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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】発射体、発射体の形成方法及び弾薬
(51)【国際特許分類】
   F42B 14/02 20060101AFI20220803BHJP
   F42B 39/08 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
F42B14/02
F42B39/08
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019566355
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 AU2018050527
(87)【国際公開番号】W WO2018218292
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】2017902054
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2017904194
(32)【優先日】2017-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】506329579
【氏名又は名称】テクベンチャー インベストメンツ プロプライエタリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TECHVENTURE INVESTMENTS PTY LTD
【住所又は居所原語表記】35 VINTAGE LANE,THE VINES,WESTERN AUSTRALIA 6069 AUSTRALIA
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン、デイル
【審査官】金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第00740977(US,A)
【文献】特開2011-099670(JP,A)
【文献】米国特許第06237497(US,B1)
【文献】米国特許第03754507(US,A)
【文献】米国特許第04397240(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第00238155(EP,A1)
【文献】米国特許第00642762(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42B 5/10,10/38-10/46,
12/04-12/18,14/02,
39/08-39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銃器の銃身から発砲するための発射体において、
長尺な管状の本体であって、前端及び後端と、前記本体を貫通して延びて前記前端及び前記後端で開口する通路とを有する、本体と、
前記通路内に配置される挿入体と、
前記挿入体と前記後端との間に形成され、銃器の銃身を通じて前記発射体を推進させるための所定量の発射火薬を保持できる前記本体内の空洞と、を備え、
前記空洞の先端側の前記通路は、前記空洞の内径よりも小さい内径を有することにより、前記本体の内部に座部を形成し、
前記挿入体には、前記挿入体が前記後端から前記通路内へ挿入されるときに前記挿入体が前記座部に当接して前記通路を閉じて発射火薬の爆燃により発生されるガスが前記前端から逃げるのを防止するシールを形成するように構成された肩部が設けられる、
発射体。
【請求項2】
請求項記載の発射体において、
前記座部には、前記通路の内径を前記空洞の内径へと移行させるテーパ面が形成される、
発射体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発射体において、
前記挿入体は、前記本体の前記前端を越えて延在して前記発射体の先端を形成するように配置される、
発射体。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の発射体において、
前記挿入体及び前記本体は、協働して前記発射体に(a)弾道チップ又は(b)ホローチップが形成されるように構成される、
発射体。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の発射体において、
前記挿入体とは別個の先端を備え、前記先端は、前記本体の前記前端から前記通路と係合するように構成される、
発射体。
【請求項6】
請求項記載の発射体において、
前記通路、前記先端、及び、前記挿入体は、前記先端が前記通路と係合されて前記挿入体が前記通路内に着座されるときに前記先端と前記挿入体との間に空間が形成されるように相対的に寸法付けられる、
発射体。
【請求項7】
請求項又は記載の発射体において、
前記先端及び前記本体は、前記発射体に弾道チップ又はホローチップのいずれかが形成されるように構成される、
発射体。
【請求項8】
請求項のいずれか1項に記載の発射体において、
前記先端及び前記挿入体は、互いに異なる材料から形成される、
発射体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の発射体において、
前記挿入体には、前記挿入体の後端から前記挿入体の前端へ向けて延びる有底空洞が設けられる、
発射体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の発射体において、
前記本体に形成されて前記本体の前記前端と前記本体の前記後端との間でこれらの内側に位置されるシール構造を備え、前記シール構造は、前記本体の外周面から径方向に突出して、前記銃身の内周面に対する実質的なシールを形成する、
発射体。
【請求項11】
請求項10記載の発射体において、
前記シール構造と前記本体の前記後端との間で前記本体に支持されると共に、前記発射体が前記銃身に沿って移動する間、前記発射体の前記本体と前記銃器の前記銃身とが略同軸に位置合わせされた状態を維持するように前記本体の周囲に配置される弾帯であって、前記弾帯は、該弾帯の両側の軸方向端部間の流体連通を可能にする1つ以上の流路を有する弾帯、
をさらに備える、
発射体。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の発射体を形成する発射体の形成方法において、
1つの発射体の本体に対して、複数の異なる挿入体のうちの1つを使用することにより別個のタイプの前記発射体を形成する、
発射体の形成方法。
【請求項13】
請求項12記載の発射体の形成方法において、
前記複数の異なる挿入体のうちの1つを使用することは、構成、重量、材料、又は前記座部の後方長さが異なる挿入体を使用することを含む、
発射体の形成方法。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか1項に記載の発射体と、
前記空洞内に保持される所定量の発射火薬と、
前記後端を閉じて前記発射火薬を前記空洞内に閉じ込めるベースシールと、
前記ベースシールに支持される雷管と、
を備える、
弾薬。
【請求項15】
請求項1~11のいずれか1項に記載の発射体と、
ベースによって一端でシールされるケースであって、前記ベースが前記発射体の前記後端と対向して前記空洞を閉じる状態で前記ケースは前記発射体の前記本体の一部を覆うように該一部に嵌合される、ケースと、
前記ケースによって前記空洞内に保持される所定量の発射火薬と、
を備える弾薬であって
前記発射体の前記前端は前記ケースから突出する、
弾薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、排他的ではないが、特に、銃器の銃身から発砲するための発射体、発射体の形成方法及び弾薬を開示する。
【背景技術】
【0002】
