(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】燃料集合体の検査方法および装置
(51)【国際特許分類】
G21C 17/06 20060101AFI20220802BHJP
G21C 17/10 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
G21C17/06 030
G21C17/10
(21)【出願番号】P 2020535576
(86)(22)【出願日】2018-11-05
(86)【国際出願番号】 US2018059140
(87)【国際公開番号】W WO2019133107
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-10-29
(32)【優先日】2017-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ポリドラ、ジェームス、ティー
(72)【発明者】
【氏名】ラゼスキ、ショーン、ディー
(72)【発明者】
【氏名】スリースマン、ジェフ、エイチ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0303189(US,A1)
【文献】特開2014-122794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 17/06
G21C 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済燃料プール(12)の下部のラック(14)内のセルに貯蔵された原子燃料集合体(16)を遠隔検査する方法であって、
当該使用済燃料プール(12)の外部に配置された処理装置(32)へ送信される出力(22)を有するカメラ(20)を、当該使用済燃料プール(12)内の当該ラック(14)の上方において、当該原子燃料集合体(16)が貯蔵された当該セルの上方に焦点を当てた状態で支持するステップと、
当該処理装置(32)へ送信される当該使用済燃料プール内における深度を表す出力(44)を有する圧力変換器(26)を、長い柄の付いた燃料集合体取扱ツール(18)に、当該燃料集合体(16)に固定される当該燃料集合体取扱ツール上のコネクタから上方に一定の距離離れたところで、かつ、当該燃料集合体取扱ツールによって当該燃料集合体が当該ラック(14)から実質的に完全に引き上げられたときに当該使用済燃料プール(12)内で冠水状態に保たれる当該燃料集合体取扱ツール上の点より低いところに、固定するステップと、
当該コネクタを当該燃料集合体(16)の上に降ろすステップと、
当該コネクタを当該燃料集合体(16)に固定するステップと、
当該カメラ(20)に、視界内にある当該燃料集合体の部分を記録させ、視界内にある当該燃料集合体の当該部分の画像を当該カメラ出力(22)の少なくとも一部として当該処理装置(32)へ送信させながら、当該燃料集合体(16)を当該燃料集合体取扱ツール(18)によって当該セルから引き上げるステップと、
当該処理装置(32)において、当該圧力変換器出力(44)を当該燃料集合体(16)上における当該画像の高さに相関させるステップと、
当該使用済燃料プール(12)から遠隔の場所(34)において、当該燃料集合体(16)の表象を、当該表象上の当該高さ位置に重ね合わせた当該燃料集合体の当該部分の画像と共に表示するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記引き上げるステップは、前記燃料集合体(16)を前記画像の上下幅にほぼ等しい高さ刻みで引き上げることを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項3】
前記燃料集合体(16)は複数の側面を有し、前記高さ刻みで引き上げる度に、前記燃料集合体取扱ツール(18)は、前記燃料集合体の引き上げを中断して、前記燃料集合体を回転させることにより、前記カメラ(20)に当該複数の側面のそれぞれの画像を撮影させることを特徴とする、請求項2の方法。
【請求項4】
