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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20220803BHJP
   A61F 5/44 20060101ALI20220803BHJP
   A61F 13/494 20060101ALI20220803BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20220803BHJP
   A61F 13/62 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
A61F13/56 200
A61F5/44 H
A61F13/494 110
A61F13/511 110
A61F13/62 110
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2016194291
(22)【出願日】2016-09-30
(65)【公開番号】P2018051228
(43)【公開日】2018-04-05
【審査請求日】2019-08-21
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 綾香
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】芦原 康裕
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-143890(JP,A)
【文献】特開2011-206218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61F15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体の表側を覆うトップシートを備えるとともに、トップシートにおける吸収体の表側に位置する吸収表面部分の両側部に、装着者の肌側に立ち上がる自由部分を有する立体ギャザーがそれぞれ前後方向に沿って延在されており、
前記トップシート上における前記立体ギャザーの自由部分と対応する前後方向範囲に、吸収パッドの前後少なくとも一方の端部を差し込むためのポケットが、大きさの異なる複数種の吸収パッドに適合する前後方向位置にそれぞれ設けられている、使い捨ておむつにおいて、
前記トップシートにより、前記ポケットの裏側の内面を構成する裏側内面部分と、この裏側内面部分における前記ポケットの底部位置で表側かつ股間側に折り返され、前記ポケットの開口の縁まで延びる、前記ポケットの表側の内面を構成する表側内面部分と、この表側内面部分における前記ポケットの開口の縁で表側かつウエスト側に折り返され、前記ポケットの表側の外面を構成する表側外面部分とが形成され、前記表側内面部分と前記裏側内面部分との非接合部分が前記吸収パッドの挿入空間となっており、
少なくとも最も股間側に位置するポケットは、前記トップシートの吸収表面部分の幅方向両端部と前記立体ギャザーの自由部分とが重なる部位に、少なくともポケットの開口側の部分における表側内面部分と裏側内面部分とが接合された開口幅規制部分を有しており、
前記開口幅規制部分は、前記ポケットの開口の縁部のみに設けられており、
前記開口幅規制部分における表側内面部分と裏側内面部分との接合が剥離可能ではない、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記開口幅規制部分の幅が、ウエスト側に位置するポケットほど狭くなっている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
幅方向両側の前記開口幅規制部分の間に、少なくともポケットの開口側の部分における表側内面部分と裏側内面部分とが剥離可能に接合された仮止め部分を有している、請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記仮止め部分における表側内面部分に、メカニカルファスナーのフック材が設けられており、このフック材が前記裏側内面部分に剥離可能に接合されるようになっている、請求項3記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収パッドを適切な位置に取り付け可能である使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつは、吸収体の表側を覆うトップシートを備えるとともに、トップシートにおける吸収体の表側に位置する吸収表面部分の両側部に、装着者の肌側に立ち上がる自由部分を有する立体ギャザーがそれぞれ前後方向に沿って延在しているものが一般的となっている(例えば特許文献1参照)。このような立体ギャザーを備えることによって、両立体ギャザー間に排泄物が留まり、特に着用者の脚周り部からの排泄物の漏れが防止される。立体ギャザーは、製品状態ではトップシート上に折り畳まれており、使用時に立ち上がるようになっている。
【0003】
また、使い捨ておむつにおいては、少量排泄時におむつ全体を交換せずに済むように、アウター使い捨ておむつの表面に尿吸収を目的とした吸収パッド(パッドタイプの使い捨ておむつである)を敷いて使用することがあり、吸収パッドの裏面に設けられた粘着剤層や面ファスナー(メカニカルファスナー)のフック材(オス材)等の係止手段により、吸収パッドをアウター使い捨ておむつの表面に固定することが一般的となっている。このような利用形態は、成人向けの使い捨ておむつに多いものである。
【0004】
しかし、使い捨ておむつに吸収パッドを併用したときの尿漏れの原因の一つとして、吸収パッドが適切な位置に装着されないことが挙げられる。通常の場合、使い捨ておむつと吸収パッドとは寸法も異なるため、吸収パッドの適切な装着位置は目見当では分かりにくい。
【0005】
この問題を解決するものとして、アウター使い捨ておむつや吸収パッドに目印をつけることも提案されているが、目が不自由な高齢者が介護者となる場合や夜間の交換時には効果がない。
