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  • 特許-有機性廃棄物の処理方法および処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】有機性廃棄物の処理方法および処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/12 20190101AFI20220803BHJP
【FI】
C02F11/12 ZAB
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018125202
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020001019
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-09-18
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度国土技術政策総合研究所「脱水乾燥システムによる下水汚泥の肥料化、燃料化技術実証研究」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000165273
【氏名又は名称】月島機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高尾 大
(72)【発明者】
【氏名】中村 友二
(72)【発明者】
【氏名】森田 真由美
(72)【発明者】
【氏名】今川 洋介
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-094537(JP,A)
【文献】特許第4849380(JP,B2)
【文献】特開昭52-076093(JP,A)
【文献】特開平09-170878(JP,A)
【文献】特開平01-092646(JP,A)
【文献】特開2003-177105(JP,A)
【文献】PEKKA JAKKULA,UUTTA MITTAUSTEKNIIKKAA,PROMAINT 5,フィンランド,2012年,p.50-51,https://promaintlehti.fi
【文献】AHLAMAA,Tuomas,Jatkuvatoimisen kuiva-ainepitoisuusmittauksen hyodyntaminen lietteenkasittelyssa,OULUN YLIOPISTO,フィンランド,UNIVERSITY OF OULU,2013年04月,p.1-93
【文献】Mekaanisen massan valkaisun saato,Kajaani kesakuu,フィンランド,1993年,A48 13.0-S,p.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00-11/20
G01N 22/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を乾燥させる円管式気流乾燥機と、
前記円管式気流乾燥機から排出された乾燥物が内部を通過する乾燥物の排出管と、
前記乾燥物の排出管を通る前記乾燥物の含水率を測定する乾燥物の測定装置を有し、
前記乾燥物の測定装置は、
前記乾燥物の排出管の内部を通過する前記乾燥物を連続して採取する乾燥物の採取部と、
前記乾燥物の採取部が採取した前記乾燥物を運搬する乾燥物の運搬部と、
前記乾燥物の運搬部が運搬した前記乾燥物を圧密する乾燥物の圧密部と、
前記乾燥物の圧密部が圧密した前記乾燥物の含水率をマイクロ波によって測定する乾燥物の測定部を有し、
前記乾燥物の測定装置を前記乾燥物の排出管に装着した状態で、
前記乾燥物の採取部は前記乾燥物の排出管の内部に挿入され、
前記乾燥物の運搬部、前記乾燥物の圧密部および前記乾燥物の測定部は前記乾燥物の排出管の外側に位置しており、
前記乾燥物の採取部、前記乾燥物の運搬部、前記乾燥物の圧密部および前記乾燥物の測定部は、前記乾燥物の排出管の中心部から外側へ向かって順に隣接して設けられている、有機性廃棄物の処理装置を用いて、有機性廃棄物を処理する方法であって、
前記円管式気流乾燥機の排出口から排出された前記有機性廃棄物の乾燥物を連続して採取し、運搬し、圧密した後、マイクロ波によって含水率を測定する、一連の操作を連続して行う測定工程と、
前記測定工程で測定した前記乾燥物の含水率に基づいて、前記円管式気流乾燥機に供給する熱風量および熱風温度の少なくともいずれか一方を変更する制御工程と、を有し、
前記熱風温度は250~500℃の範囲に変更する、ことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項2】
有機性廃棄物を脱水させる二液調質型脱水機と
前記二液調質型脱水機から排出された脱水物が内部を通過する脱水物の排出管と、
前記脱水物の排出管を通る前記脱水物の含水率を測定する脱水物の測定装置を有し、
前記脱水物の測定装置は、
前記脱水物の排出管の内部を通過する前記脱水物を連続して採取する脱水物の採取部と、
前記脱水物の採取部が採取した前記脱水物を運搬する脱水物の運搬部と、
前記脱水物の運搬部が運搬した前記脱水物を圧密する脱水物の圧密部と、
前記脱水物の圧密部が圧密した前記脱水物の含水率をマイクロ波によって測定する脱水物の測定部を有し、
前記脱水物の測定装置を前記脱水物の排出管に装着した状態で、
前記脱水物の採取部は前記脱水物の排出管の内部に挿入され、
前記脱水物の運搬部、前記脱水物の圧密部および前記脱水物の測定部は前記脱水物の排出管の外側に位置しており、
前記脱水物の採取部、前記脱水物の運搬部、前記脱水物の圧密部および前記脱水物の測定部は、前記脱水物の排出管の中心部から外側へ向かって順に隣接して設けられている、有機性廃棄物の処理装置を用いて、有機性廃棄物を処理する方法であって、
前記二液調質型脱水機の排出口から排出された前記有機性廃棄物の脱水物を連続して採取し、運搬し、圧密した後、マイクロ波によって含水率を測定する、一連の操作を連続して行う測定工程と、
前記測定工程で測定した前記脱水物の含水率に基づいて、前記二液調質型脱水機に供給する高分子凝集剤の量、前記二液調質型脱水機に供給する無機凝集剤の量、および前記二液調質型脱水機の回転ボウルの回転数の群から選ばれる少なくともいずれか一つを変更する制御工程と、
を有する請求項1記載の有機性廃棄物の処理方法。
【請求項3】
