(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】損傷形成及び評価のためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220802BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
A61B1/00 715
A61B18/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020215456
(22)【出願日】2020-12-24
(62)【分割の表示】P 2018502383の分割
【原出願日】2016-07-19
【審査請求日】2021-01-22
(32)【優先日】2015-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519262397
【氏名又は名称】460メディカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】460Medical, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】ランズベリー,テランス, ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング,ケネス, シー.
(72)【発明者】
【氏名】アミラーナ,オマール
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン,シナモン
【審査官】田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-148550(JP,A)
【文献】特開2015-128586(JP,A)
【文献】特表2014-509547(JP,A)
【文献】特表2009-509690(JP,A)
【文献】特表2012-504019(JP,A)
【文献】特表2015-513350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32、13/00-18/18
A61F 2/01
A61N 7/00-7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーションされた組織を視覚化するカテーテルであって、
カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端部に配置されて照射キャビティを画定する遠位端部材であって、前記照射キャビティと組織との間で光エネルギーを交換するための1つ以上の開口部を有する前記遠位端部材と、
前記カテーテル本体を通って前記照射キャビティ内に至るまで延びる複数の光ファイバであって、前記遠位端部材の1つ以上の開口部を介して、組織に光エネルギーを誘導する
ように、かつ、組織から光エネルギーを誘導する
ように構成されている前記複数の光ファイバと、
を備える、カテーテル。
【請求項2】
前記遠位端部材はファイバ位置合わせ部材を更に備え、前記ファイバ位置合わせ部材は、前記
複数の光ファイバを光誘導部材の中心軸と位置合わせするように構成されている、請求項
1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記1つ以上の開口部は、前記カテーテルの長手方向軸に対する径方向及び軸方向に組織を照らすことができるように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
光誘導部材を更に備え、前記光誘導部材は、前記1つ以上の開口部を介して、前記カテーテルの長手方向軸に対するある角度で光エネルギーを誘導するように形成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記光誘導部材は1つ以上の貫通孔を備え、前記遠位端部材は、前記遠位端部材の前壁に配設された1つ以上の開口部を備え、光が前記光誘導部材及び前記前壁の1つ以上の開口部を長手方向に通過することができる、
請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記1つ以上の開口部を介してのみ光を反射するように前記光誘導部材が前記1つ以上の開口部と位置合わせされている、
請求項4に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記1つ以上の開口部は、前記遠位端部材に沿って周方向に配設されて互いに等距離だけ離間され、前記光誘導部材は、前記1つ以上の開口部と位置合わせされた複数の等間隔のファセットを備える、
請求項4に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記遠位端部材は、アブレーションエネルギーを組織に供給するように構成され、前記アブレーションエネルギーは、高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、エレクトロポレーションエネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー、レーザーエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
超音波トランスデューサを更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
アブレーションされた組織を視覚化するシステムであって、
カテーテル本体、遠位端部材、及び
複数の光ファイバを備えるカテーテルと、
前記
複数の光ファイバとつながっている光源と、
前記
複数の光ファイバとつながっている光測定器と、
を備え、
前記
複数の光ファイバは前記カテーテル本体を通って延び、
前記遠位端部材は、前記カテーテル本体の遠位端部に配置され
て、前記複数の光ファイバを受け入れるように構成され、
前記遠位端部材は、前記
複数の光ファイバと組織との間で光エネルギーを前記遠位端部材の1つ以上の開口部を介して交換するための前記1つ以上の開口部を有
し、
前記複数の光ファイバは、前記遠位端部材の前記1つ以上の開口部を介して、組織に光エネルギーを誘導するように、かつ、組織から光エネルギーを誘導するように構成されている、システム。
【請求項11】
前記遠位端部材はファイバ位置合わせ部材を更に備え、前記ファイバ位置合わせ部材は、前記
複数の光ファイバを光誘導部材の中心軸と位置合わせするように構成されている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記1つ以上の開口部は、前記カテーテルの長手方向軸に対する径方向及び軸方向に組織を照らすことができるように構成されている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
光誘導部材を更に備え、前記光誘導部材は、前記1つ以上の開口部を介して、前記カテーテルの長手方向軸に対するある角度で光エネルギーを誘導するように形成されている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記光誘導部材は1つ以上の貫通孔を備え、前記遠位端部材は、前記遠位端部材の前壁に配設された1つ以上の開口部を備え、光が前記光誘導部材及び前記前壁の1つ以上の開口部を長手方向に通過することができる、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つ以上の開口部は、前記遠位端部材に沿って周方向に配設されて互いに等距離だけ離間され、前記光誘導部材は、前記1つ以上の開口部と位置合わせされた複数の等間隔のファセットを備える、
請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
超音波トランスデューサを更に備える、
請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
アブレーションエネルギーを組織に供給するために前記遠位端部材とつながっているアブレーションエネルギー源を更に備え、前記アブレーションエネルギーは、高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、エレクトロポレーションエネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー、レーザーエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2015年10月21日に出願された米国特許出願第14/919,004
号及び2015年7月19日に出願された米国仮出願第62/194,276号の利益及
び優先権を主張するものであり、両出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、概してカテーテルに関し、より具体的にはアブレーション及び視覚化カテー
テルに関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動(AF)は、現在、数百万人が罹患している、世界で最も一般的な持続性不整
脈である。米国では、2050年までに1000万人がAFに冒されると予測されている
。AFは、死亡率と疾病率の増加及び生活の質の悪化を伴い、脳卒中の独立危険因子であ
る。進行するAFの実質的生涯リスクは、当該疾病の健康保険負担を際立たせ、米国だけ
でも70億ドル超の年間治療費になっている。
【0004】
AF患者の症状の殆どが、肺静脈(PV)内に延びる筋肉スリーブ内から生じる局所的
な電気的活動によって誘発されることが知られている。心房細動は、上大静脈又は他の心
房構造内、すなわち心臓の伝導系内の他の心臓組織内、の局所的活動によって誘発される
こともある。これらの局所的誘因(トリガー)は、リエントリ性電気的活動(又はロータ
)によって引き起こされる心房性頻脈を生じさせる可能性があり、その後、心房細動の特
徴である多数の電気的小波に細分化する場合もある。更に、長期のAFは心臓細胞膜の機
能を変化させることがあり、この変化は心房細動を更に持続させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高周波(ラジオ波)アブレーション(Radiofrequency ablation:RFA)、レーザー
