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特許7116411単結晶育成装置、抵抗発熱体、及び単結晶育成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】単結晶育成装置、抵抗発熱体、及び単結晶育成方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 11/00 20060101AFI20220803BHJP
   C30B 29/16 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
C30B11/00 Z
C30B29/16
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017127531
(22)【出願日】2017-06-29
(65)【公開番号】P2019011213
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】515277942
【氏名又は名称】株式会社ノベルクリスタルテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】輿 公祥
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-040087(JP,A)
【文献】特開2002-068882(JP,A)
【文献】特開2009-051679(JP,A)
【文献】特開平07-097292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 11/00
C30B 29/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
種結晶を保持する種結晶保持部と、
前記種結晶上に成長する育成結晶の上方に固体原料を保持する原料保持部と
記育成結晶の成長面である上面を前記固体原料よりも強く加熱する結晶加熱部と、
を有する、
単結晶育成装置。
【請求項2】
前記結晶加熱部が、前記上面側から前記育成結晶を加熱する抵抗発熱体である、
請求項1に記載の単結晶育成装置。
【請求項3】
前記結晶加熱部の前記育成結晶の上面を加熱する本体部分が平板形状を有する、
請求項2に記載の単結晶育成装置。
【請求項4】
前記固体原料から前記育成結晶の上面に融液を供給するために前記固体原料を加熱するための原料加熱部をさらに有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の単結晶育成装置。
【請求項5】
前記原料加熱部が、抵抗発熱体であり、前記固体原料を加熱する本体部分が厚さの一定な円錐台筒形状を有する、
請求項4に記載の単結晶育成装置。
【請求項6】
前記本体部分が、帯状の発熱線によって形成された、水平方向のスリットが前記円錐台筒形状の傾斜に沿った方向のスリットよりも多いパターンを有する、
請求項5に記載の単結晶育成装置。
【請求項7】
前記原料保持部が、前記固体原料を保持したときに前記固体原料に設けられた中空孔と連続する中空孔を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の単結晶育成装置。
【請求項8】
単結晶育成において固体原料を溶融させるための抵抗発熱体であって、
前記固体原料を加熱する本体部分が、厚さの一定な円錐台筒形状を有し、
前記本体部分が、帯状の発熱線によって形成された、水平方向のスリットと前記円錐台筒形状の傾斜に沿った方向のスリットを含むパターンを有し、前記パターンにおいて、前記水平方向のスリットが前記傾斜に沿った方向のスリットよりも多い、
抵抗発熱体。
【請求項9】
育成結晶の上面に供給された原料融液を平面方向の温度分布がほぼ均一となるように加熱し、
前記上面を成長面として前記育成結晶を成長させる、
単結晶育成方法。
【請求項10】
体部分が平板形状を有する抵抗発熱体により前記育成結晶の上面に供給された前記原料融液を加熱する
請求項に記載の単結晶育成方法。
【請求項11】
前記育成結晶の上方又は前記育成結晶の上面に設置した固体原料を溶融させて前記原料融液を生成し、前記育成結晶の上面に直接供給する、
請求項9又は10に記載の単結晶育成方法。
【請求項12】
前記固体原料が、前記育成結晶側を向く端部が円錐台形状又は円錐形状を有する原料棒であり、
円錐台筒形状の抵抗発熱体を用いて前記端部を加熱することにより前記原料融液を生成する、
請求項11に記載の単結晶育成方法。
【請求項13】
前記固体原料に設けられた中空孔を通して外部から前記固体原料の端部までガスを導入する、
請求項12に記載の単結晶育成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶育成装置、抵抗発熱体、及び単結晶育成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の単結晶育成方法として、FZ(Float Zone)法が知られている(例えば、特許文献1参照)。FZ法では、多結晶からなる原料棒の一部を加熱して溶融させ、その溶融帯を下方に移動させながら単結晶を育成する。一般的に、原料棒の加熱は、ハロゲンランプ等の光源から発せられた赤外線を楕円鏡により原料の表面に集光させることにより行われる。
