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特許7116675LiDAR反射性暗色顔料及びそれを含むビークル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】LiDAR反射性暗色顔料及びそれを含むビークル
(51)【国際特許分類】
   C09C 3/06 20060101AFI20220803BHJP
   C09C 1/62 20060101ALI20220803BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20220803BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20220803BHJP
【FI】
C09C3/06
C09C1/62
C09D201/00
C09D7/62
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018228242
(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公開番号】P2019131791
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】15/833,154
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】デバシシュ バナージー
(72)【発明者】
【氏名】シンシア ガゼピス テンプルマン
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-049777(JP,A)
【文献】特開2015-120350(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0252847(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0111861(US,A1)
【文献】特表2020-509120(JP,A)
【文献】特開2014-237819(JP,A)
【文献】特開2016-47917(JP,A)
【文献】特表2020-509117(JP,A)
【文献】特表2002-530712(JP,A)
【文献】特表平9-508172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 1/00- 3/12
C09D 1/00- 10/10
C09D 15/00- 17/00
C09D101/00-201/10
B32B 1/00- 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射性材料から形成されたコア層;
前記コア層にわたって延在する第1層であって、第1の吸収材料又は第1の誘電材料から形成された厚さ約5nm~約500nmの第1層;
前記第1層にわたって延在する第2層であって、前記第1の吸収材料とは異なる第2の吸収材料から形成された厚さ約5nm~約50nmの第2層;及び
前記第2層にわたって延在する第3層であって、第3の吸収材料又は第2の誘電材料から形成され、前記第3の吸収材料は前記第2の吸収材料と異なる、厚さ約5nm~約500nmの第3層;
を含む顔料であって、
前記顔料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視電磁線の全ての入射角で、入射可視電磁線の10%未満を反射し、
前記顔料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視電磁線の全ての入射角で、850nmと950nmの間と850nm及び950nmとを含む波長を有する入射近IR電磁線の60%超を反射する、
顔料。
【請求項2】
前記第1層が前記第1の吸収材料から形成されており、前記第1の吸収材料が選択的吸収材料を含む、請求項1に記載の顔料。
【請求項3】
前記選択的吸収材料が、Fe、TiN、Cu及び黄銅のうちの少なくとも1種である、請求項2に記載の顔料。
【請求項4】
前記第1層が前記第1の誘電材料から形成されており、前記第1の誘電材料がZnS、MgF及びTiOのうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の顔料。
【請求項5】
前記第2の吸収材料が、Cr、Ge、Ni、ステンレス鋼、Pd、Ti、Si、V、Co、W、Mo、Nb、及びそれらの合金のうちの少なくとも1種を含む非選択的吸収材料である、請求項1に記載の顔料。
【請求項6】
前記第3層が前記第3の吸収材料から形成されており、前記第3の吸収材料が選択的吸収材料を含む、請求項1に記載の顔料。
【請求項7】
前記選択的吸収材料が、Fe、TiN、Cu及び黄銅のうちの少なくとも1種である、請求項6に記載の顔料。
【請求項8】
前記第3層が前記第2の誘電材料から形成されている、請求項1に記載の顔料。
【請求項9】
前記第2の誘電材料が、ZnS、MgF及びTiOのうちの少なくとも1種である、請求項8に記載の顔料。
【請求項10】
前記反射性材料がAl又はその合金のうちの少なくとも1種であり、
前記第1層が前記第1の誘電材料から形成されており、前記第1の誘電材料がZnSを含み、
前記第2の吸収材料がCr又はその合金であり、
前記第3層が前記第3の吸収材料から形成されており、前記第3の吸収材料がFeを含む、
請求項1に記載の顔料。
【請求項11】
前記反射性材料がAl又はその合金のうちの少なくとも1種であり、
前記第1層が前記第1の誘電材料から形成されており、前記第1の誘電材料がZnSを含み、
前記第2の吸収材料がCr又はその合金であり、
前記第3層が前記第2の誘電材料から形成されており、前記第2の誘電材料がZnSを含む、
請求項1に記載の顔料。
【請求項12】
前記反射性材料がAl又はその合金のうちの少なくとも1種であり、
前記第1層が前記第1の吸収材料から形成されており、前記第1の吸収材料がFeを含み、
前記第2の吸収材料がCr又はその合金であり、
前記第3層が前記第3の吸収材料から形成されており、前記第3の吸収材料がFeを含む、
請求項1に記載の顔料。
【請求項13】
前記反射性材料がAl又はその合金のうちの少なくとも1種であり、
前記第1層が前記第1の吸収材料から形成されており、前記第1の吸収材料がFeを含み、
前記第2の吸収材料がCr又はその合金であり、
前記第3層が前記第2の誘電材料から形成されており、前記第2の誘電材料がZnSを含む、
請求項1に記載の顔料。
【請求項14】
塗料バインダーと、
前記塗料バインダー中に配置されていて、光検出及び測距用(LiDAR)反射性暗色塗料を形成しているLiDAR反射性暗色顔料、
を含む塗料であって、
前記LiDAR反射性暗色顔料が、
反射性材料から形成されたコア層;
前記コア層にわたって延在する第1層であって、第1の吸収材料又は第1の誘電材料から形成された厚さ約5nm~約500nmの第1層;
前記第1層にわたって延在する第2層であって、前記第1の吸収材料とは異なる第2の吸収材料から形成された厚さ約5nm~約50nmの第2層;及び
前記第2層にわたって延在する第3層であって、第3の吸収材料又は第2の誘電材料から形成され、前記第3の吸収材料は前記第2の吸収材料と異なる、厚さ約5nm~約500nmの第3層;
を含み、
前記LiDAR反射性暗色塗料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視電磁線の全ての入射角で、入射可視電磁線の10%未満を反射し、
