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特許7116504浮揚移動台及び浮揚移動台用のプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】浮揚移動台及び浮揚移動台用のプログラム
(51)【国際特許分類】
   B64C 39/02 20060101AFI20220803BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20220803BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20220803BHJP
   B64D 45/00 20060101ALI20220803BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
B64C39/02
B64C13/18 Z
B64C27/08
B64D45/00 Z
B64D47/08
【請求項の数】 44
(21)【出願番号】P 2021078250
(22)【出願日】2021-05-06
(62)【分割の表示】P 2019114326の分割
【原出願日】2015-01-23
(65)【公開番号】P2021107226
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】514228217
【氏名又は名称】みこらった株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 將洋
(72)【発明者】
【氏名】佐古 曜一郎
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/068982(WO,A1)
【文献】特許第6551824(JP,B2)
【文献】特許第6885622(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
B64C 13/18
B64C 27/08
B64D 47/08
G05D 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた空間領域内において浮揚して空中を移動するための空中飛行機構部と、
物品を載置することが可能な載置台と、
前記載置台における前記物品の個数の変化、前記物品の総重量の変化、前記物品についてのトラブルの発生の少なくともいずれか1つの要因に基づいて、前記空間領域内に予め設定されている所定の場所に帰還するかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果に基づいて、前記空間領域内に予め設定されている前記所定の場所に帰還するように前記空中飛行機構部を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする浮揚移動台。
【請求項2】
前記空間領域内において、前記載置台に載置した物品を提供するものであって、
前記所定の場所は、提供する前記物品を前記載置台に載置する場所である
ことを特徴とする請求項1に記載の浮揚移動台。
【請求項3】
前記載置台における前記物品の載置状況を撮影するための1または複数個のカメラを備え、
前記判断手段は、前記1または複数個のカメラの撮影画像情報から前記載置台に載置されている前記物品の個数を判断する手段を含み、
前記制御手段は、前記判断手段で前記載置台に載置されている前記物品の個数が所定個数以下となったと判断されたとき、前記所定の場所に帰還するように制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の浮揚移動台。
【請求項4】
前記載置台における前記物品の載置状況を撮影するための1または複数個のカメラを備え、
前記判断手段は、前記1または複数個のカメラの撮影画像情報から前記載置台に載置されている前記物品が内容物を伴う容器であって、前記容器の内容物が前記載置台上にこぼれた状態となっていると判断する手段を含み、
前記制御手段は、前記判断手段で前記容器の内容物が前記載置台上にこぼれた状態となっていると判断したときに、前記所定の場所に帰還するように制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項5】
前記載置台に載置されている物品の総重量を検出する重量検出手段を備え、
前記判断手段は、前記重量検出手段で検出された前記載置台に載置されている物品の総重量が所定値以下となっているか否かを判断する手段を含み、
前記制御手段は、前記判断手段で前記載置台に載置されている前記物品の総重量が所定値以下となっていると判断したときに、前記所定の場所に帰還するように制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項6】
前記空間領域内において、回収すべき物品を前記載置台に載置するものであって、
前記所定の場所は、前記載置台に載置されている回収した物品を前記載置台から回収する場所である
ことを特徴とする請求項1に記載の浮揚移動台。
【請求項7】
前記載置台における前記物品の載置状況を撮影するための1または複数個のカメラを備え、
前記判断手段は、前記1または複数個のカメラの撮影画像情報から前記載置台に載置されている前記物品の個数を判断する手段を含み、
前記制御手段は、前記判断手段で前記載置台に載置されている前記回収した物品の個数が所定個数以上となったと判断されたとき、前記所定の場所に帰還するように制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の浮揚移動台。
【請求項8】
前記載置台における前記物品の載置状況を撮影するための1または複数個のカメラを備え、
前記判断手段は、前記1または複数個のカメラの撮影画像情報から前記載置台に載置されている前記物品が内容物を伴う容器であって、前記容器の内容物が前記載置台上にこぼれた状態となっていると判断する手段を含み、
前記制御手段は、前記判断手段で前記容器の内容物が前記載置台上にこぼれた状態となっていると判断したときに、前記所定の場所に帰還するように制御する
ことを特徴とする請求項1、請求項6または請求項7に記載の浮揚移動台。
【請求項9】
前記載置台に載置されている物品の総重量を検出する重量検出手段を備え、
前記判断手段は、前記重量検出手段で検出された前記載置台に載置されている物品の総重量が所定値以上となっているか否かを判断する手段を含み、
前記制御手段は、前記判断手段で前記載置台に載置されている前記物品の総重量が所定値以上となっていると判断したときに、前記所定の場所に帰還するように制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項6~請求項8のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項10】
物品を提供する提供モードと、物品を回収する回収モードとのいずれかのモード設定を受け付けるモード設定受付手段を備え、
前記モード設定受付手段で受け付けられた前記モード設定が前記提供モードであるときには、前記所定の場所は、提供する前記物品を前記載置台に載置する第1の場所とされ、
前記モード設定が前記回収モードであるときには、前記所定の場所は、前記載置台に載置されている回収した物品を前記載置台から回収する第2の場所とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の浮揚移動台。
【請求項11】
前記載置台における前記物品の載置状況を撮影するための1または複数個のカメラを備え、
前記判断手段は、前記1または複数個のカメラの撮影画像情報から前記載置台に載置されている前記物品の個数を判断する手段を含み、
前記制御手段は、前記モード設定が前記提供モードであるときには、前記判断手段で前記載置台に載置されている前記物品の個数が所定個数以下となったと判断されたとき、前記第1の場所に帰還するように制御し、前記モード設定が前記回収モードであるときには、前記判断手段で前記載置台に載置されている前記回収した物品の個数が所定個数以上となったと判断されたとき、前記第2の場所に帰還するように制御する
ことを特徴とする請求項10に記載の浮揚移動台。
【請求項12】
前記載置台における前記物品の載置状況を撮影するための1または複数個のカメラを備え、
前記判断手段は、前記1または複数個のカメラの撮影画像情報から前記載置台に載置されている前記物品が内容物を伴う容器であって、前記容器の内容物が前記載置台上にこぼれた状態となっていると判断する手段を含み、
前記制御手段は、前記判断手段で前記容器の内容物が前記載置台上にこぼれた状態となっていると判断したときに、前記第1の場所または前記第2の場所に帰還するように制御する
ことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の浮揚移動台。
【請求項13】
前記制御手段は、前記モード設定受付手段で受け付けられた前記モード設定が前記提供モードであるときには、前記載置台に載置されている物品の提供が可能であることの報知を伴って、前記空間領域内を飛行移動し、前記モード設定が前記回収モードであるときには、前記載置台に、回収すべき物品の載置が可能であることの報知を伴って、前記空間領域内を飛行移動するように、前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項10~請求項12のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項14】
前記報知を音声により放音する音声放音手段と、
前記提供モードと前記回収モードとのそれぞれに応じた報知音声を記憶する報知音声記憶部と、
を備え、
前記制御手段は、前記報知音声記憶部から、前記モード設定受付手段で受け付けられた前記モード設定に応じた報知音声を読み出して、前記音声放音手段を通じて前記報知のための音声を放音するようにする
ことを特徴とする請求項13に記載の浮揚移動台。
【請求項15】
前記空間領域の情報であって、前記所定の場所の位置情報を含む情報を記憶する空間領域情報記憶部を備え、
前記制御手段は、前記空間領域情報記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記空間領域の飛行移動を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項14のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項16】
前記載置台の水平状態を保つように姿勢制御するための姿勢制御手段を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項15のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項17】
前記空間領域内を撮影するための1または複数個のカメラを備え、
前記制御手段は、前記1または複数個のカメラからの撮影画像情報に基づいて、前記空間領域内に居る人の傍らに移動して、ホバーリングするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項16のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項18】
前記空間領域内を撮影するための1または複数個のカメラを備え、
前記1または複数個のカメラからの撮影画像情報から、所定の状況が発生しているか否か判別する判別手段を備え、
前記制御手段は、前記判別手段で前記所定の状況が発生していると判別したときに、前記所定の状況が発生している場所に居る人の傍らに移動して、ホバーリングするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項19】
