(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】教育訓練コンテンツの製造方法及び教育訓練コンテンツ
(51)【国際特許分類】
G09B 9/05 20060101AFI20220803BHJP
G09B 19/14 20060101ALI20220803BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
G09B9/05 E
G09B19/14
G09B19/00 H
(21)【出願番号】P 2021000363
(22)【出願日】2021-01-05
【審査請求日】2021-12-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年3月16日 株式会社WacWacのウェブサイト((A)https://www.wacwac-service.jp/ (B)https://www.wacwac-service.jp/console)にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520121094
【氏名又は名称】株式会社WacWac
(74)【代理人】
【識別番号】100181940
【氏名又は名称】緒方 禎浩
(72)【発明者】
【氏名】村永 渉太
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 章太
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-144117(JP,A)
【文献】特開2014-228794(JP,A)
【文献】特開2003-263098(JP,A)
【文献】特開平09-054540(JP,A)
【文献】東京海上グループ、VR交通安全システムを開発 体験講習会を実施,MoguraVR [online],2019年09月18日,https://www.moguravr.com/tokiorisk-vr/,[2022年2月9日検索]
【文献】超リアル! 自動車運転シミュレーターをVRゴーグルでプレイしてみた,グーネットマガジン [online],2018年04月27日,https://www.goo-net.com/magazine/cartopic/entertainment/38335/,[2022年2月9日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56,
17/00-19/26,
A63F 9/24,13/00-13/98,
A63H 1/00-37/00,
G06F 3/01, 3/048-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
教育訓練対象者が留意すべき事象及び視界に入れるべき対象を仮想現実映像として含む教育訓練コンテンツであって、
前記教育訓練コンテンツは、前記教育訓練対象者に教育訓練用端末を通じて受講させるものであり、
前記事象の仮想現実映像において、前記対象が、前記教育訓練用端末の表示画面から隠れた状態にあり、前記教育訓練用端末の操作によって前記表示画面に出現させることができるものであり、教育訓練に係る技能が所定レベル以上の者の視界範囲と前記所定レベル未満の者の視界範囲の差となる領域内に配置されたものであることを特徴とする教育訓練コンテンツ。
【請求項2】
請求項1に記載の教育訓練コンテンツの
教育訓練対象者が自らの操作によって前記対象を前記教育訓練用端末の表示画面に出現させた場合に、当該操作のタイミングに基づき、前記教育訓練対象者が前記教育訓練コンテンツに係る技能が所定レベルにあると評価し、受講結果に反映するものであることを特徴とする教育訓練システム。
【請求項3】
教育訓練対象者が留意すべき事象及び視界に入れるべき対象を仮想現実映像として含む教育訓練コンテンツを用いた教育訓練システムであって、
前記教育訓練コンテンツは、前記教育訓練対象者に教育訓練用端末を通じて受講させるものであり、
前記事象の仮想現実映像において、前記対象が、前記教育訓練用端末の表示画面から隠れた状態にあり、前記教育訓練用端末の操作によって前記表示画面に出現させることができるものであり、
前記教育訓練コンテンツ
の受講時における前記教育訓練用端末の操作情報を数値化し、あらかじめ設定された基準値と比較し、前記教育訓練コンテンツの受講時の操作情報から得られた数値が前記基準値に近いほど前記教育訓練対象者の技能が高いと評価し、又は、前記数値が前記基準値から離れるほど前記教育訓練対象者の技能が低いと評価し、
前記対象が前記教育訓練
用端末の操作によって前記表示画面に出現した場合に、前記教育訓練コンテンツが理解されたと評価し、受講結果に反映するものであることを特徴とする教育訓練システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教育訓練コンテンツの製造方法及び教育訓練コンテンツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
