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特許7116281情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20220803BHJP
   G06Q 10/10 20120101ALI20220803BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/10 300
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018126259
(22)【出願日】2018-07-02
(65)【公開番号】P2020008890
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】518075554
【氏名又は名称】スタジオアンビルト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】森下 敬司
(72)【発明者】
【氏名】山川 紋
【審査官】田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-092041(JP,A)
【文献】特開2002-342617(JP,A)
【文献】特開2009-076067(JP,A)
【文献】特開2002-197303(JP,A)
【文献】特開2005-031973(JP,A)
【文献】特開2006-215760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の間取り図の設計を依頼する依頼情報をユーザから取得する第1取得部と、
予め登録されている複数の設計者に前記依頼情報を送信する第1送信部と、
前記複数の設計者夫々が作成した前記間取り図を取得する第2取得部と、
取得した前記間取り図が所定条件に合致するか否かを判定する判定部と、
前記所定条件に合致すると判定した前記間取り図を前記ユーザ宛に送信する第2送信部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ユーザ宛に送信した複数の前記間取り図から、いずれかの前記間取り図を選択する選択入力を受け付ける受付部と、
選択された前記間取り図の前記設計者に対する報酬の支払処理を行う支払処理部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
選択された前記間取り図に係る建築物の建築の見積依頼を所定の施工業者に送信する第3送信部と、
前記見積依頼に対して前記施工業者が作成した見積書を取得する第3取得部と、
前記見積書を前記ユーザ宛に送信する第4送信部と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記依頼情報及び間取り図から特定される前記建築物の建築条件に基づき、前記ユーザと前記施工業者とのマッチングを行うマッチング部を備え、
前記第3送信部は、マッチングした前記施工業者に対して前記見積依頼を送信する
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記支払処理部は、
前記間取り図の設計依頼に伴い前記ユーザが負担する料金の支払いを受け付け、
前記ユーザから支払われる料金の金額に所定額を加算した金額を前記設計者に支払う処理を行う
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記受付部は、複数の前記間取り図を順位付けする入力を受け付けることで、前記間取り図の選択入力を受け付け、
前記判定部は、前記設計者が過去に作成した前記間取り図の順位に基づき、前記設計者が作成した前記間取り図が前記所定条件に合致するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2取得部が取得した前記間取り図を記憶する記憶部と、
前記記憶部を参照して、前記複数の設計者夫々が過去に作成した前記間取り図の一覧を出力する出力部と
を備え、
前記受付部は、出力した前記間取り図の一覧から選択を受け付ける
ことを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記出力部が出力した前記間取り図に対する評価入力を前記ユーザから受け付ける受付部と、
前記ユーザが評価した前記間取り図に応じて、該ユーザの傾向を分析する分析部と
を備え、
前記判定部は、分析した傾向に基づき判定を行う
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記依頼情報は、前記間取り図の設計条件に関する複数の入力項目を含み、
前記判定部は、前記間取り図が充足する前記入力項目の数に応じて判定する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1取得部が取得した前記依頼情報の一部又は全部を変換する変換部を備え、
前記第1送信部は、前記変換部が変換した前記依頼情報を前記設計者に送信する
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第1取得部は、前記建築物の建築予定地に関連する画像又は所在情報を取得し、
前記画像又は所在情報に基づき、前記建築予定地に関する敷地情報を取得する第4取得部を備え、
前記第1送信部は、前記依頼情報に加え前記敷地情報を前記設計者に送信する
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記設計者に関連する情報を記憶する第2記憶部と、
前記依頼情報と、前記設計者に関連する情報とに基づき、前記依頼情報を送信する前記設計者を前記複数の設計者から抽出する抽出部と
を備え、
前記第1送信部は、抽出した前記設計者に前記依頼情報を送信する
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
建築物の間取り図の設計を依頼する依頼情報をユーザから取得し、
予め登録されている複数の設計者に前記依頼情報を送信し、
前記複数の設計者夫々が作成した前記間取り図を取得し、
取得した前記間取り図が所定条件に合致するか否かを判定し、
