(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】応答ガラス及びガラス電極
(51)【国際特許分類】
G01N 27/36 20060101AFI20220803BHJP
C03C 3/095 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
G01N27/36 B
C03C3/095
(21)【出願番号】P 2018133440
(22)【出願日】2018-07-13
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2017138577
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592187534
【氏名又は名称】株式会社 堀場アドバンスドテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】西尾 友志
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特公昭48-001403(JP,B1)
【文献】特公昭44-024425(JP,B1)
【文献】特公昭39-008650(JP,B1)
【文献】特開2014-111528(JP,A)
【文献】特開2008-241696(JP,A)
【文献】特開2009-288117(JP,A)
【文献】特開昭60-036350(JP,A)
【文献】特開昭60-180930(JP,A)
【文献】特表2017-511781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/36
C03C 3/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン選択性ガラス電極に用いられる応答ガラスであって、
HfO
2と、Nb
2O
5、Cs
2O
若しくはB
aOとを含有する
、又は
ZrO
2
と、Nb
2
O
5
と、Sc
2
O
3
若しくはY
2
O
3
とを含有することを特徴とする応答ガラス。
【請求項2】
前記応答ガラス全体に対して、0.1mol%以上5.0mol%以下のHfO
2又はZrO
2と、0.1mol%以上8.0mol%以下のNb
2O
5とを含有することを特徴とする請求項1記載の応答ガラス。
【請求項3】
Ta
2O
5をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2記載の応答ガラス。
【請求項4】
Cs
2O又はBaOをさらに含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の応答ガラス。
【請求項5】
TiO
2をさらに含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の応答ガラス。
【請求項6】
Nd
2O
3、Sc
2O
3又はY
2O
3をさらに含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の応答ガラス。
【請求項7】
請求項1記載の応答ガラスを備えたことを特徴とするイオン選択性ガラス電極。
【請求項8】
請求項7記載のイオン選択性ガラス電極を備えたことを特徴とするイオン濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、pH測定に用いられる応答ガラス及びガラス電極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
pH測定等に使用される応答ガラスには、抵抗値が低いこと、アルカリ誤差が小さいこと、膨張係数が小さいこと、化学耐久性、耐水性、応答性、加工性を有していること等様々な性質が要求される。
これら性質のうち、耐水性の向上には、非特許文献1に示すように、La2O3を添加することが有効であるとの報告がある。
【0003】
しかしながら、測定対象の多様化により、従来よりもさらに高い耐水性を有する応答ガラスが求められている。
