(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】画像認識装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/245 20060101AFI20220803BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
G01B11/245 H
H05K13/08 Q
(21)【出願番号】P 2018054064
(22)【出願日】2018-03-22
【審査請求日】2020-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 敬介
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-143419(JP,A)
【文献】特開2008-300456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像用の光を点灯する第1照明装置と、
撮像用の光を点灯する第2照明装置と、
前記第1照明装置からの光が照射された被写体を少なくとも1つ以上のラインセンサによって撮像することでライン画像を取得する第1カメラと、
前記第1カメラとは異なる方向から、前記第2照明装置からの光が照射された前記被写体を少なくとも1つ以上のラインセンサによって撮像することでライン画像を取得する第2カメラと、
前記第1カメラによる撮像が完了した後、前記第1照明装置を消灯して前記第2照明装置を点灯し、前記第2カメラによる撮像が完了した後、前記第2照明装置を消灯して前記第1照明装置を点灯する照明制御部と、
前記第1カメラによって取得された複数の前記ライン画像を繋ぎ合わせることで1つの平面画像を生成し、前記第2カメラによって取得された複数の前記ライン画像を繋ぎ合わせることで1つの平面画像を生成し、前記第1カメラの平面画像と前記第2カメラの平面画像とからステレオ計測用の画像を生成する画像処理部と、を備え
、
前記第1カメラと前記第2カメラは1つの前記被写体の平面画像を生成するためにそれぞれM回のライン画像の撮像処理が必要であるとした場合に、前記第1照明装置を点灯させ、前記第1カメラによる1ライン目の前記ライン画像の撮像を行い、撮像を行った後、前記第1照明装置を消灯して前記第2照明装置を点灯させ、前記第2カメラによる1ライン目の前記ライン画像の撮像を行い、撮像を行った後、Mライン目のライン画像の撮像が完了したか否かを確認し、完了していなければ2回目以降の撮像処理を続けて行い、Mライン目のライン画像の撮像が完了したら、前記第1カメラによる1ライン目の前記ライン画像からMライン目の前記ライン画像を繋ぎ合わせて前記第1カメラの平面画像を生成するとともに前記第2カメラによる1ライン目の前記ライン画像からMライン目の前記ライン画像を繋ぎ合わせて前記第2カメラの平面画像を生成する画像認識装置。
【請求項2】
前記第1カメラ及び前記第2カメラは、複数のラインを有するエリアセンサにおける一部の前記ラインを有効にすることで前記被写体を撮像するものであり、
前記第1カメラによる次の撮像までに発生した待ち時間の間に前記第2カメラによる撮像を行う請求項1に記載の画像認識装置。
【請求項3】
前記第1カメラは、吸着ノズルに吸着された部品を前記被写体として下方から撮像する部品認識カメラであり、
前記第2カメラは、前記部品を前記被写体として斜め下方から撮像する斜めカメラである請求項1または請求項2に記載の画像認識装置。
【請求項4】
前記斜めカメラは、互いに異なる方向から撮像する第1斜めカメラと第2斜めカメラとを含む請求項3に記載の画像認識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、画像認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Y軸方向に撮像素子が並ぶリニアセンサを有する撮像ユニットを備えた実装機として、特開2004-327929号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。撮像ユニットは、互いに異なる方向から部品を撮像する第1撮像ユニットと第2撮像ユニットとから構成されている。各撮像ユニットは、それぞれ吸着ヘッドに吸着された部品を撮像するカメラと、部品撮像用の照明を提供する照明装置とを備えている。各カメラは、それぞれY軸方向に複数の撮像素子が並ぶリニアセンサ(ラインセンサ)を備えたカメラで、各ラインセンサの素子の配列方向と直交する方向(X軸方向)にヘッドユニットが移動することにより、各カメラにより吸着ヘッドに吸着された吸着部品の画像が取得される。
【0003】
各撮像ユニットの各カメラは、互いに視差が出るように設けられている。第1撮像ユニットのカメラは吸着部品をその真下から撮像するようにZ軸方向上向きに配置されており、第2撮像ユニットのカメラは吸着部品を斜め方向から撮像し得るようにZ軸に対して例えば40°傾いた状態で上向きに配置されている。これにより第1撮像ユニット及び第2撮像ユニットに対して吸着部品を移動させると、各撮像ユニットのカメラにより互いに異なる方向から吸着部品が撮像されるようになっている。
【0004】