前記所定条件に合致すると判定した前記間取り図を前記ユーザ宛に送信する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理方法。
【請求項14】
建築物の間取り図の設計を依頼する依頼情報をユーザから取得し、
予め登録されている複数の設計者に前記依頼情報を送信し、
前記複数の設計者夫々が作成した前記間取り図を取得し、
取得した前記間取り図が所定条件に合致するか否かを判定し、
前記所定条件に合致すると判定した前記間取り図を前記ユーザ宛に送信する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅を始めとする建築物の設計、施工等を依頼するに当たり、依頼主であるユーザを支援する種々のシステムが提案されている。例えば特許文献1では、住宅の建築を検討しているユーザ向けに、Webサイト上で種々の情報入力を行って住宅の建築プランを作成し、作成した建築プランに基づいて概算費用見積を作成し、建築予定地の現地調査、資金計画の妥当性判断、設計図面の作成等の依頼を受け付ける住宅受注支援システムが開示されている。特許文献1によれば、住宅メーカ等の営業担当者が顧客からヒアリングを行って建築プランを作成するサービスがWebブラウザ上で行われるため、営業活動を低減可能となり、安価で高品質な住宅を提供可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-78442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る発明は住宅メーカ側の労力を低減することを主たる目的としており、ユーザは質の高い建築プランを作成することができるとは限らない。特にユーザは間取り図を参考に建築を検討する場合が多いが、特許文献1に係る発明はパターン化された間取り図を出力するに過ぎない。
【0005】
一つの側面では、質の高い間取り図を供与することができる情報処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの側面では、情報処理装置は、建築物の間取り図の設計を依頼する依頼情報をユーザから取得する第1取得部と、予め登録されている複数の設計者に前記依頼情報を送信する第1送信部と、前記複数の設計者夫々が作成した前記間取り図を取得する第2取得部と、取得した前記間取り図が所定条件に合致するか否かを判定する判定部と、前記所定条件に合致すると判定した前記間取り図を前記ユーザ宛に送信する第2送信部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、質の高い間取り図を供与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】間取り図発注システムの構成例を示す模式図である。
図2】サーバの構成例を示すブロック図である。
図3】ユーザDB、設計者DB、施工業者DB、及び間取り図DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図4】実施の形態1の概要を示す説明図である。
図5】依頼情報の入力画面例を示す説明図である。
図6】資料画像の一例を示す説明図である。
図7】間取り図表示画面の一例を示す説明図である。
図8】サーバが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9】依頼情報取得のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
図10】間取り図の一覧画面の一例を示す説明図である。
図11】実施の形態2に係るサーバが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図12】実施の形態3に係るサーバが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、間取り図発注システムの構成例を示す模式図である。本実施の形態では、住宅の間取り図の設計依頼を受け付ける間取り図発注システムであって、コンペティション(以下では「コンペ」と呼ぶ)形式で多数の設計者に間取り図の設計を依頼し、ユーザが選択した間取り図の設計者に報酬を支払う間取り図発注システムについて説明する。間取り図発注システムは、情報処理装置1、ユーザ端末2、2、2…、及び設計者端末3、3、3…を有する。各装置は、インターネット等のネットワークNを介して通信接続されている。
【0010】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータ等である。本実施の形態で情報処理装置1はサーバ装置であるものとし、以下の説明では便宜上サーバ1と読み替える。サーバ1は、本システムを管理する管理装置であり、ユーザから間取り図の設計依頼を受け付け、例えば建築士、デザイナ等の設計者に間取り図の設計を依頼する。具体的には、サーバ1はコンペ形式での間取り図の設計依頼を行う。詳細は後述するように、サーバ1は複数の設計者に対して間取り図の設計依頼を行い、各設計者から間取り図を取得してユーザに転送する。ユーザは、各設計者の間取り図から気に入った間取り図を入賞作品として選択し、選択した間取り図の設計者に対して報酬を支払う。このように、コンペ形式で多数の間取り図を集めることで、間取り図の品質を確保する。
【0011】
ユーザ端末2は、ユーザが操作する端末装置であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。各ユーザは本システムの会員として登録してあり、ユーザ端末2は本システムにログインして間取り図の設計依頼を行い、各設計者が作成した間取り図を取得して入賞作品の選択を行う。
【0012】
設計者端末3は、間取り図を作成する建築士、デザイナ等の設計者が操作する端末装置であり、例えばパーソナルコンピュータ、多機能端末等の情報処理装置である。設計者もユーザと同様、本システムのメンバーとして登録してある。設計者端末3はサーバ1からユーザの設計依頼に関する情報を取得し、設計者が作成した間取り図をサーバ1に返信する。
【0013】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、主記憶部12、通信部13、補助記憶部14を備える。
