(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】アンテナ基板
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
H01Q13/08
(21)【出願番号】P 2022052340
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2022-04-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雄大
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-526748(JP,A)
【文献】国際公開第2020/127854(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/199549(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00- 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのアンテナと、
厚み方向において前記アンテナと間隔をあけて配されたグランド部材と、
前記厚み方向において前記アンテナと前記グランド部材との間に位置する少なくとも一つの給電線層と、を備え、
前記少なくとも一つの給電線層の各々には、前記グランド部材と電気的に接続された中間グランド部材と、給電線路と、が配置され、
前記中間グランド部材には、前記厚み方向に直交する方向に延びる励振スリットと、前記励振スリットが延びる方向および前記厚み方向の双方に直交する方向に延びる線路スリットと、が形成されており、
前記少なくとも一つの給電線層の各々について、前記給電線路は、前記線路スリットの内部に位置しており、
前記少なくとも一つの給電線層の各々について、前記励振スリットは、前記厚み方向から見て前記給電線路と交差するように延びている、アンテナ基板。
【請求項2】
前記少なくとも一つの給電線層の各々について、前記励振スリットは、前記中間グランド部材を貫通するように延びている、請求項1に記載のアンテナ基板。
【請求項3】
前記少なくとも一つの給電線層の各々について、前記線路スリットは、前記中間グランド部材を貫通するように延びている、請求項1または2に記載のアンテナ基板。
【請求項4】
2つ以上の前記給電線層を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ基板。
【請求項5】
前記少なくとも一つのアンテナのうち、前記厚み方向において前記グランド部材に最も近いアンテナを最下アンテナと称し、
前記少なくとも一つの給電線層のうち、前記厚み方向において前記グランド部材から最も離れた給電線層を最上給電線層と称するとき、
前記厚み方向における前記最下アンテナと前記最上給電線層との間の距離は、前記厚み方向における前記最上給電線層と前記グランド部材との間の距離よりも長い、請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ基板。
【請求項6】
前記少なくとも一つの給電線層の各々について、前記給電線路と前記中間グランド部材との間の距離は、前記厚み方向における前記給電線層と前記グランド部材との間の距離よりも短い、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナ基板。
【請求項7】
前記給電線路に電流を供給する給電素子と、
前記給電素子と前記給電線路とを電気的に接続する配線経路と、
配線層と、をさらに備え、
前記グランド部材は、前記厚み方向において前記配線層と前記給電線層との間に位置するように配されており、
前記配線経路の少なくとも一部は、前記配線層に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のアンテナ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アンテナと、給電線層と、グランド部材と、を備えるアンテナ基板が開示されている。グランド部材には、スリットが形成されている。給電線層を介してグランド部材に電流が供給されると、スリットが励振され、電磁波が発生する。当該スリットで発生した電磁波はアンテナに到達し、アンテナを介してアンテナ基板の外部に放射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば特許文献1に記載のアンテナ基板においては、電磁波が発生する箇所であるスリットからみて、厚み方向における外側にグランド部材が設けられていなかった。したがって、スリットで発生した電磁波の一部は、アンテナに到達することもグランド部材に反射されることもなく、アンテナ基板の外部(給電線層側)に向けて意図せず漏出してしまう可能性があった。
【0005】