アブレーション、及びクライオ(冷凍)アブレーションは、心房細動を治療するために医
師が用いるカテーテルベースのマッピング及びアブレーションシステムの最も一般的な技
術である。医師は、カテーテルを用いてエネルギーを誘導し、局所的誘因を破壊するか又
は心臓の他の伝導系から誘因を隔離する電気的隔離線を形成する。後者の技術は、一般に
肺静脈隔離(PVI)と呼ばれるものに使用される。しかし、AFアブレーション処置の
成功率は、かなり低迷したままであり、術後1年の再発予測率は30%~50%という高
さである。カテーテルアブレーション後の最も一般的な再発理由は、PVI線における1
つ以上のギャップである。通常、このギャップは、効果のない又は不完全な損傷(lesion
)に由来する。この損傷は、処置中には一時的に電気信号を遮断するが、時間が経過する
と遮断しなくなって心房細動の再発を促し得る。
【0006】
従って、術後の経過を改善し、コストを減らすために、適切な損傷を形成し検証するシ
ステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のいくつかの態様によれば、アブレーション(焼灼)された組織を視覚化(可視
化)するカテーテルを提供する。このカテーテルは、カテーテル本体と、カテーテル本体
の遠位端部に配置されて照射キャビティを画定する遠位端部材(遠位先端)と、照射キャ
ビティ内に配設される光誘導部材と、を備える。遠位端部材は、照射キャビティと組織と
の間で光エネルギーを交換するための1つ以上の開口部を有する。光誘導部材は、遠位端
部材の1つ以上の開口部を介して、組織に光エネルギーを誘導するように、かつ、組織か
ら光エネルギーを誘導するように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、カテーテルの遠位端部材は、アブレーションエネルギーを組
織に供給するように構成され得る。アブレーションエネルギーは、高周波(RF)エネル
ギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー(クラ
イオエネルギー)、レーザーエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネ
ルギー、熱エネルギー及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0009】
いくつかの実施形態では、光誘導部材及び1つ以上の開口部は、カテーテルの長手方向
軸に対する径方向及び軸方向に組織を照らす(照射する)ことができるように構成されて
いる。いくつかの実施形態では、1つ以上の開口部は遠位端部材の側壁に沿って配設され
、光誘導部材は、光を分割するように形成されており(形作られており)、具体的には、
1つ以上の開口部を介して、カテーテルの長手方向軸に対するある角度で光エネルギーを
誘導するように形成されている(形作られている)。いくつかの実施形態では、光誘導部
材は1つ以上の貫通孔を備え、遠位端部材は、遠位端部材の前壁に配設された1つ以上の
開口部を備え、光が光誘導部材及び前壁の1つ以上の開口部を長手方向に通過することが
できる。いくつかの実施形態では、カテーテルは、超音波トランスデューサを更に備え得
る。
【0010】
本開示のいくつかの態様によれば、アブレーションされた組織を視覚化するシステムが
提供される。このシステムは、カテーテルと、光源と、光測定器と、光源及び光測定器と
つながっている1つ以上の光ファイバと、を備える。カテーテルは、カテーテル本体と、
カテーテル本体の遠位端部に配置されて照射キャビティを画定する遠位端部材と、照射キ
ャビティ内に配設される光誘導部材と、を備える。遠位端部材は、照射キャビティと組織
との間で光エネルギーを交換するための1つ以上の開口部を有する。光誘導部材は、遠位
端部材の1つ以上の開口部を介して、組織に光エネルギーを誘導するように、かつ、組織
から光エネルギーを誘導するように構成されている。1つ以上の光ファイバは、カテーテ
ル本体を通って遠位端部材の照射キャビティ内に至るまで延びている。1つ以上の光ファ
イバは、遠位端部材の外側の組織を照らす(照射する)ために光エネルギーを光源から光
誘導部材に送るように構成されている。1つ以上の光ファイバは、組織から反射された光
エネルギーを光測定器に中継するように構成されている。
【0011】
本開示のいくつかの態様によれば、アブレーションされた組織を視覚化する方法が提供
される。この方法は、カテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端部に配置されて照射キ
ャビティを画定する遠位端部材であって、照射キャビティと組織との間で光を交換するた
めの1つ以上の開口部を有する遠位端部材と、照射キャビティ内に配設される光誘導部材
であって、遠位端部材の1つ以上の開口部を介して、組織に光を誘導するように、かつ、
組織から光を誘導するように構成されている光誘導部材と、を備えるカテーテルを、アブ
レーションを必要とする心臓組織へ前進させること、アブレーションされた心臓組織及び
アブレーションされていない心臓組織を含む心臓組織の領域内のニコチンアミドアデニン
ジヌクレオチド水素(nicotinamide adenine dinucleotide hydrogen:NADH)を励起
するために、カテーテルの遠位端部材の1つ以上の開口部を介して光誘導部材に光を誘導
させること、心臓組織から反射された光を1つ以上の開口部を介して収集し、この収集さ
れた光を光測定器に誘導すること、心臓組織の領域のNADH蛍光を検出するために心臓
組織の領域を撮像すること、及び、撮像されて照らされた(照射された)心臓組織の表示
を生成すること、を含む。前記表示は、アブレーションされた心臓組織を、アブレーショ
ンされていない心臓組織よりも少ない蛍光を呈するものとして示す。
【0012】
いくつかの実施形態では、この方法は、組織を撮像するに先立って、遠位端部材により
組織をアブレーションすること、及び、アブレーションされた心臓組織とアブレーション
されていない心臓組織とを蛍光の量に基づいて区別することによって識別された別のアブ
レーションされていない心臓組織をアブレーションすること、を更に含み得る。
【0013】
本明細書で開示される実施形態は、添付図面を参照して更に説明され、ここで、同様の
構造がいくつかの図を通して同様の番号で参照される。示されている図面は必ずしも縮尺
通りではなく、その代わりに、本明細書で開示される実施形態の原理を説明することに概
して重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示のアブレーション視覚化システムの一実施形態である。
【
図2】本開示のアブレーション視覚化システムに関連して使用される視覚化システムの図である。
【
図3】本開示のカテーテルの遠位端部材の一実施形態を示す。
【
図4A】本開示のカテーテルの光誘導部材の一実施形態を示す。
【
図4B】本開示のカテーテルの光誘導部材の一実施形態を示す。
【
図5A】本開示のカテーテルの遠位端部材の一実施形態を示す。
【
図5B】本開示のカテーテルの遠位端部材の一実施形態を示す。
【
図6A】本開示のカテーテルの光ファイバ位置合わせ部材を示す。
【
図6B】本開示のカテーテルの光ファイバ位置合わせ部材を示す。
【
図6C】本開示のカテーテルの光ファイバ位置合わせ部材を示す。
【
図6D】本開示のカテーテルの光ファイバ位置合わせ部材を示す。
【
図8A】本開示のカテーテルの種々の実施形態を示す。
【
図8B】本開示のカテーテルの種々の実施形態を示す。
【
図8C】本開示のカテーテルの種々の実施形態を示す。
【
図8D】本開示のカテーテルの種々の実施形態を示す。
【
図9】蛍光溶液を照らす本開示のカテーテルの一実施形態を示す。
【
図10】本開示のシステムを使用する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記で明らかにされた図面は、本明細書に開示される実施形態を示すものであるが、説
明に記されているように、他の実施形態も考えられる。本開示は、限定ではなく代表とし
て例示的な実施形態を示す。当業者は、本明細書に開示されている実施形態の原理の範囲
及び趣旨を逸脱しない数多くの他の変更形態及び実施形態を考案することができる。
【0016】
本開示は概して、高周波(ラジオ波)、レーザー、又は、クライオ(冷凍)アブレーシ
ョンエネルギーを体に印加し、治療的損傷を形成するシステム及び方法に関する。いくつ
かの実施形態では、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド水素(NADH)蛍光(fN
ADH)を使用して組織を撮像するために本開示のシステム及び方法が用いられ得る。非
限定的な例として、本システム及び方法は、心房細動(AF)の治療時に使用され得る。
【0017】
一般に、本システムは、組織とカテーテルとの間で光を交換するための光学系を備えた
カテーテルを含み得る。いくつかの実施形態では、本システムは、紫外線(UV)励起に
よって誘発される組織のNADH蛍光(NADH蛍光発光)又はその欠如を直接視覚化で
きるようにする。組織から返される蛍光シグネチャは、照らされた(照射された)組織内
にアブレーション損傷があるか否かを判断するために、及び、アブレーション中に生じつ
つある損傷についての情報を判断するために使用され得る。この光学的組織探索は、さま
ざまな組織タイプについて行うことができ、これら組織タイプは、種々の心臓組織、心内
膜組織、心外膜組織、心筋組織、弁、血管構造、及び、線維及び解剖学的構造を含むが、
これらに限定されない。本開示のシステム及び方法は、限定されるものではないが、コラ
ーゲン及びエラスチンの存在を含む組織構成(組成)の分析に使用され得る。しかしなが
ら、ここに開示された方法及びシステムは、他の組織タイプにおける損傷を分析すること
にも適用可能な場合もある。分析される損傷は、アブレーション処置の間にアブレーショ
ンエネルギーを印加することによって作成され得る。いくつかの実施形態では、アブレー
ション又は他の手段によって作成された既存の損傷を、本明細書に開示された方法及びシ
ステムを用いて分析してもよい。
【0018】
図1を参照すると、アブレーション治療を行うためのシステム100は、アブレーショ
ン治療システム110と、視覚化(可視化)システム120と、カテーテル140とを備
え得る。いくつかの実施形態では、システム100は、イリゲーション(灌注)システム
