(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】分離装置
(51)【国際特許分類】
B04C 5/14 20060101AFI20220803BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
B04C5/14
B23Q11/00 U
(21)【出願番号】P 2022000926
(22)【出願日】2022-01-06
【審査請求日】2022-01-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594204756
【氏名又は名称】株式会社ブンリ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 誠
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-225515(JP,A)
【文献】米国特許第02835387(US,A)
【文献】特開2006-130489(JP,A)
【文献】特開2012-192402(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第00999848(GB,A)
【文献】米国特許第03331193(US,A)
【文献】実公昭41-024458(JP,Y1)
【文献】特開2008-307442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04C1/00-11/00
B23Q11/00-13/00
B24B53/00-57/04
B01D21/00-21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線に沿って延び、内部に異物を含む液体を導入するための導入口
を含む導入部と、下端に設けられ前記液体および前記異物を排出するための排出口
を含むドレン部と、を有し、前記内部で前記液体を旋回させるサイクロンと、
前記中心軸線から離れる半径方向に間隔を置いて前記排出口を囲うとともに、前記サイクロンの延在方向において前記排出口よりも下方に向けて延びる筒部材と、を備え、
前記ドレン部は、前記導入部と接続された第1部材と、前記第1部材と接続され、前記排出口が設けられた第2部材と、前記第1部材から前記第2部材にわたり形成され、前記延在方向において下方に向かうに従い内径が小さくなる第1内周面と、を有し、
前記排出口は、前記第1内周面と接続され、前記延在方向において前記第1内周面から下方に向かうに従い内径が大きくなる第2内周面を有し、
前記筒部材は、
前記排出口を囲う第3内周面と、一端に設けられ、前記異物が通過する開口部
と、を有し、
前記延在方向に沿って前記第2内周面を前記第3内周面に向けて延長した仮想面は、前記第3内周面と交差し、
前記排出口から排出された前記液体および前記異物は、前記開口部を介して下方に向けて排出される、
分離装置。
【請求項2】
前記筒部材は、
前記第3内周面を有する第1筒部材と、前記第1筒部材と接続され前記延在方向において下方に向けて延びる第2筒部材と、を有し、
前記第2筒部材において、前記開口部は、前記第1筒部材と接続された端部の反対側の端部に設けられ、
平面視において、前記開口部の面積は、前記第1筒部材の面積よりも小さい、
請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
前記中心軸線に沿う断面において、前記半径方向における前記第2筒部材の幅は、前記開口部に向けて小さくなっている、
請求項2に記載の分離装置。
【請求項4】
前記筒部材は、前記筒部材の内部と外部とを連通する連通孔をさらに有し、
前記連通孔は、前記延在方向において前記排出口よりも上方に位置している、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項5】
前記導入部および前記第1部材を囲う側壁と、前記側壁と接続された底壁と、を有するカバーをさらに備え、
前記筒部材は、前記底壁と接続されている、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項6】
前記延在方向において前記排出口よりも下方に設けられ、前記排出口から排出される前記液体および前記異物を貯留するための沈殿槽をさらに備える、
請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項7】
前記排出口は、前記延在方向において前記沈殿槽の液面から間隔を置いて設けられ、
前記仮想面と前記第3内周面とが交差した位置は、前記延在方向において前記液面よりも上方に位置している、
請求項6に記載の分離装置。
【請求項8】
前記開口部は、前記沈殿槽に貯留された前記液体に浸かっている、
請求項
6または7に記載の分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械により金属材料などを機械加工する際、加工精度の向上、工具の寿命の延命、および切り屑や金属粉などの排出を促進することを目的として研削液、切削液、クーラントなどと呼ばれる各種の液体が使用される。
【0003】
これらの液体は、機械加工により生じた切り屑や金属粉などの異物が含まれた状態で工作機械から排出される。排出された液体は、異物を分離し取り除いた後、工作機械に戻して再利用される。異物が含まれる液体から異物を分離し取り除くための分離装置に関し、これまで様々な提案がなされている。
