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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】鉄道検測装置及び鉄道検測方法
(51)【国際特許分類】
   B60M 1/28 20060101AFI20220803BHJP
   B61C 17/00 20060101ALI20220803BHJP
   B61D 15/12 20060101ALI20220803BHJP
   B61K 13/00 20060101ALI20220803BHJP
   G01B 11/30 20060101ALN20220803BHJP
   G01B 11/02 20060101ALN20220803BHJP
【FI】
B60M1/28 R
B61C17/00 A
B61D15/12
B61K13/00 Z
G01B11/30 Z
G01B11/02 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018058197
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019167046
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】301078191
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀康
(72)【発明者】
【氏名】黒川 剛士
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 知彦
(72)【発明者】
【氏名】荒木 正樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智哉
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 猛
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 智治
(72)【発明者】
【氏名】志澤 礼健
(72)【発明者】
【氏名】浜岡 敬伸
(72)【発明者】
【氏名】大黒 崇弘
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104243909(CN,A)
【文献】特開平08-188064(JP,A)
【文献】特開2010-003520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60M 1/28
B61C 17/00
B61D 15/12
B61K 13/00
G01B 11/30
G01B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を検測する鉄道検測装置の制御ユニットとの間に第1の空間を形成して、前記制御ユニットの周囲を断熱材で密閉する断熱ケースと、
前記断熱ケースとの間に第2の空間を形成して、前記断熱ケースを覆うカバーと、
熱交換素子を有し、前記第1の空間と前記第2の空間とにまたがって設けられた温度調節ユニットとを備え、
前記断熱ケースは、搭載面に開口を設けた、前記制御ユニットを搭載する棚台を有し、
前記カバーは、表面に遮熱塗料が塗布され、外部から前記第2の空間内へ空気を吸入する吸入口、及び前記第2の空間内から外部へ空気を排出する排出口を有し、
前記温度調節ユニットは、前記第1の空間及び前記第2の空間内の空気と前記熱交換素子との間で熱を伝導する熱伝導部材として、前記第1の空間内に設けられた第1の熱伝導部材、及び、前記第2の空間内に設けられた第2の熱伝導部材を有し、前記第1の空間及び前記第2の空間内の空気を移動させるファンとして、前記第1の空間内に設けられた第1のファン、及び、前記第2の空間内に設けられた第2のファンを有し、
前記第1のファンは、前記棚台の下方に設けられて、前記第1の空間内の空気を、前記制御ユニットの下方から前記開口を通して前記制御ユニットの上方へ循環させ、
前記制御ユニットが、鉄道の車両の屋根に設置された
ことを特徴とする鉄道検測装置。
【請求項2】
前記カバーは、前記車両の走行方向の正面及び裏面に通風孔を有し、
前記車両の走行方向の正面の前記通風孔は、前記車両の走行時、前記カバーの外部から前記第2の空間内へ空気を取り込む
ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道検測装置。
【請求項3】
前記熱交換素子は、ペルチェ素子からなる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鉄道検測装置。
【請求項4】
前記温度調節ユニットを複数備え、
前記断熱ケースは、前記制御ユニットの各機器を前記複数の温度調節ユニットのいずれかに割り当てる仕切り板を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の鉄道検測装置。
【請求項5】
鉄道検測装置の制御ユニットを鉄道の車両の屋根に設置し、
