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特許7116684抗微生物活性基を含むマイクロまたはナノ粒子組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】抗微生物活性基を含むマイクロまたはナノ粒子組成物
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/02 20060101AFI20220803BHJP
   C07F 7/18 20060101ALI20220803BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20220803BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20220803BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20220803BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220803BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20220803BHJP
   A61K 8/84 20060101ALI20220803BHJP
   A61K 8/58 20060101ALI20220803BHJP
   A61K 47/52 20170101ALI20220803BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20220803BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20220803BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20220803BHJP
   A61L 15/20 20060101ALI20220803BHJP
   A61L 15/22 20060101ALI20220803BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20220803BHJP
   A61L 31/08 20060101ALI20220803BHJP
   A61L 31/10 20060101ALI20220803BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220803BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
C07F15/02 CSP
C07F7/18 L
A61Q1/00
A61Q11/00
A61P1/02
A61P31/04
A61K8/41
A61K8/84
A61K8/58
A61K47/52
A61K47/55
A61K9/06
A61K9/70
A61L15/20 100
A61L15/22 100
A61L15/44 100
A61L31/08
A61L31/10
A61K45/00
A01N25/00 101
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018545306
(86)(22)【出願日】2017-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 IL2017050240
(87)【国際公開番号】W WO2017145167
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-02-19
(31)【優先権主張番号】PCT/IL2016/050219
(32)【優先日】2016-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】518301279
【氏名又は名称】ノビオ リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】500545311
【氏名又は名称】ハダシット メディカル リサーチ サービシーズ アンド ディベロップメント リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Hadasit Medical Research Services and Development Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザルツマン、ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ワイス、エルビン・アイ
(72)【発明者】
【氏名】ベイス、ヌリット
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-255220(JP,A)
【文献】特表2008-527068(JP,A)
【文献】特開2001-009464(JP,A)
【文献】特表2010-503693(JP,A)
【文献】J. Soc. Powder Technol., Japan,1999年,36(3),179-184
【文献】Colloids and Surfaces B: Biointerfaces,2011年,82,651-656
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
A61K
A61Q
C07F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造式(1)で表される正荷電粒子。
式中、
前記コアは、シリカまたはFeであり、
は、リンカーであり、
Xは、結合、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、
X´は、存在せず、
pは、前記コアの表面の1平方nm(nm)当たりの鎖の数であり、
前記抗微生物活性基は、前記コアの表面の1平方nm(nm)当たり0.001ないし20個の表面密度で存在し、
前記リンカーのリンカー前駆体が、下記の構造式(IA)で表され、前記コアを前記抗微生物活性基に対して結合させるために使用され、前記構造式(1)の、-L (X´)-X-N (R )(R )(R )の部分全体が、前記リンカー前駆体のQ 、Q、及びQの代わりに酸素を介して前記コアの表面に対して化学的に結合した基であり
式中、
、Q、及びQは、互いに独立して、アルコキシ、メチル、エチル、水素、スルホン酸塩、及びハロゲン化物からなる群より選択され、かつ、Q、Q、及びQのうちの少なくとも1つは、エトキシ、メトキシ、スルホン酸塩、及びハロゲン化物から選択され、
qは、1ないし16の整数であり、
及びRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C-C10アルキル、テルペノイド化合物の誘導体であるテルペノイド-イル部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役C-C24アルケニル、C-C24アルケニル、C-C24アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
は、水素、あるいは、直鎖または分枝鎖C-C10アルキル、テルペノイド化合物の誘導体であるテルペノイド-イル部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役C-C24アルケニル、C-C24アルケニル、C-C24アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
前記R、R、Rの少なくとも1つは、C-Cアルキル、少なくとも4個の炭素を有するアルケニル、または少なくとも4個の炭素を有するアルキニル、または少なくとも6個の炭素を有するテルペノイド-イル部分、少なくとも6個の炭素を有するシクロアルキル、少なくとも6個の炭素を有するアリール、または少なくとも6個の炭素を有する複素環である。
【請求項2】
が、水素であり、前記粒子が、下記の構造式で表される、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記Rがテルペノイド-イル部分であるか、または前記RがC-Cアルキルである、請求項1または2に記載の粒子。
【請求項4】
前記Rが、水素、C-Cアルキル、テルペノイド-イル部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組合せである、請求項1ないし3のいずれかに記載の粒子。
【請求項5】
前記シリカが、非晶質シリカ、高密度シリカ、エアロゲルシリカ、多孔質シリカ、及びメソポーラスシリカから選択される、請求項1ないし4のいずれかに記載の粒子。
【請求項6】
前記抗微生物活性基は、前記粒子の前記コアの表面の1平方nm当たり1ないし20個の抗微生物活性基を有する表面密度で前記コアに結合する、請求項5に記載の粒子。
【請求項7】
前記コアが、低多孔性を有する中実均質形態、または1ないし100nmの孔径を有する多孔質形態を有する、請求項1ないし6のいずれかに記載の粒子。
【請求項8】
前記抗微生物活性基が、前記コアの表面の1平方nm当たり0.001ないし4個の表面密度で存在する、請求項1ないし5及び請求項7のいずれかに記載の粒子。
【請求項9】
前記粒子が、5ないし100、000nmの直径を有する、請求項1ないし8のいずれかに記載の粒子。
【請求項10】
前記テルペノイド-イル部分が、
シンナムアルデヒド、ケイ皮酸、またはシンナミルアルコールの誘導体であるシンナモイル部分、
ショウノウ、ボルニルハロゲン化物、またはボルニルアルコールの誘導体であるボルニル部分、または
シトラール、クルクミン、シトロネラール、またはペリルアルデヒドの誘導体である、
請求項1ないし9のいずれかに記載の粒子。
【請求項11】
細菌を阻害するか、またはバイオフィルム形成を阻害または防止するために使用される、請求項1ないし10のいずれかに記載の粒子。
【請求項12】
前記粒子が口腔内に適用することを目的としている、請求項11に記載の粒子。
【請求項13】
前記粒子が、口腔内または医療機器に適用することを目的としており、
歯科用接着剤、虫歯の窩洞に充填される歯科用修復複合材料、根管治療に使用され根管内に充填される歯内充填材料、暫定的及び最終的な歯の修復または歯の置換に使用される歯科用修復材料、歯科用インレー、歯科用アンレー、クラウン、部分義歯、総義歯、歯科用インプラント、歯科インプラントアバットメント、クラウンブリッジ、アンレー、部分義歯、及び、歯列矯正器具を歯のエナメル質及び象牙質に対して恒久的に固定するために使用されるセメントからなる群より選択される材料として製剤化されるか、または該材料に適用される、請求項11に記載の粒子。
【請求項14】
組成物であって、
請求項1ないし13のいずれかに記載の粒子が複数埋封された液体または固体マトリックスを含み、
前記粒子は、共有結合相互作用または非共有結合相互作用によって前記マトリックス中に埋封されている、組成物。
【請求項15】
前記粒子が、前記マトリックスの外面上に、該外面の1平方μm当たり0.1ないし100個の表面密度で均一に分布している、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
当該組成物が医薬組成物であり、
クリーム、軟膏、ペースト、包帯、及びゲルからなる群より選択される形態を有するか、または
局所適用若しくは投与用に製剤化されている、
請求項14または15に記載の組成物。
【請求項17】
当該組成物が局所適用若しくは投与用に製剤化された医薬組成物である、
請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
細菌を阻害するか、またはバイオフィルム形成を阻害または防止するために使用される、請求項1ないし10のいずれかに記載の粒子を含む医薬組成物。
【請求項19】
前記組成物が口腔内に適用することを目的としており、
前記組成物が、歯磨き剤、口内洗浄液、つまようじ、デンタルフロス、衛生処置後ドレッシングまたはゲル、粘膜接着性歯磨き剤として製剤化される、及び/または口腔の硬質または軟質の組織、または人工の表面に適用される、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記組成物が、口腔内または医療機器に適用することを目的としており、
歯科用接着剤、虫歯の窩洞に充填される歯科用修復複合材料、根管治療に使用され根管内に充填される歯内充填材料、暫定的及び最終的な歯の修復または歯の置換に使用される歯科用修復材料、歯科用インレー、歯科用アンレー、クラウン、部分義歯、総義歯、歯科用インプラント、歯科インプラントアバットメント、クラウンブリッジ、アンレー、部分義歯、及び、歯列矯正器具を歯のエナメル質及び象牙質に対して恒久的に固定するために使用されるセメントからなる群より選択される材料として製剤化されるか、または該材料に適用される、請求項18に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗微生物活性粒子、該粒子を含む組成物、並びに、表面またはデバイス上での細菌増殖を阻害するためのそれらの使用に関する。本発明は、このような抗微生物活性粒子を作製する方法をさらに開示する。
【背景技術】
【0002】
個人の皮膚、胃腸管、及び口腔における細菌の多大な多様性は公知であり、多菌性のバイオフィルムが一般的である解剖学的及び動的な複雑な生態系を実証している。
【0003】
生物の内外の組織において形成されるバイオフィルム(生物膜)は、感染症の主な原因である。例えば、口腔では、歯の硬質または軟質の組織上に形成されるバイオフィルムは、虫歯及び歯周病の主な原因である(Sbordone L., Bortolaia C., Clin Oral Investig 2003; 7:181-8)。細菌のバイオフィルムは、天然の表面及び人工の表面の両方に形成される。
【0004】
近年、人工の表面に接触する生物に対して、特別の注意が払われている。人工の表面には、バイオフィルムに対処するための主要な自然のメカニズムである上皮の脱落が存在しない。そのため、人工の表面では、バイオフィルムの蓄積は、生命に関わる合併症を引き起こすという医学的問題の主な原因になる恐れがある。細菌蓄積に対する表面の感受性に影響を及ぼす2つの主要な要因は、表面粗さと、使用される材料の性質である表面自由エネルギーである。表面粗さは、細菌の付着において、表面自由エネルギーよりも大きな影響を与える。これに関連して、人工修復材料は一般的に、天然表面よりも表面粗さが高いため、天然表面よりも細菌が蓄積しやすい。そのため、バイオフィルム形成を減少させる新規材料の開発は、人体の様々な部位における慢性感染症の予防における重大なテーマである。
【0005】
抗バイオフィルム性を有する材料の開発の最終的な目標は、健康を改善し、疾患の発生を低減させることである。既存の医療デバイスはいずれも、バイオフィルムの即時かつ包括的な排除、または二次感染の防止を保証することができない。
【0006】
例えば、口腔防御を維持するためには、下記の(1)-(5)の抗バイオフィルム性を有する歯科用材料が求められている。(1)微生物の初期結合を阻害する、(2)バイオフィルムの成長を防止する、(3)バイオフィルムにおける微生物代謝に作用する、(4)バイオフィルム細菌を殺滅する、及び、(5)バイオフィルムを剥離させる(Busscher HJ, Rinastiti M, Siswomihardjo W, van der Mei HC., J Dent Res, 2010;89:657-65; Marsh PD. J Dent, 2010;38)。
【0007】
樹脂ベース複合材料は、疎水性の樹脂マトリックスと、疎水性の充填剤粒子とからなる歯科用複合材料であり、その表面は、均質な界面ではなく、むしろマトリックスリッチで充填剤プアな領域、あるいはマトリックスプアで充填剤リッチな領域であり得る(Ionescu A, Wutscher E, Brambilla E, Schneider-Feyrer S, Giessibl FJ, Hahnel S.; Eur J Oral Sci 2012; 120:458-65)。
【0008】
複合材料上のバイオフィルムは、複合材料の表面の劣化を引き起こす恐れがある。研磨は、樹脂ベース複合材料における組成の差異と同様に、樹脂ベース複合材料の表面上のバイオフィルム形成に影響を及ぼし得る(Ono M. et al., Dent Mater J, 2007; 26:613-22)。研磨によって生じる樹脂ベース複合材料の表面劣化は、表面粗さの増加、微小硬さの変化、及びインビトロでバイオフィルムに暴露されるときの充填材粒子の露出につながる。さらに、複合材料上のバイオフィルムは、複合材料の表面劣化を引き起こす恐れがある。
【0009】
費用効果が高く、非毒性であり、かつ、汚染された表面及びデバイス(とりわけ、歯科用製品)への適用が容易な、多種多様な抗微生物活性材料が依然として求められており、またそのような材料を有することは有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、広範囲の抗微生物活性を示す組成物を作製するためにマトリックス中に埋封することができる、抗微生物活性官能化粒子を提供する。本発明の組成物は、好ましくは、局所、粘膜表面、皮膚表面、歯の表面、創傷(慢性及び急性)への投与用に製剤化され、表面及び機器上でのバイオフィルム形成を防止することができる。さらに、本発明は、本発明の抗微生物活性粒子の作製のための多用途なかつ費用効果の高い方法論を提供する。
【0011】