【0004】
例えば特許文献1には、発泡抑制型液体サイクロンが開示されている。このサイクロンは、重力方向に向かって内径が次第に小さくなる部分を有し内径の大径部に供給された分離対象液状体を旋回させて比重の大きい物質と比重の小さい液体とに分離する旋回流室を備え、分離された前記比重の大きい物質が排出される排出口を下端に有すると共に分離された前記比重の小さい液体が旋回流として上昇する上昇流路を上端に有するサイクロン本体と、前記サイクロン本体の上端に設けられ前記上昇流路を通って前記比重の小さい液体が流入する上室とを具備する液体サイクロンであって、前記サイクロン本体の下端の排出口の気圧Pをゲージ圧で-0.5kg/cm2G≦P<0kg/cm2Gの負圧の範囲になるように、前記上室から前記比重の小さい液体が流出する流出路の横断面積を規制したことを特徴としている。
【0005】
このサイクロンは、分離されて回収された液体の発泡を十分に抑制することを課題としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に開示されたサイクロンを踏まえても、液体の発泡を抑制するための構造に関しては、未だに種々の改善の余地がある。そこで、本発明は、液体の発泡をより効果的に抑制することが可能な分離装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る分離装置は、中心軸線に沿って延び、内部に異物を含む液体を導入するための導入口と、下端に設けられ前記液体および前記異物を排出するための排出口と、を有し、前記内部で前記液体を旋回させるサイクロンと、前記中心軸線から離れる半径方向に間隔を置いて前記排出口を囲うとともに、前記サイクロンの延在方向において前記排出口よりも下方に向けて延びる筒部材と、を備える。前記筒部材は、前記異物が通過する開口部を一端に有し、前記排出口から排出された前記液体および前記異物は、前記開口部を介して下方に向けて排出される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液体の発泡をより効果的に抑制することが可能な分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る分離装置を示す概略的な斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る分離装置を示す概略的な側面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態におけるサイクロンを示す概略的な斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2におけるIV部を示す概略的な部分拡大図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態における筒部材を示す概略的な斜視図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態における筒部材を示す概略的な平面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る分離装置の比較例を示す図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る分離装置を示す概略的な側面図である。
【
図9】
図9は、
図8におけるIX部を示す概略的な部分拡大図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態における筒部材を示す概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、分離装置の各実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の各実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0012】
各実施形態においては、液体に含まれる異物を遠心力によって分離し取り除くための分離装置について開示する。液体には、例えば研削液、切削液、およびクーラントなどが含まれる。異物には、例えば金属材料などの切り屑、金属粉などが含まれる。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る分離装置1を示す概略的な斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る分離装置1を示す概略的な側面図である。
図3は、第1実施形態におけるサイクロン10を示す概略的な斜視図である。
図4は、
図2におけるIV部を示す概略的な部分拡大図である。
図5は、第1実施形態における筒部材30を示す概略的な斜視図である。
図6は、第1実施形態における筒部材30を示す概略的な平面図である。以下、各図においては、説明の都合上、部品の一部を透過させて示す場合がある。
【0014】
図1および
図2に示すように、分離装置1は、サイクロン10と、導入管21と、排出管22と、筒部材30と、沈殿槽40と、異物回収ボックス23と、を備えている。サイクロン10は、その内部において、液体に含まれた異物を分離し取り除く。サイクロン10は、沈殿槽40の上方に設けられている。
図2に示すように、サイクロン10は、中心軸線CXに沿って延びている。
【0015】
