(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】表面特性を決定する多段階方法および調査装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/30 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
G01B11/30 102
(21)【出願番号】P 2020203174
(22)【出願日】2020-12-08
(62)【分割の表示】P 2015125721の分割
【原出願日】2015-06-23
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】10 2014 108 789.5
(32)【優先日】2014-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507231987
【氏名又は名称】ベーユプスィロンカー-ガードネル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー グロー
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-266445(JP,A)
【文献】特開平05-175310(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0109173(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0290696(US,A1)
【文献】特開2011-232192(JP,A)
【文献】特開平09-126744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調査される表面(10)の少なくとも1つの領域の少なくとも1つのトポグラフィ特性を決定する第1のステップと、
調査される前記表面(10)の少なくともこの領域の光学特性を決定して、この光学特性の特徴である少なくとも1つの値を生成する第2のステップと、
を含む、表面特性を決定する多段階方法であって、この方法は、調査される前記表面(10)の光学特性解析の分野で使用され、
前記第1のステップでは、第1の放射装置(2)によって、少なくとも2つの異なる方向から光が前記表面(10)に向けて放射され、前記第1の放射装置(2)からの光の放射方向と、前記表面(10)に対して直角を成す方向とは、45°~75°の角度を形成し、
表面の曲率および/または表面の曲率変化が異なる、前記表面(10)の少なくとも2つの表面領域が決定され、
前記第2のステップでは、第2の放射装置(6)によって、前記表面(10)に対して直角を成す方向に対して形成される10°未満の角度で光が前記表面(10)に向けて放射され、
前記表面(10)から反射および/または散乱された光の空間分解画像を記録し、該空間分解画像が前記第1のステップで決定されたトポグラフィ特性に基づいて細分されるように、該決定されたトポグラフィ特性に対応する特定の画素あるいは画素範囲を該空間分解画像から抽出して光学特性を決定する、多段階方法。
【請求項2】
前記第1の方法ステップでは、さらに、前記表面(10)の高さによって異なる複数の領域が決められ、各領域のトポグラフィ特性が決定される、ことを特徴とする、請求項1に記載の多段階方法。
【請求項3】
前記光学特性を決定するために、前記第1の放射装置(2)によって放射線が前記表面に向けて放射され、前記表面(10)によって反射および/または散乱された光は、放射線検出器(4)によって検出されることを特徴とする、請求項1または2に記載の多段階方法。
【請求項4】
前記放射線検出器(4)は、前記表面の空間分解画像を記録することを特徴とする、請求項3に記載の多段階方法。
【請求項5】
前記第2の放射装置(6)によって光が前記表面(10)に向けて放射され、前記表面(10)によって反射および/または散乱された光は、放射線検出器(4)によって検出されることを特徴とする、請求項1~4のうちの少なくとも一項に記載の多段階方法。
【請求項6】
前記光学特性を決定するため、および前記トポグラフィ特性を決定するために、同じ放射線検出器(4)が使用されることを特徴とする、請求項1~5のうちの少なくとも一項に記載の多段階方法。
【請求項7】
前記光学特性を決定するため、および前記トポグラフィ特性を決定するために、前記表面(10)にある同じ部分の画像が評価されることを特徴とする、請求項1~6のうちの少なくとも一項に記載の多段階方法。
【請求項8】
前記空間分解画像は、複数の画像セグメントに分割され、前記画像セグメントの少なくとも一部が第1の領域に割り当てられ、前記画像セグメントの少なくとも一部が第2の領域に割り当てられることを特徴とする、請求項1~7のうちの少なくとも一項に記載の多段階方法。