【0006】
一方、アウター使い捨ておむつの表面における前後両側に、股間側に開口するポケットを設け、吸収パッドの前後をポケットに挿入することにより吸収パッドを装着する構造も提案されており(特許文献1~4参照)、この構造は目印に頼らずに吸収パッドを装着でき、またポケットが尿をせき止めることにより漏れ防止性を向上できる利点がある。この場合、大きさの異なる吸収パッドの使用に対応するために、ポケットを前後方向に複数設けることが好ましい。
【0007】
しかし、特許文献2記載のもののように、トップシートにおける吸収体の表側に位置する吸収表面部分の幅方向全体にわたるポケットを前後方向に複数設けたものでは、股間側のポケットが邪魔になることがあった。すなわち、吸収パッドを装着するときには、当該吸収パッドに適した位置のポケットに、吸収パッドの前後端部を差し込む。このとき、ある程度大きな吸収パッドを装着するには、股間側のポケットの上を通して吸収パッドを配置し、吸収パッドの側部を指先でトップシートと立体ギャザーとの間の奥まで差し込む必要がある。
【0008】
ところが、吸収パッドの下に隠れたポケットの入口が、トップシートの吸収表面部分の幅方向両端部まで延びていると、吸収パッドの側部をトップシートとの立体ギャザーとの間の奥まで差し込む際に、当該吸収パッドの下に位置するポケットの入口に指先が誤って入ってしまうおそれがあった。この場合、指が引っかかることにより作業が煩雑となるだけでなく、使用しないポケットに吸収パッドの側部を押し込んでしまい、吸収パッドの装着位置がずれてしまうおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2008-237391号公報
【文献】特開2007-143890号公報
【文献】特開2011-156110号公報
【文献】特開2011-206218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明の主たる課題は、大きさの異なる吸収パッドをそれぞれ適切な位置に容易に装着できる使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決した本発明の代表的な態様は次のとおりである。
<第1の態様>
吸収体の表側を覆うトップシートを備えるとともに、トップシートにおける吸収体の表側に位置する吸収表面部分の両側部に、装着者の肌側に立ち上がる自由部分を有する立体ギャザーがそれぞれ前後方向に沿って延在されており、
前記トップシート上における前記立体ギャザーの自由部分と対応する前後方向範囲に、吸収パッドの前後少なくとも一方の端部を差し込むためのポケットが、大きさの異なる複数種の吸収パッドに適合する前後方向位置にそれぞれ設けられている、使い捨ておむつにおいて、
前記トップシートにより、前記ポケットの裏側の内面を構成する裏側内面部分と、この裏側内面部分における前記ポケットの底部位置で表側かつ股間側に折り返され、前記ポケットの開口の縁まで延びる、前記ポケットの表側の内面を構成する表側内面部分と、この表側内面部分における前記ポケットの開口の縁で表側かつウエスト側に折り返され、前記ポケットの表側の外面を構成する表側外面部分とが形成され、前記表側内面部分と前記裏側内面部分との非接合部分が前記吸収パッドの挿入空間となっており、
少なくとも最も股間側に位置するポケットは、前記トップシートの吸収表面部分の幅方向両端部で、少なくともポケットの開口側の部分における表側内面部分と裏側内面部分とが接合された開口幅規制部分を有している、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【0012】
(作用効果)
本態様では、少なくとも最も股間側に位置するポケットが開口幅規制部分を有しているため、当該最も股間側のポケットの上を通して吸収パッドを配置し、吸収パッドの側部を指先でトップシートと立体ギャザーとの間の奥まで差し込む際、当該吸収パッドの下に位置するポケットの入口は指先の通過位置では開口幅規制部分により閉じているため、指先が該吸収パッドの下に位置するポケットの入口に入りにくくなる。よって、大きさの異なる吸収パッドをそれぞれ適切な位置に容易に装着できるようになる。
【0013】
<第2の態様>
前記開口幅規制部分の幅が、ウエスト側に位置するポケットほど狭くなっている、第1の態様の使い捨ておむつ。
【0014】
(作用効果)
大きな吸収パッドほど前後方向及び幅方向の寸法の両方が長くなるため、開口幅規制部分の幅は本態様のように変化していることが好ましい。
【0015】
<第3の態様>
前記開口幅規制部分における表側内面部分と裏側内面部分とは剥離可能に接合されている、第1又は2の態様の使い捨ておむつ。
【0016】
(作用効果)
本態様では、長さは短いものの幅が広い吸収パッドを使用する場合に、開口幅規制部分を剥離し、開口幅を広げて装着することができる。また、吸収パッドの側部をトップシートとの立体ギャザーとの間の奥まで差し込む際に、当該吸収パッドの下に位置するポケットの入口に指先が誤って入ってしまっても、そのまま押し進めることにより開口幅規制部分を引き剥がし、指を抜かずにそのまま装着作業を継続することができる。
【0017】
<第4の態様>
幅方向両側の前記開口幅規制部分の間に、少なくともポケットの開口側の部分における表側内面部分と裏側内面部分とが剥離可能に接合された仮止め部分を有している、第1~3のいずれか1つの態様の使い捨ておむつ。
【0018】
(作用効果)
このような仮止め部分を有していることにより、吸収パッドの装着の際、使用するポケットの入口に仮止め部分を有する場合には仮止めを外してポケットの全体を開口させ、使用しないポケットの入口については仮止め部分を外さず、当該ポケットの開口が装着作業の邪魔にならないように閉じておくことができる。
【0019】
<第5の態様>
前記仮止め部分における表側内面部分に、メカニカルファスナーのフック材が設けられており、このフック材が前記裏側内面部分に剥離可能に接合されるようになっている、第4の態様の使い捨ておむつ。
【0020】
(作用効果)