組織の業務に係る能力向上等を目的とした人材教育が様々な業界で行われてきた。従来的な教育としては、社員を会議室等に集めた講義、グループワーク等を挙げることができる。最近ではIT技術の発展を背景にインターネットを利用したe-Learning(イーラーニング)が一般的になりつつある。また、受講端末も進化し、人材教育のあり方に影響を与えている。例えば、スマートフォンやタブレット等を通じて様々な場所で受講させることが可能になった。近年ではバーチャルリアリティー映像を表示する装置(VR装置)により、仮想現実体験を通じて教育訓練を実施できるようになってきた。
【0003】
このような従来技術の中には、例えば、ネットワークを介してバーチャルリアリティー映像を視聴させる教育システムとして、バーチャルリアリティー映像を表示する表示部を備えるユーザ端末が配設されたヘッドマウントディスプレイを含んで構成され、運転者が出発地から目的地に向けて、予め定められた特定の搬送ルートに沿って運搬車両を走行させるように教育する運転者教育システムであって、前記ユーザ端末は、記憶部に記憶された、前記特定の搬送ルートに沿って実際に撮影装置を移動させた際に撮影されたバーチャルリアリティー映像を、表示部に表示させるようになっており、運転者に、前記ヘッドマウントディスプレイを装着させて前記バーチャルリアリティー映像を視聴させることで、前記特定の搬送ルートに沿って運搬車両を走行させるのに先立って、走行時における前記特定の搬送ルートの周囲の状況を疑似体験させて、誤ったルートを走行させないように教育する運転者教育システムが提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、被験者の状態を計測する計測装置と、制御装置とを含み、前記制御装置は、 計測装置からの情報から被験者の位置、姿勢、動作のデータを演算、作成して、映像を演算、作成する機能と、被験者の映像を仮想現実に表示する機能と、幹細胞培養に関する技術のプロトコルに基づいたデータから、被験者に応じて修正して、当該被験者がプロトコルに従った場合の位置、姿勢、動作を演算してデータを作成する機能と、被験者の位置、姿勢、動作と、プロトコルに沿ったデータとを比較する機能を有していることを特徴とする細胞培養教育システムが提案されている(特許文献2)。
【0005】
このように通信機器にバーチャルリアリティー映像等を組み合わせて利用する発明が存在する。しかしながら、このような教育訓練に係る発明においても次のような問題がある。
【0006】
特許文献1に示されるのは、運搬車両の運転手に誤った搬送ルートを走行させないよう事前に搬送ルートを疑似体験させるものであるが、疑似体験によって運転手に搬送ルートを鮮明に記憶させるにとどまる。すなわち、ミスを犯しやすい者とそうでない者の差がどの点にあるのか示唆するものではなく、特に、ミスを犯しやすい者の予防に資するものではない。
【0007】
特許文献2についても同様である。特許文献2に示されるのは、教育訓練対象者たる被験者の映像を仮想現実として表示しプロトコルに沿ったデータと比較するもので被験者が疑似体験するものではなく、プロトコルに沿ったデータとの差があったとしても、その差がどのような意味を有するのか(プロトコルデータとの差が許容されるレベルのものかどうか等)を示唆するものではない。また、一人ひとりの被験者の動作を測定し、さらに日々の鍛錬とともに理想状態に近づけていくというものであり、従業員の技能管理を簡易、迅速、大量に処理するという目的の場合に向くものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-174741号公報
【文献】特開2020-166264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする課題は教育訓練及びその評価を適正かつ、効果的に実施する教育訓練提供コンテンツを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、教育訓練対象者が留意すべき事象及び視界に入れるべき対象を仮想現実映像として含む教育訓練コンテンツであって、前記教育訓練コンテンツは、前記教育訓練対象者に教育訓練用端末を通じて受講させるものであり、前記事象の仮想現実映像において、前記対象が、前記教育訓練用端末の表示画面から隠れた状態にあり、前記教育訓練用端末の操作によって前記表示画面に出現させることができるものであり、教育訓練に係る技能が所定レベル以上の者の視界範囲と前記所定レベル未満の者の視界範囲の差となる領域内に配置されたものであることを特徴とする教育訓練コンテンツである。