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特許7116156誘電バリアを有する自己選択型メモリ・セル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】誘電バリアを有する自己選択型メモリ・セル
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8239 20060101AFI20220802BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 45/00 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 29/86 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 29/94 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 29/26 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 29/18 20060101ALI20220802BHJP
   H01L 29/66 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H01L27/105 449
H01L45/00 A
H01L21/88 R
H01L21/90 B
H01L21/28 301B
H01L29/44 S
H01L29/86 F
H01L29/94 Z
H01L29/26
H01L29/18
H01L29/66 Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020510544
(86)(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 US2018047661
(87)【国際公開番号】W WO2019040696
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2020-04-20
(31)【優先権主張番号】15/687,038
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595168543
【氏名又は名称】マイクロン テクノロジー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100106851
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 泰久
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】フラティン,ロレンソ
(72)【発明者】
【氏名】ペッリッツェル,ファビオ
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0117054(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0125484(US,A1)
【文献】特開2013-115436(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0140068(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0270529(US,A1)
【文献】特開2004-006579(JP,A)
【文献】特表2018-536989(JP,A)
【文献】国際公開第2017/078932(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0134377(US,A1)
【文献】特開2011-129639(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0234449(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01355356(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/105
H01L 21/8239
H01L 45/00
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 21/28
H01L 29/41
H01L 29/86
H01L 21/329
H01L 29/26
H01L 29/18
H01L 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の組の面と第2の組の面とを含む面の積層体と、
前記面の積層体を通過して配置された導電ピラーと、
電極材料と接し少なくとも部分的に包囲する第1の誘電材料であって、前記電極材料は前記導電ピラーと接し少なくとも部分的に包囲する、前記第1の誘電材料と、
前記第1の誘電材料を少なくとも部分的に包囲し、前記第1の組の面と整列し前記第2の組の面とは整列せずに選択的に堆積されたカルコゲナイド合金材料と、
前記カルコゲナイド合金材料を少なくとも部分的に包囲し、第2の誘電材料が前記第1の組の面と接し前記第2の組の面とは接しないように前記第1の組の面と整列して選択的に堆積された前記第2の誘電材料と
を含むメモリ・デバイス。
【請求項2】
前記第1の誘電材料は、前記電極材料と前記カルコゲナイド合金材料との間に位置決めされる、請求項1に記載のメモリ・デバイス。
【請求項3】
前記第1の誘電材料は、前記導電ピラーと前記カルコゲナイド合金材料との間に位置決めされ、前記第1の誘電材料は、前記導電ピラーを少なくとも部分的に包囲し、前記電極材料によって前記導電ピラーから分離される、請求項1に記載のメモリ・デバイス。
【請求項4】
前記第1の組の面は第1の材料を含み、前記第2の組の面は前記第1の材料と異なる第2の材料を含む、請求項1に記載のメモリ・デバイス。
【請求項5】
前記第1の材料は、導電材料を含み、前記第2の材料は、誘電材料を含む、請求項4に記載のメモリ・デバイス。
【請求項6】
前記第1の組の面は、前記第2の組の面と交互に配置されている、請求項4に記載のメモリ・デバイス。
【請求項7】
メモリ・デバイスを形成する方法であって、
第2の材料の第2の組の面と交互配置されており前記第2の材料と異なる第1の材料の第1の組の面を含む面の積層体を通過する開口を形成することと、
前記開口の内部において、第1の誘電材料が前記開口によって露出された前記第1の組の面の部分と接し、前記開口によって露出された前記第2の組の面の部分と接しないように、前記第1の組の面と整列して前記第1の誘電材料を形成することと、
前記第1の誘電材料と接するように、前記第1の誘電材料及び前記第1の組の面と整列し前記第2の組の面と整列しないカルコゲナイド合金材料を形成することと
前記カルコゲナイド合金と接し少なくとも部分的に包囲される第2の誘電材料を形成することと、
電極材料と導電ピラーとを形成することであって、前記第2の誘電材料は、前記電極材料と接し少なくとも部分的に包囲し、前記電極材料は、前記導電ピラーと接し少なくとも部分的に包囲することと
を含む、方法。
【請求項8】
前記第1の組の面のうちの1つと前記第2の組の面のうちの1つとの交代する面を形成することによって前記面の積層体を形成することをさらに含み、前記第1の材料は導電材料を含み、前記第2の材料は絶縁材料を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の組の面における前記第1の材料を、前記第1の材料よりも導電率の高い導電材料で置き換えることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の材料を置き換えることは、
前記第1の組の面を除去することと、
前記除去された第1の組の面によって残された空洞に、前記導電材料を含む第3の組の面を形成することと
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記面の積層体を通過する溝を形成することと、
前記第1の組の面における前記第1の材料を第3の材料で置き換えることにより、前記溝を前記第3の材料で充填することと、
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記溝における前記第3の材料の少なくとも一部を誘電材料で置き換えることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の誘電材料は、前記カルコゲナイド合金材料と少なくとも部分的に重なり合う、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記電極材料は、前記第2の誘電材料と少なくとも部分的に重なり合う、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記開口は、前記第1の組の面及び前記第2の組の面と交差する、請求項に記載の方法。
【請求項16】
第1の導電面と第2の面とを含むメモリ積層体と、
第1の誘電バリアが前記第1の導電面と接し前記第2の面と接しないように、前記第1の導電面を通過して配置され、前記第1の導電面と整列して選択的に堆積された前記第1の誘電バリアと、
前記第1の誘電バリアと接し、前記第1の導電面と整列し前記第2の面と整列せずに選択的に堆積されたカルコゲナイド合金材料と、
導電ピラーと接し部分的に包囲する電極材料、と接し部分的に包囲する第2の誘電バリアであって、前記カルコゲナイド合金材料は前記第2の誘電バリアを少なくとも部分的に包囲する、前記第2の誘電バリアと
を含むメモリ・デバイス。
【請求項17】
前記第1の誘電バリアと前記カルコゲナイド合金材料と前記電極材料とが、同心の円筒を構成する、請求項16に記載のメモリ・デバイス。
【請求項18】
前記第2の誘電バリアは、前記カルコゲナイド合金材料と接する、請求項16に記載のメモリ・デバイス。
【請求項19】
前記第1の導電面と前記第2の面とは水平面を含み、前記第1の誘電バリアは前記第1の導電面と前記第2の面とを垂直方向に通過するように配置される、請求項16に記載のメモリ・デバイス。
【請求項20】
前記第2の面は誘電材料を含む、請求項16に記載のメモリ・デバイス。
【請求項21】
前記第1の導電面は前記第2の面の上側と接しており、前記メモリ・デバイスは、
前記第2の面の下側と接する第2の導電面をさらに含む、請求項16に記載のメモリ・デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[クロスリファレンス]
本特許出願は、2017年8月25日に出願された「Self-Selecting Memory Cell With Dielectric Barrier」という名称を有する、Fratin他による米国特許出願第15/687,038号の優先権を主張する2018年8月23日に出願された「Self-Selecting Memory Cell With Dielectric Barrier」という名称を有する、Fratin他によるPCT出願番号PCT/US2018/047661の優先権を主張し、その各々は、本出願の譲受人に譲渡され、参照によりその全体が明白に本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
以下は、広くは、自己選択型メモリ・セルに関し、より詳しくは、三次元(3D)マルチ・プレーン・メモリに関する。
【0003】
メモリ・デバイスは、コンピュータ、無線通信デバイス、カメラ、デジタル・ディスプレイなど、様々な電子デバイスに情報を記憶するために、広く用いられている。情報は、メモリ・デバイスのメモリ・セルの中に、異なる状態をプログラムすることによって記憶される。たとえば、バイナリ・デバイスは、多くの場合にロジック「1」又はロジック「0」で表される2つの状態を有する。他のシステムでは、2つより多くの状態が記憶されることもあり得る。記憶された情報にアクセスするためには、メモリ・デバイスのコンポーネントが、メモリ・セルにおいて記憶されている状態を、読み出す又は検知することができる。情報を記憶するためには、電子デバイスのコンポーネントが、メモリ・セルに、状態を書き込む又はプログラムすることができる。