また、一つのカメラによって互いに異なる方向から電子部品を撮像できるようにした部品撮像装置として、特開2013-143419号公報(下記特許文献2)に記載のものが知られている。電子部品からカメラまでの光路は、基板の実装面に対して垂直な方向から電子部品をカメラによって撮像する第1の光路と、基板の実装面とは垂直な方向に対して基板側に傾斜した方向から電子部品をカメラによって撮像する第2の光路とで構成されている。第1の光路は、進退可能に構成された第1のミラー部の反射面が進出し、光路の光を反射することによって形成され、第2の光路は、第1のミラー部の反射面が退出し、光が反射面に反射しないことによって形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-327929号公報
【文献】特開2013-143419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1と2に共通する電子部品(以下「部品」という)Eの撮像動作について
図13から
図16の図面を参照しながら詳細に説明する。
図13および
図14に示す画像認識装置1は、撮像面を水平に配置して固定された部品認識カメラ2と、撮像面を斜めに配置して固定された斜めカメラ3と、複数のLED4~7とを備えて構成されている。複数のLED4~7は、図示右側に光を照射可能な第1LED4と、図示左側に光を照射可能な第4LED7と、図示上側に光を照射可能な第2LED5、第3LED6とからなる。第2LED5は第3LED6の図示左側に位置している。各LED4~7は、全体として略U字状をなすように並んで配されている。
図13に示すように、第2LED5と第3LED6によって第1照明装置8が構成され、
図14に示すように、第3LED6と第4LED7によって第2照明装置9が構成されている。
【0007】
また、
図15の上段側が部品認識カメラ2による撮像タイミング95を示し、
図15の下段側が斜めカメラ3による撮像タイミング96を示している。各カメラ2、3は、ラインセンサによってライン画像を撮像するカメラであり、複数のライン画像を繋ぎ合わせることで1つの平面画像が生成されるものとされている。部品認識カメラ2によってM回の撮像処理を行った後、部品認識カメラ2から斜めカメラ3に切り替え、第1照明装置8から第2照明装置9に切り替える。そして、斜めカメラ3によってM回の撮像処理を行うものとされている。
【0008】
図16のフローチャートを参照しながらさらに詳細に説明すると、吸着ノズルENによって部品Eを吸着し(ステップS210)、部品Eを部品認識カメラ2による撮像位置まで移動させる(ステップS220)。次に、部品認識カメラ2用の照明設定を行う(ステップS230)。この照明設定とは、
図13に示すように、部品認識カメラ2で部品Eを撮像する際には第1照明装置8(第2LED5と第3LED6)を使用するように設定することをいう。
【0009】
部品認識カメラ70はライン画像を撮像するものであるから、1つの部品Eの平面画像を生成するためには、複数回の撮像処理が必要となる。ここではM回の撮像処理が必要であるとして説明を行う(ステップS240)。
【0010】
部品認識カメラ2による撮像を行うには、第1照明装置8(第2LED5と第3LED6)からの光を部品Eの端子Tに向けて照射しながら、部品Eを
図13の図示右側から図示左側へ移動させる。部品認識カメラ2により1ライン目のライン画像の撮像を行った後(ステップS241)、Mライン目のライン画像の撮像が完了したか否かを確認し(ステップS242)、完了していなければ(ステップS242でNO)、ステップS240に戻って2回目以降の撮像処理を続けて行う。部品認識カメラ2によるM回の撮像処理が完了するまでの間、第1照明装置8からの光を端子Tに向けて照射したままにしておく。
【0011】
このようにしてMライン目のライン画像の撮像が完了したら(ステップS242でYES)、部品認識カメラ2による1ライン目のライン画像からMライン目のライン画像までを繋ぎ合わせることで部品Eについての1枚の平面画像を生成し、部品認識カメラ2による部品Eの平面画像に基づいて部品Eの吸着状態などの認識を行う。認識の結果、良好であると判断されたら(ステップS250でYES)、部品Eがコプラナリティ認識を必要とするか否かを確認し(ステップS260)、必要とする場合には(ステップS260でYES)、部品Eを斜めカメラ3による撮像位置まで移動させる(ステップS270)。
【0012】
なお、ステップS250で不良であると判断されたら(ステップS250でNO)、部品Eの実装を行わず(ステップS290)、部品Eの再吸着を試みるか、部品Eをそのまま廃棄する。また、ステップS260で部品Eがコプラナリティ認識を必要としない場合には(ステップS260でNO)、実装動作を行う(ステップS300)。
【0013】
次に、斜めカメラ3用の照明設定を行う(ステップS280)。この照明設定とは、
図14に示すように、斜めカメラ3で部品Eを撮像する際には第2照明装置9(第3LED6と第4LED7)を使用するように設定することをいう。
【0014】
斜めカメラ3はライン画像を撮像するものであるから、1つの部品Eの平面画像を生成するためには、複数回の撮像処理が必要となる。ここではM回の撮像処理が必要であるとして説明を行う(ステップS310)。
【0015】
斜めカメラ3による撮像を行うには、第2照明装置9(第3LED6と第4LED7)からの光を部品Eの端子Tに向けて照射しながら、部品Eを