また、第2の発明は、第1の発明に記載の教育訓練コンテンツの教育訓練対象者が自らの操作によって前記対象を前記教育訓練用端末の表示画面に出現させた場合に、当該操作のタイミングに基づき、前記教育訓練対象者が前記教育訓練コンテンツに係る技能が所定レベルにあると評価し、受講結果に反映するものであることを特徴とする教育訓練システムである。また、第3の発明は、教育訓練対象者が留意すべき事象及び視界に入れるべき対象を仮想現実映像として含む教育訓練コンテンツを用いた教育訓練システムであって、前記教育訓練コンテンツは、前記教育訓練対象者に教育訓練用端末を通じて受講させるものであり、前記事象の仮想現実映像において、前記対象が、前記教育訓練用端末の表示画面から隠れた状態にあり、前記教育訓練用端末の操作によって前記表示画面に出現させることができるものであり、前記教育訓練コンテンツの受講時における前記教育訓練用端末の操作情報を数値化し、あらかじめ設定された基準値と比較し、前記教育訓練コンテンツの受講時の操作情報から得られた数値が前記基準値に近いほど前記教育訓練対象者の技能が高いと評価し、又は、前記数値が前記基準値から離れるほど前記教育訓練対象者の技能が低いと評価し、前記対象が前記教育訓練用端末の操作によって前記表示画面に出現した場合に、前記教育訓練コンテンツが理解されたと評価し、受講結果に反映するものであることを特徴とする教育訓練システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、教育訓練対象者が留意すべき事象及び視界に入れるべき対象を決定し、当該事象に直面した熟練者(教育訓練に係る技能が当該分野において所定レベル以上と認められる者)が視線を変化させる範囲(視界範囲)と未熟者(教育訓練に係る技能が当該分野において所定レベルに達していると認められない者)の視界範囲に係る情報を収集し、両者の視界差を技能のギャップとして、当該視界差となる領域内の任意の位置に視界に入れるべき対象を配置することで、事象発生前において教育訓練用端末の表示画面から隠れた状態にし、教育訓練用端末の操作によって前記表示画面に出現するようにすることで教育訓練対象者の技能が所定レベルにあるか否か、所定レベルに達しない教育訓練対象者が所定レベルまでの技能のギャップを埋めるまで教育が実施されたか否かを簡易、迅速に確認、訓練、評価できる教育訓練コンテンツとすることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本発明を実施するためのシステム構成の概念図である。
【
図2】
図2は本発明を実施するためのシステム構成とデータの流れの概念図の一例である。
【
図4】
図4は第2のコンテンツの右折事故発生前の映像の一例である。
【
図5】
図5は第2のコンテンツの右折事故発生時の映像の一例である。
【
図6】
図6は第2のコンテンツの右折事故発生前に事故につながる対象を視界にとらえた映像の一例である。
【
図7】
図7は第2のコンテンツの右折事故事例における初期映像の運転手の視界範囲の一例である。
【
図8】
図8は第2のコンテンツの右折事故事例における視界変更後の視界範囲の一例である。
【
図9】
図9は第2のコンテンツの右折事故事例における熟練運転手と初心者の視界の差のイメージである。
【
図10】
図10は管理者閲覧用に処理された受講結果の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態例を以下に示す。実施例の第2のコンテンツが本発明に係る教育訓練コンテンツである。
【0014】
本発明の利用者の一例として、運転者である従業員に安全運転教育を受けさせ、その教育結果を管理し、教育訓練の実施に係る情報を行政監査用として提出することが義務付けられた運送事業者を挙げることができる。教育訓練の提供に係るプレーヤーとシステム構成の概念図を
図1に示す。
【0015】
図1に示すように、本発明の利用に係るプレーヤーとしては、例えば、教育訓練対象者(運転者である受講者)、運転者に安全運転教育を受けさせる等の管理を行う管理者、運転者には教育訓練コンテンツを提供し、管理者には運転者の教育訓練コンテンツ受講結果を安全運転教育実施に係る管理情報として提供する提供者の3者が挙げられる。
【0016】
本発明を実施するためのシステムの一例としては、教育訓練コンテンツを受講者が受講(視聴等)するための教育訓練用端末1、教育訓練コンテンツの受講結果を管理者が閲覧するための管理用端末2、あらかじめ格納された各種情報の中から教育訓練コンテンツを教育訓練用端末1に送信等するとともに当該コンテンツの受講結果に係る情報を取得し、受講結果として処理、格納し、その受講結果を管理用端末2から閲覧させるサーバ3がインターネット又はローカルなネットワークを介してつながるものである。
【0017】
