(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】撮像光学レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20220803BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2020219683
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2021-02-23
(31)【優先権主張番号】202010707152.0
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520357958
【氏名又は名称】ジョウシュウシ レイテック オプトロニクス カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲ビエン▼ ▲シュー▼▲チー▼
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-075768(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111239971(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学レンズであって、
前記撮像光学レンズは、合計で5枚のレンズ
からなり、前記5枚のレンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ、正の屈折力を有する第2レンズ、第3レンズ、正の屈折力を有する第4レンズ、及び負の屈折力を有する第5レンズであり、
前記撮像光学レンズ全体の焦点距離をf、前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズの像側面から前記第3レンズの物体側面までの軸上距離をd4、前記第3レンズの像側面から前記第4レンズの物体側面までの軸上距離をd6、前記第4レンズの像側面から前記第5レンズの物体側面までの軸上距離をd8、前記第5レンズの軸上厚みをd9
、前記第2レンズの物体側面の中心曲率半径をR3、前記第2レンズの像側面の中心曲率半径をR4としたときに、以下の条件式(1)~(
4)を満たすことを特徴とする撮像光学レンズ。
2.10≦f1/f≦4.00 (1)
1.00≦d4/d6≦3.00 (2)
0.20≦d8/d9≦0.90 (3)
0.30≦R3/R4≦0.80 (4)
【請求項2】
前記第1レンズの物体側面の中心曲率半径をR1、前記第1レンズの像側面の中心曲率半径をR2、前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(5)~(6)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
―20.90≦(R1+R2)/(R1―R2)≦―3.20 (5)
0.06≦d1/TTL≦0.23 (6)
【請求項3】
前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第2レンズの物体側面の中心曲率半径をR3、前記第2レンズの像側面の中心曲率半径をR4、前記第2レンズの軸上厚みをd3、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(7)~(9)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.98≦f2/f≦6.63 (7)
―12.19≦(R3+R4)/(R3―R4)≦―1.28 (8)
0.05≦d3/TTL≦0.19 (9)
【請求項4】
前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第3レンズの物体側面の中心曲率半径をR5、前記第3レンズの像側面の中心曲率半径をR6、前記第3レンズの軸上厚みをd5、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(10)~(12)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
―1653.71≦f3/f≦32.02 (10)
―41.88≦(R5+R6)/(R5―R6)≦108.00 (11)
0.04≦d5/TTL≦0.13 (12)
【請求項5】
前記第4レンズの焦点距離をf4、前記第4レンズの物体側面の中心曲率半径をR7、前記第4レンズの像側面の中心曲率半径をR8、前記第4レンズの軸上厚みをd7、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(13)~(15)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.42≦f4/f≦1.30 (13)
0.03≦(R7+R8)/(R7―R8)≦0.28 (14)
0.05≦d7/TTL≦0.18 (15)
【請求項6】
