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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】電池トレイ及び動力電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/35 20210101AFI20220802BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20220802BHJP
   H01M 50/317 20210101ALI20220802BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20220802BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20220802BHJP
   H01M 50/271 20210101ALN20220802BHJP
   H01M 50/249 20210101ALN20220802BHJP
【FI】
H01M50/35 201
H01M50/367
H01M50/317 201
H01M50/204 401D
H01M50/289
H01M50/271 B
H01M50/249
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021538297
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 CN2019097479
(87)【国際公開番号】W WO2020134051
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】201811642602.1
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】任正▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼志佩
(72)【発明者】
【氏名】郭坤
(72)【発明者】
【氏名】彭青波
(72)【発明者】
【氏名】朱燕
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-004871(JP,A)
【文献】特表2018-527704(JP,A)
【文献】実開平02-138858(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイ本体を含む電池トレイ(100)であって、前記トレイ本体は、底板(10)、サイドビーム(20)及び複数の仕切り板(30)を含み、
前記サイドビーム(20)は、前記底板(10)の周囲に設置され、かつ、前記底板(10)と共に単電池(200)の収容空間を画定し、
前記仕切り板(30)は、前記底板(10)上に設置され、かつ前記底板(10)を、単電池(200)を配置するための複数の領域に仕切り、
前記仕切り板(30)の内部及び前記サイドビーム(20)の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ、両者のガス通路が互いに連通し、前記仕切り板(30)に複数の吸気孔(31)が設置され、前記サイドビーム(20)に少なくとも1つの排気孔が設置され、前記吸気孔(31)は単電池(200)から排出された火炎、煙又はガスを前記ガス通路に導入し、前記排気孔は前記ガス通路内の火炎、煙又はガスを排出する、
電池トレイ(100)。
【請求項2】
前記仕切り板(30)及び前記サイドビーム(20)は、中空構造を有し、前記中空構造は、前記ガス通路を構成する、
請求項1に記載の電池トレイ。
【請求項3】
前記底板(10)の内部にガス通路が形成され、前記仕切り板(30)の内部のガス通路は前記底板(10)の内部のガス通路と連通し、前記底板(10)の内部のガス通路は前記サイドビーム(20)の内部のガス通路と連通する、
請求項1又は2に記載の電池トレイ。
【請求項4】
前記仕切り板(30)、前記サイドビーム(20)及び前記底板(10)はいずれも前記ガス通路となる中空構造である、
請求項3に記載の電池トレイ。
【請求項5】
電池パック防爆弁(40)をさらに含み、前記排気孔は前記電池パック防爆弁(40)により閉塞される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の電池トレイ。
【請求項6】
煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つをさらに含み、前記煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つは、前記ガス通路内に設置される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の電池トレイ。
【請求項7】
トレイ本体を含む電池トレイ(100)であって、前記トレイ本体は、底板(10)、サイドビーム(20)及び複数の仕切り板(30)を含み、
前記サイドビーム(20)は、前記底板(10)の周囲に設置され、かつ前記底板(10)と共に単電池(200)の収容空間を画定し、
前記仕切り板(30)は、前記底板(10)上に設置され、かつ前記底板(10)を、単電池(200)を配置するための複数の領域に仕切り、
前記仕切り板(30)の内部及び前記底板(10)の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ、両者のガス通路が互いに連通し、前記仕切り板(30)に複数の吸気孔(31)が設置され、前記底板(10)に少なくとも1つの排気孔が設置され、前記吸気孔(31)は単電池(200)から排出された火炎、煙又はガスを前記ガス通路に導入し、前記排気孔は前記ガス通路内の火炎、煙又はガスを排出する、
電池トレイ(100)。
【請求項8】
前記仕切り板(30)及び前記底板(10)はいずれも中空構造であり、前記中空構造は、前記ガス通路を構成する、
請求項7に記載の電池トレイ。
【請求項9】
前記サイドビーム(20)の内部にガス通路が形成され、前記仕切り板(30)の内部のガス通路は、前記サイドビーム(20)の内部のガス通路と連通し、前記サイドビーム(20)の内部のガス通路は、前記底板(10)の内部のガス通路と連通する、
請求項7又は8に記載の電池トレイ。
【請求項10】
前記仕切り板(30)、前記サイドビーム(20)及び前記底板(10)はいずれも前記ガス通路となる中空構造である、
請求項9に記載の電池トレイ。
【請求項11】
電池パック防爆弁(40)をさらに含み、前記排気孔は前記電池パック防爆弁(40)により閉塞される、
