(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】研磨剤供給装置、研磨装置及び研磨剤供給方法
(51)【国際特許分類】
B24B 57/02 20060101AFI20220803BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20220803BHJP
B24B 37/08 20120101ALI20220803BHJP
B24B 37/28 20120101ALI20220803BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
B24B57/02
B24B37/00 K
B24B37/08
B24B37/28
H01L21/304 621A
H01L21/304 622E
(21)【出願番号】P 2021511346
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 JP2020010798
(87)【国際公開番号】W WO2020203140
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2019069839
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】福山 翔
(72)【発明者】
【氏名】桜井 佑輔
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-21680(JP,A)
【文献】特開2008-221355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 57/02
B24B 37/00
B24B 37/08
B24B 37/28
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性を有する研磨剤を供給するための研磨剤供給装置であって、
研磨剤を下方に案内する複数の落下孔を有する研磨剤貯留部と、
円周方向において等間隔に配置されかつ
研磨剤を供給する複数の供給孔を有
し、前記研磨剤貯留部の下方に配置された上定盤と、
前記複数の落下孔から落下した研磨剤を、研磨剤が落下した落下孔に対応する供給孔に案内する、複数の経路を有する研磨剤案内部と、
を備え、
前記複数の落下孔は、少なくとも、第1落下孔と、第2落下孔とを有し、
前記複数の経路は、前記第1落下孔及び前記第1落下孔に対応する第1供給孔を連結する第1経路と、前記第2落下孔及び前記第2落下孔に対応する第2供給孔を連結する第2経路とを有し、
研磨剤が前記複数の落下孔から落下する度に、前記第1落下孔から落下した研磨剤
は、第1量を有し、前記第2落下孔から落下した研磨剤
は、第2量を有し、
前記研磨剤案内部は、
所定時間を経過した後に、前記第1経路を介して前記第1供給孔に到達した研磨剤の総量と、前記第2経路を介して前記第2供給孔に到達した研磨剤の総量とが略同じになるように、前記第1量の研磨剤が前記第1経路を通過する第1流動時間と、前記第2量の研磨剤が前記第2経路を通過する第2流動時間とを異なるように案内する、
研磨剤供給装置。
【請求項2】
前記研磨剤案内部は、前記第1流動時間を前記第2流動時間よりも長くなるように案内する、請求項1に記載の研磨剤供給装置。
【請求項3】
流動性を有する研磨剤を供給するための研磨剤供給装置であって、
研磨剤を下方に案内する複数の落下孔を有する研磨剤貯留部と、
円周方向において等間隔に配置されかつ
研磨剤を供給する複数の供給孔を有
し、前記研磨剤貯留部の下方に配置された上定盤と、
前記複数の落下孔から落下した研磨剤を、研磨剤が落下した落下孔に対応する供給孔に案内する、複数の経路を有する研磨剤案内部と、
を備え、
前記複数の落下孔は、少なくとも、第1落下孔と、第2落下孔とを有し、
研磨剤が前記複数の落下孔から落下する度に、前記第1落下孔から落下した研磨剤
は、第1量を有し、前記第2落下孔から落下した研磨剤
は、第2量を有し、
前記複数の経路は、前記第1落下孔及び前記第1落下孔に対応する第1供給孔を連結する第1経路と、前記第2落下孔及び前記第2落下孔に対応する第2供給孔を連結する第2経路とを有し、
前記研磨剤案内部は、
所定時間を経過した後に、前記第1経路を介して前記第1供給孔に到達した研磨剤の総量と、前記第2経路を介して前記第2供給孔に到達した研磨剤の総量とを略同じになるように、前記第1経路による研磨剤の流動距離を、前記第2経路による研磨剤の流動距離よりも長くなるように案内する、研磨剤供給装置。
【請求項4】
前記研磨剤案内部は、前記第1経路
における研磨剤の流速を、前記第2経路
における研磨剤の流速よりも遅くなるように案内する、請求項2又は3に記載の研磨剤供給装置。
【請求項5】
前記第1量が前記第2量と同じである場合、前記所定時間において、前記第1量の研磨剤が前記第1落下孔に落下する回数は、前記第2量の研磨剤が前記第2落下孔に落下する回数と同じであり、
前記研磨剤案内部は、前記所定時間において、前記第1量の研磨剤が前記第1供給孔に到達する第1到達回数を、前記第2量の研磨剤が前記第2供給孔に到達する第2到達回数よりも少なくなるように案内する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の研磨剤供給装置。
【請求項6】
前記第1量が前記第2量よりも多い場合、前記所定時間において、前記第1量の研磨剤が前記第1落下孔に落下する回数は、前記第2量の研磨剤が前記第2落下孔に落下する回数よりも少なく、
前記研磨剤案内部は、前記所定時間において、前記第1量の研磨剤が前記第1供給孔に到達する第1到達回数を、前記第2量の研磨剤が前記第2供給孔に到達する第2到達回数よりも少なくなるように案内する、請求項1乃至4の何れかの一項に記載の研磨剤供給装置。
【請求項7】
研磨剤は、前記複数の落下孔から順番に落下し、研磨剤の一部が前記第1落下孔から落下した後に、研磨剤の他の一部が前記第2落下孔から落下する、請求項1乃至
6の何れか一項に記載の研磨剤供給装置。
【請求項8】
研磨剤は、
前記所定時間に、循環に前記複数の落下孔から順番に落下する、請求項1乃至
7の何れか一項に記載の研磨剤供給装置。
【請求項9】
前記複数の経路は、複数の研磨剤供給管であり、
前記第1経路を構成する第1研磨剤供給管と、前記第2経路を構成する第2研磨剤供給管とは、略同じ断面形状を有する、請求項1乃至
8の何れか一項に記載の研磨剤供給装置。
【請求項10】
前記第1研磨剤供給管の長さは、前記第2研磨剤供給管の長さよりも長く、及び/又は前記第1研磨剤供給管の内壁面は、前記第2研磨剤供給管の内壁面よりも粗い、請求項
9に記載の研磨剤供給装置。
【請求項11】
前記第1研磨剤供給管は、前記第1落下孔を、前記第1落下孔に対して非直近方向にあり、かつ前記第1落下孔との孔同士の距離が第1距離である第1供給孔に連結し、
前記第2研磨剤供給管は、前記第2落下孔を、前記第2落下孔に対して直近方向にある第2供給孔、又は/及び、前記第2落下孔を、前記第2落下孔に対して非直近方向にあり、かつ前記第2落下孔との孔同士の距離が第2距離である第1供給孔に連結し、
前記第1距離は、前記第2距離よりも長い、請求項
9又は
10に記載の研磨剤供給装置。
【請求項12】
前記第1研磨剤供給管は、前記第1落下孔を、前記第1落下孔に対して前記上定盤の回転方向の上流側にある第1供給孔に連結し、
前記第2研磨剤供給管は、前記第2落下孔を、前記第2落下孔に対して前記上定盤の回転の回転半径方向にある第2供給孔、又は/及び、前記第2落下孔を、前記第2落下孔に対して前記回転方向の上流側かつ前記第1供給孔に対して前記回転方向の下流側にある第2供給孔に連結する、請求項
11に記載の研磨剤供給装置。
【請求項13】
前記第1研磨剤供給管は、前記第1落下孔を、前記第1落下孔に対して前記上定盤の回転方向の下流側にある第1供給孔に連結し、
前記第2研磨剤供給管は、前記第2落下孔を、前記第2落下孔に対して前記上定盤の回転の回転半径方向にある第2供給孔、又は/及び、前記第2落下孔を、前記第2落下孔に対して前記回転方向の上流側にある第2供給孔に連結する、請求項
9又は
10に記載の研磨剤供給装置。
【請求項14】
前記第1研磨剤供給管は、前記第2落下孔を前記第2落下孔に対して前記回転方向の上流側にある第2供給孔に連結する前記第2研磨剤供給管と略同じ長さを有する、請求項
13に記載の研磨剤供給装置。
【請求項15】
請求項1乃至
14の何れか一項に記載の研磨剤供給装置と、
前記上定盤とともに研磨面を構成する下定盤と、
前記上定盤及び前記下定盤の間に配置され、ワークを保持する保持孔を有するキャリアと、
前記研磨剤供給装置、前記下定盤及び前記キャリアを回転駆動する駆動装置と、
を備える、研磨装置。
【請求項16】
流動性を有する研磨剤を供給するための研磨剤供給方法であって、
研磨剤貯留部に貯留した研磨剤を、前記研磨剤貯留部に、
円周方向において等間隔に設けれている複数の落下孔から落下させて、前記複数の落下孔及び上定盤に設けられている複数の供給孔を連結する複数の経路のそれぞれに分配する分配工程と、
研磨剤が前記複数の経路のそれぞれを通過する流動時間を調整する調整工程と、
前記複数の供給孔のそれぞれに到達した研磨剤を供給する供給工程と、を含み、
前記複数の落下孔は、少なくとも、第1落下孔と、第2落下孔とを有し、
