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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】ジョイント
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/14 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
A01G9/14 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018042979
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019154278
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000221568
【氏名又は名称】東都興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直正
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-004214(JP,U)
【文献】特開昭53-007457(JP,A)
【文献】実開昭47-028641(JP,U)
【文献】意匠登録第1507240(JP,S)
【文献】特開2017-085939(JP,A)
【文献】意匠登録第1248662(JP,S)
【文献】特開2014-198986(JP,A)
【文献】特開2015-015906(JP,A)
【文献】登録実用新案第3137852(JP,U)
【文献】実開昭57-020855(JP,U)
【文献】実開昭52-134208(JP,U)
【文献】米国特許第04736563(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14
F16B 7/04
F16B 7/18
E04D 13/00
E04B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のフランジ状鍔を有するシート止め具を母屋又は垂木を構成するチャンネル材に対してクロスした状態で結合させるジョイントにおいて、
支持片と、上記支持片の上端に形成された開口部と、上記開口部の上端両側に相対向して水平に設けられた一対のフックとを備え、
上記一対のフックの内端間の寸法は、上記一対の鍔の外端間の寸法より短く設定されており、
上記各フックの下側基端部間の寸法は、上記一対の鍔の外端間の幅寸法と符合する長さに設定されており、
上記開口部の両方の下端角部間の寸法は、上記一対の鍔の外端間の幅寸法よりも長く設定されており、
上記下側基端部と上記下端角部を接続する上記開口部の側面の片側又は両側に上記下側基端部から外側に向けて傾斜するガイド面が形成される
ことを特徴とするジョイント。
【請求項2】
上記ガイド面が形成された側面における上記下端角部と、この下端角部と対角に位置する上記フックの先端部上端との間の寸法は、上記一対の鍔の外端間の寸法以上の長さに設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載のジョイント。
【請求項3】
上記支持片が水平な底板で連結された相対向する一対の板片からなり、
上記各板片の下端部に相対向する一対の楔挿入用のガイド孔が形成され、
上記各板片の上端に形成されている上記開口部の底に楔挿入用のガイド溝が形成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のジョイント。
【請求項4】
上記支持片が、一枚の板片と、上記板片の下端に水平に設けた当て板とからなり、
上記板片と上記当て板とにそれぞれビス挿入用の孔を形成している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2いずれか一項に記載のジョイント。
【請求項5】
上記支持片が水平な天板で連結された相対向する一対の長細の板片からなり、
