(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】照射位置検出装置
(51)【国際特許分類】
H01S 3/00 20060101AFI20220803BHJP
H01S 3/0941 20060101ALI20220803BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H01S3/00 G
H01S3/0941
G01B11/00 H
(21)【出願番号】P 2018059318
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】後藤 義明
(72)【発明者】
【氏名】江野 泰造
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/086885(WO,A1)
【文献】特開2016-063063(JP,A)
【文献】特開2005-322713(JP,A)
【文献】特開2000-269574(JP,A)
【文献】特開平04-268515(JP,A)
【文献】特開平06-147986(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0058165(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00 - 3/02
H01S 3/04 - 3/0959
H01S 3/098 - 3/102
H01S 3/105 - 3/131
H01S 3/136 - 3/213
H01S 3/23 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光線を射出する発光部と、レーザ媒質を保持し、該レーザ媒質を移動させ前記レーザ光線の入射位置を調整可能な媒質保持部と、前記レーザ媒質を透過した前記レーザ光線をS偏光とP偏光に分離する偏光光学部材と、S偏光のレーザ光線の出力を検出する第1光量検出器と、P偏光のレーザ光線の出力を検出する第2光量検出器と、制御部とを具備し、該制御部は、前記レーザ媒質の端面が前記レーザ光線で走査される様前記媒質保持部を駆動させ、前記レーザ媒質を透過した前記レーザ光線の前記第1光量検出器と前記第2光量検出器の検出結果に基づき消光比を演算し、消光比が予め設定した設定値以上である照射位置を前記レーザ光線を直線偏光とする為の照射位置として検出する様構成された照射位置検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1光量検出器と前記第2光量検出器の検出値の合計が予め設定した閾値を上回った照射位置のみを、前記レーザ光線を直線偏光とする為の照射位置として検出する様構成された請求項1に記載の照射位置検出装置。
【請求項3】
前記レーザ媒質の端面の位相差分布画像及び位相差方向矢印を取得可能な位相差カメラを更に具備し、前記レーザ媒質の内部に複屈折を有し、前記レーザ媒質の一辺に対して垂直な前記位相差方向矢印が存在した場合にのみ前記照射位置の検出を実行する様構成された請求項1又は請求項2に記載の照射位置検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記レーザ媒質の端面の中心から所定範囲を除く箇所が前記レーザ光線で走査される様前記媒質保持部を駆動させる様構成された請求項1~請求項3のうちいずれか1項に記載の照射位置検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記照射位置が予め設定された数だけ検出された時点で、前記レーザ光線による前記レーザ媒質の端面の走査を終了する様構成された請求項1~請求項3のうちいずれか1項に記載の照射位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ発振装置から発せられるレーザ光線を直線偏光とする為の照射位置を検出する照射位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分光計測、形状計測、非線形結晶励起等に利用されるレーザ発振装置として、例えばNd:YAG、Cr:YAG結晶等の等方性レーザ媒質を使ったQスイッチレーザ装置やCW(Continuous Wave)レーザ装置がある。例えば、Qスイッチレーザ装置は、所定波長のレーザ光を射出する発光部と、光共振器とから構成され、該光共振器は第1の誘電反射体と第2の誘電反射体、及び第1の誘電反射体と第2の誘電反射体との間に配置されたレーザ媒質と可飽和吸収体からなっている。
【0003】
Qスイッチレーザ装置では、発光部から射出された励起レーザ光によりレーザ媒質が励起され、レーザ媒質から放出された自然放出光は可飽和吸収体に吸収される。自然放出光の吸収に伴い、可飽和吸収体の励起準位の電子密度が次第に増加し、電子密度が飽和することで可飽和吸収体が透明化する。可飽和吸収体が透明化することで、レーザ発振が生じてパルス光が射出される。