前記制御ユニットの周囲を断熱材を含む断熱ケースで密封して、前記制御ユニットと前記断熱ケースとの間に第1の空間を形成し、
前記断熱ケースをカバーで覆って、前記断熱ケースと前記カバーとの間に第2の空間を形成し、
熱交換素子、第1及び第2の熱伝導部材、並びに第1及び第2のファンを有する温度調節ユニットを、前記第1の空間と前記第2の空間とにまたがって設け、
前記断熱ケース内に棚台を設け、前記棚台の搭載面に開口を設けて、前記制御ユニットを前記棚台に搭載し、
前記カバーの表面に遮熱塗料を塗布して、前記カバーに、外部から前記第2の空間内へ空気を吸入する吸入口、及び前記第2の空間内から外部へ空気を排出する排出口を設け、
前記第1の空間内に前記第1の熱伝導部材を設けて、前記第1の空間内の空気と前記熱交換素子との間で熱を伝導し、
前記第1の空間内の前記棚台の下方に前記第1のファンを設けて、前記第1の空間内の空気を、前記制御ユニットの下方から前記開口を通して前記制御ユニットの上方へ循環させ、
前記第2の空間内に前記第2の熱伝導部材を設けて、前記第2の空間内の空気と前記熱交換素子との間で熱を伝導し、
前記第2の空間内に前記第2のファンを設けて、前記吸入口から前記第2の空間内へ空気を送り込んで、前記第2の空間内の空気を拡散させることにより、
前記第1及び第2の熱伝導部材により、前記第1の空間及び前記第2の空間内の空気と前記熱交換素子との間で熱を伝導し、
前記第1及び第2のファンにより、前記第1の空間及び前記第2の空間内の空気を移動させながら、
前記鉄道検測装置により、検査対象物を検測する
ことを特徴とする鉄道検測方法。
【請求項6】
前記カバーの前記車両の走行方向の正面及び裏面に通風孔を設け、
前記車両の走行方向の正面に設けた前記通風孔により、前記車両の走行時、前記カバーの外部から前記第2の空間内へ空気を取り込む
ことを特徴とする請求項5に記載の鉄道検測方法。
【請求項7】
前記熱交換素子として、ペルチェ素子を用いる
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の鉄道検測方法。
【請求項8】
前記温度調節ユニットを複数設け、
前記断熱ケース内に設けた仕切り板により、前記制御ユニットの各機器を前記複数の温度調節ユニットのいずれかに割り当てる
ことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の鉄道検測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の架線(トロリ線)の摩耗量や、軌道の状態、変位等、あるいは、周囲の構造物や、鉄道の運行の障害となる支障物等を検測する鉄道検測装置及び鉄道検測方法に係り、特に、鉄道の営業車に搭載するのに好適な鉄道検測装置及び鉄道検測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の車両の屋根には、集電舟を有するパンタグラフが設けられており、パンタグラフの集電舟が架線と接触して、鉄道の車両への給電が行われる。架線は集電舟との接触で摩耗し、架線検測装置を用いた架線の定期的な検査が必要となる。架線の摩耗量等を検出する架線検測装置は、検査光を架線へ照射して、架線からの反射光を受光するセンサーユニットと、センサーユニットの検出信号を処理し、また装置全体を制御する制御ユニットとを含んで構成されている。架線の検査の際には、通常、検査専用の検測車が運行され、架線検測装置のセンサーユニットは、検測車の屋根に設置され、制御ユニットは、検測車内に搭載される。この様な架線検測装置として、例えば、特許文献1に記載のトロリ線測定装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-215414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
架線の摩耗量のデータを詳細に検討して、摩耗量が限界に達する時期を予測する予兆診断を行いたいという要求がある。この様な予兆診断を行うには、例えば半年に1回程度の検測車による定期的な検査だけでは、データ量が十分でない。そこで、常時運行している営業車に架線検測装置を搭載して、営業車により架線の検査データを収集することが望まれている。その場合、営業車には架線検測装置の制御ユニットを搭載するスペースがないので、架線検測装置全体を営業車の屋根に設置する必要がある。しかしながら、架線検測装置を営業車の屋根に設置する場合、直射日光による輻射熱と、装置内の機器からの発熱とにより、制御ユニットの機器が動作温度を上回る高温になって、装置が正常に動作しない恐れがある。また、寒冷地では、逆に、制御ユニットの機器が動作温度を下回る低温になって、装置が正常に動作しない恐れがある。そこで、制御ユニットの温度調節が必要となるが、営業車の屋根と架線との間には、300~400mm程度の高さのスペースしかないため、大型の空調設備を設置することはできなかった。
【0005】