上記一対のフックが、上記天板の端部と上記板片の先端上端とにそれぞれ上記開口部の開口幅を規制するように設けられており
上記天板にビス挿入用の孔を形成している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2いずれか一項に記載のジョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニールハウスにおけるシート止め具用のジョイントに関し、特に母屋又は垂木を構成するチャンネル材にシート止め具を固定又は補強するのに適するジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
植物を育成・栽培する温室たるビニールハウスは、母屋又は垂木からなる骨組たるチャンネル材にシート止め具を固定し、このシート止め具に透明な硬質又は軟質シートを固定して屋根面、側面、妻面にシートを展張している。このようなシート止め具としては、例えば、特許文献1に開示されている構造のものが開発されている。
【0003】
このシート止め具は使用状態を示す参考正面図に示すように、太鼓状の本体部と、本体部の両側に設けた一対の脚部と、各脚部の下端に水平に設けた一対のフランジ状鍔部とを備えたものであり、各鍔部をチャンネル材にビスで固定し、本体部に他のビスとキャップを介して透明な硬質シートを保持させるものである。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示すシート止め具は、機能上の欠陥があるわけでは無いが、チャンネル材上に鍔部をビスで固定しているだけであるからこのビスや、ビスのねじ込み部が錆びたり、経年劣化で緩んだりするとシート止め具に対する保持力が弱くなり、特に、強風がシートに作用したり、地震や強風でチャンネル材が振動するとビスが弛み、シート止め具がチャンネル材に対して緩んだり、外れ、展張したシートが歪んだり、破損の原因となる恐れがある。
【0005】
この為、特許文献2、特許文献3、特許文献4に示すように、ビスが緩んで保持力が弱くなってもチャンネル材に対してシート止め具が緩んだり、外れたりしないように補強できるジョイントが開発されている。
【0006】
これらのジョイントは、支持片と、支持片の上端に形成した開口部と、開口部の上端両側に設けられた一対のフックとを備えたもので、開口部内にチャンネル材とクロスさせながらシート止め具を挿入させ、その後支持片をビスや楔を介してチャンネル材に固定しながらシート止め具をフックで保持させるものである。
【0007】
しかしながら、これらのジョイントの一対のフックはシート止め具の本体下端片側に設けた鍔とこの鍔より高い位置の本体の傾斜面にそれぞれ当接するものであるから、両者の高さ位置が異なる。
【0008】
このため、これらのジョイントを上記特許文献1に示すような本体の下端両側に水平な一対の鍔を設けたシート止め具の固定や補強に利用しようとすると一方の高い位置のフックは一方の鍔に当接出来ず、ジョイントががたつき結果的にシート止め具の固定のみならず補強もできない不具合がある。
【0009】
他方、特許文献5に示すように、支持片と、支持片の上端に形成した開口部と、開口部の上端両側に同じ高さレベルで相対向する水平な一対のフックとを備えたジョイントも開発されている。
【0010】
このジョイントは鳩尾状の両側側壁を備えた蟻溝フレームからなるシート止め具の固定用に利用しているものであるが、一対のフックが同一水平レベルに対向して高さが同一であるからこれらのフックが上記特許文献1に示すシート止め具の両側の鍔の上面にもそれぞれ当接できるので、このシート止め具の固定のみならず補強にも利用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】意匠登録第1575859号公(使用状態を示す参考正面図参照)
【文献】特許第4255122号公報(図6、段落0004~0013、図3参照)
【文献】特開2014-198986号公報(段落0010~0014、図5参照)
【文献】特開2017-85939号公報(段落0003~0011、図5図6参照)
