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  • 特許-シャープペンシル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】シャープペンシル
(51)【国際特許分類】
   B43K 21/16 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
B43K21/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020503668
(86)(22)【出願日】2019-03-04
(86)【国際出願番号】 JP2019008269
(87)【国際公開番号】W WO2019168194
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2018037032
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000156134
【氏名又は名称】株式会社壽
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲陰▼山 秀平
(72)【発明者】
【氏名】若山 武史
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-036950(JP,A)
【文献】特開2001-270283(JP,A)
【文献】仏国特許発明第01090004(FR,A)
【文献】国際公開第2018/190311(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 21/16、21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記芯と、
前記筆記芯を把持するチャックユニットと、
前記チャックユニットが筆圧で後退可能であるように弾性支持するクッションスプリングと、
外径方向から前記筆記芯を支持する芯保持具を有し、軸線方向に移動自在であるチップと、を備え、
前記クッションスプリングのクッションストロークに対する出力(弾性による復元力)が非線形であるように構成され、該クッションストロークが比較的小さい領域におけるばね定数の傾きが該クッションストロークが比較的大きい領域におけるばね定数の傾きよりも小さく、
前記チャックユニットに組み付けられたセット状態における前記クッションスプリングのセット荷重は、前記チップが軸方向に後退する場合の摺動抵抗力以下であり、
前記筆記芯を保持する前記芯保持具の保持力は、前記チップの前記摺動抵抗力よりも低く設定されていることを特徴とする、シャープペンシル。
【請求項2】
前記クッションストロークの増大に伴って、前記ばね定数の傾きが一定の割合で単調増加するように構成された、請求項1に記載のシャープペンシル。
【請求項3】
前記クッションスプリングのクッションストロークは前記筆記芯が前記チップの先端から該クッションストロークと同一の長さで突出したときに該筆記芯が筆圧によって折損してしまうことがない所定のストローク長さの範囲内に制限された、請求項に記載のシャープペンシル。
【請求項4】
前記クッションスプリングは樹脂材料で形成され、該クッションスプリングのクッションストロークは該クッションスプリングが圧縮されて性能低下することがない所定のストローク長さの範囲内に制限された、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のシャープペンシル。
【請求項5】
前記チップが紙面と接触する際の前記チップの接触部は、R面取り状に丸みが形成されている、請求項1に記載のシャープペンシル。
【請求項6】
初動部での前記クッションスプリングの前記ばね定数の傾きは、終動部での前記ばね定数の傾きよりも小さい、請求項1に記載のシャープペンシル。
【請求項7】
前記クッションストロークが比較的小さい複数の領域のばね定数の前記傾きの平均値は、前記クッションストロークが比較的大きい複数の領域のばね定数の前記傾きの平均値よりも小さい、請求項1に記載のシャープペンシル。
【請求項8】
前記クッションスプリングは軸線方向に圧縮力が掛かると、前記クッションスプリングの前側円筒部と後側円筒部とが軸線回りの周方向において相対的に反対方向に回転する、請求項1に記載のシャープペンシル。
【請求項9】
筆記芯と、
前記筆記芯を把持するチャックユニットと、
前記チャックユニットが筆圧で後退可能であるように弾性支持するクッションスプリングと、
外径方向から前記筆記芯を支持する芯保持具を有し、軸線方向に移動自在であるチップと、を備え、
前記クッションスプリングのクッションストロークに対する出力(弾性による復元力)が非線形であるように構成され、該クッションストロークが比較的小さい領域におけるばね定数の傾きが該クッションストロークが比較的大きい領域におけるばね定数の傾きよりも小さく、