【0004】
磁気ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナス・ダイナミックRAM(SDRAM)、強誘電体RAM(FeRAM)、磁気RAM(MRAM)、抵抗変化型RAM(RRAM(登録商標))、リード・オンリ・メモリ(ROM)、フラッシュ・メモリ、相変化メモリ(PCM)、自己選択型メモリ、及びその他を含む、複数のタイプのメモリ・デバイスが存在する。メモリ・デバイスは、揮発性又は不揮発性であり得る。たとえばフラッシュ・メモリなどの不揮発性メモリは、外部電源が存在しなくても、長期間にわたって、それらの記憶された論理状態を維持できる。たとえばDRAMなどの揮発性メモリ・デバイスは、外部電源によって周期的にリフレッシュされない限り、時間経過と共に、それらの記憶された状態を失うことになり得る。メモリ・デバイスを向上させることには、それ以外の指標の中でもとりわけ、メモリ・セルの密度を増加させる、読み出し/書き込み速度を高速化する、信頼性を向上させる、データ保持を増加させる、電力消費を減少させる、又は製造コストを低下させることが、含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の様々な実施形態による、誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルをサポートするメモリ・アレイの図解である。
図2A】本開示の様々な実施形態による、誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルをサポートするメモリ・アレイの平面図である。
図2B】本開示の様々な実施形態による、誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルをサポートするメモリ・アレイの断面図である。
図3】本開示の様々な実施形態による、本開示の例による特徴と動作とをサポートする誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルの閾値電圧の電圧プロットの図解である。
図4】本開示の様々な実施形態による、本開示の例による特徴と動作とをサポートする誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルをプログラムするのに用いられる書き込み電圧の電圧プロットの図解である。
図5】本開示の様々な実施形態による、誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルをサポートするメモリ・アレイの図解である。
図6A】本開示の様々な実施形態による、第1の製造プロセスにおける様々なステップの間のメモリ・アレイの図解である。
図6B】本開示の様々な実施形態による、第1の製造プロセスにおける様々なステップの間のメモリ・アレイの図解である。
図7A】本開示の様々な実施形態による、第2の製造プロセスにおける様々なステップの間のメモリ・アレイの図解である。
図7B】本開示の様々な実施形態による、第2の製造プロセスにおける様々なステップの間のメモリ・アレイの図解である。
図7C】本開示の様々な実施形態による、第2の製造プロセスにおける様々なステップの間のメモリ・アレイの図解である。
図7D】本開示の様々な実施形態による、第2の製造プロセスにおける様々なステップの間のメモリ・アレイの図解である。
図7E】本開示の様々な実施形態による、第2の製造プロセスにおける様々なステップの間のメモリ・アレイの図解である。
図7F】本開示の様々な実施形態による、第2の製造プロセスにおける様々なステップの間のメモリ・アレイの図解である。
図8】本開示の様々な実施形態による、誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルをサポートするメモリ・アレイの図解である。
図9】本開示の様々な実施形態による、誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルをサポートするメモリ・アレイの図解である。
図10】本開示の様々な実施形態による、誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルをサポートするデバイスのブロック図である。
図11】本開示の様々な実施形態による、誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルのための形成方法を図解するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
メモリ・デバイスは、単に情報を記憶するだけでなくセルへのアクセスを容易にもする1つ又は複数の自己選択型メモリ・セルを含むことがあり得る。自己選択型セルは、カルコゲナイドを含むメモリ・セルであり得る。カルコゲナイドは、いくつかの場合に、セルにアクセスするのに用いられる電圧の極性に基づいて、異なる閾値電圧を示し得る。カルコゲナイドを用いることで、自己選択型メモリ・セルが可能になり、メモリ・アレイのアーキテクチャの複雑性を低下させることができるが、カルコゲナイドは、メモリ・アレイにおける他の材料と非互換的であったり、又は、より低い互換性を有したりすることがあり得る。たとえば、カルコゲナイドは、接触しているアレイにおける1つ又は複数の導電性材料と、化学的に又は電気的に、相互作用を生じ得る。これらの相互作用は、メモリ・セルに記憶されている論理状態を、又はメモリ・アレイの特性若しくは動作を、変更することがあり得る。そのような変更は、メモリ・アレイの性能に対して負の影響を及ぼすか若しくはメモリ・アレイにおいてカルコゲナイドと共に用いられる可能性のある材料のタイプを限定し得るか、又は、その両方を生じさせ得る。
【0007】
本明細書で説明されている技法によると、メモリ・アレイは、メモリ・アレイにおける自己選択型セルと他の導電材料との間に誘電バリアを含み得る。誘電バリアは、カルコゲナイドを導電材料から物理的に分離し得るために、導電材料とカルコゲナイドとの間の有害な相互作用を回避できる。誘電バリアは、有害な相互作用を回避しながら、導電材料とカルコゲナイドとの間の電流の流れを許容するのに充分な程度に薄い誘電材料の膜であり得るのであるが、それにより、他の代替物よりも優れた効果を提供し得る。
【0008】
誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルを含むメモリ・アレイは、2つの異なるタイプの製造プロセスのうちの少なくとも一方を用いて、形成され得る。第1のタイプのプロセスでは、メモリ・アレイは、面の積層体を作成するために、誘電面と電極面との交代する面(たとえば、層)によって、形成される。自己選択型メモリ・セルと、関連する誘電バリアとは、次に、面の積層体の内部に形成される。第2のタイプのプロセスでは、メモリ・アレイは、面の積層体を作成するために、誘電面とプレースホルダ面との交代する面によって、形成される。プレースホルダ面は、ウェット・エッチングなどの除去プロセスを許容する材料で構成され得る。面の積層体の内部に自己選択型セルと誘電バリアとを形成した後で、プレースホルダ面における材料は、電極面を形成するために、導電材料と置き換えられる。
【0009】
以上で紹介された特徴及び技法は、メモリ・アレイのコンテキストにおいて、後で、さらに説明される。そして、特定の実施例が、自己選択型セルと1つ又は複数の誘電バリアとを含む3次元の多面メモリ・アレイについて、説明される。本開示のこれらの及びそれ以外の特徴は、さらに、そのようなアレイからの読み出し又はそのようなアレイへの書き込みに関する装置図、システム図、及びフローチャートによって例証され、及びそれらを参照して説明される。
【0010】
図1は、誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルをサポートするメモリ・アレイ100を図解している。メモリ・アレイ100は、自己選択型メモリ・セル(これは、自己選択型メモリ構造又はコンポーネントとも称され得る)を含むメモリ・デバイスの一部であり得る。自己選択型メモリ・セルは、選択コンポーネント及びメモリ素子として機能し得るのであるが、それによって、メモリ・アレイ100のアーキテクチャが単純化され得る。メモリ・アレイ100のアーキテクチャは、3次元(3D)多面アーキテクチャ又は3D垂直交点メモリと称され得る。3D垂直交点アーキテクチャとは、メモリ・セルがそれぞれの電極面と導電ピラーとの交点に位置しているアーキテクチャを指し得る。3D多面アーキテクチャを参照して説明されるが、本明細書で説明される自己選択型メモリ・セルと誘電バリアとは、様々な他のタイプのメモリ・アーキテクチャでも用いられるのであって、これらに限定されることはないが、たとえば、メモリ・セルがアクセス線の交点に位置している2次元(2D)交点アレイなどの交点アーキテクチャを含む。
【0011】
メモリ・アレイ100における自己選択型メモリ構造を用いることにより、他のメモリ・アーキテクチャと比較して、比較的高密度のデータ・ストレージを提供することができ、製造コストを低下させ得る。たとえば、DRAMは、それぞれのメモリ・セルのためにトランジスタを選択コンポーネントとして用い得るが、それにより、自己選択型メモリ・セルを用いるアーキテクチャと比べると、より大きなメモリ・セルの面積を有し得る。自己選択型メモリ・セルは、その面積がコンパクトであることにより、他のアーキテクチャと比較して、メモリ・アレイ100が、より高いメモリ・セル密度を特徴とすることが可能となり得る。メモリ・アレイ100の単純化されたアーキテクチャは、また、より少ない材料、層、及び/又は構造を要求することになるため、製造の間の処理ステップを削減することができる。
【0012】
メモリ・アレイ100は、1つ又は複数の電極面110を含み得る。電極面110は、また、本明細書では、いくつかの実施形態では、導電層とも称され得る。電極面110は、本明細書では誘電層又は誘電面と称され得る誘電材料の面によって、分離され得る。電極面110と誘電面とは、x-y平面に延長し得るのであって、z方向の垂直方向に厚さを有し得る。交代する電極面110と誘電面とは、積層体と称され得る。メモリ・カラム135は、(たとえば、z方向と垂直の第1の方向に)積層体を通過して延長するように、積層体における開口140に配置され得る。いくつかの実施形態では、メモリ・カラム135は、導電ピラー120、電極円筒130、メモリ材料115、又はそれらの組合せを含み得る。同心の円筒として示されているが、電極円筒130とメモリ材料115とは、任意の形状及び幾何学的配置、関係、及び向きを有する要素であり得る。同様に、導電ピラー120は、任意の形状の要素又は材料であり得る。
【0013】
メモリ・セル105は、メモリ材料115の内部に形成され得る。いくつかの実施形態では、メモリ・セル105は、1つ又は複数の材料(たとえば、電極面110、導電ピラー120)がメモリ材料115と交差するように、形成され得る。論理状態(たとえば、論理「0」又は論理「1」)がメモリ・セル105に書き込まれ得るが、メモリ・セル105は、その論理状態を記憶し得る。いくつかの実施形態では、論理状態は、データの1つ又は複数のビットに対応し得る。いくつかの実施例では、メモリ・セル105は、アクセス動作(たとえば、読み出し、書き込み)の間に構造的な変化を受ける(又は、その電気的性質を変化させる)カルコゲナイド材料を含み得る。たとえば、カルコゲナイドの閾値電圧は、プログラム・パルスの極性(たとえば、カルコゲナイドに印加された電圧の極性)に基づいて、変化し得る。このように、メモリ材料115がカルコゲナイドを含むときには、メモリ・セル105に異なる極性の電圧を印加することによって、異なる論理状態が記憶され得る。論理状態は、メモリ・セル105に固定された極性の電圧を印加することによって、メモリ・セル105から読み出され得る。電圧は、電圧を対応する導電ピラー120と電極面110とに印加することによって、メモリ・セル105に印加され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、メモリ・セル105は、メモリ・カラム135に沿って、(たとえば、垂直方向に)位置合わせされ得る。いくつかの実施形態では、メモリ・セル105は、1つ又は複数の関連する電極面110と同じ面において、位置合わせされ得る。他の実施形態では、全体のメモリ・セル105又はメモリ・セル105の一部が、電極面110の面において、位置合わせされ得る。メモリ・セル105は、電極面110の厚さと等しい又はそれと異なる(たとえば、より大きい、より小さい)厚さを有し得る。いくつかの場合には、メモリ・セル105の一部は、電極面110の面の上方に及び/又は下方に延長し得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、メモリ材料115は、メモリ・セル105を形成するために、電極面110と同じ面に、選択的に堆積され得る(たとえば、メモリ材料115は、誘電面を通過して延長することはできない)。この実施形態の態様は、メモリ・カラム125として、示されている。メモリ・カラム125を用いて示されているように、メモリ材料115は、メモリ・カラム135の全長に延長することはできない(たとえば、メモリ材料115は、メモリ・カラム135の長さよりも短い長さに部分的に延長し得る)。