【文献】意匠登録第1507240号公報(参考斜視図参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記の特許文献5に示すジョイントは、フックより下側の開口部を正面から見てコ字状に成形させ、また開口部の両側面間の横幅をシート止め具の横幅より大きくし、同じく下方への深さをシート止め具の高さより長くしているのが普通である為、シート止め具を開口部に挿入する時、言い換えれば、固定されているシート止め具の下部に開口部を介してジョイントを斜めにしながら簡単に嵌合させることが出来る反面、次のような不具合がある。
【0013】
第1に、シート止め具を開口部内に挿入させた時、シート止め具の側部と開口部内周との間に隙間ができ、この隙間でジョイントが左右又は斜めに動いたりして、ガタ付きが発生し、ジョイントの向きを水平にしようとする手動操作が面倒である。
【0014】
第2に、シート止め具の側部と開口部の側面との間に上記のように隙間があると、シート止め具をジョイントでチャンネル材に固定した時も、この隙間の分だけジョイントが外力で左右に動く場合があり、その結果シート止め具のチャンネル材に対する取付け位置が変化し、展張したシートを歪ませ又は破断させる恐れがある。
【0015】
そこで、本発明の目的は、一対の水平な鍔を備えたシート止め具を開口部内に斜め方向から正確に且つスムースに挿入でき、挿入後には鍔と開口部の側面との間に隙間を発生させることなく鍔をフックの基端位置まで案内させ、シート止め具に対する位置合わせが容易で正確にでき、ガタの発生を防止できるジョイントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成する為、本発明の手段は、左右一対のフランジ状鍔を有するシート止め具を母屋又は垂木を構成するチャンネル材に対してクロスした状態で結合させるジョイントにおいて、支持片と、上記支持片の上端に形成された開口部と、上記開口部の上端両側に相対向して水平に設けられた一対のフックとを備え、上記一対のフックの内端間の寸法は、上記一対の鍔の外端間の寸法より短く設定されており、上記各フックの下側基端部間の寸法は、上記一対の鍔の外端間の幅寸法と符合する長さに設定されており上記開口部の両方の下端角部間の寸法は、上記一対の鍔の外端間の幅寸法よりも長く設定されており、上記下側基端部と上記下端角部を接続する上記開口部の側面の片側又は両側に上記下側基端部から外側に向けて傾斜するガイド面が形成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
各請求項の発明によれば、次の効果を達成できる。
A)開口部の片側又は両側側面にフックの下側基端部から開口部の下端角部に連なる鍔案内用のガイド面を形成しているので、このガイド面に沿ってシート止め具の鍔を傾斜させながら開口部の下端角部まで正確且つスムースに挿入できる。言い換えれば、ガイド面に沿って鍔を当接させて傾斜させながらジョイントをシート止め具に嵌合できる。
B)更に、開口部内にシート止め具を嵌合した後、ジョイントを手動で水平にし、次いでジョイントを手動又は楔を介して押し下げるとジョイントの支持片がガイド面に沿って下降し、言い換えれば、シート止め具の鍔がガイド面に沿って上昇し、最終的にフックの下側基端部に鍔の外端が当たって嵌合できる。
【0018】
この状態では、鍔の側面と開口部の内側面との間には隙間が発生せず、ジョイント自体横方向に移動するの防止でき、ジョイントを例えばシート止め具の下部中心の適正位置に位置決めできる。
【0019】
C)特に、各フックの下側基端部間の寸法をシート止め具における一対の鍔間の幅寸法と同じ長さに成形させているので、一対の鍔の上面が各フックの下面に当接して保持された時、各鍔の両側には隙間が発生せず、ジョイントは横方向への動きが規制され、シート止め具やジョイントに外力が作用してもこれらの部材は左右に動かず、ガタも発生させず、従って、ジョイントが弛まず、シート止め具を安定して強固に保持できる。
【0020】
その結果シート止め具に保持されているシートに歪みを発生させ或いは破断させるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一実施の形態に係るジョイントの斜視図である。