ここで、中心軸線CXに沿う平行な方向を軸方向Dxと定義する。軸方向Dx一方側を上または上方と定義し、軸方向Dx他方側を下または下方と定義する。サイクロン10の延在方向は、軸方向Dxに相当する。中心軸線CXを中心として中心軸線CXから離れる方向を半径方向Drと定義し、中心軸線CXを中心とする周方向θを定義する。
【0016】
図3に示すように、サイクロン10は、サイクロン本体11と、クリーンケース60と、気液分離管71と、内壁72と、を備えている。サイクロン本体11は、端部12と、端部12と反対側の端部13と、を有している。端部12はサイクロン本体11の上端に相当し、端部13はサイクロン10およびサイクロン本体11の下端に相当する。
【0017】
サイクロン本体11は、導入部51と、導入部51と接続されたドレン部52と、を有している。導入部51は、サイクロン本体11の上端側に位置し、ドレン部52はサイクロン本体11の下端側に位置している。導入部51は、円筒状に形成されている。導入部51は、内周面511を有している。内周面511は、軸方向Dxに沿って一様な径で延びている。
【0018】
ドレン部52は、導入部51と同軸上に位置している。ドレン部52は、導入部51と接続された円錐台状の第1部材53と、第1部材53と接続された円柱状の第2部材54と、を有している。ドレン部52は、第1部材53から第2部材54にわたり形成された内周面521を有している。
【0019】
内周面521は、内周面511の下端側において周方向θにわたり接続されている。内周面521は、内周面511との接続箇所からサイクロン本体11の下端に向けて延びる円錐面状に形成されている。内周面521は、サイクロン本体11の下端に向かうに従い徐々に内径が小さくなっている。以下、内周面511と内周面521とによって囲われた領域を「サイクロン本体11の内部」と呼ぶ。
【0020】
サイクロン本体11は、導入口55と、排出口56と、をさらに有している。導入口55は、サイクロン本体11の内部に異物を含む液体を導入する。導入口55は、導入部51に設けられている。導入口55は、円筒状に形成された導入部51の接線方向に沿うように開口している。
【0021】
導入口55には、導入管21が接続されている。導入管21には、異物を含む液体が流入する。導入管21は、導入口55を介してサイクロン本体11の内部とサイクロン本体11の外部とを連通している。
【0022】
導入管21には、ホースなどが接続されている。導入管21から導入される液体は、導入部51の接線方向に沿ってサイクロン本体11の内部に供給される。導入管21には、例えば圧力計24が設けられている。圧力計24は、例えば圧力センサなどでもよい。
【0023】
排出口56は、液体から分離された異物を多く含む液体をサイクロン本体11の内部からサイクロン本体11の外部へ排出する。排出口56は、サイクロン本体11の内部とサイクロン本体11の外部とを連通している。排出口56は、サイクロン本体11の端部13に設けられている。
【0024】
より具体的には、排出口56は、下端側の第2部材54の端部において、軸方向Dxに沿って延びるよう設けられている。
図4に示すように、排出口56は、内周面561を有している。内周面561は、内周面521との接続箇所から下方に向かうに従い徐々に内径が大きくなる円錐面状に形成されている。
【0025】
クリーンケース60は、サイクロン本体11によって異物が分離された液体を内部に貯留する。
図3に示すように、クリーンケース60は、サイクロン本体11の上端側に設けられている。
【0026】
クリーンケース60は、側壁61と、底壁62と、軸方向Dxにおける底壁62の反対側の上壁63と、を有している。底壁62および上壁63は、側壁61に接続されている。以下、側壁61、底壁62、および上壁63によって囲われた領域を「クリーンケース60の内部」と呼ぶ。
【0027】
側壁61は、中心軸線CXを中心とする円筒状に形成されている。側壁61は、軸方向Dxに沿って一様な径で延びている。底壁62および上壁63は、中心軸線CXを中心とする円板形状である。上壁63は、例えば側壁61に対して着脱可能に設けられている。
【0028】
底壁62は、サイクロン本体11の内部とクリーンケース60の内部とを隔てている。底壁62には、中心軸線CXを中心とする連通孔64が設けられている。連通孔64は、サイクロン本体11の内部とクリーンケース60の内部とを連通する。
図3に示す例において、連通孔64は、中心軸線CXを中心とする円形状である。
【0029】
クリーンケース60は、排出口65をさらに有している。排出口65は、異物が分離された液体をクリーンケース60の内部からクリーンケース60の外部へ排出する。排出口65は、側壁61に設けられている。
【0030】
排出口65には、排出管22が接続されている。排出管22は、サイクロン10によって異物が分離された液体を排出する。排出管22は、例えば排出口65から排出された液体を貯留するための液体回収タンク(図示しない)に向けて延びている。排出管22には、ホースなどが接続されている。
【0031】
図1に示す例において、排出管22には、バルブ25が設けられている。バルブ25は、開度を調整することで排出管22から排出される流量を調整する。バルブ25の開度の調整は、例えばバルブ25に設けられたハンドル26を操作することで行う。バルブ25は、例えば仕切弁である。
【0032】
気液分離管71は、クリーンケース60の内部において中心軸線CXと同軸上に設けられている。気液分離管71は、円筒状に形成されている。気液分離管71は、軸方向Dxに沿って一様な径で延びている。