前記LiDAR反射性暗色塗料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視電磁線の全ての入射角で、850nmと950nmの間と850nm及び950nmとを含む波長を有する入射近IR電磁線の60%超を反射し、
前記LiDAR反射性暗色塗料は、40以下のCIELAB色空間での明度を有する色を有する、塗料。
【請求項15】
前記第1の吸収材料が、Fe、TiN、Cu及び黄銅のうちの少なくとも1種を含む選択的吸収材料であり、前記第1の誘電材料がZnS、MgF及びTiOのうちの少なくとも1種を含む、請求項14に記載の塗料。
【請求項16】
前記第2の吸収材料が、Cr、Ge、Ni、ステンレス鋼、Pd、Ti、Si、V、Co、W、Mo、Nb、及びそれらの合金のうちの少なくとも1種から選択された非選択的吸収材料である、請求項14に記載の塗料。
【請求項17】
前記第3の吸収材料が、Fe、TiN、Cu及び黄銅のうちの少なくとも1種を含む選択的吸収材料であり、前記第2の誘電材料がZnS、MgF及びTiOのうちの少なくとも1種を含む、請求項14に記載の塗料。
【請求項18】
光検出及び測距用(LiDAR)反射性暗色塗料でコーティングされたボディパネルを備えたビークルであって、前記LiDAR反射性暗色塗料が、
塗料バインダーと、
前記塗料バインダー中に配置されたLiDAR反射性暗色顔料、
を含み、
前記LiDAR反射性暗色顔料が、
反射性材料から形成されたコア層;
前記コア層にわたって延在する第1層であって、第1の吸収材料又は第1の誘電材料から形成された厚さ約5nm~約500nmの第1層;
前記第1層にわたって延在する第2層であって、前記第1の吸収材料とは異なる第2の吸収材料から形成された厚さ約5nm~約50nmの第2層;及び
前記第2層にわたって延在する第3層であって、第3の吸収材料又は第2の誘電材料から形成され、前記第3の吸収材料は前記第2の吸収材料と異なる、厚さ約5nm~約500nmの第3層;
を含み、
前記LiDAR反射性暗色塗料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視電磁線の全ての入射角で、入射可視電磁線の10%未満を反射し、
前記LiDAR反射性暗色塗料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視電磁線の全ての入射角で、850nmと950nmの間と850nm及び950nmとを含む波長を有する入射近IR電磁線の60%超を反射し、
前記LiDAR反射性暗色塗料は、40以下のCIELAB色空間での明度を有する色を有し、
前記ビークルはLiDARにより検出することが可能である、
ビークル。
【請求項19】
前記第1の吸収材料が、Fe、TiN、Cu及び黄銅のうちの少なくとも1種を含む選択的吸収材料であり、
前記第1の誘電材料がZnS、MgF及びTiOのうちの少なくとも1種から選択されたものであり、
前記第2の吸収材料が、Cr、Ge、Ni、ステンレス鋼、Pd、Ti、Si、V、Co、W、Mo、Nb、及びそれらの合金のうちの少なくとも1種を含む非選択的吸収材料であり、
前記第3の吸収材料が、Fe、TiN、Cu及び黄銅のうちの少なくとも1種を含む選択的吸収材料であり、
前記第2の誘電材料が、ZnS、MgF及びTiOのうちの少なくとも1種から選択されたものである、
請求項18に記載のビークル。
【請求項20】
第1の目標波長についてゼロパーセント電場が存在するように前記第1層と前記第2層の間の界面が位置ているか、又は、第2の目標波長についてゼロパーセント電場が存在するように前記第2の層と前記第3の層の間の界面が位置ている、請求項1に記載の顔料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して顔料に関し、より具体的には、近IR電磁線を反射する暗色顔料(dark colored pigments)に関する。
【背景技術】
【0002】
905ナノメートルの波長を有するパルスレーザ電磁線を使用するLiDARシステムが提案され、自律ビークル障害物検出及び回避システム(autonomous vehicle obstacle detection and avoidance systems)について試験されている。しかしながら、暗色のビークル(vehicle)を提供するために自動車用塗料に使用される暗色(例えば、黒色)顔料は、可視電磁線だけでなく905ナノメートルの波長を有する近IR電磁線も吸収する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、905ナノメートルの波長を有する近IR電磁線を反射する代替の暗色顔料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、LIDAR反射性暗色顔料は、反射性材料から形成されたコア層と、コア層にわたって延在する第1の吸収材料又は第1の誘電材料から形成された第1層とを含む。第1の吸収材料とは異なる第2の吸収材料から形成された第2層は第1層にわたって延在し、第3の吸収材料又は第2の誘電材料から形成された第3層は第2層にわたって延在する。第3の吸収材料は第2の吸収材料と異なる。当該顔料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視及び近IR電磁線の全ての入射角で、入射可視電磁線の10%未満と、850nmと950nmの間と850nm及び950nmとを含む波長を有する入射近IR電磁線の60%超とを反射する。当該顔料によって反射された色は、40以下のCIELAB色空間での明度を有する。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1層は、Fe、TiN、Cu及び黄銅合金のうちの少なくとも1種から選択された選択的吸収材料であることができる第1の吸収材料から形成される。他の実施形態では、第1層は、ZnS、MgF及びTiOのうちの少なくとも1種から選択された第1の誘電材料から形成される。第2層は、非選択的吸収材料から形成された半透明吸収層であることができる。当該非選択的吸収材料は、Cr、Ge、Ni、ステンレス鋼、Pd、Ti、Si、V、Co、W、Mo、Nb、及びそれらの合金のうちの少なくとも1種であることができる。いくつかの実施形態では、第3層は第3の吸収材料から形成される。かかる実施形態では、第3層は、選択的吸収材料、例えば、Fe、TiN、Cu及び黄銅合金のうちの少なくとも1種から形成することができる。他の実施形態では、第3層は第2の誘電材料から形成される。かかる実施形態では、第3層は、ZnS、MgF及びTiOのうちの少なくとも1種から形成することができる。
【0006】
一実施形態では、顔料は、Al又はその合金から形成されたコア層と、Feから形成された第1層と、Cr又はその合金から形成された第2層と、第3の吸収層、例えばFeから形成された第3層とを含む。他の実施形態では、顔料は、Al又はその合金から形成されたコア層と、Feから形成された第1層と、Cr又はその合金から形成された第2層と、誘電材料、例えばZnSから形成された第3層とを含む。
【0007】