請求項7~10のいずれか一項に記載の電池トレイ。
【請求項12】
煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つをさらに含み、前記煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つは、前記ガス通路内に設置される、
請求項7~10のいずれか一項に記載の電池トレイ。
【請求項13】
複数の単電池(200)、カバー板、及び、請求項1~12のいずれか一項に記載の電池トレイ(100)を含む動力電池パックであって、
前記カバー板は前記電池トレイ(100)に密封接続され、かつ前記複数の単電池(200)を収容する密閉空間を共に形成する、
動力電池パック。
【請求項14】
各単電池(200)は単電池防爆弁(201)を有し、前記吸気孔(31)と単電池防爆弁(201)とは、互いに対向して、かつ、一対一に対応して配置され、各単電池防爆弁(201)から排出された火炎、煙又はガスは、対応する吸気孔(31)を介して前記ガス通路に入り、
前記動力電池パックはガスケット(300)をさらに含み、前記ガスケット(300)は前記単電池(200)と前記仕切り板(30)との間に設置され、前記ガスケット(300)に貫通孔(301)が設置され、前記貫通孔(301)は前記吸気孔(31)と一対一に対応し、前記貫通孔(301)は、対応する吸気孔(31)と単電池防爆弁(201)との間に位置する、
請求項13に記載の動力電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディー カンパニー リミテッドが2018年12月29日に提出した、発明の名称が「電池トレイ、動力電池パック及び車両」の、中国特許出願第「201811642602.1」号の優先権を主張するものである。該中国特許出願の全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、電気自動車の分野に関し、具体的には、電池トレイ及び動力電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
動力電池パックは、エネルギー貯蔵装置として、ハイブリッド自動車及び電気自動車の中核部材である。動力電池パックは、主に複数の単電池、電池トレイ、カバー板で構成される。電池トレイは、自動車の底部に取り付けられ、カバー板は、電池トレイに密封接続され、かつ上記複数の単電池を収容する密閉空間を共に形成する。爆発事故の発生を防止するために、単電池には、通常、防爆弁構造が設置される。電池の使用過程において、内部の気圧がある程度大きくなると、防爆弁が開き、単電池の内部の火炎、煙又はガスが防爆弁により排出される。従来の技術において、単電池上の防爆弁が開いた後に、排出された火炎、煙又はガスは、電池パックの内部に蓄積され、タイムリーに排出することができず、電池に二次傷害を引き起こすか又は他の電池に影響を与えやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、単電池から排出された火炎、煙又はガスが電池パックの内部に蓄積することを効果的に防止することができる電池トレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本開示に係る電池トレイは、トレイ本体を含み、前記トレイ本体は、底板、サイドビーム及び複数の仕切り板を含み、前記サイドビームは、前記底板の周囲に設置され、かつ前記底板と共に単電池の収容空間を画定し、前記仕切り板は、前記底板上に設置され、かつ前記底板を、単電池を配置するための複数の領域に仕切り、前記仕切り板の内部及び前記サイドビームの内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ両者のガス通路が互いに連通し、前記仕切り板に複数の吸気孔が設置され、前記サイドビームに少なくとも1つの排気孔が設置され、前記吸気孔は単電池から排出された火炎、煙又はガスを前記ガス通路に導入し、前記排気孔は前記ガス通路内の火炎、煙又はガスを排出する。
【0006】
いくつかの実施例では、前記仕切り板及び前記サイドビームは、前記ガス通路となる中空構造である。
【0007】
いくつかの実施例では、前記底板の内部にガス通路が形成され、前記仕切り板の内部のガス通路は前記底板の内部のガス通路と連通し、前記底板の内部のガス通路は前記サイドビームの内部のガス通路と連通する。
【0008】
いくつかの実施例では、前記仕切り板、前記サイドビーム及び前記底板はいずれも前記ガス通路となる中空構造である。
【0009】
いくつかの実施例では、前記電池トレイは電池パック防爆弁をさらに含み、前記排気孔は前記電池パック防爆弁により閉塞される。
【0010】
いくつかの実施例では、前記電池トレイは、煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つをさらに含み、前記煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つは前記ガス通路内に設置される。
【0011】
また、本開示に係る電池トレイは、トレイ本体を含み、前記トレイ本体は、底板、サイドビーム及び複数の仕切り板を含み、前記サイドビームは、前記底板の周囲に設置され、かつ前記底板と共に単電池の収容空間を画定し、前記仕切り板は、前記底板上に設置され、かつ前記底板を、単電池を配置するための複数の領域に仕切り、前記仕切り板の内部及び前記底板の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ両者のガス通路が互いに連通し、前記仕切り板に複数の吸気孔が設置され、前記底板に少なくとも1つの排気孔が設置され、前記吸気孔は単電池から排出された火炎、煙又はガスを前記ガス通路に導入し、前記排気孔は前記ガス通路内の火炎、煙又はガスを排出する。
【0012】
いくつかの実施例では、前記仕切り板及び前記底板はいずれも前記ガス通路となる中空構造である。
【0013】
いくつかの実施例では、前記サイドビームの内部にガス通路が形成され、前記仕切り板の内部のガス通路は前記サイドビームの内部のガス通路と連通し、前記サイドビームの内部のガス通路は前記底板の内部のガス通路と連通する。
【0014】
いくつかの実施例では、前記仕切り板、前記サイドビーム及び前記底板はいずれも前記ガス通路となる中空構造である。
【0015】
いくつかの実施例では、前記電池トレイは電池パック防爆弁をさらに含み、前記排気孔は前記電池パック防爆弁により閉塞される。
【0016】
いくつかの実施例では、前記電池トレイは、煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つをさらに含み、前記煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つは前記ガス通路内に設置される。
