(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】β-グルコシダーゼによるステビオール配糖体の加水分解
(51)【国際特許分類】
C12P 19/44 20060101AFI20220803BHJP
C12N 15/56 20060101ALI20220803BHJP
C12N 9/42 20060101ALN20220803BHJP
【FI】
C12P19/44
C12N15/56 ZNA
C12N9/42
(21)【出願番号】P 2019570910
(86)(22)【出願日】2018-06-29
(86)【国際出願番号】 US2018040193
(87)【国際公開番号】W WO2019006244
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-04
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516131979
【氏名又は名称】コナゲン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】マオ グオホン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィック ジェイコブ エドワード
(72)【発明者】
【氏名】バトン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ユー シャオダン
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102925518(CN,A)
【文献】特表2014-524247(JP,A)
【文献】UniprotKB - C4R6L7 (C4R6L7_KOMPG),Uniprot,2009年,https://www.uniprot.org/uniprot/C4R6L7
【文献】UniprotKB - C4R6P9 (C4R6P9_KOMPG),Uniprot,2009年,https://www.uniprot.org/uniprot/C4R6P9
【文献】Manjula Pandey & Saroj Mishra,Cloning and Expression of β-Glucosidase Gene from the Yeast Pichia etchellsii,Journal of Fermentation and Bioengineering,1995年,Vol.80、No.5,446-453
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 19/00
C12N 9/00
C12N 15/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステビオール配糖体のグリコシル化を変更する方法であって、
a)第1の基質を産生するように改変された組換え微生物、藻類又は植物細胞を提供することと、
b)前記組換え微生物、藻類又は植物細胞を破壊してその細胞サイトゾルを放出させることであって、このようなサイトゾルが前記第1の基質を含有することと、
c)前記組換え微生物、藻類又は植物細胞から前記サイトゾルを得ることと、
d)前記第1の基質から少なくとも1つのグルコシル基を除去することにより対象の第2の基質を生成するのに十分な時間、前記サイトゾルをβグルコシダーゼに曝露することであって、このようなβグルコシダーゼが加水分解活性を有することと、
e)前記対象の第2の基質を捕集することと
を含
み、
前記第1の基質がステビオール配糖体であり、
前記βグルコシダーゼが、配列番号1に記載されるピキア・パストリス(Pichia Pastoris)βグルコシダーゼの配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する組換えβグルコシダーゼである、方法。
【請求項2】
前記加水分解活性が、前記ステビオール配糖体のC19位からグルコシル基を除去する機能を果たす、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記加水分解活性が、前記ステビオール配糖体のC13位からグルコシル基を除去する機能を果たす、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記加水分解活性が、前記ステビオール配糖体のC19位又は前記ステビオール配糖体のC13位のいずれかからグルコシル基を除去する機能を果たす、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記加水分解活性が、前記ステビオール配糖体のC19位及び前記
ステビオール配糖体のC13位の両方からグルコシル基を除去する機能を果たす、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記加水分解活性が、ルブソシドのC19位からグルコシル基を除去して、ステビオール-13-グルオシド(gluoside)を生成する機能を果たす、請求項
2に記載の方法。
【請求項7】
前記加水分解活性が、ステビオシドのC19位からグルコシル基を除去して、ステビオールビオシドを生成する機能を果たす、請求項
2に記載の方法。
【請求項8】
前記加水分解活性が、Reb EのC19位からグルコシル基を除去して、ステビオールビオシドを生成する機能を果たす、請求項
2に記載の方法。
【請求項9】
前記加水分解活性が、Reb IのC19位からグルコシル基を除去して、Reb Aを生成する機能を果たす、請求項
2に記載の方法。
【請求項10】
前記加水分解活性が、Reb AのC19位からグルコシル基を除去して、Reb Bを生成する機能を果たす、請求項
2に記載の方法。
【請求項11】
前記加水分解活性が、ステビオール-13-グルオシド(gluoside)のC13位からグルコシル基を除去して、ステビオールを生成する機能を果たす、請求項
3に記載の方法。
【請求項12】
前記加水分解活性が、Reb DのC13位からグルコシル基を除去して、Reb B又はReb Aを生成する機能を果たす、請求項
3に記載の方法。
【請求項13】
前記加水分解活性が、Reb GのC19位及びC13位からグルコシル基を除去して、ステビオール-13-グルコシドを生成する機能を果たす、請求項
5に記載の方法。
【請求項14】
前記対象の第2の基質がReb Mである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記対象の第2の基質がReb Bである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記対象の第2の基質がReb Aである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
酵素加水分解の速度を増大させるために、βガラクトシダーゼ又はペクチナーゼ酵素の使用をさらに含む、請求項1~
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
形質転換細胞系においてステビオール配糖体を発現させることと、
前記細胞系を培地中で成長させることと、
前記対象の第2の基質を生じさせることと
をさらに含む、請求項1~
17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の基質への前記βグルコシダーゼの曝露の時間が少なくとも6時間である、請求項1~
18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の基質への前記βグルコシダーゼの曝露の時間が少なくとも12時間である、請求項1~
18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の基質への前記βグルコシダーゼの曝露の時間が少なくとも18時間である、請求項1~
18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の基質への前記βグルコシダーゼの曝露の時間が少なくとも24時間である、請求項1~
18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象の第2の基質がステビオール配糖体である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記組換え微生物、藻類又は植物細胞が、細菌、酵母、糸状菌、シアノバクテリア藻類及び植物細胞からなる群から選択される、請求項1~
23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記組換え微生物が、エシェリキア属(Escherichia)、サルモネラ属(Salmonella)、バチルス属(Bacillus)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、メチロサイナス属(Methylosinus)、メチロモナス属(Methylomonas)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ロドバクター属(Rhodobacter)、シネコシスティス属(Synechocystis)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ジゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、カンジダ属(Candida)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、デバリオミセス属(Debaryomyces)、ムコール属(Mucor)、ピキア属(Pichia)、トルロプシス属(Torulopsis)、アスペルギルス属(Aspergillus)、アルツロボトリス属(Arthrobotlys)、ブレビバクテリア属(Brevibacteria)、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、シトロバクター属(Citrobacter)、エシェリキア属(Escherichia)、ヤロウイア属(Yarrowia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、パンテア属(Pantoea)、サルモネラ属(Salmonella)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、及びクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)からなる群から選択される、請求項1~
23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象の第2の基質がReb Eである、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の基質が、Reb E、Reb D4及びReb Mの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記対象の第2の基質がReb D4である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記対象の第2の基質がステビオール配糖体混合物であり、この混合物のステビオール配糖体の合わせた含量が、乾燥ベースの重量で、前記サイトゾル由来の濃縮物の他の成分よりも多い、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
ステップe)の前記対象の第2の基質が粗生成物であり、ステップe)がさらに、i)前記粗生成物を精製すること、及びii)真空下で溶媒を除去して濃縮生成物を提供することを含む、請求項1~
29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記粗生成物がカラムクロマトグラフィによって精製される、請求項
30に記載の方法。
【請求項32】
前記粗生成物が酸-塩基抽出によって精製される、請求項
30に記載の方法。
【請求項33】
前記粗生成物が真空蒸留によって精製される、請求項
30に記載の方法。
【請求項34】
半分取HPLCを用いて前記濃縮生成物を精製することをさらに含む、請求項
30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.§119(e)の下で、2017年6月30日に出願された米国仮特許出願第62/527,482号(その内容全体は参照によって本明細書中に援用される)に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野は、望ましいステビオール配糖体の生成をより効率的でより安価なものにする方法及びプロセスに関する。より具体的には、本開示は、生物変換による対象のステビオール配糖体の生成を駆動するための、βグルコシダーゼによる加水分解の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
本開示は、特定の基質から対象のステビオール配糖体への変換に焦点が置かれている。特に、本開示は、一部分において、破壊された組換え細胞、例えば、組換え微生物細胞の中に存在する特定の基質を加水分解するためにβグルコシダーゼ(「B-glu1」)を使用することによる、レバウジオシドM(「Reb M」)のより効率的な生成に関する。
【0004】
ステビオール配糖体は、ステビア・レバウジアナ(Stevia rebaudiana)の葉から単離される天然産物であり、食品、飼料及び飲料における高甘味度の低カロリー甘味料として広く使用されている。天然に存在するステビオール配糖体は、同じ基本ジテルペン骨格構造(ステビオール)を有するが、ステビオール骨格のC13位及びC19位の炭水化物残基修飾(例えば、グルコース、ラムノース、及びキシロース残基)の数及び構造が異なる。既知の構造を有するステビオール配糖体には、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドM及びズルコシドAが含まれる。商業的な利用の観点から、レバウジオシドM自体は一般に安全であると認められている(「GRAS」状態)が、抽出プロセスから調達するのは極めて困難であり、微生物の生物変換だけにより生成するためには微生物の著しい改変を必要とする。