図2本発明の第一の実施の形態に係るジョイントの正面図である。
図3本発明の第一の実施の形態に係るジョイントでシート止め具を補強させた取付け状態の斜視図である。
図4本発明の第一の実施の形態に係るジョイントでシート止め具を補強させた取付け 状態の正面図である。
図5本発明の第一の実施の形態に係るジョイントでシート止め具を補強させた取付け 状態を下から見た斜視図である。
図6本発明の第一の実施の形態に係るジョイントでシート止め具をチャンネル材に固定させた取付け状態の斜視図である。
図7本発明の第一の実施の形態に係るジョイントでシート止め具をチャンネル材に固 定させた取付け状態の正面図である。
図8本発明の第一の実施の形態に係るジョイントでシート止め具をチャンネル材に固 定させた取付け状態を下から見た斜視図である。
図9】(A)は第二の実施の形態に係るジョイント正面側から斜めに見た斜視図である。(B)は第二の実施の形態に係るジョイントを背面から斜めに見た斜視図である。
図10第二の実施の形態に係るジョイントの正面図である。
図11第二の実施の形態に係るジョイントでシート止め具を補強させた取付け状態の斜視図である。
図12第二の実施の形態に係るジョイントでシート止め具を補強させた取付け状態の正面図である。
図13第二の実施の形態に係るジョイントでシート止め具を補強させた取付け状態を下から見た斜視図である。
図14】(A)は第三の実施の形態に係るジョイント正面側から斜めに見た斜視図である。(B)は第三の実施の形態に係るジョイントを背面側から斜めに見た斜視図である。
図15第三の実施の形態に係るジョイントの正面図である。
図16】(A)は第四の実施の形態に係るジョイント斜めから見た斜視図である。(B)は第四の実施の形態に係るジョイントを他の位置から見た斜視図である。
図17第四の実施の形態に係るジョイントの正面図である。
図18第四の実施の形態に係るジョイントでシート止め具をチャンネル材に固定させた取付け状態の斜視図である。
図19第四の実施の形態に係るジョイントでシート止め具をチャンネル材に固定させ た取付け状態の正面図である。
図20第四の実施の形態に係るジョイントでシート止め具をチャンネル材に固定させ た取付け状態を下から見た斜視図である。
図21】(A)は第四の実施の形態の変形例に係るジョイントを斜めから見た斜視図である。(B)は第四の実施の形態の変形例に係るジョイントを他の位置から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の一実施の形態に係るジョイントを図1図21に基づいて説明する。この場合、図1図8に示すジョイントとその使用状態はシート止め具の補強用にも、固定用にも利用できる実施の形態に係るものである。
【0023】
図9図13に示すジョイントはシート止め具の補強用に利用した第二の実施の形態に係るものである。
【0024】
図14図15に示すジョイントはシート止め具の補強用に利用した第三の実施の形態に係るものである。
【0025】
図16図21に示すジョイントとその使用状態はシート止め具の固定用に利用した第四の実施の形態に係るものである。
【0026】
上記各実施の形態に係るジョイントの共通した基本構成は、支持片1と、支持片1の上端に形成した開口部2と、開口部2の上端両側に相対向して水平に設けられた一対のフック3A、3Bとを備え、開口部2内に母屋又は垂木を構成するチャンネル材9とクロスさせながら挿入した左右一対のフランジ状鍔7、7を備えたシート止め具8をチャンネル材9に結合させるジョイントであって、各フック3A、3Bの下側基端部5C、5C間の寸法Cが、シート止め具8の短手方向の幅寸法Lと同じ長さであって、更に開口部2の片側又は両側側面に上記フック3A、3Bの下側基端部5Cから開口部2の下端角部5Aに連なる鍔案内用のガイド面4を形成したことである。
【0027】
以下各実施の形態を詳細に説明する。図1図5に示すジョイントP1は本発明の実施の形態に係るジョイントを示し、これはシート止め具8の補強用又は固定用の両方に選択的に利用できるものである。
【0028】