【0017】
上記技術的解決手段により、ある単電池の内部の気圧が増大してその上の単電池防爆弁が開くと、単電池の内部の火炎、煙又はガスは、単電池の収容空間に入ることなく、直接的にトレイ本体の吸気孔を介してトレイ本体のガス通路内に入ることにより、該火炎、煙又はガスが電池に二次損傷を引き起こすか又は他の電池に影響を与えることを回避する。
【0018】
また、本開示に係る動力電池パックは、複数の単電池、カバー板及び上述したような電池トレイを含み、前記カバー板は前記電池トレイに密封接続され、かつ前記複数の単電池を収容する密閉空間を共に形成する。
【0019】
いくつかの実施例では、各単電池は単電池防爆弁を有し、前記吸気孔は単電池防爆弁に対向して設置されかつ一対一に対応することにより、各単電池防爆弁から排出された火炎、煙又はガスが対応する吸気孔を介して前記ガス通路に入り、前記動力電池パックはガスケットをさらに含み、前記ガスケットは前記単電池と前記仕切り板との間に設置され、前記ガスケットに貫通孔が設置され、前記貫通孔は前記吸気孔と一対一に対応し、前記貫通孔は、対応する吸気孔と単電池防爆弁との間に位置する。
【0020】
本開示の他の特徴及び利点については、以下の具体的な実施形態において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面は、本開示のさらなる理解を提供し、かつ明細書の一部を構成するものであり、以下の具体的な実施形態と共に本開示を説明するものであるが、本開示を限定するものではない。
【0022】
図1A】本開示の実施例に係る電池トレイの概略斜視図である。
図1B図1Aの電池トレイの平面図である。
図1C】電池モジュール、ガスケット及び図1Aの電池トレイにおける仕切り板の分解平面図である。
図1D】電池モジュール、ガスケット及び図1Aの電池トレイにおける仕切り板の分解斜視図である。
図2A】本開示の別の実施例に係る電池トレイの概略斜視図である。
図2B図2Aの電池トレイの概略斜視図であり、同時にガスケットを示す。
図2C図2Aの電池トレイの概略平面図であり、同時にガスケットを示す。
図2D図2Aの電池トレイと単電池の組み立て斜視図である。
図2E図2Aの電池トレイと単電池の組み立て平面図である。
図2F図2EのA-Aに沿った断面図である。
図3A】本開示の別の実施例に係る電池トレイの概略斜視図である。
図3B図3Aの電池トレイと単電池の組み立て斜視図である。
図3C図3Aの電池トレイと単電池の概略平面図である。
図3D図3CのB-Bに沿った断面図である。
図4A】本開示の別の実施例に係る電池トレイの概略斜視図である。
図4B図4Aの電池トレイの概略平面図である。
図4C図4BのC-Cに沿った断面図である。
図5】本開示の別の実施例に係る電池トレイの概略斜視図である。
図6】本開示の別の実施例に係る電池トレイの概略斜視図であり、吸気孔を示さない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本開示の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで記述した具体的な実施形態は、本開示を説明し解釈するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0024】
図1A図6に示すように、本開示の一態様によれば、電池トレイ100及び該電池トレイ100を有する動力電池パックを提供する。電池トレイ100の他に、該動力電池パックは、カバー板(図示せず)及び複数の単電池200をさらに含み、カバー板は、電池トレイ100に密封接続され、かつ上記複数の単電池200を収容する密閉空間を共に形成する。各単電池200は、単電池防爆弁201(図1Dを参照)を有する。上記電池トレイ100はトレイ本体を含み、該トレイ本体の少なくとも一部の内部にはガス通路が形成され、トレイ本体には、該ガス通路に連通する複数の吸気孔31及び少なくとも1つの排気孔が設置される。吸気孔31は、単電池防爆弁201に対向して設置されかつ一対一に対応し、各吸気孔31は、対応する単電池防爆弁201が開く時に単電池200の内部の火炎、煙又はガスをガス通路内に導入する。排気孔は、ガス通路と電池パックの外部空間とを連通させ、ガス通路内の火炎、煙又はガスを電池パックの外に排出する。単電池200の内部の気圧が増大してその上の単電池防爆弁201が開くと、単電池200の内部の火炎、煙又はガスは、単電池防爆弁201により単電池200から排出され、次に吸気孔31に押し寄せ、さらにガス通路の内部に入る。
【0025】
上記技術的解決手段により、ある単電池200の内部の気圧が増大してその上の単電池防爆弁201が開くと、単電池200の内部の火炎、煙又はガスは、トレイの内部の単電池200の収容空間に入ることなく、直接的にトレイ本体の吸気孔31を介してトレイ本体のガス通路内に入ることにより、該火炎、煙又はガスが電池に二次損傷を引き起こすか又は他の電池に影響を与えることを回避する。
【0026】
単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスが電池の収容空間内に漏れることを回避するために、いくつかの実施例では、図1C図1D図2B図2C図3Dに示すように、上記動力電池パックは、ガスケット300をさらに含み、該ガスケット300は、単電池200とトレイ本体との間に設置され、かつ難燃性能及び一定の圧縮性を備え、ガスケット300には複数の貫通孔301が設置され、貫通孔301はトレイ本体の吸気孔31と一対一に対応し、各貫通孔301は、対応する吸気孔31と単電池防爆弁201との間に位置する。単電池200とトレイ本体との押圧により、ガスケット300は、吸気孔31の周りに密封を形成し、火炎、煙又はガスが電池の収容空間に漏れることを防止する。
【0027】
外部の塵埃及び水が排気孔及びガス通路を通って電池の収容空間内に入ることを防止するために、いくつかの実施例では、図1A図1B図2A図2E図3A図3C図4C図5図6に示すように、電池トレイ100は電池パック防爆弁40をさらに含み、電池パック防爆弁40は排気孔に取り付けられ、電池パック防爆弁40により排気孔を閉塞する。単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは吸気孔31を通ってガス通路内に入って蓄積され、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスを排出する。ここで、電池パック防爆弁40及び単電池防爆弁201はいずれも当業者がよく知られているものであり、ここでそれらの構造及び動作原理については説明を省略する。