前記チャックユニットが後退し、前記チップが紙面から離れた状態で、前記クッションスプリングが弾性により復元すると、前記クッションスプリングの出力は前記筆記芯を保持する前記芯保持具の保持力よりも大きく、前記チップの摺動抵抗力は前記筆記芯を保持する前記芯保持具の保持力よりも大きいことを特徴とする、シャープペンシル。
【請求項10】
前記チップが紙面と接触する際の前記チップの接触部は、R面取り状に丸みが形成されている、請求項9に記載のシャープペンシル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記芯を把持するチャックを備えて、ノック操作により筆記芯を繰り出すことができるシャープペンシルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸筒内に摺動自在に設けられた芯タンクと、この芯タンクの先部に固設されたチャックと、このチャックに遊嵌されたチャックリングと、該軸筒とチャックとの間に設けられたスリーブと、このスリーブと当接しかつその一部が該芯タンクと圧着されて取り付けられた弾性体と、この弾性体を圧縮して該芯タンクを軸方向に移動自在とする操作手段とから構成されたシャープペンシルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-290880号公報 (例えば、段落0006、段落0007、段落0017参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示するシャープペンシルによれば、チャック締付けスプリングとクッションスプリングとを一体にした簡単な構造によってスライダを押し出すストロークを十分に得ることができる。また、クッションスプリングによって過大な筆圧が吸収されて芯の折損が防止される。しかしながら、従来、芯の折損を防止するだけでなく、筆記タッチが柔らかいなど、従来よりも筆記感が優れたクッションスプリングを有するシャープペンシルを提供することが求められていた。
【0005】
本発明は、従来よりも筆記感が優れたクッションスプリングを有するシャープペンシルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシャープペンシルの一態様では、筆記芯と、該筆記芯を把持するチャックユニットと、該チャックユニットが筆圧で後退可能であるように弾性支持するクッションスプリングとを備え、該クッションスプリングのクッションストロークに対する出力が非線形であるように構成され、該クッションストロークが比較的小さい領域におけるばね定数の傾きが該クッションストロークが比較的大きい領域におけるばね定数の傾きよりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る複数の態様では、従来よりも筆記感が優れたクッションスプリングを有するシャープペンシルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るシャープペンシルの中間部分を省略し、前方側部分と後方側部分を示す部分断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るシャープペンシルのクッションスプリングを有するスリーブを示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るシャープペンシルのクッションスプリングにおける、クッションストロークと筆圧の関係を示す線図である。
図4A】本発明の一実施形態に係るシャープペンシルにおいて筆記が継続された場合におけるクッションスプリングの作動を説明する前方側の部分断面図であり、初期状態を示す図である。
図4B】本発明の一実施形態に係るシャープペンシルにおいて筆記が継続された場合におけるクッションスプリングの作動を説明する前方側の部分断面図であり、クッションスプリングが撓んだ状態を示す図である。
図4C】本発明の一実施形態に係るシャープペンシルにおいて筆記が継続された場合におけるクッションスプリングの作動を説明する前方側の部分断面図であり、クッションスプリングが復元した状態を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るシャープペンシルのクッションスプリングの変形例1を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るシャープペンシルのクッションスプリングの変形例2を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るシャープペンシルのクッションスプリングの変形例3を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1に示す本実施形態のシャープペンシル1は、ノックボタン5へのノック操作により先口3の先端から筆記芯Tが送り出されて突出する後端ノック型のシャープペンシルである。なお、以下の説明では、シャープペンシル1の先口3が配置される側をシャープペンシル1の長手方向に延在する中心軸線方向(軸線方向)における前方とし、ノックボタン5が配置される側を後方として説明する。
【0010】