殆ど多くの使い捨ておむつ・吸収パッドの表面は不織布で形成されており、メカニカルファスナーのフック材を剥離可能に接合できるようになっている。よって、本態様のように仮止め部分をフック材により構成すると、ポケットの仮止め・開口を容易に行うことができるだけでなく、開口したポケットに挿入した吸収パッドの表面に、ポケットの表側内面部分のフック材を剥離可能に接合することにより、吸収パッドをより強固に固定することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のとおり、本発明によれば、大きさの異なる吸収パッドをそれぞれ適切な位置に容易に装着できるようになる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(内面側)である。
図2】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
図3】内装体の平面図である。
図4】(a)図1の2-2断面図、(b)図1の3-3断面図である。
図5図1の4-4断面図である。
図6図1の5-5断面図である。
図7】パンツタイプ使い捨ておむつの装着状態の斜視図である。
図8】パンツタイプ使い捨ておむつの要部を示す平面図である。
図9図1の6-6断面図である。
図10】パンツタイプ使い捨ておむつの要部を示す斜視図である。
図11】吸収パッド装着状態を示す図1の2-2断面図である。
図12】吸収パッド装着状態を示す図1の6-6断面図である。
図13】(a)吸収パッド装着状態を示す図1の7-7断面図、(b)吸収パッド装着状態を示す図1の6-6断面図である。
図14】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。
図15】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の外面側を示す平面図である。
図16図14の5-5断面図である。
図17】(a)図14の4-4断面図、(b)図14の6-6断面図である。
図18】(a)図14の2-2断面図、(b)(c)吸収パッド装着状態を示す図14の2-2断面図である。
図19図1の6-6断面図である。
図20】(a)吸収パッド装着状態を示す図14の7-7断面図、(b)吸収パッド装着状態を示す図14の6-6断面図である。
図21】内装体の平面図である。
図22図1の6-6断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。なお、図中の点模様部分はホットメルト接着剤等の接合手段を示している。
<パンツタイプ使い捨ておむつの例>
図1図8はパンツタイプ使い捨ておむつの一例を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bを一体的に構成する外装体20と、前身頃Fから後身頃Bにわたるように外装体20の内面に固定された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性トップシート11と液不透過性シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。例えば、製造に際しては、外装体20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤などの接合手段によって接合(図2の点模様部分)された後に、内装体10及び外装体20が前身頃F及び後身頃Bの境界である前後方向LD(縦方向)中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着又はホットメルト接着剤などによって接合されてサイドシール部21が形成されることによって、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。
【0024】
(内装体の構造例)
内装体10は、図4図6に示すように、不織布などからなる液透過性トップシート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、トップシート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。内装体10の平面形状は特に限定されないが、図示形態のように略長方形とすることが一般的である。
【0025】
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆う液透過性トップシート11としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。液透過性トップシート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。トップシート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
【0026】
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆う液不透過性シート12は、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0027】
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。
【0028】
吸収体13の全体形状は、股間部分に前後両側よりも幅の狭い括れ部分13Nを有する略砂時計状に形成されているが、長方形状等、適宜の意形状とすることができる。括れ部分13Nの寸法は適宜定めることができるが、括れ部分13Nの前後方向長さはおむつ全長の20~50%程度とすることができ、その最も狭い部分の幅は吸収体13の全幅の40~60%程度とすることができる。このような括れ部分13Nを有する場合において、内装体10の平面形状が略長方形とされていると、内装体10における吸収体13の括れ部分13Nと対応する部分に、吸収体13を有しない余り部分が形成される。
【0029】