ここで、上記のような電磁波の漏出を防ぐために、例えば特許文献1に記載のアンテナ基板において、給電線層の下方に新たなグランド部材を追加することも考えられる。しかしながら、このようにグランド部材を単純に追加すると、アンテナ基板の厚みが増大してしまう。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされ、電磁波の漏出を抑制しつつ、厚みの増大を抑制できるアンテナ基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るアンテナ基板は、少なくとも一つのアンテナと、厚み方向において前記アンテナと間隔をあけて配されたグランド部材と、前記厚み方向において前記アンテナと前記グランド部材との間に位置する少なくとも一つの給電線層と、を備え、前記少なくとも一つの給電線層の各々には、前記グランド部材と電気的に接続された中間グランド部材と、給電線路と、が配置され、前記中間グランド部材には、前記厚み方向に直交する方向に延びる励振スリットと、前記励振スリットが延びる方向および前記厚み方向の双方に直交する方向に延びる線路スリットと、が形成されており、前記少なくとも一つの給電線層の各々について、前記給電線路は、前記線路スリットの内部に位置しており、前記少なくとも一つの給電線層の各々について、前記励振スリットは、前記厚み方向から見て前記給電線路と交差するように延びている。
【0008】
本発明の上記態様によれば、励振スリットが給電線路と交差するように延びているため、給電線路に電流を供給することにより励振スリットを励振させ、電磁波を発生させることができる。ここで、励起スリットで発生した電磁波の一部がアンテナとは反対側に向けて伝搬していった際に、当該電磁波はグランド部材に反射される。したがって、電磁波がアンテナ基板の外部に漏出することを抑制することができる。また、給電線路と中間グランド部材とが同一の層に位置しているため、アンテナ基板の厚みの増大を抑制することができる。
【0009】
ここで、前記少なくとも一つの給電線層の各々について、前記励振スリットは、前記中間グランド部材を貫通するように延びていてもよい。
【0010】
また、前記少なくとも一つの給電線層の各々について、前記線路スリットは、前記中間グランド部材を貫通するように延びていてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様に係るアンテナ基板は、2つ以上の前記給電線層を備えてもよい。
【0012】
また、前記少なくとも一つのアンテナのうち、前記厚み方向において前記グランド部材に最も近いアンテナを最下アンテナと称し、前記少なくとも一つの給電線層のうち、前記厚み方向において前記グランド部材から最も離れた給電線層を最上給電線層と称するとき、前記厚み方向における前記最下アンテナと前記最上給電線層との間の距離は、前記厚み方向における前記最上給電線層と前記グランド部材との間の距離よりも長くてもよい。
【0013】
また、前記少なくとも一つの給電線層の各々について、前記給電線路と前記中間グランド部材との間の距離は、前記厚み方向における前記給電線層と前記グランド部材との間の距離よりも短くてもよい。
【0014】
また、前記給電線路に電流を供給する給電素子と、前記給電素子と前記給電線路とを電気的に接続する配線経路と、配線層と、をさらに備え、前記グランド部材は、前記厚み方向において前記配線層と前記給電線層との間に位置するように配されており、前記配線経路の少なくとも一部は、前記配線層に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記態様によれば、電磁波の漏出を抑制しつつ、厚みの増大を抑制可能なアンテナ基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るアンテナ基板を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るアンテナユニットを示す平面図である。
【
図3】
図2に示すIII-III線に沿う断面図である。
【
図4】
図3に示すIV-IV線に沿う断面図である。
【
図6】
図2に示すVI-VI線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るアンテナ基板について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るアンテナ基板1は、複数のアンテナユニットUを備える。複数のアンテナユニットUは、二次元的に配列され、アレイアンテナを構成する。本実施形態に係る複数のアンテナユニットUは、格子状に延びる枠FRによって互いに区切られている。
【0018】
図2に示すように、各アンテナユニットUは、第1アンテナ11と、第2アンテナ12と、第1給電線層L1と、第2給電線層L2と、を備える。また、
図3に示すように、アンテナ基板1は、グランド部材40と、第2グランド部材50と、給電素子60と、配線層LWと、を備える。本実施形態において、グランド部材40、第2グランド部材50、給電素子60、および配線層LWは、複数のアンテナユニットUによって共有されている。また、上記したアンテナ11、12、給電線層L1、L2、グランド部材40、第2グランド部材50、配線層LWの間の各隙間には、当該隙間を埋めるように複数の絶縁層101~107が配置されている。
【0019】
(方向定義)
ここで、本明細書では、アンテナ基板1の厚み方向(アンテナ基板1に直交する方向)を単に厚み方向Zと称する。厚み方向Zから見ることを、平面視という。厚み方向Zに直交する一方向を、第1方向Xと称する。厚み方向Zおよび第1方向Xの双方に直交する方向を、第2方向Yと称する。先述した枠FRは、第1方向Xおよび第2方向Yに延びている。厚み方向Zに沿って、グランド部材40から第1アンテナ11に向かう向きを、+Zの向きまたは上方と称する。+Zの向きとは反対の向きを、-Zの向きまたは下方と称する。第1方向Xに沿う一つの向きを、+Xの向きまたは右方と称する。+Xの向きとは反対の向きを、-Xの向きまたは左方と称する。第2方向Yに沿う一つの向きを、+Yの向きまたは奥側と称する。+Yの向きとは反対の向きを、-Yの向きまたは手前側と称する。