【0005】
乾燥重量ベースで、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドC、及びズルコシドAはそれぞれ、野生型ステビア属(Stevia)の葉におけるステビオール配糖体の全重量の9.1、3.8、0.6、及び0.30パーセントを占めるが、Reb Mなどの他のステビオールグルコシド(steviol glucoside)は、それよりも大幅に少ない量で存在する。対象のステビオール配糖体を生成するために組換え微生物細胞を使用することが知られているが、特定の酵素の生化学的活性の範囲を考慮すれば、このような微生物株から様々なステビオール配糖体が生成可能になり得る。これらの状況では、これらの株の破壊細胞は、多量のステビオシド(CAS番号57817-89-7)、レバウジオシドA(CAS番号58543-16-1)又は他のステビオール配糖体を含有することができ、ここで、Reb Mが所望の生成物である。これらの化合物の量は、混合物中、ステビオシドについては約10~20%、そしてレバウジオシドAについては約5~10%の範囲であり、他の微量成分が存在する。
【0006】
天然甘味料として、異なるステビオール配糖体は、異なる甘味度、「口当たり」、及び試験される各レバウジオシド種に関連する特定の後味を有する。砂糖(すなわち、「スクロース」)と比べて、ステビオール配糖体の甘味は著しく高い。例えば、ステビオシドはスクロースよりも100~150倍甘いが、風味試験で気付かれるように苦い後味を有し、レバウジオシドA及びEはスクロースよりも250~450倍甘く、後味はステビオシドよりもはるかに良好であるが、注目すべき後味は依然として存在する。従って、任意のステビア抽出物の風味プロファイルは抽出物中のステビオール配糖体の相対含量によって大きく影響を受け、そしてこれは、基礎となる植物が経験する環境条件及び使用される抽出プロセスによって影響され得る。植物生産、気象条件及び抽出条件におけるこれらの変動は、ステビア抽出物中のステビオール配糖体の一貫性のない組成をもたらし得るので、風味プロファイルは、抽出生成物のバッチによって大きく異なる。またステビア抽出物の風味プロファイルは、抽出プロセス後に生成物中に残存する植物由来又は環境由来の汚染物質(例えば、色素、脂質、タンパク質、フェノール類及び糖類など)によっても影響され得る。これらの汚染物質は、通常、消費者製品の甘味料としてステビア抽出物を使用するのに望ましくないその独自の異臭を有する。
【0007】
さらに、ステビア抽出物中の量が少ないステビオール配糖体の個々の又は特定の組合せを単離する費用は、コスト及びリソース面で非常に高い。ステビオシド及びReb Aからのステビオール配糖体の非生物学的な生成は困難である。酸性条件下では、生成されたステビオールが転移してイソステビオールになるので、ステビオシドの酸加水分解は厄介である。いくつかの特定のステビオール配糖体の品質及び有効性が限られていると仮定すると、商業的な供給は、生物変換により良好に対処することが可能であり、ここで、対象の配糖体の生成を特異的に増大させるために、天然酵素、又は特定の微生物は、必要とされる酵素を保有し、そして商業的に重要な発酵プロセスを使用するように改変され得る。例えば、ステビオシドからReb Eへの生物変換は、改変された微生物による発酵経路を用いて既に報告されている(Mao et al.、米国特許出願公開第2016/0207954号明細書、A Non-Caloric Sweetenerを参照)。あるいは、他の非生物学的合成手段を使用して、対象のステビオール配糖体を開発することができる。
【0008】
生物学的観点から、全てのステビオール配糖体は、ステビオールの一連のグリコシル化反応によって形成され、これは通常、ウリジン5’-ジホスホグルコース(UDP-グルコース)を糖部分の供与体として用いて、UDP-グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素により触媒される。植物において、UGTは、グルコース残基をUDP-グルコースからステビオールへ転移させる非常に多様な酵素群である。これらの反応では、ステビオシドは、種々のレバウジオシド化合物の生合成における中間体であることが多い。例えば、ステビオシドのC-13-O-グルコースのC-3’のステビオシドのグリコシル化はレバウジオシドAをもたらし、ステビオシドの19-O-グルコース位置のC-2’のグリコシル化はレバウジオシドEをもたらす。
【0009】
本開示によると、ステビア抽出物の風味品質を改善するための実践的なアプローチは、概してより望ましい風味特性を有するレバウジオシド化合物の収率を増大させ、そしてより生産的な合成経路及び関連する方法によりこれを行なうことである。試験されるステビオール配糖体のうち、多くの人は、食品及び飲料での使用のためにReb Mが最も望ましい風味及び化学的性質を有すると考える。しかしながら、上記のように、植物には、この化合物がその葉の中に無視できるほど少量しか存在せず、従って、この配糖体の大規模生成のために、そして食品及び飲料産業に代替甘味料を提供するために、代替的な方法を可能にし、補助させることが必要である。
【0010】
従って、より良好でより一貫性のある風味プロファイルを有するステビオール配糖体を市販の製品として開発することが必要とされ、そしてこのような望ましい配糖体の生成が商業的にできるだけ費用効率が高くなり得るように、このようなステビオール配糖体が比較的一般的な出発基質(例えば、より大量にあるステビオール配糖体など)を出発分子として利用することが必要とされている。本開示は、所望のステビオール配糖体の生成を増強する方法を提供する。
【0011】
また、ステビオール配糖体の生成コストを低減し、大規模栽培及び加工の環境影響を少なくするために新しい生成方法が必要とされている(Yao et al.,1994)。1つのこのような可能性のある解決法は発酵生物変換技術の使用であり、これにより、商業に利用可能な所望のステビオール配糖体の選択性、存在量及び純度を増大させる、特定の微生物種又は他の組換え細胞における産生が可能になり、そして改変微生物培養又は他の改変細胞培養からの細胞溶解物においてこのような産生を駆動するために、加水分解酵素を用いて、所望のレバウジオシドの存在が増強される。
【発明の概要】
【0012】
本開示は、一部分において、βグルコシダーゼの加水分解活性を利用して、種々のステビオール配糖体から増強量のレバウジオシドM(Reb M)を生成する方法を包含する。より具体的には、本開示は、対象の基質を含有する破壊された組換え細胞(例えば、組換え微生物細胞)から所望のステビオール配糖体を生成するために改善されたプロセスを提供する。ここで、このような細胞(例えば、微生物)は、レバウジオシドA(Reb A)、レバウジオシドE(Reb E)及び/又はステビオシドを含む対象のステビオール配糖体を生成することができる遺伝子を保有するように改変されている。この実施形態では、プロセスは、破壊細胞(例えば、微生物細胞)から材料を得るステップと、前記廃棄物中に存在するステビオシドに対して酵素加水分解を実行して、Reb Mの生成を増強するステップとを含む。
【0013】
製品/商業的有用性の観点から、米国の市場にはステビオール配糖体を含有する製品が数ダース存在し、鎮痛剤から害虫忌避剤まで全てのものにおいて、そして食品においても健康補助食品としても使用することができる。本発明のステビオール配糖体を含有する製品は、エアロゾル、液体、又は顆粒剤を含み得る。
【0014】
本開示における細胞系については、それは、細菌、酵母、及びこれらの組合せ、又は選択された遺伝子による遺伝子形質転換と、その後の、ステビオールからの所望のステビオール配糖体の生合成生成とを可能にし得る任意の細胞系からなる群から選択される。最も好ましい微生物系では、後でβグルコシダーゼ加水分解に暴露される所望のステビオール配糖体化合物を産生するために大腸菌(E.coli)が使用される。
【0015】
βグルコシダーゼは動物の下部消化管中に存在することが多い構成的酵素であり、食品材料の消化及び吸収の補助として有用である。本開示によると、ステビオシド、レバウジオシドE(Reb E)、レバウジオシドA(Reb A)、レバウジオシドI(Reb I)、レバウジオシドD(Reb D)、レバウジオシドG(Reb G)及びルブソシドを加水分解するためにB-glu1が使用される。加水分解は、ステビオールを加水分解の最終生成物として、ステビオールビオシドの初期形成を介して進行する。
【0016】
従って、本開示の態様は、ステビオール配糖体のグリコシル化を変更する方法を提供し、本方法は、a)第1の基質を産生するように改変された組換え細胞(例えば、微生物、藻類又は植物細胞)を提供することと、b)前記組換え細胞を破壊してその細胞サイトゾルを放出させることであって、このようなサイトゾルが前記第1の基質を含有することと、c)前記組換え細胞からサイトゾルを得ることと、d)前記第1の基質から少なくとも1つのグルコシル基を除去することにより対象の第2の基質を生成するのに十分な時間にわたって、前記サイトゾルをβグルコシダーゼに曝露することであって、このようなβグルコシダーゼが加水分解活性を有することと、e)前記対象の第2の基質を捕集することとを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記第1の基質はステビオール配糖体である。いくつかの実施形態では、前記対象の第2の基質はReb Mである。いくつかの実施形態では、前記対象の第2の基質はReb Bである。いくつかの実施形態では、前記対象の第2の基質はReb Aである。いくつかの実施形態では、第1及び第2の基質は、表1又は本明細書中の図面(例えば、
図9)に記載されるものである。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記加水分解活性は、前記ステビオール配糖体のC19位からグルコシル基を除去する機能を果たす。いくつかの実施形態では、前記加水分解活性は、前記ステビオール配糖体のC13位からグルコシル基を除去する機能を果たす。いくつかの実施形態では、前記加水分解活性は、前記ステビオール配糖体のC19位又は前記ステビオール配糖体のC13位のいずれかからグルコシル基を除去する機能を果たす。いくつかの実施形態では、前記加水分解活性は、前記ステビオール配糖体のC19位及び前記基質のC13位の両方からグルコシル基を除去する機能を果たす。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記加水分解活性は、ルブソシドのC19位からグルコシル基を除去して、ステビオール-13-グルオシド(gluoside)を生成する機能を果たす。いくつかの実施形態では、前記加水分解活性は、ステビオシドのC19位からグルコシル基を除去して、ステビオールビオシドを生成する機能を果たす。いくつかの実施形態では、前記加水分解活性は、Reb EのC19位からグルコシル基を除去して、ステビオールビオシドを生成する機能を果たす。いくつかの実施形態では、前記加水分解活性は、Reb IのC19位からグルコシル基を除去して、Reb Aを生成する機能を果たす。いくつかの実施形態では、前記加水分解活性は、Reb AのC19位からグルコシル基を除去して、Reb Bを生成する機能を果たす。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記加水分解活性は、ステビオール-13-グルオシド(gluoside)のC13位からグルコシル基を除去して、ステビオールを生成する機能を果たす。いくつかの実施形態では、前記加水分解活性は、Reb DのC13位からグルコシル基を除去して、Reb B又はReb Aを生成する機能を果たす。いくつかの実施形態では、前記加水分解活性は、Reb GのC19位及びC13位からグルコシル基を除去して、ステビオール-13-グルコシドを生成する機能を果たす。
【0021】
本明細書で提供される方法は、いくつかの態様では、酵素加水分解の速度を増大させるために、βガラクトシダーゼ又はペクチナーゼ酵素の使用をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、形質転換細胞系においてステビオール配糖体を発現させることと、細胞系を培地中で成長させることと、前記対象の第2の基質を生じさせることとをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記第1の基質への前記βグルコシダーゼの曝露の時間は少なくとも6時間である。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記第1の基質への前記βグルコシダーゼの曝露の時間は少なくとも12時間である。いくつかの実施形態では、前記第1の基質への前記βグルコシダーゼの曝露の時間は少なくとも18時間である。いくつかの実施形態では、前記第1の基質への前記βグルコシダーゼの曝露の時間は少なくとも24時間である。いくつかの実施形態では、前記対象の第2の基質はステビオール配糖体である。
【0024】
