合性複合体を製造するそれぞれの方法、ならびにこれらの抗体を製造するためのその他のツールは、本発明の目的で、その内容全体が参照により全て明示的に援用される、国際公開第03/068201号パンフレット、国際公開第2004/084798号パンフレット、国際公開第01/72768号パンフレット、国際公開第03/070752号パンフレット、および文献中(Cohen et al.,2003a;Cohen et al.,2003b;Denkberg et al.,2003)で開示される。
【0435】
好ましくは、抗体は、20ナノモル濃度未満、好ましくは10ナノモル濃度未満の結合親和性で複合体に結合し、それは本発明の文脈で「特異的」とも見なされる。
【0436】
本発明は、配列番号1~配列番号161からなる群から選択される配列、または配列番号1~配列番号161と少なくとも88%相同的な(好ましくは同一の)その変異体を含んでなるペプチド、またはT細胞を前記ペプチドと交差反応させるその変異体に関し、前記ペプチドは、基礎となる完全長ポリペプチドでない。
【0437】
本発明は、配列番号1~配列番号161からなる群から選択される配列、または、配列番号1~配列番号161と少なくとも88%相同的な(好ましくは同一の)その変異体を含んでなるペプチドにさらに関し、前記ペプチドまたは変異体は、8~100、好ましくは8~30、最も好ましくは8~14アミノ酸の全長を有する。
【0438】
本発明は、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIの分子に結合する能力を有する、本発明によるペプチドにさらに関する。
【0439】
本発明は、ペプチドが、配列番号1~配列番号161に記載のアミノ酸配列からなり、またはそれから本質的になる、本発明によるペプチドにさらに関する。
【0440】
本発明は、ペプチドが(化学的に)修飾された、および/または非ペプチド結合を含む、本発明によるペプチドにさらに関する。
【0441】
本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、ペプチドは、融合タンパク質の一部であり、特にHLA-DR抗原関連不変鎖(Ii)のN末端アミノ酸を含んでなり、またはペプチドは、例えば樹状細胞特異的抗体などの抗体に(またその中に)融合する。
【0442】
本発明は、本発明によるペプチドをエンコードする核酸にさらに関するが、ただしペプチドは完全(完全長)ヒトタンパク質でない。
【0443】
本発明は、DNA、cDNA、PNA、RNAまたはそれらの組み合わせである、本発明による核酸にさらに関する。
【0444】
本発明は、本発明による核酸を発現できる、発現ベクターにさらに関する。
【0445】
本発明は、医療において、特に膵臓がんの治療において使用される、本発明によるペプチド、本発明による核酸または本発明による発現ベクターにさらに関する。
【0446】
本発明は、本発明による核酸または本発明による発現ベクターを含んでなる、宿主細胞にさらに関する。
【0447】
本発明は、抗原提示細胞、好ましくは樹状細胞である、本発明による宿主細胞にさらに関する。
【0448】
本発明は、本発明による宿主細胞を培養するステップと、宿主細胞またはその培養液からペプチドを単離するステップとを含んでなる、本発明によるペプチドを製造する方法にさらに関する。
【0449】
本発明は、十分な量の抗原を抗原提示細胞に接触させることで、適切な抗原提示細胞の表面に発現されるクラスIまたはII MHC分子上に、抗原が負荷される、本発明による方法にさらに関する。
【0450】
本発明は、抗原提示細胞が、配列番号1~配列番号161または前記異アミノ酸配列を含有する、前記ペプチドを発現できる、発現ベクターを含んでなる、本発明による方法にさらに関する。
【0451】
本発明は、本発明による方法によって製造される活性化T細胞にさらに関し、前記T細胞は、本発明によるアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する細胞を選択的に認識する。
【0452】
本発明は、本発明によるT細胞の有効数を患者に投与するステップを含んでなる、患者において、本発明による任意のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する標的細胞を死滅させる方法にさらに関する。
【0453】
本発明は、記載される任意のペプチド、本発明による核酸、本発明による発現ベクター、本発明による細胞、または本発明による活性化細胞傷害性Tリンパ球の、薬剤としての、または薬剤の製造における、使用にさらに関する。本発明は、薬剤ががんに対して有効である、本発明による使用にさらに関する。
【0454】
本発明は、薬剤がワクチンである、本発明による使用にさらに関する。本発明は、薬剤ががんに対して有効である、本発明による使用にさらに関する。
【0455】
本発明は、発明による使用にさらに関し、前記がん細胞は、膵臓がん細胞であり、または肺がん、腎臓がん、脳がん、胃がん、結腸または直腸がん、肝臓がん、前立腺がん、白血病、乳がん、メルケル細胞がん(MCC)、メラノーマ、卵巣がん、食道がん、膀胱がん、子宮内膜がん、胆嚢がん、および胆管がんなどのその他の固形または血液学的腫瘍細胞である。
【0456】
本発明は、膵臓がんの診断および/または予後診断において使用され得る、本明細書で「標的」と称される、本発明によるペプチドベースの特定の標識タンパク質およびバイオマーカーにさらに関する。本発明はまた、がん治療のためのこれらの新規標的の使用に関する。
【0457】
「抗体(単数)」または「抗体(複数)」という用語は、本明細書では広義に使用され、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の双方を含む。無処理または「完全」免疫グロブリン分子に加えて、「抗体」という用語には、本発明による所望の特性(例えば、膵臓がんマーカー(ポリ)ペプチドの特異的結合、がんマーカー遺伝子を増大レベルで発現する膵臓がん細胞への毒素の送達、および/または膵臓がんマーカーポリペプチドの活性阻害)のいずれかを示しさえすれば、フラグメント(例えば、CDRs、Fv、Fab、およびFcフラグメント)、またはこれらの免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子ヒト化バージョンのポリマーもまた含まれる。
【0458】
可能な場合は常に、本発明の抗体は、商業的供給元から購入されてもよい。また本発明の抗体は、周知の方法を使用して生成されてもよい。当業者は、本発明の抗体を生成するために、完全長膵臓がんマーカーポリペプチドまたはそのフラグメントのどちらを使用してもよいことを理解するであろう。本発明の抗体を製造するために使用されるポリペプチドは、天然原料から部分的にまたは完全に精製されてもよく、または組換えDNA技術を使用して製造されてもよい。
【0459】
例えば、配列番号1~配列番号161ポリペプチドに記載のペプチドなどの本発明によるペプチドをコードするcDNA;またはその変異体またはフラグメントが、原核細胞(例えば、細菌)または真核細胞(例えば、酵母、昆虫、または哺乳類細胞)で発現され得て、その後、組換えタンパク質が精製されて、本発明による抗体を生成するために使用される、膵臓がんマーカーポリペプチドに特異的に結合する、モノクローナルまたはポリクローナル抗体製剤を生成するために使用され得る。
【0460】
当業者は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体の2つ以上の異なるセットの生成が、その目的の用途(例えば、ELISA、免疫組織化学的検査、生体内イメージング、免疫毒素療法)に必要な特異性および親和性を有する抗体を得る可能性を最大化することを理解するであろう。抗体は、それに対して抗体が使用される目的に従って、既知の方法によりそれらの所望の活性について試験される(例えば、ELISA、免疫組織化学的検査、免疫療法など;抗体の生成および試験のさらなるガイダンスについては、例えば、Greenfield、2014(Greenfield、2014))を参照されたい。例えば、抗体は、ELISAアッセイ、ウエスタンブロット、ホルマリン固定がんまたは冷凍組織切片の免疫組織化学染色で試験されてもよい。それらの最初の生体外特性解析後、治療または生体内診断用途を意図した抗体が、既知の臨床試験法によって試験される。
【0461】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書の用法では、実質的に均質な抗体集団から入手される抗体を指し;すなわち、母集団を構成する個々の抗体は、微量で存在してもよい可能な自然発生的変異以外は同一である。本明細書では、「モノクローナル抗体」は、それらが所望の拮抗活性を示しさえすれば、その中で重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来しまたは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する、抗体中の対応する配列と同一または相同的である一方、鎖の残部は、別の種に由来しまたは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同的である、「キメラ」抗体、ならびにこのような抗体のフラグメントを特に含む(その内容全体が本明細書に援用される、米国特許第4,816,567号明細書)。
【0462】
本発明のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法を使用して調製されてもよい。ハイブリドーマ法においては、マウスまたはその他の適切な宿主動物が免疫剤によって典型的に免疫化されて、免疫剤と特異的に結合する抗体を産生するまたは産生できるリンパ球を生じさせる。代案としては、リンパ球は、生体外で免疫化されてもよい。
【0463】
モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号明細書に記載されるものなどの組換えDNA法によって製造されるものであってもよい。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して、容易に単離および配列決定され得る(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子と特異的に結合できる、オリゴヌクレオチドプローブの使用によって)。
【0464】