銃弾は、銃器の銃身から発砲するための発射体の良く知られた形態である。完成弾薬を形成するために、銃弾は、所定量の発射火薬を保持するケースの開放端と摩擦的に或いはさもなければ機械的に係合される。この係合は、ケースの開放端の内側に銃弾の後部を挿入し、ケース首部の張力を使用して又はケースを銃弾の外周上に圧着して、銃弾を発砲までケース内に保持することによって行われる。ケースの反対側の端部には、雷管を着座させる平坦なベース壁が形成される。
【0003】
一般に、銃弾をケース内へ開放端から所定距離にわたって押し込むためにプレス機が使用される。ケースの開放端は、銃弾の一部上にわたって又は銃弾の溝(cannelure)内に圧着されてもよい。ケースの反対側の端部には、雷管を着座させる平坦なベース壁が形成される。
【0004】
弾薬が使用される場合、雷管は、通常、撃針で突き刺すことによって機械的に起爆される。これにより、発射火薬の爆燃が引き起こされる。発射火薬の爆燃は、大量のガスの急速な発生をもたらす。このガスは、発射体をケースから排出して、銃器又は弾薬を発砲する他の銃器の銃身を通じて発射体を推進させる。
【0005】
銃弾は、銃身の外口径に対してシールするのに十分な直径を有する表面の一部である支持面を有し、そうすることで、支持面は、銃身の内面上のライフリングと係合する。支持面とライフリングとの係合は、飛行中安定性及び精度を保つ並びに銃弾の背後のガス圧を維持するのに重要な角運動量を発射体に与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
銃弾又は他の同様な発射体の性能に重要な因子としては、発射体自体の長さ及び重量、銃身を通じて発射体を推進させるために使用される発射火薬の量、支持面の長さ、及び、発砲前のケース内の銃弾の長さが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、これらの因子間にはトレードオフが存在する。例えば、銃弾の質量を増大させると、多くの場合、銃弾の全長を増大させる必要がある。しかしながら、この長さの増大は、ケース内に保持される発射火薬の量を減少させる。これは、銃弾の増大された長さがケース内に収容されるからである。従って、質量が増大する一方で、発射火薬量の減少により、多くの場合、速度の低下及び有効距離の減少がもたらされる。また、発射体の運動エネルギーは、発射体の質量と速度の二乗との積に関連付けられる。従って、速度の低下は、質量増大によりもたらされる運動エネルギーの増大よりも、運動エネルギーの減少に対して大きく影響する。
【0007】
発射体の重量を減らして速度を増大させることは、発射体内に空洞又は中空部を形成することによって達成され得る。しかしながら、これを行なうときには、爆燃発射火薬の圧力が空洞の周囲で発射体の本体を径方向に拡張させる可能性があり、それにより、発射体が銃身の内面を押圧してブレーキとして作用し、その結果、銃口速度が低下するため、注意しなければならない。
【0008】
比較的大きな支持面を有することは、銃身内での発射体の安定性、従って、全体の精度に関して有益である。しかしながら、支持面の増大は、銃身の表面に対する摩擦も増大させ、それにより、熱の発生が増大し、発射体の運動エネルギーが低下する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、銃器の銃身から発砲するための発射体において、
長尺な管状の本体であって、前端及び後端と、本体を貫通して延びて前端で開口する通路とを有する、本体と、
通路内に配置される挿入体と、
挿入体と後端との間にあって、銃器の銃身を通じて発射体を推進させるための所定量の発射火薬を保持できる本体内の空洞と、
本体に形成されると共に、前端と後端との間でこれらの内側に位置されるシール構造であって、該シール構造は本体の周りで周方向に延びて銃身の内周面に対する実質的なシールを形成する、シール構造と、
シール構造と後端との間で本体に支持されると共に、発射体が銃身に沿って移動する間、発射体の本体と銃器の銃身とが略同軸に位置合わせされた状態を維持するように本体の周囲に配置される弾帯であって、弾帯は、該弾帯の両側の軸方向端部間の流体連通を可能にする1つ以上の流路を有する、弾帯と、
を備える発射体、が開示される。
【0010】
第2の態様では、銃器の銃身から発砲するための発射体において、
長尺な管状の本体であって、前端及び後端と、本体を貫通して延びて前端及び後端で開口する通路とを有する、本体と、
通路内に配置される挿入体と、
挿入体と後端との間にあって、銃器の銃身を通じて発射体を推進させるための所定量の発射火薬を保持できる本体内の空洞と、
を備える発射体、が開示される。
【0011】
いずれかの態様の1つの実施形態では、通路が空洞の内径よりも小さい内径を有する。
【0012】
いずれかの態様の1つの実施形態では、発射体は、本体内に座部を備え、挿入体には、座部と向かい合って当接する状態になるように構成された肩部が設けられる。
【0013】
1つの実施形態において、座部には、通路の内径を空洞の内径へと移行させるテーパ面が形成される。
【0014】
いずれかの態様の1つの実施形態において、挿入体は、本体の前端を越えて延在して発射体の先端を形成するように配置される。
【0015】
いずれかの態様の1つの実施形態において、挿入体及び本体は、協働して発射体に(a)弾道チップ又は(b)ホローチップが形成されるように構成される。
【0016】
いずれかの態様の他の実施形態では、発射体は、挿入体とは別個の先端を備え、先端は、本体の前端から通路と係合するように構成される。
【0017】
他の実施形態において、通路、先端、及び、挿入体は、先端が通路と係合されて挿入体が通路内に着座されるときに先端と挿入体との間に空間又は空洞が形成されるように相対的に寸法付けられてもよい。そのような実施形態において、先端及び本体は、発射体に弾道チップ又はホローチップのいずれかが形成されるように構成されてもよい。加えて、先端及び挿入体は、互いに異なる材料から形成されてもよい。
【0018】
また、いずれかの態様の一実施形態では、挿入体及び本体は、互いに異なる材料から形成されてもよい。
【0019】
第3の態様では、銃器の銃身から発砲するための弾薬用の発射体において、
前端と、軸方向に整列された後端と、前端と後端との間で延びる内部空洞とを有し、空洞は発射体を推進させるための所定量の発射火薬を保持できる、長尺な本体と、
本体に形成されると共に、前端と後端との間でこれらの内側に位置されるシール構造であって、該シール構造は本体の外周面から径方向に突出して銃身の内周面に対する実質的なシールを形成する、シール構造と、
シール構造と後端との間で本体に支持される弾帯であって、本体は、弾帯から後端へと延びる後部を有し、弾帯は、本体の周りで周方向に延びると共に、銃身の内周面の少なくとも一部と接触するように構成された最大外径を有する外周面を有する、弾帯と、
弾帯を横切って単一のシールと本体の後部との間の流体連通を可能にする1つ以上の流路と、
を備える発射体、が開示される。
【0020】
前記態様のいずれかの一実施形態において、弾帯は、本体の長手方向軸の周りで延在する1つ以上のリング状構造体を備え、流路は、リング状構造体の外周面における1つ以上の隙間又は凹部である。
【0021】
1つの実施形態において、弾帯は、長手方向軸の周りにおいて最大外半径と最小外半径との間で変化する外半径を有し、最小外半径は、最大外半径よりも小さいと共に、弾帯に直ぐ隣り合う本体の外半径以上である。
【0022】
他の実施形態において、弾帯は、本体の長手方向軸の周りで延在する1つ以上のリング状構造体を備え、流路は、弾帯の外周面の径方向内側で弾帯に軸方向に形成される孔である。
【0023】
さらに他の実施形態において、弾帯は、(a)ローレット加工された外面、(b)本体に沿って延在する複数のリブ、及び、(c)本体上の複数の突起のうちの少なくとも1つを備える。
【0024】
