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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220803BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20220803BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALN20220803BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALN20220803BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G09F9/00 302
G09F9/00 350Z
G09F9/00 338
G02F1/1333
G02F1/1333 500
G02F1/1368
G02F1/1345
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017222724
(22)【出願日】2017-11-20
(65)【公開番号】P2019095506
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆靖
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-103309(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0015956(KR,A)
【文献】特開2008-090196(JP,A)
【文献】特開平11-259002(JP,A)
【文献】特開平08-083981(JP,A)
【文献】米国特許第04770920(US,A)
【文献】特開昭59-150745(JP,A)
【文献】特開昭54-093074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
G02F 1/1333
G02F 1/1368
G02F 1/1345
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に直交する第1方向及び第2方向の少なくとも一方の両端において外形端が一致するように積層された複数層と、
前記複数層のそれぞれに設けられ、前記複数層の積層方向に連通する穴と、
前記複数層の全てにわたって前記穴に連続的に充填された樹脂と、
を有し、
前記複数層は、表示領域を有する表示パネルを含み、
前記複数層の前記穴の輪郭は、前記外形端の一致精度と比べて、ずれていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
相互に直交する第1方向及び第2方向の少なくとも一方の両端において外形端が一致するように積層された複数層と、
前記複数層の一方の最外層に設けられた凹部
前記最外層を除前記複数層に、前記凹部に連通するように設けられ、前記最外層を除く前記複数層の積層方向に連通する穴と、
前記複数層の全てにわたって前記凹部および前記穴に連続的に充填された樹脂と、
を有し、
前記複数層は、表示領域を有する表示パネルを含み、
前記複数層の前記凹部の輪郭および前記穴の輪郭は、前記外形端の一致精度と比べて、ずれていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載された表示装置において、
前記最外層は、カバーガラス又は筐体であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載された表示装置において、
前記複数層は、支持フィルム、クッションシート及び均熱シートの少なくとも1つを含むことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載された表示装置において、
前記複数層は、前記第1方向及び前記第2方向の一方のみの前記両端において前記外形端が一致することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載された表示装置において、
前記穴は、中心及び内面の少なくとも一方においてずれていることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
相互に直交する第1方向及び第2方向の少なくとも一方の両端において外形端が一致するように、複数層を積層する工程と、
前記複数層のそれぞれに、積層方向に連通する穴を形成する工程と、
前記複数層の全てにわたって前記穴に連続的に樹脂を充填する工程と、
前記樹脂を硬化させる工程と、
を含み、
前記複数層は、表示領域を有する表示パネルを含み、
前記複数層の前記穴の輪郭は、前記外形端の一致精度と比べて、ずれていることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項8】
相互に直交する第1方向及び第2方向の少なくとも一方の両端において外形端が一致するように、複数層を積層する工程と、