一方で、他の金属酸化物の添加による、応答ガラスの耐水性に対する効果はこれまでにほとんど検討されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】“ガラス電極用ガラス”、岡田辰三 他著、工業化学雑誌、vol.61、1534-1539頁(1958年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、従来よりもさらに耐水性が高く、かつ応答ガラスに求められる他の性質についても従来に劣らない応答ガラスを提供することを主な目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が、応答ガラスの成分として、様々な金属酸化物の添加を検討した結果、応答ガラスの成分としてHfO2又はZrO2を添加することよって、該応答ガラスの耐水性を従来よりも向上させることができた。
一方、これらHfO2又はZrO2を添加すると、従来よりもアルカリ誤差が大きくなることが分かった。
そこで、HfO2又はZrO2に加えて、Nb2O5を、Ta2O5の代替成分として添加したところ、他の性質を劣化させることなく、アルカリ誤差を低減できることが分かった。
【0007】
すなわち、本発明に係る応答ガラスは、イオン選択性ガラス電極に用いられる応答ガラスであって、その成分としてHfO2又はZrO2と、Nb2O5とを含有することを特徴とするものである。
このような応答ガラスであれば、従来よりも耐水性が高く、他の性質については従来の応答ガラスに劣らない。
【0008】
前記応答ガラス全体に対して、0.1mol%以上5.0mol%以下のHfO2又はZrO2と、0.1mol%以上8.0mol%以下のNb2O5とを含有する応答ガラスであれば、HfO2又はZrO2を添加することによる耐水性の向上と、Nb2O5を添加することによるアルカリ誤差の低減効果をよりバランスよく両立することができる。
【0009】
その成分として、さらにTa2O5を含有する前記応答ガラスであれば、より化学的耐久性を高めることができる。
【0010】
さらにCs2O又はBaOを含有する応答ガラスであれば、よりアルカリ誤差を小さくすることができる。
【0011】
さらにTiO2を含有する応答ガラスであれば、応答ガラスの粘性を下げることができるので、製造を自動化する等、より応答ガラスの加工性を高めることができる。
【0012】
さらにNd2O3、Sc2O3又はY2O3を含有する応答ガラスであれば、他の成分とのバランスや、測定条件等に応じて、アルカリ誤差又は膨張係数の低減、応答性、化学耐久性又は加工性の向上等の性質をさらに向上することができる。
【0013】
さらに検討を重ねた結果、イオン選択性ガラス電極に用いられる応答ガラスであって、その成分としてHfO2と、Nb2O5、Cs2O又はBaOとを含有する応答ガラスによっても同様に、耐水性が高く、他の性質については従来の応答ガラスに劣らないものにできることが分かった。
【0014】
前述したような応答ガラスを備えたガラス電極によれば、従来よりも耐水性が高く、かつ応答ガラスに求められる他の性質についても従来に劣らない応答ガラスを使用しているので、例えば、応答ガラスに通常よりも高い耐水性が要求される海水等の高塩濃度サンプルのpH等も問題なく測定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る応答ガラスによれば、HfO2又はZrO2の添加によって耐水性を向上させ、かつNb2O5、Cs2O又はBaOを添加することによってアルカリ誤差を小さくすることができるので、従来よりも耐水性が高く、かつ応答ガラスに求められる他の性質についても従来に劣らない応答ガラスとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る応答ガラスを具備したイオン濃度測定装置全体を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る応答ガラス1は、例えば、pHに応答するものであり、内部電極2及び比較電極3を内蔵した複合型ガラス電極Gに用いられるものである。
前記応答ガラス1は、
図1に示すように、前記ガラス電極Gの支持管4に接合されて使用される。
【0018】
前記ガラス電極Gは、例えば、
図1に示すように、センサケーブル5等を介してイオン濃度測定装置100の本体部6に接続された状態で使用される。
前記本体部6は、例えば、前記ガラス電極Gから出力される出力値に基づいて、測定対象のpH等を算出する算出部61と、該算出部61によって算出されたpH等の測定値を表示する表示部62等を備えたものである。