前記第5レンズの焦点距離をf5、前記第5レンズの物体側面の中心曲率半径をR9、前記第5レンズの像側面の中心曲率半径をR10、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(16)~(18)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
―1.76≦f5/f≦―0.55 (16)
0.76≦(R9+R10)/(R9―R10)≦2.48 (17)
0.03≦d9/TTL≦0.14 (18)
【請求項7】
前記撮像光学レンズの光学長をTTL、前記撮像光学レンズの像高をIHとしたときに、以下の条件式(19)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
TTL/IH≦1.81 (19)
【請求項8】
前記撮像光学レンズの画角をFOVとしたときに、以下の条件式(20)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
FOV≧76.5° (20)
【請求項9】
前記撮像光学レンズの絞り値をFNOとしたときに、以下の条件式(21)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
FNO≦1.15 (21)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズ分野に関し、特にスマートフォン、デジタルカメラなどの携帯端末装置と、モニタ、PCレンズなどの撮像装置とに適用される撮像光学レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンの登場に伴い、小型化の撮像レンズに対する需要がますます高まっているが、撮像レンズの感光素子は、一般的に、感光結合素子(Charge Coupled Device、CCD)又は相補型金属酸化物半導体素子(Complementary Metal―OxideSemiconductor Sensor、CMOS Sensor)の2種類のみに大別される。また、半導体製造プロセスの技術の進歩により、感光素子の画素サイズが縮小可能であるとともに、現在の電子製品は、優れた機能および軽量化・薄型化・小型化の外観を発展の傾向とする。そのため、良好な結像品質を有する小型化の撮像レンズは、現在の市場において既に主流となっている。
【0003】
優れた結像品質を得るために、携帯電話のカメラに搭載された従来のレンズは、3枚式又は4枚式のレンズ構造を用いることが多い。また、技術の発展及びユーザの多様化のニーズの増加に伴い、感光素子の画素面積が縮小しつつあり且つ結像品質に対するシステムからの要求が高くなってきている場合には、5枚式のレンズ構造が徐々にレンズの設計に現れており、通常の5枚式のレンズは良好な光学性能を有するものの、その屈折力、レンズ間の距離及びレンズ形状が依然としてある程度の不合理性を有することによって、レンズ構造が良好な光学性能を有しても、大口径、広角化、極薄化の設計要求を満たすことができない。
従って、良好な光学性能を有しつつ、大口径、広角化、極薄化の設計要求を満たす撮像光学レンズを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の撮像光学レンズの大口径、広角化、極薄化が十分ではない問題を解決する撮像光学レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術案は、以下の通りである。
【0006】
撮像光学レンズであって、前記撮像光学レンズは、合計で5枚のレンズを備え、前記5枚のレンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ、正の屈折力を有する第2レンズ、第3レンズ、正の屈折力を有する第4レンズ、及び負の屈折力を有する第5レンズであり、
前記撮像光学レンズ全体の焦点距離をf、前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズの像側面から前記第3レンズの物体側面までの軸上距離をd4、前記第3レンズの像側面から前記第4レンズの物体側面までの軸上距離をd6、前記第4レンズの像側面から前記第5レンズの物体側面までの軸上距離をd8、前記第5レンズの軸上厚みをd9としたときに、以下の条件式(1)~(3)を満たす。
2.10≦f1/f≦4.00 (1)
1.00≦d4/d6≦3.00 (2)
0.20≦d8/d9≦0.90 (3)
【0007】
好ましくは、前記第2レンズの物体側面の中心曲率半径をR3、前記第2レンズの像側面の中心曲率半径をR4としたときに、以下の条件式(4)を満たす。
0.30≦R3/R4≦0.80 (4)
【0008】
好ましくは、前記第1レンズの物体側面の中心曲率半径をR1、前記第1レンズの像側面の中心曲率半径をR2、前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(5)~(6)を満たす。
―20.90≦(R1+R2)/(R1―R2)≦―3.20 (5)
0.06≦d1/TTL≦0.23 (6)
【0009】
好ましくは、前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第2レンズの物体側面の中心曲率半径をR3、前記第2レンズの像側面の中心曲率半径をR4、前記第2レンズの軸上厚みをd3、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(7)~(9)を満たす。