前記複数層の一方の最外層に凹部を形成する工程と、
前記最外層を除く前記複数層のそれぞれに、前記凹部に連通するように、積層方向に連通する穴を形成する工程と、
前記複数層の全てにわたって前記凹部及び前記穴に連続的に樹脂を充填する工程と、
前記樹脂を硬化させる工程と、
を含み、
前記複数層は、表示領域を有する表示パネルを含み、
前記複数層の前記凹部及び前記穴の輪郭は、前記外形端の一致精度と比べて、ずれていることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載された表示装置の製造方法において、
前記樹脂を充填する工程で、前記樹脂は、液状、ゲル状又はペースト状であることを特徴とする表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネルには、シート、フィルム又は基板などの別部材が複数層として重ねられることがある。特許文献1~3には、複数の部材をネジやピンによって固定することが開示されている。ネジやピンは、穴に挿入するので、穴の位置がずれていると、複数層の外縁がずれてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-169034号公報
【文献】特開2007-264242号公報
【文献】特開平07-114034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スマートフォンなどのモバイル機器では、筐体を小型化するため(相対的には表示領域を大きくするため)、筐体に内蔵される表示パネル及び複数層の外縁の位置決めに高い精度が要求される。しかし、穴の誤差を小さくするには限界があり、他の方法で要求に応える必要があった。
【0005】
本発明は、位置決め精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示装置は、相互に直交する第1方向及び第2方向の少なくとも一方の両端において外形端が一致するように積層され、積層方向に連通する穴をそれぞれが複数個所に有する複数層と、前記複数層の全てにわたって前記穴に連続的に充填された樹脂と、を有し、前記複数層は、表示領域を有する表示パネルを含み、前記表示パネルは、前記表示領域の外側に、対応する前記穴を有し、前記複数層の前記穴は、前記外形端の一致精度と比べて、ずれていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、樹脂によって複数層の穴がずれた状態で位置決めされていても、外形端が一致しているので、高い位置決め精度が得られている。
【0008】
本発明に係る表示装置の製造方法は、相互に直交する第1方向及び第2方向の少なくとも一方の両端において外形端が一致し、それぞれが複数個所に有する穴が積層方向に連通するように、複数層を積層する工程と、前記複数層の全てにわたって前記穴に連続的に樹脂を充填する工程と、前記樹脂を硬化させる工程と、を含み、前記複数層は、表示領域を有する表示パネルを含み、前記表示パネルは、前記表示領域の外側に、対応する前記穴を有し、前記複数層の前記穴は、前記外形端の一致精度と比べて、ずれていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、樹脂を使用するので複数層の穴がずれていても、外形端が一致するように、高い位置決め精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る表示装置の平面図である。
図2図1に示す表示装置のII-II線断面を拡大した図である。
図3図1に示す表示装置のIII-III線断面を拡大した図である。
図4】実施形態の変形例1に係る表示装置を示す断面図である。
図5】実施形態の変形例2に係る表示装置を示す断面図である。
図6】比較例に係る表示装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0012】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0013】
さらに、本発明の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置の平面図である。図2は、図1に示す表示装置のII-II線断面を拡大した図である。
【0015】
表示装置は、有機EL(Electroluminescence)表示装置である。表示装置は、例えば、赤、緑及び青からなる複数色の単位画素(サブピクセル)を組み合わせて、フルカラーの画素を形成し、フルカラーの画像を表示するようになっている。表示装置は、表示領域DA及び表示領域DAを囲む周辺領域PAを含む。周辺領域PAは表示領域DAの外側にある。周辺領域PAには、フレキシブルプリント基板12が接続されている。フレキシブルプリント基板12には、画像を表示するための素子を駆動するための集積回路13が搭載される。
【0016】