170も備え得る。このシステムは、ディスプレイ(表示部)180も備え得る。以下に
記載されるように、ディスプレイ180は、別個のディスプレイであってもよく、又は、
視覚化システム120の一部であってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、アブレーション治療システム110は、カテーテル140に
アブレーションエネルギーを供給するように設計される。アブレーション治療システム1
10は1つ以上のエネルギー源を備え得る。該エネルギー源は、高周波(radiofrequency
:RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エ
ネルギー(クライオエネルギー)、レーザーエネルギー、超音波エネルギー、音響エネル
ギー、化学エネルギー、熱エネルギー、又は、組織をアブレーション(焼灼)するのに使
用可能な他のいずれかのタイプのエネルギーを発生できる。いくつかの実施形態では、こ
のシステムは、RF発生器、イリゲーションポンプ170、灌注先端(irrigated-tip)
アブレーションカテーテル140、及び視覚化システム120を備える。
【0020】
図2を参照すると、視覚化システム120は、光源122、光測定器124、及びコン
ピュータシステム126を備え得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、光源122は、健康な心筋細胞で蛍光発光を誘起させるため
に、標的蛍光体(target fluorophore)(いくつかの実施形態では、NADH)の吸収範
囲内の出力波長を有し得る。いくつかの実施形態では、光源122は、NADH蛍光を励
起するためのUV光を生成できる固体レーザーである。いくつかの実施形態では、波長は
約355nm又は355nm±30nmであり得る。いくつかの実施形態では、光源12
2はUVレーザーであり得る。レーザーによって生成されたUV光は、照射のためにはる
かに多くの出力を提供してよく、カテーテルのいくつかの実施形態で使用されるように、
ファイバベースの照射システムに更に効率的に組み合わされてよい。いくつかの実施形態
では、本システムは、出力を150mWまで調整できるレーザーを使用することができる
。
【0022】
光源122の波長範囲は、対象の解剖学的構造(生体組織)によって限定されてよく、
わずかに短い波長でのみ吸収ピークを示すコラーゲンの過剰蛍光を励起させることなく最
大NADH蛍光を生じさせる波長をユーザが具体的に選択してもよい。いくつかの実施形
態では、光源122の波長は、300nm~400nmである。いくつかの実施形態では
、光源122の波長は、330nm~370nmである。いくつかの実施形態では、光源
122の波長は、330nm~355nmである。いくつかの実施形態では、狭帯域35
5nmの光源が使用され得る。光源122の出力パワーは、回復可能な組織蛍光シグネチ
ャを生成するのに十分な高さであるが、細胞損傷を誘発するほど高くないものであり得る
。以下に説明するように、カテーテル140に光を供給するために光源122が光ファイ
バに接続され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、光測定器124としてスペクトロメー
タを使用し得る。いくつかの実施形態では、光測定器124は、組織の蛍光を分析及び観
察するためにコンピュータシステム126に接続されたカメラを備え得る。いくつかの実
施形態では、このカメラは、NADH蛍光に対応する波長に対して高量子効率を有し得る
。そのようなカメラの1つは、Andor社のiXon DV860である。スペクトロメータ124は
、組織を視覚化(可視化)するためにカテーテル140内まで延ばされ得る撮像バンドル
に接続され得る。いくつかの実施形態では、分光のための撮像バンドルと照射のための光
ファイバとが組み合わされ得る。NADH蛍光発光帯域の外側の光を遮断するために、撮
像バンドルとカメラとの間に435nm~485nmの範囲内(いくつかの実施形態では
460nm)の光バンドパスフィルタ(光帯域通過フィルタ)が挿入され得る。いくつか
の実施形態では、撮像される組織のピーク蛍光に従って選択されるNADH蛍光発光帯域
の外側の光を遮断するために、撮像バンドルとカメラとの間に、他の光バンドパスフィル
タが挿入され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、光測定器124はCCD(電荷結合素子)カメラであり得る
。いくつかの実施形態では、可能な限り多くの光子を収集できるように、また、画像のノ
イズを最小にできるように、スペクトロメータ124が選択され得る。通常、生細胞の蛍
光撮像のためには、CCDカメラは約460nmにおいて少なくとも50~70%の間の
量子効率を有する必要があり、これは30~50%の光子が無視されることを示す。いく
つかの実施形態では、カメラは460nmにおいて約90%の量子効率を有する。カメラ
は、80KHzのサンプルレートを有し得る。いくつかの実施形態では、スペクトロメー
タ124は、8e-(電子)以下の読み出しノイズを有し得る。いくつかの実施形態では
、スペクトロメータ124は、3e-の最小読み出しノイズを有する。他の光測定器を、
本開示のシステム及び方法で用いてもよい。
【0025】
光ファイバ150は、集められた光をロングパスフィルタに送ることができ、このロン
グパスフィルタは、355nmの反射励起波長を遮断するが、該フィルタのカットオフよ
り上の波長で組織から放出された蛍光を通過させる。組織からのフィルタ処理された光は
、次に、高感度スペクトロメータ124で捕捉及び分析され得る。コンピュータシステム
126は、スペクトロメータ124から情報を取得し、それを医師に表示する。コンピュ
ータ126は、光源122の制御、スペクトロメータ124の制御、及び、特定用途向け
ソフトウェアの実行を含むいくつかの追加機能を提供することもできる。
【0026】
いくつかの実施形態では、光データを分析することにより生成されたデジタル画像を使
用して、損傷の2D(2次元)及び3D(3次元)再構成を行い、これは、サイズ、形状
、及び、分析に必要なその他の任意の特徴を示し得る。いくつかの実施形態では、撮像バ
ンドルがスペクトロメータ124に接続され得る。スペクトロメータ124は、ディスプ
レイ180に表示可能な、NADH蛍光(fNADH)から検討された損傷のデジタル画
像を生成し得る。いくつかの実施形態では、この画像をリアルタイムでユーザに表示する
ことができる。この画像を、ソフトウェアを用いて分析し、リアルタイムの詳細(例えば
、画像の特定の部位における強度又は放射エネルギー)を得ることで、追加の治療介入が
必要であるか又は望ましいかについてユーザが判断するのを助けることも可能である。い
くつかの実施形態では、NADH蛍光は、コンピュータシステム126に直接送られ得る
。
【0027】
いくつかの実施形態では、アブレーションの間及び後に、光測定器で取得された光学デ
ータを分析することで、損傷に関する情報を提供することができる。この損傷に関する情
報は、損傷の深さや損傷のサイズ(これらに限定されるものではない)を含む。いくつか
の実施形態では、光測定器からのデータを分析することで、カテーテル140が心筋表面
と接触しているかどうか、及び、カテーテルの先端(tip)によって心筋表面にどれだけ
の圧力が加えられているかを判断することができる。いくつかの実施形態では、スペクト
ロメータ124からのデータを分析することで、組織中のコラーゲン又はエラスチンの存
在を判断する。いくつかの実施形態では、光測定器からのデータが分析され、損傷の進行
、損傷の質、心筋との接触、組織のコラーゲン含有量、及び、組織のエラスチン含有量に
関するリアルタイムフィードバックをユーザに提供するようにグラフィカルユーザインタ
フェースを介してユーザに視覚的に示される。
【0028】
いくつかの実施形態では、本開示のシステム100は、超音波システム190を更に備
え得る。カテーテル140は、超音波システムとつながる(通信する)超音波トランスデ
ューサを備え得る。いくつかの実施形態では、超音波は、組織深さを示すことができ、こ
の組織深さは、代謝活性又は損傷の深さと組み合わされて、断定的に言えば、損傷が実際
に貫壁性であるか否かを判断することに使用できる。いくつかの実施形態では、カテーテ
ル140は、以下で説明するように、ロケーション又はナビゲーションシステム200と
つながる(通信する)位置センサ又はナビゲーションセンサを備え得る。
【0029】
図1を再び参照すると、カテーテル140は、近位端部144及び遠位端部146を有
するカテーテル本体142を含む。カテーテル本体142は、生体適合性材料から作製さ
れてよく、アブレーション部位へカテーテル140を誘導及び前進させることができるよ
うに十分な可撓性を有し得る。いくつかの実施形態では、カテーテル本体142は、さま
ざまな剛性の領域を有し得る。例えば、近位端部144から遠位端部146に向かってカ
テーテル140の剛性が増加し得る。いくつかの実施形態では、カテーテル本体142の
剛性は、所望の心臓位置へカテーテル140を送ることができるように選択される。いく
つかの実施形態では、カテーテル140は、操作可能なイリゲーション式高周波(RF)
アブレーションカテーテルであり得る。このカテーテルは、シースを通って、心臓の左側
の場合には一般的なアクセスツールを用いた標準的な経中隔処置により、心内膜空間に送
られ得る。カテーテル140は、近位端部144にハンドル147を備え得る。器具又は
材料をカテーテル140に通せるように、ハンドル147はカテーテルの1つ以上の内腔
(lumen)と連通し得る。いくつかの実施形態では、ハンドル147は、治療用の標準的
なRF発生器及びイリゲーションシステムのための接続部を備え得る。いくつかの実施形
態では、カテーテル140は、照射(照明)及び分光のための光ファイバ150を収容す
るように構成された1つ以上のアダプタも備え得る。
【0030】
図3を参照すると、カテーテル140は、側壁156と前壁158とを有する遠位端部
材(遠位先端(distal tip))148を遠位端部146に備え得る。前壁158は、例え
ば、平坦状、円錐状、又はドーム状であり得る。いくつかの実施形態では、遠位端部材1
48は、電位図用センシングのような診断用、アブレーションエネルギーを放出するため