【0033】
気液分離管71は、軸方向Dxに沿って連通孔64から上壁63に向けて延びている。気液分離管71の内部は、連通孔64を介してサイクロン本体11の内部と接続されている。
【0034】
気液分離管71は、複数の孔73を有している。複数の孔73は、例えば気液分離管71の全体に設けられている。複数の孔73は、例えば軸方向Dxおよび周方向θにそれぞれ均一な間隔を置いて設けられている。
図3においては、複数の孔73の一部を示している。孔73は、気液分離管71の内周面と外周面とを貫通する貫通孔である。孔73の形状は、例えば円形状である。
【0035】
内壁72は、クリーンケース60の内部において気液分離管71を半径方向Dr外側から囲うように中心軸線CXと同軸上に設けられている。内壁72は、円筒状に形成されている。
【0036】
内壁72は、軸方向Dxに沿って底壁62から上壁63に向けて延びている。内壁72は、内周面74を有している。内周面74は、軸方向Dxに沿って一様な径で延びている。内壁72は、サイクロン本体11の上端側に位置する気液分離管71の一部分を周方向θの全体にわたり囲んでいる。内壁72の内径は、気液分離管71の外径よりも大きく、側壁61の内径よりも小さい。
【0037】
半径方向Drにおいて、クリーンケース60の内部には、気液分離管71と内壁72との間に第1貯留部66が形成され、内壁72と側壁61との間に第2貯留部67が形成されている。
【0038】
サイクロン10は、導入部51および第1部材53を半径方向Dr外側から囲うカバー80をさらに備えている。カバー80は、中心軸線CXを中心とする円筒状の側壁81と、側壁81に接続された底壁82と、を有している。側壁81は、軸方向Dxに沿って一様な径で延びている。側壁81の外径は、例えば側壁61の外径とおおよそ等しくてもよいし、側壁61の外径よりも小さくてもよい。
【0039】
図3および
図4に示す例において、底壁82は、軸方向Dxにおける第1部材53と第2部材54との接続部57と同じ位置に位置している。底壁82は、中心軸線CXと直交している。底壁82は、一例として、中心軸線CXを中心とする円板形状である。
【0040】
次に、筒部材30について、説明する。
図2および
図4に示すように、筒部材30は、サイクロン本体11の下端側に設けられている。筒部材30は、軸方向Dxにおいて排出口56よりも下方に向けて延びている。
【0041】
筒部材30は、第1筒部材31と、第1筒部材31と接続された第2筒部材32と、を有している。第1筒部材31および第2筒部材32は、それぞれ別部材によって形成されてもよいし、一体で形成されてもよい。
【0042】
第1筒部材31は、円筒状に形成されている。第1筒部材31は、端部33と、端部33と反対側の端部34と、内周面311と、を有している。筒部材30は、端部33において底壁82と接続されている。
【0043】
第1筒部材31は、軸方向Dxに沿って一様な径で形成されている。中心軸線CXに沿う断面において、第1筒部材31における半径方向Drの幅を幅W1とする。幅W1は、第1筒部材31の内径に相当する。上述の通り、幅W1は、軸方向Dxに一定である。
図4に示す例において、軸方向Dxの第1筒部材31の長さは、軸方向Dxの第2筒部材32の長さよりも長い。
【0044】
第1筒部材31は、排出口56を囲っている。
図4に示すように、半径方向Drにおいて、内周面311は、第2部材54の外周面541と間隔を置いて設けられている。内周面311は第2部材54の外周面541と接しておらず、第1筒部材31と第2部材54との間には周方向θの全体にわたり隙間が形成されている。他の観点からは、第1筒部材31の内径は、第2部材54の外径よりも大きい。
【0045】
図5に示すように、第1筒部材31には、連通孔35が形成されている。連通孔35は、第1筒部材31の内部と外部とを連通している。
図4に示すように、連通孔35の位置は、軸方向Dxにおいて、排出口56よりも上方に位置するほうが好ましい。連通孔35は、一例として端部33に形成され、底壁82と接している。
【0046】
図5に示す例において、連通孔35の形状は、周方向θに沿って形成された長方形状である。連通孔35の形状は、例えば他の四角、円形などの他の形状でもよい。連通孔35の形状は、軸方向Dxに延びる長孔でもよい。連通孔35の数は、周方向θに2つ以上形成されてもよいし、軸方向Dxに2以上形成されてもよい。
【0047】
第2筒部材32は、第1筒部材31と同軸上に位置している。第2筒部材32は、筒状に形成されている。第2筒部材32は、軸方向Dxにおいて、第1筒部材31から下方に向けて延びている。
図4に示す例において、第2筒部材32の厚さは、第1筒部材31の厚さよりも小さい。第2筒部材32の厚さは、第1筒部材31の厚さよりも大きくてもよいし、第1筒部材31の厚さと等しくてもよい。
【0048】
第2筒部材32は、端部34と接続された端部36と、軸方向Dxにおける端部36の反対側の端部37と、内周面321と、を有している。内周面321は、端部36において、内周面311と周方向θにわたり接続されている。
【0049】
内周面321は、内周面311との接続箇所から下方に向けて延びる円錐面状に形成されている。中心軸線CXに沿う断面において、第2筒部材32における半径方向Drの幅を幅W2とする。幅W2は、第2筒部材32の内径に相当する。第2筒部材32は、幅W2が軸方向Dxにおいて下方に向かうに従い小さくなるように形成されている。他の観点からは、第2筒部材32の幅W2は、開口部38に向けて徐々に小さくなっている。