本発明の課題は、鉄道検測装置の制御ユニットの温度調節を効果的に行って、鉄道検測装置の制御ユニットを鉄道の車両の屋根に設置することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鉄道検測装置は、検査対象物を検測する鉄道検測装置の制御ユニットとの間に第1の空間を形成して、制御ユニットの周囲を断熱材で密閉する断熱ケースと、断熱ケースとの間に第2の空間を形成して、断熱ケースを覆うカバーと、熱交換素子を有し、第1の空間と第2の空間とにまたがって設けられた温度調節ユニットとを備え、カバーは、表面に遮熱塗料が塗布され、外部から第2の空間内へ空気を吸入する吸入口、及び第2の空間内から外部へ空気を排出する排出口を有し、温度調節ユニットは、第1の空間及び第2の空間内の空気と熱交換素子との間で熱を伝導する熱伝導部材、並びに、第1の空間及び第2の空間内の空気を移動させるファンを有し、制御ユニットが、鉄道の車両の屋根に設置されたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の鉄道検測方法は、鉄道検測装置の制御ユニットを鉄道の車両の屋根に設置し、制御ユニットの周囲を断熱材を含む断熱ケースで密封して、制御ユニットと断熱ケースとの間に第1の空間を形成し、断熱ケースをカバーで覆って、断熱ケースとカバーとの間に第2の空間を形成し、熱交換素子、熱伝導部材、及びファンを有する温度調節ユニットを、第1の空間と第2の空間とにまたがって設け、カバーの表面に遮熱塗料を塗布して、カバーに、外部から第2の空間内へ空気を吸入する吸入口、及び第2の空間内から外部へ空気を排出する排出口を設け、熱伝導部材により、第1の空間及び第2の空間内の空気と熱交換素子との間で熱を伝導し、ファンにより、第1の空間及び第2の空間内の空気を移動させながら、鉄道検測装置により、検査対象物を検測することを特徴とする。
【0008】
直射日光による輻射熱は、表面に遮熱塗料を塗布したカバー、及び断熱材を含む断熱ケースにより遮られて、断熱ケース内へは伝導されない。断熱ケース内の制御ユニットを冷却する場合、断熱ケース内の第1の空間では、第1の空間内の空気の熱が、熱伝導部材により熱交換素子の低温側へ伝導されて、第1の空間内の空気が冷却される。そして、冷却された第1の空間内の空気が、ファンにより第1の空間内を循環して、制御ユニットの機器を冷却する。断熱ケースとカバーとの間の第2の空間では、熱交換素子の高温側の熱が、熱伝導部材により第2の空間内の空気へ伝導されて、第2の空間へ放出される。そして、第2の空間へ放出された熱が、ファンにより吸入口から第2の空間内へ送り込まれた空気で、第2の空間内の空気と共に拡散される。
【0009】
一方、寒冷地では、外部の冷気は、カバー、及び断熱材を含む断熱ケースにより遮られて、断熱ケース内へは達しない。断熱ケース内の制御ユニットを加温する場合、断熱ケース内の第1の空間では、熱交換素子の高温側の熱が、熱伝導部材により第1の空間内の空気へ伝導されて、第1の空間内の空気が加温される。そして、加温された第1の空間内の空気が、ファンにより第1の空間内を循環して、制御ユニットの機器を加温する。断熱ケースとカバーとの間の第2の空間では、第2の空間内の空気の熱が、熱伝導部材により熱交換素子の低温側へ伝導されて、第2の空間内の空気が冷却される。そして、冷却された第2の空間内の空気が、ファンにより吸入口から第2の空間内へ送り込まれた空気で拡散される。これらの動作により、鉄道検測装置の制御ユニットの温度調節が効果的に行われ、鉄道の車両の屋根に設置された鉄道検測装置の制御ユニットが正常に動作する。
【0010】
さらに、本発明の鉄道検測装置は、断熱ケースが、搭載面に開口を設けた、制御ユニットを搭載する棚台を有し、温度調節ユニットが、第1の空間内に設けられた第1の熱伝導部材、第1の空間内に設けられた第1のファン、第2の空間内に設けられた第2の熱伝導部材、及び、第2の空間内に設けられた第2のファンを有し、第1のファンが、棚台の下方に設けられて、第1の空間内の空気を、制御ユニットの下方から開口を通して制御ユニットの上方へ循環させることを特徴とする。また、本発明の鉄道検測方法は、断熱ケース内に棚台を設け、棚台の搭載面に開口を設けて、制御ユニットを棚台に搭載し、第1の空間内に第1の熱伝導部材を設けて、第1の空間内の空気と熱交換素子との間で熱を伝導し、第1の空間内の棚台の下方に第1のファンを設けて、第1の空間内の空気を、制御ユニットの下方から開口を通して制御ユニットの上方へ循環させ、第2の空間内に第2の熱伝導部材を設けて、第2の空間内の空気と熱交換素子との間で熱を伝導し、第2の空間内に第2のファンを設けて、吸入口から第2の空間内へ空気を送り込んで、第2の空間内の空気を拡散させることを特徴とする。第1の空間及び第2の空間内の空気と熱交換素子との間の熱伝導、並びに、第1の空間及び第2の空間内の空気の移動が、効率良く行われると共に、第1の空間内において、制御ユニットの機器から発生した熱、または熱交換素子で加温された第1の空間内の空気の熱が、制御ユニットの下方から上方へ効率良く移動し、制御ユニットの温度調節が効率良く行われる。
【0011】