図14の図示左側から図示右側へ移動させる。斜めカメラ3により1ライン目のライン画像の撮像を行った後(ステップS311)、Mライン目のライン画像の撮像が完了したか否かを確認し(ステップS312)、完了していなければ(ステップS312でNO)、ステップS310に戻って2回目以降の撮像処理を続けて行う。斜めカメラ3によるM回の撮像処理が完了するまでの間、第2照明装置9からの光を端子Tに向けて照射したままにしておく。
【0016】
このようにしてMライン目のライン画像の撮像が完了したら(ステップS312でYES)、斜めカメラ3による1ライン目のライン画像からMライン目のライン画像までを繋ぎ合わせることで部品Eについての1枚の平面画像を生成し、部品認識カメラ2による1枚の平面画像と斜めカメラ3による1枚の平面画像とによってステレオ計測用の画像を生成し、この画像に基づいてコプラナリティ認識を行う(ステップS320)。コプラナリティ認識の結果、良好であると判断されたら(ステップS320でYES)、実装動作を行い(ステップS340)、不良であると判断されたら(ステップS320でNO)、部品Eの実装を行わない(ステップS330)。
【0017】
したがって、各カメラ2、3による撮像を行うのに、部品Eの往復動作が必要となるため、撮像および画像認識に時間がかかるものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本明細書によって開示される画像認識装置は、少なくとも1つ以上のラインセンサによってライン画像を撮像する第1カメラと、前記第1カメラとは異なる方向から、少なくとも1つ以上のラインセンサによってライン画像を撮像する第2カメラと、前記第1カメラによる撮像用の光を点灯する第1照明装置と、前記第2カメラによる撮像用の光を点灯する第2照明装置と、前記第1カメラによる撮像が完了した後、前記第1照明装置を消灯して前記第2照明装置を点灯し、前記第2カメラによる撮像が完了した後、前記第2照明装置を消灯して前記第1照明装置を点灯する照明制御部と、前記第1カメラ及び前記第2カメラ毎に複数の前記ライン画像を繋ぎ合わせることで1つの平面画像を生成し、前記第1カメラの平面画像と前記第2カメラの平面画像とからステレオ計測用の画像を生成する画像処理部と、を備えた構成とした。
【0019】
このような構成によると、第1照明装置の光を点灯させた状態で第1カメラによってライン画像を撮像した後、第1照明装置の光を消灯させて第2照明装置の光を点灯させた状態で前記第2カメラによってライン画像を撮像する。このように第1カメラの撮像と第2カメラの撮像を交互に行い、全てのライン画像を撮像し終えたら、第1カメラの複数のライン画像を繋ぎ合わせることで第1カメラの平面画像を生成し、第2カメラの複数のライン画像を繋ぎ合わせることで第2カメラの平面画像を生成することができる。このようにすれば、カメラの被写体を往復動作させなくてもよく、一方向に移動させるだけで第1カメラの平面画像と第2カメラの平面画像とを生成することができ、第1カメラの平面画像と第2カメラの平面画像とからステレオ計測用の画像を生成することができる。例えば、カメラの被写体が複数の端子を有する部品であるとして、部品の検査項目として端子のコプラナリティチェックのための画像認識を行う場合に、部品の往復動作が不要になり、画像認識に要する時間を短縮することができる。
【0020】
本明細書によって開示される部品認識装置は、以下の構成としてもよい。
前記第1カメラ及び前記第2カメラは、複数のラインを有するエリアセンサにおける一部の前記ラインを有効にすることで複数のライン画像を撮像するものであり、前記第1カメラによる次の撮像までに発生した待ち時間の間に前記第2カメラによる撮像を行う構成としてもよい。
このような構成によると、第1カメラによって複数のライン画像を一度に撮像することができるため、第1カメラによる次の撮像までに待ち時間が発生する。この待ち時間の間に第2カメラによる撮像を行い、この撮像動作を繰り返し行うことで、第1カメラの平面画像と第2カメラの平面画像とを生成することができる。また、待ち時間を短くして被写体の移動速度を上げることもできる。あるいは、待ち時間を露光時間として利用することで露光時間を長くすることもできるから、輝度の低い安価なLEDを用いて被写体に光を照射することもできる。
【0021】
前記第1カメラは、吸着ノズルに吸着された部品を下方から撮像する部品認識カメラであり、前記第2カメラは、前記部品を斜め下方から撮像する斜めカメラである構成としてもよい。
このような構成によると、部品の吸着状態やコプラナリティなどのチェックを短時間で行うことができる。
【0022】
前記斜めカメラは、互いに異なる方向から撮像する第1斜めカメラと第2斜めカメラとを含む構成としてもよい。
このような構成によると、第1カメラの待ち時間を利用して2つの斜めカメラによる撮像を行うことができる。例えば、三方向からの異なる撮像画像が必要となる部品の検査においても部品の往復動作が不要になり、部品を一方向に移動させるだけで部品の検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本明細書によって開示される画像認識装置によれば、複数のカメラによる撮像を行うのに、被写体の往復動作を不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】部品認識カメラによって部品を撮像する様子を示した側面図
【
図3】斜めカメラによって部品を撮像する様子を示した側面図
