(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】自動充電型携帯端末
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220803BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20220803BHJP
H02J 50/50 20160101ALI20220803BHJP
H04M 1/72 20210101ALI20220803BHJP
G04G 19/00 20060101ALI20220803BHJP
G04C 10/00 20060101ALI20220803BHJP
A43B 3/42 20220101ALI20220803BHJP
H02J 7/32 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H02J7/00 303A
H02J7/00 301D
H02J50/20
H02J50/50
H04M1/72
G04G19/00 Y
G04C10/00 C
A43B3/42
H02J7/32
(21)【出願番号】P 2022030629
(22)【出願日】2022-03-01
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2022014262
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501204868
【氏名又は名称】安形 雄三
(74)【代理人】
【識別番号】100078776
【氏名又は名称】安形 雄三
(74)【代理人】
【識別番号】100121887
【氏名又は名称】菅野 好章
(74)【代理人】
【識別番号】100200333
【氏名又は名称】古賀 真二
(72)【発明者】
【氏名】安形 雄三
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-282399(JP,A)
【文献】特開2000-134815(JP,A)
【文献】特開2009-120019(JP,A)
【文献】特開2007-235562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 50/20
H02J 50/50
H04M 1/72
G04G 19/00
G04C 10/00
A43B 3/42
H02J 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能なバッテリを内蔵して動作すると共に、キーボード及びマウスを有さない携帯可能な薄型板状のスマートフォンにおいて、
スマートフォン本体の端面に設けられた付加機能部と、
前記付加機能部内に埋設された複数の電磁誘導式振動発電機で成る振動発電部と、
前記スマートフォン本体の表面に設けられた光電素子パネルを介して発電する光電発電部と、
前記電磁誘導式振動発電部の各出力を整流した直流電力及び前記光電発電部の出力電力の合成によって前記バッテリを充電する充電部と、
で構成されており、前記充電部を介して前記バッテリを充電すると共に、スマートフォンシステムに電力を供給するようになっていることを特徴とする自動充電型スマートフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動充電型携帯端末に関し、特に携帯可能で、充電可能な内蔵電源(バッテリ(二次電池))を具備して動作し、移動通信端末、PDA(Personal Digital Assistant(個人向け情報端末))、スマートフォンのような携帯端末のバッテリを自動的に、コードレスで充電することが可能な自動充電型携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、タブレット、iPAD(登録商標)などの携帯端末が広く普及しており、充電可能なバッテリが内蔵されており、携帯端末はバッテリの電力によって動作するようになっている。バッテリ容量がなくなった場合には、通信や通話などの動作できないため、バッテリ残量が少なくなったときに、専用の充電コンセント、USB端子などを用いて充電するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3208292号公報
【文献】実用新案登録第3232959号公報
【文献】特開昭52-16269号公報
【文献】特開昭51-26571号公報
【文献】特開昭51-27966号公報