【0016】
メモリ・セル105の面積は、電極面110と交差するメモリ材料115の面積として、定義され得る(たとえば、面積は、メモリ・セル105の円周と電極面110の厚さとの積として定義され得る)。このように、メモリ・セル105の面積は、メモリ・セル105の外側表面の面積であり得る。メモリ・セル105をプログラムするのに用いられる電流は、メモリ・セルの面積の関数である(たとえば、このプログラミング電流は、メモリ・セル105の面積に比例し得る、又は、その関数であり得る)。このように、より小さな面積を有するメモリ・セルは、より小さなプログラミング電流を要求し得るのであって、これが、メモリ・アレイ100の電力消費を減少させ得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、導電ピラー120と電極面110とは、アレイを作成するために、異なる方向に向けられ得る(たとえば、相互に実質的に直角に)。導電ピラー120と電極面110とは、アクセス線と結合され得るが、このアクセス線は、導電線であり得る。追加的に又はその代わりに、導電ピラー120と電極面110-aとは、アクセス線として機能する場合があり得る(たとえば、導電ピラー120はビット線(BL)として機能し、電極面110はワード線(WL)として機能し得る)。いくつかの実施形態(図示せず)では、電極面110は、その幅が単一の導電ピラー120を与え得る複数の電極線にパターニングされる場合があり得る(たとえば、それぞれの電極線が、1次元の複数の導電ピラー120を与え得る)。
【0018】
一般的に、1つのメモリ・セル105が、導電ピラー120と電極面110との交点に配置され得る。この交点は、メモリ・セル105のアドレスと称され得る。目的であるメモリ・セル105は、付勢された導電ピラー120と電極面110との交点に位置するメモリ・セル105であり得るのであって、すなわち、導電ピラー120と電極面110とは、それらの交点のメモリ・セル105を読み出す又はそのメモリ・セル105に書き込むために、付勢され得る。同じ導電ピラー120又は電極面110と電子的通信関係にある他のメモリ・セル105は、目的ではないメモリ・セル105と称され得る。
【0019】
メモリ・セル105へのアクセスは、ロー・デコーダとカラム・デコーダとを通じて、制御され得る。たとえば、ロー・デコーダは、メモリ・コントローラからロー・アドレスを受け取り、受け取られたロー・アドレスに基づいて、適切な電極面110を付勢し得る。同様に、カラム・デコーダは、メモリ・コントローラからカラム・アドレスを受け取り、適切な導電ピラー120を付勢し得る。このように、読み出し及び書き込みなどの動作は、導電ピラー120と電極面110とを付勢又は選択することによって、メモリ・セル105上で実行され得るのであるが、これには、電圧又は電流をそれぞれの導電ピラー120及び/又は電極面110に印加することが含まれ得る。書き込み動作の間には、論理状態が、メモリ・セル105に記憶され得る。読み出し動作の間には、メモリ・セル105に記憶されている論理状態が、判断され得る。たとえば、メモリ・セル105は、メモリ・セル105の記憶されている状態を判断するセンス・コンポーネント(たとえば、センス増幅器)によって、感知される信号を出力し得る。センス・コンポーネントは、基準信号とメモリ・セル105から出力された信号との間の差を検出して増幅するために、様々なトランジスタ又は増幅器を含み得る。
【0020】
メモリ・アレイ100における構造は、様々な材料から構成され得る。たとえば、導電ピラー120と、電極円筒130と、電極面110とは、金属(たとえば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、タングステン(W)、チタン(Ti)など)、金属合金、炭素、導電ドープされた(conductively-doped)半導体、又は、他の導電材料、合金、若しくは化合物など、導電材料で構成され得る。電極面110の材料は、電極円筒130と同じ材料又は異なる材料で構成され得る。メモリ材料115は、カルコゲナイド材料(たとえば、カルコゲナイド・ガラス)であり得る。たとえば、メモリ材料115は、セレン(Se)、ヒ素(As)、シリコン(Si)、テルル(Te)、及びゲルマニウム(Ge)のドープされた又はドープされていない合金であり得る。
【0021】
上述されたように、電極面110のための材料は、抵抗率の低い(又は、導電率の高い)材料であり得るが、これによって、電流の流れが容易になり得る。しかし、抵抗率の低い材料(又は、導電率の高い)材料は、メモリ材料115におけるカルコゲナイドとの間で、好ましくない相互作用を生じ得る。たとえば、金属は、カルコゲナイドとの間で、電子レベル又は原子レベルで、関連するメモリ・セル105の動作を損なう態様の相互作用を生じ得る。抵抗率が高い/導電率が低い材料はカルコゲナイドとの間で、より小さな相互作用しか生じないが、電極面110においてそのような材料を用いると、電流の流れを損なうことがあり得るのであって、これは、メモリ・アレイ100の性能に、マイナスの影響を及ぼし得る。さらに、高い抵抗率を有する材料(たとえば、炭素)で構成された電極面110は、強いグローバル抵抗を有し得るのであり、これは、メモリ・アレイ100の密度や、電極面110の厚さを制限し、他の関連する問題を生じさせる可能性があり得る。
【0022】
本明細書で説明されている技法によると、抵抗率の低い(たとえば、導電率の高い)材料が、電極面110とメモリ材料115との間に誘電バリア145を配置することによって、好ましくないカルコゲナイドとの相互作用を生じさせることなく、電極面110のために用いられ得る。誘電バリア145は、それが電極面110をメモリ材料115から物理的に分離させるように、位置決めされ得る。誘電バリア145は、電極面110とメモリ材料115との間の好ましくない相互作用を防止する絶縁すなわち誘電材料で構成され得る。しかし、誘電バリア145は、好ましくない相互作用を回避するのと同時にメモリ・セル105の動作が依然としてオン状態となるように、電流を流す厚さ(たとえば、充分に薄い)を有し得る。誘電バリア145と共に1つのメモリ・カラム125だけが示されているが、任意の個数のメモリ・カラム125が、誘電バリア145を含み得る。
【0023】
電極面110のために抵抗率の低い材料を用いることが可能であれば、電極面110のグローバル抵抗値を低下させることができ、これが、メモリ・アレイにおけるより高いセル密度を可能にし得る。たとえば、それぞれの電極面110の厚さを、又は電極面110の間の間隔を、減少させることによって、アレイの中に、より多くの電極面110を(したがって、メモリ・セル105を)適合させることが可能になる。メモリ・セルのためのプログラミング電流はメモリ・セル105の面積と正比例関係にあるので、電極面110の厚さを減少させれば、メモリ・アレイ100の電力消費を減少させるという追加的な効果が生じ得る。電極面110のために抵抗率の低い材料を用いることは、また、電極面110における電流の分布を向上させ得るのであって、これにより、より多くの個数の導電ピラー120が同じ電極面110を共有することが可能になる(それにより、アレイのセル密度が上昇する)。
【0024】
いくつかのメモリ・アーキテクチャでは、メモリ・セル105にアクセスすると、記憶されている論理状態を劣化させる又は破壊する場合があり、元の論理状態をメモリ・セルに戻すために、再書き込み又はリフレッシュ動作が実行され得る。DRAMでは、たとえば、論理記憶コンポーネント(たとえば、コンデンサ)が、センス動作の間に部分的に又は完全に放電され、記憶されている論理状態を破壊することがあり得る。そのため、論理状態が、センス動作の後で、再書き込みされ得る。しかし、自己選択型メモリのような不揮発性メモでは、メモリ・セル105にアクセスすることで論理状態が破壊されることはなく、したがって、メモリ・セル105は、アクセスの後でも再書き込みを要求することがない場合がある。
【0025】
DRAMを含むいくつかのメモリ・アーキテクチャは、それらが外部電源によって周期的にリフレッシュされない限り、時間経過に伴い、それらの記憶されている状態を失い得る。たとえば、充電されたコンデンサは、漏れ電流により、時間経過に伴い、放電されることになり、結果的に、記憶されていた情報の損失が生じることがあり得る。これらのいわゆる揮発性メモリ・デバイスのリフレッシュ・レートは、比較的高く、たとえば、DRAMの場合には、毎秒数十回というリフレッシュ動作が行われ、これは、結果的に、相当の電力消費を生じさせ得る。メモリ・アレイがますます大規模化すると、電力消費の増大は、メモリ・アレイの配置又は動作を禁止する可能性があり(たとえば、電力供給、熱発生、材料上の制約など)、特に、バッテリなど有限の電源に依存するモバイル・デバイスの場合に、そうである。後で論じられるように、不揮発性の自己選択型セルは、他のメモリ・アーキテクチャと比較して結果的に優れた性能を示す有利な特性を有し得る。たとえば、自己選択型メモリ・セルは、DRAMに匹敵する読み出し/書き込み速度を提供するが、不揮発性であり、より大きなセル密度を許容し得る。
【0026】
メモリ・コントローラは、たとえばロー・デコーダ、カラム・デコーダ、及びセンス・コンポーネントなどの様々なコンポーネントを通じて、メモリ・セル105の動作(読み出し、書き込み、再書き込み、リフレッシュ、放電など)を制御することができる。いくつかの場合には、ロー・デコーダ、カラム・デコーダ、及びセンス・コンポーネントのうちの1つ又は複数が、メモリ・コントローラと同じ位置に配置されることもあり得る。メモリ・コントローラは、所望の電極面110と導電ピラー120とを付勢するために、ロー及びカラム・アドレス信号を生成し得る。メモリ・コントローラは、また、メモリ・アレイ100を含むメモリ・デバイスの動作の間に用いられる様々な電圧又は電流を生成し制御することもできる。
【0027】
図2Aは、1つ又は複数の誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルをサポートするメモリ・アレイ200の平面図を示している。メモリ・アレイ200は、図1を参照して説明されたメモリ・アレイ100の一例であり得る。メモリ・アレイ200は、メモリ・カラム135-a、電極面110-a、及び誘電面(平面図には、図示されていない)を含み得る。電極面110-aと誘電面とは、x-y平面に存在し得る。メモリ・カラム135-aは、導電ピラー120-aを含み得るが、この導電ピラー120-aは、電極円筒130-aによって少なくとも部分的に包囲され得る(たとえば、電極材料が、導電ピラー120-aを少なくとも部分的に包囲し得る)。電極円筒130-aは、メモリ材料115-aによって少なくとも部分的に包囲され得るが、メモリ材料115-aは、電極円筒130-aに接し得る。いくつかの場合には、誘電バリア145-aが、メモリ材料115-aを、包囲している面(たとえば、電極面110-a)から分離し得る。誘電バリア145-aは、メモリ材料115-aと包囲している面を構成する材料との間の有害な相互作用を減少させ得る。
【0028】