前記空間領域内にいる人の音声を収音するための1または複数個のマイクロフォンと、
前記1または複数個のマイクロフォンから収音した音声を認識する音声認識手段と、
前記音声認識結果から、所定の状況が発生しているか否か判別する判別手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記判別手段で前記所定の状況が発生していると判別したときに、前記所定の状況が発生している場所に居る人の傍らに移動して、ホバーリングするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項20】
前記空間領域内にある物品の状況を検知するための1または複数個のセンサと、
前記1または複数個のセンサの出力情報から所定の状況が発生しているか否かを判別する判別手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記判別手段で前記所定の状況が発生していると判別したときに、前記所定の状況が発生している場所に居る人の傍らに移動して、ホバーリングするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項21】
前記空間領域内を撮影するための1または複数個のカメラと、
前記空間領域内にいる人の音声を収音するための1または複数個のマイクロフォンと、
前記1または複数個のマイクロフォンから収音した音声を認識する音声認識手段と、
前記1または複数個のカメラからの撮影画像情報から、及び/または前記音声認識結果から、所定の状況が発生しているか否か判別する判別手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記判別手段で前記所定の状況が発生していると判別したときに、前記所定の状況が発生している場所に居る人の傍らに移動して、ホバーリングするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項22】
前記空間領域内を撮影するための1または複数個のカメラと、
前記空間領域内にある物品の状況を検知するための1または複数個のセンサと、
前記1または複数個のカメラからの撮影画像情報から、及び/または前記1または複数個のセンサの出力情報から、所定の状況が発生しているか否か判別する判別手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記判別手段で前記所定の状況が発生していると判別したときに、前記所定の状況が発生している場所に居る人の傍らに移動して、ホバーリングするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項23】
前記空間領域内にいる人の音声を収音するための1または複数個のマイクロフォンと、
前記1または複数個のマイクロフォンから収音した音声を認識する音声認識手段と、
前記空間領域内にある物品の状況を検知するための1または複数個のセンサと、
前記音声認識結果から、及び/または前記1または複数個のセンサの出力情報から、所定の状況が発生しているか否か判別する判別手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記判別手段で前記所定の状況が発生していると判別したときに、前記所定の状況が発生している場所に居る人の傍らに移動して、ホバーリングするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項24】
前記空間領域内を撮影するための1または複数個のカメラと、
前記空間領域内にいる人の音声を収音するための1または複数個のマイクロフォンと、
前記1または複数個のマイクロフォンから収音した音声を認識する音声認識手段と、
前記空間領域内にある物品の状況を検知するための1または複数個のセンサと、
前記1または複数個のカメラからの撮影画像情報からと、前記音声認識結果からと、前記1または複数個のセンサの出力情報からと、の少なくともいずれかから所定の状況が発生しているか否か判別する判別手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記判別手段で前記所定の状況が発生していると判別したときに、前記所定の状況が発生している場所に居る人の傍らに移動して、ホバーリングするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項17のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項25】
前記1または複数個のセンサは、前記空間領域内にある物品の温度状況を計測するための温度状況計測用センサを含み、
前記判別手段は、前記温度状況計測用センサで計測された温度に基づいて、前記所定の状況が発生しているか否かを判別する
ことを特徴とする請求項20、請求項22、請求項23、請求項24のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項26】
前記判別手段には、前記空間領域内に存在する人の呼び寄せ要求を認識したか否かを含み、
前記制御手段は、前記判別手段で前記空間領域内に存在する人の呼び寄せ要求を認識したときには、前記呼び寄せ要求を発した人の傍らに移動して、ホバーリングするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項18~請求項25のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項27】
前記空間領域内を撮影するための1または複数個のカメラを備え、
前記ホバーリング中の前記空間領域内の位置を検出する位置検出手段と、
前記ホバーリング中に、前記所定の状況が発生している場所に居る人の音声を収音する音声収音手段と、
前記音声収音手段で収音した音声を認識するための音声認識手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記音声認識手段で、前記音声収音手段で収音した音声が、前記物品の提供要求であることを認識したときに、前記音声収音手段で収音した前記提供要求の音声と、前記提供要求をした人の前記1または複数個のカメラで撮影した顔画像と、前記位置検出手段で検出された前記ホバーリングしている前記空間領域内の位置とを互いに関連付けて記憶し、前記記憶した後、前記所定の場所に移動するように前記空中飛行機構部を制御し、前記所定の場所において、前記記憶された前記提供要求の音声を再生し、前記音声の再生に対応して前記載置台への物品の載置の確認後、前記記憶された位置に移動するように前記空中飛行機構部を制御し、前記記憶されている顔画像の人の傍らでホバーリングするように制御する
ことを特徴とする請求項18~請求項25のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項28】
前記記憶されている顔画像の人の傍らでホバーリングすると共に、前記提供要求された物品が載置台に載置されている旨を、前記提供要求をした人に報知する報知手段を備える
ことを特徴とする請求項27に記載の浮揚移動台。
【請求項29】
前記空間領域内を撮影するための1または複数個のカメラを備え、
前記1または複数個のカメラからの撮影画像情報から前記ホバーリングしている位置の近傍の人からの、立ち去り許可を認識する立ち去り許可認識手段を備え、
前記立ち去り許可認識手段で、前記立ち去り許可を認識したときに、制御手段は、前記空間領域内を、障害物を避けながら所定の移動速度で移動する状態に復帰するように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項18~請求項28のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項30】
前記ホバーリングする位置の近傍の人が、大人か子供かを認識する手段を備え、
前記制御手段は、前記載置台に載置されている前記物品が薬またはアルコール飲料の場合、前記認識した前記近傍の人が子供であるときには、子供の手が届かない高さ位置に留まるようにホバーリングするように制御する
ことを特徴とする請求項18~請求項29のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項31】
前記制御手段は、前記所定の状況が発生している場所に居る人の傍らでホバーリングすることが困難である場合には、近傍に着陸するように制御する
ことを特徴とする請求項18~請求項25のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項32】
前記制御手段は、前記所定の状況が発生している場所に居る人が車椅子を利用している場合には、前記車椅子のアームの高さ位置を基準にした高さ位置でホバーリングする
ことを特徴とする請求項18~請求項25のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項33】
前記ホバーリングする高さ位置を決定するための基準についての事前登録を受け付ける登録受付手段を備え、
前記制御手段は、前記登録受付手段で受け付けた前記事前登録された基準に基づいて、前記ホバーリングする高さ位置を決定する
ことを特徴とする請求項18~請求項32のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項34】
前記ホバーリングしている状態を所定時間継続していることを検知したときには、前記制御手段は、前記ホバーリングしている状態を解除して飛行移動するように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項17~請求項33のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項35】
前記空間領域内の位置を検出する位置検出手段と、
人の音声を収音する音声収音手段と、
人の顔画像を撮影するための1または複数個のカメラと、
前記音声収音手段で収音した前記音声と、前記1または複数個のカメラで撮影した前記音声を発した人の顔画像と、前記位置検出手段で検出された前記空間領域内の位置の位置情報とを互いに関連付けて記憶部に記憶する記憶手段と、
を備えることを特徴とする請求項1~請求項34のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項36】
前記制御手段は、前記記憶手段で前記記憶部への記憶の終了後、前記所定の場所に移動するように前記空中飛行機構部を制御し、前記所定の場所において、前記記憶された前記音声を再生するように制御する
ことを特徴とする請求項35に記載の浮揚移動台。
【請求項37】
前記制御手段は、前記空中飛行機構部を制御して、前記記憶部に記憶された前記位置情報に対応する前記空間領域内の位置に赴き、前記記憶部に記憶されている前記顔画像に基づき、前記音声を発した人を認識するように制御する
ことを特徴とする請求項35または請求項36に記載の浮揚移動台。
【請求項38】
前記載置台に載置された1または複数の物品の総重量を検知する総重量測定手段と、
前記総重量測定手段で検知された前記物品の総重量が所定値を超えたときには、アラーム報知するアラーム報知手段と、
を備えることを特徴とする請求項1~請求項37のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項39】
前記載置台に載置されている物品が液体物の入っている容器であるか否かを判別する液体物判別手段を備え、
前記制御手段は、前記液体物判別手段で前記載置台に載置されている物品が液体物の入っている容器であると判別したときには、加減速が少なくなるように空中を移動するように制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項38のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項40】