シャープペンシル1は、略円筒形状の軸筒本体2と、略円錐状の前部及び略円筒状の後部を有する先口3とを備える。軸筒本体2と先口3を含んで軸筒が形成される。先口3は、軸筒本体2の前方に配置される。先口3の後部には、先口3の前部の後端径よりも外径が小さい円筒状の円筒部3aが形成される。軸筒本体2の前端部内周面上に形成される雌ねじ部2aと、先口3の後部の円筒部3aの外周面上に形成される雄ねじ部3a1とが螺合することで、先口3が軸筒本体2に対して固定される。
【0011】
軸筒本体2の内部に配置された、芯パイプ11の後端には、有底筒状に形成されたノックボタン5が着脱可能に組み付けられる。ノックボタン5の前端開口の内周面は芯パイプ11の後端の外周面に着脱可能に嵌合する。芯パイプ11の後端の内周面には、略円筒状に形成された字消しホルダ4の前部の外周面が着脱可能に嵌合されて組み付けられる。字消しホルダ4は、前方側の小径部4aと後方側の大径部4bとを有する。字消しホルダ4の大径部4bの内周面には、字消し6の外周面が着脱可能に嵌合されて組み付けられる。
【0012】
筆記芯Tをその内部に収容する芯パイプ11は、略円筒状に形成されて、軸筒本体2内に配置される。芯パイプ11の前部には、チャック12が組み付けられる。チャック12は、その先端が周方向に3分割されて形成されたチャック片の各々が中心軸線に向けて弾性変形したときに筆記芯Tを径方向に挟圧することにより把持可能であるように形成される。チャック12は、芯パイプ11に挿入して固定される後端の基部12aと、基部12aから前方に延在する梁状部12bと、この梁状部12bの前端に形成される膨出部12cと、を有する。膨出部12cの外周には、チャックリング13が嵌脱自在に取り付けられる。チャックリング13の後方には、チャック12の梁状部12bから芯パイプ11の前部までの範囲を外径方向から覆うように、略筒状のクッション部材7が配置される。
【0013】
図1及び図2にも示すように、クッション部材7の前部には、先口3の円筒部3aから先口3の内周面に沿って先口3内に挿入される円筒状のスリーブ部7aが形成される。クッション部材7の後部には、先口3の円筒部3aの後方に配置され、スリーブ部7aよりも大径の略円筒形状のスプリング部7bが形成される。スリーブ部7aとスプリング部7bとの接続部分には、先口3の円筒部3aの後方に配置されて、スプリング部7bよりも大径のフランジ部7cが形成される。スリーブ部7aの前端部の内周面には、環状壁7a1が径方向内側に突出して形成される。
【0014】
クッション部材7は、樹脂により一体的に形成される。クッション部材7のスプリング部7bは、図2に示すように、円筒外壁の周方向に沿って開口する長孔7b1が軸線を挟んで対向するように一対として形成され、複数の長孔7b1の各対が軸線方向に並ぶように配置されることで形成される。軸線方向に隣り合う一対の長孔7b1は、周方向において、90度だけ軸線を中心として回転した相対的な位置関係となるように配置される。このように配置すると、スプリング部7bの軸線方向の長さを短くすることができる。本実施形態では、軸線方向に沿って5つの対となった長孔7b1が形成される。軸線方向に隣り合う一対の長孔7b1の間には、弾性梁状部7b2が形成される。また、周方向における一対の長孔7b1の間には、孔間支柱(軸線方向延在部)7b3が形成される。弾性梁状部7b2は、前側の孔間支柱7b3から軸線方向に隣り合う後側の孔間支柱7b3に向かって軸線方向の厚さが漸次細くなるよう形成される。スプリング部7bは、軸線方向の力が加わると、弾性梁状部7b2が長孔7b1の開口を縮小する方向に撓むことにより、弾発力を発生させる。
【0015】
クッション部材7のスプリング部7bは、図3に示すように、スプリング部7bのストローク(クッションストローク)に対する出力が非線形となるように構成されている。詳細は後述する。
【0016】
図1に戻り、クッション部材7のスリーブ部7aの外周は、先口3の円筒部3aの内周面と近接してガイドされる。スリーブ部7aの内周面は、芯パイプ11の外周面と近接してガイドされる。クッション部材7のスプリング部7bの外周に対応する軸筒本体2の内周面には、軸線方向に延在する複数のリブ2bが形成される。複数のリブ2bの各々によって、該リブ2bの前端と軸筒本体2の内周面との間に段部2b1が形成される。段部2b1は、クッション部材7のフランジ部7cの後面と対向するように形成される。クッション部材7のスプリング部7bの後方の軸筒本体2の内周面上には、径方向内側に環状に突出する突出部2cが形成される。クッション部材7のスプリング部7bの後端面は、突出部2cの前面と当接する。
【0017】
一方、チャック12の梁状部12bの外周面とクッション部材7のスリーブ部7aの内周面との間には、コイルスプリングであるチャックスプリング15が組み付けられる。チャックスプリング15は、その前端がスリーブ部7aの環状壁7a1の後面に当接し、後端が芯パイプ11の前端面に当接する。チャックスプリング15は、クッション部材7と芯パイプ11との間に軸線方向へ圧縮された状態で組み付けられる。チャックスプリング15の付勢力により、芯パイプ11及びチャック12はクッション部材7のスリーブ部7aに対して後方へ付勢されるので、チャック12に嵌合したチャックリング13もスリーブ部7aに対して後方へ付勢される。このため、チャックリング13の後端面とスリーブ部7aの環状壁7a1の前面とが当接する。