前記乾燥物の排出管の断面積に対する前記乾燥物の採取部の挿入面積が0.05%~5%である請求項1記載の有機性廃棄物の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物の処理方法および処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な有機性廃棄物の処理は、脱水機を用いて有機性廃棄物を脱水し、埋め立て処理や産業廃棄物として処理されている。また、近年では乾燥や炭化処理をして燃料資源として有効利用されている。
【0003】
前記乾燥処理において、乾燥機から乾燥物と排ガス(熱媒体ガスやキャリアガス)が混合した状態で排出される。この混合物は固気分離機を用いて粉粒体と分離ガスに分離され、分離されたガスは脱臭工程および集塵工程を経て大気へ放散される。
【0004】
脱水機や乾燥機の運転においては、脱水物や乾燥物の含水率を測定することが望まれる。含水率を測定することにより、例えば脱水条件や乾燥条件を変更し、脱水物や乾燥物の含水率を一定にすることができる。なお、含水率にバラツキがなくなると、脱水物や乾燥物を燃料資源として販売しやすくなる。また、含水率を測定することで、運転の最適化がはかれ、薬剤や電力の消費がおさえられ、経済的な運転管理が可能となる。
【0005】
脱水物の含水率を測定する装置及び方法としては、下記特許文献1に開示されたものがある。特許文献1に係る装置は、連続圧入脱水機の脱水ケーキ排出部にマイクロ波含水率計を配設し、マイクロ波含水率計に対向して備えた一対の送受信アンテナの間を、脱水ケーキ排出部内の圧密された脱水ケーキの一部を連続的に通過させて脱水ケーキの含水率を直接的かつ連続的に測定するものである。
【0006】
また、脱水物の含水率を測定するとともに、測定値を基づいて制御を行う装置及び方法として、下記特許文献2がある。特許文献2は、スクリュープレスのケーキ排出部に含水率計を配設して含水率を測定し、測定した脱水ケーキの含水率が基準含水率から外れた場合に、スクリュープレスのスクリュー軸の回転数と薬注率を変更する発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4342478号公報
【文献】特許第4840380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1及び2に係る測定装置は、一対の送受信アンテナの間の僅かな空間を通過する脱水ケーキのみを測定対象としており、当該空間を通過しない脱水ケーキの大部分の含水率は不明である。このように測定した含水率を脱水ケーキ全体の含水率と推定することは、正確性の点で問題がある。
【0009】
また、一対の送受信アンテナの間に脱水ケーキが付着して詰まった場合、詰まった脱水ケーキを測定し続けることになり、本来測定するべき流動する脱水ケーキの含水率が分からないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の主たる課題は、有機性廃棄物の脱水物および乾燥物の少なくとも一方を測定対象とし、その対象物の含水率を高い精度で測定することにある。また、本発明の従たる課題は、含水率の測定値を基にして、脱水条件および乾燥条件の少なくとも一方を制御し、含水率の均一化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<第1の態様>
脱水機の排出口から排出された有機性廃棄物の脱水物を連続して採取し、圧密した後、マイクロ波によって含水率を測定する、一連の操作を連続して行う測定工程を有すること特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【0012】
(作用効果)
本発明では脱水機から排出された後に脱水物を採取することとした。脱水物は脱水機から排出される際に分散する傾向がある。例えば、脱水機として機内遠心脱水機を用いた場合、脱水物が脱水機の排出口から排出される際に、重力加速度が2000~3000Gである脱水機内から大気中(すなわち1Gの雰囲気)に放たれるため、脱水物が分散することになる。このように分散状態の脱水物を採取することにより、前記特許文献1や2よりも客観性のある測定結果を得ることができる。すなわち、前記特許文献1や2においては、一対の送受信アンテナの間の僅かな空間を通過する脱水ケーキを測定対象としているため、測定値が脱水物全体の含水率を示さないことがある。また、脱水機内に脱水ケーキが詰まった場合、含水率の測定に不具合が生じる。含水率の測定に不具合が生じると、脱水機の適切な運転制御も困難になる。さらに、脱水機の種類が特定されるため、より効率的な運転ができる遠心脱水機などを用いることができない。本発明においては、前記特許文献1や2の前記問題を解消し、精度の高い含水率の測定が可能になる。それとともに、遠心脱水機を採用して効率的な運転をすることもできる。
【0013】
また、「脱水物を採取し、圧密し、マイクロ波によって測定する」という一連の操作を連続して行うことにより、脱水機の排出口から排出される脱水物の含水率が変化したときに、その変化を迅速に検知することができる。すなわち、脱水機から排出された有機性廃棄物を定期的にサンプリングして含水率を測定する方法も考えられるが、この場合はサンプリングしていない間の含水率の変化を検知することができない。そこで本発明のように連続操作を行うことにより、このような不都合を解消することができる。
【0014】
<第2の態様>
乾燥機の排出口から排出された有機性廃棄物の乾燥物を連続して採取し、圧密した後、マイクロ波によって含水率を測定する、一連の操作を連続して行う測定工程を有すること特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【0015】
(作用効果)
乾燥機から排出された後に乾燥物を採取すること、乾燥物を採取し、圧密し、マイクロ波によって測定するという一連の操作を連続して行うことにより、前記第1の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【0016】
<第3の態様>
前記脱水物の採取は、
前記脱水物が前記脱水機に連結された流路を移動する間に、その一部を抜き出すことによって行う前記第1の態様記載の有機性廃棄物の処理方法。
【0017】
(作用効果)