【請求項9】
調査される表面のトポグラフィを検出するためのトポグラフィ測定器(2、4)であって、調査される表面(10)に向けて少なくとも2つの異なる方向から光を放射する第1の放射装置(2)であって、前記第1の放射装置(2)からの光の放射方向と、前記表面(10)に対して直角を成す方向とが、45°~75°の角度を形成する第1の放射装置(2)、前記表面に向けて放射された光と前記表面(10)によって反射および/または散乱された光とを記録する第1の放射線検出器(4)、および前記第1の放射線検出器(4)によって記録されている光を基準として、調査される前記表面(10)の少なくとも1つのトポグラフィ特性を決定して、調査される前記表面(10)の前記トポグラフィ特性の特徴である少なくとも1つの測定値を生成する評価装置(24)を有し、表面の曲率および/または表面の曲率変化が異なる、前記表面(10)の少なくとも2つの表面領域を決定する、トポグラフィ測定器(2、4)と、
調査される前記表面(10)に向けて、前記表面(10)に対して直角を成す方向に対して形成される10°未満の角度で光を放射する第2の放射装置(6)、および前記表面(10)に向けて放射された光と前記表面(10)によって反射および/または散乱された光とを記録する放射線検出器(4)を有する第2の測定器(6、4)であって、前記放射線検出器(4)は到達する光の空間分解画像の記録を可能にする第2の測定器(6、4)とを有する、
表面特性の調査及び調査される表面(10)の光学特性解析のための装置(1)であって、
前記トポグラフィ測定器によって決定されたセグメント領域に関して、前記表面(10)の光学特性の特徴である値を生成するプロセッサ装置(22)を有し、
前記空間分解画像が前記決定されたトポグラフィ特性に基づいて細分されるように、該決定されたトポグラフィ特性に対応する特定の画素あるいは画素範囲を該空間分解画像から抽出して光学特性を決定する、調査装置(1)。
【請求項10】
前記調査装置
(1)は、
まず、前記第1の放射装置(2)が、表面(10)に光を放射し、
前記放射線検出器(4)が、前記表面(10)によって散乱および/または反射された光を記録し、次いで、
前記第2の放射装置(6)が、表面(10)に放射し、
前記放射線検出器(4)が、前記表面(10)によって散乱および/または反射された光を記録するように制御する制御装置を有する
ことを特徴とする、請求項9に記載の調査装置
(1)。
【請求項11】
前記調査装置
(1)は、前記放射線検出器(4)によって記録された画像の第1の部分領域(B1)を前記表面(10)の第1のトポグラフィ特性に割り当て、前記放射線検出器(4)によって記録された画像の第2の部分領域(B2)を第2のトポグラフィ特性に割り当てることを特徴とする、請求項9または10に記載の調査装置
(1)。
【請求項12】
前記第1の放射装置(2)は、前記第2の放射装置(6)とは異なる角度で前記表面(10)に向けて光を放射することを特徴とする、請求項9~11のうちの少なくとも一項に記載の調査装置
(1)。
【請求項13】
前記
トポグラフィ測定器(2、4)は、さらに、前記表面(10)の高さによって異なる複数の領域を決め、各領域のトポグラフィ特性を決定する、請求項9に記載の調査装置
(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、光学的に認識可能な特性に関して、表面を調査するための方法および装置に関する。多数の表面特性を調査する方法が先行技術から周知である。これらの方法は、多くは、例えば、照射光などの影響を考慮に入れた場合でも、個々にできる限り現実的もしくは客観的な表面の印象を取得することに関係している。したがって、これらの装置の中のいくつかの装置では、光は予め設定された角度で表面に照射され、表面によって散乱されたおよび/または反射された光は、画像記録装置(例えば、カメラ)を使用して観察される。
【0002】
さらに、先行技術からテクスチャ表面、すなわち、以下の説明では、長手方向に対して直角に、一定のテクスチャ、特に、トポグラフィ(例えば、粗さ、凹凸3次元テクスチャ、もしくは曲率)をさらに有する表面がわかる。原理上、このタイプのテクスチャ表面は光学的に評価されるべきであるが、1つには、特定の測定値もしくは現象が実際に観察された表面の色もしくは光沢の差によるものであるのか否か、またはこれらの印象が、例えば、シャドーイングおよびシェーディングの結果として現れる表面のテクスチャもしくはトポグラフィそれぞれによるものであるのか、もしくはこの装置の異なる方向から観察された領域によるものであるのか否かを光学的評価では決定することができないという問題が生じる。例えば、曲面もしくはテクスチャ表面が記録される場合、画像評価の結果は、調査される表面のこの曲率もしくはテクスチャから得ることができる。