インビトロ法もまた、一価の抗体を調製するのに適する。抗体フラグメント、特にFabフラグメントを作製するための抗体の消化は、当該技術分野で既知の通例の技術を使用して達成され得る。例えば、消化は、パパインを使用して実施され得る。パパイン消化の例は、国際公開第94/29348号パンフレットおよび米国特許第4,342,566号明細書に記載される。抗体のパパイン消化は、それぞれ単一抗原結合部位を有するFabフラグメントと称される2つの同一の抗原結合フラグメントと、残りのFcフラグメントとを典型的に生じる。ペプシン処理は、F(ab’)2フラグメントおよびpFc’フラグメントをもたらす。
【0465】
抗体フラグメントは、その他の配列に付着するかどうかに関わりなく、フラグメントの活性が非修飾抗体または抗体フラグメントと比較して顕著に変化せずまたは損なわれないという条件で、特定領域または特定アミノ酸残基の挿入、欠失、置換、またはその他の選択された修飾もまた含み得る。これらの修飾は、ジスルフィド結合できるアミノ酸の除去/付加、そのバイオ寿命増大、その分泌特性改変などのいくつかの追加的な特性を提供し得る。いずれにしても、抗体フラグメントは、結合活性、結合領域における結合調節などの生理活性特性を有しなくてはならない。抗体の機能性または活性領域は、タンパク質の特定領域の変異誘発と、それに続く発現と、発現したポリペプチドの試験によって同定されてもよい。このような方法は、当該技術分野の熟練した実務家には容易に分かり、抗体フラグメントをエンコードする核酸の部位特異的変異誘発を含み得る。
【0466】
本発明の抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体をさらに含んでなってもよい。非ヒト(例えばマウス)抗体などのヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそのフラグメント(抗体のFv、Fab、Fab’またはその他の抗原結合部分配列など)である。ヒト化抗体としては、その中でレシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト生物種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置換される、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)が挙げられる。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体または移入CDRまたはフレームワーク配列のどちらにも見いだされない、残基を含んでなってもよい。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つおよび典型的に2つの可変領域の実質的に全てを含んでなり、その中では、CDR領域の全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン共通配列のものである。ヒト化抗体は、至適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部もまた含んでなる。
【0467】
非ヒト抗体をヒト化する方法は、当該技術分野で周知である。通常、ヒト化抗体は、非ヒト起源から導入された、1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「移入」残基と称され、それは典型的に「移入」可変領域から得られる。ヒト化は、齧歯類CDR(複数)またはCDR(単数)配列を対応するヒト抗体配列によって置換することで、基本的に実施され得る。したがって、このような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号明細書)であり、その中では、実質的に非損傷ヒト可変領域未満が、非ヒト生物種からの対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は典型的にヒト抗体であり、その中ではいくつかのCDR残基と、おそらくはいくつかのFR残基とが、齧歯類抗体中の類似部位からの残基によって置換される。
【0468】
免疫化に際して、内因性免疫グロブリン生成不在下で、ヒト抗体の完全レパートリーを産生できる遺伝子組換え動物(例えばマウス)を用い得る。例えば、キメラおよび生殖細胞系変異マウスにおける、抗体重鎖連結領域遺伝子のホモ接合型欠失が、内因性抗体生成の完全阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖細胞系変異マウスにおけるヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイの転写は、抗原チャレンジに際してヒト抗体の産生をもたらす。ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリー中でも産生され得る。
【0469】
本発明の抗体は、好ましくは薬学的に許容できる担体中で、対象に投与される。典型的に、製剤中で適当量の薬理的に許容可能な塩が使用されて、製剤を等張にする。薬理的に許容可能な担体の例としては、生理食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液が挙げられる。溶液のpHは、好ましくは約5~約8、より好ましくは約7~約7.5である。さらなる担体としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックス徐放性製剤が挙げられ、そのマトリックスは、例えば、フィルム、リポソームまたは微粒子などの造形品の形態である。当業者には、例えば、投与される抗体の投与経路と濃度次第で、特定の担体がより好ましくあってもよいことが明らかであろう。
【0470】
抗体は、注射(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内)によって、またはその有効形態での血流への送達を確実にする輸液などのその他の方法によって、対象、患者、または細胞に投与され得る。抗体はまた、腫瘍内または腫瘍周囲経路によって投与されて、局所性ならびに全身性の治療効果を発揮してもよい。局所注射または静脈注射が好ましい。
【0471】
抗体を投与するための有効投与量およびスケジュールは、経験的に判定されてもよく、このような測定の実施は、当該技術分野の技術範囲内である。当業者は、投与しなくてはならない抗体用量が、例えば、抗体を投与される対象、投与経路、使用される特定の抗体型、および投与されるその他の薬剤次第で変動することを理解するであろう。単独使用される抗体の典型的な1日量は、上述の要素次第で、1日当たり約1(μg/kg~最大100mg/kg体重またはそれ以上の範囲に及ぶかもしれない。好ましくは膵臓がんを治療するための抗体投与に続いて、治療用抗体の効力が、熟練した実務家に良く知られている様々な方法で評価され得る。例えば、標準腫瘍イメージング技術を使用して、治療を受ける対象におけるがんのサイズ、数、および/または分布がモニターされてもよい。抗体投与不在下で起こるであろう疾患経過と比較して、腫瘍成長を停止させ、腫瘍収縮をもたらし、および/または新規腫瘍の発生を予防する、治療的に投与された抗体は、がん治療のための有効な抗体である。
【0472】
特異的ペプチド-MHC複合体を認識する可溶性T細胞受容体(sTCR)を製造する方法を提供することもまた、本発明のさらなる態様である。このような可溶性T細胞受容体は、特異的T細胞クローンから生成され得て、それらの親和性は、相補性決定領域を標的とする変異誘発によって増大させ得る。T細胞受容体の選択目的で、ファージディスプレイを利用し得る(米国特許第2010/0113300号明細書、(Liddy et al.,2012))。ファージディスプレイ中に、そして薬剤として実用する際に、T細胞受容体を安定化させる目的で、例えば、非天然ジスルフィド結合、その他の共有結合(一本鎖T細胞受容体)、または二量体化ドメインによって、αおよびβ鎖を連結させ得る(Boulter et al.,2003;Card et al.,2004;Willcox et al.,1999)。T細胞受容体は、標的細胞上で特定機能を発揮させるために、毒素、薬剤、サイトカイン(例えば、米国特許第2013/0115191号明細書を参照されたい)、および抗CD3ドメインのようなエフェクター細胞動員ドメインなどに、連結させ得る。さらにそれは、養子免疫伝達のために使用されるT細胞において発現され得る。さらなる情報は、国際公開第2004/033685A1号パンフレットおよび国際公開第2004/074322A1号パンフレットにある。TCRの組み合わせは、国際公開第2012/056407A1号パンフレットに記載される。さらなる製造法は、国際公開第2013/057586A1号パンフレットで開示される。
【0473】
さらに本発明のペプチドおよび/またはTCRまたは抗体またはその他の結合分子を使用して、病理学者の生検サンプルに基づくがん診断を確認し得る。
【0474】
抗体またはTCRはまた、生体内診断アッセイのために使用されてもよい。通常、抗体は、免疫シンチグラフィー(immunoscintiography)を使用して腫瘍が位置確認され得るように、放射性ヌクレオチド(111In、99Tc、14C、131I、H、32Pまたは35Sなど)で標識される。一実施形態では、抗体またはそれらのフラグメントは、上述のタンパク質からなる群から選択されるタンパク質の2つ以上の標的の細胞外ドメインに結合し、親和性(Kd)は1×10μM未満である。
【0475】
診断用の抗体は、様々なイメージング法による検出に適するプローブで標識されてもよい。プローブの検出方法としては、蛍光、光学、共焦点および電子顕微鏡検査;磁気共鳴画像法および分光法;蛍光透視法、コンピュータ断層撮影および陽電子放射型断層撮影法が挙げられるが、これに限定されるものではない。適切なプローブとしては、フルオレセイン、ローダミン、エオジンおよびその他のフルオロフォア、放射性同位体、金、ガドリニウムおよびその他のランタニド、常磁性鉄、フッ素18およびその他の陽電子放出放射性核種が挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに、プローブは二官能価または多官能価であってもよく、列挙される方法の2つ以上によって検出可能であってもよい。これらの抗体は、前記プローブで直接または間接的に標識されてもよい。特に十分に技術分野で承認されている、プローブの抗体への付着としては、プローブの共有結合、プローブの抗体への組み込み、およびプローブ結合のためのキレート化合物の共有結合が挙げられる。免疫組織化学的検査では、疾患組織サンプルは、新鮮または冷凍であってもよく、またはパラフィン包埋されてホルマリンなどの保存料で固定されてもよい。サンプルを含有する固定または包埋切片は、標識一次抗体および二次抗体と接触されて、抗体を使用して原位置タンパク質発現が検出される。