【0004】
パルス光の波長変換や形状測定を行う場合、射出されるパルス光の偏光方向が一致しているのが望ましい。然し乍ら、上記したQスイッチレーザ装置の場合、励起レーザ光の周波数を数KHz以上とすると、パルス光が直交する方向に交互に偏光されて射出される偏光特性となる。又、CWレーザ装置の場合も同様に、射出されるレーザ光線は直交する方向に交互に偏光されて連続発振される。従って、従来は光共振器内に偏光素子を設ける等により、パルス光の偏光方向を制御していた。
【0005】
又、従来では、レーザ媒質に対して外部から応力を付与し、レーザ媒質の内部に生じる内部歪みに起因する複屈折によりレーザ光線を同一偏光方向化(直線偏光化)させるものもある。然し乍ら、従来の場合、レーザ媒質の所定の位置へのレーザ光線の照射と、この照射によって励起されるレーザ光線が直線偏光となっているかどうかの確認を全面に亘って繰返す必要があり、作業が繁雑で時間も掛っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、パルス光を直線偏光とするレーザ媒質への照射位置を容易に且つ短時間で特定可能な照射位置検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、レーザ光線を射出する発光部と、レーザ媒質を保持し、該レーザ媒質を移動させ前記レーザ光線の入射位置を調整可能な媒質保持部と、前記レーザ媒質を透過した前記レーザ光線をS偏光とP偏光に分離する偏光光学部材と、S偏光のレーザ光線の出力を検出する第1光量検出器と、P偏光のレーザ光線の出力を検出する第2光量検出器と、制御部とを具備し、該制御部は、前記レーザ媒質の端面が前記レーザ光線で走査される様前記媒質保持部を駆動させ、前記レーザ媒質を透過した前記レーザ光線の前記第1光量検出器と前記第2光量検出器の検出結果に基づき消光比を演算し、消光比が予め設定した設定値以上である照射位置を前記レーザ光線を直線偏光とする為の照射位置として検出する様構成された照射位置検出装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記制御部は、前記第1光量検出器と前記第2光量検出器の検出値の合計が予め設定した閾値を上回った照射位置のみを、前記レーザ光線を直線偏光とする為の照射位置として検出する様構成された照射位置検出装置に係るものである。
【0010】
又本発明は、前記レーザ媒質の端面の位相差分布画像及び位相差方向矢印を取得可能な位相差カメラを更に具備し、前記レーザ媒質の内部に複屈折を有し、前記レーザ媒質の一辺に対して垂直な前記位相差方向矢印が存在した場合にのみ前記照射位置の検出を実行する様構成された照射位置検出装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記制御部は、前記レーザ媒質の端面の中心から所定範囲を除く箇所が前記レーザ光線で走査される様前記媒質保持部を駆動させる様構成された照射位置検出装置に係るものである。
【0012】
更に又本発明は、前記制御部は、前記照射位置が予め設定された数だけ検出された時点で、前記レーザ光線による前記レーザ媒質の端面の走査を終了する様構成された照射位置検出装置に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レーザ光線を射出する発光部と、レーザ媒質を保持し、該レーザ媒質を移動させ前記レーザ光線の入射位置を調整可能な媒質保持部と、前記レーザ媒質を透過した前記レーザ光線をS偏光とP偏光に分離する偏光光学部材と、S偏光のレーザ光線の出力を検出する第1光量検出器と、P偏光のレーザ光線の出力を検出する第2光量検出器と、制御部とを具備し、該制御部は、前記レーザ媒質の端面が前記レーザ光線で走査される様前記媒質保持部を駆動させ、前記レーザ媒質を透過した前記レーザ光線の前記第1光量検出器と前記第2光量検出器の検出結果に基づき消光比を演算し、消光比が予め設定した設定値以上である照射位置を前記レーザ光線を直線偏光とする為の照射位置として検出する様構成されたので、実際に励起レーザ光を前記レーザ媒質に照射し、射出されるレーザ光線の偏光方向を確認する回数を低減させることができ、前記レーザ光線を直線偏光化させる為の作業を容易に実行できると共に、作業時間の短縮を図ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】パルス光が直交する方向に交互に偏光されて射出される状態を示す説明図である。
【
図3】本発明の第1の実施例に係る照射位置検出装置を示す構成図である。
【
図4】該照射位置検出装置のホルダとレーザ媒質とを示す正面図である。
【
図5】本発明の第1の実施例に係る照射位置の検出工程を説明するフローチャートである。