視覚的に観察されたテクスチャ、すなわち、表面の全体印象は、反射性とトポグラフィによって形成される。そして、反射性は、有向反射(光沢、DOI、もや、オレンジピール)および無向反射(塗料)に細分される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、表面のできる限り現実的な評価を行うことであり、特に、表面トポグラフィによって生じる影響を考慮する、もしくは区別することもできる観察を可能にすることである。上述の目的は、本発明によれば、独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態さらに発展形態は、従属請求項の主題を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の表面特性を決定する多段階方法では、第1のステップで、調査される表面の少なくとも1つの領域の少なくとも1つのテクスチャ特性および/またはトポグラフィ特性が決定される。調査される表面の少なくともこの領域の光学特性は、次の方法ステップで決定され、この光学特性の特徴である少なくとも1つの値が生成される。
【0005】
本発明によれば、この光学特性の特徴である値が決定される時に、この領域のテクスチャ特性もしくはトポグラフィ特性それぞれが考慮に入れられる。この場合、さまざまな方法で、この値を考慮に入れることができる。このように、決定される値は、決定されるトポグラフィ特性(例えば、表面の曲率)に左右される可能性もあり、例えば、この曲率が計算に含まれる可能性もある。さらに、以下でさらに詳細に説明するが、まず最初に、表面を異なるトポグラフィ特性を有する複数の領域に細分することが可能であり、その後、さらに評価するために、トポグラフィ特性を別個に考慮することができる。
【0006】
「考慮に入れる」という表現は、上述のトポグラフィ特性を、特に、これらの特性の特徴である少なくとも1つの測定値、もしくはこれらの特性から導出された値を評価の際に使用する、例えば、数学的に使用する形で、考慮に入れるという意味である。
【0007】
このように、例えば、特に、特定の領域もしくは特定の点において、表面の曲率もしくは垂直プロファイルの微分値を決定することができ、この値は、この点において特定された光学特性の特定の1つと数学的に(例えば、この値と光学特性の両方が結果値の決定もしくは計算それぞれに使用されるという意味で)比較することができる。測定器の配置を知ることで、測角器を使用せずに角度依存反射挙動を決定することができる。この場合、入射光および反射光の放射方向は、個々の表面領域もしくは表面点それぞれの表面垂線に対する方向であるのが好ましい。表面点とは、非常に小さい表面領域のことである。評価に関しては、観察方向と光の入射方向とが一致するのが有利である。しかし、曲率の代わりに、上記表面点の高さ(絶対的もしくは相対的)を使用することも可能である。上記表面点の高さから、さらに別の表面特性、例えば、より高い位置およびより低い位置にある表面セグメント間の反射の差を得ることができる。
【0008】
次の方法ステップにおいて、このトポグラフィ特性の異なるこの表面の少なくとも2つの領域が規定されるのが好ましい。さらに次の方法ステップで、調査される表面のこれらの領域のうちの少なくとも1つの光学特性が決定されるのが好ましい。さらに、これらの表面領域を別々に評価することが可能になる。また、(例えば、統計的評価の範囲内で)異なる表面領域の特性を互いに比較することも可能である。
【0009】
このプロシージャは、特に、粗いもしくは平坦でない表面またはテクスチャ表面の場合に適している。この場合、特に、山と谷の性質を示す3次元構造が含まれる場合に、この表面の「谷」と「山」は第1の方法ステップで互いに区別することができ、次の方法ステップで別々に処理することができる。次の評価において、これらの領域は別々に評価もしくは個々に測定することができる。例えば、測定される表面が特定の曲率を有する表面である場合、第1の方法ステップで決定されたこの曲率は光学的測定に組み込まれうる、もしくは評価中に組み込まれうる。これは、ソフトウェアを使用して行うことができる。
【0010】
測定方法は、品質管理、欠陥検出、および/または特性解析の分野で使用されるのが好ましい。調査される表面は、特に、プラスチック材料表面、ラッカー塗装表面、例えば、木もしくは皮革のような天然素材表面、繊維、紙、金属表面上のエンボス加工構造およびエッチング加工構造などの表面とすることができる。
【0011】
さまざまな適用分野において、許容領域を規定することができる。この場合、例えば、表面がまだ視覚的に同じであると見なされている許容領域を規定することができる。
【0012】