いくつかの実施形態では、βグルコシダーゼは、配列番号1に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、βグルコシダーゼは、配列番号3と少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、組換え細胞は、細菌、酵母、糸状菌、シアノバクテリア藻類及び植物細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組換え細胞(例えば、微生物)は、エシェリキア属(Escherichia)、サルモネラ属(Salmonella)、バチルス属(Bacillus)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、メチロサイナス属(Methylosinus)、メチロモナス属(Methylomonas)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ロドバクター属(Rhodobacter)、シネコシスティス属(Synechocystis)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ジゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、カンジダ属(Candida)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、デバリオミセス属(Debaryomyces)、ムコール属(Mucor)、ピキア属(Pichia)、トルロプシス属(Torulopsis)、アスペルギルス属(Aspergillus)、アルツロボトリス属(Arthrobotlys)、ブレビバクテリア属(Brevibacteria)、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、シトロバクター属(Citrobacter)、エシェリキア属(Escherichia)、ヤロウイア属(Yarrowia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、パンテア属(Pantoea)、サルモネラ属(Salmonella)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、及びクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)からなる群から選択される。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記対象の第2の基質はステビオール配糖体である。いくつかの実施形態では、対象の第2の基質はReb Eである。いくつかの実施形態では、前記第2の基質は、Reb E、Reb D4及びReb Mの混合物である。いくつかの実施形態では、対象の第2の基質はReb D4である。いくつかの実施形態では、前記対象の第2の基質はステビオール配糖体混合物であり、この混合物のステビオール配糖体の合わせた含量は、乾燥ベースの重量により、サイトゾル由来の濃縮物の任意の他の成分よりも多い。
【0027】
いくつかの実施形態では、ステップe)の対象の第2の基質は粗生成物であり、ステップe)はさらに、i)前記粗生成物を精製すること、及びii)真空下で溶媒を除去して濃縮生成物を提供することを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記粗生成物は、カラムクロマトグラフィによって精製される。いくつかの実施形態では、前記粗生成物は、酸-塩基抽出によって精製される。いくつかの実施形態では、前記粗生成物は、真空蒸留によって精製される。
【0029】
本明細書で提供される方法は、いくつかの実施形態では、半分取(semi-preparative)HPLCを用いて濃縮生成物を精製することをさらに含む。
【0030】
本開示は種々の修正及び代替形態を許容できるが、その特定の実施形態が例として図面に示されており、本明細書において詳細に記載されるであろう。しかしながら、本明細書で提示される図面及び詳細な説明は、本開示を開示される特定の実施形態に限定することは意図されず、反対に、本発明が、特許請求の範囲により定義される本開示の趣旨及び範囲内に包含される全ての修正物、等価物、及び代替物を網羅できることは理解されるべきである。
【0031】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な記載において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】ルブソシドがB-glu1酵素及び破壊ピキア属(Pichia)細胞によって加水分解されることを示す。A:ルブソシドの加水分解生成物のHPLCプロファイル。a:ステビオール(「S」)の標準物;b:ルブソシド(「Rub」)の標準物;c~d:ルブソシドを組換えB-glu1酵素により1時間(c)及び3時間(d)切断した;e~f:ルブソシドを破壊ピキア属(Pichia)細胞により1時間(c)及び6時間(f)加水分解した。B:B-glu1により触媒されるルブソシドの加水分解経路。ルブソシドは組換えB-glu1酵素及び破壊ピキア属(Pichia)細胞により加水分解され、ステビオール-13-グルコシド(「S-13-G」)及びステビオールが生成された。
【
図2】ステビオシドがB-glu1酵素によって加水分解されることを示す。A:ステビオシドの加水分解生成物のHPLCプロファイル。a:ステビオシド(「ST」)の標準物;b:ステビオールビオシド(「SB」)の標準物;c~e:ステビオシドを組換えB-glu1酵素により1時間(c)、6時間(d)及び24時間(e)加水分解した。B:B-glu1により触媒されるステビオシドの加水分解経路。ステビオシドは組換えB-glu1酵素及び破壊ピキア属(pichia)細胞によって加水分解され、ステビオールビオシドが生成される。
【
図3】レバウジオシドEがB-glu1酵素によって加水分解されることを示す。A:レバウジオシドEの加水分解生成物のHPLCプロファイル。a:ステビオールビオシド(「SB」)の標準物;b:レバウジオシドE(「E」)の標準物;c~e:レバウジオシドEを組換えB-glu1酵素により1時間(c)、6時間(d)及び24時間(e)加水分解した。B:B-glu1により触媒されるレバウジオシドEの加水分解経路。レバウジオシドEは組換えB-glu1酵素及び破壊ピキア属(pichia)細胞によって加水分解され、ステビオールビオシドが生成される。
【
図4】レバウジオシドAがB-glu1酵素によって加水分解されることを示す。A:レバウジオシドAの加水分解生成物のHPLCプロファイル。a:レバウジオシドA(「Reb A」)の標準物;b:レバウジオシドB(「Reb B」)の標準物;c~d:レバウジオシドAを組換えB-glu1酵素により1時間(c)及び6時間(d)加水分解した。B:B-glu1により触媒されるレバウジオシドAの加水分解経路。レバウジオシドAは組換えB-glu1酵素及び破壊ピキア属(pichia)細胞によって加水分解され、レバウジオシドBが生成される。
【
図5】レバウジオシドIがB-glu1酵素によって加水分解されることを示す。A:レバウジオシドIの加水分解生成物のHPLCプロファイル。a:レバウジオシドA(「Reb A」)の標準物;b:レバウジオシドB(「Reb B」)の標準物;c:レバウジオシドI(「Reb I」)の標準物。d~f:レバウジオシドIを組換えB-glu1酵素により1時間(d)、6時間(e)及び24時間(f)加水分解した。B:B-glu1により触媒されるレバウジオシドIの加水分解経路。レバウジオシドIは組換えB-glu1酵素によって加水分解され、レバウジオシドA及びレバウジオシドBが生成される。
【
図6】レバウジオシドDがB-glu1酵素によって加水分解されることを示す。A:レバウジオシドDの加水分解生成物のHPLCプロファイル。a:レバウジオシドB(「Reb B」)の標準物;b:レバウジオシドD(「Reb D」)の標準物;c~e:レバウジオシドDを組換えB-glu1酵素により1時間(c)、6時間(d)及び24時間(e)加水分解した。B:B-glu1により触媒されるレバウジオシドDの加水分解経路。レバウジオシドDは組換えB-glu1酵素によって加水分解され、レバウジオシドA及びレバウジオシドBが生成される。
【
図7】レバウジオシドGがB-glu1酵素及び破壊ピキア属(pichia)細胞によって加水分解されることを示す。A:レバウジオシドGの加水分解生成物のHPLCプロファイル。a:ステビオール(「ステビオール」)、ステビオール-13-グルコシド(「S-13-G」)の標準物;b:レバウジオシドG(「G」)の標準物;b~d:レバウジオシドGを組換えB-glu1酵素により0.5時間(c)、1時間(d)及び6時間(e)加水分解した;f:レバウジオシドGを破壊ピキア属(pichia)細胞により24時間(f)加水分解した。B:B-glu1により触媒されるレバウジオシドGの加水分解経路。レバウジオシドGは組換えB-glu1酵素及び破壊ピキア属(pichia)細胞により加水分解され、ステビオール-13-グルコシド(「S-13-G」)及びステビオールが生成された。
【
図8】ステビオール配糖体が破壊ピキア属(pichia)細胞によって加水分解されることを示す。a:ステビオールビオシド(「SB」)の標準物;b:レバウジオシドB(「B」)の標準物;c:ステビオシドを破壊ピキア属(pichia)細胞により24時間加水分解した;d:レバウジオシドE(「E」)を破壊ピキア属(pichia)細胞により24時間加水分解した;e:レバウジオシドA(「A」)を破壊ピキア属(pichia)細胞により24時間加水分解した;f:レバウジオシドI(「I」)を破壊ピキア属(pichia)細胞により24時間加水分解した;g:レバウジオシドD(「D」)を破壊ピキア属(pichia)細胞により24時間加水分解した。
【
図9】B-Glu1が異なるステビオール配糖体基質を加水分解できることを示す。黒線:グリコシル化;点線:加水分解。
【
図10】Reb M及びReb WB2を生成するための合成経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書中で使用される用語の説明:
ステビオール配糖体は南米の植物ステビア・レバウジアナ(Stevia rebaudiana)(キク科(Asteraceae))の葉の甘味の原因となる化合物の種類であり、食品、飼料及び飲料における甘味料として使用され得る。
【0034】
定義:
細胞系は、異所性タンパク質の発現を提供する任意の細胞である。これには、細菌、酵母、植物細胞及び動物細胞が含まれる。これには、原核細胞及び真核細胞の両方が含まれる。またこれには、リボソームなどの細胞成分に基づいたタンパク質のインビトロ発現も含まれる。
【0035】
コード配列は、当業者にとってのその通常及び慣例の意味が与えられるべきであり、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を指すために制限なく使用される。
【0036】
細胞系を成長させる。成長には、細胞の増殖及び分裂を可能にし得る適切な培地を提供することが含まれる。また、細胞又は細胞成分が組換えタンパク質を翻訳及び作製できるように資源を提供することも含まれる。
【0037】
タンパク質発現。タンパク質の産生は遺伝子発現後に起こり得る。これは、DNAがメッセンジャーRNA(mRNA)に転写された後の段階からなる。mRNAは次にポリペプチド鎖に翻訳され、これは、最終的にタンパク質に折り畳まれる。DNAは、核酸を意図的に細胞内に導入するプロセスであるトランスフェクションを介して細胞内に存在する。この用語は、真核細胞における非ウィルス法に使用されることが多い。また、これは、他の方法及び細胞型を指してもよいが、他の用語が好ましい。細菌、植物細胞を含む非動物真核細胞における非ウィルスDNA転移を説明するためには「形質転換」が使用されることが多い。動物細胞では、形質転換はこれらの細胞における癌性状態への進行(発癌)を指すためにも使用されるので、トランスフェクションが好ましい用語である。形質導入は、ウィルス媒介のDNA転移を説明するために使用されることが多い。形質転換、形質導入、及びウィルス感染は、本出願のトランスフェクションの定義に含まれる。
【0038】
酵母。本開示によると、本明細書で特許請求される酵母は、真菌界のメンバーに分類される真核単細胞微生物である。酵母は多細胞祖先から進化した単細胞生物であるが、本開示に有用ないくつかの種は、仮性菌糸又は偽菌糸として知られている糸状の結合した出芽細胞を形成することにより、多細胞の特徴を発現する能力を有するものである。
【0039】
本開示で使用される様々なステビオール配糖体の生成のためのUGT酵素の名前は、UGT Nomenclature Committeeにより採用された命名法(Mackenzie et al.,”The UDP glycosyltransferase gene super family:recommended nomenclature updated based on evolutionary divergence,”PHARMACOGENETICS,1997,vol.7,pp.255-269)と一致しており、これは、ファミリー番号、サブファミリーを示す文字、及び個々の遺伝子の番号の組合せによりUGT遺伝子を分類する。例えば、「UGT76G1」という名前は、UGTファミリー番号76(植物由来)、サブファミリーG、及び遺伝子番号1に属する遺伝子によりコードされるUGT酵素を指す。
【0040】
構造用語:
本明細書で使用される場合、単数形「a、an」及び「the」は、内容が他に明白に指示しない限り、複数の指示対照を含む。
【0041】
「含む(include)」、「有する(have)」又は同様の用語が説明又は特許請求の範囲において使用される限りにおいて、このような用語は、「含む(comprise)」が特許請求の範囲において移行語として使用される場合に解釈されるように、「含む(comprise)」という用語と同様に包括的であることが意図される。
【0042】
「例示的」という用語は、本明細書において、「実施例、例、又は例証としての役割を果たすこと」を意味するために使用される。「例示的」であると本明細書に記載される任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるとは限らない。
【0043】
「相補的」という用語は、当業者にとってのその通常及び慣例の意味が与えられるべきであり、互いにハイブリダイズすることができるヌクレオチド塩基間の関係を説明するために制限なく使用される。例えば、DNAに関しては、アデノシンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。従って、本技術は、添付の配列表において報告される完全な配列に相補的である単離核酸断片、ならびにそれらの実質的に同様の核酸配列も含む。
【0044】