【
図6】レーザ媒質端面の走査順序と区分けした領域を示す第1出力画像を説明する説明図である。
【
図9】本発明の第2の実施例に係る照射位置検出装置を示す構成図である。
【
図10】(A)(B)は、位相差カメラにより撮影されたレーザ媒質端面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0016】
先ず、
図1に於いて、本発明の実施例でレーザ光線の照射位置が決定されたレーザ媒質が用いられるレーザ発振装置1の一例について説明する。該レーザ発振装置1は、例えばQスイッチレーザ発振装置であり、発光部2と光共振部3とから構成されている。前記発光部2は、例えば半導体レーザ等のレーザ光を射出する発光器(図示せず)と、集光レンズ(図示せず)等から構成され、所定波長の励起レーザ光4を射出する様になっている。
【0017】
前記発光部2の下面には、所要の冷却手段、例えばペルチェ素子10が設けられている。該ペルチェ素子10により前記発光部2が冷却され、前記励起レーザ光4を射出する際の前記発光部2の温度上昇を抑制している。
【0018】
前記光共振部3は、第1の光学結晶としてのレーザ媒質5と、第2の光学結晶としての可飽和吸収体6とを有し、前記レーザ媒質5と前記可飽和吸収体6とはオプティカルコンタクト、熱拡散接合等で一体化された構成となっている。又、前記レーザ媒質5の入射面は第1共振部ミラー7となっており、前記可飽和吸収体6の射出面は第2共振部ミラー8となっている。更に、前記レーザ媒質5と前記可飽和吸収体6は、ホルダ9により一体に保持される。
【0019】
前記レーザ媒質5としては、例えばNd:YAG/Cr:YAG結晶が用いられる。前記レーザ媒質5は、波長808nmの前記励起レーザ光4で励起され、入射した該励起レーザ光4を増幅して波長1064nmの自然放出光(光子)(図示せず)を放出する様になっている。
【0020】
前記可飽和吸収体6としては、例えばCr:YAG結晶が用いられる。前記可飽和吸収体6は、前記レーザ媒質5から放出された前記自然放出光を吸収する性質を有する。又、前記可飽和吸収体6は、前記自然放出光の吸収に伴い透過率が増加し、電子密度が増大して飽和した際に透明化する性質を有している。前記可飽和吸収体6が透明化することで、該可飽和吸収体6より波長1064nmのパルス光11が射出される。
【0021】
前記第1共振部ミラー7は、前記発光部2からの前記励起レーザ光4に対して高透過であり、前記レーザ媒質5から放出される前記自然放出光に対して高反射となっている。又、前記第2共振部ミラー8より前記パルス光11が射出される。
【0022】
前記発光部2から前記励起レーザ光4が照射されると、該励起レーザ光4は前記第1共振部ミラー7を透過して前記レーザ媒質5に入射する。前記励起レーザ光4により前記レーザ媒質5が励起され、その際に発生する前記自然放出光の一部が前記可飽和吸収体6に入射する。前記自然放出光の吸収に伴い、前記可飽和吸収体6の電子密度が増加し飽和すると、該可飽和吸収体6が透明化し、前記第2共振部ミラー8を透過して前記パルス光11が射出される。
【0023】
尚、前記レーザ発振装置1から前記可飽和吸収体6を取除いた場合には、前記レーザ発振装置1から連続発振するCW(Continuous Wave)レーザ光が射出される。
【0024】
図2は、前記レーザ発振装置1から発せられる前記パルス光11の偏光方向の一例を示している。
【0025】
通常、前記励起レーザ光4は、前記レーザ媒質5の中心部に照射される。この場合、前記可飽和吸収体6から射出される前記パルス光11は、P偏光パルス11aとS偏光パルス11bとが交互に発生し、前記パルス光11の偏光方向が安定しない。これは、CWレーザ光を発振する場合でも同様であり、P偏光とS偏光とが交互に連続発振される。
【0026】
本発明に於いて、発明者等は、前記レーザ媒質5に外部から応力を付与しなくても、照射する前記励起レーザ光4の前記レーザ媒質5に対する照射位置によっては、前記パルス光11の偏光方向が直線偏光となる場合があることを見出した。更に、この現象は、前記レーザ媒質5に発生している内部残留応力に起因することも発明者等が見出した。
【0027】
前記レーザ媒質5は、切断により加工歪みを生じる場合があり、或は元々保持していた歪みが切断の際に開放されることにより、加工歪みを生じる場合がある。加工歪みは内部残留応力となり、前記レーザ媒質5の内部に複屈折を生じる。従って、第1の実施例では、前記レーザ媒質5の加工歪みにより生じる複屈折を利用して、前記パルス光11を直線偏光化させる様になっている。尚、複屈折を生じさせる内部残留応力は、前記レーザ媒質5中に均一に発生するものではなく、又個々の前記レーザ媒質5について内部残留応力の発生状態は異なっている。又、発明者等は、内部残留応力の状態によっても複屈折の状態は異なることを見出している。
【0028】
以下、
