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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/08 20060101AFI20220803BHJP
   F16K 11/076 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
F16K27/08
F16K11/076 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018203389
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2020070826
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000133652
【氏名又は名称】株式会社テージーケー
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】特許業務法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】梅谷 将史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健治
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-241982(JP,A)
【文献】実開昭50-122325(JP,U)
【文献】特開2018-100682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/08
F16K 11/076
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体とモータとを軸線方向に組み付けて構成される制御弁であって、
前記弁本体は、
弁室が形成された有底円筒状の本体と、前記本体と同軸状に設けられた第1配管部と、前記本体の側部に設けられた第2配管部とを有し、前記第1配管部の第1ポートと前記第2配管部の第2ポートとが前記弁室を介して連通可能なボディと、
前記弁室に回転摺動可能に配置され、内部が前記第1ポートに対して開放されるとともに、側壁にはその回転角度に応じて前記第1ポートと前記第2ポートとを連通させる開口部を有する有底円筒状の弁体と、
前記弁体の底部中央から同軸状に延出して前記本体の底部を摺動可能に貫通し、前記モータに接続される回転軸と、
を備え、
前記弁体が前記ボディに対して前記第1ポートから挿入されたものであり、
前記ボディと前記モータとの間に、前記弁体を吊持するためのプレートが介装され、
前記回転軸は、前記ボディと前記モータとの間に位置する部分に、前記プレートと係合可能な段差部を有し、
前記プレートは、前記回転軸の外周面との間に隙間を確保するように前記ボディに固定される一方、前記段差部と軸線方向に当接して前記回転軸を支持可能な支持面を有し、
前記段差部が、前記回転軸の外周面に周設された環状溝からなり、
前記プレートは、幅方向片側に前記回転軸を挿通させる凹部を有し、
前記凹部の内周面と前記回転軸の外周面との間に前記隙間が形成され、
前記凹部における前記環状溝の側面との対向面が、前記支持面を構成し、
前記プレートは、前記凹部の内周面に沿って突出するフランジ部を有し、
前記フランジ部における前記軸線方向の一端面が前記支持面を構成することを特徴とする制御弁。
【請求項2】
前記ボディの端面に突出し、前記凹部に係合することで前記プレートと前記回転軸との径方向距離を規制する係止部を備えることを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
前記プレートは、
前記モータを前記ボディに固定するためのねじを挿通可能なねじ挿通孔を有し、
前記ねじにより前記ボディに対して前記モータと共締めされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の制御弁。
【請求項4】
前記支持面は、前記ボディの表面よりも摩擦係数が低いことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の制御弁。
【請求項5】
前記ボディは、前記第2配管部とは別に前記本体の側部に設けられた第3配管部を有し、前記第1配管部の第1ポートと前記第3配管部の第3ポートとが前記弁室を介して連通可能であり、