前記側面の各々に対して個別のカメラ(20)が提供される、請求項3の方法。
【請求項5】
前記圧力変換器出力(44)は前記処理装置(32)へ無線で送信される、請求項1の方法。
【請求項6】
前記表示(34)を記録するステップを含む、請求項1の方法。
【請求項7】
前記ラック(14)に前記カメラ(20)を支持させるステップを含む、請求項1の方法。
【請求項8】
前記燃料集合体(16)の前記表象の少なくとも一部の特徴物を指示するラベルを生成し、当該ラベルを前記燃料集合体の前記表象上の対応する当該特徴物に付すステップを含む、請求項1の方法。
【請求項9】
前記相関ステップは、前記燃料集合体上の既知の高さ位置にある前記燃料集合体(16)の構成部品が前記カメラ(20)の視界内にあるときに前記圧力変換器(26)の出力をゼロにすることにより、前記燃料集合体からの前記圧力変換器の高さを補償することを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項10】
前記燃料集合体(16)の前記構成部品は上部ノズル(40)または下部ノズルのうちの一方である、請求項9の方法。
【請求項11】
使用済燃料プール(12)の下部のラック(14)内のセルに貯蔵された原子燃料集合体(16)を遠隔検査する装置(10)であって、
当該使用済燃料プール(12)内の当該ラック(14)の上方において、当該原子燃料集合体(16)が貯蔵された当該セルの上方に焦点を当てた状態で支持されるように構成され、視界内にある画像を表す出力(22)を当該使用済燃料プールの外部の場所へ送信するカメラ(20)と、
当該燃料集合体に固定されるコネクタを具備し、燃料集合体(16)を当該使用済燃料プール(12)の上方から当該ラック(14)の各セルに出し入れするように、また、当該燃料集合体を当該カメラ(20)に対して垂直方向に移動させることによって当該カメラに当該燃料集合体を垂直方向に走査させるように構成された燃料集合体取扱ツール(18)と、
当該コネクタから上方に一定の距離離れたところで、かつ、当該燃料集合体取扱ツールによって当該燃料集合体(16)が当該ラック(14)から実質的に完全に引き上げられたときに当該使用済燃料プール(12)内で冠水状態に保たれる当該燃料集合体取扱ツール上の点より低いところで当該燃料集合体取扱ツール(18)に取り付けられた圧力変換器(26)であって、当該圧力変換器の取り付け位置の高さの当該使用済燃料プール内における深度を表す出力(44)を当該使用済燃料プールの外部の場所へ送信する圧力変換器(26)と、
当該使用済燃料プール(12)の外部の場所に配置され、当該カメラ出力(22)および当該圧力変換器出力(44)を受信し、当該圧力変換器出力を当該燃料集合体(16)上の当該画像の高さに相関させ、当該使用済燃料プールの当該外部の場所(34)において、当該燃料集合体の表象を、当該表象上の当該高さ位置に重ね合わせた当該燃料集合体の画像と共に表示する処理装置(32)と
を含む装置(10)。
【請求項12】
前記燃料集合体(16)は複数の側面を有し、前記カメラは少なくとも1台が前記燃料集合体の各側面に焦点を当てた複数のカメラ(20)より成る、請求項11の装置。
【請求項13】
前記圧力変換器出力(44)を前記使用済燃料プール(12)の前記外部の場所(30)へ送信するように構成された無線送信器(24)を含む、請求項11の装置。
【請求項14】
作動されると前記燃料集合体(16)の前記表象の前記表示(34)を記録する記録装置を含む、請求項11の装置。
【請求項15】
作動されると前記燃料集合体(16)の前記表象の少なくとも一部の特徴物を指示するラベルを生成し、当該ラベルを前記燃料集合体の前記表象上の対応する当該特徴物に付す文字生成器を含む、請求項11の方法。
【請求項16】
液体(12)に浸された状態の対象物(16)を垂直方向に遠隔走査する方法であって、
センサ(20)を当該液体中の、当該対象物の走査対象部分が視界に入るところに位置決めするステップであって、当該センサは当該対象物上の所与の高さにある当該走査対象部分の画像の出力(22)を有し、当該出力(22)は遠隔場所(30)へ送信されることを特徴とするステップと、