図3、
図4を用い、本発明の第1の実施例に係る、パルス光11の偏光方向が直線偏光化する励起レーザ光4の照射位置の候補を検出する照射位置検出装置12について説明する。
【0029】
該照射位置検出装置12は、発光部13と、媒質保持部14と、光路分割部材15と、シャッタ22と、カメラ16と、偏光光学部材17と、第1光量検出器18と、第2光量検出器19と、制御部21とを有している。尚、前記発光部13と前記媒質保持部14とでレーザ発振装置1が構成される。
【0030】
前記媒質保持部14と、前記光路分割部材15と、前記偏光光学部材17と、前記第1光量検出器18は、前記発光部13の射出光軸23上に設けられている。又、前記カメラ16と前記シャッタ22は、前記光路分割部材15の反射光軸24上に設けられている。前記第2光量検出器19は、前記偏光光学部材17の反射光軸25上に設けられている。
【0031】
前記発光部13は、所定の波長のレーザ光線を射出する発光器26、例えばレーザダイオード(LD)と、該発光器26から射出されたレーザ光線を任意の射出位置に導波する光ファイバ27と、該光ファイバ27から射出されたレーザ光線20を集光する投光レンズ28とを有している。前記発光器26は、射出されるレーザ光線の出力を調整可能となっている。
【0032】
尚、前記投光レンズ28は複数のレンズから成り、前記レーザ光線20が所定のビーム径でレーザ媒質5に入射する様、各レンズの位置が調整されている。
【0033】
前記媒質保持部14は、前記射出光軸23上に配置されたレーザ媒質5、例えば断面が1mm角程度の矩形の直方体である前記レーザ媒質5と、該レーザ媒質5を保持するホルダ29と、前記射出光軸23に対して前記レーザ媒質5を上下方向、左右方向に移動させるX-Yステージ31とを有する。前記ホルダ29は前記X-Yステージ31上に保持される。
【0034】
図4に示される様に、前記ホルダ29は、前記レーザ媒質5が載置されるホルダ本体29aと、ボルト等の固着具30を介して前記ホルダ本体29aに着脱可能な保持片29bとを有し、前記ホルダ本体29aと前記保持片29bとで前記レーザ媒質5が挾持される。尚、挾持した状態では、前記ホルダ29から前記レーザ媒質5に対して外力が作用しない様にし、前記ホルダ29で前記レーザ媒質5を保持することで、内部応力が発生しない様にする。又、前記ホルダ本体29aには、熱電対等の温度検出器37が設けられ、該温度検出器37により前記レーザ媒質5の面内温度分布を測定可能となっている。
【0035】
前記光路分割部材15は、例えばハーフミラーであり、前記レーザ媒質5を透過した前記レーザ光線20のうち、レーザ光線20′を反射し、レーザ光線20′′を透過させる光学特性を有している。
【0036】
前記カメラ16は、前記レーザ媒質5の端面を撮影可能となっている。前記カメラ16が撮影した前記レーザ媒質5の端面の画像に基づき、該レーザ媒質5に対する前記レーザ光線20の照射位置が確認できる様になっている。
【0037】
又、前記シャッタ22は、図示しない駆動機構により、前記反射光軸24に対して挿脱可能となっている。該反射光軸24上に前記シャッタ22を挿入した際には、前記レーザ光線20′が前記シャッタ22で遮断され、前記カメラ16に前記レーザ光線20′が入射しない様になっている。尚、前記光路分割部材15を前記射出光軸23に対して挿脱可能としてもよい。この場合、前記光路分割部材15の挿脱により、前記カメラ16に対する前記レーザ光線20′の入射を制御できるので、前記シャッタ22を省略することができる。
【0038】
前記偏光光学部材17は、例えばダイクロイックミラーであり、前記光路分割部材15を透過したレーザ光線20′′のうち、S偏光のレーザ光線を透過し、P偏光のレーザ光線を反射する偏光特性を有している。
【0039】
前記第1光量検出器18は、前記偏光光学部材17を透過したS偏光のレーザ光線20′′を受光し、前記第2光量検出器19は、前記偏光光学部材17により反射されたP偏光のレーザ光線20′′を受光し、それぞれ受光量(各偏光の光量)を検出する様になっている。
【0040】
前記制御部21は、例えばPC等の演算装置であり、前記発光器26の発光を制御し、前記X-Yステージ31の駆動を制御し、前記シャッタ22の挿脱を制御する。又、前記制御部21は、前記第1光量検出器18、前記第2光量検出器19の検出値に基づき消光比を演算する。ここで、消光比は、前記第1光量検出器18と前記第2光量検出器19の検出値のうち、小さい検出値を分子として求めたものとなっている。更に、前記制御部21は、演算した消光比に基づき、前記パルス光11が直線偏光又は略直線偏光となる照射位置を特定する。
【0041】
又、前記制御部21の記憶部(図示せず)には、前記カメラ16により取得された画像が格納されると共に、該画像に基づき判断された前記レーザ媒質5の端面内のレーザ光線の入射位置、該入射位置に対する前記第1光量検出器18と前記第2光量検出器19の検出値、前記第1光量検出器18と前記第2光量検出器19の検出値に基づき作成された画像、演算された消光比が格納される。
