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特許7116162包装機のための仮想オーバーレイを作成する方法
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  • 特許-包装機のための仮想オーバーレイを作成する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】包装機のための仮想オーバーレイを作成する方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20220802BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20220802BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G06F3/0484
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020517129
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018075465
(87)【国際公開番号】W WO2019057817
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】17192883.1
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト・カバニ
(72)【発明者】
【氏名】パオロ・スカラベッリ
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0217620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G06F 3/048- 3/04855
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器を扱う複数の可動オブジェクト(201、201’)を有する包装機のための仮想オーバーレイ(301、301’)を作成する方法(100)であって、
前記可動オブジェクトを、前記包装機において伝達された各オブジェクト識別子データに関連付ける工程(101)と、
前記オブジェクト識別子データに基づき、前記包装機の物理座標システム(x、y)において前記可動オブジェクトのうちのターゲットオブジェクト(201’)の相対位置を決定する工程(102)と、
前記可動オブジェクトの少なくとも一部又は定義された物理的参考物(203)を含む画像データを登録する工程(103)と、
ユーザによって見られている少なくとも部分的に仮想である環境において、前記ターゲットオブジェクトの前記相対位置を仮想座標システム(u、v)に位置付けする工程(104)と、
前記ターゲットオブジェクトの前記相対位置を前記画像データに相関させる工程(105)であって、それにより、前記ターゲットオブジェクトは、前記仮想座標システムの仮想ターゲット座標(u’、v’)に割り当てられる(106)、工程(105)と、
前記仮想オーバーレイを前記仮想座標システムにおいて前記ターゲットオブジェクトの前記仮想ターゲット座標に対して表示する工程(107)と
を含む方法。
【請求項2】
前記可動オブジェクトが前記包装機において経路(202)に沿って移動しているとき、前記ターゲットオブジェクトが前記経路に沿って追跡されるように前記ターゲットオブジェクトの前記相対位置を前記画像データに相関させる工程(105’)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記経路に沿って移動しているとき、前記仮想オーバーレイを前記ターゲットオブジェクトの前記仮想ターゲット座標に対して表示する工程(107’)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記仮想オーバーレイは、前記ターゲットオブジェクトの外形の少なくとも一部の周りに表示された視覚ハイライト(301)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記仮想オーバーレイは、前記ターゲットオブジェクト及び/又は前記包装機に関連付けられたプロセスパラメータの視覚インジケータ(301’)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記仮想オーバーレイとのユーザインタラクションからユーザ入力を登録する工程(108)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ターゲットオブジェクトと近隣の可動オブジェクト(201)との前記物理座標システムにおける相対位置を比較することにより、前記仮想座標システムにおける前記ターゲットオブジェクトの位置を決定する工程(109)と、