【0028】
本開示において、電池トレイ100は、任意の適切な構造を有してよく、本開示はこれを限定しない。以下に電池トレイ100のいくつかの実施例を具体的に説明する。これらの実施例は、本開示を説明し解釈するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0029】
第1の実施例では、図1A図1Dに示すように、トレイ本体は、底板10、サイドビーム20及び複数の仕切り板30を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、仕切り板30は底板10上に設置され、仕切り板30は底板10を、単電池200を配置するための複数の領域に仕切り、仕切り板30の内部及びサイドビーム20の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ両者のガス通路が互いに連通し、吸気孔31は仕切り板30に設置され、排気孔はサイドビーム20に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、仕切り板30の吸気孔31を通って仕切り板30の内部のガス通路に入り、さらに仕切り板30の内部のガス通路からサイドビーム20の内部のガス通路に拡散し、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、サイドビーム20の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0030】
第1の実施例では、図1C図1Dに示すように、複数の単電池200は電池モジュールを構成し、ガスケット300は電池モジュールと仕切り板30との間に設置され、各ガスケット300に複数の貫通孔301が設置され、貫通孔301は仕切り板30の吸気孔31と一対一に対応し、各貫通孔301は、対応する吸気孔31と単電池防爆弁201との間に位置する。
【0031】
第2の実施例では、図4A図4Cに示すように、トレイ本体は、底板10、サイドビーム20及び複数の仕切り板30を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、仕切り板30は底板10に設置され、仕切り板30は底板10を、単電池200を配置するための複数の領域に仕切り、仕切り板30の内部及び底板10の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ両者のガス通路が互いに連通し、吸気孔31は仕切り板30に設置され、排気孔は底板10に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、仕切り板30の吸気孔31を通って仕切り板30の内部のガス通路に入り、さらに仕切り板30の内部のガス通路から底板10の内部のガス通路に拡散し、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、底板10の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0032】
電池パックの上部が乗客室に面し、第2の実施例では、排気孔が底板10に設置されるため、ガス通路内のガスが下向きに排出され、より安全である。
【0033】
第3の実施例では、トレイ本体は、底板10、サイドビーム20及び複数の仕切り板30を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、仕切り板30は底板10上に設置され、仕切り板30は底板10を、単電池200を配置するための複数の領域に仕切り、仕切り板30の内部及びサイドビーム20の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ両者のガス通路が互いに連通し、一部の吸気孔31は仕切り板30に設置され、他の部分の吸気孔31はサイドビーム20に設置され、排気孔はサイドビーム20に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、仕切り板30の吸気孔31を通って仕切り板30の内部のガス通路に入るか、又はサイドビーム20の吸気孔31を通ってサイドビーム20の内部のガス通路に入り、もちろん、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、上記2種類の方式で同時にガス通路内に入ってもよく、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、サイドビーム20の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0034】
第4の実施例では、トレイ本体は、底板10、サイドビーム20及び複数の仕切り板30を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、仕切り板30は底板10上に設置され、仕切り板30は底板10を、単電池200を配置するための複数の領域に仕切り、仕切り板30の内部及び底板10の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ両者のガス通路が互いに連通し、一部の吸気孔31は仕切り板30に設置され、他の部分の吸気孔31は底板10に設置され、排気孔は底板10に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、仕切り板30の吸気孔31を通って仕切り板30の内部のガス通路に入るか、又は底板10の吸気孔31を通って底板10の内部のガス通路に入り、もちろん、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、上記2種類の方式で同時にガス通路内に入ってもよく、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、底板10の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0035】
電池パックの上部が乗客室に面し、第4の実施例では、排気孔が底板10に設置されるため、ガス通路内のガスが下向きに排出され、より安全である。
【0036】