トップシート11における吸収体13の表側に位置する吸収表面部分の両側部には、装着者の肌側に立ち上がる立体ギャザー40がそれぞれ前後方向LDに沿って延在されている。この立体ギャザー40は、図5及び図6に示されるように、内装体10の裏面の側部に固定された固定部43と、この固定部43から内装体10の側方を経て内装体10の表面の側部まで延在する本体部44と、本体部44の前後端部が倒伏状態で内装体10の表面の側部に固定されて形成された倒伏部分47と、この前後方向LDにおける倒伏部分47の間が非固定とされて形成された自由部分45とを有している。これら各部は折り返しによって二重シートとした立体ギャザーシート41により形成されている。立体ギャザーシート41としては撥水性とされた不織布が好適に用いられる。
【0030】
また、二重シートのシート間には、自由部分の先端部等に細長状の立体ギャザー弾性部材42が配設されている。立体ギャザー弾性部材42は、製品状態において図5に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により吸収体側縁部より突出する自由部分を起立させて立体ギャザー40を形成するためのものである。
【0031】
液不透過性シート12は、液透過性トップシート11とともに吸収体13の幅方向両側で裏側に折り返されている。この液不透過性シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
【0032】
立体ギャザー弾性部材42としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150~350%、間隔は10mm以下として配設するのがよい。なお、立体ギャザー弾性部材42としては、図示形態のような糸状の他、ある程度の幅を有するテープ状のものを用いることもできる。
【0033】
前述の立体ギャザーシート41を構成する素材繊維も液透過性トップシート11と同様に、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらに立体ギャザーシート41については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコーン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロライド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
【0034】
(外装体の構造例)
外装体20は、前後方向中央から腹側に延在する前身頃Fを構成する部分と、前後方向中央から背側に延在する後身頃Bを構成する部分とを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが接合されてサイドシール部21が形成されるとともに、図7に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口及び脚を通すための左右一対の脚開口が形成されているものである。
外装体20は、サイドシール部21を有する縦方向範囲(ウエスト開口から脚開口の上端に至る縦方向範囲)として定まる胴周り部Tと、脚開口を形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部21を有する縦方向領域と後身頃Bのサイドシール部21を有する縦方向領域との間)して定まる脚開口部Lとを有する。胴周り部Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成するウエスト部Wと、これよりも下側の部分であるウエスト下方部Uとに分けることができる。通常、胴周り部T内に幅方向伸縮応力が変化する境界(例えば弾性部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口側の境界よりもウエスト開口側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体13又は内装体10よりもウエスト開口側がウエスト部Wとなる。
【0035】
外装体20は、図4図6にも示されるように、それぞれ不織布等からなる押えシート20A及びバックシート20Bからなる2層構造とされ、押えシート20Aとバックシート20Bとの間、及びバックシート20Bをウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cの不織布間に各種弾性部材が配設され、伸縮性が付与されている。平面形状は、中間両側部にそれぞれ脚開口を形成するために形成された凹状の脚周りライン29により、全体として擬似砂時計形状をなしている。
【0036】
図示形態の外装体20は、前身頃F及び後身頃Bのそれぞれにおいて、幅方向WDに沿う弾性部材として、ウエスト部Wに配置されたウエスト部弾性部材24、ウエスト下方部Uに配置されたウエスト下方部弾性部材25、及び脚開口部Lに配置された脚開口部弾性部材27を有するとともに、これらとは別に、サイドシール部21から一脚開口に沿って股間部分に向かうパターンで湾曲しつつ延在する湾曲弾性部材26,28を備えている。これら、弾性部材24~28は、それぞれその延在方向に沿って所定の伸長率で伸長された状態で固定されている。なお、本外装体20では、脚周りライン29に沿って前身頃Fのサイドシール部から後身頃Bのサイドシール部まで連続する、所謂脚周り弾性部材は設けられていない。
【0037】
ウエスト部弾性部材24は、装着者のウエストを伸縮性をもって締め付けるためのものであり、図示例ではウエスト部Wにおける層間に幅方向WDに沿って伸長状態で取り付けられた糸ゴム等の細長状弾性部材とされており、縦方向に間隔をおいて複数本設けられている。このウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。また、図示形態のウエスト部弾性部材24は、ウエスト部におけるバックシート20Bの折り返し部分20Cの不織布間に挟持されているが、押えシート20Aとバックシート20Bとの間に挟持しても良い。ウエスト部弾性部材24は、ウエスト部Wの幅方向全体に設けられることが望ましい。