この場合、補強とは、シート止め具8が予め母屋又は垂木を構成するC型チャンネルからなるチャンネル材9にビスVを介して固定され、このシート止め具8を介して硬質な透明シートSがビニールハウスの屋根面、側面又は妻面に展張されている状態において、上記ビスVや、ビスVのねじ込み部が錆びたり、経年劣化で緩んだりしてビスVの保持力が低下した時新たにチャンネル材9にジョイントP1を組み付けて保持させ、ビスVの保持力を補うことである。
【0029】
他方、固定とは、ジョイントP1がチャンネル材9に対してクロスする方向に配置されたシート止め具8を最初からチャンネル材9に取付けるもので、ビスVを使用することなく自らがこのシート止め具8を保持させることである。
【0030】
この場合、ジョイントP1を補強用として利用する場合は、図3図5に示すように下端部に設けた楔挿入用のガイド孔1C、1Cに楔Kを挿入させる。
【0031】
他方、ジョイントP1を固定用として利用する場合は、図6図8に示すように、開口部2側の他の楔挿入用ガイド溝1Dに楔Kを挿入させるものである。
【0032】
上記ジョイントP1は、上記したように、支持片1と、支持片1の上端に形成した開口部2と、開口部2の上端両側に相対向して水平に設けられた一対のフック3A、3Bとを備え、開口部2内に母屋又は垂木を構成するチャンネル材9とクロスさせながら挿入した左右一対のフランジ状鍔7、7を備えたシート止め具8をチャンネル材9に結合させるものである。
【0033】
そして、このジョイントP1では、上記したように、各フック3A、3Bの下側基端部5C、5C間の寸法Cを上記一対の鍔7、7間の幅寸法L(図3参照)と同じ長さに成形させている。
【0034】
また、開口部2の片側側面に右方の下側基端部5Cから開口部2の右方の下端角部5Aに連なる鍔案内用のガイド面4を形成している。
【0035】
図示のガイド面4は右側フック3Bの下側基端部5Cから右側の下端角部5Aに向けて形成された下り勾配の傾斜面から構成されているが、傾斜面に限らず傾斜面とこの傾斜面の上端からフック3Bの下側基端部5Cに連なる垂直面で構成させても良く、要はシート止め具8の鍔7を開口部2内に斜めにしながらスムースに挿入させ、挿入後この鍔7の端部を下端角部5Aからフック3Bの下側基端部5Cに案内できるようになっていれば他の形状でも良い。
【0036】
開口部2においては、一対のフック3A、3Bの内端間の寸法Aは、シート止め具8における両側鍔7、7の外端間の寸法Lより短い。そして、左方のフック3Aの先端部上端上記右側の下端角部5Aとの間の寸法Bは、上記鍔7、7の外端間の寸法Lと同じか、好ましくは長くなるように成形されている。
【0037】
ジョイントP1における支持片1は水平な底板1Bで連結された相対向する一対の板片1Aからなり、各板片1Aの下端部に相対向する一対の楔挿入用のガイド孔1C、1Cが形成され、各板片1Aの上端に形成されている開口部2の底に楔挿入用のガイド溝1Dが形成されている。また、各板片1Aの下部側面には切欠き1Gが形成されている。
【0038】
また、底板1Bにはビス挿入用の孔1Fが形成され、この孔1Fに挿入したビスでジョイントP1をチャンネル材9に固定できるようになっている。但し、このビス挿入用の孔1Fは無くても使用可能である。
【0039】
図3図5はジョイントP1を利用してシート止め具8をC型チャンネルからなるチャンネル材9に補強して保持させる状態を示す。この補強状態は図3に示すようにシート止め具8がビスVを介してチャンネル材9に予め固定されており、シートSもシート止め具8に固定されて展張されている状態が前提となり、この状態を維持しながらシートSの下側からジョイントP1をチャンネル材9とシート止め具8に差し込むものである。
【0040】
シート止め具8は特許文献1に示すものと同じように、長尺な太鼓状の本体部15と、本体部15の両側に設けた一対の脚部16、16と、各脚部16、16の下端に水平に設けた一対のフランジ状鍔7、7とを備えたものである。
【0041】
このシート止め具8はチャンネル材9に対して交差して配置され、ビスVを介して鍔7がチャンネル材9に固定されている。
【0042】