前記開口部は、前記第1ポートと前記第2ポートとの連通により形成される第1流路の開口面積と、前記第1ポートと前記第3ポートとの連通により形成される第2流路の開口面積とを、前記弁体の回転角度に応じてそれぞれ変化させることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体の回転により流体の流れを制御する制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば給湯装置には、給湯管と給水管との合流部に混合弁が設けられる。給湯管からの高温水と給水管からの低温水との混合比がその混合弁により調整され、適温の湯水が給水設備へ向けて導出される。このような混合弁は一般に、T字管状のボディを有する。ボディは、有底円筒状の本体と、本体と同軸状に設けられた第1配管部と、本体の側部に設けられた第2,第3配管部とを含む。第2配管部が給湯管に接続され、第3配管部が給水管に接続される。第1配管部は、給水設備につながる配管に接続される。本体の内方には弁室が形成される。第1~第3配管には、それぞれ第1~第3ポートが設けられる。
【0003】
ボディには、第1ポートと第2ポートとを弁室を介して連通させる第1流路と、第1ポートと第3ポートとを弁室を介して連通させる第2流路とが形成される。弁室には有底円筒状の弁体が配設される。弁体の底部中央から回転軸が延出し、本体の底部を貫通してモータの回転軸に接続される。弁体の側部には周方向に延びる開口部が設けられている。モータの駆動により弁体の回転角度を制御することにより第1流路と第2流路との開口比率が調整され、高温水と低温水との混合比が調整される。
【0004】
このような混合弁として、弁体を第1ポートから挿入し、本体に組み付けたものがある(例えば特許文献1参照)。本体の底部には、弁体の回転軸を挿通できる程度の小径の挿通孔が設けられている。混合弁を組み立てる際には、弁体をその回転軸の側から第1配管に挿入して本体に組み付け、その回転軸をボディの外部に突出させる。この回転軸にモータの回転軸を連結しつつモータをボディに組み付ける。このモータの組み付けに際してボディから回転軸が突出した状態を保持する必要があり、その組み付け後においては弁体の脱落を防止する必要がある。そこで、特許文献1に記載の構成では、ボディから突出した回転軸の外周面に溝を設け、弾性線材からなるクリップを装着している。このクリップをボディの上面で支持することで、弁体の脱落等を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-228764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、クリップをその弾性力に抗して回転軸側に押し込まなければならず、必ずしも作業性が良いとは言えない。また特に、クリップが回転軸の側面を挟むように弾性的に当接するため、弁体の回転抵抗となり、モータの回転トルクを無用に増大させる可能性がある。なお、このような問題は、給湯装置の混合弁に限らず、弁体の回転により流体の流れを制御する制御弁であれば生じ得る。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、弁体の回転により流体の流れを制御する制御弁において、簡易かつ組付容易な構造にて弁体の脱落を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様の制御弁は、弁本体とモータとを軸線方向に組み付けて構成される。弁本体は、弁室が形成された有底円筒状の本体と、本体と同軸状に設けられた第1配管部と、本体の側部に設けられた第2配管部とを有し、第1配管部の第1ポートと第2配管部の第2ポートとが弁室を介して連通可能なボディと、弁室に回転摺動可能に配置され、内部が第1ポートに対して開放されるとともに、側壁にはその回転角度に応じて第1ポートと第2ポートとを連通させる開口部を有する有底円筒状の弁体と、弁体の底部中央から同軸状に延出して本体の底部を摺動可能に貫通し、モータに接続される回転軸とを備える。
【0009】
この制御弁は、弁体がボディに対して第1ポートから挿入されたものである。ボディとモータとの間に、弁体を吊持するためのプレートが介装される。回転軸は、ボディとモータとの間に位置する部分に、プレートと係合可能な段差部を有する。プレートは、回転軸の外周面との間に隙間を確保するようにボディに固定される一方、段差部と軸線方向に当接して回転軸を支持可能な支持面を有する。
【0010】
この態様によると、ボディとモータとの間にプレートを介装するという簡易かつ組付容易な構成により弁体の脱落を防止できる。プレートは、回転軸の段差部と軸線方向には当接可能であるものの、回転軸の外周面との間には隙間を確保する。このため、プレートそのものが弁体の回転抵抗となることを抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、弁体の回転により流体の流れを制御する制御弁において、簡易かつ組付容易な構造にて弁体の脱落を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る制御弁を表す斜視図である。