【0038】
ウエスト下方部弾性部材25は、おむつを装着者の下腹部や臀部に伸縮性をもって密着させるためのものであり、図示例ではウエスト下方部Uにおける層間に幅方向WDに沿って伸長状態で取り付けられた糸ゴム等の細長状弾性部材とされており、縦方向に間隔をおいて複数本設けられている。ウエスト下方部弾性部材25は、ウエスト下方部Uのうち少なくとも吸収体の幅方向中間部の幅方向両側に設けられ、側縁はサイドシール部21まで設けられることが望ましい。
【0039】
脚開口部弾性部材27は、主に脚開口に沿う部分に幅方向WDの伸縮性を与えるためのものであり、図示例では脚開口部Lにおける層間に幅方向WDに沿って伸長状態で取り付けられた複数本の糸ゴム等の細長状弾性部材とされており、縦方向に間隔をおいて複数本設けられている。脚開口部弾性部材27は、脚開口部Lのうち少なくとも吸収体の幅方向中間部の幅方向両側に設けられ、側縁は脚開口縁29まで設けられることが望ましい。
【0040】
外装体20における胴周り部Tから脚開口部Lにわたる範囲には、ウエスト部弾性部材24、ウエスト下方部弾性部材25、脚開口部弾性部材27とは別に、糸ゴム等の細長状弾性部材からなる湾曲弾性部材26,28が所定の曲線に沿って配置されている。湾曲弾性部材26は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では4本の糸ゴム等の細長状弾性部材であり、これら湾曲弾性部材26,28は互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この湾曲弾性部材26,28は、2,3本程度の弾性部材を間隔を密にして実質的に一束として配置される他、所定の伸縮ゾーンを形成するように3~20mm、好ましくは6~16mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは4本以上配置される。
【0041】
図8に示されるように、外装体20に配置されたウエスト下方部弾性部材25、脚開口部弾性部材27及び湾曲弾性部材26,28は、製造時に外装体20に対して連続的に固定した後に、吸収体13と重なる部分の一部又は全部が、所定の切断パターンCPで細かく切断されて収縮力が作用しない非収縮部分(つまり、図8の切断パターンCPと重なる部分)とされ、この非収縮部分より側方に延在する部分が収縮力の作用する収縮部分(つまり、図8の切断パターンCPより側方の、ウエスト下方部弾性部材25及び湾曲弾性部材26,28が連続的に残された部分)とすることができる。このため、ウエスト下方部弾性部材25、脚開口部弾性部材27及び湾曲弾性部材26,28は、一方側のサイドシール部21から吸収体13を横切って他方(反対)側のサイドシール部21まで連続的に設けた後に、吸収体13と重なる部分の一部又は全部が、細かく切断される。これにより、吸収体13の幅方向WDの不必要な収縮を防止することができる。もちろん、ウエスト下方部弾性部材25、脚開口部弾性部材27及び湾曲弾性部材26,28を、吸収体13を横切って連続的に配置することもできる。これらのことからも理解できるように、本発明において「弾性部材が設けられている」とは、弾性部材部分の収縮力が作用する収縮部分が設けられていることを意味し、弾性部材の収縮力が切断により殺された非収縮部分は「弾性部材が設けられている」ことには含まれない。
【0042】
上述した外装体20は、例えば特開平4-28363号公報や、特開平11-332913号公報記載の技術により製造することができる。また、湾曲弾性部材26,28を内装体10上で切断し不連続化するには、特開2002-35029号公報、特開2002-178428号公報及び特開2002-273808号公報に記載される切断方法が好適に採用される。
【0043】
図示例とは異なり、湾曲弾性部材26,28を、前身頃F及び後身頃Bのいずれか一方にのみ設けるだけでも良い。また、湾曲弾性部材26,28を、前身頃F及び後身頃Bの両方に設ける場合、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材28の群の一部又は全部と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材26の群の一部又は全部とが交差する形態(図示せず)も採用できるが、図示例のように、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材28の群と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材26の群とは互いに交差することなく前後方向中間部、特に前身頃Fに若干偏った位置で縦方向に離間している形態が好適である。
【0044】
さらに、湾曲弾性部材26,28はその全体が湾曲していなくても良く、部分的に直線状の部分を有していても良い。
【0045】
弾性部材24~28の取付時の伸長率は適宜定めることができるが、通常の成人用の場合、ウエスト部弾性部材24は160~320%程度、ウエスト下方部弾性部材25及び脚開口部弾性部材27は160~320%程度、湾曲弾性部材26,28は230~320%程度とすることができる。
【0046】
(前後カバーシート)
図1及び図4にも示されるように、外装体20の内面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、かつ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押えシート22,23が設けられていても良い。図示形態について更に詳細に説明すると、前カバーシート22は、前身頃F内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押えシート23は、後身頃B内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押えシート22,23の股下側縁部に幅方向WDの全体にわたり(中央部のみでも良い)若干の非接着部分を設けると、接着剤が食み出ないだけでなく、この部分をトップシートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。