サーバ3はCPU(制御装置、演算装置)、記憶装置(主記憶装置、補助記憶装置)を備えるものである(図省略)。補助記憶装置から各種機能を実行するためのプログラムを主記憶装置に読み出し、CPUで上記に係る処理を実行する。ただし、このような構成を一台のサーバコンピュータで実現する必要はなく、複数のコンピュータに設けられているものでも良い。また、一箇所に集中的に配置されている必要もなく、ネットワークを介して、上記教育訓練の提供に係る機能を実現するものであればよい。また、サーバ3内の情報やプログラムの確認、実行、変更、修正、保存等の処理は提供者の端末から直接又はネットワークを通じて行う(図省略)。
【0018】
サーバ3が備える情報としては、教育訓練のためのコンテンツ、受講者名や端末識別情報等の教育訓練の提供を受ける者に係る情報、その他本実施例に示される教育訓練の提供に必要な情報が挙げられ、事後的には教育訓練用端末1からの情報(受講者名や端末操作情報等の受講情報)、これらの情報から作成された受講結果等の情報が挙げられる。サーバ3が備える機能としては、各種情報を格納する情報格納手段、格納した情報を各端末に送信する情報送信手段、教育訓練用端末1から送信された教育訓練コンテンツ受講情報を取得する情報取得手段、取得した教育訓練コンテンツ受講情報から受講結果を作成し、また、都度最新情報に更新する情報処理手段、その他、本人認証等、本実施例に示される教育訓練の提供に必要な処理を実行する手段が挙げられる。
【0019】
教育訓練用端末1、管理用端末2としてはモニターやスピーカ等の画像、音声出力に係る装置、キーボード、マウス等の映像画面等操作や情報入力に係る装置、制御、演算、記憶に係る装置を備えるものが挙げられる。ただし、上記のように教育訓練コンテンツや受講結果を、ネットワークを介して利用(閲覧、出力等)できるものであればどのようなものでもよい。また、教育訓練用端末1としては仮想現実化した映像を表示するヘッドマウントディスプレイ(HMD)装置が挙げられるが、本発明において仮想現実化した映像とは、HMD装置を用いたものに限られず、いわゆるストリートビュー機能として広く知られているように、視界の向き、画像倍率等を任意に操作し、表示画面越しに事象を体感できるものも含まれる。これら装置は教育訓練コンテンツの提供者が用意するものでもよいし、提供を受ける者が用意するものでもよい。
【0020】
教育訓練用端末1、管理用端末2が備える機能としては、サーバ3から送信された情報を取得する情報取得手段、取得した情報を表示する情報表示手段、各種情報を格納する情報格納手段、格納した情報をサーバ3に送信する情報送信手段、その他本実施例に示される教育訓練コンテンツの受講、教育訓練コンテンツの受講結果の閲覧等に必要な処理を実行する手段が挙げられる。
【0021】
本実施例では運送事業者の運転者が利用する教育訓練用端末1、管理者が利用する管理用端末2、教育訓練提供者が管理するサーバ3がインターネット等を介してつながり、必要な情報の相互通信等によって教育訓練とその管理が行われる。教育訓練コンテンツの提供に係る流れを以下に示す。
【0022】
(1)通信環境準備
これは、教育訓練を実施するためのシステム環境準備段階である。最初に運送事業者が安全運転教育をアウトソーシングすることを教育訓練の提供者に申し込む。これを受けて提供者は運送事業者の名称、住所等の事業者情報、運転者の氏名、年齢、運転経験年数等の教育訓練対象者情報、管理者の氏名等の管理者情報、教育訓練、管理に供される端末のIPアドレス、MACアドレス、シリアル番号等の端末情報、その他メールアドレス等、通信上、必要な情報を運送事業者に事前申請させ、これを受け取る。また、必要に応じて、各人に教育訓練に係る電子情報を利用させるためのID、パスワードを設定する。提供者はこれらの情報を事前登録情報としてサーバ3内に格納する。これらの格納情報は必要に応じて各端末から入力、送信された情報との照合、照合情報が一致した場合の本人認証、提供情報の利用承認、教育訓練コンテンツの受講に係る情報と関連付けて受講結果を作成する処理等に利用される。これらの設定が完了し、各端末がサーバ3とネットワークを介して通信可能な状態(
図2)になった後、次の(2)に移る。
図2は本発明を実施するためのシステムにおけるデータの流れを示したものである。
【0023】
(2)第1のコンテンツの実施
提供者はサーバ3内に格納された教育訓練予習コンテンツ(第1のコンテンツ)を運転者(受講者)に取得させる。ここで、取得させる、とは第1のコンテンツを格納するサーバ3にアクセスし、取得するよう受講者に通知する、受講者に第1のコンテンツを送信すること等を意味するものである。第1のコンテンツは所定の端末の表示画面上で利用してもよいし、紙媒体等に出力するものでもよい。また、本発明においてコンテンツの取得者は最終的な取得者を意図するものであるため、実際には、まず管理者が第1のコンテンツを取得し、これを紙にプリントアウトして受講者に配布するものであってもよい。
【0024】
この第1のコンテンツは教育訓練を効果的に行うための学習のポイントが示された、いわば予習情報である(
図3)。