前記複数の経路は、前記第1落下孔及び前記第1落下孔に対応する第1供給孔を連結する第1経路と、前記第2落下孔及び前記第2落下孔に対応する第2供給孔を連結する第2経路とを有し、
研磨剤が前記複数の経路のそれぞれに分配される度に、
前記第1落下孔を介して前記
第1経路に分配された研磨
剤は第1量を有し、
前記第2落下孔を介して前記
第2経路に分配された研磨
剤は第2量を有し、
前記調整工程は、
所定時間を経過した後に、前記第1経路を介して前記第1供給孔に
到達した研磨剤の総量と、前記第2経路を介して前記第2供給孔に到達した研磨剤の総量とを略同じになるように、前記第1量の研磨剤が前記
第1経路を通過する
第1流動時間を、
前記第2量の研磨剤が前記
第2経路を通過する
第2流動時間よりも長くなるように調整することを含む、
研磨剤供給方法。
【請求項17】
前記分配工程は、
前記所定時間に、循環に、研磨剤を前記複数の落下孔から順番に落下させて、前記複数の経路のそれぞれに分配することを含み、
前記第1量が前記第2量と同じである場合、
前記所定時間において、前記複数の落下孔のそれぞれに研磨剤が分配された回数は、同じであり、
前記調整工程は、前記所定時間において、
前記第1量の研磨剤が前記
第1経路を通過して前記第1供給孔に到達する第1到達回数を、
前記第2量の研磨剤が前記
第2経路を通過して前記第2供給孔に到達する第2到達回数よりも少なくなるように調整することを含む、請求項1
6に記載の研磨剤供給方法。
【請求項18】
前記分配工程は、前記所定時間に、循環に、研磨剤を前記複数の落下孔から順番に落下させて、前記複数の経路のそれぞれに分配することを含み、
前記第1量が前記第2量よりも多い場合、前記所定時間において、前記第1量の研磨剤が前記第1落下孔に分配された回数は、前記第2量の研磨剤が前記第2落下孔に分配された回数よりも少なく、
前記調整工程は、前記所定時間において、前記第1量の研磨剤が前記第1経路を通過して前記第1供給孔に到達する第1到達回数を、前記第2量の研磨剤が前記第2経路を通過して前記第2供給孔に到達する第2到達回数よりも少なくなるように調整することを含む、請求項16に記載の研磨剤供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨剤供給装置、研磨装置及び研磨剤供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウエハ等のワークの製造において、ワークの平坦度や表面粗さを向上するために、ワークの表面を研磨する研摩装置が採用されている。このような研磨装置では、スラリ状の流動性を有する研磨剤を、研磨面の回転と同時にその研磨面に供給する研磨方法である。一方、研磨面の回転による力の影響で、研磨剤が研磨面に均一に分布し難くなり、研磨における加工抵抗にムラが生じて加工品質が不安定になることがある。そのため、研磨面における研磨剤の分布を均一させることによって、研磨装置および研摩方法の研磨性を向上せることが求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、遊星歯車と、遊星歯車の外側に同心上に配され且つワークの下面を研磨するための研磨面を有するドーナッツ状の下定盤と、下定盤の外側に同心上に配された内歯車と、下定盤と対向するように配され且つ遊星歯車と内歯車とに噛合されたキャリアに保持されたワークの上面を研磨するための研磨面を有する上定盤と、下定盤に向けてスラリを供給するスラリ供給機構とを具備する研磨装置において、下定盤の中心孔を上定盤の中心孔よりも小さく設定して、下定盤の研磨面の内側にスラリ受け面を形成し、スラリ供給機構を、上定盤の中心孔内に配され且つその下端開口が下定盤のスラリ受け面に向くスラリ供給管と、上定盤を上下方向に貫通しスラリ供給管と共に上定盤の径方向に略等間隔で配設された複数のスラリ供給孔と、これら複数のスラリ供給孔とスラリ供給管とにスラリを供給するスラリ供給源とで構成した、ことを特徴とする研磨装置が開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、上面が研磨面とされた下定盤と、該下定盤の上方に上下動自在に支持され、下面が研磨面とされた上定盤と、該下定盤と上定盤との間に配置され、ワークを保持する透孔を有するキャリアと、上下定盤を軸線を中心として回転駆動する駆動装置と、キャリアを回転駆動するキャリア駆動装置と、スラリ供給源と、上定盤上に配置され、スラリ供給源からスラリ状研磨剤が供給されるリング状の供給通路と、該リング状供給通路と上定盤とに設けられた流下孔を連絡し、該流下孔を通じてスラリを下定盤の研磨面上に流下させる供給パイプとを具備し、スラリを下定盤上に供給しつつ、上下定盤を回転させ、かつキャリアを回転させることにより、上下定盤間に挟まれたワークの両面を研磨する研磨装置において、リング状供給通路が、上定盤上に同心状に複数個配置され、複数の同心状のリング状供給通路の各リング状供給通路から、供給パイプを通じて、下定盤の同心状の研磨ゾーンの対応する各研磨ゾーンにスラリを供給することを特徴とする研磨装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-262862号公報
【文献】特開2008-500577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の研磨装置及び特許文献2の研磨装置では、複数のチューブ(スラリ供給管)のそれぞれが、スラリ樋の孔をこのスラリ樋の孔に対して直近にある上定盤の孔に連結している。また、このような構成では、スラリ樋が一周を回転する度に、スラリ状研磨剤がスラリ樋の孔から落下する回数と、スラリ樋の孔から落下したスラリ状研磨剤が上定盤の孔に到達する回数とは同じである。しかしながら、スラリ状であって流動性を有する研磨剤の流動性状態が異なる場合に、各スラリ樋の孔から落下するスラリ状研磨剤の量が異なる場合がある。よって、スラリ供給路が一周を回転する度に、上定盤の孔のそれぞれに到達するスラリ状研磨剤の量が異なり、それらの上定盤の孔に対応する研磨面の位置に供給されたスラリ状研磨剤の分布が不均一になる場合がある。その結果、研磨の加工抵抗にムラが生じて、加工品質が不安定になってしまう。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みて発明されたものであり、本発明の目的は、簡易な構成を用いて、研磨剤良好な研磨性を得ることができる研磨剤供給装置、研磨装置及び研磨剤供給方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る研磨剤供給装置は、研磨剤を下方に案内する複数の落下孔を有する研磨剤貯留部と、研磨剤貯留部の下方に配置され、研磨剤を供給する複数の供給孔を有する上定盤と、複数の落下孔から落下した研磨剤を、研磨剤が落下した落下孔に対応する供給孔に案内する、複数の経路を有する研磨剤案内部と、を備え、複数の落下孔は、少なくとも、第1落下孔と、第2落下孔とを有し、複数の経路は、第1落下孔及び第1落下孔に対応する第1供給孔を連結する第1経路と、第2落下孔及び第2落下孔に対応する第2供給孔を連結する第2経路と、を有し、研磨剤が複数の落下孔から落下する度に、第1落下孔から落下した研磨剤の第1量を有し、第2落下孔から落下した研磨剤の第2量を有し、研磨剤案内部は、第1量の研磨剤が第1経路を通過する第1流動時間と、第2量の研磨剤が第2経路を通過する第2流動時間とを異なるように案内する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構成を用いて、研磨剤良好な研磨性を得ることができる研磨剤供給装置、研磨装置及び研磨剤供給方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る研磨装置の構成を説明するための図である。
【
図2】第1実施形態に係る研磨盤の構成を説明するための図である。
【
図3】第1実施形態に係るスラリ供給装置の構成を説明するための平面図である。
【
図4】第1実施形態に係るスラリ供給装置の構成を説明するための正面図である。
【
図5】第1実施形態に係るスラリ供給方法を説明するためのフローチャート図である。
【
図6】第2実施形態に係るスラリ案内部の構成の一例を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の構成要素は同一又は類似の符号で表している。図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0012】
[第1実施形態]
<研磨装置1>
まず、
図1を参照しつつ、第1実施形態に係る研磨装置1を説明する。ここで、
図1は、第1実施形態に係る研磨装置1の構成を説明するための図である。
【0013】
第1実施形態に係る研磨装置1は、研磨盤2と、この研磨盤2に研磨するためのスラリ状等の液体研磨剤、又は液体に研磨材の粒子等を分散させることで得られた流動性を有するスラリ状の研摩剤(以下では「スラリ状研磨剤」と総称する。)を供給するスラリ供給装置3と、図示しない研磨装置1を駆動する駆動装置、例えば研磨盤2及びスラリ供給装置3の各構成を駆動する様々なモータと、を備えている。なお、スラリ供給装置3は、研磨剤供給装置の一例である。
【0014】
<研磨盤2>
次に、
図1及び
図2を参照しつつ、第1実施形態に係る研磨盤2の構成について説明する。ここで、
図2は、第1実施形態に係る研磨盤2の構成を説明するための図である。また、
図2において、上定盤10の図示が省略されている。