「核酸」及び「ヌクレオチド」という用語は、当業者にとってのそのそれぞれの通常及び慣例の意味が与えられるべきであり、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド、及び一本鎖又は二本鎖形態のいずれかのこれらのポリマーを指すために制限なく使用される。特に限定されない限り、この用語は、参照核酸と同様の結合特性を有し、かつ天然に存在するヌクレオチドと同様に代謝される、天然ヌクレオチドの既知の類似体を含有する核酸を包含する。他に記載されない限り、特定の核酸配列は、その保存的に改変された又は縮重変異体(例えば、縮重コドン置換)及び相補的配列、ならびに明確に示された配列を暗黙に包含する。
【0045】
「単離(された)」という用語は、当業者にとってのその通常及び慣例の意味が与えられるべきであり、単離核酸又は単離ポリペプチドとの関連で使用される場合、人の手によりその天然環境から離れて存在し、従って天然の産物ではない核酸又はポリペプチドを指すために制限なく使用される。単離された核酸又はポリペプチドは精製形態で存在することもできるし、あるいは例えば遺伝子導入宿主細胞内などの非天然環境において存在することもできる。
【0046】
「インキュベートする(incubating)」及び「インキュベーション」という用語は、本明細書で使用される場合、2つ以上の化学的又は生物学的実体(例えば、化合物及び酵素など)を混合し、これらを、ステビオール配糖体組成物を生じさせるのに有利な条件下で相互作用させるプロセスを意味する。
【0047】
「縮重変異体」という用語は、1つ又は複数の縮重コドン置換によって参照核酸配列とは異なる残基配列を有する核酸配列を指す。縮重コドン置換は、1つ又は複数の選択された(又は全ての)コドンの第3の位置が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基によって置換された配列を作成することにより達成することができる。核酸配列及びその縮重変異体の全ては、同じアミノ酸又はポリペプチドを発現するであろう。
【0048】
「ポリペプチド」、「タンパク質」、及び「ペプチド」という用語は、当業者にとってのそのそれぞれの通常及び慣例の意味が与えられるべきであり、3つの用語は互換的に使用されることもあり、そのサイズ又は機能に関係なく、アミノ酸、又はアミノ酸類似体のポリマーを指すために制限なく使用される。「タンパク質」は比較的大きいポリペプチドに関して使用されることが多く、「ペプチド」は小さいポリペプチドに関して使用されることが多いが、当該技術分野におけるこれらの用語の使用は重複しており、変動する。「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、他に言及されない限り、ペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質を指す。「タンパク質」、「ポリペプチド」、及び「ペプチド」という用語は、ポリヌクレオチド産物を指す場合に、本明細書では互換的に使用される。従って、例示的なポリペプチドは、ポリヌクレオチド産物、天然に存在するタンパク質、相同体、オルソログ、パラログ、断片及び他の等価物、変異体、ならびに上記のものの類似体を含む。
【0049】
「ポリペプチド断片」及び「断片」という用語は、参照ポリペプチドに関して使用される場合、当業者にとってのその通常及び慣例の意味が与えられるべきであり、参照ポリペプチド自体と比べてアミノ酸残基が欠失しているが、残りのアミノ酸配列は通常参照ポリペプチドにおける対応する位置と同一であるポリペプチドを指すために制限なく使用される。このような欠失は、参照ポリペプチドのアミノ末端又はカルボキシ末端、あるいは両方において起こり得る。
【0050】
ポリペプチド又はタンパク質の「機能的断片」という用語は、全長ポリペプチド又はタンパク質の一部分であり、そして全長ポリペプチド又はタンパク質と実質的に同じ生物活性を有するか、あるいは実質的に同じ機能を実行する(例えば、同じ酵素反応を実行する)ペプチド断片を指す。
【0051】
互換的に使用される「変異体ポリペプチド」、「改変アミノ酸配列」、又は「改変ポリペプチド」という用語は、1つ又は複数のアミノ酸によって、例えば、1つ又は複数のアミノ酸置換、欠失、及び/又は付加によって参照ポリペプチドとは異なるアミノ酸配列を指す。一態様では、変異体は、参照ポリペプチドの能力のいくらか又は全てを保持する「機能的変異体」である。
【0052】
「機能的変異体」という用語はさらに、保存的に置換された変異体を含む。「保存的に置換された変異体」という用語は、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換によって参照ペプチドとは異なり、参照ペプチドの活性のいくらか又は全てを保持するアミノ酸配列を有するペプチドを指す。「保存的アミノ酸置換」は、機能的に同様の残基によるアミノ酸残基の置換である。保存的置換の例としては、1つの非極性(疎水性)残基、例えばイソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンと、別のものとの置換;1つの荷電もしくは極性(親水性)残基と、別のものとの置換、例えば、アルギニンとリジンとの間の置換、グルタミンとアスパラギンとの間の置換、スレオニンとセリンとの間の置換;1つの塩基性残基、例えばリジンもしくはアルギニンと、別のものとの置換;又は1つの酸性残基、例えばアスパラギン酸もしくはグルタミン酸と、別のものとの置換;又は1つの芳香族残基、例えばフェニルアラニン、チロシン、もしくはトリプトファンと、別のものとの置換が挙げられる。このような置換は、タンパク質又はポリペプチドの見かけの分子量又は等電点に対してほとんど又は全く影響を与えないことが予想される。「保存的に置換された変異体」という語句は、化学的に誘導された残基によって残基が置換されたペプチドも含むが、ただし、得られるペプチドが本明細書に記載される参照ペプチドの活性のいくらか又は全てを保持することを条件とする。
【0053】
本技術のポリペプチドに関連する「変異体」という用語はさらに、参照ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、そしてさらに100%同一であるアミノ酸配列を有する、機能的に活性なポリペプチドを含む。
【0054】
「相同」という用語は、その文法的形態及びスペリングバリエーションの全てにおいて、「共通の進化的起源」を有するポリヌクレオチド又はポリペプチドの間の関係を指し、スーパーファミリーからのポリヌクレオチド又はポリペプチドと、異なる種からの相同ポリヌクレオチド又はタンパク質とが含まれる(Reeck et al.,CELL 50:667,1987)。このようなポリヌクレオチド又はポリペプチドは、同一性パーセントに関するか、又は保存位置における特異的アミノ酸もしくはモチーフの存在に関するかにかかわらず、その配列類似性に反映されるような配列相同性を有する。例えば、2つの相同ポリペプチドは、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも900 少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、そしてさらに100%同一であるアミノ酸配列を有することができる。
【0055】
「適切な制御配列」は、当業者にとってのその通常及び慣例の意味が与えられるべきであり、コード配列の上流側(5’非コード配列)、その中、又は下流側(3’非コード配列)に位置し、そして関連するコード配列の転写、RNAプロセシングもしくは安定性、又は翻訳に影響するヌクレオチド配列を指すために制限なく使用される。制御配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、及びポリアデニル化認識配列を含み得る。
【0056】
「プロモーター」は、当業者にとってのその通常及び慣例の意味が与えられるべきであり、コード配列又は機能的RNAの発現を制御することができるDNA配列を指すために制限なく使用される。一般に、コード配列は、プロモーター配列に対して3’側に位置する。プロモーターは、その全体が天然遺伝子に由来してもよいし、あるいは天然に見出される異なるプロモーターに由来する異なる要素から構成されてもよいし、あるいはさらに、合成DNAセグメントを含んでいてもよい。異なるプロモーターは、異なる組織又は細胞型において、又は異なる発生段階で、又は異なる環境条件に応答して遺伝子の発現を指示し得ることが当業者により理解される。ほとんどの時点でほとんどの細胞型において遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に、「構成的プロモーター」と呼ばれる。ほとんどの場合、制御配列の正確な境界は完全には定義されていないので、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有し得ることは、さらに認識される。
【0057】
「機能的に連結された」という用語は、一方の機能が他方により影響されるような、単一の核酸断片における核酸配列の関連性を指す。例えば、プロモーターは、そのコード配列の発現に影響を与えることができる場合に、コード配列と機能的に連結されている(すなわち、コード配列は、プロモーターの転写制御下にある)。コード配列は、センス方向又はアンチセンス方向に制御配列と機能的に連結され得る。
【0058】
「発現」という用語は、本明細書で使用される場合、当業者にとってのその通常及び慣例の意味が与えられるべきであり、本技術の核酸断片に由来するセンス(mRNA)又はアンチセンスRNAの転写及び安定な蓄積を指すために制限なく使用される。「過剰発現」は、正常又は非形質転換生物における産生レベルを超える、遺伝子導入又は組換え生物における遺伝子産物の産生を指す。
【0059】
「形質転換」は、当業者にとってのその通常及び慣例の意味が与えられるべきであり、ポリヌクレオチドの標的細胞内への転移を指すために制限なく使用される。転移されたポリヌクレオチドは標的細胞のゲノム又は染色体DNA内に取り込まれ、遺伝学的に安定した遺伝をもたらすこともできるし、あるいは宿主染色体と関係なく複製することもできる。形質転換された核酸断片を含有する宿主生物は、「遺伝子導入」又はと呼ばれる。
【0060】
「形質転換」、「遺伝子導入」、及び「組換え」という用語は、本明細書において宿主細胞と関連して使用される場合、当業者にとってのそのそれぞれの通常及び慣例の意味が与えられるべきであり、異種核酸分子が導入された宿主生物の細胞、例えば植物又は微生物細胞を指すために制限なく使用される。核酸分子は宿主細胞のゲノム内に安定して組み込まれることもできるし、あるいは核酸分子は染色体外分子として存在することもできる。このような染色体外分子は自己複製することができる。形質転換された細胞、組織、又は対象は、形質転換プロセスの最終産物だけでなく、その遺伝子導入子孫も包含することが理解される。
【0061】
「組換え」、「異種」、及び「外因性」という用語は、本明細書においてポリヌクレオチドと関連して使用される場合、当業者にとってのそのそれぞれの通常及び慣例の意味が与えられるべきであり、特定の宿主細胞に対して外来性である起源に由来するか、あるいは同じ起源に由来する場合はその元の形態から改変されたポリヌクレオチド(例えば、DNA配列又は遺伝子)を指すために制限なく使用される。従って、宿主細胞中の異種遺伝子は、特定の宿主細胞に対して内因性であるが、例えば、部位特異的変異誘発又は他の組換え技術の使用により改変された遺伝子を含む。この用語は、天然に存在するDNA配列の天然に存在しない複数コピーも含む。従って、この用語は、細胞に対して外来性又は異種であるか、あるいは細胞に対して相同であるが、その要素が通常見出されない宿主細胞内の位置又は形態にあるDNAセグメントを指す。
【0062】
同様に、「組換え」、「異種」及び「外因性」という用語は、本明細書においてポリペプチド又はアミノ酸配列と関連して使用される場合、特定の宿主細胞に対して外来性である起源に由来するか、あるいは同じ起源に由来する場合はその元の形態から改変されたポリペプチド又はアミノ酸配列を意味する。従って、組換えDNAセグメントは宿主細胞において発現されて、組換えポリペプチドを生じることができる。
【0063】
「プラスミド」、「ベクター」、及び「カセット」という用語は、当業者にとってのそのそれぞれの通常及び慣例の意味が与えられるべきであり、細胞の中央代謝の一部ではなく、通常環状二本鎖DNA分子の形態である遺伝子を保有することが多い染色体外要素を指すために制限なく使用される。このような要素は、任意の起源に由来する自己複製配列、ゲノム組込み配列、ファージ又はヌクレオチド配列、線状又は環状の一本鎖又は二本鎖DNA又はRNAであってもよく、ここで、いくつかのヌクレオチド配列は、選択された遺伝子産物のためのプロモーター断片及びDNA配列を、適切な3’非翻訳配列と共に細胞内に導入することができる特有の構成に連結又は組換えられている。
【0064】
「形質転換カセット」は、外来性遺伝子を含有し、外来性遺伝子に加えて特定の宿主細胞の形質転換を促進する要素を有する特定のベクターを指す。
【0065】
「発現カセット」は、外来性遺伝子を含有し、外来性遺伝子に加えて、外来性宿主におけるその遺伝子の発現の増強を可能にする要素を有する特定のベクターを指す。
【0066】
本開示は、B-glu1酵素による対象のステビオール配糖体の生成に関する。
【0067】
合成生物学
本明細書で使用される標準組換えDNA及び分子クローニング技術は当該技術分野においてよく知られており、例えば、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,2nd ed.;Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,N.Y.,1989(以下、「Maniatis」);及びSilhavy,T.J.,Bennan,M.L.and Enquist,L.W.EXPERIMENTS WITH GENE FUSIONS;Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,N.Y.,1984;及びAusubel,F.M.et al.,IN CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,GREENE PUBLISHING AND WILEY-INTERSCIENCEにより出版,1987によって記載されている(これらのそれぞれの全体は、参照によって本明細書中に援用される)。