基板10(アレイ基板)はポリイミドを用いている。ただし、シートディスプレイ又はフレキシブルディスプレイを構成するために十分な可撓性を有する基材であれば他の樹脂材料を用いても良い。基板10上に、アンダーコート層14として、シリコン酸化膜14a、シリコン窒化膜14b及びシリコン酸化膜14cの三層積層構造が設けられている。最下層のシリコン酸化膜14aは、基板10との密着性向上のため、中層のシリコン窒化膜14bは、外部からの水分及び不純物のブロック膜として、最上層のシリコン酸化膜14cは、シリコン窒化膜14b中に含有する水素原子が薄膜トランジスタTRの半導体層18側に拡散しないようにするブロック膜として、それぞれ設けられるが、特にこの構造に限定するものではなく、さらに積層があっても良いし、単層あるいは二層積層としても良い。
【0017】
アンダーコート層14の下には、薄膜トランジスタTRを形成する箇所に合わせて付加膜16を形成しても良い。付加膜16は、チャネル裏面からの光の侵入等による薄膜トランジスタTRの特性の変化を抑制したり、導電材料で形成して所定の電位を与えることで、薄膜トランジスタTRにバックゲート効果を与えたりすることができる。ここでは、シリコン酸化膜14aを形成した後、薄膜トランジスタTRが形成される箇所に合わせて付加膜16を島状に形成し、その後シリコン窒化膜14b及びシリコン酸化膜14cを積層することで、アンダーコート層14に付加膜16を封入するように形成しているが、この限りではなく、基板10上にまず付加膜16を形成し、その後にアンダーコート層14を形成しても良い。
【0018】
アンダーコート層14上に薄膜トランジスタTRが形成されている。ポリシリコン薄膜トランジスタを例に挙げて、ここではNchトランジスタのみを示しているが、Pchトランジスタを同時に形成しても良い。薄膜トランジスタTRの半導体層18は、チャネル領域とソース・ドレイン領域との間に、低濃度不純物領域を設けた構造を採る。ゲート絶縁膜20としてはここではシリコン酸化膜を用いる。ゲート電極22は、MoWから形成された第1配線層W1の一部である。第1配線層W1は、ゲート電極22に加え、第1保持容量線CL1を有する。第1保持容量線CL1と半導体層18(ソース・ドレイン領域)との間で、ゲート絶縁膜20を介して、保持容量Csの一部が形成される。
【0019】
ゲート電極22の上に、層間絶縁膜24(シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜)が積層されている。基板10を曲げられるようにする場合、折曲領域FAでは、折り曲げやすくなるように、層間絶縁膜24の少なくとも一部を除去する。層間絶縁膜24の除去によって、アンダーコート層14が露出するので、その少なくとも一部もパターニングを行って除去する。アンダーコート層14を除去した後には、基板10を構成するポリイミドが露出する。なお、アンダーコート層14のエッチングを通じて、ポリイミド表面が一部浸食されて膜減りを生ずる場合が有る。
【0020】
層間絶縁膜24の上に、ソース・ドレイン電極26及び引き回し配線28となる部分を含む第2配線層W2が形成されている。ここでは、Ti、Al及びTiの三層積層構造を採用する。層間絶縁膜24を介して、第1保持容量線CL1(第1配線層W1の一部)と第2保持容量線CL2(第2配線層W2の一部)とで、保持容量Csの他の一部が形成される。引き回し配線28は、基板10の端部まで延在され、フレキシブルプリント基板12を接続するための端子32を有するようになっている。
【0021】
ソース・ドレイン電極26及び引き回し配線28(これらの一部を除く)を覆うように平坦化膜34が設けられている。平坦化膜34としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)等により形成される無機絶縁材料に比べ、表面の平坦性に優れることから、感光性アクリル等の有機材料が多く用いられる。
【0022】
平坦化膜34は、画素コンタクト部36及び周辺領域PAでは除去されて、その上に酸化インジウムスズ(ITO)膜35が形成されている。酸化インジウムスズ膜35は、相互に分離された第1透明導電膜38及び第2透明導電膜40を含む。
【0023】
平坦化膜34の除去により表面が露出した第2配線層W2は、第1透明導電膜38にて被覆される。第1透明導電膜38を被覆するように、平坦化膜34の上にシリコン窒化膜42が設けられている。シリコン窒化膜42は、画素コンタクト部36に開口を有し、この開口を介してソース・ドレイン電極26に導通するように画素電極44が積層されている。画素電極44は反射電極として形成され、酸化インジウム亜鉛(IZO)膜、銀(Ag)膜、酸化インジウム亜鉛膜の三層積層構造としている。ここで、酸化インジウム亜鉛膜に代わって酸化インジウムスズ膜35を用いても良い。画素電極44は、画素コンタクト部36から側方に拡がり、薄膜トランジスタTRの上方に至る。
【0024】
第2透明導電膜40は、画素コンタクト部36に隣接して、画素電極44の下方(さらにシリコン窒化膜42の下方)に設けられている。第2透明導電膜40、シリコン窒化膜42及び画素電極44は重なっており、これらによって付加容量Cadが形成される。
【0025】