図3は車両右折時の死角が生み出す接触事故について示したシート例である。シート10の上の図は交差点を右折する直前の状況を運転手目線で示したものである。事故につながる死角が、文章(「右折時に下図の丸で囲まれた右サイドミラーに、人が映らないことを確認しましょう。また、サイドミラーの死角がどの辺りかイメージしながら視聴して下さい。」)とともに丸印で囲んだ領域として示されている。シート10の下の図は死角に係る部分を文章(「横断者は、トラックがよく見えるため、“必ず止まる”と認識しています。一方、ドライバーは歩行者に気づくことなくそのまま右折します。この認識の違いによって事故が発生するため、ドライバーは必ず歩行者を確認する必要があります。そのため、ドライバーは必ず、目視で右折する方向を確認しなくてはいけません。」)とともに第三者目線で示されている。その他、図は省略するがドライバーから見える歩行者の外観等が示される。
【0025】
このように、第1のコンテンツには受講者が安全運転を行うために留意すべき事象(この場合は右折時の死角が生み出す事故)と対象11(右手側の歩行者)が、注意すべきポイントとして文章や図、写真、映像、音声等によって運手者にそれとわかる情報で示されたものである。受講者が次の第2のコンテンツを受講する前に、この第1のコンテンツにより安全運転を行うために注意すべきポイントが予備的に示される。第1のコンテンツを取得させた後(第1のコンテンツを受講者が確認した後でもよいし、第1のコンテンツを取得するように受講者又は管理者に通知した後でもよい)、次の(3)の段階に移る。
【0026】
(3)第2のコンテンツの実施
第1のコンテンツを取得させた後、教育訓練コンテンツ(第2のコンテンツ)を格納するサーバ3から教育訓練用端末1に第2のコンテンツを送信する。これにより教育訓練用端末1を利用して受講者が第2のコンテンツを受講できるようになる。
【0027】
受講者が教育訓練用端末1から第2のコンテンツを視聴するにあたり、まず、サーバ3が教育訓練用端末1から端末情報を取得し、事前にサーバ3内に格納していた端末情報と照合し、一致する場合に第2のコンテンツを利用できるようにする。なお、このような認証と許可に係る機能は必ずしもサーバ3が備えている必要はなく、クラウドコンピューティング等による第三者の外部サービスを利用するものであってもよい。
【0028】
第2のコンテンツの視聴開始時、教育訓練用端末1の表示画面には受講者氏名選択画面が表示される(図省略)。受講者名は事前申請によってサーバ3にも格納された情報である。受講者は、表示された受講者リストの中から自分の名称を見つけ選択欄(チェックボックス)にチェックを入れる。これにより、受講者が特定される。上記の端末の認証や受講者の特定は事前に取り決めていたIDとパスワードを用いるものであってもよいし、指紋等の生体認証によるものでもよい。なお、これらの設定は上記(2)の段階にも適用してよい。
【0029】
第2のコンテンツは、本発明の教育訓練コンテンツであり、安全運転のための運転技術等の維持、向上に資する教育の根幹部分である。教育訓練用端末1の表示画面には受講者が日常の運転において経験し得る景色、道路交通状況等が仮想現実として表示画面に表示される(
図4)。映像は車両が交差点の手前に位置する状況から始まり、これから右折しようとするものである。この後、受講者は表示画面を通じ、日常的な運転から交通事故へと発展する状況の変化を事故当事者として運転手目線で体験する。第2のコンテンツは、事例ごとに、第1のコンテンツの中に示された交通事故を体験、学習する構成となっている。
【0030】
事故発生前の日常的な状況(
図4)から事故が発生する状況(
図5)へと映像が変化していく。この
図5は、交差点を右折するタイミングで横断歩道を渡ろうとする歩行者と接触した瞬間の映像である。右折途中の車両の右側面に接触した歩行者が右サイドミラーに映っている(ミラー左側の人物)。車両と接触する歩行者は接触事故が発生するまで運転手の視界に入っていない。
【0031】
このように第1のコンテンツにおいて示された留意すべき事象(右折時の死角による事故)及び当該事象の発生要因たる対象11(受講者が視界に入れるべき運転手右手側の歩行者)が第2のコンテンツにて仮想現実映像で再現される。ここで、受講者が視界に入れるべき対象とは事象の発生と密接な関係(示された対象なければ事象が発生しない関係)があるものである。この対象は第1のコンテンツにおいて写真、図、映像、文章、音声等、任意の情報により外形的特徴が示される。そのため、受講者は第2のコンテンツにおいて教育訓練用端末1を操作する等して対象を視界に入れると、それが第1のコンテンツで示されたものであることを認識することができる。このように、第2のコンテンツは、受講者が能動的に操作することができるコンテンツとして表わされるものである。
【0032】
ここで、事象の発生とは、本実施例では車両と歩行者が接触した時点、事故について事後的に解説する再生映像において事故発生や注意を促すテロップや、図、音声が流れる場合にはそれが指す時点の映像を基準とする。