例えば、脱水物を貯留槽に貯留するシステムにした場合、貯留槽に貯められている脱水物を採取して含水率を測定しても、脱水機による脱水効果をリアルタイムで確認することができないという問題がある。本発明のように移動している脱水物を採取することで、脱水効果をリアルタイムで確認できる効果がある。
【0018】
<第4の態様>
前記乾燥物の採取は、
前記乾燥物が前記乾燥機に連結された流路を移動する間に、その一部を抜き出すことで行う前記第2の態様記載の有機性廃棄物の処理方法。
【0019】
(作用効果)
流路を移動する乾燥物の一部を抜き出すことにより、前記(3)と同様の作用効果を得ることができる。
【0020】
<第5の態様>
有機性廃棄物の脱水物の含水率を測定する測定装置を有する有機性廃棄物の処理装置であって、
前記測定装置は、
前記脱水物を連続して採取する採取部と、
採取した前記脱水物を圧密する圧密部と、
圧密した前記脱水物の含水率をマイクロ波によって測定する測定部を有すること特徴とする有機性廃棄物の処理装置。
【0021】
(作用効果)
前記第1の態様と同様の作用効果を奏する。
【0022】
<第6の態様>
有機性廃棄物の乾燥物の含水率を測定する測定装置を有する有機性廃棄物の処理装置であって、
前記測定装置は、
前記乾燥物を連続して採取する採取部と、
採取した前記乾燥物を圧密する圧密部と、
圧密した前記乾燥物の含水率をマイクロ波によって測定する測定部を有すること特徴とする有機性廃棄物の処理装置。
【0023】
(作用効果)
前記第2の態様と同様の作用効果を奏する。
【0024】
<第7の態様>
前記有機性廃棄物の処理装置は、前記脱水機の排出部に連結された管を有し、
前記測定装置の採取部は前記管の内部に挿入されており、
前記管の内部を移動する前記脱水物の移動速度は0.5m/s~150m/sの範囲内であり、
前記管の断面積に対する前記採取部の挿入面積が0.05%~5%である前記第5の態様記載の有機性廃棄物の処理装置。
【0025】
(作用効果)
脱水物の移動速度が一般的な0.5m/s~150m/sの範囲内にある場合に、採取部の挿入面積が0.05%より小さいと、脱水物の採取量が少なく、所定量の脱水物が堆積するまで計測を開始できないため、脱水物の含水率をリアルタイムで検知することが困難であるという問題がある。また、採取部の挿入面積が5%より大きいと、脱水物の採取量が多くなり、測定装置の内部に脱水物が詰まってしまう可能性が高いという問題がある。
【0026】
そこで本発明においては、脱水物の移動速度および採取部の挿入面積を前記範囲内にすることで、脱水物の採取量を最適化することができ、前記各問題の発生を防止することができる。
【0027】
<第8の態様>
前記有機性廃棄物の処理装置は、前記乾燥機の排出部に連結された管を有し、
前記測定装置の採取部は前記管の内部に挿入されており、
前記管の内部を移動する前記乾燥物の移動速度は0.5m/s~150m/sの範囲内であり、
前記管の断面積に対する前記採取部の挿入面積が0.05%~5%である前記第6の態様記載の有機性廃棄物の処理装置。
【0028】
(作用効果)
乾燥に関して、前記第7の態様と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、有機性廃棄物の脱水物および乾燥物の少なくとも一方を測定対象とし、その対象物の含水率を高い精度で測定することができる。また、含水率の測定値を基にして、脱水条件および乾燥条件の少なくとも一方を制御し、含水率の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係る有機性廃棄物の処理方法のフロー図である。
図2】管及び測定装置の平面断面図である。
図3】採取部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の説明及び図面は、本発明の一実施形態を示したものにすぎず、本発明の内容をこの実施形態に限定して解釈すべきでない。
【0032】
図1は、本発明の一例である有機性廃棄物Wの処理方法のフロー図である。有機性廃棄物Wの処理装置1は、脱水機3、熱風発生器4、連続式熱風乾燥機5、固気分離機6などを備えている。以下に、この処理装置1の構成と処理の流れについて詳述する。
【0033】
(有機性廃棄物W)
処理装置1は、有機性廃棄物Wを処理するものである。この有機性廃棄物の例としては、下水汚泥(余剰汚泥、初沈汚泥、混合生汚泥、混合汚泥、消化汚泥、バイオマスを混合消化した汚泥等を含む)、排水処理汚泥、製紙汚泥、活性汚泥、ビルピット汚泥、農業集落排水汚泥、その他の有機性汚泥を挙げることができる。これらの汚泥のうち、特に下水汚泥の処理に好適である。また、有機性廃棄物Wには、無機物が混入しているものも含まれる。
有機性廃棄物Wは、有機性廃棄物貯留槽2に貯留されており、供給ポンプ21によって脱水機3に供給される。
【0034】
(脱水機3)
処理装置1は有機性廃棄物Wを脱水する脱水機3を有する。図1の形態において、有機性廃棄物Wは、脱水機3によって脱水された後、連続式熱風乾燥機5へ送られる。
【0035】
脱水機3の例としては、遠心脱水機、ベルトプレス脱水機、スクリュープレス脱水機(多重板型のものを含む)、ロータリープレス脱水機、回転加圧式脱水機、多重円板型脱水機等を挙げることができる。これらの脱水機のうち、特に遠心脱水機が好適である。
【0036】
遠心脱水機3には、二種類の凝集剤を有機性廃棄物Wに添加し、有機性廃棄物Wの性状を調整する二液調質法に用いる脱水機がある。この二液調質型遠心脱水機は、脱水物の最大粒径や平均粒径を小さくすることが容易である。二液調質型遠心脱水機には、機内二液調質型遠心脱水機と機外二液調質型遠心脱水機があり、前者は二種類の凝集剤(一種類は無機凝集剤であり、他の一種類は高分子凝集剤である。以下、同じ。)を機内で汚泥に供給する脱水機であり、後者は二種類の凝集剤を機外で汚泥に供給する脱水機である。本発明においては、どちらのタイプを用いても良い。
【0037】
二液調質型遠心脱水機3は、外側に回転ボウルが設けられ、この回転ボウル内にスクリューコンベアが設けられている。回転ボウルの一端側には供給口が、他端側には排出口が設けられている。供給口から回転ボウル内に供給された有機性廃棄物Wは、スクリューコンベアによって撹拌されながら他端側へ運ばれ、脱水物として排出口から排出される。有機性廃棄物Wは、回転ボウル内を一端側から他端側へ移動する過程で、回転ボウルの回転により生じた遠心力により脱水される。
【0038】