【文献】特開2013-70918号公報
【文献】特開2004-96980号公報
【文献】特開2018-157950号公報
【文献】特表2013-523071号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】群馬大学大学院 理工学府 理工学専攻 平成26年度修士論文(淡路創介)「圧電デバイスを用いた振動発電システム実用化に関する研究」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯端末の内蔵バッテリを常時充電する手法として、太陽光モジュールを使用する技術が実用新案登録第3208292号公報(特許文献1)及び実用新案登録第3232959号公報(特許文献2)に開示されているが、抽象的なアイデアと外観構成のみの開示であり、特許文献1及び2には、具体的なバッテリ自動充電技術が開示されていない。
【0006】
特開昭52-16269号公報(特許文献3)には充電式時計が開示されているが、液流発電器を用いたものであり、発生電力が極めて小さい。特開昭51-26571号公報(特許文献4)及び特開昭51-27966号公報(特許文献5)には自動充電式携帯時計が開示されているが、回転軸を支点として回動する半円状の慣性体を使用しており、腕の振動や運動によって慣性体が回動して発電するか不明である。
【0007】
また、特開2013-70918号公報(特許文献6)には、履物の底内部に圧電素子を内蔵し、人の歩行や走行で発電を行い、蓄電池を蓄電する技術が開示されているが、スマートフォンのような携帯端末の充電とは全く関連していない。
【0008】
特開2004-96980号公報(特許文献7)にはピエゾフイルムを用いて発電し、二次電池を充電する携帯用歩行発電装置が開示されているが、接続用ケーブルを用いた構造であり、ケーブルを接続して充電しなければならない煩わしさがある。
【0009】
特開2018-157950号公報(特許文献8)には圧電素子を用いた振動発電システムが開示されているが、発生した電力によりアンテナを介して通信を行うことにとどまっており、二次電池を充電することは全く示しておらず、示唆もない。
【0010】
更に、特表2013-523071号公報(特許文献9)には、通信ネットワークを用いる無線充電方法が開示されているが、サーバを用いると共に、電子機器に無線電力供給部を設ける必要がある。
【0011】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、充電可能なバッテリ(リチウム・イオン電池などの二次電池)を内蔵して動作する携帯端末において、携帯端末利用者の行動や運動に基づいて自動的に電力を発生し、得られた電力でバッテリをコードレスで充電することが可能な自動充電型携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、充電可能なバッテリを内蔵して動作する携帯端末において、本発明の上記目的は、携帯端末本体内に設けられた電磁誘導式の振動発電部と、前記携帯端末本体表面に設けられた光電発電部と、前記振動発電部及び前記光電発電部の各出力電力によって前記バッテリを充電する充電部とで構成されていることにより、或いは腕時計若しくは腕に装着可能な端末機に設けられた電磁誘導式の振動発電部と、前記腕時計若しくは前記端末機に設けられ、前記振動発電部の出力電力を電波に変換して放射する電力変換部と、携帯端末本体内に設けられ、前記電力変換部からの電波を受信する無線電力受信部と、前記無線電力受信部で得られる電力で前記バッテリを充電する充電部とで構成されていることにより、或いは履物類の踵部に設けられた圧電式の振動発電部と、前記履物類に設けられ、前記振動発電部の出力電力を電波に変換して放射する電力変換部と、携帯端末本体内に設けられ、前記電力変換部からの電波を受信する無線電力受信部と、前記無線電力受信部で得られる電力で前記バッテリを充電する充電部とで構成されていることにより達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る自動充電型携帯端末によれば、リチウム・イオン電池などの充電可能なバッテリを内蔵しているスマートフォン等の携帯端末に対して、携帯端末利用者の行動や運動に基づいて自動的に発電すると共に、発電した電力を用いて、バッテリをコードレスで自動的に充電するので、配線やコンセントなどに接続された充電器具を用意する必要がなく、バッテリや充電器具の保守管理の必要もない。また、本発明に係る自動充電型携帯端末には、予備的に光電素子パネルを用いた光電発電機が設けられているので、太陽光、照明光などの光がある場所においては、補助的なバッテリ充電も可能であり、併せて利用することができる。
