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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】自転車用駐輪装置
(51)【国際特許分類】
   B62H 3/12 20060101AFI20220803BHJP
   B62H 3/08 20060101ALI20220803BHJP
   E04H 6/06 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
B62H3/12
B62H3/08
E04H6/06 Y
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021102775
(22)【出願日】2021-04-15
(62)【分割の表示】P 2020104110の分割
【原出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021155043
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-06-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520213218
【氏名又は名称】株式会社ビーエル
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 聡
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-152037(JP,A)
【文献】登録実用新案第3212483(JP,U)
【文献】特開2013-119758(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112963032(CN,A)
【文献】特開2013-067950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 3/12
B62H 3/08
E04H 6/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、
バネによって前記支柱に沿って上下動し自転車を搭載するラックとからなる駐輪装置であって、
前記ラックに自転車を搭載していないときは、バネ力を有する第一のバネで前記ラックの上下動を支え、
前記ラックに自転車を搭載しているときは、前記第一のバネと、バネ力を有するがバッファ機能を有さない第二のバネと、バネ力を有しかつ前記第一及び第二のバネのバネ力による自転車の急激な上下動を抑えるためのバッファ機能を有する第三のバネを併用し、
前記第一のバネ及び前記第二のバネは定荷重バネであり、
前記第三のバネは、シリンダと前記シリンダ内で摺動するピストンと前記シリンダと前記ピストンの間に封入された流体とからなる流体スプリングであり、前記ピストンにかかる負荷により前記ピストンが前記シリンダ内を摺動することによって、流体が前記ラックの上下動を支えるバネ力を発揮し、前記ラックの急激な上下動を抑えるバッファ機能を発揮し、自転車を搭載した前記ラックが上昇するときは前記第三のバネのバネ力とバッファ機能が働き、自転車を搭載した前記ラックが下降するときは前記第三のバネのバッファ機能が働き、結果として、前記ラックが前記支柱の上下端部に近づくと前記ラックの上下動を抑えるバッファ機能が働くことによって、前記ラックの前記支柱の上端部と下端部における速度を抑えるように調整されており、
前記ラックにはストッパーが設けられ、前記支柱の上端部と下端部にストッパー係止用孔が設けられ、前記ラックの上下動の際に前記ストッパーが前記ストッパー係止用孔に刺し込まれることによって、前記ラックが前記支柱の上端部と下端部において確実に係止される
ことを特徴とする駐輪装置。
【請求項2】
前記第二のバネ及び前記第三のバネは、前記支柱の外部にあって前記支柱に着脱可能なカバーによって覆われている
ことを特徴とする請求項1に記載の駐輪装置。
【請求項3】
前記第一のバネである定荷重バネは、その一端が前記支柱の上部で固定され、他端側が前記ラックに設置された上側台車に固定され、
前記第二のバネである定荷重バネは、その一端が前記支柱の下部に固定され、他端側が第一のワイヤと前記第一のワイヤの途中で前記支柱の上部に固定されている第一の滑車を介して前記支柱の下部に着脱可能に接続された下側台車に固定され、
前記シリンダの一端側は前記支柱の上部で固定され、前記シリンダの他端側にある前記ピストンに第二の滑車を有し、
一端が前記支柱に固定された第二のワイヤが、前記第二の滑車と前記支柱の上部に固定された第三の滑車を介して前記下側台車に固定されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の駐輪装置。
【請求項4】