前記近隣の可動オブジェクトについて登録された画像データに基づいて前記近隣の可動オブジェクトに割り当てられた仮想座標に対して、前記仮想座標システムにおいて前記ターゲットオブジェクトの対応する相対位置を決定する工程(110)と
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各仮想座標に割り当てられた前記画像データにおける前記可動オブジェクトの位置を前記ターゲットオブジェクトの前記相対位置と比較することにより、前記仮想ターゲット座標を決定する工程(106’)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
プログラムがコンピュータによって実行されるとき、前記コンピュータに、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法の工程を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
包装容器を扱う複数の可動オブジェクト(201、201’)を有する包装機のための仮想オーバーレイ(301、301’)を作成するシステム(300)であって、
前記可動オブジェクトを、前記包装機において伝達された各オブジェクト識別子データに関連付けること(101)、
前記オブジェクト識別子データに基づき、前記包装機の物理座標システム(x、y)において前記可動オブジェクトのうちのターゲットオブジェクト(201’)の相対位置を決定すること(102)
を行うように構成された処理装置(302)と、
前記可動オブジェクトの少なくとも一部又は定義された物理的参考物(203)を含む画像データを登録するように構成された画像装置(303)であって、
前記処理装置は、前記ターゲットオブジェクトの前記相対位置を前記画像データに相関させる(105)ように構成されることにより、ユーザによって見られている少なくとも部分的に仮想である環境において、前記ターゲットオブジェクトの前記相対位置を仮想座標システム(u、v)に位置付けする(104)ように構成され、
それにより、前記ターゲットオブジェクトは、前記仮想座標システムの仮想ターゲット座標(u’、v’)に割り当てられる(106)、画像装置(303)と、
前記仮想オーバーレイを前記仮想座標システムにおいて前記ターゲットオブジェクトの前記仮想ターゲット座標に対して表示するように構成された表示装置(304)と
を含むシステム(300)。
【請求項11】
前記処理装置は、前記可動オブジェクトが前記包装機において経路(202)に沿って移動しているとき、前記ターゲットオブジェクトが前記経路に沿って追跡されるように前記ターゲットオブジェクトの前記相対位置を前記画像データに相関させるように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記表示装置は、前記ターゲットオブジェクト及び/又は前記包装機に関連付けられたプロセスパラメータの視覚インジケータ(301’)を含む前記仮想オーバーレイを表示するように構成される、請求項10又は11に記載のシステム。
【請求項13】
前記可動オブジェクトは、略同一の形状を有する、請求項10~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記画像装置は、装着可能な眼鏡などの装着可能な表示装置を含む、請求項10~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
請求項10~14のいずれか一項に記載のシステム(300)を含む包装機(200)。
【請求項16】
包装容器を扱う複数の可動オブジェクト(201、201’)を有する包装機(200)であって、システム(300)であって、その中で仮想オーバーレイ(301、301’)を作成するシステム(300)を含み、前記システムは、
前記可動オブジェクトを、前記包装機において伝達された各オブジェクト識別子データに関連付けること(101)、
前記オブジェクト識別子データに基づき、前記包装機の物理座標システム(x、y)において前記可動オブジェクトのうちのターゲットオブジェクト(201’)の相対位置を決定すること(102)
を行うように構成された処理装置(302)と、
前記可動オブジェクトの少なくとも一部又は定義された物理的参考物(203)を含む画像データを登録するように構成された画像装置(303)であって、
前記処理装置は、前記ターゲットオブジェクトの前記相対位置を前記画像データに相関させる(105)ように構成されることにより、ユーザによって見られている少なくとも部分的に仮想である環境において、前記ターゲットオブジェクトの前記相対位置を仮想座標システム(u、v)に位置付けする(104)ように構成され、
