(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】液体貯槽内でのエネルギー伝達及びエネルギー貯蔵のための装置
(51)【国際特許分類】
F28D 20/00 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
F28D20/00 B
(21)【出願番号】P 2022500524
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(86)【国際出願番号】 EP2020068821
(87)【国際公開番号】W WO2021004937
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】102019118223.9
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522004287
【氏名又は名称】エンヴォラ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ENVOLA GMBH
【住所又は居所原語表記】Max-Born-Strasse 2-4, 89081 Ulm Germarny
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シェヒナー, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シュベンク, ギュンター
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第20203713(DE,U1)
【文献】独国特許出願公開第102005037997(DE,A1)
【文献】国際公開第2017/093426(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2302311(EP,A1)
【文献】特開昭59-187978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/04
F28D 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体貯槽(FR)内でのエネルギー伝達及びエネルギー貯蔵のための装置であって、前記装置(VO)は、床(BP)の上に配置された水熱交換器(WW)と、前記水熱交換器(WW)の上方に配置された空気熱交換器(LW)とを有し、前記水熱交換器(WW)は、内側シェル(IH)によって取り囲まれた液体貯槽(FR)内に配置されており、前記内側シェル(IH)は、当該内側シェル(IH)を前記床から覆う外側シェル(AH)に対して、前記装置(VO)を境界付けており、前記外側シェル(AH)は、少なくとも部分的に地層(ER)内に挿入されており、前記装置(VO)は、空気入口(LE)から空気出口(LA)へ前記空気熱交換器(LW)を通じて空気流が生成可能であるように、上方へ向かってカバー(DE)によって閉鎖されている、装置。
【請求項2】
前記水熱交換器(WW)と前記空気熱交換器(LW)との間に断熱層(IS)が配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記断熱層(IS)と前記外側シェル(AH)との間にシールが装着されており、前記シールは、好ましくは少なくとも部分的に周囲を取り巻くパッキンリング(MA)として形成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記外側シェル(AH)に対して間隔を空けて、前記床(BP)の上に装着されたスタッドフレーム(SW)が設けられており、前記スタッドフレーム(SW)は前記カバー(DE)を支持する、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記スタッドフレーム(SW)は、複数の垂直な支柱から組み立てられており、前記支柱の前記カバー(DE)と対向する側には、前記カバー(DE)の位置を位置合わせするために、調整手段(VM)が設けられている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記スタッドフレーム(SW)には、少なくとも部分的に周囲を取り巻くリングセグメント(RS)が設けられており、前記リングセグメント(RS)は前記内側シェル(IH)の上端として機能する、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記内側シェル(IH)は、前記リングセグメント(RS)に接続された、特にその内部に懸架された柔軟なフィルムとして実現されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記空気入口(LE)は、前記カバー(DE)の外周に沿ったスリット状に形成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