【0014】
従って、本発明に係る自動充電型携帯端末によれば、常時、昼夜間を問わず内蔵バッテリをコードレスで充電することができるので、バッテリ切れを生じ、携帯端末を利用できなくなる不都合を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る自動充電型スマートフォンの一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る自動充電型スマートフォンの裏面構造例を示す背面図である。
【
図4】本発明で使用する電磁誘導式の振動発電機の一例を示す模式的な構成図である。
【
図5】本発明の構成例(結線)を示すブロック図である。
【
図6】振動発電機の他の構成例を示す構成図である。
【
図7】本発明に係る自動充電型スマートフォンの他の例を示す斜視図及び側面図である。
【
図8】本発明に係る自動充電型スマートフォンの他の例を示す斜視図である。
【
図9】本発明に係る自動充電型スマートフォンの他の例を示す一部構造図である。
【
図10】
図9に示される自動充電型スマートフォンの構成例(結線)を示すブロック図である。
【
図11】装着型振動発電装置の構成例を示す斜視図である。
【
図12】装着型振動発電装置の装着例を示す図である。
【
図13】装着型振動発電装置によるスマートフォン充電の様子を示す図である。
【
図14】装着型振動発電装置とスマートフォン充電の関係示すブロック図である。
【
図15】装着型振動発電装置の構成例を示すブロック図である。
【
図16】腕時計に振動発電機を設けた構成例を示す平面図である。
【
図17】圧電式振動発電機を靴の踵部に設けた構成例を示す一部断面図である。
【
図18】圧電式振動発電機を靴の踵部に設けた構成例の底面図である。
【
図19】圧電式振動発電機とスマートフォン充電の関係示すブロック図である。
【
図20】圧電式振動発電機によるスマートフォン充電の様子を示す図である。
【
図21】圧電式振動発電機の他の構成例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では、スマートフォンなどの携帯端末の内蔵バッテリの充電のための電力を、携帯端末使用者の動作や運動(例えば散歩、ランニング、階段の乗降など)における振動に基づく自動的な発電によって得るようにし、得られた電力でバッテリをコードレスで充電するようにしている。振動発電には、圧電素子を用いた圧電式、磁石とコイルの電磁誘導作用による電磁誘導式、2枚の対向電極(電荷)板を用いた静電式の3種類があるが、本発明では比較的出力電力が大きい電磁誘導式若しくは圧電式を用いる。
【0017】
また、本発明では、内蔵バッテリの充電をコードレスで行い、接続用ケーブルや充電器具を用いないようにする。これにより、充電器などを準備しておく煩わしさと管理の手間が省ける。コードレス手法の中のワイヤレス充電方式として、磁界共鳴方式(電磁誘導方式)、電界結合方式(共振方式)及び電波受信方式(電波放射方式)の3種類があるが、本発明では、精密な位置合わせを要しない電波受信方式を用いる。電波受信方式で電力を伝送するシステムは空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムと称され(平成30年12月12日付け諮問第2043号参照)、電波の送受信により電力を伝送するシステムであり、有線で電源を接続することなく、情報通信機器等への充電や給電が可能である。空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムは、既に実用化されているコイルを介した磁界結合型ワイヤレス電力伝送システム(電磁誘導方式)や、電極を介した電界結合型ワイヤレス電力伝送システム(共振方式)と異なり、空中線を用いて空間へ意図的に電波(エネルギー)を発射することで電力を伝送するという性格を有している。このため、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの実用化に当たっては、従来の無線システムと同じように他の無線システムとの周波数共用や、電波の安全性等に関する技術的条件を明らかにすることが必要となる。
【0018】
また、電波受信方式のワイヤレス電力伝送には、レーザー式、マイクロ波式、超音波式の3種類があるが、本発明では電波(エネルギー)が遠方に届くマイクロ波式を用いる。
【0019】