【0020】
図3に示すように、本実施形態に係るアンテナ基板1は、第1絶縁層101~第7絶縁層107を有する。第1絶縁層101~第7絶縁層107は、+Zの向きにおいてこの順に積層されている。絶縁層101~107を構成する材質としては、例えば、樹脂(エポキシ、PPE)等の誘電体を用いることができる。
【0021】
グランド部材40は、アンテナ基板1のグランドとして機能する。本実施形態に係るグランド部材40は、上側グランド部材41と、下側グランド部材42と、接続部材43と、を含む。上側グランド部材41、下側グランド部材42、および接続部材43は、各々導体によって形成されている。上側グランド部材41は、第3絶縁層103の上面に設けられており、平板形状を有する。下側グランド部材42は、第3絶縁層103の下面(第2絶縁層102の上面)に設けられており、平板形状を有する。接続部材43は、第3絶縁層103を厚み方向Zに貫通するとともに、上側グランド部材41と下側グランド部材42とを電気的に接続している。接続部材43は、例えばビアである。なお、グランド部材40がアンテナ基板1のグランドとして機能すれば、グランド部材40の構成は適宜変更可能である。例えば、グランド部材40は上側グランド部材41のみを有していてもよい。
【0022】
図3に示すように、本実施形態に係る枠FRは、第1の枠FR1および第2の枠FR2を含む。各枠FR1、FR2は、第1方向Xおよび第2方向Yにおいて格子状に延びている(
図1、
図2も参照)。本実施形態に係る第1の枠FR1は、第5絶縁層105の上面に位置している。本実施形態に係る第2の枠FR2は、第4絶縁層104の上面に位置している。第1の枠FR1および第2の枠FR2は、グランド部材40(上側グランド部材41)に対して電気的に接続されている。より具体的に、第2の枠FR2とグランド部材40(上側グランド部材41)とは、第4絶縁層104に形成された複数のビアVによって電気的に接続されている。また、第1の枠FR1と第2の枠FR2とは、第5絶縁層105に形成された複数のビアVによって電気的に接続されている。これにより、第1の枠FR1は、第2の枠FR2および複数のビアVを介して、グランド部材40(上側グランド部材41)と電気的に接続されている。枠FRは、アンテナユニットU間における電磁界の干渉を抑制する。なお、アンテナユニットUの干渉を抑制可能であれば、枠FRの構成は適宜変更可能である。あるいは、アンテナ基板1は枠FRを備えていなくてもよい。
【0023】
アンテナ11、12は、導体によって形成された平板状のパターンであり、例えば高周波の無線信号(例えば28GHz帯)を送受信するように構成されている。本実施形態において、第1アンテナ11は第7絶縁層107の上面に設けられており、第2アンテナ12は第6絶縁層106の上面に設けられている。ただし、アンテナ11、12は、高周波の無線信号を送信のみ、または受信のみするように構成されていてもよい。
【0024】
第1給電線層L1および第2給電線層L2は、導体によって形成されたパターンである。各給電線層L1、L2は、厚み方向Zにおけるアンテナ11、12とグランド部材40との間に位置する。本実施形態において、第1給電線層L1は、第5絶縁層105の上面に設けられており、第2給電線層L2は第4絶縁層104の上面に設けられている。
【0025】
図4に示すように、第1給電線層L1には、第1中間グランド部材21および第1給電線路31が配置される。第1中間グランド部材21は、第1方向Xおよび第2方向Yに延在する平板状の形状を有する。第1中間グランド部材21には、第1線路スリット21aおよび第1励振スリット21bが形成されている。第1線路スリット21aは、第1中間グランド部材21を貫通する(上下に分割する、より具体的には、第1中間グランド部材A11および第1中間グランド部材A12、と、第1中間グランド部材A13および第1中間グランド部材A14、とに分割する)ように第1方向Xに延びている。第1励振スリット21bは、第1中間グランド部材21を貫通する(左右に分割する、より具体的には、第1中間グランド部材A12および第1中間グランド部材A13、と、第1中間グランド部材A11および第1中間グランド部材A14、とに分割する)ように第2方向Yに延びている。第1線路スリット21aおよび第1励振スリット21bは、平面視において、アンテナユニットUの厚み方向Zに延びる中心線Oにおいて交差している。
【0026】
第1中間グランド部材21にスリット21a、21bが形成され、スリット21a、21bが上記のように交差していることにより、第1中間グランド部材21は、4つの導体片(領域)に分割されている。本明細書では、当該分割された4つの導体片を、各々、導体片A11~A14と称する場合がある。導体片A11は、第1中間グランド部材21の+X側かつ+Y側に位置する導体片である。導体片A12は、第1中間グランド部材21の-X側かつ+Y側に位置する導体片である。導体片A13は、第1中間グランド部材21の-X側かつ-Y側に位置する導体片である。導体片A14は、第1中間グランド部材21の+X側かつ-Y側に位置する導体片である。