図2】制御弁の縦断面図である。
図3】制御弁の分解斜視図である。
図4】プレートの構成を表す図である。
図5】プレートの組付構造の詳細を表す図である。
図6】プレートの組付構造の詳細を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。
【0014】
図1は、実施形態に係る制御弁を表す斜視図である。
制御弁1は、給湯装置に適用される混合弁であり、弁本体2とモータ4とを軸線方向に組み付けて構成される。弁本体2は、T字管状のボディ6を有する。ボディ6は、有底円筒状の本体8と、本体8と同軸状に設けられた第1配管部10と、本体8の側部に設けられた第2配管部12,第3配管部14を有する。本体8と第1配管部10は内径および外径が等しく、直管16を構成している。第2配管部12と第3配管部14は、本体8に対して互いに反対側かつ同軸状に設けられ、直管18を構成している。
【0015】
本体8の上端にプレート20を介してモータ4が組み付けられ、一対のねじ22により固定されている(同図には一つのみ表示)。第2配管部12が給湯管に接続され、高温水を導入する。第3配管部14が給水管に接続され、低温水を導入する。第1配管部10が給水設備につながる配管に接続され、混合された湯水を導出する。
【0016】
図2は、制御弁1の縦断面図である。
ボディ6は、樹脂材の一体成形により得られる。本体8の内方に弁室24が形成されている。また、第1配管部10の内方に導出路26が形成され、その開口端にポート32(「第1ポート」として機能する)が設けられている。第2配管部12の内方に第1導入路28が形成され、その開口端にポート34(「第2ポート」として機能する)が設けられている。第3配管部14の内方に第2導入路30が形成され、その開口端にポート36(「第3ポート」として機能する)が設けられている。ボディ6には、ポート34とポート32とを弁室24を介して連通させる第1流路35と、ポート36とポート32とを弁室24を介して連通させる第2流路37とが形成される。
【0017】
本体8の底部中央を貫通するように挿通孔38が設けられている。弁室24には、弁体40が配置されている。弁体40は有底円筒状をなし、弁室24の内周面に沿って回転摺動可能に支持されている。弁体40の底部中央から回転軸42が同軸状に延出している。回転軸42は、挿通孔38を貫通し、モータ4の回転軸と接続される。回転軸42の下部外周面には2段の嵌合溝44が設けられ、それぞれOリング46が嵌着されている。これらのOリング46により、挿通孔38を介した湯水の外部漏れが防止される。本体8の底部と弁体40との間には、ワッシャ48が介装されている。ワッシャ48は、ポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」と表記する)等からなる摩擦係数が低い樹脂製のワッシャであり、弁体40を軸線方向に支持する滑り軸受として機能する。
【0018】
弁体40の内部は、高温水と低温水とを混合する混合室50を形成し、ポート32に対して開放されている。混合室50は、ボディ6のほぼ中央に位置する。弁体40の側部には内外を連通させる開口部52が設けられている。開口部52は、弁体40の周方向に約210度にわたって形成されており、その周方向の中央部が第1導入路28および第2導入路30の一方に対向したときに他方の導入路が遮断されるように構成されている。弁体40の回転角度、つまり開口部52の回転位置を制御することにより、第1流路35と第2流路37との開口比率を調整でき、高温水と低温水との混合比を調整できる。
【0019】
モータ4は、図示しないロータとステータとを含むステッピングモータやDCモータ等を含む。ロータの回転が回転軸42を介して弁体40に伝達される。図示しないモータ制御部は、温度センサによって検出された温度に基づき、給湯設備に供給される湯水が設定温度となるよう弁体40の回転角度を制御する。
【0020】
次に、制御弁1における弁体40の支持構造について詳細に説明する。
上述のように、弁体40が円筒状をなしており比較的大きい。一方、ボディ6が樹脂材の一体成形(射出成形)により得られたものであり、挿通孔38は回転軸42の外径と同程度に小さい。このため、弁体40は、ポート32から挿入され、ボディ6に組み付けられる。
【0021】
図3は、制御弁1の分解斜視図である。図4は、プレート20の構成を表す図である。(A)は斜視図であり、(B)は平面図であり、(C)は正面図である。(D)は(C)のA-A矢視断面図であり、(E)は(C)のB-B矢視断面図である。
【0022】