【0042】
又、前記記憶部には、前記発光器26、前記X-Yステージ31、前記シャッタ22等の駆動を制御するプログラム、所定の順序で前記レーザ媒質5の端面を前記レーザ光線20で走査させる為のプログラム、後述する第1出力画像34を作成する為のプログラム、後述する第2出力画像35を作成する為のプログラム、前記第1光量検出器18と前記第2光量検出器19の検出値に基づき消光比を演算する為のプログラム、消光比に基づき後述する消光比画像36を作成する為のプログラム、消光比に基づき前記パルス光11が直線偏向又は略直線偏向となる照射位置を選択するプログラム等のプログラムが格納される。前記制御部21は、前記記憶部に格納されるプログラムを実行又は展開し、種々の処理を実行する。
【0043】
前記発光器26は前記レーザ光線20を射出し、該レーザ光線20は前記光ファイバ27、前記投光レンズ28を介して前記レーザ媒質5の端面の所定の箇所に入射する。尚、該レーザ媒質5に入射される前記レーザ光線20のビーム径は、前記レーザ発振装置1に於ける前記励起レーザ光4のビーム径と同様の径、例えば50μmとする。
【0044】
前記レーザ媒質5を透過したレーザ光線は、前記光路分割部材15に入射する。該光路分割部材15は、レーザ光線の一部20′を反射し、残部20′′を透過する。
【0045】
前記光路分割部材15を透過した前記レーザ光線20′′は、前記偏光光学部材17に入射する。該偏光光学部材17により、S偏光のレーザ光線20′′は透過し、P偏光のレーザ光線20′′は反射され、S偏光とP偏光とに分離される。前記偏光光学部材17を透過したS偏光のレーザ光線20′′は前記第1光量検出器18に受光され、前記偏光光学部材17で反射されたP偏光のレーザ光線20′′は前記第2光量検出器19に受光される。前記第1光量検出器18、前記第2光量検出器19は、S偏光とP偏光の光量に対応した検出値を出力し、出力された検出値は前記制御部21に格納される。
【0046】
次に、
図5のフローチャートを用い、前記照射位置検出装置12を用いた前記レーザ媒質5に対する照射位置検出方法について説明する。
【0047】
STEP:01 先ず初めに、前記制御部21は、低出力となる様前記発光器26に所定の周波数でレーザ光線を射出させ、前記レーザ光線20を前記レーザ媒質5に入射させる。
【0048】
この状態で、前記カメラ16により前記レーザ媒質5の端面の画像を取得され、前記制御部21の表示部(図示せず)に表示される。該画像には、前記レーザ媒質5に対する前記レーザ光線20の照射位置が、前記レーザ媒質5の端面内の光点として表示されている。前記制御部21は、前記光点を前記レーザ媒質5に対する現在の照射位置として認識する。
【0049】
STEP:02 現在の照射位置が認識されると、前記制御部21は、前記発光器26の駆動を停止すると共に、図示しない駆動機構を駆動させ、前記シャッタ22を前記反射光軸24に挿入する。
【0050】
STEP:03 認識した現在の照射位置に基づき、前記制御部21は、前記レーザ媒質5の端面の、所定の照射開始位置、例えば
図6中左下の角部、即ちAの位置にレーザ光線が照射される様、前記X-Yステージ31を駆動させる。
【0051】
STEP:04 該X-Yステージ31が照射開始位置に移動されると、前記制御部21は、前記発光器26を再度駆動させ、高出力となる様所定波長の前記レーザ光線20を射出させる。前記レーザ媒質5を透過した前記レーザ光線20は、前記光路分割部材15を介して前記偏光光学部材17に入射する。又、前記光路分割部材15で反射された前記レーザ光線20′は、前記シャッタ22により遮られ、前記カメラ16に入射しない様になっている。
【0052】
前記偏光光学部材17に入射した前記レーザ光線20′′は、該偏光光学部材17によりS偏光のレーザ光線20′′とP偏光のレーザ光線20′′とに分離され、前記第1光量検出器18と前記第2光量検出器19にそれぞれ受光される。前記第1光量検出器18と前記第2光量検出器19で検出された各偏光の出力は、前記レーザ光線20の照射位置と関連付けられて前記制御部21の記憶部(図示せず)に保存される。
【0053】
STEP:05 照射開始位置に前記レーザ光線20が照射されると、前記制御部21は、所定の間隔、例えば20μmピッチで所定の方向、例えば外形に沿って時計回りで前記レーザ光線20の照射位置を変更させる。即ち、前記レーザ媒質5の一辺に沿って所定ピッチで前記レーザ光線20が走査される様、前記X-Yステージ31を駆動させる。
【0054】
レーザ光線が前記レーザ媒質5の外形に沿って一周すると、前記X-Yステージ31は、レーザ光線の照射位置を所定量、例えば20μm内側に移動させ、レーザ光線を20μmピッチで時計回りに一周させる。レーザ光線の走査は、前記レーザ媒質5の端面全面が走査される迄繰返される。