【0050】
図4に示す例において、端部37は、半径方向Drに対して傾斜している。第2筒部材32は、例えば円錐台状の部材の一端を半径方向Drに対して斜めに切断することで形成される。
【0051】
端部37には、開口部38が設けられている。開口部38は、第2筒部材32のみに形成されている。開口部38は、軸方向Dxの下方に向けて開口している。排出口56から排出された液体および異物は、開口部38を介して軸方向Dxの下方に設けられた沈殿槽40へ排出される。
【0052】
開口部38は、開口縁381を有している。端部37は半径方向Drにおいて傾斜しているため、開口縁381は半径方向Drに対して傾斜している。
図6に示すように、平面視において、開口部38の面積は、第1筒部材31の面積よりも小さい。中心軸線CXと直交する平面を見ることを「平面視」という。
図6においては、軸方向Dxにおいて、第1筒部材31の端部33側から筒部材30を見ている。
【0053】
ここで、開口部38の面積は、開口縁381に囲われた領域の面積である。第1筒部材31の面積とは、中心軸線CXと直交する第1筒部材31の断面積のうち、第1筒部材31の内周面311に囲われた領域の面積である。
【0054】
第2筒部材32の面積は、軸方向Dxにおいて下方に向かうに従い小さくなっている。ここで、第2筒部材32の面積とは、中心軸線CXと直交する第2筒部材32の断面積のうち、内周面321に囲われた領域の面積である。
【0055】
次に、沈殿槽40について、説明する。
沈殿槽40は、排出口56から排出された液体および異物を貯留する。沈殿槽40は、槽本体41と、コンベヤ42と、駆動機構43と、邪魔板44と、を備えている。槽本体41は、軸方向Dxにおいて排出口56よりも下方に設けられている。
図2および
図4に示すように、サイクロン10が沈殿槽40に設けられた際において、第2部材54および筒部材30は、槽本体41の内部に位置している。
【0056】
槽本体41の内部には、貯留された液体により液面が形成される。
図2以降において、液面を液面L4として示す。排出口56は、液面L4から所定の間隔を置いて設けられている。軸方向Dxにおける液面L4から端部13までの距離を距離H4とする。一例として、距離H4は、100mm以上であることが好ましい。
【0057】
槽本体41には、異物を排出するための搬出路411が形成されている。搬出路411は、槽本体41の底部412から斜め上方に延びている。搬出路411の一端には、異物排出口413が形成されている。異物排出口413は、軸方向Dxにおいて、液面L4よりも上方に設けられている。
【0058】
槽本体41には、液体排出口414がさらに形成されている。液体排出口414は、例えば異物排出口413から離れた位置に設けられている。液体排出口414は、槽本体41に貯留された液体を槽本体41から図示しないタンク等へ排出する。
【0059】
液面L4が液体排出口414まで上昇すると、液体が液体排出口414から排出されるため、液面L4は液体排出口414よりも上方に位置しない。液面L4は、例えば軸方向Dxにおける液体排出口414の位置によって調整することができる。
【0060】
コンベヤ42は、槽本体41から異物を異物回収ボックス23へ排出する。
図2に示すように、コンベヤ42は、搬出路411に沿って槽本体41の底部412から異物排出口413にわたって設けられている。
【0061】
コンベヤ42は、チェーン421、スプロケット422、および複数のスクレーパ423などで構成されている。コンベヤ42は、駆動機構43によって駆動する。
図1で示す例において、駆動機構43は、槽本体41の外部に設けられている。駆動機構43は、例えばモータを駆動源とする。
【0062】
複数のスクレーパ423は、チェーン421に沿って所定の間隔で設けられている。槽本体41の底部412に堆積した異物は、コンベヤ42の駆動に伴い、スクレーパ423によって底部412から搬出路411を介して異物排出口413へ送られる。異物排出口413に到達した異物は、異物回収ボックス23に向けて落下する。
【0063】
邪魔板44は、筒部材30から排出された異物が液体排出口414へ直接流れることを抑制する。
図2に示す例において、邪魔板44は、筒部材30と液体排出口414との間に位置している。
【0064】
次に、分離装置1における異物を含む液体から異物を分離し取り除く工程について、説明する。
【0065】
まず、サイクロン本体11の内部には、異物を含む液体が導入管21を介して導入口55から導入される。液体は、導入部51の接線方向に所定の流速で供給される。供給された液体は、導入部51の内周面511およびドレン部52の内周面521に沿って旋回しながら、排出口56に向けて下降する。
【0066】
これにより、サイクロン本体11の内部には、中心軸線CXを中心とする下降渦流が発生する。
図3においては、下降渦流を渦流DVで示す。液体に含まれた異物は、サイクロン本体11の内部において下降渦流に基づく遠心力により分離される。
【0067】
分離された異物は、ドレン部52の内周面521に集まるとともに、ドレン部52の内周面521に沿って旋回しながら下降する。異物は、例えばスラッジとなって排出口56から液体とともに排出される。排出された異物および液体は、沈殿槽40に回収される。一例として、排出口56から排出される液体の流量は、毎分10L(10L/min)以下である。
【0068】