図3に示すように、制御弁1を組み立てる際には、予め2つのOリング46を回転軸42に装着し、ワッシャ48を弁体40に組み付けておく。この状態から回転軸42を先頭にして第1配管部10のポート32に挿入し、弁体40をボディ6に組み付ける。そして、回転軸42をボディ6の挿通孔38から突出させた状態で、側方からプレート20を組み付ける。このとき、弁体40は、プレート20によって吊持された状態となる。
【0023】
ボディ6の上端部には、径方向に一対のリブ54が突出し、それぞれ軸線に平行なねじ孔56が設けられている。一方、プレート20における一対のねじ孔56に対応する位置に、それぞれねじ挿通孔58が設けられている(詳細については後述)。プレート20は、その一対のねじ挿通孔58を一対のねじ孔56に合わせるようにして、ボディ6および回転軸42に組み付けられる。
【0024】
このようにして組み付けられる弁本体2に対し、モータ4を組み付ける。モータ4における一対のねじ孔56に対応する位置にもねじ挿通孔60が設けられている。回転軸42をモータ4の回転軸に接続しつつ、一対のねじ挿通孔60を一対のねじ挿通孔58に合わせるようにしてモータ4を弁本体2に組み付ける。そして、弁本体2つのねじ22を各ねじ挿通孔を介してねじ孔56に螺合させて締結することにより、弁本体2とモータ4とを固定できる。プレート20は、ねじ22によりボディ6に対してモータ4と共締めされる。なお、回転軸42の上端部にいわゆるDカットが施されており、モータ4の回転軸には相補形状の接続穴が設けられている。それにより、両回転軸を組み付ける際の位置合わせが行われる。
【0025】
図4(A)および(B)に示すように、プレート20は、平面視概略長方形状の板状部材からなり、その長手方向の両端部にねじ挿通孔58を有する。プレート20の長手方向中央部には、幅方向片側に開放されるU字状の凹部62が設けられている。プレート20は、凹部62の内周面に沿って突出する平面視U字状のフランジ部64を有する。図4(C)にも示すように、プレート20は上下対称の形状を有する。フランジ部64は、凹部62の内周面における高さ方向中間部に設けられ、その高さ方向に段差を形成している。フランジ部64の上面が支持面65を構成している。
【0026】
図4(D)および(E)にも示すように、プレート20は、フランジ部64の内周面に半円弧状の小径部66を有し、凹部62の内周面(フランジ部64の基端面)に半円弧状の大径部68を有する。小径部66と大径部68は、プレート20の中心に対して同心状に形成されている。凹部62の開口端には、テーパ状の拡開部70が設けられている。
【0027】
図5および図6は、プレート20の組付構造の詳細を表す図である。図5は、図2のA部拡大図である。図6(A)は図5のA-A矢視断面図である。図6(B)は図5のB-B矢視断面図である。図6(C)は図6(A)のC部拡大図である。
【0028】
図5に示すように、プレート20がボディ6とモータ4との間に介装され、その凹部62が回転軸42を挿通する。回転軸42における嵌合溝44のやや上方には、環状溝72が周設されている。環状溝72は、「段差部」として機能する。環状溝72は、ボディ6とモータ4との間に位置し、プレート20のフランジ部64と嵌合する。ボディ6の上面には、挿通孔38の開口端を環囲するように円ボス状の係止部74が突設されている。
【0029】
プレート20がボディ6に組み付けられるとき、係止部74が大径部68を係止する。それにより、本体8の軸線上にプレート20の中心を位置させることができる。一方、本体8と回転軸42とが同軸状であることは上述のとおりである。このため、プレート20を係止部74の側面に突き当てるだけで、回転軸42に対するプレート20の芯出しを行うことができる。また、プレート20と回転軸42との径方向距離が規制される。すなわち、図6(A)~(C)にも示すように、大径部68が係止部74の外周面に当接しても、小径部66は回転軸42の外周面とは当接せず、両者間に隙間CLが形成される。
【0030】
一方、図5に示したように、支持面65が環状溝72の側面76(上面)と当接することで、プレート20が回転軸42を軸線方向に支持できる。すなわち、プレート20は、回転軸42の外周面との間に隙間を確保するようにボディ6に固定される一方、環状溝72と軸線方向に当接して回転軸42を軸線方向に支持可能である。
【0031】
以上に説明したように、本実施形態の制御弁1によれば、ボディ6とモータ4との間にプレート20を介装し、ねじ22で共締めするという簡易な構成により弁体40の脱落を防止できる。プレート20は、回転軸42の環状溝72と軸線方向には当接可能であるものの、回転軸42の外周面との間には隙間CLを確保する。このため、プレート20そのものが弁体40の回転抵抗となることを抑制できる。また、プレート20をねじ止めする構成としたため、クリップ等を用いる場合よりも取付作業が容易である。また、その固定がより強固となり、信頼性が高いものとなる。