第5の実施例では、トレイ本体は、底板10、サイドビーム20及び複数の仕切り板30を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、仕切り板30は底板10上に設置され、仕切り板30は底板10を、単電池200を配置するための複数の領域に仕切り、仕切り板30の内部、サイドビーム20の内部及び底板10の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ三者のガス通路が互いに連通し、一部の吸気孔31は仕切り板30に設置され、一部の吸気孔31はサイドビーム20に設置され、さらに一部の吸気孔31は底板10に設置され、排気孔はサイドビーム20に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、仕切り板30の吸気孔31を通って仕切り板30の内部のガス通路に入るか、又は底板10の吸気孔31を通って底板10の内部のガス通路に入るか、又はサイドビーム20の吸気孔31を通ってサイドビーム20の内部のガス通路に入ってよく、もちろん、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、上記3種類の方式のうちの少なくとも2種類の方式でガス通路内に入ってもよく、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、サイドビーム20の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0037】
第6の実施例では、トレイ本体は、底板10、サイドビーム20及び複数の仕切り板30を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、仕切り板30は底板10上に設置され、仕切り板30は底板10を、単電池200を配置するための複数の領域に仕切り、仕切り板30の内部、サイドビーム20の内部及び底板10の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ三者のガス通路が互いに連通し、一部の吸気孔31は仕切り板30に設置され、一部の吸気孔31はサイドビーム20に設置され、さらに一部の吸気孔31は底板10に設置され、排気孔は底板10に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、仕切り板30の吸気孔31を通って仕切り板30の内部のガス通路に入るか、又は底板10の吸気孔31を通って底板10の内部のガス通路に入るか、又はサイドビーム20の吸気孔31を通ってサイドビーム20の内部のガス通路に入り、もちろん、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、上記3種類の方式のうちの少なくとも2種類の方式でガス通路内に入ってもよく、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、底板10の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0038】
電池パックの上部が乗客室に面し、第6の実施例では、排気孔が底板10に設置されるため、ガス通路内のガスが下向きに排出され、より安全である。
【0039】
第7の実施例では、トレイ本体は、底板10、サイドビーム20及び複数の仕切り板30を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、仕切り板30は底板10上に設置され、仕切り板30は底板10を、単電池200を配置するための複数の領域に仕切り、仕切り板30の内部、サイドビーム20の内部及び底板10の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ三者のガス通路が互いに連通し、一部の吸気孔31は仕切り板30に設置され、一部の吸気孔31はサイドビーム20に設置され、さらに一部の吸気孔31は底板10に設置され、一部の排気孔はサイドビーム20に設置され、他の一部の排気孔は底板10に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、仕切り板30の吸気孔31を通って仕切り板30の内部のガス通路に入るか、又は底板10の吸気孔31を通って底板10の内部のガス通路に入るか、又はサイドビーム20の吸気孔31を通ってサイドビーム20の内部のガス通路に入り、もちろん、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、上記3種類の方式のうちの少なくとも2種類の方式でガス通路内に入ってもよく、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、底板10及びサイドビーム20のうちの少なくとも一方の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0040】
第8の実施例では、トレイ本体は、底板10、サイドビーム20及び複数の仕切り板30を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、仕切り板30は底板10上に設置され、仕切り板30は底板10を、単電池200を配置するための複数の領域に仕切り、仕切り板30の内部、サイドビーム20の内部及び底板10の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ三者のガス通路が互いに連通し、吸気孔31は仕切り板30に設置され、一部の排気孔はサイドビーム20に設置され、他の一部の排気孔は底板10に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、仕切り板30の吸気孔31を通って仕切り板30の内部のガス通路に入り、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、底板10及びサイドビーム20のうちの少なくとも一方の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0041】
第9の実施例では、トレイ本体は、底板10、サイドビーム20及び複数の仕切り板30を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、仕切り板30は底板10上に設置され、仕切り板30は底板10を、単電池200を配置するための複数の領域に仕切り、仕切り板30の内部、サイドビーム20の内部及び底板10の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ三者のガス通路が互いに連通し、一部の吸気孔31は仕切り板30に設置され、他の一部の吸気孔31はサイドビーム20に設置され、一部の排気孔はサイドビーム20に設置され、他の一部の排気孔は底板10に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、仕切り板30の吸気孔31を通って仕切り板30の内部のガス通路に入るか、又はサイドビーム20の吸気孔31を通ってサイドビーム20の内部のガス通路に入り、もちろん、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、上記2種類の方式で同時にガス通路に入ってもよく、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、底板10及びサイドビーム20のうちの少なくとも一方の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0042】