以下に、本発明の実施形態(第1実施形態~第3実施形態)を、図面を参照して説明する。以下の各実施形態においては、携帯端末としてスマートフォンを例に挙げて説明するが、スマートフォン以外のバッテリ内蔵型の携帯端末にも、同様に適用可能である。
【0020】
先ず、振動発電機をスマートフォンの内部に内蔵する第1実施形態について説明する。本第1実施形態では、振動発電機がスマートフォンの内部に内蔵され、振動発電機の発電電力によって内蔵バッテリを充電するので、当然コードレスの充電形態である。
【0021】
図1は、本発明に係る自動充電型スマートフォン10の外観構成例を示しており、表面の全体は、一般的なスマートフォンと同様にタッチパネルの画面部11となっている。しかしながら、その裏面は例えば
図2であり、カメラレンズ12が設けられていると共に、裏面の一部には、方形状の光電素子パネル(太陽電池)20が張設されている。光電素子パネル20は、太陽光等の光エネルギーを電気エネルギー(電力)に変換する光電発電機を形成しており、内蔵されている充電可能なバッテリ(二次電池)13を、光電発電機が発生した電力で充電するようになっている。なお、
図2では光電素子パネル20を裏面の一部に張設しているが、張設領域は、全面若しくは一部に適宜変更可能である。
【0022】
光電発電機は
図3に示されるように、積層されたn型半導体基板21及びp型半導体基板22で成る光電素子パネル20に、上面より光を照射することにより、n型半導体基板21及びp型半導体基板22の間に自動的に電力(直流電流i1)が出力される。光電素子パネル(太陽電池)20は電力を蓄える蓄電機能は有しておらず、シリコン系、化合物系、有機系の3種類があるが、いずれでも良い。また、本例ではn型半導体基板21に光を照射しているが、p型半導体基板22であっても良く、電流方向が異なるだけである。
【0023】
また、本発明の自動充電型スマートフォン10は、本体内に電磁誘導式の振動発電機30を埋設して内蔵しており、スマートフォン10を持ち歩く人の行動や運動などにおける振動動作によって、自動的に電力を発生するようになっている。振動発電機30の一例は
図4の模式的な構成であり、同心円の2つの円形状の永久磁石31及び32、即ち中心に配設された円柱状のN極永久磁石31と、このN極永久磁石31の周りに配設されたドーナツ状同心円の円筒状のS極永久磁石32とを具備し、永久磁石31及び32の間を自在に移動(図では上下動)可能な平板円筒状の磁性体で成る移動体34が配設され、移動体34は弾性体のバネ35で上部を保持されている。移動体34の外周にはコイル33が巻回されており、振動によって移動体34が永久磁石31及び32の間を往復動するので、コイル33と磁石31,32の電磁誘導作用に基づいて電力(交流の電流i2)を発生する。
図4は模式的に示しているが、永久磁石31及び32の高さ(長さ)は十分な高さ(長さ)となっている。また、当然に、永久磁石31及び32の磁界が強いほど、コイル33の巻き数が多いほど発生電力は大きくなる。
【0024】
図5は全体の結線を示しており、光電素子パネル20からの出力電力は直流であるので、そのまま合成部101及び102に入力されるが、振動発電機30からの出力電力は交流であるので、整流回路36で直流に変換した後に合成部101及び102に入力するようになっている。合成部101及び102では、光電素子パネル20からの出力電力と振動発電機30からの出力電力とが相互に干渉しないようにされ、入出力(充電と放電)を分岐する整合部103及び104を経てバッテリ13を充電する。また、バッテリ13から整合部103及び104を経て、スマートフォン10の電話、カメラ、メール、アプリ等の各種機能を実行するスマートフォンシステム100に電力を供給する。整合部103及び104は、光電素子パネル20及び振動発電機30によるバッテリ13の充電と、バッテリ13からスマートフォンシステム100への電力供給とを干渉させないようにする入出力分岐機能を有している。
【0025】
図6は振動発電機の他の構成例を示しており、
図6(A)は、二股状に突出した両端にN極磁石及びS極磁石を有し、軸41を支点としてハンガー形状の磁石部材40がコイル42の近辺を自在に振り子運動するようになっている。振動に基づく磁石部材40の振り子運動により、永久磁石(N、S)に近接して往復動するコイル42に電磁誘導作用が生じ、交流の電力(電流i3)を発生する。また、
図6(B)は、突出した両端にN極磁石及びS極磁石を有し、軸44を支点として自在に振り子運動する錨状の磁石部材43を備え、磁石部材43のN極に係合するコイル45Aと、磁石部材43のS極に係合するコイル45Bとが並列に接続されている。本例においても、振動に基づく磁石部材44の振り子運動により、コイル45A及び45Bにそれぞれ電磁誘導作用が生じ、交流の電力(電流i4)を発生する。