任意の態様の1つの実施形態では、シール構造と弾帯との間の本体の区画部は、連続する外周面を有すると共に、区画部の全長にわたって本体を通じた径方向での流体連通に対するバリアを形成する。
【0025】
第1又は第2の態様の一実施形態において、本体は、弾帯から後端へと延びる後部を有し、後部は、構造的に一体な構造体と後端との間の流体連通を可能にするように構成される。
【0026】
第3の態様の一実施形態において、発射体の本体の後部の少なくとも一部は、減少する外径を伴って形成される。
【0027】
任意の態様の1つの実施形態において、後端に通じる空洞の部分は、次第に増大する内径を有する。
【0028】
第2の態様の一実施形態において、発射体は、本体に形成されて前端と後端との間でこれらの内側に位置されるシール構造を備え、シール構造は、本体の外周面から径方向に突出して、銃身の内周面に対する実質的なシールを形成する。
【0029】
任意の態様の1つの実施形態では、本体及びシール構造は、単一の一体ユニットとして形成され、シール構造は、本体に対して軸方向に移動しないように固定される。
【0030】
任意の態様の1つの実施形態では、本体及び弾帯は、単一の一体ユニットとして形成され、シール構造は、本体に対して軸方向に移動しないように固定される。
【0031】
任意の態様の1つの実施形態では、本体、シール構造、及び、弾帯は、単一の一体ユニットとして形成され、シール構造は、本体に対して軸方向に移動しないように固定される。
【0032】
第4の態様では、
第1、第2、又は、第3の態様のうちのいずれか1つに係る発射体と、
空洞内に保持される所定量の発射火薬と、
後端を閉じて発射火薬を空洞内に閉じ込めるベースシールと、
ベースシールに支持される雷管と、
を備える弾薬、が開示される。
【0033】
第5の態様では、
第1、第2、又は、第3の態様のうちのいずれか1つに係る発射体と、
ベースによって一端でシールされるケースであって、ベースが発射体の後端と対向して空洞を閉じる状態でケースは発射体の本体の一部を覆うように該一部に嵌合される、ケースと、
ケースによって空洞内に保持される所定量の発射火薬と、
を備え、発射体の前端がケースから突出する、
弾薬、が開示される。
【0034】
弾薬の1つの実施形態において、ケース及び発射体の本体は、ケースがシール構造を少なくとも部分的に覆うように位置されるように相対的に寸法付けられる。
【0035】
弾薬の1つの実施形態において、発射火薬の量は、空洞の略全体に発射火薬が装填される量である。
【0036】
弾薬の1つの実施形態において、発射体及びケースは、発射体の本体の後端とケースのベースとの間に空間が形成されるように相対的に寸法付けられ、発射火薬は、空洞の内面とケースのベースとの間に保持される。
【0037】
弾薬の1つの実施形態において、発射火薬は、該発射火薬の少なくとも一部が空洞内に保持されるように空間の容積よりも大きい量で設けられる。
【0038】
弾薬の1つの実施形態において、発射火薬は、空間及び空洞を略満たすような量で設けられる。
【0039】
上記に記載される発射体及び対応する弾薬の範囲内に入り得る任意の他の形態が存在するが、ここでは、以下の適切な図面を参照して、特定の実施形態が、単なる一例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、銃器の銃身内にある開示される発射体の第1の態様の一実施形態の概略図である。
図2図2は、図1に示される発射体の第1の実施形態の縦端面図である。
図3図3は、図1に示される発射体の第1の実施形態の断面A-Aの図である。
図4図4は、第1の実施形態に示されるシール構造とは異なるシール構造を組み込む開示される発射体の第2の実施形態の前部の概略図である。
図5図5は、図4に示される発射体の前部の断面図である。
図6a図6aは、開示される発射体の第3の実施形態の弾帯を貫く断面図の概略図である。
図6b図6bは、開示される発射体の実施形態に適用可能な弾帯の、他の構成を示す図である。
図6c図6cは、開示される発射体の実施形態に適用可能な弾帯の、他の構成を示す図である。
図6d図6dは、開示される発射体の実施形態に適用可能な弾帯の、他の構成を示す図である。
図7図7は、開示される発射体の更なる実施形態の弾帯を貫く断面図の概略図である。
図8図8は、発射体の第1の実施形態における弾帯の形状を示す図2に示される詳細Bの図である。
図9図9は、第1の実施形態の形状とは他の形状の弾帯を示す開示される発射体の第5の実施形態の断面図である。
図10図10は、ケースと発射体の一実施形態とを組み込む弾薬の1つの形態の断面図である。
図11図11は、図10に示されるケースとは異なるケースと開示される発射体の第7の実施形態とを組み込む弾薬の他の形態の断面図である。
図12図12は、モジュール発射体の設計コンセプトを容易にする挿入体を組み込む開示される発射体の第2の態様の概略図である。
図13図13は、図12に示される発射体の他の実施形態を形成するために使用されてもよい複数の異なる互いに独立した設計変形例を示す挿入体の概略図である。
図14図14は、図12に示される発射体の他の実施形態で使用されてもよい発射体の本体の概略図である。
図15図15は、図12に示される発射体の他の実施形態を形成するために使用されてもよい挿入体及び関連する発射体の更なる形態の概略図である。
図16図16は、モジュール化概念を組み入れる開示される発射体の他の態様の一般化された形態の概略図である。
図17図17は、モジュール化概念を組み入れる開示される発射体に利用できる様々な設計オプションを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1図3は、銃器(図示せず)の銃身12から発砲するためのここで開示される発射体10の第1の態様又は形態の一実施形態を描く。発射体10は、前端16と、軸方向に整列される後端18と、前端15と後端18との間で延びる内部空洞20とを伴う長尺な本体14を有する。空洞20は、発射体10を推進させるための所定量の発射火薬を保持することができる。発射体10のこの実施形態は非爆発性弾薬用である。すなわち、この実施形態の発射体10は、発射体によって運ばれる装薬を標的に対して爆発させるのではなく、運動エネルギーに依存して、標的に対して効果をもたらす。
【0042】
本体14は、空洞20に発射火薬を装填できるようにするべく後端18が開口している。しかしながら、後述するように、使用前に、後端18は、雷管を有するベースシール又はキャップによって、或いは、他の実施形態では、本体14の長さの一部を受容するケースによって直接に閉じられる。
【0043】
本体14には、前端16と後端18との間でこれらの内側に位置されてシール構造22が形成される。シール構造22は、本体14の外周面24から径方向に突出して、銃身12の内周面26に対する実質的なシールを形成する。シール構造22は、発射体に対して回転及び角運動量を与えることにより飛行安定性をもたらすべく銃身に形成されるライフリングと係合するようになっている。また、これにより、飛行安定性をもたらすためのフィン又は他の外面の必要性も回避される。
【0044】
本体14には、シール構造22と後端18との間で弾帯28が支持される。弾帯28は、発射体が銃身に沿って移動する間、発射体10の本体14と銃器の銃身12とのほぼ同軸的に位置が合った状態を維持するように本体14の周囲に配置される。これは、発射体の本体の長手方向軸32の周りで周方向に弾帯を配置することによって達成され得る。弾帯は、図1図3に示されるようなリング状構造29を含む多くの異なる形状を成してもよい。しかしながら、後述される他の形状は、リブ、ローレット加工された表面、又は、複数の突起を含んでもよい。
【0045】
この実施形態における弾帯28は、弾帯28から後端18へと延びる後部30が本体14に形成されるように後端18の内側にある。弾帯28の少なくとも幾つかの部分34は、周方向に離間したポイントで内周面26と接触するように配置される外周面36を有する。これは、発射体と銃身との同軸的な位置合わせを維持するのに役立つと共に、弾帯がライフリングと係合して発射体10に回転を与えるという結果ももたらし得る。