記カバー(DE)は、前記カバー(DE)の中央の前記空気出口(LA)と共に配置されており、好ましくは、前記カバー(DE)の下方に前記空気出口(LA)に接して送風機(VE)が配置されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記カバー(DE)は、前記装置(VO)の自然に近い外観を作り出すために、水又は土壌で満たされ得る1つ以上の窪み(ES)を備えているか、又は、車両の走行又は人の歩行が可能である、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記水熱交換器(WW)は、前記液体貯槽(FR)の流体媒体としての水又はパラフィン化合物の中に配置されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記液体貯槽(FR)内の静水圧が、前記内側シェル(IH)を前記外側シェル(AH)に対して押し付ける、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記空気熱交換器(LW)及び前記水熱交換器(WW)は、それぞれ多数の円形に配置された管(R1;R2)と共に実現されており、前記管(R1;R2)は、流入配管及び流出配管を介して接続ユニット(AE)に接続されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記外側シェル(AH)は前記接続ユニット(AE)によって貫通されており、前記接続ユニット(AE)は、好ましくは前記水熱交換器(WW)と前記空気熱交換器(LW)との間の高さに配置されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記空気熱交換器(LW)及び前記水熱交換器(WW)は、前記装置(VO)が実質的に円筒形の外形を有するように実現されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体貯槽内でのエネルギー伝達及びエネルギー貯蔵のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化石エネルギー資源の利用は、ますます不経済になるだけでなく、それと結び付いた気候への好ましくない影響のために、ますます疑問視されるようになっている。再生可能エネルギー源の利用の増大に加えて、インテリジェント制御と組み合わせて、例えば建物の暖房又は設備の冷却においてエネルギー消費を減少させることができる、エネルギー貯蔵のための効率的なシステムに対する必要性も増大している。このような対策により、利用されるエネルギー資源にかかわらず、大きな節約の可能性をもたらすことができ、これはまた、それと結び付いた設置コストを補償する。
【0003】
特許文献1から、ヒートポンプ設備のための低い温度レベルで入力熱エネルギーを供給するための貯槽が知られており、当該ヒートポンプ設備は、このエネルギーを受容し、より高い温度レベルで再び放出する。その場合、貯水槽は、その内部の水が貯水槽を損傷することなく凍結することができ、貯水槽底部にある又は貯水槽底部に埋め込まれた熱交換器システムが、この貯水槽の冷却熱及び凍結熱をヒートポンプの低温側に供給することを可能にするように構成されている。
【0004】
人工的な貯水槽の使用に加えて、自然水域を貯蔵手段として利用することも知られている。例えば、特許文献2から、好ましくは第1の導管を介して水を満たすことが可能な、湖として形成された下位貯水槽の上に浮遊して配置された熱交換器を有するエネルギー貯蔵装置が知られており、当該エネルギー貯蔵装置においては、第2の導管を介して下位貯水槽からの水が、第3の導管を介して熱交換器を貫流した冷媒が、それぞれ別々の回路でヒートポンプに供給可能であり、その結果、下位貯水槽の水の凍結下で又は下位貯水槽の水からの顕熱の形態で、熱交換器を介してエネルギーを取り出すことが可能であり、熱放出及び/又は冷熱放出のために消費者に転送することが可能である。
【0005】
更に、特許文献3から、水域に熱エネルギーを投入すると共に水域から熱エネルギーを抽出するための、浮遊する装置が知られており、当該装置は、当該装置が水域に投入された後に当該水域に沈むと共に、熱伝達流体のための流入口及び流出口を有する熱交換器を有し、当該熱伝達流体は、熱エネルギーを水域に放出するか又は水域から熱エネルギーを抽出することができる。当該装置は、更に空気熱交換器を有し、当該空気熱交換器は、周囲空気によって貫流され得ると共に、水域に由来する水のための入口及び対応する出口を有し、その結果、水域からの水は空気熱交換器を通って流れることができ、熱エネルギーが、空気熱交換器を貫流する周囲空気と空気熱交換器を貫流する水との間で伝達可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第2926610号明細書
【文献】独国特許出願公開第102015104909号明細書