【0055】
前記レーザ媒質5を透過した前記レーザ光線20は、STEP:04と同様、前記偏光光学部材17によりS偏光のレーザ光線20′′とP偏光のレーザ光線20′′に分離され、前記第1光量検出器18と前記第2光量検出器19にそれぞれ受光される。前記第1光量検出器18と前記第2光量検出器19で検出された検出値は、前記レーザ光線20の照射位置と関連付けられて前記制御部21の記憶部に保存される。
【0056】
STEP:06 前記レーザ光線20による前記レーザ媒質5の走査が完了すると、前記制御部21は、各照射位置毎の前記第1光量検出器18、前記第2光量検出器19の検出結果に基づき、
図6に示される様な第1出力画像34を作成する。
【0057】
第1の実施例では、前記レーザ媒質5の端面を対角線により4つの領域a~dに分割し、P偏光パルス11aとなる領域を領域a、領域cとし、S偏光パルス11bとなる領域を領域b、領域dとしている。又、領域a、領域cに照射された前記レーザ光線20については、前記第2光量検出器19によるP偏光の出力を検出する。領域b、領域dに照射された前記レーザ光線20については、前記第1光量検出器18によるS偏光の出力を検出する。
【0058】
前記第1出力画像34は、前記第1光量検出器18或は前記第2光量検出器19の検出値が高ければ赤、出力が低くなるにつれて青くなる様、各照射位置毎に色分けした図(図示では濃淡で示されている)となっている。尚、
図6中では、領域bと領域dの全域、及び領域aと領域cの外周部が青であり、領域aと領域cについては中心部に向って赤く変化する分布となっている。作成された前記第1出力画像34は、前記制御部21の記憶部に保存されると共に、表示部(図示せず)に表示される。
【0059】
上記した様に、第1の実施例では、領域aと領域cでは前記第2光量検出器19の検出値を用い、領域bと領域dでは前記第1光量検出器18の検出値を用い、前記第1出力画像34を作成している。一方で、領域aと領域cで前記第1光量検出器18の検出値を用い、領域bと領域dで前記第2光量検出器19の検出値を用いてもよいが、出力の低い値を検出する方が、分解能を高くすることができ、高精度に受光量を検出できる為、出力の低い値を用いるのが望ましい。
【0060】
STEP:07 前記制御部21は、前記第1出力画像34に基づき、第2出力画像35を作成する。
図7は、第1の実施例に於ける該第2出力画像35を示している。
図7中右側に棒状に示された図は、前記第1光量検出器18或は前記第2光量検出器19の検出値と色相(図示では濃淡)の変化との関係を示すスケールである。該スケールでは、検出値が最大値である上端が赤、検出値が最小値である下端が青であり、途中は検出値が小さくなるにつれて色相(図示では濃淡)が青から赤に濃淡が漸次変化した状態を示している。
【0061】
前記第2出力画像35は、領域aと領域cでの前記第2光量検出器19の検出値、領域bと領域dでの前記第1光量検出器18の検出値が、それぞれ所定の閾値、例えば10mWよりも大きい照射位置(
図7中38)については赤く表示している。又、前記第2出力画像35は、領域aと領域cでの前記第2光量検出器19の検出値、領域bと領域dでの前記第1光量検出器18の検出値が、10mW以下の照射位置(
図7中39~41等)については、0mWに近づく程青くなる様色分け表示された図となっている。作成された前記第2出力画像35は、前記制御部21の記憶部に保存されると共に、表示部に表示される。
【0062】
STEP:08 次に、前記制御部21は、領域a~領域dの各照射位置について、消光比を演算する。領域a、領域cに於いては、消光比は総光量に対するS偏光の比(S/S+P)となり、領域b、領域dに於いては、消光比は総光量に対するP偏光の比(P/S+P)となる。ここで、領域a、領域cに於けるS偏光の値は、前記レーザ光線20′′の光量からP偏光の検出値を引いた値が用いられる。又、領域b、領域dに於けるP偏光の値は、前記レーザ光線20′′の光量からS偏光の検出値を引いた値が用いられる。
【0063】
STEP:09 前記制御部21は、演算した消光比に基づき、消光比が予め設定した設定値、例えば60:1以上となる照射位置を全て選択する。又、前記制御部21は、前記第1光量検出器18と前記第2光量検出器19の検出結果に基づき、前記第1光量検出器18と前記第2光量検出器19の出力値の合計が、予め設定した閾値、例えば110mW以上となる照射位置を全て選択する。
【0064】
前記制御部21は、消光比が設定値以上であり、出力値の合計が閾値以上である全ての照射位置に基づき、消光比画像36を作成する。
図8は、第1の実施例に於ける該消光比画像36を示している。