さらに、本発明の鉄道検測装置は、カバーが、車両の走行方向の正面及び裏面に通風孔を有し、車両の走行方向の正面の通風孔が、車両の走行時、カバーの外部から第2の空間内へ空気を取り込むことを特徴とする。また、本発明の鉄道検測方法は、カバーの車両の走行方向の正面及び裏面に通風孔を設け、車両の走行方向の正面に設けた通風孔により、車両の走行時、カバーの外部から第2の空間内へ空気を取り込むことを特徴とする。通風孔から第2の空間内へ取り込まれた空気の流れで、第2の空間内の空気の拡散が促進される。
【0012】
さらに、本発明の鉄道検測装置は、熱交換素子が、ペルチェ素子からなることを特徴とする。また、本発明の鉄道検測方法は、熱交換素子として、ペルチェ素子を用いることを特徴とする。熱交換素子として、ペルチェ素子を用いることにより、装置が小型化されて鉄道の車両の屋根に設置し易くなる。
【0013】
さらに、本発明の鉄道検測装置は、温度調節ユニットを複数備え、断熱ケースが、制御ユニットの各機器を複数の温度調節ユニットのいずれかに割り当てる仕切り板を有することを特徴とする。また、本発明の鉄道検測方法は、温度調節ユニットを複数設け、断熱ケース内に設けた仕切り板により、制御ユニットの各機器を複数の温度調節ユニットのいずれかに割り当てることを特徴とする。温度調節ユニット毎に調節温度を変更して、制御ユニットの各機器の温度管理を精密に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、鉄道検測装置の制御ユニットの温度調節を効果的に行って、鉄道検測装置の制御ユニットを鉄道の車両の屋根に設置することができる。
【0015】
さらに、断熱ケース内に棚台を設け、棚台の搭載面に開口を設けて、制御ユニットを棚台に搭載し、第1の空間内に第1の熱伝導部材を設けて、第1の空間内の空気と熱交換素子との間で熱を伝導し、第1の空間内の棚台の下方に第1のファンを設けて、第1の空間内の空気を、制御ユニットの下方から開口を通して制御ユニットの上方へ循環させ、第2の空間内に第2の熱伝導部材を設けて、第2の空間内の空気と熱交換素子との間で熱を伝導し、第2の空間内に第2のファンを設けて、吸入口から第2の空間内へ空気を送り込んで、第2の空間内の空気を拡散させることにより、第1の空間及び第2の空間内の空気と熱交換素子との間の熱伝導、並びに、第1の空間及び第2の空間内の空気の移動を、効率良く行うことができると共に、第1の空間内において、制御ユニットの温度調節を効率良く行うことができる。
【0016】
さらに、カバーの車両の走行方向の正面及び裏面に通風孔を設け、車両の走行方向の正面に設けた通風孔により、車両の走行時、カバーの外部から第2の空間内へ空気を取り込むことにより、通風孔から第2の空間内へ取り込まれた空気の流れで、第2の空間内の空気の拡散を促進させることができる。
【0017】
さらに、熱交換素子として、ペルチェ素子を用いることにより、装置を小型化して鉄道の車両の屋根に設置し易くすることができる。
【0018】
さらに、仕切り板を用い、制御ユニットの各機器を複数の温度調節ユニットのいずれかに割り当てることにより、温度調節ユニット毎に調節温度を変更して、制御ユニットの各機器の温度管理を精密に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態による架線検測装置の概略構成を示す図である。
図2】架線用センサーユニットの構成例を示す図である。
図3】構造物用センサーユニットの構成例を示す斜視図である。
図4】営業車の屋根に設置された架線検測装置の斜視図である。
図5図5(a)はカバーの上面図、図5(b)はカバーの側面図である。
図6図6(a)はカバーの正面図、図6(b)は通風孔の断面図である。
図7図7(a)は図5(a)のA-A部断面図、図7(b),(c)は第1の空間内及び第2の空間内の空気の流れと熱の移動を説明する図である。
図8図6(a)のB-B部断面図である。
図9】温度調節ユニットの構成を示す図である。
図10】営業車停車時の、第2の空間内の空気の流れと熱の移動を説明する図である。
図11】営業車走行時の、第2の空間内の空気の流れと熱の移動を説明する図である。
図12】本発明の他の実施の形態による架線検測装置の断熱ケースの内部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施の形態]
以下、本発明の鉄道検測装置及び鉄道検測方法を、架線検測装置を例にして、詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態による架線検測装置の概略構成を示す図である。本実施の形態の架線検測装置100は、架線用センサーユニット3、構造物用センサーユニット10、GPSアンテナ16、制御ユニット20、断熱ケース30、カバー40、及び温度調節ユニット50を含んで構成されている。
【0021】
(架線用センサーユニット)
図2は、架線用センサーユニットの構成例を示す図であって、図2(a)は上面図、図2(b)は側面図である。架線用センサーユニット3は、投光器4、ミラー5,6、レンズ7、センサー8、及びミラー位置調節装置9を含んで構成され、鉄道の車両の屋根に設置される。図2(a)において、鉄道の車両の屋根に設置された架線用センサーユニット3の上空には、破線で示す架線1が、パンタグラフの集電舟の局所的な摩耗を防止するため、ジグザグに敷設されている。投光器4は、長手方向に、例えば発光ダイオード(LED)等からなる複数の光源を有し、光量が均一なスリット状の検査光を発生する。