【文献】独国特許出願公開第102015121177号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この従来技術を前提として、本発明者らは、自然水域なしでも使用することができ、更に特に容易に設置することができる、液体貯槽内でのエネルギー伝達及びエネルギー貯蔵のための装置を創作するという課題をここに設定した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。本発明の更なる有利な構成は、それぞれ下位請求項の主題である。これらは、技術的に有意義な方法で、互いに組み合わせることができる。特に図面に関連した説明は、本発明を更に特徴付け、特定する。
【0009】
本発明によれば、液体貯槽内でのエネルギー伝達及びエネルギー貯蔵のための装置であって、前記装置は、床の上に配置された水熱交換器と、前記水熱交換器の上方に配置された空気熱交換器とを有し、前記水熱交換器は、内側シェルによって取り囲まれた液体貯槽内に配置されており、前記内側シェルは、当該内側シェルを前記床から覆う外側シェルに対して、前記装置を境界付けており、前記外側シェルは、少なくとも部分的に地層内に挿入されており、前記装置は、空気入口から空気出口へ前記空気熱交換器を通じて空気流が生成可能であるように、上方へ向かってカバーによって閉鎖されている、装置が創作される。
【0010】
したがって、本発明による装置は、3つのセクションに分割することができ、そのうち、水熱交換器は、液体貯槽内で最下部に配置されている。上部領域には、周囲空気が貫流され得る空気熱交換器が配置されている。この空気熱交換器の上方にはカバーが配置されており、当該カバーは、本発明による装置がカバーに至るまで土壌内に埋没されたとき、例えば住宅の庭において更に利用可能な領域を作り出すよう、相応して構成され得る。典型的には、水熱交換器及び空気熱交換器の活動領域は、水圧ユニットを介してヒートポンプに接続され、典型的には、エネルギー交換のために、グリコール-水混合物によって貫流される。この場合、エネルギー交換は、様々な方法で行うことができる。まず、暖房目的のために、ヒートポンプを介して環境熱を空気熱交換器から取り出すことが可能である。この場合、過剰な環境熱を、同時に水熱交換器内に導入することができる。空気熱交換器から十分な環境熱が暖房目的のために使用可能でない場合、これを水熱交換器から抽出することができる。空気熱交換器からの利用可能な有用な熱は、分流され、貯蔵装置の再生及び充填のために再び水熱交換器に供給され得る。空気熱交換器からの環境熱の抽出に加えて、冷却目的のために空気熱交換器を介して熱を放出することもできる。この場合、部分的に冷熱を分流させ、貯蔵装置の能動的な予備冷却として、水熱交換器に供給することができる。ヒートポンプを介して冷房目的のための熱を空気熱交換器によって放出するために、対応する量の冷熱を水熱交換器からも抽出することができる。最後に、水熱交換器の制約のない予備冷却のため、空気熱交換器を介して制約のない冷熱を放出するために、貯蔵装置の制約のない予備冷却を達成することも可能である。その結果、装置は、有用な熱の発生効率を高めることになる。なぜなら、水熱交換器は、環境熱を、暖かい日から、それほど効率的でない寒い日に移動させることができ、この場合、効率を著しく高めるからである。本発明による装置が、直接的な電気的加熱を実際的に完全に回避するか又はこれを著しく低減させることに留意されたい。建物及び/又は機械を冷却する際、本発明による装置の効果は、更により顕著である。なぜなら、低い熱源温度による日中の冷熱の生成を支援するために、夜間の冷熱が貯蔵装置に提供されるからである。
【0011】
この効率向上に加えて、本発明による装置は、このような設備の設置及び作動を著しく容易にするように実現されている。このために、先ず、土壌内に外側シェルが挿入され、当該外側シェルは、対応する窪みを防止するために、設置中、安定したコアによって支持され得る。液体貯槽は、内側シェルの内部に形成され、コアが除去された後、外側シェルを安定させるために内側シェルを使用することができ、これは、外側シェルが内側シェルを床から覆うことによって達成される。これは、本発明による装置の容易な構築を可能にし、当該装置は、更に、安価に設置することもできる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、水熱交換器と空気熱交換器との間に断熱層が配置されており、断熱層と外側シェルとの間にはシールを取り付けることができ、当該シールは、例えば周囲を取り巻くパッキンリング又は部分的に周囲を取り巻くパッキンリングとして形成することができる。
【0013】
したがって、水熱交換器の領域を空気熱交換器の領域から隔離することが可能であり、水熱交換器、空気熱交換器及び断熱層の組み合わせを、外側シェル内に導入される構造ユニットとして提供することができる。パッキンリングを形成することにより、ユニットが外側シェルに挿入された後、対応する断熱作用を完全なものにすることができる。
【0014】