などの治療用、又はその両方のために、電極として機能するように構成され得る。アブレ
ーションエネルギーが必要とされるいくつかの実施形態では、カテーテル140の遠位端
部材148は、アブレーション電極又はアブレーション要素として機能し得る。
【0031】
RFエネルギーが提供される実施形態では、遠位端部材148をRFエネルギー源(カ
テーテルの外部)に接続するための配線をカテーテルの内腔に通すことができる。遠位端
部材148は、カテーテルの1つ以上の内腔と連通するポートを備え得る。遠位端部材1
48は任意の生体適合性材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、遠位端部材1
48が電極として機能するように構成される場合、遠位端部材148は、プラチナ、プラ
チナ-イリジウム、ステンレス鋼、チタン又は類似の材料(これらに限定されるものでは
ない)を含む金属で作製され得る。
【0032】
図3を参照すると、光ファイバ又は撮像バンドル150は、視覚化システム120から
、カテーテル本体142を通って、遠位端部材148により画定される照射(照明)キャ
ビティ又は区画152に達し得る。遠位端部材148には、照射キャビティ152と組織
との間で光エネルギーを交換するための1つ以上の開口部154が設けられ得る。いくつ
かの実施形態では、複数の開口部154があっても、アブレーション電極としての遠位端
部材148の機能は損なわれない。この光は、ファイバ150によって遠位端部材148
に届けられて、遠位端部材148の近傍の組織を照らす(遠位端部材148の近傍の組織
に照射される)。この照射光は、反射されるか、又は組織を蛍光発光させる。組織によっ
て反射された光及び組織から蛍光発光された光は、遠位端部材148内の光ファイバ15
0によって集められ、視覚化システム120に戻され得る。いくつかの実施形態では、光
誘導部材160に光を誘導してカテーテル140の外側の組織を1つ以上の方向で照らし
(照射し)、かつ、組織から光を収集するために、同じ光ファイバ又はファイババンドル
150が使用され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、1つ以上の開口部154は、遠位端部材148の側壁156
、前壁158、又はその両方に設けられ得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の開口
部154は、周方向(円周方向)に遠位端部材148に沿って遠位端部材148の全周に
配設され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の開口部154は互いに等距離のとこ
ろに配設され得る。開口部の個数は、所望の視野角範囲により決定され得る。例えば、3
つの等間隔の開口部の場合、120度(360度÷3)単位で照射光及び戻り光が発生す
る。いくつかの実施形態では、1つ以上の開口部154は、遠位端部材148の側壁15
6に沿う複数列で設けられ得る。いくつかの実施形態では、遠位端部材148は側壁15
6に3つ又は4つの開口部を備え得る。いくつかの実施形態では、前壁158の中央に単
一の開口部が設けられ得る。いくつかの実施形態では、前壁158に複数の開口部154
が設けられ得る。いくつかの実施形態では、遠位端部材148に3つの側面開口部及び1
つの前面開口部が設けられる。1つ以上の開口部154は、イリゲーションシステムと接
続するイリゲーションポートとしても機能し得る。いくつかの実施形態では、光の誘導は
一部の側面開口部154からのみ行われる。例えば、いくつかの実施形態では、側壁15
6に6つの開口部が存在する場合、光の誘導は3つの開口部からのみ行われ、他の開口部
はイリゲーション(灌注、洗浄)に使用され得る。
【0034】
複数の経路を介して(カテーテルの長手方向中心軸に対して軸方向及び径方向に)照射
キャビティ152と組織との間で光エネルギーの交換を可能にするために、照射キャビテ
ィ152内に光誘導部材160が設けられ得る。光誘導部材160は、照射光を組織に誘
導し得、また、遠位端部材148内の1つ以上の開口部154を通って戻された光を光フ
ァイバ150に誘導し得る。光誘導部材160は、光を反射するか又は光を反射するよう
に変化できる表面を有する任意の生体適合性材料から作製され得る。この材料は、例えば
、ステンレス鋼、プラチナ、プラチナ合金、石英、サファイア、溶融シリカ、金属化プラ
スチック、又は他の同様な材料などである。いくつかの実施形態では、光誘導部材160
は、高度に研磨されたミラー(鏡)を備え得る。光誘導部材160は、円錐状(すなわち
、滑らか)又は任意の個数の側面を有する多面状(ファセット状)であり得る。光誘導部
材160は、任意の所望の角度で光を曲げるように形成され得る(形作られ得る)。いく
つかの実施形態では、光誘導部材160は、1つ以上の開口部を介してのみ光を反射する
ように形成され得る(形作られ得る)。いくつかの実施形態では、光誘導部材160の材
料は、310nm~370nmの間の照射にさらされたときに蛍光発光しない材料から選
ばれる。
【0035】
いくつかの実施形態では、
図3に示されているように、光誘導部材160は、ミラーの
中心線を通る1つ以上の孔162を含むことが可能であり、これにより、照射光及び反射
光が、カテーテル140に沿って真っすぐに軸方向に両方向に通過可能となる。このよう
な軸方向経路は、遠位端部材148の最も遠位側の表面が生体組織と接触しているときに
有用であり得る。代わりとなる径方向経路は、心房細動の治療で一般的な肺静脈隔離処置
の間の患者の左心房で時々あるように、生体組織によって遠位端部材148の最も遠位側
の表面が標的部位に接触できない場合に有用であり得る。いくつかの実施形態では、多く
の場合に生理食塩水である冷却流体を光が通過するので、すべての経路で、レンズ効果が
不要となり得ると共に、光学系がイリゲーションシステム170と両立(適合)できる。
イリゲーションシステム170は、孔162から血液を洗い流す役割も果たし、それによ
って光学部品を清潔に維持することができる。
【0036】
図4Aを参照すると、光誘導部材160は、複数の角度付きファセット(小平面)16
6を備えた前面164を有し得る。いくつかの実施形態では、光誘導部材160は、3つ
又は4つの等距離ファセットを備え得るが、これよりも多いか又は少ないファセットが使
用されてもよい。いくつかの実施形態では、ファセット166の個数は側壁156の開口
部154の個数と一致し得る。いくつかの実施形態では、ファセット166の個数は側壁
156の開口部154の個数よりも少ない場合がある。いくつかの実施形態では、ファセ
ット166は、
図4Bに示すように、光誘導部材160の中心軸に対して45度(カテー
テルの軸に対して135度)で配置され得る。いくつかの実施形態では、ファセット16
6は、光をより遠位方向又はより近位方向に誘導するために、45度よりも大きい角度又
は小さい角度で配置され得る。
【0037】
図5Aを参照すると、光ファイバ150から光誘導部材160上に誘導された光は、光
誘導部材160により反射され得る。反射光の一部は、遠位端部材148の側壁156の
1つ以上の開口部154を通って遠位端部材148から出射し得る。光誘導部材は、光誘
導部材に当たった光ビームを複数のビームに分離又は分割し、分割されたビームを、対応
する開口部154を介して出射するように特定的に誘導可能である。このようにして、光
源からの光の強度を実質的に保存し、組織への照射強度を増大することができる。一方、
光誘導部材が開口部154に光を集束させず、光が照射キャビティを通って拡散する場合
、組織を照らす光(組織に照射される光)の強度が組織の撮像には不十分となり得る。更
に、いくつかの実施形態では、光誘導部材は、組織から反射された光ビームを収集し、そ
れを光ファイバに誘導するように構成され、光ファイバは、光ビームを光測定器に中継す
ることができる。いくつかの実施形態では、組織から受けたビームは、光ファイバに送ら
れるに先立って組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、照射キャビティに送られる
すべての光は、光誘導部材により誘導されて、開口部154を通って照射キャビティ15
2から出射し得る。更に、光誘導部材160の孔162及び遠位端部材148の前壁15
8の開口部154も光が通過することができる。光誘導部材160、光ファイバ150及
び開口部154を位置合わせすることによって、組織に対する光の強度が調整及び最大化
され得る。ファセット166の角度、開口部154のサイズ、個数、及び位置、並びに光
誘導部材160の孔のサイズ、個数、及び位置を調整及び最適化することによって、光誘
導部材160の開口部を介してカテーテルの遠位端部材148で照射された組織からの戻
り光と、開口部154を介して照射された組織からの戻り光との所望のバランスがもたら
され得る。
【0038】
図5Bに示すように、いくつかの実施形態では、開口部154は、光誘導部材160の
ファセット166と一直線上にあり得る。いくつかの実施形態では、開口部154とファ
セット166との対応は1:1とは異なり得る。いくつかの実施形態では、カテーテル1
40は、光誘導部材160の3つのファセット又は4つのファセット166にそれぞれ対
応する3つの開口部又は4つの開口部を備え得る。いくつかの実施形態では、いくつかの
開口部154は、開口部154及び光誘導部材160の形状及び向き(姿勢)に起因して
光交換に使用されなくてもよく、イリゲーションのためにしか使用されないことに留意さ
れたい。
図5Bに示すように、開口部154aは、光交換のためにファセット166と位
置合わせされ得るが、開口部154bはファセット166と位置合わせされていない。ゆ
えに、開口部154bは、追加の光を交換する場合でも主にイリゲーションに使用される
。
【0039】
図6A及び
図6Bを参照すると、いくつかの実施形態では、光ファイバ150を光誘導
部材160と位置合わせする(一直線にする)ために、ファイバ位置合わせ部材(ファイ
バアライナ)168が遠位端部材148内に設けられ得る。ファイバ位置合わせ部材16
8は、ファイバ内腔(fiber lumen)170を備え得る。光ファイバ150を光誘導部材
160と位置合わせするために、光ファイバ150がファイバ内腔170を通って前進し
得る。いくつかの実施形態では、光誘導部材160のファセット166が一様に照射され