【0046】
弾帯28、従って発射体10には、シール構造22と後端18との間の流体連通を可能にする1つ以上の流路38も形成される。これにより、発射体が銃身12に沿って移動している間、発射体の本体の内側領域と外側領域との間で圧力を均一にすることができる。従って、後端18からシール構造22の後縁部に至るまで、発射体の本体内の発射火薬の爆燃により発生されるガス圧を発射体の本体内から導くことができる。
【0047】
また、当然ながら、爆燃ガスは、本体の後部30及び弾帯28も流れる。従って、発射体10が銃器から発砲されて銃身12に沿って移動する際には、空洞20内の発射火薬の爆燃により発生されるガスは、後端18から後部30を通って流路38を通りシール構造22まで流れることができる。従って、シール構造22の後方では空洞20の内側及び外側で圧力が銃身12内において均一にされる。
【0048】
この意義とは、シール構造22の背後の銃身12内で空洞20の内側と外側との間に実質的な圧力差が存在しないことである。従って、実質的な圧力差を抑える必要はないため、空洞20が設けられる本体14の部分に非常に薄い壁を形成することができる。これは、結果として、発射体10の重量を非常に軽量にできると共に発射火薬を保持するためのより大きな容積を空洞20に与えることができる能力をもたらす。両方の要因は、発射体10の銃口速度に対して有利な影響を及ぼす。
【0049】
この実施形態において、シール構造22は、発射体10及び本体14の長手方向軸32の周りで完全に(すなわち、長手方向軸32の全周にわたって)延在する単一のシール帯40の形態を成す。シール構造22は、後縁部又は圧力縁部42と、反対側の前縁部44とを有する。この場合、シール構造22は単一の帯40の形態を成すため、帯40の軸方向幅は、縁部42、44間の軸方向距離と同じである。
【0050】
しかしながら、シール構造22の他の実施形態も可能である。例えば、図4及び図5は、近接して離間される複数のシール帯40aの形態を成す他のシール構造22aを示す。シール構造22aは、圧力縁部42aと前縁部44aとを有する。これらの縁部は異なるシール帯40aにある。各シール帯40aは、単一のシール帯40よりも小さい軸方向長さを有する。それにもかかわらず、シール構造22aの軸方向長さをシール構造22のそれと同じにすることができる。シール構造22を複数の比較的狭い幅のシールとして形成する利点は、シール構造22aにおける全接触表面積がシール構造22におけるそれよりも小さく、それにより、銃身12との摩擦が低減するという点である。
【0051】
図1図3に示される発射体10の実施形態において、空洞20の両側で均圧化を可能にする流路38は、弾帯28の外周面36の隙間又は凹部によって設けられ又はこれらの隙間又は凹部として形成される。この実施形態において、弾帯28は、シール構造22に類似すると見なされ得るが、軸方向で反対側にある縁部間で延びる隙間又は凹部が外周面に形成されている。
【0052】
発射体10の実施形態は、成形及び機械加工を含むがこれらに限定されない多くの異なる製造技術によって形成され得る。発射体10が成形プロセスによって形成される場合には、必要とされる隙間38の位置にコアピースを設けることによって隙間又は凹部38が形成されてもよい。発射体10が機械加工プロセスによって形成される場合には、弾帯を構成する材料の周方向帯から材料を切削することによって隙間38を作製することができる。隙間又は凹部38を形成する方法は、ここで開示される発射体の様々な実施形態にとって重要ではない。
【0053】
シール構造22は、単一構造又は一体部品構造として本体14と一体に形成されてもよい。また、弾帯28も、単一構造又は一体部品構造として本体14と一体に形成されてもよい。従って、ここで開示される発射体10の実施形態は、単一の一体ユニットとして形成される、本体14、シール構造22、及び、弾帯28を備えてもよい。これは、同じ材料からの発射体10の本体14、シール構造22、及び、弾帯28の製造を容易にする。そのような実施形態において、シール22は、本体14に対して移動しないように固定される。同様に、該弾帯は、本体14に対して移動しないように固定される。
【0054】
図3から最も良く分かるように、この実施形態において、弾帯28は、長手方向軸の周りにおいて最大半径R1と最小半径R2との間で変化する外径を有し、最大半径R1及び最小半径R2はいずれも長手方向軸32から測定される。最大半径R1は、弾帯の表面34が銃身12の内周面26と接触するようになっている。最小半径R2は、弾帯と直ぐ隣り合う本体の外表面上における本体14の半径以上である。
【0055】
ここで例示される弾帯では、半径R1、R2間に段差変化がある。従って、互いに対向する平面46間に隙間38が形成される。
【0056】
弾帯28は、N個のセグメント(すなわち、部分34がセグメントを構成する)から構成されていると見なされる。ここで、Nは2以上の整数である。N個のセグメントは、同じ数の隙間又は凹部38によって離間されている。各セクターは、最大半径R1を有し、最大円弧角X°にわたって延在する。ここで、X°<360/N°である。1つの実施形態において、各セグメントは、同じ円弧角X°にわたって延びると共に、それぞれの隙間38によって等間隔で離間される。隙間38は、発射火薬の爆燃により発生されるガス圧を後端18からシール構造へと伝えることができる流路を形成すると共に、該流路又は該流路の少なくとも一部と見なされ得る。従って、空洞20の実質的な長さと一致する本体14の部分は、それが銃身に沿って移動する際に空洞20の内外から、ほぼ等しいガス圧に晒される。
【0057】
2つ以上の周方向に等間隔で離間される位置で弾帯28を銃身12の内周面26に接触させることは、発射体10が銃身12を通じて移動する際に該発射体10の安定性に役立ち、従って、精度を維持するのに役立つ。
【0058】
図2を参照すると、弾帯28は、シール構造22の後縁部42と対向する前縁部45を有する。後縁部42及び前縁部45は、発射体10の弾直径以上の距離だけ軸方向に離間されてもよい。
【0059】
便宜上、縁部42、45間の本体14の領域を「区画部(bounded portion)」と呼ぶ。本体14の区画部は、連続する外周面47を有する。また、区画部は、空洞20の一部も取り囲む。連続する外周面を伴う区画部を形成することにより、空洞20内で爆燃する発射火薬からのガスが本体14の区画部を径方向で通過して空洞20の内部と外部との間に均圧化をもたらすことができない。空洞20の内側と、銃身12の内周面26と本体14及び区画部の外周面との間の領域との間の均圧化は、流路38を通じた流体連通のみによる。
【0060】
前述したように、弾帯28の他の形態も可能である。例えば、図6aは、弾帯28の一部が半径R3を有するように弾帯28の外周面36の半径が滑らかな又は正弦波状の態様で変化する弾帯28aの他の形態を示している。ここで、R1>R3>R2である。
【0061】
図6bは、それぞれが長手方向軸32とほぼ整列して本体14に沿って延びる複数のリブ31a又はリブ31bとしての2つの別の形態の弾帯28b1、28b2を示す。リブ31aは弾帯28b1の全長にわたって延びる。しかしながら、弾帯28b2において、リブ31b2は、リブ31b1よりも短い長さを有し、離間したラインを成して配置される。長手方向軸32と整列して延びるリブ31a/31bに代わる更なる変形例において、リブは、長手方向軸32の周りで螺旋経路を辿ってもよい。これは、銃器の銃身を通じた移動中及び銃身から出た後のいずれにおいても発射体に角運動量を与えるのに役立つ。リブ31a/31b間の流路38は、後端18からシール帯への圧力伝達を容易にし、従って、空洞20の実質的な長さにわたる本体全域の均圧化を容易にする。
【0062】