別の実施形態では、LiDAR反射性暗色塗料は、塗料バインダーと、塗料バインダー中に配置されたLiDAR反射性暗色顔料とを含む。いくつかの実施形態において、非LiDAR反射性暗色顔料が、LiDAR反射性暗色顔料と共に塗料バインダー中に配置される。他の実施形態では、LiDAR反射性暗色顔料は、塗料バインダー中に配置される唯一の顔料である。LiDAR反射性暗色顔料は、コア層にわたって延在する第1の吸収材料又は第1の誘電材料から形成された第1層を含む。第1の吸収材料とは異なる第2の吸収材料から形成された第2層は、第1層にわたって延在し、第3の吸収材料又は第2の誘電材料から形成された第3層は、第2層にわたって延在する。第3の吸収材料は第2の吸収材料とは異なる。LiDAR反射性暗色顔料は、0度(0°)~45度(45°)の可視及び近IR電磁線の全ての入射角で、入射可視電磁線の10%未満と、850nmと950nmの間と850nm及び950nmとを含む波長を有する入射近IR電磁線の60%超とを反射する。この多層スタックによって反射された色は、40以下のCIELAB色空間での明度を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1層は、Fe、TiN、Cu及び黄銅合金のうちの少なくとも1種から選択された選択的吸収材料であることができる第1の吸収材料から形成される。他の実施形態では、第1層は、ZnS、MgF及びTiOのうちの少なくとも1種から選択された第1の誘電材料から形成される。第2層は、非選択的吸収材料から形成された半透明吸収層であることができる。非選択的吸収材料は、Cr、Ge、Ni、ステンレス鋼、Pd、Ti、Si、V、Co、W、Mo、Nb、及びそれらの合金のうちの少なくとも1種であることができる。いくつかの実施形態では、第3層は第3の吸収材料から形成される。かかる実施形態では、第3層は、選択的吸収材料、例えば、Fe、TiN、Cu及び黄銅合金のうちの少なくとも1種から形成することができる。他の実施形態では、第3層は第2の誘電材料から形成される。かかる実施形態では、第3層は、ZnS、MgF及びTiOのうちの少なくとも1種から形成することができる。
【0009】
さらに別の実施形態では、ビークルは、LiDAR反射性暗色塗料でコーティングされたボディパネルを備える。LiDAR反射性暗色塗料は、塗料バインダーと、塗料バインダー中に配置されたLiDAR反射性暗色顔料とを含む。いくつかの実施形態において、非LiDAR反射性暗色顔料が、LiDAR反射性暗色顔料と共に塗料バインダー中に配置される。他の実施形態では、LiDAR反射性暗色顔料は、塗料バインダー中に配置される唯一の顔料である。LiDAR反射性暗色顔料は、コア層にわたって延在する第1の吸収材料から形成された第1層を含む。第1の吸収材料とは異なる第2の吸収材料から形成された第2層は、第1層にわたって延在し、第3の吸収材料又は誘電材料から形成された第3層は、第2層にわたって延在する。第3の吸収材料は第2の吸収材料とは異なる。LiDAR反射性暗色顔料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視及び近IR電磁線の全ての入射角で、入射可視電磁線の10%未満と、850nmと950nmの間と850nm及び950nmとを含む波長を有する近IR電磁線の60%超とを反射する。この多層スタックによって反射された色は、40以下、例えば30以下、20以下又は10以下のCIELAB色空間での明度を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1層は、Fe、TiN、Cu及び黄銅合金のうちの少なくとも1種から選択された選択的吸収材料であることができる第1の吸収材料から形成される。他の実施形態では、第1層は、ZnS、MgF及びTiOのうちの少なくとも1種から選択された第1の誘電材料から形成される。第2層は、非選択的吸収材料から形成された半透明吸収層であることができる。非選択的吸収材料は、Cr、Ge、Ni、ステンレス鋼、Pd、Ti、Si、V、Co、W、Mo、Nb、及びそれらの合金のうちの少なくとも1種であることができる。いくつかの実施形態では、第3層は第3の吸収材料から形成される。かかる実施形態では、第3層は、選択的吸収材料、例えば、Fe、TiN、Cu及び黄銅合金のうちの少なくとも1種から形成することができる。他の実施形態では、第3層は第2の誘電材料から形成される。かかる実施形態では、第3層は、ZnS、MgF及びTiOのうちの少なくとも1種から形成することができる。
【0011】
本明細書に記載の実施形態によって提供されるこれら及びさらなる特徴は、図面と併せて以下の詳細な説明から、より完全に理解されるであろう。
【0012】
図面に示されている実施形態は、本質的に例示的及び代表的なものであり、特許請求の範囲によって定義される主題を限定することを意図するものではない。例示的な実施形態についての以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示されている以下の図面と併せて読んだ場合に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1Aは、本明細書に開示及び記載されている1つ以上の実施形態にしたがうLiDAR反射性暗色顔料の断面図を概略的に示す。
【0014】
図2A図2Aは、800nmの波長を有する電磁線にさらされた図1のLiDAR反射性暗色顔料についての厚さの関数として電場百分率(|E|、%)をグラフで示す。
【0015】
図2B図2Bは、920nmの波長の電磁線にさらされたLiDAR反射性暗色顔料についての厚さの関数としての電場百分率(|E|、%)をグラフで示す。
【0016】
図3図3は、本明細書に開示及び記載されている1つ以上の実施形態に従う、物品上のLiDAR反射性暗色塗料層の断面図を概略的に示す。
【0017】
図4図4は、本明細書に開示及び記載されている1つ以上の実施形態に従う、物品上のLiDAR反射性暗色塗料層の断面図を概略的に示す。
【0018】
図5図5は、本明細書に開示及び記載されている1つ以上の実施形態に従うLiDAR反射性暗色塗料で塗装されたサイドパネルを有するビークルを概略的に示す。
【0019】
図6図6は、図5のLiDAR反射性暗色塗料で塗装されたサイドパネルの断面図を概略的に示す。
【0020】
図7A図7Aは、本明細書に開示及び記載されている1つ以上の実施形態に従う、太陽光にさらされたLiDAR反射性暗色顔料についての電磁線波長の関数としてのパーセント吸収率をグラフで示す。
【0021】
図7B図7Bは、本明細書に開示及び記載されている1つ以上の実施形態に従う、太陽光にさらされたLiDAR反射性暗色顔料についての電磁線波長の関数としてのパーセント反射率をグラフで示す。
【0022】
図8図8は、本明細書に開示及び記載されている1つ以上の実施形態に従う、0°、15°、30°及び45°の入射角で太陽光にさらされたLiDAR反射性暗色顔料についての電磁線波長の関数としての反射率をグラフで示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に記載の1つ以上の実施形態に従えば、光検出及び測距(LiDAR)の反射性暗色顔料(Light Detection and Ranging (LiDAR) reflecting dark colored pigment)は、一般的に、反射性材料及び吸収材料の層から形成される多層スタック、又は反射性材料、吸収材料及び誘電材料の層から形成される多層スタックを含むことができる。本明細書で使用される用語「LiDAR反射性顔料」及び「LiDAR反射性塗料」は、それぞれ、0度(0°)~45度(45°)の入射角で、LiDAR反射性暗色顔料及びLiDAR反射性暗色塗料に入射した850nmと950nmの間と850nm及び950nmとを含む波長を有する近赤外(近IR)電磁線の60%超を反射する顔料及び塗料を指す。用語「暗色」は、40以下の明度(L)を有するCIELAB色空間での色を指す。したがって、本明細書に記載のLiDAR反射性暗色顔料及びLiDAR反射性暗色塗料は、暗色を呈し、かつLiDARシステムがLiDAR反射性暗色塗料で被覆された物品を検出することができるように、850nmと950nmの間と850nm及び950nmとを含む波長を有する近IR電磁線を反射する。本明細書で言及される入射角は表面の法線に対するものであることを理解されたい。例えば、0°の入射角は表面の法線からの角度0°を指し、45°の入射角は表面の法線からの角度45°を指す。