さらに、本体部15と本体部15上に嵌合させたキャップ17とで例えば透明な硬質シートSを挟持してこのシートSを屋根面等に展張している。
【0043】
上記の状態は、シート止め具8が予めビスVを介してチャンネル材9に固定されているが、このビスVの保持力が低下したことを視認した時ジョイントP1でシート止め具8を保持して補強するものである。
【0044】
この場合の手順は、ビスVでシート止め具8がチャンネル材9に保持されている状態において、シートSの下側、即ち、ビニールハウス内からジョイントP1をチャンネル材9の下側に手動で傾けながら嵌め込む。
【0045】
この際、板片1Aの下部側面に切欠き1Gが形成さているのでこの板片1Aの回転初期にはチャンネル材9と干渉するのが防止される。
【0046】
次に、ジョイントP1をさらに傾けながら開口部2の下端角部5Aの位置までシート止め具8の鍔7、7を挿入させ、さらに、ジョイントP1を水平な姿勢に戻した状態で下側の楔挿入用のガイド孔1C、1C内にチャンネル材9と交差する方向に楔Kを打ち込む。
【0047】
その結果、楔Kの締め付け力がシート止め具8とジョイントP1に作用し、シート止め具8はビスVで固定されていて動かないのでジョイントP1全体が下方に押し下げられ、チャンネル材9の上面とフック3A、3Bの下面とでシート止め具8の両鍔7、7が強固に挟持され、ビスVの保持力に加えてジョイントP1による締め付け力が加わり、低下したビスVの保持力を補ってシート止め具8の緩み、脱落が防止される。
【0048】
上記の手順において、注目することは、ジョイントP1を傾斜させながら開口部2を鍔7の外周に嵌め込む時、言い換えれば、シート止め具8の鍔7を傾斜させながら開口部2内に挿入する時、図3において右側の鍔7の外周がガイド面4に沿って開口部2の下端角部5Aまで案内されながらスムースに侵入し、その結果ジョイントP1の差込み時の傾斜姿勢が一定で手動によるジョイントP1の差込み操作が容易となり、いちいち姿勢の調整をする必要が無い。
【0049】
次に、鍔7が下端角部5Aに到達した時、ジョイントP1を手動で水平にし、この状態で楔Kを楔挿入用のガイド孔1Cに打ち込むとジョイントP1全体が下降する。
【0050】
この時、ガイド面4は右側の鍔7の外周に当接しているのでガイド面4に案内されながらジョイントP1が水平な姿勢で下降し、最終的に一対の鍔7、7の各端部がそれぞれフック3A、3Bの下側基端部5C、5Cに当接した時停止する。
【0051】
このように、楔Kを打ち込んだ時ジョイントP1がガイド面4に沿って水平姿勢で下降するので下降時の姿勢が乱れずジョイントP1の姿勢を手動で調節する必要がなく、ジョイントP1の楔Kによる締め付け、取付け操作がスムースで容易である。
【0052】
しかも、各鍔7、7がフック3A、3Bの下側基端部5C、5Cに収まった時は鍔7と開口部2の内周との間には隙間が発生せず、その結果、シート止め具8には遊びが無く、左右に動いたり、ガタついたりせず、安定して所定の位置、例えばシート止め具8の中心位置に取付けられてシート止め具8を保持して補強できる。
【0053】
また、本実施の形態においては、楔Kはチャンネル材9に対して直交する交差方向、言い換えれば、板片1Aと直交する方向から楔挿入用のガイド孔1Cに挿入されている。ここで、仮に楔KをジョイントP1の底板1Bとチャンネル材9の間にチャンネル材9に対して平行な方向で挿入してシート止め具8を固定する場合、楔Kの挿入時に楔挿入側のフック3Aが、反対側のフック3Aに対して下側に傾く。そのため、楔挿入側のフック3Aによって押さえつけられている鍔7に大きな荷重がかかって鍔7を変形させる恐れがある。これに対し、本実施の形態のように、楔Kをチャンネル材9に対して直交する交差方向に挿入すると、両側のフック3A、3Bが、両側の鍔7、7を同時に押さえつけるため、片方に荷重が集中せず、鍔7の変形を防止できる。
【0054】
ただし、本実施の形態では、楔Kをチャンネル材9と直交する方向から楔挿入用の1Cに打ち込んでいるが、チャンネル材9とジョイントP1の底板1Bの間にチャンネル材9に対して平行な方向で楔Kを挿入してシート止め具8を固定してもよい。