圧力変換器(26)を、当該対象物の当該走査対象部分から既知の高さ位置において、当該対象物(16)または当該センサ(20)のうちの一方に取り付けるステップであって、当該圧力変換器は当該液体中の或る高さにおける圧力を表す出力(44)を有し、当該出力(44)は遠隔の場所(30)へ送信されることを特徴とするステップと、
当該対象物(16)または当該センサ(20)のうちの一方を垂直方向に移動することにより、当該センサによって当該対象物が垂直方向に走査されるようにするステップと、
当該圧力変換器出力(44)を当該対象物(16)上の当該画像の当該所与の高さに相関させるステップと、
当該燃料集合体(16)の表象を、当該表象上の当該高さ位置に重ね合わせた当該燃料集合体の画像と共に表示するスッテプと
を含む方法。
【請求項17】
当該圧力変換器出力(44)および当該センサ出力(22)のうちの少なくとも一方が無線で送信される、請求項16の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して原子燃料集合体の検査方法および装置に関し、具体的には、原子燃料集合体を水中で遠隔検査する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電業界には、原子炉に挿入したあと使用済燃料プール内で保管中の燃料集合体の検査を必要とする数々の理由がある。燃料集合体に検査が必要なのは、装荷時または取出し時における燃料集合体の損傷や燃料棒の漏洩、クラッドまたは腐食の有無をチェックするためや、他の数々の理由による。ほとんどの燃料取扱クレーンには位置読み出し装置が付いていないので、この仕事は厄介である。燃料移動オペレータは、クレーンに付いている目印をたよりに水中を見下ろして燃料集合体の位置をカウントし割り出す必要がある。多くの燃料を移動させたあと、燃料集合体を取り違えて移動させたり、燃料集合体を然るべき場所でないところへ挿入したりするようなミスが起きている可能性がある。それにもかかわらず、各燃料の履歴を追跡して説明することが100%可能なように、すべての燃料集合体を常時、指定された場所に配置することが不可欠である。この難しい問題を克服し、指定場所に配置された正しい燃料集合体が必ず検査対象となるように、SureTracシステムと呼ばれる燃料取扱クレーン用の位置読み出しシステムが開発された。SureTracシステムは完全な可搬性を備えたシステムであり、燃料取扱機に一時的に装着された2つの無線レーザー追跡装置と無線圧力センサとを用いてこの仕事を遂行する。これらの追跡装置は、X、Y、Z位置情報をラップトップコンピュータに送信し、当該ラップトップにこれらの情報を処理させる。
【0003】
SureTracのコンピュータソフトウェアは、実際の使用済燃料プールの表象である仮想的な使用済燃料プールを有する。燃料取扱クレーンが使用済燃料プールの燃料ラックの上方にあるとき、SureTracソフトウェアは、そのラックに自動的に焦点を合わせて、実際のセルの場所を表示する。英数字表記の燃料セルの位置が、無線リンクを介して電子ディスプレイへ送信される。位置のみのモードでは、現在の燃料セルの場所が電子ディスプレイ上に表示される。Z方向高さセンサが含まれる場合、オフロード、挿入シャッフルおよびリロードの各モードにおけるクレーンの移動がデータベースに保存される。オペレータの操作によりプログラムされたシーケンスから外れ始めると、可聴アラームが鳴ってエラーを警告する。
【0004】
SureTracシステムは、使用済燃料プールを保守点検するために、原子力発電所の燃料建屋内の燃料取扱クレーンに据え付けられており、クレーンフックの位置を追跡する。使用済燃料プールには、水深約20フィートのところに燃料集合体のラックが配置されている。SureTracシステムは、燃料取扱クレーンが現在真上にあるラックセルの場所を読み出す。距離レーザーがクレーンブリッジとトロリーの(X、Y)情報を取得し、この情報が無線データリンクを介してラップトップコンピュータへ送信される。コンピュータは、この情報を処理して英数字表記の位置情報を電子ディスプレイへ無線で送信する。電子ディスプレイは、燃料オペレータにフィードバック情報を提供する。