【0047】
図示形態のように、前後押えシート22,23を別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、外装体20をおむつ内面に折り返してなる折り返し部分20Cを、内装体10と重なる部分まで延在させて、前述の押えシート22,23と同等の部分を形成することもできる。
【0048】
上述の例では、前身頃Fから後身頃Bまでを一体的な外装体12により連続的に覆っているが、外装体が前身頃Fを構成するものと後身頃Bを構成するものとに分割されており、前身頃Fの外装体と後身頃Bの外装体とが股間側で連続しておらず、離間されている形態も採用することができる(図示略)。この場合、前身頃の外装体は、少なくとも縦方向伸縮部と重なる部分、その幅方向両側の部分及びこれらのウエスト開口側の部分を有するものとされる。また、内装体の裏面は不織布等の股間部外装体により被覆することができる。
【0049】
<テープタイプ使い捨ておむつの例>
図14図17は、テープタイプ使い捨ておむつの一例を示しており、この使い捨ておむつは、吸収体13と、吸収体13の表側を覆う透液性トップシート11と、吸収体13の裏側を覆う液不透過性シート12とを備えている。吸収体13は図示しない包装シートにより包むことができる。これらの素材としては、パンツタイプのものと同様のものを使用することができる。
【0050】
おむつ外面を布のような外観、肌触りとするために、液不透過性シート12の裏面全体は外装シート20Dで覆われており、両シート11,12の外周縁はおむつの外周縁まで及んでいる。外装シート20Dとしては各種の不織布を用いることができるが、スパンボンド不織布が好適である。外装シート20Dは省略することもできる。
【0051】
トップシート11は、吸収体13の周囲より外側に延在しており、吸収体13側縁より外側に延在する部分が液不透過性シート12にホットメルト接着剤等により固着されている。なお、図中の点模様は固着部分を表しているものである。
【0052】
図14図16及び図17にも示されるように、トップシート11における吸収体13の表側に位置する吸収表面部分の両側部には、装着者の肌側に立ち上がる立体ギャザー40がそれぞれ前後方向LDに沿って延在されている。より詳細には、トップシート11の側縁部表面からその側方に延在する液不透過性シート12の表面には、立体ギャザー40を構成する立体ギャザーシート41の幅方向外側の固定部43が前後方向全体にわたり貼り付けられている。立体ギャザーシート41は、各種不織布(スパンボンド不織布が好適である)の他、バックシートに用いられるものと同様のプラスチックフィルム、又はこれらの積層シートを用いることができるが、肌への感触性の点で、撥水処理を施した不織布が好適である。立体ギャザーシート41の幅方向中央側の本体部44は、前後方向両端部では倒伏状態で物品内面(図示形態ではトップシート11表面)にホットメルト接着剤等の手段により固着され、倒伏部分47とされているが、これらの間の中間部は非固定の自由部分45となっており、この自由部分45の先端部等(展開状態における幅方向中央側の端部)には、細長状の立体ギャザー弾性部材42が前後方向LDに沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この立体ギャザー弾性部材42は図示例では所定の間隔を空けて複数本設けられているが、一本でも良い。この自由部分45は、立体ギャザー弾性部材42の収縮力が作用する結果、図17に示されるように、物品内面(図示形態ではトップシート11表面)に対して立ち上がる立体ギャザーを構成する。この起立部分の立ち上がり位置46は、立体ギャザー4における幅方向外側の固定部分43と内側の部分44との境となり、トップシートの吸収表面部分の幅方向両端部に位置することとなる。
【0053】
使い捨ておむつ100の前後方向両端部では、液不透過性シート12、外装シート20D、透液性トップシート11及び立体ギャザーシート41が吸収体13の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在され、吸収体13の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。一方、使い捨ておむつ100の左右両側部では、液不透過性シート12、外装シート20D、透液性トップシート11及び立体ギャザーシート41が吸収体13の側縁よりも側方にそれぞれ延在され、吸収体13の存在しないサイドフラップ部SFが形成されている。サイドフラップ部SFのうち腹側部分Fのウエスト側部分及び背側部分Bのウエスト側部分にそれぞれ位置する部分は、それらの間の中間部分よりも側方に延出されており、これらの部分が、おむつの胴り部分となり、中間部分が脚周り包囲部分LHとなり、その両側縁が脚開口の縁Leとなる。
【0054】
サイドフラップ部SFの前後方向中間部には、液不透過性シート12と外装シート20Dとの間に細長状弾性部材48が前後方向LDに沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されており、この細長状弾性部材48の収縮によりサイドフラップ部SFにはいわゆる平面ギャザーが形成されている。この平面ギャザーにより、おむつの側部が弾性伸縮して脚周りにフィットするようになる。
背側部分Bのサイドフラップ部SFには、その側縁からそれぞれ突出するファスニングテープ50が取り付けられるとともに、腹側部分Fの胴り部表面に幅方向WDに沿ってフロントターゲットテープ60が貼着されており、身体への装着に際しては、おむつ100を身体にあてがった状態で、両側のファスニングテープ50を腰の各側から腹側外面に回してフロントターゲットテープ60に止着する。フロントターゲットテープ60は省略することもでき、その場合にはファスニングテープ50はおむつ外面(図示形態の場合外装シート20D)に直に止着される。