【0027】
各導体片A11~A14には、切り欠き21dが形成されている。4つの切り欠き21dは、第1中間グランド部材21の角部に位置している。本実施形態において、各切り欠き21dは矩形形状を有する。これにより、第1中間グランド部材21の各導体片A11~A14は、L字状の形状を有する。また、第1中間グランド部材21の導体片A11および導体片A14には、第1線路スリット21aの一部から第2方向Yにおける外側に向けて凹む凹部21cが形成されている。第1中間グランド部材21に凹部21cが形成されていることにより、第1中間グランド部材21と第1給電ビア91(第1給電ビア91の上部にランドが形成されている場合はランドも含む)(詳細は後述)とが構造的に干渉したり、電気的に接続されたりすることが防止される。
【0028】
図3に示すように、各導体片A11~A14(導体片A11と導体片A12は不図示)は、複数の導通ビア80を通じてグランド部材40と電気的に接続されている。本実施形態において、各導通ビア80は、第1中間グランド部材21および第2中間グランド部材22を厚み方向Zに貫通している。ここで、各導通ビア80は、スリット21a、21bと可能な限り近接していることが好ましい(
図4参照)。例えば、各導通ビア80とスリット21a、21bとの間の距離は、アンテナ基板1が送受信を行う電磁波の波長の1/10以下であることが好ましい。これにより、第1励振スリット21bの励振(詳細は後述)を生じやすくし、アンテナ基板1の放射効率を高めることができる。
【0029】
第1給電線路31には、給電素子60によって電流が供給される。給電素子60が第1給電線路31に電流を供給する経路については後述する。
図4に示すように、第1給電線路31は、第1給電線層L1において、第1線路スリット21aの内部に位置している。これにより、第1給電線路31と第1中間グランド部材21とは、コプレーナ線路を形成する。より具体的には、第1給電線路31と導体片A12および導体片A13とが一つのコプレーナ線路を形成し、第1給電線路31と導体片A11および導体片A14とが1つのコプレーナ線路を形成する。
【0030】
なお、上記したコプレーナ線路を形成可能であれば、第1線路スリット21aは第1中間グランド部材21を第1方向Xに貫通していなくてもよい。例えば、第1中間グランド部材21の+X端部において、導体片A11と導体片A14とが接続されていてもよい。第1中間グランド部材21の-X端部において、導体片A12と導体片A13とが接続されていてもよい。ただし、第1線路スリット21aが第1中間グランド部材21を第1方向Xに貫通している構成は、第1励振スリット21bの励振が生じやすくなるため好適である。
【0031】
第1励振スリット21bは、厚み方向Zから見て第1給電線路31と交差するように延びている。言い換えれば、第1給電線路31は、第1励振スリット21bを横切るように延びている。この構成により、給電素子60によって第1給電線路31に電流が供給されると、第1励振スリット21bが励振され、電磁波が発生する。第1励振スリット21bで発生した電磁波は、第1アンテナ11に到達し(
図3も参照)、第1アンテナ11を介してアンテナ基板1の外部に放射される。
【0032】
なお、第1励振スリット21bを励振可能であれば、第1励振スリット21bは第1中間グランド部材21を第2方向Yに貫通していなくてもよい。例えば、第1中間グランド部材21の+Y端部において、導体片A11と導体片A12とが接続されていてもよい。第1中間グランド部材21の-Y端部において、導体片A13と導体片A14とが接続されていてもよい。ただし、第1励振スリット21bが第1中間グランド部材21を第2方向Yに貫通している構成は、第1励振スリット21bの励振が生じやすくなるため好適である。
【0033】
また、第1給電線路31と第1中間グランド部材21(導体片A11、導体片A12、導体片A13、および導体片A14)との間の第2方向Yにおける距離D11は、厚み方向Zにおける第1給電線層L1とグランド部材40(上側グランド部材41)との間の厚み方向Zにおける距離D12よりも短くてもよい(
図3も参照)。この構成によれば、第1給電線路31および第1中間グランド部材21からなるコプレーナ線路で形成される電磁界の強度が、第1給電線路31およびグランド部材40からなるマイクロストリップ線路で形成される電磁界の強度よりも大きくなる。したがって、アンテナ基板1の放射効率を高めることができる。なお、第1給電線路31と第1中間グランド部材21との間の第2方向Yにおける距離が一定でない場合は、当該距離の平均値を距離D11と定義してもよい。また、第1給電線路31と第1中間グランド部材21とが同一の層(第1給電線層L1)に位置していることにより、第1励振スリット21bを効率的に励振させることができる。
【0034】
また、第1励振スリット21bの幅(第1方向Xにおける寸法)D13は、第1線路スリット21aの幅(第2方向Yにおける寸法)D14よりも狭くてもよい。この構成によれば、アンテナ基板1の放射効率をより高めることができる。また、第1給電線路31の長さ(第1方向Xにおける寸法)D15は、各導体片A11~A14の第1方向Xにおける寸法D16よりも長くてもよい。この構成によれば、アンテナ基板1の放射効率をより高めることができる。
【0035】