【0019】
以下、前記応答ガラス1について、詳しく説明する。
前記応答ガラス1は、SiO2(50~70mol%)を主成分、Li2O(25~30mol%)を副成分とし、これらの他に種々の金属酸化物を含有するものである。
【0020】
前記金属酸化物の組合せの一例として、本実施形態としては、HfO2及びNb2O5、これら以外に、例えば、La2O3、Ta2O5、Cs2O、BaO、TiO2、Nd2O3、Y2O3、又はSc2O3等を含有するものを挙げて説明する。
【0021】
HfO2の含有量は、0.1mol%以上5.0mol%以下の範囲であれば、応答ガラス1の耐水性を向上しながら、アルカリ誤差を他の成分によって相殺できる範囲に抑えることができる。
【0022】
また、HfO2を添加することによって増大するアルカリ誤差を改善することを目的として、Nb2O5を添加している。
Nb2O5の含有量は、例えば、0.1mol%以上8.0mol%以下である。
Nb2O5は、従来応答ガラス1に添加されているTa2O5よりもアルカリ誤差が小さく、他の性質はTa2O5と非常に良く似ているので、従来応答ガラス1に含有されているTa2O5の一部又は全部をNb2O5に置き換えることで、他の性質を劣化させることなく、アルカリ誤差だけを改善することができる。
【0023】
これら以外の成分としては、アルカリ誤差や耐水性を改善する目的で、従来使用されてきた実績からLa2O3を3.0mol%以上8.0mol%以下の範囲で含有するものであることが好ましい。
【0024】
また、前記応答ガラス1が、化学耐久性や耐水性を維持する目的で従来使用されてきた実績から、Ta2O5を含有するものであることが好ましい。
一方で、Ta2O5を多く添加しすぎると、前記応答ガラス1の加工性が低下したり、前記応答ガラス1が失透したりするので、Ta2O5の含有量は0.01mol%以上8.0mol%以下の範囲であることが好ましい。
【0025】
本実施形態では、さらにアルカリ誤差を低減する効果のあるCs2O及びBaOが添加されている。
Cs2Oの含有量は、0.01mol%以上6.0mol%以下であることが好ましい。また、BaOの含有量は、0.01mol%以上8.0mol%以下であることが好ましい。
【0026】
また、耐水性、膨張係数の低減及び加工性を向上するTiO2が0.01mol%以上8.0mol%以下の範囲で含有されていることが好ましい。
【0027】
さらに、アルカリ誤差及び膨張係数を低減するNd2O3が0.01mol%以上3.0mol%以下の範囲で含有されていることが好ましい。
Nd2O3は、アルカリ誤差を低減する効果がNb2O5よりも高いので、さらにNd2O3を添加することで、HfO2を添加することによるアルカリ誤差の増大をより効果的に抑えることができる。
【0028】
また、応答性、化学的耐久性、膨張係数、加工性を改善するY2O3が0.01mol%以上3.0mol%以下の範囲で含有されていることが好ましい。
【0029】
さらに、応答性、化学耐久性(特にフッ酸耐久性)、膨張係数、加工性を改善するSc2O3が0.01mol%以上3.0mol%以下の範囲で含有されていることが好ましい。
【0030】
本発明は、前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態では、HfO2を添加していたが、HfO2に替えてZrO2を添加してもよいし、これらを両方添加しても良い。
【0031】
前記実施形態では、アルカリ誤差をより低減するためにCs2Oを添加していたが、BaOを添加するものとしても良いし、これらを両方添加しても良い。
これらCs2OとBaOとを両方添加した場合、アルカリ誤差低減効果がより高まるが、抵抗値も高くなるため、抵抗値を下げる効果を持つTa2O5やNb2O5等の添加量を増やすなどして調整すると良い。
Ta2O5、Cs2O、BaO、TiO2、Nd2O3、Y2O3及びSc2O3については、必ずしもこれら全てを添加する必要はなく、求められる性質や他の成分とのバランスによって、様々な組合せで添加することができる。
【0032】
本実施形態では、イオン選択性ガラス電極Gの一例として、pH応答性ガラス電極Gについて記載したが、本発明は、pH応答性ガラス電極Gに限らず、プロトン以外のイオンに応答する応答ガラス1を使用したガラス電極Gとして構成されても良い。