0.98≦f2/f≦6.63 (7)
―12.19≦(R3+R4)/(R3―R4)≦―1.28 (8)
0.05≦d3/TTL≦0.19 (9)
【0010】
好ましくは、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第3レンズの物体側面の中心曲率半径をR5、前記第3レンズの像側面の中心曲率半径をR6、前記第3レンズの軸上厚みをd5、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(10)~(12)を満たす。
―1653.71≦f3/f≦32.02 (10)
―41.88≦(R5+R6)/(R5―R6)≦108.00 (11)
0.04≦d5/TTL≦0.13 (12)
【0011】
好ましくは、前記第4レンズの焦点距離をf4、前記第4レンズの物体側面の中心曲率半径をR7、前記第4レンズの像側面の中心曲率半径をR8、前記第4レンズの軸上厚みをd7、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(13)~(15)を満たす。
0.42≦f4/f≦1.30 (13)
0.03≦(R7+R8)/(R7―R8)≦0.28 (14)
0.05≦d7/TTL≦0.18 (15)
【0012】
好ましくは、前記第5レンズの焦点距離をf5、前記第5レンズの物体側面の中心曲率半径をR9、前記第5レンズの像側面の中心曲率半径をR10、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(16)~(18)を満たす。
―1.76≦f5/f≦―0.55 (16)
0.76≦(R9+R10)/(R9―R10)≦2.48 (17)
0.03≦d9/TTL≦0.14 (18)
【0013】
好ましくは、前記撮像光学レンズの光学長をTTL、前記撮像光学レンズの像高をIHとしたときに、以下の条件式(19)を満たす。
TTL/IH≦1.81 (19)
【0014】
好ましくは、前記撮像光学レンズの画角をFOVとしたときに、以下の条件式(20)を満たす。
FOV≧76.5° (20)
【0015】
好ましくは、前記撮像光学レンズの絞り値をFNOとしたときに、以下の条件式(21)を満たす。
FNO≦1.15 (21)
【発明の効果】
【0016】
本発明は、下記の有益な効果を奏することができる。
本発明は、良好な光学性能を有しつつ、広角化、大口径の設計需要を満たすTOF撮像光学レンズを提供することができる。
本発明の実施の形態における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施の形態の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に記載する図面は本発明のいくつかの実施の形態に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズの構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
【
図3】
図1に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
【
図4】
図1に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズの構成を示す模式図である。
【
図6】
図5に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
【
図7】
図5に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
【
図8】
図5に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズの構成を示す模式図である。
【
図10】
図9に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
【
図11】
図9に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
【
図12】
図9に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び実施形態を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0019】
本発明の目的、解決手段及びメリットがより明瞭になるように、本発明の各実施形態を図面を参照しながら以下に詳細に説明する。しかし、本発明の各実施形態において、本発明が良く理解されるように多くの技術的詳細が与えられているが、それらの技術的詳細および以下の各実施形態に基づく各種の変化及び修正が存在しなくとも、本発明の保護しようとするものを実現可能であることは、当業者に理解されるべきである。
【0020】
(第1実施形態)
図1乃至
図4を参照すると、本発明は、第1実施形態に係る撮像光学レンズ10を提供する。