【0022】
図2(b)において、投光器4から発生した検査光は、ミラー5で反射されて架線1へ照射され、架線1から反射光が発生する。架線1からの反射光は、ミラー6で反射された後、レンズ7で収束されて、複数のセンサー8のいずれかへ照射される。各センサー8は、例えばCCDラインセンサー等からなり、受光した反射光の強度に応じた検出信号を出力する。架線1の下端の摺動部の断面は略円弧状であり、摩耗すると平らな部分の面積が増加して、架線1から発生する反射光が増加する。従って、反射光の強度に応じた検出信号から、架線1の摩耗量が検出される。ミラー位置調節装置9は、架線1の高さ方向の変位に応じて、ミラー6の図面横方向の位置を調節する。なお、図2の例では、レンズ7及びセンサー8が5つずつ設けられているが、レンズ7及びセンサー8の数は、これに限るものではない。
【0023】
(構造物用センサーユニット)
図3は、構造物用センサーユニットの構成例を示す斜視図である。構造物用センサーユニット10は、レーザー光源11、走査装置12、カメラ13、モータ14、及びミラー15を含んで構成され、鉄道の車両の屋根に設置される。なお、構造物用センサーユニット10には、架線1の左右の脇の構造物用に、レーザー光源11、走査装置12、カメラ13、モータ14、及びミラー15が2組ずつ設けられているが、図3ではそれらの内の1組だけが示されている。
【0024】
レーザー光源11は、例えばレーザーダイオード等からなり、レーザービームを発生する。レーザー光源11から発生したレーザービームは、ミラー15で反射されて、走査装置12へ照射される。なお、ミラーを介さずに、レーザー光源11から走査装置12へレーザービームを直接照射してもよい。走査装置12は、例えばポリゴンミラー等からなり、モータ14により回転しながら、レーザービームを反射する。モータ14は、例えばDCブラシレスモータ等からなり、走査装置12を高速で回転させる。走査装置12により反射されたレーザービームは、構造物用センサーユニット10から鉄道の線路の周囲へ照射され、走査装置12の回転に伴い、レーザービームが、線路の周囲の柱や電柱等の構造物を走査する。カメラ13は、例えばCCDカメラ等からなり、レーザービームが線路の周囲の構造物により散乱された散乱光を受光して、画像信号を出力する。
【0025】
(制御ユニット)
図1において、制御ユニット20は、検出制御装置21、走査制御装置22、画像処理装置23、位置演算装置24、データ収集装置25、GPS装置26、通信装置27、及び温度制御装置28を含んで構成されている。検出制御装置21は、架線用センサーユニット3の投光器4へ駆動電流を供給して、検査光を発生させ、また、架線用センサーユニット3のミラー位置調節装置9を制御して、ミラー6の位置を調節する。そして、検出制御装置21は、架線用センサーユニット3のセンサー8から出力された検出信号に基づいて、架線1の摩耗量を検出する。検出制御装置21は、検出した架線1の摩耗量を、データ収集装置25へ出力する。
【0026】
走査制御装置22は、構造物用センサーユニット10のレーザー光源11へ駆動電流を供給して、レーザービームを発生させ、また、構造物用センサーユニット10の走査装置12を回転させるモータ14へ駆動電流を供給する。画像処理装置23は、プロファイル生成部を有し、プロファイル生成部は、構造物用センサーユニット10のカメラ13から出力された画像信号を処理して、線路の周囲の柱や電柱等の構造物のプロファイル(profile:輪郭)を生成する。そして、画像処理装置23は、生成したプロファイルから、線路の周囲の構造物の形状を検出して、その構造物を認識する。画像処理装置23は、生成したプロファイルを、データ収集装置25へ出力する。
【0027】
位置演算装置24は、画像処理装置23が認識した構造物から、架線の位置を検出する。例えば、営業車2が走行している線路の脇の電柱の数をカウントすることにより、営業車2の線路上の位置、即ち検測している架線の位置を検出することができる。また、構造物の無い区間では、位置演算装置24は、GPS装置26からの位置情報により、架線の位置を検出する。線路の周囲の構造物から検出した架線の位置の情報は、GPS装置26からの位置情報よりも高い精度を有する。位置演算装置24は、検出した架線の位置を、データ収集装置25へ出力する。
【0028】
データ収集装置25は、検出制御装置21から出力された架線1の摩耗量のデータ、画像処理装置23から出力された構造物のプロファイルのデータ、及び位置演算装置24から出力された架線の位置のデータを、通信装置27を介して、地上の基地局の端末、及び/又はクラウドサーバーへ送信する。温度制御装置28は、後述する温度調節ユニット50の熱交換素子へ駆動電流を供給し、また、駆動電流の極性を切り替えて、熱交換素子の高温側と低温側とを変更する。
【0029】
(断熱ケース、カバー、及び温度調節ユニット)