本発明の更なる実施形態によれば、外側シェルに対して距離を空けて、床の上に取り付けられカバーを支持するスタッドフレームが設けられている。この場合、スタッドフレームは、複数の垂直な支柱から組み立てられることができ、支柱のカバーと対向する側には、カバーの位置を位置合わせするために、調整手段を備え付けることができる。この場合、スタッドフレームには、内側シェルの上端として機能する、少なくとも部分的に周囲を取り巻くリングセグメントを備え付けることができる。内側シェルは、この場合、リングセグメント内に懸架される柔軟なフィルムとして実現することができる。
【0015】
したがって、僅かな構成要素によって装置の機械的に安定した構造が達成され、当該装置内には、空気熱交換器及び水熱交換器を挿入することができ、次いで液体貯槽の液体で満たすことができる。カバーに対向する調整機構は、この場合、床とカバーの所望の位置との間の傾斜角度をある限度内で均一かすることを可能にし、一方、内側シェルは、柔軟なフィルムとして、場合によっては起こり得る起伏に適合する。スタッドフレームは、床の上で容易に組み立てることができ、好ましくは、コンクリート打ちされたベースプレートの形態で実現することができる。これにより、装置を設置するための準備的な地下工事を、大幅に簡略化することができる。カバーはまた、複数部分から成るものとして実現することができ、それに応じて、別個の調整機構を有することができる。
【0016】
本発明の更なる実施形態によれば、空気入口は、カバーの外周に沿ってスリットに形成されている。カバーは、この場合、その中央の空気出口と共に配置することができ、カバーの下方に空気出口に接して送風機を配置することができる。
【0017】
この手順は、簡単な方法で周囲空気を空気熱交換器に供給することを可能にする。冷熱又は熱が空気熱交換器を介して交換された後、空気は、空気出口を介して空気熱交換器の領域を離れ、空気流は、送風機によって生成することができる。
【0018】
特に、カバーに1つ以上の窪みを備え付けることが意図されており、これらの窪みは、植え付け床として土壌で満たされてもよく、又は、泉として水で満たされてもよい。これは、装置の自然に近い外観を作り出すことを可能にし、他の使用ケースでは、カバーを、車両の走行又は人の歩行が可能であるようにすることも可能である。この手順により、例えば、住宅の庭の領域において、装置のために使用可能とされるべき領域が、依然として更に使用され得ることが可能である。
【0019】
液体貯槽では、液体媒体として、典型的には水が導入されるが、他の液体、特にパラフィン化合物などを使用することもできる。本発明によれば、自然水域は問題としていないので、液体媒体の選択は、ここでは水に限定されない。
【0020】
柔軟なものとして実現された内側シェルにより、液体貯槽内の流体力学的圧力は、内側シェルを外側シェルに対して押し付けることができ、これはまた、土壌に対して外側シェルを更に安定化させる。
【0021】
本発明の更なる実施形態によれば、空気熱交換器及び水熱交換器は、それぞれ多数の円形に配置された管と共に実現されており、管は、流入配管及び流出配管を介して接続ユニットに接続されている。この場合、外側シェルは、典型的には水熱交換器と空気熱交換器との間に配置された接続ユニットによって、貫通され得る。
【0022】
したがって、外部シェルが土壌内に導入される際に既に、典型的には建物内にあるヒートポンプの本発明による装置との間の接続を確立することが可能であり、当該接続は、接続ユニットを介して行うことができる。
【0023】
外側シェルと、空気熱交換器及び水熱交換器を含むユニットとが連続的に導入されるので、接続配管を、最初は土壌を通じて接続ユニットまで敷設することができ、その結果、外側シェルの内部の空間は、最初は空いたままである。熱交換器を設置した後、対応する導管が、ここで、内側から接続ユニットに導かれる。ユニットの設置を妨害しないために、これらは、最初は径方向に配置され、次いで対応する接続位置に導かれ得る。
【0024】
特に好ましい実施形態では、空気熱交換器及び水熱交換器は、装置が実質的に円筒形の外形を有するように実現されている。
【0025】
このように構成された装置は、容易に使用場所に輸送することができ、地下工事が完了し、必要に応じて安定化コアが取り除かれた後、迅速に、提供された自由空間内に設置することができる。
【0026】
以下、図面を参照して、いくつかの実施例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2A】本発明の第1の実施形態による、
図1の装置の線A-A’に沿った断面図である。
【
図2B】本発明の第2の実施形態による、
図1の装置の線A-A’に沿った断面図である。
【
図4】
図1の装置の第1の部分の斜視側面図である。
【
図5】
図1の装置の第2の部分の斜視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面において、同一の又は機能的に同様に作用する部材には、同一の参照符号が付されている。
【0029】