図5に示すように、第2給電線層L2には、第2中間グランド部材22および第2給電線路32が配置される。第2中間グランド部材22は、第1方向Xおよび第2方向Yに延在する平板状の形状を有する。第2中間グランド部材22には、第2線路スリット22aおよび第2励振スリット22bが形成されている。第2線路スリット22aは、第2中間グランド部材22を貫通する(左右に分割する、より具体的には、第2中間グランド部材A22および第2中間グランド部材A23、と、第2中間グランド部材A21および第2中間グランド部材A24、とに分割する)ように第2方向Yに延びている。第2励振スリット22bは、第2中間グランド部材22を貫通する(上下に分割する、より具体的には、第2中間グランド部材A21および第2中間グランド部材A22、と、第2中間グランド部材A23および第2中間グランド部材A24、とに分割する)ように第1方向Xに延びている。第2線路スリット22aおよび第2励振スリット22bは、平面視において、アンテナユニットUの厚み方向Zに延びる中心線Oにおいて交差している。
【0036】
第2中間グランド部材22にスリット22a、22bが形成され、スリット22a、22bが上記のように交差していることにより、第2中間グランド部材22は、4つの導体片(領域)に分割されている。本明細書では、当該分割された4つの導体片を、各々、導体片A21~A24と称する場合がある。導体片A21は、第2中間グランド部材22の+X側かつ+Y側に位置する導体片である。導体片A22は、第2中間グランド部材22の-X側かつ+Y側に位置する導体片である。導体片A23は、第2中間グランド部材22の-X側かつ-Y側に位置する導体片である。導体片A24は、第2中間グランド部材22の+X側かつ-Y側に位置する導体片である。
【0037】
各導体片A21~A24には、切り欠き22dが形成されている。4つの切り欠き22dは、第2中間グランド部材22の角部に位置している。本実施形態において、各切り欠き22dは矩形形状を有する。また、第2中間グランド部材22の導体片A23および導体片A24には、第2線路スリット22aの一部から第1方向Xにおける外側に向けて凹む凹部22caが形成されている。第2中間グランド部材22の凹部22caが形成されていることにより、第2中間グランド部材22と第2給電ビア92(第2給電ビア92の上部にランドが形成されている場合はランドも含む)(詳細は後述)とが構造的に干渉したり、電気的に接続されたりすることが防止される。また、第2中間グランド部材22の導体片A21および導体片A24には、第2励振スリット22bの一部から第2方向Yにおける外側に向けて凹む凹部22cbが形成されている。第2中間グランド部材22の凹部22cbが形成されていることにより、第2中間グランド部材22と第1給電ビア91とが構造的に干渉したり、電気的に接続されたりすることが防止される。
【0038】
図3に示すように、各導体片A21~A24(導体片A21と導体片A22は不図示)は、複数の導通ビア80を通じてグランド部材40と電気的に接続されている。ここで、各導通ビア80は、スリット22a、22bと可能な限り近接していることが好ましい(
図5参照)。例えば、各導通ビア80とスリット22a、22bとの間の距離は、アンテナ基板1が送受信を行う電磁波の波長の1/10以下であることが好ましい。これにより、第2励振スリット22bの励振(詳細は後述)を生じやすくし、アンテナ基板1の放射効率を高めることができる。
【0039】
第2給電線路32には、第1給電線路31と同様に、給電素子60によって電流が供給される。給電素子60が第2給電線路32に電流を供給する経路については後述する。
図5に示すように、第2給電線路32は、第2給電線層L2において、第2線路スリット22aの内部に位置している。これにより、第2給電線路32と第2中間グランド部材22とは、コプレーナ線路を形成する。より具体的には、第2給電線路32と導体片A23および導体片A24とが一つのコプレーナ線路を形成し、第2給電線路32と導体片A21および導体片A22とが一つのコプレーナ線路を形成する。
【0040】
なお、上記したコプレーナ線路を形成可能であれば、第2線路スリット22aは第2中間グランド部材22を第2方向Yに貫通していなくてもよい。例えば、第2中間グランド部材22の+Y端部において、導体片A21と導体片A22とが接続されていてもよい。第2中間グランド部材22の-Y端部において、導体片A23と導体片A24とが接続されていてもよい。ただし、第2線路スリット22aが第2中間グランド部材22を第2方向Yに貫通している構成は、第2励振スリット22bの励振が生じやすくなるため好適である。
【0041】
第2励振スリット22bは、厚み方向Zから見て第2給電線路32と交差するように延びている。言い換えれば、第2給電線路32は、第2励振スリット22bを横切るように延びている。この構成により、給電素子60によって第2給電線路32に電流が供給されると、第2励振スリット22bが励振され、電磁波が発生する。第2励振スリット22bで発生した電磁波は、第2アンテナ12に到達し(
図3も参照)、第2アンテナ12を介してアンテナ基板1の外部に放射される。
【0042】
なお、第2励振スリット22bを励振可能であれば、第2励振スリット22bは第2中間グランド部材22を第1方向Xに貫通していなくてもよい。例えば、第2中間グランド部材22の+X端部において、導体片A21と導体片A24とが接続されていてもよい。第2中間グランド部材22の-X端部において、導体片A22と導体片A23とが接続されていてもよい。ただし、第2励振スリット22bが第2中間グランド部材22を第1方向Xに貫通している構成は、第2励振スリット22bの励振が生じやすくなるため好適である。