【0476】
本発明の別の態様は、活性化T細胞を製造するインビトロ法を含み、方法は、生体外T細胞を、適切な抗原提示細胞の表面に発現される抗原負荷ヒトMHC分子に、T細胞を抗原特異的様式で活性化するのに十分な時間にわたり接触させるステップを含んでなり、抗原は本発明によるペプチドである。好ましくは、抗原提示細胞と共に、十分な量の抗原が使用される。
【0477】
好ましくは、哺乳類細胞は、TAPペプチド輸送体のレベルまたは機能が皆無でありまたは低下している。TAPペプチド輸送体が欠如している適切な細胞としては、T2、RMA-S、およびショウジョウバエ細胞が挙げられる。TAPは、抗原処理に関連する輸送体である。
【0478】
ヒトペプチド負荷欠損細胞株T2は、12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryland 20852,USAの米国微生物系統保存機関からカタログ番号CRL1992の下に入手でき;ショウジョウバエ細胞株Schneider株2は、カタログ番号CRL19863の下にATCCから入手でき;マウスRMA-S細胞株は、Ljunggren et al.(Ljunggren and Karre,1985)に記載される。。
【0479】
好ましくは、移入前に、宿主細胞は、MHCクラスI分子を実質的に発現しない。刺激因子細胞が、B7.1、B7.2、ICAM-1、およびLFA3のいずれかなどのT細胞のための共刺激シグナルを提供するのに重要な分子を発現することもまた好ましい。多数のMHCクラスI分子および共刺激因子分子の核酸配列は、GenBankおよびEMBLデータベースから公的に入手可能である。
【0480】
MHCクラスIエピトープが抗原として使用される場合、T細胞はCD8陽性T細胞である。
【0481】
抗原提示細胞が、このようなエピトープを発現するために形質移入される場合、好ましくは、細胞は、配列番号1~配列番号161、またはその変異アミノ酸配列を含有するペプチドを発現する能力がある発現ベクターを含んでなる。
【0482】
生体外でT細胞を製造するために、その他のいくつかの方法が使用されてもよい。例えば、自己由来腫瘍浸潤性リンパ球が、CTLを生成するために使用され得る。Plebanski et al.(Plebanski et al.,1995)は、T細胞の調製において、自己由来末梢血リンパ球(PLB)を利用した。さらに、樹状細胞をペプチドまたはポリペプチドでパルス処理する、または組換えウイルスで感染させることによる、自己由来T細胞の製造も可能である。B細胞もまた、自己由来T細胞の製造において使用され得る。さらに、ペプチドまたはポリペプチドでパルス処理された、または組換えウイルスで感染されたマクロファージが、自己CTLの調製において使用されてもよい。S.Walter et al.(Walter et al.,2003)は、人工抗原提示細胞(aAPC)を使用したT細胞の生体外プライミングを記載し、それはまた、選択されたペプチドに対するT細胞を製造するための適切な方法でもある。本発明では、ビオチン:ストレプトアビジン生化学によって、あらかじめ形成されたMHC:ペプチド複合体を表面ポリスチレン粒子(ミクロビーズ)に共役することで、aAPCが生成された。このシステムは、aAPC上のMHC密度の正確な調節を可能にし、それは、血液サンプルから高効率で、高または低結合活性の抗原特異的T細胞応答を選択的に引き起こすことを可能にする。MHC:ペプチド複合体の他に、aAPCは、それらの表面に共役する、抗CD28抗体のような共刺激活性を有するその他のタンパク質を保有すべきである。さらにこのようなaAPCベースのシステムは、例えばサイトカイン様インターロイキン12などの適切な可溶性因子の付加を要することが多い。
【0483】
同種異系細胞はまた、T細胞の調製において使用されてもよく、方法は、参照により本明細書に援用される、国際公開第97/26328号パンフレットで詳述される。例えば、ショウジョウバエ細胞およびT2細胞に加えて、その他の細胞を使用して、CHO細胞、バキュロウイルス感染昆虫細胞、細菌、酵母、およびワクシニア感染標的細胞などの抗原が提示されてもよい。さらに植物ウイルスが使用されてもよい(例えば、外来性ペプチド提示のための高収率システムとしてのササゲモザイクウイルス開発を記載するPorta et al.(Porta et al.,1994を参照されたい)。
【0484】
本発明のペプチドに向けられた活性化T細胞は、治療法において有用である。したがって、本発明のさらなる態様は、前述の本発明の方法によって入手可能な活性化T細胞を提供する。
【0485】
上記方法によって製造される活性化T細胞は、配列番号1~配列番号161のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する細胞を選択的に認識する。
【0486】
好ましくは、T細胞は、そのTCRを通じた、HLA/ペプチド複合体(例えば結合)との相互作用によって、細胞を認識する。T細胞は、その標的細胞が、本発明のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する患者において、標的細胞を死滅させる方法で有用であり、患者には有効数の活性化T細胞が投与される。患者に投与されるT細胞は、患者に由来して、上述のように活性化されてもよい(すなわち、それらは自己T細胞である)。代案としては、T細胞は、患者でなく別の個人に由来する。もちろん、個人が健常人であれば、それが好ましい。「健常人」によって、本発明者らは、個人が概して健康良好であり、好ましくは有能な免疫系を有して、より好ましくは容易に検査され検出され得るいかなる疾患にも罹患していないことを意味する。
【0487】
生体内で、本発明によるCD8陽性T細胞の標的細胞は、(時にMHCクラスIIを発現する)腫瘍細胞であり得て、および/または(時にMHCクラスIIもまた発現する;(Dengjel et al.,2006))腫瘍(腫瘍細胞)周囲の間質細胞であり得る。
【0488】
本発明のT細胞は、治療用組成物の活性成分として使用されてもよい。したがって、本発明は、その標的細胞が、本発明のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する患者において、標的細胞を死滅させる方法もまた提供し、方法は、上で定義されるようなT細胞の有効数を患者に投与するステップを含んでなる。
【0489】
「異常に発現される」によって、本発明者らは、正常な発現レベルと比較して、ポリペプチドが過剰発現されること、または腫瘍がそれに由来する組織においては遺伝子がサイレントであるが、腫瘍においてはそれが発現されることもまた意味する。「過剰発現」によって、本発明者らは、ポリペプチドが、正常組織に存在するレベルの少なくとも1.2倍のレベルで;好ましくは正常組織に存在するレベルの少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍または10倍のレベルで存在することを意味する。
【0490】
T細胞は、例えば上で記載されるものなどの当該技術分野で公知の方法によって得られてもよい。
【0491】
T細胞のこのいわゆる養子免疫伝達のためのプロトコルは、当該技術分野で周知である。概説は、Gattioni et al.and Morgan et al.(Gattinoni et al.,2006;Morgan et al.,2006)にある。
【0492】
本発明の別の態様は、その核酸がクローン化されて、好ましくはT細胞である宿主細胞に導入されるT細胞受容体を生成するための、MHCと複合体形成するペプチドの使用を含む。次に、この遺伝子操作T細胞は、がん治療のために患者に移入され得る。
【0493】
本発明の任意の分子、すなわちペプチド、核酸、抗体、発現ベクター、細胞、活性化T細胞、T細胞受容体またはそれをエンコードする核酸は、免疫応答を逃れた細胞によって特徴付けられる障害の治療に有用である。したがって本発明の任意の分子は、薬剤として、または薬剤の製造において使用されてもよい。分子は、単独で、または本発明のその他の分子または既知の分子との組み合わせで、使用されてもよい。
【0494】
本発明は、
(a)溶液中のまたは凍結乾燥形態の上述の医薬組成物を含有する容器;
(b)任意選択的に、凍結乾燥製剤のための希釈剤または再構成溶液を含有する第2の容器;および
(c)任意選択的に、(i)溶液の使用、または(ii)凍結乾燥製剤の再構成および/または使用のための取扱説明書
を含んでなるキットをさらに目的とする。
【0495】
キットは、(iii)緩衝液、(iv)希釈剤、(V)濾過、(vi)針、または(V)シリンジの1つまたは複数をさらに含んでなってもよい。容器は、好ましくは、ボトル、バイアル、シリンジまたは試験管であり;それは、多回使用容器であってもよい。医薬組成物は、好ましくは凍結乾燥される。
【0496】
本発明のキットは、好ましくは、適切な容器内の本発明の凍結乾燥製剤と、その再構成および/または使用のための取扱説明書とを含んでなる。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル(例えば二重チャンバーバイアル)、シリンジ(二重チャンバーシリンジなど)、および試験管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの多様な材料から形成されてもよい。好ましくは、キットおよび/または容器は、容器上の、または容器に付随する、取扱説明を含み、それは再構成および/または使用上の指示を示す。例えば、ラベルは、凍結乾燥製剤が、上述されるようなペプチド濃度に再構成されることを表示してもよい。ラベルは、製剤が皮下投与に有用であり、または皮下投与用であることをさらに表示してもよい。
【0497】
製剤を収容する容器は、多回使用バイアルであってもよく、それは再構成製剤の反復投与(例えば2~6回の投与)を可能にする。キットは、適切な希釈剤(例えば、炭酸水素ナトリウム溶液)を含んでなる、第2の容器をさらに含んでなってもよい。
【0498】
希釈剤と凍結乾燥製剤の混合時に、再構成製剤中の最終ペプチド濃度は、好ましくは少なくとも0.15mg/mL/ペプチド(=75μg)であり、好ましくは3mg/mL/ペプチド(=1500μg)以下である。キットは、その他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および取扱説明が掲載されるパッケージインサートをはじめとする、商業的および使用者観点から望ましい、その他の物品をさらに含んでもよい。
【0499】