図1には、一実施形態において、本発明による装置VOが側面図で示されている。装置VOは、典型的には、当該装置VOによって暖房又は冷房されるべき建物の外側領域に設置される。装置VOの容易な設置を可能にするため、設置すべき底面が最初に提供されるが、ここでは、典型的には床としてコンクリートスラブBPを設けることができる。更に、建物の外側領域において土壌ERが除去され、その結果、ベースプレートBPの上に載置される外側シェルAHを挿入することができる。外側シェルAHを挿入する前に、典型的には、建物内に格納されたヒートポンプへの配管束が敷設され、当該配管束は、以下で更に説明するように、接続ユニットAEを介して装置VOに接続される。外側シェルAHを、材料を節約して構成するために、装置VOが設置されるまで、対応するスペーサを外側シェルAHの内側に挿入するよう計画することができ、当該スペーサは、安定化コアとして作用すると共に、外側シェルAHの膨らみを防止するようになっている。典型的には、外側シェルAHは、その高さに関して、装置VOが、完全に又はほぼ完全に土壌ER内に位置するように形成されている。しかしながら、装置VOの作動のためには、空気入口LEが周囲空気を装置VOの内部に導き、当該周囲空気が空気出口LAを通じて再び放出され得ることが重要である。このために、装置VOは、その上面上に、外側シェルAHの断面をほぼ完全に覆うカバーDEを備えており、少なくとも部分的に空気入口LEとして使用され得る周方向に配置された間隙のみが残されている。
【0030】
図1に示されたカバーDE及び土壌ERの上面は、ほぼ平坦な表面を形成し、外側シェルAHは、典型的には、円形断面を有する円筒の形態に形成されており、その軸方向の高さの全体に亘って土壌ER内に配置されている。しかしながら、他の実施形態では、装置VOが部分的に土壌の上面を越えて突出することができ、その結果、空気入口LEは、円筒形の外側領域によっても実現され得る。この場合は、外側シェルAHの代わりに、例えば、土壌ERの上面とカバーDEとの間に保護格子等が取り付けられるであろう。
【0031】
ここで
図2Aを参照すると、平面A-A’を通る断面図が示されており、当該断面図は、本発明の第1の実施形態による装置VOを詳細に示している。装置VOは、空気熱交換器LW及び水熱交換器WWから構成されており、水熱交換器WWは、内側シェルIHの内部に形成されると共にベースプレートBP上に載置された液体貯槽FRを有する。上方へ向かって、水熱交換器WWは、断熱層ISによって空気熱交換器LWから分離されており、当該断熱層ISは、後に導入されるパッキンリングMAによって、外側シェルAHに対して更に封止されている。したがって、空気熱交換器LW、断熱層IS及び水熱交換器WWから成るユニットを、外側シェルAHの内部に共に導くことが可能であり、事後的に、パッキンリングMAによって、空気熱交換器LWのうち空気入口LEによって貫流される領域と、水熱交換器WWの領域との間の断熱を、達成することができる。空気熱交換器LWは、複数のブロックの形態で配置された複数の金属フィンMLを有する。この場合、フィンは、典型的には、重量軽減の理由からアルミニウムで製作され、一方、フィンを接続する管は、銅から製造することができる。金属フィンMLの周りを周囲空気が流れ、周囲空気は、送風機VEによって空気入口LEを通じてカバーDEの空気出口LAに導かれる。金属フィンMLの対応する流入又は流出配管は、以下で更に説明するように、建物内に配置されたヒートポンプに接続されている。
【0032】
水熱交換器WWは、また、円形に巻かれた第2の管R2を有し、当該第2の管R2は、液体貯槽FRの内部に配置されている。典型的には、液体貯槽FRは水で満たされるが、例えばパラフィン化合物等のような他の液体媒体が除外されることはない。ここでも、対応する導管又は流出配管によって、建物内にあるヒートポンプとの接続が確立され、第1の管R1及び第2の管R2はいずれも、エネルギー伝達又はエネルギー貯蔵を達成するために、典型的には水/グリコール混合物によって貫流される。
【0033】
更に、
図2Aにおいて、カバーDEが多数の窪みESを備えて形成されることが認識され得るが、当該窪みは、例えば住宅の庭において視覚的に好感を与えるデザインを可能にするために、土壌又は水で満たすことができる。しかしながら、カバーDEは、例えば既存の道に適合するために、人の歩行又は車両の走行が可能であるように構成することもできる。
【0034】
図2Bには、平面A-A’を通る断面図が示されており、当該断面図は、本発明の第2の実施形態による装置VOを詳細に示している。装置VOは、ここでも、空気熱交換器LW及び水熱交換器WWから構築されている。
図2Aの実施形態とは対照的に、空気熱交換器LWは、周囲空気が周りを流れる多数の第1の管R1を有し、周囲空気は、送風機VEによって空気入口LEを通じてカバーDEの空気出口LAに導かれる。第1の管R1の対応する流入又は流出配管は、建物内にあるヒートポンプに接続される。第1の管R1は、例えばプラスチックから製作することができる。
【0035】