【0026】
上述のように、振動発電機は磁石とコイルの電磁誘導作用によって電力を発生する構成であり、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems/微小電気機械システム)の技術を用いても、ある程度のスペースを要するので、現状のスマートフォンの厚さの範囲内で、振動発電機を内蔵できない場合も想定される。このような場合には、
図7(A)及び(B)に示すように、スマートフォン本体の厚さよりも大きな径を有する円筒状の付加機能部14をスマートフォン本体下端部(若しくは上端部)に設け、付加機能部14内に振動発電機を収納するようにする。
図7(B)は、
図7(A)を横方向Xから見た側面図である。スマートフォン本体下端部に設けるのではなく、
図8に示すように側面端に円筒状の付加機能部15を設けるようにしても良い。付加機能部14、15の形状及びサイズは、振動発電機のサイズ、スマートフォンの使用状態及び持ち運びの便宜性、製造の容易性、美観などに基づいて決定する。また、断面形状も円形に限られるものではなく、例えば断面矩形、楕円であっても良い。
【0027】
スマートフォン本体の上下端若しくは側面端に付加機能部を設ける場合には、付加機能部の全領域を発電機として利用できる。従って、例えば
図9に示すように、4個(複数)の振動発電機30A、30B、30C、30Dを付加機能部14内に設け、振動発電機30A、30B、30C、30Dの各発電力を合算すれば大きな発電量を得ることができる。
【0028】
図10はその場合の結線を示しており、振動発電機30A、30B、30C、30Dの各交流発電力は、それぞれ整流回路36A,36B,36C,36Dで直流電力に変換されて合成部101及び102に入力される。これにより、大きな電力でバッテリ13を充電することができる。
【0029】
なお、上述では4個の振動発電機を付加機能部内に設けているが、その設置個数は適宜変更可能である。また、上述では下端部と側面端を別々の構成で説明したが、両方を組み合わせることも可能であり、この場合には、横方向及び縦方向の振動に対して発電することができる。更に、MEMSの技術により、振動発電機をスマートフォン本体の厚さ以下で作製できる場合には付加機能部は不要であり、内蔵(埋設)する振動発電機を複数とし、一部は横方向に、一部は縦方向に配置して横方向及び縦方向の振動に対して発電するようにすることができる。
【0030】
上述の第1実施形態では、振動発電機をスマートフォン本体の内部若しくは付加機能部に内蔵して、内部配線でバッテリ13を充電するようになっているが、次の第2実施形態では、ワイヤレス(無線)でバッテリ13を充電する例を説明する。この場合、電波受信方式のワイヤレス充電であるので、スマートフォンは受電用のアンテナ16を有している。
【0031】
図11は本発明で用いる装着型振動発電装置50の外観であり、矩形平板状の本体の両側にゴム等の弾性材で成る取付バンド51A、51Bが設けられており、本体上面に電波を放射するアンテナ52が設けられている。取付バンド51A、51Bにより、人の移動や運動などで振動が多い部位、例えば
図12に示すように腰部若しくは手首に、装着型振動発電装置50を装着して使用する。そして、
図13に示すように、振動発電装置50のアンテナ52から放射される電波RWを、手に持っているスマートフォン10のアンテナ16で共振させて受信し、受信した電波RWのエネルギーを電流(直流)に変換してバッテリ13を充電する。
【0032】
電波受信方式は、電流を電磁波に変換して電力伝送を行い、これを受電側の整流回路で直流電流に変換する。2.4GHzや5.8GHzなど非常に高い周波数を用いるのが一般的である。その他、2.4GHzのWiFi電波を受電して電力エネルギーとして活用するなどの手法も想定される。送受電の間に人が入る可能性があることによる安全性の問題、伝送効率やアンテナサイズなどの課題もあるが、諮問第2043号「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの技術的条件」への一部答申が出ており、2021年現在、法整備が進んでいる。閉じた空間内で、より効率的に給電を行い得る閉空間内給電技術を用いることもできる。
【0033】