機内二液調質型遠心脱水機3は、高分子凝集剤HCおよび無機凝集剤ICを回転ボウル内に注入することで、これらを有機性廃棄物Wに添加する。他方、機外二液調質型遠心脱水機3は、回転ボウルに供給する前の有機性廃棄物Wに対して、高分子凝集剤HCおよび無機凝集剤ICを添加する。
【0039】
高分子凝集剤HCとしては、例えばポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸エステル系のものを用いることができる。無機凝集剤ICとしては、例えば硫酸第二鉄(特に、ポリ硫酸第2鉄(ポリ鉄))、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、硫酸アルミニウムおよびポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化第二鉄などを用いることができる。これらの二種類の凝集剤を用いることで、脱水物の最大粒径や平均粒径を小さくすることができる。加えて、脱水物の含水率も低下させることもできる。
【0040】
無機凝集剤ICの注入率は、脱水機3に供給する汚泥の固形物量に対して、5%以上にすることが好ましい。例えば、脱水機3に供給する汚泥の固形物量が4m3/hである場合は、0.2m3/h以上の無機凝集剤ICを注入することが好ましい。無機凝集剤ICを5%以上注入することで、脱水物の性状が連続式熱風乾燥機5の乾燥に適したものになり、脱水物が連続式熱風乾燥機5内に付着することや、堆積することを防ぐことができる。
【0041】
以上のように、無機凝集剤ICの注入率を5%より多くするほど、連続式熱風乾燥機5内に脱水物が付着・堆積しづらくなる。
しかし、無機凝集剤ICの量が増えると、薬剤コストが高くなる。また、無機凝集剤ICの種類によっては、無機凝集剤ICから硫黄や塩化水素が揮発して酸露点を下げるとともに、無機凝集剤ICに含まれる硫酸や塩酸が溶け出し、連続式熱風乾燥機5の内部を腐食させる。これらのデメリットを考慮すると、無機凝集剤ICの注入率を30%以下にすることが好ましい。
【0042】
無機凝集剤ICを注入することで、脱水物の含水率を下げることもできる。例えば、無機凝集剤ICの注入率が5%~30%である場合、脱水物の含水率を75%~79%程度にすることができる。
【0043】
二液調質型遠心脱水機3には、無機凝集剤ICのほかに、高分子凝集剤HCを注入する。無機凝集剤ICと同様に、高分子凝集剤HCには汚泥を凝集させる機能がある。そのため、高分子凝集剤HCの注入率は無機凝集剤ICの注入率に応じて変えることが好ましい。例えば、無機凝集剤ICの注入率が5%~30%である場合、脱水機3に供給する汚泥の固形物量に対して、高分子凝集剤HCの注入率を0.1%~5%程度にすることが好ましい。
【0044】
前記機内二液調質型遠心脱水機としては、例えば、2015年4月20日付けの地方共同法人日本下水道事業団ホームページの「技術情報・研究」「133号 2012/12/13 技術情報<技術の紹介>「機内二液調質型遠心脱水機」‐低含水率脱水汚泥の実現」の欄に記載されたものを用いることができる。
【0045】
なお、機内二液調質型遠心脱水機3を用いた場合、その脱水機3の排出口から排出される際に、重力加速度が2000~3000Gである脱水機3内から、大気中、すなわち1Gの雰囲気に放たれるため、脱水物が分散することになる。そのため、機内二液調質型遠心脱水機3から排出された脱水物を均等に採取しやすくなる。それとともに、連続式熱風乾燥機5の乾燥に適した脱水物の性状、特に脱水物の粒径を所望の範囲にしやすくなる。
【0046】
また、一液調質型遠心脱水機3を用いても良く、その場合は機内一液調質型遠心脱水機3と機外一液調質型遠心脱水機3のどちらのタイプを用いても良い。一液調質型遠心脱水機3を用いる場合は、高分子凝集剤HCを注入せずに、無機凝集剤ICのみを注入する。高分子凝集剤HCの注入率は、二液調質型遠心脱水機3の場合と同じである。具体的には、脱水機3に供給する汚泥の固形物量に対して、5%以上にすることが好ましく、無機凝集剤ICの注入率を30%以下にすることがさらに好ましい。
【0047】
(脱水物搬送機7)
脱水機3から排出された汚泥(脱水物)は、脱水物搬送機7に供給される。前記脱水物の含水率は81%以下が好ましく、78%以下がさらに好ましい。含水率が81%よりも高いと、連続式熱風乾燥機5の内部に脱水物が付着しやすくなり、脱水物が詰まるおそれがある。図1の構成では、管30によって脱水機3と脱水物搬送機7が接続され、脱水物はその管30の内部を通って脱水物搬送機7へと移動する。
【0048】
前記脱水物搬送機7として、機械的な動力によって搬送を行うスクリューコンベアやベルトコンベアなどを用いることができる。図1では、脱水物搬送機7としてスクリューコンベアを用いている。また、図1のスクリューコンベア7の長手方向中間部(中央付近)には供給口が設けられており、この供給口からスクリューコンベア7内に脱水物を供給するようになっている。
【0049】
(脱水物の供給方法)
脱水物を連続式熱風乾燥機5へ供給する際は、連続式熱風乾燥機5への脱水物の供給量(kg-ds/分)をXとし、連続式熱風乾燥機の脱水物の保有量(kg-ds)をYとしたとき、下記式1で定められる脱水物が連続式乾燥機内に滞留する平均滞留時間Tが0.05~10分の範囲内となるように、連続式熱風乾燥機5に供給することが好ましい。
T=Y/X ・・・式1
なお、前記滞留時間Tは、0.1~7分の範囲内にすることが好ましく、0.2~5分の範囲内にすることがさらに好ましい。
連続式熱風乾燥機5への脱水物の供給量を前記範囲内にすることで、連続式熱風乾燥機5内で脱水物が滞留する時間が適切な値となり、最終製品から悪臭が発生することを抑制できる。
【0050】
(最大粒径)
脱水物搬送機7に汚泥(脱水物)の粒径を測定する測定手段を設けることが好ましい。脱水物の粒径を測定した結果、脱水物の最大粒径が基準値よりも高い場合は、脱水物を消化タンク20へ送り、基準値以下の場合は、脱水物を連続式熱風乾燥機5へ送るようにする。基準値は任意に決定することができるが、脱水物の最大粒径が60mmよりも大きい場合は消化タンク20へ送り、反対に脱水物の最大粒径60mm以下の場合は乾燥機5へ送るようにすることが好ましい。
【0051】
最大粒径が60mmより大きい脱水物を連続式熱風乾燥機5に供給すると、脱水物が乾燥機5内に付着したり、堆積したりするおそれが高い。そして、堆積量が一定量を超えると、乾燥機5の運転を一時的に停止し、堆積物を人為的に排出する必要が生じる。本発明では、最大粒径が60mmより大きい脱水物を供給しないようにすることで、乾燥機5の長期の連続運転を実現している。