本発明のキットは、その他の構成要素(例えば、その他の化合物またはこれらのその他の化合物の医薬組成物)が添加されたまたは添加されない、本発明による医薬組成物製剤を含有する単回容器を有してもよく、または各構成要素のための別個の容器を有してもよい。
【0500】
好ましくは、本発明のキットは、第2の化合物(アジュバント(例えばGM-CSF)、化学療法剤、天然物、ホルモンまたは拮抗薬、抗血管新生因子または阻害剤、アポトーシス誘導剤またはキレート剤など)またはその医薬組成物の同時投与と合わせて使用するためにパッケージされた、本発明の製剤を含む。キットの構成要素は、あらかじめ混合されてもよく、または各構成要素は、患者への投与前に別個の異なる容器内にあってもよい。キットの構成要素は、1つまたは複数の液体溶液、好ましくは水溶液、より好ましくは無菌水溶液中で、提供されてもよい。またキットの構成要素は、固体として提供されてもよく、それは、好ましくは別の異なる容器内に提供される、適切な溶媒の添加によって液体に変換されてもよい。
【0501】
治療用キットの容器は、バイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、または固体または液体を封入するその他のあらゆる手段であってもよい。通常、2つ以上の構成要素がある場合、キットは、第2のバイアルまたはその他の容器を含有して、別々の投薬を可能にする。キットは、薬学的に許容可能な液体のための別の容器もまた、含有してもよい。好ましくは、治療用キットは、装置(例えば、1本または複数本の針、シリンジ、点眼器、ピペットなど)を含有して、本キットの構成要素である本発明の作用物質の投与を可能にする。
【0502】
本製剤は、経口(腸内)、経鼻、眼、皮下、皮内、筋肉内、静脈内または経皮などの任意の許容できる手段によるペプチド投与に適するものである。好ましくは、投与はs.c.であり、最も好ましくはi.d.投与であり、輸液ポンプによってもよい。
【0503】
本発明のペプチドは膵臓がんから単離されるので、本発明の薬剤は、好ましくは膵臓がんを治療するために使用される。
【0504】
本発明は、予備スクリーニングTUMAPの貯蔵庫から選択される少なくとも1つのペプチドを含んでなる、医薬組成物を製造するステップを含んでなる、個々の患者のための個別化医薬品を製造する方法にさらに関し、医薬組成物中で使用される少なくとも1つのペプチドは、個々の患者における適切さについて選択される。一実施形態では、医薬組成物はワクチンである。方法はまた、TCR単離などの下流用途、または可溶性抗体、およびその他の治療選択肢のためのT細胞クローンを製造するためにも適応され得る。
【0505】
「個別化医薬品」は、積極的個別化がんワクチンおよび自己由来患者組織を使用した養子細胞療法をはじめとする、このような個々の患者の治療のためにのみ使用される、一個人の患者のために特に調整された治療法を意味するものとする。
【0506】
本明細書の用法では、「貯蔵庫」という用語は、特定の腫瘍型における免疫原性および/または過剰提示について予備スクリーニングされている、一群のまたは一組のペプチドを指すものとする。「貯蔵庫」という用語は、ワクチンに含まれる特定のペプチドが、予備製造されて物理的設備内で貯蔵されることを暗示することは意図されないが、その可能性も検討される。ペプチドは、製造される各個別化ワクチンのために新規に製造されてもよく、または予備製造されて貯蔵されてもよいことが、明示的に検討される。貯蔵庫(例えば、データベースの形態)は、様々なHLA-AHLA-BおよびHLA-C対立遺伝子を有する膵臓がん患者の腫瘍組織において高度に過剰発現される、腫瘍関連ペプチドから構成される。それは、MHCクラスIおよびMHCクラスIIペプチドまたは伸長MHCクラスIペプチドを含有してもよい。いくつかの膵臓がんサンプルから採取された腫瘍関連ペプチドに加えて、貯蔵庫は、HLA-A*02およびHLA-A*24標識ペプチドを含有してもよい。これらのペプチドは、TUMAPによって誘導されるT細胞免疫の規模を定量的に比較できるようにし、したがって抗腫瘍応答を引き起こすワクチンの能力について、重要な結論が導かれるようにする。第2に、それらは、患者において、「自己」抗原に由来するTUMAPに対するいかなるワクチン誘導T細胞応答も観察されない症例において、「非自己」抗原に由来する重要な陽性対照ペプチドとして機能する。第3に、それは、患者の免疫能力状態に関する結論が導かれるようにしてもよい。
【0507】
貯蔵庫のためのTUMAPは、遺伝子発現解析、質量分析、およびT細胞免疫学を組み合わせた、統合ゲノム機能解析アプローチ(XPresident(登録商標))を使用して同定される。アプローチは、高い割合の腫瘍上に真に存在するが、正常組織上では発現されず、または最小限にのみ発現されるTUMAPだけが、さらなる分析のために選択されることを保証する。最初のペプチド選択のために、膵臓がんサンプルおよび健常ドナーからの血液を段階的アプローチで分析した:
1.悪性物質からのHLAリガンドを質量分析法によって同定した
2.ゲノム規模メッセンジャーリボ核酸(mRNA)発現解析を使用して、一連の正常器官および組織と比較して悪性組織(膵臓がん)中の遺伝子過剰発現を同定した
3.同定されたHLAリガンドを遺伝子発現データと比較した。好ましくは、ステップ2で検出されたような選択的に発現されまたは過剰発現される遺伝子によってコードされる、腫瘍組織上で過剰提示されまたは選択的に提示されるペプチドが、多重ペプチドワクチンのための適切なTUMAP候補と見なされた。
【0508】
4.同定されたペプチドのTUMAPとしての妥当性を支持する追加的な証拠を同定するために、文献調査を実施した
5.mRNAレベルでの過剰発現の関連性をステップ3からの選択されたTUMAPの腫瘍組織上における再検出と、健常組織における検出の欠如(またはまれな)検出によって確認した。
【0509】
6.選択されたペプチドによる生体内T細胞応答の誘導が可能かどうかを評価するために、健常ドナーならびに膵臓がん患者からのヒトT細胞を使用して、生体外免疫原性アッセイを実施した。
【0510】
一態様では、貯蔵庫に含める前に、ペプチドが免疫原性について予備スクリーニングされる。制限を意図しない一例として、貯蔵庫に包含されるペプチドの免疫原性は、ペプチド/MHC複合体および抗CD28抗体が負荷された人工抗原提示細胞による、健常ドナーからのCD8+T細胞の反復刺激を通じた、生体外T細胞プライミングを含んでなる方法によって判定される。
【0511】
この方法は、稀ながんに、そして稀な発現プロファイルを有する患者にとって、好ましい。一定組成を有する多重ペプチド混合物とは対照的に、現在開発されている貯蔵庫は、腫瘍における抗原の実際の発現とワクチンとの顕著により高いマッチングを可能にする。多標的アプローチでは、各患者のために、選択された単一のまたは組み合わされた数種の「既製」ペプチドが利用される。理論上は、例えば50個の抗原性ペプチドのライブラリーからの5個の異なる抗原性ペプチドの選択に基づくアプローチは、それだけでおよそ1700万個の可能な医薬品(DP)組成物をもたらす。
【0512】
一態様では、ペプチドは、本明細書に記載される、または以下のような本発明による方法に基づく、個々の患者に対するそれらの適切さに基づいて、ワクチンへの包含のために選択される。
【0513】
HLA表現型、トランスクリプトミクスおよびペプチドミクスデータが、患者の腫瘍材料および血液サンプルから収集されて、「貯蔵庫」および患者に特有の(すなわち変異)TUMAPを含有する、各患者に対して最も適切なペプチドが同定される。患者の腫瘍において選択的にまたは過剰発現されて、可能であれば、患者の個々のPBMCと共に試験すると、強力な生体外免疫原性を示すペプチドが選択される。
【0514】
好ましくは、ワクチンに含まれるペプチドは、(a)個々の患者からの腫瘍サンプルによって提示される腫瘍関連ペプチド(TUMAP)を同定するステップと;(b)(a)で同定されたペプチドを上述のペプチド貯蔵庫と比較するステップと;(c)少なくとも1つのペプチドを患者において同定された腫瘍関連ペプチドに関連がある貯蔵庫(データベース)から選択するステップとを含んでなる方法によって同定される。例えば、腫瘍サンプルによって提示されるTUMAPは、(a1)前記腫瘍サンプルからの発現データを前記腫瘍サンプルの組織型に対応する正常組織サンプルからの発現データと比較して、前記腫瘍サンプルにおいて過剰発現されまたは異常に発現されるタンパク質を同定するステップと;(a2)発現データを腫瘍サンプル中のMHCクラスIおよび/またはクラスII分子と結合しているMHCリガンドの配列と相関させて、腫瘍によって過剰発現されまたは異常に発現されるタンパク質に由来するMHCリガンドを同定するステップとによって同定される。好ましくは、MHCリガンドの配列は、腫瘍サンプルから単離されたMHC分子から結合ペプチドを溶出させて、溶出したリガンドを配列決定することで同定される。好ましくは、腫瘍サンプルおよび正常組織は、同一患者から入手される。
【0515】
貯蔵庫(データベース)モデルを使用してペプチドを選択するのに加えて、またはその代案として、TUMAPを患者において新規に同定し、次に、ワクチンに含めてもよい。一実施例として、(a1)前記腫瘍サンプルからの発現データを前記腫瘍サンプルの組織型に対応する正常組織サンプルからの発現データと比較して、前記腫瘍サンプルにおいて過剰発現されまたは異常に発現されるタンパク質を同定するステップと;(a2)発現データを腫瘍サンプル中のMHCクラスIおよび/またはクラスII分子と結合しているMHCリガンドの配列と相関させて、腫瘍によって過剰発現されまたは異常に発現されるタンパク質に由来するMHCリガンドを同定するステップとによって、候補TUMAPが患者において同定されてもよい。別の実施例として、個々の患者からの正常な対応組織と比較して、腫瘍サンプルに特有の変異を含有するタンパク質が同定されてもよく、特異的に変異を標的とするTUMAPが同定され得る。例えば、腫瘍のゲノム、および対応する正常組織のゲノムは、全ゲノム配列決定によって配列決定され得る。遺伝子のタンパク質コード領域における非同義の変異を発見するために、ゲノムDNAおよびRNAが腫瘍組織から抽出され、正常な非変異ゲノム生殖細胞系DNAが末梢血単核細胞(PBMC)から抽出される。適用されたNGSアプローチは、タンパク質コード領域の再配列決定(エクソーム再配列決定)に限定される。この目的で、供給業者が提供する標的富化キットを使用して、ヒトサンプルからのエクソンDNAが捕捉され、例えばHiSeq2000(Illumina)による配列決定がそれに続く。それに加えて、遺伝子発現の直接定量化と、変異遺伝子が患者の腫瘍において発現されることの妥当性評価とのために、腫瘍mRNAが配列決定される。結果として得られる数百万の配列読み取りは、ソフトウェアアルゴリズムを通じて処理される。出力一覧は、変異および遺伝子発現を含有する。PBMC由来生殖細胞系の多様性と比較することで腫瘍特異的体細胞突然変異が判定され、優先順位がつけられる。次に、新規に同定されたペプチドは、貯蔵庫について上述した免疫原性について試験され得て、適切な免疫原性を保持する候補TUMAPが、ワクチンへの包含のために選択される。