第10の実施例では、トレイ本体は、底板10、サイドビーム20及び複数の仕切り板30を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、仕切り板30は底板10上に設置され、仕切り板30は底板10を、単電池200を配置するための複数の領域に仕切り、仕切り板30の内部、サイドビーム20の内部及び底板10の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ三者のガス通路が互いに連通し、一部の吸気孔31は仕切り板30に設置され、他の一部の吸気孔31は底板10に設置され、一部の排気孔はサイドビーム20に設置され、他の一部の排気孔は底板10に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、仕切り板30の吸気孔31を通って仕切り板30の内部のガス通路に入るか、又は底板10の吸気孔31を通って底板10の内部のガス通路に入り、もちろん、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、上記2種類の方式で同時にガス通路に入ってもよく、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、底板10及びサイドビーム20のうちの少なくとも一方の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0043】
第11の実施例では、トレイ本体は、底板10、サイドビーム20及び複数の仕切り板30を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、仕切り板30は底板10上に設置され、仕切り板30は底板10を、単電池200を配置するための複数の領域に仕切り、仕切り板30の内部、サイドビーム20の内部及び底板10の内部にはいずれもガス通路が形成され、上記仕切り板30の内部のガス通路は上記サイドビーム20の内部のガス通路と連通し、上記サイドビーム20の内部のガス通路は上記底板10の内部のガス通路と連通し、上記仕切り板30の内部のガス通路は上記サイドビーム20の内部のガス通路を介して上記底板10の内部のガス通路に連通し、上記吸気孔31は上記仕切り板30に設置され、上記排気孔は上記底板10に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、仕切り板30の吸気孔31を通って仕切り板30の内部のガス通路に入り、そして仕切り板30の内部のガス通路からサイドビーム20の内部のガス通路に拡散し、さらにサイドビーム20の内部のガス通路から底板10の内部のガス通路に拡散し、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、底板10の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0044】
第12の実施例では、トレイ本体は、底板10、サイドビーム20及び複数の仕切り板30を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、仕切り板30は底板10上に設置され、仕切り板30は底板10を、単電池200を配置するための複数の領域に仕切り、仕切り板30の内部、サイドビーム20の内部及び底板10の内部にはいずれもガス通路が形成され、上記仕切り板30の内部のガス通路は上記底板10の内部のガス通路と貫通し、上記底板10の内部のガス通路は上記サイドビーム20の内部のガス通路と連通し、上記仕切り板30の内部のガス通路は底板10の内部のガス通路を介して上記サイドビーム20の内部のガス通路に連通し、上記吸気孔31は上記仕切り板30に設置され、上記排気孔は上記サイドビーム20に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、仕切り板30の吸気孔31を通って仕切り板30の内部のガス通路に入り、そして仕切り板30の内部のガス通路から底板10の内部のガス通路に拡散し、さらに底板10の内部のガス通路からサイドビーム20の内部のガス通路に拡散し、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、サイドビーム20の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0045】
第13の実施例では、図3A図3Dに示すように、トレイ本体は、底板10及びサイドビーム20を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、サイドビーム20の内部にはガス通路が形成され、吸気孔31及び排気孔はいずれもサイドビーム20に設置される。このような実施例では、ガス通路はサイドビーム20内に形成され、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスはサイドビーム20の吸気孔31を通ってサイドビーム20の内部のガス通路に入り、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、サイドビーム20の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0046】
第13の実施例では、図3Dに示すように、複数の単電池200は電池モジュールを構成し、ガスケット300は電池モジュールとサイドビーム20との間に設置され、各ガスケット300に複数の貫通孔301が設置され、貫通孔301はサイドビーム20の吸気孔31と一対一に対応し、各貫通孔301は、対応する吸気孔31と単電池防爆弁201との間に位置する。
【0047】
単電池200が熱暴走すると、一般的に非常に短い時間内に数十リットルひいては百リットルの煙又はガスを生成する。第13の実施例では、吸気孔31及び排気孔をいずれもサイドビーム20に設置して、排気経路がより短くなることにより、煙又はガスをより迅速に排出し、電池パックの安全性を向上させる。
【0048】