本発明は、無機または有機不活性コアと、該コアに対して該コアの表面の10平方nm当たり少なくとも1個の表面密度で直接的にまたはリンカーを介して化学的に結合された抗微生物活性基と、を含むマイクロ粒子またはナノ粒子が、微生物の増殖が自然に起こる可能性のある表面及びデバイス(機器や器具など)に適用または組み込まれた場合に広範囲の抗微生物活性を示すという驚くべき発見に基づく。このような抗微生物活性により、バイオフィルムの形成が防止される。本発明の粒子は、概して、本明細書に記載したような有機ポリマー材料または無機材料から作製した不活性コアと、少なくとも1つの疎水性基を有する抗微生物活性基とを含む。本発明の粒子は、下記の構造式(1)で表されるか、またはその塩である。
【0012】
【化1】
【0013】
式中、
コアは、有機ポリマー材料、無機材料、金属、または金属酸化物であり、
は、リンカーまたは結合であり、
は、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
は、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
は、存在しないか、あるいは、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
Xは、結合、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、
X´は、存在しないか、あるいは、水素であり、
pは、コアの表面の1平方nm(nm)当たりの鎖の数であり、
抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm(nm)当たり0.001ないし20個の表面密度で存在し、
及びXが結合である場合には、窒素がコアの必須部分であり、
、R、及びRのうちの少なくとも1つは、疎水性である。
【0014】
別の実施形態では、本発明の粒子は、下記の構造式(2)で表されるか、またはその塩である。
【0015】
【化2】
【0016】
式中のR及びRは、上記の構造式(1)において説明した通りである。
【0017】
別の実施形態では、本発明の粒子は、下記の構造式(3)で表されるか、またはその塩である。
【0018】
【化3】
【0019】
式中のR及びRは、上記の構造式(1)において説明した通りである。
【0020】
本発明の粒子は、所与の粒子の表面上に密に配置された抗微生物活性基の存在に起因して、強力な抗微生物活性を示す。これにより、活性官能基の高い局所濃度(コア表面10平方nm当たり少なくとも1個の抗微生物活性基、好ましくはコア表面1平方nm当たり少なくとも1個の抗微生物活性基)が生じ、その結果、官能化粒子の高い有効濃度が得られるので、比較的少量の粒子を使用して細菌を効果的に殺滅することが実現可能になる。
【0021】
一実施形態では、本発明は、正荷電粒子であって、
(i)無機コアと、
(ii)無機コアに対して、該コアの表面の10平方nm当たり少なくとも1個の表面密度で化学的に結合した抗微生物活性基と、を含み、
抗微生物活性基が第四級アンモニウム基であり、各第四級アンモニウム基の窒素原子が、4ないし24個の炭素原子を有するアルキル基に対する1つの結合と、1ないし3個の炭素原子を有するアルキル基に対する残りの結合とを有する、正荷電粒子を提供する。
【0022】
一実施形態では、本発明は、正荷電粒子であって、
(i)ケイ酸塩(SiO -4)、表面活性化金属、金属酸化物、及びゼオライトから選択される無機コアと、
(ii)無機コアに対して、該コアの表面の10平方nm当たり少なくとも1個の表面密度で化学的に結合した抗微生物活性基と、を含み、
抗微生物活性基が第四級アンモニウム基であり、各第四級アンモニウム基の窒素原子が、4ないし24個の炭素原子を有するアルキル基に対する1つの結合と、1ないし3個の炭素原子を有するアルキル基に対する残りの結合とを有する、正荷電粒子を提供する。
【0023】
一実施形態では、本発明は、本発明の粒子が、共有結合相互作用または非共有結合相互作用によって複数埋封された液体または固体マトリックスを含む組成物を提供する。
【0024】
一実施形態では、本発明は、本発明の粒子を含む医薬組成物を提供する。
【0025】
一実施形態では、本発明は、バイオフィルム形成を阻害または防止する方法であって、感染しやすいまたは感染した表面または医療機器に対して、本発明の粒子または粒子の組み合わせ、または該粒子を含む医薬組成物を適用するステップを含む方法を提供する。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、バイオフィルム形成を阻害または防止するために使用される、上述した粒子または該粒子を含む医薬組成物を提供する。
【0027】
一実施形態では、本発明は、細菌を阻害する方法であって、細菌に対して、本発明の粒子または粒子の組み合わせ、または本発明の粒子または粒子の組み合わせを含む組成物を接触させるステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の抗菌組成物は、該組成物に接触した細菌の少なくとも約99%、好ましくは少なくとも約99.99%を殺滅する。
【0028】
さらに驚くべきことに、本発明のマイクロ粒子及びナノ粒子は、ホストマトリックスから浸出したりホストマトリックスの性質を変化させたりすることなく、長期間にわたって高い抗微生物性を維持することが見出された。
【0029】
本発明の粒子は、所与の粒子の表面上に密に配置された抗微生物活性基の存在に起因して、強力な抗微生物活性を示す。これにより、活性官能基の高い局所濃度(コア表面10平方nm当たり少なくとも1個の抗微生物活性基、好ましくはコア表面1平方nm当たり少なくとも1個の抗微生物活性基)が生じ、その結果、官能化粒子の高い有効濃度が得られるので、比較的少量の粒子を使用して細菌を効果的に殺滅することが実現可能になる。
【0030】
一実施形態では、本発明は、熱可塑性ポリマーと、該ポリマー中に埋封された本発明の粒子とを含む包装組成物(packaging composition)を提供する。別の実施形態では、本発明の包装組成物は、互いに異なる2以上の本発明の粒子の混合物を含む。別の実施形態では、本発明の包装組成物は、食品、飲料品、医薬成分、実験機器、医療機器、手術前の手術機器、手術前の機器、化粧品、殺菌された機器/材料の包装に使用される。
【0031】
本発明のさらなる実施形態及び適用可能性の全範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の精神及び範囲内の様々な変更及び修正が、この詳細な説明から当業者には明らかになるので、詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、単なる例示であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対する、ポリプロピレンマトリックスの抗微生物活性を示すグラフであり、ジメチルオクチルアンモニウム基で官能化されたシリカ粒子を含まない場合(PP)、該シリカ粒子を1%wt/wtで含む場合(PP+1%NPs)、及び該シリカ粒子を2%wt/wtで含む場合(PP+2%NPs)を示す。マトリックス中に埋封された粒子の平均直径は186nmであった。上記の結果を黄色ブドウ球菌(S. aureus)の自然増殖と比較した。
図2】グラム陰性菌である緑膿菌(P. aeruginosa)に対する、ポリプロピレンマトリックスの抗微生物活性を示すグラフであり、ジメチルオクチルアンモニウム基で官能化されたシリカ粒子を含まない場合(PP)、該シリカ粒子を1%wt/wtで含む場合(PP+1%NPs)、及び該シリカ粒子を2%wt/wtで含む場合(PP+2%NPs)を示す。マトリックス中に埋封された粒子の平均直径は186nmであった。上記の結果を緑膿菌(P. aeruginosa)の自然増殖と比較した。
図3】グラム陰性菌である緑膿菌(P. aeruginosa)に対する、ポリ(メタクリル酸メチル)マトリックスの抗微生物活性を示すグラフであり、第四級ジメチルオクチルアンモニウム基で官能化されたシリカコア粒子を含まない場合(PMMA)、及び該シリカ粒子を1%wt/wtで含む場合(PMMA+1%粒子)を示す。マトリックス中に埋封された粒子の平均直径は13μmであった。上記の結果を緑膿菌(P. aeruginosa)の自然増殖と比較した。
図4】グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対する、ポリ(メタクリル酸メチル)マトリックスの抗微生物活性を示すグラフであり、第四級ジメチルオクチルアンモニウム基で官能化されたシリカコア粒子を含まない場合(PMMA)、及び該シリカ粒子を1%wt/wtで含む場合(PMMA+1%粒子)を示す。マトリックス中に埋封された粒子の平均直径は13μmであった。上記の結果を黄色ブドウ球菌(S. aureus)の自然増殖と比較した。
図5】グラム陰性菌である緑膿菌(P. aeruginosa)に対する、ポリ(メタクリル酸メチル)マトリックスの抗微生物活性を示すグラフであり、ジシンナミルアミン基で官能化されたシリカコア粒子を含まない場合(PMMA)、及び該シリカ粒子を1%wt/wtで含む場合(PMMA+1%NP)を示す。マトリックス中に埋封された粒子の平均直径は186nmであった。上記の結果を緑膿菌(P. aeruginosa)の自然増殖と比較した。
図6】グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対する、ポリ(メタクリル酸メチル)マトリックスの抗微生物活性を示すグラフであり、ジシンナミルアミン基で官能化されたシリカコア粒子を含まない場合(PMMA)、及び該シリカ粒子を1%wt/wtで含む場合(PMMA+1%NP)を示す。マトリックス中に埋封された粒子の平均直径は186nmであった。上記の結果を黄色ブドウ球菌(S. aureus)の自然増殖と比較した。
図7】グラム陽性菌である腸球菌(E. faecalis)に対する、ポリ(メタクリル酸メチル)マトリックスの抗微生物活性を示すグラフであり、第四級ジメチルオクチルアンモニウム基で官能化されたマグネタイト(Fe)シリカ粒子を含まない場合(PMMA)、該シリカ粒子を1%wt/wtで含む場合(PMMA+1%NPs)、及び該シリカ粒子を2%wt/wtで含む場合(PMMA+2%NPs)を示す。マトリックス中に埋封された粒子の平均直径は78nmであった。上記の結果を腸球菌(E. faecalis)の自然増殖と比較した。
図8】グラム陽性菌である腸球菌(E. faecalis)に対する、ポリ(メタクリル酸メチル)マトリックスの抗微生物活性を示すグラフであり、ジシンナミルアンモニウム基で官能化されたシリカコア粒子を含まない場合(PMMA)、該シリカ粒子を2%wt/wtで含む場合(PMMA+2%NPs)、及び該シリカ粒子を3%wt/wtで含む場合(PMMA+32%NPs)を示す。マトリックス中に埋封された粒子の平均直径は186nmであった。上記の結果を腸球菌(E. faecalis)の自然増殖と比較した。
図9A】非修飾ポリマーと比較した、官能化抗菌粒子を含む修飾ポリマーのヤング率を測定する機械的性質試験に使用された円筒状試料の画像。
図9B】上記の機械的性質試験における、修飾試料及び非修飾試料の圧縮強度試験の結果を示すグラフ。
図10A】グラム陽性菌である腸球菌(E. faecalis)に対する、Unifast Trad(自己硬化性メタクリル酸メチル樹脂)の修飾試料及び非修飾試料の抗微生物活性を示すグラフであり、Unifast樹脂のみの場合(樹脂)、第四級ジメチルオクチルアンモニウム基で官能化されたシリカのナノ粒子を8%含む場合(樹脂+QSi)、第四級ジメチルオクチルアンモニウム基で官能化されたPEIのナノ粒子を8%含む場合(樹脂+QPEI)を示す。上記の結果を腸球菌(E. faecalis)の自然増殖と比較した。
図10B】グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対する、Unifast Trad(自己硬化性メタクリル酸メチル樹脂)の修飾試料及び非修飾試料の抗微生物活性を示すグラフであり、Unifast樹脂のみの場合(樹脂)、第四級ジメチルオクチルアンモニウム基で官能化されたシリカのナノ粒子を8%含む場合(樹脂+QSi)、第四級ジメチルオクチルアンモニウム基で官能化されたPEIのナノ粒子を8%含む場合(樹脂+QPEI)を示す。上記の結果を黄色ブドウ球菌(S. aureus)の自然増殖と比較した。
図11】血液寒天上でインプリント法により評価した抗微生物活性を示す図。測定した試料は、(1)ジメチルアミンで官能化されたシリカ粒子と、(2)2個のシンナミル基を有する第三級アミンで官能化されたシリカ粒子とであった。
図12】抗微生物活性基である第三級アミン基または第四級アンモニウム基が少なくとも1つのテルペノイド部分を含む本発明による粒子の代表的な作製スキームを示す図。
図13】アミノ官能性リンカーを介して結合されたコア粒子を有するシンナミル付加物の代表的な作製スキームを示す図。第三級アミンから第四級アンモニウム基への変換は任意であり、第三級アミンと基R-Yとの反応を含む。式中、R及びYは、上記に定義した通りである。
図14】第四級アンモニウム塩(QAS)官能化粒子の3つの作製経路の代表的なスキームを示す図。(A)還元的アミノ化により第三級アミンを生成した後、アルキル化反応を行う。(B)段階的アルキル化を行う。(C)脱離基(例えば、Clまたは他のハロゲン)で官能化されたリンカーを第三級アミンと反応させる。R及びRは、C-Cアルキル、例えば、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルを表す。R及びRは、互いに異なる基であってもよいし、互いに同一の基であってもよいYは、任意の脱離基(例えば、Cl、Br、またはI)、またはスルホン酸塩(例えば、メシル、トシル)を表す。
図15】本発明の粒子を作製するための固体支持法及び溶液法のスキームを示す図。官能化。Q、Q、及びQは、互いに独立して、エトキシ、メトキシ、メチル、エチル、水素、スルホン酸塩、及びハロゲン化物からなる群より選択される。また、Q、Q、及びQのうちの少なくとも1つは、エトキシ、メトキシ、スルホン酸塩(例えば、メシル、トシル)、及びハロゲン化物からなる群より選択される脱離基である。分かりやすくするために、このスキームは、Q、Q、及びQが離脱基を表し、Qが抗微生物活性基を表し、Wが、NH、ハロゲン化物、スルホン酸塩、及びヒドロキシルからなる群より選択され、nが1ないし16の整数である、場合を示す。
図16】固体支持法及び溶液法の両方によって、12-(トリエトキシシリル)-ドデカン-1-アミンリンカーによって官能化されたコア粒子を有するジシンナミル付加物の作製の代表的なスキームを示す図。nは、1ないし16の整数である。
図17】コア上への抗微生物活性基の充填濃度を測定する方法を示すスキームを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
粒子
【0034】
本発明は、広範囲の抗微生物活性を示す抗微生物活性官能化マイクロまたはナノ粒子、及びそれらの組成物を提供する。本発明の粒子は、本明細書に記載したような有機ポリマー材料または無機材料から作製した不活性コアと、該コアに対して直接的または間接的に結合された抗微生物活性基と、を含む正荷電粒子である。
【0035】
一実施形態では、抗微生物活性基は、プロトン化した第三級アミンまたは第四級アンモニウムである。別の実施形態では、抗微生物活性基は、下記の構造式で表される。
【0036】
【化4】
【0037】
式中、
は、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
は、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
は、存在しないか、あるいは、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
、R、及びRのうちの少なくとも1つは、疎水性である。
【0038】
いくつかの実施形態では、本発明の粒子は、下記の構造式(1)-(3)のいずれかで表されるか、またはその塩である。
【0039】
【化1】
【0040】
【化2】
【0041】
【化3】
【0042】
式中、
コアは、有機ポリマー材料、無機材料、金属、ゼオライト、または金属酸化物であり、
は、リンカーまたは結合であり、
は、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
は、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
は、存在しないか、あるいは、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
Xは、結合、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、
X´は、存在しないか、あるいは、水素であり、
pは、コアの表面の1平方nm(nm)当たりの鎖の数であり、
抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm(nm)当たり0.001ないし20個の表面密度で存在し、
及びXが結合である場合には、窒素がコアの必須部分であり、
、R、及びRのうちの少なくとも1つは、疎水性である。
【0043】