【0005】
SureTracシステムは、検査対象である燃料集合体の場所を正確に特定する上で大幅な改善をもたらしたが、検査員による検査を支援する装備は備えていない。検査員が実際に見ている光景を把握してそれを記録するのを支援する、さらなる改善が望まれる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、使用済燃料プールの下部のラック内のセルに貯蔵された原子燃料集合体を遠隔検査する方法および装置を提供することによって、前記の目的を達成する。当該方法では、カメラを、当該使用済燃料プール内の当該ラックの上方において、当該原子燃料集合体が貯蔵された当該セルの上方に焦点を当てた状態で支持する。当該カメラの出力は、当該使用済燃料プールの外部に配置された処理装置へ送信される。圧力変換器を、長い柄の付いた燃料集合体取扱ツールに取り付けるが、その取り付け個所は当該燃料集合体に固定される当該燃料集合体取扱ツール上のコネクタから上方に一定の距離離れたところで、かつ、当該燃料集合体取扱ツールによって当該燃料集合体が当該ラックから実質的に完全に引き上げられたときに当該使用済燃料プール内で冠水状態に保たれる当該燃料集合体取扱ツール上の点より低いところである。当該圧力変換器の出力は、当該圧力変換器の高さ位置の当該使用済燃料プール内における深度を表し、当該処理装置へ送信される。当該方法では、当該コネクタを燃料集合体の上に降ろし、当該燃料集合体に固定する。次いで、当該方法では、当該カメラに、視界内にある当該燃料集合体の部分を記録させ、視界内にある当該燃料集合体の当該部分の画像を当該カメラ出力の少なくとも一部として当該処理装置へ送信させながら、当該燃料集合体を当該燃料集合体取扱ツールによって当該セルから引き上げる。当該処理装置は、当該圧力変換器出力を当該燃料集合体上における当該カメラの視界内の当該画像の高さに相関させ、当該使用済燃料プールから遠隔の場所において、当該燃料集合体の表象を、当該表象上の当該高さ位置に重ね合わせた当該燃料集合体の当該部分の画像と共に表示する。
【0007】
当該引き上げるステップでは、前記燃料集合体を前記画像の上下幅にほぼ等しい高さ刻みで引き上げることが好ましい。一実施態様において、前記燃料集合体は複数の側面を有し、前記高さ刻みで引き上げる度に、当該燃料集合体取扱ツールは、当該燃料集合体の引き上げを中断して、当該燃料集合体を回転させることにより、当該カメラに当該複数の側面のそれぞれの画像を撮影させる。別案では、当該側面の各々に対して個別のカメラを提供する。当該カメラ出力および当該圧力変換器出力は当該処理装置へ無線で送信されるのが望ましい。そのような一実施態様において、当該カメラは当該ラックによって支持され、好ましくは、表示部へ送られる当該カメラ出力は記録される。当該方法は、当該燃料集合体の当該表象の少なくとも一部の特徴物を指示するラベルを生成し、当該ラベルを当該燃料集合体の当該表象上の対応する当該特徴物に付すステップをさらに含むことができる。
【0008】
本発明は、使用済燃料プールの下部のラック内のセルに貯蔵された原子燃料集合体を遠隔検査する装置も企図している。当該装置は、 当該使用済燃料プール内の当該ラックの上方において、当該原子燃料集合体が貯蔵された当該セルの上方に焦点を当てた状態で支持されるように構成されたカメラを含む。当該カメラの出力は、視界内にある画像を表し、当該使用済燃料プールの外部の場所へ送信される。当該装置はまた、燃料集合体を当該使用済燃料プールの上方から当該ラックの各セルに出し入れするように、また、当該燃料集合体を当該カメラに対して垂直方向に移動させることによって当該カメラに当該燃料集合体を垂直方向に走査させるように構成された燃料集合体取扱ツールを含む。当該燃料集合体取扱ツールは、その下端部に、当該燃料集合体に固定される構造のコネクタを有する。当該燃料集合体取扱ツールには、圧力変換器が、当該コネクタから上方に一定の距離離れたところで、かつ、当該燃料集合体取扱ツールによって当該燃料集合体が当該ラックから実質的に完全に引き上げられたときに当該使用済燃料プール内で冠水状態に保たれる当該燃料集合体取扱ツール上の点より低いところに取り付けられる。