【0015】
第1実施形態に係る研磨盤2は、上定盤10と、下定盤20と、キャリア30とを備える。また、研磨盤2は、上定盤10、下定盤20及びキャリア30を支持しながら、それらの構成の回転を駆動する遊星歯車21、内歯車22及び座台23を備える。さらに、研磨盤2は、上定盤10の上下移動を駆動する駆動部24と、上定盤10をこの駆動部24に固定するための回転円盤25とを備える。
【0016】
第1実施形態では、キャリア30を除き、研磨盤2のその他の構成は、遊星歯車21の中心軸Lと同軸に配置されている。具体的には、上定盤10及び下定盤20は、上下対向するように配置されており、内歯車22は、上定盤10及び下定盤20の外周側に配置されており、遊星歯車21は、上定盤10及び下定盤20の中央側に配置されている。一方、キャリア30は、上定盤10及び下定盤20の間、かつ、遊星歯車21及び内歯車22と噛み合うように配置されている。
【0017】
また、第1実施形態では、例えば、座台23は、図示しないモータによって、逆時計方向に回転され、遊星歯車21は、図示しないモータによって、時計方向に回転され、内歯車22は、図示しないモータによって、時計方向に回転される。また、駆動部24は、例えばシリンダ装置であり、図示しないモータによって、シリンダロッド241が上下方向にて移動される。回転円盤25は、シリンダロッド241の下方側の端部に回転可能に取り付けられている。こうして、回転円盤25は、シリンダロッド241の上下移動とともに上下方向にて移動する。
【0018】
下定盤20は、円盤状部材であり、下方側の研磨面を構成する上面20aを有する。上面20aには、図示しない研磨パッドが貼布されている。下定盤20の中央部に、中心孔が形成されている。この中心孔は、遊星歯車21が下定盤20を通り抜けるための孔であり、遊星歯車21と接触していない。また、下定盤20は、座台23の上に載置固定されている。こうして、下定盤20は、座台23によって、逆時計方向に回転するように駆動される。
【0019】
上定盤10は、円盤状部材であり、上方側の研磨面を構成する下面10bを有する。下面10bには、図示しない研磨パッドが貼布されている。この上定盤10は、外形が下定盤20と同じ寸法を有する。また、上定盤10には、スラリ状研磨剤を研磨面供給するための複数のスラリ供給孔100が設けられている。これらのスラリ供給孔100は、厚み方向にて、上定盤10を貫通している。なお、スラリ供給孔100の詳細は、後にスラリ供給装置3の説明において詳細に説明する。
【0020】
また、上定盤10は、下定盤20に対して、逆方向に回転すること及び上下方向に移動することが可能である。具体的には、この上定盤10は、シリンダロッド241の先端に固定されている回転円盤25の下側に取り付けられている。こうして、上定盤10は、駆動部24によって、上下移動するように駆動される。また、研磨するときに、上定盤10は、下方に移動され、図示しない構成によって遊星歯車21に一体に係合される。こうして、上定盤10は、遊星歯車21によって、時計方向に回転するように駆動される。すなわち、研磨するときに、上定盤10及び下定盤20は、互いに反対方向に回転される。
【0021】
キャリア30は、円盤状部材であり、複数のワークを保持する保持孔35を有する。これらの保持孔35は、厚み方向にて、キャリア30を貫通している。また、キャリア30は、外周面に遊星歯車21及び内歯車22と噛み合うための歯車(図示せず)が設けられている。こうして、キャリア30は、遊星歯車21及び内歯車22によって、反時計方向に自転しながら、遊星歯車21に対して時計方向に公転するように駆動される。
【0022】
このように、第1実施形態に係る研磨盤2では、保持孔35にワークを収納したキャリア30が遊星歯車21及び内歯車22に噛合された後に、上定盤10が駆動部24により下降されて遊星歯車21に係合される。この上定盤10と遊星歯車21と係合された状態において、遊星歯車21、内歯車22及び座台23のそれぞれの回転によって、上定盤10及び下定盤20が互いに逆回転するとともに、キャリア30が遊星歯車21の周りを自公転する。こうして、キャリア30によって保持されているワークの両面は、上定盤10及び下定盤20によって構成された研磨面によって同時に研磨される。なお、以下の説明では、上定盤10及び遊星歯車21の時計回りの回転方向を「回転方向」とし、下定盤20の反時計回りの回転方向を「逆回転方向」とし、上定盤10及び下定盤20の互いに対しての逆回転することを「逆回転」とすることがある。
【0023】
<スラリ供給装置3>
続いて、
図1、
図3及び
図4を参照しつつ、第1実施形態に係るスラリ供給装置3を説明する。
図3は、第1実施形態に係るスラリ供給装置3の構成を説明するための平面図であり、
図4は、第1実施形態に係るスラリ供給装置3の構成を説明するための正面図である。
【0024】
第1実施形態に係るスラリ供給装置3は、研磨対象となるワークに対して、研磨盤2の上定盤10及び下定盤20の逆回転によるワークの両面における研磨が行われながら、流動性を有する研磨剤の一例であるスラリ状研磨剤をワーク、すなわち研磨面に供給する装置である。このスラリ供給装置3は、上定盤10の上方に、上定盤10に対して固定されている。
【0025】
スラリ供給装置3は、スラリ供給通路40と、スラリ案内部50と、複数のスラリ供給孔100とを備える。また、スラリ供給装置3は、滴下方法によってスラリ供給通路40にスラリ状研磨剤を供給するスラリ供給源60と、スラリ状研磨剤を後述するスラリ落下孔400に分配するスクレーパ65とを備える。ここで、複数のスラリ供給孔100は、上述した上定盤10に設けられている貫通孔である。以下のでは、説明の便宜のために、上定盤10をスラリ供給装置3一部として説明する。
【0026】
スラリ供給通路40は、研磨剤貯留部の一例であり、リング状の構成である。このスラリ供給通路40は、断面形状が、凹字状の溝をなしており、外形が、上定盤10の外形よりも小さく形成されている。また、スラリ供給通路40は、環状の底面41と、この底面41の内縁及び外縁に接続して突起している内壁面42及び外壁面43とを有する。そして、底面41の上面と、内壁面42及び外壁面43の内面とは、スラリ供給通路40の溝部44を構成する。なお、以下の説明では、内壁面42及び外壁面43の間隔をスラリ供給通路40の「溝幅」とする。
【0027】
また、スラリ供給通路40の底面41には、厚み方向にて、底面41を貫通する複数のスラリ落下孔400が形成されている。第1実施形態では、スラリ落下孔400は、落下孔の一例であり、例えば、
図3に示すように、12個を有する。これらのスラリ落下孔400は、同じ形状を有し、底面41の円周方向にて等間隔に配置されている。以下の説明では、これらのスラリ落下孔400を区別する場合に、「スラリ落下孔401」乃至「スラリ落下孔412」とし、区別しない場合に「スラリ落下孔400」と総称、又は「各スラリ落下孔400」とする。
【0028】
また、スラリ供給通路40は、図示しない構成によって、駆動部24に固定されている回転円盤25の外周側に固定されている。こうして、スラリ供給通路40は、上定盤10と一体に固定され、上定盤10と同様に、駆動部24によって、時計方向の回転及び上下移動が駆動される。
【0029】
スラリ供給源60は、スラリ状研磨剤をストックするスラリタンク61と、スラリタンク61にストックされているスラリ供給通路40にスラリ状研磨剤を供給するノズル62とを有する。このスラリ供給源60は、図示しない固定構成によって、駆動部24のシリンダロッド241に直接固定されている。また、スラリ供給源60は、スラリ供給通路40の上方に、かつノズル62を
図3の紙面下方の位置Sの上方に位置させるように固定されている。なお、このスラリ供給源60が回転円盤25に固定されていなため、スラリ供給源60はスラリ供給通路40の回転とともに回転しない。
【0030】
スクレーパ65は、薄板状部材であり、板幅がスラリ供給通路40の溝幅よりも少し小さく、長手方法の寸法が内壁面42及び外壁面43の高さよりも高く形成されている。このスクレーパ65は、スラリ供給通路40の溝に、位置Sにより少々下流側の位置Sdに、この溝部44を横断するように配置されている。
【0031】
また、スクレーパ65は、
図3に示すように、図示しない固定構成によって、駆動部24のシリンダロッド241に直接固定されている。また、このスクレーパ65が回転円盤25に固定されていなため、スクレーパ65はスラリ供給通路40の回転とともに回転しない。なお、スクレーパ65は、スラリ供給通路40の回転を阻害しない。
【0032】
複数のスラリ供給孔100は、上定盤10に設けられており、供給孔の一例である。また、スラリ供給孔100は、例えば、
図3に示すように、スラリ供給通路40のスラリ落下孔400と同じ数、すなわち12個を有する。これらのスラリ供給孔100は、同じ形状を有し、上定盤10の円周方向にて略等間隔に配置されている。
【0033】
以下の説明では、これらのスラリ供給孔100を区別する場合に、「スラリ供給孔101」乃至「スラリ供給孔112」とし、区別しない場合に「スラリ供給孔100」と総称し、又は「各スラリ供給孔100」とする。また、第1実施形態では、各スラリ供給孔100の位置は、各スラリ落下孔400の位置に対応するように配置されている。
【0034】
スラリ案内部50は、各スラリ落下孔400から各スラリ供給孔100にスラリ状研磨剤を案内する。具体的には、スラリ案内部50は、例えば、スラリ状研磨剤が、各スラリ落下孔400に落下し始まるから、落下したスラリ落下孔400に対応するスラリ供給孔100に到達するまでの流動に係る流動時間を案内する。