【0043】
また、第2給電線路32と第2中間グランド部材22(導体片A21、導体片A22、導体片A23、および導体片A24)との間の第1方向Xにおける距離D21は、厚み方向Zにおける第2給電線層L2とグランド部材40(上側グランド部材41)との間の厚み方向Zにおける距離D22よりも短くてもよい(
図3も参照)。この構成によれば、第2給電線路32および第2中間グランド部材22からなるコプレーナ線路で形成される電磁界の強度が、第2給電線路32およびグランド部材40からなるマイクロストリップ線路で形成される電磁界の強度よりも大きくなる。したがって、アンテナ基板1の放射効率を高めることができる。なお、第2給電線路32と第2中間グランド部材22との間の第1方向Xにおける距離が一定でない場合には、当該距離の平均値を距離D21と定義してもよい。また、第2給電線路32と第2中間グランド部材22とが同一の層(第2給電線層L2)に位置していることにより、第2励振スリット22bを効率的に励振させることができる。
【0044】
また、第2励振スリット22bの幅(第2方向Yにおける寸法)D23は、第2線路スリット22aの幅(第1方向Xにおける寸法)D24よりも狭くてもよい。この構成によれば、アンテナ基板1の放射効率をより高めることができる。また、第2給電線路32の長さ(第2方向Yにおける寸法)D25は、各導体片A21~A24の第2方向Yにおける寸法D26よりも長くてもよい。この構成によれば、アンテナ基板1の放射効率をより高めることができる。
【0045】
また、厚み方向Zにおける第2アンテナ12と第1給電線層L1との間の距離D30は、厚み方向Zにおける第1給電線層L1とグランド部材40(上側グランド部材41)との間の距離D12よりも大きくてもよい(
図3参照)。この構成によれば、中間グランド部材21、22とアンテナ11、12とを厚み方向Zにおいて遠ざけ、アンテナ基板1が送受信可能な電磁波の帯域を広げることができる。また、距離D30が距離D12よりも大きくなるように、例えば、第1給電線層L1よりも上方に位置する絶縁層106、107のそれぞれの厚み(厚み方向Zにおける寸法)の和が、グランド部材40と第1給電線層L1との間に位置する絶縁層104、105のそれぞれの厚みの和の2倍以上としてもよい。また、絶縁層106、107と絶縁層104、105とで、誘電率の異なる誘電体が用いられてもよい。
【0046】
以下、給電素子60が給電線路31、32に対して電流を供給する経路について説明する。なお、給電素子60としては、例えばRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)等を用いることができる。本実施形態に係る給電素子60は、第1絶縁層101の下面に設けられた第2グランド部材50の下面に実装されている。
【0047】
図6に示すように、本実施形態において、第1給電線路31と給電素子60とは、配線経路90を介して電気的に接続されている。図示は省略するが、同様に、第2給電線路32と給電素子60とは、配線経路90を介して電気的に接続されている。本実施形態に係る配線経路90は、第1給電ビア91、第2給電ビア92(
図6において不図示、
図5参照)、第1上側配線ビア93a、第2上側配線ビア93b(不図示)、配線パターン94、および下側配線ビア95を含む。
図4および
図6に示すように、第1給電ビア91は、第1給電線路31と接触するビアである。
図6に示すように、第1給電ビア91は、厚み方向Zにおいて第4絶縁層104および第5絶縁層105を貫通している。第1上側配線ビア93aは、第1給電ビア91の下端に接続され、下方に向けて延びるビアである。第1上側配線ビア93aは、厚み方向Zにおいてグランド部材40から第2絶縁層102までを貫通している。また、
図5に示すように、第2給電ビア92は、第2給電線路32と接触するビアである。図示は省略するが、第2上側配線ビア93bは、第2給電ビア92の下端に接続され、下方に向けて延びるビアである。第2上側配線ビア93bは、第1上側配線ビア93aと同様に、厚み方向Zにおいてグランド部材40から第2絶縁層102までを貫通している(不図示)。下側配線ビア95は、給電素子60に接続され、上方に向けて延びるビアである。
【0048】
配線パターン94は、導体によって形成されたパターンである。
図6に示すように、配線パターン94は、配線層LWに位置する。ここで、グランド部材40は、厚み方向Zにおいて配線層LWと給電線層L1、L2との間に位置するように配されている。つまり、配線層LWは、グランド部材40よりも下方に位置する。より具体的に、本実施形態に係る配線層LWは、厚み方向Zにおける第1絶縁層101と第2絶縁層102との間に位置している。
【0049】
配線層LWに設けられた配線パターン94は、下側配線ビア95と、アンテナ基板1に含まれる各アンテナユニットUが有する各上側配線ビア93a、93bと、を電気的に接続する役割を有する。言い換えれば、配線パターン94は、1つの給電素子60と、複数のアンテナユニットUの各々が有する給電線路31、32と、を結ぶ役割を有する。このように、グランド部材40の下方に位置する配線層LWに配線パターン94を設けることで、1つの給電素子60と複数の給電線路31、32とを容易に接続することができる。