図6cは、本体14の外周面47上に形成される複数の突起33から構成される弾帯28cの一形態を示す。突起33は、発射体を銃身18内で同軸的に支持するように構成される。突起33には、銃身12と接触する凸状に湾曲した又はドーム形の自由端で形成されてもよい。突起33間には、爆燃ガスのための複数の流体流路38をもたらす複数の隙間が形成される。
【0063】
図6dは、本体14の外周面47がローレット35である弾帯28dの他の形態を描く。ローレットは、先の実施形態に関連して前述した圧力伝達及び均圧化を容易にするべく異なる方向に複数の流路38を形成するように配置される。
【0064】
図7は、他の形態の弾帯28bを示す。ここで、弾帯28eは、軸32周りの全周にわたって半径R1の外面36を有する。従って、弾帯28eは、360°全体にわたって内周面36と接触する。流路38は、弾帯28eを軸方向に貫通して形成される孔48によってもたらされる。孔48は、最大半径R1の内側に位置する。
【0065】
図2の詳細Bに示されるように、1つの実施形態の弾帯28は、その軸方向長さの全体にわたってその外周面36が一定の半径R1を伴って形成される。これは図8にも示される。しかしながら、他の実施形態において、外周面36は、長手方向軸32から軸方向で測定した場合に変化する半径を伴って形成されてもよい。これは、図9に最も明確に示されている。ここで、弾帯28は、軸方向で湾曲状の輪郭を有する外周面36を有する。従って、外面36は、長手方向軸からのその径方向の広がりが、最大半径R1及び最小半径R2の2つの間で変化する。これは、弾帯と銃身12との間に最小接触面積をもたらし、それにより、安定性の利点を維持しつつ摩擦を低減する。
【0066】
異なる実施形態又は形態の弾帯は、本体14に沿って同じ又は異なる軸方向長さを有してもよい。例えば、図1及び図2のリング状の弾帯28は、図6b~図6dの弾帯28b1、28b2、28c、28dと比べて相対的に小さい(縁部47から縁部51までの)軸方向長さを有する。
【0067】
図2に戻ると、本体14の後部30は、弾帯28から後端18へ向かう方向で最大直径D3から最小直径D4へと次第に減少する外径を伴って形成される。これは、「ボートテール」として当該技術分野において知られるものをもたらす。ボートテールは、乱流を減らし、それにより、発射体10の空気力学を向上させる。最大直径D3は、シール構造22と弾帯28との間の発射体の本体14の直径に等しくてもよい。この直径は、銃身12の直径よりも小さい。
【0068】
しかしながら、後部30の直径が前述した態様で減少することを発射体10の他の実施形態は必要としないことが理解されるべきである。後部30は、その軸方向長さの全体にわたって一定である直径を有することができる。
【0069】
図2にとどまると、後端18に通じる空洞20の部分50は、次第に増大する内径を有する。特に、部分50は、空洞20の長さの大部分の直径と一致する最小直径D5を有するが、後端18の最大直径D6まで徐々に増大する。空洞20の直径にこの増大は、空洞20に発射火薬を装填するプロセスを容易にし、また、発射体質量の減少に役立ち、空洞容積(従って、空洞内に保持され得る発射火薬の全体の量)を増大させると共に、発射体の質量中心をさらに前方へ移動させる。
【0070】
発射体10は、後端18を通じて所定量の発射火薬を空洞20内に装填し、その後、雷管を備えるベースシール又はキャップを用いて後端18を閉じることによって、弾薬へと形成され得る。この場合、弾薬はケースレスである。これについては、図14に関連して以下でさらに詳しく説明する。
【0071】
或いは、発射体10を図10に示されるようなケース54と係合させることによって、発射体10は、ケース付き弾薬52へと形成され得る。発射体10の空洞20には発射火薬56が装填される。発射体10の後端18は、実質上、ケース54によってシールされ又は閉じられる。ケース54は、雷管を受容するための凹部60が形成されたベース58を有する。雷管60から空洞20内への火炎の伝搬を可能にして発射火薬56の爆燃を引き起こすべく、点火口62が凹部60からケース54の内部へと延在する。
【0072】
この実施形態において、ケース54は、弾帯28からシール構造22へと延びるほぼ一定の内径の部分64を有する。ベース58から離れた部分64の端部は、弾帯22上にわたって部分的に延在する。部分64とベース58との間のケース54の内部は、発射体の本体14の後部30の直径の変化にほぼ追従するべく直径が減少するように先細にされる。
【0073】
弾薬52において、シール構造22及び弾帯28は、発射体の本体14が挿入されるケース54の首部によって発射体の本体14が強固に把持されるようにケース58に対して配置されると共に、その長手方向軸32がケース54の長手方向軸と一致している。これは図10に示されており、この図において、ケース54の部分64の長さは、シール構造22及び弾帯28の対向する周方向縁部間の距離よりも大きい。
【0074】
しかしながら、ケース54が単一の弾帯28上にわたってのみ延在するように部分64の長さが前述の距離よりも短い場合、発射体は、ケースによって適切に把持されない場合があり、及び/又は、ケースと同心的に着座されず、それにより、精度の問題を引き起こす場合がある。これは、例えば、首部付きのケース54aと共に発射体を使用して、図11に示されるようなケース付き弾薬52aを形成するときに生じ得る。
【0075】
ケース付き弾薬52aは、発射体が着座される首部55を伴うケース54aを有すること及び第2の弾帯28’が付加されていることによって、ケース付き弾薬52とは異なる。弾帯28’は、弾帯28とシール構造22との間に位置される。より詳しくは、第2の弾帯28’はケース54aによって接触される。また、この実施形態に特有ではない又は限定されないが、シール構造22は、先の実施形態に示されるような「ツイン」肩部シール構造22ではなく、前端/先端16の後縁部にあって該後縁部を形成する段付きの肩部として形成される。
【0076】
大まかに言えば、ケース付き弾薬の場合、ケース及び発射体は、少なくとも2つの軸方向に離間された位置で発射体10がケース52/52aの内面と接触するように配置され、この場合、軸方向に離間されたこれらの位置のうちの1つがシール構造22にある。例えば、これは、単一の弾帯28とシール構造22とを設けることにより図10に示されるように達成され得る、又は、2つの軸方向に離間される弾帯28、28’が発射体10に設けられ、いずれの弾帯もケース54a内にあるが、シール構造22及び中間弾帯28’が首部55でケース54aの内面と接触する図11に示される構造により達成され得る。弾帯28は、ケース内にあるが、発砲前には首部55の外側に位置する。発射体10とケース54aとの間の接触は、シール構造22及び弾帯28’と一致する2つの軸方向に離間された位置で行なわれ、発射体10が強固に把持されてケース54a内に同心的に位置されるようにする。発砲時、発射体10がケース54aから放出され、このプロセス中、弾帯28が首部55の内面と接触し得る。いずれにしても、弾帯28は銃身12の内面26と接触する。
【0077】
先の2つの混合と見なすことができるさらに他の変形例は、発射体10が2つ以上の軸方向に離間された弾帯とシール構造とを有する場合であり、これらの弾帯及びシール構造の全てがケースの内面と接触する。
【0078】
発射体10の前述の実施形態のそれぞれは、雷管を伴うベースシール又はエンドキャップを設けることによってスタンドアロン弾薬として形成され得る、或いは、発射体10がケース又はカートリッジ54と嵌合されるケース付き弾薬52の一部として設けられ得る。ケース/カートリッジ54は、任意の従来の銃器のブリーチと適合するように構成され得る。このように、発射体をブリーチに適合するように構成されたケース54と嵌合させるだけで、同じ発射体10を、異なるブリーチ構成を有する銃器に使用することができる。
【0079】