るように、かつ、長手方向への照射及び戻りのための中心孔での照射を可能にするように
、光ファイバ150の中心軸が、光誘導部材160の中心軸と位置合わせされ得る(一直
線にされ得る)。例えば、光ファイバ150を光誘導部材160の中心に配置させるよう
に、ファイバ内腔170はファイバ位置合わせ部材168の中心軸に沿って延び得る。対
象のアブレーション用途の組織蛍光を最大化するために、光誘導部材160の中心孔と開
口部154との間に望ましい配光を行うように、ファイバ位置合わせ部材168における
ファイバの位置が最適化され得る。
【0040】
図6C及び
図6Dに示すように、ファイバ位置合わせ部材168は遠位端部材148に
挿入され得る。光ファイバ150は、ファイバ位置合わせ部材168のファイバ内腔17
0を通って前進するときに、光誘導部材160に対して所望の向き及び姿勢をとり得る。
【0041】
再度
図6Bを参照すると、いくつかの実施形態では、ファイバ位置合わせ部材168は
、1つ以上の切欠き172及び1つ以上のポート174を備え得る。このようにして、フ
ァイバ位置合わせ部材168がカテーテル140の遠位端部146に挿入されると、切欠
き172及びポート174によって、器具及び物質(例えばイリゲーション流体及び遠位
端部材148へのアブレーション用の電極配線など)を通すことができる。
【0042】
図7A及び
図7Bを参照すると、光誘導部材160は、光誘導部材160のファセット
166を1つ以上の開口部154と位置合わせするのに役立つキー部材174を備え得る
。光誘導部材160のファセットの角度は、遠位端部材148の開口部154と整合し得
る。これらが不整合である場合、光路は非効率なものになりかねない。この整合を保証す
るために、いくつかの実施形態では、ファセット166と開口部との整合が確定的となる
ように、光誘導部材160及び遠位端部材148は対称的なキー機構を有する。所定の位
置に配置されると、光誘導部材160を遠位端部材148に固定するのに種々の技術が用
いられ得る。
【0043】
図8A及び
図8Bを参照すると、いくつかの実施形態では、光誘導部材160は、一度
に一方向にのみ光の照射及び受光が可能な単一のファセットミラーを備え得る。いくつか
の実施形態では、側壁156の開口部154を標的部位と位置合わせするために、そのよ
うな光誘導部材160はカテーテル140に対して回転可能であり得る。回転ミラーを提
供する多くの方法があり、該方法は、光誘導ミラーに接続されたカテーテル140のハン
ドル147にトルク機構を有する水力タービン機構(これに限定されない)を含み得る。
図8Bを参照すると、いくつかの実施形態では、固定ミラーに、ファセット形状とは異な
る円錐形状が与えられ得る。
図8C及び
図8Dは、6つのファセットを備えた光誘導部材
160の別の実施形態を示す。
【0044】
図9は、観察者に向けて配置された本開示のカテーテル140を示す。NADHと同じ
波長において蛍光を発する溶液の小瓶がカテーテル140の隣に保持されるとき、遠位端
部材148から径方向に発する光路が溶液の小瓶と相互作用している。遠位端部材148
の反対側から発する光路は、蛍光が欠如しているために見えない。
【0045】
上記のように、システム100はイリゲーションシステム170も備え得る。いくつか
の実施形態では、イリゲーションシステム170は、アブレーション治療中に先端電極を
冷却するためにカテーテル内に生理食塩水を送り込む。これにより、スチームポップ及び
炭化(すなわち、先端に付着し、後に脱落して血栓溶解事象の原因となりかねない凝塊)
の形成を防止するのを助けることができる。提案する光学系では、流体の流れは、取り除
かれなければ照射光を吸収するであろう血液を、遠位端部材148の開口部から取り除く
ことができる。
【0046】
イリゲーションシステム170は、遠位端部材148の1つ以上の開口部に接続され得
、多くの他の考えられる用途のうち、例えば、流体で開口部を洗浄すること、先端(遠位
端)から血液を取り除くこと、組織-電極インターフェース(組織と電極との接触部分)
を冷却すること、血栓形成を防ぐことに使用され得る。いくつかの実施形態では、イリゲ
ーション流体は、1つ以上の開口部154を連続的に洗浄するために、カテーテルの外側
の圧力に対して正の圧力で維持される。
【0047】
図10を参照すると、本開示のシステム100の運用(作動)が示されている。最初に
、肺静脈/左心房接合部、又は心臓の他の領域など、心房細動を患う心臓組織の領域にカ
テーテル140を挿入する(ステップ1010)。血液は、例えばイリゲーションにより
視野から取り除かれ得る。罹患領域(患部)は、光誘導部材160から反射された紫外線
で照射され得る(ステップ1015)。照射領域内の組織は、照射の前、後又は照射中に
アブレーションされ得る(ステップ1020)。1点ずつ行う(point-to-point)RFア
ブレーション、冷凍アブレーション、レーザー又は他の公知のアブレーション処置のいず
れかを、本開示のシステムを用いて行うことが可能である。
【0048】
更に
図10を参照すると、組織からの光を受けてこの光を光ファイバに誘導する光誘導
部材を用いて、照射領域が撮像され得る(ステップ1025)。この光ファイバは、光を
スペクトロメータに送ることができる。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、ニコ
チンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の還元型であるNADHの蛍光発光の撮
像に依存している。NAD+は補酵素であり、すべての生細胞の好気的代謝酸化還元反応
において重要な役割を果たす。このNAD+は、ミトコンドリア内で生じるクエン酸回路
(トリカルボン酸回路)から電子を受け取ることで酸化剤として働く。従って、このプロ
セスにより、NAD+は還元されてNADHになる。NADH及びNAD+は、細胞の呼
吸ユニット(ミトコンドリア)において最も豊富に存在するが、細胞質にも存在する。N
ADHは、ミトコンドリアにおいて電子及び陽子の供与体であって、細胞の代謝を制御し
、DNA修復や転写を含む多くの生物学的プロセスに関与する。
【0049】
UVにより誘起された組織の蛍光を測定することにより、その組織の生化学的状態を知
ることが可能である。NADH蛍光は、細胞代謝活性や細胞死のモニタリングにおけるそ
の使用について研究されてきた。インビトロ及びインビボでのいくつかの研究において、
細胞死(アポトーシス又は壊死のいずれか)をモニタリングする内因性バイオマーカーと
してNADH蛍光強度を利用することの可能性が研究されている。NADHが損傷細胞の
ミトコンドリアから放出されるか又はその酸化型(NAD+)に変換されると、その蛍光
は著しく低下し、これは健常組織と損傷組織とを区別する際に非常に有用である。NAD
Hは、酸素が利用できない虚血状態の間に細胞内に蓄積し、蛍光強度を増大させ得る。し
かし、死細胞の場合、NADHの存在はすべて消失する。次の表は、NADH蛍光に基づ
くさまざまな状態の相対強度をまとめたものである。
【0050】
【0051】
更に
図10を参照すると、NAD+及びNADHは共にUV光を非常に容易に吸収する
が、NADHはUV励起に反応して自家蛍光を発するのに対し、NAD+は発しない。N
ADHは、約340~360nmのUV励起ピークと約460nmの発光ピークを有する
。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、約330nm~約370nmの間の励起波
長を用い得る。従って、適切な器具の使用により、対象領域内の低酸素症及び壊死組織の
リアルタイム観測として発光波長を画像化することが可能である。更に、いくつかの実施
形態では、NADH蛍光に比例するグレースケールレンダリングによって相対的な距離(
relative metric)が把握され得る。
【0052】
低酸素状態下では、酸素レベルは低下する。その後のfNADH放出信号の強度は増大
して、ミトコンドリアNADHが過剰であることを示し得る。低酸素症が未確認のまま残
されると、影響を受けた細胞がそのミトコンドリアと共に死滅することにより、最終的に
は信号の最大減衰が生じることになる。末期的損傷を受けたアブレーションされた組織の
周囲を識別するために、NADHレベルの高コントラストが使用され得る。
【0053】
蛍光撮像を開始するために、UVレーザーなどの光源からのUV光によってNADHが
励起され得る。組織検体中のNADHは、光の励起波長を吸収し、より長い波長の光を放
出する。放出光を集めてスペクトロメータに戻し、撮像された照射領域の表示(display
)がディスプレイ上に生成され得る(ステップ1030)。この表示は、NADH蛍光の
量に基づいて撮像領域内のアブレーションされた組織及びアブレーションされていない組
織を識別するために使用される(ステップ1035)。例えば、完全にアブレーションさ
れた部位は、蛍光が存在しないため完全に暗い領域として現れ得る。従って、アブレーシ
ョンされた領域は、より明るく見える周囲のアブレーションされていない心筋と比較する
と、顕著に暗く見え得る。この特徴により、健常組織に対して顕著なコントラストが生じ
、またアブレーションされた組織と健常組織との間の境界領域に更なるコントラストが生
じることで、アブレーションされた領域を検出する能力を高めることができる。この境界
領域は、浮腫及び虚血組織であって、そこでは、撮像の際にNADH蛍光が明るい白色で
現れる。境界領域は、アブレーションされた中心組織の周りにハロー状(halo:光の輪状
)の形状を呈する(見た目を形成する)。
【0054】
そして、このプロセスは、必要に応じて、別の組織をアブレーションするためにアブレ
ーション工程に戻ることで繰り返され得る。
図10は、順次実行される工程を示している
が、その工程の多くを同時に、ほぼ同時に、又は
図10に示す順序とは異なる順序で実行
してよいことを認識されたい。例えば、アブレーション、撮像、及び表示を同時に行うこ
とができ、また、組織をアブレーションしている間に、アブレーションされた組織及びア
ブレーションされていない組織の識別を行うことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、カテーテルと、光源と、光測定器とを
備える。いくつかの実施形態では、システムは、光検出ファイバを有する光検出システム
を更に備える。光検出システムは、電気的又はRFエネルギーノイズから独立しているか