したがって、本発明の範囲で、2段階方法が提案される。第1の方法ステップでは、調査される表面がそのトポグラフィ特性に関して分析される、すなわち、表面の個々の領域の垂直位置h(x,y)(xとyは、この表面の直交する2つの伸長方向である)および/または曲率および/または曲率変化を分析することができる。トポグラフィを決定するために、表面の少なくとも2つの画像、好ましくは、少なくとも3つの画像、好ましくは、少なくとも4つの画像を記録するのが好ましい。この場合、これらの異なる記録では、表面は少なくとも部分的に異なる方向に照射されるのが好ましい。
【0013】
これらの領域は、表面に対して直角を成す方向に互いにずれた表面領域とすることができる。これらは、この表面の任意のサイズの副領域とすることができる。例えば、光学的もしくは視覚的に、視覚補助具を使用しないで、かろうじて検出可能な最小分解可能領域を互いに区別することも可能である。1つの配置である場合、最初に、例えば、第1の高さ位置範囲および第2の高さ位置範囲のトポグラフィ特性を規定し、その後、表面の個々の領域をこれらの高さ位置範囲に割り当てることができる。
【0014】
上記第2の方法ステップにおいて、この領域に応じて光学特性を選択もしくは決定することができる。このようにして、例えば、第2のステップでこれらの表面領域のみが評価されるが、そのトポグラフィ特性は第1の方法ステップの範囲内で予め設定された状態、例えば、特定の高さ位置もしくは特定の垂直範囲に対応する。このようにして、表面の評価の際に、上記トポグラフィ特性も評価することができる。
【0015】
さらに好適な方法では、トポグラフィ特性は、表面領域の高さ位置、表面領域の垂直プロファイル、表面領域の曲率、表面領域の曲率パターン、表面領域の曲率変化、表面領域の曲率変化パターンなどを含む特性群から選択される。特に、表面の高さ位置と曲率は、特にトポグラフィ特性の評価に関係している。
【0016】
好適な方法では、光学特性の調査の測定領域は、表面のトポグラフィ特性の特徴である少なくとも1つの測定値に基づいて規定される。
【0017】
すなわち、この場合、第1の方法ステップにおいて、表面は(例えば、垂直閾値を設定することによって)少なくとも2つの垂直領域に細分され、その後、トポグラフィ特性の測定値(例えば、高さ)に基づいて、これら2つの垂直領域に割り当てられ、第2の方法ステップで互いに区別される少なくとも2つのグループが形成される。上述したように、このトポグラフィサイズもしくはトポグラフィサイズの測定値はそれぞれ、有利には、この表面に対して直角を成す方向の表面のプロファイルとなる。
【0018】
さらに好適な方法では、この場合に、複数の異なる領域を規定することが可能になる。このように、例えば、第1の領域が、表面部分の高さによって、例えば、0~5μmの領域に規定され、別の領域が5~10μm、さらに別の領域が10~20μmに規定されうる。このようにして、調査される表面のトポグラフィ特性が空間分解して決定されるのが有利である。これは、表面の複数の副領域もしくは位置部分について、その都度トポグラフィ特性に対して1つの測定値が生成されるということである。次のステップにおいて、副領域もしくは位置部分のトポグラフィ特性が互いに比較されて、トポグラフィ特性から測定値が生成されるもしくは算出されるのが好ましい。
【0019】
さらに好適な方法では、光学特性を決定するために、放射装置によって放射線が表面に向けて放射され、表面によって反射および/または散乱された放射線は、放射線検出器によって検出される。このように、表面の光学特性を決定する方法は、有利には、表面によって反射および/または散乱された放射線を記録する光学的測定方法である。この場合、有利には、放射線検出器は表面の空間分解画像を記録することができる。次に、この空間分解画像が第1の方法ステップのトポグラフィ特性に基づいて細分されるのが有利である。このように、光学特性を決定するために、決定されたトポグラフィ特性に対応する特定の画素あるいは画素範囲を記録画像から抽出することができ、この場合、これらの領域のみを考慮に入れることが可能になる。このように、例えば、第1の測定の範囲で特定のトポグラフィ値となったこれらの画像部分(例えば、画素)のみを、光学特性を決定する範囲で考慮に入れることができる。
【0020】
放射線検出器は、調査される表面の平面に対して略直角に散乱および/または反射された放射線を記録するのが有利である。したがって、この実施形態では、放射線検出器は、調査される表面の略垂直上方に配置されるのが好ましい。しかし、別の検出方向も可能である。しかし、垂直方向に観察することにより、試料の向きに関係なく観察することができるという利点が得られる。
【0021】