【0024】
LiDAR反射性暗色顔料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視電磁線の全ての入射角で、入射可視電磁線の10%未満を反射する。また、LiDAR反射性暗色顔料は全方向性顔料であることができる。本明細書において、用語「全方向性」は、(1)本明細書に記載のLiDAR反射性暗色顔料の色が、0°と45°の間と0°及び45°とを含む角度で、LiDAR反射性暗色顔料の表面を見ている観察者への外観を変えないこと、及び(2)LiDAR反射性暗色顔料により反射された近IR電磁線における極大反射波長が、0°と45°の間と0°及び45°とを含む入射角で、LiDAR反射性暗色顔料に入射した近IR電磁線に対して100nm未満でシフトすることを指す。本明細書において、用語「近IR電磁線」は、700nmと950nmの間と700nm及び950nmとを含む波長を有する電磁線を指す。
【0025】
全方向性LiDAR反射性暗色表面を提供するために、LiDAR反射性暗色塗料を表面上に配置することができる。非限定的な例としては、ビークルのドアパネル、ビークルのクォーターパネルなどのビークルボディパネルの表面が挙げられる。LiDAR反射性暗色顔料の使用によって、暗色のビークルをLiDARシステムで検出することが可能となる。LiDAR反射性暗色顔料の様々な実施形態及びそれを使用する方法を、添付の図面を特に参照しながら本明細書でさらに詳細に説明する。
【0026】
図1は、概してLiDAR反射性暗色顔料の一実施形態を示す。LiDAR反射性暗色顔料は、反射性材料から形成されたコア層(反射層とも呼ばれる)と、コア層にわたって延在する第1の吸収材料から形成された第1層と、第1層にわたって延在する第2の吸収材料から形成された第2層と、第2層にわたって延在する第3の吸収材料又は誘電材料から形成された第3層とを有する多層スタックを含む。当該多層スタックは、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視及び近IR電磁線の全ての入射角で、入射可視電磁線の10%未満と、850nmと950nmの間と850nm及び950nmとを含む波長を有する近IR電磁線の60%超とを反射する。当該多層スタックにより反射された色は、40以下のCIELAB色空間での明度を有する。CIELAB色空間は、明度(L)及び色(a、b)に対応する3つの軸を有する、1976年に国際照明委員会(CIE)により採択されたCIE 1976(L、a、b)色空間を指すと理解されるべきである。CIELAB色空間での明度値L(すなわち明度)は0から100までに及ぶ。本明細書において、0~40の明度の値は暗色に対応し、75~100の明度の値は明色に対応し、そして40~75の明度は、暗色乃至明色の明度の範囲に対応する。本明細書に記載のLiDAR反射性暗色顔料、LiDAR反射性暗色層、及びLiDAR反射性暗色塗料の特性は、太陽光にさらされたときのLiDAR反射性暗色顔料、LiDAR反射性暗色層、及びLiDAR反射性暗色塗料の特性を指すということも理解されるべきである。
【0027】
さらに図1を参照すると、LiDAR反射性暗色顔料10の実施形態が描かれている。LiDAR反射性暗色顔料10は、コア層100と、コア層100にわたって延在する第1層102と、第1層102にわたって延在する第2層104と、第2層104にわたって延在する第3層106とを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1層102はコア層100と接触しており、第2層104は第1層102と接触しており、第3層106は第2層104と接触している。図1に描かれているように、いくつかの実施形態では、一対の第1層102、102aの間にコア層100が配置され、一対の第1層102、102aが一対の第2層104、104aの間に配置され、一対の第2層104、104aが一対の第3層106、106aの間に配置された状態でLiDAR反射性暗色顔料10が形成されている。すなわち、第1層102はコア層100の上面(+Y方向)にわたって延在し、反対側に配置された第1層102aはコア層100の下面(-Y方向)にわたって延在し、第2層104は第1層102の上面(+Y方向)にわたって延在し、反対側に配置された第2層104aは第1層102aの下面(-Y方向)にわたって延在する。また、第3層106は第2層104の上面(+Y方向)にわたって延在し、反対側に配置された第3層106aは第2層104aの下面(-Y方向)にわたって延在する。特に明記しない限り、本明細書における第1層102、第2層104及び第3層106の説明は、第1層102、102aの両方、第2層104、104aの両方、及び第3層106aの両方を指すと理解されるべきである。
【0028】
コア層100を形成するために使用される材料の非限定的な例としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム(Cr)、及びそれらの合金などの反射性材料が挙げられる。本明細書において、用語「反射性材料」は、一般的に、入射可視光の70%超、例えば80%超又は90%超を反射する材料を指す。本明細書において、用語「それらの合金」は、特に明記しない限り、列挙された元素のみから形成された合金に限られない。例えば、コア層100は、Al、Ag、Cr、Ag及び/又はCr以外の元素を含むAlの合金、又はAg及び/又はCrに加えて元素を含むAlの合金などから形成されていてもよい。代わりに、コア層100は、Al、Ag及び/又はCrのみを含有する、並びにAl合金の製造に由来して存在する付随的な不純物を含有するAl合金で形成することができる。コア層100、及び本明細書に記載の他のコア層は、光がLiDAR反射性暗色顔料10を透過するのを防止又は遮断することができ、すなわちコア層はLiDAR反射性暗色顔料を「不透明」にすることができることが理解されるべきである。
【0029】
第1層102は第1の吸収材料又は第1の誘電材料から形成されたものであることができ、第2層104は第2の吸収材料から形成されたものであることができ、第3層106は第3の吸収材料又は第2の誘電材料から形成されたものであることができる。すなわち、いくつかの実施形態では、第1層102は第1の吸収材料から形成され、第2層104は第2の吸収材料から形成され、第3層106は第3の吸収材料から形成される。他の実施形態では、第1層102は第1の誘電材料から形成され、第2層104は第2の吸収材料から形成され、第3層106は第3の吸収材料から形成される。さらに他の実施形態では、第1層102は第1の吸収材料から形成され、第2層104は第2の吸収材料から形成され、第3層106は第2の誘電材料から形成される。さらに他の実施形態では、第1層102は第1の誘電材料から形成され、第2層104は第2の吸収材料から形成され、第3層106は第2の誘電材料から形成される。
【0030】
第1層102が第1の吸収材料から形成される実施形態では、第1の吸収材料は選択的吸収材料であることができる。本明細書において、用語「選択的吸収剤」は、第2の範囲の可視光よりも第1の範囲の可視光を吸収する吸収材料を指す。例えば、選択的吸収材料は、約450nm~約490nmの波長(すなわち青色光)よりも多く約590nm~約700nmの波長(すなわち赤乃至オレンジ色の光)を吸収することができる。あるいは、選択的吸収材料は、約590nm~約700nmの波長(赤乃至オレンジ色の光)よりも多く約400nm~約490nmの波長(すなわち、紫乃至青色の光)を吸収することができる。選択的吸収材料の非限定的な例としては、酸化鉄(Fe)、窒化チタン(TiN)、銅(Cu)及び黄銅合金が挙げられる。第1層102が第1の誘電材料から形成される実施形態では、第1の誘電材料の非限定的な例としては、硫化亜鉛(ZnS)、フッ化マグネシウム(MgF)及び二酸化チタン(TiO)が挙げられる。