メモリ・カラム135-aは、(たとえば、垂直方向に、非直交方向に)電極面110-a及び誘電面と交差し得る(たとえば、メモリ・カラム135-aは、z方向にページの内部の方向に延長し得る)。図2Aに示された平面図は、電極面110-aの遠景からのものである。誘電面の遠景から示されている平面図は、電極面が誘電面(図示せず)で置き換えられ得ることを除いて、同様であり得る。
【0029】
メモリ・カラム135-aは、グリッド状及び/又はそれ以外のアレイ・パターンで配列され得る。いくつかの実施形態では、導電ピラー120-aは、メモリ・アクセス線(たとえば、ワード線及びビット線)と結合され得る。たとえば、導電ピラー120-aはビット線と結合され、電極面110-aはワード線と結合され得る。このように、それぞれの電極面110-aはそれぞれのワード線と結合し、それぞれの導電ピラー120-aはそれぞれのビット線と結合し得る。メモリのアクセス線をメモリ・アレイ200に結合する他の構成も、用いられ得る。アクセス線は、電圧を、メモリ・アレイ200におけるメモリ・セルに印加するのに用いられ得る。
【0030】
図2Bは、メモリ・アレイ200の断面図を示している。図2Bに示されている図は、y方向から見たメモリ・アレイ200の図である。メモリ・アレイ200における対称性により、(たとえば、電極面110-aがWLの内部にパターニングされていない限り)メモリ・アレイ200をx方向から見たときにも、同様の図が見られることになる。上述されたように、メモリ・カラム135-aは、z方向に、電極面110-aと誘電面215との積層体を通過して、延長し得る。電極面110-a(たとえば、第1の組の面)と誘電面215(たとえば、第2の組の面)とは、それらが交代するパターンを形成する(たとえば、電極面110-aは誘電面215によって分離され、誘電面215は電極面110-aによって分離され得る)ように、交互に配列され得る。このように、一対の隣接する電極面110-aは、誘電面215によって物理的に分離され得るし、一対の隣接する誘電面215は、電極面110-aによって物理的に分離され得る。電極面110-aと誘電面215とは、相互に対し、平行であり得る。6つの電極面110-aと7つの誘電面215とを用いて示されているが、メモリ・アレイ200は、任意の個数の異なる面を含み得るのであって、電極面及び/又は誘電面を含む又は含まない場合があり得る。
【0031】
メモリ・カラム135-aは、導電ピラー120-aとメモリ材料115-aとを含み得る。メモリ・カラム135-aは、また、導電ピラー120-aとメモリ材料115-aとの間に電極円筒(断面図には示されていない)も含み得る。メモリ・セル105-aは、メモリ材料115-aにおいて、それぞれの導電ピラー120-aと電極面110-aとの交点に形成し得る。メモリ材料115-aが、円筒の形状であるときには、メモリ・セル105-aは、リング状であり得る。メモリ・セル105-aの厚さは、電極面110-aの厚さと同様であり得るが、それよりも大きい又は小さい場合もあり得る。連続する電極面110-aの間の距離により、メモリ・セル105-aが相互に干渉することを回避することができる。メモリ・セル105-aは、また、メモリ構造、自己選択型メモリ構造、メモリ素子、メモリ記憶素子、又は自己選択型メモリ記憶素子と称されることもある。
【0032】
メモリ・セル105-aを形成するメモリ材料115-aは、論理状態を表す可変で構成可能な閾値電圧を有する材料を含み得る。したがって、メモリ・セル105-aに印加される電圧は、結果的に、メモリ・セル105-aの閾値電圧に応じて、異なる電流を生じさせ得るのであり、この結果的な電流の大きさは、メモリ・セル105-aによって記憶される論理状態を決定するのに用いられ得る。いくつかの場合には、メモリ材料115-aは、電極面110-aを構成する材料と互換性を有しないことがあり得る。たとえば、メモリ材料115-aと電極面の材料との間で、メモリ・アレイ200の動作を混乱させる態様の相互作用が生じる場合があり得る(たとえば、電子又は原子が、一方の材料から他方の材料へ拡散し、それによって、対応するメモリ・セル105-aに記憶されている論理状態が損なわれることがあり得る)。
【0033】
本明細書で説明されている技法によると、メモリ材料115-aは、本明細書では誘電バリア145-aと称され得る誘電材料によって、電極面110-aから分離させることができる。誘電バリア145-aは、電流が選択されたセルを通過して流れることを依然として許容しながら(たとえば、選択された電極面110-aと導電ピラー120-aとの間を、そして、メモリ材料115-aを通過して)、電極面110-aとメモリ材料115-aとの間の相互作用を回避し得る。誘電材料は、電極面110-aの間の不適切な電気的通信(たとえば、短絡)を回避又は最小化し得る。誘電材料は、また、ウェット・エッチングなどの材料除去プロセスに抵抗し得る(たとえば、誘電材料は、高い選択特性を有し得る)。誘電バリア145-aを形成するのに用いることが可能な誘電材料の例には、アルミナ、酸化アルミニウム、酸化シリコン、窒化シリコン、及び酸化ジルコニウムが含まれる。いくつかの場合には、誘電材料は、誘電面215を構成する材料と同一なこともあり得る。
【0034】
メモリ・セル105-aをプログラムするためには、異なる極性のプログラミング・パルスが、セル105-aに印加され得る。たとえば、論理「1」状態をプログラムするには、第1の極性が印加され、論理「0」状態をプログラムするには、第2の極性が印加され得る。第1の極性と第2の極性とは、反対の極性であり得る。メモリ・セル105-aを読み出すためには、メモリ・セル105に電圧が印加され、結果的に生じる電流すなわち電流が流れ始める閾値電圧が、論理「1」又は論理「0」状態を表し得る。出力される又はメモリ・セル105-aと関連する信号(たとえば、電流又は閾値電圧)を検出するには、センス・コンポーネント(たとえば、センス増幅器)を、用いることができる。この信号は、メモリ・セル105-aによって記憶されている論理状態を決定するために、基準信号と比較され得る。
【0035】
いくつかの例では、メモリ・セル105-aは、メモリ・セル105-aへのアクセスを制御する2端子閾値スイッチング型デバイスとして、機能し得る。たとえば、閾値電圧より下では、メモリ・セル105-aは、「オフ」であり、電流を、ほとんど又はまったく導通させない。閾値電圧より上では、メモリ・セル105-aは、「オン」であり、電流を及び/又は閾値電流より上の電流を、導通させる。特定のパルス極性を用いた読み出し及び書き込みの結果として、異なる閾値電圧が生じるのであるが、そのような異なる閾値電圧によって、メモリ・セル105-aが、選択コンポーネントとメモリ素子との両方として機能することが可能になり得る。このために、複雑性が緩和されたアーキテクチャを有するメモリ・アレイを用いることが、容易になり得る。
【0036】
図3は、本開示の実施例による、特徴と動作とをサポートする誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルの、閾値電圧の電圧プロット300を図解している。電圧プロット300は、異なる論理状態のための、メモリ・セルの閾値電圧(VTH)の絶対値を示す。たとえば、閾値電圧VTH1は、第2の論理状態(たとえば、論理「1」を指し得る論理状態1)を記憶するときの、メモリ・セルの閾値電圧であり得る。そして、閾値電圧VTH0は、第1の論理状態(たとえば、論理「0」を指し得る論理状態2)を記憶するときの、メモリ・セルの閾値電圧であり得る。これらの閾値電圧は、読み出し動作のためにアクセスされるときのメモリ・セルの閾値電圧であり得る(たとえば、これらの閾値電圧は、読み出しの間にセンス・コンポーネントによって測定又は感知される閾値電圧であり得る)。読み出し動作の間にメモリ・セルに印加される電圧は、本明細書では、読み出し電圧と、書き込み動作の間にメモリ・セルに印加される電圧は、本明細書では、書き込み電圧と称され得る。書き込み及び読み出し電圧は、関連するメモリ・セルにある電圧差が生じるようにするために、メモリ・セルの導電円筒と電極面とに電圧を印加することによって、印加され得る。
【0037】
メモリ・セルの閾値電圧は、書き込み電圧の極性に対する読み出し電圧の極性に基づいて、変動し得る。たとえば、書き込み電圧と読み出し電圧とが同じ極性を有するとき(たとえば、書き込み電圧と読み出し電圧とが共に正である又は共に負であるとき)には、その結果として、VTH1が生じ得るし、書き込み電圧と読み出し電圧とが反対の極性を有するとき(たとえば、一方の電圧が負であり、他方の電圧が正であるとき)には、その結果として、VTH0が生じ得る。正の極性は、本明細書で、順方向極性と称され、負の極性は、本明細書で、逆方向極性と称され得る。したがって、メモリ・セルが順方向極性で書き込まれ、順方向極性で読み出されるとき、又は、メモリ・セルが逆方向極性で書き込まれ、逆方向極性で読み出されるときには、結果的に、VTH1が生じ得る。そして、メモリ・セルが順方向極性で書き込まれ、逆方向極性で読み出されるとき、又は、メモリ・セルが逆方向極性で書き込まれ、順逆方向極性で読み出されるときには、結果的に、VTH0が生じ得る。このように、書き込み電圧の極性を変動させ、それぞれの読み出し動作のために同じ読み出し電圧極性を用いることによって、異なる論理状態をメモリ・セルに記憶させることが、可能になる。いくつかの場合には、メモリ・セルに印加される読み出し電圧は、VTH1とVTH0との間の中間的な電圧である場合もあり得る。
【0038】
閾値電圧VTH0と閾値VTH1との間の差は、電圧ウィンドウ305と称されることがある。電圧ウィンドウ305は、メモリ・セルの面積と、逆比例し得る(たとえば、より小さな面積のメモリ・セルは、より大きな面積のメモリ・セルと比較して、より大きな電圧ウィンドウを有し得る)。既に論じられたように、誘電バリアを備えたメモリ・アレイは、誘電バリアを備えていないメモリ・アレイよりも、抵抗値が低い及び/又は厚さが薄い電極面110で、動作し得る。メモリ・セルのための電圧ウィンドウ305はメモリ・セル105の面積と逆比例関係にあるため、電極面110の厚さを薄くすることは、メモリ・セル105のための電圧ウィンドウ305を増加させるという追加的な利点を有し得るのであって、これにより、メモリ・セル105の信頼性を高めることができる。
【0039】
いくつかの場合には、電圧が、アクセス動作の目的ではないメモリ・セル(たとえば、アドレス指定されていないメモリ・セル)に印加されることがあり得る。たとえば、禁止電圧を、目的であるメモリ・セルと電極面を共有するメモリ・セルに、印加することができる。この禁止電圧は、目的であるメモリ・セルが動作のためにアクセスされるときに、目的ではないメモリ・セルが経験する混乱を、減少させることができる。
【0040】
図4は、本開示の実施例による、特徴と動作とをサポートする誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルをプログラムするのに用いられる書き込み電圧の電圧プロット400を図解している。電圧プロット400は、異なる論理状態をメモリ・セルに書き込むのに用いられる書き込み電圧(V)の値を示す。たとえば、第1の極性(たとえば、正の極性)を有する第1の書き込み電圧VW1が、メモリ・セルに第1の論理状態(論理状態1であり、これは、論理「1」を示し得る)を記憶するのに用いられ得る。そして、反対の極性(たとえば、負の極性)を有する第2の書き込み電圧VW0が、メモリ・セルに第2の論理状態(たとえば、論理状態2であり、これは、論理「0」を示し得る)を記憶するのに用いられ得る。書き込み電圧VW1及びVW0は、同じ大きさを有する場合、又は、異なる大きさを有する場合があり得る。書き込み電圧の大きさは、閾値電圧VTH0及びVTH1の大きな方よりも大きく、又は、それと等しく、選択される場合があり得る。書き込み電圧(及び読み出し電圧)は、パルスとして、印加され得る(たとえば、書き込み電圧は、rナノ秒の継続時間を有する書き込みパルスとして印加され得るし、読み出し電圧は、tナノ秒の継続時間を有する読み出しパルスとして印加され得る)。いくつかの場合には、書き込みパルスと読み出しパルスとの継続時間は、同一である。
【0041】