【0018】
先口3の内周面には、クッション部材7のスリーブ部7aの前端面と対向するように環状の段部3bが形成される。クッション部材7のスリーブ部7aの前端面は、クッション部材7のスプリング部7bによって前方に付勢された状態で段部3bに当接する。
【0019】
段部3bの前方の先口3の内周面には、チャックリング13の前端面が前進したときに当接可能な段部3cが形成される。チャックリング13の前端面がこの先口3の段部3cに当接すると、チャックリング13がチャック12から後方へ離脱して筆記芯Tがチャック12による把持から開放される。シャープペンシル1の一連の繰り出し作動については後に詳述する。
【0020】
チャック12の前端面に近接した前方の位置には、軸線方向に移動自在に内側筆記芯カバー31が配置される。内側筆記芯カバー31は、円盤状の基端部31bと、筆記芯Tが軸線方向に挿通される中心孔と、該中心孔の周りに基端部31bから前方に突出して形成された複数の前方突出部31aとを有する。前方突出部31aの先端は図示するように鉤状に形成され、後に詳述する芯保持具32に形成されたスリット32a内に係合されることで、芯保持具32に対して前後方向に相対移動可能に係止される。
【0021】
内側筆記芯カバー31の基端部31bの外周縁には段部が形成される。また、内側筆記芯カバー31の基端部31bの段部と軸線方向において対向する先口3の内周面には先口3内周の段部が形成される。内側筆記芯カバー31の基端部31bと先口3内周の段部との間には、内側筆記芯カバー31を先口3に対して軸線方向の後方に向けて付勢する圧縮コイルばねであるリターンスプリング36が配置される。リターンスプリング36によって内側筆記芯カバー31が後方に付勢された状態で、内側筆記芯カバー31の基端部31bの後端面がチャック12の前端面に前方から近接する。また、チャック12が前進したときには、内側筆記芯カバー31の後端面がチャック12の先端面に前方から当接する。内側筆記芯カバー31の後端面は、チャック12の先端面に前方から近接又は当接した状態とされる。従って、内側筆記芯カバー31の基端部31bは、チャック12の先端面から突出する筆記芯Tを軸線方向と直交する方向において支持する。このため、チャック12に把持された筆記芯Tの軸線方向におけるチャック12の先端面上の位置に作用する曲げモーメントを軽減して、筆記芯Tがチャック12の先端面の位置で芯折れしてしまうことを防止することができる。
【0022】
内側筆記芯カバー31の前方の位置には、軸線方向に移動自在に芯保持具32が配置される。芯保持具32には、前後方向に延在する複数のスリット32aが形成される。このスリット32a内に上述の内側筆記芯カバー31の前方突出部31aの鉤状に形成された先端が摺動可能に係合される。これにより、内側筆記芯カバー31が芯保持具32に対して前後方向へ相対移動可能に係止される。芯保持具32には軸線方向に筆記芯Tが挿通される中心孔が形成される。芯保持具32の中心孔の先端部分には、筆記芯Tを径方向内側に向けて挟んで保持する保持部32bが形成される。芯保持具32の前方には、先口3の開口部3dの内周面と摺動する外周面を有し、筆記芯Tを外径方向から支持して軸線方向へ移動自在に構成された略先細筒状のチップ30が配置される。チップ30が紙面と接触する際の接触部30a(換言すれば、チップ30の先端部外周)は、R面取り状に丸みが形成される。これにより、チップ30の接触部30aが紙面と接触しながら移動する場合でも、チップ30が紙面に引っ掛かることなく好適にチップ30を後退させながら筆記することができる。芯保持具32はチップ30内に後方から挿入されてチップ30に組み付けられる。
【0023】
チップ30の後端には鍔部が形成される。鍔部の外周にはチップ30及び芯保持具32を軸線方向と直交する方向において弾性的に支持するOリング38が組み付けられる。Oリング38は、チップ30及び芯保持具32の前後方向への移動に対して所定の摺動抵抗を与えるように構成される。本実施形態では、所定の摺動抵抗は、繰り出された筆記芯Tを軸線方向において保持することができるようにチップ30及び芯保持具32を保持することができる摺動抵抗となるように構成される。また、より大きな軸線方向の押圧力がチップ30又は芯保持具32に加えられたときには、チップ30が先口3から突出する、あるいはチップ30が先口3内へ収納されるように、チップ30及び芯保持具32の移動を許容することができる摺動抵抗とされる。チップ30及び芯保持具32の前進移動はチップ30の鍔部が先口3の開口部3dの内周面に形成された段部3d1に当接することで規制される。
【0024】
筆記芯Tを把持及び送り出し可能なチャックユニットは、チャック12、チャックリング13、クッション部材7のスリーブ部7a及びチャックスプリング15を含んで構成されて、軸筒内に収容される。チャックユニットは、クッション部材7のスプリング部7b(すなわちクッションスプリング)により、筆記により軸線方向に生じる荷重(いわゆる筆圧)で後退可能であるように弾性支持される。