【0031】
第2の吸収材料は、非選択的吸収材料、すなわち一般的に全ての可視光を等しく吸収する吸収材料であることができる。いくつかの実施形態では、非選択的吸収材料から形成された第2層104は半透明層であることができる。本明細書において、用語「半透明層」は、可視電磁線の一部が層を透過する、非選択的吸収材料から形成された層を指す。すなわち、第2層104は、たとえ非選択的吸収材料から形成されていても、入射可視電磁線の一部が第2層104を透過することを可能にする以下に記載のとおりの厚さを有する。非選択的吸収材料の非限定的な例としては、クロム(Cr)、ゲルマニウム(Ge)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、アモルファスシリコン(Si)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、それらの合金、及びステンレス鋼合金が挙げられる。
【0032】
第3層が第3の吸収材料から形成される実施形態では、第3の吸収材料は、Fe、TiN、Cu及び黄銅合金を含むがこれらに限定されない選択的吸収材料であることができる。いくつかの実施形態では、第3層106は第1層102と同じ選択的吸収材料から形成される。他の実施形態では、第3層106は第1層102と同じ選択的吸収材料から形成されない。第3層106が第2の誘電材料から形成される実施形態では、第2の誘電材料の非限定的な例としては、ZnS、MgF及びTiOが挙げられる。いくつかの実施形態では、第3層106は第1層102と同じ誘電材料から形成される。他の実施形態では、第3層106は第1層102と同じ誘電材料から形成されない。
【0033】
LiDAR反射性暗色顔料10の1つの非限定的な例は、Al又はその合金から形成されたコア層100と、ZnS(第1の誘電材料)から形成された第1層102と、Crから形成された第2層104と、Fe(第3の吸収材料)から形成された第3層106を含む。LiDAR反射性暗色顔料10の別の非限定的な例は、Al又はその合金から形成されたコア層100と、ZnS(第1の誘電材料)から形成された第1層102と、Crから形成された第2層104と、ZnS(第2の誘電材料)から形成された第3層106とを含む。LiDAR反射性暗色顔料10のさらに別の非限定的な例は、Al又はその合金から形成されたコア層100と、Fe(第1の吸収材料)から形成された第1層102と、Crから形成された第2層104と、Fe(第3の吸収材料)から形成された第3層106とを含む。LiDAR反射性暗色顔料10のさらに別の非限定的な例は、Al又はその合金から形成されたコア層100と、Fe(第1の吸収材料)から形成された第1層102と、Crから形成された第2層104と、ZnS(第2の誘電材料)から形成された第3層106とを含む。
【0034】
LiDAR反射性暗色顔料10が第1層102、102aと、第2層104、104aと、106、106aとを含む実施形態では、第1層102は第1層102aと同じ材料から形成されていてもよく、第2層104は第2層104aと同じ材料から形成されていてもよく、及び/又は、第3層106は第3層106aと同じ材料から形成されていてもよい。代わりに、第1層102は第1層102aと同じ材料から形成されていなくてもよく、第2層104は第2層104aと同じ材料から形成されていなくてもよく、及び/又は、第3層106は第3層106aと同じ材料から形成されていなくてもよい。
【0035】
LiDAR反射性暗色顔料10の1つの非限定的な例は、Al又はその合金から形成されたコア層100と、ZnS(第1の誘電材料)から形成された第1層102、102aと、Crから形成された第2層104、104aと、Fe(第3の吸収材料)から形成された第3層106、106aとを含む。LiDAR反射性暗色顔料10の別の非限定的な例は、Al又はその合金から形成されたコア層100と、ZnS(第1の誘電材料)から形成された第1層102、102aと、Crから形成された第2層104、104aと、ZnS(第2の誘電材料)から形成された第3層106、106aとを含む。LiDAR反射性暗色顔料10のさらに別の非限定的な例は、Al又はその合金から形成されたコア層100と、Fe(第1の吸収材料)から形成された第1層102、102aと、Crから形成された第2層104、104aと、Fe(第3の吸収材料)から形成された第3層106、106aとを含む。LiDAR反射性暗色顔料10のさらに別の非限定的な例は、Al又はその合金から形成されたコア層100と、Fe(第1の吸収材料)から形成された第1層102、102aと、Crから形成された第2層104、104aと、ZnS(第2の誘電材料)から形成された第3層106、106aとを含む。
【0036】
コア層100は、約50nm~約200nmの厚さ、例えば、50nm以上、75nm、100nm以上、125nm以上、150nm以上又は175nm以上で、200nm以下、175nm以下、150nm以下、125nm以下、100nm以下又は75nm以下の厚さを有することができる。いくつかの実施形態において、コア層100は、約75nm~約125nm、例えば約90nm~約110nmの厚さを有する。
【0037】
第1層102が第1の吸収材料から形成される実施形態では、第1層は約5nm~500nmの厚さ、例えば5nm以上、25nm以上、50nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上又は400nm以上で、500nm未満、400nm未満、300nm未満、250nm未満、200nm未満、150nm未満、100nm未満、50nm未満又は25nm未満の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第1層102は、約100nm~約200nm、例えば約120nm~約140nmの厚さを有する。第1層102が第1の誘電材料から形成される実施形態では、第1層102は、制御波長(control wavelength)の約0.1四分の一波長(QW)~約4.0QWの厚さ、例えば0.1QW以上、0.5QW以上、1.0QW以上、2.0QW以上又は3.0QW以上で、4.0QW以下、3.0QW以下、2.0QW以下、1.0QW以下又は0.5QW以下の厚さを有することができる。本明細書において、用語「四分の一波長」又は「制御波長の四分の一波長」は、LiDAR反射性暗色顔料によって反射される電磁線の帯域の極大反射波長の1/4に等しい厚さを指す。すなわち、制御波長は、極大反射でLiDAR反射性暗色顔料10により提供される反射電磁線の帯域の波長に等しい。いくつかの実施形態において、第1層102は、約0.5QW~約3.0QW、例えば約1.0QW~約2.0QWの厚さを有する。
【0038】
第2層104は、約5nm~50nmの厚さ、例えば5nm以上、10nm以上、15nm以上、20nm以上、25nm以上、30nm以上、35nm以上、40nm以上又は45nm以上で、50nm未満、45nm未満、40nm未満、35nm未満、30nm未満、25nm未満、20nm未満、15nm未満又は10nm未満の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第2層104は、約10nm~約30nm、例えば約15nm~約25nmの厚さを有する。
【0039】