後部30の長さはD3の40%以上である。1つの実施形態では、後部30の長さが0.4D3~D3程度となり得る。そのような長さは、ボートテールを形成するのに十分な長さであり、及び/又は、対応する弾薬のケース付きバージョンにおいて発射体10をケース54の内面に隣接するその後端18を用いて着座させることができるようにするのに十分な長さを与える。また、後部30を設けることは、ボートテールを依然として維持しつつ或いはケース54の内面に隣接する後端18を着座させることができる能力を依然として維持しつつ、発射体の全長を増大させる。長さの増大は、結果として、より多くの発射火薬を保持するためのより大きな空洞20の容積をもたらすと共に、シール構造22の後縁部と最も後側の弾帯の前縁部との間により大きな間隔をもたらして、銃身内にある状態の発射体の安定性を向上させる。シール構造22の後縁部と最も後側の弾帯28の前縁部との間の間隔は、少なくともD3程度であってもよいが、1.5×D3よりも大きく、最大で3×D3であってもよい。
【0080】
図12は、モジュール化の概念を例示するために変形された図1に示される発射体の第1の形態の実施形態の図である。図12に示される発射体10iは、図1に示される実施形態の場合と同じ本体14、シール構造22、及び、弾帯28を有するが、加えて、前端16に通路100が形成される。通路100は、空洞20の延長部として形成され、前端16の外面で開口している。挿入体102が通路100内に着座されて通路100を閉じる。
【0081】
当業者であれば分かるように、発射体10iの全重量、弾道特性、貫通特性、及び、銃口速度は、挿入体の形状、構成、重量、及び、材料を変えることによって、本体14の形状及び構成を維持しつつ変更され得る。すなわち、単一の形状及び構成である本体は、異なるタイプの挿入体を使用することによって異なる性能の発射体をもたらすことができる。これは、1つの発射体の本体を使用して異なる挿入体の使用により別個のタイプの発射体をもたらすことができるモジュール化概念を生じさせる。
【0082】
また、当業者に明らかなように、モジュール化概念は、前述の弾帯も組み込む発射体に限定されない。
【0083】
従って、最も一般的な意味で、モジュール化概念は、銃器の銃身から発砲するための発射体によって表現され、その場合、発射体は、
・長尺な管状の本体14であって、前端16及び後端18と、本体14を貫通して延びて前端16で開口する通路100とを有する、本体14と、
・通路100内に配置される挿入体102と、
・挿入体と後端との間にあって、銃器の銃身12を通じて発射体10iを推進させるための所定量の発射火薬を保持できる本体内の空洞20と、
を有する。
【0084】
通路100は、前端16で開口する前側端部104と、挿入体102がないときに空洞20に通じる後側端部106とを有する。通路100は、空洞20の内径DCよりも小さい内径DPを有する。すなわち、DP<DCである。また、本体14には、挿入体102が後端16から通路100内へ挿入されるときに挿入体102が当接する座部108も形成される。この目的のため、挿入体102には相補的形状の肩部110が形成される。このように、挿入体102には、座部108と対面接触状態又は当接状態になるように構成される肩部110が設けられる。この対面接触/当接は2つの方法で生じ得る。1つの方法は、製造中に、肩部110が座部108と当接するまで挿入体102が後端18から通路100内に押し込まれる場合である。後述する第2の方法は、挿入体102が通路100内に部分的にのみ挿入され、それにより、座部108と肩部110との間に空間又は隙間が残る場合である。この空間は、その後、肩部110が座部108と当接するまで挿入体102を本体14に対して前方へ移動させるためのガス圧を発生させる発射火薬の起爆時に閉じる。
【0085】
この実施形態における座部108は、空洞20の内径DCが通路100の内径DPへと移行する本体14の移行領域112に形成される。移行領域112は直角段部として形成され得る。或いは、添付の図に示されるように、移行領域112は、内径をDCからDPへと徐々に連続的に減少させるようにテーパ状に又は傾斜状に形成される。テーパは、爆燃する発射火薬の圧力により挿入体102に与えられる力がそれぞれの構成要素に対して選択された材料の機械的強度を超えることがないように選択される。これは、(a)挿入体102が本体14の前端16から放出されるというリスク、及び、(b)前端16付近の本体14の外側部分及び挿入体102が力によって歪められるというリスクを防止する又は少なくとも最小限に抑える。
【0086】
この実施形態において、直径DPは、前端16から移行領域112の開始部まで一定である。直径DCは、移行領域112の最内端から(実際には、挿入体102の後端から)後端18又は後端18付近までの長さにわたって一定である。図12に示される実施形態では、図1図3の実施形態の場合と同様に、空洞20の内径がD5(DCと同じである)から本体の後端18のD6まで次第に増大する。
【0087】
挿入体102及び本体14は、挿入体102が通路100内に着座されるときに挿入体が通路100を閉じて発射火薬の爆燃により発生されるガスが前端16から逃げるのを防止するシールを形成するように構成される。
【0088】
図12に示される実施形態において、挿入体102は、本体14の前端16を越えて延びて発射体10iの先端114を形成するように構成され或いは配置される。さらに、挿入体102及び本体14は、協働して高い弾道係数の先端を発射体10iに形成するように相対的に構成される。
【0089】
ここで開示される発射体10iの実施形態の特徴は、同じ本体14を異なる構成、重量の挿入体102と又は様々な材料から形成される挿入体102と嵌合させることができることである。例えば、図12に示されるような同じ形状及び構成の挿入体102を、本体14を形成する材料とは全く無関係に、プラスチック材料、複合材料、スチール、銅、又は、鉛等から形成することができる。そのため、挿入体102の重量、従って、発射体10iの全重量及び/又は重量配分は、挿入体102を形成する材料の適切な選択によって変えられ得る。空洞20の容積、従って、発射火薬の量は、挿入体の全体の構成が同じである場合には同じままである。
【0090】
重量を変えることに加えて、挿入体102を形成する材料を変えると、物体への貫通度合いを変えることができる。例えば、防弾物を貫く特性を有する材料から挿入体102を形成することができる。
【0091】
挿入体102の変更可能な部分としては、その他に、座部108のその後方長さがある。この長さを増大すると、空洞の容積が減少し、発射体の全重量及びその重量配分が増大する。
【0092】
図13に示される変形例において、挿入体102と同じ一般的形状及び長さを有する挿入体102aには、その後端からその前端へ向けて延びる有底空洞116がオプションとして設けられる。有底空洞116は、より多くの発射火薬を保持するために付加的な容積を空洞20に与えると同時に挿入体102a及び発射体10iの全重量を減少させるという効果を有する。
【0093】
図13の挿入体102aは、オプションである溝118を伴ってさらに示され、この溝118内には本体14の前端16を圧着できる。更なる他の実施形態において、挿入体102aには、仮想線120により示されるホローチップ(hollow tip)を設けることができ、これにより、発射体がホローチップ発射体に変換される。
【0094】
発射体10iのための挿入体102/102aには、(a)有底空洞116、(b)溝118、及び、(c)ホローチップ120のうちのいずれも設けない、これらのうちの1つを設ける、又は、これらのうちの2つ以上の組み合わせを設けることができる。図14は、ここでは10xとして示される発射体の他の実施形態を示す。発射体10iの特徴を示すために使用される参照数字は、発射体10xの同じ又は同様の特徴を示すために使用されるが、添え字「i」が添え字「x」に置き換えられている。
【0095】
発射体10xは、対応する本体14xの前端16xの構成のみが発射体10iと異なる。発射体10xに関しては、前端16xが平坦化される。他のあらゆる点において、発射体の本体14xは、発射体の本体14と同じである。発射体10iの特徴と機能が同じである発射体10xの特徴は、同じ参照数字を用いて示される。