、又は、影響を受けない。いくつかの実施形態では、光検出ファイバは電気的に導通せず
、また、RFエネルギーは対象範囲の電磁エネルギーをシステムに対して生成しない。
【0056】
いくつかの実施形態では、システムは、生体系においてカテーテル環境(カテーテルの
周囲の状況)を光学的に探索するように構成される(適合される)。いくつかの実施形態
では、システムは、NADH蛍光によりカテーテル環境をリアルタイムで光学的に探索す
ることで、血液プールへの電極の完全浸漬又は部分浸漬の1つ以上を判断又は評価するよ
うに構成される。例えば、光学系は、カテーテル先端が血液プールに完全又は部分的に浸
漬されていることを推論(インファレンス)によって検出することができる。これは、正
の光学的シグネチャを返す組織又は血管系と異なり、血液はこの波長において照射光を完
全に吸収し、その結果、ゼロの光学的シグネチャを返すためである。この完全吸収という
特徴により、光分離、ひいてはノイズ絶縁がもたらされる。器具はこの状況を、光学的較
正のため、及びカテーテル自体によってもたらされる偶然の光学的シグネチャを取り除く
ために用いることができる。更に、システムは、カテーテル先端と組織との間の定性的及
び/又は定量的接触評価、カテーテルの接触安定性の定性的及び/又は定量的評価、リア
ルタイムのアブレーション損傷の形成、アブレーション損傷の進行モニタリング、損傷を
終わらせるべき時期の決定、アブレーション部位の周囲に生じやすく、不完全なアブレー
ション損傷に関連し得る浮腫領域の特定、アブレーション損傷の深さの特定、損傷の断面
積の特定、損傷の温度の特定、蒸気発生の認識、又は蒸気ポップ(スチームポップ)の開
始を予測するための別の生理的パラメータの変化の認識、アブレーション損傷の形成中又
は形成後の先端電極における炭化物(char)の形成、虚血の検出、虚血レベル(虚血の度
合い)の検出、損傷形成後のアブレーション損傷の評価、電気的な衝撃が与えられた心筋
を浮腫領域が含むときの再アブレーションのための浮腫領域の特定、及び、代謝的に活性
な組織を代謝的に不活性な組織から区別することによる、以前にアブレーションされた組
織の位置のマッピング、のために使用され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、システムは、NADH蛍光(fNADH)の組織パラメータ
を光学的に探索するように構成される。
【0058】
いくつかの実施形態では、システムは、組織を光学的に探索するように構成され、シス
テムは、組織の代謝状態及び組織の組織構成を含むパラメータを分析する。
【0059】
いくつかの実施形態では、システムは、1つの波長で組織に照射する(組織を照らす)
ように構成され、照射によっていくつかの光学応答がもたらされる。いくつかの実施形態
では、この光学応答は、仮に心筋が健常な代謝状態にあれば、心筋に含まれるNADHの
蛍光発光を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン又はエラスチンなどの他の組織が
、異なる波長において蛍光発光し、システムは、この情報の測定を用いて、カテーテルと
接触する組織の構成(すなわち、コラーゲン又はエラスチン)を決定する。いくつかの実
施形態では、組織構成(組成)は、心筋、筋肉、心筋構造(弁、血管構造など)、及び、
線維性又は解剖学的成分を含む。いくつかの実施形態では、組織構成(組成)は、コラー
ゲン、エラスチン、及び、線維性又はサポート構造を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、本開示のカテーテルは、カテーテル本体、先端電極、及び1
つ以上の感知電極(検出電極)を備える。いくつかの実施形態では、カテーテルは、異な
る可撓性を有する1つ以上の区域を更に備える。該区域は偏向機構と組み合わされており
、該偏向機構は、医師が誘導し易いようにカテーテルの遠位部分を曲げることができるよ
うに構成されている。いくつかの実施形態では、可撓性を有する区域は、カテーテルの遠
位部分に配置されるのに対し、カテーテルの本体はプッシャビリティのために比較的高剛
性に保たれる。いくつかの実施形態では、カテーテル体の本体は、医師がカテーテル誘導
のためのロボットシステムを使用できるように可撓性を有する。いくつかの実施形態では
、カテーテルは可撓性を有し、カテーテルシース内で手動又はロボット制御で操作可能で
ある。
【0061】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、誘導のためにカテーテル先端を偏向させるよ
うに構成された偏向機構を更に備える。いくつかの実施形態では、偏向機構は、1つ以上
の引張ワイヤーを備える。該ワイヤーは、カテーテルハンドルで操作されて、カテーテル
の遠位部分を1つ以上の方向に偏向させるか又は長さ方向を曲げる。いくつかの実施形態
では、カテーテルは、電極の遠位端部材と一体の温度センサを更に備える。いくつかの実
施形態では、カテーテルは、カテーテルの遠位部、好ましくは遠位電極の先端に配置され
た1つ以上の超音波トランスデューサを更に備える。超音波トランスデューサは、カテー
テル先端の下又はカテーテル先端に隣接する組織の厚さを評価(測定)するように構成さ
れる。いくつかの実施形態では、カテーテルは、複数のトランスデューサを備える。該ト
ランスデューサは、カテーテル先端が心筋に対して比較的垂直であるか又は心筋と比較的
平行である状況をカバーする深さ情報を提供するように構成されている。
【0062】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、イリゲーション手段を更に備える。イリゲー
ション手段は、イリゲーション流体でカテーテル開口部を洗い流すことでカテーテル先端
から血液を取り除くためのものであり、組織-電極インターフェース(組織と電極との接
触部分)を冷却するためのものであり、血栓形成を防ぐためのものであり、RFエネルギ
ーを組織のより大きい領域に分散させ、それによって非洗浄のカテーテル(非イリゲーシ
ョン式カテーテル)よりも大きい損傷を形成するためのものである。いくつかの実施形態
では、イリゲーション流体は、カテーテル先端の外側に対してカテーテル先端内で正の圧
力で維持されて、開口部の連続的な洗い流しに適している。
【0063】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、カテーテルの位置特定及び誘導を行うための
、電気式、磁気式、若しくは電磁式の位置センサ又はナビゲーションセンサ(誘導センサ
)を備える。いくつかの実施形態では、センサは、いくつかのカテーテルメーカー又はシ
ステムメーカーのうちの1つのナビゲーションシステム内でカテーテルの先端の位置を特
定するように構成されている。センサは、ソース位置からのエネルギーをやりとりし、三
角測量又は他の手段によって位置を計算することができる。いくつかの実施形態では、カ
テーテルは、ナビゲーションシステムのディスプレイ上にカテーテル本体の位置及びカテ
ーテル本体の湾曲をレンダリングする(表示する)ように構成された2つ以上のセンサ又
はトランスデューサを備える。
【0064】
いくつかの実施形態では、組織をアブレーションするように構成されたカテーテルは、
カテーテル本体と、組織をアブレーションするように構成された先端電極とを備える。い
くつかの実施形態では、カテーテルは、光エネルギーを組織に供給するように構成された
少なくとも1つの光導波路と、光エネルギーを組織から受けるように構成された1つ以上
の光導波路とを更に備える。いくつかの実施形態では、カテーテルは、光エネルギーを組
織に供給し、かつ、光エネルギーを組織から受けるように構成された単一の光導波路を更
に備える。
【0065】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、アブレーションエネルギーに適したものであ
り、アブレーションエネルギーは、RFエネルギー、冷凍エネルギー、レーザー、化学物
質、エレクトロポレーション(電気穿孔)、高密度焦点式超音波又は超音波、及びマイク
ロ波のうちの1つ以上である。
【0066】
いくつかの実施形態では、カテーテルの先端は、組織の電気的活動を感知(検知)する
ように構成された第1の電極と、アブレーションエネルギー又は化学物質を送るか又は伝
えるように構成された第2の電極と、光を1つ以上の方向に同時に誘導する光誘導部材と
、光エネルギーを送受するための1つ以上の開口部と、イリゲーション流体が前記先端か
ら流れる1つ以上の開口部と、光を送受すると同時にイリゲーション流体を前記先端から
流すように構成された1つ以上の開口部と、を備える。いくつかの実施形態では、カテー
テルの先端は、カテーテルと接触する組織の電気的活動を第1の電極が感知できるように
適合された(感知するのに適した)導電性材料を含む。いくつかの実施形態では、前記先
端は、アブレーションエネルギー又は化学エネルギーを送るか又は伝えるように構成され
た電極を更に備える。いくつかの実施形態では、前記先端は、RFエネルギーを、隣接す
る組織に伝えるように構成される。いくつかの実施形態では、前記先端は、隣接する組織
へのレーザーアブレーションエネルギーの伝達を可能にする光学的に透明な材料を含む。
いくつかの実施形態では、前記先端は、組織の細胞、又は前記先端に極めて近い組織の細
胞を変化させるのに使用される化学物質を送るように構成された複数の孔を備える。いく
つかの実施形態では、光を送受するための開口部は遠位先端(遠位端部材)にある。いく
つかの実施形態では、前記先端は、アブレーションエネルギーの印加中に前記先端を流体
で冷却するように構成された追加の複数の孔を備える。
【0067】
いくつかの実施形態では、前記先端は、誘導された光エネルギーを組織に照射すること
(誘導された光エネルギーが組織を照らすこと)、及び、光エネルギーが組織からカテー
テルに戻ること、を可能にするように構成された少なくとも1つの開口部を更に備える。
いくつかの実施形態では、前記先端は、カテーテルの長手方向軸に沿って組織に照射する
(組織を照らす)ための少なくとも1つの開口部を遠位先端(遠位端部材)に備える。い
くつかの実施形態では、光の一部分の長手方向への誘導を可能にする中心内腔(central
lumen)を有する光誘導部材に依存した方法で光エネルギーが誘導される。いくつかの実
施形態では、前記先端は、カテーテルに対する放射軸方向に組織に照射する(組織を照ら