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有し、補助記憶部14に記憶されたプログラムPを読み出して実行することにより、サーバ1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の一時記憶領域であり、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部13は、通信に関する処理を行うための処理回路等を含み、外部と情報の送受信を行う。
【0014】
補助記憶部14は大容量メモリ、ハードディスク等であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP、その他のデータを記憶している。また、補助記憶部14は、ユーザDB141、設計者DB142、施工業者DB143、及び間取り図DB144を記憶している。ユーザDB141は、間取り図の設計依頼を行うユーザの情報を格納するデータベースである。設計者DB142は、間取り図を作成する設計者の情報を格納するデータベースである。施工業者DB143は、本システムの管理者と提携する所定の施工業者の情報を格納するデータベースである。詳しくは後述するように、ユーザが入賞作品とする間取り図を選択した場合、サーバ1は、住宅建築を担う施工業者をユーザに紹介する。施工業者DB143は、施工業者として登録してある複数の業者の情報を記憶している。間取り図DB144は、設計者が作成した間取り図の情報を記憶するデータベースである。
【0015】
なお、補助記憶部14はサーバ1に接続された外部記憶装置であってもよい。また、サーバ1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであってもよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0016】
また、本実施の形態においてサーバ1は上記の構成に限られず、例えば可搬型記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部、操作入力を受け付ける入力部、画像を表示する表示部等を含んでもよい。
【0017】
図3は、ユーザDB141、設計者DB142、施工業者DB143、及び間取り図DB144のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
ユーザDB141は、ユーザID列、氏名列、アカウント列、属性情報列、依頼情報列、間取り図列を含む。ユーザID列は、各ユーザを識別するための識別情報を記憶している。氏名列は、ユーザIDと対応付けて、ユーザの氏名を記憶している。アカウント列は、ユーザIDと対応付けて、ユーザのアカウント情報を記憶している。属性情報列は、ユーザIDと対応付けて、性別、年齢等のユーザの属性情報を記憶している。依頼情報列は、ユーザIDと対応付けて、ユーザが行った間取り図の設計依頼に関する依頼情報を記憶している。例えば依頼情報列には、個々の設計依頼毎に割り与えられた依頼IDと対応付けて、後述するユーザのライフスタイル情報、建築予定地の敷地情報、建築予定の住宅の建築に伴う希望条件を規定する住宅情報、住宅内の間取りの希望条件を規定する間取り情報が格納されている。間取り図列は、ユーザID及び依頼IDと対応付けて、ユーザの設計依頼に対して作成された間取り図であって、コンペにおいてユーザが入賞作品として選択した間取り図の識別情報を記憶している。
【0018】
設計者DB142は、設計者ID列、氏名列、アカウント列、プロフィール列、実績列を含む。設計者ID列は、各設計者を識別するための識別情報を記憶している。氏名列は、設計者IDと対応付けて、設計者の氏名を記憶している。アカウント列は、設計者IDと対応付けて、設計者のアカウント情報を記憶している。プロフィール列は、設計者IDと対応付けて、設計者のプロフィール情報を記憶している。プロフィール列には、設計者が自らのプロフィールとして登録した情報が格納され、例えば設計者の職種、建築物の設計に関する専門分野、パーソナルコンピュータの操作スキル等の情報が格納されている。実績列は、設計者IDと対応付けて、コンペにおける設計者の入賞実績が格納されている。例えば実績列には、後述するようにユーザがコンペ時に付与する順位が格納されている。
【0019】
施工業者DB143は、業者ID列、名称列、プロフィール列を含む。業者ID列は、各施工業者を識別するための識別情報を記憶している。名称列は、業者IDと対応付けて、施工業者の名称を記憶している。プロフィール列は、業者IDと対応付けて、施工業者のプロフィール情報を記憶している。プロフィール列には、施工業者のプロフィールとして登録した情報が格納され、例えば施工業者の業態、請負可能な建築物の予算規模、得意とする建築分野(住宅の建築構造)、営業地域等の情報が格納されている。
【0020】
間取り図DB144は、間取り図ID列、依頼者列、設計者列、施工業者列、間取り図列を含む。間取り図ID列は、ユーザからの依頼を受けて設計者が作成した各間取り図を識別するための識別情報を記憶している。依頼者列は、間取り図IDと対応付けて、間取り図の設計依頼を行ったユーザのユーザIDを記憶している。設計者列は、間取り図IDと対応付けて、間取り図を作成した設計者の設計者IDを記憶している。施工業者列は、間取り図IDと対応付けて、間取り図を元にした住宅建築を請け負う施工業者の業者IDを記憶している。間取り図列は、間取り図IDと対応付けて、設計者が作成した間取り図の詳細なデータを記憶している。例えば間取り図列には、間取り図の画像データのほかに、建築予定地の所在地、間取り図で設計された住宅の建築構造等、種々のデータが格納されている。
【0021】
図4は、実施の形態1の概要を示す説明図である。図4では、サーバ1がユーザからコンペ開催料の支払いを受けてコンペを開催し、設計者が間取り図を作成してコンペに応募する様子を概念的に図示している。以下では本実施の形態の概要について説明する。
【0022】
まずサーバ1は、住宅の間取り図の設計を依頼するユーザのユーザ端末2から、コンペ開催の申込を受け付ける。例えばサーバ1は、所定の金融口座を介して、コンペ開催料の名目で間取り図の設計依頼に伴う料金の支払い(入金)を受け付ける。なお、コンペ開催料はコンペ実施後の後払いであっても良いことは勿論である。コンペ開催料が支払われた場合、サーバ1は設計依頼を受け付ける。