【0035】
第1実施形態に係るスラリ案内部50は、複数のスラリ供給管500を有する。これらのスラリ供給管500は、スラリ供給通路40の各スラリ落下孔400及び上定盤10の各スラリ供給孔100を連結する経路の一例である。また、複数のスラリ供給管500は、上定盤10及びスラリ供給通路40の上下移動及び時計方向の回転とともに、上下移動及び時計方向の回転が可能である。また、このスラリ案内部50の詳細な構成について、後に説明する。
【0036】
こうして、第1実施形態に係るスラリ供給装置3では、スラリ供給源60のノズル62からスラリ供給通路40の位置Sに供給されたスラリ状研磨剤は、スクレーパ65によって、反時計方向にスラリ落下孔400から順番に落下する。そして、スラリ案内部50は各スラリ落下孔400から落下したスラリ状研磨剤を各スラリ供給孔100に案内する。その後、各スラリ供給孔100に到達したスラリ状研磨剤が、各スラリ供給孔100を介して、研磨対象となるワークに供給される。
【0037】
<スラリ案内部50の詳細>
続いて、
図3及び
図4を参照しつつ、第1実施に係るスラリ案内部50の詳細について説明する。
【0038】
ここで、スラリ案内部50の詳細を説明する前に、スラリ案内部50に到達するまでのスラリ状研磨剤における供給について説明する。第1実施形態では、スラリ状研磨剤におけるスラリ供給通路40への供給及びスラリ状研磨剤におけるスラリ落下孔400からの落下は、スラリ供給通路40の時計方向の回転と同時に行われる。また、スラリ落下孔400の上方に到達したスラリ状研磨剤は、スラリ状研磨剤をスラリ落下孔400に落下させるための下方側に作用する外力を受けることがなく、スラリ自身の重力によってスラリ落下孔400から落下する。
【0039】
具体的には、スラリ供給源60のノズル62は、位置Sにスラリ供給通路40の溝部44に向けてスラリ状研磨剤を滴下させる。スラリ供給通路40の溝部44に到達したスラリ状研磨剤は、スラリ供給通路40の時計方向の回転による力を受けて時計方向に流動しようとするが、位置Sに対して回転方向の少々下流側の位置Sdにあるスクレーパ65によってこの流動が止められる。そして、スラリ状研磨剤がスクレーパ65の上流側面に徐々に溜まり、体積及び重力が大きくなる。また、第1実施形態に係るスラリ状研磨剤は一定な粘度を有するため、溜まりスラリ状研磨剤はスクレーパ65の上流側面及び/又は溝部44に付着する。以下では、スクレーパ65で溜まっているスラリ状研磨剤を「溜まりスラリ状研磨剤」とし、スクレーパ65の上流側面及び溝部44を「スクレーパ65等」とする。
【0040】
また、スラリ状研磨剤がスクレーパ65で溜まると同時に、スラリ供給通路40が時計方向に回転し続ける。言い換えれば、位置Sdに固定されているスクレーパ65は、スラリ供給通路40に対して、反時計方向に、すなわち回転方向の上流側に向かって回転し続ける。そして、スクレーパ65で溜まっている溜まりスラリ状研磨剤は、反時計方向に、複数のスラリ落下孔400に順番に到達する。また、溜まりスラリ状研磨剤がスラリ落下孔400の上方に到達するときに、溜まりスラリ状研磨剤の重力が、スクレーパ65等が溜まりスラリ状研磨剤に与えている付着力よりも大きくなっている場合に、溜まりスラリ状研磨剤がスラリ落下孔400に落下する。逆に、溜まりスラリ状研磨剤の重力が、スクレーパ65等が溜まりスラリ状研磨剤に与えている付着力と同じ又はこの付着力よりも小さくなっている場合に、溜まりスラリ状研磨剤がスラリ落下孔400に落下しない。以下では、このような溜まりスラリ状研磨剤がスラリ落下孔400に落下するために必要な重力を「落下重力」とする。
【0041】
ここで、スラリ状の研磨剤が各スラリ落下孔400から落下するときの落下量のそれぞれは、略同じである場合と、異なる場合とがある。また、各落下孔400からのスラリ状研磨剤の落下量が略同じである場合と、各落下孔400からのスラリ状研磨剤の落下量が異なる場合とのスラリ案内部50によるスラリ状の研磨剤を案内する原理、すなわち、各スラリ落下孔400から落下するスラリ状研磨剤の流動時間を案内することが同じである。このような二つの場合の違いは、各落下孔400からのスラリ状研磨剤の落下量が異なる場合に、スラリ案内部50が各スラリ落下孔400から落下したスラリ状の研磨剤の量と流動時間との両方の関係を調整することができる。このため、以下の説明では、各落下孔400からのスラリ状研磨剤の落下量が異なる場合のスラリ案内部50による案内の一例として説明し、各落下孔400からのスラリ状研磨剤の落下量が略同じである場合に係る説明を省略する。
【0042】
第1実施形態では、例えば、スラリ供給通路40が一周を回転する時間は1tであり、落下直後の溜まりスラリ状研磨剤が落下重力に達するまでの必要な時間1/4tである。このため、溜まりスラリ状研磨剤が相隣するスラリ落下孔400を通過する時間は1/12tとなる。よって、スラリ供給通路40の回転とともに、スラリ供給源60がスラリ状研磨剤をスラリ供給通路40に供給し続けるが、落下直後の溜まりスラリ状研磨剤が落下重力に達するまでの必要な時間は、溜まりスラリ状研磨剤が相隣するスラリ落下孔400に通過する時間よりも長い。このため、溜まりスラリ状研磨剤が一旦ある一つのスラリ落下孔400(例えば、スラリ落下孔401)に落下した後に、溜まりスラリ状研磨剤の重力が減少し、相隣するスラリ落下孔402及びスラリ落下孔403に到達するときに、溜まりスラリ状研磨剤が落下重力に達していない。この場合、スラリ落下孔402及びスラリ落下孔403に落下したスラリ状研磨剤は、ノズル62から直接スラリ落下孔402及びスラリ落下孔403に滴下したスラリ、又は/及び溜まりスラリ状研磨剤の一部の付着不安定なスラリ状研磨剤スラリ状研磨剤によって構成されている。よって、スラリ落下孔402又はスラリ落下孔403に落下したスラリ状研磨剤の量は、スラリ落下孔401に落下したスラリ状研磨剤の量よりも少ない。ただし、溜まりスラリ状研磨剤がスラリ落下孔403に到達するときに、溜まりスラリ状研磨剤の重力が落下重力に達していないが、スラリ落下孔402に到達するときに比べて重力が増大している。このため、スラリ落下孔403に落下したスラリ状研磨剤の量は、スラリ落下孔402に落下したスラリ状研磨剤の量よりも多くなっている。また、第1実施形態では、スラリ落下孔401に落下したスラリ状研磨剤の量は、スラリ落下孔402に落下したスラリ状研磨剤の量の約2倍であり、スラリ落下孔403に落下したスラリ状研磨剤の量の約1.5倍である。
【0043】
その後、スラリ供給通路40が回転し続けると、溜まりスラリ状研磨剤がスラリ落下孔404に到達するときに、溜まりスラリ状研磨剤の重力が再び落下重力に達しているため、溜まりスラリ状研磨剤はこの落下重力によってスラリ落下孔404から落下する。こうして、溜まりスラリ状研磨剤がスラリ落下孔404からスラリ落下孔412に到達するときに係る溜まりスラリ状研磨剤の落下状態は、スラリ落下孔401からスラリ落下孔403に係るスラリ落下状態に対応して循環するように構成されている。つまり、第1実施形態では、溜まりスラリ状研磨剤の落下状態のサイクルは、スラリ供給通路40が1/4周を回転する度に循環する。このため、スラリ落下孔401,404,407,410(以下「スラリ落下孔401等」とする。)に落下するスラリ状研磨剤の量が同じであり、スラリ落下孔402,405,408,411(以下「スラリ落下孔402等」とする。)に落下するスラリ状研磨剤の量が同じであり、スラリ落下孔403,406,409,412(以下「スラリ落下孔403等」とする。)に落下するスラリ状研磨剤の量が同じである。
【0044】
以下では、説明の便宜のために、スラリ落下孔401等からのスラリ状研磨剤の落下量は「落下量3G」とし、スラリ落下孔402等からのスラリ状研磨剤の落下量は「落下量1G」とし、スラリ落下孔403等からのスラリ状研磨剤の落下量は「落下量1.5G」とする。なお、スラリ落下孔401等は、「第1落下孔」の一例であり、スラリ落下孔402等及びスラリ落下孔403等は、「第2落下孔」の一例である。また、スラリ落下孔401等からのスラリ状研磨剤の落下量は、「第1量」の一例であり、スラリ落下孔402等及びスラリ落下孔403等のそれぞれからのスラリ状研磨剤の落下量は、「第2量」の一例である。
【0045】
第1実施に係るスラリ案内部50の説明に戻る。第1実施形態に係るスラリ案内部50は、12本のスラリ供給管501乃至スラリ供給管512を有する。以下の説明では、これらのスラリ供給管501乃至スラリ供給管512を区別しない場合に「スラリ供給管500」と総称する。スラリ供給管500のそれぞれは、スラリ落下孔400のそれぞれとスラリ供給孔100のそれぞれとを連結する。これらのスラリ供給管500は、同じの材料及び同じ断面形状を有するが、異なる三種類の長さを有する。具体的には、これらのスラリ供給管500は、上述した落下量3Gのスラリ状研磨剤に対応する長さL1と、落下量1Gのスラリ状研磨剤に対応する長さL2と、落下量1.5Gのスラリ状研磨剤に対応する長さL3との三種類の長さ有する。また、最も多い落下量3Gに対応する長さL1は最も長く形成されており、最も少ない落下量1Gに対応する長さL2は最も短く形成されており、二番目少ない落下量1.5Gに対応する長さL3は二番目短く形成されている。
【0046】