図1では、左側は物体側であり、右側は像側であり、撮像光学レンズ10は、主に5枚のレンズを備え、物体側から像側に向かって順に絞りS1、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4及び第5レンズL5からなる。第5レンズL5と像面Siとの間に光学フィルタ(filter)GF又はガラス板などの光学素子が設けられてもよい。
【0021】
本実施形態では、第1レンズL1がプラスチック材質であり、第2レンズL2がプラスチック材質であり、第3レンズL3がプラスチック材質であり、第4レンズL4がプラスチック材質であり、第5レンズL5がプラスチック材質である。他の実施例では、各レンズが他の材質であってもよい。
【0022】
本実施形態では、第1レンズL1が正の屈折力を有し、第2レンズL2が正の屈折力を有し、第3レンズL3が正の屈折力を有し、第4レンズL4が正の屈折力を有し、第5レンズL5が負の屈折力を有する。
【0023】
本実施形態では、前記撮像光学レンズ10全体の焦点距離をf、前記第1レンズL1の焦点距離をf1、前記第2レンズL2の像側面から前記第3レンズL3の物体側面までの軸上距離をd4、前記第3レンズL3の像側面から前記第4レンズL4の物体側面までの軸上距離をd6、前記第4レンズL4の像側面から前記第5レンズL5の物体側面までの軸上距離をd8、前記第5レンズL5の軸上厚みをd9と定義し、条件式(1)~(3)を満たす。
2.10≦f1/f≦4.00 (1)
1.00≦d4/d6≦3.00 (2)
0.20≦d8/d9≦0.90 (3)
但し、条件式(1)は、第1レンズの焦点距離と撮像光学レンズ全体の焦点距離との比を規定し、条件式の規定範囲内において、光学システムの性能の向上に寄与する。
【0024】
条件式(2)は、第3レンズの位置を規定し、条件式の規定範囲内において、レンズの実装に有利である。
【0025】
条件式(3)は、d8/d9が条件式を満たすとき、第4レンズの厚みと第4、第5レンズの間の空気間隔との比を効果的に定義し、収差を小さくし、像質を向上させることができる。
【0026】
前記第2レンズL2の物体側面の中心曲率半径をR3、前記第2レンズL2の像側面の中心曲率半径をR4と定義し、条件式0.30≦R3/R4≦0.80を満たす。
この条件式は、第2レンズの形状を規定し、条件式の規定範囲内において、光線がレンズを通る屈折度合いを緩和し、収差を効果的に小さくすることができる。
【0027】
本実施形態では、第1レンズL1は、物体側面が近軸において凸面であり、像側面が近軸において凹面である。
【0028】
第1レンズL1の物体側面の中心曲率半径をR1、第1レンズL1の像側面の中心曲率半径をR2と定義し、条件式―20.90≦(R1+R2)/(R1―R2)≦―3.20を満たし、これによって、第1レンズL1の形状を合理的に規定し、第1レンズL1によってシステムの球面収差を効果的に補正可能である。好ましくは、条件式―13.06≦(R1+R2)/(R1―R2)≦―4.00を満たす。
【0029】
第1レンズL1の軸上厚みをd1、撮像光学レンズ10の光学長をTTL、条件式0.06≦d1/TTL≦0.23を満たし、条件式の規定範囲において、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.10≦d1/TTL≦0.18を満たす。
【0030】
本実施形態では、第2レンズL2は、物体側面が近軸において凸面であり、像側面が近軸において凹面である。
【0031】
第2レンズL2の焦点距離をf2、撮像光学レンズ10全体の焦点距離をfと定義し、条件式0.98≦f2/f≦6.63を満たし、第2レンズL2の正屈折力を合理的な範囲に規定することにより、光学システムの収差を補正することに有利である。好ましくは、条件式1.58≦f2/f≦5.30を満たす。
【0032】
第2レンズL2の物体側面の中心曲率半径をR3、第2レンズL2の像側面の中心曲率半径をR4と定義し、条件式―12.19≦(R3+R4)/(R3―R4)≦―1.28を満たし、この条件式は、第2レンズL2の形状を規定し、この条件式の規定範囲において、レンズの極薄広角化が進行するにつれて、軸上色収差の補正に有利である。好ましくは、条件式―7.62≦(R3+R4)/(R3―R4)≦―1.60を満たす。
【0033】
第2レンズL2の軸上厚みをd3、撮像光学レンズ10の光学長をTTLと定義し、条件式0.05≦d3/TTL≦0.19を満たし、条件式の規定範囲において、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.08≦d3/TTL≦0.15を満たす。
【0034】
本実施形態では、第3レンズL3は、物体側面が近軸において凸面であり、像側面が近軸において凹面である。
【0035】
第3レンズL3の焦点距離をf3、撮像光学レンズ10全体の焦点距離をfと定義し、―1653.71≦f3/f≦32.02を満たし、屈折力の合理的な配分により、システムが優れた結像品質及び低い感度を有する。好ましくは、条件式―1033.57≦f3/f≦25.61を満たす。
【0036】
第3レンズL3の物体側面の中心曲率半径をR5、第3レンズL3の像側面の中心曲率半径をR6と定義し、条件式―41.88≦(R5+R6)/(R5―R6)≦108.00を満たし、この条件式は、第3レンズの形状を規定し、条件式の規定範囲内において、光線がレンズを通る屈折度合いを緩和し、収差を効果的に小さくすることができる。好ましくは、条件式―26.17≦(R5+R6)/(R5―R6)≦86.40を満たす。