【0032】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0033】
上記実施形態では、回転軸42の段差部として、その外周面に環状溝72(環状凹部)を設ける構成を例示した。変形例においては、逆に、回転軸の外周面に半径方向外向きに突出するフランジ部(環状凸部)を設けてもよい。そして、プレートの支持面をそのフランジ部の下面に当接させ、回転軸を軸線方向に支持する構成としてもよい。すなわち、「段差部」を環状凸部により構成してもよい。
【0034】
上記実施形態では、弁体40を軸線方向に支持するすべり軸受として、PTFEからなるワッシャ48を例示した。変形例においては、潤滑コーティングが施されたワッシャ等の軸受部材を採用してもよい。あるいは、軸受部材として、研磨その他の表面処理を施して摩擦係数を低減したものを採用してもよい。あるいは、本体8の底面(弁体40との当接面)に表面処理を施し、ワッシャ等の軸受部材を省略してもよい。
【0035】
上記実施形態では述べなかったが、プレート20として、支持面65の摩擦係数がボディ6のそれよりも低いものを採用してもよい。例えば、プレートの材質としてPTFEなど摩擦係数が低いものを採用してもよい。あるいは、プレートに潤滑コーティングを施すなど、摩擦係数を低減する(摺動抵抗を低減する)ための表面処理を施してもよい。その場合、表面処理をプレート全体に施してもよいし、支持面のみに施してもよい。
【0036】
上記実施形態では、プレートの構造の一例を示したが、弁体の回転軸の外周面との間に隙間を確保でき、かつ回転軸を軸線方向に支持可能な構造であれば他の構造を採用してもよい。ねじを用いることなく、プレートをモータとボディとの間に挟持させてもよい。例えば、ボディの上面に突起を設け、プレートに設けた挿通孔にその突起を挿通することで回転軸に対してプレートを位置決めできる。その状態でモータをボディに締結することにより、両者間にプレートを固定することができる。
【0037】
上記実施形態では述べなかったが、弁体の回転軸と接続されるモータの回転軸は、モータの駆動軸であってもよいし、モータの駆動軸と減速機(ギヤ)を介して接続される軸であってもよい。後者の場合、広義のモータは、狭義のモータと減速機等を備えるモータユニットを含む。
【0038】
上記実施形態では、制御弁1を混合弁とし、給湯装置に適用する例を示した。変形例においては、例えば互いに性質が異なる第1の流体と第2の流体とを所定の混合比で混合して第3の流体を生成する混合弁として、その他の対象装置に適用してもよい。また、制御弁1を分配弁その他の三方弁として構成してもよい。具体的には、図2に示した構成において、導出路26を「導入路」に変更し、第1導入路28を「第1導出路」、第2導入路30を「第2導出路」に変更してもよい。つまり、ポート32を導入ポートとし、ポート34を第1導出ポート、ポート36を第2導出ポートとしてもよい。この分配弁は、導入路に導入された流体を第1導出路と第2導出路に分配する。弁体40の回転角度を制御することにより、その分配比率を調整できる。なお、この分配弁に流体が流れているとき、その水圧によっては弁体40が上方に押し上げられる。このとき、ワッシャ48が弁体40を軸線方向に支持する一方で、環状溝72の側面76と支持面65との間に微小な隙間が形成されることはある。
【0039】
上記実施形態では、制御弁1として三方弁を例示した。変形例においては、制御弁を二方弁としてもよい。例えば、図2の構成において、第3配管部14をなくしてもよい。それにより、ポート34を導入ポート(第1ポート)、ポート32を導出ポート(第2ポート)とする二方弁を構成してもよい。あるいは、ポート32を導入ポート、ポート34を導出ポートとする二方弁を構成してもよい。弁体40の回転角度を制御することにより、上流側から下流側へ流れる流体の流量を調整できる。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 制御弁、2 弁本体、4 モータ、6 ボディ、8 本体、20 プレート、22 ねじ、24 弁室、26 導出路、28 第1導入路、30 第2導入路、32 ポート、34 ポート、35 第1流路、36 ポート、37 第2流路、38 挿通孔、40 弁体、42 回転軸、44 嵌合溝、52 開口部、56 ねじ孔、58 ねじ挿通孔、60 ねじ挿通孔、62 凹部、64 フランジ部、65 支持面、66 小径部、68 大径部、72 環状溝、74 係止部、CL 隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6