光学特性を決定するためには、放射装置が表面に所定の角度を成して、つまり、表面に対する垂線もしくは直角を成す方向に対して、30°未満の角度、好ましくは20°未満、さらに好ましくは10°未満の角度で光を放射するのが有利である。この場合、第1の放射装置から出る放射線は、例えば、一部が透明なミラーなどの結合装置によって垂直方向に結合され、そのミラーを経由して放射線は表面から放射線検出器に到達する。このように、照射装置と検出装置は同一である。
【0022】
別の実施形態では、異なる波長の光を表面に連続して放射することができる。その結果、空間分解および/またはモノクロ検出器によって、空間分解色測定を行うことができる。あるいは、色の決定は、空間分解カラーセンサ、例えば、RGBカメラおよび多色放射線源を使用して行われる場合もある。
【0023】
光学特性(例えば、色)を調査するための照明は、特定の角度配置された平行光路、収束光路もしくは発散光路を利用して発生させることができる。例えば、積分球もしくは拡散器によって生成される空間拡散照明も同様に可能である。
【0024】
さまざまな照明検出装置も可能である。照明と検出との間の角度は、0°~90°の値、好ましくは30°~60°の値、特に好ましくは40°~50°の値とすることができる。
【0025】
一実施形態は、多色照明とスペクトル分解検出器とを含むことができ、別の実施形態では、照明に異なる波長の単色光を使用することができ、非スペクトル分解検出器を使用することができる。さらに、これらの方法の組み合わせも可能である。
【0026】
さらに有利な方法では、放射線検出器は、光学特性を決定するために、調査される表面の少なくとも2つの画像を記録する。このようにして、放射線検出器のダイナミクスを増すことができる。この場合、表面を異なる点灯時間で複数回記録することが好ましい。その後、このようにして記録されたこれらの画像を、好ましくは、低反射領域と高反射領域とを互いに比較できるように調整することができ、このようにして、全体画像の動的領域が増加する。このようにして、特に、同じ表面領域から記録された個々の画像で形成された全体画像を計算することができる。
【0027】
異なる点灯時間の個々の画像について、特定の輝度許容限度を規定することができる。この場合、全体画像の個々の画素の強度値は、例えば、平均化によって計算することができる。個々の画像をまとめる場合、過剰照射領域および照射不足領域を無視することができる。得られた全体画像は、個々の画像に比べて、輝度再現性に関して高いダイナミクスを有する。
【0028】
決定される表面の光学特性を、表面の反射性、表面の光沢、表面の色などを含む特性群から選択するのが好ましい。
【0029】
調査される表面の同じ領域を、第1の方法ステップおよび第2の方法ステップで少なくとも部分的に観察もしくは評価するのが好ましい。調査される表面の同じ領域が第1の方法ステップおよび第2の方法ステップで調査されるのが有利であるが、不可欠とは限らない。このように、それぞれの表面領域を同じ放射線検出装置もしくは放射線検出器を使用して記録することができ、有利である。
【0030】
第1の方法ステップおよび第2の方法ステップで同じ表面領域を分析する、もしくは同じ表面領域を位置合わせするために、例えば、投影点のようなマークを表面に投影して、そうすることで画像を画素ごとに一致するように重ね合わせることができる。これは、特に、異なる検出器が使用される場合に望ましい。すなわち、画像の個々の画素を識別して、表面の異なる点に割り当てることができる。別の画像を記録する場合、この割り当てを基準にして、この別の画像を最初に記録されている画像と位置合わせすることができる。このように、さらに、表面の異なる領域が第1の方法ステップおよび第2の方法ステップで容易に記録されれば、評価が可能である。このように、方法全体を通して、表面に対する画像記録装置の正確な位置を観察する必要はない。実際に、(望ましい、もしくは望ましくない)位置変化を考慮に入れることができる。このようにして、上記目的を達成するために、画像が変位によって画素合わせされるだけでなく、ズーミング、ティルティング、透視変換、ひずみ補正などの画像処理機能も適用することができる。
【0031】
さらに有利な方法では、トポグラフィ特性を決定するために、同様にして放射装置によって放射線が表面に向けて放射され、表面によって反射および/または散乱された放射線は、到達する放射線の空間分解画像を生成することができる放射線検出器によって検出される。そのためには、放射線検出器は、例えば、CCDもしくはCMOSチップ、またはカメラなどを有することができる。
【0032】
表面のトポグラフィ特性を決定するために、この表面は少なくとも2つ、好ましくは3つ以上の異なる方向から照射されるのが有利である。さらに好適な方法では、表面は、表面垂線もしくは表面に対して直角を成す方向と、40°~90°、好ましくは45°~85°、好ましくは45°~80°、好ましくは45°~75°の角度を成す方向から照射される。好適な配置では、放射線は、表面に対して比較的平坦な角度で表面に放射される。放射線検出器の点灯時間は、好ましくは、この場合、表面の光学特性に合わせるべきである。好ましくは、過剰照射領域および照射不足領域は回避されるべきである。