【0068】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本開示の実施又は試験において、本明細書に記載されるものと類似又は等価の任意の方法及び材料を使用することができるが、好ましい材料及び方法は以下に記載される。
【0069】
グリコシル化は、生物活性と、植物の天然産物の貯蔵とを制御する広範な反応であると考えられることが多い。小分子のグリコシル化は、今まで研究されてきたほとんどの植物種におけるトランスフェラーゼのスーパーファミリーにより触媒される。これらのグリコシルトランスフェラーゼ(GT)は60を超えるファミリーに分類されている。これらのうち、UDPグリコシルトランスフェラーゼ(UGT)としても知られているGT酵素のファミリーは、UDP-活性化糖部分を特定の受容体分子へ転移させる。これらは、ステビオール配糖体中にこのような糖部分を転移させて、種々のレバウジオシドを形成する分子である。これらのUGTのそれぞれは、その独自の活性プロファイルと、その活性化糖部分を転移させる好ましい構造位置とを有する。
【0070】
産生系
原核生物におけるタンパク質の発現は、ほとんどの場合、融合又は非融合タンパク質のいずれかの発現を指示する構成的又は誘導性プロモーターを含有するベクターを用いて細菌宿主細胞において実行される。融合ベクターは、その中にコードされたタンパク質、通常は組換えタンパク質のアミノ末端にいくつかのアミノ酸を付加する。このような融合ベクターは、通常、3つの目的を果たす:1)組換えタンパク質の発現を増大させること;2)組換えタンパク質の溶解度を増大させること;及び3)アフィニティー精製におけるリガンドとしての役割を果たすことにより組換えタンパク質の精製を補助すること。多くの場合、融合タンパク質の精製の後に、組換えタンパク質を融合部分から分離できるようにするために、融合部分と組換えタンパク質との接合部にタンパク質分解的切断部位が導入される。このようなベクターは本開示の範囲内に含まれる。
【0071】
実施形態において、発現ベクターは、細菌細胞における組換えポリペプチドの発現のための遺伝要素を含む。細菌細胞における転写及び翻訳のための要素は、プロモーター、タンパク質複合体のコード領域、及び転写ターミネーターを含むことができる。
【0072】
当業者は、発現ベクターの調製に利用可能な分子生物学的技術を認識するであろう。本技術の発現ベクターへの取込みのために使用されるポリヌクレオチドは、上記のように、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの日常的な技術により調製することができる。
【0073】
相補的な付着末端を介してDNAをベクターに機能的に連結するためにいくつかの分子生物学的技術が開発されている。一実施形態では、ベクターDNAに挿入すべき核酸分子に相補的ホモポリマートラクトが付加され得る。ベクター及び核酸分子は次に、相補的ホモポリマーのテール間の水素結合により連結されて、組換えDNA分子を形成する。
【0074】
代替の実施形態では、提供される1つ又は複数の制限部位を含有する合成リンカーを使用して、本技術のポリヌクレオチドを発現ベクターに機能的に連結する。実施形態では、ポリヌクレオチドは、制限エンドヌクレアーゼ消化により生成される。実施形態では、核酸分子は、バクテリオファージT4DNAポリメラーゼ又は大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼI(突出3’-一本鎖末端をその3’-5’-エキソヌクレアーゼ活性により除去し、陥凹3’末端をその重合活性により埋める酵素)によって処理され、それにより平滑末端DNAセグメントが生成される。平滑末端セグメントは次に、バクテリオファージT4DNAリガーゼなどの、平滑末端DNA分子の連結を触媒することができる酵素の存在下で、多量のモル過剰のリンカー分子と共にインキュベートされる。従って、反応の生成物は、高分子リンカー配列をその末端に有するポリヌクレオチドである。これらのポリヌクレオチドは次に適切な制限酵素により切断され、ポリヌクレオチドの末端に適合する末端を生じる酵素で切断された発現ベクターに連結される。
【0075】
あるいは、連結に依存しないクローニング(ligation-independent cloning)(LIC)部位を有するベクターを使用することができる。次に、制限消化又は連結を伴うことなく、必要とされるPCR増幅ポリヌクレオチドがLICベクターにクローニングされ得る(Aslanidis and de Jong,NUCL.ACID.RES.18 6069-74,(1990)、Haun,et al,BIOTECHNIQUES 13,515-18(1992)(参照によって本明細書と一致する範囲で本明細書中に援用される))。
【0076】
実施形態において、選択されたプラスミド内への挿入のために、対象のポリヌクレオチドを単離及び/又は改変するためには、PCRを使用することが適切である。配列のPCR調製で使用するのに適切なプライマーは、必要とされる核酸分子のコード領域を単離し、制限エンドヌクレアーゼ又はLIC部位を付加し、所望のリーディングフレーム内にコード領域を配置するように設計することができる。
【0077】
実施形態において、本技術の発現ベクター内への取込みのためのポリヌクレオチドは、適切なオリゴヌクレオチドプライマーを用いるPCRの使用により調製される。コード領域は増幅され、プライマー自体は増幅配列産物内に取り込まれる。実施形態において、増幅プライマーは制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含有し、これは、増幅配列産物が適切なベクター内にクローニングされることを可能にする。
【0078】
発現ベクターは、従来の形質転換又はトランスフェクション技術により組換え宿主細胞(例えば植物又は微生物宿主細胞)内に導入され得る。本技術の発現ベクターによる適切な細胞の形質転換は当該技術分野において既知の方法によって達成され、通常、ベクター及び細胞のタイプの両方に依存する。適切な技術には、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、ケモポレーション(chemoporation)又はエレクトロポレーションが含まれる。
【0079】
形質転換に成功した細胞、すなわち発現ベクターを含有する細胞は、当該技術分野においてよく知られた技術により特定され得る。例えば、本技術の発現ベクターがトランスフェクトされた細胞を培養して、本明細書に記載されるポリペプチドを生成させることができる。当該技術分野においてよく知られた技術により、発現ベクターDNAの存在について細胞を検査することができる。
【0080】
宿主細胞は、既に記載された発現ベクターの単一コピー、あるいは発現ベクターの複数コピーを含有することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、形質転換細胞は動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、藻類細胞、真菌細胞、又は酵母細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、キャノーラ植物細胞、ナタネ植物細胞、ヤシ植物細胞、ヒマワリ植物細胞、綿植物細胞、コーン植物細胞、ピーナッツ植物細胞、亜麻植物細胞、ゴマ植物細胞、大豆植物細胞、及びペチュニア植物細胞からなる群から選択される植物細胞である
【0082】
微生物宿主細胞及び他の宿主細胞の発現系、及び外来性タンパク質の高レベルの発現を指示する制御配列を含有する発現ベクターは、当業者によく知られている。これらはいずれも、微生物宿主細胞における本技術の組換えポリペプチドの発現のためのベクターを構築するために使用され得る。これらのベクターは次に、本技術の組換えポリペプチドの高レベルの発現を可能にするために、形質転換により適切な微生物に導入され得る。
【0083】
適切な微生物宿主細胞及び他の宿主細胞の形質転換のために有用なベクター又はカセットは当該技術分野においてよく知られている。通常、ベクター又はカセットは、関連のポリヌクレオチドの転写及び翻訳を指示する配列、選択可能なマーカー、ならびに自己複製又は染色体組込みを可能にする配列を含有する。適切なベクターは、転写開始制御を含有するポリヌクレオチドの5’の領域と、転写終結を制御するDNA断片の3’の領域とを含む。両方の制御領域が形質転換宿主細胞と相同の遺伝子に由来するのが好ましいが、このような制御領域は、宿主として選択された特定の種にネイティブな遺伝子に由来する必要はないと理解されるべきである。
【0084】
所望の微生物宿主細胞又は他の宿主細胞における組換えポリペプチドの発現を指示するのに有用な開始制御領域又はプロモーターは多数あり、当業者によく知られている。これらの遺伝子を駆動することができるプロモーターは実質的にどれも本技術に適しており、CYCI、HIS3、GALI、GALIO、ADHI、PGK、PH05、GAPDH、ADCI、TRPI、URA3、LEU2、ENO、TPI(サッカロミセス属(Saccharomyces)における発現に有用);AOXI(ピキア属(Pichia)における発現に有用);ならびにlac、trp、JPL、IPR、T7、tac、及びtrc(大腸菌(Escherichia coli)における発現に有用)が含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
また終結制御領域は微生物宿主にネイティブな種々の遺伝子に由来してもよい。終結部位は、任意選択的に、本明細書に記載される微生物宿主のために含まれ得る。
【0086】
植物細胞において、本技術の発現ベクターは、所望の組織において所望の発生段階で本技術の組換えポリペプチドの発現を指示することができるプロモーターに機能的に連結されたコード領域を含むことができる。便宜上、発現されるポリヌクレオチドは、同じポリヌクレオチドに由来するプロモーター配列及び翻訳リーダー配列を含み得る。転写終結シグナルをコードする3’非コード配列も存在すべきである。発現ベクターは、ポリヌクレオチドの発現を促進するために1つ又は複数のイントロンも含み得る。
【0087】
植物宿主細胞の場合、本技術のベクター配列において、コード領域の発現を誘導することができる任意のプロモーター及び任意のターミネーターの任意の組合せが使用され得る。プロモーター及びターミネーターのいくつかの適切な例には、ノパリンシンターゼ(nos)、オクトピンシンターゼ(ocs)及びカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)遺伝子からのものが含まれる。使用され得る効率的な植物プロモーターの1つのタイプは、高レベル植物プロモーターである。本技術の発現ベクターと機能的に連結しているこのようなプロモーターは、ベクターの発現を促進できなければならない。本技術において使用され得る高レベル植物プロモーターには、例えばダイズ由来のリブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼの小サブユニットのプロモーター(Berry-Lowe et al.,J.MOLECULAR AND APP.GEN.,1:483 498(1982)、その全体は、本明細書と一致する範囲で本明細書中に援用される)、及びクロロフィルalb結合タンパク質のプロモーターが含まれる。これらの2つのプロモーターは植物細胞において光誘導性であることが知られている(例えば、GENETIC ENGINEERING OF PLANTS,AN AGRICULTURAL PERSPECTIVE,A.Cashmore,Plenum,N.Y.(1983)、pages 29 38;Coruzzi,G.et al.,The Journal of Biological CHEMISTRY、258:1399(1983)、及びDunsmuir,P.et al.,JOURNAL OF MOLECULAR AND APPLIED GENETICS,2:285(1983)を参照、これらはそれぞれ、参照によって本明細書と一致する範囲で本明細書中に援用される)。
【0088】
細胞破壊技術
細胞破壊は、細胞の内部から対象の生体分子を放出させるために使用される技術の集まりである。バイオ技術で生成される多くの化合物は細胞内にあり、回収の前に細胞から放出させなければならない。生成物の効率的な回収は細胞破壊を必要とし、これは、対象の生体分子及び使用される細胞系に応じて異なる方法及び技術(機械的又は非機械的な方法のいずれか)を用いることにより達成され得る。全ての破壊方法は、対象の分子、ここではステビオール配糖体と、溶解物内の対象のタンパク質の分解を引き起こし得る他の分子とを放出することに注意すべきである。これを防止するために、タンパク質の活性が下流の作用にとって重要であるかどうかを考慮することが必要である。高度の変性溶液又は高いpHにおけるサンプルの溶解は、酵素活性を最小化する。また氷上又はより低温での破壊の実施は、サンプルの分解を最小化するのに役立つであろう。従って、プロテアーゼ活性を阻害するための1つの技術は、一般的なホスファターゼ阻害剤混合物を、破壊された時点で溶解物が利用できるようにすることである。
【0089】
本開示に従って使用可能な既知の破壊技術
標準的な破壊は、機械的均質化、フレンチプレス、超音波処理、ビーズ均質化、粉砕、凍結融解溶解(freeze-thaw lysis)、洗剤溶解、酵素溶解及び浸透圧溶解からなる。
【0090】
機械的均質化は、組織を均質化するために、ダウンス型ホモジナイザーのような携帯型デバイス、又はブレンダ―のようなものの使用を含む。この方法は、非種子植物タイプの材料又は軟組織(すなわち、肝組織)に有用である。
【0091】