【0037】
第3レンズL3の軸上厚みをd5、撮像光学レンズ10の光学長をTTLと定義し、条件式0.04≦d5/TTL≦0.13を満たし、条件式の規定範囲において、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.07≦d5/TTL≦0.10を満たす。
【0038】
本実施形態では、第4レンズL4は、物体側面が近軸において凸面であり、像側面が近軸において凸面である。
【0039】
第4レンズL4の焦点距離をf4、撮像光学レンズ10全体の焦点距離をfと定義し、条件式0.42≦f4/f≦1.30を満たし、この条件式は、第4レンズの焦点距離とシステムの焦点距離との比を規定し、条件式の規定範囲において光学システムの性能の向上に有利である。好ましくは、条件式0.67≦f4/f≦1.04を満たす。
【0040】
第4レンズL4の物体側面の中心曲率半径をR7、第4レンズL4の像側面の中心曲率半径をR8と定義し、条件式0.03≦(R7+R8)/(R7―R8)≦0.28を満たし、この条件式は、第4レンズL4の形状を規定し、条件式の規定範囲において、レンズの極薄広角化が進行するにつれて、軸外画角の収差などの補正に有利である。好ましくは、条件式0.05≦(R7+R8)/(R7―R8)≦0.22を満たす。
【0041】
第4レンズL4の軸上厚みをd7、撮像光学レンズ10の光学長をTTLと定義し、条件式0.05≦d7/TTL≦0.18を満たし、条件式の規定範囲において、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.09≦d7/TTL≦0.14を満たす。
【0042】
本実施形態では、第5レンズL5は、物体側面が近軸において凸面であり、像側面が近軸において凹面である。
【0043】
第5レンズL5焦点距離f5、撮像光学レンズ全体の焦点距離をfと定義し、条件式―1.76≦f5/f≦―0.55を満たし、第5レンズL5を限定することは、撮像レンズの光線角度を効果的に緩やかにし、公差感度を低減することができる。好ましくは、条件式―1.10≦f5/f≦―0.69を満たす。
【0044】
第5レンズL5の物体側面の中心曲率半径をR9、第5レンズL5の像側面の中心曲率半径をR10と定義し、条件式0.76≦(R9+R10)/(R9―R10)≦2.48を満たし、この条件式は、第5レンズL5の形状を規定し、この条件式の規定範囲において、レンズの極薄広角化が進行するにつれて、軸外画角の収差の補正に有利である。好ましくは、条件式1.22≦(R9+R10)/(R9―R10)≦1.99を満たす。
【0045】
第5レンズL5の軸上厚みをd9、撮像光学レンズ10の光学長をTTLと定義し、条件式0.03≦d9/TTL≦0.14を満たし、条件式の規定範囲において、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.05≦d9/TTL≦0.11を満たす。
【0046】
本実施形態では、撮像光学レンズ10の絞り値FNOは、1.15以下であり、大口径を図ることに有利である。
【0047】
本実施形態では、撮像光学レンズ10の画角FOVは、76.5°以上であり、広角化を図ることができる。
【0048】
本実施形態では、撮像光学レンズ10の光学長をTTL、撮像光学レンズ10の像高をIHとしたときに、TTL/IH≦1.81を満たし、極薄化を図ることができる。
【0049】
本発明に係る前記撮像光学レンズ10の焦点距離、各レンズの焦点距離及び中心曲率半径は、上記条件式を満たす場合、撮像光学レンズ10は、良好な光学性能を有しつつ、大口径、広角化、極薄化の設計需要を満たす。当該撮像光学レンズ10の特性によれば、当該撮像光学レンズ10は、特に高画素用のCCD、CMOSなどの撮像素子により構成された携帯電話の撮像レンズユニットとWEB撮像レンズに適用することができる。
【0050】
また、本発明の撮像光学レンズは、TOF(Time of flight)受光端レンズであり、TOFの技術原理は発射端レンズが赤外面光源を発射し、物体に向けて反射して戻り、受光端レンズは、反射して戻ってきた赤外光情報を受光し、この過程で3D認識過程を実現する。本発明の撮像光学レンズの動作帯域幅は920nm~960nmである。
【0051】
なお、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5は、上述した構造及びパラメータの関係を有するため、撮像光学レンズ10は、各レンズの屈折力、間隔及び形状を合理的に配分し、各種収差を補正することができる。
【0052】
以下、実施例を用いて、本発明に係る撮像光学レンズ10について説明する。各実施例に記載の符号は、以下の通りである。焦点距離、軸上距離、中心曲率半径、軸上厚み、変曲点位置、停留点位置の単位はmmである。
【0053】
TTLは光学長(第1レンズL1の物体側面から像面Siまでの軸上距離)であり、単位はmmである。
【0054】
絞り値FNOとは、撮像光学レンズの有効焦点距離と入射瞳径との比を指す。