【0516】
例示的一実施形態では、ワクチンに包含されるペプチドは、(a)個々の患者からの腫瘍サンプルによって提示される腫瘍関連ペプチド(TUMAP)を上述の方法(方法)によって同定するステップと;(b)a)で同定されたペプチドを対応する正常組織との比較で腫瘍における免疫原性および過剰提示について予備選別されたペプチドの貯蔵庫と比較するステップと;(c)少なくとも1つのペプチドを患者において同定された腫瘍関連ペプチドに関連がある貯蔵庫から選択するステップと;(d)任意選択的に、(a)で新規に同定された少なくとも1つのペプチドを選択して、その免疫原性を確認するステップとによって同定される。
【0517】
例示的一実施形態では、ワクチンに包含されるペプチドは、(a)個々の患者からの腫瘍サンプルによって提示される腫瘍関連ペプチド(TUMAP)を同定するステップと;(b)(a)で新規に同定された少なくとも1つのペプチドを選択して、その免疫原性を確認するステップとによって同定される。
【0518】
ひとたび個別化ペプチドベースのワクチンのためのペプチドを選択したら、ワクチンを製造する。ワクチンは、好ましくは、約33%DMSOなどの20~40%DMSO、好ましくは約30~35%DMSOに溶解された、個々のペプチドからなる液体製剤である。
【0519】
製品に包含される各ペプチドをDMSOに溶解する。単一ペプチド溶液の濃度は、製品に包含されるペプチド数に応じて選択しなくてはならない。単一ペプチドDMSO溶液を等量で混合し、ペプチド当たり約2.5mg/mlの濃度で、製品に包含される全てのペプチドを含有する溶液を得る。次に、混合溶液を注射用水で1:3に希釈して、33%DMSO中でペプチド当たり0.826mg/mlの濃度を得る。希釈溶液を0.22μmの無菌フィルターを通して濾過する。最終バルク溶液を得る。
【0520】
最終バルク溶液をバイアルに充填して、使用時まで-20℃で保存する。1本のバイアルは、0.578mgの各ペプチドを含有する700μLの溶液を含有する。この内、500μL(ペプチド当たりおよそ400μg)を皮内注射のために適用する。
【0521】
がんを治療するために有用であるのに加えて、本発明のペプチドは、診断法としてもまた有用である。ペプチドは膵臓がんサンプルから生成されたので、そしてこれらのペプチドは正常組織には存在せずまたはより低レベルで存在すると判定されたので、これらのペプチドを利用してがんの存在を診断し得る。
【0522】
特許請求されるペプチドの血液サンプル中の組織生検上の存在は、がん診断において病理学者を補佐し得る。抗体、質量分析法またはその他の当該技術分野で公知の方法の手段による特定のペプチドの検出は、組織サンプルが悪性または炎症性または概して病的であることを病理学者に告げ得て、または膵臓がんのバイオマーカーとして利用され得る。ペプチド基の存在は、病的組織の分類または下位分類を可能にし得る。
【0523】
患部組織検体上のペプチドの検出は、特にTリンパ球が作用機序に関与することが知られておりまたは予測される場合に、免疫系が関与する治療法の利点を判定できるようにする。MHC発現の喪失は、それによって感染悪性細胞が免疫監視を逃れる、十分に説明された機序である。したがってペプチドの存在は、この機序が、分析した細胞によって活用されていないことを示す。
【0524】
本発明のペプチドは、ペプチドまたはMHC分子と複合体化したペプチドに対するT細胞応答または抗体応答などの、これらのペプチドに対するリンパ球応答を分析するのに使用されるかもしれない。これらのリンパ球応答は、さらなる治療段階を決定するための予後マーカーとして使用され得る。これらの応答はまた、例えば、タンパク質、核酸、自己材料のワクチン接種や、リンパ球の養子免疫伝達などの異なる手段によるリンパ球応答の誘導を目指す、免疫療法アプローチにおける代理応答マーカーとして使用され得る。遺伝子治療の設定では、副作用の評価において、ペプチドに対するリンパ球応答が考慮され得る。リンパ球応答のモニタリングはまた、例えば移植片対宿主病および宿主対移植片病の検出など、移植治療の経過観察検査のための有益な手段かもしれない。
【0525】
本発明をここで、その好ましい実施形態を描写する以下の実施例において、添付図面を参照して説明するが、それでもなお、それらには限定されないものとする。本発明の目的で、本明細書で引用される全ての参考文献は、その内容全体が参照により援用される。
【図面の簡単な説明】
【0526】
図1A】正常組織(白色バー)および膵臓がん(黒色バー)における様々なペプチドの過剰提示を示す。図1A)遺伝子記号:PTGS1、PTGS2、ペプチド:ILIGETIKI(配列番号3)、組織左から右:1脂肪組織、3副腎、6動脈、5骨髄、7脳、3乳房、1神経、13結腸、1卵巣、8食道、2胆嚢、5心臓、16腎臓、21肝臓、46肺、3リンパ節、4白血球サンプル、3卵巣、4末梢神経、1腹膜、3脳下垂体、2胎盤、3胸膜、3前立腺、6直筋、7唾液腺、3骨格筋、5皮膚、2小腸、4脾臓、7胃、4精巣、3胸腺、4甲状腺腺、7気管、3尿管、6膀胱、2子宮、2静脈、7膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、4/91肺がん,1/20卵巣がん,1/24結腸直腸がん,1/18腎臓がん,および1/4膀胱がん上でさらに検出された(図示せず)。図1B)遺伝子記号:COL1A2、ペプチド:FVDTRTLL(配列番号1)、組織左から右:1脂肪組織、3副腎、6動脈、5骨髄、7脳、3乳房、1神経、13結腸、1卵巣、8食道、2胆嚢、5心臓、16腎臓、21肝臓、46肺、3リンパ節、4白血球サンプル、3卵巣、4末梢神経、1腹膜、3脳下垂体、2胎盤、3胸膜、3前立腺、6直筋、7唾液腺、3骨格筋、5皮膚、2小腸、4脾臓、7胃、4精巣、3胸腺、4甲状腺腺、7気管、3尿管、6膀胱、2子宮、2静脈、7膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、3/91肺がんおよび1/17食道がん上でさらに検出された。図1C)遺伝子記号:PTPN14、ペプチド:AQYKFVYQV(配列番号12)、組織左から右:1脂肪組織、3副腎、6動脈、5骨髄、7脳、3乳房、1神経、13結腸、1卵巣、8食道、2胆嚢、5心臓、16腎臓、21肝臓、46肺、3リンパ節、4白血球サンプル、3卵巣、4末梢神経、1腹膜、3脳下垂体、2胎盤、3胸膜、3前立腺、6直筋、7唾液腺、3骨格筋、5皮膚、2小腸、4脾臓、7胃、4精巣、3胸腺、4甲状腺腺、7気管、3尿管、6膀胱、2子宮、2静脈、7膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、1/20卵巣がん、2/17食道がん、1/46胃がん、1/91肺がん、および1/18腎臓がん上でさらに検出された。図1D)遺伝子記号:UBR1、ペプチド:SLMDPNKFLLL(配列番号115)、組織左から右:13膵臓細胞株、2PBMC培養物、1前立腺細胞培養物、3皮膚細胞株、7正常組織(1肝臓、2肺、2脾臓、1胃、1気管)、62がん組織(8脳がん、2乳がん、2結腸がん、1食道がん、1胆嚢がん、5腎臓がん、3白血病、6肝臓がん、19肺がん、5卵巣がん、1膵臓がん、3前立腺がん、3直腸がん、1皮膚がん、2膀胱がん)。試験された、正常組織パネル(疾患なし)およびがん細胞株および異種移植片は、図1A)~Cと同じであり、1脂肪組織、3副腎、6動脈、5骨髄、7脳、3乳房、1神経、13結腸、1卵巣、8食道、2胆嚢、5心臓、16腎臓、21肝臓、46肺、3リンパ節、4白血球サンプル、3卵巣、4末梢神経、1腹膜、3脳下垂体、2胎盤、3胸膜、3前立腺、6直筋、7唾液腺、3骨格筋、5皮膚、2小腸、4脾臓、7胃、4精巣、3胸腺、4甲状腺腺、7気管、3尿管、6膀胱、2子宮、2静脈、7膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプルからなった。ペプチドは、1/6乳がん、5/24結腸直腸がん、1/2胆嚢/胆管がん、6/16肝臓がん、1/2メラノーマ、5/20卵巣がん、1/17食道がん、3/12白血病、7/29脳がん、16/91非小細胞細胞肺がん、3/33前立腺がん、3/18腎臓がん、3/14小細胞肺がん、および1/4膀胱がん上でさらに検出された図1Dと表4との間の腫瘍型に関する齟齬は、表4に適用されたより厳密な選択基準に起因してもよい(詳細は表4を参照されたい)。図1Dは、過剰提示パラメータおよび技術的サンプル品質試験にかかわりなく、ペプチドYの検出可能な提示があった全てのサンプルを示す。図1E)遺伝子記号:NUP205、ペプチド:ALLTGIISKA(配列番号5)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、2/34脳がん、1/18乳がん、2/29結腸または直腸がん、1/18食道がん、1/8頭頸部がん、1/21肝臓がん、8/107肺がん、1/20リンパ節がん、1/20卵巣がん、1/18皮膚がん、2/15膀胱がん、1/16子宮がん上でさらに見いだされた。図1F)遺伝子記号:NUP160、ペプチド:ALWHDAENQTVV(配列番号19)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、2/17胆嚢または胆管がん、2/34脳がん、1/18乳がん、1/18食道がん、1/21肝臓がん、8/107肺がん、2/18皮膚がん、2/15膀胱がん、1/16子宮がん上でさらに見いだされた。図1G)遺伝子記号:C11orf80、ペプチド:ILSTEIFGV(配列番号22)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、3/18乳がん、1/17胆嚢がん、1/8頭頸部がん、5/17白血病、6/107肺がん、4/20リンパ節がん、1/20卵巣がん、1/19膵臓がん、1/18皮膚がん、1/21胃がん上でさらに見いだされた。図1H)遺伝子記号:FAM83D、ペプチド:FLNPDEVHAI(配列番号37)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、2/17胆嚢または胆管がん、2/34脳がん、3/18乳がん、6/29結腸または直腸がん、2/18食道がん、2/8頭頸部がん、1/23腎臓がん、5/21肝臓がん、25/107肺がん、4/20リンパ節がん、7/20卵巣がん、1/87前立腺がん、2/18皮膚がん、2/45胃がん、6/15膀胱がん、3/16子宮がん上でさらに見いだされた。