【0023】
サーバ1は、後述の入力画面(図5参照)を介して、間取り図の設計を依頼するための依頼情報の入力をユーザ端末2から受け付ける。依頼情報は、例えばユーザのライフスタイルに関するライフスタイル情報、住宅の建築予定地に関する敷地情報、住宅の建築設計の希望条件に関する住宅情報、住宅内の間取り設計の希望条件に関する間取り情報などである。入力する各依頼情報について、詳細は後述する。
【0024】
サーバ1は、ユーザ端末2で入力された依頼情報を、設計者DB142に登録されている各設計者の設計者端末3に送信する。設計者は当該依頼情報を元に、間取り図を作成する。設計者端末3は、設計者が作成した間取り図のデータをサーバ1に送信する。
【0025】
サーバ1は、各設計者の設計者端末3から間取り図のデータを取得する。そしてサーバ1は、各設計者が作成した間取り図のデータをユーザ端末2に送信する。ユーザは各設計者の間取り図から、気に入った間取り図を選択する。これによりユーザは、自らが催したコンペの入賞作品を決定する。
【0026】
入賞作品として選択された間取り図を作成した設計者には、コンペの入賞賞金として報酬が支払われる。例えばサーバ1は、コンペ開催料としてユーザから支払われた料金に、所定額を加算した代金を設計者宛に支払う支払処理を行う。コンペ開催料に加算される代金は、後述するように施工業者から成約手数料として支払われる代金の一部であってもよい。支払処理は、支払いに関する処理をいい、代金を送金する指示の処理の他、支払いに関する情報の出力の処理、支払いに関する書類を作成する処理などが含まれる。
【0027】
ユーザが間取り図を選択した場合、サーバ1は、住宅を建築する所定の施工業者をユーザに紹介する。施工業者は、例えば住宅メーカ、設計事務所、工務店等であるが、その業務形態は特に限定されない。本システムでは複数の施工業者と提携しており、各施工業者の情報が施工業者DB143に格納されている。
【0028】
施工業者をユーザに紹介する場合、サーバ1は、コンペ開催時にユーザが入力した依頼情報と、入賞作品としてユーザが選択した間取り図のデータとを元に、建築する住宅の建築条件を抽出し、建築条件に適合した施工業者を施工業者DB143から抽出するマッチング処理を行う。マッチングの基準となる建築条件は、例えばユーザの予算、建築予定地の所在地域、住宅の建築構造等であるが、これらに限定されない。サーバ1は、ユーザの希望条件を規定する依頼情報と、実際に採用された間取り図のデータとから、建築条件に関する各種情報を抽出する。サーバ1は、抽出した建築条件に適合する施工業者を施工業者DB143から抽出する。例えばサーバ1は、予算規模がマッチし、住宅の建築予定地を営業地域としており、建築する住居の建築構造を得意分野とする施工業者を抽出する。
【0029】
サーバ1は、抽出した施工業者をユーザに紹介する。具体的には、サーバ1は、抽出した施工業者に対して間取り図などのデータを送信し、住居の建築費用の見積依頼を行う。施工業者は、間取りなどのデータから見積書を作成し、サーバ1に返信する。サーバ1は見積書をユーザ端末2に送信し、施工業者をユーザに紹介する。
【0030】
ユーザは見積書を参考に施工業者と連絡を取り、両者は契約を交わして住宅建築に着工する。成約に至った場合、施工業者は所定の成約手数料を本システムの管理者に支払う。サーバ1は、施工業者から支払われる成約手数料を原資に、コンペ開催料に所定額を加算した報酬額を設計者に対して支払う。
【0031】
図5は、依頼情報の入力画面例を示す説明図である。図5Aは、ライフスタイル情報を入力するための入力画面である。図5Bは、敷地情報を入力するための入力画面である。図5Cは、住宅情報を入力するための入力画面である。図5Dは、間取り情報を入力するための入力画面である。ユーザ端末2はサーバ1と通信を行い、図5A~Dに示す各入力画面を順次表示する。図5に示すように、入力画面は複数の入力項目を含み、プルダウン等の入力形式で各入力項目に対応する依頼情報の入力を受け付ける。
【0032】
ライフスタイル情報は、ユーザのライフスタイルに関する情報であり、住宅内でのユーザ及びユーザの家族(あるいは同居者等)の生活パターンに関する情報である。ライフスタイル情報は、例えば食事、炊事、リビングでの過ごし方、洗濯、来客の頻度などであり、住居内でのユーザ及び家族の行動について、間取り設計の際に設計者が参考にし得る情報である。ユーザ端末2は、図5Aの入力画面を介してライフスタイル情報の入力を受け付ける。
【0033】
敷地情報は、住宅を建築する建築予定地の所在地、敷地面積等の情報である。本実施の形態でサーバ1は、図5Bの入力画面において建築予定地の住所(所在)を所在情報として入力させると共に、リンク51への操作入力に応じて、建築予定地の土地資料として所定の資料画像のアップロードを受け付ける。資料画像は、例えば地積測量図のような測量図、あるいは不動産会社が作成した土地(不動産)の販売チラシなどの画像データであり、建築予定地の地積、建蔽率、容積率など、住宅の建築設計に必要な敷地情報を抽出可能な画像データである。
【0034】
なお、入力画面で入力させる所在情報は住所に限定されず、例えば土地の所在を登記上示す地番等であってもよい。
【0035】
図6は、資料画像の一例を示す説明図である。図6Aでは測量図を、図6Bでは販売チラシをそれぞれ概念的に図示している。サーバ1は、測量図、販売チラシ等をユーザ端末2で撮像した撮像画像、あるいは測量図等の電子データのアップロードを受け付ける。
【0036】
測量図は、例えば地積測量図であり、土地の見取り図に加えて、土地の形状、地積等に係る詳細な測量結果が記載された図面である。なお、測量図は地積測量図と呼ばれるものに限定されず、住宅の建築設計の際に必要な情報が抽出され得る測量図面であればよい。
【0037】
測量図の画像のアップロードを受け付けた場合、サーバ1は当該画像から、建築予定地の地積、建蔽率、容積率、方位、周辺の道路幅等の情報を抽出する。例えば地積、建蔽率、容積率等の情報を抽出する場合、サーバ1は画像に対して文字認識を行い、測量図に記載されている求積表からこれらの情報を抽出する。また、例えばサーバ1は画像解析を行い、方位、周辺の道路幅等の情報を抽出する。
【0038】