また、前記実施形態では、比較電極3を内蔵した複合型ガラス電極Gを一例として記載したが、比較電極3を内蔵しないガラス電極Gであっても良い。
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、種々の変形や実施形態の組合せを行ってもかまわない。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限られるものではない。
この実施例では、従来品(R1)に加えて、従来品の組成に基づき4属及び5属に属する多価金属元素や、添加により応答ガラスの性質改善が期待される金属元素の酸化物をさらに添加した前記応答ガラス(S1、S2、S3、S4、S5、S6及びS7)をそれぞれ溶融法により試作した。
試作した各応答ガラスの組成は、以下の表1の通りである。
なお、前記各応答ガラスについて、表1中に-記号が記載されていない元素は全て添加されており、添加量の欄が統合されている元素については、該添加量の欄に、これら元素の合計添加量が記載されている。
また、表1中の*印及び**印の欄の合計添加量は4.00(mol%)である。
【0034】
【0035】
これら各応答ガラスについて、膨張係数α、アルカリ誤差、耐水性、感度などの性質についてそれぞれ調べた。
まず、膨張係数αについては、約20mmの棒材にした各応答ガラスについて熱膨張率計((株)Rigaku製、TDL-8411)を用いて測定した。
前記応答ガラス1の膨張係数としては、前記ガラス電極Gの前記支持管4に使用されるガラスの膨張係数との差が小さいことが求められる。
前記ガラス電極Gの前記支持管4に使用されるガラスとしては、その膨張係数が90以上100以下のものを適宜使用することができるが、94前後のものが最も良く使用されるので、今回試作した応答ガラスの膨張係数はこの値を基準に評価した。
【0036】
次に、感度、アルカリ誤差、耐水性などを調べるため、作製した各応答ガラスを製膜し、応答ガラス以外は市販の電極を用いてガラス電極をそれぞれ組み立てた。
このようにして作製したガラス電極の電極部の長さは約15cm、応答膜の直径は約10mm、支持管の直径は約12mmであった。
比較電極としては、Ag/AgCl電極ダブルジャンクションスリーブ型のものを使用し、これら電極を卓上型pH計に接続して電位を測定した。
【0037】
耐水性については、ガラス電極を室温で14日間3.3mol/LのKCl水溶液中に浸漬した直後の水道水応答T95によって評価した。
水道水に対する応答時間T95の求め方は、イギリス規格(BSEN60746)に従って求めた。具体的には、以下の通りである。
すなわち、pH4の標準溶液を測定後、水道水を10分間測定した。初めのpH4標準溶液の測定値と、10分後の水道水の測定値との電位差の95%の電位値を計算し、水道水に浸漬してからこの95%の電位値に達するまでの時間を応答時間T95とした。
【0038】
アルカリ誤差の評価は、JIS規格(B7960-1)に従った。なお、アルカリ誤差を18mV以内とした場合、計量法に準拠したものといえる。
アルカリ誤差は、具体的には、以下の式(1)によって求めることができる。
【数1】
【0039】
不斉電位については、pH4、pH7及びpH9の標準溶液をそれぞれ測定したときの起電力を記載した。
【0040】
感度については、25℃に保ったpH4、pH7及びpH9の標準溶液の起電力を3分間測定し、各溶液に対する理論起電力に対する感度を求めた。
ネルンストの式より、溶液の温度が25℃の時、1pHあたり理論起電力は59.16mVとなる。
さらに2種類の標準溶液をそれぞれa及びbとすると、感度は以下の式(2)のように示される。
【数2】
式(1)中のE
a及びE
bは、比較電極を基準として生じたそれぞれの測定液の起電力であり、Rは気体定数8.3145JK
-1mol
-1、Tは絶対温度(K)、Fはファラデー定数96485Cmol
-1である。
【0041】
再現性については、pH7の標準溶液及びpH4又はpH9を交互に3回ずつ測定し、それぞれのpHでの起電力の最大値と最小値との差を記載した。なお、JIS規格による再現性の規格値は、3mV以下となっている。
【0042】
直線性については、pH4、pH7及びpH9の標準溶液にそれぞれ浸したときの起電力を測定し、以下の式(3)を用いて求めた。なお、JIS規格による直線性の規格値は、±3mVとなっている。