【0055】
以上のように、図1のジョイントP1によれば、ガイド面4に沿って鍔7を傾斜させながら開口部2の下端角部5Aまでシート止め具8をスムースに挿入でき、更に、ジョイントP1を楔Kで押し下げると支持片1がガイド面4に沿ってスムースに下降し、最終的にフック3A、3Bの下側基端部5Cに鍔7の外端が当たって嵌合させることができる。
【0056】
この状態では、上記のように鍔7の側面と開口部2の内側面との間には隙間が発生せず、ジョイントP自体横方向に移動するの防止でき、ジョイントP1を例えばシート止め具8の下部中心の適正位置に位置決めできる。
【0057】
従って、一対の鍔7、7の上面が各フック3A、3Bの下面に当接して保持された時、ジョイントP1は横方向への動きが規制され、シート止め具8やジョイントP1に外力が作用してもこれらの部材は左右に動かず、ガタも発生させない。従って、ジョイントPが弛まず、シート止め具を安定して強固に保持できる。
【0058】
その結果、シート止め具8に保持されているシートSに歪みを発生させ或いは破断させるのを防止できる。
【0059】
図6図8はジョイントP1を利用してシート止め具8をチャンネル材9に固定させる状態を示す。
【0060】
この状態は、見かけ上は上記の補強状態と同じであるが、ジョイントP1の取付け工程、シートSの展張工程の手順が全く異なる。
【0061】
この状態はシート止め具8がチャンネル材9に保持されておらず、シートSも展張されていない状態で最初からジョイントP1でシート止め具8をチャンネル材9に固定させるものであり、その後シートSがシート止め具8を介して展張されるものである。
【0062】
この手順の工程は、固定されているチャンネル材9上にシート止め具8を宛がう工程(第1の工程)と、ジョイントP1をチャンネル材9の下側に傾斜させながら差し込む工程(第2の工程)と、開口部2内に斜めにしながらシート止め具8の鍔7を差し込む工程(第3の工程)と、開口部2の下側の楔挿入用のガイド溝1D内に楔Kを打ち込み楔Kとフック3A、3Bとでシート止め具8の鍔7、7を挟持させる工程(第4の工程)と、最後にシート止め具8でシートSを保持させる工程(第5の工程)と、からなるものである。
【0063】
上記工程により、シート止め具8をジョイントP1が単独でチャンネル材9に固定できる。そして、開口部2にシート止め具8の鍔7を挿入させる工程では鍔7がガイド面4に案内されながら侵入し、次いで楔Kの締め付け力で上昇してフック3A、3Bの下側基端部5Cに収まる。この場合のガイド面4の作用効果は、上記図3図5の補強工程の場合と同じである。
【0064】
尚、楔Kを開口部2の下側に打ち込んでシート止め具8を固定した場合は、この楔Kはチャンネル材9の上面に位置するので、この楔Kの高さ分シート止め具8を嵩上げでき、その結果、図7に示すように、シートSの展張位置を楔Kの高さ分上方に上げることができ、シートSが風圧等の外力で下方に押されてもチャンネル材9に接触して破断する等の不具合の発生を防止できる。
【0065】
図9図13は本発明の第二の実施の形態に係るジョイントP2とこのジョイントP2を補強用に利用した状態を示す。
【0066】
このジョイントP2の開口部2とフック3A、3Bと、ガイド面4とからなる基本構造は図1の実施の形態に係るジョイントP1の基本構造と同じである。
【0067】
但し、フック3A、3Bが幅の広い耳片を水平方向に向けて設けている形状において若干相違するが、基本構造の作用効果は全く同じである。
【0068】
また、図1のジョイントP1は支持片1が相対向する一対の板片1A,1Aで構成されているが、図9の実施の形態に係るジョイント2は支持片1が一枚である点で相違している。
【0069】
すなわち、このジョイントP2は図9に示すように支持片1は一枚の板片1Eと、板片1Eの下端に水平に設けた当て板1Hとからなり、板片1Eと当て板1Hとにそれぞれビス挿入用の孔10、11を形成しているものである。
【0070】
このジョイントP2は補強用に利用されるが固定用にも使用は可能である。
【0071】
図11図13は上記ジョイントP2を介してシート止め具8を補強する状態を示している。