また、サーバ1は図6Bに例示する販売チラシから敷地情報を抽出してもよい。多くの販売チラシには測量図と同様に地積、建蔽率、容積率等の情報が記載されており、サーバ1は各種情報を抽出することができる。
【0039】
なお、測量図等の資料画像において必要な情報が記載されていない場合、あるいはユーザが測量図等の土地資料を持っておらず、資料画像がアップロードされない場合、サーバ1は建築予定地の所在情報を元に、外部のAPI(Application Programmable Interface)を用いて検索を行い、敷地情報を取得する。例えばサーバ1は、官公庁、民間企業等の団体が提供する登記情報の検索エンジンを利用して敷地情報を取得する。
【0040】
図5に戻って説明を続ける。ユーザ端末2は、図5Cの入力画面を介して住宅情報の入力を受け付ける。住宅情報は、住宅の設計に際して設計者が参考にし得る情報であり、例えば住宅(建築物)の延べ床面積、建築予算、階数などの情報である。図5Cの入力画面では、設計する住宅の概要的な点について、ユーザの希望条件の入力を受け付ける。
【0041】
ユーザ端末2は、図5Dの入力画面を介して間取り情報の入力を受け付ける。間取り情報は、住宅内の間取りに関するユーザの希望条件であり、例えば間取りの好み、部屋数、間取り空間(LDKなどの情報)、リビングやキッチン等の個別空間の好みなどである。図5Dの入力画面では、住宅内の間取りについてユーザの希望条件の入力を受け付ける。
【0042】
ユーザ端末2は、図5A~Dの入力画面を順次表示し、ライフスタイル情報、敷地情報等の各項目について入力を受け付ける。入力完了後、ユーザ端末2は依頼情報をサーバ1に送信する。
【0043】
サーバ1は、ユーザ端末2から取得した依頼情報を設計者端末3に転送(送信)する。この場合にサーバ1は、依頼情報をそのまま転送してもよいが、依頼情報の一部又は全部を設計者向けに変換して転送すると好適である。図5で例示したように、入力画面ではユーザが自ら情報を入力するため、平易な表現で表されている。サーバ1はこの依頼情報の表現(文言)を、建築士、デザイナ等の専門家向けに、建築用語に変換した上で送信する。
【0044】
例えばサーバ1は所定のコンペ開催期間を設け、当該期間中に設計者から間取り図の応募を受け付ける。サーバ1は設計者端末3から取得した間取り図のデータを間取り図DB144に記憶すると共に、ユーザ端末2に転送する。
【0045】
この場合にサーバ1は、ユーザに提供する間取り図の品質を確保するため、コンペに応募可能な間取り図として所定の条件を設け、条件に合致する間取り図のみユーザ端末2に送信する。
【0046】
例えばサーバ1は、ユーザ端末2から取得した依頼情報と間取り図とを比較し、ユーザの依頼に合致する間取り図であるか否かを判定する。具体的には、サーバ1は、図5の入力画面において依頼情報として入力された入力項目のうち、間取り図が充足する入力項目の数に応じて判定を行う。図5Dの入力画面で入力される間取り情報を例にした場合、上述の如く、サーバ1は住宅の部屋数、間取り空間等の入力項目について入力を受け付ける。サーバ1は、設計者端末3から取得した間取り図を各入力項目において入力されたデータと比較し、各入力項目を充足するか否かを判定する。例えばサーバ1は、間取り図に対して画像解析を行って部屋数、間取り空間等の情報を抽出してもよく、設計者端末3を介して設計者本人から各入力項目に対応する間取り図の情報を入力させてもよい。
【0047】
サーバ1は、間取り図の設計条件として入力された各入力項目について充足の有無を判定し、間取り図が充足する入力項目の数をカウントする。そしてサーバ1は、依頼情報を充足する入力項目の数に応じて、応募条件に合致するか否かを判定する。例えばサーバ1は、依頼情報を充足する入力項目の数が所定数以上である場合、条件に合致すると判定する。なお、例えばサーバ1は、依頼情報を充足しない入力項目の数を基準にして、非充足の入力項目が多い場合に条件を満たさないものと判定してもよい。
【0048】
また、サーバ1は上記の条件に加え、後述するように設計者が過去のコンペで獲得した順位に基づき、当該設計者が新たに作成した間取り図が条件に合致するか否かを判定する。具体的には、サーバ1は過去のコンペの順位から、所定の順位以下しか獲得したことがない設計者の間取り図は、条件に合致しないものと判定する。順位に基づく判定処理については後述する。
【0049】
図7は、間取り図表示画面の一例を示す説明図である。図7に示すように、ユーザ端末2は各設計者が作成した間取り図を表示する。
【0050】
例えばユーザ端末2は、設計者が作成した間取り図の画像のほか、設計者名、建築面積、延べ床面積、設計者からのコメント等を表示する。なお、間取り図と共に表示するこれらの情報は例示であって、ユーザ端末2は少なくとも間取り図を表示可能であればよい。
【0051】
ユーザ端末2は、各設計者が作成した間取り図から、いずれかの間取り図を入賞作品として選択する。具体的には、ユーザ端末2は、各設計者の間取り図をランキング形式で順位付けする入力を受け付ける。例えばユーザ端末2は、全ての間取り図に対して順位の入力を受け付ける。あるいはユーザ端末2は、上位とする所定数(例えば上位3件)の間取り図のみ順位の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0052】
例えばユーザ端末2は、最上位の間取り図を入賞作品として選択する。その後の処理については既に説明したように、サーバ1は選択された間取り図の設計者に対する報酬の支払いを行う。また、サーバ1は施工業者とのマッチングを行い、見積依頼を施工業者に送信して見積書を取得し、ユーザ端末2に送信する。
【0053】
また、サーバ1は上記で入力された間取り図の順位を、間取り図を作成した設計者の設計者IDと対応付けて、設計者のコンペ実績として設計者DB142に記憶する。既に触れたように、新たにコンペが開催された場合、サーバ1は当該順位を参照して、各設計者が作成した間取り図は条件に合致するか否かを判定する。例えばサーバ1は、設計者が過去のコンペで獲得した順位を参照して、所定以下の順位しか獲得したことがない設計者の間取り図は条件に合致しないものと判定する。これにより、低品質の虞がある間取り図はコンペの応募対象から除外することができる。
【0054】