一実施形態では、本発明の粒子の抗微生物活性基は、コアの表面の10平方nm(ナノメートル)当たり少なくとも1個の表面密度で存在する。別の実施形態では、抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm当たり少なくとも1個の表面密度で存在する。別の実施形態では、抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm当たり0.001ないし20個の表面密度で存在する。別の実施形態では、抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm当たり0.001ないし17個の表面密度で存在する。別の実施形態では、抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm当たり0.001ないし15個の表面密度で存在する。別の実施形態では、抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm当たり0.001ないし10個の表面密度で存在する。別の実施形態では、抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm当たり0.001ないし4個の表面密度で存在する。別の実施形態では、抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm当たり0.001ないし1個の表面密度で存在する。別の実施形態では、抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm当たり1ないし4個の表面密度で存在する。別の実施形態では、抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm当たり1ないし6個の表面密度で存在する。別の実施形態では、抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm当たり1ないし20個の表面密度で存在する。別の実施形態では、抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm当たり1ないし10個の表面密度で存在する。別の実施形態では、抗微生物活性基は、コアの表面の1平方nm当たり1ないし15個の表面密度で存在する。
【0044】
別の実施形態では、上記の構造式(1)-(3)で表される本発明の粒子は、無機コアを有する。別の実施形態では、上記の構造式(1)-(3)で表される本発明の粒子は、有機コアを有する。別の実施形態では、有機コアは、ポリマー性有機コアである。別の実施形態では、コアは不活性である。一実施形態では、上記の構造式(1)-(3)で表される本発明の粒子は、-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、または-N(R)(R)の抗微生物活性基を有する。一実施形態では、R、R、及びRは、互いに独立して、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせである。別の実施形態では、R、R、及びRは、互いに独立して、アルキルである。別の実施形態では、R、R、及びRは、互いに独立して、テルペノイドである。別の実施形態では、R、R、及びRは、互いに独立して、シクロアルキルである。別の実施形態では、R、R、及びRは、互いに独立して、アリールである。別の実施形態では、R、R、及びRは、互いに独立して、複素環である。別の実施形態では、R、R、及びRは、互いに独立して、共役アルキルである。別の実施形態では、R、R、及びRは、互いに独立して、アルケニルである。別の実施形態では、R、R、及びRは、互いに独立して、アルキニルである。別の実施形態では、Rは、存在しない。別の実施形態では、Rは、水素である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、疎水性のアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0045】
本明細書で使用するとき、「アルキル」または「アルキレン」という用語は、特に断らない限り、約24個の炭素原子を有する任意の直鎖または分枝鎖アルキル基であり得る。一実施形態では、アルキルは、1-3個(C-C)の炭素原子を有する。一実施形態では、アルキルは、1-4個(C-C)の炭素原子を有する。一実施形態では、アルキルは、1-5個(C-C)の炭素原子を有する。一実施形態では、アルキルは、1-6個(C-C)の炭素原子を有する。一実施形態では、アルキルは、1-8個(C-C)の炭素原子を有する。一実施形態では、アルキルは、1-10個(C-C10)の炭素原子を有する。一実施形態では、アルキルは、1-12個(C-C12)の炭素原子を有する。一実施形態では、アルキルは、4-8個(C-C)の炭素原子を有する。一実施形態では、アルキルは、4-18個(C-C18)の炭素原子を有する。一実施形態では、アルキルは、4-24個(C-C24)の炭素原子を有する。一実施形態では、アルキルは、1-18個(C-C18)の炭素原子を有する。一実施形態では、アルキルは、2-18個(C-C18)の炭素原子を有する。別の実施形態では、分枝鎖アルキルは、1-5個の炭素原子のアルキル側鎖で置換されたアルキルである。一実施形態では、アルキル基は、置換されていない。別の実施形態では、アルキル基は、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、COH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ、及び/またはチオアルキルによって置換され得る。別の実施形態では、疎水性アルキルは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルは、4-8個(C-C)の炭素原子を有するアルキルを指す。
【0046】
「共役アルキル」は、代替的な単結合、二重結合、または三重結合を有する上記に定義したアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性共役アルキルは、少なくとも4個の炭素原子を有する共役アルキルを指す。別の実施形態では、疎水性共役アルキルは、4-8個(C-C)の炭素原子を有する共役アルキルを指す。
【0047】
本明細書で使用するとき、「アリール」という用語は、別の基と直接結合した、置換または非置換の任意の芳香環を指す。アリール基は、単独の置換基であるか、または、アリールアルキル、アリールアミノ、アリールアミドなどのより大きい置換基の一部であり得る。例示的なアリール基には、これに限定しないが、フェニル、トリル、キシリル、フラニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チオフェン-イル、ピロリル、フェニルメチル、フェニルエチル、フェニルアミノ、フェニルアミドなどが含まれる。置換には、これに限定しないが、F、Cl、Br、I、C-C直鎖または分枝鎖アルキル、C-C直鎖または分枝鎖ハロアルキル、C-C直鎖または分枝鎖アルコキシ、C-C直鎖または分枝鎖ハロアルコキシ、CF、CN、NO、-CHCN、NH、NH-アルキル、N(アルキル)、ヒドロキシル、-OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-アルキル、C(O)H、または-C(O)NHが含まれる。別の実施形態では、疎水性アリールは、少なくとも6個の炭素原子を有するアリールを指す。
【0048】
「アルケニル」という用語は、少なくとも2個の炭素原子と、少なくとも1つの二重結合とを有する物質を指す。一実施形態では、アルケニルは、2-7個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルは、2-12個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルは、2-10個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルは、3-6個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルは、2-4個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルは、4-8個の炭素原子を有する。別の実施形態では、疎水性アルケニルは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルケニルを指す。別の実施形態では、疎水性アルケニルは、4-8個(C-C)の炭素原子を有するアルケニルを指す。
【0049】
「アルキニル」という用語は、少なくとも2個の炭素原子と、少なくとも1つの三重結合とを有する物質を指す。一実施形態では、アルキニルは、2-7個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルは、2-12個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルは、2-10個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルは、3-6個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルは、2-4個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルは、4-8個の炭素原子を有する。別の実施形態では、疎水性アルキニルは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキニルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキニルは、4-8個(C-C)の炭素原子を有するアルキニルを指す。
【0050】
「アルコキシ」という用語は、一実施形態では、酸素と結合した、上記に定義したアルキルを指す。アルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、及びイソプロポキシが含まれる。
【0051】
「シクロアルキル」基は、一実施形態では、環原子として炭素原子を有する環構造を指し、飽和または不飽和、あるいは置換または非置換であり得る。別の実施形態では、シクロアルキルは、3-12員環である。別の実施形態では、シクロアルキルは、6員環である。別の実施形態では、シクロアルキルは、5-7員環である。別の実施形態では、シクロアルキルは、3-8員環である。他の実施形態では、シクロアルキル基は、置換されていないか、あるいは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、COH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ、及び/またはチオアルキルによって置換され得る。別の実施形態では、シクロアルキル環は、別の飽和または不飽和のシクロアルキルまたは複素環の3-8員環と融合され得る。別の実施形態では、シクロアルキル環は、飽和環である。別の実施形態では、シクロアルキル環は、不飽和環である。シクロアルキル基の非限定的な例には、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロオクチル、シクロオクタジエニル(COD)、シクロオクテン(COE)などが含まれる。別の実施形態では、疎水性シクロアルキルは、少なくとも6個の炭素原子を有するシクロアルキルを指す。
【0052】
「複素環」基は、一実施形態では、炭素原子に加えて、環の一部として、硫黄、酸素、窒素、またはそれらの任意の組み合わせを有する環構造を指す。別の実施形態では、複素環は、3-12員環である。別の実施形態では、複素環は、6員環である。別の実施形態では、複素環は、5-7員環である。別の実施形態では、複素環は、3-8員環である。別の実施形態では、複素環基は、置換されていないか、あるいは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、COH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ、及び/またはチオアルキルによって置換され得る。別の実施形態では、複素環は、別の飽和または不飽和のシクロアルキルまたは複素環の3-8員環と融合され得る。別の実施形態では、複素環は、飽和環である。別の実施形態では、複素環は、不飽和環である。複素環の非限定的な例には、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、チオフェン、ピロール、ベンゾジオキソール、またはインドールが含まれる。別の実施形態では、疎水性複素環基は、少なくとも6個の炭素原子を有する複素環を指す。
【0053】
一実施形態では、上記の構造式(1)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、疎水性である。一実施形態では、上記の構造式(2)及び(3)のR及びRのうちの少なくとも1つは、疎水性である。
【0054】
「疎水性」という用語は、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、またはアルキニルを指す。または、疎水性という用語は、少なくとも6個の炭素原子を有するテルペノイド、シクロアルキル、アリール、または複素環を指す。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0055】
別の実施形態では、上記の構造式(1)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、C-C24アルキル、C-C24アルケニル、C-C24アルキニル、またはテルペノイドである。一実施形態では、上記の構造式(2)及び(3)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、C-C24アルキル、C-C24アルケニル、C-C24アルキニル、またはテルペノイドである。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0056】
一実施形態では、上記の構造式(1)-(3)のRは、テルペノイドである。別の実施形態では、Rはテルペノイドであり、RはC-Cアルキルである。別の実施形態では、コアは有機ポリマーコアであり、Rは存在せず、Rはテルペノイドである。別の実施形態では、コアは有機ポリマーコアであり、Rは水素であり、Rはテルペノイドである。別の実施形態では、コアは無機コアであり、Rは存在せず、Rはテルペノイドである。別の実施形態では、コアは無機コアであり、Rは水素であり、Rはテルペノイドである。別の実施形態では、コアは無機コアであり、Rは、C-Cアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、Rはテルペノイドである。
【0057】
一実施形態では、上記の構造式(1)-(3)の「p」は、コアの表面上の抗微生物活性基の表面密度を定義する。別の実施形態では、「p」、すなわち抗微生物活性基の表面密度は、コアの表面の1平方nm当たり0.001-20個である。別の実施形態では、「p」、すなわち抗微生物活性基の表面密度は、コアの表面の1平方nm当たり0.001-17個である。別の実施形態では、「p」、すなわち抗微生物活性基の表面密度は、コアの表面の1平方nm当たり0.001-15個である。別の実施形態では、「p」、すなわち抗微生物活性基の表面密度は、コアの表面の1平方nm当たり0.001-10個である。別の実施形態では、「p」、すなわち抗微生物活性基の表面密度は、コアの表面の1平方nm当たり0.001-4個である。別の実施形態では、「p」、すなわち抗微生物活性基の表面密度は、コアの表面の1平方nm当たり0.001-1個である。別の実施形態では、「p」は、すなわち抗微生物活性基の表面密度は、コアの表面の1平方nm当たり1-4個である。別の実施形態では、「p」は、すなわち抗微生物活性基の表面密度は、コアの表面の1平方nm当たり1-6個である。別の実施形態では、「p」は、すなわち抗微生物活性基の表面密度は、コアの表面の1平方nm当たり1-20個である。別の実施形態では、「p」は、すなわち抗微生物活性基の表面密度は、コアの表面の1平方nm当たり1-10個である。別の実施形態では、「p」は、すなわち抗微生物活性基の表面密度は、コアの表面の1平方nm当たり1-15個である。
【0058】
一実施形態では、抗微生物活性基は、下記の(a)-(d)からなる群より選択される。
(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミン(すなわち、Rは存在しない)または第三級アンモニウム(すなわち、Rは水素である)。
(b)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第四級アンモニウム基。
(c)4ないし24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を含む第四級アンモニウム。
(d)4ないし24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を含む第三級アミン(すなわち、Rは存在しない)または第三級アンモニウム(すなわち、Rは水素である)。
各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0059】
一実施形態では、抗微生物活性基は、下記の(a)-(d)からなる群より選択される。
(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含み、任意選択で、1ないし4個の炭素原子を有する第三級アミン(すなわち、Rは存在しない)または第三級アンモニウム(すなわち、Rは水素である)、あるいは該アミンの塩(すなわち、R及びRがテルペノイド部分であるか、または、Rがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルである)。