前記載置台の複数個所に配設される重量センサと、
前記重量センサの検出出力に基づいて、前記載置台の重量バランスが崩れているか否かを判別する重量バランス判別手段と、
前記重量バランス判別手段で前記載置台の重量バランスが崩れていると判別されたときに、アラームを発生するアラーム発生手段と、
を備えることを特徴とする請求項1~請求項39のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項41】
前記載置台に載置された物品の種類を識別し、前記識別した前記載置台に載置されている物品の種類毎に前記物品の個数をカウントする手段を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項40のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項42】
前記物品の種類は容器の種類であって、前記容器の種類は皿及びグラスを含む
ことを特徴とする請求項41に記載の浮揚移動台。
【請求項43】
前記物品の種類は容器の内容物の種類であって、前記容器の内容物の種類は料理及び飲み物を含む
ことを特徴とする請求項41に記載の浮揚移動台。
【請求項44】
予め定められた空間領域内において浮揚して空中を移動するための空中飛行機構部と、物品を載置することが可能な載置台とを備える浮揚移動台が有するコンピュータを、
前記載置台における前記物品の個数の変化、前記物品の総重量の変化、前記物品についてのトラブルの発生の少なくともいずれか1つの要因に基づいて、前記空間領域内に予め設定されている所定の場所に帰還するかどうかを判断する判断手段、
前記判断手段の判断結果に基づいて、前記空間領域内に予め設定されている前記所定の場所に帰還するように前記空中飛行機構部を制御する制御手段、
として機能させるための浮揚移動台用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば立食パーティーなどにおいて、料理や飲み物等を提供サービスしたり、空いた皿やグラス等の容器をお片付けサービスしたりするのに使用して好適な浮揚移動台及び浮揚移動台用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばレストランやホテル等において料理や飲み物を提供する方法としては、接客係がお客様の注文を聞いて、その注文された料理や飲み物を、お客様のところに運ぶようにする方法の他に、立食パーティー等では、提供する料理や飲み物を予めテーブルに並べておき、お客様自身が、並べられた料理や飲み物を取りに行くブッフェスタイルと呼ばれる方法も知られている。
【0003】
後者の料理や飲み物の提供方法としては、回転テーブルやベルトコンベアー方式で、料理や飲み物をお客様に展示しつつ提供することで、お客様や接客係の手間を省くことができるようにした方法も提案されている(例えば特許文献1(特開平11-299626号公報)や特許文献2(特開2003-199654号公報)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-299626号公報
【文献】特開2003-199654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
予め定められた所定の場所に料理や飲み物を並べるようにするブッフェスタイルの場合には、お客様は、いちいち料理や飲み物を取りに行かなければならず、手間である。また、他のお客様と懇談中の場合には、その懇談を一時中止(中断)するか、一時中止したくない場合には、料理や飲み物を取りに行くのを諦めることもあった。また、料理や飲み物を並べる場所を設定する必要があり、その場所の分だけ、お客様が利用できるスペースが狭くなるという問題もある。
【0006】
特許文献1や特許文献2のように、料理や飲み物を回転テーブルやベルトコンベアー方式で提供するようにする場合には、お客様は、いちいち料理や飲み物を取りに行く必要がないので、便利となる。しかし、回転テーブルやベルトコンベアーなどの設置位置が必要であって、その場所の分だけ、お客様が利用できるスペースが狭くなると共に、それら回転テーブルやベルトコンベアーなどの特殊な提供装置を必要とするという問題がある。また、自分がほしいものが回転テーブルやベルトコンベアーで運ばれて来るまで待つ必要がある。
【0007】
以上のような問題は、料理や飲み物などの物品に限られるものではなく、種々の物品を展示して販売するような環境においても同様である。
【0008】
この発明は、以上の点に鑑み、物品を並べたり、展示したりするための別途のスペースを設ける必要はなく、また、人が、予め定められた所定の場所まで自分で物品を取りに行く必要が無いようにすることができる浮揚移動台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、
予め定められた空間領域内において浮揚して空中を移動するための空中飛行機構部と、
物品を載置することが可能な載置台と、
前記載置台における前記物品の個数の変化、前記物品の総重量の変化、前記物品についてのトラブルの発生の少なくともいずれか1つの要因に基づいて、前記空間領域内に予め設定されている所定の場所に帰還するかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果に基づいて、前記空間領域内に予め設定されている前記所定の場所に帰還するように前記空中飛行機構部を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする浮揚移動台を提供する。
【0010】
上述の構成のこの発明の浮揚移動台は、物品を載置することが可能な載置台を備え、この載置台に例えば料理や飲み物などの物品を載置して、記憶部に記憶されている空間領域において、空中を移動することができる。
【0011】
そして、この発明の浮揚移動台は、載置台における物品の個数の変化、前記物品の総重量の変化、前記物品についてのトラブルの発生の少なくともいずれか1つの要因に基づいて、前記空間領域内に予め設定されている所定の場所に帰還するかどうかを判断する判断手段を備えており、制御手段は、この判断手段の判断結果に応じて、空間領域内に予め設定されている所定の場所に帰還するように空中飛行機構部を制御する。例えば、載置台に提供する料理などの物品を載置している場合には、載置されている物品がなくなった、あるいは少なくなったときには、物品を提供する場所に帰還して、載置台の物品を補充してもらうことができる。また、物品を回収して回っているときには、載置台に載置されている物品が例えば所定数以上になったり、積載可能重量に近づいた時には、物品回収場所に帰還して、載置台の回収した物品を下ろしてもらったりすることができる。

【発明の効果】
【0012】
この発明による装置によれば、例えばお客様が料理や飲み物などの物品を自分で取りに行く必要が無いと共に、お客様が飲食後の容器を、回収場所に置きに行く必要もないようにすることができる浮揚移動台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明による浮揚移動台の実施形態の機構的構成例を示す図である。
図2】この発明による浮揚移動台の実施形態の駆動制御装置部の構成例を示すブロック図である。
図3】この発明による浮揚移動台の実施形態の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図4】この発明による浮揚移動台の実施形態の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図5】この発明による浮揚移動台の実施形態の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図6】この発明による浮揚移動台の実施形態の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図7】この発明による浮揚移動台の実施形態の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図8】この発明による浮揚移動台の実施形態の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図9】この発明による浮揚移動台の実施形態の動作例を説明するために用いる図である。
図10】この発明による浮揚移動台の実施形態の動作例を説明するために用いる図である。
図11】この発明による浮揚移動台の実施形態の動作例を説明するために用いる図である。
図12】この発明による浮揚移動台の実施形態の動作例を説明するために用いる図である。
図13】この発明による浮揚移動台の実施形態の他の利用態様の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明による浮揚移動台の実施形態を、図を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態では、浮揚移動台は、立食パーティー会場で、料理や飲み物を提供したり、空いた容器を回収したりするために用いられる場合とされている。しかし、この発明の浮揚移動台は、この例に限られるものではないことは言うまでもない。
【0015】
この実施形態の浮揚移動台1は、自律して空中を飛行して移動可能な飛行体の構成である。図1(A)は、この実施形態の浮揚移動台1を、その上方から見た図であり、また、図1(B)は、この実施形態の浮揚移動台1を、正面側方から見た図である。
【0016】
この実施形態の浮揚移動台1は、いわゆるクワッドコプターの構造の空中飛行機構部2と、駆動制御ユニット3とを備える。空中飛行機構部2は、駆動制御ユニット3により駆動制御される。図1に示すように、空中飛行機構部2は、駆動制御ユニット3から延びる4本のアーム4A,4B,4C,4Dの先端に、回転翼(ローター)機構5A,5B,5C,5Dが取り付けられて構成されている。
【0017】
回転翼機構5A,5B,5C,5Dは、モータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれにより回転翼シャフト(図示は省略)を回転駆動することにより、回転翼52A,52B,52C,52Dを回転駆動するように構成されている。モータ駆動部51A,51B,51C,51Dは、駆動制御ユニット3からの駆動制御信号により回転速度及び回転方向が制御される。モータ駆動部51A,51B,51C,51Dや駆動制御ユニット3は、バッテリー(図示は省略)を回転駆動用の電源や駆動制御用の電源として用いている。後述するカメラ、マイクロフォン、各種センサ、制御部などもバッテリーから電源を供給される。バッテリーは、例えば、充電可能な二次電池が用いられる。また、太陽電池を用いてもよい。
【0018】
この例においては、駆動制御ユニット3からの駆動制御信号によって、モータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれが独立に制御されることにより、飛行体である浮揚移動台1は、離陸、着陸、上昇(真上、斜め上)、下降(真下、斜め下)、右旋回、左旋回、前進、後進、右シフト、左シフトなどの各種移動動作をすることができるようにされていると共に、鉛直方向に対する傾き角などの姿勢制御及びホバーリング位置の位置制御ができるようにされている。
【0019】
そして、この実施形態の浮揚移動台1においては、駆動制御ユニット3と一体的に、後述するカメラ、無指向性マイクロフォンや各種センサなどが取り付けられると共に、制御部を含む駆動制御装置部10を内蔵する筐体6が形成されている。筐体6は、この例では、全体として箱型の形状に構成されている。
【0020】