【0096】
発射体10xは、図12及び図13のそれぞれに示される挿入体と同様の挿入体102又は挿入体102aと嵌合されてもよい。しかしながら、更なる変形例において、発射体10xには、後側端部106又はその付近で通路100x内に着座して通路100xを閉じる挿入体102xが設けられてもよい。しかしながら、挿入体102xの長さは、通路100xの長さ未満であり、本体14xの前端16xを越えて延びない。これにより、発射体の本体14xには、平坦状の前端16xで開口する中空部又は凹部が残存する。
【0097】
任意選択的に、通路100xによりもたらされる中空部内又は凹部内に別個の先端122を挿入することができる。先端122は前端16xから挿入される。先端122は、空気力学的な頭部124を有するように形成可能であり、従って、発射体10xに対して高い弾道係数をもたらすことができる。頭部124と同軸なスタブ126が通路100x内に摩擦嵌合する。この目的のため、スタブ126には、前端16xから通路100xの内面に切り込む複数のフィン又はウェブ128を形成することもできる。
【0098】
頭部124とスタブ126との間に段付き肩部130が形成される。環状の平坦面132が肩部130の一部として形成される。先端122が本体14xの前端16xから通路100x内に挿入されると、平坦面132が前端16xの平坦面と当接する。
【0099】
挿入体102x及び先端122は、組み付けた状態の発射体10xでは、それらの間に隙間が存在するように構成され得る。或いは、挿入体102x及び先端122は、組み付けた状態の発射体10xにおいて、互いに当接するように相対的に構成され得る。
【0100】
挿入体102xには、随意に、図13に示される空洞116のような空洞が形成されてもよい。先端122には、随意に、図13に示されるホローチップ130のようなホローチップが形成されてもよい。先端122及び挿入体102xを同じ材料から形成してもよいし又は類似しない材料から形成してもよい。
【0101】
前述したように、挿入体102により促進される発射体のモジュール概念は、図1図15に示されるのと同じ構成の弾帯28又は実際には本体14を有する発射体と共に使用することに限定されない。図16及び図17は、他の形態の開示される発射体を示す。
【0102】
図16は、本体14yと挿入体とを有する発射体10yを示す。挿入体は、図12図15と関連して前述した挿入体102、102a、102xと同じ形状を成してもよい。本体14yは、空洞20と、先の実施形態と同様の挿入体を受容するための同軸な通路100とを有する。しかしながら、本体14yは、図1に示されるシール構造22の前縁部44に相当する明確な又は画定された前縁部を何ら伴うことなく前端16yから連続的に且つ滑らかに延びる支持面の形態を成すシール構造22を有する。加えて、本体14yの空洞20が所定量の発射火薬を保持するために使用されてもよいが、他の変形例では、空洞20及び通路100を全体的に占める形状及び形態の挿入体102を形成することができる。これは、肩部110の後方にある挿入体102の延在部として、仮想線140によって示される。延在部は、本体14yの後端18yと面一である。
【0103】
図17は、本体14zと挿入体102とを有する発射体10zを描く。挿入体102は、明細書中で前述した挿入体102、102a、102xのうちのいずれか1つの形態を成すことができる。本体14zは、前端16と、所定量の発射火薬を保持するための空洞20と、挿入体102を受けるための通路100と、前方シール構造22zと、後端18zに又はその付近にある構造体142とを有する。また、本体14zは、以下のオプションとしての特徴も伴って描かれる:
・シール構造22zと第1の構造体142との間に位置される第2の構造体144
・孔144、144a
・後部50z。
【0104】
一般的な意味で、発射体10zは、
長尺な管状の本体14zであって、前端16及び後端18zと、本体14を貫通して延びて前端で開口する通路100とを有する、本体14zと、
通路100内に配置される挿入体102と、
挿入体102と後端18zとの間にあって、銃器の銃身を通じて発射体10zを推進させるための所定量の発射火薬を保持できる本体14内の空洞20と、
本体14に形成されると共に、前端16と後端18との間でこれらの内側に位置されるシール構造22zであって、該シール構造は本体の周りで周方向に延在して銃身の内周面に対する実質的なシールを形成する、シール構造22zと、
シール構造22zと後端18との間で本体に支持されると共に、発射体が銃身に沿って移動する間、発射体の本体と銃器の銃身とが略同軸に位置合わせされた状態を維持するように本体の周囲に配置される構造体142と、
を有する。後述するように、構造体142は、両側の軸方向端部間で流体連通を可能にする1つ以上の流路を有する弾帯の形態を成してもよい。或いは、空洞20の内側と外側との間で均圧化をもたらすことが望ましい場合、発射体10zに孔144、144aを任意選択的に設けることができる。
【0105】
先に示唆されたように、構造体142は、発射体10zの安定性を、該発射体が銃器の銃身12に沿って移動する際、維持するように配置される。これは、銃器の銃身と接触する或いはさもなければ係合するように構成された外径を伴って構造体142を形成することによって達成される。従って、発射体10zが銃身12を通じて移動する際、シール構造22z及び構造体142の離れた位置において本体14zは接触するため、発射体は、銃身12と略同軸の状態に維持され、それにより、銃身の長手方向軸周りの揺れ(wobble)が回避されるか或いは少なくとも最小限に抑えられる。
【0106】
構造体142は、図1図9に関連して前述したタイプのシール又は弾帯の形態を成してもよい。
【0107】
シールの形態を成す場合、構造体142は、銃身の内面と接触して、空洞122内の発射火薬の爆燃により発生されるガスの迂回を防止する実質的なシールを形成する。構造体142は、銃身の内面との接触によって、銃身内のライフリングとも係合し、それにより、回転をもたらすのに役立つ。随意的に、構造体142がシールである場合、本体14zには、仮想線で示される1つ以上の孔144が設けられてもよく、該孔を通じて、発射火薬ガスの一部は、シール22zから構造体142までの本体14zの外部と銃身の内部との間の領域へと流れ込むことができる。これによって、その領域と空洞20の内側との間は均圧化される。この均圧化により、本体14zが径方向外側に膨張するリスクが低減される。この膨張の発生は、その結果として本体の更なる部分が銃身の内面と接触して摩擦が増大する場合には、発射体10zの性能を低下させ得る。
【0108】
構造体142が前述した弾帯28、28a、28b、28b1、28b2、28b3、28d又は28eのような弾帯の形態を成す場合、構造体142は、発射火薬ガスの迂回も許容しつつ銃身の内面と接触する。
【0109】
また、図17に示される発射体10zには、シール22zと構造体142との間の本体14zの周りで周方向に中間構造体146も任意選択的に設けられる。構造体146は、構造体142と同様に、シール又は弾帯の形態を成してもよい。構造体146、142の両方が図1図9に関連して前述した弾帯と同様の弾帯の形態を成す場合、発射火薬ガスは、弾帯146を迂回して、シール22zへ向けて流れ、銃器の銃身内で空洞20の内側と外側との間に均圧化をもたらすことができる。また、両方の構造体142、146が弾帯の形態を成す場合には、空洞20の内側と外側との間で均圧化をもたらすために孔144は必要とされない。
【0110】
構造体142がシールの形態を成す場合には、均圧化を促進させるために孔144が存在することが有益となり得る。その場合、構造体146も存在すれば、該構造体は弾帯又はシールのいずれかの形態を成してもよい。しかしながら、構造体がシールの形態を成す場合、更なる孔144aが形成され、その場合、孔は構造体146の両側に存在するようになり、シール22zと構造体142との間の本体14zの長さにわたって銃身の内側で均圧化を与える。