前記流体スプリングはガススプリングである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の駐輪装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車を収納するための駐輪装置に関し、特に、自転車をラックに搭載して上下2段に収納するために、自転車を搭載していない状態のラックを上下に移送する第一の自転車移送機構と、自転車を搭載した状態のラックを上下に移送する第二の自転車移送機構を有する駐輪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、自転車が多様化され、一般的な自転車(15~20Kg程度)、スポーツタイプや子供用自転車等の比較的軽量の自転車(15Kg未満)、三人乗り自転車や電動アシスト機能付き自転車等の比較的重い自転車(20Kg以上)の普及により、重量が異なる自転車を収納できる駐輪装置が必要になってきた。
しかも、多くの自転車を駐輪するためには、自転車を搭載するラックが上下動して、上下に2段の駐輪場所を有する駐輪装置が一般的になっている。
【0003】
自転車を2段に駐輪するためには、自転車を搭載したラックを上下動させる場合と搭載していないラックを上下動させる場合の必要な力が異なることを考慮すると、自転車を搭載していない状態でラックを上下動させる第一の自転車移送機構と、自転車を搭載した状態でラックを上下動させる第二の自転車移送機構が必要になる。
当然に、第一の自転車移送機構では、軽いラックだけを上下動させるだけで良いので、簡便な機構になる。
【0004】
一方、第二の自転車移送機構では、自転車を搭載したラックを上下動させるのに必要な力を出すことができる工夫が必要になる。しかも、自転車の重量が多様化している現在では、重量が重い自転車を搭載した場合も、軽い自転車を搭載した場合も、問題が無い第二の自転車移送機構でなければならない。
【0005】
従来から、自転車移送機構においては、様々なバネが利用されてきた。金属バネ(コイルバネ、定荷重バネ、板バネなど)、非金属バネ(ゴム製ダンパー、オイルダンパーなど)、流体バネ(ガススプリング、オイルスプリングなど)などがある。特に、第二の自転車移送機構には、自転車を搭載した場合のラックの重量を考慮して、様々なバネが採用されてきた。
【0006】
駐輪装置では、通常、自転車を搭載していない空のラックが上段に上げられている場合には、第一の自転車移送機構に人の力を加えて空のラックを地面の高さの下段まで降ろす。降ろしたラックに自転車を搭載する。そして、自転車が搭載されているラックを、第二の自転車移送機構に人の力を加えて持ち上げて、上段まで上げる。自転車を取り出すときには、自転車が搭載されているラックが上段に置かれていれば、人の力を加えてラックごと下段までおろし、自転車を駐輪装置から取り出す。
【0007】
この一連の動作の中で、空のラックを上下動させる時の第一の自転車移送機構では、できるだけ、人の小さい力でもラックを上昇させることができる機構が望ましい。一方、自転車を搭載した重いラックを上昇させる時の第二の自転車移送機構においても、できるだけ小さい人の力で上昇させることができるために工夫されていた。
【0008】
従来は、第一の自転車移送機構において、ラックの重量とある程度のバランスが取れるバネ力を有する定荷重バネなどの金属バネを利用することが多かった。それによって、空のラックを人の小さい力でも上下に移送できるようになっている。
更に、第二の自転車移送機構として、利用頻度が高いと予想される重量の自転車とラックの重量の合計とが、ある程度、バランスが取れるバネ力を有する定荷重バネ等の金属バネを利用する場合があった。
【0009】
しかし、第二の自転車移送機構として金属バネを使用した場合には、軽い自転車が搭載された場合に、重い自転車を想定したバネ力を有する金属バネを利用すると、軽い自転車がラックとともに上昇する際に、強いバネ力によって勢いよく上昇し、自転車が跳ね上がることがあり、危険である。また、下降する場合にも、軽い自転車を想定しているバネ力のバネに重い自転車を搭載すると、ラックと自転車が勢いよく地面まで急激に落下することになる。
【0010】
それらの問題を考慮した駐輪装置の第二の自転車移送機構として、従来から、金属バネに代えて、バッファ機能を有するバネであるガススプリングやオイルスプリング等の流体スプリングが採用されていた。このバッファ機能によって、自転車を搭載したラックが急激に上下移送されることが抑えられる。このように、金属バネでは問題があると認識された場合には、金属バネを使用することなく、バッファ機能を有する流体スプリングだけが採用されていた。
例えば、ガススプリングでは、シリンダとシリンダ内を摺動するピストンの間に封入されたガスが、膨張と圧縮の際にバッファ機能を果たす。オイルスプリングも同様である。
【0011】
ところが、仮に、第二の自転車移送機構のバネとしてガススプリングやオイルスプリングなどのバッファ機能を有するバネである流体スプリングだけを採用した場合には、バッファ機能はあるので自転車の跳ね上がりは抑えられるのだが、ガスやオイルなどによるバネの抗力が大きすぎて、ラックの上昇と下降の両方ともに急激に動作しにくくなってしまい、人が大きい力でラックを持ち上げたり降ろしたりする必要があった。更に、流体スプリングは、ピストンの移動量だけがラックの移動量に相当するので、人が大きい力でラックを上昇させようとしても、その移動速度は小さい。そのために、人は、自転車を搭載したラックを上段に上げようとすると、長時間にわたって、大きい力で、ラックを持ち上げる動作をしなければならない問題がある。
【先行技術文献】
【0012】
2段式の駐輪装置で、上下の段の間の自転車移送機構として、定荷重バネなどの金属バネやガススプリングなどを利用した先行技術文献としては、以下の特許文献がある。