【0052】
汚泥の最大粒径の計測は、JIS M 8801 石炭試験方法に記載された方法で、ふるい目の大きさが45mmのふるいを用いて、ふるい分けを行い、ノギスを用いて、ふるいの上に残った汚泥を目視で実測し、測定値の最大径を最大粒径とする。
【0053】
二液調質型遠心脱水機3を用いると、脱水物が均質な粒状(粒状物)になりやすく、最大粒径や平均粒径の計測が容易である。そのため、一液調質型遠心脱水機3よりも二液調質型遠心脱水機3の方が好適である。
【0054】
脱水物が均質な粒状でない、すなわち脱水物が水分等によって塊になっている場合もある。このように塊となった脱水物(塊状物)があったとしても、乾燥機に供給することができる。
【0055】
二液調質型遠心脱水機3を用いるとともに、無機凝集剤ICの注入率を5%以上にすると、脱水物がさらに粒状になりやすい。脱水物を粒状にすることで、連続式熱風乾燥機5に脱水物を安定供給しやすくなる。また、脱水物が粒状であると、連続式熱風乾燥機5内を流れる熱風に対する抵抗が小さくなり、熱風と脱水物の接触機会を増やすことができるという利点もある。
【0056】
(平均粒径)
平均粒径は、以下の方法によって測定する。脱水物の粒径が500ミクロン以上の場合は、JIS M 8801 石炭試験方法に記載された方法でふるい分けをし、ふるい分け結果をロジンラムラー分布で表し、積算質量(ふるい上)が50%に相当する時の粒子径を平均粒径として定める。脱水物の粒径が500ミクロン未満の場合は、粒度分布測定装置8(例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置、商品名SALD-3100、島津製作所社製)を用いて粒度分布を測定し、累積体積が50%に相当する時の粒子径を平均粒径として定める。
【0057】
脱水物の平均粒径を計測し、平均粒径が1mm~30mmである場合は乾燥機5へ送り、その範囲外にある場合は消化タンク20へ送るようにしても良い。平均粒径が30mmより大きいと、脱水物が乾燥機5内に付着したり、堆積したりするおそれが高くなるため、このような制御を行うことが好ましい。それとともに、平均粒径が30mmより大きいと、乾燥機5内で乾燥が十分に行われずに排出されてしまい、最終製品たる乾燥物の品質が悪くなる懸念もある。
【0058】
(粒度分布)
連続式熱風乾燥機5の運転を安定させるため、単位時間当たりに供給する下水汚泥の粒度分布の変動を少なくすることが好ましい。粒度分布の値が大きく変化すると不具合が生じるからである。具体的には、汚泥の粒度分布の値が大きくなると、乾燥機5から排出される乾燥物の水分が不均一になりやすく、粒度分布の値が小さくなると、乾燥物の水分が均一になりやすい。
【0059】
(熱風発生器4)
脱水機3から排出された脱水物は、連続式熱風乾燥機5へ送られ、乾燥機5内で熱風と接触して乾燥する。この乾燥機5に用いる熱風は、熱風発生器4によって生成する。詳しくは、燃料タンク(図示しない)から燃料F(LPG等)を供給されたバーナー4Aが、空気圧縮機17で生成した圧縮空気を貯留する貯留タンク18から送られた圧縮空気を加熱して、熱風を生成する。なお、有機性廃棄物Wが汚泥である場合、汚泥を消化した際に発生する消化ガスを燃料Fとして用いるようにしても良い。この熱風発生器4の制御は、熱風発生器4の出口温度を計測し、目的の温度となるように、熱風発生器4へ供給される燃料Fと空気Aの量を制御する。
【0060】
熱風温度は特に限定されないが、脱水機3に供給する有機性廃棄物Wの固形物量に対して、無機凝集剤ICを5%以上注入して脱水し、その脱水物を乾燥機5で乾燥する場合、熱風温度を250℃~500℃にすることが好ましい。この範囲の熱風を用いることで、乾燥した有機性廃棄物の含水率が約10%~50%と低い値になるため、製品としての価値が高まる。
【0061】
前記熱風温度は、より好ましくは350℃~450℃、さらに好ましくは390℃~410℃、最も好ましくは400℃にすると良い。熱風温度が低い場合、脱水物を十分に乾燥させることができず、乾燥物の含水率が高くなる。他方、熱風温度が高い場合は、熱風発生器4の燃料費が嵩み、経済性が悪くなる。したがって、乾燥物の含水率と燃料費という経済性のバランスをとると、400℃前後の温度にすることが最も適当である。
【0062】
(連続式熱風乾燥機5)
連続式熱風乾燥機5は、前記脱水機3からの脱水物と、前記熱風発生器4からの熱風とを接触させ、脱水物を乾燥して粉粒体にする。
【0063】
連続式熱風乾燥機5としては、(1)噴霧乾燥機、気流乾燥機、流動層乾燥機、回転乾燥機などのように、熱風中に脱水物を分散させて乾燥させる形態のもの、(2)通気バンド乾燥機、トンネル乾燥機(並行流バンド乾燥機)、噴出流乾燥機などのように、脱水物を静置した状態のまま移送し、その移送過程で脱水物に熱風を接触させて乾燥させる形態のもの、(3)撹拌乾燥機などのように、脱水物を機械的に攪拌しながら、その脱水物に熱風を接触させて乾燥させる形態のものを例示することができる。なお、連続式熱風乾燥機5の「連続式」とは、連続的に運転可能なことを意味する。
【0064】
前記連続式熱風乾燥機5のうち、気流乾燥機5Fを用いることが好ましい。安価でメンテナンス性に優れているからである。
【0065】
気流乾燥機5Fには様々な種類があるが、間接加熱式乾燥機3を用いて有機性廃棄物Wを乾燥させると、間接乾燥物の付着性を弱くすることができるため、間接乾燥物を解砕する解砕機が無い気流乾燥機5Fを用いることができる。
【0066】
図1に気流乾燥機5Fの一例を示した。この気流乾燥機5Fは、熱気流が通る管(以下、「パイプ」ともいう。)を環状に配置した円管式気流乾燥機5CFである。図示した円管式気流乾燥機5CFは、熱風生成装置4から送られてきた熱風が最初に到達すパイプ5aと、前記パイプ5aから上方へ延在するパイプ5bと、前記パイプ5bから引き返す方向へ水平に延在するパイプ5cと、前記パイプ5cから下方へ延在するパイプ5dとからなる。隣り合う各パイプの間(例えば、パイプ5aとパイプ5bの間)には、R状に湾曲したパイプが位置している。パイプ5dの下端部は、パイプ5aの左側端部と接合されており、この接合部分においてパイプの内部が相互に繋がっている。パイプ5aの中間部分には間接乾燥物の供給口5Xが設けられ、パイプ5dの中間部分には乾燥物の排出口5Yが設けられている
【0067】