【0033】
同様に、角度の可変設定も可能である。このように、試料を照射して、その後、評価するのに最適な角度は、調査される表面の振幅および/または試料の反射率に基づいて選択することができる。また、異なる照明配置を器具内で実現することができ、および/または選択的に制御することができる。
【0034】
少なくとも2つの方向から表面に照射することから、光分析を用いて表面を測定することができる。このように、調査される表面のシャドーイングに基づく再構成が可能である。この場合、調査される表面の再構成は、好ましくは、表面の測光特性に基づいている。
【0035】
同様に、白色光干渉法、共焦点技術、もしくは三角測量法のような他の方法も可能である。
【0036】
さらに、表面は、(表面に対して直角を成す方向に対して)周囲に照射されることも可能である。さらに、表面は、パルス光で照射されることも可能である。この場合、画像の検出をこのパルス光放射と同期させることができる。
【0037】
再構成されたトポグラフィ特性、さらに別の表面特性が画像として符号化される。例えば、トポグラフィでは、白黒画像内で高さがグレートーンとして再現される。このタイプのデータ準備により、最新の画像分析を使用して分析を行うことができる。
【0038】
トポグラフィ特性を決定するために、さらに調査される表面の少なくとも2つの画像記録を行うことが好ましい。このように、多様な放射照度(領域のサイズに対する、表面に到達する入射電磁エネルギーの全パワー)を、特に、この場合、一致させる問題が生じることなく、画像表面点に割り当てることができる。
【0039】
したがって、観察する同じ表面領域の画像は少なくとも2回評価されるのが好ましく、この場合、トポグラフィ特性の評価は第1の評価で行われ、上記光学特性の評価は第2の評価の範囲で行われる。この場合、1つの画像のみを記録して、この画像をトポグラフィ特性と光学特性の両方に関して評価することが可能になる。しかし、評価するためには、調査する表面の少なくとも2つの画像、好ましくは、調査する表面の同じ領域の2つの画像が評価されるのが好ましい。
【0040】
この場合、表面のトポグラフィ特性の評価に使用される放射装置は、光学特性の評価に使用される放射装置とは異なる角度で光もしくは放射線を表面に放射することができる。
【0041】
上述したように、光学特性を決定するのに、そしてトポグラフィ特性を決定するのに、同じ放射線検出装置を使用するのが好ましい。さらに、トポグラフィ特性を決定するために、そして光学特性を決定するために、表面に対して測定器の1つの位置を保持するのが有利である。このように、調査される表面の同じ画像を少なくとも2回記録することができる。
【0042】
このように、トポグラフィ特性を決定するために、調査される表面の空間分解画像を記録し、および/または光学特性を決定するために、調査される表面の空間分解画像を記録することが有利である。トポグラフィ特性を調査するための空間分解画像の記録と、トポグラフィ特性を調査するための空間分解画像の記録との間の時間間隔は、3秒未満、好ましくは2秒未満、好ましくは1秒未満、特に好ましくは200ミリ秒未満であるのが有利である。
【0043】
できるだけ記録時間を短くすることにより、この場合、測定領域のずれをより容易に防ぐことができるので、トポグラフィ測定および光学的測定の画像要素の全てを関連する表面領域に局所的により正確に割り当てることができる。このように、対応する測定器はさらに、手動式機器の形態で設計することができ、これが好ましい用途でもある。
【0044】
この場合、トポグラフィ特性の測定を行った後に、まず最初に、(少なくとも)1つの画像を記憶して、上記のトポグラフィ特性に関する分析を行うことができる。その後、空間分解画像により得られた測定値を特定のグループに割り当てることができる。次の方法ステップで、記録画像はさらに、画素単位で、第1のトポグラフィ特性を有する領域と、第2のトポグラフィ特性を有する領域とに分割することができる。第2の方法ステップでは、記録画像は、次に、その領域に関して評価することができる、すなわち、第1の構造的特性を有する領域と第2の構造的特性を有する領域とを別々に評価することができる。この別個の評価の代わりに、もしくはこの別個の評価に加えて、特定のトポグラフィ特性を有する特定の領域を、画像評価において他の領域とは異なるように重み付けする、もしくは互いに比較することも可能である。ヒストグラム評価もしくは別の統計的評価も可能であり、この場合、1つまたは複数の光学特性をそれぞれ異なるトポグラフィ構造の異なる領域に割り当てることができる。さらに好適な方法では、空間分解画像がこのように複数の画像セグメントに分割され、画像セグメントの少なくとも一部が第1の領域に割り当てられ、画像セグメントの少なくとも一部が第2の領域に割り当てられる。上述したように、画像セグメントは、最も小さい場合には、画素とすることができるが、または、測定を行う分解能に基づいた画素群とすることができる。