【特許文献】
【0013】
【文献】特許第6183873号
【0014】
特許文献1には、明細書の[0012]欄に記載のように、自転車を搭載していないラックを上下動させる第一付勢部材(本件出願の「第一の自転車移送機構」に相当)として定荷重バネや流体バネ(ガススプリング、オイルスプリング等)等が、単独または組み合わせて採用されている。一方、[0036]欄に記載されるように、自転車を搭載したラックを上下動させる第二付勢部材(本件出願の「第二の自転車移送機構」に相当)としてガススプリングが採用されている。
【0015】
上述のように、この特許文献1においては、自転車を搭載しないラックを上下動するために、第一付勢部材として、定荷重バネやガススプリングを単独又は組み合わせて採用している。自転車を搭載しない場合には、当然のことながら、本発明が課題にする自転車の跳ね上がりのような現象は生じない。従って、定荷重バネとガススプリングを組み合わせて採用しているとしても、本発明の課題の自転車の跳ね上がりを考慮しているわけではない。ガススプリングを用いるのは、振動騒音を抑制するためである。
【0016】
特許文献1において、自転車を乗せたラックを移送するためには、第二付勢部材として、ガススプリングだけを使用し、定荷重バネなどの金属バネと併用していない。その理由は、特許文献1の明細書の[0101]に記載されているように、自転車を搭載したラックの大きい重量を考慮して、「ガススプリングのシリンダ内部の密封空間に封入されたガスによって、実車状態の自転車110と下部台車20との合計荷重を牽引する機能と、上段停止位置での緩衝機能とが発揮され、ラックに搭載される自転車の個別重量が変化した場合でもラックの上昇速度を安定させ振動騒音の発生を抑制し、稼働時に安定かつ静穏なラック上昇が可能となる。」と記載されているように、ガススプリングの牽引機能と緩衝機能(バッファ機能)があれば、振動騒音の発生を抑制でき、安定かつ静穏なラック上昇が充分に可能であると考えたゆえにガススプリングだけを使用することとしたからである。
ところが、本発明者は、特許文献1のようにガススプリングだけを使用すると、バッファ機能が強いので、人がラックを持ち上げたり降ろしたりする動作を行うときには、大きい力で動作を行わなければならないとともに、移動速度が小さいゆえに長時間にわたって動作を行わなければならい問題に気付いた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来の駐輪装置においては、重量が異なる自転車が搭載されうることを考慮した駐輪装置と、考慮していない駐輪装置があった。
そして、自転車の重量の違いを考慮していない駐輪装置の場合には、従来から多くみられるように、自転車を搭載したラックを上下に移送する第二の自転車移送機構において、所定のバネ力を有する金属バネだけを使用していた。金属バネは、衝撃を和らげるバッファ機能を有さない。そのために、軽い自転車を搭載しているにもかかわらず、強いバネ力の金属バネを使用すると、軽い自転車はラックの上へ跳ね上がるとか、重い自転車は急激に落下するなどの問題が解消されない。
【0018】
一方、自転車の重量の違いを考慮した駐輪装置の場合には、特許文献1に示すように、第二の自転車移送機構において、自転車の跳ね上がりの問題を防ぐために、バッファ機能を有するバネのみ、例えば、前述のように、バッファ機能を有さない金属バネに代えて、ガススプリングやオイルスプリングなどの流体スプリングのみを使用していた。
ところが、前述のように、本発明者は、流体スプリングだけを使用すると、バッファ機構によって、跳ね上がりの問題は解消するが、バッファ機能が効きすぎて、人が非常に大きい力でラックを上下動しなければならないとともに、ラックを持ち上げる際には大きい力で長時間にわたって持ち上げる動作を継続しなければならないという問題に気付いた。
【0019】
そこで、本発明は、自転車の跳ね上がりが生じにくいとともに、重い重量の自転車を搭載したラックを上下に移送する場合にも人が大きい力で補助しなくても良く、適度の上下の移送速度の駐輪装置を提供することを目的とする。
【0020】
更に、本発明は、駐車する自転車の重量が変化しても、その変化に対応しやすい構造の駐輪装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そこで、本発明は、自転車を搭載しているラックを上下動する第二の自転車移送機構において、バッファ機能を有さないバネとしての定荷重バネと、バッファ機能を有するバネとしての流体スプリングとを併用し、更に、ラックに設けたストッパーを支柱の上下端部に設けたストッパー係止用孔に刺し込むことによって課題を解決したのである。
【0022】
本発明の特徴は、
支柱と、
バネによって前記支柱に沿って上下動し自転車を搭載するラックとからなる駐輪装置であって、 前記ラックに自転車を搭載していないときは、バネ力を有する第一のバネで前記ラックの上下動を支え、
前記ラックに自転車を搭載しているときは、前記第一のバネと、バネ力を有するがバッファ機能を有さない第二のバネと、バネ力を有しかつ前記第一及び第二のバネのバネ力による自転車の急激な上下動を抑えるためのバッファ機能を有する第三のバネを併用し、