ドレン部52の内周面521に沿って下降した下降渦流は、排出口56の付近で上向きの力を受けて上昇に転じる。これにより、サイクロン10の中心軸線CXに沿って排出口56からクリーンケース60に向かう上昇渦流が形成される。
図3においては、上昇渦流を矢印RVで示す。
【0069】
上昇渦流は、中心軸線CXを中心とする柱状の空気層と、空気層の周りに形成された液体層と、を含んでいる。空気層は、軸方向Dxに沿って排出口56から連通孔64を通って気液分離管71に向けて延びている。液体層は、空気層の外周面に沿って排出口56から気液分離管71に向けて異物が分離された液体が上昇することで形成されている。
【0070】
上昇渦流が気液分離管71へ流入することで、空気層に沿って排出口56から気液分離管71まで異物が分離された液体が上昇する。上昇渦流の表層部分に位置する液体層から気液分離管71の複数の孔73を通過して第1貯留部66へ液体が流れる。第1貯留部66へ流入した液体は、内壁72を越えて第2貯留部67へ流れる。
【0071】
気液分離管71から流入した液体は、主に第1貯留部66および第2貯留部67に一時的に貯留される。サイクロン本体11の内部において異物は液体から分離されているため、クリーンケース60に貯留された液体には異物がほとんど含まれていない。第2貯留部67に貯留された液体は、排出口65から排出管22を介して液体回収タンクへ排出される。
【0072】
次に、排出口56から排出された液体について、説明する。
排出口56から排出された液体には、異物が含まれている。液体は、下降渦流によって内周面561に沿って沈殿槽40へ排出される。内周面561は下方に向かうに従い徐々に大きくなっているため、液体は排出口56から半径方向Drに広がりながら沈殿槽40へ向けて排出される。
【0073】
図4に示すように、軸方向Dxにおける端部13と液面L4との間において、内周面311は、仮想面562と交差する。仮想面562は、端部13から内周面311に向けて内周面561を延長した面である。
【0074】
図4においては、排出口56から排出された液体の流れを矢印で示す。
図4に示すように、排出された液体の一部は、液面L4へ到達する前に内周面311と衝突する。排出された液体は、内周面311と衝突するため、第1筒部材31の面積よりも広がらない。
【0075】
内周面311と仮想面562とが交差した位置を位置P3とする。軸方向Dxにおいて、端部13と液面L4との間に位置P3が位置するように、第1筒部材31の幅W1は設定されている。軸方向Dxにおいて、位置P3は、端部34から所定の間隔を置いて設けられる。軸方向Dxにおける位置P3から端部34までの距離を距離H3とする。一例として、距離H3は、40mm以上であることが好ましい。
【0076】
さらに、内周面311と衝突すると、液体は減速される。液面L4に到達した際の液体の流速は、排出口56から排出された際の液体の流速よりも小さい。内周面311と衝突した液体は、内周面311および内周面321に沿って液面L4へ流れる。
【0077】
内周面321は円錐状に形成されているため、内周面321を介して液体を液面L4に向けて流すことができる。液体が内周面321に沿って流れることで、液体の流速はさらに小さくなる。
【0078】
図2および
図4に示すように、筒部材30の一部は、液体に浸かっている。より具体的には、第2筒部材32の一部は液体に浸かっている。軸方向Dxにおいて、第2筒部材32における液体に浸かっている領域は、例えば液体に浸かっていない領域よりも大きい。
【0079】
開口部38の観点からみると、開口部38が液体に浸かっている。開口縁381の全体は、液体に浸かっている。軸方向Dxにおいて、液面L4は、端部37よりも上方に形成されている。
【0080】
第2筒部材32の内部に形成された液面L4の面積は、軸方向Dxの液面L4の位置における第2筒部材32の面積と等しい。軸方向Dxの液面L4の位置における第2筒部材32の面積を小さくすることで、排出された液体の液面L4への流入面積は小さくなる。
【0081】
他の観点からは、軸方向Dxの液面L4の位置における第2筒部材32の面積を小さくすることで、排出された液体と液面L4とが衝突する面積が小さくなる。
図4に示す例において、第2筒部材32の内部に形成された液面L4の面積は、第1筒部材31の面積よりも小さい。
【0082】
図2に示す例において、第2筒部材32は、開口部38がコンベヤ42に向くように設けられている。他の観点からは、開口部38は、液体排出口414に向いていない。より具体的には、端部37は、液体排出口414から離れるに従い、軸方向Dxにおける底部412からの距離が大きくなるように傾いている。
【0083】
第2筒部材32の端部37は半径方向Drに対して傾斜しているため、第2筒部材32はコンベヤ42のスクレーパ423と干渉しない。端部37とコンベヤ42のスクレーパ423との間には、隙間が形成されている。コンベヤ42の位置に応じて、中心軸線CXに対する端部37の角度は、適宜変更することができる。
【0084】
図7は、第1実施形態に係る分離装置1の比較例を示す図である。
図7に示す分離装置100は、筒部材30を備えていない。
図7に示すように、排出口56から排出された液体は、排出口56から大きく広がり、液面L4へ向けて流れる。分離装置100における排出された液体と液面L4とが衝突する面積は、分離装置1における排出された液体と液面L4とが衝突する面積よりも大きくなる。
【0085】