【0003】
また、特許文献1に記載された方法では、中空状の原料棒を用いて、原料棒の内部を通してレーザー光を溶融帯に照射する。このようにレーザー光による加熱を行うことにより、ハロゲンランプの出力を抑えて溶融体表面の過加熱を防ぐことができるとされている。
【0004】
また、従来の他の単結晶育成方法として、CZ(Czochralski)法、EFG(Edge-defined Film-fed Growth)法、VB(Vertical Bridgman)法等が知られている。これらの方法では、坩堝内の原料融液から単結晶を成長させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-51679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
FZ法における赤外線による加熱では、原料棒及び育成結晶の表面近傍のみが加熱されるため、大型の単結晶を育成することが困難である。また、FZ法では、育成結晶の育成方向の温度変化が大きく、育成結晶が割れやすいという問題がある。
【0007】
また、CZ法、EFG法、VB法によれば、坩堝を使用するため、坩堝から発生する不純物が結晶に取り込まれるおそれがある。また、育成する単結晶の種類によっては、育成結晶と坩堝の反応を防ぐために、高価な貴金属坩堝を用いる必要があり、坩堝の製造コストや改鋳等のランニングコストが高額になる。
【0008】
また、坩堝の材質によって結晶育成雰囲気が制限されることもある。例えば、イリジウムからなる坩堝を用いる場合は、イリジウムの酸化を抑えるために雰囲気中の酸素濃度が制限され、タングステンやモリブデンからなる坩堝では酸素を含まない不活性雰囲気が必要となる。
【0009】
本発明の目的は、坩堝を用いずに大型の単結晶を育成することのできる単結晶育成方法、その方法に用いられる単結晶育成装置、及びその装置に用いられる抵抗発熱体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、以下の[1]~[7]の単結晶育成装置、[8]の抵抗発熱体、及び[9]~[13]の単結晶育成方法を提供する。
【0011】
[1]種結晶を保持する種結晶保持部と、前記種結晶上に成長する育成結晶の上方に固体原料を保持する原料保持部と、前記育成結晶の成長面である上面を前記固体原料よりも強く加熱する結晶加熱部と、を有する、単結晶育成装置。
[2]前記結晶加熱部が、前記上面側から前記育成結晶を加熱する抵抗発熱体である、上記[1]に記載の単結晶育成装置。
【0012】
]前記結晶加熱部前記育成結晶の上面を加熱する本体部分が平板形状を有する、上記[]に記載の単結晶育成装置。
【0013】
]前記固体原料から前記育成結晶の上面に融液を供給するために前記固体原料を加熱するための原料加熱部をさらに有する、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の単結晶育成装置。
【0014】
]前記原料加熱部が、抵抗発熱体であり、前記固体原料を加熱する本体部分が厚さの一定な円錐台筒形状を有する、上記[]に記載の単結晶育成装置。
【0015】
[6]前記本体部分が、帯状の発熱線によって形成された、水平方向のスリットが前記円錐台筒形状の傾斜に沿った方向のスリットよりも多いパターンを有する、上記[5]に記載の単結晶育成装置。
【0016】
]前記原料保持部が、前記固体原料を保持したときに前記固体原料に設けられた中空孔と連続する中空孔を有する、上記[1]~[]のいずれか1項に記載の単結晶育成装置。
【0017】
[8]単結晶育成において固体原料を溶融させるための抵抗発熱体であって、前記固体原料を加熱する本体部分が、厚さの一定な円錐台筒形状を有し、前記本体部分が、帯状の発熱線によって形成された、水平方向のスリットと前記円錐台筒形状の傾斜に沿った方向のスリットを含むパターンを有し、前記パターンにおいて、前記水平方向のスリットが前記傾斜に沿った方向のスリットよりも多い、抵抗発熱体。
【0019】
[9]育成結晶の上面に供給された原料融液を平面方向の温度分布がほぼ均一となるように加熱し、前記上面を成長面として前記育成結晶を成長させる、単結晶育成方法
【0020】
10]本体部分が平板形状を有する抵抗発熱体により前記育成結晶の上面に供給された前記原料融液を加熱する、上記[]に記載の単結晶育成方法。
【0021】
11]前記育成結晶の上方又は前記育成結晶の上面に設置した固体原料を溶融させて前記原料融液を生成し、前記育成結晶の上面に直接供給する、上記[9]又は[10]に記載の単結晶育成方法。
【0022】
12]前記固体原料が、前記育成結晶側を向く端部が円錐台形状又は円錐形状を有する原料棒であり、円錐台筒形状の抵抗発熱体を用いて前記端部を加熱することにより前記原料融液を生成する、上記[11]に記載の単結晶育成方法。