前記第一のバネ及び前記第二のバネは定荷重バネであり、 前記第三のバネは、シリンダと前記シリンダ内で摺動するピストンと前記シリンダと前記ピストンの間に封入された流体とからなる流体スプリングであり、前記ピストンにかかる負荷により前記ピストンが前記シリンダ内を摺動することによって、流体が前記ラックの上下動を支えるバネ力を発揮し、前記ラックの急激な上下動を抑えるバッファ機能を発揮し、自転車を搭載した前記ラックが上昇するときは前記第三のバネのバネ力とバッファ機能が働き、自転車を搭載した前記ラックが下降するときは前記第三のバネのバッファ機能が働き、結果として、前記ラックが前記支柱の上下端部に近づくと前記ラックの上下動を抑えるバッファ機能が働くことによって、前記ラックの前記支柱の上端部と下端部における速度を抑えるように調整されており、
前記ラックにはストッパーが設けられ、前記支柱の上端部と下端部にストッパー係止用孔が設けられ、前記ラックの上下動の際に前記ストッパーが前記ストッパー係止用孔に刺し込まれることによって、前記ラックが前記支柱の上端部と下端部において確実に係止される
ことを特徴とする駐輪装置
である。
【0023】
本発明の特徴によれば、重量が異なる自転車が搭載されうる駐輪装置において、自転車を搭載しているときに、バネ力とバッファ機能を有する流体スプリングバネ力は有するがバッファ機能を有さない定荷重バネを併用することによって、軽い自転車を上下に移送する際に自転車の跳ね上がりを防止するとともに、重い自転車を上下に移送する際に地面への急激な落下が防止し、しかも、適度の上下の移送速度の駐輪装置を提供することができる。
更に、ラックにはストッパーが設けられ、支柱の上端部と下端部にストッパー係止用孔が設けられ、ラックの上下動の際にストッパーがストッパー係止用孔に刺し込まれること によって、ラックが支柱の上端部と下端部において確実に係止される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、様々な重量の自転車を搭載する駐輪装置において、比較的軽い自転車を上下に移送する際の自転車の跳ね上がりを防止するとともに、重い自転車を上下に移送する際の地面への急激な落下を防止し、適度な速度で移送する駐輪装置を提供することができる。
【0025】
従来から、自転車を搭載したラックを上下動するための機構として、コイルバネや定荷重バネなどの金属バネを単独で使用する技術や、金属バネに代えてガススプリングなどのバッファ機能を有するバネを使用する技術も知られていた。即ち、金属バネかバッファ機能を有するバネが単独で使用されていた。しかし、本発明者は、自転車を搭載したラックを上下に移送する第二の自転車移送機構において、それらの金属バネやガススプリングを単独で使用する場合の課題に初めて気づいたのである。
即ち、軽い自転車を搭載したラックを強いバネ力の金属バネを単独で使用した場合には自転車の跳ね上がりが起こり、重い自転車を使用した場合には急激な落下が起こる。また、ガススプリングを単独で使用した場合には、そのバッファ機能の大きさにより、人が大きい力で長い時間をかけてラックを上下動させなければならないという問題に気付いたのである。このことは、昨今のように、様々な重量の自転車を駐輪させなければならない状況においては、大きい課題である。
【0026】
そして、本発明者は、様々な解決方法を模索し、実験を繰り返すことによって、自転車を搭載してラックを上下動する第二の自転車移送機能において、バネ力は有するがバッファ機能を有さない定荷重バネとバネ力とバッファ機能を有する流体スプリングを併用すれば上述の問題点が一気に解決することを見出したのである。
【0027】
仮に、当業者が、上述の課題に気づいていたとしても、これまで、何らの解決策を見出すことはできなかったのであるから、一見、簡単で、容易に考え出せそうに思われる技術であろうとも、実際に、解決策として見いだされなかったことは、本発明が従来の技術から容易に類推できる発明とは言えないことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の一実施態様による駐輪装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す駐輪装置を反対側から見た斜視図である。
図3図3aは、ラックが支柱の最下端にある場合の発明による第二の自転車移送機構の下側定荷重バネとガススプリングと下側台車と滑車を示す説明図である。図3bは、自転車を搭載したラックが支柱の最上端部にある場合の第二の自転車移送機構を示す説明図である。
図4図4は、図1に示す駐輪装置の支柱と、下側定荷重バネ及びガススプリングを覆う背面カバーの位置関係を示す斜視図である。
図5図5a、図5b、図5c、図5dは、自転車を搭載していないラックが最上端にある状態を、図6に示すA、B、C、Dの方向から見た図である。
図6図6は、図1に示す駐輪装置を、ラックの上から見た一部水平断面図である。
図7図7は、図1に示す駐輪装置を、支柱の最下部にあるストッパーBの上方から見た一部水平断面図である。
図8図8a、図8b、図8c、図8dは、自転車を搭載していないラックが下降中の位置にある状態を、図6に示すA、B、C、Dの方向から見た図である。
図9図9a、図9b、図9c、図9dは、ラックが最下端に位置し、自転車を搭載しつつある状態を、図6に示すA、B、C、Dの方向から見た図である。
図10図10a、図10b、図10c、10dは、自転車を搭載した状態を、図6に示すA、B、C、Dの方向から見た図である。