【0055】
図16に示されるように、ファスニングテープ50は、背側部分Bのウエスト側サイドフラップ部SFにおけるシート間にホットメルト接着剤等の手段により固定された固定部51と、サイドフラップ部SFの側縁のシート間から幅方向外側に突出する突出部52とを有しており、この突出部52は先端部53と、この先端部53よりも基端側の本体部54とを有している。ファスニングテープ50の先端部53の内面側(透液性表面シート2側)には、ターゲットテープ60との連結のための連結部として、表面にフック状突起を多数有するフック材(メカニカルファスナー(面ファスナー)の雄材)55がそれぞれ取り付けられており、フロントターゲットテープ60としてフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有するもの(メカニカルファスナー(面ファスナー)の雌材)6が取り付けられている。おむつ外面の素材自体をフロントターゲットテープ60の代わりに用いたり、フック材55に代えて粘着剤層を用いるとともに、フロントターゲットテープ60として粘着性に富むような表面が平滑な樹脂テープを用いたりすることができる。
【0056】
また、図14及び図15に示されるように、ファスニングテープ50には、上下方向中間部における幅方向外側縁から本体部54内まで幅方向WDに沿うミシン目56が設けられており、このミシン目56を切り離すことにより各々が固定部、本体部、先端部及び連結部を備えた上段部及び下段部に分離することができるものである。ミシン目56に代えて、予め切断等により分離されていても良い。このようなファスニングテープ50は、上段部と下段部とを交差させた状態で、腹側部分のフロントターゲットテープ60に着脱自在に連結することができる。もちろん、このような上下2段分割タイプに限られず、2段分割しないタイプ等、他の公知のファスニングテープに応用することもできる。
【0057】
<吸収パッド差し込みポケット>
パンツタイプ使い捨ておむつにおいては図1図3図4、及び図9~13に示すように、またテープタイプ使い捨ておむつにおいては図14図17~20に示すように、トップシート11上における立体ギャザー40の自由部分45と対応する前後方向範囲に、吸収パッドP1,P2の前後少なくとも一方の端部を差し込むためのポケット71,72が、大きさの異なる複数種の吸収パッドP1,P2に適合する前後方向位置にそれぞれ設けられている。また、トップシート11により、ポケット71,72の裏側の内面を構成する裏側内面部分11aと、この裏側内面部分11aにおけるポケット71,72の底部位置で表側かつ股間側に折り返され、ポケット71,72の開口の縁まで延びる、ポケット71,72の表側の内面を構成する表側内面部分11bと、この表側内面部分11bにおけるポケット71,72の開口の縁で表側かつウエスト側に折り返され、ポケット71,72の表側の外面を構成する表側外面部分11cとが形成されている。つまり、トップシート11が断面Z字状に折り返されており、表側内面部分11bと裏側内面部分11aとの非接合部分が、吸収パッドP1,P2の挿入空間となっている。表側内面部分11bと表側外面部分11cとは、ホットメルト接着剤等の接合手段により対向面同士が接合されていると好ましいが、非接合とすることもできる。
【0058】
図示形態では、股間側に開口する複数のポケット71,72が、前後方向両側にそれぞれ設けられているが、前後方向LDのいずれか一方側にのみ股間側に開口するポケット71,72を設けるだけでもよい。
【0059】
ポケット71,72の数は複数である限り適宜定めることができるが、通常の場合、前後片側あたり2~5程度、特に2~3程度とすることが好ましい。
【0060】
ポケット71,72の開口の縁の前後方向位置は適宜定めればよいが、通常の場合、使い捨ておむつの前後方向中央位置を0%とし、ウエスト側の縁を100%としたとき、75~100%の範囲内にすべてのポケット71,72が開口していることが好ましい。また、ポケット71,72の開口の縁の前後方向LDの間隔は、50~100mm程度とすることが好ましい。
【0061】
各ポケット71,72の深さは適宜定めることができるが、通常の場合、10~30mm程度とすることが好ましい。また、各ポケット71,72の深さは、当該ポケット71,72の開口とウエスト側に隣接するポケット71,72の開口との前後方向間隔以下とすることが好ましい。各ポケット71,72の深さは異なるものとすることができ、例えばウエスト側のポケット71,72ほど深く形成することが好ましい。
【0062】
そして、特徴的には、少なくとも最も股間側に位置するポケット71は、トップシート11における吸収体の表側に位置する吸収表面部分の幅方向両端部で、少なくともポケット71の開口側の部分における表側内面部分11bと裏側内面部分11aとが接合された開口幅規制部分73を有している。このように、少なくとも最も股間側に位置するポケット71が開口幅規制部分73を有していると、以下の利点がある。すなわち、当該最も股間側のポケット71に適した装着位置を有する、相対的に小さな吸収パッドP1を使用する場合、パンツタイプ使い捨ておむつにおいては図11(a)及び図12に示すように、またテープタイプ使い捨ておむつにおいては図18(b)及び図19に示すように、吸収パッドP1の前後端部は、使い捨ておむつの前側及び後側にそれぞれ設けられた最も股間側に位置するポケット71に差し込まれる。この際、当該吸収パッドP2の下にはポケットはない。これに対して、パンツタイプ使い捨ておむつにおいては図11(b)及び図13に示すように、またテープタイプ使い捨ておむつにおいては図18(c)及び図20に示すように、相対的に大きな吸収パッドP2を使用する場合、当該最も股間側のポケット71の上を通して吸収パッドP2を配置し、吸収パッドP1の前後端部を、使い捨ておむつの前側及び後側にそれぞれ設けられたウエスト側のポケット72に差し込む。この際、吸収パッドP2の側部を指先でトップシート11と立体ギャザー40との間の奥まで差し込むことがあるが、パンツタイプ使い捨ておむつにおいては図13(b)に示すように、またテープタイプ使い捨ておむつにおいては図20(b)に示すように、当該吸収パッドP2の下に位置するポケット71の入口は指先の通過位置では開口幅規制部分73により閉じているため、指先が該吸収パッドP2の下に位置するポケット71の入口に入りにくくなる。よって、大きさの異なる吸収パッドP1,P2をそれぞれ適切な位置に容易に装着できるようになる。