第3層106が第3の吸収材料から形成される実施形態では、第3層106は約5nm~500nmの厚さ、例えば5nm以上、25nm以上、50nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上又は400nm以上で、500nm未満、400nm未満、300nm未満、250nm未満、200nm未満、150nm未満、100nm未満、50nm未満又は25nm未満の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第3層106は、約25nm~約75nmの厚さ、例えば約35nm~約55nmの厚さを有する。第3層106が第2の誘電材料から形成される実施形態では、第3層106は、制御波長の約0.1QW~約4.0QWの厚さ、例えば0.1QW以上、0.5QW以上、1.0QW以上、2.0QW以上又は3.0QW以上で、4.0QW以下、3.0QW以下、2.0QW以下、1.0QW以下又は0.5QW以下の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第3層106は、約0.5QW~約3.0QWの厚さ、例えば約1.0QW~約2.0QWの厚さを有する。
【0040】
LiDAR反射性暗色顔料10が第1層102、102aと、第2層104、104aと、106、106aとを含む実施形態では、第1層102は一般的に第1層102aと同じ厚さを有することができ、第2層104は一般的に第2層104aと同じ厚さを有することができ、及び/又は、第3層106は一般的に第3層106aと同じ厚さを有することができる。代わりに、第1層102は第1層102aと同じ厚さを有していなくてもよく、第2層104は第2層104aと同じ厚さを有していなくてもよく、及び/又は、第3層106は第3層106aと同じ厚さを有していなくてもよい。
【0041】
図1は、7層のLiDAR反射性暗色顔料10を示しているが、暗色塗料が太陽光にさらされた場合に60%超のLiDARを反射することができる暗色塗料を提供するために7層未満又は7層を超える層を有するLiDAR反射性暗色顔料を使用できることが理解されるべきである。
【0042】
理論に束縛されるわけではないが、LiDAR反射性暗色顔料10の第1層102の厚さ(Y方向)及び/又は第2層104の位置決めは、電磁線波長の関数としてのLiDAR反射性暗色顔料10内の電場の分析により決定できると仮定される。特に、LiDAR反射性暗色顔料10が近IR電磁線を反射するように、第1層102の厚さを決定するため、及び、LiDAR反射性暗色顔料10内のどこに第2層104を配置させるべきかを決定するために、第1層102の厚さの関数としてプロットされた電磁線の特定の波長に対応する電場を使用することができる。例えば、図2A及び図2Bを参照すると、Feから形成された第1層102の厚さに対する波長800nmの入射電磁線に対応するパーセント電場(|E|、%)のシミュレーションが図2Aにグラフで示されており、また、Feから形成された第1層102の厚さに対する波長920nmの入射電磁線に対応するパーセント電場のシミュレーションが図2Bにグラフで示されている。第1層102が200nmの厚さを有すると仮定してパーセント電場をシミュレートした。図2A及び図2Bに描かれているように、波長800nmの入射電磁線は、約135nmの厚さで第1層102内にゼロパーセントの電場をもたらし(図2A)、そして波長920nmの入射電磁線は、約155nmの厚さで第1層102内にゼロパーセントをもたらした。したがって、約135nmの第1層厚さでの第1層102と第2層104との間の界面、及び約20nmの第3層厚さでの第2層104と第3層106との間の界面は、界面を透過してコア層100に向かって伝播する約800nm~約920nmの波長を有する電磁線をもたらすであろう。すなわち、135nmの第1層厚さで第2層104を挿入することは、波長800nm~920nmの電磁線がコア層100に向かって第3層106、第2層104及び100を伝搬することを可能にするであろう。この電磁線は、コア層100で反射されて、第1層102、第2層104及び第3層106を通って逆向きに伝播する。図2A及び図2Bに示されていないが、800nm~920nmではない波長を有する電磁線、例えば可視スペクトル内の波長を有する電磁線は、125nm~155nmの第1層厚さで高いパーセント電場をもたらす。したがって、可視スペクトル内の電磁線は、図2A及び図2Bに図示されている第1層102、第2層104及び第3層106の間の界面を通って伝搬しない。
【0043】
図3を参照すると、複数のLiDAR反射性暗色顔料10を有するLiDAR反射性暗色層12、例えば塗料層の実施形態が描かれている。特に、LiDAR反射性暗色層12は、バインダー150、例えば塗料バインダー中に配置された複数のLiDAR反射性暗色顔料10を含む。バインダーの非限定的な例としては、エナメル塗料バインダー、ウレタン塗料バインダー、及び複合エナメル-ウレタン塗料バインダーが挙げられる。LiDAR反射性暗色層12は、LiDAR反射性暗色層12を見ている観察者には暗色として見え、905nmの波長を有する近IR電磁線を反射する。すなわち、太陽光にさらされ、観察者によって見られたLiDAR反射性暗色層12は、40以下のCIELAB色空間での明度を有する色を有し、905nmの波長を有する近IR電磁線電磁線を平均で60%超反射する。いくつかの実施形態では、太陽光にさらされたLiDAR反射性暗色層12は、可視スペクトル内の電磁線を平均で10%未満反射し、30以下、例えば20以下のCIELAB色空間での明度を有する。かかる実施形態では、太陽光にさらされるLiDAR反射性暗色層12は、10以下のCIELAB色空間での明度を有し得る。本明細書において、用語「平均」は、本明細書に記載のLiDAR反射性暗色顔料又はLiDAR反射性暗色層についての、特定の反射スペクトルに沿って等間隔で離れた10個の反射率値の平均を指す。また、本明細書において、「超を反射する」及び「未満を反射する」という用語は、特に明記しない限り、それぞれ、「平均で、・・・超を反射する」及び「平均で、・・・未満を反射する」ことを指す。
【0044】
図4を参照すると、複数のLiDAR反射性暗色顔料10と複数の非LiDAR反射性暗色顔料160とを有するLiDAR反射性暗色層14、例えば塗料層の別の実施形態が示されている。特に、LiDAR反射性暗色層14は、バインダー150中に配置された複数のLiDAR反射性暗色顔料10及び複数の非LiDAR反射性暗色顔料160を含む。LiDAR反射性暗色層14の色は、複数の非LiDAR反射性暗色顔料160によって提供されてもよく、905nmの波長を有する近IR電磁線の反射は、複数のLiDAR反射性暗色顔料10によって提供される。代わりに、LiDAR反射性暗色層14の色は、複数の非LiDAR反射性暗色顔料160と複数のLiDAR反射性暗色顔料10との組み合わせによって提供されてもよく、905nmの波長を有する近IR電磁線の反射は、複数のLiDAR反射性暗色顔料10によって提供される。非LiDAR反射性暗色顔料160の非限定的な例としては、カドミウム顔料、コバルト顔料、銅顔料、酸化鉄顔料、マンガン顔料、チタン顔料、カーボン顔料などが挙げられる。LiDAR反射性暗色層14は、LiDAR反射性暗色層14を見ている観察者には暗色として見え、905nmの波長を有する近IR電磁線を反射することが理解されるべきである。すなわち、太陽光にさらされ、観察者によって見られたLiDAR反射性暗色層14は、40以下のCIELAB色空間での明度を有する色を有し、905nmの波長を有する近IR電磁線を平均で60%超反射する。いくつかの実施形態では、太陽光にさらされたLiDAR反射性暗色層14は、可視スペクトル内の電磁線を平均で10%未満反射し、30以下、例えば20以下のCIELAB色空間での明度を有する。かかる実施形態では、太陽光にさらされたLiDAR反射性暗色層14は、10以下のCIELAB色空間での明度を有することができる。
【0045】