第14の実施例では、図2A図2Fに示すように、トレイ本体は、底板10及びサイドビーム20を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、底板10の内部にはガス通路が形成され、吸気孔31及び排気孔はいずれも底板10に設置される。このような実施例では、ガス通路は底板10内に形成され、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは底板10の吸気孔31を通って底板10の内部のガス通路に入り、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、底板10の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0049】
第14の実施例では、図2B図2Cに示すように、複数の単電池200は電池モジュールを構成し、ガスケット300は電池モジュールとサイドビーム20との間に設置され、各ガスケット300に複数の貫通孔301が設置され、貫通孔301は底板10の吸気孔31と一対一に対応し、各貫通孔301は、対応する吸気孔31と単電池防爆弁201との間に位置する。
【0050】
単電池200が熱暴走すると、一般的に非常に短い時間内に数十リットルひいては百リットルの煙又はガスを生成する。第14の実施例では、吸気孔31及び排気孔をいずれも底板10に設置して、排気経路がより短くなることにより、煙又はガスをより迅速に排出し、電池パックの安全性を向上させる。
【0051】
電池パックの上部が乗客室に面し、第14の実施例では、排気孔が底板10に設置されるため、ガス通路内のガスが下向きに排出され、より安全である。
【0052】
第15の実施例では、図5に示すように、トレイ本体は、底板10及びサイドビーム20を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、サイドビーム20の内部及び底板10の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ両者のガス通路が互いに連通し、吸気孔31は底板10に設置され、排気孔はサイドビーム20に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、底板10の吸気孔31を通って底板10の内部のガス通路に入り、さらに底板10の内部のガス通路からサイドビーム20の内部のガス通路に拡散し、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、サイドビーム20の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0053】
第16の実施例では、トレイ本体は、底板10及びサイドビーム20を含み、サイドビーム20は、底板10の周囲に設置され、かつ底板10と共に電池の収容空間を画定し、サイドビーム20の内部及び底板10の内部にはいずれもガス通路が形成され、かつ両者のガス通路が互いに連通し、吸気孔31はサイドビーム20に設置され、排気孔は底板10に設置される。このような実施例では、単電池防爆弁201から排出された火炎、煙又はガスは、サイドビーム20の吸気孔31を通ってサイドビーム20の内部のガス通路に入り、さらにサイドビーム20の内部のガス通路から底板10の内部のガス通路に拡散し、ガス通路内の気圧が一定の値に達すると、底板10の電池パック防爆弁40は開き、ガス通路内に蓄積された火炎、煙又はガスは電池パック防爆弁40により電池パックの外に排出される。
【0054】
本開示では、電池トレイ100は、矩形であり、矩形の底板10及び底板10の周囲に設置されたサイドビーム20を含でんよい。サイドビーム20は、底板10と一体構造に製造されてもよく、分割構造であってもよく、例えば、底板の周囲に溶接又は他のプロセスによりサイドビーム20を取り付ける。サイドビーム20は、一体構造であってよく、4本のサイドビーム20を首尾溶接して形成されてもよく、他のプロセスにより接続されて形成されてもよい。仕切り板30は、底板10と一体構造に製造されてもよく、分割構造であってもよく、例えば、底板10に溶接又は他のプロセスにより仕切り板30を接続する。
【0055】
上記第1~第12の実施例では、電池トレイ100の内部にはいずれも仕切り板30が設置され、仕切り板30は電池トレイ100を補強するためのものであり、少なくとも一部の吸気孔31は仕切り板30に設置される。上記第13~第16の実施例では、電池トレイの内部に仕切り板が設置されるか否かは特に限定されず、電池トレイの内部に仕切り板30を設置しなくてもよく、吸気孔31は、サイドビーム20及び底板10のうちの少なくとも一方に直接設置されてもよい。
【0056】
上記第1~第12の実施例では、仕切り板30は、任意の適切な配置方式で電池トレイ内に配列でき、本開示はこれを限定しない。いくつかの実施例では、図1A及び図1Bに示すように、仕切り板30は互いに平行でかつ互いに間隔を隔てて設置され、仕切り板30は底板10に垂直であり、仕切り板30の両端はサイドビーム20に接続されてよい。いくつかの実施例では、図6に示すように、仕切り板30は、トレイ本体の長さ方向に沿って延びる1つ以上の縦方向仕切り板31とトレイ本体の幅方向に沿って延びる1つ以上の横方向仕切り板32を含んでよく、縦方向仕切り板31と横方向仕切り板32は交差して配置され、縦方向仕切り板31の両端はサイドビーム20に接続され、横方向仕切り板32の両端はサイドビーム20に接続される。
【0057】
本開示では、トレイ本体の内部に形成されたガス通路は、単電池200から排出された火炎、煙又はガスを受け入れて貯蔵し、全ての単電池200から排出された煙及びガスはいずれも対応する吸気孔31を通ってガス通路に入ることができ、電池パック防爆弁40はガス通路の排気を制御する。
【0058】
本開示はガス通路の個数を限定せず、1つの単電池200が1つのガス通路に対応してもよく、複数の単電池200が1つのガス通路を共用してもよい。
【0059】
上記第1の実施例では、サイドビーム20の内部に1つのガス通路のみが形成され、該ガス通路が各仕切り板30の内部のガス通路のそれぞれと連通してもよく、サイドビーム20の内部に互いに独立した複数のガス通路が形成され、各仕切り板30の内部のガス通路がサイドビーム20の内部の対応するガス通路とのみ連通してもよい。
【0060】
上記第2の実施例では、底板10の内部に1つのガス通路のみが形成され、該ガス通路が各仕切り板30の内部のガス通路のそれぞれと連通してよもく、底板10の内部に互いに独立した複数のガス通路が形成され、各仕切り板30の内部のガス通路が底板10の内部の対応するガス通路とのみ連通してもよい。
【0061】