書き込み電圧は、第1の電圧をメモリ・セルの導電ピラーに、第2の電圧をメモリ・セルの電極面に提供することによって、印加され得る。2つの電圧の差は、メモリ・セルに印加された電圧である。書き込み電圧は、正の極性又は負の極性を有し得る。たとえば、書き込み電圧VW1は、正の極性を有し得る(たとえば、書き込み電圧VW1は+Vであり得るが、これは、Vを導電円筒に、0Vを電極面に印加する、又は、0Vを導電ピラーに、-Vを電極面に印加する、などによって、実現され得る)。そして、書き込み電圧VW0は、負の極性を有し得る(たとえば、書き込み電圧VW0は-Vであり得るが、これは、-Vを導電ピラーに、0Vを電極面に印加する、又は、0Vを導電ピラーに、Vを電極面に印加する、などによって、実現され得る)。読み出し電圧の極性は、それぞれの読み出し動作に対して、同一であり得る(たとえば、読み出し電圧は、それぞれの読み出し動作に対して+V、又は、それぞれの読み出し動作に対して-Vであり得る)。
【0042】
図5は、誘電バリアを備えた自己選択型メモリ構造をサポートするメモリ・アレイ500を図解している。メモリ・アレイ500は、第1の組の面又はそれ以外の構造であり得る電極面110-bと、第2の組の面又はそれ以外の構造であり得る誘電面215-aとを含み得る。電極面110-bは、導電面(たとえば、層)を形成し得るし、誘電面215-aは、絶縁面(たとえば、層)を形成し得る。電極面110-bは、交代するパターンで誘電面215-aと交互に配置され得るのであるが、これは、メモリ積層体、積層体、又は面の積層体と称される。積層体は、少なくとも、第1の導電面(たとえば、電極面110-b)と、第2の面(たとえば、誘電材料で構成された誘電面215-a)とを含み得る。電極面110-bは導電材料で、誘電面215-aは誘電すなわち絶縁材料で、構成され得る(よって、第1の組の面は第1の材料で、第2の組の面は第1の材料とは異なる第2の材料で構成され得る)。
【0043】
メモリ・カラム135-bは、電極面110-bと誘電面215-aとに接しそれらと交差するように、積層体の少なくとも一部を通過するように配置され得る。導電ピラー120-bは、メモリ・カラム135-bの中心にあり、その全長に及び得る。よって、導電ピラー120-bは、また、積層体の少なくとも一部を通過するように配置され得る。電極円筒130-bは、電極材料を含み得るが、導電ピラー120-bと接するように、導電ピラー120-bを少なくとも部分的に包囲し得る(たとえば、電極材料は、導電ピラー120-bの周囲に円周として巻き付く、又は、導電ピラー120-bをカプセル封止し得る)。同様に、カルコゲナイド合金505が、カルコゲナイド合金材料を含み得るが、電極円筒130-bと接するように、電極円筒130-bを包囲する(たとえば、カルコゲナイド合金材料は、電極円筒130-bの周囲に円周として巻く付く、又は、電極円筒130-bをカプセル封止し得る)。このように、電極円筒130-bの電極材料は、カルコゲナイド合金505のカルコゲナイド合金材料と接し得る。電極円筒130-bの電極材料は、また、導電ピラー120-bとも接し得る)。カルコゲナイド合金505は、導電ピラー120-bとは接していないが、導電ピラー120-bを少なくとも部分的には包囲し得る。カルコゲナイド合金505は、図1、2A、及び2Bを参照して論じられたメモリ材料115の例であり得る。円筒として示されているが、電極円筒130-bは、任意の形状でかまわない。
【0044】
誘電バリア145-bは、カルコゲナイド合金505を、電極面110-bと誘電面215-aとから分離し得る。たとえば、誘電バリア145-bは、カルコゲナイド合金505を少なくとも部分的に包囲し得る(たとえば、誘電材料は、カルコゲナイド合金505が誘電バリア145-bと接するように、カルコゲナイド合金505を円周として包囲し得る)。このように、誘電バリア145-bは、少なくとも1つの電極面110-b(たとえば、第1の導電面)と少なくとも1つの誘電面215-a(たとえば、第2の面)とを通過してそれらと接するように、配置され得る。誘電バリア145-bは、カルコゲナイド合金505のカルコゲナイド合金材料を、少なくとも1つの電極面110-b(たとえば、第1の面)と少なくとも1つの誘電面215-a(たとえば、第2の面)とから分離し得る。いくつかの場合には、誘電バリア145-bとカルコゲナイド合金505と電極円筒130-bとは、同心の円筒である。
【0045】
いくつかの実施形態では、誘電バリア145-bが、積層体におけるカルコゲナイド合金505と面との両方と接している場合があり得る。いくつかの場合では、たとえば、カルコゲナイド合金505が、同じ面において、電極面110bとして選択的に配置されているときには(図1のメモリ・カラム125に示されているように)、誘電バリア145-bも、また、同じ面において、電極面110-bとして、選択的に配置され得る。こうして、そのような場合に、誘電バリア145-bは、カルコゲナイド合金505と電極面110-bとに対しては半径方向に接した状態であり得るが、誘電面215-aとはそうではない。配置の技法とは関係なく、誘電バリア145-bは、カルコゲナイド合金505と電極面110-bとの間の相互作用が回避されるように、カルコゲナイド合金505と電極面110-bとを物理的に分離し得るのであって、それにより、メモリ・アレイ500の動作を改善することができる。
【0046】
図6Aは、第1の製造プロセスにおけるあるステップの間のメモリ・アレイ600-aを図解している。メモリ・アレイ600-aは、図1、2A、2B及び5それぞれに関して説明されたメモリ・アレイ100、200、又は500の例であり得る。メモリ・アレイ600-aは、導電材料と誘電材料との交代する層を堆積することによって、形成され得る。導電材料は、電極面110-c(たとえば、水平面)を形成するように配置され得るし、誘電材料は、誘電面215-b(たとえば、水平面)を形成するように配置され得る。こうして、第1の電極面110-c(たとえば、第1の導電面)は、誘電面215-b(第2の面)の上側と接し得るし、第2の電極面110-c(たとえば、第2の導電面)は、誘電面215-bの下側と接し得る。同様に、第1の誘電面215-bは、電極面110-cの上側と接し得るし、第2の誘電面215-bは、電極面110-cの下側と接し得る。電極面110-cは、金属又はポリシリコンなどの導電材料で形成され得るし、誘電面215-bは、酸化物又はそれ以外の絶縁材料で形成され得る。電極面110-cと誘電面215-bとは、薄膜の層として形成され得る。
【0047】
電極面110-cと誘電面215-bとの交代する層が積層体610として形成された後で、開口605が、(たとえば、エッチング、ミリングなどによって)積層体610を通過するように形成され得る。開口605は、電極面110-cと誘電面215-bとに交差するように、形成され得る。たとえば、電極面110-cと誘電面215-bとがx-y平面に延長する場合には、開口605は、断面図で見られるように、z方向に延長する。このようにして、開口605は、電極面110-cと誘電面215-bとの一部又は部分を露出させ得る。開口605のフットプリントは、円形又はいずれかの他の形状であり得る。開口605のフットプリントが円形であるときには、開口605は、積層体610に円筒状の穴を形成し得る。平面図で見られるように、開口605は、メモリ・アレイ600-aが完成したときに、異なる開口605におけるメモリ・セルの動作が相互に干渉を生じないように、相互から、ある距離だけ分離され得る。
【0048】
本明細書で説明されているメモリ・アレイ600-a及びそれ以外のメモリ・アレイの材料、構造、又は開口を形成するには、様々な技法が用いられ得る。これらの技法は、たとえば、他の薄膜成長技法に加え、化学蒸着(CVD)、金属-有機化学蒸着(MOCVD)、物理蒸着(PVD)、スパッタリング蒸着、原子層蒸着(ALD)、分子ビーム・エピタキシ(MBE)を含み得る。いくつかの技法を用いて、メモリ・アレイ600-aから材料を除去し得るのであるが、たとえば、それらの技法には、化学エッチング(「ウェット・エッチング」とも称される)、プラズマ・エッチング(「ドライ・エッチング」とも称される)、又は化学的機械的平坦化が含まれ得る。
【0049】
図6Bは、第1の製造プロセスにおける様々なステップの間のメモリ・アレイ600-bを図解している。メモリ・アレイ600-bは、第1の製造プロセスにおける以後のステップの間のメモリ・アレイ600-aの例であり得る。メモリ・アレイ600-bは、メモリ・アレイ600-aの開口605の内部に材料を堆積させる(deposit)ことによって、形成され得る。たとえば、誘電材料が、開口605によって露出された積層体の一部と接する(たとえば、重なり合う、被覆する)ように(たとえば、誘電材料が、電極面110-c(第1の組の面)と誘電面215-b(第2の組の面)とに接するように)、開口605の内部に、堆積又は形成され得る。誘電材料は、誘電バリア145-cを形成し得る(たとえば、誘電バリア145-cは、電極面110-cと誘電面215-bとを垂直方向に通過し、それらと接するように、配置され得る)。いくつかの場合には、誘電バリア145-cは、開口605によって露出された電極面110-cと誘電面215-bとの少なくとも一部と接する外部表面を備えた中空構造(たとえば、円筒)を形成し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、誘電バリア145-cの厚さは、ナノメートルの尺度(たとえば、0.5と10ナノメートルとの間)であり得る。誘電バリア145-cは、カルコゲナイド合金505-aと電極円筒130-cとの間の相互作用が回避されるのに充分な程度であり、しかし、電流が誘電バリア145-cを流れるのに充分な程度の厚さを有し得る。いくつかの場合には、誘電材料は、開口605を充填するように、堆積され得る。そのような場合には、新たな開口が、別の材料が誘電バリア145-cの内部に堆積されることが可能であるように、誘電材料に形成され得る。誘電バリア145-cは、いくつかの実施形態では、アルミナ、酸化アルミニウム、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ジルコニウム、又はそれらの組合せを含み得る。
【0051】
誘電バリア145-cが形成された後で、カルコゲナイド合金材料が、誘電バリア145-cと接する(たとえば、コーティングする又はオーバラップする)ように、開口の内部に堆積され得る。カルコゲナイド合金材料は、カルコゲナイド合金505-aを形成し得るのであるが、これは、誘電バリア145-cによって、電極面110-cと誘電面215-bとから物理的に分離され得る。誘電バリア145-cは、カルコゲナイド合金505-aと電極面110-cとの間の相互作用を回避し得る。いくつかの場合には、カルコゲナイド合金505-aは、誘電バリア145-cの内部表面と接する外部表面を備えた中空の円筒を形成し得る。いくつかの場合には、カルコゲナイド合金材料は、誘電バリア145-cにおける開口を少なくとも部分的に充填するように、堆積され得る。そのような場合には、カルコゲナイド合金505-aを形成するために、新たな開口が、カルコゲナイド材料に形成され得る。
【0052】
カルコゲナイド合金505-aが形成された後で、電極材料が、カルコゲナイド合金505-cと接する(たとえば、コーティングする又はオーバラップする)ように、カルコゲナイド合金505-aにおける開口の内部に堆積され得る。電極材料は、電極円筒130-cを形成し得る。電極円筒130-cの外部表面は、カルコゲナイド合金505-aの内部表面と接し得る。いくつかの場合には、電極材料は、カルコゲナイド合金505-aにおける開口を充填するように、堆積され得る。そのような場合には、新たな開口が、異なる材料が電極円筒130-cの内部に堆積され得るように、電極材料に形成され得る。いくつかの場合には、電極材料は、電極面110-cを形成するのと同じ材料である。
【0053】
電極円筒130-cが形成された後で、導電材料が、電極円筒130-cにおける開口の内部に堆積され得る。導電材料は、電極円筒130-cの電極材料と接し(たとえば、コーティング、オーバラップ)、導電ピラー120-cを形成し得る。導電ピラー120-cは、電極円筒130-cの内部表面と接する外部表面を備えた、固体のカラムであり得る。導電ピラー120-cと電極円筒130-cとカルコゲナイド合金505-aと誘電バリア145-cとが、メモリ・カラム135-cを形成し得る。
【0054】