それにより、前記ターゲットオブジェクトは、前記仮想座標システムにおいて仮想ターゲット座標(u’、v’)に割り当てられる(106)、画像装置(303)と、
前記仮想オーバーレイを前記仮想座標システムにおいて前記ターゲットオブジェクトの前記仮想ターゲット座標に対して表示するように構成された表示装置(304)と
を含む、包装機(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、拡張現実の分野に関する。さらに特には、本発明は、包装容器を扱う複数の可動オブジェクトを有する包装機のための仮想オーバーレイを作成する方法、仮想オーバーレイを作成する関連するシステム及びこのようなシステムを含む包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
拡張現実は、成長分野であり、物理的現実を見て関わり合っている間にユーザに仮想現実要素を提示する。仮想要素は、様々な方法でユーザを案内し、ユーザに情報を提示して、実世界の様々なオブジェクトとのインタラクションを容易にする。拡張現実のアプリケーションは、典型的には、様々な画像認識プロセスを適用して物理オブジェクトを同定し、データベースで適合するものを探して、取得したそのオブジェクトのイメージデータに対応するオブジェクトデータを見つける。唯一のオブジェクトは、続いて、ハイライトされ、ユーザは、その特性に関する情報を提示され、且つ/又はそのオブジェクトと関わり合う方法を案内される。例えば、包装容器を扱う機械における多数のオブジェクトが相互に識別し難く、高速で移動し得るような包装業などの製造業において問題が発生する。これは、画像処理技術に高度な要求を課し、したがって、このような環境における拡張現実の実施は、複雑になり得、十分に信頼し得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、そのより高速且つ信頼性のある実施を提供するなど、拡張現実の使用を促進することを含め、特に上述の問題及び妥協をより多く回避できる、包装機のための仮想オーバーレイを作成する改善された方法があれば有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明の例は、望ましくは、添付の特許請求の範囲に基づく機器を提供することにより、上に明らかにしたような当技術分野における1つ以上の欠陥、不利益又は問題を単独で又は任意の組み合わせによって緩和するか、軽減するか又は取り除こうとするものである。
【0005】
第1の態様に従い、包装容器を扱う複数の可動オブジェクトを有する包装機のための仮想オーバーレイを作成する方法が提供される。方法は、可動オブジェクトを、包装機において伝達された各オブジェクト識別子データに関連付ける工程と、オブジェクト識別子データに基づき、包装機の物理座標システムにおいて可動オブジェクトのうちのターゲットオブジェクトの相対位置を決定する工程と、可動オブジェクトの少なくとも一部又は定義された物理的参考物を含む画像データを登録する工程と、ユーザによって見られている少なくとも部分的に仮想である環境において、ターゲットオブジェクトの相対位置を仮想座標システムに位置付けする工程と、ターゲットオブジェクトの相対位置を画像データに相関させる工程であって、それにより、ターゲットオブジェクトは、仮想座標システムの仮想ターゲット座標に割り当てられる、工程と、仮想オーバーレイを仮想座標システムにおいてターゲットオブジェクトの仮想ターゲット座標に対して表示する工程とを含む。
【0006】
第2の態様に従い、コンピュータプログラム製品は、プログラムがコンピュータによって実行されるとき、コンピュータに、第1の態様に基づく方法の工程を実行させる命令を含む。
【0007】
第3の態様に従い、包装容器を扱う複数の可動オブジェクトを有する包装機のための仮想オーバーレイを作成するシステムが提供される。システムは、可動オブジェクトを、包装機において伝達された各オブジェクト識別子データに関連付けること、オブジェクト識別子データに基づき、包装機の物理座標システムにおいて可動オブジェクトのうちのターゲットオブジェクトの相対位置を決定することを行うように構成された処理装置と、可動オブジェクトの少なくとも一部又は定義された物理的参考物を含む画像データを登録するように構成された画像装置であって、処理装置は、ターゲットオブジェクトの相対位置を画像データに相関させるように構成されることにより、ユーザによって見られている少なくとも部分的に仮想である環境において、ターゲットオブジェクトの相対位置を仮想座標システムに位置付けするように構成され、それにより、ターゲットオブジェクトは、仮想座標システムの仮想ターゲット座標に割り当てられる、画像装置と、仮想オーバーレイを仮想座標システムにおいてターゲットオブジェクトの仮想ターゲット座標に対して表示するように構成された表示装置とを含む。