【0033】
車両と接触する歩行者は事故発生前には教育訓練用端末1の表示画面から隠れた状態にある。すなわち、映像開始時から事象の発生前まで、歩行者は運転手の視界に入らない位置にいる。
【0034】
受講者は上記の通り、教育訓練用端末1を自ら操作し、映像から隠れた状態にある歩行者を視界に入れる(表示画面に表示させる)ことができる(
図6)。例えば、教育訓練用端末1がHMD装置の場合はこれを装着した受講者が首を右側に回転させ、視線を右方向に切り替えることで運転手正面の映像から右手側の歩行者をとらえる視界に切り替えることができる。これにより受講者は事故発生につながる歩行者を映像として視界に入れることが可能になる。
【0035】
受講者が教育訓練用端末1を自ら操作し、表示画面に表示された映像を切り替えた場合、その操作に係る情報は受講者情報と共にサーバ3によって受講時又は受講後に取得され、受講結果として処理される。具体的には、どのタイミングでどの方位等に視界を変えたか等を、サーバ3が格納した第2のコンテンツに係る情報及び上記取得情報から導く。
【0036】
より具体的には、まず、運転手目線で前方の交差点に向かって左右合わせて約120°の視野(視界20)が初期映像としてあらわれる(
図7)(
図4の映像に相当)。この場合、運転手右手側の歩道にいる歩行者(視界に入れるべき対象11)は視界20の外にあり、表示画面から隠れた状態にある。この時、受講者が教育訓練用端末1を操作して水平に右60°に視界を変化させることで(ジャイロスコープ、加速度センサ等を利用したいわゆるヘッドトラッキング機構を備えるHMD装置であれば水平に右60°に首を回転させることで、また、HMD装置以外であれば、例えば、ブラウザ等で操作可能な360°動画を利用し)横断歩道手前の歩行者を視界に入れることができる(
図8の視界21)。サーバ3は教育訓練用端末1の操作に係る情報(HMD装置であれば映像経過時間、端末操作に係る加速度等)を取得し、初期画像を基準として視界20(映像)から隠れていた歩行者が、どのタイミングで、どの程度視界に入ったか等を導きだす。なお、受講者の操作情報の取得方法については、角膜上の光の反射と眼球の位置変動等から受講者の視線を計測する視線追跡(いわゆるアイトラッキング)等、どのような手段を用いてもよい。
【0037】
第2のコンテンツに係る事故映像(
図4~
図6)はベテラン運転手の視界の変化を元に作成したものである。具体的には勤続年数20年以上、かつ、事故歴のない運転手5人から上記事故事例と同じシーンにおける視界の変化に係るデータを採取し、同様に事故経験のある者からも同じシーンにおける視界の変化をデータとして採取し、それぞれ所定映像時間における視界の平均の差分となる領域(
図9の視界範囲の差となる領域22)に歩行者を立てたものである。すなわち、事故経験のある者の平均的な視界は熟練者の視界に比べて十分ではなく、その差分の領域を事例映像作成に利用したものである。事故発生前の映像に係る所定時間における(視界に入れるべき)対象11の位置については、教育訓練用端末1の表示画面から隠れた状態にあれば特に限定するものではないが、運転手が注意を払うべきタイミングにおいては上記のように教育訓練作業の熟練者と初心者や技能が低い者との視界の差分22となる領域に配置されるものである。なお、
図9は事象及び対象を平面的にあらわしたものであるが、視界の差分22は当然、3次元的にとらえるべきものであり、立体的に考慮し、差となる領域に対象が配置されるものである。
【0038】
受講者が教育訓練用端末1の表示画面から隠れた状態にある歩行者を自らの操作で所定のタイミングに視界に入れた場合、受講者は第1のコンテンツの意図に沿って受講したものと、また、第2のコンテンツを確実に受講したものと評価できる。このように隠れた歩行者を所定のタイミングで視界に入れたという操作情報をもって第2のコンテンツが理解されたと評価するものでもよい。
【0039】
本実施例では事故発生後を一区切りとして映像が切り替わり、交差点で事故が発生した状況について様々な視点から解説する映像となる。この解説映像ではどの方向から歩行者がやってきてどのタイミングで車両と衝突したのか、運転手はどの時点でどこに注意を払うべきだったのか等、テロップや音声による解説が流れる。上記右折事故は、右折前の右手の歩行者が事故の構成要因の一つであり、この歩行者に注意を払わずに右折したことが接触事故につながったということが解説され、その後、事故発生前の復習映像が流れる。受講者は最初に視聴する映像、事後的に視聴する復習映像のいずれにおいても教育訓練用端末1を操作して映像を切り替えることができるようになっている。第2のコンテンツが理解されたとする評価はこの復習映像における操作情報であってもよい。
【0040】