排出口56から排出された液体は、液面L4へ流入する際に泡が発生しやすい。例えば、排出された液体が液面L4へ流入する際に空気を巻き込むことで泡が発生する。排出された液体と液面L4とが衝突する面積が大きくなると、泡は発生しやすくなる。さらに、液体の流速が大きいと、泡は発生しやすくなる。
【0086】
排出された液体には異物が多く含まれているため、発生する泡には異物が付着している。槽本体41で泡が発生すると、液面L4から排出口56の近傍まで泡が形成されるだけでなく、排出口56が泡に浸かる場合がある。分離装置の稼働時において、排出口56の近傍では、上述の上昇渦流の影響により排出口56からサイクロン本体11の内部に向かう流れが発生している。
【0087】
そのため、排出口56から泡が吸い込まれ、泡がクリーンケース60の内部へ流入する場合がある。泡には異物が付着しているため、クリーンケース60の内部から排出管22を介して液体回収タンクへ異物が排出される。
【0088】
さらに、泡が液体排出口414から排出されたり、泡が槽本体41からオーバフローしたりすることで沈殿槽40の外部へ泡が排出される場合や、液面L4で発生した泡がコンベヤ42を介して異物排出口413から排出されることで泡が異物回収ボックス23に溜まる場合がある。このように分離装置における泡の発生は、液体から異物を分離する分離精度の低下の原因となり得る。分離精度は、濾過精度と呼ばれる場合がある。
【0089】
以上のように構成された本実施形態の分離装置1は、排出口56を囲うとともに、排出口56よりも下方に向けて延びる筒部材30を備えている。排出口56を筒部材30によって囲うことで、排出口56から排出された液体が第1筒部材31の内周面311に衝突する。これにより、排出された液体の半径方向Drにおける広がりを抑制するとともに、排出された液体を減速させることができる。
【0090】
サイクロン10と沈殿槽40と組み合わせて使用した際においては、排出された液体と液面L4とが衝突する面積を小さくすることができるとともに、減速した状態で液体を液面L4に向けて流すことができる。
【0091】
排出口56から筒部材30を介して沈殿槽40へ液体を排出することで、液体が液面L4へ流入する際における泡の発生を抑制することができる。したがって、分離装置1であれば、
図7に示した、筒部材30を備えない分離装置100と比較して、液体の発泡をより効果的に抑制することができる。分離装置1であれば、液体に消泡剤などを添加する必要がなく、液体の発泡を抑制することができる。
【0092】
さらに、第1筒部材31と第2部材54との間には周方向θの全体にわたり隙間が形成されている。他の観点からは、第2部材54の外周面541と第1筒部材31の内周面311とは、接していない。
【0093】
そのため、筒部材30の内部で泡が発生した場合であっても、分離装置1の稼働時において、泡が第2筒部材32の内周面321および第1筒部材31の内周面311を介して、排出口56からサイクロン本体11の内部へ吸い込まれにくい。
【0094】
さらに、筒部材30において、軸方向Dxの液面L4の位置における第2筒部材32の面積は、第1筒部材31の面積よりも小さくなるように構成されている。平面視において、開口部38の面積は、第1筒部材31の面積よりも小さい。第2筒部材32の幅W2は、開口部38に向けて徐々に小さくなっている。
【0095】
第2筒部材32の内部に形成された液面L4を第1筒部材31の面積よりも小さくすることで、排出された液体と液面L4とが衝突する面積をさらに小さくすることができる。この結果、液体が液面L4へ流入する際における泡の発生をより抑制することができる。
【0096】
第2筒部材32を設けることで第1筒部材31の内周面311に衝突した液体の流速をさらに小さくすることができるため、より液体を減速した状態で液面L4へ流すことができる。この結果、液体が液面L4へ流入する際における泡の発生をより抑制することができる。
【0097】
開口部38を液体に浸けることで、筒部材30の内部で泡が発生した場合であっても、泡が筒部材30の外部へ広がりにくい。このように、液体の発泡を抑制することで沈殿槽40から異物のみを異物回収ボックス23へ排出することができ、分離装置1によって異物を効率的に分離することができる。
【0098】
第1筒部材31には、連通孔35が設けられている。第1筒部材31に連通孔35を設けることで、分離装置1の稼働時において、第1筒部材31および第2筒部材32の内部の圧力は、負圧になりにくい。
【0099】
そのため、分離装置1の稼働時において、排出口56から泡を吸い込みにくい。軸方向Dxにおいて、連通孔35を排出口56よりも上方に形成することで、連通孔35を液面L4から離し、筒部材30の外部で泡が形成されている場合であっても、連通孔35を介して泡が筒部材30の内部へ流入しにくい。
【0100】
排出口56は液面L4から所定の間隔を置いて設けられている。このように排出口56を液面L4から一定距離以上離すことで、筒部材30の内部で泡が発生した場合であっても、排出口56と泡との距離を確保することができる。
【0101】
これにより、筒部材30による消泡効果を安定して発揮することができるだけでなく、分離装置1の稼働時において排出口56から泡を吸い込みにくくなる。排出口56から泡を吸い込みにくい構造にすることで、分離装置1における分離精度は低下しにくくなる。
【0102】
第2筒部材32の開口部38は、液体に浸かっている。これにより、液体中で開口部38から異物を槽本体41の底部412に向けて排出することができるため、液体中における異物の分散を抑制することができる。その結果、