図11図11a、図11b、図11c、図11dは、自転車をラックに搭載してラックが上昇中の状態を、図6に示すA、B、C、Dの方向から見た図である。
図12図12a、図12b、図12c、図12dは、自転車を搭載したラックが最上端の位置にある状態を、図6に示すA、B、C、Dの方向から見た図である。
図13図13a、図13b、図13c、図13dは、自転車を搭載したラックが下降中の状態を、図6に示すA、B、C、Dの方向から見た図である。
図14図14a、図14b、図14c、図14dは、ラックを搭載したラックが最下端にあって、自転車を降ろしつつある状態を、図6に示すA、B、C、Dの方向から見た図である。
図15図15a、図15bは、ガススプリングが上向きに伸びる配置構成の場合の第二の自転車移送機構を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明による駐輪装置の一実施態様を示す斜視図である。図2は、図1に示す駐輪装置を反対方向から見た斜視図である。
図1において、駐輪装置の主たる構成品は、駐輪装置全体を地面で支えるベース1と、ベース1に固定された支柱2と、支柱2に沿って上下に移送されるラック3と、自転車を搭載していない状態のラック3を上下に移送する第一の自転車移送機構と、自転車を搭載した状態のラック3を上下に移送する第二の自転車移送機構である。通常、これらの構成品は金属製である。
【0030】
図1及び図2において、第一の自転車移送機構としては、一端が支柱2の上端部に接続され、他端がラック3に設置されている上側台車4に係止されている上側定荷重バネ5が主要な構成品である。ラック3の上下動に伴って、上側定荷重バネ5が伸び縮みし、ラック3が降下すれば上側定荷重バネ5は伸び、ラック3が上昇すれば上側定荷重バネ5は縮む。
この上側定荷重バネ5は、上述のように、自転車が搭載されていないラック3が上下動する場合の第一の自転車移送機構の構成品として機能するとともに、自転車が搭載されているラック3が上下動する場合の第二の自転車移送機構の構成品としても機能する。その理由は、上側定荷重バネ5は、自転車が搭載されているか否かに関係なく、ラック3が上下動する場合には、常に一緒に伸び縮みするからである。そして、上側定荷重バネ5は、バネ力を有するので、第一の自転車移送機構としての場合にも、第二の自転車移送機構の場合にも、ラック3を上下動する際の原動力としての働きをする。
なお、本実施態様では、上側定荷重バネ5が用いられているが、第一の自転車移送機構としてのバネは、これに限らず、コイルバネ等の他の金属バネでもよく、更には、ガススプリングやオイルスプリングなどの流体バネでも良い
【0031】
自転車を搭載されていない状態のラック3を上下動させるために、人がラック3に加えなければならない力として、あまり大きい力を長い時間に渡って与え続けることを必要としないことは、駐輪機の使用上の便利さから望ましく、また、ラック3が人の加えた力によって勢いよく上下動しないことが安全上、望ましい。
従って、第一の自転車移送機構としての上側定荷重バネ5は、自転車を搭載していないラック3を小さい力で上下動することが重要であり、そのためには、ラック3の重量にほぼ相当するバネ力を有する上側定荷重バネ5を採用することが望ましい。即ち、人の力を加えなければ、ラック3がどの位置にでも停止できる程度のバネ力のバランスがとれていることが望ましい。
【0032】
自転車を搭載したラック3を人が動かす場合は、第二の自転車移送機構によって課題を解決することとなる。本発明の本質は、この第二の自転車移送機構によって課題を解決することにあり、第二の自転車移送機構がどのような構成であるかが重要である。
【0033】
次に、図1及び図2において、自転車を搭載したラック3を上下動させるための第二の自転車移送機構の構成品について説明する。第二の自転車移送機構としては、第一の自転車移送機構としても機能する上側定荷重バネ5の他に、少なくとも、下側定荷重バネ6と、ガススプリング7と、支柱2の上端部に固定された2個の滑車8a、8bと、下側台車9と、これらを結ぶワイヤ10a、10bが該当する。
【0034】
下側定荷重バネ6は、その一端が支柱2の下端部に固定されており、他端がワイヤ10aと支柱2の上端部に固定されている滑車8aを経由して、支柱2の下端部に着脱可能に設置されている下側台車9に係止されている。
【0035】
ガススプリング7は、シリンダ11と、シリンダ11内を摺動するピストン12と、ピストン12の端部に固定された滑車13と、シリンダ11とピストン12に囲まれた内部空間に充填されているガスとからなる。ピストン12に外部からガスを圧縮する方向の力が作用すれば、ガススプリング7としては縮む。そのとき、シリンダ11内でガスが圧縮されてバッファ的な役目を果たす。
逆に、ガススプリング7は、縮んだ状態からピストン12が開放されれば、伸びる方向のバネ力が働いて、この場合にもバッファ的な役目を果たす。これらの動きの際のガススプリング7のバッファ的な役目によって、ラック3が急上昇して自転車が跳ね上がることが抑制され、ラック3が急降下してベース1に衝突することも抑制される。
【0036】
そして、ガススプリング7は、バッファ的な役目だけでなく、通常のスプリングとしてのバネ力を有する。即ち、ガススプリング7が縮む方向に動作する状態ではバッファ的な役目を果たすが、逆に、ガススプリング7が伸びる方向に動作する状態ではラック3を持ち上げるなどの力を加える役目を果たす。