【0023】
13]前記固体原料に設けられた中空孔を通して外部から前記固体原料の端部までガスを導入する、上記[12]に記載の単結晶育成方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、坩堝を用いずに大型の単結晶を育成することのできる単結晶育成方法、その方法に用いられる単結晶育成装置、及びその装置に用いられる抵抗発熱体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1(a)~(c)は、本発明の基本原理を示す概念図である。
図2図2は、第1の実施の形態に係る単結晶育成装置の主要部の構造を示す垂直断面図である。
図3図3は、第1の実施の形態に係る単結晶育成装置の具体的な構造例を示す垂直断面図である。
図4図4は、結晶加熱部の好ましい形態の一例を示す斜視図である。
図5図5(a)~(d)は、育成結晶側に凹んでいる固液界面をフラット又は上凸形状に変える結晶加熱部の形状について説明するための結晶加熱部の断面図である。
図6図6(a)~(d)は、上凸形状であるが湾曲が大きすぎる固液界面をフラットに変える結晶加熱部の形状について説明するための結晶加熱部の断面図である。
図7図7は、原料加熱部の好ましい形態の一例を示す斜視図である。
図8図8(a)は、図7の原料加熱部の上面図であり、図8(b)は原料加熱部の突起部に垂直な方向から見た側面図であり、図8(c)は原料加熱部の突起部に平行な方向から見た側面図である。
図9図9は、結晶育成中の育成結晶、固体原料、結晶加熱部、原料加熱部を拡大して示した斜視図である。
図10図10は、図9に第2の結晶加熱部、第2の原料加熱部、及び結晶育成領域を覆う断熱材を加えた斜視図である。
図11図11(a)は、内側に間接加熱用部材が取り付けられた原料加熱部の斜視図である。図11(b)は、間接加熱用部材が取り付けられた原料加熱部を鉛直かつ突起部に平行に切断し、突起部に垂直な方向から見た側面図である。
図12図12(a)、(b)は、それぞれ、第2の実施の形態に係る結晶育成の際の育成結晶及び固体原料の垂直断面図と上面図である。
図13図13(a)~(c)は、第3の実施の形態に係る結晶育成の工程を示す育成結晶及び固体原料の垂直断面図である。
図14図14(a)、(b)は、育成結晶の上面に固体原料を供給する機構の一例の斜視図と側面図である。
図15図15(a)、(b)は、原料供給機構により育成結晶の上面に固体原料を供給する工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1(a)~(c)は、本発明の基本原理を示す概念図である。本発明では、坩堝を用いず、育成結晶の成長面である上面に原料融液を供給して結晶化させ、単結晶を育成する。
【0027】
まず、図1(a)に示されるように、育成結晶10の上面10uを上方から加熱する。次に、図1(b)に示されるように、育成結晶10の上面10uに原料融液11を供給する。次に、育成結晶10を原料融液11の供給源から相対的に引き下げつつ冷却することにより、図1(c)に示されるように、原料融液11を結晶化させ、育成結晶10を鉛直上方向に成長させる。
【0028】
本発明によれば、結晶成長面を加熱することにより、通常のFZ法等と比較して大型の単結晶を育成することができる。以下、本発明の具体例について詳細を述べる。
【0029】
〔第1の実施の形態〕
図2は、第1の実施の形態に係る単結晶育成装置20の主要部の構造を示す垂直断面図である。単結晶育成装置20は、育成結晶10の成長面である上面10uを加熱する結晶加熱部21と、育成結晶10の上方に保持される固体原料12の下部を加熱する原料加熱部22を有する。
【0030】
固体原料12は、例えば、圧縮成形された前駆体粉末を焼結することによって得られる多結晶体であり、これを加熱して溶融させることにより、原料融液11を生成する。
【0031】
育成結晶10にドーパントを添加する場合は、ドーパント材料を含む固体原料12を用いる。予め固体原料12の前駆体粉末にドーパント材料の粉末を混ぜ、圧縮成形、焼結を行うことにより、ドーパント材料を含む固体原料12を形成することができる。
【0032】
結晶加熱部21は、抵抗発熱体であり、育成結晶10の上面10uを加熱する本体部分が平板形状を有する。育成結晶10の上面10uの原料融液11を平面方向の温度分布がほぼ均一となるように加熱するためには、平板形状の本体部分が水平面にほぼ平行、すなわち育成結晶10の上面10uにほぼ平行に設置されることが好ましい。
【0033】
単結晶育成装置20では、原料加熱部22により固体原料12の表面を溶融させて原料融液11を生成し、液滴又は液滴に近い状態で原料融液11を育成結晶10の成長面である上面10uに直接供給する。このため、径の大きな固体原料12を用いても、問題なく単結晶を育成することができる。例えば、FZ法では、原料棒の中心まで加熱する必要があるため、径の大きな原料棒を使用することができない。
【0034】