【0025】
チャックユニットの後退は、クッション部材7のフランジ部7cの後面が、軸筒本体2の内周面に形成されたリブ2bの前端の段部2b1と当接することにより規制される。クッション部材7のセット状態におけるフランジ部7cとリブ2bの段部2b1との間隔(クッションストローク)は、クッション部材7のスプリング部7bの長孔7b1が縮小して弾性梁状部7b2が繰り返し密着することでスプリング部7bが破損することが無い所定のストローク長さの範囲内に設定される。
【0026】
さらに、クッションストロークは、筆記芯Tがチップ30の先端からクッションストロークと同一の長さで突出したときに筆記芯Tが筆圧によって折損してしまうことが無い所定のストローク長さの範囲内に制限されることが望ましい。例えば、クッションストロークが0.8mmで設定された場合、クッション作動によって紙面と接触して後退したチップ30の先端からは、その筆圧から解放された後に、少なくともクッションストロークと同じ0.8mmの筆記芯Tが突出する。この状態で筆記による筆圧が筆記芯Tに負荷されても、再びクッションスプリング(スプリング部7b)が撓んで突出した筆記芯Tが実質的にすべてチップ30内に収容されるように構成すると、筆記芯Tが筆圧により折損することを防ぐことができる。このように構成するために、クッションストローク(フルストローク)は、例えば、実質的に0.8mm±0.4mmの範囲とすることが望ましい。
【0027】
また、クッション部材7は、先口3の内周面の段部3bと軸筒本体2の内周面の突出部2cとにより、クッション部材7のスプリング部7bが圧縮された状態で、任意の所定のセット荷重を有するように組み付けることができる。クッションスプリングとしてのスプリング部7bの作用効果については詳細を後述する。
【0028】
本実施形態では、クッション部材7のスプリング部7bのセット荷重は、チップ30のOリング38による摺動抵抗(すなわち、チップ30の軸線方向における後退に伴う抵抗力)以下に設定される。このように構成すると、チップ30の先端が容易に紙面に接触するようにクッション部材7のスプリング部7bのクッション作動をさせることができる。また、本実施形態では、芯保持具32が筆記芯Tを保持する保持力(その軸線方向における摺動抵抗)も、チップ30のOリング38による摺動抵抗よりも小さく設定される。このように構成すると、チップ30の先端がさらに容易に紙面に接触するようにスプリング部7bをクッション作動させることができる。さらに、本実施形態のクッション部材7のスプリング部7bのセット荷重は、芯保持具32が筆記芯Tを保持する保持力よりも小さく設定される。このように構成すると、チップ30の先端がさらに容易に紙面に接触するようにスプリング部7bをクッション作動させることができる。本実施形態のシャープペンシル1は、チップ30の先端が紙面に接触するようにクッション部材7のスプリング部7bがクッション作動して筆記芯Tがチップ30内に収容された状態でも、紙面と接触したチップ30が筆圧によってさらに後退することができるから、筆記芯Tによる筆記をおこなうことができる。
【0029】
なお、本実施形態のチップ30では、Oリング38と先口3の内周面との摩擦抵抗により抵抗力を発生するように構成したが、他の実施形態では、チップ30を軸線方向に弾性支持するよう構成された任意のスプリングのセット荷重により所定の抵抗力を発生するように構成しても良い。
【0030】
次に、シャープペンシル1による筆記芯Tの送り出しについて説明する。チップ30が先口3の内部に収納されている状態においては、内側筆記芯カバー31の基端部31bと芯保持具32の後端とが当接する。この状態からノックボタン5を押圧するノック操作により、チャック12の前進と共に内側筆記芯カバー31が前進して、芯保持具32及びチップ30が先口3から突出して図1の状態となる。以下は図1の状態におけるノック操作を説明する。
【0031】
ノックボタン5を押圧するノック操作により、チャックスプリング15の付勢力に抗して芯パイプ11、チャックリング13が嵌合されたチャック12及びチャック12に把持された筆記芯Tが前進する。前進したチャック12と当接した内側筆記芯カバー31も前方へ押圧され、リターンスプリング36の付勢力に抗して前進する。内側筆記芯カバー31が前進すると、内側筆記芯カバー31の基端部31bの前面が芯保持具32の後端と当接する。このようにして内側筆記芯カバー31の基端部31bにより押圧された芯保持具32は、芯保持具32に組み付けられたチップ30と共にチップ30の鍔部が先口3の内周面の段部3d1に当接するまで前進して、先口3から前方に突出する。チャック12及びチャックリング13が所定の間隔だけ移動すると、チャックリング13の前端面が先口3の内周面に形成された段部3cの当接面に当接してチャックリング13がチャック12の膨出部12cから後方に向けて離脱する。チャックリング13が離脱すると、チャック12のチャック片の各々が弾性により径方向外側に開いて筆記芯Tが解放される。筆記芯Tは、シャープペンシル1における1ノック操作当たりの所定の送り出し量だけ送り出されて解放され、その位置で芯保持具32により挟持される。ノックボタン5の押圧を解放してチャックユニットがノック操作から解放されると、筆記芯Tをその送り出されて解放された位置に残してチャック12及びチャックリング13が後退し、筆記芯Tのノック操作前より後方の位置を再び把持する。また、チャックユニットがノック操作から解放されてチャック12及びチャックリング13が後退すると、内側筆記芯カバー31はリターンスプリング36に付勢されてその後端がチャック12に近接又は当接する位置まで後退する。