【0050】
なお、アンテナ基板1が2つの配線層LWを備え、給電素子60と各第1給電線路31とを結ぶ配線パターン94が一方の配線層LWに配され、給電素子60と各第2給電線路32とを結ぶ配線パターン94が他方の配線層LWに配される構成が採用されてもよい。この場合、給電線路31、32に供給される電流のクロストークを抑制することができる。
【0051】
次に、以上のように構成されたアンテナ基板1の作用について説明する。
【0052】
上述したように、本実施形態に係るアンテナ基板1においては、給電素子60を用いて給電線路31、32に電流を供給することにより、励振スリット21b、22bを励振することができる。これにより、励振スリット21b、22bで電磁波を発生させ、アンテナ11、12から電磁波を放出することができる。このとき、励振スリット21b、22bで発生した電磁波の一部は、下方に向けて伝搬する。
【0053】
さらに本実施形態に係るアンテナ基板1においては、中間グランド部材21、22が、厚み方向Zにおいてアンテナ11、12とグランド部材40との間に位置している。つまり、中間グランド部材21、22の下方にグランド部材40が設けられている。この構成により、励振スリット21b、22bから下方に向けて伝搬してきた電磁波は、グランド部材40に反射される。したがって、当該電磁波がアンテナ基板1の下方に向けて漏出することが抑制される。また、本実施形態に係るアンテナ基板1においては、給電線路31、32と中間グランド部材21、22とが同一の層(給電線層L1、L2)に位置している。このため、例えば特許文献1に記載のアンテナ基板において給電線層の下方に新たなグランド部材を追加する構成と比較して、アンテナ基板1の厚みの増大を抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態に係るアンテナ基板1は、2つの給電線層L1、L2を有する。この構成によれば、例えば2つの励振スリット21b、22bのうち一方からV偏波用の電磁波を発生させ、他方からH偏波用の電磁波を発生させることができる。すなわち、アンテナ基板1をVおよびHの両偏波に対応させることができる。なお、本実施形態においては第1給電線層L1と第1アンテナ11とが対応し、第2給電線層L2と第2アンテナ12とが対応しているが、第1給電線層L1が第2アンテナ12と対応し、第2給電線層L2が第1アンテナ11と対応していてもよいし、第1アンテナ11と第2アンテナ12が両方とも第1給電線層L1と第2給電線層L2の両方に対応してもよい。あるいは、アンテナ基板1が一つのみのアンテナを備え、2つの給電線層L1、L2の双方が当該一つのアンテナと対応していてもよい。なお、アンテナ基板1を両偏波に対応させる必要がない場合等においては、アンテナ基板1は一つのみの給電線層を有していてもよい。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係るアンテナ基板1は、アンテナ11、12と、厚み方向Zにおいてアンテナ11、12と間隔をあけて配されたグランド部材40と、厚み方向Zにおいてアンテナ11、12とグランド部材40との間に位置する給電線層L1、L2と、を備え、各給電線層L1、L2には、グランド部材40と電気的に接続された中間グランド部材21、22と、給電線路31、32と、が配置され、中間グランド部材21、22には、厚み方向Zに直交する方向に延びる線路スリット21a、22aと、線路スリット21a、22aが延びる方向および厚み方向Zの双方に直交する方向に延びる励振スリット21b、22bと、が形成されており、各給電線層L1、L2について、給電線路31、32は、線路スリット21a、22aの内部に位置しており、各給電線層L1、L2について、励振スリット21b、22bは、給電線路31、32と交差するように延びている。
【0056】
この構成によれば、励振スリット21b、22bが給電線路31、32と交差するように延びているため、給電線路31、32の電流を供給することにより励振スリット21b、22bを励振させ、電磁波を発生させることができる。ここで、励振スリット21b、22bで発生した電磁波の一部がアンテナ11、12とは反対側に向けて伝搬していった際に、当該電磁波はグランド部材40に反射される。したがって、電磁波がアンテナ基板1の外部に漏出することを抑制できる。また、給電線路31、32と中間グランド部材21、22とが同一の層(給電線層L1、L2)に位置しているため、アンテナ基板1の厚みの増大を抑制することができる。
【0057】
また、各給電線層L1、L2について、励振スリット21b、22bは、中間グランド部材21、22を貫通している。この構成により、アンテナ基板1の放射効率を高めることができる。
【0058】
また、各給電線層L1、L2について、線路スリット21a、22aは、中間グランド部材21、22を貫通している。この構成により、アンテナ基板1の放射効率をより高めることができる。
【0059】
また、本実施形態に係るアンテナ基板1は、2つの給電線層L1、L2を備える。この構成により、例えばアンテナ基板1をVおよびHの両偏波に対応させることができる。
【0060】
また、厚み方向Zにおける第2アンテナ12と第1給電線層L1との間の距離D30は、厚み方向Zにおける第1給電線層L1とグランド部材40との間の距離D12よりも長い。この構成により、中間グランド部材21、22とアンテナ11、12とを厚み方向Zにおいて遠ざけ、アンテナ基板1が送受信可能な電磁波の帯域を広げることができる。