詳細に説明すると、スラリ供給管501,504,507,510(以下では「スラリ供給管501等」とする。)は、第1経路の一例であり、同じ長さL1を有する。スラリ供給管501は、スラリ落下孔401をスラリ供給孔103に連結している。ここで、スラリ供給孔103は、スラリ落下孔401の直近にあるスラリ供給孔ではなく、スラリ落下孔401に対して回転方向の上流側にあるスラリ供給孔である。また、同様に、スラリ供給管504は、スラリ落下孔404をスラリ供給孔106に連結しており、スラリ供給管507は、スラリ落下孔407をスラリ供給孔109に連結しており、スラリ供給管510は、スラリ落下孔410をスラリ供給孔112に連結している。
【0047】
スラリ供給管502,505,508,511(以下では「スラリ供給管502等」とする。)は、第2経路の一例であり、同じ長さL2を有する。スラリ供給管502は、スラリ落下孔402をスラリ供給孔102に連結している。ここで、スラリ落下孔402は、スラリ落下孔402の直近にあるスラリ供給孔である。なお、スラリ落下孔402及びスラリ供給孔102は、同じ回転半径方向に配置されている孔である。また、同様に、スラリ供給管505は、スラリ落下孔405をスラリ供給孔105に連結しており、スラリ供給管508は、スラリ落下孔408をスラリ供給孔108に連結しており、スラリ供給管511は、スラリ落下孔411をスラリ供給孔111に連結している。
【0048】
スラリ供給管503,506,509,512(以下では「スラリ供給管503等」とする。)は、第2経路の一例であり、同じ長さL3を有する。スラリ供給管503は、スラリ落下孔403をスラリ供給孔104に連結している。ここで、スラリ落下孔403は、このスラリ落下孔403の直近にあるスラリ供給孔ではなく、このスラリ落下孔403に対して回転方向の上流側にあるスラリ供給孔である。また、同様に、スラリ供給管506は、スラリ落下孔406をスラリ供給孔107に連結しており、スラリ供給管509は、スラリ落下孔409をスラリ供給孔110に連結しており、スラリ供給管512は、スラリ落下孔412をスラリ供給孔101に連結している。
【0049】
なお、スラリ供給管503及びスラリ供給管501とも、それぞれに対応するスラリ落下孔401及びスラリ落下孔403をスラリ落下孔401及びスラリ落下孔403のそれぞれに対して回転方向の上流側にあるスラリ供給孔103及びスラリ供給孔104に連結している。ただし、スラリ供給管501が連結しているスラリ落下孔401とスラリ供給孔103との孔同士の距離が第1距離は、スラリ供給管502が連結しているスラリ落下孔403とスラリ供給孔104との孔同士の距離が第2距離よりも長い。
【0050】
このように、同じ落下量に対応するスラリ供給管500の構成は同じである。すなわち、スラリ供給管500の構成は、スラリ落下孔400に係るスラリ落下状態の循環サイクルに対応して、スラリ供給通路40が1/4周を回転する度に循環するように構成されている。このため、以下の説明では、スラリ供給管501,502,503に係る構成を中心に説明し、スラリ供給管504乃至スラリ供給管512の説明を省略する。
【0051】
スラリ供給管501は、スラリ落下孔401から落下した落下量3Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔103に流せるように案内する。ここで、スラリ状研磨剤がこのような長さがL1であるスラリ供給管501を通過するための流動時間、すなわちスラリ状研磨剤がスラリ落下孔401から落下してからスラリ供給孔103に到達するまでの流動時間は3tである。このスラリ状研磨剤がスラリ供給管501を通過する流動時間は、「第1流動時間」の一例である。また、上述したように、スラリ供給通路40が一周を回転する時間は1tである。これらのことから、スラリ落下孔401からの落下量3Gのスラリ状研磨剤が初めてスラリ供給孔103に到達するタイミングは、スラリ供給通路40が回転し始めるから三周を回転したときである。すなわち、スラリ供給管501が落下量3Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔103に案内する頻度は、1回/3周である。
【0052】
スラリ供給管502は、スラリ落下孔402から落下した落下量1Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔102に流せるように案内する。ここで、スラリ状研磨剤がこのような長さがL2であるスラリ供給管502を通過するための流動時間、すなわちスラリ状研磨剤がスラリ落下孔402から落下してからスラリ供給孔102に到達するまでの流動時間は1tである。このスラリ状研磨剤がスラリ供給管502を通過する流動時間は、「第2流動時間」の一例である。また、スラリ供給通路40が一周を回転する時間は1tである。これらのことから、スラリ落下孔402からの落下量1Gのスラリ状研磨剤が初めてスラリ供給孔102に到達するタイミングは、スラリ供給通路40が回転し始めるから一周を回転したときである。すなわち、スラリ供給管502が落下量1Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔102に案内する頻度は、1回/1周である。
【0053】
スラリ供給管503は、スラリ落下孔403から落下した落下量1.5Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔104に流せるように案内する。ここで、スラリ状研磨剤がこのような長さがL3であるスラリ供給管503を通過するための流動時間、すなわちスラリ状研磨剤がスラリ落下孔403から落下してからスラリ供給孔104に到達するまでの流動時間は2tである。このスラリ状研磨剤がスラリ供給管503を通過する流動時間は、「第2流動時間」の一例である。また、スラリ供給通路40が一周を回転する時間は1tである。これらのことから、スラリ落下孔403からの落下量1.5Gのスラリ状研磨剤が初めてスラリ供給孔104に到達するタイミングは、スラリ供給通路40が回転し始めるから二周を回転したときである。すなわち、スラリ供給管503が落下量1.5Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔104に案内する頻度は、1回/2周である。
【0054】
こうして、スラリ供給通路40が回転し始めるから一周を回転したときに、すなわち1tを回転したときに、スラリ供給管501が落下量3Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔103に案内した回数は0回であり、スラリ供給管502が落下量1Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔102に案内した回数は1回であり、スラリ供給管503が落下量1.5Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔104に案内した回数は0回である。そして、この1tの回転時間において、スラリ供給管501,503によって、スラリ供給孔103,104及びスラリ供給孔103,104に対応する研磨面の位置にスラリ状研磨剤が案内されておらず、スラリ供給管502によって、スラリ供給孔102及びスラリ供給孔102に対応する研磨面の位置に案内されたスラリ状研磨剤の量は1Gである。また、同様に、スラリ供給管502に対応するスラリ供給管505,508,511によって、スラリ供給孔105,108,111のそれぞれ及びスラリ供給孔105,108,111のそれぞれに対応する研磨面の位置に案内されたスラリ状研磨剤の量は1Gである。
【0055】
従って、スラリ供給通路40が一周を回転したときに、スラリ供給孔102,105,108,111のそれぞれに対応する研磨面の円周方向の等間隔の4箇所の何れかに供給されたスラリ状研磨剤の量とも、1Gである。このため、この場合においても、スラリ状研磨剤の研磨面における分布が均一になっている。また、スラリ供給通路40が一周の倍数の周数を回転したときにも同様であるため、それに係る説明を省略する。
【0056】
また、スラリ供給通路40が回転し始めるから二周を回転したときに、すなわち2tを回転したときに、スラリ供給管501が落下量3Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔103に案内した回数は0回であり、スラリ供給管502が落下量1Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔102に案内した回数は2回であり、スラリ供給管503が落下量1.5Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔104に案内した回数は1回である。そして、この2tの回転時間において、スラリ供給管501によって、スラリ供給孔103及びスラリ供給孔103に対応する研磨面の位置にスラリ状研磨剤が案内されておらず、スラリ供給管502によって、スラリ供給孔102及びスラリ供給孔102に対応する研磨面の位置に案内されたスラリ状研磨剤の総量は2Gであり、スラリ供給管503によって、スラリ供給孔104及びスラリ供給孔104に対応する研磨面の位置に案内されたスラリ状研磨剤の量は2Gである。また、同様に、スラリ供給管502に対応するスラリ供給管505,508,511のそれぞれによって、スラリ供給孔105,108,111のそれぞれ及びスラリ供給孔105,108,111のそれぞれに対応する研磨面の位置に案内されたスラリ状研磨剤の量は2Gであり、スラリ供給管503に対応するスラリ供給管506,509,512のそれぞれによって、スラリ供給孔107,110,112のそれぞれ及びスラリ供給孔107,110,101のそれぞれに対応する研磨面の位置に案内されたスラリ状研磨剤の量は2Gである。