図5及び6を参照すると、LiDAR反射性暗色塗料で塗装されたビークル「V」の実施形態が示されている。特に、図5は、サイドパネル「S」がLiDAR反射性暗色塗料50でコーティングされたビークルVを示し、図6は、LiDAR反射性暗色塗料50を有する1つのサイドパネルSの断面図を示す。LiDAR反射性暗色塗料50は、表面保護及び所望の色を提供する複数の層を含むことができる。例えば、LiDAR反射性暗色塗料50は、ホスフェート層122、エレクトロコーティング層124、プライマー層126、カラー層112又はカラー層114(ベースコート又はベースコート層としても知られる)及びクリアコート層128を含むことができる。ホスフェート層の非限定的な例としては、リン酸マンガン層、リン酸鉄層、リン酸亜鉛層、及びそれらの組み合わせが挙げられる。エレクトロコーティング層の非限定的な例としては、陽極エレクトロコーティング層及び陰極エレクトロコーティング層が挙げられる。プライマー層の非限定的な例としては、エポキシプライマー層及びウレタンプライマー層が挙げられる。クリアコート層の非限定的な例としては、ウレタンクリアコート層及びアクリルラッカークリアコート層が挙げられる。LiDAR反射性暗色塗料50は、当該LiDAR反射性暗色塗料を見ている観察者には暗色として見え、905nmの波長を有する近IR電磁線を反射することが理解されるべきである。すなわち、太陽光にさらされ、観察者によって見られたLiDAR反射性暗色塗料50は、40以下のCIELAB色空間での明度を有する色を有し、905nmの波長を有する近IR電磁線の60%超を反射する。いくつかの実施形態では、太陽光にさらされたLiDAR反射性暗色塗料50は、可視スペクトル内の電磁線を平均で10%未満反射し、30以下、例えば20以下のCIELAB色空間での明度を有する。かかる実施形態では、太陽光にさらされたLiDAR反射性暗色塗料50は、10以下のCIELAB色空間での明度を有することができる。
【0046】
上記のように、本明細書に記載のLiDAR反射性暗色顔料は、905nmの波長を有する近IR電磁線を使用してLiDARシステムで検出することができるLiDAR反射暗色物品を提供するために塗料に使用することができる。すなわち、自動車、オートバイ、自転車などのLiDARシステムによって検出されることが望まれる物品は、本明細書に記載されるLiDAR反射性暗色塗料で塗装することができ、それによって所望の暗色を有し、しかも、905nmの波長を有する近IR電磁線を使用してLiDARシステムによって検出可能な暗色の物品を提供する。
【実施例
【0047】
図1図7A及び図7Bを参照すると、図1に概略的に示したLiDAR反射性暗色顔料10の吸収及び反射率が示されている。LiDAR反射性暗色顔料10は、厚さ約200nmのAlコア層、Feから形成された厚さ約135nmの第1層、Crから形成された厚さ約20nmの第2層、及びFeから形成された厚さ約45nmの第3層を含む。LiDAR反射性暗色顔料10の日光への曝露は、0°、15°、30°及び45°の光入射角でシミュレートした。図7A及び図7Bは、入射角0°におけるLiDAR反射性暗色顔料10の吸光度及び反射率をそれぞれグラフで示している。特に、図7Aは、LiDAR反射性暗色顔料10が、約350nm~約750nmの波長を有する電磁線の60%超、約350nm~約725nmの波長を有する電磁線の75%超、約350nm~約700nmの波長を有する電磁線の80%超、約350nm~約650nmの波長を有する電磁線の90%超を吸収することをグラフで示している。対照的に、LiDAR反射性暗色顔料10は、約800nm~約950nmの波長を有する電磁線の20%未満、及び約850nm~約950nmの波長を有する電磁線の15%未満を吸収する。
【0048】
図7Bは、LiDAR反射性暗色顔料10が、約350nm~約750nmの波長を有する電磁線の10%未満、及び約350nm~約725nmの波長を有する電磁線の5%未満を反射することをグラフで示している。対照的に、LiDAR反射性暗色顔料10は、約800nm~約110nmの波長を有する電磁線の60%超、及び約890nm~約1000nmの波長を有する電磁線の70%超を反射する。
【0049】
図8は、LiDAR反射性暗色顔料10の全方向反射をグラフで示す。特に、入射角0°、15°、30°及び45°で模擬太陽光にさらされたLiDAR反射性暗色顔料10からの反射率が図8にグラフで示されている。350nm~700nmの波長を有する可視電磁線の反射率は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む全ての入射太陽光角度で約10%未満である。また、LiDAR反射性暗色顔料10からの極大反射波長は、0°の入射太陽光角度の場合に約940nmであり、45°の入射太陽光角度の場合に約875nmである。したがって、0°と45°の間と0°及び45°とを含む入射角でLiDAR反射性暗色顔料10に入射した太陽光に対するLiDAR反射性暗色顔料10からの極大反射波長(Δλmax)のシフト又は移動は、100nm以下、例えば75nm以下、又は65nm以下である。
【0050】
本明細書で使用した方向に関する用語、例えば、上、下、右、左、前、後、最上部、最下部、垂直、水平は、単に、描いた図に関して記載したものであり、特に明示しない限り、絶対的方向を意味するものではない。用語「一般的に」、「およそ」及び「約」は、定量的な比較、値、測定値、又は他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために本明細書において用いられることがある。これらの用語は、また、問題となっている主題の基本機能に変化をもたらすことなく、定量的表現が言及事項から変わりうる程度を表すために本明細書において用いられる。一般的に、いずれの定量的な比較、値、測定値、又は他の表現も、そうであると明示的に述べられているかどうかにかかわらず、「約」又は「およそ」である。また、範囲の開始点及び終点が本明細書に開示されており、特に明記しない限り、任意の単一の開始点は、任意の所与の終点と共に使用することができ、その範囲には開始点及び終点が含まれる。例えば、「50nm以上、75nm以上、100nm以上、125nm以上、150nm以上又は175nm以上で、200nm以下、175nm以下、150nm以上、125nm以上、100nm以下又は75nm以下」という範囲は、終点が開始部分よりも大きい限り、50nm、75nm、100nm、125nm、150nm又は175nmの間と50nm、75nm、100nm、125nm、150nm又は175nmとを含む開始点と、200nm、175nm、150nm、125nm100nm又は75nmの間と200nm、175nm、150nm、125nm100nm又は75nmとを含む終点との任意の組み合わせを含む。
【0051】
本明細書において特定の実施形態を例示及び説明してきたが、特許請求する主題の精神及び範囲から逸脱せずに他の様々な変更及び改変を行うことができることが理解されるべきである。さらに、特許請求する主題の様々な態様が本明細書に記載されているが、かかる態様は、組み合わせて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、特許請求する主題の範囲内にある全てのかかる変更及び改変を網羅することを意図している。
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
反射性材料から形成されたコア層;
前記コア層にわたって延在する第1層であって、第1の吸収材料又は第1の誘電材料から形成された第1層;
前記第1層にわたって延在する第2層であって、前記第1の吸収材料とは異なる第2の吸収材料から形成された第2層;及び