当該圧力変換器の出力は、当該圧力変換器の取り付け位置の高さの当該使用済燃料プール内における深度を表し、当該使用済燃料プールの外部の場所へ送信される。当該使用済燃料プールの外部の場所に処理装置が配置されている。当該処理装置は、当該カメラ出力および当該圧力変換器出力を受信し、当該圧力変換器出力を当該燃料集合体上の当該画像の高さに相関させ、当該使用済燃料プールの当該外部の場所において、当該燃料集合体の表象を、当該表象上の当該高さ位置に重ね合わせた当該燃料集合体の画像と共に表示する。
【0009】
一実施態様において、当該燃料集合体は複数の側面を有し、当該カメラは、少なくとも1台が当該燃料集合体の各側面に焦点を当てられた複数のカメラより成る。当該カメラ出力および当該圧力変換器出力を当該使用済燃料プールの外部の場所へ送信するように構成された無線送信器を設けるのが好ましい。当該装置はまた、作動されると当該燃料集合体の当該表象を記録する記録装置を含んでよい。さらに別の実施態様において、当該装置は、作動されると当該燃料集合体の当該表象の少なくとも一部の特徴物を指示するラベルを生成し、当該ラベルを当該燃料集合体の当該表象上の対応する当該特徴物に付す文字生成器を含む。
【0010】
本発明はまた、液体に浸された状態の対象物を垂直方向に遠隔走査する方法を企図する。当該方法は、センサを当該液体中の、当該対象物の走査対象部分が視界に入るところに位置決めするステップであって、当該センサは当該対象物上の所与の高さにある当該走査対象部分の画像の出力を有し、当該出力は遠隔の場所へ送信されることを特徴とするステップを含む。当該方法では、圧力変換器を、当該対象物の当該走査対象部分から既知の高さで、当該対象物または当該センサのうちの一方に取り付ける。当該圧力変換器は、当該液体中の或る高さにおける圧力を表す出力を有し、当該出力は遠隔の場所へ送信される。当該方法は、当該対象物または当該センサのうちの一方を垂直方向に移動させて、当該センサによって当該対象物が垂直方向に走査されるようにし、当該圧力変換器出力を当該対象物上の当該画像の当該所与の高さに相関させる。当該燃料集合体の表象を、当該遠隔の場所で、当該表象上の当該高さ位置に重ね合わせた当該燃料集合体の画像と共に表示させる。当該圧力変換器出力および当該センサ出力は無線で送信するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の詳細を、好ましい実施態様を例にとり、添付の図面を参照して以下に説明する。
【0012】
【
図1】使用済燃料プール内の使用済原子燃料集合体の検査に使用される本発明の装置の概略図である。
【0013】
【
図2】
図1に示す圧力センサアセンブリの側面図である。
【0014】
【
図3】
図2に破線で示す圧力センサアセンブリの内部構成部品の側面図である。
【0015】
【
図4】
図2に示す圧力センサアセンブリの外筒の側面図である。
【0016】
【
図5】
図2に示す外筒に圧力変換器アセンブリを取り付けるためのブラケットを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
燃料集合体の目視検査を行う際に、検査員は自分が燃料集合体のどの部分を見ているか常に追跡し把握することが重要である。現状では、検査員はこの情報を手動で追跡し、ビデオ記録上に入力する必要がある。この追跡と入力を行うステップは、燃料集合体の欠陥の有無をチェックする検査の主目的から検査員の気をそらしかねない。検査カメラによる燃料集合体の追跡およびカメラの視界内にある燃料集合体の場所の表示を自動的に行うシステムが望まれる。そのようなシステムがあれば、検査員は燃料集合体の構成要素の健全性のチェックに意識を集中できるので、目視検査が改善され、記録されるビデオ画像の的確さが増すことになる。
【0018】