【0032】
シャープペンシル1は、チップ30から所定量の筆記芯Tが突出した状態又はチップ30に筆記芯Tが収容された状態で筆記に使用される。筆記中の筆圧は、筆記芯T、筆記芯Tを把持するチャック12並びにチャックリング13及びクッション部材7のスリーブ部7aに負荷される。この筆圧に応じてクッションスプリングとして機能するスプリング部7bが弾性変形し、筆記芯T、チャック12、チャックリング13及びクッション部材7のスリーブ部7aが軸筒本体2に対して後方へ後退するクッション作動が生じる。チップ30の先端が紙面に接触した場合には、筆圧によって先口3との摺動抵抗に抗してチップ30が軸線方向後方に後退する。
【0033】
具体的に、図3のクッションストロークと筆圧との関係線図を用いて説明する。図3では、クッション部材7が軸筒内に所定のセット荷重で組み付けられた状態で、クッションストロークx(mm)が0と定義される。本実施形態では、上述した所定のセット荷重は実質的に0である。そして、線図上のA点では、筆圧が約48gでクッションストロークが約0.3mmとなるようにクッション部材7の弾性が構成されるので、筆圧が約48gのときにチャックユニットが約0.3mm後退する。同様にB点で示されるように、筆圧が約180gのときにチャックユニットが約0.6mm後退するようにクッション部材7の弾性が構成される。ここで、ばね定数の傾きは、図3の関係線図上の任意の点の接線の傾きとして定義される。本実施形態では、クッション部材7のスプリング部7bのばね定数の傾きは、クッションストロークx(mm)が比較的小さい領域(例えば0~0.4mm未満)におけるばね定数の傾きが、クッションストロークx(mm)が比較的大きい領域(例えば0.4mm以上)におけるばね定数の傾きよりも小さくなるように構成される。具体的には、例えばA点におけるばね定数の傾きはθ1であり、B点におけるばね定数の傾きはθ2であり、θ1<θ2であるように構成される。従って、このクッションスプリングであるスプリング部7bは、通常の筆圧(300g前後が標準的と考えられる)よりも極めて小さい荷重であってもクッション作動して所定のクッションストロークx(mm)を生じることができる一方で、通常の筆圧に近い荷重では、通常の筆圧よりも小さい荷重の領域と比較してクッションストロークが生じ難く(すなわち筆感が硬いように)設定されている。本実施形態では、ばね定数の傾きがクッションストロークと共に増加するように構成されている。このように構成すると、比較的に小さな筆圧でクッション作動を生じさせることができる一方で、クッションストロークが過大とならないように抑制することができる。この場合には、筆記タッチが柔らかい一方で、かつ、しっかりとした手応えのある、優れた筆記感を得ることができる。なお、他の実施形態では、例えば、ばね定数の傾きがクッションストロークの増大に伴って一定の割合で単調増加するように構成するものとしてもよい。この場合には、さらに、クッションストロークしたときのクッションスプリングの出力を容易に予測可能とすることができる。
【0034】
シャープペンシル1で筆記を続けると、図4Aに示すように、チップ30の先端から突出した筆記芯Tは消費されて摩耗する。このとき、チップ30の先端における紙面との接触部30aが紙面と接触する。すると、チップ30及び芯保持具32と共に筆記芯Tが紙面から軸線方向後方に向けた力(すなわち筆圧)を受ける。チップ30及び芯保持具32が筆圧を受けると、チップ30及び芯保持具32は、チップ30のOリング38が先口3の内周面との間で生じる抵抗力に抗して後退する。このとき、内側筆記芯カバー31は、リターンスプリング36により後方に付勢されているので、チップ30及び芯保持具32と共に後方に移動する。同時に、筆記芯Tが筆圧を受けると、クッション部材7のスプリング部7bが撓んでチャックユニットが後方に移動する。すなわち、筆記芯Tが筆圧を受けると、チャック12、チャックリング13、クッション部材7のスリーブ部7a及びチャックスプリング15と、芯パイプ11が後方に移動する。図4Bは、チップ30及び芯保持具32と共に筆記芯Tが筆圧を受けて、チップ30及び芯保持具32やチャックユニットが後方に移動した状態を示す。
【0035】