以上に示される第2のコンテンツは次の手順を含む方法で製造することができる。まず、教育訓練対象者が留意すべき事象と視界に入れるべき対象を決定する。実施例は交通事故の予防を目的に、安全運転の観点から製造したものである。上記例では、交差点右折時における歩行者との接触事故を運転手が留意すべき対象とし、横断歩道手前の歩行者を視界に入れるべき対象とした。次に、交差点右折時において、事故のない安全運転の実績がある運転手の視界情報と事故経験のある運転手の視界情報を収集する。前者を安全運転のための理想的な視線の動きや視界範囲とし、後者を事故につながりやすい視線の動き、視界範囲として教育訓練コンテンツに反映するためである。ここで、前者と後者の情報収集をどの程度行うか、また、どのレベルを安全運転に必要な所定レベルと位置付けるかについては限定するものではない。例えば、前者と後者をそれぞれ運転実績から複数人選抜し、視線情報をアイトラッキング等で電子的に収集するもの、理想的な又は未熟な視線の動きや視界範囲を交差点右折事故データに基づき机上で決定するもの(例えば、実際に起こった事故が運転手の視野角度から何度離れていたかに基づき対象の配置を決定する)等が挙げられる。このようにして得られた前者に係る情報と後者に係る情報の差(
図9では運転手の視界範囲の差となる領域22)を求める。この求めた差を利用して教育訓練コンテンツに係る映像を作っていく。実施例では、この差となる領域を歩行者の初期位置として、運転手が交差点を右折する直前には表示画面上、視界に入らないようにし、かつ、事故につながりやすい運転手の右折時確認程度でも視界に入らないようにし、さらに、理想的な右折時確認の視界範囲においてやっと視界に入るようにする。これにより、教育訓練対象者は右折時に十分な注意を払った場合にのみ右折事故につながる歩行者を確認することができるようになる。
【0041】
事故の体験映像が終了すると、引き続き、受講内容をどの程度理解したのか確認するための確認テストの映像が流れる。確認テストは、選択形式となっており、受講者は教育訓練用端末1の入力装置を用いて回答(例えば、チェックボックスにチェック)する。図は省略するが、確認テストの例として状況映像とともに「右折時の注意点は、どちらですか?」という問題文、「A 速やかに右折する」、「B 必ず目視をする」という選択肢が挙げられる。表示された問題文を読んだ受講者は正解と思う選択肢を選択する。このように本実施例においては、確認テストでは留意すべき事象について問い、視界に入れるべき対象11が事象発生要因として正答に直結するものとなっている。このような問題が順番に複数出される。全ての回答が終わり、正解率が基準に達した場合は各問題の解説が流れ、第2のコンテンツの受講完了となる。基準に達しない場合はやり直しとなる。回答結果はサーバ3に送信される。
【0042】
確認テストの回答結果は、管理者閲覧用の受講結果として処理される。
図10は管理者閲覧用情報の一例であり、第2のコンテンツの受講進捗状況を把握できる様式としたものである。教育訓練用端末1から取得した受講者特定情報、受講開始及び終了時間、端末操作情報、確認テストの回答情報等から
図10の様式をアプトプットとする任意のプログラムによって自動的に作成される。具体的には、どの従業者が、いつ受講し、どのようなタイミングで端末を操作し、確認テストには何回目で基準点に達したか、等を把握できるようなアプトプットが作成される。これらは受講者の受講結果に係る情報は教育訓練用端末1とサーバ3間の情報通信によって更新される。
【0043】
管理者は行政監査のための提出資料とするためにサーバ3から受講結果を出力することができる。運送業者に求められる資料として安全教育計画(
図11)及びその計画実績(受講結果)が挙げられる。安全教育計画とは教育訓練を行うべき12項目をいつ実施する予定なのかがまとめられたものである。この12項目はその内容が教育訓練コンテンツとなるものである。そのため、
図10の受講進捗に係る情報はそのまま提出資料として利用可能なものになっている。管理者はサーバ3から安全教育計画及び受講結果を出力し、監査用の提出資料とすることができる。
【0044】
管理者は以下の手順を経て管理用端末2から受講結果を閲覧することができる。サーバ3は、管理用端末2から取得した端末情報をサーバ3内に事前に格納されていた端末情報と照合し、これらが一致する場合に管理用端末2からサーバ3内に格納された各種受講結果の閲覧を承認する。これより管理者は閲覧が可能になる。端末情報に代えてメールアドレスによる照合、閲覧承認でもよい。また、教育訓練用端末1の場合と同様にID、パスワードや生体認証によって管理者個人を特定するものであってもよい。
【0045】
管理者は受講結果を閲覧し、受講者の教育訓練実施状況等を把握することができる。また、行政監査において提出が求められる情報をサーバ3から取得し、紙媒体又は電子媒体として利用することができる。
【0046】
ここまで、教育訓練用端末1からの情報をサーバ3が取得、処理して、管理者用端末から閲覧等、利用させる流れについて説明した。上記は受講者が確認テストまで行うことで、受講済みとして受講結果(