また、単結晶育成装置20によれば、原料融液11は、ほぼ固体原料12の下端の表面及び育成結晶10の上面10uに薄く存在するのみであり、必要最低限の量で育成結晶10を育成できるため、酸化ガリウム等の蒸発しやすい材料の単結晶を育成する場合であっても、結晶育成の際の蒸発量を抑えることができる。
【0035】
図2に示される例では、固体原料12として、下端(育成結晶10側を向く端部)が円錐台形状を有する原料棒が用いられる。そして、この固体原料12の円錐台状の端部を効率的に加熱するために、原料加熱部22として、固体原料12を加熱する本体部分が円錐台筒形状の抵抗発熱体が用いられる。固体原料12から生成された原料融液11は、原料加熱部22の底部の開口部を通過して育成結晶10の上面10uに供給される。固体原料12の下端は円錐形状であってもよい。
【0036】
これによって、固体原料12の下端以外への加熱を最小限に抑え、原料融液11の状態を適切に保持することができる。すなわち、原料融液11が過剰に生成されて結晶育成に適した形状を維持できなくなることを防止できる。
【0037】
図3は、第1の実施の形態に係る単結晶育成装置20の具体的な構造例を示す垂直断面図である。単結晶育成装置20は、上述の結晶加熱部21及び原料加熱部22と、種結晶13を保持する種結晶保持部23と、種結晶13上に成長する育成結晶10の上方に固体原料12を保持する原料保持部26と、育成結晶10の側方に配置された第2の結晶加熱部24と、固体原料12の側方に配置された第2の原料加熱部25と、これらの部材を覆うチャンバー27と、チャンバー27の内側側面に沿って設けられた断熱材40と、結晶加熱部21の上面及び原料加熱部22の外周面を覆うように設けられた断熱材41と、を有する。
【0038】
種結晶保持部23は、種結晶13を保持した状態で、鉛直上下方向に移動することができ、結晶育成の際には、種結晶13及びその上に成長した育成結晶10を引き下げつつ育成結晶10を成長させることができる。
【0039】
また、結晶加熱部21や第2の結晶加熱部24により加熱された育成結晶10の温度分布を均一に近づけるため、種結晶保持部23は、鉛直方向を軸として回転しながら、鉛直上下方向に移動できることが好ましい。この場合、種結晶13及びその上に成長した育成結晶10を回転させながら引き下げることができる。
【0040】
第2の結晶加熱部24及び第2の原料加熱部25は、例えば、抵抗加熱式のヒーターや誘導加熱式のヒーターであり、それぞれ育成結晶10の側面、固体原料12の側面を加熱することができる。なお、誘導加熱式のヒーターは、誘導加熱をさせる金属と誘導加熱用のコイルから構成される。
【0041】
また、第2の結晶加熱部24又は第2の原料加熱部25の代わりにレーザー加熱装置やランプ加熱装置を用いてもよい。これらの装置を用いる場合、チャンバー27として石英チャンバーを用いて、この石英チャンバーの外からレーザー光やランプ光を育成結晶10の側面又は固体原料12の側面に照射して加熱を行う。
【0042】
原料保持部26は、固体原料12を保持した状態で、鉛直上下方向に移動することができ、結晶育成の際には、固体原料12の状態に応じて固体原料12を適切な位置に移動させることができる。
【0043】
また、原料加熱部22や第2の原料加熱部25により加熱された固体原料12の温度分布を均一に近づけるため、原料保持部26は、鉛直方向を軸として回転しながら、鉛直上下方向に移動できることが好ましい。この場合、固体原料12を回転させながら結晶育成を行うことができる。
【0044】
チャンバー27は、結晶育成領域を外部から観察するための観察窓28を有することが好ましい。この場合、断熱材40は、観察窓28から結晶育成領域を観察するための孔を有する。
【0045】
固体原料12は、図3に示されるように、その軸方向(図3における上下方向)に貫通した中空孔12aを有することが好ましい。この場合、原料保持部26も中空孔12aと連続した中空孔26aを有し、外部から中空孔26a及び中空孔12aを通して所定のガスを導入して、固体原料12の底部の原料融液11をその所定のガスに曝すことができる。
【0046】
この中空孔26a及び中空孔12aはチャンバー27内において閉じた空間であり、これらを通して導入されるガスは、固体原料12及び原料保持部26の外側にはほとんど漏れないため、このガスが固体原料12及び原料保持部26の外側の単結晶育成装置20のいずれかの部材に悪影響を及ぼす場合であっても原料融液11の雰囲気ガスとして使用することができる。
【0047】
例えば、育成結晶10として酸化ガリウム単結晶を育成する場合、酸化ガリウムからの酸素の放出を防ぐために、酸素ガスを雰囲気ガスとして用いることが好ましい。一方で、結晶加熱部21や原料加熱部22がカーボンヒーターである場合、酸素や窒素と反応して劣化してしまうため、結晶育成の雰囲気ガスとして酸素や窒素を含むガスを用いることは好ましくない。
【0048】
このような場合であっても、中空孔26a及び中空孔12aを通して酸素ガスを導入することにより、カーボンヒーターを劣化させることなく、カーボンヒーターと酸素ガスを併用することができる。なお、この場合、チャンバー27内の固体原料12及び原料保持部26の外側の雰囲気は、例えば、アルゴン雰囲気や真空雰囲気とされる。図3には、一例として、酸素ガスとアルゴンガスの導入・排出経路が矢印で示されている。