(b)少なくとも1つのテルペノイド部分を含み、任意選択で、1ないし4個の炭素原子を有するアルキル基を1以上含む第四級アンモニウム基(すなわち、R、R、及びRがテルペノイド部分であるか、または、R及びRがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、R及びRがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、Rがテルペノイド部分であり、かつR及びRがC-Cアルキルである)。
(c)4ないし24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基と、1ないし3個の炭素原子を有するアルキル基に対する残りの結合とを含む第四級アンモニウム基(すなわち、R、R、及びRがC-C24アルキルであるか、または、R及びRがC-C24アルキルであり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、R及びRがC-C24アルキルであり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、RがC-C24アルキルであり、かつR及びRがC-C3アルキルである)。
(d)4ないし24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基と、1ないし3個の炭素原子を有するアルキル基に対する残りの結合とを含む第三級アミン(すなわち、Rは存在しない)または第三級アンモニウム(すなわち、Rは水素である)(すなわち、R及びRがC-C44アルキルであるか、または、RがC-C24アルキルであり、かつRがC-C3アルキルである)。
各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0060】
一実施形態では、上記の構造式(1)-(3)で表される本発明の粒子は、抗微生物活性基と、無機コアとを含み、抗微生物活性基及び無機コアは互いに直接的または間接的に結合されている。別の実施形態では、抗微生物活性基及び無機コアは、L-Xを介して間接的に結合されている。別の実施形態では、Lは、リンカーまたは結合である。別の実施形態では、Lは、結合である。別の実施形態では、Lは、リンカーである。
【0061】
いくつかの実施形態では、Lは、アルキル、アルケニル、アルキルホスフェート、アルキルシロキサン、エポキシ、ハロゲン化アシル、グリシジル、カルボキシレート、無水物、またはそれらの任意の組み合わせを含むリンカーであり、官能基はコアに結合される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0062】
別の実施形態では、リンカーは、少なくとも1つのカルボキシル部分で置換されたC-C18アルキレンであり、カルボキシル末端はコアに結合している。このリンカーは、少なくとも1つのカルボキシル部分で置換され、かつ抗微生物活性基[N(R)(R)(R)](構造式1で定義した)に改変されたアミノ末端を有するC-C18アルキレンから誘導され得る。また、このリンカーは、2ないし18個の炭素原子の鎖長を有する天然または合成源のアミノ酸(ポリペプチド)、または該アミノ酸のハロゲン化アシルから誘導され得る。このようなアミノ酸の非限定的な例は、18-アミノオクタデカン酸及び18-アミノステアリン酸である。
【0063】
別の実施形態では、リンカーは、C-C18アルキレンである。このリンカーは、ハロゲン部分を、コアに結合する官能基に置き換え、かつハロゲン部分を置き換えて抗微生物活性基[N(R)(R)(R)](構造式1で定義した)を得ることによって各端部がコア及び抗微生物活性基でそれぞれ官能化されたジハロアルキレンから誘導され得る。
【0064】
別の実施形態では、リンカーは、非限定的な例である4、4-ビフェノール、ジ安息香酸、ジ安息香酸ハロゲン化物、ジ安息香酸スルホン酸、テレフタル酸、テトラフタル酸ハロゲン化物、またはテレフタル酸スルホン酸から誘導された芳香族基である。このリンカーは、コア及び抗微生物活性基の各官能基(すなわち、ヒドロキシル基、カルボキシ基、またはスルホン酸基)により官能化される。別の実施形態では、このリンカーは、その一端がコアに結合し、他端が抗微生物活性基[N(R)(R)(R)]に改変されている。
【0065】
別の実施形態では、リンカーは、下記の構造式(IA)で表される。
【0066】
【化5】
【0067】
式中、
、Q、及びQは、互いに独立して、アルコキシ、メチル、エチル、水素、スルホン酸塩、及びハロゲン化物からなる群より選択され、かつ、Q、Q、及びQのうちの少なくとも1つは、エトキシ、メトキシ、スルホン酸塩(例えば、メシル、トシル)、及びハロゲン化物から選択され、
qは、1ないし16の整数であり、
及びRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルケニル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
は、存在しないか、あるいは、直鎖または分枝鎖アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルケニル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
該リンカーは、シリコーン側を介してコアの表面に化学的に結合される。
【0068】
本発明の粒子は、所与のコアの表面上に密に配置された抗微生物活性基の存在、並びに、ホストマトリックスの表面上に配置された高密度の粒子に起因して、強力な抗微生物活性を示す。抗微生物活性基の上記の表面密度によって、抗微生物阻害効果を促進する高い有効濃度が得られる。本発明の原理によれば、高い表面密度により、高い抗微生物効率が得られる。
【0069】
本発明の抗微生物活性基は、コアの表面10平方nm当たり少なくとも1個の表面密度でコアに化学的に結合する。ある好適な実施形態では、本発明の粒子は、コアの表面1平方nm当たり少なくとも1個の抗微生物活性第四級アンモニウム基を有する。別の実施形態では、コアの表面1平方nm当たり少なくとも1個の抗微生物活性基を有する。別の実施形態では、コアの表面1平方nm当たり0.001-20個の抗微生物活性基を有する。別の実施形態では、コアの表面1平方nm当たり0.001-10個の抗微生物活性基を有する。別の実施形態では、コアの表面1平方nm当たり0.001-4個の抗微生物活性基を有する。別の実施形態では、コアの表面1平方nm当たり0.001-1個の抗微生物活性基を有する。別の実施形態では、コアの表面1平方nm当たり1-4個の抗微生物活性基を有する。別の実施形態では、コアの表面1平方nm当たり1-6個の抗微生物活性基を有する。別の実施形態では、コアの表面1平方nm当たり1-20個の抗微生物活性基を有する。別の実施形態では、コアの表面1平方nm当たり1-10個の抗微生物活性基を有する。別の実施形態では、コアの表面1平方nm当たり1-15個の抗微生物活性基を有する。
【0070】
本明細書で使用するとき、「ナノ粒子」という用語は、約1、000nm未満の直径を有する粒子を指す。本明細書で使用するとき、「マイクロ粒子」という用語は、約1、000nm以上の直径を有する粒子を指す。
【0071】
本発明の粒子は、約5ないし100、000nmの直径を有することにより特徴付けられる。したがって、本発明の粒子は、ナノ粒子組成物及びマイクロ粒子の組成物の両方を包含する。好ましくは、本発明の粒子は、約10ないし50、000nmの直径を有する。別の実施形態では、本発明の粒子は、1、000nmを超える直径を有する。別の実施形態では、本発明の粒子は、10、000nmを超える直径を有する。別の実施形態では、本発明の粒子は、1、000ないし50、000nmの直径を有する。別の実施形態では、本発明の粒子は、5ないし250nmの直径を有する。別の実施形態では、本発明の粒子は、5ないし500nmの直径を有する。別の実施形態では、本発明の粒子は、5ないし1000nmの直径を有する。他の粒子サイズ範囲も適用可能であり、かつ本発明の範囲に包含されることは、当業者には明らかである。
【0072】
テルペノイド基を有する抗微生物活性基
【0073】
一実施形態では、本発明の抗微生物活性基は、少なくとも1つのテルペノイド基を有し、下記の(a)及び(b)から選択される。
(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミン(Rは存在しない)または第三級アンモニウム(RはHである)。
(b)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第四級アンモニウム基。
【0074】
一実施形態では、本発明の抗微生物活性基は、少なくとも1つのテルペノイド基を有し、下記の(a)及び(b)から選択される。
(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含み、任意選択で、1ないし4個の炭素原子を有するアルキル基を含む、第三級アミン(Rは存在しない)または第三級アンモニウム(RはHである)、あるいは該アミン/アンモニウムの塩(すなわち、R及びRがテルペノイド部分であるか、または、Rがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルである)。
(b)少なくとも1つのテルペノイド部分を含み、任意選択で、1ないし4個の炭素原子を有するアルキル基を1以上含む第四級アンモニウム(すなわち、R、R、及びRがテルペノイド部分であるか、または、R及びRがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、R及びRがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、Rがテルペノイド部分であり、かつR及びRがC-Cアルキルである)。
【0075】
いくつかの実施形態では、抗微生物活性基は、下記の(a)-(c)から選択される。
(a)第三級アミン(Rは存在しない)または第三級アンモニウム(RはHである)であって、該アミンまたはアンモニウムの窒素原子が、コアに対する少なくとも1つの結合(直接的な結合(すなわち、上記の(1)-(3)の構造式において、Lは結合であり、X´は存在しない)、またはリンカーを介した結合)と、テルペノイド部分に対する1つの結合と、任意選択で、1ないし4個の炭素原子を有するアルキル基に対する残りの結合とを有する、該第三級アミンまたは第三級アンモニウム、あるいは該第三級アミンの塩(すなわち、Rがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルである)。
(b)第三級アミン(Rは存在しない)または第三級アンモニウム(RはHである)であって、該アミンまたはアンモニウムの窒素原子が、コアに対する1つの結合(直接的な結合(すなわち、上記の(1)-(3)の構造式において、Lは結合であり、X´は存在しない)、またはリンカーを介した結合)と、テルペノイド部分に対する2つの結合(互いに同一な結合、または互いに異なる結合であり得る)とを有する、該第三級アミンまたは第三級アンモニウム、あるいは該第三級アミンの塩(すなわち、R及びRがテルペノイド部分である)。
(c)第四級アンモニウム基であって、該アンモニウム基の窒素原子が、コアに対する少なくとも1つの結合(直接的な結合(すなわち、上記の(1)-(3)の構造式において、Lは結合であり、X´は存在しない)、またはリンカーを介した結合)と、テルペノイド部分に対する1つまたは2つの結合(互いに同一な結合、または互いに異なる結合であり得る)と、任意選択で、1ないし4個の炭素原子を有するアルキル基に対する残りの結合とを有する、該第四級アンモニウム基(すなわち、R及びRがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、R及びRがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、Rがテルペノイド部分であり、かつR及びRがC-Cアルキルである)。
各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0076】
「テルペノイド」という用語は、「イソプレノイド」としても知られており、5炭素イソプレン単位から誘導される天然由来化合物の大きな分類を指す。
【0077】
一実施形態では、少なくとも1つのテルペノイド部分は、シンナムアルデヒド、ケイ皮酸、クルクミン、ビスシドン、またはシンナミルアルコールから誘導されるシンナモイル基である。別の実施形態では、少なくとも1つのテルペノイド部分は、ショウノウ、ハロゲン化ボルニル、またはボルニルアルコールから誘導されるボルニル基である。別の実施形態では、少なくとも1つのテルペノイド部分は、シトラールから誘導される。別の実施形態では、少なくとも1つのテルペノイド部分は、ペリルアルデヒドから誘導される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0078】
ケイ皮アルデヒドは、ニッケイ属から抽出された天然アルデヒドである。このケイ皮アルデヒドは、毒性が低く、様々な細菌及び真菌に対して有効であることが知られている。
【0079】
ショウノウは、クスノキ(Cinnamomum camphora)の木材や、カプールの木にも見られる。ショウノウはまた、クスノキ科のいくつかの他の関連する樹木、例えばオコテア・ウンバンアレンシス(Ocotea usambarensis)、及び他の天然源にも存在する。ショウノウはまた、テレピン油から合成することもできる。
【0080】
シトラール、または3、7-ジメチル-2、6-オクタジエナール、またはレモナールは、2つのジアステレオマーテルペノイドの混合物である。2つの化合物は、二重結合異性体である。E異性体は、ゲラニアールまたはシトラールAとして知られている。Z異性体は、ネラールまたはシトラールBとして知られている。シトラールは、抗菌活性(抗微生物活性)を有することが知られている。
【0081】
ペリルアルデヒドは、ペリラアルデヒドとしても知られており、一年草のエゴマ、並びに多種多様な他の植物及び精油に含まれている天然のテルペノイドである。
【0082】
テルペノイドの他の例には、これに限定しないが、ウコン及びカラシの種子に含まれているクルクミノイド、及びオガルカヤ属(レモングラス)に含まれているシトロネラールが含まれる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0083】
上記の実施形態によれば、抗微生物活性基テルペノイド部分は、下記の(i)-(iv)からなる群より選択される。
【0084】
【化6】
【0085】
各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0086】
本発明の原理による抗微生物活性第三級アミン官能基またはそのプロトン化形態の非限定的な例には、下記の構造式で表されるものが含まれる。
【0087】
【化7】
【0088】
【化8】
【0089】
【化9】
【0090】
式中、
は、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0091】
本発明の原理による抗微生物活性第四級アンモニウム基の非限定的な例には、下記の構造式で表されるものが含まれる。
【0092】
【化10】
【0093】
【化11】
【0094】
【化12】
【0095】
式中、
は、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
は、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0096】
本発明の粒子は、上述したように、第三級アミンの形態、第三級アミンのプロトン化形態、または第四級アンモニウム塩の形態であり得る。アンモニウム基は正に荷電しているので、その正電荷はアニオン(陰イオン)とバランスを取るはずである。好ましくは、本発明の粒子においては、このアニオンは、ハロゲン化物、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物であり、フッ化物が最も好ましい。他の可能性のある陰イオンには、これに限定しないが、炭酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、及び硫酸塩が含まれる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0097】
1つの長鎖アルキル基を有する抗微生物活性基
【0098】
別の実施形態によれば、本発明の抗微生物活性基[N(R)(R)(R)](構造式1で定義した)は、第四級アンモニウム基、第三級アミン、または第三級アンモニウムであって、各アミン/アンモニウム基の窒素原子は、コアに対する少なくとも1つの結合(直接的な結合(すなわち、上記の(1)-(3)の構造式において、Lは結合であり、X´は存在しない)、またはリンカーを介した結合)と、4ないし24個の炭素原子(R)を有するアルキル基に対する少なくとも1つの結合と、1ないし3個の炭素原子(R及びR)を有するアルキル基に対する残りの結合と、を有する。別の実施形態では、各アミン/アンモニウム基の窒素原子は、コアに対する1つの結合と、4ないし24個の炭素原子(R)を有するアルキル基に対する1つの結合と、1ないし3個の炭素原子(R)及び水素または存在しない(R)を有するアルキル基に対する残りの結合とを有する。
【0099】