【0008】
第4の態様に従い、第3の態様によるシステムを含む包装機が提供される。
【0009】
本発明のさらなる例が従属請求項において定義され、ここで、本開示の第2の態様及び後続の態様についての特徴は、必要な変更を加えた第1の態様に関する。
【0010】
本開示の例の一部は、包装機における不具合の場所を突き止めるための改良されたより直感的な方法を提供する。
【0011】
本開示の例の一部は、時間消費のより少ない包装機のトラブルシューティングを提供する。
【0012】
本開示の例の一部は、包装機における移動しているコンポーネントの改良されたリアルタイムモニタリング及びオンザフライ解析を提供する。
【0013】
本開示の例の一部は、包装機における簡易化された状況モニタリング及びプロセスコントロールを提供する。
【0014】
本開示の例の一部は、メンテナンス又はプロセスコントロール中の包装機のコンポーネントとの簡易化されたインタラクションを提供する。
【0015】
本開示の例の一部は、包装機における診断情報の検索の簡易化を提供する。
【0016】
本開示の例の一部は、包装機におけるメンテナンス作業の優先順位付けの補助を提供する。
【0017】
本明細書で使用する際の用語「含む/含んでいる」は、記述した特徴、整数、工程又は構成要素の存在を明確にするために適用されるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、構成要素又はそのグループの存在又は追加を除外するものではないことを強調しておく。
【0018】
添付の図面を参照して、本発明の例によって可能であるこれらの態様、特徴及び利点及び他の態様、特徴及び利点が本発明の例の以下の説明から明らかになり且つ解明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の例による、複数の可動オブジェクトを有する包装機のための仮想オーバーレイを作成するシステムの概略図である。
図2】本開示の例による、複数の可動オブジェクトを有する包装機のための仮想オーバーレイを作成するシステム及び仮想座標システムの概略図である。
図3a】本開示の例による、包装機のための仮想オーバーレイを作成する方法のフローチャートである。
図3b】本開示の例による、包装機のための仮想オーバーレイを作成する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで、本発明の具体例が添付の図面を参照して説明される。しかし、本発明は、多数の異なる形態に含まれ、本明細書に提示される例に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの例は、本開示が完全且つ完璧であるように提供し、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるものである。添付の図面に表した例の詳細な説明において使用する専門用語は、本発明を限定することを意図するものではない。図において、同様の符号は、同様の要素を指す。
【0021】
図1は、包装容器を扱うように構成されている、複数の可動オブジェクト201、201’を有する包装機200のための仮想オーバーレイ301、301’を作成するシステム300の概略図である。対応する包装機200のための仮想オーバーレイ301、301’を作成する方法を図3a~bのフローチャートに表し、以下にさらに言及する。可動オブジェクト201、201’は、経路202に沿って移動するカートであり、例えば前記経路202に沿って包装容器又はそのコンポーネントを移動させることにより、様々な方法で包装容器(不図示)と相互作用し得る。経路202は、図1に表した楕円形のトラックなどの連続するエンドレスのトラックであってもよく、この場合、可動オブジェクト201、201’は、種々の包装を適用するために高速でトラックを回り得る。システム300は、可動オブジェクト201、201’を、包装機200内で伝達された各オブジェクト識別子データに関連付けるように構成された処理装置302を含む。オブジェクト識別子データは、経路202に沿って移動する際の可動オブジェクト201、201’の位置に関する機械アドレス情報を含んでもよい。オブジェクト識別子データは、包装機200の現地自動制御システム305から伝達され得る。処理装置302は、オブジェクト識別子データに基づき、包装機200の物理座標システム(x、y)内の可動オブジェクトのうちのターゲットオブジェクト201’の相対位置を決定するように構成される。このため、特定のターゲットオブジェクト201’の相対位置は、例えば、現地自動制御システム305によって包装機200に伝達されたオブジェクト識別子データから決定され得る。図1及び図2は、包装機200内に位置する他の可動オブジェクト201のうちのターゲットオブジェクト201’の概略図を示す。