端子32の表面には、酸化インジウムスズ膜35の他の一部である第3透明導電膜46が形成されている。第3透明導電膜46は、第1透明導電膜38及び第2透明導電膜40と同時に形成される。端子32上の第3透明導電膜46は、以後の工程で端子32の露出部がダメージを負わないようにバリア膜として設けることを目的の一としている。画素電極44のパターニング時、第3透明導電膜46はエッチング環境にさらされるが、酸化インジウムスズ膜35の形成から画素電極44の形成までの間に行われるアニール処理によって、酸化インジウムスズ膜35は画素電極44のエッチングに対し十分な耐性を有する。
【0026】
平坦化膜34の上であって例えば画素コンタクト部36の上方に、バンク(リブ)と呼ばれて隣同士の画素領域の隔壁となる絶縁層48が形成されている。絶縁層48としては平坦化膜34と同じく感光性アクリル等が用いられる。絶縁層48は、画素電極44の表面を発光領域として露出するように開口され、その開口端はなだらかなテーパー形状となるのが好ましい。開口端が急峻な形状になっていると、その上に形成される有機EL(Electro Luminescence)層50のカバレッジ不良を生ずる。
【0027】
平坦化膜34と絶縁層48は、両者間にあるシリコン窒化膜42に設けた開口を通じて接触している。これにより、絶縁層48の形成後の熱処理等を通じて、平坦化膜34から脱離する水分や脱ガスを、絶縁層48を通じて引き抜くことができる。
【0028】
画素電極44の上に、有機材料からなる有機EL層50が積層されている。有機EL層50は、単層であってもよいが、画素電極44側から順に、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層が積層された構造であってもよい。これらの層は、蒸着によって形成しても良いし、溶媒分散の上での塗布によって形成しても良く、画素電極44(各サブ画素)に対して選択的に形成しても良いし、表示領域DAを覆う全面にベタ形成されても良い。ベタ形成の場合は、全サブ画素において白色光を得て、カラーフィルタ(図示せず)によって所望の色波長部分を取り出す構成とすることができる。
【0029】
有機EL層50の上に、対向電極52が設けられている。ここでは、トップエミッション構造としているため、対向電極52は透明である。例えば、Mg層及びAg層を、有機EL層50からの出射光が透過する程度の薄膜として形成する。前述の有機EL層50の形成順序に従うと、画素電極44が陽極となり、対向電極52が陰極となる。対向電極52は、表示領域DA上と、表示領域DA近傍に設けられた陰極コンタクト部54に亘って形成され、陰極コンタクト部54で下層の引き回し配線28と接続されて、端子32に電気的に接続される。
【0030】
対向電極52の上に、封止膜56が形成されている。封止膜56は、先に形成した有機EL層50を、外部からの水分侵入を防止することを機能の一としており、高いガスバリア性が要求される。ここでは、シリコン窒化膜を含む積層構造として、シリコン窒化膜56a、有機樹脂層56b及びシリコン窒化膜56cの積層構造とした。シリコン窒化膜56a,56cと有機樹脂層56bとの間には、密着性向上を目的の一として、シリコン酸化膜やアモルファスシリコン層を設けても良い。
【0031】
封止膜56に、接着層58を介して、タッチパネル基板60が積層されている。タッチパネル基板60には図示しないタッチセンシング電極の少なくとも一部が形成されている。タッチセンシング電極の一部を、対向電極52が兼用してもよい。タッチパネル基板60には円偏光板62が貼り付けられている。円偏光板62に、接着層64を介して、カバーガラス66が積層されている。一方、基板10には、接着層68を介して、支持フィルム70が積層されている。支持フィルム70には、グラファイトなどからなる均熱シート72、クッションシート74及び筐体76が積層している。
【0032】
図3は、図1に示す表示装置のIII-III線断面を拡大した図である。表示装置は、複数層Lを有する。複数層Lは、表示領域DAを有する表示パネル78に対応する層L1を含む。層L1は、図2に示す基板10から封止膜56までの層を含む。複数層Lは、表示パネル78の下に、支持フィルム70、均熱シート72、クッションシート74及び筐体76にそれぞれ対応する層L2,L3,L4,L5を含む。複数層Lは、表示パネル78の上に、タッチパネル基板60、円偏光板62及びカバーガラス66にそれぞれ対応する層L6,L7,L8を含む。最外の層L8,L5は、それぞれ、カバーガラス66及び筐体76である。
【0033】
複数層Lは、相互に直交する第1方向D1及び第2方向D2の少なくとも一方(例えば一方のみ)の両端において、外形端が一致するように積層されている。例えば、図1に示すように、表示パネル78とフレキシブルプリント基板12との接続方向を第1方向D1とし、これに直交する方向を第2方向D2とする。図1及び図3に示すように、複数層Lは、第2方向D2の両端において外形端が一致する。これに対して、図2に示すように、第1方向D1の右側の端部では、複数層Lの全ての外形端が一致するわけではないが、複数層Lのいくつかの外形端が一致してもよい。また、図2に示す側とは反対側(図示せず)の端部では、複数層Lの全ての外形端が一致してもよい。
【0034】