フレンチプレスは、組織を均質化するためにせん断力を使用する。これの一例は、細胞懸濁液を取り、シリンジバレル及びプランジャーを用いて狭いゲージのシリンジからそれを押し出すことであろう。これは、細菌、酵母、真菌、藻類及び哺乳類の細胞培養物で効果があるが、スケールアップが困難である。
【0092】
超音波処理は、組織を破壊するために超音波の短いバーストを使用する。この方法は大量の熱を発生させ、タンパク質を保持するために、通常氷上で実施されなければならないであろう。この方法も細菌、酵母、真菌、藻類及び哺乳類の細胞培養物に対して有効であり、本開示のために好ましい方法である。
【0093】
ビーズ均質化は、組織又は細胞懸濁液と共にボルテックスしながら穏やかな摩耗を適用するために、ガラス又は金属ビーズの使用を伴う。粉砕は、組織サンプルを均質化するために、乳鉢及び乳棒の使用を伴う。最も一般的な方法は、液体窒素を用いてサンプルを凍結及び粉砕することである。凍結融解溶解はほとんど文字通りであり、液体窒素又はフリーザーを用いて細胞を凍結させ、次に細胞を融解させる。細胞が凍結されると、細胞内部の水が凍結して膨張し、細胞が破裂される。この方法は、哺乳類細胞に対して有効である。
【0094】
酵素溶解は、細胞壁を消化することができる酵素(すなわち、酵母細胞用のZymolyase)を含有する等浸透圧緩衝液中に細胞を懸濁させることからなる。この溶解方法は、サンプルの完全な溶解を保証するために、別の破壊技術(通常、超音波処理)と共に使用されることが多い。この技術は、細菌、酵母、真菌、藻類、非種子植物材料及び哺乳類の細胞培養物で有効であり、これも本開示において実施される技術である。
【0095】
洗剤溶解は、細胞膜を可溶化して細胞内容物を放出させるために、洗剤溶液中に細胞を懸濁させることを伴う。この方法も、完全な溶解を保証するために、一般に超音波処理などの別の溶解方法を使用する。この方法は、哺乳類細胞培養物で有効である。
【0096】
浸透圧溶解は、低張性(低塩)溶液中に細胞を懸濁させることを伴う。これにより、細胞は膨張し、最終的に破裂して、さらなる使用のために細胞の内容物を放出する。
【0097】
通常、本技術のインビトロ法では、組換えポリペプチド対基質の重量比は、乾燥重量ベースで、約1:100~約1:5、好ましくは約1:50~約1:10、より好ましくは約1:25~約1:15である。
【0098】
通常、インビトロ法の反応温度は約20℃~約40℃であり、適切には25℃~約37℃、より適切には28℃~約32℃である。
【0099】
当業者は、本明細書に記載される方法により生成されるステビオール配糖体組成物をさらに精製し、所望のフレーバー又は甘味料組成物を得るために他のステビオール配糖体、フレーバー、又は甘味料と混合することが可能であることを認識するであろう。例えば、本明細書に記載されるように生成されたレバウジオシドD4又はレバウジオシドMが強化された組成物を、主要なステビオール配糖体としてレバウジオシドAを含有する天然ステビア抽出物と、又は他の合成もしくは天然ステビオール配糖体製品と混合して、所望の甘味料組成物を作ることができる。あるいは、本明細書に記載されるステビオール配糖体組成物から得られる実質的に精製されたステビオール配糖体(例えば、レバウジオシドD4又はレバウジオシドM)は、他の甘味料、例えば、スクロース、マルトデキストリン、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム、アセスルファムカリウム、及びサッカリンと組み合わせることができる。当該技術分野において知られているように、他の甘味料に対するステビオール配糖体の量を調整して、所望の風味を得ることができる。本明細書に記載されるステビオール配糖体組成物(レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドD4、レバウジオシドM又はこれらの組合せを含む)は、食品(例えば、飲料、ソフトドリンク、アイスクリーム、乳製品、菓子類、シリアル、チューインガム、焼いた食品など)、健康補助食品、医学的栄養、及び医薬品中に含まれ得る。
【0100】
同一性スコアリングを用いた配列類似性の分析
本明細書で使用される場合、「配列同一性」は、最適に整列された2つのポリヌクレオチド又はペプチド配列が構成要素(例えば、ヌクレオチド又はアミノ酸)のアライメントのウィンドウ全体にわたって不変である程度を指す。試験配列及び参照配列の整列されたセグメントの「同一性分率」は、整列された2つの配列により共有される同一の構成要素の数を、参照配列セグメント(すなわち、参照配列全体又は参照配列のより小さい画定された部分)中の構成要素の総数で割ったものである。
【0101】
本明細書で使用される場合、「配列同一性パーセント」又は「同一性パーセント」という用語は、2つの配列が最適に整列された(適切なヌクレオチドの挿入、欠失、又はギャップが、比較のウィンドウにわたって、合計して参照配列の20パーセント未満である)ときに、試験(「対象」)ポリヌクレオチド分子(又はその相補鎖)と比べて、参照(「クエリ―」)ポリヌクレオチド分子(又はその相補鎖)の線状ポリヌクレオチド配列中における同一のヌクレオチドの割合を指す。比較ウィンドウを整列させるための配列の最適なアライメントは当業者に良く知られており、Smith及びWatermanの局所相同性アルゴリズム、Needleman及びWunschの相同性アライメントアルゴリズム、Pearson及びLipmanの類似性検索法などのツールによって、好ましくは、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実行、例えば、GCG(登録商標)Wisconsin Package(登録商標)(Accelrys Inc.,Burlington,MA)の一部として利用可能なGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTAなどによって実施され得る。試験配列及び参照配列の整列されたセグメントの「同一性分率」は、整列された2つの配列により共有される同一の構成要素の数を、参照配列セグメント(すなわち、参照配列全体又は参照配列のより小さい画定された部分)中の構成要素の総数で割ったものである。配列同一性パーセントは、同一性分率に100を掛けたもので表される。1つ又は複数のポリヌクレオチド配列の比較は、全長ポリヌクレオチド配列もしくはその一部に対するか、又はより長いポリヌクレオチド配列に対するものであり得る。本開示の目的のために、「同一性パーセント」は、翻訳されたヌクレオチド配列についてはBLASTXバージョン2.0、そしてポリヌクレオチド配列についてはBLASTNバージョン2.0を用いて決定されてもよい。
【0102】
配列同一性のパーセントは、好ましくは、Sequence Analysis Software Package(商標)(バージョン10;Genetics Computer Group,Inc.,Madison,WI)の「Best Fit」又は「Gap」プログラムを用いて決定される。「Gap」は、Needleman及びWunsch(Needleman and Wunsch,JOURNAL OF MOLECULAR BIOLOGY 48:443-453,1970)のアルゴリズムを利用して、マッチの数を最大化すると共に、ギャップの数を最小化する2つの配列のアライメントを見出す。「BestFit」は、2つの配列間の類似性の最良セグメントの最適なアライメントを実施し、Smith及びWatermanの局所相同性アルゴリズム(Smith and Waterman,ADVANCES IN APPLIED MATHEMATICS,2:482-489,1981、Smith et al.,NUCLEIC ACIDS RESEARCH 11:2205-2220,1983)を用いて、マッチの数を最大化するためにギャップを挿入する。同一性パーセントは、最も好ましくは、「Best Fit」プログラムを用いて決定される。
【0103】
配列同一性を決定するための有用な方法は、National Library of Medicine,National Institute of Health,Bethesda,Md.20894においてNational Center Biotechnology Information(NCBI)から公に入手可能なBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)プログラムにも開示されている;BLAST Manual,Altschul et al.,NCBI,NLM,NIH;Altschul et al.,J.MOL.BIOL.215:403-410(1990)を参照されたい;バージョン2.0以上のBLASTプログラムは、ギャップ(欠失及び挿入)のアライメントへの導入を可能にする;ペプチド配列については、配列同一性を決定するためにBLASTXを使用することができる;そしてポリヌクレオチド配列については、配列同一性を決定するためにBLASTNを使用することができる。
【0104】
本明細書で使用される場合、「実質的な配列同一性パーセント」という用語は、少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約85%の同一性、少なくとも約90%の配列同一性、又はさらにより大きい配列同一性、例えば、約98%又は約99%の配列同一性である配列同一性パーセントを指す。従って、本開示の一実施形態は、本明細書に記載されるポリヌクレオチド配列との少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約85%の同一性、少なくとも約90%の配列同一性、又はさらにより大きい配列同一性、例えば、約98%又は約99%の配列同一性を有するポリヌクレオチド分子である。本開示のβグルコシダーゼ遺伝子の活性を有するポリヌクレオチド分子は、様々なステビオール配糖体の産生を指示することができ、本明細書で提供されるポリヌクレオチド配列に対して実質的な配列同一性パーセントを有し、本開示の範囲内に包含される。
【0105】
同一性及び類似性
同一性は、配列のアライメントの後に一対の配列の間で同じであるアミノ酸の分率であり(これは、配列情報又は構造情報又は何らかの他の情報のみを用いて行なうことができるが、通常は配列情報のみに基づく)、類似性は、いくつかの類似性マトリックスを使用するアライメントに基づいて割り当てられたスコアである。類似性インデックスは、以下のBLOSUM62、PAM250、もしくはGONNET、又はタンパク質の配列アライメントのために当業者により使用される任意のマトリックスのいずれか1つであり得る。
【0106】
同一性は、2つのサブ配列間の一致の度合いである(配列間にギャップはない)。25%以上の同一性は機能の類似性を意味し、18~25%の同一性は、構造又は機能の類似性を意味する。2つの完全に無関係又はランダムな配列(残基が100を超える)が20%よりも高い同一性を有し得ることに留意する。類似性は、2つの配列が比較されたときの、これらの間の類似の度合いである。これは、その同一性に依存する。
【0107】
上記の記載から明らかであるように、本開示の特定の態様は、本明細書に示される実施例の具体的な詳細によって限定されず、従って、他の修正及び適用又はその等価物に当業者が気付き得ることが考えられる。従って、特許請求の範囲は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱しないこのような修正及び適用の全てを包含することが意図される。
【0108】
さらに、他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本開示の実施又は試験において、本明細書に記載されるものと類似又は等価の任意の方法及び材料を使用することができるが、好ましい方法及び材料は上記に記載される。
【0109】
上記の発明は、理解を目的として例証及び実施例によりいくらか詳細に記載されているが、特定の変化及び修正が実施され得ることは、当業者には明らかであろう。従って、説明及び実施例は、特許請求の範囲により画定される本発明の範囲を限定すると解釈されてはならない。
【0110】
本開示によると、新規の方法で、βグルコシダーゼ(「B-glu1」)を使用して、ステビオール配糖体を加水分解し、不要なステビオール配糖体の生成を低減することができる。ステビア抽出物又は発酵生成物中の望ましくないステビオール配糖体の存在は、ステビオール配糖体の全体的風味プロファイル及び有用性に影響を与える。生成ステップを減少させることにより、本開示は、ステビア粗抽出物中の所望のステビオール配糖体の精製及び生成コストの両方を低減するであろう。
【0111】
本開示は、以下の非限定的な実施例を考慮してより詳細に理解されるであろう。以下の実施例は本技術の好ましい実施形態を示しているが、単なる例証として示されることは理解されるべきである。上記の考察及びこれらの実施例から、当業者は本技術の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の使用及び条件に適合させるために本技術の種々の変化及び修正を行なうことができる。
【実施例】
【0112】
実施例1:ピキア・パストリス(Pichia Pastoris)におけるβグリコシダーゼの同定
本開示に従って、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)ゲノム分析を完了させ、いくつかのβグリコシダーゼ候補遺伝子を同定した。全ての候補βグルコシダーゼ遺伝子の全長DNA断片を商業的に合成した。cDNAのほとんど全てのコドンを大腸菌(E.coli)にとって好ましいものに変化させた(Genscript,NJ)。合成したDNAを細菌発現ベクターpETite N-His SUMO Kanベクター(Lucigen)にクローニングした。これらの同じ実験は、このような使用に最適化された配列を有するヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)において実施され得る。
【0113】