経路201に沿って移動する可動オブジェクト201の数は、任意の複数であり、いくつかのターゲットオブジェクト201’の相対位置が各オブジェクト識別子データに基づいて決定され得ることを理解する必要がある。システム300は、可動オブジェクト201、201’の少なくとも一部を含む画像データを登録するように構成された画像装置303を含む。代わりに又は加えて、画像装置303は、定義された物理的参考物203を含む画像データを登録するように構成される。定義された物理的参考物は、物理座標システム(x、y)において、任意のオブジェクトを、定義された物理座標と共に含むか、又は複数のオブジェクトを、定義された物理座標と共に含んでもよい。定義された物理的参考物203は、固定され得る。画像装置303は、可動オブジェクト201、201’の画像を捉えるように構成された画像センサを含んでもよい。一部の可動オブジェクト201、201’又はその少なくとも一部は、経路201に沿って移動する際に断続的に不明瞭になってもよい。処理装置302は、ユーザによって見られている少なくとも部分的に仮想である環境において、言及したターゲットオブジェクト201’の相対位置を仮想座標システム(u、v)に位置付けするように構成される。仮想座標システム(u、v)を図2に概略的に示す。処理装置302は、このようにして、ターゲットオブジェクト201’の相対位置を、画像装置303で捉えた画像データに相関させるように構成される。例えば、画像装置303は、包装機200の経路202に沿って一定の順序で配置された可動オブジェクト201、201’の組を含むイメージデータを捉え得る。他の可動オブジェクト201に対するターゲットオブジェクト201’の相対位置は、包装機200から伝達されたオブジェクト識別子データから決定される。処理装置302は、その後、前記相対位置を可動オブジェクトの組の取得されたイメージデータと比較し、可動オブジェクトの組のうちのターゲットオブジェクト201’を同定するように構成される。ターゲットオブジェクトは、このようにして、図2に概略的に示すように、仮想座標システム(u、v)の仮想ターゲット座標(u’、v’)に割り当てられる。代わりに又は加えて、定義された物理的参考物203に関連したターゲットオブジェクト201’の相対位置が決定され得る。処理装置302は、その後、前記相対位置を、取得した定義された物理的参考物203のイメージデータと比較し、ターゲットオブジェクト201’の対応する仮想ターゲット座標(u’、v’)を同定する。この場合、仮想ターゲット座標(u’、v’)は、可動オブジェクト201、201’が不明瞭である場合でも決定され得る。同様に、ユーザが、いずれの定義された(固定)物理的参考物203も不明瞭であるか又は入手できない位置にいる場合、可動オブジェクト201、201’の少なくとも一部を含むイメージデータは、上に例示したように仮想ターゲット座標(u’、v’)を決定するように利用され得る。システム300は、仮想座標システム(u、v)において、言及した仮想オーバーレイ301、301’をターゲットオブジェクト201’の仮想ターゲット座標(u’、v’)に対して表示するように構成された表示装置304を含む。
【0022】
図1及び図2は、ターゲットオブジェクト201’に対して配置された仮想オーバーレイ301、301’を示す。このようにして、オブジェクト識別子データから取得したターゲットオブジェクト201’の相対位置を画像データに相関させることにより、包装機200においてターゲットオブジェクト201’又は複数のターゲットオブジェクト201’を識別することが可能である。ターゲットオブジェクト201’は、包装機200における他の可動オブジェクト201と同一であり得るが、仮想オーバーレイ301、301’をこのようにして仮想ターゲット座標(u’、v’)に対して容易に表示し得る。これは、同様に見ているオブジェクトの画像を識別するのに費やさなければならない計算資源が少なくなるため、画像データのより迅速な画像処理も提供する。さらに、オブジェクトの認識を可能にするために目印等を導入する必要がなく、画像処理の必要条件を軽減もする。このため、ターゲットオブジェクト201’のより迅速且つより安定した同定を提供し得る。このように、包装機200に対して、仮想ターゲット座標(u’、v’)に対して配置した仮想オーバーレイを用いて、信頼性のある拡張現実の適用が実現され得る。これは、プロセスコントロール作業、モニタリング作業及びメンテナンス作業を容易にするなど、包装機200へのインタラクションの容易化を可能にする。ユーザは、特定のターゲットオブジェクト201’に固定された表示装置304において、例えばターゲットオブジェクト201’に関連する進行中のプロセスパラメータ又は機能不良の状況に注意を引き付ける仮想オーバーレイ301、301’を提示され得る。