図1I)遺伝子記号:DCBLD2、ペプチド:TMVEHNYYV(配列番号46)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、1/18食道がん、1/17胆嚢がん、1/8頭頸部がん、3/23腎臓がん、9/107肺がん、7/20卵巣がん、1/19膵臓がん、1/18皮膚がん、1/45胃がん、2/15膀胱がん、1/16子宮がん上でさらに見いだされた。図1J)遺伝子記号:SHCBP1、ペプチド:RLSELGITQA(配列番号57)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、1/34脳がん、1/18乳がん、2/18食道がん、2/8頭頸部がん、1/21肝臓がん、8/107肺がん、4/20リンパ節がん、1/18骨髄性細胞がん、4/20卵巣がん、4/18皮膚がん、2/15膀胱がん、1/16子宮がん上でさらに見いだされた。図1K)遺伝子記号:CTHRC1、ペプチド:VLFSGSLRL(配列番号69)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、2/18乳がん、1/18食道がん、1/17胆嚢がん、9/107肺がん、1/20卵巣がん上でさらに見いだされた。図1L)遺伝子記号:CDC27、ペプチド:KISTITPQI(配列番号123)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、2/34脳がん、2/8頭頸部がん、1/23腎臓がん、1/17白血病、2/21肝臓がん、7/107肺がん、2/20リンパ節がん、1/18骨髄性細胞がん、1/18皮膚がん、1/45胃がん、2/15膀胱がん、3/16子宮がん上でさらに見いだされた。図1M)遺伝子記号:UBE2C、ペプチド:ALYDVRTILL(配列番号128)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、2/18乳がん、3/29結腸または直腸がん、1/17白血病、8/107肺がん、1/20リンパ節がん、1/20卵巣がん、1/15膀胱がん上でさらに見いだされた。図1N)遺伝子記号:MBTPS2、ペプチド:VLISGVVHEI(配列番号)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、7/34脳がん、1/18乳がん、2/29結腸または直腸がん、1/18食道がん、1/23腎臓がん、3/21肝臓がん、5/107肺がん、1/20リンパ節がん、2/20卵巣がん、1/87前立腺がん、3/18皮膚がん、1/16子宮がん上でさらに見いだされた。図1O)遺伝子記号:PFDN1、ペプチド:KLADIQIEQL(配列番号89)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、2/29結腸または直腸がん、1/17白血病、4/107肺がん、4/20卵巣がん、4/16膀胱がん上でさらに見いだされた。図1P)遺伝子記号:PKP3、ペプチド:ALVEENGIFEL(配列番号101)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、1/17胆管がん、2/18乳がん、2/29結腸または直腸がん、2/18食道がん、2/8頭頸部がん、1/21肝臓がん、7/107肺がん、6/20卵巣がん、3/87前立腺がん、4/15膀胱がん、1/16子宮がん上でさらに見いだされた。図1Q)遺伝子記号:GFPT2、ペプチド:LMMSEDRISL(配列番号113)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、3/17胆嚢または胆管がん、5/34脳がん、3/18乳がん、2/29結腸または直腸がん、2/18食道がん、1/8頭頸部がん、1/21肝臓がん、18/107肺がん、3/20リンパ節がん、1/19膵臓がん、1/87前立腺がん、2/18皮膚がん、2/15膀胱がん、1/16子宮がん上でさらに見いだされた。図1R)遺伝子記号:CCT4、ペプチド:ALSDLALHFL(配列番号127)、組織左から右:6脂肪組織、8副腎、24血液細胞、15血管、10骨髄、14脳、7乳房、9食道、2眼、3胆嚢、16心臓、17腎臓、23大腸、23肝臓、49肺、7リンパ節、12神経、2卵巣、6副甲状腺腺、1腹膜、6脳下垂体、7胎盤、1胸膜、3前立腺、7唾液腺、10骨格筋、11皮膚、8小腸、12脾臓、7胃、5精巣、3胸腺、3甲状腺腺、15気管、7尿管、8膀胱、6子宮、10膵臓、20膵臓がん細胞株および異種移植片サンプル。ペプチドは、1/34脳がん、2/18乳がん、2/8頭頸部がん、3/17白血病、1/21肝臓がん、3/107肺がん、4/20リンパ節がん、2/18骨髄性細胞がん、1/20卵巣がん、3/18皮膚がん、4/15膀胱がん上でさらに見いだされた。図1S)遺伝子記号:NUP205、ペプチド:ALLTGIISKA(配列番号5)、組織左から右:12がん細胞株,1正常組織(1脾臓),22がん組織(2脳がん,1乳がん,1結腸がん,1食道がん,1頭頸部がん,1肝臓がん,8肺がん,1リンパ節がん,1卵巣がん,1直腸がん,1皮膚がん,2膀胱がん,1子宮がん)。試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。図1T)遺伝子記号:NUP160、ペプチド:ALWHDAENQTVV(配列番号19)、組織左から右:13がん細胞株,1初代培養,1正常組織(1脾臓),20がん組織(1胆管がん,2脳がん,1乳がん,1食道がん,1胆嚢がん,1肝臓がん,8肺がん,2皮膚がん,2膀胱がん,1子宮がん)。試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。図1U)遺伝子記号:C11orf80、ペプチド:ILSTEIFGV(配列番号22)、組織左から右:1がん細胞株、3初代培養、1正常組織(1リンパ節)、24がん組織(3乳がん、1胆嚢がん、1頭頸部がん、5白血病、6肺がん、4リンパ節がん、1卵巣がん、1膵臓がん、1皮膚がん、1胃がん)試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。図1V)遺伝子記号:FAM83D、ペプチド:FLNPDEVHAI(配列番号37)、組織左から右:16がん細胞株,3初代培養,1正常組織(1気管),73がん組織(1胆管がん,2脳がん,3乳がん,4結腸がん,2食道がん,1胆嚢がん,2頭頸部がん,1腎臓がん,5肝臓がん,25肺がん,4リンパ節がん,7卵巣がん,1前立腺がん,2直腸がん,2皮膚がん,2胃がん,6膀胱がん,3子宮がん)。試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。図1W)遺伝子記号:DCBLD2、ペプチド:TMVEHNYYV(配列番号46)、組織左から右:4がん細胞株,1初代培養,28がん組織(1食道がん,1胆嚢がん,1頭頸部がん,3腎臓がん,9肺がん,7卵巣がん,1膵臓がん,1皮膚がん,1胃がん,2膀胱がん,1子宮がん)。試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。図1X)遺伝子記号:SHCBP1、ペプチド:RLSELGITQA(配列番号57)、組織左から右:20がん細胞株,2初代培養,2正常組織(1骨髄,1胎盤),31がん組織(1脳がん,1乳がん,2食道がん,2頭頸部がん,1肝臓がん,8肺がん,4リンパ節がん,1骨髄性細胞がん,4卵巣がん,4皮膚がん,2膀胱がん,1子宮がん)。試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。図1Y)遺伝子記号:CTHRC1、ペプチド:VLFSGSLRL(配列番号69)、組織左から右:5がん細胞株,14がん組織(2乳がん,1食道がん,1胆嚢がん,9肺がん,1卵巣がん)。試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。図1Z)遺伝子記号:CDC27、ペプチド:KISTITPQI(配列番号123)、組織左から右:19がん細胞株,2初代培養,3正常組織(1副腎,1肝臓,1胎盤),25がん組織(2脳がん,2頭頸部がん,1腎臓がん,1白血病,2肝臓がん,7肺がん,2リンパ節がん,1骨髄性細胞がん,1皮膚がん,1胃がん,2膀胱がん,3子宮がん)。試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。図1AA)遺伝子記号:UBE2C、ペプチド:ALYDVRTILL(配列番号128)、組織左から右:10がん細胞株,17がん組織(2乳がん,1盲腸がん,2結腸がん,1白血病,8肺がん,1リンパ節がん,1卵巣がん,1膀胱がん)。試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。図1AB)遺伝子記号:MBTPS2、ペプチド:VLISGVVHEI(配列番号)、組織左から右:16がん細胞株,2初代培養,2正常組織(1脾臓,1子宮),28がん組織(7脳がん,1乳がん,2結腸がん,1食道がん,1腎臓がん,3肝臓がん,5肺がん,1リンパ節がん,2卵巣がん,1前立腺がん,3皮膚がん,1子宮がん)。試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。図1AC)遺伝子記号:PFDN1、ペプチド:KLADIQIEQL(配列番号89)、組織左から右:11がん細胞株,2正常組織(2副腎),15がん組織(2結腸がん,1白血病,4肺がん,4卵巣がん,4膀胱がん)。試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。図1AD)遺伝子記号:PKP3、ペプチド:ALVEENGIFEL(配列番号101)、組織左から右:3がん細胞株,3初代培養,2正常組織(2結腸),31がん組織(1胆管がん,2乳がん,1盲腸がん,1結腸がん,2食道がん,2頭頸部がん,1肝臓がん,7肺がん,6卵巣がん,3前立腺がん,4膀胱がん,1子宮がん)。試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。図1AE)遺伝子記号:GFPT2、ペプチド:LMMSEDRISL(配列番号113)、組織左から右:8がん細胞株,1正常組織(1眼),45がん組織(1胆管がん,5脳がん,3乳がん,1結腸がん,2食道がん,2胆嚢がん,1頭頸部がん,1肝臓がん,18肺がん,3リンパ節がん,1膵臓がん,1前立腺がん,1直腸がん,2皮膚がん,2膀胱がん,1子宮がん)。試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。図1AF)遺伝子記号:CCT4、ペプチド:ALSDLALHFL(配列番号127)、組織左から右:9がん細胞株,26がん組織(1骨髄がん,1脳がん,2乳がん,2頭頸部がん,3白血病,1肝臓がん,3肺がん,4リンパ節がん,1骨髄性細胞がん,1卵巣がん,3皮膚がん,4膀胱がん)。試験された正常組織パネルは、図1E)~Rと同じであった。