【0045】
本発明はさらに、表面特性の調査のための装置に関する。本発明の装置は、(特に、トポグラフィ)構造もしくは表面構造それぞれを検出するための構造測定器もしくはトポグラフィ測定器、特に、この表面のトポグラフィを検出する機器を有し、この測定器は、調査される表面に向けて放射線を放射する放射装置と、表面に向けて放射された放射線と表面によって散乱および/または反射された放射線とを記録する第1の放射線検出器とを有する。さらに、本発明の装置は、第1の放射線検出器によって記録されている放射線を基準として、調査される表面の少なくとも1つのトポグラフィ特性を決定して、調査される表面のトポグラフィの特徴である少なくとも1つの測定値を生成する評価装置を有する。
【0046】
さらに、本発明の装置は、同様に、調査される表面に向けて放射線を放射する放射装置と、さらに表面に向けて放射された放射線と表面によって散乱および/または反射された放射線とを記録する放射線検出器を有する第2の測定器を有する。この場合、この放射線検出器により、放射線検出器に到達する放射線の空間分解記録もしくは評価が可能になる。
【0047】
本発明によれば、本発明の装置は、測定値および空間分解記録および/またはこの記録の特徴である値を考慮に入れながら表面の光学特性の特徴の値を生成するプロセッサ装置を有し、この場合、トポグラフィ測定器によって決定されたセグメント領域を参照するのが好ましい。
【0048】
したがって、本発明の装置に関して、光学的調査の時に、調査される表面のトポグラフィ特性を考慮に入れることも提案されている。
【0049】
さらに有利な実施形態では、本発明の装置は、まず、第1の放射装置が表面に放射線を放射して、放射線検出器が表面に向けて放射された放射線と表面によって散乱および/または反射された放射線とを記録し、第2の放射装置が表面に放射線を放射して、放射線検出器が表面に向けて放射された放射線と表面によって散乱および/または反射された放射線とを記録する結果をもたらす働きをする制御装置を有する。構造測定器の構成部分である放射線検出器は、第2の測定器の構成部品である同じ放射線検出器であるのが好ましい
。
【0050】
さらに、本発明の装置は、好ましくは、測定の範囲内で、放射線検出器によって記録された画像の部分領域を表面の特定の構造的特性に割り当てる割り当て装置を有する。放射装置は、調査される表面に向けて光を放射する光源を有するのが好ましい。光源は、例えば、表面に向けて光を放射する発光ダイオードとすることができる。さらに有利な実施形態では、第1の放射装置は、第2の放射装置とは異なる角度で表面に向けて光を放射する。
【0051】
フィルタ、レンズ、ミラー、放射スプリッタ、単色光分光器、分光計、ダイヤフラム、散乱素子などを含む一群の素子から選択される光学素子は、それぞれの放射装置と放射線検出器との間のビーム路に配置されるのが好ましい。
【0052】
好適な実施形態では、照射検出装置、さらに制御手段および計算装置は、可搬式ケーシング内に配置される。測定器は、バッテリによって作動されうるのが好ましい。作動要素およびディスプレイを使用するので、測定は、現場で行われて評価することができる。本発明の装置は、外部コンピュータとの通信を可能にするデータインターフェースを有するのが有利である。このインターフェースを使用して、オンラインでロボット制御測定も可能である。
【0053】
しかし、外部コンピュータ上で評価を行うことも可能であり、後で計算結果を機器もしくはディスプレイそれぞれに送信することができる。
【0054】
さらなる利点および実施形態は、添付図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明の基礎となる目的を説明するための表面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、適切な光学機器を使用して観察されうる可能な表面10を示した図である。この表面は、平坦でなく、複数の突出部を有することは明らかである。光の入射によって、例えば、これらの突出部は影を作ることができる。強度に基づいた純粋な評価は、このような表面の場合に、光の入射によってさまざまな明暗差を検出する。
【0057】
したがって、本発明は、上述したように、表面の性質を2段階のプロセスで考慮することを提案する。
【0058】
図2は、本発明の装置の概略図である。