【0111】
発射体10zには、図1及び図2に示される前述した後部30と同様の後部30zを任意選択的に設けることができる。この後部は、後部30と同じ特性及び機能を有する。後部30zは、図17の上側部分に示されるように構造体142の後縁部と直角を成してもよいし、或いは、図17の下側部分に示されるように構造体142の後縁部から先細になってもよい。
【0112】
発射体10/10i/10x/10y/10zのうちのいずれか1つ(以下、一般に、「発射体10」と称される)は、雷管136と点火口62とを有するベースシール134(図14に示される)で後端18を閉じることによってケースレス発射体(すなわち、ケースレス弾薬)として使用されてもよい。雷管は、撃針又は同様の機構によって突き刺される際に空洞20内の発射火薬の点火を起こさせるように配置される。
【0113】
或いは、各発射体10i/10x/10y/10z 10は、図10及び図11に関連して前述したものと同じ態様でケース54又は54aと係合されることで、ケース付き弾薬を形成してもよい。
【0114】
発射体の多くの特定の実施形態を説明してきたが、発射体が多くの他の形態で具現化されてもよいことが理解されるべきである。例えば、特定の機能又は目的を与えるために異なる構成又は構造を前端16に形成することができる。これらの構成又は構造は、ホローポイント、ソフトポイント、フルメタルジャケット、スピッツアー(spitzer)、ワッドカッター、セミワッドカッター、又は、割線オジーブ(secant ogive)及び接線オジーブ(tangential ogive)を含むオジーブを含むが、これらに限定されない。例えば図10に示されるようなケース付き弾薬52に関して、空洞20は、ベース58の内面との当接によって後端18でシールされる。この場合、弾薬52により保持される発射火薬の最大量は、空洞20の容積である。しかしながら、他の実施形態において、ケース付き弾薬における発射火薬の量は、後端18をベース58の内面から離間させて発射火薬のための更なる空間を形成することによって増大され得る。
【0115】
また、発射火薬に加えて材料/物質を保持するために空洞20を使用することもできる。例えば、空洞20内にトレーサー化合物(tracer compound)を設けることができる。これはユーザに照準線を与えるが、空洞20内にトレーサーを有することにより、迷光(stray light)は最小限に抑えられ又は空洞20により効果的に覆われ、ユーザの位置を特定できる可能性が低減される。或いは、開示される発射体10の利点から逸脱することなく、爆発性弾薬を形成するために爆発性材料を空洞内に設けることもできる。これらの実施形態の発射体10は、様々な材料から及び様々な製造技術によって形成されてもよい。
【0116】
さらに、それぞれ説明されて図示された実施形態間の変更は、互いに排他的ではなく、他の実施形態に組み入れられ得る。例えば、図4に示される発射体の実施形態は、任意の構成の弾帯を組み込んでもよく、図1の実施形態に示される弾帯のみに限定されない。発射体が2つ以上の弾帯を組み込む場合、弾帯は、互いに同じ形態を有する必要はない。また、任意の実施形態の空洞20の部分50が後端18へと向かう方向において内径が増大する内面を必ず有する必要はない。空洞20は、部分50で一定の内径を有してもよい。
【0117】
これらの実施形態の発射体10は、軍用、警察活動用、及び、スポーツ用、或いは、他の娯楽用途のための実弾として使用されてもよい。
【0118】
空洞の内側及び外側に均圧化をもたらす発射体に関する試験を受けて、ここで開示される発射体の実施形態は、射撃銃器に対する任意の変更を要することなく従来の弾薬に優る以下の利益又は利点のうちの少なくとも1つを与え得ることが確信される。
【0119】
・以下の理由により、同じ長さの従来の長く高弾道係数の発射体よりも高い銃口速度を達成できる。
(1)発射火薬保持能力に関する妥協がない。
(2)中空構成によって、発射体がより軽量である。
・発射体の変更によってもたらされる内部弾道の変化に適合するため、発射火薬タイプ(燃焼率等)の最適化によって、銃口速度の更なる向上の可能性がある。
・圧力と速度との間の関係の改善により、任意の所定の室圧に関してより高い速度をもたらす。
・従来の発射体の精度と一致する又はこの精度を超える精度をもたらす。
・外的にバイアスされる発射体の重量配分がそのジャイロ安定性を高めることにより、より高い飛行安定性をもたらす。
・ジャイロ安定性の向上により、従来の発射体を用いる場合よりも遅いねじれ率のライフル銃身内において発射体を使用できる。
・同様の重量又は長さの発射体と比べて、高い銃口速度及び高い弾道係数によって、従来の発射体よりも平坦な弾道を与える。
・より平坦な弾道、並びに、等しい又は向上された精度によって、有効距離の増大を可能にする
・ブルパップ方式の銃器を含む、短いライフル銃及びカービン銃において、銃口速度を維持又は増大しつつ、従来の弾薬と比べて、銃口閃光、銃口爆風、及び、騒音の期待される減少が可能となる。
・拳銃及びライフル銃を含む一連の銃器に適合性がある
・軽量な中火器弾薬用の任意の銃口径に拡張可能である。
【0120】
図11に示されるケース付き弾薬に関連して、それぞれが比較的小さい軸方向長さを有する弾帯28、28’は、首部付きケース内の集中化に役立つべく、より長い軸方向長さを有する弾帯28b1、28b2、28c、28dと置き換えられてもよい。
【0121】
挿入体102/102a/102xを組み込む発射体に関連して、肩部110が座部108と当接するように挿入体を本体14内へ完全に挿入する代わりに、発砲前に座部108と肩部110との間に直接的な接触がないように挿入体が部分的にのみ挿入されてもよい。例えば、座部108と肩部110との間に5~10mmの隙間が存在し得る。発砲時、挿入体は、この5~10mmを本体14内で本体14に対して移動して座部108と当接し、発射体が銃身内にとどまる間においてシールを形成することになる。
【0122】
これにより、挿入体は、発砲時、発射火薬により発生されるガスの圧力の作用によって前方へ延び、従って、発射体10の全長を延ばす或いは発射体先端にとって好ましいプロファイルを与えることができる。これは、発射体が端と端とが接触するように積み重ねられ、先端が尖っているため(銃器の反動によって)、1つの弾薬筒が前方の発射体の雷管と接触してこれを爆発させる可能性のある管状のマガジンにとって有用となり得る。或いは、カートリッジ全長が制限されて長くて高弾道係数の発射体に適さないマガジン又はリボルバーチャンバにおいて、長い発射体(それらの延長形態を成す)を使用可能にする。
【0123】
本発明の実施形態は、主に非爆発性の弾薬に関連して説明されてきた。非爆発性の弾薬は、小火器用、軽量銃器用、又は、キャノン用の弾薬の形態を成してもよく、この場合、弾薬の効果は、標的又は衝撃場所での或いはその付近での爆発性材料の爆発に起因せず、その運動エネルギーからのみ生じる。しかしながら、ここで開示される発射体及び概念は、爆発性弾薬と共に使用されてもよく、又は、爆発性弾薬を形成するように変更されてもよい。これは、本体14内に爆発性材料を設けることにより、或いは、挿入体を伴う実施形態に関しては、弾薬が爆発性の先端の弾薬になるように挿入体内に爆発性材料を設けることにより、より大きな口径の弾薬において具現化される。
【0124】
以下の特許請求の範囲において、及び、先の説明において、明確な表現又は必要な示唆によって、文脈が別段に求める場合を除き、用語「備える(comprise)」及び「備える(comprises)」「備えている(comprising)」等の変化形は、包括的な意味で使用され、すなわち、記載される特徴の存在を特定するが、本明細書中に開示される発射体の様々な実施形態における更なる特徴の存在又は付加を排除しないように使用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17