【0063】
開口幅規制部分73はすべてのポケット71,72に設けることもできるし、図示形態のようにウエスト側の一部のポケット72には設けない形態とすることもできる。特に、大きな吸収パッドP2ほど前後方向LD及び幅方向WDの寸法の両方が長くなるため、開口幅規制部分73の幅はウエスト側に位置するポケット72ほど狭く(つまり開口幅が広く)なっていると好ましい。なお、この形態には、ウエスト側の一部のポケット72における開口幅規制部分73の幅がゼロになる、つまり開口幅規制部分73が無い場合も含まれる。
【0064】
開口幅規制部分73(接合部分)は、少なくともポケット71の開口側の部分に設けられている限り、前後方向寸法は特に限定されず、図示形態のようにポケット71の前後方向LDのほぼ全体にわたり設けられていても、ポケット71の開口の縁部のみに設けられていても良い。
【0065】
開口幅規制部分73における表側内面部分11bと裏側内面部分11aとの接合は、剥離可能となっていてもよい。これにより、長さは短いものの幅が広い吸収パッドを使用する場合に、開口幅規制部分73を剥離し、開口幅を広げて装着することができる。また、吸収パッドP2の側部をトップシート11との立体ギャザー40との間の奥まで差し込む際に、当該吸収パッドP2の下に位置するポケット71の入口に指先が誤って入ってしまっても、そのまま押し進めることにより開口幅規制部分73を引き剥がし、指を抜かずにそのまま装着作業を継続することができる。開口幅規制部分73で表側内面部分11bと裏側内面部分11aとを剥離可能に接合するには、ホットメルト接着剤や溶着による接合自体を弱くするほか、後述する仮止め部分と同様に、メカニカルファスナーのフック材のような着脱可能な接合手段を用いることもできる。図中の符号73mはホットメルト接着剤やフック材のような介在型の接合手段を示している。
【0066】
他方、図21及び図22に示すように、幅方向両側の前記開口幅規制部分73の間に、少なくともポケット71の開口側の部分における表側内面部分11bと裏側内面部分11aとが剥離可能に接合された仮止め部分74を有しているのも好ましい形態である。図示形態では最も股間側に位置するポケット71にのみ仮止め部分を設けているが、ウエスト側のポケット72に仮止め部分74を設けることもできる。仮止め部分74は、幅方向両側の開口幅規制部分73の間であれば、図示形態のように幅方向中央部に設けるほか、幅方向全体にわたり設けたり、幅方向両側に設けたりすることもできる。このような仮止め部分74を有していることにより、相対的に大きな吸収パッドPP2を装着する際、当該吸収パッド72の前後方向LDの端部をウエスト側のポケット72(使用するポケット72の入口に仮止め部分74を有する場合には仮止めを外して開口させる)に差し込み、使用しないポケット71の入口については仮止め部分74を外さず、当該ポケット71の開口が装着作業の邪魔にならないように閉じておくことができる。
【0067】
仮止め部分74で表側内面部分11bと裏側内面部分11aとを剥離可能に接合するには、ホットメルト接着剤や溶着による接合自体を弱くするほか、メカニカルファスナーのフック材のような着脱可能な接合手段を用いることもできる。図中の符号74mはホットメルト接着剤やフック材のような介在型の接合手段を示している。特に、表側内面部分11bにフック材からなる仮止め部分74が設けられており、このフック材が前記裏側内面部分11aに剥離可能に接合されるようになっていると好ましい。すなわち、殆ど多くの使い捨ておむつ・吸収パッドP1,P2の表面は不織布で形成されており、メカニカルファスナーのフック材を剥離可能に接合できるようになっている。よって、本態様のように仮止め部分74をフック材により構成すると、ポケット71の仮止め・開口を容易に行うことができるだけでなく、開口したポケット71に挿入した吸収パッドP1の表面に、ポケット71の表側内面部分11bのフック材を剥離可能に接合することにより、吸収パッドP1をより強固に固定することができる。
【0068】
<明細書中の用語の説明>
明細書中で以下の用語が使用される場合、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES-G5 ハンディー圧縮試験機)を用い、荷重:0.098N/cm 2 、及び加圧面積:2cm 2 の条件下で自動測定する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、上記例のようなパンツタイプ、テープタイプ等、使い捨ておむつ全般に利用できるものである。
【符号の説明】
【0070】
B…後身頃、F…前身頃、L…脚開口部、P1,P2…吸収パッド、T…胴周り部、U…ウエスト下方部、W…ウエスト部、LD…前後方向、WD…幅方向、10…内装体、11…トップシート、11a…裏側内面部分、11b…表側内面部分、11c…表側外面部分、12…液不透過性シート、13…吸収体、13N…括れ部分、14…包装シート、20…外装体、20C…折り返し部分、21…サイドシール部、24…ウエスト部弾性部材、25…ウエスト下方部弾性部材、26,28…湾曲弾性部材、27…脚開口部弾性部材、29…脚周りライン、40…立体ギャザー、41…立体ギャザーシート、42…立体ギャザー弾性部材、71,72…ポケット、73…開口幅規制部分、74…仮止め部分。
図1
図2
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図5
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図9
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