アンモニウム基は正に荷電しているので、その正電荷はアニオンとバランスを取るはずである。上述した対イオンのいずれかを使用して、第四級アンモニウム基のバランスをとることができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、第四級アンモニウムまたは第三級アンモニウム基の窒素原子は、(i)無機コアに対する少なくとも1つの結合と、(ii)4ないし24個の炭素原子を有するアルキル基に対する少なくとも1つの結合とを有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、第四級アンモニウムまたは第三級アンモニウム基の窒素原子は、(i)無機コアに対する少なくとも1つの結合と、(ii)4ないし24個の炭素原子を有するアルキル基(R)に対する1つの結合と、(iii)1ないし3個の炭素原子を有するアルキル基(R及びR)に対する残りの結合、あるいは、1つの結合が水素であるかまたは存在せず(R)、かつ他の結合が1ないし3個の炭素原子を有するアルキル基(R)に対する残りの結合とを有する。
【0102】
「第四級アンモニウム基」という用語は、窒素原子と、該窒素原子に結合した4つの置換基(水素以外)とから構成される原子群を指す。別の実施形態では、「第四級アンモニウム基」は、窒素原子と、該窒素原子に炭素原子を介して各々結合された4つの基とから構成される原子群を指す。「長鎖アルキル基」または鎖という用語は、第四級アンモニウム基の窒素原子上に置換され、4ないし24個の炭素原子を有するアルキル基または鎖を指す。いくつかの現在好ましい実施形態では、アルキル基は、4ないし18個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態では、アルキル基は、4ないし8個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態では、アルキル基は、4ないし10個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態では、アルキル基は、6、7、または8個の炭素原子を有するアルキル基である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0103】
他の現在好ましい実施形態では、1ないし3個の炭素原子を有するアルキル基は、メチル基である。
【0104】
有機ポリマーコア
【0105】
いくつかの実施形態では、粒子のコアは有機ポリマーコアである。一実施形態では、有機コアは少なくとも1つの脂肪族ポリマーを含む。本発明の範囲内で使用される「脂肪族ポリマー」は、(これに限定されないが)芳香族側基を含む様々な側基で置換可能な脂肪族モノマーから作られたポリマーを指す。本発明による粒子に含まれ得る脂肪族ポリマーは、ポリマー骨格の一部としての窒素原子(及び他のヘテロ原子)を含む。一実施形態では、粒子のコアは、構造式(1)において定義したR、R及び/またはRで置換可能なアミン、またはアミンに化学的に修飾され、その後構造式(1)において定義したR、R及び/またはRで置換可能なイミン、を含む有機ポリマーコアである。脂肪族ポリマーの非限定的な例は、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン(PVA)、ポリ(アリルアミン)(PAA)、ポリ(アミノエチルアクリレート)、アルキルアミノペンディング基を有するポリペプチド、及びキトサンである。各可能性は、本発明の別個の実施形態を示す。現在の好適な一実施形態では、ポリマーはポリエチレンイミン(PEI)である。
【0106】
別の実施形態では、有機コアは、アミノメチル化スチレンポリマー、芳香族ポリエステル、好ましくはポリエチレンテレフタレート及びポリビニルピリジンからからなる群より選択される少なくとも1つの芳香族ポリマーを含む。
【0107】
ポリマーコアは、抗微生物活性基に直接的に(すなわち、構造式(1)-(3)においてXは結合であり、Lは結合であり、X´は存在しない)、またはリンカーを介して結合され得る。各可能性は、本発明の別個の実施形態を示す。
【0108】
一実施形態では、有機ポリマーコアは2以上の異なる有機ポリマーの組み合わせを含む。別の実施形態では、有機ポリマーコアはコポリマーを含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、抗微生物活性基は、リンカー(L)を介して有機ポリマーコアに結合される。これらの実施形態では、リンカーは、下記の(a)、(b)及び(c)からなる群より選択され得る。
(a)少なくとも1つのカルボキシル部分で置換されたC1-C18アルキレン。このリンカーは、少なくとも1つのカルボキシル部分及び少なくとも1つのアミノ部分で置換されたアルキレンから誘導され得、カルボキシル末端はコアに結合され、アミノ末端は抗菌活性基[N(R)(R)(R)](構造式(1)で定義される)に修飾される。このリンカーは、2ないし18個の炭素原子の鎖長を有する天然源または合成源のアミノ酸、または前記アミノ酸のハロゲン化アシルから誘導され得る。そのようなアミノ酸の非限定的な例は、18-アミノオクタデカン酸及び18-アミノステアリン酸である。
(b)C1-C18のアルキレン。このリンカーは、ハロゲン部分をコアに結合する官能基に置換すること、及び[N(R)(R)(R)](構造式(1)で定義される)を得るためにハロゲン部分を置換することにより、各端部がコア及び抗微生物活性基で官能化されているジハロアルキレンから誘導され得る。
(c)4,4-ビフェノール、ジ安息香酸、安息香酸ジ安息香酸、安息香酸ジ安息香酸、テレフタル酸、テトラフタル酸ハロゲン化物及びテレフタル酸スルホン酸から誘導される芳香族分子。このリンカーは、その官能基(すなわち、ヒドロキシル、カルボキシまたはスルホネート)を介して、それぞれコア及び抗微生物活性基で官能化される。別の実施形態では、このリンカーは、一端でコアに結合し、他端で抗微生物活性基[N(R)(R)(R)]に修飾される。
【0110】
別の実施形態では、リンカーは、官能基がコアに結合しているアルキル、アルケニル、アルキルホスフェート、アルキルシロキサン、カルボン酸、エポキシ、ハロゲン化アシル及び無水物、またはそれらの組み合わせを含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0111】
様々なポリマー鎖が、それ自体が様々なポリマー特性の蓄積であり得、予期しない相乗的な特性を提供することさえあり得る、ある範囲の特性を提供することができる。そのような混合ポリアミンナノ粒子の例は、以下を含む:ジハロアルカンを介したポリエチレンイミン及びポリ(4-ビニルピリジン)などの脂肪族及び芳香族ポリアミンの架橋;線状短鎖及び分枝高分子量ポリエチレンイミンの混合物;架橋ポリビニルピリジンナノ粒子内に埋封されたポリエチレンイミンなどのポリアミン骨格内にポリアミンの組成物を浸透させること、またはポリアミンをポリスチレンナノ粒子などの低密度の非アミン骨格に浸透させること。換言すれば、化学的架橋または物理的架橋(浸透網状構造)のいずれかによってナノ粒子を形成する目的でポリアミンの組み合わせを使用することにより、様々な特性の構造を与えることができる(例えば、ある細菌を他の種類の細菌と比べてより良好に殺滅することができる)。そのような特性は、本質的に相加的または相乗的であり得る。
【0112】
特定の一実施形態では、有機ポリマーコアは架橋剤により架橋されている。約2%ないし約5%の架橋が好ましい場合、好適な架橋度は1%ないし20%である。架橋は、ポリマーの展開(unfolding)及び粒子を形成する様々なポリマー鎖の分離を防ぐことができる。
【0113】
有機合成及びポリマー科学の当業者に知られているように、架橋は、当該技術分野においてそれ自体が既知の様々な薬剤及び反応の影響を受け得る。例えば、架橋は、ジブロモエタン、ジブロモシクロヘキサンまたはビス-ブロモメチルベンゼンなどのジハロアルカンでポリマー鎖をアルキル化することによって影響され得る。あるいは、還元的アミノ化による架橋が用いられ得る。この方法では、第一級アミンを有するポリアミンをジケトンまたはアルカンジアルデヒドと反応させることによりイミン架橋剤を形成し、これをさらに水素化して対応するアミンとする。このアミンをさらに反応させて、抗微生物効果を有する第四級アンモニウム基を形成させることができる。そのような方法では、ジハロアルカンまたはジアルデヒドの代わりに、トリまたはポリハロアルカンもしくはポリアルデヒドもしくはポリケトンを使用することができる。
【0114】
本発明による粒子の製造に有用である好適なポリマーは、30モノマー単位、好ましくは100モノマー単位でできている鎖を有し、10%未満の架橋剤を用いて架橋することができるポリマーである。ポリマーが長いほど、不溶性ナノ粒子を得るために必要な架橋結合はより少なくなる。不溶性ナノ粒子を形成するために少量の架橋が必要とされるため、分枝ポリマーが架橋に好ましい。
【0115】
いくつかの実施形態では、有機ポリマーコア中のアミン基の少なくとも約10%は、本明細書に記載したような抗微生物活性第三級アミン/アンモニウムまたは第四級アンモニウム基またはその塩である。
【0116】
好適な実施形態では、本発明による粒子は、ホストポリマーまたはそのモノマーと反応することができる官能基を有する。このような官能基は、粒子をホストマトリックスに化学的に結合させるように設計されている。
【0117】
無機コア
【0118】
いくつかの実施形態では、本発明の粒子のコアは、1以上の無機材料を含む無機コアである。無機コアは、有機ポリマーコアに対していくつかの利点を有する:1)高温におけるより高い安定性;2)様々な溶媒及び試薬に対するより高い化学的安定性;3)改良された機械的強度;4)両親媒性のための、マトリックス中での良好な取扱性;及び5)コスト削減。
【0119】
無機コアの更なる利点は、官能化粒子のポリマーマトリックスへの挿入に関する。マトリックス重合がラジカル重合(例えばアクリレート樹脂)を含む場合、無機コアは重合プロセスを妨害せず、したがって、重合反応を妨害する傾向のある有機ポリマーコアとは対照的に、最終的な基体の機械的特性を損なうことはない。
【0120】
一実施形態では、無機コアはシリカ、金属、金属酸化物またはゼオライトを含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0121】
一実施形態では、本発明の粒子のコアはシリカ(SiO)を含む。シリカは、当該技術分野で既知の任意の形態であってもよく、非限定的な例として、非晶質シリカ、高密度シリカ、エアロゲルシリカ、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ及びヒュームドシリカが含まれる。
【0122】
粒子表面上の活性基の表面密度は、その抗菌活性に比例する影響を有する。これは有機粒子及び無機粒子の両方に同様に適用することができる。別の実施形態では、本発明の粒子のコアは、ガラスまたはケイ酸塩セラミック(SiO -4)を含む。ケイ酸塩の非限定的な例は、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、バリウムケイ酸塩、バリウムホウケイ酸塩及びストロンチウムホウケイ酸塩を含む。
【0123】
別の実施形態では、本発明の粒子のコアは、銀、金、白金、パラジウム、銅、亜鉛及び鉄の群から選択される表面活性化金属を含む。
【0124】
別の実施形態では、本発明の粒子のコアは、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、二酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化銅及びマグネタイトの群から選択される金属酸化物を含む。
【0125】
無機コアは、典型的には、低多孔性を有する中実均質形態、または約1ないし約30nmの孔径を有する多孔質形態を有する。
【0126】
別の実施形態では、本発明の粒子のコアは、天然または人工のゼオライトを含む。
【0127】
一実施形態では、コアは、抗微生物活性基に直接的に(すなわち、構造式(1)-(3)中:Xは結合であり;Lは結合であり;X´は存在しない)またはリンカーを介して結合され得る。好ましくは、シリカ(SiO)ベースの無機コアはリンカーを介して抗微生物活性基に結合してもよいが、ケイ酸塩(SiO -4)、金属または金属酸化物は、抗微生物活性基に直接的に(すなわち、構造式(1)-(3)中:Xは結合であり;L1は結合であり;X´は存在しない)またはリンカーを介して結合してもよい。
【0128】
いくつかの実施形態では、無機コアは、抗微生物活性基に結合している(すなわち、構造式(1)-(3)中、Xは結合であり、Lは結合であり、X´は存在しない)。他の実施形態では、無機コアは、抗微生物活性基に対して、リンカーを介して結合されている。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも1つのシラン部分で置換されたC-C18アルキレン、少なくとも1つのリン酸部分で置換されたC-C18アルキレン、少なくとも1つの無水物部分で置換されたC-C18アルキレン、少なくとも1つのカルボン酸部分で置換されたC-C18アルキレン、及び少なくとも1つのグリシジル部分で置換されたC-C18アルキレンからなる群より選択される。
各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0129】
別の実施形態では、リンカーは下記の構造式(IA)で表される。
【0130】
【化5】
【0131】
式中、
、Q及びQは、互いに独立して、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、水素、スルホン酸塩及びハロゲン化物からなる群より選択され、かつ、Q、Q及びQのうちの少なくとも1つは、エトキシ、メトキシ、スルホン酸塩(例えば、メシル、トシル)、及びハロゲン化物から選択され、
qは1ないし16の整数であり、
及びRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
は、存在しないか、水素、直鎖または分枝鎖アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
該リンカーは、シリコーン側を介して無機コアのコア表面に化学的に結合される。
【0132】
上記のような粒子の無機コアは、一般に、球形、非晶質多角形、浅いフレーク状(shallow flake-like)、またはロッド状から選択される形状を有し得る。いくつかの代表的な実施形態では、無機コアは球形であり、約5ないし約100,000nmの直径を有する。いくつかの代表的な実施形態では、無機コアは球形であり、約1,000ないし100,000nmの直径を有する。いくつかの代表的な実施形態では、無機コアは球形であり、約100ないし1,000nmの直径を有し、孔径は約1ないし約100nmである。別の実施形態では、無機球状コアは、約1ないし約50nmの孔径を有する。別の実施形態では、無機球状コアは、約1ないし約30nmの孔径を有する。別の実施形態では、無機粒子は、約5ないし約1,000nmの直径及び約10ないし約1,000,000nmの長さを有するロッド状の形態である。別の実施形態では、50ないし100,000nmの長さを有する。別の実施形態では、100ないし250,000nmの長さを有する。別の実施形態では、200ないし500,000の長さ及び約1ないし約50nmの孔径を有する。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0133】
ホスティングマトリックスに埋封されたナノ粒子
【0134】
別の態様では、本発明は、上記の粒子が複数埋封された液体または固体マトリックスを含む組成物を提供し、粒子は、共有結合相互作用または非共有結合相互作用によって該マトリックス中に埋封されている。
【0135】
マトリックスは、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、エポキシ樹脂、複合材料、及びポリメチルメタクリレートなどのアクリルポリマーからなる群より選択される熱可塑性ポリマーを含むポリマーマトリックスである。
【0136】
ホストとして役立ち得る他のタイプの物質は、セラミック、ポリマー材料と無機固体との複合材料、固体粉末に圧縮された植物粉末及び粒子、並びに有機及び無機の膠着材である。他の物質は、金属コーティング及び他の固体、半固体またはゲル状物質から選択することができる。
【0137】
本発明の文脈において使用される別のポリマーマトリックスは、歯科用及び整形外科用の複合材料に使用される樹脂である。そのような用途では、抗菌性粒子は、最初に樹脂部分内に分散されるか、または充填剤または他の固体成分(存在する場合)と同時に添加され得る。これらの樹脂の大部分は、インビボで重合を受けるアクリルまたはエポキシタイプのモノマーである。
【0138】
いくつかの実施形態では、官能化粒子をポリマーマトリックスに埋封することは、様々な方法論によって達成され得る。例えば、官能化された微粒子のポリプロピレンホストマトリックスへの埋封は、2つの方法論によって得られた:A)押出技術:粒子を溶融ポリマー、好ましくは双円錐押出機に加えた。B)ポリプロピレンを還流条件下でキシレン、トルエンまたはそれらの誘導体中で加熱してポリマーの完全な溶解を達成した。次いで、抗菌粒子を、ポリマーに使用したものと同一の溶媒に分散させ、混合物をオーバーヘッドスターラーまたはホモジナイザーを用いて溶解したポリマーに添加した。ポリマー内に粒子が完全に分散した後、従来の蒸留または蒸発法を用いて溶媒を蒸発させた。
【0139】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、粒子がマトリックス中に埋封される、上記のような複数の粒子の埋封を含む組成物の調製方法を提供し、この方法は、押出を利用して上記のような粒子を溶融ポリマーマトリックスに添加するステップを含む。