【0061】
また、各給電線層L1、L2について、給電線路31、32と中間グランド部材21、22との間の距離D11、D21は、厚み方向Zにおける給電線層L1、L2とグランド部材40との間の距離D12、D22よりも短い。この構成により、給電線路31、32および中間グランド部材21、22からなるコプレーナ線路で形成される電磁界の強度が、給電線路31、32およびグランド部材40からなるマイクロストリップ線路で形成される電磁界の強度よりも大きくなる。したがって、アンテナ基板1の放射効率をより確実に高めることができる。
【0062】
また、本実施形態に係るアンテナ基板1は、給電線路31、32に電流を供給する給電素子60と、給電素子60と給電線路31、32とを電気的に接続する配線経路90と、配線層LWと、をさらに備え、グランド部材40は、厚み方向Zにおいて給電線層L1、L2と配線層LWとの間に位置するように配されており、配線経路90の少なくとも一部(配線パターン94)は、配線層LWに配置される。この構成により、1つの給電素子60と複数の給電線路31、32とを、容易に接続することができる。
【0063】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0064】
例えば、中間グランド部材21、22に形成される切り欠き21d、22dの位置、大きさ、および形状は適宜変更可能である。切り欠き21d、切り欠き22dの位置、大きさ、および形状を変化させることにより、アンテナ基板1が送受信可能な電磁波の周波数を変化させることができる。
【0065】
また、第1給電ビア91の第1方向Xにおける位置は、適宜変更可能である。同様に、第2給電ビア92の第2方向Yにおける位置は、適宜変更可能である。給電ビア91、92の位置を変化させることにより、給電線路31、32のインピーダンスの値を変化させることができる。本実施形態では、第1給電ビア91は給電線路31の一方の端部と給電線路31の中点との間に位置し、第2給電ビア92は給電線路32の一方の端部と給電線路32の中点との間に位置している。
【0066】
また、配線パターン94と各第1給電線路31とを電気的に接続する構成は上記実施形態の例に限られず、例えば第1給電ビア91が配線パターン94まで延びていてもよい。同様に、配線パターン94と各第2給電線路32とを電気的に接続する構成は上記実施形態の例に限られず、例えば第2給電ビア92が配線パターン94まで延びていてもよい。
【0067】
また、アンテナ基板1は3つ以上の給電線層を有していてもよい。同様に、アンテナ基板1は3つ以上のアンテナを有していてもよい。ここで、複数の給電線層のうち厚み方向Zにおいてグランド部材40から最も離れた給電線層を最上給電線層LTと称し、複数のアンテナのうち厚み方向Zにおいてグランド部材40に最も近いアンテナを最下アンテナ1Bと称する。前記実施形態においては、第1給電線層L1が最上給電線層LTに該当し、第2アンテナ12が最下アンテナ1Bに該当する。ここで、厚み方向Zにおける最下アンテナ1Bと最上給電線層LTとの間の距離は、厚み方向Zにおける最上給電線層LTとグランド部材40との間の距離よりも長くてもよい。この場合、前記実施形態において距離D30を距離D12よりも長くする場合(
図3参照)と同様に、アンテナ基板1が送受信可能な電磁波の帯域を広げることができる。また、前記実施形態において説明した寸法関係を各給電線層に適用することにより、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
また、アンテナ基板1が備えるアンテナユニットUの数は適宜変更可能であり、1つ以上であればいくつであってもよい。
【0069】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…アンテナ基板 11…第1アンテナ(アンテナ) 12…第2アンテナ(アンテナ) 1B…最下アンテナ 21…第1中間グランド部材(中間グランド部材) 21a…第1線路スリット(線路スリット) 21b…第1励振スリット(励振スリット) 22…第2中間グランド部材(中間グランド部材) 22a…第2線路スリット(線路スリット) 22b…第2励振スリット(励振スリット) 31…第1給電線路(給電線路) 32…第2給電線路(給電線路) 40…グランド部材 60…給電素子 90…配線経路 L1…第1給電線層(給電線層) L2…第2給電線層(給電線層) LT…最上給電線層 LW…配線層 Z…厚み方向
【要約】
【課題】電磁波の漏出を抑制しつつ、厚みの増大を抑制できるアンテナ基板を提供する。
【解決手段】アンテナ基板は、アンテナと、厚み方向において前記アンテナと間隔をあけて配されたグランド部材と、前記厚み方向において前記アンテナと前記グランド部材との間に位置する給電線層と、を備え、前記給電線層には、前記グランド部材と電気的に接続された中間グランド部材と、給電線路と、が配置され、前記中間グランド部材には、前記厚み方向に直交する方向に延びる励振スリットと、前記励振スリットが延びる方向および前記厚み方向の双方に直交する方向に延びる線路スリットと、が形成されており、前記給電線路は、前記線路スリットの内部に位置しており、前記励振スリットは、前記厚み方向から見て前記給電線路と交差するように延びている。
【選択図】
図2