包装機200内の様々なセンサは、各可動オブジェクト201、201’のこのようなパラメータ又は状況を回収するように構成され、関連するセンサデータを包装機200の現地自動制御システム305に伝達し得る。センサデータの解析に基づき、1つ又は複数の特定の可動オブジェクト(すなわちターゲットオブジェクト201’)に対して特定のパラメータが注目を必要とする場合又は機能不良が検出された場合、上述のように関連付けられたオブジェクト識別子データが利用され、その相対位置を捉えてある可動オブジェクト201の画像データに相関させ、仮想ターゲット座標(u’、v’)を決定する。その後、仮想オーバーレイ301、301’がこの座標に対して表示され、迅速且つ直感的なメンテナンス又はプロセスモニタリングができるように、包装機200内のターゲットオブジェクト201’が位置する場所にユーザの注意を引き付け得る。
【0023】
図3aは、包装容器(不図示)を扱う複数の可動オブジェクト201、201’を有する包装機200のための仮想オーバーレイ301、301’を作成する関連する方法100のフローチャートを示す。方法100の工程の説明及び図示の順序は、限定されるものとして解釈されるべきではなく、工程が様々な順序で実行され得ることが考慮される。これにより、方法100は、可動オブジェクト201、201’を、包装機200において伝達された各オブジェクト識別子データに関連付ける工程101と、オブジェクト識別子データに基づき、包装機200の物理座標システム(x、y)において可動オブジェクト201、201’のうちのターゲットオブジェクト201’の相対位置を決定する工程102と、可動オブジェクト201、201’の少なくとも一部及び/又は定義された物理的参考物203を含む画像データを登録する工程103とを含む。方法100は、ユーザによって見られている少なくとも部分的に仮想である環境において、ターゲットオブジェクト201’の相対位置を仮想座標システム(u、v)に位置付けする工程104を含む。位置付けする工程104は、ターゲットオブジェクト201’の相対位置を画像データに相関させる工程105を含むため、ターゲットオブジェクト201’は、仮想座標システム(u、v)の仮想ターゲット座標(u’、v’)に割り当てられる106。方法100は、仮想オーバーレイ301、301’を仮想座標システム(u、v)においてターゲットオブジェクト201’の仮想ターゲット座標(u’、v’)に対して表示する工程107を含む。方法100は、このようにして、システム300及び図1~2について上述したような有利な利益を提供する。
【0024】
処理装置302は、可動オブジェクト201、201’が包装機200の経路202に沿って移動しているとき、ターゲットオブジェクト201’が前記経路202に沿って追跡されるようにターゲットオブジェクト201’の相対位置を画像データに相関させるように構成され得る。仮想ターゲット座標(u’、v’)は、このようにして、ターゲットオブジェクト201’の移動と共に連続的に更新され、仮想オーバーレイ301、301’は、仮想ターゲット座標(u’、v’)に対して表示されるようにこの移動を追ってもよい。オブジェクト識別子データは、包装機200の運転中、可動オブジェクト201が移動しているとき、処理装置302に連続的に伝達され、これによりターゲットオブジェクト201’の相対位置が更新される。画像装置303は、このように、移動しているオブジェクト201の画像データを連続して捉えるように構成されるため、一連の画像データは、包装機200において移動するターゲットオブジェクト201’及びその関連する仮想ターゲット座標(u’、v’)を同定するために相対位置のリアルタイム更新と比較される。表示装置304は、このため、仮想オーバーレイ301、301’の位置を、決定した仮想ターゲット座標(u’、v’)の瞬間的な位置に更新するように構成されてもよい。これは、包装機200のターゲットオブジェクト201’の追跡を、ターゲットオブジェクト201’を追跡し損なうリスクを最小限にした信頼性のある方法で提供し、これは、さもなければ可動オブジェクトの速度が過度に高く、可動オブジェクト201の形状がこのような包装機200において略同一であり得るため、従来の画像処理技術は、追跡プロセスのために連続的なオブジェクトの認識に依存することから、特別な課題となる。これにより、包装機200において移動するオブジェクト201の改善されたリアルタイムモニタリング、プロセスコントロール及びオンザフライ解析を提供し得る。
【0025】
図3bは、包装機200のための仮想オーバーレイ301、301’を作成する方法100のさらなるフローチャートを示す。方法100の工程の説明及び図示の順序は、限定されるものとして解釈されるべきではなく、工程が様々な順序で実行可能であることが考慮される。これにより、方法100は、可動オブジェクト201が包装機200の経路202に沿って移動しているとき、ターゲットオブジェクト201’が前記経路202に沿って追跡されるようにターゲットオブジェクト201’の相対位置を画像データに相関させる工程105’を含んでもよい。