図1B】同上
図1C】同上
図1D】同上
図1E】同上
図1F】同上
図1G】同上
図1H】同上
図1I】同上
図1J】同上
図1K】同上
図1L】同上
図1M】同上
図1N】同上
図1O】同上
図1P】同上
図1Q】同上
図1R】同上
図1S】同上
図1T】同上
図1U】同上
図1V】同上
図1W】同上
図1X】同上
図1Y】同上
図1Z】同上
図1AA】同上
図1AB】同上
図1AC】同上
図1AD】同上
図1AE】同上
図1AF】同上
図2A】正常組織(白色バー)および9膵臓がんサンプル(黒色バー)のパネルにおいて、膵臓がんで高度に過剰発現されまたは排他的に発現される、本発明の起源遺伝子の例示的発現プロファイルを示す(正常膵臓と比較した相対発現)。組織左から右:副腎、動脈、骨髄、脳(全体)、乳房、結腸、食道、心臓、腎臓(三連)、白血球、肝臓、肺、リンパ節、卵巣、膵臓、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、皮膚、小腸、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、膀胱、子宮子宮頸部、子宮、静脈、9膵臓がんサンプル。図2A)SHCBP1;図2B)FN1;および図2C)PLEC。
図2B】同上
図2C】同上」
図3-1】図3A~Dは、例示的免疫原性データを示す:ペプチド特異的多量体染色後のフローサイトメトリー結果。CD8+T細胞は、配列番号125ペプチド(A、左パネル)、配列番号148ペプチド(B、左パネル)、配列番号156ペプチド(C、左パネル)、配列番号178ペプチド(D、左パネル、上部)、および配列番号177ペプチド(D、左パネル、下部)とそれぞれ複合体形成する、抗CD28mAbおよびHLA-A*02iで被覆された人工APCを用いて、初回刺激された。3サイクルの刺激後、*02/配列番号125(A)、A*02/配列番号148(B)、またはA*02/配列番号156(C)を用いた2D多量体染色によって、ペプチド反応性細胞の検出を実施した。右パネル(A、B、C、およびD)は、無関係のA*02/ペプチド複合体で刺激された細胞の対照染色を示す。生存一重細胞は、CD8+リンパ球についてゲートされた。ブーリアンゲートは、異なるペプチドに対して特異的な多量体によって検出された、擬陽性事象の排除を助けた。CD8+リンパ球の中の特異的多量体+細胞の頻度が示される。
図3-2】同上
【実施例
【0527】
実施例1
細胞表面に提示される腫瘍関連ペプチドの同定および定量化
組織サンプル
患者の腫瘍組織および細胞株は、University Hospital of Tubingen,Germany、University Hospital of Heidelberg, Germany、NMI Reutlingen,Germany、MD Anderson Cancer Center,Houston,TX,USAから入手された。正常組織は、Asterand,Detroit,USA and Royston,Herts,UK;Bio-Options Inc.,CA,USA;BioServe,Beltsville,MD,USA;Capital BioScience Inc.,Rockville,MD,USA;Geneticist Inc.,Glendale,CA,USA;Tissue Solutions Ltd,Glasgow,Scotland,UK;University HospitalofGeneva;University Hospital of Heidelberg;Kyoto Prefectural University of Medicine(KPUM);University Hospital Munich;ProteoGenex Inc.,Culver City,CA,USA;University Hospital of Tubingen,Germanyから入手された。全てのドナーの告知に基づく同意書が、外科手術または検死解剖前に得られた。組織は切除直後に衝撃凍結され、TUMAPの単離まで-70℃未満で保存された。
【0528】
組織サンプルからのHLAペプチドの単離
わずかに改変されたプロトコルHLA-A*02-特異的抗体BB7.2、HLA-A、-B、-C特異的抗体W6/32、CNBr活性化セファロース、酸処理、および限外濾過を使用して(Falk et al.,1991;Seeger et al.,1999)に従って、冷凍組織サンプルからのHLAペプチド貯留を免疫沈降によって得た。
【0529】
質量分析
得られたHLAペプチド貯留は、逆相クロマトグラフィー(nanoAcquity UPL C system、Waters)によってそれらの疎水性に従って分離し、ESI源を装着したLTQ-velosおよびfusion hybrid質量分光計(ThermoElectron)内で溶出ペプチドを分析した。ペプチド貯留は、毎分400nLの流速を適用して、1.7μm C18逆相材料(Waters)で充填された分析用融合シリカマイクロキャピラリーカラム(75μm内径×250mm)上に直接挿入した。引き続いて、毎分300nLの流速で10%から33%へのBの二段階180分間二成分勾配を用いて、ペプチドを分離した。勾配は、溶媒A(水中の0.1%ギ酸)および溶媒B(アセトニトリル中の0.1%ギ酸)から構成された。nanoESI源への導入には、金被覆ガラス毛管(PicoTip、New Objective)を使用した。LTQ-Orbitrap質量分光計は、TOP5ストラテジーを使用してデータ依存モードで操作した。手短に述べると、Orbitrap(R=30000)内の高質量精度の完全スキャンでスキャンサイクルを開始し、これもまたOrbitrap(R=7500)内の5種の最も豊富な前駆イオンのMS/MSスキャンがそれに続き、以前選択されたイオンは動的に排除された。タンデム質量スペクトルは、SEQUESTおよび追加的な手動調節によって解釈した。同定されたペプチド配列は、生成された天然ペプチド断片化パターンと、配列が同一の合成参照ペプチドの断片化パターンとの比較によって確認した。
【0530】
イオン計数によって、すなわちLC-MS特性の抽出と解析(Mueller et al.,2007)によって、無標識相対LC-MS定量化を実施した。方法は、ペプチドのLC-MSシグナル面積が、サンプル中のその存在量と相関すると仮定する。抽出された特性は、電荷状態デコンボリューションと滞留時間アライメント(Mueller et al.,2008;Sturm et al.,2008)によってさらに処理した。最終的に、全てのLC-MS特性を配列同定結果と相互参照して、異なるサンプルの定量的データと、組織からペプチドへの提示プロファイルとを組み合わせた。定量的データは、技術的および生物学的反復試験内の変動を考慮した中心傾向に従って、二段法で正規化された。このようにして、それぞれの同定されたペプチドが定量的データに関連付けられ得て、サンプルと組織の間の相対定量化ができるようになる。さらに、ペプチド候補について得られた全ての定量的データを手動で検査し、データ整合性を保証して自動解析の確度を確認した。各ペプチドについて提示プロファイルを計算し、平均サンプル提示ならびに反復試験変動を示した。プロファイルは、膵臓がんサンプルを正常組織サンプルのベースラインに並置する。例示的過剰提示ペプチドの提示プロファイルは、図1に示される。代表的ペプチドの提示スコアは、表8に示される。
【0531】
表8:提示スコア表は、正常組織パネルと比較して腫瘍上で非常に高度に過剰提示され(+++)、正常組織パネルと比較して腫瘍上で高度に過剰提示され(++)、正常組織パネルと比較して腫瘍上で過剰提示される(+)、ペプチドを列挙する。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【0532】
実施例2
本発明のペプチドをコードする遺伝子発現プロファイリング
正常細胞と比較した腫瘍細胞上のペプチドの過剰提示または特異的提示は、免疫療法におけるその有用性にとって十分であり、いくつかのペプチドは、それらの起源タンパク質が正常組織にもまた存在するにもかかわらず、腫瘍特異的である。それでもなお、mRNA発現プロファイリングは、免疫療法のためのペプチド標的の選択において、安全性のレベルを高めることができる。特に、アフィニティ成熟TCRなどの安全性リスクが高い治療の選択肢では、理想的な標的ペプチドは、腫瘍に特有で正常組織上には見いだされないタンパク質に由来する。
【0533】
RNA起源および調製
外科的に除去された組織標本は、告知に基づく同意書が各患者から入手された後に、上述の通り提供された(実施例1を参照されたい)。腫瘍組織標本を手術直後にスナップ凍結し、その後、液体窒素下で乳鉢と乳棒を用いて均質化した。TRI試薬(Ambion,Darmstadt,Germany)を使用して、これらのサンプルから全RNAを調製し、RNeasy(QIAGEN,Hilden,Germany)による精製がそれに続き;どちらの方法も製造業者のプロトコルに従って実施した。
【0534】
健常ヒト組織からの全RNAは、商業的に入手された(Ambion,Huntingdon,UK;Clontech,Heidelberg,Germany;Stratagene,Amsterdam,Netherlands;BioChain,Hayward,CA,USA)。幾人(2~123人)かの個人からのRNAは、各個人からのRNAが等しく重み付けされるように混合した。
【0535】
全てのRNAサンプルの品質および量は、RNA 6000 Pico LabChipキット(Agilent)を使用して、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent,Waldbronn,Germany)上で評価した。
【0536】
マイクロアレイ実験