図7に示した分離装置100と比較して、沈殿槽40における異物の排出効果および沈殿効果を向上させることができる。
【0103】
本実施形態によれば、液体の発泡をより効果的に抑制することが可能な分離装置1を提供することができる。以上説明した他にも、本実施形態からは種々の好適な作用が得られる。
【0104】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係る分離装置1を示す概略的な側面図である。
図9は、
図8におけるIX部を示す概略的な部分拡大図である。
図10は、第2実施形態における筒部材30を示す概略的な平面図である。第2実施形態は、筒部材30および沈殿槽40が第1実施形態と相違する。
【0105】
図8に示すように、沈殿槽40は、槽本体41と、邪魔板44と、を備えている。槽本体41には、液体排出口414が設けられている。沈殿槽40は、コンベヤ42および駆動機構43を備えていない点において第1実施形態と相違する。
【0106】
図9に示すように、筒部材30は、第1筒部材31と、第1筒部材31と接続された第2筒部材32と、を有している。第2実施形態における第1筒部材31は、第1実施形態における第1筒部材31と同形状である。
【0107】
第2筒部材32は、第1筒部材31と同軸上に位置している。第2筒部材32は、円錐台状に形成されている。第2筒部材32は、軸方向Dxにおいて、第1筒部材31から下方に向けて延びている。第2筒部材32は、内周面321を有している。内周面321は、内周面311と周方向θにわたり接続されている。
【0108】
内周面321は、内周面311との接続箇所から下方に向けて延びる円錐面状に形成されている。半径方向Drにおける第2筒部材32の幅W2は、開口部38に向けて徐々に小さくなっている。
図10に示すように、平面視において、開口部38の面積は、第1筒部材31の面積よりも小さい。
【0109】
第2実施形態における第2筒部材32の端部37は、半径方向Drと平行である。他の観点からは、第2筒部材32の端部37は、中心軸線CXに対して直交している。沈殿槽40は、コンベヤ42を備えていないため、第2筒部材32の端部37がスクレーパ423と干渉することがない。
【0110】
図8および
図9に示すように、第2筒部材32の一部は液体に浸かっている。軸方向Dxにおいて、第2筒部材32における液体に浸かっている領域は、例えば液体に浸かっていない領域よりも大きい。
【0111】
開口部38の観点からみると、開口部38が液体に浸かっている。開口縁381の全体は、液体に浸かっている。軸方向Dxにおいて、液面L4は、端部37よりも上方に形成されている。
【0112】
第2筒部材32の内部に形成された液面L4の面積は、軸方向Dxの液面L4の位置における第2筒部材32の面積と等しい。軸方向Dxの液面L4の位置における第2筒部材32の面積を小さくすることで、排出された液体の液面L4への流入面積は小さくなる。
【0113】
第2実施形態の分離装置1の構成においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。第2実施形態の筒部材30であれば、第2筒部材32の端部37が半径方向Drと平行であるため、排出される異物を槽本体41の底部412に向けて排出しやすく、沈殿槽40における異物の排出効果および沈殿効果をより向上させることができる。
【0114】
さらに、第2実施形態における筒部材30は、端部37が半径方向Drに対して傾斜していないため、第1実施形態における筒部材30よりも製作しやすい。その結果、第2実施形態における筒部材30は、第1実施形態における筒部材30より安価に製作することができる。
【0115】
なお、第1筒部材31の幅W1は、軸方向Dxにおいて下方に向かうに従い小さくなってもよい。なお、第2筒部材32の幅W2は、軸方向Dxにおいて下方に向かうに従い単調に小さくなってもよいし、軸方向Dxにおいて幅W2が一定の部分を有してもよい。第2筒部材32は、幅W2が幅W1よりも小さい円筒状に形成されてもよい。
【0116】
なお、軸方向Dxの第1筒部材31の長さは、軸方向Dxの第2筒部材32の長さよりも短くてもよいし、軸方向Dxの第2筒部材32の長さと等しくてもよい。第1筒部材31の長さおよび第2筒部材32の長さは、液面L4などとの関係において、適宜変更することができる。
【0117】
なお、第1筒部材31および第2筒部材32の形状は、中心軸線CXと直交する断面形状が円形状以外にも、多角形状でもよい。分離装置1の各部は、例えば金属材料で形成することができる。ただし、分離装置1は、樹脂などの非金属材料で形成された部材を含んでもよい。
【符号の説明】
【0118】
1…分離装置、10…サイクロン、30…筒部材、31…第1筒部材、32…第2筒部材、38…開口部、40…沈殿槽、55…導入口、56…排出口。
【要約】
【課題】 液体の発泡をより効果的に抑制することが可能な分離装置を提供する。
【解決手段】 本発明の一態様に係る分離装置は、中心軸線に沿って延び、内部に異物を含む液体を導入するための導入口と、下端に設けられ前記液体および前記異物を排出するための排出口と、を有し、前記内部で前記液体を旋回させるサイクロンと、前記中心軸線から離れる半径方向に間隔を置いて前記排出口を囲うとともに、前記サイクロンの延在方向において前記排出口よりも下方に向けて延びる筒部材と、を備える。前記筒部材は、前記異物が通過する開口部を一端に有し、前記排出口から排出された前記液体および前記異物は、前記開口部を介して下方に向けて排出される。
【選択図】
図2