【
図4】部品認識カメラと斜めカメラの撮像タイミングを示したタイムチャート
【
図5】画像認識装置の電気的構成を示したブロック図
【
図6】画像認識装置の動作手順を示したフローチャート
【
図7】実施形態2の第2斜めカメラによって部品を撮像する様子を示した側面図
【
図8】部品認識カメラと第1斜めカメラと第2斜めカメラの撮像タイミングを示したタイムチャート
【
図9】ラインセンサおよびラインセンサによって撮像されたライン画像を示した図
【
図10】複数のライン画像を繋ぎ合わせることで1つの平面画像が生成されることを示した図
【
図11】エリアセンサおよびエリアセンサの一部のラインを有効にすることで撮像された複数のライン画像を示した図
【
図12】複数のライン画像を繋ぎ合わせることで1つの平面画像が生成されることを示した図
【
図13】従来の画像認識装置において部品認識カメラによって部品を撮像する様子を示した側面図
【
図14】斜めカメラによって部品を撮像する様子を示した側面図
【
図15】部品認識カメラと斜めカメラの撮像タイミングを示したタイムチャート
【
図16】従来の画像認識装置の動作手順を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施形態1>
実施形態1を
図1から
図6の図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る部品実装機10は、基台11と、プリント基板(以下「基板」という)Pを搬送する搬送コンベア20と、ヘッドユニット60と、ヘッドユニット60を基台11上にて平面方向(XY方向)に移動させる駆動装置30とを備えている。なお、以下の説明において、基台11の長手方向(
図1の左右方向であって、基板Pの搬送方向)をX方向と呼ぶものとし、基台11の奥行方向(
図1の上下方向であって、X方向に直交する方向)をY方向、
図1の紙面と直交する方向をZ方向とする。
【0026】
搬送コンベア20は、基台11の中央に配置されている。搬送コンベア20はX方向に循環駆動する一対の搬送ベルト21を備えており、搬送ベルト21上の基板PをX方向に搬送する。
【0027】
本実施形態では、
図1に示す左側が入口となっており、基板Pは、
図1に示す左側より搬送コンベア20を通じて機内へと搬入される。搬入された基板Pは、搬送コンベア20により基台11上の作業位置まで運ばれ、そこで停止される。
【0028】
一方、基台11上には、作業位置の周囲を囲むようにして、部品供給部13が4箇所設けられている。これらの部品供給部13には、電子部品(以下「部品」という)Eを供給するフィーダ15が横並び状に多数設置されている。
【0029】
そして作業位置では、上記フィーダ15を通じて供給された部品Eを、基板P上に実装する実装処理が、ヘッドユニット60に搭載された各実装ヘッドにより行われるとともに、その後、実装処理を終えた基板Pは搬送コンベア20を通じて
図1における右方向に運ばれ、機外に搬出される構成になっている。
【0030】
駆動装置30は、大まかには一対の支持脚41、ヘッド支持体51、Y軸ボールねじ45、X軸ボールねじ55、X軸モータ57等から構成される。具体的に説明すると、
図1に示すように、基台11上には一対の支持脚41が設置されている。両支持脚41は作業位置の両側に位置しており、Y方向にまっすぐに延びている。
【0031】
両支持脚41の上面にはY方向に延びる一対のガイドレール42が設置されており、これらのガイドレール42に長手方向の両端部を嵌合させつつヘッド支持体51が取り付けられている。
【0032】
また、右側の支持脚41にはY方向に延びるY軸ボールねじ45が装着され、Y軸ボールねじ45にはボールナット(不図示)が螺合されている。さらに、Y軸ボールねじ45にはY軸モータ47が付設されている。
【0033】
Y軸モータ47を通電操作すると、Y軸ボールねじ45に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体51、ひいては次述するヘッドユニット60がガイドレール42に沿ってY方向に移動する(Y軸サーボ機構)。
【0034】
ヘッド支持体51は、X方向に長い形状である。ヘッド支持体51には、ヘッドユニット60が、X方向に沿って移動自在に取り付けられている。このヘッド支持体51には、X方向に延びるX軸ボールねじ55が内蔵されており、さらにX軸ボールねじ55にはボールナット(不図示)が螺合されている。
【0035】
そして、X軸ボールねじ55にはX軸モータ57が付設されており、同モータ57を通電操作すると、X軸ボールねじ55に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット60がヘッド支持体51に沿ってX方向に移動する(X軸サーボ機構)。
【0036】
したがって、X軸モータ57、Y軸モータ47を複合的に制御することで、基台11上においてヘッドユニット60を平面方向(XY方向)に移動操作できる構成となっている。
【0037】
ヘッドユニット60には、図示はしないものの、部品Eの実装処理を行う複数の実装ヘッドが設けられており、各実装ヘッドの下部には、負圧により部品Eを吸着する複数の吸着ノズル61が設けられている。各実装ヘッドには図示しない負圧手段から負圧が供給されるように構成されており、吸着ノズル61の先端に吸引力を生じさせるようになっている。
【0038】