いくつかの場合には、メモリ・カラム135-cは、図6Bに示されているのとは異なる順序で材料を堆積することによって、形成され得る。材料を堆積する順序は変動し得るが、最終的なメモリ・カラム135-cは、導電ピラー120-cとカルコゲナイド合金505-aと誘電バリア145-dとを含み得る(いくつかの実施形態では、オプションとして、電極円筒130-cも含み得る)。いくつかの場合には、メモリ・カラム135-cは、カルコゲナイド合金505-aの内部表面と接する外部表面を備えた第2の誘電バリアを含み得る。
【0055】
図7Aは、第2の製造プロセスにおけるあるステップの間のメモリ・アレイ700-aを図解している。メモリ・アレイ700-aは、図1、2A、2B、5、6A、及び6Bそれぞれに関して説明されたメモリ・アレイ100、200、500、又は600の例であり得る。メモリ・アレイ700-aは、プレースホルダ材料と誘電材料との交代する層を堆積することによって、形成され得る。プレースホルダ材料は、誘電材料と互換的であり、ウェット・エッチングなどの除去プロセスを許容する材料(たとえば、ポリシリコン、窒化シリコンなど)であり得る。いくつかの場合には、プレースホルダ材料は、電極円筒を形成するのに用いられるのと同じ材料(たとえば、炭素又はシリコン)である。
【0056】
プレースホルダ材料は、水平方向のプレースホルダ面705を形成するように堆積され得るし、誘電材料は、プレースホルダ面705と交互配置される水平方向の誘電面215-cを形成するように、堆積され得る。プレースホルダ面705と誘電面215-cとの交代する層が積層体610-aとして形成された後で、1つ又は複数の開口605-aが、(たとえば、エッチング、ミリングなどによって)積層体610-aを通過するように形成され得る(たとえば、開口605-aは、垂直方向の穴を形成し得る)。それぞれの開口605-aは、プレースホルダ面705及び誘電面215-cと交差するように、形成され得る。開口605-aは、プレースホルダ面705と誘電面215-cとの一部又は部分を露出させ得る。
【0057】
図7Bは、第2の製造プロセスにおけるあるステップの間のメモリ・アレイ700-bを図解している。メモリ・アレイ700-bは、第2の製造プロセスにおける以後のステップの間のメモリ・アレイ700-aの例であり得る。メモリ・アレイ700-bは、図6Bに関して説明されたように、メモリ・アレイ700-aの開口605-aの内部に材料を堆積することによって、形成され得る。たとえば、メモリ・アレイ700-bは、電極円筒130-dとカルコゲナイド合金505-bと誘電バリア145-dとによって包囲された導電ピラー120-dを含むメモリ・カラム135-dを含み得る。
【0058】
図7Cは、第2の製造プロセスにおけるあるステップの間のメモリ・アレイ700-cを図解している。たとえば、メモリ・アレイ700-cは、第2の製造プロセスにおける以後のステップの間のメモリ・アレイ700-bの例であり得る。メモリ・アレイ700-cは、積層体610-aを通過する溝710(又は、「シャント」)を形成することによって、形成され得る。溝710は、積層体610-aにおける面を垂直方向に通過するように延長し得る(たとえば、溝710は、z方向に延長し得る)。溝710は、また、平面図に見られるように、x方向及びy方向にも延長し得る。このように、溝710は、幅と長さと深さとを有し得る。溝710は、プレースホルダ面におけるプレースホルダ材料が異なる材料と置き換えられることが可能なように、プレースホルダ面705へのアクセスを提供し得る。いくつかの場合には、溝710は、メモリ・アレイ700-cのエッジに存在し得る。いくつかの場合には、複数の溝710が、プレースホルダ面705へのアクセスを提供するのに用いられ得る。矩形のフットプリントを用いて示されているが、溝710は、任意の形状のフットプリントを有し得る。
【0059】
図7Dは、第2の製造プロセスにおけるあるステップの間のメモリ・アレイ700-dを図解している。たとえば、メモリ・アレイ700-dは、第2の製造プロセスにおける以後のステップの間のメモリ・アレイ700-cの例であり得る。メモリ・アレイ700-dは、空洞715を形成するために、プレースホルダ面705からプレースホルダ材料を除去する(たとえば、ウェット・エッチング又はドライ・エッチングによって)ことによって、形成され得る。このように、プレースホルダ面705は、積層体610-aから除去され得る。空洞715は、プレースホルダ面705と同じ形状を有し得る。誘電バリア145-dにおける誘電材料は、プレースホルダ材料が除去された後に誘電バリア145-dが完全な状態であるように、除去プロセスに耐えることができる。
【0060】
図7Eは、第2の製造プロセスにおけるあるステップの間のメモリ・アレイ700-eを図解している。たとえば、メモリ・アレイ700-eは、第2の製造プロセスにおける以後のステップの間のメモリ・アレイ700-dの例であり得る。メモリ・アレイ700-eは、空洞715が導電材料で少なくとも部分的に充填されるように、空洞715に導電材料を堆積することによって(たとえば、コンフォーマル堆積による)、形成され得る。導電材料が、電極面110-dを形成し得る。このように、電極面110-dが、プレースホルダ材料を導電材料(たとえば、プレースホルダ材料よりも導電率が高い材料)で置き換えることにより、除去されたプレースホルダ面705によって残された空洞715に形成され得る。いくつかの場合には、導電材料が、溝710の一部又は全部を充填する。たとえば、導電材料は、空洞領域720を形成するために、溝710を少なくとも部分的に裏打ちするのであるが、これが、以後に導電材料を(たとえば、ウェット・エッチングによって)除去する際に助けとなり得る。
【0061】
電極面110-dが相互に短絡することを回避するために、溝710は、電極面110-dが相互に分離されるように、異なる材料(たとえば、誘電面215-cを構成する誘電材料又は別の絶縁材料)を用いて、少なくとも部分的に充填され得る。いくつかの場合には、この絶縁材料は、溝710の全体がこの絶縁材料で充填されるように、堆積され得る。これらの場合に、メモリ・アレイ700-aの最終的な形態は、電極面110-dにおける導電材料とは異なる材料で充填された溝710を含み得る。このように、痕跡を有する(vestigial)又は残存する構造が、メモリ・アレイ700-eに残され得る。他の場合には、絶縁材料が、溝710の一部だけが絶縁材料で充填されるように、堆積され得る。たとえば、絶縁材料は、溝710の1つ若しくは複数の部分に、形成又は堆積され得る。こうして、溝710における導電材料の少なくとも一部が、誘電材料によって置き換えられ得る。
【0062】
図7Fは、第2の製造プロセスの後の、メモリ・アレイ700-fを図解している。メモリ・アレイ700-fは、溝710における材料の一部又は全部が電極面110-dにおける材料とは異なる材料で充填された後の、メモリ・アレイ700-eの例であり得る。このように、メモリ・アレイ700-fは、残存構造725を含み得るが。これは、絶縁材料で構成され得る。断面図及び平面図に示されているように、残存構造725は、誘電面215-cとは異なる材料で構成され得る。他の例では、残存構造725は、誘電面215-cを構成するのと同じ材料で作られ得る。
【0063】
第1のプロセスによって形成されたメモリ・アレイと同様に、メモリ・アレイ700-fは、いくつかのメモリ・カラム135-dを含む。それぞれのメモリ・カラム135-dは、電極円筒130-dによって少なくとも部分的に包囲された導電ピラー120-dを含み得る。電極円筒130-dは、カルコゲナイド合金505-bによって少なくとも部分的に包囲され得るが、カルコゲナイド合金505-bは、誘電バリア145-dによって少なくとも部分的に包囲され得る。誘電バリア145-dは、カルコゲナイド合金505-bを、電極面110-d(そして、いくつかの場合には、誘電面215-c)から、孤立させ得る。
【0064】
図8は、誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルをサポートするメモリ・アレイ800を、図解している。メモリ・アレイ800は、電極面110-eと、誘電面215-dと、メモリ・カラム135-eとを有し得る。メモリ・アレイ800は、1つではなく2つの誘電バリア145-eを含み得る。たとえば、メモリ・アレイ800は、第1の誘電バリア145-e-1と、第2の誘電バリア145-e-2とを有し得る。メモリ・カラム135-eは、電極シリンダ130-eと接触している導電ピラー120-eを含み得る(たとえば、導電ピラー120-eが、電極シリンダ130-eにおける電極材料と接触し得る)。電極シリンダ130-eは、第2の誘電バリア145-e-2によって、少なくとも部分的に包囲され得る(たとえば、電極シリンダ130-eの電極材料が、第2の誘電バリア145-e-2と接触状態にあり得る)。第2の誘電バリア145-e-2は、電極シリンダ130-eと接触状態にあり得るのであって、電極シリンダ130-eを、カルコゲナイド合金505-cから分離すなわち絶縁し得る。カルコゲナイド合金505-cは、第2の誘電バリア145-e-2を、少なくとも部分的に包囲し得るのであって、いくつかの場合には、それと接触状態にあり得る(たとえば、第2の誘電バリア145-e-2は、カルコゲナイド合金505-cのカルコゲナイド材料と接触状態にあり得る)。このように、第2の誘電バリア145-e-2は、電極シリンダ130-eの電極材料とカルコゲナイド合金505-cのカルコゲナイド材料との間に位置決めされ得る(たとえば、第2の誘電バリア145-e-2の誘電材料は、電極シリンダ130-eの電極材料を、少なくとも部分的に包囲し得る)。
【0065】
カルコゲナイド合金505-cは、第1の誘電バリア145-e-1によって、少なくとも部分的に包囲され得る。第1の誘電バリア145-e-1は、カルコゲナイド合金505-cと接触状態にあり得るのであって、カルコゲナイド合金505-cを、電極面110-eから(そして、いくつかの場合には、誘電面215-dからも)分離すなわち絶縁し得る。いくつかの実施形態では、複数の誘電バリア145-eが、少なくともいくつかの共通する特性又は性質を含む場合があり得る。一例として、複数の誘電バリア145-eは、同一の又は異なる材料で作られ得る。別の例として、複数の誘電バリア145-eは、同一の又は異なる厚さを有することがあり得る。カルコゲナイド合金505-cを2つの誘電バリア145-eの間に位置決めすることにより、メモリ・カラム135-eの対称性を増加させる場合があり、それによって、メモリ・アレイ800の動作及び/又は予測可能性が改善され得る。追加的な誘電バリア(たとえば、第2の誘電バリア145-e-2)は、他にも利点がある中で、カルコゲナイド合金505-cと電極シリンダ130-eとの間の相互作用を減少させ得る。
【0066】
メモリ・アレイ800は、図6A及び6Bを参照して説明された第1の製造プロセスを用いて、又は、図7Aから7Fを参照して説明された第2の製造プロセスを用いて、形成され得る。第2の誘電バリア145-e-2の形成は、誘電材料がカルコゲナイド合金505-cと少なくとも部分的に重なり合うように、カルコゲナイド合金505-cと接触するように誘電材料を形成することを含み得る。そのような場合、電極シリンダ130-eは、電極材料が誘電材料と少なくとも部分的に重なり合うように、第2の誘電材料と接触して電極材料を形成することによって形成され得る。
【0067】
図9は、本開示の実施例による特徴と動作とをサポートするメモリ・アレイ900を図解している。メモリ・アレイ900は、電極面110-fと、誘電面215-eと、メモリ・カラム135-fとを有し得る。メモリ・アレイ800は、1つではなく2つの誘電バリア145-fを含み得る。たとえば、メモリ・アレイ800は、第1の誘電バリア145-f-1と、第2の誘電バリア145-f-2とを有し得る。メモリ・カラム135-fは、導電ピラー120-fを含み得る。導電ピラー120-fは、第2の誘電バリア145-f-2と接触状態にあることがあり得るし、第2の誘電バリア145-f-2によって、少なくとも部分的に包囲され得る(たとえば、第2の誘電バリア145-f-2の誘電材料は、導電ピラー120-fとカルコゲナイド合金505-dのカルコゲナイド合金材料との間に、位置決めされ得る)。第2の誘電バリア145-f-2は、カルコゲナイド合金505-dと接触状態にある場合があり、カルコゲナイド合金505-dを導電ピラー120-fから分離すなわち絶縁することができる。第2の誘電バリア145-f-2は、カルコゲナイド合金505-dと導電ピラー120-fとの間の相互作用を減少させ、メモリ・カラム135-fの対称性を増加させることができる。