【0140】
抗菌粒子の埋封は、主に機械的な力によるものである。これらの粒子は、三次元マトリックス中のポリマー鎖の間に「ロック」され、それらが複雑なネットワークから移動することを防止する。これらの粒子の強い疎水性は、歯科、整形外科または他の医学的及び歯科的適用の場合などにおいて、粒子が親水性の環境に移動することを防止する役割も果たす。
【0141】
いくつかの実施形態では、本発明による粒子は、マトリックスの外面上に、該外面の1平方μm当たり約0.1ないし約100個の表面密度で均一に分布している。別の実施形態では、本発明による粒子は、約1ないし約100粒子/平方μmの表面密度でマトリックスの外面上に均一に分布している。「均一分布」なる用語は分布を示すために使用され、1平方μm当たり粒子数の標準偏差が、1平方μm当たりの平均粒子数以下であることを特徴とする。均一分布は、再現性及び製品仕様のために好ましい。分布が均一でない場合、製品は異なる領域で異なる特性を示す可能性がある。外面から離れた粒子の分布、すなわち粒子のバルク濃度は、外面上の粒子の分布と同様であり得る。通則として、粒子の全表面は、好ましくは、マトリックスの表面の多くとも約20%、好ましくは1ないし15%、より好ましくは1ないし5%、最も好ましくはマトリックスの表面の約1ないし3%を占める。
【0142】
いくつかの実施形態では、マトリックスの外面の1平方μm当たり平均して少なくとも1個の本発明の粒子を有する。
【0143】
ポリマー粒子は、マトリックス内に物理的に閉じ込められていてもよく、化学的に結合していてもよく、またはその両方であってもよい。粒子がホストに化学的に結合される場合、粒子は、ホストマトリックス(例えば、ホストポリマーまたはそのモノマー)と反応することができる官能基を有する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の粒子は、ホストポリマーすなわちマトリックスと反応することができる官能基を有する。そのような官能基は、粒子がホストマトリックスに化学的に結合することを可能にするように設計される。
【0144】
本発明のポリマー粒子はまた、抗微生物活性を有さない第三級アミン、第三級アンモニウムまたは第四級アンモニウム基を含み得る。しかしながら、抗微生物活性基がより多く存在するほど、ポリマーがより好ましく、本発明による有機コアを含む粒子は、10平方nm当たり少なくとも1つの抗微生物活性基を有することを特徴とする。
【0145】
一実施形態では、本発明は、本発明の粒子が埋封された熱可塑性ポリマーを含む包装組成物/材料に関する。別の実施形態では、熱可塑性ポリマーには、本発明の2以上の異なる粒子の混合物が埋封される。別の実施形態では、包装組成物/材料は、食品、飲料品、医薬成分、医療機器、手術前の手術機器、手術前の機器、化粧品、滅菌された機器/材料の包装に使用される。
【0146】
一実施形態では、包装組成物(packaging composition)は、本発明の粒子が埋封された熱可塑性ポリマーを含む。別の実施形態では、熱可塑性ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、エポキシ樹脂、またはアクリルポリマーである。別の実施形態では、熱可塑性ポリマーは、ポリメチルメタクリレートである。
【0147】
別の実施形態では、包装組成物は、結合剤、コーティング剤、潤滑剤及び崩壊剤をさらに含む。別の実施形態では、結合剤の非限定的な例は、糖類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)及びポリエチレングリコール(PEG)を含む。別の実施形態では、コーティングの非限定的な例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類及びゼラチンを含む。別の実施形態では、潤滑剤の非限定的な例は、タルク、ステアリン、シリカ及びステアリン酸マグネシウムを含む。別の実施形態では、崩壊剤の非限定的な例は、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)及び化工デンプングリコール酸ナトリウムを含む。
【0148】
一実施形態では、包装組成物/材料は、医薬成分を包装するために使用される。別の実施形態では、医薬成分の非限定的な例は、鎮痛薬、抗生物質、抗凝固薬、抗うつ薬、抗癌剤、抗てんかん薬、抗精神病薬、抗ウイルス薬、鎮静剤及び抗糖尿病薬を含む。別の実施形態では、鎮痛薬の非限定的な例は、パラセタモール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、モルヒネ及びオキシコドンを含む。別の実施形態では、抗生物質の非限定的な例は、ペニシリン、セファロスポリン、シプロフロキサシン及びエリスロマイシンを含む。別の実施形態では、抗凝固剤の非限定的な例は、ワルファリン、ダビガトラン、アピキサバン及びリバロキサバンを含む。別の実施形態では、抗うつ薬の非限定的な例は、セルトラリン、フルオキセチン、シタロプラム及びパロキセチンを含む。別の実施形態では、抗癌剤の非限定的な例は、カペシタビン、マイトマイシン、エトポシド及びペンブロリズマブを含む。別の実施形態では、抗てんかん薬の非限定的な例は、アセタゾラミド、クロバザム、エトスクシミド及びラコサミドを含む。別の実施形態では、抗精神病薬の非限定的な例は、リスペリドン、ジプラシドン、パリペリドン及びルラシドンを含む。別の実施形態では、抗ウイルス薬の非限定的な例は、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル及びザナミビルを含む。別の実施形態では、鎮静剤の非限定的な例は、アルプラゾラム、クロラゼパート、ジアゼパム及びエスタゾラムを含む。別の実施形態では、抗糖尿病薬の非限定的な例は、グリメピリド、グリクラジド、グリブリド及びグリピジドを含む。
【0149】
一実施形態では、包装組成物/材料は、食品成分の包装に使用される。別の実施形態では、本発明の包装材料によって包装される食品成分の非限定的な例は、防腐剤、甘味料、着色料、香料及び香辛料、栄養素、乳化剤、結合剤及び増粘剤を含む。別の実施形態では、防腐剤の非限定的な例は、アスコルビン酸、クエン酸、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、エリソルビン酸ナトリウム及び亜硝酸ナトリウムを含む。別の実施形態では、甘味料の非限定的な例は、スクロース(糖)、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール及びコーンシロップを含む。別の実施形態では、着色料の非限定的な例は、オレンジB、シトラスレッド2、アナットエキス、ベータカロテン、ブドウ皮抽出物、コチニール抽出物またはカルミン及びパプリカオレオレジンを含む。別の実施形態では、香料及び香辛料の非限定的な例は、グルタミン酸ナトリウム、グリシンスラット、イノシン酸、酢酸イソアミル、リモネン及びアリルヘキサノエートを含む。別の実施形態では、栄養素の非限定的な例は、塩酸チアミン、リボフラビン(ビタミンB2)、ナイアシン、ナイアシンアミド、葉酸塩(folate)または葉酸(folic acid)を含む。別の実施形態では、乳化剤の非限定的な例は、大豆レシチン、モノグリセリド及びジグリセリド、卵黄、ポリソルベート並びにソルビタンモノステアレートを含む。別の実施形態では、結合剤及び増粘剤の非限定的な例は、ゼラチン、ペクチン、グアーガム、カラギーナン、キサンタンガム及び乳清を含む。
【0150】
粒子の調製
【0151】
本発明の粒子は、コアの性質、抗微生物活性基、及びリンカーの有無に依存し、様々なプロセスによって調製することができる。調製方法のいくつかの非限定的な例を以下に示す。
【0152】
本発明の粒子は、構造式(1)-(3)によって表されるように、直接的に(すなわち、構造式(1)-(3)においてXは結合であり;Lは結合であり、X´は存在しない)、またはリンカー(L-X)を介して結合したコア及び抗微生物活性基[N(R)(R)(R)]を含む。
【0153】
【化1】
【0154】
【化2】
【0155】
【化3】
【0156】
式中、
コアは、有機ポリマー材料、無機材料、金属、または金属酸化物であり、
は、リンカーまたは結合であり、
は、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
は、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
は、存在しないか、あるいは、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、またはそれらの任意の組み合わせであり、
Xは、結合、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、
X´は存在しないか、あるいは、水素であり、
pは、コアの表面の1平方nm(nm)当たりの鎖の数であり、
抗微生物活性基は、コア表面の1平方nm(nm)当たり0.001ないし20の表面密度で存在し、
及びXが結合である場合には、窒素がコアの必須部分であり、
、R、Rのうちの少なくとも1つは、疎水性である。
【0157】
(i)有機ポリマーコアと、(ii)下記の(a)-(d)からなる群より選択される抗微生物活性基と、を含むコアに抗微生物活性基[N(R)(R)(R)]が直接的に結合された(すなわち、式(1)-(3)において、Xは結合であり;Lは結合であり;X´は存在しない)粒子は、上述したように、前記第三級アミンまたは第四級アンモニウム基でポリマーコアを官能化することによって調製することができる。
(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミン(すなわち、Rは存在しない)または第三級アンモニウム(すなわち、Rは水素である)。
(b)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む4級アンモニウム基。
(c)4~24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を含む4級アンモニウム基。
(d)4~24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を含む第三級アミン(すなわち、Rは存在しない)または第三級アンモニウム(すなわち、Rは水素である)。
【0158】
(i)有機ポリマーコアと、(ii)下記の(a)-(d)からなる群より選択される抗微生物活性基と、を含むコアに抗微生物活性基[N(R)(R)(R)]が直接結合した(すなわち、構造式(1)-(3)において、Xは結合であり;Lは結合であり;X´は存在しない)粒子は、上述したように、前記第三級アミンまたは第四級アンモニウム基でポリマーコアを官能化することによって調製することができる。
(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含み、任意選択で、1ないし4個の炭素原子を有するアルキル基を含む第三級アミン(Rは存在しない)または第三級アンモニウム(RはHである)、あるいは該アミンの塩(すなわち、R及びRがテルペノイド部分であるか、またはRがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルである)。
(b)少なくとも1つのテルペノイド部分を含み、任意選択で、1ないし4個の炭素原子を有する1以上のアルキル基を含む第四級アンモニウム基(すなわち、R、R及びRがテルペノイド部分であるか、または、R及びRがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、R及びRがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、Rがテルペノイド部分であり、かつR及びRがC-Cアルキルである)。
(c)第四級アンモニウム基であって、該アンモニウム基の窒素原子が、4ないし24個の炭素原子を有するアルキル基に対する少なくとも1つの結合と、それぞれ1ないし3個の炭素原子を有するアルキル基に対する残りの結合とを有する、該第四級アンモニウム基(すなわち、R、R及びRがC-C24アルキルである、R及びRがC-C24アルキルであり、かつRがC-Cアルキルである、もしくはR及びRがC-C24アルキルであり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、RがC-C18アルキルであり、かつR及びRがC-Cアルキルである)。
(d)4ないし24個の炭素原子を有するアルキル基に対する少なくとも1つの結合と、1ないし3個の炭素原子を有するアルキル基に対する残りの結合とを含む、第三級アミン(Rは存在しない)または第三級アンモニウム(Rは水素である)。
【0159】
(i)無機ポリマーコアと、(ii)下記の(a)-(d)からなる群より選択される抗微生物活性基と、を含む粒子は、無機コアをリンカー部分Lと反応させることにより表面官能化コアを生成するステップ、及び得られた生成物を官能化させることにより上記のように第三級アミン、第三級アンモニウムまたは第四級アンモニウム基を生成するステップによって調製することができる。
(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミン(すなわち、Rは存在しない)または第三級アンモニウム(すなわち、Rは水素である)。
(b)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第四級アンモニウム基。
(c)4ないし24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を含む第四級アンモニウム基。
(d)4ないし24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を含む第三級アミン(すなわち、Rは存在しない)、または第三級アンモニウム(すなわち、Rは水素である)。
各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0160】
(i)無機ポリマーコアと、(ii)下記の(a)及び(d)から選択される抗微生物活性基と、を含む粒子は、無機コアをリンカー部分Lと反応させることにより表面官能化コアを生成するステップ、及び得られた生成物を官能化させることにより上記のように第三級アミン、第三級アンモニウムまたは第四級アンモニウム基を生成するステップによって調製することができる。
(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含み、任意選択で、1ないし4個の炭素原子を有するアルキル基を含む第三級アミン(すなわち、Rは存在しない)もしくは第三級アンモニウム(すなわち、RはHである)、または前記アミンの塩(すなわち、R及びRがテルペノイド部分であるか、またはRがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルである)。
(b)少なくとも1つのテルペノイド部分を含み、任意選択で、1ないし4個の炭素原子を有する1以上のアルキル基含む第四級アンモニウム基(すなわち、R、R及びRがテルペノイド部分であるか、または、R及びRがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルである、もしくはR及びRがテルペノイド部分であり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、Rがテルペノイド部分であり、かつR及びRがC-Cアルキルである)。
【0161】
(i)無機コアと、(ii)4ないし24個の炭素原子を有する1つのアルキル基に化学的に結合した第四級アンモニウム基、及び1ないし3個の炭素原子を有するアルキル基に対する残りの結合とを含む抗微生物活性基(すなわち、R、R及びRがC-C24アルキルである、R及びRがC-C24アルキルであり、かつRがC-Cアルキルである、もしくはR及びRがC-C24アルキルであり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、RがC-C24アルキルであり、かつR及びRがC-Cアルキルである)と、を含む粒子は、(i)前記無機コアをリンカー部分Lと反応させることにより第一級アミン表面官能化コアを生成するステップ、及び(ii)ステップ(a)の生成物を官能化させることにより第四級アンモニウム基を生成するステップ、によって調製することができる。
【0162】
あるいは、(i)無機コアと、(ii)4ないし24個の炭素原子を有する1つのアルキル基に化学的に結合した第四級アンモニウム基、及び1ないし3個の炭素原子を有するアルキル基への残りの結合を含む抗微生物活性基(すなわち、R、R及びRがC-C24アルキルである、R及びRがC-C24アルキルであり、かつRがC-Cアルキルである、もしくはR及びRがC-C24アルキルであり、かつRがC-Cアルキルであるか、または、RがC-C24アルキルであり、かつR及びRがC-Cアルキルである)と、を含む粒子は、(i)前記無機コアをエトキシ、メトキシ、スルホン酸塩及びハロゲン化物から選択される脱離基からなるリンカー部分Lと反応させるステップ、及び(ii)ステップ(a)の生成物を官能化させることにより上記のように第四級アンモニウム基を生成するステップによって調製することができる。
【0163】
本明細書で企図されるように、無機コア・リンカー・抗微生物活性基付加物は、様々な試薬を用いて形成可能である。試薬の選択は、抗微生物活性基の性質に依存する。例えば、抗微生物活性基が第三級アミン/アンモニウムまたは少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第四級アンモニウム基である場合、無機コアを抗微生物活性基に結合するための好適な試薬は、以下の構造式(I)で表される。