各実装ヘッドの上部には、複数のZ軸モータ(不図示)が設けられており、各実装ヘッドを個別に昇降させる構造になっている。また、ヘッドユニット60には、複数のR軸モータ(不図示)が設けられており、各R軸モータを回転させると、各実装ヘッドがベルト駆動により軸回りに回転する構造になっている。
【0039】
このような構成とすることで、X軸モータ57、Y軸モータ47、Z軸モータを所定のタイミングで作動させることにより、フィーダ15を通じて供給される部品Eを吸着ノズル61により吸着して、基板P上に実装する処理を実行することができる。
【0040】
図1に示す符号17は画像認識装置である。画像認識装置17は、吸着ノズル61に吸着された部品Eの吸着状態や端子Tのコプラナリティ等をチェックするために、部品Eの画像を認識する装置である。
図2に示すように、画像認識装置17は、撮像面を水平に配置して固定された部品認識カメラ70と、撮像面を斜めに配置して固定された第1斜めカメラ71と、複数のLED72~75とを備えて構成されている。
【0041】
本実施形態の部品Eとしては、複数の端子Tが並んで配されたSOP(Small Outline Package)などのパッケージ部品を例示している。本実施形態の部品Eとしては、SOP以外にも、QFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball grid array)などを使用してもよい。
【0042】
複数のLED72~75は、図示右側に光を照射可能な第1LED72と、図示右側に光を照射可能な第4LED75と、図示上側に光を照射可能な第2LED73、第3LED74とからなる。第2LED73は第3LED74の図示左側に位置している。
図2に示すように、第2LED73と第3LED74によって第1照明装置76が構成され、
図3に示すように、第3LED74と第4LED75によって第2照明装置77が構成されている。
【0043】
部品認識カメラ70は、複数の撮像素子が一列に並んだ1つのラインセンサLS(
図9(A)参照)を備えたカメラであり、
図2に示すように、撮像素子の配列方向と直交する方向に部品Eを移動させることにより部品Eを下方から撮像するものである。部品認識カメラ70による撮像の際には、第2LED73と第3LED74からなる第1照明装置76から部品Eの端子Tに向けて光が照射される。
【0044】
第1斜めカメラ71は、複数の撮像素子が一列に並んだ1つのラインセンサLS(
図9(A)参照)を備えたカメラであり、
図3に示すように、撮像素子の配列方向と直交する方向に部品Eを移動させることにより部品Eを斜め下方から撮像するものである。第1斜めカメラ71による撮像の際には、第3LED74と第4LED75からなる第2照明装置77から部品Eの端子Tに向けて光が照射される。
【0045】
次に、部品実装機10の電気的構成について説明する。部品実装機10は、
図5に示すように、コントローラ18を備えている。コントローラ18は、主制御部80と、照明制御部81と、カメラ制御部82と、画像処理部83と、軸制御部84とを備えている。照明制御部81とカメラ制御部82と画像処理部83と軸制御部84とは、いずれも主制御部80に接続されている。
【0046】
部品認識カメラ70と第1斜めカメラ71と第2斜めカメラ79は、いずれもカメラ制御部82に接続され、第1照明装置76と第2照明装置77と第3照明装置78は、いずれも照明制御部81に接続されている。第1照明装置76と部品認識カメラ70によって第一撮像ユニットが構成され、第2照明装置77と第1斜めカメラ71によって第二撮像ユニットが構成され、第3照明装置78と第2斜めカメラ79によって第三撮像ユニットが構成されている。
【0047】
各照明装置76~78は、照明制御部81からの制御信号に基づいて照明のON/OFFを行う。部品認識カメラ70と各斜めカメラ71、79は、カメラ制御部82からの制御信号に基づいて撮像を行い、これによってライン画像LI1が得られる(
図9(B)参照)。画像処理部83は、部品認識カメラ70、各斜めカメラ71、79により撮像された複数のライン画像LI1を繋ぎ合わせることで(
図10(A)参照)1つの平面画像PIを生成する(
図10(B)参照)。
【0048】
軸制御部84には、サーボモータ90とエンコーダ91が接続されている。サーボモータ90は、軸制御部84からの制御信号に基づいて回動し、吸着ノズル61に吸着された部品EをXY方向およびZ方向に移動させる。エンコーダ91は、部品Eの位置を検出するものであって、その検出信号を軸制御部84に送信する。本実施形態の部品実装機10におけるY軸モータ47とX軸モータ57とZ軸モータがサーボモータ90に相当する。
【0049】
次に、部品実装機10による実装動作について
図6のフローチャートを参照しながら説明する。吸着ノズル61によって部品Eを吸着し(ステップS10)、部品Eを部品認識カメラ70および第1斜めカメラ71による撮像位置まで移動させる(ステップS20)。次に、部品Eがコプラナリティ認識を必要とするか否かを確認し(ステップS30)、必要とする場合には(ステップS30でYES)、まとめて照明設定を行う(ステップS40)。
【0050】
この照明設定とは、
図2に示すように、部品認識カメラ70で部品Eを撮像する際には第1照明装置76(第2LED73と第3LED74)を使用し、
図3に示すように、第1斜めカメラ71で部品Eを撮像する際には第2照明装置77(第3LED74と第4LED75)を使用するように設定することをいう。