【0049】
また、固体原料12、原料保持部26がそれぞれ中空孔12a、中空孔26aを有し、これらが直線的に連続している場合、原料保持部26の上部から中空孔12a及び中空孔26aを介して放射温度計により原料融液11の温度を測定することができる。
【0050】
また、固体原料12、原料保持部26がそれぞれ中空孔12a、中空孔26aを有する場合、固体原料12の下端に留まっている原料融液11を吐出する目的で中空孔12a、中空孔26aに外部からガスを導入してもよい。このガスは、固体原料12及び原料保持部26の外側に漏れる場合があるため、固体原料12及び原料保持部26の外側の単結晶育成装置20のいずれかの部材に悪影響を及ぼすおそれの少ないもの、例えば、チャンバー27内の固体原料12及び原料保持部26の外側に導入されたものと同種のものを使用することが好ましい。
【0051】
図3に示される例では、育成結晶10の成長初期に肩拡げ工程を実施し、育成結晶10の平面方向の大きさを拡張している。育成結晶10の下側の側面が傾斜した部分10aは、この肩拡げ工程において成長した部分であり、その上側の側面が垂直な部分10bは、肩拡げ工程後に成長した径の一定な部分である。なお、肩拡げ工程を実施せずに育成結晶10を育成してもよい。その場合、育成結晶10の平面方向の形状及び大きさは種結晶13とほぼ等しくなる。
【0052】
図4は、結晶加熱部21の好ましい形態の一例を示す斜視図である。結晶加熱部21は、抵抗発熱体であり、育成結晶10の上面10uの加熱を行う本体21aと、本体21aと連続する2つの突起部21bを有する。突起部21bは外部の電流の供給源を接続するための電極部分であり、突起部21bに設けられた孔21cは突起部21bを外部電極に接続するためのネジ穴である。
【0053】
結晶加熱部21の本体21aは、一定の厚さを有する帯状の発熱線によって構成されている。本体21aは、育成結晶10の上面10uにほぼ平行に設置され、育成結晶10の上面10uの原料融液11を平面方向の温度分布がほぼ均一となるように加熱することができる。
【0054】
結晶加熱部21の材料として、カーボン(C)や炭化ケイ素(SiC)等を用いることができる。酸化ガリウム等の融点の高い結晶を育成する場合、例えば融点が1700℃以上の結晶を育成する場合には、カーボンを結晶加熱部21の材料に用いることが好ましい。カーボンを材料に用いることにより結晶加熱部21の最高温度を高くする(一般的には2000℃以上)ことができる。また、カーボンは形状の自由度が高いため複雑な形状でも成型することができる。
【0055】
また、結晶加熱部21がカーボンからなる場合、表面がアルミナや炭化ケイ素等のセラミック、白金やイリジウム等の貴金属によってコーティングされていてもよい。この場合、チャンバー27内の雰囲気ガスに酸素や窒素が含まれていても、カーボンが酸素や窒素に曝されないため、結晶加熱部21の劣化を防ぐことができる。
【0056】
また、結晶加熱部21は、育成結晶の物性に合わせて、育成結晶10と原料融液11の界面(固液界面)がフラット又は上凸形状になるように加熱できるような形状を有することが好ましい。固液界面が育成結晶10側に凹んでいる状態では、結晶の歪が中心に集中してしまい結晶欠陥が発生しやすくなるおそれがある。
【0057】
図5(a)~(d)は、育成結晶10側に凹んでいる固液界面をフラット又は上凸形状に変える結晶加熱部21の形状について説明するための結晶加熱部21の断面図である。図5(a)~(d)に示される断面は、図4に示される切断線A-Aにおいて切断された結晶加熱部21の断面である。
【0058】
ここで、結晶加熱部21の本体21aが図5(a)に示される断面形状を有するときに固液界面が育成結晶10側に凹むものとする。図5(a)に示される本体21aは、発熱線の断面形状が場所に依らずほぼ均一である。
【0059】
図5(b)に示される本体21aは、中心から離れるほど発熱線の幅が狭く、断面積が小さくなっている。このため、中心から離れるほど抵抗値が大きく、発熱量が大きい。これによって、固液界面の周辺部の温度を中心部の温度よりも高め、固液界面をフラット又は上凸形状にすることができる。
【0060】
図5(c)に示される本体21aは、中心から離れるほど発熱線の厚さが薄く、断面積が小さくなっている。このため、中心から離れるほど抵抗値が大きく、発熱量が大きい。これによって、固液界面の周辺部の温度を中心部の温度よりも高め、固液界面をフラット又は上凸形状にすることができる。
【0061】
図5(d)に示される本体21aは、中心から離れるほど発熱線の配置密度が高くなっている。このため、中心から離れるほど発熱量が大きい。これによって、固液界面の周辺部の温度を中心部の温度よりも高め、固液界面をフラット又は上凸形状にすることができる。
【0062】
図6(a)~(d)は、上凸形状であるが湾曲が大きすぎる固液界面をフラットに変える結晶加熱部21の形状について説明するための結晶加熱部21の断面図である。図6(a)~(d)に示される断面は、図4に示される切断線A-Aにおいて切断された結晶加熱部21の断面である。