筐体6には、2個の脚部7A,7Bが互いに対向するように取り付けられている。この例では、脚部7A,7Bは、台形形状に成形されたパイプ部材からなり、図1(B)に示すように、着地面8において、安定して浮揚移動台1を保持するように形成されている。脚部の形状や部材はこれに限らず、種々考えられる。例えば、筐体6の四隅に4本の脚部が円柱形上に成形された木材や金属材料であってもよい。また、着地面8での移動を容易にするため、脚部に可動輪を装着してもよい。
【0021】
そして、この例においては、図1(A),(B)に示すように、駆動制御ユニット3の筐体6の上面にはカメラCM1と無指向性マイクロフォンMCとが設けられている。また、筐体6の4側面には、図1(A)及び(B)に示すように、カメラCM2~CM5がそれぞれ設けられる。さらに、筐体6の底面には、図1(B)に示すように、カメラCM6が設けられる。
【0022】
カメラCM1~CM6の光軸(撮影方向に対応)は、カメラCM1~CM6のそれぞれの取り付け面に直交する方向となり、それぞれ光軸方向を中心として所定の画角範囲が撮影可能となる。
【0023】
そして、回転翼52A,52B,52C,52Dの上方の、当該回転翼52A,52B,52C,52Dの回転の邪魔にならない位置には、物品を載置する載置台9が、筐体6の上面から植立されている4本の支持脚9A,9B,9C,9Dに固定されることにより支持されて設けられている。この載置台9は、この例では、上方が開口とされ、断面がコの字形状の籠型に構成されている。この載置台9は、籠の底面及び側面がメッシュ状に孔が形成されたものとされて、回転翼52A,52B,52C,52Dの回転により生じる空気の流れにできるだけ影響しないようなものとされている。
【0024】
また、図示は省略するが、載置台9に載せられる物品を照らしたりして、照明が落されて暗くなった場合や、ムーディーな照明の場合でも、物品が判別できるよう、筐体6の上面にLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)ライトが設けられている。
【0025】
筐体6内には、駆動制御装置部10が設けられている。図2は、この実施形態の浮揚移動台1における駆動制御装置部10の構成例を示すブロック図である。なお、図2ではバッテリーを省略した。
【0026】
図2に示すように、この実施形態における駆動制御装置部10は、マイクロコンピュータ(図2ではマイコンと省略)からなる制御部101に対して、システムバス100を通じて、空中飛行駆動部102、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、重力センサ105、高度センサ106、障害物センサ107、重量センサ108、音声放音処理部109、移動空間メモリ110、現在位置検出部111、飛行駆動信号生成部112、位置姿勢制御信号生成部113、カメラCM1~CM6、無指向性マイクロフォン(図2では無指向性マイクと省略)MC、画像認識部114、音声認識部115、アラーム報知部116、オーダー音声情報記憶部117、予測部118、操作部119、音声メッセージ記憶部120、のそれぞれが接続されて構成されている。制御部101は、浮揚移動台1の全体を制御する主制御手段を構成する。
【0027】
空中飛行駆動部102は、制御部101の制御に従って、空中飛行機構部2の回転翼機構5A,5B,5C,5Dのモータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれに、駆動制御信号を供給する。
【0028】
ジャイロセンサ103は、浮揚移動台1の飛行中における角速度変化を検出するもので、浮揚移動台1の飛行進行方向やその速度、また、姿勢を検出するために用いられる。地磁気センサ104は、浮揚移動台1が、東西南北のどの方位に向いているか、及び、どの方位に飛行移動しているかを検出するために用いられる。
【0029】
重力センサ105は、重力方向(垂直方向)を検出するためのもので、例えば加速度センサからなり、浮揚移動台1の載置台9の底面を水平に保つようにする制御のために用いられる。
【0030】
高度センサ106は、浮揚移動台1が当該時点で位置している高度を検出するためのもので、例えば気圧センサからなる。
【0031】
障害物センサ107は、光や赤外線、あるいは超音波などを発して、人や壁などの障害物からの反射波を検出することで、障害物の存在を検出すると共に、光や赤外線、あるいは超音波などを発してから、反射波を受信するまでの時間や減衰量を検出して、その時間や減衰量から、検出した障害物までの距離を算出することができるものとされている。この実施形態では、障害物センサ107は、浮揚移動台1が、使用される空間において、障害物に対する衝突を回避して飛行するように制御されるために用いられる。
【0032】
また、この実施形態では、この障害物センサ107は、後述するように浮揚移動台1が赴くべき場所の近傍に居る人(この例では立食パーティーの参加者や接客係(給仕))や、浮揚移動台1を呼んだ人(この例では立食パーティーの参加者や接客係)の傍らでホバーリングする際に、人との間に所定距離、例えば40cm程度を保って、浮揚移動台1をホバーリング制御するようにする際にも用いられる。なお、この時には、カメラCM1~CM6のうちの人を撮影するカメラからの撮影画像情報も併せて用いられるものである。
【0033】
重量センサ108は、載置台9に載せられた物品の重量を検出したり、載置台9から物品が取り上げられた後の重量変化を検出したりするためのものである。この実施形態では、載置台9に物品が載せられたときに重量センサ108で検出された当該物品の重量は、カメラCM1で撮影された、当該載置台9に載せられた物品の載置台9の底面上の載置位置と対応付けられて記憶される。この実施形態では、後述するように、この重量センサ108で検出される物品の重量に応じたホバーリングの高さ位置の制御が行われる。
【0034】
音声放音処理部109には、スピーカ121が接続されており、後述するように、制御部101の制御に従って、記憶されている音声メッセージや、再生された音声信号をスピーカにより音響変換して放音するようにする。
【0035】
移動空間メモリ110には、浮揚移動台1が使用される室内などの移動空間に関する情報が記憶される。この実施形態の浮揚移動台1の制御部101のメモリには、パノラマ写真用のアプリケーションプログラム(例えばPhotosynth)が格納されており、事前に、浮揚移動台1が、使用される室内を飛行して、カメラCM1~CM6の全てあるいは一部を用いて、室内を360度の範囲で撮影する。そして、制御部101は、パノラマ写真用のアプリケーションプログラムを用いて、その撮影した撮影画像情報から室内の3D画像情報を生成し、当該生成した3D画像情報を移動空間メモリ110に記憶する。
【0036】
この場合に、移動空間メモリ110には、使用されるパーティー会場などの室の形状、縦、横、高さなどの三次元情報も予め記憶される。さらに、梁やパイプスペース、柱など、使用される室の構造情報も予め記憶してもよい。なお、移動空間には、立食パーティー会場だけでなく、厨房や食器の洗い場から立食パーティー会場までの移動空間を含めてもよい。更に、移動空間メモリ110の記憶情報には、浮揚移動台1の移動空間における移動経路情報(経路誘導情報)も含むものである。
【0037】
現在位置検出部111は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機を備え、浮揚移動台1の現在位置の緯度、経度、高度を検出する。より正確な位置情報を得るために、携帯電話基地局からの電波や、Wi-Fi(Wireless Fidelity(登録商標))通信のアクセスポイントからの電波を用いて現在位置を検出するようにしてもよい。また、カメラCM1~CM6の全てあるいは一部を用いて、浮揚移動台1の周囲を撮影し、その撮影した撮影画像情報と移動空間メモリ110に記憶された3D画像情報を比較して画像認識することで、3D画像空間における相対位置を把握し、現在位置を検出するようにしてもよい。移動後の現在位置を検出するためには、現在位置検出部111は、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ106をも使用する。
【0038】
飛行駆動信号生成部112は、制御部101の制御の下に、以下のような処理動作を実行する。
【0039】
先ず、制御部101からの起動命令に基づいて空中浮揚飛行を開始するときには、飛行駆動信号生成部112は、移動空間メモリ110に記憶されている移動経路情報に従って空中移動するようにするための飛行駆動信号を生成する。この場合に、飛行駆動信号生成部112は、現在位置検出部111で検出された現在位置の位置情報と、移動空間メモリ110に記憶されている移動空間の情報とから、移動方向及び移動距離を計算する。
【0040】
そして、飛行駆動信号生成部112は、計算した方向及び距離に基づくと共に、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、重力センサ105、高度センサ106、障害物センサ107などの情報を用い、さらに、カメラCM1~CM6からの撮影画像を参照しながら、障害物との衝突を避け、また、飛行すべきでないところを避けながら、移動するための飛行駆動信号を生成する。
【0041】
この飛行駆動信号は、4個の回転翼機構5A~5Dのモータ駆動部51A~51Dのそれぞれを駆動する信号からなる。生成された飛行駆動信号は、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2のモータ駆動部51A~51Dのそれぞれに供給される。空中飛行機構部2は、この飛行駆動信号を受けて、回転翼52A~52Dのそれぞれを回転駆動して、空中飛行による移動を行う。
【0042】
この移動中に、制御部101は、カメラCM1~CM6からの撮影画像を参照して、後述する画像認識を行うことで、浮揚移動台1が人(立食パーティーの参加者や接客係。以下同じ)の傍らに赴くべき状況が発生しているかどうかを判別する。ここで、浮揚移動台1が人の傍らに赴くべき状況が発生しているかどうかは、この例では、立食パーティーの参加者や接客係の近傍にある皿やグラスなどの容器が空(料理や飲み物がわずかになっている場合を含む)になっているか、立食パーティーの参加者が浮揚移動台1や接客係を呼び寄せる所作(手を上げたりするジェスチャー等)をしたり、接客係が浮揚移動台1を呼び寄せる所作(手を上げたりするジェスチャー等)をしたり、立食パーティーの参加者が浮揚移動台1や接客係を探す所作(周囲をきょろきょろ見回すジェスチャー等)をしたり、呼び寄せの音声を発したりしているか、などを判別することにより判別する。
【0043】
なお、以下の説明においては、饒舌になるのを避けるために、「人(立食パーティーの参加者や接客係)の傍らに赴くべき状況」は、単に「赴くべき状況」と記すこととする。
【0044】
制御部101が、浮揚移動台1が赴くべき状況が発生していると判別すると、制御部101の制御に従って、飛行駆動信号生成部112は、浮揚移動台1が赴くべき状況が発生している場所の近傍に居る人や、浮揚移動台1を呼び寄せる所作をした人の傍らに移動して、そこでホバーリングするようにする。この場合に、飛行駆動信号生成部112は、制御部101の制御に従って、傍らにホバーリングする人の特定の身体的部位、この例では人の下顎の位置を基準にした高さ位置において、当該人から所定距離離れた状態で、載置台9の水平状態を保ってホバーリングするようにする飛行駆動信号を生成し、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2に供給するようにする。この場合に、ホバーリングする高さ位置は、人が載置台9から料理や飲み物などの物品を取り出したり、空いている皿やグラス等を載置台9に載置したりするのが容易な高さ位置とされる。なお、ホバーリングする高さ位置の制御用の信号の生成は、後述するように、位置姿勢制御信号生成部113が行う。
【0045】