チップ30の先端の接触部30aが紙面から離れると、クッション部材7のスプリング部7bがその弾性により復元して、チャックユニットを前進させて、元の位置に復帰させる。すなわち、図4Cに示すように、クッション部材7のスリーブ部7aの先端が先口3の内周面の段部3bに再び当接し、チャック12、チャックリング13、クッション部材7のスリーブ部7a及びチャックスプリング15と、芯パイプ11が図4Aと同じ位置に復帰する。一方、チップ30及び芯保持具32は、図4Bで示す筆圧を受けて後退した位置に保持される。このようにクッション部材7のスプリング部7bが復元するときは、クッション部材7のスプリング部7bの出力(弾性による復元力)が芯保持具32における筆記芯Tを保持する力よりも大きく、また、チップ30の先口3に対する抵抗力が芯保持具32における筆記芯Tを保持する力よりも大きい。このように構成すると、シャープペンシル1のノック操作を行わずに、チップ30の先端から筆記芯Tを突出させることができる。このため、1回のノック操作による筆記可能距離が従来よりも長いシャープペンシル1を提供することができる。短いクッションストローク内で、上述したようにノック操作を行わずに、チップ30の先端から筆記芯Tを突出させるように作動させるためには、本実施形態のクッション部材7のスプリング部7bのように、ばね定数の傾きがクッションストロークと共に増加するように構成することが望ましい。
【0036】
シャープペンシル1により行われる文字等の筆記においては、シャープペンシル1の先端(筆記芯T又はチップ30)は、紙面に接触したり離れたりが繰り返し行われる。本実施形態では、筆圧よりも十分に低い荷重でチップ30及びチャックユニットが後退し、紙面から筆記芯T及びチップ30が離れたときにチップ30を後退した位置に残したまま、筆記芯Tを保持したチャックユニットが前方に復帰するので、シャープペンシル1の筆記芯Tを繰り出すノック操作を行わなくても、所定長さの筆記芯Tを用いて継続筆記が可能である。この場合の継続筆記が可能とされる筆記芯Tの所定長さは、チップ30の突出限度(すなわち、チップ30の鍔部と先口3の段部3d1が当接する位置)からチップ30の没入限度(すなわち、チップ30の先端が先口3の先端と略同一面とされる位置までチップ30が先口3内に没入した位置)までの長さに相当する筆記芯Tの長さである。
【0037】
クッション部材7のスプリング部7bのセット荷重は、チップ30の軸線方向における後退に伴う抵抗力以下に設定すると、チップ30の後退と共に筆記芯T及び筆記芯Tを保持するチャックユニットを後退させるために好ましい。前述の通り、スプリング部7bは図3に示すようにクッションストロークに対する出力が非線形であるように構成されて、クッションストロークが比較的小さい領域ではばね定数の傾きを小さくしている。本実施形態では、クッション部材7のスプリング部7bの作動を意識することなく、筆記中において自然にチップ30と共に筆記芯Tを後退させて、筆記芯Tがチップ30から露出するよう図4A図4Cに示すように好ましい作動を行う。さらに、クッションストロークが比較的大きい領域では、ばね定数の傾きを大きくしているので、比較的短いクッションストロークの範囲内で、クッション部材7のスプリング部7bの筆圧によるクッション効果を体感することができる。この場合には、筆記芯Tが折損してしまう前に、筆圧を適度に低下させることができる。
【0038】
クッションストロークが比較的小さい領域とは、本実施形態では、前述の通り、図3における線図の前半部分であるクッションストロークx(mm)が0~0.4mm未満であるが、上記効果を発揮する限り、より好ましくは線図の前部である0~0.2mm未満と定義してもよく、最も好ましくは線図の0mmの前端部或いはクッションスプリング(スプリング部7b)の初動部を指すものと定義してもよい。同様に、クッションストロークが比較的大きい領域とは、本実施形態では、前述の通り、図3における線図の後半部分であるクッションストロークx(mm)が0.4mm以上であるが、上記効果を発揮する限り、より好ましくは線図の後部である0.6mm以上と定義してもよく、最も好ましくは線図の0.8mmの後端部或いはクッションスプリング(スプリング部7b)の終動部を指すものと定義してもよい。例えば、初動部におけるクッションスプリング(スプリング部7b)のばね定数の傾きは、終動部におけるばね定数の傾きよりも小さくなるよう設定されるものとすることができる。あるいは、他の実施形態では、上記のように定義された任意の領域におけるばね定数の傾きの平均値によって、クッションストロークが比較的小さい領域におけるばね定数の傾きの平均値が、クッションストロークが比較的大きい領域におけるばね定数の傾きの平均値よりも小さくなるようにクッションスプリングを構成するものとしてもよい。この場合には、クッションストロークの増大に伴って、ばね定数の傾きが任意に減少する領域部分を含むクッションスプリングを用いる場合も含んで、多様なクッションスプリングを用いて好ましいシャープペンシルを構成することができる。
【0039】
次に、本発明の実施形態に係るクッションスプリングであるスプリング部7b(クッション部材7)の変形例を以下に示す。
【0040】
(変形例1)