【0063】
ここで、結晶加熱部21の本体21aが図6(a)に示される断面形状を有するときに固液界面が上凸形状になるものとする。図6(a)に示される本体21aは、発熱線の断面形状が場所に依らずほぼ均一である。
【0064】
図6(b)に示される本体21aは、中心に近いほど発熱線の幅が狭く、断面積が小さくなっている。このため、中心に近いほど抵抗値が大きく、発熱量が大きい。これによって、固液界面の中心部の温度を周辺部の温度よりも高め、固液界面をフラットにすることができる。
【0065】
図6(c)に示される本体21aは、中心に近いほど発熱線の厚さが薄く、断面積が小さくなっている。このため、中心に近いほど抵抗値が大きく、発熱量が大きい。これによって、固液界面の中心部の温度を周辺部の温度よりも高め、固液界面をフラットにすることができる。
【0066】
図6(d)に示される本体21aは、中心に近いほど発熱線の配置密度が高くなっている。このため、中心に近いほど発熱量が大きい。これによって、固液界面の中心部の温度を周辺部の温度よりも高め、固液界面をフラットにすることができる。
【0067】
なお、結晶加熱部21の平面形状は円形に限られない。育成結晶10を回転させずに育成する場合は、育成結晶10の平面形状は結晶加熱部21の平面形状に依存する。例えば、結晶加熱部21の平面形状が四角形である場合は、四角柱状の育成結晶10が育成される。また、結晶加熱部21を構成する帯状の発熱線のパターンは図4に示されるものに限られない。
【0068】
図7は、原料加熱部22の好ましい形態の一例を示す斜視図である。この原料加熱部22は、抵抗発熱体であり、固体原料12の円錐台形状の下端の加熱を行う本体22aと、本体22aと連続する2つの突起部22bを有する。突起部22bは外部の電流の供給源を接続するための電極部分であり、突起部22bに設けられた孔22cは突起部22bを外部電極に接続するためのネジ穴である。
【0069】
図8(a)は、図7の原料加熱部22の上面図であり、図8(b)は原料加熱部22の突起部22bに垂直な方向から見た側面図であり、図8(c)は原料加熱部22の突起部22bに平行な方向から見た側面図である。
【0070】
図9は、結晶育成中の育成結晶10、固体原料12、結晶加熱部21、原料加熱部22を拡大して示した斜視図である。
【0071】
原料加熱部22の本体22aは、一定の厚さを有する帯状の発熱線によって構成された円錐台筒形状を有し、ほぼ固体原料12の円錐台形状の下端のみを覆う。このため、固体原料12の下端以外への加熱を最小限に抑え、原料融液11の状態を適切に保持することができる。なお、固体原料12の下端を均一に加熱するためには、原料加熱部22の本体22aの面が固体原料12の下端の傾斜面に平行であることが好ましい。
【0072】
また、原料加熱部22の本体22aにおいては、帯状の発熱線が主に水平方向に走っており、水平方向のスリットが縦方向(傾斜に沿った方向)のスリットよりも多いパターンを形成している。これにより、本体22aの厚みと抵抗値の両方を一定にすることができる。本体22aの抵抗値が一定であれば、全体で均質に発熱することができる。
【0073】
例えば、帯状の発熱線が主に縦方向に走り、縦方向のスリットのみを含むパターンを形成する場合、上側から下側に向かって発熱線の幅が狭くなる。このため、抵抗値を一定にするためには上側から下側に向かって発熱線の厚さを大きくしなければならない。
【0074】
また、原料加熱部22は、結晶加熱部21と同様に、カーボンからなることが好ましい。また、原料加熱部22がカーボンからなる場合、表面がアルミナ等によってコーティングされていてもよい。
【0075】
原料加熱部22を構成する帯状の発熱線のパターンは図7図8(a)~(c)、図9に示されるものに限られない。
【0076】
図10は、図9に第2の結晶加熱部24、第2の原料加熱部25、及び結晶育成領域を覆う断熱材41を加えた斜視図である。
【0077】
図10には、第2の結晶加熱部24及び第2の原料加熱部25の好ましい形態の一例が示されている。図10に示される第2の結晶加熱部24は、抵抗発熱体であり、育成結晶10の円柱形の部分10bの加熱を行う本体24aと、本体24aと連続する2つの突起部24bを有する。突起部24bは外部の電流の供給源を接続するための電極部分であり、突起部24bに設けられた孔24cは突起部24bを外部電極に接続するためのネジ穴である。
【0078】
図10に示される第2の原料加熱部25は、抵抗発熱体であり、固体原料12の円柱形部分の加熱を行う本体25aと、本体25aと連続する2つの突起部25bを有する。突起部25bは外部の電流の供給源を接続するための電極部分であり、突起部25bに設けられた孔25cは突起部25bを外部電極に接続するためのネジ穴である。
【0079】
断熱材41を用いることにより、結晶加熱部21と原料加熱部22の一方の温度を上昇させたときの、他方の周辺の温度への影響を抑えることができる。例えば、固体原料12からの融液の供給量を増やすために原料加熱部22の温度を上昇させたときに、結晶加熱部21の周辺の温度の上昇を抑えることができる。また、育成結晶10の上面10uの温度を上昇させるために結晶加熱部21の温度を上昇させたときに、原料加熱部22の周辺の温度の上昇を抑えることができる。