【0164】
【化13】
【0165】
式中、
、Q及びQは、アルコキシ、メチル、エチル、水素、スルホン酸塩及びハロゲン化物からなる群より独立して選択され、かつ、Q、Q及びQの少なくとも1つは、エトキシ、メトキシ、スルホン酸塩(例えば、メシル、トシル)及びハロゲン化物から選択され
qは、1ないし16の整数であり、
試薬は、ケイ素原子を介して無機コアの表面に化学的に結合することができ、抗微生物活性基は、第一級アミンを官能化することによって導入され、上記のように少なくとも1つのテルペノイド基を含有する、抗微生物活性を有する第三級アミンまたは第四級アンモニウム基を得ることができる。
【0166】
あるいは、抗微生物活性基が4ないし24個の炭素原子を有する1つのアルキル基を含む第四級アンモニウム基である場合、無機コアを抗微生物活性基に結合するための好適な試薬は、以下の構造式(II)で表される。
【0167】
【化14】
【0168】
式中、
、Q及びQは、アルコキシ、メチル、エチル、水素、スルホン酸塩、及びハロゲン化物からなる群より独立して選択され、かつ、Q、Q及びQの少なくとも1つは、エトキシ、メトキシ、スルホン酸塩(例えば、メシル、トシル)、及びハロゲン化物から選択され、
Wは、NH、ハロゲン化物、スルホン酸塩、及びヒドロキシルからなる群より選択され、
qは、1ないし16の整数であり、
抗微生物活性基は、基Wを抗微生物活性基で置換することにより、または基Wを抗微生物活性基に変換することにより導入される。
【0169】
所望のリンカー基に依存して、他のリンカー部分が使用され得ることは、当業者には明らかであろう。当業者は、本発明によって企図される他のリンカー、例えば、少なくとも1つのリン酸部分で置換されたC-C18アルキレン;少なくとも1つの無水物部分で置換されたC-C18アルキレン;少なくとも1つのカルボン酸部分で置換されたC-C18アルキレン;及び少なくとも1つのグリシジル部分で置換されたC-C18アルキレン、を調製するための試薬及び反応の設計を理解しているであろう。
【0170】
抗微生物活性基が少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミンまたは第四級アンモニウム基である、本発明による粒子を調製するための代表的な方法を図12に示す。図12によれば、本明細書で定義されるコアは、第一級アミンで官能化される。第一級アミンはアルデヒドと反応して最初に構造式(A´)のイミン(シッフ塩基)中間体を生成し、これをその後還元的アミノ化条件下で第2アルデヒドと反応させることにより構造式(B´)の第三級アミンを得る。RC(=O)H及びR´C(=O)Hはそれぞれ、テルペノイドまたはテルペノイドに由来するアルデヒドを表す。RC(=O)H及びR´C(=O)Hは、互いに同一でも異なっていてもよい。第四級アンモニウム基への第三級アミンの変換は任意であり、RがC-Cアルキルであり、かつYがハロゲンまたはスルホン酸塩などの脱離基である、基R-Yとの第三級アミンの反応を含む。
【0171】
以下の基は、下記のコアのいずれか1つ以上を表すことができることが理解される:
【0172】
【化15】
【0173】
1.NHに直接的に結合された有機コア。
2.本明細書に記載のリンカーを介してNHに結合された有機コア。
3.NHに直接的に結合された無機コア。
4.本明細書に記載のリンカーを介してNHに結合された無機コア。
【0174】
例示された反応は、「ワンポット合成」であってもよく、または第1ステップで形成された中間体の単離を伴う2つの連続反応を含んでいてもよい。第1ステップは、還元剤、この場合にはNaBHの存在下でのシンナモイル、の存在下でアミン官能化コアをテルペノイド部分と反応させることによる、イミン(シッフ塩基)である中間体(A´)の形成である。必要に応じて、この段階でイミン官能化コアを単離することができる。あるいは、中間体(A´)を還元剤の存在下でテルペノイド部分とさらに反応させることにより、2つのテルペノイド部分(B´)を含む第三級アミンが得られる。第四級アンモニウムを得るために、図12に記載されるように追加のアルキル化ステップを実施する。
【0175】
このプロセスは、シンナムアルデヒドについて図13に例示するが、他のアルデヒドにも適用可能である。
【0176】
抗微生物活性粒子を調製するためのプロセスにおける中間体であるイミン粒子は新規のものであり、本発明の別個の実施形態を表す。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、(i)無機コアまたは有機ポリマーコアと、(ii)好ましくは10平方nm当たり少なくとも1つのイミン基の表面密度であり、イミン基はテルペノイド部分を含む、コアに化学的に結合したイミン部分と、を含む粒子を提供する。イミン部分は一般に図12の構造式(B´)の構造で表される。より具体的な実施形態は、図13の構造式(B)の構造である。本明細書に記載の他のテルペノイド基を含む他のイミン中間体化合物も本発明に包含されることが、当業者に理解される。
【0177】
抗微生物活性基が4ないし18個の炭素原子を有する1つのアルキル基を含む第四級アンモニウム基である、本発明による粒子を調製するための代表的な方法を図14に示す。この方法は、第四級アンモニウム塩(QAS)官能化粒子を調製するための以下の3つの経路を含む。A)最初に還元的アミノ化を利用して第三級アミンを達成し、その後アルキル化反応を行い;B)段階的にアルキル化反応を行い;C)脱離基(例えば、Clまたは他のハロゲン)で官能化されたリンカーを第三級アミンと反応させる。R及びRはC-Cアルキル、例えばメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルを表す。RとRは異なっていてもよく、同じ基であってもよい。Yは任意の脱離基、例えばCl、BrまたはI、またはスルホン酸塩(例えば、メシル、トシル)を表す。
【0178】
下記の基は、図12及び図13について、上述したような手段のいずれか1つを有することが理解される。
【0179】
【化15】
【0180】
下記の基は、下記の1-4のコアのいずれか1つ以上を表すことが理解される。
【0181】
【化16】
【0182】
1.Yに直接的に結合された有機コア。
2.本明細書に記載のようなリンカーを介してYに結合された有機コア。
3.Yに直接的に結合された無機コア。
4.本明細書に記載のようなリンカーを介してYに結合された無機コア。
【0183】
コア粒子の調製
【0184】
多孔質シリカ材料は、SiClをアルコールまたは水と反応させ、続いて遠心分離を用いた乾燥、及び/または、気流を利用した、もしくは真空条件下での加熱によって調製することができる。高密度ヒュームドシリカ粒子(熱分解法)を、SiClの熱分解によって調製した。
【0185】
シリカコア材料の代替的な調製方法は、アルコールまたは水溶液の存在下、及び塩基性(Stober)または酸性の触媒条件下でのテトラエチルオルトケイ酸塩(TEOS)またはテトラメチルオルトケイ酸塩(TMS)の加水分解によって行うことができる。
【0186】
メソポーラスシリカ粒子は、低温、好ましくは60℃を超えない温度でTEOSまたはTMSを加水分解し、続いて気流または真空条件下での遠心分離及び/または蒸発により脱水することで調製することができる。
【0187】
高密度粒子は、か焼と呼ばれる方法で激しい加熱を利用して調製することができる。典型的には、そのような方法は、約250℃の高温で行われる。
【0188】
コアの調製及び官能化は、固体支持法または溶液法によって行うことができる(図15)。
【0189】
固体支持法
【0190】
官能化された粒子の調製は、2つの一般的なステップで行われる。第1に、脱離基の加水分解によってリンカー分子を粒子表面に凝縮させ(表面官能化)、構造式(図15、D´)の中間体を得る。第2に、リンカー分子の官能部位に、(図12-14)のいずれかで示すようにさらに官能化(リンカー官能化)を行い、構造式(E´)の官能化粒子を得る。
【0191】
溶液法
【0192】
この方法では、最初にリンカー分子を抗微生物活性基で官能化して構造式(図15、F´)の中間体を得る。第2段階では、中間体(F´)を粒子の固体表面に定着させ(表面官能化)、構造式(図15、E´)の官能化粒子を得る。
【0193】
この方法は、シンナムアルデヒドについて図16に例示しているが、他のアルデヒドにも適用可能である。
【0194】
細菌の阻害方法
【0195】
本発明の別の態様では、細菌を本発明のナノ粒子若しくは微粒子、または本発明の粒子を含む組成物と接触させることによって、細菌を阻害する方法が提供される。「阻害」なる用語は、破壊、すなわち、細菌の少なくとも99%、好ましくは99.9%、最も好ましくは細菌の99.99%の消滅;細菌の増殖速度の低下;細菌の集団の大きさの減少;細菌の増殖の防止;細菌に修復不能な損傷を引き起こすこと;そのような細菌のバイオフィルムの破壊;短期間または長期間の損傷を既存のバイオフィルムの一部または全体に誘導すること;そのようなバイオフィルムの形成の防止;バイオフィルム管理の誘導;または、そのような集団またはバイオフィルムに影響を及ぼし、それに即時または長期の損傷(部分的または完全な)を課す可能性のある他のタイプの結果をもたらすこと、を意味するために使用される。
【0196】
「バイオフィルム」なる用語は、固体表面に付着した生物種(細菌)の集団を指す。
【0197】
「抗微生物」及び「抗菌」なる用語は、本明細書では同じ意味で使用される。本発明の第四級アンモニウム及び第三級アミン基[N(R1)(R2)(R3)]は、抗微生物活性を提供する。第四級アンモニウムの活性は、いかなるpHにおいても強いままである。第三級アミンは高いpKa値を有し、したがって、ほとんどすべてのpHレベル(10までであるが、それより高くない)で活性を示す。第三級アミン官能基は、皮膚または粘膜と接触して使用される場合、または医薬組成物として使用される場合、軟組織の刺激などの望ましくない副作用を引き起こす可能性は低い。
【0198】
好適な実施形態では、阻害は、細菌を、5%w/wまで、より好ましくは1%までの本発明による粒子またはそれらを含む組成物を含有するマトリックスと接触させることにより達成される。
【0199】
したがって、本発明による組成物は、細菌の汚染除去または増殖防止が必要とされる以下のような広範囲の用途における有用性を見出すことができる:例えば、骨、骨セメント及び関節(整形外科)、レンズ(眼科)、血管及びステント、人工心臓弁(心臓病学)、人工皮膚、インプラント(整形手術)、子宮内デバイス(婦人科)、神経外科シャント、医療デバイス、ステント、皮下インプラントのための尿管ステントコーティングなどの組織の医学的な人工置換;インスリンポンプ、避妊用具、ペースメーカー、静脈内注射のために使用されるチューブ及びカニューレ、透析のために使用されるチューブ及びカニューレ、外科用排液チューブ、尿カテーテル、気管内チューブ、創傷被覆材料、縫合糸、血管及び泌尿器系に一時的または永続的に挿入されるすべての種類のカテーテル、脳に使用するためのシャント、手術用手袋、耳の検査のためのチップ、聴診器の端部、及び医療従事者によって使用される他の要素;練り歯磨き、歯ブラシ、爪楊枝、デンタルフロス、並びに歯間及び舌ブラシ、皮膚科学または化粧品産業において使用される軟膏及びクリーム、医学及び研究所用のプラスチックの衣服;主に乳製品並びに新鮮な肉及び魚用の食品包装;バイオフィルムの成長を妨げる船舶用塗料、バスルーム用塗料、病院及びクリーンルーム用塗料など。いくつかの実施形態では、粒子及び粒子を含む組成物は、以下の用途で使用される:歯科用及び整形外科用の樹脂ベースのセメント、シーラー、複合材料、接着剤及びセメント;歯科用及び整形外科用の金属インプラント及びワイヤ用;手術用縫合糸;カテーテル、金属外科用ツール、非外科用医療デバイス。
【0200】
本発明の組成物の1つの好適な使用は、以下のように歯科におけるものである:歯科用接着剤、虫歯の穴を充填するための任意のタイプの複合物ベースの材料などの歯科用修復材料、根管治療において根管空間を充填するための歯内充填材(セメント及び充填材)、並びにインレー、アンレー、クラウン、部分義歯(固定または取り外し可能)、歯科用インプラント及び様々な既知の目的のために歯科で使用される恒久的及び一時的なセメントを含むが、これらに限定されない一時的及び最終的な歯の修復または歯の置換に使用される材料。
【0201】
特定の一実施形態では、本発明の粒子または組成物は、口腔内への投与を意図している。組成物は、歯磨き剤として製剤化されてもよく、及び/または以下からなる群より選択される表面または医療デバイスに適用されてもよい:義歯洗浄剤、衛生処置後ドレッシングまたはゲル、粘膜接着性歯磨き剤、歯科用接着剤、虫歯の窩洞に充填される歯科用修復複合材料、根管治療に使用され根管内に充填される歯内充填材料、暫定的及び最終的な歯の修復または歯の置換に使用される歯科用修復材料、歯科用インレー、歯科用アンレー、クラウン、部分的義歯、総義歯、歯科用インプラント及び歯科インプラントアバットメント。
【0202】
抗微生物特性は、患者から患者へ、または患者から検査者への相互汚染から、患者及び医療スタッフを保護することができる。手術室に入る医薬品及び物品の自己滅菌包装も有益である。医療分野外の用途は、例えば、細菌が集まる傾向のあるアスリート向けのシューズまたは靴の内側部分、歯ブラシ及び人体と接触する任意のブラシ、ペットケージ及び他の獣医物品などであり得る。
【0203】
一実施形態では、本発明は、上記に開示された任意の粒子に関する。別の実施形態では、本発明は、上記で開示した任意の粒子を含む混合物の組成物に関する。
【0204】
以下の非限定的な実施例は、本発明の特定の実施形態をより完全に示すために提示される。しかしながら、それらは決して本発明の広い範囲を限定するものと解釈されるべきではない。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示された原理の多くの変形及び変更を容易に考案することができる。
【0205】
実施例
【0206】
非晶質SiO(シリカ)のコア粒子の調製
【0207】
二酸化ケイ素コア粒子を、アルカリ条件下でのテトラアルコキシケイ酸塩の加水分解によって調製した。pHを10ないし14の範囲に保ちながら、エタノールを9重量部、脱イオン水を0.4重量部及びアンモニアを0.1重量部混合することにより、反応溶液を調製した。粒径及び反応速度の制御は、反応溶液中の水及びアンモニアの濃度を調整することによって達成することができる。この溶液にテトラエチルオルトケイ酸塩(TEOS)0.5重量部を1000RPMで1時間撹拌しながら一度に添加した。最初に反応混合物が不透明になった後、白色固体沈殿が生じたが、これは反応終点及び一次粒子の凝集体形成を示す。遠心分離濾過、20重量部の脱イオン水でのすすぎ、及び凍結乾燥または加熱を用いた乾燥によって粒子を回収した。必要に応じて、「ピルアナ溶液」として一般に知られている硫酸/過酸化水素溶液中の粒子を素早くすすぐことにより、更なる表面活性化を行うことができる。この最後のステップは、粒子の表面の大部分をヒドロキシル形態に変換し、効率的な表面機能化を促進する。
【0208】
実施例2:シリカ粒子の形態学的特徴付け
【0209】
窒素吸着法を用いて、Barrett-Joyner_Halenda(BJH)モデルを利用することにより多孔質二酸化ケイ素粒子の形態を決定した。官能化されていないメソポーラス二酸化ケイ素粒子をMilli-Q水ですすぎ、乾燥させ、次いで脱気した。BJHモデルを適用することによって、等温吸湿/脱湿曲線から気孔サイズを得た。動的光散乱法を用いて平均粒径を測定した。結果として、前記粒子は直径186nmであり、5.0nmの孔径を有していた。
【0210】
実施例3:マグネタイトコア粒子の調整
【0211】
NHOH(pH~12)を利用した塩基性条件下の水溶液中のFeCl(1モル当量)及びFeCl(0.5モル当量)から、Fe 及びFe イオンの共沈によりマグネタイト(Fe)粒子を調製した。沈殿後、一定の磁場のもとで粒子を回収した。官能化の前に、粒子をMilli-Q水ですすぎ、次いで真空乾燥させた。硝酸または硫酸及び過酸化水素溶液中の粒子を短時間すすぐことによって、得られたマグネタイト粒子の表面活性化を実施した。最後のステップにより、粒子の表面の大部分がヒドロキシ形態に変換され、コアの更なる官能化を可能にした。
【0212】
実施例4:無機コア粒子の表面官能化
【0213】
シリカ粒子の官能化を2段階で行った。最初に、第一級アミン官能化シリカ粒子を調製した。還元的アミノ化によって第一級アミンを官能化し、テルペノイド基を含む第三級アミン、あるいは炭素8個の1つの長鎖アルキル鎖を含む第四級アンモニウム基を生成した。
【0214】
(a)第一級アミン官能化シリカ粒子の調製
【0215】
乾燥シリカ粒子を1:9の水/エタノール溶液に分散させ、混合物のpHを氷酢酸の添加により~4.5に調整した。3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTS)を、全反応混合物の4%(wt/v)を超えない量で反応混合物に添加した。反応を、60ないし80℃の温度で約1ないし3時間行った。その後、精製水を用いたすすぎ/乾燥法によりアミン官能化粒子を回収し、次いでNaHCOのアルカリ溶液ですすぎ、乾燥させた。
【0216】
無機コア(例えば、SiO、Fe)の前処理は、溶媒または他のリガンドなどの残留有機材料のいずれかを除去するために必須であり、表面を、官能化(シラン化)する準備ができている活性ヒドロキシル基に変換する。前処理は、硫酸中の20ないし40%過酸化水素溶液中、または硫酸中の20ないし40%NH溶液中で、周囲条件または高温で少なくとも5分間、好ましくは60℃で少なくとも30分間、粒子をすすぐことを含んだ。