図8は、サーバ1が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。図8に基づき、サーバ1が実行する処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、住宅の間取り図の設計を依頼する依頼情報をユーザ端末2から取得するサブルーチンを実行する(ステップS11)。具体的には上述の如く、サーバ1は図5で例示した入力画面を介して間取り図の作成に必要な種々の情報の入力を受け付ける。依頼情報は、例えばユーザのライフスタイル情報、建築予定地に関する敷地情報、住宅の建築設計の希望条件に関する住宅情報、住宅内の間取り設計の希望条件に関する間取り情報などである。また、サーバ1は依頼情報の取得時に、併せてコンペ開催に伴う開催料の支払を受け付ける。
【0055】
制御部11は、取得した依頼情報の一部又は全部を設計者向けに変換する(ステップS12)。制御部11は、変換した依頼情報を、設計者DB142に登録されている複数の設計者それぞれの設計者端末3に送信する(ステップS13)。
【0056】
制御部11は設計者端末3から、設計者が作成した間取り図のデータを取得する(ステップS14)。制御部11は、取得した間取り図が、間取り図の品質を確保するために規定された所定条件に合致するか否かを判定する(ステップS15)。ステップS15で判定基準とする条件は、例えば依頼情報に含まれる入力項目を充足する数、過去のコンペにおける設計者の順位などである。所定条件に合致すると判定した場合(S15:YES)、制御部11は間取り図をユーザ端末2に送信する(ステップS16)。条件に合致しないと判定した場合(S15:NO)、制御部11はステップS16をスキップし、間取り図を送信しない。
【0057】
制御部11は、所定のコンペ開催期間が終了したか否かを判定する(ステップS17)。コンペ開催期間が終了していないと判定した場合(S17:NO)、制御部11は処理をステップS14に戻す。コンペ開催期間が終了したと判定した場合(S17:YES)、制御部11は、ユーザ端末2に送信した複数の間取り図から、いずれかの間取り図を選択する選択入力を受け付ける(ステップS18)。すなわち制御部11は、コンペの入賞作品とする間取り図の選択を受け付ける。制御部11は、選択された間取り図の設計者に対して報酬を支払う支払処理を実行する(ステップS19)。具体的には、制御部11は、コンペ開催料としてユーザから支払われる料金に、成約手数料の一部に相当する所定額を上乗せした代金を報酬として支払う。
【0058】
制御部11は、ユーザからの依頼情報と、実際に選択された間取り図とから規定される住宅の建築条件に基づき、ユーザと施工業者とのマッチングを行う(ステップS20)。マッチング基準となる建築条件は、例えばユーザの希望予算、建築予定地の所在地、建築予定の住宅の構造などである。制御部11は、マッチングした施工業者に見積依頼を送信する(ステップS21)。制御部11は、施工業者から見積書を取得し、ユーザ端末2へ転送して、施工業者をユーザに紹介する(ステップS22)。制御部11は、一連の処理を終了する。
【0059】
図9は、依頼情報取得のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。図9に基づき、ステップS11のサブルーチンの処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11はまず、コンペ開催料の名目で、間取り図の設計依頼に伴う料金の支払いをユーザから受け付ける(ステップS41)。ステップS41で受け付ける料金の支払いは、料金の支払いがされたことを内容とする情報を受信することを含む。料金の支払いを受け付けた場合、制御部11は、依頼情報を入力するための入力画面をユーザ端末2に出力する(ステップS42)。例えば制御部11は、上述のライフスタイル情報、敷地情報、住宅情報、間取り情報をそれぞれ入力するための各入力画面を順々に出力していく。ステップS42ではまず、制御部11はライフスタイル情報の入力画面を出力する。
【0060】
制御部11は入力画面を介して、依頼情報の入力をユーザ端末2から受け付ける(ステップS43)。具体的には図5で示したように、制御部11は入力画面においてプルダウン等の入力形式で、各条件項目に対する依頼情報の入力を受け付ける。また、制御部11は敷地情報に関して入力を受け付ける場合、建築予定地の地積等が記載されている資料画像のアップロード、及び建築予定地の所在を示す所在情報の入力を受け付ける。資料画像は、例えば地積測量図、土地(不動産)の販売チラシ等であり、建築予定地の地積、建蔽率、容積率等が記載されている資料である。所在情報は、建築予定地の住所、地番等の情報である。制御部11は、資料画像から上記の各種情報を抽出する。また、上記の情報が資料画像に記載されておらず、抽出不可能である場合、制御部11は所在情報を元に外部APIから敷地情報を取得する。
【0061】
制御部11はユーザからの操作入力に従い、次頁へ遷移するか否かを判定する(ステップS44)。次頁へ遷移しないと判定した場合(S44:NO)、制御部11は処理をステップS43に戻す。次頁へ遷移すると判定した場合(S44:YES)、制御部11は、既に最終頁であるか否かを判定する(ステップS45)。最終頁でないと判定した場合(S45:NO)、制御部11は、入力画面を次頁に遷移させ(ステップS46)、処理をステップS43に戻す。最終頁であると判定した場合(S45:YES)、制御部11はサブルーチンをリターンする。
【0062】
なお、上記では間取り図を作成する建築物が住宅であるものとして説明したが、住宅以外の用途の建築物であってもよい。また、上記では住宅を新築する場合について説明したが、本システムを住宅の改築、改修に応用してもよい。
【0063】
以上より、本実施の形態1によれば、複数の設計者に対して間取り図の設計依頼を行い、各設計者が作成した間取り図をユーザに提供する。特に間取り図の品質を確保するため、設計者が作成した間取り図が所定条件に合致するか否かを判定し、条件に合致する間取り図のみをユーザに提供する。これにより、質の高い間取り図をユーザに提供することができる。
【0064】
また、本実施の形態1によれば、コンペ形式で間取り図の設計を依頼するものとし、ユーザが選択した間取り図の設計者に対して報酬を支払う。コンペ形式とすることで、より品質の高い間取り図を期待することができる。