制御ユニット20の周囲には、断熱ケース30が設けられている。断熱ケース30は、制御ユニット20との間に第1の空間30aを形成して、制御ユニット20の周囲を断熱材で囲んでいる。断熱ケース30の周囲には、カバー40が設けられている。カバー40は、断熱ケース30との間に第2の空間40aを形成して、断熱ケース30を覆っている。そして、制御ユニット20と断熱ケース30との間に形成された第1の空間30aと、断熱ケース30とカバー40との間に形成された第2の空間40aとにまたがって、断熱ケース30内の温度を調節する温度調節ユニット50が設けられている。
【0030】
(架線検測装置の外観)
本実施の形態の架線検測装置は、鉄道の営業車の屋根に設置される。図4は、営業車の屋根に設置された架線検測装置の斜視図である。架線検測装置100の外観は、架線用センサーユニット3、構造物用センサーユニット10、GPSアンテナ16、及びカバー40からなる。GPSアンテナ16は、カバー40の上面に取り付けられている。営業車2の屋根に設置された架線検測装置100の上空には、架線1が敷設されている。
【0031】
図5(a)はカバーの上面図、図5(b)はカバーの側面図である。カバー40は、例えば、ステンレス鋼等の合金材料で構成されている。カバー40の内部には、図1の断熱ケース30が収納されている。カバー40の表面には、遮熱塗料が塗布されており、遮熱塗料が塗布されたカバー40は、直射日光による輻射熱が断熱ケース30へ伝導されるのを抑制する。ここで「遮熱塗料」とは、太陽からの近赤外線を効率良く反射して、太陽光の熱の影響を低減する塗料を言う。図5(a),(b)において、カバー40の図面右脇には、設置台41が取り付けられており、設置台41には、構造物用センサーユニット10が設置されている。図5(b)において、カバー40の一方の側面には、外部から図1の第2の空間40a内へ空気を吸入する吸入口42が設けられている。
【0032】
図6(a)は、カバーの正面図である。カバー40の正面には、複数の通風孔44が設けられている。同様に、カバー40の裏面にも、複数の通風孔44が設けられている。架線検測装置100が設置された営業車2の停車時は、カバー40の吸入口42から第2の空間40a内へ吸入された空気が、後述するカバー40の排気口と、カバー40の正面及び裏面に設けられた通風孔44とから排出される。営業車2の走行時は、カバー40の吸入口42から第2の空間40a内へ吸入される空気とは別に、走行方向の正面に設けられた通風孔44からも第2の空間40a内へ空気が取り込まれ、これらの空気が、後述するカバー40の排気口と、反対側の裏面に設けられた通風孔44とから排出される。図6(b)は、通風孔の断面図である。通風孔44は、図6(b)に示す様に、貫通口が下向きに形成されており、雨や雪、塵等が侵入し難い構造となっている。
【0033】
(温度調節ユニットの温度調節機能)
図7(a)は、図5(a)のA-A部断面図である。カバー40の底面には、断熱ケース30とカバー40との間に形成された第2の空間40a内の空気を外部へ排出する排気口43が設けられている。また、カバー40に収納された断熱ケース30の内部には、棚台31が配置されており、棚台31の搭載面には、開口32が設けられている。制御ユニット20は、棚台31の搭載面に搭載されている。そして、制御ユニット20と断熱ケース30との間に形成された第1の空間30aと、断熱ケース30とカバー40との間に形成された第2の空間40aとにまたがって、図面奥行方向に複数の温度調節ユニット50が設置されている。図8は、図6(a)のB-B部断面図である。本実施の形態では、3つの温度調節ユニット50が設けられているが、温度調節ユニット50の数は、これに限らず、必要な温度調節能力に応じて適宜決定される。
【0034】
図9は、温度調節ユニットの構成を示す図であって、図9(a)は上面図、図9(b)は側面図である。温度調節ユニット50は、熱交換素子51、熱伝導シート52、内側フィン53(第1の熱伝導部材)、外側フィン54(第2の熱伝導部材)、循環用ファン55(第1のファン)、及び通気用ファン56(第2のファン)を含んで構成されている。熱交換素子51は、例えばペルチェ素子からなり、図1の温度制御装置28から駆動電流が供給される。熱交換素子51の図面右側の面には、熱伝導シート52を挟んで、内側フィン53が取り付けられている。また、熱交換素子51の図面左側の面には、熱伝導シート52を挟んで、外側フィン54が取り付けられている。内側フィン53及び外側フィン54は、例えば、アルミニウム等の熱伝導率の高い材料で構成され、空気と接触する面積を広げるために、板状の突起が多数設けられている。熱伝導シート52には、例えば、常温ではシート状で、使用温度下で流動性を持った液相に変化する相変化材料(Phase Change Material)からなるシート等が使用されている。なお、熱伝導シート52の代わりに、グリースを用いてもよい。循環用ファン55は、断熱ケース30内の棚台31の下方に、第1の空間30aの上部の空気を効率良く吸引する様に隔壁で密閉して、設置されている。通気用ファン56は、カバー40の吸入口42に接続されている。なお、本実施の形態では、1つの温度調節ユニット50に2つの循環用ファン55が設けられているが、循環用ファン55の数はこれに限るものではない。