【数3】
この式(3)中でAはpH4標準溶液での起電力、BはpH9標準溶液での起電力、CはpH7標準溶液での起電力をそれぞれ示している。
【0043】
応答性については、pH4、pH7又はpH9の標準溶液、0.1mol/LのNaOH中、さらに1.0mol/LのHCl中にそれぞれ電極を浸してから1分後と2分後との起電力を測定し、これらの差を記載した。
これら応答ガラスの性質を比較した結果を以下の表2に示した。
【0044】
【0045】
これらを比較すると、今回試作した応答ガラスであるS1、S2、S3、S4、S5、S6及びS7は従来の応答ガラスであるR1に比べて、感度、不斉電位、再現性、直線性、応答性、膨張係数については同等又はそれ以上の性能を発揮しており、いずれも十分実用的なものであることが分かった。
また、S7について、SiO2等の添加量を増やして、Cs2O又はBaOの添加量を4.5mol%程度まで減らしても、S6やS7と同等の性能を発揮する応答ガラスを作成することができた。
【0046】
KCl水溶液に浸漬した後の、水道水に対する応答時間T95を比較すると、従来の応答ガラスであるR1に比べて、HfO2又はZrO2を添加したS1、S2、S4、S5、S6及びS7では耐水性が大幅に向上することが分かった。
【0047】
次に、アルカリ誤差について比較すると、Ta2O5に替えてNb2O5を添加したS3では、従来と同等又はそれ以下のアルカリ誤差に抑えることができた。
さらに、Ta2O5に加えて、Nb2O5を添加したS4、S5、S6及びS7では、R1に比べて、アルカリ誤差が小さく抑えられていることが分かった。
S1及びS2では、R1に比べてアルカリ誤差が多少大きくなっているものの、いずれも応答ガラスとして問題なく使用できる範囲であることが分かった。
特に、S2の組成からBaOを除いた組成では、アルカリ誤差が26mV以上になってしまったがBaOを添加するとアルカリ誤差を26mV未満に抑えることができたので、BaOを添加することによりアルカリ誤差が低減されていることが分かった。
なお、前記表1中に合算値として表されているTiO2とHfO2又はZrO2との添加量の比率は、例えば、TiO2の添加量を1.0とした場合のHfO2(又はZrO2)の添加量が3.0~5.0の範囲であれば良い。
また、Nd2O3とY2O3又はSc2O3との添加量の比率は、例えば、Nd2O3の添加量を1.0とした場合のY2O3(又はSc2O3)の添加量が2.0~3.0の範囲であれば良い。
さらに、Cs2OとBaOとの添加量の比率は、例えば、Cs2Oの添加量を1とした場合のBaOの添加量が0.7~2.2の範囲であれば良い。
また、前記表1中のSiO2の添加量を58.0mol%とした場合や、Ta2O5の添加量を2.6mol%とした場合にも、前述したS1~S7と同等の性能を有する応答ガラスを作成できることが確かめられている。
【0048】
これらの結果から、従来の応答ガラス組成にHfO2又はZrO2を添加すると、耐水性が大きく向上することが分かった。
特に、4属、5属に属する金属同士を比較すると、原子番号が大きい方が、耐水性が向上することが分かった。
また、従来の応答ガラス組成にNb2O5、Cs2O又はBaOを添加すると、アルカリ誤差が小さくなることが分かった。
【0049】
これらS1~S7の結果から、0.01mol%以上6.00mol%以下のTiO2、HfO2又はZrO2と、0.01mol%以上3.00mol%以下のNb2O5を併せて添加し、これらに加えて0.01mol%以上6.40mol%以下のCs2O又はBaO、0.01mol%以上1.50mol%以下のNd2O3、Sc2O3又はY2O3を添加すると、耐水性、アルカリ誤差に加えて、他の性質についても非常に優れた応答ガラスを作成できることが分かった。
特に、HfO2又はZrO2とNb2O5とを併せて添加し、さらにCs2O、BaO、Nd2O3、Sc2O3、Y2O3等を添加することによって、より耐水性が高く、アルカリ誤差が小さい応答ガラスであり、さらに他の性質についても十分実用的な応答ガラスを作製できることが分かった。
【符号の説明】
【0050】
100・・・イオン濃度測定装置
1・・・応答ガラス
2・・・内部電極
3・・・比較電極
4・・・支持管
5・・・センサケーブル
6・・・本体部
61・・・算出部
62・・・表示部
G・・・ガラス電極