全ての腫瘍および正常組織RNAサンプルの遺伝子発現解析は、Affymetrix Human Genome(HG)U133AまたはHG-U133 Plus 2.0オリゴヌクレオチドマイクロアレイ(Affymetrix,Santa Clara,CA,USA)によって実施した。全てのステップは、Affymetrixマニュアルに従って実施した。簡単に述べると、マニュアルに記載されるようにして、SuperScript RTII(Invitrogen)およびオリゴdT-T7プライマー(MWG Biotech,Ebersberg,Germany)を使用して、5~8μgの全RNAから二本鎖cDNAを合成した。生体外転写は、U133AアレイのためのBioArray High Yield RNA Transcript Labelling Kit(ENZO Diagnostics,Inc.,Farmingdale,NY,USA)を用いて、またはU133 Plus 2.0のためのGeneChip IVT Labelling Kit(Affymetrix)を用いて実施し、cRNA断片化、ハイブリダイゼーション、そしてストレプトアビジン-フィコエリトリンとビオチン化抗ストレプトアビジン抗体(Molecular Probes,Leiden,Netherlands)とを用いた染色がそれに続いた。Agilent 2500A GeneArray Scanner(U133A)またはAffymetrix Gene-Chip Scanner 3000(U133 Plus 2.0)で画像をスキャンして、全てのパラメータについてデフォルト設定を使用して、GCOSソフトウェア(Affymetrix)によってデータを解析した。正規化のために、Affymetrixによって提供される100個のハウスキーピング遺伝子を使用した。ソフトウェアによって与えられるシグナルlog比から、相対的発現値を計算し、正常な腎臓サンプルを自由裁量で1.0に設定した。膵臓がんにおいて高度に過剰発現され、または排他的に発現される本発明の起源遺伝子の代表的発現プロファイルは、図2に示される。さらなる例示的遺伝子の発現スコアは、表9に示される。
【0537】
表9:発現スコア
表は、正常組織パネルと比較して腫瘍において非常に高度に過剰発現され(+++)、正常組織パネルと比較して腫瘍において高度に過剰発現され(++)、正常組織パネルと比較して腫瘍において過剰発現される(+)、遺伝子に由来するペプチドを列挙する。
【表9-1】
【表9-2】
【0538】
実施例3
MHCクラスI提示ペプチドの生体外免疫原性
本発明のTUMAPの免疫原性に関する情報を得るために、本発明者らは、ペプチド/MHC複合体および抗CD28抗体を負荷した人工抗原提示細胞(aAPC)によるCD8+T細胞の反復刺激に基づく、生体外T細胞プライミングアッセイを用いて研究を実施した。このようにして、本発明者らは、これまでに本発明の22個のHLA-A*0201拘束性TUMAPの免疫原性を示し得て、これらのペプチドが、それに対するCD8+前駆T細胞がヒトに存在する、T細胞エピトープであることを実証した(表10)。
【0539】
CD8+T細胞の生体外プライミング
ペプチドMHC複合体(pMHC)および抗CD28抗体を負荷した、人工抗原提示細胞による生体外刺激を実施するために、本発明者らは、最初に、告知に基づく同意後に、University clinics Mannheim,Germanyから得られた健常ドナーのCD8ミクロビーズ(Miltenyi Biotec,Bergisch-Gladbach,Germany)を使用した正の選択を通じて、新鮮HLA-A*02白血球除去生成物からCD8+T細胞を単離した。
【0540】
PBMCおよび単離CD8+リンパ球またはPBMCは、10%熱不活性化ヒトAB血清(PAN-Biotech,Aidenbach,Germany)、100U/mlペニシリン/100μg/mlストレプトマイシン(Cambrex,Cologne,Germany)、1mMピルビン酸ナトリウム(CC Pro,Oberdorla,Germany)、20μg/mlゲンタマイシン(Cambrex)を添加した、RPMI-Glutamax(Invitrogen,Karlsruhe,Germany)からなるT細胞培地(TCM)中で、使用時まで培養した。2.5ng/mlのIL-7(PromoCell,Heidelberg,Germany)および10U/mlのIL-2(Novartis Pharma,Nurnberg,Germany)もまた、この段階でTCMに添加した。
【0541】
pMHC/抗CD28被覆ビーズの生成、T細胞刺激、および読み取りは、高度に定義された生体外システム内で、刺激条件当たり4種の異なるpMHC分子と、読み取り条件当たり8種の異なるpMHC分子を使用して実施した。
【0542】
製造会社(Perbio,Bonn,Germany)が推奨する通りにスルホ-N-ヒドロキシスクシンイミドビオチンを使用して、精製共刺激マウスIgG2a抗ヒトCD28 Ab9.3(Jung et al.,1987)を化学的にビオチン化した。使用されたビーズは、直径5.6μmのストレプトアビジン被覆ポリスチレン粒子(Bangs Laboratories,Illinois,USA)であった。
【0543】
陽性および陰性対照刺激のために使用されたpMHCは、それぞれ、A*0201/MLA-001(修飾Melan-A/MART-1に由来するペプチドELAGIGILTV(配列番号179))およびA*0201/DDX5-001(DDX5に由来するYLLPAIVHI、配列番号180)であった。
【0544】
4×12.5ngの異なるビオチンpMHCの存在下で、800,000個のビーズ/200μlを96ウェルプレート内で被覆し、洗浄して、引き続いて200μlの容量中で600ngのビオチン抗CD28を添加した。5ng/mlのIL-12(PromoCell)を添加した200μlのTCM中で、1×10のCD8+T細胞を2×10個の洗浄被覆ビーズと、37℃で3日間にわたり同時インキュベートすることで、96ウェルプレート内で刺激を開始した。次に80U/mlのIL-2を添加した新鮮TCMで培地の半分を交換し、37℃で4日間にわたり培養を継続した。この刺激サイクルを合計3回実施した。条件当たり8種の異なるpMHC分子を使用したpMHC多量体読み取りでは、5種の異なる蛍光色素への共役を包含するわずかな修正を加えて、以前記載されたような(Andersen et al.,2012)二次元コンビナトリアルコーディングアプローチを使用した。最後に、Live/dead近赤外染料(Invitrogen,Karlsruhe,Germany)、CD8-FITC抗体クローンSK1(BD,Heidelberg,Germany)、および蛍光性pMHC多量体による細胞の染色によって多量体解析を実施した。解析では、適切なレーザーおよびフィルターを装着したBD LSRII SORP血球計数器を使用した。ペプチド特異的細胞を全CD8+細胞の百分率として計算した。FlowJoソフトウェア(Tree Star,Oregon,USA)を使用して、多量体解析の評価を実施した。特異的多量体+CD8+リンパ球の生体外初回刺激は、陰性対照刺激と比較することで検出された。1人の健常ドナーの少なくとも1つの評価可能生体外刺激ウェルが、生体外刺激後に、特異的CD8+T細胞株を含有することが判明したら、所与の抗原の免疫原性が検出された(すなわちこのウェルは、CD8+T細胞内に少なくとも1%の特異的多量体+を含有し、特異的多量体+細胞の百分率は、陰性対照刺激の中央値の少なくとも10倍であった)。
【0545】
膵臓がんペプチドの生体外免疫原性
HLAクラスIペプチドを試験するために、ペプチド特異的T細胞株の生成によって生体外免疫原性が実証され得た。本発明の2種のペプチドの、TUMAP特異的多量体染色後の例示的フローサイトメトリー結果は、対応する陰性対照と共に図3に示される。本発明からの4種のペプチドの結果は、表10に要約される。
【0546】
表10:本発明のHLAクラスIペプチドの生体外免疫原性
出願人によって実施された、本発明のHLA-A*02拘束性ペプチドについての生体外免疫原性実験の代表的結果である。生体外免疫原性実験の結果が示される。陽性ウェルおよびドナーの百分率(評価可能内の)は、示されるように要約される<20% = +; 20% - 49%= ++; 50% - 69%= +++; >= 70%= ++++
【表10】
【0547】
実施例4
ペプチドの合成
Fmocストラテジーを使用した標準的な十分に確立された固相ペプチド合成を使用して、全てのペプチドを合成した。個々のペプチドのアイデンティティーおよび純度は、質量分析および分析用RP-HPLCによって判定された。ペプチドは、純度>50%の白色から灰白色の凍結乾燥物(トリフルオロ酢酸塩)として得られた。全てのTUMAPは、好ましくはトリフルオロ酢酸塩または酢酸塩として投与され、その他の塩形態もまた可能である。
【0548】
実施例5
MHC結合アッセイ
本発明によるT細胞ベースの治療法のための候補ペプチドを、それらのMHC結合能力(親和性)についてさらに試験した。個々のペプチド-MHC複合体は、UVリガンド交換によって生成され、UV感受性ペプチドはUV照射に際して切断されて、分析される目的ペプチドで交換された。ペプチド受容性MHC分子と効果的に結合して安定化し得るペプチド候補のみが、MHC複合体の分離を防止する。交換反応の収率を判定するために、安定化MHC複合体の軽鎖(β2m)の検出に基づくELISAを実施した。アッセイは、Rodenko et al.(Rodenko et al.,2006)に一般的に記載されるようにして実施した。
【0549】
96ウェルMAXISorpプレート(NUNC)をPBS中の2μg/mlストレプトアビジンにより室温で一晩被覆して4回洗浄し、ブロック緩衝液を含有する2%BSA中で37℃で1時間ブロックした。再折りたたみされたHLA-A*020102:01/MLA-001単量体が、15~500ng/mlの範囲をカバーする標準物質の役割を果たした。UV交換反応のペプチド-MHC単量体をブロック緩衝液で100倍に希釈した。サンプルを37℃で1時間インキュベートし、4回洗浄して、2μg/mlのHRP結合抗β2mと共に37℃で1時間インキュベートし、再度洗浄して、NH2SO4で停止させたTMB溶液で検出した。吸収は、450nmで測定された。抗体またはそれらのフラグメント、および/またはT細胞受容体またはそれらのフラグメントの生成および製造のためには、高い交換収率(好ましくは50%より高い、最も好ましくは75%より高い)を示す候補ペプチドが、MHC分子に対する十分な結合活性を示してMHC複合体の分離を防止することから、一般に好ましい。
【0550】
MHCクラスI結合スコア。HLAクラスI拘束性ペプチドとHLA-A*02:01との結合は、ペプチド交換収率によって変動した:>10%=+;>20%=++;>50=+++;>75%=++++
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【0551】
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