従って、下側定荷重バネ6とガススプリング7を併用すれば、バネ力の追加にもなるし、バネ力の抑止にもなる。しかし、ガススプリング7だけであれば、バネ力を強くするとラック3は動くにくくなる。
【0037】
このように、第二の自転車移送機構が下側定荷重バネ6とガススプリング7の2種類のバネが組み合わせられていることにより、人の加えるべき力は小さくて済み、ガススプリング7のバッファ的作用によってラック3と自転車が急激に上下動することを抑制することができる。それととともに、ガススプリング7が兼ね備えている伸びようとするバネ力と、下側定荷重バネがバネ力で実際に伸びることによって適切な速度でラック3を移送することができる。
【0038】
これらの状態を、図3aと図3bの説明図によって説明する。
ラック3に自転車を搭載していない状態では、ラック3の位置がどこであっても、図3a、図3bに示す第二の自転車移送機構の状態は変わらない。従って、図3a、図3bは、自転車を搭載した第二の自転車移送機構を示す模式図である。
図3aは、自転車がラック3に搭載されていて、しかも、ラック3が支柱2の最下端部に位置する場合の第二の自転車移送機構を模式的に示している。
下側定荷重バネ6は、伸びた状態で、その下端がベース1に接続され、上端がワイヤ10aに接続されている。ワイヤ10aは、滑車8aを経由して下側台車9に係止されている。
ガススプリング7は、シリンダの一端が支柱2の上端部に接続されている。シリンダ11の他端にあるピストン12に滑車13を有しており、ガススプリング7は伸びる場合には下方に伸びていく。ワイヤ10bは、その一端は支柱2の上端部14に接続され、他端はガススプリング7のピストン12に接続された滑車13と支柱2の上端部に接続されている滑車8aを経由して、下側台車9に係止されている。
【0039】
下側台車9は、後述するストッパーBによって支柱2の下端部に着脱可能に係止されている。ストッパーBは、ラック3が最下端の位置にあって自転車を搭載しない限り、解除されない構造となっている。
従って、自転車が搭載されていない限り、ラック3は上下動しても、ラック3の上下動に関与する力は、人の力と上側定荷重バネ5のバネ力だけである。それゆえに、自転車が搭載されていないラック3の動きを制御するのは上側定荷重バネ5だけである。
【0040】
自転車が搭載されていないラック3が支柱2の最上端にあることを示す図3aにおいては、下側定荷重バネ6は伸びた状態であり、ガススプリング7は縮んだ状態である。
【0041】
一方、図3bは、自転車を搭載したラック3が支柱2の最上端部まで上昇している状態を示している。
即ち、自転車を搭載していないラック3が支柱2の最下端に降下してから自転車を搭載することによって自動的にストッパーBが解除され、しかも、人がラック3の先端に設置されているストッパーA解除レバー(図示せず)を人が操作して手動で解除すれば、ラック3は上昇しうる状態になる。図3bは、そのような動作を経て、自転車を搭載したラック3が支柱2の最上端へ移送された状態を示しているのである。ストッパーAとストッパーBについては、図5aにて詳述する。
【0042】
このように、ストッパーAとストッパーBがともに解除されて、下側台車9が上昇する場合には、ラック3と上側定荷重バネ5と下側定荷重バネ6とガススプリン7が連動することになる。そして、上側定荷重バネ5による縮むバネ力が働き、下側定荷重バネ6による縮むバネ力とガススプリング7の伸びるバネ力も働いて、下側台車9を上昇させることになる。その際に、上側台車4が下側台車9の上に乗る構造になっているので、結果として、下側台車9と上側台車4とラック3と自転車が同時に上昇することになる。
【0043】
このように、自転車を搭載したラック3が上下動する際に、第一の自転車移送機構(上側定荷重バネ5)と第二の自転車移送機構(上側定荷重バネ5、下側定荷重バネ6、ガススプリング7、滑車13、ワイヤ10a、10b、下側台車9)が機能するとともに、第二の自転車移送機構の下側定荷重バネ6とガススプリング7が相互にバネ力を発揮し、ガススプリング7がバッファ的機能を果たすことによって、本発明の効果を得ることができる。
【0044】
このように、自転車が搭載されたラック3は、上側定荷重バネ5と下側定荷重バネ6とガススプリング7の各バネ力と、更に、人が加える力によって上下動することになる。そうすれば、これらの上側定荷重バネ5と下側定荷重バネ6とガススプリング7の各バネ力の大きさが適切に調整されれば、自転車が搭載されたラック3を人が持ち上げる力は小さくても良いことになる。また、適切な速度でラック3が上下動できる。
しかも、ガススプリンブ7が持つバッファ的な機能が有効に働き、ラック3の上下動に際に急激な動きにならないので、自転車がラック3の急激な上昇によって跳ね上がるとか急激に落下することも無いという効果が発揮されることになる。
【0045】
図4は、支柱2と背面カバー15の関係を説明する斜視図である。支柱2は、一部が上下方向に開放された筒状の金属であり、ベース1に固定されている。
図4において、図示されていないが、第一の自転車移送機構である上側定荷重バネ5や、第二の自転車移送機構の構成品である下側定荷重バネ6、ガススプリング7、滑車8a、8b、ワイヤ10a、10b、下側台車9などは、支柱2の外部に配置され、背面カバー15によって覆い隠されている。その状態は、後に示す図6及び図7によって、より明らかに示される。背面カバー15は、これらの第二の自転車移送機構の構成品の設置や保守などのために、支柱2に着脱可能に設置されている。背面カバー15は、ベース1に届く必要は無いので、支柱2より短くてよい。