【0065】
また、本実施の形態1によれば、間取り図を提供するだけでなく施工業者を紹介することで、ユーザをより好適に支援することができる。
【0066】
また、本実施の形態1によれば、施工業者を紹介するにあたってマッチングを行うことで、適切な施工業者をユーザに紹介することができる。
【0067】
また、本実施の形態1によれば、コンペ開催料に所定額を加算した金額を報酬として設計者に支払う。特に、加算する金額は施工業者から徴収する成約手数料を原資とすると好適である。これにより、ユーザに初期投資として発生する負担を軽減し、本システムを好適に運用することができる。
【0068】
また、本実施の形態1によれば、設計者が作成した間取り図が依頼情報の各入力項目を充足するか否かを判定し、間取り図が充足する入力項目の数に応じてユーザに提供するか否を判定する。これにより、ユーザの依頼に反する間取り図を除外することができる。
【0069】
また、本実施の形態1によれば、間取り図の設計者が過去のコンペで獲得した順位に応じて、当該設計者が作成した間取り図をユーザに提供する。これにより、低品質の虞がある間取り図を除外することができる。
【0070】
また、本実施の形態1によれば、依頼情報を設計者端末3に送信する場合に、依頼情報の一部又は全部を設計者向けに変換して送信する。これにより、設計者を補助することができる。
【0071】
また、本実施の形態1によれば、資料画像からの情報抽出、あるいは所在情報を元にした情報検索によって敷地情報を取得する。これにより、ユーザによる敷地情報の入力を支援することができる。
【0072】
(実施の形態2)
実施の形態1では、コンペを開催して設計者らに間取り図を作成させる形態について説明した。本実施の形態では、過去のコンペで設計者らが作成した間取り図をユーザが利用可能とする形態について述べる。なお、実施の形態1と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
図10は、間取り図の一覧画面の一例を示す説明図である。本実施の形態では、ユーザ端末2はサーバ1と通信を行い、過去に開催されたコンペの応募作品である間取り図を一覧で表示する。
【0073】
一覧画面は、例えば各設計者が作成した間取り図101、101、101…と共に、設計者名等の書誌事項を表示する。また、一覧画面では各間取り図101に対応して評価アイコン102が表示される。評価アイコン102は、ユーザの間取り図に対する評価の入力である評価入力を行うためのオブジェクトであり、ソーシャルメディア上のいわゆる「いいね」に相当する。
【0074】
例えばユーザ端末2は、間取り図101への操作入力を受け付けることで、ユーザが利用を希望する間取り図の選択入力を受け付ける。間取り図101への操作入力を受け付けた場合、ユーザ端末2は不図示の詳細画面に遷移する。詳細画面では、操作された間取り図に関する詳細なデータ(例えば面積等の情報)が表示される。ユーザ端末2は詳細画面において、当該間取り図に基づく発注依頼の操作入力を受け付ける。その後の処理は実施の形態1と同様に、サーバ1は料金の支払いをユーザから受け付け、設計者に支払う処理を行う。また、サーバ1は施工業者をユーザに紹介する。
【0075】
また、ユーザ端末2は、評価アイコン102への操作入力を受け付けることで、間取り図101に対するユーザの評価入力を受け付ける。評価アイコン102への操作が行われた場合、サーバ1は評価アイコン102に併記された評価数をインクリメントする。
【0076】
ここでサーバ1は、間取り図への評価入力を受け付けた場合、ユーザが評価した間取り図のデータに基づき、ユーザによる間取り図に関する傾向を分析する。例えばサーバ1は、部屋数、間取り空間といった間取り情報、あるいは予算(価格)、延べ床面積、階数といった住宅情報のように、依頼情報に含まれ得る各情報を、ユーザが評価した間取り図のデータから抽出して傾向を分析する。分析手法は、例えば回帰分析、クラスタ分析、主成分分析等の種々の方法が想定されるが、本実施の形態では特に限定されない。サーバ1は、ユーザの傾向を分析した分析結果を、当該ユーザのユーザIDと対応付けて記憶しておく。
【0077】
当該ユーザがコンペを開催する場合、サーバ1は当該ユーザの傾向を元に、設計者が応募する間取り図が条件に合致するか否かを判定する。サーバ1は、ユーザの傾向に合致する間取り図のみをユーザ端末2に送信する。以上より、ユーザは単に過去のコンペの間取り図を利用できるだけでなく、過去の間取り図に対する評価入力を行うことで、自らの趣向に合った間取り図の提供を受けることができるようになる。
【0078】
図11は、実施の形態2に係るサーバ1が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。図11に基づき、本実施の形態におけるサーバ1の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11はユーザ端末2からの要求に従い、間取り図DB144を参照して、各設計者が過去に作成した複数の間取り図を一覧で示す一覧画面を出力してユーザ端末2に表示させる(ステップS201)。上述の如く、一覧画面は過去案件の間取り図を一覧で表示する表示画面であり、各案件の間取り図101と、間取り図に対する評価入力を行うための評価アイコン102とを表示する。一覧画面に示される各設計者が過去に作成した複数の間取り図は、間取り図DB144に記憶された当該間取り図の一部であってもよい。
【0079】
制御部11はユーザ端末2から、一覧画面上での操作入力を受け付ける(ステップS202)。制御部11は操作入力に従い、一覧画面の表示を終了するか否かを判定する(ステップS203)。一覧画面の表示を終了すると判定した場合(S203:YES)、制御部11は一連の処理を終了する。
【0080】
一覧画面の表示を終了しないと判定した場合(S203:NO)、制御部11は、一覧画面からいずれかの間取り図を選択する選択入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS204)。間取り図が選択されたと判定した場合(S204:YES)、制御部11は間取り図の詳細画面に遷移し、間取り図の詳細を表示する(ステップS205)。制御部11は、詳細を表示した間取り図に関して、ユーザ端末2から発注依頼を受け付ける(ステップS206)。発注依頼を受け付けた場合、制御部11は実施の形態1と同様に設計者への支払い、施工業者とのマッチング、見積依頼等の処理を行う。制御部11は処理をステップS202に戻す。