【0051】
部品認識カメラ70と第1斜めカメラ71はいずれもライン画像LI1を撮像するものであるから、1つの部品Eの平面画像PIを生成するためには、それぞれ複数回の撮像処理が必要となる。ここではM回の撮像処理が必要であるとして説明を行う(ステップS50)。
【0052】
まず、部品認識カメラ70による撮像を行うには部品認識カメラ70用の照明設定すなわち第1照明装置76に切り替え(ステップS51)、第2LED73と第3LED74からの光を部品Eの端子Tに向けて照射する。部品認識カメラ70により1ライン目のライン画像LI1の撮像を行った後(ステップS52)、第1斜めカメラ71用の照明設定すなわち第2照明装置77に切り替える(ステップS53)。
【0053】
具体的には
図2および
図3に示すように、第2LED73を消灯して第4LED75を点灯させ、第3LED74と第4LED75からの光を部品Eの端子Tに向けて照射する。第1斜めカメラ71により1ライン目のライン画像LI1の撮像を行った後(ステップS54)、Mライン目のライン画像LI1の撮像が完了したか否かを確認し(ステップS55)、完了していなければ(ステップS55でNO)、ステップS50に戻って2回目以降の撮像処理を続けて行う。
【0054】
ここで
図4を参照しながら説明する。
図4の上段側が部品認識カメラ70による撮像タイミング92を示し、
図4の下段側が第1斜めカメラ71による撮像タイミング93を示している。各撮像タイミング92、93の時にのみ照明が光るようになっており、隣り合う一対の撮像タイミング92、93の間にカメラと照明の切り替えをそれぞれ行う。
【0055】
すなわち、部品認識カメラ70の撮像タイミング92とその次の撮像タイミングである第1斜めカメラ71の撮像タイミング93との間で、カメラ制御部82により部品認識カメラ70から第1斜めカメラ71に切り替わり、照明制御部81によって第1照明装置76から第2照明装置77に切り替わるように制御する。同様に、第1斜めカメラ71の撮像タイミング93とその次の撮像タイミングである部品認識カメラ70の撮像タイミング92との間で、カメラ制御部82により第1斜めカメラ71から部品認識カメラ70に切り替わり、照明制御部81により第2照明装置77から第1照明装置76に切り替わるように制御する。
【0056】
部品Eの位置はエンコーダ91によって検知できるから、部品認識カメラ70による1ライン目のライン画像LI1の撮像を行った後、1ライン目のライン画像LI1の幅だけ部品Eを移動させたところで、2ライン目のライン画像LI1の撮像を行うことになる。このようにすれば、1ライン目のライン画像LI1からMライン目のライン画像LI1までを繋ぎ合わせることで1つの平面画像PIを生成することができる。
【0057】
第1照明装置76は部品認識カメラ70による撮像用の光を点灯する照明装置であって、部品認識カメラ70による撮像タイミング92の時にのみ点灯させるようにする。また、第2照明装置77は第1斜めカメラ71による撮像用の光を点灯する照明装置であって、第1斜めカメラ71による撮像タイミング93の時にのみ点灯させるようにする。第1斜めカメラ71による1ライン目のライン画像LI1の撮像は、部品認識カメラ70による1ライン目のライン画像LI1の撮像と2ライン目のライン画像LI1の撮像との間に行えばよく、1ライン目のライン画像LI1の撮像後に第1照明装置76から第2照明装置77に切り替えて、第1斜めカメラ71の撮像タイミング92の時にのみ第2照明装置77を点灯させる。
【0058】
このようにしてMライン目のライン画像LI1の撮像が完了したら(ステップS55でYES)、部品認識カメラ70による1ライン目のライン画像LI1からMライン目のライン画像LI1までを繋ぎ合わせることで部品Eについての1枚の平面画像PIを生成し、第1斜めカメラ71による1ライン目のライン画像LI1からMライン目のライン画像LI1までを繋ぎ合わせることで部品Eについての1枚の平面画像PIを生成する。
【0059】
次に、部品認識カメラ70による部品Eの平面画像PIに基づいて部品Eの吸着状態などの認識を行う。認識の結果、良好であると判断されたら(ステップS60でYES)、部品認識カメラ70による1枚の平面画像PIと第1斜めカメラ71による1枚の平面画像PIとによってステレオ計測用の画像を生成し、この画像に基づいてコプラナリティ認識を行う(ステップS70)。一方、不良であると判断されたら(ステップS60でNO)、部品Eの実装を行わず(ステップS90)、部品Eの再吸着を試みるか、部品Eをそのまま廃棄する。また、コプラナリティ認識の結果、良好であると判断されたら(ステップS70でYES)、実装動作を行い(ステップS80)、不良であると判断されたら(ステップS70でNO)、部品Eの実装を行わない(ステップS90)。
【0060】
ステップS30において部品Eがコプラナリティ認識を必要としない場合には(ステップS30でNO)、部品認識カメラ70用の照明設定を行う(ステップS100)。部品認識カメラ70はライン画像LI1を撮像するものであるから、1つの部品Eの平面画像PIを生成するためには、複数回の撮像処理が必要となる。上記と同様に、M回の撮像処理が必要であるとして以下の説明を行う(ステップS101)。部品認識カメラ70によって連続して撮像処理を行う間は第2LED73と第3LED74からの光を部品Eの端子Tに向けて照射したままにしておく。部品認識カメラ70により1ライン目の撮像を行った後(ステップS102)、Mライン目のライン画像LI1の撮像が完了したか否かを確認し(ステップS103)、完了していなければ(ステップS103でNO)、ステップS101に戻って2回目以降の撮像処理を続けて行う。