【0026】
方法100は、このため、前記経路202に沿って移動しているとき、仮想オーバーレイ301、301’をターゲットオブジェクト201’の仮想ターゲット座標(u’、v’)に対して表示する工程107’も含む。
【0027】
表示装置304は、ターゲットオブジェクト201’及び/又は包装機200に関連付けられたプロセスパラメータの視覚インジケータ301’を含む仮想オーバーレイを表示するように構成されてもよい。プロセスパラメータの視覚インジケータ301’は、例えば、検査が要求される前の包装機200において完了している循環数、運転時間若しくは様々な診断情報又は電気的パラメータ若しくは機械的パラメータの状況を示し得るか、又は他のセンサデータ等を示し得る。視覚インジケータ301’は、例えば、図2に概略的に示すように、ターゲットオブジェクト201及びその仮想ターゲット座標(u’、v’)から一定の距離をおいて提示されてもよい。プロセスパラメータ等のいくつかの視覚インジケータ301’が表示装置304における表示のために仮想座標システム(u、v)に並べられ得る。様々なターゲットオブジェクト201’に関連付けられた複数の視覚インジケータ301’についても、同時に且つ/又は全体のプロセス又は包装機200に関連するパラメータを示す視覚インジケータ301’と組み合わせて表示されてもよい。
【0028】
仮想オーバーレイ301は、図1~2に概略的に示したように、ターゲットオブジェクト201’の外形の少なくとも一部の周りに表示された視覚ハイライト301を含んでもよい。ターゲットオブジェクト201’は、これにより、包装機200において容易に同定され得る。上述したように、視覚ハイライト301は、包装機200内で移動しているとき、ターゲットオブジェクト201’も追跡し得る。包装機200の複数の可動オブジェクト201のいくつかのターゲットオブジェクト201’は、同時に視覚ハイライト301によってマーク付けされ得る。視覚ハイライトは、例えば、いくつかのターゲットオブジェクト201’のうちのユーザの優先順位付けを容易にする目的でこのような例において色分けされ得ることが考えられる。例えば、視覚ハイライト301のある色は、ターゲットオブジェクト201’に重大な注意を引き付ける必要を連想させ、もう一方の色は、通常の運転状態を示し、さらに別の色は、中間の状態を示してもよい。
【0029】
方法100は、仮想オーバーレイ301、301’とのユーザインタラクションからユーザ入力を登録する工程108を含み得る。これにより、ユーザは、例えば、様々な表示パラメータをスクロールするか又は包装機200にコマンドを送るために仮想オーバーレイ301、301’の仮想要素に入力し得る。後者の場合、画像装置303は、仮想オーバーレイ301、301’の特定の仮想要素の近くでユーザジェスチャを検出し、ユーザ入力を登録し、続いて処理装置302を介して包装機200に入力を伝達するように構成され得る。これは、直感的且つ容易化されたプロセスコントロールを提供する。
【0030】
方法100は、ターゲットオブジェクト201’と近隣の可動オブジェクト201との物理座標システム(x、y)における相対位置を比較することにより、仮想座標システム(u、v)におけるターゲットオブジェクト201’の位置を決定する工程109を含んでもよい。別の可動オブジェクト201に対するターゲットオブジェクト201’の位置は、このように決定され得る。方法100は、近隣の可動オブジェクト201について登録された画像データに基づき、仮想座標システム(u、v)において近隣の可動オブジェクト201に割り当てられた仮想座標に対して、ターゲットオブジェクト201’の対応する相対位置を決定する工程110をさらに含んでもよい。これにより、ターゲットオブジェクト201’が包装機200において不明瞭であり、画像装置303がその画像データ捉えられない場合でも、ターゲットオブジェクトの仮想座標(u’、v’)を決定することが可能である。これは、近隣のオブジェクト201の画像データが不明瞭でなく捉えられ得るために可能であり、物理座標システム(x、y)における近隣のオブジェクト201の位置は、画像データを近隣のオブジェクト201の関連付けられたオブジェクト識別子データに相関させることにより決定され得る。ターゲットオブジェクト201’のオブジェクト識別子データに基づき、物理座標システム(x、y)におけるターゲットオブジェクト201’と近隣のオブジェクト201との間の相対位置が決定可能であるため、仮想座標システム(u、v)における対応する相対位置を決定可能であり、ターゲットオブジェクト201’がたとえ不明瞭であってもその仮想ターゲット座標(u’、v’)を付与することができる。関連付けられた仮想オーバーレイ301、301’は、その後、上述のように提示され、ユーザは、ターゲットオブジェクト201’が包装機200において位置する場所を見ることができる。言及した近隣のオブジェクト201は、包装機における可動オブジェクト201のいずれかに対応し得る。