熱風生成装置4で生成した熱風は、パイプ5aに供給される。それとともに、前記搬送手段7によって搬送された間接乾燥物は、供給口5Xからパイプ5aの熱風(熱気流)中へ落下する。落下した間接乾燥物は、熱風中で粉粒状に分散する。そして、その粉粒体は、熱気流と並流に送られながら(熱風により気流搬送されながら)、瞬間的に乾燥する。詳しくは、粉粒体を伴う熱風は、パイプ5a、パイプ5b、パイプ5c、パイプ5dの順に流れ、その一部が排出口5Yから器外へ排気される。他方、排出口5Yから排気されなかった間接乾燥物は、熱風生成装置4から新しく送られてきた熱風と合流し、再びパイプ5a、パイプ5b、パイプ5c、パイプ5dと流れ、その一部が排出口5Yから器外へ排気される。以上のように、熱風の一部は排出口5Yから排気され、その他の熱風はパイプ5a~5d内を循環することになる。このように、新しく投入された間接乾燥物と管内を循環する間接乾燥物は、管内で混合し、それによって付着性や含水量が調整される。すなわち、円管式気流乾燥機5CFにおいては、間接乾燥物は熱風中の熱を吸い取ることで乾燥する。したがって、この円管式気流乾燥機5CFは、加熱されたパイプに間接乾燥物が接触することによって乾燥する間接加熱型乾燥機などとは根本的に異なる構造のものである。
【0068】
円管式気流乾燥機5CFに供給した直後の間接乾燥物は、遠心力の影響によって、各パイプ5a~5dの外周側を流れることが多い。そして、間接乾燥物の乾燥が進むにつれて間接乾燥物の凝集状態が解けて平均粒径が小さくなるため、各パイプ5a~5dの内周側を流れるようになり、パイプ5dの内側に設けた排出口5Yから排出される。
【0069】
円管式気流乾燥機5CFの運転においては、各パイプ5a~5d内の熱風の風速を10m/s以上にすることが好ましい。より好ましくは、熱風によって間接乾燥物を円滑に搬送するため、15m/s以上にすると良い。さらに好ましくは、供給口5Xから供給された間接乾燥物を循環している熱風と高速で衝突させることにより、間接乾燥物を熱風中に分散させることができるため、20m/s以上にすると良い。
【0070】
図1においては、パイプ5a~5dを環状に構成した円管式気流乾燥機5CFを示した。しかし、連続式熱風乾燥機5は環状の気流乾燥機5Fものに限られず、すべてのパイプを直線状または略直線状に配置した直管式気流乾燥機5LFにしても良い。円管式気流乾燥機5CFは、直管式気流乾燥機5LFよりも設置スペースが小さいという点で優れている。もっとも、直管式気流乾燥機5LFであっても、管を高さ方向に延在させた場合は、設置スペースを小さくすることが可能である。
【0071】
なお、円管式気流乾燥機5CFのサイズを大きくしても、小さくしても、乾燥機5CF内に間接乾燥物が滞留する滞留時間にほとんど変化は生じない。
【0072】
連続式熱風乾燥機5の代わりに攪拌伝熱式乾燥機を用いたり、連続式熱風乾燥機5として解砕機付きの気流乾燥機を用いたりすることもできる。連続式熱風乾燥機5の代わりに、間接加熱式乾燥機(スチームチューブドライヤー)を設けるようにしても良いが、イニシャルコストが圧倒的に低く、設備の接地面積も取らず、納期を短くすることができることから、連続式熱風乾燥機5(特に、円管式気流乾燥機5CFや直管式気流乾燥機5LF)が好ましい。
【0073】
本発明の連続式熱風乾燥機5は、連続式熱風乾燥機5の大きさと供給される熱風ガスの温度と量から求める熱容量係数が、2000~4000kcal/m3h℃の範囲になる連続式熱風乾燥機5を用いることが好ましい。この熱容量係数が高いほどより多くの熱エネルギーを汚泥に伝えることができ、そのエネルギーを汚泥の水分の蒸発に使うことができる。前記円管式気流乾燥機5CFは、インクラインドディスク型ドライヤなどの間接加熱式乾燥機と比べて熱容量係数が極めて高いため、少ない滞留時間で十分な乾燥を行うことができる。
【0074】
(固気分離機6)
粉粒体を乾燥させることで湿度が増した熱風は、排ガスとして前記連続式熱風乾燥機5から排気され、固気分離機6へ送られる。この排ガスには粉粒体が含まれているため、固気分離機6を用いて、粉粒体と分離ガス(粉粒体と分離したガス)に分離する。
【0075】
この固気分離機6としては、例えば、遠心力により集塵を行うサイクロン、重力により集塵を行う重力沈降室、慣性により集塵を行うミストセパレーター、濾布により集塵を行うバグフィルター、充てん層により集塵を行う移動粒子層エアフィルター、電気により集塵を行う電気集塵機等を用いることができる。
【0076】
(排気処理)
前記固気分離機6によって粉粒体と分離した分離ガスは、洗浄により集塵を行うベンチュリースクラバー11によって除塵された後、排気ファン12によって吸引されてミストセパレーター13へ運ばれる。そして、ミストセパレーター13でさらに除塵された後、プラズマ脱臭機14で脱臭され、大気中Eに放散される。なお、固気分離機6から排出される分離ガスの処理方法は、前記の内容に限られるものではなく、各設備を適宜変更しても良い。
【0077】
(粉粒体の貯留)
固気分離機6の下端部から粉粒体が排出され、管31を通って粉粒体上流搬送機9へ供給される。固気分離機6の下端部に水分の高い粉粒体が溜まった場合、粉粒体がバルブに付着して排出が上手くいかないことがある。そのため、回転羽根によって掻き出すロータリーバルブ19を備えることが好ましい。
【0078】
粉粒体上流搬送機9としては、機械的な動力によって搬送を行うスクリューコンベアやベルトコンベアなどを用いることができる。前記スクリューコンベア9は、粉粒体の供給口がスクリューコンベア9の長手方向の中間部分に設けられ、粉粒体の排出口がスクリューコンベア9の長手方向の一端側端部(図面右側)と他端側端部(図面左側)に設けられている。供給口から供給された粉粒体は、スクリューコンベア9が正回転することによって一端側端部へ運ばれ、一端側端部の排出口から排出される。反対に、スクリューコンベア9が逆回転すると、粉粒体が他端側端部へ運ばれ、他端側端部の排出口から排出される。なお、スクリューコンベア9に供給される粉粒体の温度は約65℃~90℃という高温である。
【0079】
スクリューコンベア9の各排出口(一端側排出口および他端側排出口)から排出された粉粒体は、管32内を通って、別々のスクリューコンベア10に供給される。スクリューコンベア10が正回転または逆回転することにより、粉粒体がスクリューコンベア10の一端側と他端側に振り分けられる。そして、一端側排出口または他端側排出口から排出された粉粒体は、管33を通って、各コンテナ15(図示形態では、四個のコンテナ)に貯留される。