す)ための少なくとも1つの開口部を遠位先端(遠位端部材)に更に備える。いくつかの
実施形態では、前記先端は、光誘導部材を使用して主光源を特定の複数のビームに分割す
ることによって光を誘導するように構成される。
【0068】
いくつかの実施形態では、主光源は、光ビームを光ファイバの先の光誘導部材に送るよ
うに適合されたレーザーであり、光ビームは、カテーテルに隣接する構造を確実に照射す
るように(照らすように)、前記先端に対して真っすぐ前の方向(前進方向)を含む1つ
以上の方向に送られる。いくつかの実施形態では、照射された構造が、光エネルギーをカ
テーテル先端及び光誘導部材に送り返し、次に戻り光がファイバの先のスペクトロメータ
に反射される。
【0069】
いくつかの実施形態では、前記先端は、照射キャビティの内部の研磨と無関係に光エネ
ルギーを誘導するように構成される。いくつかの実施形態では、光エネルギーの誘導は、
照射キャビティの内壁の使用に依存しない。
【0070】
いくつかの実施形態では、fNADHをサポートするように構成されたカテーテルが1
つ以上の超音波トランスデューサを備える。いくつかの実施形態では、カテーテルは、対
象領域の壁厚を測定するように構成される。いくつかの実施形態では、カテーテルは壁厚
を通じて組織の代謝状態を評価するように構成される。いくつかの実施形態では、カテー
テルは、RFエネルギーの印加中に心筋の代謝状態を評価するように構成され、かつ、心
臓壁の厚さを測定するように構成された超音波トランスデューサを更に備える。いくつか
の実施形態では、カテーテルは、損傷における電気的ギャップを確認するために代謝的に
活性な組織を識別するように構成される。
【0071】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、光を1つ以上の径方向及び軸方向に同時に送
るように構成された光誘導要素を備える。いくつかの実施形態では、カテーテルは、先端
電極の別個の要素又はモジュラー要素を更に備え、電極の先端に光誘導部材が組み込まれ
る。いくつかの実施形態では、光誘導部材は、光が軸方向に通過するように中心に配置さ
れた内腔を有する。いくつかの実施形態では、光誘導部材は、光エネルギーの伝達を可能
にするカテーテル先端の開口部と光誘導部材のファセットとの位置合わせを容易にするよ
うに適合される。いくつかの実施形態では、光誘導部材は、カテーテル先端内の固定位置
でのスナップ嵌合、溶接、はんだ付け、又は接着により、カテーテル先端に組み込まれる
。
【0072】
いくつかの実施形態では、光誘導部材は、1つ以上の反射ファセットと、カテーテルの
先端の1つ以上の光ポートとの正確な位置合わせを容易にするように適合される。いくつ
かの実施形態では、光誘導部材は、カテーテル先端内に配置された別個の要素であり、該
要素は、カテーテルの長手方向軸に沿って、前記先端を貫通する光路を提供するように構
成される。いくつかの実施形態では、光誘導部材は、前記先端から突出し、溶接が光誘導
部材の反射面を邪魔しないか又は損傷しないように前記先端の遠位側に溶接され得る。い
くつかの実施形態では、光誘導部材は、研磨されたステンレス鋼を含む。いくつかの実施
形態では、光誘導部材は、プラチナ若しくはプラチナ合金、前記先端と同じ材料、光を反
射又は分割可能な反射面を有する材料、又は約310nm~約370nmで照射されたと
きに蛍光発光しない材料を含む。いくつかの実施形態では、光誘導部材は、先端電極のい
ずれの開口よりも大きく、ゆえに、該開口から決して抜け出すことができない。
【0073】
いくつかの実施形態では、光誘導部材は、効率化のために最適な個数のファセット及び
最適な光路を提供するように最適化され得る。この特徴は、所望の放射有効範囲に対して
トレードオフの関係となり得る。例えば、心筋表面と平行な遠位先端(遠位端部材)との
組織接触に関連して、放射有効範囲は、前記先端が心臓組織と平行であるときに、遠位先
端(遠位端部材)の側壁の少なくとも1つの開口部が心筋に向けられるように設計され得
る。同様に、カテーテル先端が心筋表面とほぼ直交するときに、遠位先端(遠位端部材)
の前壁の開口部によって、光の送受が確実に実現され得る。いくつかの実施形態では、光
誘導部材に3つ~4つのファセットが設けられる。
【0074】
いくつかの実施形態では、本開示のカテーテルは、カテーテル本体と共に、以下の構成
要素を備える。カテーテルは、カテーテル本体の遠位端部に配置されて光チャンバを画定
する遠位端部材(遠位先端)を備え、遠位端部材は、光チャンバと組織との間で光エネル
ギーを交換するための1つ以上の開口部を有する。このカテーテルは、光チャンバ内に配
設される光誘導部材を備え、光誘導部材は、遠位端部材の1つ以上の開口部を介して、組
織に光エネルギーを誘導するように、かつ、組織から光エネルギーを誘導するように構成
されている。いくつかの実施形態では、カテーテルは、光チャンバ内に至るまで延びて光
チャンバに対して光の送受を行う1つ以上の光導波路を備える。いくつかの実施形態では
、カテーテルは光誘導部材を有し、1つ以上の開口部は、径方向及び軸方向に組織を照ら
す(照射する)ことができるように構成されている。いくつかの実施形態では、カテーテ
ルは、ドーム状の前壁及び真っすぐな側壁を有する遠位端部材を有する。いくつかの実施
形態では、カテーテルは、遠位端部材の側壁に沿って配設される1つ以上の開口部を有す
る。いくつかの実施形態では、カテーテルは、遠位端部材に沿って周方向に配設される1
つ以上の開口部を有する。いくつかの実施形態では、カテーテルは、遠位端部材の側壁に
沿って複列に(複数の列で)設けられる1つ以上の開口部を有する。いくつかの実施形態
では、カテーテルは、組織アブレーション電極を含んで構成される遠位端部材を有する。
いくつかの実施形態では、カテーテルは、1つ以上の開口部から光を径方向に誘導するよ
うに構成される光誘導部材を有する。いくつかの実施形態では、カテーテルは、複数のフ
ァセットを含んで構成される光誘導部材を有する。いくつかの実施形態では、カテーテル
は、等間隔の複数のファセットを含んで構成される光誘導部材を有する。いくつかの実施
形態では、カテーテルは、複数のファセットを含んで構成された光誘導部材を有し、ファ
セットの個数は、遠位端部材の側壁に沿った開口部の個数と一致する。いくつかの実施形
態では、カテーテルは、カテーテルの長手方向軸に対するある角度で光エネルギーを反射
するように形成された(形作られた)光誘導部材を有する。
【0075】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、一面ミラー(single-faceted mirror)を含
んで構成される光誘導部材を有する。いくつかの実施形態では、カテーテルは、光チャン
バに対して回転可能な光誘導部材を有する。いくつかの実施形態では、カテーテルは、1
つ以上の貫通孔を含んで構成される光誘導部材を有し、遠位端部材は、遠位端部材の前壁
に配設される1つ以上の開口部を含んで構成され、光が光誘導部材及び前壁の1つ以上の
開口部を長手方向に通過することができる。
【0076】
以上の開示は、本開示のさまざまな非限定的な実施形態を単に例示するために記載されたものであり、限定を意図するものではない。当業者であれば、本開示の精神及び趣旨を組み込んだ開示実施形態の改変を思い付くことができるので、ここに開示される実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内のすべてを含むと解釈されるべきである。
尚、出願当初の請求項は以下の通りであった。
[請求項1]
アブレーションされた組織を視覚化するカテーテルであって、
カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端部に配置されて照射キャビティを画定する遠位端部材と、
前記照射キャビティ内に配設される光誘導部材と、
を備え、
前記遠位端部材は、前記照射キャビティと組織との間で光エネルギーを交換するための1つ以上の開口部を有し、
前記光誘導部材は、前記遠位端部材の1つ以上の開口部を介して、組織に光エネルギーを誘導するように、かつ、組織から光エネルギーを誘導するように構成されている、
カテーテル。
[請求項2]
前記照射キャビティ内に至るまで延びて前記照射キャビティに対して光の送受を行う1つ以上の光ファイバを更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
[請求項3]
前記遠位端部材はファイバ位置合わせ部材を更に備え、前記ファイバ位置合わせ部材は、前記1つ以上の光ファイバを前記光誘導部材の中心軸と位置合わせするように構成されている、請求項2に記載のカテーテル。
[請求項4]
前記光誘導部材及び前記1つ以上の開口部は、前記カテーテルの長手方向軸に対する径方向及び軸方向に組織を照らすことができるように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
[請求項5]
前記1つ以上の開口部は前記遠位端部材の側壁に沿って配設され、前記光誘導部材は、前記1つ以上の開口部を介して、前記カテーテルの長手方向軸に対するある角度で光エネルギーを誘導するように形成されている、請求項1に記載のカテーテル。
[請求項6]
前記光誘導部材は1つ以上の貫通孔を備え、前記遠位端部材は、前記遠位端部材の前壁に配設された1つ以上の開口部を備え、光が前記光誘導部材及び前記前壁の1つ以上の開口部を長手方向に通過することができる、請求項5に記載のカテーテル。
[請求項7]
前記1つ以上の開口部を介してのみ光を反射するように前記光誘導部材が前記1つ以上の開口部と位置合わせされている、請求項5に記載のカテーテル。
[請求項8]
前記1つ以上の開口部は、前記遠位端部材に沿って周方向に配設されて互いに等距離だけ離間され、前記光誘導部材は、前記1つ以上の開口部と位置合わせされた複数の等間隔のファセットを備える、請求項1に記載のカテーテル。
[請求項9]
前記遠位端部材は、アブレーションエネルギーを組織に供給するように構成され、前記アブレーションエネルギーは、高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー、レーザーエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~請求項8のいずれか1つに記載のカテーテル。
[請求項10]