そして、制御部101から移動開始命令や、厨房や洗い場への帰還命令が発せられると、飛行駆動信号生成部112は、ホバーリングを停止して、立食パーティー会場内での更なる移動を開始し、あるいは、厨房や洗い場に戻る移動をするようにする飛行駆動信号を生成し、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2に供給するようにする。
【0046】
制御部101は、浮揚移動台1が傍らにホバーリングしている人からの立ち去り許可の所作(手を横に振るジェスチャー等)を検知したり、立ち去り許可の音声(「もういいよ」「行っていいよ」「離れて」等の音声)を認識したり、また、人からの何等のアクションを受けることなく、ホバーリング状態を所定時間以上継続したりしたときには、移動開始命令を発する。また、料理や飲み物の提供をしているモードで、載置台9に料理や飲み物がなくなったり、少なくなったりしたときには、制御部101は、厨房への帰還命令を発する。また、空の容器を回収するモードで、載置台9に載置された容器の重量が、予め定めた重量を超えたと判別したときには、制御部101は、洗い場への帰還命令を発する。さらに、載置台9に載置された容器が倒れるなどして、中身がこぼれてしまったときには、制御部101は、カメラCM1の撮影画像情報からそのことを認識して、浮揚移動台1を厨房または洗い場へ帰還させるように制御する。
【0047】
位置姿勢制御信号生成部113は、制御部101の制御の下において、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、重力センサ105、高度センサ106、重量センサ108、並びにカメラCM1~CM6の撮影画像に基づいて、浮揚移動台1の高さ位置制御及び載置台9の底面の水平状態維持制御のための信号を生成する。
【0048】
位置姿勢制御信号生成部113は、浮揚移動台1の載置台9に物品が載置されていることをカメラCM1~CM5の撮像画像により検知したときに、制御部101の制御の下において、ホバーリングをしているときのみではなく、浮揚飛行で移動しているときにも、重力センサ105のセンサ出力を用いて、載置台9の底面を水平に保つようにするための姿勢制御信号を生成する。
【0049】
そして、位置姿勢制御信号生成部113は、基準の高さ位置の一例として、この例では、カメラCM2~CM5のいずれかで撮影された人の顔画像の下顎の高さ位置を検出して、その高さ位置に一時的にホバーリングした後、その高さ位置から例えば20cm下方の高さ位置において、ホバーリングするようにする位置姿勢制御信号を生成する。なお、この高さ位置は、後述するように、人による所作(ジェスチャー)や音声による命令により、調整可能とされている。
【0050】
位置姿勢制御信号生成部113は、また、人による浮揚移動台1の載置台9への料理や飲み物などの物品の載置、あるいは載置台9からの料理や飲み物などの物品の取り出しの際における前述したホバーリング高さ位置の補正のための位置姿勢制御信号の生成を、制御部101の制御を元に行う。
【0051】
カメラCM1~CM6のそれぞれは、動画の撮影画像情報をシステムバス100に出力する。カメラCM1~CM6のそれぞれからシステムバス100に送出される撮影画像情報には、いずれのカメラからの撮影画像情報であるかを識別するための識別情報が付加されている。なお、カメラCM1~CM6のそれぞれからの撮影画像情報は、動画の撮影画像情報ではなく、所定時間間隔、例えば0.5秒間隔の静止画の撮影画像情報としてもよい。
【0052】
無指向性マイクロフォンMCは、立食パーティーの参加者や接客係である人が発する命令語等の音声情報を収音するためのものである。図示は省略するが、この実施形態の浮揚移動台1においては、無指向性マイクロフォンMCで収音された音響情報の内、人の会話音声の帯域(例えば200Hz~4KHz)の音響情報のみが、バンドパスフィルターを通して、システムバス100に送出される。
【0053】
また、無指向性マイクロフォンMCで収音される、人が手をたたく音や指を鳴らす音を人が発する命令として利用することもできる。この場合、浮揚移動台1は、無指向性マイクロフォンMCで収音された呼び寄せ者や、後述する料理や飲み物のオーダー者の手をたたく音や指を鳴らす音に反応し、飛行移動する。なお、一般に、手をたたく音は、0~2KHz、指を鳴らす音は2~4KHzに周波数パワーのピークがあるので、その帯域をバンドパスフィルターを通して、システムバス100に送出し、手をたたく音や指を鳴らす音を認識してもよい。
【0054】
画像認識部114は、カメラCM1~CM6からの撮影画像情報から認識すべき画像認識対象の画像情報を記憶する画像メモリ114Mを備えている。これにより、立食パーティーの参加者や接客係の近傍にある容器が空であるか否か、人(立食パーティーの参加者や接客係)による浮揚移動台1の呼び寄せる所作、探す所作、立ち去り許可所作等を認識するようにしている。
【0055】
また、この実施形態では、制御部101は、後述するように、ホバーリング状態で、人からの料理や飲み物のオーダーを受けることができるように構成されており、当該オーダーを受けたときには、そのオーダーの発注者の顔画像を、その位置情報(移動空間における位置情報)に対応付けて、画像メモリ114Mのオーダー発注者記憶エリア(図示は省略)に登録することができるように構成されている。
【0056】
そして、この実施形態の浮揚移動台1は、料理や飲み物をオーダー発注者に届けるために、画像メモリ114Mのオーダー発注者記憶エリアに記憶されている位置情報の場所に戻り、画像認識部114は、画像メモリ114Mのオーダー発注者記憶エリアに記憶されているオーダー発注者の顔画像に基づいてオーダー発注者を認識するようにする。
【0057】
また、この実施形態では、ホバーリングしている浮揚移動台1の近傍に居る人は、その所作(ジェスチャー)により、浮揚移動台1に、「少し高さを下げろ」、「少し高さを上げろ」、「載置台9を回転させろ」、「(追従対象者を中心とした)ホバーリング位置を右に変更しろ」、「(追従対象者を中心とした)ホバーリング位置を左に変更しろ」等の制御命令を出すことができるようにしている。画像メモリ114Mには、当該制御命令記憶エリア(図示は省略)が設けられており、その制御命令記憶エリアには、前述した制御命令と、それに対応する所作(ジェスチャー)の画像との対応情報が記憶されている。
【0058】
なお、人が浮揚移動台1を軽く触れることを、図示は省略するが、静電容量式のタッチセンサなどで検出し、人の触れる位置や圧力の方向で、上下や左右、斜め方向などを制御することができるようにしてもよい。
【0059】
制御部101は、カメラCM1~CM6の撮影画像情報を監視して、画像認識部114において、ホバーリングしている浮揚移動台1の近傍に居る人が、画像メモリ114Mの制御命令記憶エリアに記憶されている所作と同じ所作(または近似した所作)をしたか否かを判別するようにする。そして、制御部101は、ホバーリングしている浮揚移動台1の近傍に居る人により、画像メモリ114Mの制御命令記憶エリアに記憶されている制御命令の所作と同じ所作(または近似した所作)がなされたと判別したときには、その所作に対応する制御命令を、画像メモリ114Mの制御命令記憶エリアから取得して、当該取得した制御命令に応じた動作を浮揚移動台1が行うように、空中飛行機構部2に制御信号を供給する。
【0060】
また、この実施形態では、立食パーティーの参加者や接客係の発する音声により、浮揚移動台1に対して、前述したような制御命令等を認識することができるようにしている。
【0061】
音声認識部115は、この立食パーティーの参加者や接客係による音声の制御命令等を認識するためのものであり、前述した制御命令と、それに対応する上記フレーズの音声情報との対応情報が記憶されている音声メモリ115Mを備えている。
【0062】
制御部101は、無指向性マイクロフォンMCで収音した音声情報を監視して、音声認識部115において、立食パーティーの参加者や接客係により、音声メモリ115Mの制御命令記憶エリアに記憶されている制御命令の音声フレーズと同じフレーズ(または近似したフレーズ)が発声されたか否かを判別するようにする。そして、制御部101は、立食パーティーの参加者や接客係により、音声メモリ115Mの制御命令記憶エリアに記憶されている制御命令と同じ音声フレーズ(または近似したフレーズ)が発声されたと判別したときには、その音声フレーズに対応する制御命令を、音声メモリ115Mの制御命令記憶エリアから取得して、当該取得した制御命令に応じた動作を浮揚移動台1が行うように、空中飛行機構部2に制御信号を供給する。
【0063】
この場合に、制御部101は、「少し高さを下げろ」という命令があったときには、例えば現在の高さ位置から、例えば2cm下げるように制御し、「少し高さを上げろ」という命令があったときには、例えば現在の高さ位置から、例えば2cm上げるように制御する。また、「載置台9を回転させろ」という命令があったときには、制御部101は、載置台9の水平状態を保ったまま、載置台9の中心位置を中心にして、例えば90度~180度回転させるように制御する。載置台9自身が回転する機構(図示は省略)になっている場合は、載置台9を回転させるように制御し、載置台9が回転せず、浮揚移動台1の筐体6に固定されている場合は、浮揚移動台1自身が回転などの位置制御をすることで、載置台9の位置を制御する。
【0064】
また、「(立食パーティーの参加者や接客係を中心とした)ホバーリング位置を右に変更しろ」、「(立食パーティーの参加者や接客係を中心とした)ホバーリング位置を左に変更しろ」という命令があったときには、制御部101は、浮揚移動台1の立食パーティーの参加者や接客係に対する左右の位置を、現在の状態とは異なる側に変更するように制御する。音声の命令としては、その他「ちょっと来て」、「こっちだよ」、「離れて」等があってもよい。
【0065】
アラーム報知部116は、浮揚移動台1の載置台9に載置される物品の重量が、浮揚移動台1でホバーリングを保持することができないほどの重量(重量オーバー)である場合に、立食パーティーの参加者や料理人、接客係に、その旨を、例えばブザー音などの音声アラームとして、図示を省略したスピーカを通じて報知する。あるいは、「重量オーバーです。」などの音声メッセージを音声アラームとしてスピーカにより放音して報知するようにしてもよい。重量オーバーであるかどうかは、重量センサ108により検出される重量に基づいてなされる。なお、重量オーバーになる前の少し軽い状態でも、これ以上の載置は危険である旨を音声アラームで報知してもよい。
【0066】
また、画像メモリ114Mに、重量オーバーとなる物品の画像情報を予め登録しておき、その登録されている物品が載置台9に載置されようとしたことを、画像認識部114で認識されたときに、その載置前に、アラーム報知部116により、「重量オーバーです。」「重量オーバーの危険があります。」などの音声メッセージを音声アラームとしてスピーカにより放音して報知するようにしてもよい。
【0067】
なお、アラーム報知部116は、インジケータ(図示は省略)や表示部(図示は省略)の点灯や点滅、あるいはメッセージの表示であってもよい。インジケータや表示部に複数の色をアサインし、例えば、重量に余裕があるときは「青」、重量オーバーに近づいてきたら「黄」、重量オーバーの危険があるときは「赤」というように、色を制御してもよい。
【0068】
また、重量センサ108を載置台9の複数箇所に配置することなどで、重量バランスも検出することができる。重量バランスが崩れていることを検出すると、アラーム報知部116により、「重量バランスが崩れています。」「反対側に載せてください。」などの音声メッセージを音声アラームとしてスピーカにより放音して報知するようにしてもよい。
【0069】
オーダー音声情報記憶部117は、立食パーティーの参加者により料理や飲み物のオーダーがなされたときに、そのオーダーの音声情報を、音声メモリ117Mに記憶するようにする。そして、オーダー音声情報記憶部117は、制御部101の制御に従い、浮揚移動台1が厨房に戻った時に、音声メモリ117Mに記憶されているオーダー音声情報を読み出して再生するようにする。再生されたオーダー音声情報は、音声放音処理部109を通じてスピーカ121により放音されて、立食パーティーの参加者によるオーダーが厨房に伝えられる。なお、この例の料理や飲み物のオーダー音声は、提供サービス要求の音声の例である。