【0035】
図7(a)において、内側フィン53は、第1の空間30a内に設けられて、第1の空間30a内の空気と熱交換素子51との間で熱を伝導する。循環用ファン55は、第1の空間30a内に設けられて、第1の空間30a内の空気を循環させる。また、外側フィン54は、第2の空間40a内に設けられて、第2の空間40a内の空気と熱交換素子51との間で熱を伝導する。通気用ファン56は、第2の空間40a内に設けられて、第2の空間40a内の空気を拡散させる。
【0036】
図7(b)は、制御ユニット20を冷却する場合の、第1の空間内及び第2の空間内の空気の流れと熱の移動を説明する図である。制御ユニット20を冷却する場合、図1の温度制御装置28は、熱交換素子51の内側フィン53側が低温側となり、熱交換素子51の外側フィン54側が高温側となる様に、熱交換素子51へ駆動電流を供給する。図7(b)において、内側が白色の矢印は、第1の空間30a内及び第2の空間40a内の空気の流れを示し、黒色の矢印は、制御ユニット20の機器から発生する熱の移動を示している。
【0037】
直射日光による輻射熱は、表面に遮熱塗料を塗布したカバー40、及び断熱材を含む断熱ケース30により遮られて、断熱ケース30内へは伝導されない。断熱ケース30内の第1の空間30aでは、制御ユニット20の機器から発生した第1の空間30a内の空気の熱が、内側フィン53により熱交換素子51の低温側へ伝導されて、第1の空間30a内の空気が冷却される。そして、冷却された第1の空間30a内の空気が、循環用ファン55により第1の空間30a内を循環して、制御ユニット20の機器を冷却する。断熱ケース30とカバー40との間の第2の空間40aでは、熱交換素子51の高温側の熱が、外側フィン54により第2の空間40a内の空気へ伝導されて、第2の空間40aへ放出される。そして、第2の空間40aへ放出された熱が、通気用ファン56により吸入口42から第2の空間40a内へ送り込まれた空気で、第2の空間40a内の空気と共に拡散される。
【0038】
図7(c)は、制御ユニット20を加温する場合の、第1の空間内及び第2の空間内の空気の流れと熱の移動を説明する図である。制御ユニット20を加温する場合、図1の温度制御装置28は、熱交換素子51の内側フィン53側が高温側となり、熱交換素子51の外側フィン54側が低温側となる様に、熱交換素子51へ供給する駆動電流の極性を切り替える。図7(c)において、内側が白色の矢印は、第1の空間30a内及び第2の空間40a内の空気の流れを示し、黒色の矢印は、制御ユニット20の機器に吸収される熱の移動を示している。
【0039】
寒冷地では、外部の冷気は、カバー40、及び断熱材を含む断熱ケース30により遮られて、断熱ケース30内へは達しない。断熱ケース30内の第1の空間30aでは、熱交換素子51の高温側の熱が、内側フィン53により第1の空間30a内の空気へ伝導されて、第1の空間30a内の空気が加温される。そして、加温された第1の空間30a内の空気が、循環用ファン55により第1の空間30a内を循環して、制御ユニット20の機器を加温する。断熱ケース30とカバー40との間の第2の空間40aでは、第2の空間40a内の空気の熱が、外側フィン54により熱交換素子51の低温側へ伝導されて、第2の空間40a内の空気が冷却される。そして、冷却された第2の空間40a内の空気が、通気用ファン56により吸入口42から第2の空間40a内へ送り込まれた空気で拡散される。これらの動作により、制御ユニット20の温度調節が効果的に行われ、営業車2の屋根に設置された架線検測装置100の制御ユニット20が正常に動作する。
【0040】
このとき、断熱ケース30内に棚台31を設け、棚台31の搭載面に開口32を設けて、制御ユニット20を棚台31に搭載し、循環用ファン55を棚台31の下方に設け、循環用ファン55により、第1の空間30a内の空気を、制御ユニット20の下方から開口32を通して制御ユニット20の上方へ循環させるので、制御ユニット20の機器から発生した熱(図7(b))、または熱交換素子51で加温された第1の空間30a内の空気の熱(図7(c))が、制御ユニット20の下方から上方へ効率良く移動し、制御ユニット20の温度調節が効率良く行われる。
【0041】
また、図9において、内側フィン53の図面右側の側面は、蓋57により塞がれており、内側フィン53の上部及び下部は、空気が通る様に解放されている。これにより、第1の空間30a内の空気が、内側フィン53の突起の隙間を通って、効率良く循環される。また、外側フィン54と通気用ファン56との間には、蓋58により空気通路58aが形成されており、外側フィン54と蓋58の上部及び下部は、空気が通る様に解放されている。これにより、第2の空間40a内の空気が、通気用ファン56からの風で効率良く拡散される。
【0042】
図10は、営業車停車時の、第2の空間内の空気の流れと熱の移動を説明する図である。図10において、内側が白色の矢印は、第2の空間40a内の空気の流れを示し、黒色の矢印は、第2の空間40a内の熱の移動を示している。断熱ケース30内の制御ユニット20を冷却する場合、断熱ケース30内で制御ユニット20の機器から発生した熱は、温度調節ユニット50により、第1の空間30a内から第2の空間40aへ放出されて、第2の空間40a内の空気と共に拡散される。そして、拡散された熱は、排気口43及び通風孔44を通って、カバー40の外部へ放出される。