複数層L(L1~L8)は、積層方向に連通する穴H(H1~H8)をそれぞれが複数個所に有する。表示パネル78を含む層L1は、表示領域DAの外側に穴H1を有する(図1参照)。一方に最外の層L8(カバーガラス66)を除く層L1~L7は、穴H1~H7として貫通穴を有する。カバーガラス66(層L8)は、穴H8として凹部を有する。凹部は、他の層L7に向けて開口する。
【0035】
穴Hは、レーザーなどで形成するため、位置ずれや大きさの不均一が生じる。一方、複数層Lは外形端で揃えられている。そのため、複数層Lの穴Hは、外形端の一致精度と比べてずれている。例えば、複数層Lの穴Hは、中心及び内面の少なくとも一方においてずれている。
【0036】
複数層Lの全てにわたって、穴Hに連続的に、樹脂80が充填されている。樹脂80が硬化していることで、複数層Lが相互に連結される。本実施形態によれば、樹脂80によって複数層Lの穴Hがずれた状態で位置決めされていても、外形端が一致しているので、高い位置決め精度が得られている。
【0037】
次に、図1図3を参照して、本実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する。本実施形態では複数層Lを用意する。複数層Lは、表示領域DAを有する表示パネル78を含む。複数層Lは、それぞれ、穴Hを有する。表示パネル78は、表示領域DAの外側に穴Hを有する。
【0038】
複数層Lを、相互に直交する第1方向D1及び第2方向D2の少なくとも一方の両端において外形端が一致するように積層する。このとき、それぞれが複数個所に有する穴Hを積層方向に連通させる。複数層Lの穴Hは、外形端の一致精度と比べて、ずれることになる。
【0039】
複数層Lの全てにわたって穴Hに連続的に樹脂80を充填する。樹脂80は、液状、ゲル状又はペースト状で充填する。そして、樹脂80を硬化させる。本実施形態によれば、樹脂80を使用するので複数層Lの穴Hがずれていても、外形端が一致するように、高い位置決め精度を得ることができる。
【0040】
図4は、実施形態の変形例1に係る表示装置を示す断面図である。この例では、図3の例とは逆に、カバーガラス166(層L8)に形成される穴H8が貫通穴であり、筐体176(層L5)に形成される穴H5が凹部である。製造工程では、カバーガラス166(層L8)の穴H8から樹脂180を充填する。カバーガラス166(層L8)の穴H8は、その上に化粧パネルを設けたり、塗装したりして隠すことが好ましい。
【0041】
図5は、実施形態の変形例2に係る表示装置を示す断面図である。この例は、複数層Lは、それぞれ、穴Hとして貫通穴を有する。つまり、カバーガラス266及び筐体276に形成される穴Hも貫通穴である。
【0042】
図6は、図3の比較例として、複数層Lの各層L1~L8に設けられた穴H1~H8に対し、金属ピン380等を通すことによって支持固定した例を示している。この場合、金属ピン380によって穴H1~H8が揃えられるため、相対的に各層L1~L8の端部にズレが生ずることになる。ズレの方向は、各層L1~L8における穴H1~H8の加工精度によるものであるから決して一方向ではなく、結果として各層L1~L8のズレは様々な方向に生ずることとなり、アッセンブル後の外形誤差拡大の要因となる。
【0043】
なお、表示装置は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置には限定されず、量子ドット発光素子(QLED:Quantum‐Dot Light Emitting Diode)のような発光素子を各画素に備えた表示装置であってもよいし、液晶表示装置であってもよい。
【0044】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0045】
10 基板、12 フレキシブルプリント基板、13 集積回路、14 アンダーコート層、14a シリコン酸化膜、14b シリコン窒化膜、14c シリコン酸化膜、16 付加膜、18 半導体層、20 ゲート絶縁膜、22 ゲート電極、24 層間絶縁膜、26 ドレイン電極、28 引き回し配線、32 端子、34 平坦化膜、35 酸化インジウムスズ膜、36 画素コンタクト部、38 第1透明導電膜、40 第2透明導電膜、42 シリコン窒化膜、44 画素電極、46 第3透明導電膜、48 絶縁層、50 有機EL層、52 対向電極、54 陰極コンタクト部、56 封止膜、56a シリコン窒化膜、56b 有機樹脂層、56c シリコン窒化膜、58 接着層、60 タッチパネル基板、62 円偏光板、64 接着層、66 カバーガラス、68 接着層、70 支持フィルム、72 均熱シート、74 クッションシート、76 筐体、78 表示パネル、80 樹脂、166 カバーガラス、176 筐体、180 樹脂、266 カバーガラス、276 筐体、Cad 付加容量、CL1 第1保持容量線、CL2 第2保持容量線、Cs 保持容量、D1 第1方向、D2 第2方向、DA 表示領域、FA 折曲領域、H 穴、L 複数層、PA 周辺領域、TR 薄膜トランジスタ、W1 第1配線層、W2 第2配線層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6