【0046】
既に説明した各構成品については、重複するが、図5a、図5b、図5c、図5dに基づいて、再度、説明する。
図5a、図5b、図5c、図5dにおいて、下側定荷重バネ6は、一端が支柱の最下部に接続され、他端は滑車8aを経由して、支柱2の下端部に着脱可能に設置されている下側台車9に係止されている。
ガススプリング7は、シリンダの上端部が支柱2の上端部に接続されており、ピストン12を有する他端部に滑車13が設置され、更に、支柱2の上端部には滑車8bが設置されている。一端が支柱2の上端部14に接続されているワイヤ10bが滑車13、8bを経由して下側台車9に係止されている。
【0047】
図5dは、駐輪装置の正面を示しており、支柱2にストッパーA16とストッパーB17の係止用孔18a、18b、19が設けられている。ストッパーA16は、ラック3が支柱2の最上端部や最下端部に位置した場合にラック3を一時的に係止するための棒状部材であり、支柱2の最上端部と最下端部に設けられたストッパーA係止用孔18a、18bに入ることによって係止され、ラック3がその位置で止まる。
【0048】
一方、ストッパーB17は、下側台車9に設置され、下側台車9が最下端部に位置する場合に下側台車9は着脱可能に係止する。ストッパーB17を係止するためのストッパーB係止用孔19が支柱2に設けられている。
【0049】
上述のような構造であるので、自転車を搭載していないラック3の上下動は、上側定荷重バネ5のみに関係しており、第二の自転車移送機構の構成品とは連動していない。
【0050】
図6は、駐輪装置を、ラック3の上側から見た一部水平断面図である。図6において、図示されていないベース1に固定されている支柱2の上方に上側定荷重バネ5が設置されている。この上側定荷重バネ5によって、ラック3が支柱2に沿って上下動する。ラック3の下端部にはストッパーA16が配置され、ラック3が最下端へきた際にストッパーA16が支柱2に設けられているストッパーA係止孔18b(図5d参照)へ刺し込まれて、ラック3が支柱2に係止される。
支柱2の背面側の外側に、下側定荷重バネ6とガススプリング7が隔離壁20を隔てて設置されている。そして、下側定荷重バネ6とガススプリング7を覆う背面カバー15が支柱2に着脱可能に設置されている。
なお、図6に示すA、B、C、Dは、駐輪装置を見る方向を示し、その内容が図5a、図5b、図5c、図5d等に図示されている。
【0051】
図7は、駐輪装置を、支柱2の最下部にあるストッパーB17より少し上側から見た一部水平断面図である。支柱2の最下部で支柱2に隣接する位置に、支柱2に対して着脱可能に下側台車9が設置されている。下側台車9の上部に、ストッパーB17が配置され、自転車がラック3に搭載されていない状態では、ストッパーB17が支柱2のストッパーB係止孔19の内部に刺し込まれており、下側台車9は支柱2に係止されている。なお、このストッパーB17は、自転車が搭載されると係止が解除される。
【0052】
図8a、図8b、図8c、図8dは、自転車が搭載されていないラック3が支柱2の上端部から徐々に降下している途中を示している。この動作には、第一の自転車移送機構である上側定荷重バネ6だけが貢献しており、第二の自転車移送機構である、下側定荷重バネ6やガススプリング7は動作に関係しない。つまり、自転車を搭載していないラック3の上下動は、上側定荷重バネ5の伸び縮みだけで行われている。
【0053】
図9a、図9b、図9c、図9dは、自転車を搭載していないラック3が支柱2の最下端部まで降下して、ラック3に設置されているストッパーA16が支柱2のストッパーA係止孔18bに刺し込まれて、ラック3が支柱2の最下端で係止され、更に、自転車がラック3に搭載され始めた状態を示している。
【0054】
これらの図9の状態では、図8の状態と同様に、第二の自転車移送機構は関与していないので、下側台車9は支柱2の最下端部で係止され、その下側台車9にワイヤ10a、10bを経由して下側定荷重バネ6とガススプリング7が接続されており、下側定荷重バネ6は伸びた状態であり、ガススプリング7は縮んだままの状態にある。
【0055】
図10a、図10b、図10c、図10dは、ラック3に自転車が搭載され、自転車の前輪がラック3の上で支柱2に接する状態を示している。
自転車がラック3の中央部に設置されるタイヤガイド21を通過する際に、タイヤガイド21を方向転換させることによって、タイヤガイド21に繋がっているワイヤがストッパーB17を引張り、ストッパーB17による下側台車9の支柱2への係止を解除する。それによって、下側台車9は、いつでも支柱2を離れて上昇することができる状態になる。
【0056】
更に、人が、ラック3の端部に設けられているストッパーA解除レバー22を手動で操作することによって、ラック3はいつでも上昇することができる状態になる。
この時、ラック3の下部に設置されている上側台車4は下側台車9の上に乗っている状態である。従って、この状態では、人がラック3を押し上げる力を加えさえすれば、いつでも、ラック3、自転車、下側台車9などが同時に上昇できる。