【0043】
図11は、営業車走行時の、第2の空間内の空気の流れと熱の移動を説明する図である。図10と同様に、図11において、内側が白色の矢印は、第2の空間40a内の空気の流れを示し、黒色の矢印は、第2の空間40a内の熱の移動を示している。営業車2の走行時、カバー40の走行方向の正面に設けられた通風孔44から取り込まれた空気により、第2の空間40a内に、走行方向と反対方向の空気の流れが形成される。この空気の流れにより、第2の空間40a内の空気の拡散が促進される。
【0044】
図12は、本発明の他の実施の形態による架線検測装置の断熱ケースの内部を示す図である。本実施の形態では、断熱ケース30の内部に、制御ユニット20の各機器を複数の温度調節ユニット50のいずれかに割り当てる仕切り板33が設けられている。仕切り板33を用い、制御ユニット20の各機器を複数の温度調節ユニット50のいずれかに割り当てることにより、温度調節ユニット50毎に調節温度を変更して、制御ユニット20の各機器の温度管理を精密に行うことができる。
【0045】
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次の効果を奏する。
(1)架線検測装置100の制御ユニット20の温度調節を効果的に行って、架線検測装置100の制御ユニット20を営業車2の屋根に設置することができる。
【0046】
(2)さらに、断熱ケース30内に棚台31を設け、棚台31の搭載面に開口32を設けて、制御ユニット20を棚台31に搭載し、第1の空間30a内に第1の熱伝導部材53を設けて、第1の空間30a内の空気と熱交換素子51との間で熱を伝導し、第1の空間30a内の棚台31の下方に第1のファン55を設けて、第1の空間30a内の空気を、制御ユニット20の下方から開口32を通して制御ユニット20の上方へ循環させ、第2の空間40a内に第2の熱伝導部材54を設けて、第2の空間40a内の空気と熱交換素子51との間で熱を伝導し、第2の空間40a内に第2のファン56を設けて、吸入口42から第2の空間40a内へ空気を送り込んで、第2の空間40a内の空気を拡散させることにより、第1の空間30a及び第2の空間40a内の空気と熱交換素子51との間の熱伝導、並びに、第1の空間30a及び第2の空間40a内の空気の移動を、効率良く行うことができると共に、第1の空間30a内において、制御ユニット20の温度調節を効率良く行うことができる。
【0047】
(3)さらに、カバー40の営業車2の走行方向の正面及び裏面に通風孔44を設け、営業車2の走行方向の正面に設けた通風孔44により、営業車2の走行時、カバー40の外部から第2の空間40a内へ空気を取り込むことにより、通風孔44から第2の空間40a内へ取り込まれた空気の流れで、第2の空間40a内の空気の拡散を促進させることができる。
【0048】
(4)さらに、熱交換素子51として、ペルチェ素子を用いることにより、装置を小型化して営業車2の屋根に設置し易くすることができる。
【0049】
さらに、図12に示した実施の形態によれば、次の効果を奏する。
(5)仕切り板33を用い、制御ユニット20の各機器を複数の温度調節ユニット50のいずれかに割り当てることにより、温度調節ユニット50毎に調節温度を変更して、制御ユニット20の各機器の温度管理を精密に行うことができる。
【0050】
なお、本発明の鉄道検測装置及び鉄道検測方法は、以上説明した架線検測装置に限らず、軌道の状態、変位等を検測する軌道検測装置、あるいは、周囲の構造物を検測する構造物検測装置や、支障物等を検測する支障物検測装置等、他の鉄道設備の検測装置にも適用することができる。また、本発明の鉄道検測装置を検測車の屋根に設置して、従来は鉄道検測装置の制御ユニットが占めていた検測車内のスペースを、他の用途に有効活用することもできる。
【符号の説明】
【0051】
1 架線
2 営業車
3 架線用センサーユニット
4 投光器
5,6 ミラー
7 レンズ
8 センサー
9 ミラー位置調節装置
10 構造物用センサーユニット
11 レーザー光源
12 走査装置
13 カメラ
14 モータ
15 ミラー
16 GPSアンテナ
20 制御ユニット
21 検出制御装置
22 走査制御装置
23 画像処理装置
24 位置演算装置
25 データ収集装置
26 GPS装置
27 通信装置
28 温度制御装置
30 断熱ケース
30a 第1の空間
31 棚台
32 開口
33 仕切り板
40 カバー
40a 第2の空間
41 設置台
42 吸入口
43 排気口
44 通風孔
50 温度調節ユニット
51 熱交換素子
52 熱伝導シート
53 内側フィン(第1の熱伝導部材)
54 外側フィン(第2の熱伝導部材)
55 循環用ファン(第1のファン)
56 通気用ファン(第2のファン)
100 架線検測装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12