それぞれの発現構築物を大腸菌(E.coli)BL21(DE3)に形質転換させ、続いてこれを、0.8~1.0のOD600に到達するまで、50μg/mLのカナマイシンを含有するLB培地中37℃で成長させた。1mMのイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加によりタンパク質発現を誘導し、培養物を16℃で22時間、さらに成長させた。遠心分離(3,000xg;10分;4℃)により細胞を回収した。細胞ペレットを捕集し、直ちに使用するか、あるいは-80℃で貯蔵した。
【0114】
典型的な細胞ペレットを溶解緩衝液(50mMのリン酸カリウム緩衝液、pH7.2、25ug/mlのリゾチーム、5ug/mlのデオキシリボヌクレアーゼI、20mMのイミダゾール、500mMのNaCl、10%のグリセロール、及び0.4%のTRITON X-100)中に再懸濁させた。4℃より低い温度で超音波処理により細胞を破壊し、遠心分離(18,000xg;30分)により細胞片を浄化した。上清を平衡化(平衡化緩衝液:50mMのリン酸カリウム緩衝液、pH7.2、20mMのイミダゾール、500mMのNaCl、10%のグリセロール)Ni-NTA(Qiagen)アフィニティカラムにロードした。タンパク質サンプルをロードした後、カラムを平衡化緩衝液で洗浄して、非結合汚染物質タンパク質を除去した。Hisタグ化βグルコシダーゼ組換えポリペプチドを、250mMのイミダゾールを含有する平衡化緩衝液により溶出させた。
【0115】
種々のステビオール配糖体を基質として使用することにより、精製した候補βグルコシダーゼ組換えポリペプチドを脱グリコシル化活性についてアッセイした。通常、組換えポリペプチド(10μg)を、300μlのインビトロ反応系で試験した。反応系は、50mMのリン酸カリウム緩衝液、pH7.2、1mg/mlのステビオール配糖体を含有する。反応を30~37℃で実施し、種々の時点で200μLの1-ブタノールを添加することにより50ulの反応を終了させた。サンプルを200μLの1-ブタノールで3回抽出した。プールした画分を乾燥させ、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析のために100μLの80%メタノール中に溶解させた。
【0116】
ピキア属(Pichia)細胞を抽出緩衝液(50mMのリン酸カリウム緩衝液、pH7.2;150mMのNaCl)中に懸濁させた。超音波処理の後、4℃で12,000gに設定した遠心分離機により上澄み(粗抽出物)を捕集した。得られた粗タンパク質(50ug)を300ulのインビトロ反応系で試験した。反応系は、50mMのリン酸カリウム緩衝液、pH7.2、1mg/mlのステビオール配糖体を含有する。反応を30~37℃で実施し、種々の時点で200μLの1-ブタノールを添加することにより50ulの反応を終了させた。サンプルを200μLの1-ブタノールで3回抽出した。プールした画分を乾燥させ、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析のために100μLの80%メタノール中に溶解させた。
【0117】
次に、クォータナリポンプ、温度制御されたカラムコンパートメント、オートサンプラー及びUV吸光度検出器を含むDionex UPLC ultimate 3000システム(Sunnyvale,CA)を用いてHPLC分析を実施した。プールしたサンプル中のステビオール配糖体のキャラクタリゼーションのためにガードカラムを有するSynergi Hydro-RPカラム(Phenomenex)を使用した。HPLC分析における移動相として水中のアセトニトリルを使用した。HPLC分析で使用した検出波長は210nmであった。活性スクリーニングの後、βグルコシダーゼ(B-glu1、配列番号1)が関連のステビオール配糖体を切断するために強力な活性を有し、従って、対象のステビオール配糖体の生成において有用な手段であることを見出した。
【0118】
実施例2:組換えB-glu1及び破壊ピキア属(Pichia)細胞の使用によるルブソシドの加水分解
ルブソシドは組換えB-glu1酵素及び破壊ピキア属(Pichia)細胞によって加水分解されて、ステビオール-13-グルコシドを生成することができる。生成したステビオール-13-グルコシドは続いて加水分解されて、ステビオールを生成することができる(
図1B)。反応は、実施例1に記載されるように設定した。1g/Lのルブソシドを基質として反応に添加した。
図1Aに示されるように、B-glu1はルブソシドのC19位からグルコシル基を除去して、ステビオール-13-グルオシド(gluoside)を生成することができる(
図1A-c)。生成したステビオール-13-グルコシド(gluocside)(S-13-G)は、その後の時点でステビオールに変換され得る(
図1A-d)。B-glu1は、ステビオール-13-グルコシドのC13位から別のグルコシル基を除去する。B-glu1はピキア属(Pichia)細胞の細胞間酵素なので、破壊ピキア属(Pichia)細胞はB-glu1酵素を放出し、これは、ルブソシドをステビオール-13-グルコシドに加水分解し、継続してステビオールを生成するために同じ酵素活性を有する(
図1A-e及びf)。
【0119】
実施例3:組換えB-glu1及び破壊ピキア属(Pichia)細胞の使用によるステビオシドの加水分解
ステビオシドは組換えB-glu1酵素及び破壊ピキア属(Pichia)細胞によって加水分解されて、ステビオールビオシドを生成することができる(
図2B)。反応は、実施例1に記載されるように設定した。1g/Lのステビオシドを基質として反応に添加した。
図2に示されるように、B-glu1はステビオシドのC19位からグルコシル基を除去して、ステビオールビオシドを生成することができる(
図2A c及びd)。B-glu1はピキア属(Pichia)細胞の細胞間酵素なので、破壊ピキア属(Pichia)細胞はB-glu1酵素を放出し、これは、ステビオシドをステビオールビオシドに加水分解するために同じ酵素活性を有する(
図8C)。
【0120】
実施例4:組換えB-glu1及び破壊ピキア属(Pichia)細胞の使用によるレバウジオシドEの加水分解
レバウジオシドEは組換えB-glu1酵素によって加水分解されて、ステビオールビオシドを生成することができる(
図3B)。反応は、実施例1に記載されるように設定した。1g/LのレバウジオシドEを基質として反応に添加した。
図3に示されるように、B-glu1はレバウジオシドEのC19位からグルコシル基を除去して、ステビオシド及びステビオールビオシドを生成することができる(
図3A c~e)。B-glu1はピキア属(Pichia)細胞の細胞間酵素なので、破壊ピキア属(Pichia)細胞はB-glu1酵素を放出し、これは、レバウジオシドEをステビオールビオシドに加水分解するために同じ酵素活性を有する(
図8D)。
【0121】
実施例5:組換えB-glu1及び破壊ピキア属(Pichia)細胞の使用によるレバウジオシドAの加水分解
レバウジオシドAは組換えB-glu1酵素によって加水分解されて、レバウジオシドBを生成することができる(
図4B)。反応は、実施例1に記載されるように設定した。1g/LのレバウジオシドAを基質として反応に添加した。
図4に示されるように、B-glu1はレバウジオシドAのC19位からグルコシル基を除去して、レバウジオシドBを生成することができる(
図4A c~d)。B-glu1はピキア属(Pichia)細胞の細胞間酵素なので、破壊ピキア属(Pichia)細胞はB-glu1酵素を放出し、これは、レバウジオシドAをレバウジオシドBに加水分解するために同じ酵素活性を有する(
図8e)。
【0122】
実施例6:組換えB-glu1及び破壊ピキア属(Pichia)細胞の使用によるレバウジオシドIの加水分解
レバウジオシドIは組換えB-glu1酵素によって加水分解されて、レバウジオシドAを生成することができ、生成したAは加水分解されて、レバウジオシドBを生成することができる(
図5B)。反応は、実施例1に記載されるように設定した。1g/LのレバウジオシドIを基質として反応に添加した。
図5に示されるように、B-glu1はレバウジオシドIのC19位からグルコシル基を除去して、レバウジオシドAを生成することができ、続いて、レバウジオシドAのC19位の別のグルコシル基を除去して、レバウジオシドBを生成する(
図5A d~f)。レバウジオシドIは、24時間で完全にレバウジオシドAに変換され得る(
図5A f)。B-glu1はピキア属(Pichia)細胞の細胞間酵素なので、破壊ピキア属(Pichia)細胞はB-glu1酵素を放出し、これは、レバウジオシドIをレバウジオシドBに加水分解するために同じ酵素活性を有する(
図8f)。
【0123】
実施例7:組換えB-glu1及び破壊ピキア属(Pichia)細胞の使用によるレバウジオシドDの加水分解
レバウジオシドDは組換えB-glu1酵素によって加水分解されて、レバウジオシドB(
図6B)及びReb Aを生成することができる。反応は、実施例1に記載されるように設定した。1g/LのレバウジオシドDを基質として反応に添加した。
図6に示されるように、B-glu1はレバウジオシドDのC19位からグルコシル基を除去して、レバウジオシドを生成することができる(
図6A c~e)。B-glu1はピキア属(Pichia)細胞の細胞間酵素なので、破壊ピキア属(Pichia)細胞はB-glu1酵素を放出し、これは、レバウジオシドDをレバウジオシドBに加水分解するために同じ酵素活性を有する(
図8g)。
【0124】
実施例8:組換えB-glu1及び破壊ピキア属(Pichia)細胞の使用によるレバウジオシドGの加水分解
レバウジオシドGは組換えB-glu1酵素及び破壊ピキア属(Pichia)細胞によって加水分解されて、ステビオール-13-グルコシドを生成することができる。生成したステビオール-13-グルコシドは継続して加水分解されて、ステビオールを生成することができる(
図7B)。反応は、実施例1に記載されるように設定した。1g/LのレバウジオシドGを基質として反応に添加した。
図7Aに示されるように、B-glu1はレバウジオシドGのC13及びC19位からグルコシル基を除去して、ステビオール-13-グルオシド(gluoside)を生成することができる(
図7A b~c)。生成したステビオール-13-グルコシド(gluocside)(S-13-G)は、ステビオールに変換される(
図7A)。生成したステビオール-13-グルコシドは、24時間で完全にステビオールに変換される(
図7A d)。B-glu1は、ステビオール-13-グルコシドのC13位から別のグルコシル基を除去する。B-glu1はピキア属(Pichia)細胞の細胞間酵素なので、破壊ピキア属(Pichia)細胞はB-glu1酵素を放出し、これは、レバウジオシドGをステビオール-13-グルコシドに加水分解し、継続してステビオールを生成するために同じ酵素活性を有する(
図7A e)。
【0125】
本開示に従って、我々は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞溶解物に対するβグルコシダーゼの酵素活性を同定及び定量化した。この酵素は、特定のステビオール配糖体の加水分解を可能にする特定の活性を有する(表1)。
図7を参照すると、Reb Gは、B-glu1酵素及び破壊ピキア属(Pichia)細胞によって加水分解される。HPLCは、Reb Gの加水分解の生成物を示す。この試みでは、ステビオール(「S」);ステビオール-13-グルコシド(「S-13-G」);ルブソシド(「Rub」)が生成された。時間の経過は、24時間にわたる一連の時点であった。組換えピキア・パストリス(Pichia pastoris)培養物によってステビオール-13-グルコシド(「S-13-G」)及びステビオールが生成された。
【0126】
この技術を用いて、我々は、Reb Mを加水分解して、Reb A、Reb D3、Reb D4、Reb W、Reb V、Reb E、Reb I及びReb Dを除去し、精製効力を増大させた(
図9)。この技術は、βグルコシダーゼ生物変換によりステビオール、ステビオール-13-O-グルコシド、ステビオールビオシド及びReb Bを生成するためにステビオシド及びReb Aの使用を伴う。
図8を参照すると、ステビオール配糖体は、破壊ピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞によって加水分解された。サンプルは、ステビオールビオシド(「SB」)及びレバウジオシドB(「B」)標準物を含んだ。我々の実験では、ステビオシドは、破壊ピキア属(Pichia)細胞により24時間で加水分解され、Reb E及びReb Aは、破壊ピキア属(Pichia)細胞により24時間で加水分解された。同様に、Reb I及びReb Dは、破壊ピキア属(Pichia)細胞により24時間で加水分解された(
図8)。
【0127】
本開示の別の実施形態では、我々は、ステビオール配糖体の生成経路を制御するためにβグルコシダーゼを使用することができる(例えば、Reb WからReb M)(
図10)。
【0128】
本開示の好ましい実施形態によると、βグルコシダーゼは、Reb V、Reb W、Reb Z1、Reb Z2、Reb D3及びReb D4を含む付加的なステビオール配糖体を加水分解して、これらを対象のステビオール配糖体にするために使用することができる(
図9)。その後、我々は、加水分解生成物を分離、捕集及び濃縮することができる。本開示の別の実施形態では、我々は、我々の生物変換プロセスにおいて副生成物を低減するβグルコシダーゼ欠損株を使用する。
【0129】
表1:B-glu1によるステビオール配糖体の加水分解の概要
【表1】
【0130】
産業上の利用可能性/技術分野の記述
本開示は、食品、飼料、飲料、及び薬理学的な産業における適用性を有する。本開示は、一般に、βグルコシダーゼの加水分解を用いるステビオール配糖体の生合成のための方法に関する。
【0131】
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1.Brandle,J.E.et al.,(1998).Stevia Rebaudiana:Its Agricultural,Biological,and Chemical Properties,CANADIAN J.PLANT SCIENCE.78(4):527-36.