図8中右側に棒状に示された図は、消光比と色相(図示では濃淡)の変化との関係を示すスケールである。該スケールでは、消光比の最小値である上端が赤、消光比の最大値である下端が紫であり、途中は消光比が大きくなるにつれて色相(図示では濃淡)が赤から紫に濃淡が漸次変化した状態を示している。
【0065】
前記消光比画像36は、消光比が60:1以上であり、前記第1光量検出器18と前記第2光量検出器19で検出された検出値の合計が110mW以上である照射位置(
図8中39′~41′等)のみを表示している。又、前記消光比画像36中では、各照射位置39′~41′について、消光比が大きくなる程赤から紫へと色相が変化する様色分け表示されている(図示では濃淡で表示されている)。前記消光比画像36は、前記記憶部に保存されると共に、前記表示部に表示される。
【0066】
STEP:10 最後に、前記制御部21は、前記消光比画像36に表示されている前記照射位置39′~41′のうち、特に消光比が高い所定数の照射位置、例えば消光比が120:1以上となっている照射位置(例えば前記照射位置39′)を、前記パルス光11を直線偏光とする為の前記励起レーザ光4の照射位置の候補として検出し、照射位置の検出処理を終了する。
【0067】
照射位置の候補が決定されると、前記レーザ媒質5を前記レーザ発振装置1に組込み、前記励起レーザ光4が照射位置の候補に入射する様入射位置を調整する。各照射位置の候補について、前記パルス光11が直線偏光化する迄同様の処理を繰返し、前記パルス光11の直線偏光化処理を終了する。
【0068】
尚、照射位置が領域aと領域cに存在する場合、前記パルス光11はP偏光の直線偏光となる。又、照射位置が領域bと領域dに存在する場合、前記パルス光11はS偏光の直線偏光となる。
【0069】
上述の様に、第1の実施例では、前記レーザ光線20で前記レーザ媒質5の端面を走査し、該レーザ媒質5を透過した前記レーザ光線20について、S偏光とP偏光の消光比を演算し、該消光比に基づき前記励起レーザ光4による照射位置の候補を検出している。
【0070】
従って、前記レーザ発振装置1に於いて、実際に前記レーザ媒質5に前記励起レーザ光4を照射し、射出された前記パルス光11の偏光方向を確認する回数を少なくすることができるので、前記パルス光11を直線偏光化させる為の作業を容易に実行できると共に、作業時間の短縮を図ることができる。
【0071】
又、前記レーザ媒質5に外部から応力を付与する為の機構を必要としないので、装置構成を簡略化できると共に、製作コストの低減を図ることができる。
【0072】
更に、S偏光とP偏光の検出値の合計が閾値に満たない照射位置については、前記消光比画像36に表示されず、照射位置の候補として選択されない様になっている。従って、前記レーザ媒質5の歪み等に起因して、前記第1光量検出器18と前記第2光量検出器19の検出値の合計が、前記レーザ光線20の総光量よりも小さくなった場合に、実際の消光比とは異なる消光比が演算されることが防止され、実際の消光比が設定値に満たない照射位置が選択されるのを防止することができる。
【0073】
尚、第1の実施例では、前記レーザ媒質5として、単結晶であるNd:YAG/Cr:YAG結晶を用いているが、セラミック等の多結晶を用いてもよい。
【0074】
又、第1の実施例では、前記レーザ媒質5の端面を走査する際に、20μmピッチで前記レーザ光線20を走査させているが、走査ピッチは20μmに限られるものではない。例えば、25μmピッチでもよいし、40μmピッチでもよい。或は、前記レーザ光線20のビーム径である50μmを超える走査ピッチを設定してもよい。前記レーザ光線20の走査ピッチを大きくすることで、レーザ媒質5端面の走査時間を短縮することができる。尚、前記レーザ光線20のビーム径は50μmに限られるものではなく、50μm以上、或は50μm未満としてもよいのは言う迄もない。
【0075】
又、第1の実施例では、消光比が120:1以上の所定数の照射位置を照射位置の候補として検出しているが、消光比の最も大きい照射位置を照射位置として特定してもよい。この場合、前記パルス光11が直線偏光となるかどうかを複数回試行する必要がないので、作業時間をより短縮することができる。
【0076】
又、第1の実施例では、消光比が設定値以上であり、出力値の合計が閾値以上である全ての照射位置の中から、前記励起レーザ光4の照射位置を検出している。一方で、消光比が設定値以上である全ての照射位置から前記励起レーザ光4の照射位置を検出してもよい。
【0077】
更に、第1の実施例では、前記レーザ媒質5の全面を前記レーザ光線20で走査しているが、消光比は主に前記レーザ媒質5の周辺部で大きくなり、中央部では小さくなる傾向がある。従って、前記レーザ媒質5の中央部(中心から所定の範囲)については、予め走査不要範囲として設定し、走査を省略してもよい。或は、予め設定した条件を満たす照射位置が、予め設定された数だけ検出された時点で、前記レーザ光線20の走査を終了する様構成してもよい。
【0078】
次に、