前記第2層にわたって延在する第3層であって、第3の吸収材料又は第2の誘電材料から形成され、前記第3の吸収材料は前記第2の吸収材料と異なる、第3層;
を含む顔料であって、
前記顔料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視電磁線の全ての入射角で、入射可視電磁線の10%未満を反射し、
前記顔料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視電磁線の全ての入射角で、850nmと950nmの間と850nm及び950nmとを含む波長を有する入射近IR電磁線の60%超を反射する、
顔料。
[態様2]
前記第1層が前記第1の吸収材料から形成されており、前記第1の吸収材料が選択的吸収材料を含む、上記態様1に記載の顔料。
[態様3]
前記選択的吸収材料が、Fe 、TiN、Cu及び黄銅のうちの少なくとも1種である、上記態様2に記載の顔料。
[態様4]
前記第1層が前記第1の誘電材料から形成されており、前記第1の誘電材料がZnS、MgF 及びTiO のうちの少なくとも1種を含む、上記態様1に記載の顔料。
[態様5]
前記第2の吸収材料が、Cr、Ge、Ni、ステンレス鋼、Pd、Ti、Si、V、Co、W、Mo、Nb、及びそれらの合金のうちの少なくとも1種を含む非選択的吸収材料である、上記態様1に記載の顔料。
[態様6]
前記第3層が前記第3の吸収材料から形成されており、前記第3の吸収材料が選択的吸収材料を含む、上記態様1に記載の顔料。
[態様7]
前記選択的吸収材料が、Fe 、TiN、Cu及び黄銅のうちの少なくとも1種である、上記態様6に記載の顔料。
[態様8]
前記第3層が前記第2の誘電材料から形成されている、上記態様1に記載の顔料。
[態様9]
前記第2の誘電材料が、ZnS、MgF 及びTiO のうちの少なくとも1種である、上記態様8に記載の顔料。
[態様10]
前記反射性材料がAl又はその合金のうちの少なくとも1種であり、
前記第1層が前記第1の誘電材料から形成されており、前記第1の誘電材料がZnSを含み、
前記第2の吸収材料がCr又はその合金であり、
前記第3層が前記第3の吸収材料から形成されており、前記第3の吸収材料がFe を含む、
上記態様1に記載の顔料。
[態様11]
前記反射性材料がAl又はその合金のうちの少なくとも1種であり、
前記第1層が前記第1の誘電材料から形成されており、前記第1の誘電材料がZnSを含み、
前記第2の吸収材料がCr又はその合金であり、
前記第3層が前記第2の誘電材料から形成されており、前記第2の誘電材料がZnSを含む、
上記態様1に記載の顔料。
[態様12]
前記反射性材料がAl又はその合金のうちの少なくとも1種であり、
前記第1層が前記第1の吸収材料から形成されており、前記第1の吸収材料がFe を含み、
前記第2の吸収材料がCr又はその合金であり、
前記第3層が前記第3の吸収材料から形成されており、前記第3の吸収材料がFe を含む、
上記態様1に記載の顔料。
[態様13]
前記反射性材料がAl又はその合金のうちの少なくとも1種であり、
前記第1層が前記第1の吸収材料から形成されており、前記第1の吸収材料がFe を含み、
前記第2の吸収材料がCr又はその合金であり、
前記第3層が前記第2の誘電材料から形成されており、前記第2の誘電材料がZnSを含む、
上記態様1に記載の顔料。
[態様14]
さらに塗料バインダーを含み、前記顔料が前記バインダー中に配置されていて、40以下のCIELAB色空間での明度を有する暗色塗料を形成している、上記態様1に記載の顔料。
[態様15]
塗料バインダーと、
前記塗料バインダー中に配置されていて、LiDAR反射性暗色塗料を形成しているLiDAR反射性暗色顔料、
を含む塗料であって、
前記LiDAR反射性暗色顔料が、
反射性材料から形成されたコア層;
前記コア層にわたって延在する第1層であって、第1の吸収材料又は第1の誘電材料から形成された第1層;
前記第1層にわたって延在する第2層であって、前記第1の吸収材料とは異なる第2の吸収材料から形成された第2層;及び
前記第2層にわたって延在する第3層であって、第3の吸収材料又は第2の誘電材料から形成され、前記第3の吸収材料は前記第2の吸収材料と異なる、第3層;
を含み、
前記LiDAR反射性暗色塗料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視電磁線の全ての入射角で、入射可視電磁線の10%未満を反射し、
前記LiDAR反射性暗色塗料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視電磁線の全ての入射角で、850nmと950nmの間と850nm及び950nmとを含む波長を有する入射近IR電磁線の60%超を反射し、
前記LiDAR反射性暗色塗料は、40以下のCIELAB色空間での明度を有する、
塗料。
[態様16]
前記第1の吸収材料が、Fe 、TiN、Cu及び黄銅のうちの少なくとも1種を含む選択的吸収材料であり、前記第1の誘電材料がZnS、MgF 及びTiO のうちの少なくとも1種を含む、上記態様15に記載の塗料。
[態様17]
前記第2の吸収材料が、Cr、Ge、Ni、ステンレス鋼、Pd、Ti、Si、V、Co、W、Mo、Nb、及びそれらの合金のうちの少なくとも1種から選択された非選択的吸収材料である、上記態様15に記載の塗料。
[態様18]
前記第3の吸収材料が、Fe 、TiN、Cu及び黄銅のうちの少なくとも1種を含む選択的吸収材料であり、前記第2の誘電材料がZnS、MgF 及びTiO のうちの少なくとも1種を含む、上記態様15に記載の塗料。
[態様19]
LiDAR反射性暗色塗料でコーティングされたボディパネルを備えたビークルであって、
前記LiDAR反射性暗色塗料が、
塗料バインダーと、
前記塗料バインダー中に配置されたLiDAR反射性暗色顔料、
を含み、
前記LiDAR反射性暗色顔料が、
反射性材料から形成されたコア層;
前記コア層にわたって延在する第1層であって、第1の吸収材料又は第1の誘電材料から形成された第1層;
前記第1層にわたって延在する第2層であって、前記第1の吸収材料とは異なる第2の吸収材料から形成された第2層;及び
前記第2層にわたって延在する第3層であって、第3の吸収材料又は第2の誘電材料から形成され、前記第3の吸収材料は前記第2の吸収材料と異なる、第3層;
を含み、
前記LiDAR反射性暗色塗料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視電磁線の全ての入射角で、入射可視電磁線の10%未満を反射し、
前記LiDAR反射性暗色塗料は、0°と45°の間と0°及び45°とを含む可視電磁線の全ての入射角で、850nmと950nmの間と850nm及び950nmとを含む波長を有する入射近IR電磁線の60%超を反射し、
前記LiDAR反射性暗色塗料は、40以下のCIELAB色空間での明度を有し、
前記ビークルはLiDARにより検出可能である、
ビークル。
[態様20]
前記第1の吸収材料が、Fe 、TiN、Cu及び黄銅のうちの少なくとも1種を含む選択的吸収材料であり、
前記第1の誘電材料がZnS、MgF 及びTiO のうちの少なくとも1種から選択されたものであり、
前記第2の吸収材料が、Cr、Ge、Ni、ステンレス鋼、Pd、Ti、Si、V、Co、W、Mo、Nb、及びそれらの合金のうちの少なくとも1種を含む非選択的吸収材料であり、
前記第3の吸収材料が、Fe 、TiN、Cu及び黄銅のうちの少なくとも1種を含む選択的吸収材料であり、
前記第2の誘電材料が、ZnS、MgF 及びTiO のうちの少なくとも1種から選択されたものである、
上記態様19に記載のビークル。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8