【0080】
断熱材41を用いない場合は、結晶加熱部21と原料加熱部22の一方の温度を上昇させるときに、他方の周辺の温度に影響を与えるため、他方の出力を下げてその周辺の温度の上昇を抑える。
【0081】
なお、断熱材41は、その位置を保持するための図10に示されない構造を有する。例えば、図3に示されるように、断熱材41は図10に示されるものよりも大きな外径を有し、断熱材40に固定される。
【0082】
図11(a)は、内側に間接加熱用部材30が取り付けられた原料加熱部22の斜視図である。図11(b)は、間接加熱用部材30が取り付けられた原料加熱部22を鉛直かつ突起部22bに平行に切断し、突起部22bに垂直な方向から見た側面図である。
【0083】
間接加熱用部材30は、原料加熱部22の本体22aの内面及び上面を覆う円錐台形状の本体30aと、原料加熱部22の突起部22bの上面を覆う突起部30bと、原料加熱部22の孔22cに重なる位置に設けられた孔30cを有する。原料加熱部22と間接加熱用部材30は、ネジ穴である孔22c及び孔30cを通したネジで外部電極に接続され、これによって間接加熱用部材30は原料加熱部22に固定される。
【0084】
間接加熱用部材30は、原料融液11と反応しない材料からなる。例えば、原料融液11が酸化ガリウムの融液である場合、イリジウム、酸化アルミニウム(サファイア、セラミックのアルミナ)等を間接加熱用部材30の材料として用いることができる。その他、原料融液11の材料に応じて、モリブデン、タングステン、白金、ロジウム等の金属、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化アルミニウム等のセラミック、石英等の結晶を用いることができる。
【0085】
原料加熱部22の上面と間接加熱用部材30との間に設置される板状の絶縁体31と、原料加熱部22と間接加熱用部材30のネジ止めに用いられる絶縁性のワッシャー32は、間接加熱用部材30が導電性の材料からなる場合に、原料加熱部22と間接加熱用部材30の短絡を防ぐために用いられる。絶縁体31は、原料加熱部22の孔22c及び間接加熱用部材30の孔30cに重なる位置に設けられた孔を有する。
【0086】
絶縁体31及びワッシャー32は、原料加熱部22と反応しない絶縁体からなる。例えば、原料加熱部22がカーボンからなる場合、セラミックのアルミナ、サファイア、高抵抗のカーボン断熱材等を絶縁体31及びワッシャー32の材料として用いることができる。その他、原料加熱部22の材料に応じて、石英、ジルコニア、窒化アルミ等を絶縁体31及びワッシャー32の材料として用いることができる。
【0087】
結晶育成の際には、間接加熱用部材30が原料加熱部22によって加熱され、加熱された間接加熱用部材30によって固体原料12が加熱される。すなわち、固体原料12は間接加熱用部材30を介して間接的に原料加熱部22に加熱される。間接加熱用部材30の本体30aは面で構成されているため、温度分布の均一性が高く、より均質に固体原料12を加熱することができる。
【0088】
間接加熱用部材30は、原料融液11に接触してもよい。また、間接加熱用部材30を固体原料12に接触させて、固体原料12を加熱してもよい。
【0089】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、育成結晶の成長面への原料融液の供給方法において、第1の実施の形態と異なる。なお、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略又は簡略化する。
【0090】
図12(a)、(b)は、それぞれ、第2の実施の形態に係る結晶育成の際の育成結晶10及び固体原料14の垂直断面図と上面図である。
【0091】
この第2の実施の形態に係る単結晶の育成方法では、固体原料14を育成結晶10の成長面である上面10uの上方に設置し、育成結晶10の上面10uと固体原料14を上方から同時に加熱する。この加熱には、第1の実施の形態に係る単結晶育成装置20の結晶加熱部21を用いることができるが、図4に示されるような本体21aの中心の孔は不要である。加熱された固体原料14が溶融して原料融液11が生成され、育成結晶10の上面10uに直接供給される。
【0092】
この第2の実施の形態に係る単結晶の育成方法では、結晶加熱部21の他、単結晶育成装置20の種結晶保持部23、第2の結晶加熱部24、チャンバー27を用いることができる。固体原料14を保持する原料保持部は、固体原料14の形状及び設置状態に応じた機能を有するものが用いられる。
【0093】
固体原料14は、第1の実施の形態に係る固体原料12と同様の材料で同様の方法により作製することができる。また、固体原料14は、図12(b)に示されるように、複数同時に設置されてもよい。この場合、複数の固体原料14から同時に原料融液11を生成することができる。