【0217】
(b)2つのテルペノイド基を含む第三級アミンの形成
【0218】
ステップ(a)で得られた第一級アミン官能化粒子を、1:10モル比のアミン対シトラールでシトラール(テルペノイド)と反応させ、その場で形成されたイミンをNaBH(還元的アミノ化)によって連続的に還元することによって第三級アミンを調製した。反応は、周囲条件で、ジクロロメタン中で行った。その後、精製水中でのすすぎ/乾燥法により官能化粒子を回収した。
【0219】
(c)長鎖アルキル鎖(C8)を含む第四級アンモニウム化合物の形成
【0220】
第四級アンモニウム誘導体を得るために、ステップ(a)の第一級アミン官能化粒子を、1:10モル比のアミン対ホルムアルデヒド単位でパラホルムアルデヒドと反応させ、その場で形成されたイミンをNaBHにより連続的に還元した(還元的アミノ化)。ジクロロメタン(DCM)中で24時間反応を行い、第三級アミン中間体を生成した。1.25モル当量の1-ヨードオクタンを用いて、DCM中で第三級アミンをさらにアルキル化した。反応を周囲温度下で48時間行った。続いて、第四級アンモニウム官能化粒子をすすぎ/乾燥法によって回収した。
【0221】
実施例5:シンナムアルデヒドを用いた有機ポリマーコア粒子の調製及び表面官能化
【0222】
乾燥ポリエチレンイミン(PEI)を、まず無水エタノールに1:10wt/v比で溶解した。0.025モル当量の1,5-ジヨードペンタンを添加し、80℃の還流条件下で架橋PEI粒子を24時間生成した。粒子を加熱及び真空条件下でエタノール蒸発により回収し、次いでDCMに再溶解させた。10モルのシンナムアルデヒドを1モル当量のエチレンイミン単位に添加し、NaBH(還元的アミノ化)を利用して、その場で形成されたイミンを連続的に還元することによって官能化を行った。周囲条件で、DCM中で反応を行った。続いて、官能化された粒子を、精製水中でのすすぎ/乾燥法によって回収した。
【0223】
実施例6:官能化シリカ粒子を含むマトリックスの抗微生物活性
【0224】
抗菌試験条件-直接接触試験
【0225】
1セットの8ウェル内の各試験物質試料上に10μlの細菌懸濁液を適用することにより、細菌と試験物質との間の直接接触を達成した。プレートを垂直位置で1時間、37℃でインキュベートした。このインキュベーション過程中、懸濁液は蒸発し、細菌の薄い層が得られ、細菌と試験物質との間に直接接触が確保された。次いで、プレートを水平に置き、220μlのブレインハートインフュージョン培地を、材料を含む各ウェルに添加した。全ての試験を、Graham陽性菌の代表として黄色ブドウ球菌(S.aureus)及び腸球菌(E.faecalis)を、Graham陰性菌の代表として緑膿菌(P.aeruginosa)を用いて行った。
【0226】
細菌増殖の動態測定を、温度制御マイクロプレート分光光度計(VERSAmax、Molecular Devices Corporation社、Menlo Oaks Corporate Center、米国カリフォルニア州メンローパーク所在)を利用して行った。マイクロタイタープレートを分光光度計に入れ、すべての読み取りの前に37℃で5秒間ボルテックスを行った。細菌増殖を、各ウェルの光学濃度(OD)の変化によって、650nmで20分毎に24時間評価した。
【0227】
試料調製
【0228】
1)第四級アンモニウム官能化シリカ粒子を含むポリプロピレン
【0229】
第四級ジメチルオクチルアンモニウムで官能化された平均直径186nmのシリカ粒子をポリプロピレンに埋封した。ポリプロピレン及び官能化されたシリカ粒子の熱成形により、ポリマーフィルムの試料を0、1及び2%wt/wtの粒子で調製した。調製したフィルムの5×10mm試料をマイクロタイタープレートのウェルに配置して、各ウェルの内側の側壁に接触させた。
【0230】
抗菌試験の結果は、1及び2%wt/wtの粒子を含有するポリプロピレン試料についての実験中、一貫して低いOD(0.1)レベルを示したが、粒子を含有しないポリプロピレン試料及び黄色ブドウ球菌を含有する対照試料は有意なOD増加(0.7)を示した(図1)。
【0231】
同様の結果が緑膿菌の存在下で得られ、2%wt/wtの粒子を含有するポリプロピレン試料は低いODレベル(0.05)を示し、1%wt/wtの粒子を含有する試料は僅かに高いODレベル(0.15)を示した。対照的に、粒子を含有しないポリプロピレン試料及び緑膿菌を含有する対照試料は有意なOD増加(0.7)を示した(図2)。
【0232】
これらの結果は、第四級アンモニウム官能化シリカナノ粒子を利用する修飾ポリプロピレン基体によって得られる抗菌効果を明らかにしている。
【0233】
2)第四級アミン官能化シリカ粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)
【0234】
第四級ジメチルオクチルアンモニウムで官能化された平均直径13μmのシリカ粒子を、市販の歯科用重合性メチルメタクリレート(Unifast Trad、GC America inc.社)に0及び1%wt/wtの濃度で埋封した。製造業者の説明書に従い、メチルメタクリレートをそれぞれ2g/mlの液体/粉末比でシリコーン坩堝中で混合し、その後、抗微生物試験前にマイクロタイターウェルの側壁上に37℃で24時間重合させた。
【0235】
抗菌試験の結果は、1%wt/wtの粒子を含有するメチルメタクリレート(PMMA)試料についての実験中、一貫して低いOD(0.1)レベルを示したが、粒子を含有しないPMMA試料及び緑膿菌を含有する対照試料は有意なOD増加(0.8)を示した(図3)。
【0236】
同様の結果が黄色ブドウ球菌の存在下で得られ、1%wt/wtの粒子を含有するPMMA試料は低いODレベル(0.1)を示し、粒子を含有しない試料及び黄色ブドウ球菌を含有する対照試料は有意なOD増加(0.8)を示した(図4)。
【0237】
これらの結果は、第四級アンモニウム官能化シリカマクロサイズ粒子を利用する修飾PMMA基体によって得られる抗微生物効果を明らかにしている。
【0238】
3)第三級アミン官能化シリカ粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)
【0239】
ジ-シンナモイルアミン(第三級アミン)で官能化された平均直径186nmのシリカ粒子を、市販の歯科用重合性メチルメタクリレート(Unifast Trad、GC America Inc.社)に0及び1%wt/wtの濃度で埋封した。製造業者の説明書に従って、メタクリル酸メチルをそれぞれ2g/mlの液体/粉末比でシリコーン坩堝中で混合し、その後、抗微生物試験前にマイクロタイターウェルの側壁に37℃で24時間重合させた。
【0240】
抗菌試験結果は、1%wt/wtの粒子を含有するメチルメタクリレート(PMMA)試料についての実験中、一貫して低いODレベルを示したが、粒子を含有しないPMMA試料及び緑膿菌を含有する対照試料は、有意なOD増加を示した(図5)。
【0241】
同様の結果が黄色ブドウ球菌の存在下で得られ、1%wt/wtの粒子を含有するPMMA試料は低いODレベル(0.1)を示し、黄色ブドウ球菌を含有する対照試料は有意なOD増加(0.7)を示した(図6)。これらの結果は、ジテルペノイド(第三級アミン)官能化シリカナノ粒子を利用した修飾PMMA基体によって得られる抗微生物効果を明らかにしている。
【0242】
4)第四級アミン官能化マグネタイト粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)
【0243】
第四級ジメチルオクチルアンモニウムで官能化された平均直径78nmのマグネタイト(Fe)粒子を、市販の歯科用重合性メチルメタクリレート(Unifast Trad、GC America inc.社)に0、1及び2%wt/wtの濃度で埋封した。製造業者の説明書に従い、PMMAをそれぞれ2g/mlの液体/粉末比でシリコーン坩堝中で混合し、抗微生物試験前にマイクロタイターウェルの側壁に37℃で24時間重合させた。
【0244】
抗菌試験結果は、1及び2%wt/wtの粒子を含有するメチルメタクリレート(PMMA)試料についての実験中、一貫して低いODレベル(0.1)を示したが、粒子を含まないPMMA試料及び腸球菌を含有する対照試料は有意なOD増加(0.8)を示した(0.8)(図7)。
【0245】
これらの結果は、第四級アンモニウム官能化マグネタイトナノ粒子を利用した修飾PMMA基体によって得られる抗菌効果を明らかにしている。
【0246】
5)第四級アミン官能化シリカ粒子を含むポリ(メチルメタクリレート)
【0247】
ジ-シンナモイルメチル置換基を含む第四級アンモニウム置換基(実施例4に記載のように調製)で官能化された平均直径186nmのシリカ粒子を、市販の歯科用重合性メチルメタクリレート(Unifast Trad)中に0、2及び3%wt/wtの濃度で埋封した。製造業者の説明書に従い、PMMAをそれぞれ2g/mlの液体/粉末比でシリコーン坩堝中で混合し、抗微生物試験前にマイクロタイターウェルの側壁に37℃で24時間重合させた。製造者の説明書に従ってポリマー材料の液体部分及び固体部の両方を操作し、抗微生物試験の前にマイクロタイターウェルの側壁に37℃で24時間重合させた。
【0248】
抗細菌試験の結果は、3%wt/wtの粒子を含有するメチルメタクリレート(PMMA)試料についての実験中、低いOD(0.1)レベルを示し、2%wt/wtの粒子を含有する試料はわずかに高いレベルを示した。対照的に、粒子を含まないPMMA試料及び腸球菌を含有する対照試料は有意なOD増加(0.7)を示した(図8)。これらの結果は、ジテルペノイド第四級アンモニウム官能化シリカナノ粒子を利用した修飾PMMA基体によって得られる抗微生物効果を明らかにしている。
【0249】
実施例7:官能化粒子を含む樹脂の機械試験
【0250】
直径0.4mm、長さ10mmのポリメタクリル酸メチル(Unifast Trad)円筒形試験片を、ポリプロピレンのパイプ状の型を用いて調製した。試験片を室温で1時間、型内で重合させ、その後試験前に37℃で24時間DDW(double distilled water)中で保存した。試験を行った各群は、8%wt/wtのNPを有する硬化セメントの10個の試験片を含んでいた。官能基化粒子を含まないポリマー試験片を用いて対照群を得た。変位速度1mm/分で動作する万能試験機(Instron社、米国マサチューセッツ州カントン3366所在)を用いて圧縮強度試験を行った。圧縮強度及びヤング率を計算したマーリン(Merlin)ソフトウェアを用いてデータを即座に分析した。
【0251】
試験を行ったNPに以下のように印をつけた:
1)SiCial-186nmの直径を有する2つのシンナモイル置換基(実施例4で定義したように調製した)を有する第三級アミン官能基で官能化された8%wtの二酸化ケイ素粒子を含有する。
2)QPEI-24nmの、8%wtのジメチルオクチル第四級アンモニウム官能化PEI粒子(実施例5で定義したように調製した)を含有する。
3)非修飾ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂の試料を対照として使用した。
【0252】
結果は、応力条件下でシリカベースの粒子を含む修飾アクリレート樹脂の比較的高い安定性を示した。非修飾PMMA、SiCial及びQPEIの圧縮強度は、それぞれ56.61、78.79及び0.43MPaである。シリカ官能化抗菌粒子の埋封は、樹脂の機械的特性を危険にさらすことはなく、ポリマー官能化樹脂(QPEI)と比較して応力安定性の点で有利であるようであった(図9B)。
【0253】
実施例8:官能化粒子を含む樹脂の抗菌試験
【0254】
実施例7に記載の試料を、本明細書で上述した(実施例6)直接接触試験により、それらの抗菌活性について試験した。
【0255】
この結果は、腸球菌(図10A)及び黄色ブドウ球菌(図10B)の存在下で図示されているように、非修飾樹脂対照試料及び細菌の自然な増殖と比較して、官能化されたシリカベース及びPEIベース粒子の埋封に起因する修飾樹脂の強力な抗菌効果を示す。
【0256】
実施例9:インプリント法による抗菌試験
【0257】
官能化されたシリカベースの粒子を含有する溶液のヒドロキシル化ガラス表面への噴霧を利用して、3つのガラススライドをコーティングした。シラン基は、脱離基の加水分解時に官能化粒子をスライドに固定し、スライドを高温でさらに乾燥させることにより、粒子を表面上に完全に凝結させた。ガラスに、以下のように印をつけた:
1)ジメチルアミン官能化シリカ粒子;
2)2つのシンナモイル基官能化シリカ粒子を有する第三級アミン。
【0258】
黄色ブドウ球菌懸濁液を各官能化スライド上に均一に塗布した。スライドを、寒天に面した血液寒天ペトリ皿と15分間接触させた。その後、スライドを取り除き、ペトリ皿を37℃で24時間保ち、コロニーを形成させた。
【0259】
結果は、官能化スライド2と接触したシャーレ上にコロニーは形成されないことが明らかとなり、2つのシンナモイル基を含む第三級アミンの有利な抗菌活性を証明した(図11)。
【0260】
実施例10:コア上への抗菌活性基の充填度の測定
【0261】
図17は、コア上への抗微生物基の充填濃度を決定するための様々な方法のスキームを示す。
【0262】
方法1-粒子の表面へのアミン充填度。直径180nmの乾燥アミン官能化シリカ粒子粉末1.0gを20mlの乾燥トルエンに浸漬した。次いで、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)クロライド0.1g(1.9mmol)を添加した。混合物を60℃で12時間、連続的に撹拌しながら反応させた。得られた粒子を濾過し、5mlのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で3回すすぎ、次いで5mlのジエチルエーテルで3回すすぎ、その後真空中で乾燥させた。NMP中のピペリジンの20容量%溶液2ml中に0.01gのFmoc標識粒子を浸漬し、30分間振盪した後、溶媒を濾過することによってFmocの分離を行った。この手順をもう一度繰り返し、両方の溶液を合わせた(合計4mlの溶液に)。溶液中のFmocの濃度は、301nmの分光光度計での吸光度を用いて決定し、ベールの法則A=EbCに従って計算した。Aは吸光度、Eはモル吸光係数(6300cm-1-1)、bは経路長(1cm)、Cはモル濃度である。分光測定の前に、溶液をNMP中で1:100の比率で希釈した。
【0263】
結果:A=1.1、したがってC=100×(1.7×10-4)M=0.017M。したがって、N(mol)=0.017M×0.004L=6.98×10-5mol。したがって、全充填度は6.98×10-5mol/0.01g=0.007mol/gであった。粒子の完全な球形を仮定すると、単一粒子のシェル表面積は102,000nmであり、粒子平均体積は3,050,000nmであった。アルキメデス法を用いて計算した粒子密度は2.5g/(1×1,021nm)であり、単一粒子の質量は7.6×10-16gであった。したがって、官能基の充填度は、(7.6×10-16g)×(0.007mol/g)/102,000nm=5.2×10-23mol/nmであり、nm当たり約31アミン/アンモニウムであった。
【0264】
方法2-2つのシンナモイル基で置換された官能性第三級アミンの充填度。ジ-シンナモイルアミンで官能化された0.001gの186nmシリカ粒子を100mlの無水エタノールに浸漬した。327nmの波長で分光光度測定を行った。E(シンナムアルデヒド)=25118cm-1-1。すべての計算を、方法1に記載されているように行った。
【0265】
結果:A=1.5であり、したがって第三級アミンの総数は6.0×10-6モルであり、これは3.0×10-3モル/gである。
【0266】
したがって、官能基の充填度は、nm当たりおよそ13アミン/アンモニウムである。
【0267】
両方の方法は、すべての種類の無機及び有機コア粒子に適用可能であるが、有機粒子(ポリマー粒子)については、架橋ステップ後にFmoc官能化を行う。
【0268】
【表1】
【0269】
上記の表に示されるように、本発明のポリメチルメタクリレート修飾粒子は、無機コア及び有機コアの両方に対して抗菌活性を示した。
【0270】
実施例11:2つのシンナモイル基または第四級アンモニウムを有する第三級アミンによる本発明のシリカ系抗菌性粒子の抗菌活性
【0271】
【表2】
【0272】
表2は、第四級アンモニウム官能基と、第二級シンナモイル基を含む第三級アミンとの間の差異を示す。第四級アンモニウム官能基は、第二級シンナモイル基を含む第三級アミンより細菌増殖を阻害する能力が高いことを示すと結論付けられる。
【0273】
特定の実施形態の前述の例は本発明の一般的な性質を完全に明らかにし、他者が現在の知識を適用することによって、過度の実験を行うことなく、かつ、一般的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を様々な用途のために容易に変更及び/または適合させることができる。したがって、そのような適合及び変更は、開示された実施形態の均等物の意味及び範囲内で理解されるべきであり、理解されるものと意図される。本明細書で使用される表現または用語は、説明のためであって限定を目的とするものではないことを理解されたい。開示された様々な機能を実行するための手段、材料、及びステップは、本発明から逸脱することなく様々な代替形態をとることができる。
【0274】
本発明の範囲及び概念は、以下の特許請求の範囲を参照することによって、より容易に理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17