【0070】
予測部118は、当該浮揚移動台1の利用時におけるカメラCM2~CM5のいずれかの撮像画像情報から予測される事項に応じた制御を浮揚移動台1に対して行う。
【0071】
すなわち、浮揚移動台1が空中にホバーリングしているときに、立食パーティーの参加者によって載置台9から物品が取り上げられたり、立食パーティーの参加者や接客係によって物品が載せられたりすることが予想されたときに、その取り上げられた物品の重量分による上昇及び載せられる物品の重量分による下降を、できるだけ少ない上昇量及び下降量で済むように制御するようにする。
【0072】
この場合に、予測部118は、浮揚移動台1に載せられた物品の重量センサ108で計測された重量を、カメラCM1~CM6により撮影された当該物品の画像情報と共に記憶しておき、その記憶された物品と同じ物品が、浮揚移動台1から取り上げられたときには、当該物品の重量は既知であるので、浮揚移動台1は、当該物品が取り上げられても、できるだけ上昇しないように補正することが、容易にできる。
【0073】
また、前述したように、浮揚移動台1の載置台9に空の皿やグラスなどの容器が載置されたときには、それらの容器の重量は、予め予測部118の記憶部に記憶しておくことで、予測部118は、浮揚移動台1が、できるだけ少ない下降量で済むように制御するようにする。
【0074】
操作部119は、浮揚移動台1の飛行開始起動や、移動空間情報の作成及び移動空間メモリ110への記憶指示、その他の操作指示を使用者が入力するためのものである。さらに、この実施形態の浮揚移動台1は、料理や飲み物を立食パーティーの参加者に提供する提供モードと、空となった皿やグラスなどの容器を回収する回収モードとのいずれかのモードに選択設定可能であり、そのモードの設定操作も、この操作部119を通じて行われる。
【0075】
この操作部119は、この例では、各モードが対応付けられた複数個のボタンからなり、その複数個のボタンのいずれかを操作することで、モードを選択設定することができる。なお、図示を省略した表示部に選択可能なモードの一覧を表示し、そのモードの一覧から選択設定することができるようにしてもよい。
【0076】
音声メッセージ記憶部120は、浮揚移動台1から立食パーティーの参加者に対して放音する音声メッセージ情報を記憶している。音声メッセージ記憶部120には、提供モード用として、ホバーリングしたときに立食パーティーの参加者に対して放音すべき、例えば「料理や飲み物をどうぞ」などの音声メッセージが記憶される。また、回収モード用として、ホバーリングしたときに立食パーティーの参加者に対して放音すべき、例えば「空いている容器を回収します」などの音声メッセージを記憶する。
【0077】
なお、図2において、飛行駆動信号生成部112、位置姿勢制御信号生成部113、画像認識部114、音声認識部115、アラーム報知部116、オーダー音声情報記憶部117、予測部118は、制御部101が、ソフトウエア処理機能として実現することもできる。
【0078】
[浮揚移動台1の動作例]
次に、この実施形態の浮揚移動台1の処理動作例を、図3図8のフローチャート及び図9図12の説明図を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、制御部101が、飛行駆動信号生成部112、位置姿勢制御信号生成部113、画像認識部114、音声認識部115、アラーム報知部116、オーダー音声情報記憶部117、予測部118の各部の処理機能をソフトウエア処理機能として実現した場合として説明する。
【0079】
なお、浮揚移動台1に対しては、操作部119を通じて、利用開始前に、上述した提供モードと、回収モードのいずれかが設定されている。
【0080】
制御部101は、開始命令を受けたか否か判別して開始命令を待ち(ステップS101)、開始命令を受けたと判別したときには、設定モードをチェックする(ステップS102)。そして、制御部101は、設定モードが提供モードであるか、あるいは回収モードであるかを判別し(ステップS103)、提供モードであると判別したときには、提供する料理や飲み物などの物品の載置台9への載置状況をチェックする(ステップS104)。
【0081】
そして、制御部101は、カメラCM1の撮像画像情報から、載置台9に所定個数以上の物品が載置されているか否か判別し(ステップS105)、載置されていないと判別したときには、「料理や飲み物を載置して下さい」などのアラームメッセージをスピーカ121から放音してアラーム報知をする(ステップS106)。ここで、ステップS105における所定個数以上は、1個以上でもよいが、それでは非効率であるので、少なくとも複数個、好ましくは重量オーバーにならない程度の個数以上とするのが望ましい。
【0082】
次に、制御部101は、アラーム報知に対応して提供する料理や飲み物などの物品が載置台9に所定個数以上載置されたか否か判別し(ステップS107)、所定個数以上載置されていないと判別したときには、処理をステップS106に戻して、アラーム報知を継続する。ステップS107で、提供する料理や飲み物などの物品が所定個数以上載置台9に載置されたと判別したときには、制御部101は、アラーム報知を停止する(ステップS108)。
【0083】
ステップS105で、提供する料理や飲み物などの物品が載置台9に載置されていると判別したとき、また、ステップS108の次には、制御部101は、載置台9に載置された物品の重量が、搬送可能な重量を超えている状態、すなわち、重量オーバーであるか否か判別する(図4のステップS111)。
【0084】
ステップS111で、重量オーバーであると判別したときには、制御部101は、「重量オーバーです。料理や飲み物を減らして下さい」などのアラームメッセージを音声メッセージ記憶部120から読み出して、それをスピーカ121から放音してアラーム報知をする(ステップS112)。次に、制御部101は、アラーム報知に対応して載置台9に載置された、提供する料理や飲み物などの物品が減らされたか否か判別し(ステップS113)、減らされていないと判別したときには、処理をステップS112に戻して、アラーム報知を継続する。ステップS113で、提供する料理や飲み物などの物品が減らされた判別したときには、制御部101は、更に、重量オーバーであるか否か判別し、重量オーバーであれば、処理をステップS112に戻して、アラーム報知を継続し、重量オーバーでなくなったと判別したときには、アラーム報知を停止する(ステップS114)。
【0085】
ステップS114でアラーム報知を停止した後、またはステップS111で重量オーバーでないと判別したときには、制御部101は、載置台9に載置されている提供される料理や飲み物の総数Mを記憶する(ステップS116)。そして、制御部101は、浮揚移動台1を、障害物を避けながら、移動空間メモリ110に記憶されている予め定められた経路を、所定の速度で空中移動させるように制御する(ステップS117)。
【0086】
例えば図9に示すように、パーティー会場に複数のテーブルTB1,TB2,TB3,TB4,TB5,TB6が置かれる場合には、当該立食パーティーの参加者201は、それぞれのテーブルを囲むように位置すると考えられる。そこで、移動空間メモリ110には、当該パーティー会場の空間情報と、図9において、矢印を伴う実線202で示すように、各テーブルTB1,TB2,TB3,TB4,TB5,TB6の周囲を万遍なく巡るような移動経路が記憶される。浮揚移動台1は、この記憶されている移動経路に沿って空中浮揚移動する。ただし、例えば図9におけるテーブルTB2のように、参加者が存在していない場合には、カメラCM2~CM5の撮影画像情報から判断して、図9において点線として示すように、その周囲を移動するのを止めて、テーブルTB1からテーブルTB3の移動経路に移るようにすることができる。もちろん、移動経路はこれに限られるものではなく、自由に設定できる。例えば、人の多いエリアを中心に移動するようにしてもよい。また、制御部101は、浮揚移動台1を、パーティー開始時は、会場入口周辺に待機させ、入場者をカメラCM2~CM5の撮影画像情報から画像認識し、いわゆるウェルカムドリンクの形式で、入場者に近づいて飲み物を提供するように制御してもよい。
【0087】
そして、移動経路に沿った移動中に、制御部101は、カメラCM2~CM6の撮影画像情報を解析し、画像認識部114の機能により画像認識を行い、また、無指向性マイクロフォンMCで収音した音声を音声認識部115で音声認識を行い(ステップS118)、提供モードの浮揚移動台1が、赴くべき状況が発生しているか否か判別する(ステップS119)。
【0088】
前述したように、ステップS119における赴くべき状況が発生しているか否かは、立食パーティーの参加者や接客係が、浮揚移動台1を呼び寄せる所作をしていることや、立食パーティーの参加者が周囲をきょろきょろ見回す所作をしていることや、立食パーティーの参加者や接客係の近傍にある皿やグラスなどの容器が空になっていたり、少なくなっていたりして、追加の料理や飲み物を要求する可能性がある状況となっているかどうかを、カメラCM2~CM6の撮影画像情報の画像認識や解析から判断する。
【0089】
また、無指向性マイクロフォンMCで収音した参加者の会話、例えば「飲み物、空じゃない?」「お代わりする?」「次、何飲む?」「何か食べる?」「甘いもの(スイーツ)食べる?」という会話を音声認識し、追加の料理や飲み物を要求する可能性がある状況となっているかどうかを判断することもできる。
【0090】
このステップS119で、赴くべき状況が発生していないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS117に戻して、浮揚移動台1を、障害物を避けながら、予め定められた経路を、所定の速度で空中移動させる状態を継続するようにする。
【0091】
ステップS119で、赴くべき状況が発生していると判別したときには、制御部101は、浮揚移動台1を、赴くべき状況が発生している場所の近傍に居る人あるいは呼び寄せる所作や探す所作をした人の傍らに移動させて、ホバーリングさせるようにする(図5のステップS121)。
【0092】
例えば図10の下方には、パーティー会場において参加者201A,201Bが名刺交換をしている様子を示すが、浮揚移動台1の制御部101は、カメラCM2~CM5の撮影画像情報から、このような様子の状況は、立食パーティーの参加者の傍らに赴くべき状況ではないと判断して、空中浮揚移動を継続する。
【0093】
そして、図10の上方に示すように、参加者201Cが手を上げて、浮揚移動台1を呼び寄せる所作をしていることを、画像認識により認識したときには、浮揚移動台1の制御部101は、立食パーティーの参加者の傍らに赴くべき状況が発生していると認識し、当該参加者201Cの傍らに移動してホバーリングするようにする(図11(A)参照)。
【0094】
そして、制御部101は、このホバーリング状態において、図11(A)に示すように、「飲み物や料理をどうぞ」などの物品提供を薦める音声メッセージを、音声メッセージ記憶部120から読み出し、それをスピーカ121から放音させるようにする(ステップS122)。次に、制御部101は、載置台9に載置されている料理や飲み物が取られたか否かを、カメラCM1~CM5の撮影画像情報に基づいて判別する(ステップS123)。
【0095】
このステップS123で、載置台9に載置されている料理や飲み物が取られたと判別したときには、制御部101は、取られた物品の数NをカメラCM1~CM5の撮影画像情報に基づいて検知し(ステップS124)、検知した物品の数Nを載置台9に載置されている物品の総数Mから減算する演算を行って、その演算後の総数Mを記憶する(ステップS125)。
【0096】