また、高品質の結像需要を満足するように、各レンズの物体側面と像側面の内の少なくとも1つには、変曲点及び/又は停留点(Stationary Point)が設置されてもよい。具体的な実施案について、下記の説明を参照する。
【0055】
以下、
図1に示す撮像光学レンズ10の設計データを示す。
【0056】
表1は、本発明の第1実施形態において撮像光学レンズ10を構成する第1レンズL1~光学フィルタGFの物体側面中心曲率半径と像側面中心曲率半径R、各レンズの軸上厚み及び隣り合う2つのレンズ間の距離d、屈折率nd及びアッベ数νdを示す。なお、本実施形態では、R及びdの単位は、いずれもミリメートル(mm)である。
【0057】
【0058】
上記の表に記載の各符号の意味は、以下の通りである。
S1 :絞り
R :光学面中心における曲率半径
R1 :第1レンズL1の物体側面の中心曲率半径
R2 :第1レンズL1の像側面の中心曲率半径
R3 :第2レンズL2の物体側面の中心曲率半径
R4 :第2レンズL2の像側面の中心曲率半径
R5 :第3レンズL3の物体側面の中心曲率半径
R6 :第3レンズL3の像側面の中心曲率半径
R7 :第4レンズL4の物体側面の中心曲率半径
R8 :第4レンズL4の像側面の中心曲率半径
R9 :第5レンズL5の物体側面の中心曲率半径
R10:第5レンズL5の像側面の中心曲率半径
R11 :光学フィルタGFの物体側面の中心曲率半径
R12 :光学フィルタGFの像側面の中心曲率半径
d :レンズの軸上厚み、レンズ間の軸上距離
d0:絞りS1から第1レンズL1の物体側面までの軸上距離
d1:第1レンズL1の軸上厚み
d2:第1レンズL1の像側面から第2レンズL2の物体側面までの軸上距離
d3:第2レンズL2の軸上厚み
d4:第2レンズL2の像側面から第3レンズL3の物体側面までの軸上距離
d5:第3レンズL3の軸上厚み
d6:第3レンズL3の像側面から第4レンズL4の物体側面までの軸上距離
d7:第4レンズL4の軸上厚み
d8:第4レンズL4の像側面から第5レンズL5の物体側面までの軸上距離
d9:第5レンズL5の軸上厚み
d10:第5レンズL5の像側面から光学フィルタGFの物体側面までの軸上距離
d11:光学フィルタGFの軸上厚み
d12:光学フィルタGFの像側面から像面までの軸上距離
nd :d線の屈折率
nd1 :第1レンズL1のd線の屈折率
nd2 :第2レンズL2のd線の屈折率
nd3 :第3レンズL3のd線の屈折率
nd4 :第4レンズL4のd線の屈折率
nd5 :第5レンズL5のd線の屈折率
ndg :光学フィルタGFのd線の屈折率
vd :アッベ数
v1:第1レンズL1のアッベ数
v2:第2レンズL2のアッベ数
v3:第3レンズL3のアッベ数
v4:第4レンズL4のアッベ数
v5:第5レンズL5のアッベ数
vg:光学フィルタGFのアッベ数
【0059】
表2は、本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズ10における各レンズの非球面データを示す。
【0060】
【0061】
表2では、kは円錐係数であり、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16、A18、A20は非球面係数である。
y=(x2/R)/[1+{1―(k+1)(x2/R2)}1/2]
+A4x4+A6x6+A8x8+A10x10+A12x12+A14x14+A16x16+A18x18+A20x20 (22)
但し、xは、非球面曲線上の点と光軸との垂直距離であり、yは、非球面深さ(非球面において光軸からxだけ離れた点と、非球面の光軸上の頂点に接する接平面の両者間の垂直距離)である。
【0062】
各レンズ面の非球面は、便宜上、上記式(22)で表される非球面を使用している。しかしながら、本発明は、特にこの式(22)の非球面多項式に限定されるものではない。
【0063】
表3、表4は、本実施例に係る撮像光学レンズ10における各レンズの変曲点以及び停留点の設計データを示す。ここで、P1R1、P1R2は、それぞれ第1レンズL1の物体側面と像側面を示し、P2R1、P2R2は、それぞれ第2レンズL2の物体側面と像側面を示し、P3R1、P3R2は、それぞれ第3レンズL3の物体側面と像側面を示し、P4R1、P4R2は、それぞれ第4レンズL4の物体側面と像側面を示し、P5R1、P5R2は、それぞれ第5レンズL5の物体側面と像側面を示す。「変曲点位置」欄の対応するデータは、各レンズの表面に設置された変曲点から撮像光学レンズ10の光軸までの垂直距離である。「停留点位置」欄の対応するデータは、各レンズの表面に設置された停留点から撮像光学レンズ10の光軸までの垂直距離である。
【0064】
【0065】
【0066】
また、後の表13は、第1、2、3実施形態における各種のパラメータ及び条件式で規定されたパラメータに対応する値を示す。
【0067】
表13に示すように、第1実施形態は、各条件式を満足する。
【0068】
図2、
図3は、それぞれ波長920nm、940nm、960nmの光が第1実施形態に係る撮像光学レンズ10を通った後の軸上色収差及び倍率色収差を示す模式図である。
図4は、波長920nmの光が第1実施形態に係る撮像光学レンズ10を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図であり、