【0061】
このようにしてMライン目のライン画像LI1の撮像が完了したら(ステップS103でYES)、1ライン目のライン画像LI1からMライン目のライン画像LI1までを繋ぎ合わせることで部品Eについての1枚の平面画像PIを生成する。部品Eの平面画像PIに基づいて部品Eの吸着状態などの認識を行い、認識の結果、良好であると判断されたら(ステップS104でYES)、実装動作を行い(ステップS105)、不良であると判断されたら(ステップS104でNO)、部品Eの実装を行わない(ステップS90)。
【0062】
以上のように本実施形態では、第1照明装置76の光を点灯させた状態で第1カメラ(部品認識カメラ70)によってライン画像LI1を撮像した後、第1照明装置76の光を消灯させて第2照明装置77の光を点灯させた状態で第2カメラ(第1斜めカメラ71)によってライン画像LI1を撮像する。このように第1カメラの撮像と第2カメラの撮像を交互に行い、全てのライン画像LI1を撮像し終えたら、第1カメラの複数のライン画像LI1を繋ぎ合わせることで第1カメラの平面画像PIを生成し、第2カメラの複数のライン画像LI1を繋ぎ合わせることで第2カメラの平面画像PIを生成することができる。このようにすれば、カメラの被写体を往復動作させなくてもよく、一方向に移動させるだけで第1カメラの平面画像PIと第2カメラの平面画像PIとを生成することができ、第1カメラの平面画像PIと第2カメラの平面画像PIとからステレオ計測用の画像を生成することができる。例えば、カメラの被写体が複数の端子Tを有する部品Eであるとして、部品Eの検査項目として端子Tのコプラナリティチェックのための画像認識を行う場合に、部品Eの往復動作が不要になり、画像認識に要する時間を短縮することができる。
【0063】
<実施形態2>
次に、実施形態2を
図7から
図8の図面を参照しながら説明する。本実施形態の画像認識装置117は、
図7に示すように、部品認識カメラ170と、第1斜めカメラ171と、第2斜めカメラ179とを備え、互いに異なる3方向からの画像によってステレオ計測用の画像を生成することができるようになっている。第1斜めカメラ171と第2斜めカメラ179は、部品認識カメラ170による撮像方向に延びる軸に関して左右対称をなすように斜め方向に配置されている。第2斜めカメラ179で部品Eを撮像する際には第3照明装置78(第1LED72と第2LED73)を使用する。
【0064】
本実施形態の部品認識カメラ170は、複数のラインを有するエリアセンサASにおける一部のラインを有効にすることで(
図11(A)参照)4ライン分のライン画像LI4を撮像する(
図11(B)参照)ものである点で実施形態1の部品認識カメラ70と相違しているが、その他の構成については部品認識カメラ70と同じであるため、その説明については省略する。画像処理部83は、部品認識カメラ170により撮像された複数のライン画像LI4を繋ぎ合わせることで(
図12(A)参照)1つの平面画像PIを生成する(
図12(B)参照)。
【0065】
本実施形態の第1斜めカメラ171は、複数のラインを有するエリアセンサASにおける一部のラインを有効にすることで(
図11(A)参照)4ライン分のライン画像LI4を撮像する(
図11(B)参照)ものである点で実施形態1の第1斜めカメラ71と相違しているが、その他の構成については第1斜めカメラ71と同じであるため、その説明については省略する。画像処理部83は、第1斜めカメラ171により撮像された複数のライン画像LI4を繋ぎ合わせることで(
図12(A)参照)1つの平面画像PIを生成する(
図12(B)参照)。
【0066】
本実施形態の第2斜めカメラ179は、複数のラインを有するエリアセンサASにおける一部のラインを有効にすることで(
図11(A)参照)4ライン分のライン画像LI4を撮像する(
図11(B)参照)ものである点で実施形態1の第2斜めカメラ79と相違しているが、その他の構成については第2斜めカメラ79と同じであるため、その説明については省略する。画像処理部83は、第2斜めカメラ179により撮像された複数のライン画像LI4を繋ぎ合わせることで(
図12(A)参照)1つの平面画像PIを生成する(
図12(B)参照)。
【0067】
ここで、各カメラ170、171、179の撮像タイミングについて
図8を参照しながら説明する。
図8の上段側が部品認識カメラ170による撮像タイミング192を示し、
図8の中段側が第1斜めカメラ171による撮像タイミング193を示し、
図8の下段側が第2斜めカメラ179による撮像タイミング194を示している。各撮像タイミング192、193、194の時にのみ照明が光るようになっている。
【0068】
部品認識カメラ170の撮像タイミング192とその次の撮像タイミングである第1斜めカメラ171の撮像タイミング193との間で、カメラ制御部82により部品認識カメラ170から第1斜めカメラ171に切り替わり、照明制御部81により第1照明装置76から第2照明装置77に切り替わるように制御する。
【0069】