超音波トランスデューサを更に備える、請求項1~請求項8のいずれか1つに記載のカテーテル。
[請求項11]
位置センサ又はナビゲーションセンサを更に備える、請求項1~請求項8のいずれか1つに記載のカテーテル。
[請求項12]
アブレーションされた組織を視覚化するシステムであって、
カテーテルと、
光源と、
光測定器と、
前記光源及び前記光測定器とつながっている1つ以上の光ファイバと、
を備え、
前記カテーテルは、
カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端部に配置されて照射キャビティを画定する遠位端部材と、
前記照射キャビティ内に配設される光誘導部材と、
を備え、
前記遠位端部材は、前記照射キャビティと組織との間で光エネルギーを交換するための1つ以上の開口部を有し、
前記光誘導部材は、前記遠位端部材の1つ以上の開口部を介して、組織に光エネルギーを誘導するように、かつ、組織から光エネルギーを誘導するように構成され、
前記1つ以上の光ファイバは、前記カテーテル本体を通って前記遠位端部材の前記照射キャビティ内に至るまで延び、
前記1つ以上の光ファイバは、前記遠位端部材の外側の組織を照らすために光エネルギーを前記光源から前記光誘導部材に送るように構成され、
前記1つ以上の光ファイバは、組織から反射された光エネルギーを前記光測定器に中継するように構成されている、
システム。
[請求項13]
前記1つ以上の光ファイバは、ファイババンドル又は単一のファイバを含む、請求項12に記載のシステム。
[請求項14]
前記遠位端部材はファイバ位置合わせ部材を更に備え、前記ファイバ位置合わせ部材は、前記1つ以上の光ファイバを前記光誘導部材の中心軸と位置合わせするように構成されている、請求項13に記載のシステム。
[請求項15]
前記光誘導部材及び前記1つ以上の開口部は、前記カテーテルの長手方向軸に対する径方向及び軸方向に組織を照らすことができるように構成されている、請求項12に記載のシステム。
[請求項16]
前記1つ以上の開口部は前記遠位端部材の側壁に沿って配設され、前記光誘導部材は、前記1つ以上の開口部を介して、前記カテーテルの長手方向軸に対するある角度で光エネルギーを誘導するように形成されている、請求項12に記載のシステム。
[請求項17]
前記光誘導部材は1つ以上の貫通孔を備え、前記遠位端部材は、前記遠位端部材の前壁に配設された1つ以上の開口部を備え、光が前記光誘導部材及び前記前壁の1つ以上の開口部を長手方向に通過することができる、請求項16に記載のシステム。
[請求項18]
前記1つ以上の開口部を介してのみ光を反射するように前記光誘導部材が前記1つ以上の開口部と位置合わせされている、請求項16に記載のシステム。
[請求項19]
前記1つ以上の開口部は、前記遠位端部材に沿って周方向に配設されて互いに等距離だけ離間され、前記光誘導部材は、前記1つ以上の開口部と位置合わせされた複数の等間隔のファセットを備える、請求項12に記載のシステム。
[請求項20]
前記遠位端部材は、アブレーションエネルギーを組織に供給するように構成され、前記アブレーションエネルギーは、高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー、レーザーエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12~請求項19のいずれか1つに記載のシステム。
[請求項21]
前記カテーテルは超音波トランスデューサを更に備える、請求項12~請求項19のいずれか1つに記載のシステム。
[請求項22]
前記カテーテルは、位置センサ又はナビゲーションセンサを更に備える、請求項12~請求項19のいずれか1つに記載のシステム。
[請求項23]
アブレーションされた組織を視覚化する方法であって、
カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端部に配置されて照射キャビティを画定する遠位端部材であって、前記照射キャビティと組織との間で光を交換するための1つ以上の開口部を有する前記遠位端部材と、
前記照射キャビティ内に配設される光誘導部材であって、前記遠位端部材の1つ以上の開口部を介して、組織に光を誘導するように、かつ、組織から光を誘導するように構成されている前記光誘導部材と、
を備えるカテーテルを、アブレーションを必要とする心臓組織へ前進させること、
アブレーションされた心臓組織及びアブレーションされていない心臓組織を含む心臓組織の領域内のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド水素(NADH)を励起するために、前記カテーテルの前記遠位端部材の1つ以上の開口部を介して前記光誘導部材に光を誘導させること、
心臓組織から反射された光を前記1つ以上の開口部を介して収集し、この収集された光を光測定器に誘導すること、
心臓組織の前記領域のNADH蛍光を検出するために心臓組織の前記領域を撮像すること、及び、
前記撮像されて照らされた心臓組織の表示を生成すること、
を含み、
前記表示は、前記アブレーションされた心臓組織を、前記アブレーションされていない心臓組織よりも少ない蛍光を呈するものとして示す、
方法。
[請求項24]
組織を撮像するに先立って、前記遠位端部材により組織をアブレーションすることを更に含む、請求項23に記載の方法。
[請求項25]
前記アブレーションされた心臓組織と前記アブレーションされていない心臓組織とを前記蛍光の量に基づいて区別することによって識別された別のアブレーションされていない心臓組織をアブレーションすることを更に含む、請求項24に記載の方法。
[請求項26]
前記光誘導部材及び前記1つ以上の開口部は、前記カテーテルの長手方向軸に対する径方向及び軸方向に心臓組織を照らすことができるように構成されている、請求項23に記載の方法。
[請求項27]
前記照射キャビティ内に至るまで延びて前記照射キャビティに対して光の送受を行う1つ以上の光ファイバを更に備える、請求項23に記載の方法。
[請求項28]
前記遠位端部材はファイバ位置合わせ部材を更に備え、前記ファイバ位置合わせ部材は、前記1つ以上の光ファイバを前記光誘導部材の中心軸と位置合わせするように構成されている、請求項27に記載の方法。
[請求項29]
前記光誘導部材及び前記1つ以上の開口部は、前記カテーテルの長手方向軸に対する径方向及び軸方向に組織を照らすことができるように構成されている、請求項23に記載の方法。
[請求項30]
前記1つ以上の開口部は前記遠位端部材の側壁に沿って配設され、前記光誘導部材は、前記1つ以上の開口部を介して、前記カテーテルの長手方向軸に対するある角度で光エネルギーを誘導するように形成されている、請求項23に記載の方法。
[請求項31]
前記光誘導部材は1つ以上の貫通孔を備え、前記遠位端部材は、前記遠位端部材の前壁に配設された1つ以上の開口部を備え、光が前記光誘導部材及び前記前壁の1つ以上の開口部を長手方向に通過することができる、請求項30に記載の方法。
[請求項32]
前記1つ以上の開口部を介してのみ光を反射するように前記光誘導部材が前記1つ以上の開口部と位置合わせされている、請求項30に記載の方法。
[請求項33]
前記1つ以上の開口部は、前記遠位端部材に沿って周方向に配設されて互いに等距離だけ離間され、前記光誘導部材は、前記1つ以上の開口部と位置合わせされた複数の等間隔のファセットを備える、請求項23に記載の方法。
[請求項34]
前記遠位端部材は、アブレーションエネルギーを組織に供給するように構成され、前記アブレーションエネルギーは、高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー、レーザーエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項23~請求項33のいずれか1つに記載の方法。
[請求項35]
超音波トランスデューサを更に備える、請求項23~請求項33のいずれか1つに記載の方法。
[請求項36]
位置センサ又はナビゲーションセンサを更に備える、請求項23~請求項33のいずれか1つに記載の方法。
[請求項37]
アブレーションされた組織を視覚化するためのシステムであって、
カテーテルと、
アブレーション治療システムと、
視覚化システムと、
イリゲーションシステムと、
組織を超音波により評価するための超音波システムと、
前記カテーテルの位置特定及び誘導を行うためのナビゲーションシステムと、
を備え、
前記カテーテルは、
カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端部に配置されて照射キャビティを画定する遠位端部材と、
前記照射キャビティ内に配設される光誘導部材と、
を備え、
前記遠位端部材は、アブレーションエネルギーを組織に供給するように構成され、
前記遠位端部材は、前記照射キャビティと組織との間で光エネルギーを交換するための1つ以上の開口部を有し、
前記光誘導部材は、前記遠位端部材の1つ以上の開口部を介して、組織に光エネルギーを誘導するように、かつ、組織から光エネルギーを誘導するように構成され、
前記カテーテルは、1つ以上の超音波トランスデューサ及び1つ以上の電磁位置センサを更に備え、
前記アブレーション治療システムは、前記アブレーションエネルギーを組織に供給するために前記遠位端部材とつながっており、
前記視覚化システムは、
光源と、
光測定器と、
前記光源及び前記光測定器とつながっている1つ以上の光ファイバと、
を備え、
前記1つ以上の光ファイバは、前記カテーテル本体を通って前記遠位端部材の前記照射キャビティ内に至るまで延び、
前記1つ以上の光ファイバは、前記照射キャビティと光エネルギーをやり取りするように構成され、
前記イリゲーションシステムは、前記1つ以上の開口部の洗浄を行うためのものであり、
前記超音波システムは、前記1つ以上の超音波トランスデューサとつながっており、
前記ナビゲーションシステムは、前記1つ以上の電磁位置センサとつながっている、
システム。
[請求項38]
前記アブレーションエネルギーは、高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、冷凍エネルギー、レーザーエネルギー、超音波エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギー及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載のシステム。