上記第13の実施例では、サイドビーム20の内部に1つのガス通路のみが形成され、全ての単電池200が該ガス通路を共用し、すなわち、全ての吸気孔31及び排気孔がいずれも該ガス通路に連通してもよく、サイドビーム20の内部に互いに独立した複数のガス通路が形成され、各ガス通路が複数の単電池200に対応し、すなわち、各ガス通路が複数の吸気孔31及び少なくとも1つの排気孔を有してもよく、サイドビーム20の内部に互いに独立した複数のガス通路が形成され、各ガス通路が1つの単電池200に対応し、すなわち、各ガス通路が1つの吸気孔31及び1つの排気孔を有してもよい。
【0062】
上記第14の実施例では、底板10の内部に1つのガス通路のみが形成され、全ての単電池200が該ガス通路を共用し、すなわち、全ての吸気孔31及び排気孔がいずれも該ガス通路に連通してもよく、底板10の内部に互いに独立した複数のガス通路が形成され、各ガス通路が複数の単電池200に対応し、すなわち、各ガス通路が複数の吸気孔31及び少なくとも1つの排気孔を有してもよく、底板10の内部に互いに独立した複数のガス通路が形成され、各ガス通路が1つの単電池200に対応し、すなわち、各ガス通路が1つの吸気孔31及び1つの排気孔を有してもよい。
【0063】
本開示では、いくつかの実施例では、各ガス通路は複数の単電池200に対応し、つまり、複数の単電池200は1つのガス通路を共用することができ、このように排気孔及び電池パック防爆弁40の数を減少させて、排気孔の数及び電池パック防爆弁40の数を吸気孔31の数より小さくすることにより、トレイ本体の加工難度を低下させ、必要な電池パック防爆弁40の数を減少させ、製造コストを低減することができる。具体的には、電池パック防爆弁40の数は、1つ、2つ、3つ以上であってよく、本開示はこれを限定しない。
【0064】
上記第1及び第2の実施例では、図1C及び図1Dに示すように、ガスケット300は、数が仕切り板30の数と等しく、かつ仕切り板30と一対一に対応し、各ガスケット300は、対応する仕切り板30と単電池200との間に設置されてもよく、ガスケット300は一体成形されてもよく、別体で設置されてもよく、いくつかの実施例では、異なる数の単電池200を有する電池モジュールと組み合わせて使用することを容易にするために、ガスケットは別体で設置され、本願では、ガスケットの材料は特に限定されず、具体的には、ポリウレタン発泡材料、シルカゲルフォーム、難燃性ポリプロピレン発泡材料のうちの1種又は複数種の組み合わせであってよい。
【0065】
本開示では、図1Bに示すように、サイドビーム20の上縁に複数の第1の取り付け孔21が設置され、ボルトが第1の取り付け孔21に通されかつカバー板に接続されることにより、サイドビーム20とカバー板との接続を実現することができる。上記第1~第5の実施例では、図1Bに示すように、仕切り板30の上縁はサイドビーム20の上縁と面一であってよく、仕切り板30の上縁に第2の取り付け孔32が設置され、ボルトが第2の取り付け孔32に通されかつカバー板に接続されることにより、仕切り板30とカバー板との接続を実現することができる。
【0066】
本開示では、図1Bに示すように、サイドビーム20の外側に1つ以上の取り付けブロック50が設置され、取り付けブロック50に1つ以上の第3の取り付け孔51が設置され、ボルトが第3の取り付け孔51に通されかつ車両の底部に接続されることにより、電池トレイ100を車両の底部に固定することができる。
【0067】
従来の技術において、電池トレイ内に煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つが設置され、煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つの位置から相対的に遠いある単電池200には熱暴走により防爆弁が開き、ガス又は煙を放出する場合、トレイの体積が大きいため、放出されたガス又は煙が電池トレイの内部に拡散して希釈され、煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つは排出されたガス又は煙をタイムリーに検出することができない可能性があり、感度が低下し、本開示では、電池トレイ100のガス通路内に煙センサー又はガスセンサー(図示せず)を設置することができ、ガス通路の空間が電池トレイの体積に対して明らかに小さく、かつガス通路が対応する煙又はガスを所定の方向に沿って排出するため、単電池防爆弁201が開くと、煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つは対応する煙又はガスを感知し、煙センサー又はガスセンサーは信号を車両制御システムにフィードバックし、運転者に反応を行うように注意するか、又は電池パックのガス消火難燃などの動作を起動し、電池パックの安全性を向上させ、本開示は、煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つのガス通路の内部での設置位置と、煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つの設置数とを特に限定せず、いくつかの実施例では、煙センサー及びガスセンサーのうちの少なくとも1つが排気孔の位置に隣接して設置されると、対応するガス又は煙をより敏感に検出することができる。
【0068】
本開示の別の態様に係る車両は、上述したような動力電池パックを含む。
【0069】
以上、図面を参照しながら本開示の実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記実施形態の具体的な内容に限定されるものではなく、本開示の技術的思想の範囲内に、本開示の技術的解決手段に対して複数の簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更がいずれも本開示の保護範囲に属する。
【0070】
また、上記具体的な実施形態で説明した各具体的な技術的特徴は、矛盾しない限り、任意の適切な形態で組み合わせることが可能である。不要な重複を回避するために、本開示は、可能なあらゆる組み合わせ方式を別途に説明しない。
【0071】
また、本開示の様々な実施形態は、任意に組み合わせることができ、本開示の思想から逸脱しない限り、同様に本開示に開示されている内容と見なすべきである。
【符号の説明】
【0072】
100 電池トレイ 10 底板
20 サイドビーム 21 第1の取り付け孔
30 仕切り板 31 吸気孔
32 第2の取り付け孔 40 電池パック防爆弁
50 取り付けブロック 51 第3の取り付け孔
200 単電池 201 単電池防爆弁
300 ガスケット 301 貫通孔。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5
図6