【0081】
間取り図が選択されていないと判定した場合(S204:NO)、制御部11は、一覧画面において過去案件の間取り図に対する評価入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS207)。評価入力を受け付けていないと判定した場合(S207:NO)、制御部11は処理をステップS202に戻す。評価入力を受け付けたと判定した場合(S207:YES)、制御部11は、ユーザが評価した間取り図のデータに基づき、ユーザの傾向を分析する(ステップS208)。例えば制御部11は、当該間取り図の発注の際の依頼情報と、実際に設計された当該間取り図とに基づき、例えば予算、住宅の構造、各部屋の間取り等を基準にユーザの傾向をクラスタリングする。制御部11は、分析したユーザの傾向をユーザIDと紐付けて記憶する(ステップS209)。実施の形態1で説明したコンペを開催する場合、サーバ1は、記憶したユーザの傾向を間取り図の品質に関する条件に設定し、設計者が作成した間取り図をユーザ端末2に送信するか否か、判定を行う。制御部11は処理をステップS202に戻す。
【0082】
以上より、本実施の形態2によれば、ユーザは過去のコンペで作成された間取り図を利用可能となる。
【0083】
また、本実施の形態2によれば、ユーザの評価入力に基づいて傾向を分析することで、ユーザの趣向に合った間取り図を提供可能となる。
【0084】
(実施の形態3)
実施の形態1では、設計者から間取り図のデータを取得した場合に、設計者が過去のコンペで獲得した順位、作成された間取り図が依頼情報の入力項目を充足する数などに応じて条件に合致するか否かを判定し、ユーザに提供する間取り図を絞り込む形態について述べた。本実施の形態では、間取り図の依頼段階で依頼条件と設計者とのマッチングを行い、間取り図の作成を依頼する設計者を絞り込む形態について説明する。
【0085】
図12は、実施の形態3に係るサーバ1が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、実施の形態1と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
ユーザ端末2から依頼情報を取得した後(ステップS11)、サーバ1の制御部11は以下の処理を実行する。制御部11は、ユーザ端末2から取得した間取り図の依頼情報と、設計者DB142に登録されている設計者とをマッチングし、依頼情報を送信して間取り図の設計を依頼する設計者を抽出するマッチング処理を行う(ステップS301)。
【0086】
ステップS301におけるマッチングの条件は、例えば設計者が過去のコンペで獲得した順位である。例えば制御部11は、「人気がある設計者のみに依頼したい」というように、間取り図作成の依頼先である設計者の順位について、依頼条件の入力を入力画面で受け付ける。制御部11は、依頼情報に含まれる依頼条件に従い、過去のコンペの順位が高い設計者を設計者DB142から抽出する。例えば制御部11は、所定順位以上の順位を獲得したことがある設計者、平均順位が所定順位以上の設計者などを抽出する。
【0087】
また、ステップS301におけるマッチングの条件は、例えば設計者が過去に作成したことがある間取り図の内容である。例えば制御部11は、「二世帯住宅の間取り図の作成経験がある設計者」というように、設計者が作成したことがある間取り図の内容について、依頼条件の入力を入力画面で受け付ける。制御部11は、依頼情報に含まれる依頼条件と合致する間取り図を作成したことがある設計者を設計者DB142から抽出する。
【0088】
このように、制御部11は、データベース上の保存(記憶)されている設計者による間取り図の設計履歴(コンペの順位、間取り図の内容等)を、依頼情報において設計者に関する依頼条件として指定された情報と比較し、依頼条件にマッチする設計者を抽出する。
【0089】
あるいは、制御部11はユーザから設計者に関する依頼条件を指定されずとも、マッチングを行って設計者を絞り込んでもよい。例えば制御部11は、実施の形態2で説明した間取り図に関するユーザの傾向の分析結果を設計者による間取り図の設計履歴と比較し、ユーザの傾向に合致する間取り図を作成したことがある設計者を設計者DB142から抽出する。このように、制御部11は設計者の情報と依頼情報(ユーザによる手動入力、ユーザの傾向)とに基づきマッチング可能であればよく、ユーザによる設計者の条件の入力は必須ではない。
【0090】
また、上記では設計者による間取り図の設計履歴に基づいてマッチングを行っているが、制御部11は、設計者に関連するその他の情報からマッチングを行ってもよい。例えば制御部11は、一級建築士の資格を有することを依頼条件として受け付けてマッチングを行ってもよく、設計者の所在地(例えば建築予定地の付近に居住し、該当地域に詳しい設計者であるか)を依頼条件として受け付けてマッチングを行ってもよい。このように、制御部11は設計者に関連する情報(間取り図の設計履歴、資格の有無、活動地域等)に基づいてマッチング可能であればよく、マッチングの基準となる設計者の情報は間取り図の設計履歴に限定されない。
【0091】
制御部11はステップS12の処理を実行後、ステップS301で抽出した設計者の設計者端末3に対し依頼情報を送信する(ステップS302)。制御部11は、処理をステップS14に移行する。
【0092】
以上より、本実施の形態3によれば、依頼段階でユーザの希望に沿う設計者を絞り込むこともでき、質の高い間取り図をユーザに提供することができる。
【0093】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0094】
1 サーバ(情報処理装置)
11 制御部
12 主記憶部
13 通信部
14 補助記憶部
P プログラム
141 ユーザDB
142 設計者DB
143 施工業者DB
144 間取り図DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12