【0057】
従って、スラリ供給通路40が二周を回転したときに、スラリ供給孔102,105,108,111のそれぞれに対応する研磨面の円周方向の等間隔の4箇所の何れかに供給されたスラリ状研磨剤の量と、スラリ供給孔104,107,110,101のそれぞれに対応する研磨面の円周方向の等間隔の4箇所の何れかに供給されたスラリ状研磨剤の量とも、2Gである。このため、この場合においても、スラリ状研磨剤の研磨面における分布が均一になっている。また、スラリ供給通路40が二周の倍数の周数を回転したときにも同様であるため、それに係る説明を省略する。
【0058】
さらに、スラリ供給通路40が回転し始めるから三周を回転したときに、すなわち3tを回転したときに、スラリ供給管501が落下量3Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔103に案内した回数は1回であり、スラリ供給管502が落下量1Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔102に案内した回数は3回であり、スラリ供給管503が落下量1.5Gのスラリ状研磨剤をスラリ供給孔104に案内した回数は2回である。そして、この3tの回転時間において、スラリ供給管501によって、スラリ供給孔103及びスラリ供給孔103に対応する研磨面の位置に案内されたスラリ状研磨剤の量は3Gであり、スラリ供給管502によって、スラリ供給孔102及びスラリ供給孔102に対応する研磨面の位置に案内されたスラリ状研磨剤の総量は3Gであり、スラリ供給管503によって、スラリ供給孔104及びスラリ供給孔104に対応する研磨面の位置に案内されたスラリ状研磨剤の総量は3Gである。また、説明を省略したが、スラリ供給管504乃至スラリ供給管512によって、スラリ供給孔104乃至スラリ供給孔112のそれぞれと、スラリ供給孔104乃至スラリ供給孔112のそれぞれに対応する研磨面の位置に案内されたスラリ状研磨剤の量とも3Gである。
【0059】
従って、スラリ供給通路40が三周を回転したときに、スラリ供給孔101乃至スラリ供給孔112のそれぞれに対応している研磨面の円周方向の等間隔の12箇所の何れかに供給されたスラリ状研磨剤の量とも、3Gである。このため、この場合においても、スラリ状研磨剤の研磨面における分布が均一になっている。また、スラリ供給通路40が三周の倍数の周数を回転したときにも同様であるため、それに係る説明を省略する。
【0060】
<スラリ状研磨剤の供給方法>
次に、
図5を参照しつつ、第1実施形態に係るスラリ供給方法の一例について説明する。
図5は、第1実施形態に係るスラリ供給方法を説明するためのフローチャート図である。なお、スラリ供給方法は、研磨剤供給方法の一例である。
【0061】
まず、スラリ状研磨剤を各スラリ供給管500に分配する(S10)。
具体的には、スラリ供給源60からスラリ供給通路40に供給されたスラリ状研磨剤は、スクレーパ65によって、反時計方向に、複数のスラリ落下孔400から順番に到達して落下する。そして、スラリ落下孔400のそれぞれに落下したスラリ状研磨剤が、落下するスラリ落下孔400に連結されているスラリ供給管500に流入することによって、各スラリ供給管500に分配される。なお、スラリ供給通路40が所定時間において連続回転する場合に、上述したスラリ状研磨剤におけるスラリ供給管500のそれぞれへの分配が循環に行われる。
【0062】
次に、スラリ状研磨剤が各スラリ供給管500を通過するための流動時間を調整する(S11)。
具体的には、スラリ案内部50は、スラリ落下孔400から落下するスラリ状研磨剤の落下量に基づいて、例えば、落下量が多いスラリ状研磨剤がスラリ供給管501等を通過するための流動時間を、落下量が少ないスラリ状研磨剤がスラリ供給管502等又はスラリ供給管503等を通過するための流動時間よりも長くなるように調整する。言い換えれば、スラリ案内部50は、落下量が多いスラリ状研磨剤の流動距離、すなわち落下量が多いスラリ状研磨剤が通過するスラリ供給管501等の長さを、落下量が少ないスラリ状研磨剤の流動距離、すなわち落下量が少ないスラリ状研磨剤が通過するスラリ供給管502等又はスラリ供給管503等の長さよりも長くなるように調整する。
【0063】
続いて、スラリ状研磨剤を、各スラリ供給孔100を介してワークに供給する(S12)。
具体的には、各スラリ供給孔100に到達したスラリ状研磨剤を、これらのスラリ供給孔100を介して、ワーク、すなわち研磨面に流入させる。ステップS11においてスラリ状研磨剤の量がスラリ案内部50によって調整され、スラリ状研磨剤は、研磨面の回転方向に均一に分布するように供給されている。
【0064】
最後、所定時間を経過し、ワークの研磨の終了とともに、スラリ供給装置3によるスラリ状研磨剤の供給が終了する。
【0065】
このように、第1実施形態では、スラリ案内部50は、各スラリ落下孔400から落下するスラリ状研磨剤の落下量に基づいて、スラリ状研磨剤が各スラリ供給管500を通過する流動時間を案内する。具体的には、スラリ案内部50は、落下量が多いスラリ状研磨剤がスラリ供給管501等を通過する第1流動時間を、落下量が少ないスラリ状研磨剤がスラリ供給管502等又はスラリ供給管503等を通過する第2流動時間よりも長くなるように案内している。すなわち、落下量が多いスラリ状研磨剤を案内するスラリ供給管501等の長さを、落下量が少ないスラリ状研磨剤を案内するスラリ供給管502等及びスラリ供給管503等の長さよりも長くなるように構成している。
このような特徴を有する複数のスラリ供給管500を採用することで、スラリ供給通路40の回転数と、スラリ供給通路40の各スラリ落下孔400からのスラリ状研磨剤の落下量及び落下したスラリ状研磨剤が研磨面に到達する到達回数との関係を調整することができる。このように、所定時間において、各スラリ落下孔400からのスラリ状研磨剤の落下回数は同じであるが、第1実施形態に係る複数のスラリ供給管500によって、この所定時間における落下量が多いスラリ状研磨剤が研磨面に到達する第1到達回数を、落下量が少ないスラリ状研磨剤が研磨面に到達する第2到達回数よりも少なくなるように調整される。その結果、所定時間に、第1到達回数でスラリ供給孔に到達した研磨剤の総量と、第2到達回数でスラリ供給孔に到達した研磨剤の総量とを同じくなる。よって、簡易な複数のスラリ供給管500を用いて、スラリ供給孔及びスラリ供給孔に対応する研磨面の位置に供給された研磨剤の分布の均一性を向上させることが可能となり、良好な研磨性を得ることができる。
【0066】
[第2実施形態]
続いて、
図6を参照しつつ、第2実施形態に係るスラリ案内部50の構成について説明する。
図6は、第2実施形態に係るスラリ案内部50の構成の一例を説明するための図である。第2実施形態は、第1実施形態と異なり、スラリ案内部50の各スラリ供給管500に通過するスラリ状研磨剤の流速を調整することによって、スラリ状研磨剤が各スラリ供給管500を通過するための流動時間を調整する実施形態である。以下では、第2実施形態と第1実施形態と共通の事柄についての説明を省略し、異なる点、すなわち第2実施形態に係るスラリ供給管501,504,507,510の構成について、第1実施形態と比較しながら説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については言及しない。
【0067】
第2実施形態に係るスラリ供給管501,504,507,510(以下では「スラリ供給管501等」とする。)は、
図6に示すように、スラリ供給管503,506,509,512と同じ長さL3を有する。第1実施形態と異なり、スラリ供給管501は、スラリ落下孔401を、スラリ落下孔401に対して回転方向の下流側にあるスラリ供給孔112に連結している。また、同様に、スラリ供給管504は、スラリ落下孔404をスラリ供給孔103に連結しており、スラリ供給管507は、スラリ落下孔407をスラリ供給孔106に連結しており、スラリ供給管510は、スラリ落下孔410をスラリ供給孔109に連結している。
【0068】
このように、第1実施形態に係るスラリ供給管501等が回転方法の上流側に傾斜するように設けられていることに対して、第2実施形態に係るスラリ供給管501が回転方法の下流側に傾斜するように設けられている。このため、同じ量のスラリ状研磨剤がスラリ供給管501から落下する場合において、第2実施形態に係るスラリ状研磨剤のスラリ供給管501における流動方向とスラリ供給通路40の回転方向とは同じく上流側向きの成分を有するが、第1実施形態に係るスラリ状研磨剤のスラリ供給管501における流動方向とスラリ供給通路40の回転方向とは逆方向の成分を有する。このため、スラリ状研磨剤がスラリ供給孔に向かって流動するときに、第1実施形態に係るスラリ状研磨剤が受けている空気抵抗等のスラリ状研磨剤の流動に阻害する外力に比べて、第2実施形態に係るスラリ状研磨剤が受けている空気抵抗等のスラリ状研磨剤の流動に阻害する外力は大きい。よって、第2実施形態に係るスラリ供給管501等を通過するスラリ状研磨剤の流速は、第1実施形態に係るスラリ供給管501等を通過するスラリ状研磨剤の流速よりも遅い。その結果、第2実施形態に係るスラリ供給管501等が第1実施形態に係るスラリ供給管501等よりも短く、すなわち流動距離が短くなっているが、第2実施形態に係るスラリ状研磨剤がスラリ供給管501を通過する流動時間は、第1実施形態に係るスラリ状研磨剤がスラリ供給管501を通過する流動時間と同じ3tである。