図9に於いて、本発明の第2の実施例に係る照射位置検出装置12について説明する。尚、
図9中、
図3中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
第2の実施例では、投光レンズ28と媒質保持部14との間に第2光路分割部材42を設けている。該第2光路分割部材42は、射出光軸23に対して挿脱可能となっている。又、前記第2光路分割部材42の反射光軸43上に位相差カメラ44を設けている。
【0080】
該位相差カメラ44は、レーザ媒質5を光が透過する際の、複屈折に起因する透過時間の差を位相差として検出する機能を有している。又、前記位相差カメラ44は、位相差と共に位相差の方向を検出する機能を有している。前記位相差カメラ44により検出された位相差と位相差の方向は、
図10(A)、
図10(B)に示される様な、前記レーザ媒質5の入射端面の位相差分布画像32と位相差方向矢印33として取得される。
【0081】
ここで、発明者等は、前記レーザ媒質5の1辺に対して垂直な前記位相差方向矢印33が存在する位置に、レーザ光線20を照射した場合、パルス光11が直線偏光又は略直線偏光となり易いことを見出した。
【0082】
前記位相差分布画像32は、内部残留応力による歪みが存在しない(位相差が存在しない)箇所を青く表示し、位相差が大きくなる程青から赤へと色相が変化する様色分け表示されている。尚、
図10(A)、
図10(B)中では、中央の黒い部分が青であり、外周部の黒い部分が赤く表示された画像となっている。又、前記位相差方向矢印33は、前記位相差分布画像32と重合わされた状態で表示される。取得された前記位相差分布画像32と前記位相差方向矢印33は、制御部21に格納される。
【0083】
第2の実施例に於ける前記照射位置検出装置12を用いて前記レーザ媒質5に対する照射位置を検出する場合について説明する。
【0084】
第2の実施例では、先ず前記制御部21が前記位相差カメラ44を駆動させ、前記レーザ媒質5の端面を撮影する。
【0085】
前記位相差カメラ44は、前記レーザ媒質5を透過した光の位相差に基づき、前記位相差分布画像32を取得すると共に、位相差の方向を示す多数の前記位相差方向矢印33を取得する。
【0086】
作業者は、前記位相差分布画像32に基づき、前記レーザ媒質5の内部に複屈折が生じているかを判断する。又、作業者は、前記位相差方向矢印33に基づき、断面矩形の前記レーザ媒質5の一辺に対して垂直な前記位相差方向矢印33があるかどうかを判断する。
【0087】
前記レーザ媒質5の内部に複屈折が生じておらず、該レーザ媒質5の一辺に対して垂直な前記位相差方向矢印33が存在していなかった場合には、パルス光11が直線偏光又は略直線偏光となる照射位置が存在しないものとして、前記媒質保持部14に保持されていた前記レーザ媒質5を新たなレーザ媒質5と交換する。
【0088】
前記レーザ媒質5の内部に複屈折が生じており、該レーザ媒質5の一辺に対して垂直な前記位相差方向矢印33が存在していた場合には、前記パルス光11が直線偏光又は略直線偏光となる照射位置が存在するものとして、照射位置の検出処理を実行する。照射位置の検出処理については、第1の実施例(
図5中STEP:01~STEP:10)と同様であるので説明を省略する。尚、照射位置の検出処理を行なう際には、前記第2光路分割部材42を前記射出光軸23上から抜脱する。
【0089】
上述の様に、第2の実施例では、前記位相差カメラ44により取得された前記位相差分布画像32と前記位相差方向矢印33とに基づき、前記レーザ媒質5に前記パルス光11が直線偏光又は略直線偏光となる照射位置が存在するかどうかを事前に判断している。
【0090】
従って、前記パルス光11が直線偏光又は略直線偏光となる照射位置が存在しない前記レーザ媒質5に対して照射位置の検出処理が実行されるのを防止することができる。この結果、照射位置検出処理での前記レーザ媒質5の歩留りが向上すると共に、作業性の向上を図ることができる。
【0091】
尚、第2の実施例では、前記レーザ媒質5の内部に複屈折が生じているかどうかの判断と、該レーザ媒質5の一辺に対して垂直な前記位相差方向矢印33が存在しているかどうかの判断を作業者が行っているが、前記制御部21に画像処理等で判断させてもよい。該制御部21が判断を行うことで、全ての処理を自動化でき、作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0092】
1 レーザ発振装置
4 励起レーザ光
5 レーザ媒質
11 パルス光
12 照射位置検出装置
13 発光部
14 媒質保持部
16 カメラ
17 偏光光学部材
18 第1光量検出器
19 第2光量検出器
20 レーザ光線
21 制御部
23 射出光軸
31 X-Yステージ
32 位相差分布画像
33 位相差方向矢印
34 第1出力画像
35 第2出力画像
36 消光比画像
44 位相差カメラ