ステップS123で、載置台9に載置されている料理や飲み物が取られてはいないと判別したとき、または、ステップS125で載置台9から物品が取られた後の総数Mの記憶が終了した後には、制御部101は、立食パーティーの参加者に対して、「料理や飲み物のオーダーは、ありますか。ある場合には、オーダーと言ってから、オーダーする料理や飲み物を言って下さい」などの提供サービス要求の有無の問い合わせ、この例では、提供して欲しい物品のオーダーを問い合わせるメッセージをスピーカ121から放音するようにする(ステップS126)。
【0097】
次に、制御部101は、このステップS126での問い合わせに対応するオーダー音声を認識したか否か判別する(ステップS127)。このステップS127でのオーダー音声を認識したか否かの判別は、この例では、「オーダー」という発声語の認識の有無により行う(図11(A)参照)。
【0098】
ステップS127で、オーダー音声を認識してはいないと判別したときには、載置台9に載置されている物品の総数がM=0、つまり載置台9に載置されている物品がなくなったか否か判別する(ステップS129)。このステップS129で、載置台9に載置されている物品の総数がM=0になったと判別したときには、制御部101は、図12(A)に示すように、浮揚移動台1を厨房に戻すように空中移動制御する(図6のステップS141)。
【0099】
なお、載置台9に載置されている物品がなくなったら厨房に戻るのではなく、載置台9に載置されている物品の個数が予め定められた個数より少なくなったら、厨房に戻るようにしてもよい。また、料理や飲み物をこぼすなど、トラブルが発生したときも、厨房に戻るようにしてもよい。また、料理や飲み物をこぼしたことを検知したときには、立食パーティーの参加者の邪魔にならない場所に着陸して、接客係等に回収してもらうようにしてもよい。
【0100】
ステップS129で、載置台9に載置されている物品の総数がM=0ではないと判別したときには、制御部101は、ホバーリングしている場所の近傍に居る人による立ち去り許可の所作や音声を検知したか否か判別し(ステップS130)、立ち去り許可の所作や音声を検知したと判別したときには、処理を図4のステップS117に戻して、定められている経路に従った空中移動を再開する。
【0101】
ステップS130で、立ち去り許可の所作や音声を検知しなかったと判別したときには、制御部101は、ホバーリングしている状態において、人による浮揚移動台1に対するアクションが何もない状態が所定時間以上継続したか否か判別する(ステップS131)。そして、ステップS131で、人による浮揚移動台1に対するアクションが何もない状態が所定時間以上継続したと判別したときには、処理を図4のステップS117に戻して、定められている経路に従った空中移動を再開し、所定時間以上は経過していないと判別したときには、処理をステップS123に戻し、このステップS123以降の処理を繰り返す。
【0102】
また、図11(A)に示すように、参加者201Cがオーダー音声を発したことに対応して、ステップS127で、当該オーダー音声を認識したと判別したときには、制御部101は、オーダー音声を発した人(図11(A)の場合は、参加者201C)の顔画像をカメラCM2~CM5を用いて撮影し、その顔画像の撮影画像情報を、画像メモリ114Mに、そのホバーリングしている位置の情報と対応付けて記憶すると共に、無指向性マイクロフォンMCで収音したオーダー音声情報を、そのホバーリングしている位置の情報と対応付けて、オーダー音声情報記憶部117の音声メモリ117Mに記憶する(ステップS128)。そして、このステップS128の次には、図6のステップS141に進んで、制御部101は、浮揚移動台1を厨房に戻すように空中移動制御する。
【0103】
このステップS141の次には、制御部101は、オーダー音声の記憶情報が存在しているか否か判別し(ステップS142)、オーダー音声の記憶情報が存在していないと判別したときには、処理を図3のステップS104に戻し、このステップS104以降の処理を繰り返す。
【0104】
また、ステップS142で、オーダー音声の記憶情報が存在していると判別したときには、制御部101は、音声メモリ117Mからオーダー音声情報を読み出して、音声放音処理部109に供給し、スピーカ121から放音するようにする(ステップS143)。
【0105】
厨房の料理人や接客係は、このオーダー音声を聴取することにより、オーダーされた料理や飲み物を知得し、当該オーダーされた料理や飲み物を用意して、浮揚移動台1の載置台9に載せるようにする。
【0106】
なお、オーダーは音声に限るものではない。例えば浮揚移動台1に表示画面を持たせ、各種の料理や飲み物を表示させ、その中からタッチ操作などで選択することで、オーダーできるようにしてもよい。
【0107】
制御部101は、カメラCM1の撮像画像情報や重量センサ108の検出出力を参照することで、載置台9に料理や飲み物が追加載置されたか否か判別する(ステップS144)。そして、ステップS144で、載置台9に料理や飲み物が追加載置されてはいないと判別したときには、制御部101は、載置台9に料理や飲み物が追加載置されるのを待ち、ステップS144で、載置台9に料理や飲み物が追加載置されたと判別したときには、載置台9に載置された物品の重量が、搬送可能な重量を超えている状態、すなわち、重量オーバーであるか否か判別する(ステップS145)。
【0108】
ステップS145で、重量オーバーであると判別したときには、制御部101は、「重量オーバーです。料理や飲み物を減らして下さい」などのアラーム音声メッセージを、音声メッセージ記憶部120から読み出して、それをスピーカ121から放音してアラーム報知をする(ステップS146)。次に、制御部101は、アラーム報知に対応して載置台9に載置された、提供する料理や飲み物などの物品が減らされたか否か判別し(ステップS147)、減らされていないと判別したときには、処理をステップS146に戻して、アラーム報知を継続する。ステップS147で、提供する料理や飲み物などの物品が減らされたと判別したときには、制御部101は、更に、重量オーバーであるか否か判別し、重量オーバーであれば、処理をステップS146に戻して、アラーム報知を継続し、重量オーバーでなくなったと判別したときには、アラーム報知を停止する(ステップS149)。
【0109】
ステップS149でアラーム報知を停止した後、あるいは、ステップS145で、重量オーバーでないと判別したときには、制御部101は、画像メモリ114M及び音声メモリ117Mに記憶されている位置情報に基づいて、浮揚移動台1をオーダー音声を発した人のところへ移動して、その人の傍らでホバーリングするように制御する(ステップS150)。この時、制御部101は、画像メモリ114Mに記憶されているオーダー音声を発した人の顔画像を用いて、オーダー音声を発した人を認識し、その認識した人の傍らでホバーリングするように制御する。このステップS150の次には、制御部101は、処理を図5のステップS122に移行させ、このステップS122以降の処理を繰り返すようにする。なお、この時のステップS122では、「オーダーされた料理や飲み物をお持ちしました。」などの音声メッセージを、音声メッセージ記憶部120から読み出して、スピーカ121から放音させるようにすることもできる。
【0110】
次に、図3のステップS103で、設定されたモードが回収モードであると判別したときには、制御部101は、載置台9に物品(皿やグラスなどの容器)が載置されているか否か判別し(図7のステップS161)、物品が載置されていると判別したときには、「載っている容器を下ろして下さい」などのアラーム音声メッセージを、音声メッセージ記憶部120から読み出して、それを音声放音処理部109を通じてスピーカ121から放音してアラーム報知をする(ステップS162)。
【0111】
そして、制御部101は、載置台9に何も載っていない状態になったか否かを、カメラCM1の撮影画像情報や重量センサ108の検知出力を参照して判別する(ステップS163)。そして、制御部101は、このステップS163で、載置台9に何も載っていない状態になってはいないと判別したときには、処理をステップS162に戻して、アラーム報知を継続し、載置台9に何も載っていない状態になったと判別したときには、アラーム報知を停止する(ステップS164)。
【0112】
ステップS164でアラーム報知を停止した後、あるいはステップS161で、載置台9には物品が載置されてはいないと判別したときには、制御部101は、浮揚移動台1を、障害物を避けながら、予め定められた経路を、所定の速度で空中移動させるように制御する(ステップS165)。
【0113】
そして、制御部101は、カメラCM2~CM6の撮影画像情報を解析し、画像認識部114の機能により画像認識を行い、また、無指向性マイクロフォンMCで収音した音声を音声認識部115で音声認識を行い(ステップS166)、回収モードの浮揚移動台1が赴くべき状況が発生しているか否か判別する(ステップS167)。前述したように、ステップS167における赴くべき状況が発生しているか否かは、立食パーティーの参加者が、空いた皿やグラスなどの容器を片付けさせるために浮揚移動台1を呼び寄せる所作をしていることや、立食パーティーの参加者や接客係の近傍にある皿やグラスなどの容器が空になっているかどうかを、カメラCM2~CM6の撮影画像情報の画像認識や解析から判断する。
【0114】
このステップS167で、赴くべき状況が発生していないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS165に戻して、浮揚移動台1を、障害物を避けながら、予め定められた経路を、所定の速度で空中移動させる状態を継続するようにする。
【0115】
ステップS167で、赴くべき状況が発生していると判別したときには、制御部101は、浮揚移動台1を、赴くべき状況が発生している場所の近傍に居る人あるいは呼び寄せる所作や探す所作をした人の傍らに移動させて、ホバーリングさせるようにする(ステップS168)(図11(B)参照)。
【0116】
そして、制御部101は、このホバーリング状態において、図11(B)に示すように、「空いている容器をお下げしますので、載置台に載せて下さい」などの、空き容器の回収を行うことを報知する音声メッセージを、音声メッセージ記憶部120から読み出し、それをスピーカ121から放音させるようにする(ステップS169)。
【0117】
次に、制御部101は、物品、この例では、空き容器が載置台9に載置されたか否かを、カメラCM1~CM5の撮影画像情報に基づいて判別する(図8のステップS171)。このステップS171で、空き容器が載置されたと判別したときには、載置台9に載置されている空き容器の総重量を重量センサ108により検知し(ステップS172)、総重量が予め定められている閾値を超えたか否か判別する(ステップS173)。この場合、空き容器の回収モードにおける重量の閾値は、比較的低めに設定されている。これは、空き容器を立食パーティーの参加者が載せたときに、重量オーバーとなってしまうと、空き容器を下ろしてもらわなければならなくなる事態を避けるためである。
【0118】
ステップS173で、総重量が閾値を超えてはいないと判別したときには、制御部101は、ホバーリングしている場所の近傍に居る人による立ち去り許可の所作や音声を検知したか否か判別し(ステップS174)、立ち去り許可の所作や音声を検知したと判別したときには、処理を図7のステップS165に戻して、定められている経路に従った空中移動を再開する。
【0119】
ステップS174で、立ち去り許可の所作や音声を検知しなかったと判別したときには、制御部101は、ホバーリングしている状態において、人による浮揚移動台1に対するアクションが何もない状態が所定時間以上継続したか否か判別する(ステップS175)。そして、ステップS175で、人による浮揚移動台1に対するアクションが何もない状態が所定時間以上継続したと判別したときには、処理を図7のステップS165に戻して、定められている経路に従った空中移動を再開し、所定時間以上は経過していないと判別したときには、処理をステップS171に戻し、このステップS171以降の処理を繰り返す。