本発明は、燃料洗浄時やSuretracシステムによる燃料移動時に使用済燃料プール内の燃料集合体の深度の追跡に現在使用されている、燃料取扱ツールに装着された圧力変換器を用いて、検査カメラの視界内にある燃料集合体の部分の相対的位置を割り出す。本発明は、圧力変換器の信号を、カメラの視界内の燃料集合体の高さ位置の表示に変換した後、その情報を燃料設計図に関連付けることにより、検査カメラの視界内の高さ位置と、カメラの視界内にありビデオ録画装置上に表示中の該当する燃料集合体の特徴物とを両方表示し記録する。このシステムは、燃料集合体の走査対象部分の表示を自動追跡することによって、燃料集合体の目視検査の品質および精度を向上させる。それによって燃料検査員の負担が減り、燃料の異常を探すことだけに注力できるようになる。このシステムはまた、燃料検査実施後に利用可能となるビデオ記録画像の品質を向上させる。
【0019】
図1は、使用済燃料プール12の中および周辺に配置された、本発明の一実施形態に基づく検査システム10の概略図である。燃料集合体は、使用済燃料プール12(水位を参照符号28で表す)の下部の水深20~30フィートに位置する使用済燃料ラック14のセル内に貯蔵される。ラック14上には、1台以上のビデオカメラ20が、検査対象の燃料集合体16を収容するセル38の上方に焦点を当てた状態で支持されている。燃料集合体の各側面を見るために、少なくとも1台のカメラ20を各側面に設けるのが好ましい。燃料取扱ツール18は、燃料集合体16の上部ノズル40の上に降ろされて、当該上部ノズルに固定される。次いで、使用済燃料取扱ツール18を、好ましくはカメラ20によって撮影される画像の上下幅を超えない距離刻みで、燃料集合体の全高が観察されるまで垂直に持ち上げる。代案として、燃料集合体の複数の側面を走査できるように、カメラ20を複数の側面の周りに延在するモータ駆動式プレート36の上に載置してもよい。
【0020】
圧力変換器26は、使用済燃料取扱ツール18に付けられたブラケット42により、水位28の下方だが燃料集合体16から上方に既知の距離離れたところに支持される。この距離は、燃料集合体全体がラック14から持ち上げられたときに、圧力変換器の圧力センサが冠水状態に保たれる距離である。圧力変換器の信号44は無線送信機24へ送られ、無線送信機24はこの信号を遠隔の場所の無線受信機30へ送信する。次に、受信された信号は遠隔の場所のプロセッサ32へ送信され、プロセッサ32は、燃料集合体16の既知の寸法、燃料集合体16からの圧力変換器26の相対的高さ、および圧力変換器信号44をもとに、この圧力変換器信号を、カメラ20のビデオ画像に映っている燃料集合体沿いの高さを特定する値に変換し、そのビデオ画像をディスプレイ34上で、プロセッサ32が発生する燃料集合体の表象に重ね合わせる。燃料集合体からの圧力変換器の相対的高さは、燃料集合体の最上部がカメラの視界に入ったときに圧力変換器信号をゼロにすることによって補償することができる。プロセッサ32内の文字生成器は、燃料集合体の表象に付加することができる、検査員が見ている燃料集合体の特徴物を識別するためのラベルを生成する。
【0021】
図2~5は、圧力センサアセンブリ26とその様々な構成部品をより詳細に示している。
【0022】
本発明の特定の実施態様について詳しく説明してきたが、当業者は、本開示書全体の教示するところに照らして、これら詳述した実施態様に対する種々の変更および代替への展開が可能である。例えば、燃料集合体を燃料ラックセルから完全に引き上げ、圧力変換器を取り付けたカメラをその燃料集合体をカバーするように垂直に移動させると、同様の結果を得ることができる。この場合、カメラを垂直方向に高さ刻みで移動させるたびに燃料集合体を回転させて、燃料集合体の全周が走査されるようにすればよい。また、本発明の方法の各ステップを若干異なる順序または方式で行っても、本発明の範囲から除外されることはないと理解されたい。例えば、燃料集合体の最下部がカメラの視界に入ったときに圧力変換器をゼロ調整して燃料集合体からの圧力変換器の高さを補償する場合や、圧力変換器を燃料集合体の直上に配置する場合が挙げられる。したがって、ここに開示した特定の実施態様は説明目的だけのものであり、本発明の範囲を何ら制約せず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に記載の全範囲およびその全ての均等物を包含する。