図2にも、観察される表面10が示されている。装置1は、この表面の画像を記録する放射線検出器もしくは画像記録装置4を有する。この放射線検出器は、特に、カラーもしくは白黒カメラまたはCCDチップとすることができる。放射線検出器はさらに、空間分解分光計を備えることができる。放射線検出器は、対称性の理由から、観察領域の上方の中央に配置される。観察方向は、観察面の垂線に対して0°である。
【0059】
第1のステップにおいて、この場合、より正確には、(表面に対して)平坦な角度で、照射装置もしくは放射装置2によって光が放射される。入射角度は、表面垂線に対して45°~85°であり、好ましくは65°~75°である。この場合、照射装置2は、複数の光源を有する連続照射装置であるのが有利であり、複数の側(矢印P1)から表面10を照射することができる。表面によって散乱もしくは反射された光は、矢印P2に沿って観察装置4に移動し、このようにして、観察装置4は、表面10のトポグラフィを検出することもできる。
【0060】
この場合、放射線源2は、連続して点灯され、すなわち、複数の画像が連続して記録されるのが好ましく、この場合、観察方向が変化する。垂直プロファイルは、さまざまな画像から計算することができる。
【0061】
参照番号6は、表面10の光学的評価に使用される第2の照射装置を示している。この場合、
図2に示されている実施形態では、光は、部分的に透明な偏向ミラー18によって表面に向かって偏向され、反射光はこの場合、同様に再び観察装置へと移動する。観察装置は、表面の光学的評価を実行することができ、この場合、さらに以前のトポグラフィ測定から得られたデータを光学的評価のために考慮に入れるのが好ましい。
【0062】
参照番号12は、評価全体を制御する制御装置を示している。この制御装置12は、まず、第1の方法ステップで表面のトポグラフィを決定し、第2の方法ステップでトポグラフィを考慮に入れながら実際の画像評価を実行するという働きをする。そのためには、本発明の装置はさらに、記録された表面の画像をユーザに対して表示する画像表示装置14を有することができる。さらに、本発明の装置は、例えば、記録画像の参照データを保管する記憶装置16を有することができる。また、測定値(例えば、トポグラフィデータなど)をこの記憶装置内に受信することができる。
【0063】
参照番号22は、光学値の評価もしくは計算に使用されるプロセッサ装置を示している。上述したように、この場合、このプロセッサ装置22はさらに、トポグラフィデータ(例えば、表面の(局所)曲率もしくは局所垂直位置)を考慮に入れることができる。参照番号24は、第1の放射線検出器を基準にして、調査される表面の少なくとも1つのトポグラフィ特性を決定する評価装置を示している。この場合、放射線検出器から得られた画像データから、より正確に評価を決定することができる。
【0064】
図3は、可能な画像評価の一例を示した図である。この場合、実線10は、特定の粗度もしくは表面テクスチャ、すなわち、Z方向のずれを有する表面を指す。水平方向破線Hは、値を領域B1と領域B2とに区別する閾値を示すことができる。本発明の一形態では、領域B1にある表面の構成部分を追加で調査し、さらに領域B2にある表面領域を追加で調査することができる。このように、表面の凹凸の結果としてのみ生じる影響を考慮に入れることができる。
【0065】
本明細書で記載されているプロセスでは、表面のトポグラフィが決定される第1の方法ステップと、光学的評価(例えば、光沢を基準にして)が実行される方法ステップの両方が同じ表面部分において実行されるのが好ましい。しかし、特に、画像記録装置によって記録された同じ表面セグメントは互いに比較される。
【0066】
図4は、曲面である表面の特性の決定の別の例を示している。放射線検出器が調査される表面の垂直上方に配置される場合、光は、水平方向に伸びる領域からのみ放射線検出器に直接反射される。一方、さまざまな曲面領域からの光(破線参照)はさらに別の方向に偏向される。参照文字Tは、放射線が到達する領域の接線を示している。この偏向は、画像記録の強度が弱くなることによっても生じる。このタイプの曲面に関して、本発明は、画像の評価もしくは測定値の評価に曲面も同様に考慮に入れることを提案している。例えば、この場合、測定強度値は、表面の曲率を考慮に入れた係数によって補正されうる。さらに、表面垂線に対する0°~90°の角度範囲にわたって輝度の測定が可能になる。
【0067】
本出願人は、本出願書類内で開示されている全ての特徴が、先行技術と比較して個々にもしくは組み合わせた状態で新規である限り、本発明に不可欠であるものとして請求する権利を有する。
【符号の説明】
【0068】
1 装置
2 放射装置/第1の測定器
4 放射線検出器/第1の測定器
6 放射装置
10 表面
12 制御装置
14 画像表示装置
16 記憶装置
18 偏向ミラー
22 プロセッサ装置
24 評価装置
B1、B2 表面領域
P1、P2 放射方向
T 接線