【0120】
また、ステップS173で、載置台9に載置されている空き容器の総重量が閾値を超えたと判別したときには、制御部101は、図12(B)に示すように、浮揚移動台1を食器の洗い場へ移動させるようにする制御する(ステップS176)。このステップS176の次には、制御部101は、処理を図7のステップS161に戻し、このステップS161以降の処理を繰り返す。
【0121】
なお、上述の説明では、回収モードにおいては、立食パーティーの参加者からの提供サービス要求、すなわち、料理や飲み物のオーダーは受けないようにしたが、この回収モードにおいても、立食パーティーの参加者からの提供サービス要求、すなわち、料理や飲み物のオーダーを、提供モードと同様にして受けることができるようにしてもよい。
【0122】
その場合には、浮揚移動台1は、浮揚移動台1を食器の洗い場へ移動させた後、厨房に移動して、オーダー音声を再生するようにする。そして、オーダーされた料理や飲み物を、オーダーをした立食パーティーの参加者に届けた後、浮揚移動台1は、回収モードに戻り、空き容器の回収のための移動に移るようにする。
【0123】
なお、浮揚移動台1は、回収モードのときには、図9に示したようなテーブルTB1~TB6を巡回するような移動経路で移動するのではなく、パーティー会場の上空において、テーブルTB1~TB6上の状況をカメラで撮影することができるように、直線的に移動するようにし、必要に応じて、空いている容器の近傍のパーティー参加者や接客係の傍らに移動するようにしてもよい。
【0124】
また、上述の説明では、ステップ116、ステップ125、ステップ129における物品の総数Mや、ステップ124、ステップ125における物品の個数Nは物品の種類によらずカウントしたが、料理(皿)と飲み物(グラス)を分けてカウントしてもよいし、さらに料理の種類別、飲み物の種類別にカウントすることもできる。もちろん、料理専用の浮揚移動台1や飲み物専用の浮揚移動台1があってもよい。この場合は、当然料理(皿)と飲み物(グラス)を分けてカウントする必要はない。
【0125】
[実施形態の効果]
以上のようにして、上述の実施形態の浮揚移動台1によれば、料理や飲み物を載置台9に載置して、パーティー会場内を移動して、パーティー参加者に呈示するようにする。したがって、料理や飲み物を所定の場所に並べておく必要がないので、そのスペースは不要となる。
【0126】
そして、浮揚移動台1は、パーティー参加者の傍を通過するようにするため、パーティー参加者は、移動中の浮揚移動台1の載置台9に載置されている物品を、その場で、容易に確認することができる。更に、パーティー参加者や接客係は、呼び寄せる所作や探す所作をすること等で、浮揚移動台1を呼び寄せることができ、その場合には、浮揚移動台1は、呼び寄せたパーティー参加者や接客係の傍らでホバーリングするので、載置台9に載置されている物品を取り上げたり、載置台9に回収される物品を載せたりすることが容易にできる。
【0127】
したがって、パーティー参加者は、料理や飲み物を欲する場合であっても、従来のように料理や飲み物が並べられているテーブル等に赴く必要がない。また、空の容器や食べ残したままの容器が、片付けられず残っていて、目障りになる状況も改善される。また、上述の実施形態においては、パーティー参加者は、浮揚移動台1に対して、載置台9に載置されていない料理や飲み物を音声でオーダーすることができ、非常に便利である。
【0128】
また、パーティー運営者は、浮揚移動台1を用意するだけで、パーティー会場に回転テーブルやベルトコンベアーなどを設置する必要はない。また、料理や飲み物も、厨房で調理して用意したものを、浮揚移動台1に載置してパーティー参加者に提供することができるので、温かいものは温かい状態を保って、冷たいものは冷たい状態を保って、提供することが可能となる。
【0129】
[実施形態の浮揚移動台1の他の利用態様の例]
以上は、この発明の浮揚移動台を、立食パーティーにおいて利用した態様についての説明であるが、この発明の浮揚移動台は、その他種々の利用態様に適用可能である。
【0130】
図13は、洋服店の利用態様を示したものである。この例においては、浮揚移動台1の載置台9には、特におすすめの商品を予め載せて用意しておき、店内の所定の場所に着陸状態としておく。そして、お客様201Dが来店したら、浮揚移動台1は、そのお客様201Dの傍らに移動してホバーリングすることで、おすすめの商品を見せる。複数のお客様がいるときには、それら複数のお客様に、おすすめの商品を見せて回る。お客様が興味を示して、停止を意味する所作や音声を発したらそのお客様の傍らでホバーリングする。
【0131】
また、お客様の手が届かない高さの位置に商品を展示する場合には、浮揚移動台1の載置台9の上に、その商品を載置して展示するようにする。お客様が、その商品を、手元で見てみたいと要求したときには、浮揚移動台1は、そのお客様の傍らに来てホバーリングして、商品をお客様に呈示するようにすることもできる。
【0132】
もちろん、店員は、呼び寄せる所作等で、浮揚移動台1を呼び寄せることができる。その場合には、浮揚移動台1は、呼び寄せた店員の傍らでホバーリングする。
【0133】
この利用態様は、洋服店に限らず、化粧品店、薬局、貴金属店など様々な店舗、多様な商品にも適用可能である。
【0134】
なお、浮揚移動台1は、子供にとって危険な、薬やアルコール飲料などを手に取ることがないよう、お客様が大人か子供かを画像認識し、子供と認識した場合は、子供の手が届かない高さ位置に留まるように制御することができる。
【0135】
[その他の実施形態又は変形例]
上述の実施形態では、浮揚移動台の筐体及び載置台は、全体として箱型の形状に構成されていたが、これに限らず、各々円筒型の形状や半球型の形状などの種々の形状とすることができる。また、載置台の大きさは回転翼機構の外側部と略同一の大きさで構成されていたが、これに限らず、回転翼機構の外側部より小さいものや大きいものでもよい。さらに載置台を交換可能にし、用途に応じて適切な載置台を用いることもできる。
【0136】
また、上述の実施形態では、載置台は、籠の底面及び側面がメッシュ状に孔が形成されたものとされていたが、これに限らず、回転翼の回転により生じる空気の流れに影響が少ない構成であればよい。
【0137】
また、回転翼の回転により生じる空気の流れに影響が少ないように、回転翼と載置台9との間の距離が大きい場合には、載置台9は、メッシュ状に孔が形成されているものを使用する必要はなく、例えば透明板等により構成されていてもよい。
【0138】
さらに、上述の実施形態では、載置台は浮揚移動台の上部に設けられていたが、下部にぶら下げる形にすることもできる。その場合には、載置台9の存在が、回転翼の回転により生じる空気の流れに影響を与えることが少なくなるので、載置台9は、メッシュ状に孔が形成されているものを使用する必要はなく、例えば透明板等により構成されていてもよい。
【0139】
また、載置台9の物品が載置される面は、上述の実施形態では、平面状となっている場合としてが、載置台9の物品が載置される面に、料理や飲み物の容器が嵌合あるいは係合する凹部や孔を形成しておき、当該凹部や孔に容器が置かれることで、料理や飲み物がこぼれたりしないように安定化することができるように構成してもよい。
【0140】
また、上述の実施形態では、ホバーリングの高さ位置を決定する際に、人の特定の身体的部位として、下顎の位置を基準にしたが、下顎に限らず、肩の位置や目、耳、鼻、口の位置、肘の位置などを基準にしてもよい。さらに、人の身体的部位に限らず、人が着ている洋服の襟、第一ボタン、胸ポケットなどの特定の箇所の位置を基準にすることもできる。また、人が身につけているピアスやイヤリング、ネックレスのペンダントトップ、ブローチなどの装身具の位置を基準にすることもできる。会社のパーティーでは、社員証やIDカード、一般のパーティーでは、名札を身につけることがある。これらの社員証やIDカード、名札の位置を基準にしてもよい。もちろん、これらの基準とする位置を、浮揚移動台に、事前に登録できるようにしてもよい。
【0141】
さらに、人が車椅子などの移動体を利用している場合、着座している車椅子のアームの位置は、人に関連して位置が定まるので、この車椅子のアームの位置をホバーリングの高さ位置を決定する際の基準とすることができる。歩行などが困難で車椅子を利用している人にとって、浮揚移動台が呼び寄せる所作等で、車椅子の傍にホバーリングしてくれることは極めて便利であり、立食パーティーなどにも安心して参加できる。
【0142】
また、上述の実施形態では、空中飛行機構部2は、4個の回転翼機構を有するヘリコプター型の機構部の例で説明したが、回転翼機構の数は3個以下でも5個以上でもよい。さらに、ヘリコプター型の機構部に限らず、飛行機型の機構部など、ホバーリングが可能な機構部であれば適用可能である。
【0143】
また、上述の実施形態では、カメラの数は6個、マイクロフォンは無指向性マイクロフォンの1個であったが、数が限定されないことはもちろんである。また、カメラやマイクロフォンを設ける位置も種々考えられる。さらに、マイクロフォンは無指向性マイクロフォンに限定されることなく、指向性マイクロフォンを用いて特定の人や方向などの声や音を収音してもよい。カメラについても、標準的なカメラでもよいし、広角カメラ、魚眼カメラ、360度カメラでもよい。また、接写カメラ、望遠カメラ、赤外線カメラなどであってもよい。もちろん、これらのカメラを併用してもよい。
【0144】
さらに、ジャイロセンサ、地磁気センサ、重力センサ、高度センサ、障害物センサ、重量センサについても、複数個あってもよいことはもちろんである。
【0145】
上述の実施形態では、人の傍らに赴くべき状況の判別に、カメラやマイクロフォンを利用する方法を説明したが、これに限らず、放射温度計などの温度センサ、においセンサ、触覚センサなど、その他のセンサを利用したり、併用したりしてもよい。例えば、温度センサで、人が飲食している、あるいは人の傍らにある、温製の料理や温かい飲み物が冷めているか否か、また、冷製の料理や冷たい飲み物が温まっているか否か計測し、肯定的な計測結果の場合は、人の傍らに赴くべき状況であると判別することができる。なお、温度状況の計測は、赤外線カメラで行うこともできる。また、通常のカメラの場合は、湯気の有無、氷の溶け具合(有無)、アイスクリームやシャーベットの溶け具合などを撮影画像情報から画像認識して、人の傍らに赴くべき状況か否かの判別を行うことができる。
【0146】
なお、上述の実施形態では、空中飛行駆動制御等は、載置される物品の種類に関係なく行うようにしたが、載置される物品の種類を判別し、その判別結果に応じた空中飛行駆動制御等を行うようにしてもよい。例えば、ビール、ワイン、ジュース、水など液体物が入っているグラスを載置して移動する場合は、液体物であることをカメラなどで認識し、振動を抑えるため加減速が少なくなるよう空中飛行駆動制御するようにする。さらに、液体物の場合、グラスのどのあたりまで満たされているかを、重量センサやカメラなどで認識し、分量が多いほど振動の少ない空中飛行駆動制御をするようにしてもよい。
【0147】
なお、浮揚移動台は、赴くべき状況が発生している場所の近傍に居る人あるいは呼び寄せる所作や探す所作をした人の傍らでホバーリングすることが、スペースや障害物あるいはバッテリーの問題などで困難な場合には、制御部等がその状況を判断し、近くのテーブルなどに着陸させるようにすることができる。
【0148】
その他、浮揚移動台は、その機構上、種々の変形例が考えられることはもちろんである。
【符号の説明】
【0149】
1…浮揚移動台、2…空中飛行機構部、3…駆動制御ユニット、6…筐体、9…載置台、10…駆動制御装置部、101…制御部、CM1~CM6…カメラ
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