【0069】
また、第2実施形態に係るスラリ供給管501等は、第2実施形態に係るスラリ供給管503等と同じ長さを有する。しかしながら、第2実施形態に係るスラリ状研磨剤のスラリ供給管503等における流動方向と回転方向とは逆方向の成分を有するため、スラリ供給孔に向かって流動するときに、第2実施形態に係るスラリ供給管501等において流動するスラリ状研磨剤が受けている空気抵抗等のスラリ状研磨剤の流動に阻害する外力に比べて、第2実施形態に係るスラリ供給管503等において流動するスラリ状研磨剤が受けている空気抵抗等のスラリ状研磨剤の流動に阻害する外力は小さい。よって、第2実施形態に係るスラリ供給管501等において流動するスラリ状研磨剤の流速は、第2実施形態に係るスラリ供給管503等において流動するスラリ状研磨剤の流速よりも遅い。その結果、第2実施形態に係るスラリ供給管502等及びスラリ供給管503等と同じ長さ、すなわち同じ流動距離を有するが、第2実施形態に係るスラリ状研磨剤がスラリ供給管501等を通過する流動時間は、第2実施形態に係るスラリ状研磨剤がスラリ供給管503等を通過する流動時間よりも長く形成されている。なお、第2実施形態に係るスラリ状研磨剤がスラリ供給管502等を通過する流動時間も同様であるため、説明を省略する。
【0070】
このように、第2実施形態では、このような特徴を有するスラリ供給管501等を採用することで、スラリ状研磨剤のスラリ供給管501等においての流速を遅らせることができる。よって、スラリ案内部50は、落下量が多いスラリ状研磨剤がスラリ供給管501等を通過する第1流動時間を、落下量が少ないスラリ状研磨剤がスラリ供給管502等又はスラリ供給管503等を通過する第2流動時間よりも長くなるように案内することが可能となる。また、第2実施形態では、スラリ供給管501等をスラリ供給管503等よりも長く形成する必要がない。この結果、スラリ供給管501等の設置及び交換が容易になる。さらに、スラリ供給管501等の長さを抑制することで、スラリ状研磨剤がスラリ供給管501等の内で詰まるリスクを減少することができる。よって、スラリ供給孔及びスラリ供給孔に対応する研磨面の位置に供給されたスラリ状研磨剤の分布の均一性の向上とともに、スラリ供給装置の生産性及びスラリ状研磨剤の供給の安定性の向上を実現することができる。
【0071】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。
本発明の一実施形態に係るスラリ供給装置3では、流動性を有する研磨剤であるスラリ状研磨剤を供給するための装置であって、スラリ状研磨剤を下方に案内する複数のスラリ落下孔400を有するスラリ供給通路40と、スラリ供給通路40の下方に配置され、スラリ状研磨剤を供給する複数のスラリ供給孔100を有する上定盤10と、複数のスラリ落下孔400から落下したスラリ状研磨剤を、スラリ状研磨剤が落下したスラリ落下孔400に対応するスラリ供給孔100に案内する、複数の経路の一例であるスラリ供給管500を有するスラリ案内部50と、を備え、複数のスラリ落下孔400は、少なくとも、スラリ落下孔401等と、スラリ落下孔402等及びスラリ落下孔403等と、を有し、複数の経路は、スラリ落下孔401等及びスラリ供給孔103等を連結する第1経路と、スラリ落下孔402等及びスラリ落下孔403等のそれぞれ及びスラリ供給孔102等及び104等のそれぞれを連結する第2経路とを有し、スラリ状研磨剤が複数のスラリ落下孔400から落下する度に、スラリ落下孔401等から落下したスラリ状研磨剤の第1量を有し、スラリ落下孔402等及びスラリ落下孔403等から落下したスラリ状研磨剤の第2量を有し、スラリ案内部50は、第1量のスラリ状研磨剤がスラリ供給管501等を通過する第1流動時間と、第2量のスラリ状研磨剤がスラリ供給管502等及びスラリ供給管503等を通過する第2流動時間とを異なるように案内する。
上記構成によれば、簡易な構成を用いて、研磨面に供給された研磨剤の分布の均一性を向上させ、良好な研磨性を得ることができる。
【0072】
また、上記構成において、第1量と第2量とは略同じであり、スラリ案内部50は、第1流動時間を第2流動時間よりも長くなるように案内する。
上記構成によれば、落下した研磨剤の研磨剤の流動時間の関係を調整し、研磨剤の供給位置の分散性を向上させることができる。なお、第1量を、第2量より多く、スラリ案内部50は、第1流動時間を第2流動時間よりも長くなるように案内することで、落下した研磨剤の研磨剤の量と流動時間と両方の関係を調整することもできる。
【0073】
また、上記構成において、スラリ案内部50は、スラリ供給管501等によるスラリ状研磨剤の流動距離を、単位時間のスラリ供給量を略同じとして、スラリ供給管502等及びスラリ供給管503等によるスラリ状研磨剤の流動距離よりも長くなるように案内する。
上記構成によれば、簡易な構成で、研磨面に供給される研磨剤の回転方向における落下位置を調整できる。典型的には、略同じ断面形状を有し、かつ互いに長さを異らせた複数のスラリ供給管による簡略な構成によって、スラリ供給位置を分散させ、回転方向の分布の均一性を向上させることができる。なお、略同じの範囲は、互いの差が±15%以内であることが好ましく、±10%以内であることがより好ましく、±5%以内であることが最も好ましい。
【0074】
また、上記構成において、スラリ案内部50は、スラリ供給管501等によるスラリ状研磨剤の流速を、スラリ供給管502等及びスラリ供給管503等によるスラリ状研磨剤の流速よりも遅くなるように案内する。
上記構成によれば、研磨剤を均一に研磨面に供給させることができる。
【0075】
また、上記構成において、スラリ状研磨剤は、複数のスラリ落下孔400から順番に落下し、スラリ状研磨剤の一部がスラリ落下孔401等から落下した後に、スラリ状研磨剤の他の一部がスラリ落下孔402等及びスラリ落下孔403等から落下する。
上記構成によれば、研磨剤が複数のスラリ落下孔のそれぞれに分配されることができる。
【0076】
また、上記構成において、スラリ状研磨剤は、所定時間に、循環に複数のスラリ落下孔400から順番に落下し、所定時間において、スラリ落下孔401等から落下するスラリ状研磨剤の落下回数と、スラリ落下孔402等及びスラリ落下孔403等から落下するスラリ状研磨剤の落下回数とは、同じであり、スラリ案内部50は、所定時間において、スラリ落下孔401等から落下するスラリ状研磨剤がスラリ供給孔103等に到達する第1到達回数を、スラリ落下孔402等及びスラリ落下孔403等から落下するスラリ状研磨剤がスラリ供給孔102等及びスラリ供給孔104等に到達する第2到達回数よりも少なくなるように案内する。
上記構成によれば、簡易な構成を用いて、研磨面の各位置に供給された研磨剤の量を調整することができる。
【0077】
また、上記構成において、スラリ案内部50は、第1到達回数でスラリ供給孔103等に到達したスラリ状研磨剤の総量と、第2到達回数でスラリ供給孔102等及びスラリ供給孔104等のそれぞれに到達した研磨剤の総量とを同じくなるように案内する。
上記構成によれば、簡易な構成を用いて、研磨面の各位置に供給された研磨剤の量を同じくなるように調整することができ、研磨剤の分布の均一性の向上を実現することができる。
【0078】
また、上記構成において、複数のスラリ供給管500は、第1経路の一例であるスラリ供給管501等と、第2経路の一例であるスラリ供給管502等及びスラリ供給管503等とは、同じ断面形状を有する。
上記構成によれば、簡易な構成で、研磨剤の供給の安定性を維持することができる。
【0079】
また、上記構成において、スラリ供給管501等の長さは、スラリ供給管502等又はスラリ供給管503等の長さよりも長い。
上記構成によれば、簡易な構成を用いて、スラリ状研磨剤の流動時間を調整することがでる。
【0080】
また、上記構成において、スラリ供給管501等は、スラリ落下孔401等を、第1落下孔に対して非直近方向にあり、かつスラリ落下孔401等との孔同士の距離が第1距離であるスラリ供給孔103等に連結し、スラリ供給管502等は、スラリ落下孔402等を、スラリ落下孔402等に対して直近方向にあるスラリ供給孔102等に連結し、又は/及び、スラリ供給管503等は、スラリ落下孔403等を、スラリ落下孔403等に対して非直近方向にあり、かつスラリ落下孔403等との孔同士の距離が第2距離であるスラリ供給孔104等に連結し、第1距離は、第2距離よりも長い。
上記構成によれば、簡易な構成を用いて、研磨剤の分布の均一性の向上を実現することができる。
【0081】
また、上記構成において、スラリ供給管501等は、スラリ落下孔401等を、スラリ落下孔401等に対して上定盤10の回転方向の上流側にあるスラリ供給孔103等に連結し、スラリ供給管502等は、スラリ落下孔402等を、スラリ落下孔402等に対して上定盤10の回転半径方向にあるスラリ供給孔102等に連結し、又は/及び、スラリ供給管503等は、スラリ落下孔403等を、スラリ落下孔403等に対して回転方向の上流側かつスラリ供給孔103等に対して回転方向の下流側にあるスラリ供給孔104等に連結する。