図4の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、子午方向の像面湾曲である。
【0069】
本実施形態では、前記撮像光学レンズ10の入射瞳径ENPDは、3.246mmであり、全視野像高IHは、3.000mmであり、対角線方向の画角FOVは、78.10°であり、撮像光学レンズ10は、大口径、広角化、極薄化の設計需要を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正され、優れた光学特性を有する。
【0070】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る撮像光学レンズ20の構成を示す模式図であり、第2実施形態は、第1実施形態と基本的に同じであり、下記の表に記載の符号の意味も第1実施形態と同様であるため、ここで同じ部分を繰り返し述べず、異なる点のみを以下に示す。
【0071】
本実施形態では、第3レンズL3は、負の屈折力を有する。
【0072】
表5、表6は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズ20の設計データを示す。
【0073】
【0074】
表6は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズ20における各レンズの非球面データを示す。
【0075】
【0076】
表7、表8は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズ20における各レンズの変曲点及び停留点の設計データを示す。
【0077】
【0078】
【0079】
また、後の表13は、第2実施形態における各種のパラメータ及び条件式で規定されたパラメータに対応する値を示し、明らかに、本実施形態に係る撮像光学レンズは、上記条件式を満足する。
【0080】
図6、
図7は、それぞれ波長920nm、940nm、960nmの光が撮像光学レンズ20を通った後の軸上色収差及び倍率色収差を示す模式図である。
図8は、波長920nmの光が撮像光学レンズ20を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
図8の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、子午方向の像面湾曲である。
【0081】
本実施形態では、前記撮像光学レンズ20の入射瞳径ENPDは、3.209mmであり、全視野像高IHは、3.000mmであり、対角線方向の画角FOVは、77.10°であり、撮像光学レンズ20は、大口径、広角化、極薄化の設計需要を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正され、優れた光学特性を有する。
【0082】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係る撮像光学レンズ30の構成を示す模式図であり、第3実施形態は、第1実施形態と基本的に同じであり、下記の表に記載の符号の意味も第1実施形態と同様であるため、ここで同じ部分を繰り返し述べず、異なる点のみを以下に示す。
【0083】
表9、表10は、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズ30の設計データを示す。
【0084】
【0085】
表10は、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズ30における各レンズの非球面データを示す。
【0086】
【0087】
表11、表12は、撮像光学レンズ30における各レンズの変曲点及び停留点の設計データを示す。
【0088】
【0089】
【0090】
また、後の表13は、第3実施形態における各種のパラメータ及び条件式で規定されたパラメータに対応する値を示し、明らかに、本実施形態に係る撮像光学レンズは、上記条件式を満足する。
【0091】
図10、
図11は、それぞれ波長920nm、940nm、960nmの光が撮像光学レンズ30を通った後の軸上色収差及び倍率色収差を示す模式図である。
図12は、波長920nmの光が撮像光学レンズ30を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
図12の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、子午方向の像面湾曲である。
【0092】
本実施形態では、前記撮像光学レンズ30の入射瞳径ENPDは、3.192mmであり、全視野像高IHは、3.000mmであり、対角線方向の画角FOVは、76.87°であり、前記撮像光学レンズ30は、大口径、広角化、極薄化の設計需要を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正され、優れた光学特性を有する。
【0093】
【0094】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で改良され得ることは明らかであるが、これらはいずれも本発明の技術的範囲に属する。