【0080】
(測定装置N)
【0081】
脱水機3の下流のN4やN5の位置、乾燥機5の下流のN1やN2の位置に、測定装置Nを設けることができる。
【0082】
なお、脱水機3の下流や乾燥機5の下流に測定装置Nを設けるとともに、脱水機3の内部であるN6の位置や、乾燥機5の内部であるN3の位置に測定装置Nを設けても良い。
【0083】
また、脱水機3の下流や乾燥機5の下流に測定装置Nを設けるとともに、脱水機3の上流のN7の位置や、乾燥機5の上流のN4の位置に測定装置Nを設けても良い。
【0084】
なお、図1のN1~N7の符号は、測定装置Nが設けられる位置を例示したものであるため、N1~N7のすべての位置に測定装置Nを設ける必要はないし、N1~N7以外の位置に測定装置Nを設けてもよい。例えば、乾燥機5から排出された乾燥物の含水率を測定するために、粉粒体上流搬送機9と粉粒体下流搬送機10の間の管32に測定装置Nを設けてもよいし、粉粒体下流搬送機10とコンテナ15の間の管33に測定装置Nを設けてもよい。
【0085】
しかし、脱水機3から排出された脱水物および乾燥機5から排出された乾燥物の少なくともいずれか一方の含水率を計測することが重要である。そのため、有機性廃棄物の処理工程を基準として、脱水機3の下流側および乾燥機5の下流側の少なくともいずれか一方に測定装置Nを設けることが望ましい。
【0086】
なお、脱水機3から排出された脱水物の含水率を計測する場合、N5の位置に設けることが好ましい。また、乾燥機5から排出された乾燥物の含水率を計測する場合、N1の位置に設けることが好ましい。なぜならば、N5やN1の位置では、プロセス上で流れている汚泥の最も代表的な部分を採取することができるからである。
【0087】
そのほか、図示していないが、脱水物搬送機7の供給口から供給された脱水物が、落下して最初に脱水物搬送機7の内部に着地する部分またはその近傍に測定装置Nを設けるようにしてもよい。
【0088】
なお、図1において、N7の部分、N4の部分及びN2の部分も、N5の部分と同様に、管によって構成されている。
【0089】
図2に測定装置Nの一例を示した。この測定装置Nは、管30の周壁の任意の箇所に設けた孔から管30の内部に挿入され、管30の内部を通過する脱水物や乾燥物を採取する採取部40と、管30の外側に配置され、採取部40で採取した脱水物や乾燥物を外方へ運搬する運搬部41と、運搬部41よりも外側に配置され、運搬部41で運搬されてきた脱水物は乾燥物を圧密する圧密部43と、圧密部43の外側に配置され、圧密部43で圧密された脱水物や乾燥物の含水率を測定する測定部44を備えている。なお、管30の中心部へ向かう方向を中心側といい、管30の中心部から放射線状に外方へ向かう方向を外側という。採取部40、運搬部41、圧密部43および測定部44は、中心部から外側へ向かって順に隣接しており、採取部40で採取した脱水物や乾燥物は、外側へ向かって運搬される。図示形態では、採取部40と運搬部41は管状になっており、それらの内部には運搬機器42としてのスクリューが配置されており、このスクリューが図示しないモーターによって回転することにより、脱水物や乾燥物を外側へ移動させる形態になっている。採取部40の内部にも運搬手段42があることから、採取部40は運搬部41と同様の役割も果たしている。運搬機器42は、スクリューの代わりに、ピストンなどの公知手段を用いても良い。運搬機器42によって、脱水物や乾燥物が運搬される際の運搬速度は、少なくと脱水物や乾燥物が採取部40の内部で過度に堆積しない程度の任意の速度にすることが好ましい。測定部44では、マイクロ波によって有機性廃棄物Wの含水率を計測する構成になっている。測定後の有機性廃棄物Wは、図示しない返送部を通って、管30の内部に返送される。
【0090】
従来は、1回の測定時間(サンプリングを採取してから測定結果を得るまでの時間)が長かった。そのため、前記フィードバック制御などをリアルタイムで実施できない問題があった。すなわち、有機性廃棄物Wを採取してから測定結果を得るまでに約半日~1日程度かかることが多かった。そのため、その制御内容は、1時間前の運転状況に適切なものであり、現時点の前記装置35の運転状況に適切なものとはいえなかった。また、一般的な水分計(赤外線タイプやハロゲンタイプ)であっても、測定結果を得るために約30分~1時間程度かかっていた。
【0091】
そこで、本発明のようにマイクロ波を用いることによって、サンプリング採取から制御の実施までの時間を短くすることができる(1分~15分程度)ため、前記のようなタイムラグの発生を防ぐことができる。なお、乾燥物の含水率を計測する場合も、同様に1分~15分程度にすることができる。
【0092】
また、有機性廃棄物Wを採取し、圧密し、測定する、一連の動作を連続して行うと良い。すなわち、間欠ではなく、連続して有機性廃棄物Wを採取し、採取した有機性廃棄物Wを連続して圧密し、連続して測定することによって、有機性廃棄物Wの含水率があった場合に、その変化をリアルタイムで知ることができる。その結果、その変化に応じて、脱水機3や乾燥機5の脱水条件や乾燥条件を迅速に変更することができる。
【0093】
測定装置Nは、マイクロ波(電磁波)の電波速度によって水分を測定するものであるが、その透過速度は空気や物の誘電率に大きく影響を受ける。したがって、マイクロ波の計測より前に、有機性廃棄物Wを圧密し(押圧などを行い)、空気による影響の度合いを常に同程度に保つようにする。
【0094】
なお、有機性廃棄物Wの採取に関しては、貯留した有機性廃棄物Wを採取してもよいが、移動している有機性廃棄物Wを採取するほうが好ましい。例えば、コンテナ15に貯留された有機性廃棄物Wの含水率を測定したとしても、脱水機3や乾燥機5が適切な運転状況にあるか、すなわち目的とする含水率になるように運転されているかが分からない。そのため、例えば図1のN1やN4の位置などに測定装置Nを設け、移動中の有機性廃棄物Wを採取して測定することによって、現在の脱水機3や乾燥機5が適切な運転状況であるかを把握するとよい。
【0095】
また、測定装置Nの採取部40は、例えばN1、N2、N4、N5などに設けられた管の内部に挿入される。この管の内部を移動する脱水物や乾燥物の移動速度は、一般的に0.5m/s~150m/sの範囲内にある。また、図2において、採取部40を管30の中心に向かって挿入しているが、中心から少しずらして挿入しても良い。
【0096】