図2A又は2Bの図示は寸法指示を含まないが、それにもかかわらず、2つ装置VOが、それらのサイズにおいて異なることが、認識され得る。一般に、装置VOの本発明による構造によって、蓄熱器の性能又は設計を、狙いを定めて変更又は適合させることができる。そのために、エネルギー貯蔵装置の直径及び高さの両方を変更することができる。更に、空気熱交換器LW及び水熱交換器WWの配置又は設計によって、適合を達成することができる。
【0036】
空気熱交換器LWの構成にかかわらず、水熱交換器WWの液体貯槽FRが充填された後、内側シェルIHが柔軟な構成に起因して外側シェルAHの方向に押し付けられるようにすることができ、これにより、周囲の土壌ERに対する外側シェルAHの付加的な安定化が達成される。既に述べたように、装置全体は、外側シェルAHがベースプレートBP上に設けられた後、
図3を参照して以下でより詳細に説明するように、実質的に1つの作業ステップで挿入可能である。
【0037】
図3は、装置VOの斜視側面図を示し、ここでは、装置VOは、周囲の土壌又は外側シェルAHが無い状態で示されている。機械的な安定化を達成するためにスタッドフレームSWが設けられ、当該スタッドフレームSWは第一に基体GKを有し、当該基体GKは、ベースプレートBP上に例えば星形に配置することができると共に、それぞれ外側で垂直な支柱STに通じており、当該支柱STは、ベースプレートBPから外側シェルAHの全体に沿って延びると共に、その上端に調整手段VMが設けられており、当該調整手段VMは、支柱STとカバーDEとの長さに関して調整可能な接続を生成し、その結果、カバーDEは、例えば所望の水平方向位置に位置合わせすることができ、これは、水平方向の位置合わせと比較して僅かなずれがベースプレートBPに生じた場合に、特に有利である。更に、別個の内側カバーの高さが調整可能であってもよく、これは、共に又は互いに別個に行うことができる。リングセグメントRSが、水熱交換器WWの末端を形成し、当該リングセグメントRSは、個々の支柱STを周方向で互いに接続し、したがって、スタッドフレームSWの付加的な支持も提供する。上述した安定化外側シェルAHを、内側シェルIHの内部の静水圧に基づいて達成するため、リングセグメントRS内に、柔軟なフィルムの形態の内側シェルIHが懸架されている。内側シェルIHとしてのフィルムのリングセグメントRSへの固定は、様々な方法で行うことができ、懸架に加えて、他の形状結合又は摩擦結合の可能性も考慮に値する。更に、
図3から、断熱層ISが、支柱STの近くの領域を除いて、空気熱交換器LWを水熱交換器WWから隔離し、それによって、既に上述したように、依然として残された周縁領域が、パッキンリングなどによって封止され得ることが見て取れる。
図3に示された装置は、実質的に完全に外側シェルAH内に挿入することができ、その結果、液体貯槽FRが例えば水で満たされ、第1のパイプR1及び第2のパイプR2がヒートポンプに接続された後、装置VOは作動可能な状態であろう。
【0038】
スタッドフレームSW又は支柱STは、また、水熱交換器WWのために、当該水熱交換器の第2の管R2の個々の配管系のマニホールドの機能を果たし、したがって、支持体としての、及び、個々の管R2への流体の供給又は戻りとしての、両方の機能を果たす。このような機能は、
図2Bによる実施形態が選択される限り、空気熱交換器LWにも引き継ぐことができる。
【0039】
図4には、スタッドフレームSW、カバーDE及び内側シェルIHの構造が、ここでも空気熱交換器LW及び水熱交換器WWを形成する構成要素なしで、示されている。特に、このようなエネルギー伝達装置又はエネルギー貯蔵装置の製造コストを大幅に低減する、単純であるにもかかわらず安定した構造が、作り出され得ることが分かる。
【0040】
図5には、構造を再び詳細に説明するために、部分的に破断図示された土壌ERを用いる別の図が示されている。
【0041】
接続配管ALが、ヒートポンプへの接続を作り出す接続ユニットAEに導かれていることが分かる。接続ユニットAEは、その内側で、対応する接続部を介してて第1の管R1及び第2の管R2と接続される。このために、接続配管は、先ず径方向において既に予め組み立てられた状態で装置に取り付けられ、その結果、装置VOを外側シェルAH内に挿入した後は、接続ユニットAEへの接続が作り出されるだけでよい。このようにして、設置に必要な作業の大幅な削減が可能であり、これにより、本発明による装置のコストを更に削減することができる。別の重要な特性は、完全なエネルギー貯蔵装置(場合によっては外側シェルAHをも伴う)を工場で予め組み立て、次いでユニットとして出荷し設置することができることである。
【0042】
装置VOの形状は、底面に対して、図示のように円形にも多角形にも、実現することができる。楕円等の他の形状が除外されることはない。
【0043】
上記及び特許請求の範囲で提示された特徴、並びに、図面から見て取ることができる特徴は、有利には、個別に及び様々な組み合わせで実現可能である。本発明は、記載された実施例に限定されず、当業者の能力の範囲内で多くの方法で変更可能である。