【0094】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、育成結晶の成長面への原料融液の供給方法において、第1、2の実施の形態と異なる。なお、第1、2の実施の形態と同様の点については、説明を省略又は簡略化する。
【0095】
図13(a)~(c)は、第3の実施の形態に係る結晶育成の工程を示す育成結晶10及び固体原料15の垂直断面図である。
【0096】
まず、図13(a)に示されるように、固体原料15を育成結晶10の成長面である上面10uに設置し、設置した固体原料15を上方から加熱する。この加熱には、第1の実施の形態に係る単結晶育成装置20の結晶加熱部21を用いることができるが、図4に示されるような本体21aの中心の孔は不要である。
【0097】
そして、図13(b)に示されるように、加熱された固体原料15が溶融して原料融液11が生成され、育成結晶10の上面10uに直接供給される。
【0098】
その後、図13(c)に示されるように、種結晶保持部23を引き下げる等の手段により、育成結晶10の上面10u上の原料融液11を結晶化させ、育成結晶10を成長させる。
【0099】
この第3の実施の形態に係る単結晶の育成方法では、結晶加熱部21の他、単結晶育成装置20の種結晶保持部23、第2の結晶加熱部24、チャンバー27を用いることができる。
【0100】
固体原料15は、第1の実施の形態に係る固体原料12と同様の材料で同様の方法により作製することができる。また、固体原料15は、結晶加熱部21によって均質に加熱するため、厚さがほぼ均一な平板状であることが好ましい。
【0101】
図13(a)~(c)の工程を繰り返すことにより、育成結晶10を連続して成長させることができる。
【0102】
図14(a)、(b)は、育成結晶10の上面10uに固体原料15を供給する機構の一例である原料供給機構50の斜視図と側面図である。原料供給機構50は、複数の円板状の固体原料15を収容する原料収容部51と、原料収容部51に収容された固体原料15を一枚ずつ育成結晶10の上まで運ぶための搬送部52、53を有する。
【0103】
原料収容部51は、固体原料15を収容する円筒形の本体51aと、本体51aと連続する突起部51bを有する。突起部51bは、原料収容部51を固定するためのねじ穴51cを有する。
【0104】
搬送部52、53は、それぞれ固体原料15を育成結晶10の上まで運ぶためのプレート部52a、53aと、プレート部52a、53aを回転可能に保持するシャフト52d、53dを有する。プレート部52a、53aは、固体原料15と同じ又は僅かに大きい径を有する穴52b、53bと、穴52b、53bよりも大きい径を有する穴52c、53cを有する。
【0105】
図15(a)、(b)は、原料供給機構50により育成結晶10の上面10uに固体原料15を供給する工程を示す斜視図である。
【0106】
まず、図14(a)、(b)に示される状態を初期状態とする。初期状態では、原料収容部51の本体51aの穴と搬送部52の穴52bが重なっており、一枚の固体原料15が搬送部53のプレート部53a上の穴52b内に入っている。また、搬送部53の穴53bが育成結晶10の真上に位置している。
【0107】
次に、図15(a)に示されるように、プレート部52aを回転させ、穴52bを育成結晶10の真上に移動させることによって、穴53bを通して固体原料15を育成結晶10の上面10uに供給する。
【0108】
次に、図15(b)に示されるように、プレート部52a、53aを回転させ、穴52b、53bを育成結晶10の真上に移動させた後、育成結晶10の上面10u及びその上に供給された固体原料15を結晶加熱部21により上方から加熱する。径の大きい穴52c、53cを育成結晶10の真上に移動させた状態で熱処理を行うのは、搬送部52、53が育成結晶10及び固体原料15への加熱をなるべく妨げないようにするためである。
【0109】
また、この状態では、原料収容部51の本体51aの穴と搬送部52の穴52bが重なっており、次に育成結晶10の上に供給される固体原料15がプレート部53a上の穴52b内に入る。
【0110】
その後、プレート部53aを回転させて、穴53bを育成結晶10の真上に移動させて、初期状態に戻す。
【0111】
(実施の形態の効果)
上記第1~3の実施の形態によれば、育成結晶の成長面に原料融液を供給し、その成長面を加熱することにより、坩堝を用いずに大型の単結晶を育成することができる。
【0112】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
【0113】
また、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0114】
10…育成結晶、 11…原料融液、 12、14、15…固体原料、 12a…中空孔、 13…種結晶、 21…結晶加熱部、 22…原料加熱部、 23…種結晶保持部、 26…原料保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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