【0031】
方法100は、各仮想座標に割り当てられた画像データにおける可動オブジェクト201、201’の位置をターゲットオブジェクト201’の相対位置と比較することにより、仮想ターゲット座標(u’、v’)を決定する工程106’を含んでもよい。画像装置303は、複数の可動オブジェクト201を検出し、各仮想座標は、その後、物理座標システム(x、y)のオブジェクト識別子データから決定されたターゲットオブジェクト201’の相対位置と比較される。ターゲットオブジェクト201’の相対位置に最も近く一致する仮想座標は、仮想ターゲット座標(u’、v’)として割り当てられる。これは、包装機200における仮想オーバーレイ301、301’の表示をさらに改善し得る。
【0032】
可動オブジェクト201、201’は、略同一の形状を有してもよい。異なる形状が存在し得るが、その差異は、ユーザが位置する場所で包装機から離れた位置から識別するのが難しい場合があり得る。このため、上に説明したように、方法100及びシステム300は、可動オブジェクト201、201’が、ユーザの位置から認識された同一の形状を有するかどうかに関係なく、仮想オーバーレイ301、301’の作成を提供する。
【0033】
画像装置303は、装着可能な眼鏡などの装着可能な表示装置を含んでもよい。表示装置304は、このような装着可能な画像装置303に組み込まれ得る。すなわち、装着可能な装置は、画像データを捉え、またユーザに仮想オーバーレイ301、301’を提示し得る。画像処理の性能への要求が軽減されることについて上に言及した利益は、上述のような安定した拡張現実体験を提供しつつ、それほど複雑でない画像装置を利用し得るため、包装機における拡張現実の実行をより少ない資源で提供する。
【0034】
プログラムがコンピュータによって実行されるとき、コンピュータに、図1~3について上述したような方法100の工程を実施させる命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0035】
図1~2について上述したようなシステム300を含む包装機200も提供される。包装機200は、これにより、システム300及び図1~2について上述したような有利な利益を提供する。
【0036】
言及したように、包装機200は、包装容器を扱う複数の可動オブジェクト201、201’を有する。包装機200は、このため、システム300であって、その中で仮想オーバーレイ301、301’を作成するシステム300を含む。システム300は、可動オブジェクト201、201’を、包装機200内で伝達された各オブジェクト識別子データに関連付ける101ように構成された処理装置302を含む。処理装置302は、オブジェクト識別子データに基づき、包装機200の物理座標システム(x、y)において可動オブジェクトのうちのターゲットオブジェクト201’の相対位置を決定する102ように構成される。システム300は、可動オブジェクト201、201’の少なくとも一部及び/又は定義された物理的参考物203を含む画像データを登録するように構成された画像装置303を含む。処理装置302は、ターゲットオブジェクト201’の相対位置を画像データに相関させる105ように構成されることにより、ユーザによって見られている少なくとも部分的に仮想である環境において、ターゲットオブジェクト201’の相対位置を仮想座標システム(u、v)に位置付けする104ように構成される。ターゲットオブジェクト201’は、仮想座標システムの仮想ターゲット座標(u’、v’)に割り当てられ106、表示装置304は、仮想オーバーレイ301、301’を仮想座標システム(u、v)においてターゲットオブジェクト201’の仮想ターゲット座標(u’、v’)に対して表示するように構成される。包装機200は、このように、システム300及び図1~2について上述したような有利な利益を提供する。
【0037】
本発明を特定の例を参照して上に説明した。しかし、上述以外の他の例が本発明の範囲内で同様に可能である。本発明の様々な特徴及び工程は、説明したもの以外の他の組み合わせで組み合わされ得る。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0038】
より一般的には、当業者は、本明細書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、物質及び構成が例示的なものであることを意味し、実際のパラメータ、寸法、物質及び/又は構成が、本発明の教示が使用される1つ又は複数の具体的な適用によって決まることを容易に理解するであろう。
図1
図2
図3a
図3b