【0068】
カルコゲナイド合金505-dは、第1の誘電バリア145-f-1と、接触状態にあり得るのであるが、第1の誘電バリア145-f-1によって、少なくとも部分的に包囲され得る。第1の誘電バリア145-f-1は、カルコゲナイド合金505-dを、電極面110-fから(そして、いくつかの場合には、誘電面215-eからも)分離すなわち絶縁し得る。第1の誘電バリア145-f-1は、第2の誘電バリア145-f-2と、同一の材料で又は異なる材料とすることができる。第1の誘電バリア145-f-1は、第2の誘電バリア145-f-2と、同一の厚さで又は異なる厚さであり得る。いくつかの場合には、第2の誘電バリア145-f-2の厚さは、メモリ・アレイ800における電極シリンダ130-eの厚さ未満であり得る。そのような場合には、メモリ・カラム135-fの直径は、メモリ・カラム135-eの直径未満であり得るが、それによって、(メモリ・アレイ800又はメモリ・アレイ500と比較して)よりコンパクトなメモリ・アレイ900が可能になり得る。
【0069】
メモリ・アレイ900は、図6A及び6Bを参照して説明された第1の製造プロセスを用いて、又は、図7Aから7Fを参照して説明された第2の製造プロセスを用いて、形成され得る。第2の誘電バリア145-f-2の形成は、誘電材料が導電ピラー120-fを少なくとも部分的に包囲するように、導電ピラー120-fと接触するように誘電材料を形成することを含み得る。いくつかの場合には、導電ピラー120-fは、誘電材料における開口に、配置され得る。
【0070】
図10は、誘電バリアを備えた自己選択型メモリ・セルをサポートするデバイス1000のブロック図を示す。デバイス1000は、メモリ・アレイ1010とメモリ・コントローラ1015とを含み得る。メモリ・アレイ1010は、図1、2、5、6A、6B、7Aから7F、8、及び9それぞれを参照して説明されたメモリ・アレイ100、200、500、600、700、800、又は900の例であり得る。デバイス1000のコンポーネントは、相互に電子的通信関係にあり、メモリ・アレイ1010の動作を容易にする機能を実行し得る。
【0071】
メモリ・コントローラ1015は、バイアス・コンポーネント1050とタイミング・コンポーネント1055とを含み得るのであって、図3及び4に記載されているように、メモリ・アレイ1010を動作させ得る。メモリ・コントローラ1015は、ワード線1020と電子的通信関係にあり得るが、ワード線1020は、電極面110と結合され得る。メモリ・コントローラ1015は、また、ビット線1025とも電子的通信関係にあり得るが、ビット線1025は、導電ピラー120と結合され得る。メモリ・コントローラ1015は、また、センス・コンポーネント1035と基準コンポーネント1030とも電子的通信関係にあり得る。いくつかの場合に、基準コンポーネント1030とセンス・コンポーネント1035とラッチ1045とは、メモリ・コントローラ1015のコンポーネントでもあり得る。
【0072】
メモリ・コントローラ1015は、メモリ・アレイ1010の様々なコンポーネントに電圧(たとえば、正又は負の電圧)を印加することによって、それらの様々なコンポーネントを付勢するように、構成され得る。たとえば、バイアス・コンポーネント1050は、上述されたように、電極面110又は導電ピラー120に電圧を印加するように構成され得る。たとえば、バイアス・コンポーネント1050は、図3及び4に記載されているように、書き込み電圧又は読み出し電圧を生成するために、電極面110と導電ピラー120とに電圧を印加し得る。いくつかの場合には、メモリ・コントローラ1015は、図1を参照して説明されたように、ロー・デコーダ、カラム・デコーダ、又はそれら両方を含み得る。これによって、メモリ・コントローラ1015が、1つ又は複数のメモリ・セル105にアクセスすることが可能になり得る。バイアス・コンポーネント1050は、また、センス・コンポーネント1035に対して基準信号を生成するために、電圧を基準コンポーネント1030にも供給し得る。それに加えて、バイアス・コンポーネント1050は、センス・コンポーネント1035の動作のために電圧を供給し得る。
【0073】
いくつかの場合には、メモリ・コントローラ1015は、タイミング・コンポーネント1055を用いて、その動作を実行し得る。たとえば、タイミング・コンポーネント1055は、本明細書において論じられている読み出し及び書き込みなどのメモリ機能を実行するために、メモリ・アレイ1010の様々なコンポーネントへの電圧印加のタイミングを制御することができる。いくつかの場合には、タイミング・コンポーネント1055は、バイアス・コンポーネント1050の動作を制御し得る。たとえば、タイミング・コンポーネント1055は、バイアス・コンポーネント1050によって生成される書き込みパルスと読み出しパルスとの継続時間を制御できる。
【0074】
基準コンポーネント1030は、センス・コンポーネント1035のための基準信号を生成するために、様々なコンポーネントを含み得る。基準信号は、電圧又は電流であり得る。基準コンポーネント1030は、基準信号を生じるように特に構成された回路を含み得る。センス・コンポーネント1035は、(ビット線1025を通じた)メモリ・アレイ1010からの信号を、基準コンポーネント1030からの基準信号と比較し得る。論理状態を決定すると、センス・コンポーネント1035は、ラッチ1045に出力を記憶し得るが、ラッチ1045において、それは、デバイス1000の動作に従って用いられ得る。
【0075】
図11は、誘電バリアを備えた自己選択型メモリ構造のための形成方法1100を図解するフローチャートを示す。この形成方法1100は、図1~9を参照して説明されたメモリ・アレイを製造するために、実現され得る。この形成方法は、図6Aから6B及び7Aから7Fを参照して説明された形成方法の一部であり得るし、又は、その態様を含み得る。形成方法1100によって形成されたメモリ・アレイは、図1及び10を参照して説明されたように、メモリ・コントローラによって動作され得る。
【0076】
1105では、この方法は、面の積層体を通過する開口を形成することを含み得る。面の積層体は、第2の材料(たとえば、絶縁材料)の第2の組の面と交互配置されており第2の材料とは異なる第1の材料(たとえば、導電材料)の第1の組の面を含み得る。開口は、第1の組の面及び第2の組の面と交差し得る。第1のプロセスが用いられるときには、図6Aを参照して説明されているように、第1の組の面が電極面であり、第2の組の面が誘電面であり得る。第2のプロセスが用いられるときには、図7Aを参照して説明されているように、第1の組の面が(プレースホルダ材料で構成された)プレースホルダ面であり、第2の組の面が誘電面であり得る。どちらのプロセスが用いられるかとは関係なく、第1の組の面と第2の組の面の一部とが、開口によって露出され得る。面の積層体が、第1の組の面と第2の組の面との交代する面を形成することによって、形成され得る。
【0077】
ブロック1110では、この方法は、開口の内部に誘電材料を形成することを含み得る。誘電材料は、開口によって露出された第1及び第2の組の面の一部と接するように、形成され得る。誘電材料は、図6Aから6B、7Aから7F、8、及び9を参照して説明されたように、誘電バリアを形成し得る。
【0078】
ブロック1115では、この方法は、誘電材料と接するカルコゲナイド合金材料を形成することを含み得る。カルコゲナイド合金材料は、図6Aから6B、7Aから7F、8、及び9を参照して説明されたように、カルコゲナイド合金を形成し得る。したがって、カルコゲナイド合金材料は、第1の組の面と第2の組の面とから、誘電材料によって、物理的に分離され得る。
【0079】
いくつかの場合には、この方法は、第1の組の面を、第1の材料よりも導電率の高い導電材料で置き換えるステップを含み得る。たとえば、この方法は、第1の組の面を除去するステップと、除去された第1の組の面によって残された空洞に、導電材料で構成された第3の組の面を形成するステップとを含み得る。
【0080】
いくつかの場合には、この方法は、面の積層体を通過する溝を形成するステップを含み得る。そのような場合、この方法は、また、第1の組の面における第1の材料を第3の材料で置き換えるステップも、含み得る。この置き換えは、溝を第3の材料で充填し得る。この方法は、また、溝における第3の材料の少なくとも一部を誘電材料で置き換えるステップも含み得る。
【0081】
いくつかの場合に、この方法は、カルコゲナイド合金材料と接するように、第2の誘電材料を形成するステップを含み得る。第2の誘電材料は、カルコゲナイド合金材料と少なくとも部分的に重なり合うように、形成され得る。そのような場合に、この方法は、また、電極材料を、その電極材料が第2の誘電材料と少なくとも部分的に重なり合うように、第2の誘電材料と接して形成するステップも、含み得る。あるいは、この方法は、第2の誘電材料と接するように導電ピラーを形成するステップを含み得る。
【0082】
いくつかの場合には、この方法は、電極材料を、その電極材料がカルコゲナイド合金材料と少なくとも部分的に重なり合うように、カルコゲナイド合金材料と接して形成するステップを含み得る。この方法は、また、電極材料と接するように、導電ピラーを形成するステップを含み得る。
【0083】
いくつかの場合には、方法1100は、装置によって、少なくとも部分的に実行され得る。この装置は、第2の材料の第2の組の面と交互配置されており第2の材料と異なる第1の材料の第1の組の面を含む面の積層体を通過する開口を形成する手段と、開口の内部において、開口によって露出された第1及び第2の組の面の部分と接するように、誘電材料を形成する手段と、誘電材料と接するようにカルコゲナイド合金材料を形成する手段とを含み得る。いくつかの場合には、開口は、第1の組の面及び第2の組の面と交差し得る。
【0084】
この装置は、第1の組の面のうちの1つと第2の組の面のうちの1つとの交代する面を形成することによって面の積層体を形成する手段をさらに含み得るのであって、第1の材料は導電材料を含み、第2の材料は絶縁材料を含む。
【0085】
この装置は、第1の組の面における第1の材料を、第1の材料よりも導電率の高い導電材料で置き換える手段をさらに含み得る。第1の組の面における第1の材料を置き換える手段は、第1の組の面を除去する手段と、除去された第1の組の面によって残された空洞に、導電材料を含む第3の組の面を形成する手段とを含み得る。
【0086】
この装置は、面の積層体を通過する溝を形成する手段と、第1の組の面における第1の材料を第3の材料で置き換えることにより、溝を第3の材料で充填する手段とをさらに含み得る。この装置は、溝における第3の材料の少なくとも一部を誘電材料で置き換える手段をさらに含み得る。
【0087】
この装置は、カルコゲナイド合金材料と接し、カルコゲナイド合金材料と少なくとも部分的に重なり合うように、第2の誘電材料を形成する手段をさらに含み得る。この装置は、第2の誘電材料と接し、第2の誘電材料と少なくとも部分的に重なり合うように、電極材料を形成する手段をさらに含み得る。この装置は、第2の誘電材料と接するように導電ピラーを形成する手段をさらに含み得る。
【0088】
この装置は、カルコゲナイド合金材料と接し、カルコゲナイド合金材料と少なくとも部分的に重なり合うように、電極材料を形成する手段と、電極材料と接するように導電ピラーを形成する手段とをさらに含み得る。
【0089】
上述された方法は可能な実装を説明していること、動作とステップとは再編成され得る又は修正され得ること、そして、他の実装も可能であることが留意されるべきである。さらに、これらの方法のうちの2つ又はそれより多くからの態様が組み合わされる場合もあり得る。
【0090】
本明細書で説明されている情報と信号とは、様々な異なる技術と技法とのうちのいずれかを用いて、表すことができる。たとえば、上記の説明の全体を通じて参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場若しくは磁性粒子、光場若しくは光学粒子、又はそれらのいずれかの組合せによって、表すことができる。いくつかの図面で、信号を単一の信号として図解している場合があるが、しかし、その信号は複数の信号のバスを表す場合があり得るし、そのバスは様々なビット幅を有し得る、ということが、当業者には理解されるだろう。