図14は、身体に装着した装着型振動発電装置50と、手に持ったスマートフォン10との電波RWの送受信関係を模式的に示しており、振動発電装置50のアンテナ52から放射された電波RWは、スマートフォン10のアンテナ16で共振して受信され、受信電波を整流した直流電力に基づいて内蔵のバッテリ13が充電されるようになっている。
【0034】
図15は振動発電装置50の回路構成例を示しており、上述したような構成の振動発電機30からの交流電力出力は整流回路36で直流に変換され、変換された直流電力が無線部53に入力される。無線部53では入力された直流電力に応じて、発信用の周波数信号に変換してアンテナ52から電波RWを放射する。
【0035】
上述では自動充電専用の装着型振動発電装置50で電力を得るようになっているが、
図16に示すように腕時計70に振動発電機60を設け、アンテナ61から電波を放射するようにしても良い。この場合には、振動発電機60で発生された電力をアンテナ61で外部に放射すると共に、時計70自体のバッテリを充電することもできる。
【0036】
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、電磁誘導式の振動発電機を用いて電力を発電し、その発電電力でバッテリ13を充電するようになっているが、圧電素子を用いた圧電式の振動発電機を用いることもできる。以下に、圧電式の振動発電機を用いる第3実施形態を説明する。
【0037】
図17及び
図18は、靴200の踵部201に圧電素子で成る振動発電機80を設けた例を示しており、靴200を履いた人が歩行したり、走ったりしたときに生じる荷重の印加により、振動発電機80の上面が押圧されたり、開放されたりする。この往復的な荷重変化に基づいて、振動発電機80は交流電力を発電する。発電された電力(エネルギー)は、靴200の背部に突出して設けられたアンテナ86から放射される。
【0038】
図19はその結線回路例を示しており、振動発電機80は圧電素子81を上部電極板82及び下部電極板83で挟持した構造であり、圧電素子81に圧力が印加されると、上部電極板82及び下部電極板83の間にピエゾ効果による電力が発生される。発生電力は振動の力及び時間によって変化する交流であるので、整流回路84で直流に変換して後に無線部85に入力して周波数変換する。無線部85にはアンテナ86が接続されており、アンテナ86から電波RWが放射され、スマートフォン10のアンテナ16で共振して受信される。スマートフォン10では、アンテナ16が受信した電波RWのエネルギーを直流に変換し、変換された直流電力で内蔵バッテリを充電する。
【0039】
図20は靴100のアンテナ86から電波RWが放射され、放射された電波RWが、手に持ったスマートフォン10のアンテナ16で受信される様子を示している。
【0040】
圧電素子による出力電力を大きくするために、
図21に示すように複数(本例では4個)の圧電式振動発電機80-1~80-4を平面的に並べて配設する。そして、
図22の回路結線でも示すように、各振動発電機からの交流電力を整流回路84-1~84-4で直流に変換し、各直流電力を合成部87で合成して加算し、加算された合成電力を無線部85に入力し、無線部85で発生された周波数信号(エネルギー)をアンテナ86から電波RWとして放射するようになっている。本例では、踵部201に4個の圧電式振動発電機80-1~80-4を配設した例を示しているが、踵部201に限定されるものではなく、靴底全体に配設するようにしても良い。また、配設個数や形状も任意である。
【0041】
なお、上述ではスマートフォンの充電について説明したが、他の携帯端末についても同様な適用が可能である。また、予備的な充電装置として光電素子パネル20を設けた例を説明しているが、必須のものではない。
【符号の説明】
【0042】
10、10A、10B 自動充電型スマートフォン
11 画面部
12 カメラレンズ
13 バッテリ
14,15 付加機能部
16、52、61、86 アンテナ
20 光電素子パネル(太陽電池)
21 n型半導体基板
22 p型半導体基板
30 振動発電機(電磁誘導式)
31 N極永久磁石
32 S極永久磁石
33、42、45A,45B コイル
34 移動体
35 バネ
36 整流回路
40、43 磁石部材
41、44 支点
50 装着型振動発電装置(電磁誘導式)
51A、51B 取付バンド
53、85 無線部
70 腕時計
60 振動発電機(電磁誘導式)
80,80-1~80-4 振動発電機(圧電式)
81 圧電素子
82 上部電極板
83 下部電極板
84,84-1~84-4 整流回路
87 合成部
100 スマートフォンシステム
101,102 合成部
103,104 整合部
200 靴
201 踵部