管の断面積D1(管内断面積をいう。以下同じ。)に対する採取部40の挿入面積D2は0.05%~5%にすることが好ましく、1%~5%にすることがより好ましい。採取部40の挿入面積D2が0.05%より小さいと、脱水物や乾燥物の採取量が少なく、所定量の脱水物や乾燥物が堆積するまで計測を開始できないため、脱水物や乾燥物の含水率をリアルタイムで検知することが困難であるという問題がある。また、採取部40の挿入面積が5%より大きいと、脱水物や乾燥物の採取量が多くなり、測定装置Nの内部に脱水物や乾燥物が詰まってしまう可能性が高いという問題がある。
【0097】
採取部40は、図3に示すように、例えば管を水平方向に延在させ、その管の上側部分のみを水平方向に切断して、上方に開口する開口部45を設けた形状にしても良い。図3では、説明の便宜上、開口部45に斜線を付しているが、通常は当該斜線部分が空洞になっている。このような形状にすることで、重力により上方から落下する脱水物や乾燥物を、開口部45から採取部40内に受け入れることができる。好ましくは、図3に示すように、採取部40の全体にわたって、前記開口部45を設けることが好ましい。この場合、採取部40の挿入面積とは、前記開口部45の総面積を指すことになる。
【0098】
(削除)
【0099】
また、管の内径L1に対して、採取部40を挿入する長さL2は、60%以上にすることが好ましく、80%以上にすることがより好ましい。採取部40の挿入長L2が60%に満たない場合、脱水物や乾燥物の採取量が少なく、所定量の脱水物や乾燥物が堆積するまで計測を開始できない。そのため、脱水物や乾燥物の含水率をリアルタイムで検知することが困難であるという問題がある。なお、管の内径L1は、50mm以上にすることがより好ましい。
【0100】
(制御内容)
測定装置Nを設ける理由は、脱水物や乾燥物の含水率を監視するためである。含水率が所望の範囲内にない場合、脱水条件や乾燥条件を変更する制御を行っても良い。例えば、連続式熱風乾燥機5の下流位置(例えばN1)に測定装置Nを設け、その測定結果をもとに前記乾燥機5の運転を制御するようにしてもよい(フィードバック制御)。この場合、有機性廃棄物Wを固気分離機6に供給する前に測定するよりも、有機性廃棄物Wが固気分離機6から排出された後で測定した方がよい。固気分離機6に供給する前は、有機性廃棄物Wが流路(例えば管)内を高速で移動しており、その採取が難しいからである。
【0101】
連続式熱風乾燥機5のうちの円管式気流乾燥機5CFは、本発明に係る乾燥機5として適している。なぜならば、円管式気流乾燥機5CFは、その乾燥機5CF内に有機性廃棄物Wが滞留する時間が短いため、採取、圧密、計測、制御、の1サイクルにかかる時間を短くすることができ、前記乾燥機5CFの運転の調整を迅速に変更することができるからである。
【0102】
なお、連続式熱風乾燥機5の制御方法は様々なものが考えられるが、連続式熱風乾燥機5に用いる熱風の温度変更を例示できる。例えば、この熱風温度を約250℃~500℃の範囲の任意の温度に変更し、有機性廃棄物Wを目標とする含水率に乾燥させる。
【0103】
また、脱水機3の下流位置(例えばN4やN5)に測定装置Nを設け、その測定結果をもとに前記脱水機3の運転を制御しても良い。なお、脱水機3の制御としては、例えば、機内二液調質型遠心脱水機3の場合は、高分子凝集剤HCや無機凝集剤ICの注入量の変更や、回転ボウルの回転数の変更を挙げることができる。また、脱水機3が、遠心脱水機、ベルトプレス脱水機である場合は、遠心力、差速、ろ布の緊張圧、ろ布の走行速度や凝集混和槽の攪拌回転数などの変更を挙げることができる。
【0104】
以上のように、本発明に係る有機性廃棄物Wの処理方法や処理装置1によれば、脱水機3や乾燥機5から排出される有機性廃棄物Wの含水率を目標値に近い数値で推移させることができる。その結果、有機性廃棄物Wの燃料資源などとしての価値を高めることができる。
【0105】
また、脱水機3に供給する有機性廃棄物Wの量、脱水に用いる凝集剤の量を増減させる制御により、脱水物の含水率を均一にできる。脱水物の含水率が均一になると、後段の工程(例えば乾燥工程)における運転制御が容易になるという利点がある。また、脱水機3の処理能力に余力があるときに、有機性廃棄物Wの供給量を増やすことで、単位時間当たりの脱水処理量を増やすことができる。逆に、脱水機3の処理能力を超えた有機性廃棄物Wが供給されている場合は、有機性廃棄物Wの供給量を減らすことで、脱水機3の負荷を下げることができ、脱水機3の製品寿命を延ばすことができる。また、脱水に用いる凝集剤の量を最適化することにより、余分な凝集剤の添加を防止できるため、ランニングコストを抑えることができる。
【0106】
さらに、乾燥機5から排出された乾燥物の含水率を測定装置Nで測定し、その測定値に基づいて、乾燥機5に用いる熱風量や熱風温度を制御する構成とした場合は、熱風量や熱風温度が最適化されることにより、熱風発生器4に用いる補助燃料の無駄遣いを抑制することができる。また、測定した含水率に基づき、乾燥条件を速やかに変更することで、乾燥物の含水率を均一にすることができるため、例えば乾燥物を燃料資源として利用する際に、製品価値が高めることができる。
【0107】
図1では、脱水機3と乾燥機5の両方を備えた処理装置1を例示しているが、本発明はこのような形態に限られるものではなく、脱水機3と乾燥機5のいずれか一方のみを備えた処理装置1であっても良い。この場合、脱水機3と乾燥機5のいずれか一方の下流に、測定装置Nを設けるようにすると良い。そして、測定装置Nによって測定した含水率に基づき、脱水機3と乾燥機5のいずれか一方を制御するようにすると良い。
【符号の説明】
【0108】
1:処理装置、2:汚泥貯留槽、3:脱水機、4:熱風発生器、5:連続式熱風乾燥機、5a~5d:パイプ、5F:気流乾燥機、5CF:円管式気流乾燥機、5X:供給口、5Y:排出口、6:固気分離機、7:脱水物搬送機、8:粒度分布測定装置、9:粉粒体上流搬送機、10:粉粒体下流搬送機、11:ベンチュリースクラバー、12:排気ファン、13:ミストセパレーター、14:プラズマ脱臭機、15:コンテナ、17:空気圧縮機、18:貯留タンク、19:ロータリーバルブ、20:消化タンク、21:供給ポンプ、31~33:管、40:採取部、41:運搬部、42:運搬機器(スクリュー、ピストン等)、43:圧密部、44:測定部、45:開口部、E:大気、F:燃料、M:モーター、N:(含水率の)測定装置、N1~N7:測定装置の設置箇所の例、W:汚泥
図1
図2
図3