図5に変形例1のクッション部材71を示す。変形例1のクッション部材71は、図2の本発明の実施形態におけるクッション部材7と同様に、スリーブ部71aと、クッションスプリングとしてのスプリング部71b、フランジ部71cとを備える。スプリング部71bは、一対の長孔71b1と、梁状弾性部71b2と、孔間支柱71b3が形成される。本変形例1でも、クッションスプリングとしてのスプリング部71bの出力が非線形な出力となるように、円筒面上において先細となった片持梁形状の梁状弾性部71b2が形成されている。変形例1のクッション部材71のスプリング部71bは、さらに、孔間支柱71b3から軸線方向前方の長孔71b1を介して隣り合う孔間支柱71b3に向けて突出する規制突起71b4を複数含み構成される。この規制突起71b4は、軸線方向に沿って隣り合う規制突起71b4同士が軸線回りの周方向に90度回転した相対位置となるように配置される。
【0041】
変形例1のクッション部材7のスプリング部71bによれば、スプリング部71bが圧縮されて長孔71b1が軸線方向に縮小しても、規制突起71b4が規制突起71b4の先端が対向する部位(変形例1では孔間支柱71b3)と当接するので、長孔71b1の縮小により軸線方向に隣り合う梁状弾性部71b2同士が密着してしまうことが無い。このようにして、クッションスプリングとされるスプリング部71bの軸線方向に延在する突起として規制突起71b4を形成することにより、スプリングの密着(すなわち、梁状弾性部71b2同士の密着)を含む過大なクッションストローク作動によるスプリング部71bの性能低下が防止される。
【0042】
なお、変形例1のクッション部材71を用いれば、図1で説明した本実施形態の軸筒本体2の内周面の段部2b1とクッション部材7のフランジ部7cとの当接によるスプリング部7bの圧縮規制を省略して機構を簡略化することができる。
【0043】
(変形例2)
図6に変形例2のクッション部材72を示す。変形例2のクッション部材72は、図2に示す本実施形態のクッション部材7のスプリング部7bを変更したものである。変形例2のクッション部材72は、略円筒形のスリーブ部72aと、クッションスプリングとしてのスプリング部72bと、フランジ部72cを備える。変形例2のスプリング部72bは、螺旋状に形成された樹脂スプリングとされて軸方向の弾発力を生じさせている。上述したように、クッションスプリングとしてのスプリング部の出力が非線形な出力となるように構成するものであれば、本変形例2のクッション部材72のように意匠性に優れたクッション部材としてもよい。この場合にも、スプリング部の出力が非線形な出力となるように、径方向の肉厚などのスプリング部の形状を任意に変更して構成するものとするとよい。
【0044】
(変形例3)
図7に変形例3のクッション部材73を示す。変形例3のクッション部材73は、図2に示す本実施形態のクッション部材7のスプリング部7bを変更したものである。変形例3のクッション部材73は、略円筒形のスリーブ部73aと、クッションスプリングとしてのスプリング部73bと、フランジ部73cを備える。
【0045】
スプリング部73bは、前側円筒部73b1と、後側円筒部73b2とを備える。前側円筒部73b1と後側円筒部73b2との間には、両者を接続する2本の捻りバネ73b3が軸方向に対して斜め方向に延在するように形成される。クッション部材73は、軸線方向に圧縮力が掛かると、前側円筒部73b1と後側円筒部73b2が軸線回りの周方向において相対的に反対方向に回転して、捻りバネ73b3を捻るようにして軸線方向に沿って圧縮されて、弾発力が生じる。
【0046】
以上、本発明の実施形態及び変形例を説明したが、本発明は以上の実施形態及び変形例によって制限されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、本実施形態においてはスリーブとクッションスプリングを一体として樹脂材料により形成したが、スリーブ部7aとスプリング部7bを別体に形成しても良い。またこのとき、クッションスプリングを金属製のコイルバネ等の種々の弾性部材とすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 シャープペンシル 2 軸筒本体
2a 雌ねじ部 2b リブ
2b1 段部 2c 突出部
3 先口 3a 円筒部
3a1 雄ねじ部 3b 段部
3c 段部 3d 開口部
3d1 段部 4 字消しホルダ
4a 小径部 4b 大径部
5 ノックボタン 6 字消し
7 クッション部材 7a スリーブ部
7a1 環状壁 7b スプリング部
7b1 長孔 7b2 弾性梁状部
7b3 孔間支柱 7c フランジ部
11 芯パイプ 12 チャック
12a 基部 12b 梁状部
12c 膨出部 13 チャックリング
15 チャックスプリング 30 チップ
30a 接触部 31 内側筆記芯カバー
31a 前方突出部 31b 基端部
32 芯保持具 32a スリット
32b 保持部 36 リターンスプリング
38 Oリング 71 クッション部材
71a スリーブ部 71b スプリング部
71b1 長孔 71b2 梁状弾性部
71b3 孔間支柱 71b4 規制突起
71c フランジ部 72 クッション部材
72a スリーブ部 72b スプリング部
72c フランジ部 73 クッション部材
73a スリーブ部 73b スプリング部
73b1 前側円筒部 73b2 後側円筒部
73b3 バネ 73c フランジ部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7