図10等)に反映したものである。これだけでなく、受講者が教育訓練用端末1を操作(入力装置等から入力)した情報を数値化し、受講者の理解度と関連付けて受講結果として反映するものでもよい。
【0047】
上記右折時事故における受講者評価テーブルの例を挙げる(
図12)。平均的な熟練運転手の場合、右折前に視界が正面方向から右に60°まで変化するとする(
図12の右の図)。これを事故回避の理想的な操作として、この視界の回転角度を20点と数値化し、受講者が十分にコンテンツの内容を理解できたものと評価する。これがあらかじめ設定された基準値(満点)となる。すなわち、この基準値から外れるほど受講者の理解度が低いものと設定されることになる。受講者が右折時に視界を右30°まで変化させた場合、歩行者は視界に入らない(
図12の真ん中の図)。この回転角度の場合は10点、理解不十分とする。また、一切視界が変化しなかった場合(
図12の左の図)は0点、全く理解していない(又は実質的に受講していない)とする。このように受講者の操作情報(上記の場合、右折時の視界の右方向への回転角度)を数値化し、受講者の理解度等と関連付け、受講結果として反映することで管理者の管理がより容易になり、受講の不正(例えば、端末起動後、第2のコンテンツを視聴せずに確認テストだけ回答)を発見することができる。なお上記は回転角度のみを点数化要素としているが、これに限るものではなく、対象を視界に入れた時間、対象との距離、その他の操作等を点数化の要素としたものでもよい。
【0048】
このように視界に入れるべき対象11(歩行者)を目印として、これが映像開始から所定時間に視界に入ったか(視線の先にあったか)を点数化し、評価する。この目印は複数設けてもよい。例えば、時間とともに次々と変化する状況において、受講者が熟練運転手と同じタイミングで複数の目印を意図した順番で視界に入れた場合に点数を高く(視界に入らなかった目印が多いほど点数を低く)する評価方法が挙げられる。また、視界に入れるべきではない目印を設置してこれがあるタイミングで視界に入った場合には点数を低くする評価方法と組み合わせる等してもよい。また、熟練者と未熟者の視界範囲の差となる領域22が視界に入った場合のみ高評価の対象としてもよい。上記評価については任意の方法を組み合わせて行うものであってもよい。受講結果から点数化するまでのイメージを
図13に示す。教育訓練用端末1の操作情報(時間データ、座標データ等)に基づきサーバ内のスコア計算部(図中ではスコアサーバと表現)が熟練運転手等から得た基準値を参照し、評価テーブルに基づき受講者のスコアを計算する。計算結果は受講結果に反映され、管理者の閲覧に供される。なお、
図13においてはスコアを計算するための参照情報格納部をスコアデータベースと表現しているが、様々な顧客データを体系的に構成するデータベースであってもよい。このようにして教育訓練用端末1の操作情報からサーバ3は個人別の受講結果(
図14)を作成する。管理者はこれを閲覧、出力し、また、受講者にフィードバックする等して利用することができる。
【0049】
また、本実施例では第1のコンテンツを受講者に取得させるものであるが、教育訓練用端末1に送信するものであってもよい。この場合、事前情報、コンテンツのサーバ3内格納、教育訓練用端末1へのコンテンツ送信、コンテンツ利用、受講結果としての利用等は本実施例の第2のコンテンツの場合と同様に考えてよい。このように第1のコンテンツと第2のコンテンツを1台の教育訓練用端末1で利用することで受講を迅速に行うことができる。また、受講者が第1のコンテンツを閲覧した後、続けて第2のコンテンツの受講を可能とするよう設定(例えば、第1のコンテンツの閲覧が完了した情報をサーバ3が受け取った場合に第2のコンテンツを送信する等)してもよい。
【0050】
また、本実施例では第1のコンテンツと本発明の教育訓練コンテンツたる第2のコンテンツを用いた2段階的なコンテンツとしているが、本発明の実施形態はこれに限定するものではない。すなわち、本発明は実施例に示した第1のコンテンツを前提とするものではないし、ネットワークを通じて提供される必要もなく、教育訓練コンテンツをソフト(物)として記憶媒体等を介して提供し、教育訓練用端末から視聴させるものでもよい。また、教育訓練用端末やソフトが必要な情報を格納し、受講結果の計算、表示等に必要な処理を行うものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本実施例は運送事業者の安全運転教育の提供についてのものであるが、本発明に係る教育訓練コンテンツはこれに限らず様々な分野において利用可能である。例えば、工場等の設備点検において点検すべきポイントを目印としたり、美容師等の技能職において熟練者の視点を目印にしたりする等して教育訓練及び管理を強化することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 教育訓練用端末
11 視界に入れるべき対象
22 視界範囲の差となる領域