第1斜めカメラ171の撮像タイミング193とその次の撮像タイミングである第2斜めカメラ179の撮像タイミング194との間で、カメラ制御部82により第1斜めカメラ171から第2斜めカメラ179に切り替わり、照明制御部81により第2照明装置77から第3照明装置78に切り替わるように制御する。
【0070】
第2斜めカメラ179の撮像タイミング194とその次の撮像タイミングである部品認識カメラ170の撮像タイミング192との間で、カメラ制御部82により第2斜めカメラ179から部品認識カメラ170に切り替わり、照明制御部81により第3照明装置78から第1照明装置76に切り替わるように制御する。
【0071】
本実施形態では部品認識カメラ170により4ライン分のライン画像LI4を一度に撮像できるため、4ライン分のライン画像LI4の幅の分だけ部品Eを移動させた後、次の撮像を行うことになる。仮に実施形態1と同じ速度で部品Eを移動させるとした場合、本実施形態では部品認識カメラ170による1回目の撮像タイミング192と2回目の撮像タイミング192との間に、実施形態1の4倍の待ち時間WTを確保できることになる。その待ち時間WTの間に、第1斜めカメラ171の撮像と第2斜めカメラ179の撮像とを行うことができるため、1回の走査で第1照明装置76とは異なる2つの照明装置77、78を使用した2種類のライン画像LI4をさらに取得することができる。
【0072】
また、実施形態1の方法では、部品認識カメラ70による1回目の撮像タイミング92と2回目の撮像タイミング92との間が短いため、露光時間を短くするか、2回目の撮像タイミング92を遅くするために移動速度を遅くする必要がある。その点、本実施形態では露光時間を短くする必要はなく、移動速度を遅くしなくてもよい。
【0073】
以上のように本実施形態では、第1カメラ(部品認識カメラ170)及び第2カメラ(第1斜めカメラ171、第2斜めカメラ179)は、複数のラインを有するエリアセンサASにおける一部のラインを有効にすることで複数のライン画像LI4を撮像するものであり、第1カメラによる次の撮像までに発生した待ち時間の間に第2カメラによる撮像を行う構成とした。
このような構成によると、第1カメラによって複数のライン画像LI4を一度に撮像することができるため、第1カメラによる次の撮像までに待ち時間WTが発生する。この待ち時間WTの間に第2カメラによる撮像を行い、この撮像動作を繰り返し行うことで、第1カメラの平面画像PIと第2カメラの平面画像PIとを生成することができる。また、待ち時間WTを短くして被写体(部品E)の移動速度を上げることもできる。あるいは、待ち時間WTを露光時間として利用することで露光時間を長くすることもできるから、輝度の低い安価なLEDを用いて被写体に光を照射することもできる。
【0074】
第1カメラは、吸着ノズル61に吸着された部品Eを下方から撮像する部品認識カメラ170であり、第2カメラは、部品Eを斜め下方から撮像する斜めカメラ(第1斜めカメラ171、第2斜めカメラ179)である構成としてもよい。
このような構成によると、部品Eの吸着状態やコプラナリティなどのチェックを短時間で行うことができる。
【0075】
斜めカメラは、互いに異なる方向から撮像する第1斜めカメラ171と第2斜めカメラ179とを含む構成としてもよい。
このような構成によると、第1カメラの待ち時間WTを利用して2つの斜めカメラによる撮像を行うことができる。例えば、三方向からの異なる撮像画像が必要となる部品Eの検査においても部品Eの往復動作が不要になり、部品Eを一方向に移動させるだけで部品Eの検査を行うことができる。
【0076】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では画像認識装置17を部品実装機10に適用したものを例示しているものの、画像認識装置17を基板検査装置に適用したものとしてもよい。具体的には、ヘッドユニット60に部品認識カメラ70と第1斜めカメラ71と第2斜めカメラ79を搭載することで、基板Pに載置された部品Eの端子Tの浮き等を検査する基板検査装置に適用することができる。この場合、斜めカメラの数は2つに限定されず、3つ以上の斜めカメラを搭載してもよい。
【0077】
(2)上記実施形態では第1斜めカメラと第2斜めカメラが部品認識カメラの撮像方向に延びる軸に関して左右対称をなすように斜め方向に配置されているものの、部品認識カメラの撮像方向に延びる軸に対して斜め方向に配置されていればよく、左右対称をなすように配置されていなくてもよい。
【0078】
(3)実施形態1では1つのラインセンサLSによって1ライン分のライン画像LI1を撮像できるようになっているものの、少なくとも1つ以上のラインセンサLSによってライン画像を撮像できればよく、ラインセンサLSの数は2つ以上でもよい。また、実施形態2では4つのラインによって4ライン分のライン画像LI4を一度に撮像できるようになっているものの、複数のラインによってライン画像を撮像できればよく、ラインの数は3つ以下でもよいし、5つ以上でもよい。
【符号の説明】
【0079】
17…画像認識装置
61…吸着ノズル
70、170…部品認識カメラ(第1カメラ)
71、171…第1斜めカメラ(第2カメラ)
76…第1照明装置
77…第2照明装置
78…第3照明装置
79、179…第2斜めカメラ(第2カメラ)
81…照明制御部
83…画像処理部
E…電子部品
AR…エリアセンサ
LI1、LI4…ライン画像
LS…ラインセンサ
PI…平面画像
WT…待ち時間