【0072】
この場合は、予めビスVでシート止め具8をチャンネル材9に固定されている状態において、ビスVの保持力が低下していることを視認した時ジョイントP2をシートSの下側からチャンネル材9に固定してシート止め具8をビスVの保持力に加えて補強するものである。
【0073】
ジョイントP2傾斜させながら開口部2をシート止め具8の鍔7、7に嵌め込み、次いでジョイントP2をチャンネル材9に向けて移動させて板片1Eをチャンネル材9の外面に当接させ、さらに板片1Eを手動で下方に引っ張って当て板1Hをチャンネル材9の下面に引掛ける。
【0074】
その後、図11に示すように、板片1Eと当て板1Hとをそれぞれビス挿入用の孔10、11にそれぞれビスV1を打ち込んでチャンネル材9に固定し、フック3A、3Bでシート止め具8の各鍔7、7を押え込みシート止め具8を補強する。
【0075】
上記工程中では板片1Eを引き下げた時、鍔7がガイド面4に案内され、言い換えれば、板片1Eがガイド面4に沿って下降し、最終的にフック3A、3Bの下側基端部5Cの位置で停止する。この場合の作用効果は、すでに述べたように、上記図1のジョイントP1の作用効果と同じである。
【0076】
図14図15は本発明の第三の実施の形態に係るジョイントP3を示している。これはフック3A、3Bが角状に形成されていて耳片を備えていない点で図9の実施の形態に係るジョイントP2と相違するがその他の構造、作用効果は図9のジョイントP2と同じであるから詳細は省略する。
【0077】
図16図20は本発明の第四の実施の形態に係るジョイントP4とこのジョイントP4を固定用に利用した状態を示す。
【0078】
このジョイントP4の開口部2とフック3A、3Bと、ガイド面4とからなる基本構造は図1の実施の形態に係るジョイントP1の基本構造と同じである。但し、支持片1とフック3A、3Bの形状において相違するが、基本構造の作用効果図1のジョイントP1の場合と全く同じである。
【0079】
このジョイントP4は支持片1が水平な天板12で連結された相対向する一対の長細の板片1J、1Jからなり、天板12の端部と板片1J、1Jの先端上端とにそれぞれ開口部2の開口幅を規制する一対のフック3A、3Bを設け、天板12にビス挿入用の孔13を形成しているものである。
【0080】
このジョイントP4を介してシート止め具8をチャンネル材9に固定する場合は、図17図21に示すように、予め天板12と板片1Jを介してジョイントP4をチャンネル材の上端に嵌合させておき、この状態で開口部2内にシート止め具8を傾斜しながら鍔7を挿入させ、さらに鍔7が開口部2の下端角部5Aに当たった時シート止め具8の姿勢を手動で水平にする。
【0081】
この状態で、ビスVを天板12と鍔7とにそれぞれねじ込んでジョイントP4とシート止め具8をチャンネル材9に固定する。
【0082】
この状態では、図19に示すように、一対のフック3A、3Bが両側の鍔7、7の上端面を押え込み、シート止め具8を固定する。
【0083】
上記の取付け工程中、ガイド面4に案内されながら鍔7が上下に移動でき、フック3A、3Bの下側基端部5C、5Cの位置に納められ、その作用効果は上記の各実施の形態の場合と同じである。
【0084】
図21は本発明の第四の実施の形態の変形例に係るジョイントP5を示す。このジョイントP5はフック3A、3Bが図16のジョイントP4に比べて角状に成形されている点で差異があるだけであり、その他の構造、作用効果は図16のジョイントPと同じであるので詳細は省略する。
【符号の説明】
【0085】
1 支持片
1A 板片
1B 底板
1C 楔挿入用のガイド孔
1D 楔挿入用のガイド溝
1E 板片
1H 当て板
1J 板片
2 開口部
3A、3B フック
4 ガイド面
5A、5B 下端角部
5C 下側基端部
7 鍔
8 シート止め具
9 チャンネル材
10、11 ビス挿入用の孔
12 天板
13 ビス挿入用の孔
C フックの下側基端部間の寸法
L 一対の鍔の外端間の幅寸法
P1、P2、P3、P4、P5 ジョイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
図20
図21