自転車が搭載されたラック3が上昇するためには、本発明の駐輪装置では、伸びている下側定荷重バネ6が縮もうとするバネ力と、同様に、縮んでいるガススプリング7が伸びようとするバネ力の存在によって、人は大きい力を必要としない。
搭載される自転車の重量そのものの違いを補うには、人の力を要する。しかし、通常は、あるラックには、常に、同じような重量の自転車を乗せるようにすれば、常に同じ力を加えるだけで充分である。同じラックに重量が異なる自転車を乗せる頻度が高くなると思われる場合には、背面カバーを外して下側定荷重バネやガススプリングを別のバネ力のものと交換すれば、新たな重量の自転車に対応する駐輪装置になる。この背面カバーが支柱の外で設置されるようになっていることと、第二の自転車移送機構の各構成物が支柱の外に設置されていることによって、背面カバーを利用して、駐輪装置が自転車の重量の違いを考慮した保守点検することが容易になる。
なお、図10に示すように、自転車が最下部にある状態では、上側定荷重バネ5は伸びており、下側定荷重バネ6も伸びており、ガススプリング7は縮んでいる。
【0057】
図11a、図11b、図11c、図11dは、自転車を搭載したラック3が支柱2に沿って上昇しつつある状態を示している。この状態では、ストッパーA16もストッパーB17も解除され、下側台車9は徐々に上昇しつつあり、上側定荷重バネ5は伸びた状態から徐々に縮みつつあり、下側定荷重バネ6も伸びた状態から徐々に縮みつつあり、ガススプリング7は縮んだ状態から徐々に伸びつつある。
【0058】
図12a、図12b、図12c、図12dは、自転車を搭載したラック3が支柱2の最上端部に到着した状態を示している。
この状態では、ストッパーA16は支柱2のストッパーA係止孔18aに刺し込まれて係止し、ストッパーB17はバネ力で係止している。その結果、ラック3と下側台車9は最上部に係止される。下側定荷重バネ6は縮んでおり、ガススプリング7は伸びている。
【0059】
図13a、図13b、図13c、図13dは、自転車を搭載したラック3が降下する状態を示す図である。
このとき、上側定荷重バネ5と下側定荷重バネ6は伸びつつあり、ガススプリング7は縮みつつあり、下側台車9は降下しつつある。
【0060】
図14a、図14b、図14c、図14dは、自転車を搭載したラック3が最下端まで降下し、自転車を降ろしつつある状態を示している。
ラック3が最下端まで降下すると、ストッパーA係止レバー22が自動的に動作して、ストッパーA16が支柱に係止される。
その後、自転車を降ろす途中にラック3がタイヤガイド21を通過すると、タイヤガイド21は方向転換して、ストッパーB17がストッパーB係止孔19に刺し込まれて係止する。
この状態では、上側定荷重バネ5と下側定荷重バネ6は最大限に伸びており、ガススプリング7は最大限に縮んでおり、下側台車9は支柱の最下部に係止されている。ラック3を上げると、これらは当初の状態に戻る。
【0061】
以上の実施態様において、ガススプリングを使用しているが、バッファ機能を有すれば良いので、オイルスプリングのような他の流体スプリングでもよい
【0062】
本実施態様では、ガススプリングはシリンダ側が支柱の最上端部に接続され、ピストン側に滑車を設けて下向きにピストンが伸びるようにしたが、シリンダの固定位置を低くしてピストンが上方に伸びるように滑車などの位置関係を変更しても良い。図15a及び図15bにおいては、シリンダ23内のピストン24は上方向に伸びる場合を示している。
【0063】
本発明によれば、重量が異なる自転車が搭載されうる駐輪装置が、自転車を搭載したラックを上下動させる第二の自転車移送機構において、バッファ的な機能を有する流体スプリングとバッファ機能を有しない定荷重バネを組み合わせたので、軽い自転車を上下に移送する際に自転車の跳ね上がりを防止するとともに、重い自転車を上下に移送する際に地面への急激な落下が防止し、しかも、適度の上下の移送速度の駐輪装置を提供することができる。
【0064】
本発明によれば、第二の自転車移送機構のバッファ的な機能を有する流体スプリングとそうでない定荷重バネを支柱の外部に設置して、それらを支柱の外部で覆うカバーを設置することにより、搭載される自転車の重量の傾向に合せて、それらのバネを適宜、交換するなどの保守点検作業がやり易い効果がある。
【符号の説明】
【0065】
1 ‥‥‥ ベース
2 ‥‥‥ 支柱
3 ‥‥‥ ラック
4 ‥‥‥ 上側台車
5 ‥‥‥ 上側定荷重バネ
6 ‥‥‥ 下側定荷重バネ
7 ‥‥‥ ガススプリング
8 ‥‥‥ 滑車
9 ‥‥‥ 下側台車
10a、10b ‥‥‥ ワイヤ
11、23 ‥‥ シリンダ
12、24 ‥‥ ピストン
13 ‥‥‥ 滑車
14 ‥‥‥ 支柱上端部
15 ‥‥‥ 背面カバー
16 ‥‥‥ ストッパーA
17 ‥‥‥ ストッパーB
18a、18b ‥‥‥ ストッパーA係止孔
19 ‥‥‥ ストッパーB係止孔
20 ‥‥‥ 隔離壁
21 ‥‥‥ ストッパーA解除レバー
22 ‥‥‥ ストッパーA係止レバー
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図9c
図9d
図10a
図10b
図10c
図10d
図11a
図11b
図11c
図11d
図12a
図12b
図12c
図12d
図13a
図13b
図13c
図13d
図14a
図14b
図14c
図14d
図15a
図15b