【0091】
「電子的通信」及び「結合された」という用語は、コンポーネントの間での電子の流れをサポートするそれらのコンポーネントの間における関係を意味する。これは、コンポーネントの間の直接的接続を含み得るし、又は、中間的なコンポーネントを含む場合もあり得る。電子的通信状態にある又は相互に結合されているコンポーネントは、(たとえば、通電状態の回路のように)電子若しくは信号をアクティブに交換している場合があり得るし、又は、(たとえば、通電状態にない回路のように)電子若しくは信号をアクティブに交換していないが、いったん回路が通電状態になれば、電子若しくは信号を交換するように構成され動作可能になり得る。例を示すと、スイッチ(たとえば、トランジスタ)を経由して物理的に接続されている2つのコンポーネントは、スイッチの状態(すなわち、開なのか閉なのか)とは関係なく、電子的通信状態にあるか、又は結合されている場合がある。
【0092】
「孤立させる(isolate)」又は「孤立している(isolated)」という語は、構造の間の物理的関係であってそれらの構造が相互に接していない場合を指すのであるが、それらの構造の間に別の構造又は材料が存在する場合に、それらの構造は孤立している。相互に孤立している2つの構造の間でも、電流又は電荷は、依然として流れることができる。
【0093】
本明細書で論じられているアレイは、メモリ・アレイ100を含め、シリコン、ゲルマニウム、シリコン・ゲルマニウム合金、ガリウムヒ素、窒化ガリウムなどの半導体基板上に形成され得る。いくつかの場合には、この基板は、半導体ウエハである。他の場合には、この基板は、シリコン・オン・グラス(SOG)若しくはシリコン・オン・サファイア(SOP)などのシリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板であり得るし、又は、別の基板上の半導体材料のエピタキシャル層でもあり得る。基板又は基板の部分領域の導電率は、これらに限定されないが、リン、ホウ素、又はヒ素を含む様々な化学種を用いたドーピングを通じて、制御され得る。ドーピングは、基板の初期形成又は成長の間に、イオン注入によって又はいずれかの他のドーピング手段によって、実行され得る。
【0094】
カルコゲナイド材料とは、硫黄(S)、セレン(Se)、及びテルル(Te)の元素のうちの少なくとも1つを含む材料又は合金(たとえば、ドープされた又はドープされていない合金)であり得る。カルコゲナイド材料及び合金は、これらには限定されないが、Ge-Te、In-Se、Sb-Te、Ga-Sb、In-Sb、As-Te、Al-Te、Ge-Sb-Te、Te-Ge-As、In-Sb-Te、Te-Sn-Se、Ge-Se-Ga、Bi-Se-Sb、Ga-Se-Te、Sn-Sb-Te、In-Sb-Ge、Te-Ge-Sb-S、Te-Ge-Sn-O、Te-Ge-Sn-Au、Pd-Te-Ge-Sn、In-Se-Ti-Co、Ge-Sb-Te-Pd、Ge-Sb-Te-Co、Sb-Te-Bi-Se、Ag-In-Sb-Te、Ge-Sb-Se-Te、Ge-Sn-Sb-Te、Ge-Te-Sn-Ni、Ge-Te-Sn-Pd、又は、Ge-Te-Sn-Ptを含み得る。本明細書で用いられているハイフンで連結された化学的組成の表記法は、特定の化合物又は合金に含まれる元素を示しており、示された元素を含むすべての化学量論を表すことが意図されている。たとえば、Ge-Teは、x及びyが、いずれかの正の整数を表すとして、GeTeを含むことがあり得る。可変抵抗材料の他の例としては、たとえば、遷移金属、アルカリ土類金属、及び/又は希土類金属などの、2つ又はそれより多くの金属を含む、二元金属酸化物(binary metal oxide)材料又は混合原子価酸化物(mixed valence oxide)が含まれ得る。実施形態は、メモリ・セルのメモリ素子と関連する特定の可変抵抗材料又は複数の可変抵抗材料には限定されない。たとえば、可変抵抗材料の他の例が、メモリ素子を形成するのに用いられる場合があるし、そのような例としては、カルコゲナイド材料、巨大磁気抵抗材料、又はポリマ・ベースの材料などが含まれ得る。
【0095】
添付の図面に関連して本明細書で示されている説明は、例示的な構成を論じているのであって、実現され得る又は特許請求の範囲に属するすべての例を、表すものではない。本明細書で用いられる「例示的」という用語は、「例、場合、又は例証として機能する」ということを意味しており、「好ましい」又は「他の例より有利である」という意味ではない。詳細な説明は、説明された技術の理解を提供する目的での特定の詳細を含む。しかし、これらの技術は、これらの特定の詳細がなくても実現され得る。いくつかの場合には、記載されている例の概念を不明瞭にすることを回避するために、よく知られている構造とデバイスとが、ブロック図の形式で示されている。
【0096】
添付の図面において、類似のコンポーネント又は特徴は、同じ参照符号を有し得る。さらに、同じタイプの様々なコンポーネントは、ダッシュと複数の類似のコンポーネントの間で区別するための第2の符号とを参照符号の後に追加することにより、区別できる。本明細書で第1の参照符号だけが用いられている場合には、その記載は、第2の参照符号とは関係なく、同じ第1の参照符号を有する類似のコンポーネントのいずれにも、適用可能である。
【0097】
本明細書に記載されている情報及び信号は、様々な異なる技術及び技法のうちのいずれかを用いて、表すことができる。たとえば、上記の記載の全体を通して参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場又は磁性粒子、光場又は光学粒子、又はそれらのいずれかの組合せによって表され得る。
【0098】
本明細書における開示との関連で説明されている様々な例証のためのブロックとモジュールとは、汎用プロセッサ、DSP、ASIC、FPGA若しくは他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリート・ゲート若しくはトランジスタ論理、ディスクリート・ハードウェア・コンポーネント、若しくは、本明細書で説明されている機能を実行するように設計されたそれらのいずれかの組合せを用いて、実現され得る、又は、実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、あるいは、そのプロセッサが、いずれかの従来型プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステート・マシンでもあり得る。プロセッサは、また、コンピューティング・デバイスの組合せ(たとえば、デジタル信号プロセッサ(DSP)とマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと協働する1つ又は複数のマイクロプロセッサ、又はいずれかの他のそのような構成)として、実現されることもあり得る。
【0099】
本明細書に記述されている機能は、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェア、ファームウェア、又はそれらのいずれかの組合せとして、実現され得る。プロセッサによって実行されるソフトウェアとして実現される場合には、それらの機能は、1つ若しくは複数の命令若しくはコードとして、コンピュータ可読媒体上に記憶されることがあり得るし、又は、コンピュータ可読媒体を介して伝送されることもあり得る。他の実施例及び実装も、本開示と添付の特許請求の範囲とに属する。たとえば、ソフトウェアの性質に起因して、上述された機能が、プロセッサによって実行されるソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ハードワイヤリング、又はこれらのいずれかの組合せを用いて、実現される場合もあり得る。また、機能を実現する特徴が、様々な複数の位置に物理的に配置される場合があり得るが、それは、機能のいくつかの部分が複数の異なる物理的位置で実現されるように分散されている場合を含む。また、本明細書で用いられているように、そしてそれには特許請求の範囲も含まれるが、項目のリスト(たとえば、「少なくとも1つ」又は「1つ若しくは複数」などの成句が前置されている項目のリスト)で用いられる「又は(or)」は、包括的なリストを意味するのであって、たとえば、A、B又はCのうちの少なくとも1つ、というリストは、A、B若しくはC、若しくは、AB、AC若しくはBC、又は、ABC(すなわち、A、B及びC)を意味する。また、本明細書で用いられる「基づく」という用語は、条件の閉じた集合を指すものとして、解釈されてはならない。たとえば、「条件Aに基づく」として記載されている例示的なステップが、本開示の範囲から逸脱することなく、条件Aと条件Bとの両方に基づく場合もあり得る。別言すると、本明細書で用いられている「基づく」という用語は、「少なくとも部分的には基づく」という用語と同じように解釈されなければならない。
【0100】
コンピュータ可読媒体とは、ある場所から別の場所へのコンピュータ・プログラムの転送を容易にするいずれかの媒体を含めて、非一時的なコンピュータ記憶媒体と通信媒体との両方を含む。非一時的な記憶媒体とは、汎用又は専用コンピュータによるアクセスが可能な、いずれかの利用可能な媒体であり得る。例示であって、限定ではないが、非一時的なコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、電子的に消去可能なプログラマブル・リード・オンリ・メモリ(EEPROM)、コンパクト・ディスク(CD)ROM若しくは他の光学ディスク・ストレージ、磁気ディスク記憶媒体若しくは他の磁気記憶デバイス、又は、命令若しくはデータ構造の形式で所望のプログラム・コード手段を伝送する若しくは記憶するのに使用可能であって、汎用若しくは専用コンピュータ若しくは汎用若しくは専用プロセッサによるアクセスが可能な、いずれかの他の非一時的な媒体を、含み得る。また、どの接続でも、コンピュータ可読媒体と、適切に称される。たとえば、ソフトウェアが、ウェブサイト、サーバ、又は他のリモート・ソースから、同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、デジタル加入者線(DSL)、又は赤外線、ラジオ波、及びマイクロ波などのワイヤレス技術を用いて、伝送される場合には、それらの同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、デジタル加入者線(DSL)、又は赤外線、ラジオ波、及びマイクロ波などのワイヤレス技術が、媒体の定義に含まれる。本明細書で用いられるディスク(disk)とディスク(disc)とは、CD、レーザ・ディスク(disc)、光ディスク(disc)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)(disc)、フロッピ・ディスク(disk)、及びブルーレイ・ディスク(disc)を含むのであるが、通常、ディスク(disk)は、データを磁気的に再生し、他方で、ディスク(disc)は、レーザを用いて、光学的にデータを再生する。上記の組合せは、また、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれる。
【0101】
本明細書における説明は、当業者が本開示を製造する又は用いることを可能にするために、提供されている。本開示に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであろうし、本明細書で定義されている一般原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の変形例に適用される場合があり得る。したがって、本開示には、本明細書で説明されている例及び設計に限定されることなく、本明細書に開示されている原理及び新規の特徴と一貫性を有する最も広い範囲が与えられるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9
図10
図11