上記構成によれば、簡易な構成で、研磨剤の分布の均一性を向上させることができる。
【0082】
また、上記構成において、スラリ供給管501等は、スラリ落下孔401等を、スラリ落下孔401等に対して上定盤10の回転方向の下流側にあるスラリ供給孔112等に連結し、スラリ供給管502等は、スラリ落下孔402等を、スラリ落下孔402等に対して上定盤10の回転半径方向にあるスラリ供給孔102等に連結し、又は/及び、スラリ供給管503等は、スラリ落下孔403等を、スラリ落下孔403等に対して回転方向の上流側にあるスラリ供給孔104等に連結する。
上記構成によれば、簡易な構成を用いて、研磨剤の流速を遅らせることができる。
【0083】
また、上記構成において、スラリ供給管501等は、スラリ供給管503等と同じ長さを有する。
上記構成によれば、簡易な構成を用いて、研磨剤の分布の均一性の向上を実現することとともに、研磨剤供給管の詰まりを抑制することができる。
【0084】
また、本発明の一実施形態に係る研磨装置では、本発明の何れかの一実施形態に係るスラリ供給装置3と、上定盤10とともに研磨面を構成する下定盤20と、上定盤10及び下定盤20の間に配置され、ワークを保持する保持孔35を有するキャリア30と、スラリ供給装置3、下定盤20及びキャリア30を回転駆動する駆動装置と、を備える。
上記構成によれば、簡易な構成を用いて、研磨面に供給された研磨剤の分布の均一性を向上させ、良好な研磨性を得ることができる。
【0085】
また、本発明の一実施形態に係る研磨剤供給方法では、流動性を有する研磨剤の一例であるスラリ状研磨剤供給するための研磨剤供給方法であって、スラリ供給通路40に貯留したスラリ状研磨剤を、スラリ供給通路40に設けれている複数のスラリ落下孔400から落下させて、複数のスラリ落下孔400及び上定盤10に設けられている複数のスラリ供給孔100を連結する複数の経路の一例である複数のスラリ供給管500のそれぞれに分配する分配工程と、スラリ状研磨剤が複数のスラリ供給管500のそれぞれを通過する流動時間を調整する調整工程と、複数のスラリ供給孔100のそれぞれに到達したスラリ状研磨剤を供給する供給工程と、を含み、スラリ状研磨剤が複数のスラリ供給管500のそれぞれに分配される度に、複数のスラリ供給管500の少なくとも一つのスラリ供給管500に分配されたスラリ状研磨剤の量は第1量を有し、他のスラリ供給管500に分配されたスラリ状研磨剤の量は第2量を有し、調整工程は、少なくとも一つのスラリ供給管500を通過するスラリ状研磨剤の流動時間を、他のスラリ供給管500を通過するスラリ状研磨剤の流動時間よりも長くなるように調整することを含む。
上記方法によれば、簡易な構成を用いて、研磨面に供給された研磨剤の分布の均一性を向上させ、良好な研磨性を得ることができる。
【0086】
また、上記方法において、分配工程は、所定時間に、循環に、スラリ状研磨剤を複数のスラリ落下孔400から順番に落下させて、複数のスラリ供給管500のそれぞれに分配することを含み、所定時間において、複数のスラリ落下孔400のそれぞれにスラリ状研磨剤が分配された回数は、同じであり、調整工程は、所定時間において、少なくとも一つのスラリ供給管500からのスラリ状研磨剤が対応するスラリ供給孔100に到達する第1到達回数を、他のスラリ供給管500からのスラリ状研磨剤が対応するスラリ供給孔100に到達する第2到達回数よりも少なくなるように調整することを含む。
上記方法によれば、研磨面の各位置に供給された研磨剤の量を調整することができる。
【0087】
また、上記方法において、調整工程は、第1到達回数で少なくとも一つのスラリ供給管500に対応するスラリ供給孔100に到達したスラリ状研磨剤の総量と、前記第2到達回数で他のスラリ供給管500に対応するスラリ供給孔100に到達したスラリ状研磨剤の総量とを同じくなるようにように調整することを含む。
上記方法によれば、研磨面の各位置に供給された研磨剤の量を同じくなるように調整することができ、研磨剤の分布の均一性の向上を実現することができる。
【0088】
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々に変形して適用することが可能である。以下では、本発明に係る変形例について説明する。
【0089】
上記実施形態では、スラリ供給装置3の、スラリ供給通路40に設けられているスラリ落下孔400と、上定盤10に設けられているスラリ供給孔100とは、同じ数を有する構成として説明したが、上記構成に限定されるものではなく、スラリ落下孔400と、スラリ供給孔100とは異なる数を有するものであってもよい。例えば、スラリ落下孔400の数がスラリ供給孔100よりも多く形成されてもよく、この場合において、複数のスラリ落下孔400が一つのスラリ供給孔100に連結するように構成する。あるいは、逆に、スラリ落下孔400の数がスラリ供給孔100よりも少なく形成されてもよく、この場合において、一つのスラリ落下孔400が複数のスラリ供給孔100に連結するように構成する。また、スラリ落下孔400の数が一つ、スラリ供給孔100の数が複数であってもよく、この場合において、一つのスラリ落下孔400が全てのスラリ供給孔100に連結するように構成する。
【0090】
上記実施形態では、スラリ落下孔400及びスラリ供給孔100は、12個の同じ形状を有するものとして説明したが、上記構成に限定されるものではない。スラリ落下孔400及びスラリ供給孔100は、12個と異なる数、例えば、36個を有してもよい。また、スラリ落下孔400及びスラリ供給孔100は、異なる形状、例えば、スラリ落下孔400が、スラリ供給孔100よりも大きく形成されてもよい。
【0091】
上記実施形態では、複数のスラリ供給孔100が上定盤10の円周方向にて等間隔に設けられている構成として説明したが、上記構成に限定されるものではなく、複数のスラリ供給孔100が上定盤10の半径方向及び/又は円周方向にて等間隔に設けられているものであってもよい。また、上定盤10の半径方向に等間隔に設けられているスラリ供給孔100は、異なる直径を有してもよい。例えば、半径方向の中心側から周辺側に向かって、スラリ供給孔100の直径が徐々に大きくなってもよい。このような構成によれば、スラリ供給孔100が密集している中心側と、中心側に比べてスラリ供給孔100が密集していない周辺側とのスラリ状研磨剤の供給量を均一になるように調整することができる。
【0092】
上記実施形態では、スラリ供給源60はスラリ供給通路40にスラリ状研磨剤を自然滴下して供給する構成として説明したが、上記構成に限定されるものではなく、スラリ供給源60が圧力装置や流量調整弁等を採用してスラリ供給通路40にスラリ状研磨剤を供給する構成であってもよい。また、スラリ供給源60は一つのノズル62を有する構成として説明したが、スラリ供給源60は複数、例えばスラリ落下孔400の数と同じ数のノズル62を有してもよい。また、上記実施形態では、スクレーパ65の数は一つとして説明したが、上記構成に限定されるものではなく、スクレーパ65の数は複数、又はノズル62と同じ数を有してもよい。このような構成を採用すれば、スラリ供給源60のスラリ状研磨剤の供給精度を向上することができる。
【0093】
上記実施形態では、スラリ案内部50は、スラリ供給管501等は設置の傾斜方向を変更することによって、スラリ供給管501等に流動するスラリ状研磨剤の流速を調整する構成として説明したが、上記構成に限定されるものではなく、例えば、スラリ案内部50は、スラリ供給管501等の内壁面の粗さ、材料、傾斜度、又は管径等を変更することによって、スラリ状研磨剤の流速を調整する構成であってもよい。さらに、このような異なる構成を有するスラリ供給管501等を採用すると、スラリ供給管501等と、スラリ供給管502等と、スラリ供給管503等とが、略同じ長さを有してもよい。
【0094】
上記実施形態では、スラリ供給通路40が一周を回転する回転時間を1tとし、溜まりスラリ状研磨剤が一旦落下した後に再び落下重力に達する時間を1/4tとして説明したが、スラリ供給通路40の回転時間及び落下重力の達する時間が異なる関係有してもよい。このような場合において、溜まりスラリ状研磨剤の落下状態のサイクルは、スラリ供給通路40の回転時間及び落下重力の達する時間に従って変更する。
【0095】
上記実施形態では、スラリ供給通路40の数は一つとして説明したが、スラリ供給通路40の数は複数であってもよい。
【0096】
上記実施形態では、スラリ供給管500をスラリ落下孔400及びスラリ供給孔100を連結する経路として説明したが、経路は上記構成に限定されるものではなく、弁機構等の他の構成であってもよい。
【0097】
上記実施形態では、スラリ供給管500のそれぞれを通過してスラリ供給孔100のそれぞれにスラリ状研磨剤が到達する時間が異なる構成として説明したが、上記構成に限定されるものではなく、スラリ供給管500のそれぞれの長さを変更することで、スラリ供給管500のそれぞれを通過してスラリ供給孔100のそれぞれにスラリ状研磨剤が到達する時間が同時に構成してもよい。
【0098】
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0099】
1…研磨装置、2…研磨盤、3…スラリ供給装置、10…上定盤、20…下定盤、30…キャリア、40…スラリ供給通路、50…スラリ案内部、100,101~112…スラリ供給孔、400,401~412…スラリ落下孔、500,501~512…スラリ供給管