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7.Prakash I.,et al.,Development of Next Generation Stevia Sweetener:Rebaudioside M,FOODS,2014,3:162-175.
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【0132】
対象の配列:
配列:
B-glu1:
B-glu1アミノ酸:(配列番号1)ピキア・パストリス(Pichia pastoris)配列(GS115)
【0133】
B-glu1 DNA:(配列番号2)(大腸菌(E.coli)に対するコドン最適化)
【0134】
B-glu2アミノ酸:(配列番号3)ピキア・パストリス(Pichia pastoris)配列(GS115)
【0135】
B-glu2 DNA(配列番号4)ピキア・パストリス(Pichia pastoris)配列(GS115)
【0136】
B-glu3アミノ酸(配列番号5)ピキア・パストリス(Pichia pastoris)配列(GS115)
【0137】
B-glu3 DNA(配列番号6)ピキア・パストリス(Pichia pastoris)配列(GS115)
【0138】
B-glu4アミノ酸(配列番号7)ピキア・パストリス(Pichia pastoris)配列(GS115)
【0139】
B-glu4 DNA(配列番号8)ピキア・パストリス(Pichia pastoris)配列(GS115)
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕ステビオール配糖体のグリコシル化を変更する方法であって、
a)第1の基質を産生するように改変された組換え微生物、藻類又は植物細胞を提供することと、
b)前記組換え微生物、藻類又は植物細胞を破壊してその細胞サイトゾルを放出させることであって、このようなサイトゾルが前記第1の基質を含有することと、
c)前記組換え微生物、藻類又は植物細胞から前記サイトゾルを得ることと、
d)前記第1の基質から少なくとも1つのグルコシル基を除去することにより対象の第2の基質を生成するのに十分な時間、前記サイトゾルをβグルコシダーゼに曝露することであって、このようなβグルコシダーゼが加水分解活性を有することと、
e)前記対象の第2の基質を捕集することと
を含む方法。
〔2〕前記第1の基質がステビオール配糖体である、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記加水分解活性が、前記ステビオール配糖体のC19位からグルコシル基を除去する機能を果たす、前記〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記加水分解活性が、前記ステビオール配糖体のC13位からグルコシル基を除去する機能を果たす、前記〔2〕に記載の方法。
〔5〕前記加水分解活性が、前記ステビオール配糖体のC19位又は前記ステビオール配糖体のC13位のいずれかからグルコシル基を除去する機能を果たす、前記〔2〕に記載の方法。
〔6〕前記加水分解活性が、前記ステビオール配糖体のC19位及び前記基質のC13位の両方からグルコシル基を除去する機能を果たす、前記〔2〕に記載の方法。
〔7〕前記加水分解活性が、ルブソシドのC19位からグルコシル基を除去して、ステビオール-13-グルオシド(gluoside)を生成する機能を果たす、前記〔3〕に記載の方法。
〔8〕前記加水分解活性が、ステビオシドのC19位からグルコシル基を除去して、ステビオールビオシドを生成する機能を果たす、前記〔3〕に記載の方法。
〔9〕前記加水分解活性が、Reb EのC19位からグルコシル基を除去して、ステビオールビオシドを生成する機能を果たす、前記〔3〕に記載の方法。
〔10〕前記加水分解活性が、Reb IのC19位からグルコシル基を除去して、Reb Aを生成する機能を果たす、前記〔3〕に記載の方法。
〔11〕前記加水分解活性が、Reb AのC19位からグルコシル基を除去して、Reb Bを生成する機能を果たす、前記〔3〕に記載の方法。
〔12〕前記加水分解活性が、ステビオール-13-グルオシド(gluoside)のC13位からグルコシル基を除去して、ステビオールを生成する機能を果たす、前記〔4〕に記載の方法。
〔13〕前記加水分解活性が、Reb DのC13位からグルコシル基を除去して、Reb B又はReb Aを生成する機能を果たす、前記〔4〕に記載の方法。
〔14〕前記加水分解活性が、Reb GのC19位及びC13位からグルコシル基を除去して、ステビオール-13-グルコシドを生成する機能を果たす、前記〔5〕に記載の方法。
〔15〕前記対象の第2の基質がReb Mである、前記〔1〕に記載の方法。
〔16〕前記対象の第2の基質がReb Bである、前記〔1〕に記載の方法。
〔17〕前記対象の第2の基質がReb Aである、前記〔1〕に記載の方法。
〔18〕酵素加水分解の速度を増大させるために、βガラクトシダーゼ又はペクチナーゼ酵素の使用をさらに含む、前記〔1〕~〔17〕のいずれか一項に記載の方法。
〔19〕形質転換細胞系においてステビオール配糖体を発現させることと、
前記細胞系を培地中で成長させることと、
前記対象の第2の基質を生じさせることと
をさらに含む、前記〔1〕~〔18〕のいずれか一項に記載の方法。
〔20〕前記第1の基質への前記βグルコシダーゼの曝露の時間が少なくとも6時間である、前記〔1〕~〔19〕のいずれか一項に記載の方法。
〔21〕前記第1の基質への前記βグルコシダーゼの曝露の時間が少なくとも12時間である、前記〔1〕~〔19〕のいずれか一項に記載の方法。
〔22〕前記第1の基質への前記βグルコシダーゼの曝露の時間が少なくとも18時間である、前記〔1〕~〔19〕のいずれか一項に記載の方法。
〔23〕前記第1の基質への前記βグルコシダーゼの曝露の時間が少なくとも24時間である、前記〔1〕~〔19〕のいずれか一項に記載の方法。
〔24〕前記対象の第2の基質がステビオール配糖体である、前記〔1〕に記載の方法。
〔25〕前記βグルコシダーゼが、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、前記〔1〕~〔24〕のいずれか一項に記載の方法。
〔26〕前記βグルコシダーゼが、配列番号3と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、前記〔1〕~〔24〕のいずれか一項に記載の方法。
〔27〕前記組換え微生物、藻類又は植物細胞が、細菌、酵母、糸状菌、シアノバクテリア藻類及び植物細胞からなる群から選択される、前記〔1〕~〔26〕のいずれか一項に記載の方法。
〔28〕前記組換え微生物が、エシェリキア属(Escherichia)、サルモネラ属(Salmonella)、バチルス属(Bacillus)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、メチロサイナス属(Methylosinus)、メチロモナス属(Methylomonas)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ロドバクター属(Rhodobacter)、シネコシスティス属(Synechocystis)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ジゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、カンジダ属(Candida)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、デバリオミセス属(Debaryomyces)、ムコール属(Mucor)、ピキア属(Pichia)、トルロプシス属(Torulopsis)、アスペルギルス属(Aspergillus)、アルツロボトリス属(Arthrobotlys)、ブレビバクテリア属(Brevibacteria)、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、シトロバクター属(Citrobacter)、エシェリキア属(Escherichia)、ヤロウイア属(Yarrowia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、パンテア属(Pantoea)、サルモネラ属(Salmonella)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、及びクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)からなる群から選択される、前記〔1〕~〔26〕のいずれか一項に記載の方法。
〔29〕前記対象の第2の基質がReb Eである、前記〔1〕に記載の方法。
〔30〕前記第2の基質が、Reb E、Reb D4及びReb Mの混合物である、前記〔1〕に記載の方法。
〔31〕前記対象の第2の基質がReb D4である、前記〔1〕に記載の方法。
〔32〕前記対象の第2の基質がステビオール配糖体混合物であり、この混合物のステビオール配糖体の合わせた含量が、乾燥ベースの重量で、前記サイトゾル由来の濃縮物の他の成分よりも多い、前記〔1〕に記載の方法。
〔33〕ステップe)の前記対象の第2の基質が粗生成物であり、ステップe)がさらに、i)前記粗生成物を精製すること、及びii)真空下で溶媒を除去して濃縮生成物を提供することを含む、前記〔1〕~〔32〕のいずれか一項に記載の方法。
〔34〕前記粗生成物がカラムクロマトグラフィによって精製される、前記〔33〕に記載の方法。
〔35〕前記粗生成物が酸-塩基抽出によって精製される、前記〔33〕に記載の方法。
〔36〕前記粗生成物が真空蒸留によって精製される、前記〔33〕に記載の方法。
〔37〕半分取HPLCを用いて前記濃縮生成物を精製することをさらに含む、前記〔33〕に記載の方法。
【配列表】