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特許7116787プログラミング動作を最適化することによって推論エンジンを実装するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】プログラミング動作を最適化することによって推論エンジンを実装するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/34 20060101AFI20220803BHJP
   G11C 16/28 20060101ALI20220803BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
G11C16/34 106
G11C16/34 140
G11C16/28
G11C16/04 146
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020515179
(86)(22)【出願日】2018-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 US2018040811
(87)【国際公開番号】W WO2019055105
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/558,816
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/025,039
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティワリ、ビピン
(72)【発明者】
【氏名】ドー、ナン
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-077725(JP,A)
【文献】特表2001-516933(JP,A)
【文献】特開2007-087441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/04
G11C 16/34
G11C 16/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリデバイスであって、
行及び列に配置された複数のメモリセルと、
前記メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、
各々が第1及び第2の入力及び出力を有する複数の差動検知増幅器であって、前記差動検知増幅器の各々について、
前記差動検知増幅器は、前記第1及び第2の入力に対する信号振幅の差に基づく振幅を有する前記出力に出力信号を生成するように構成され、
前記第1の入力は、前記ビット線のうちの1つに接続され、
前記第2の入力は、前記ビット線のうちの別の1つに接続される、複数の差動検知増幅器と、
前記ビット線のうちの第1に接続された前記メモリセルのうちの第1、及び前記ビット線のうちの第2に接続された前記メモリセルのうちの第2にプログラム動作を実行するように構成されたコントローラであって、
1つ以上のプログラミング電圧を前記第1のメモリセルに印加することと、
記差動検知増幅器のうちの第1の、前記出力の信号が第1の振幅を有するように、前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加することと、
前記第1の振幅が目標値と一致しないと判定し、それに応じて、1つ以上のプログラミング電圧を前記第2のメモリセルに印加することと、によって、前記第1及び第2のビット線は、前記差動検知増幅器のうちの前記第1の、前記第1及び第2の入力にそれぞれ接続される、コントローラと、を備える、メモリデバイス。
【請求項2】
前記コントローラは、前記1つ以上のプログラミング電圧を前記第2のメモリセルに前記印加した後に、
記差動検知増幅器のうちの前記第1の、前記出力の信号が第2の振幅を有するように、前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加し、
前記第2の振幅は前記目標値と一致すると判定するように更に構成される、請求項に記載のメモリデバイス。
【請求項3】
メモリデバイスであって、
行及び列に配置された複数のメモリセルと、
前記メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、
各々が第1及び第2の入力及び出力を有する複数の差動検知増幅器であって、前記差動検知増幅器の各々について、
前記差動検知増幅器は、前記第1及び第2の入力に対する信号振幅の差に基づく振幅を有する前記出力に出力信号を生成するように構成され、
前記第1の入力は、前記ビット線のうちの1つに接続され、
前記第2の入力は、前記ビット線のうちの別の1つに接続される、複数の差動検知増幅器と、
前記ビット線のうちの第1に接続された前記メモリセルのうちの第1、及び前記ビット線のうちの第2に接続された前記メモリセルのうちの第2にプログラム動作を実行するように構成されたコントローラであって、
a)1つ以上のプログラミング電圧を前記第1のメモリセルに印加することと、
b)前記差動検知増幅器のうちの第1の、前記出力の信号が第1の振幅を有するように、前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加することと、
c)前記第1の振幅が目標値と一致する場合、前記プログラム動作を停止することと、
d)前記第1の振幅の絶対値が目標値より小さい場合、工程(a)~(c)を繰り返すことと、
e)前記第1の振幅の前記絶対値が前記目標値より大きいと判定し、それに応じて、
f)1つ以上のプログラミング電圧を前記第2のメモリセルに印加する、
g)前記差動検知増幅器のうちの前記第1の、前記出力の信号が第2の振幅を有するように、前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加する、
h)前記第2の振幅の絶対値が前記目標値と一致する場合、前記プログラム動作を停止する、並びに
i)前記第2の振幅の絶対値が前記目標値より大きい場合、工程(f)~(h)を繰り返すことと、によって、前記第1及び第2のビット線は、前記差動検知増幅器のうちの前記第1の、前記第1及び第2の入力にそれぞれ接続される、コントローラと、を備える、メモリデバイス。
【請求項4】
メモリデバイスであって、
行及び列に配置された複数のメモリセルと、
前記メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、
前記ビット線の信号振幅を検出するように構成された1つ以上の検知増幅器と、
前記ビット線のうちの2つのビット線の信号振幅の差にそれぞれ基づいて出力信号を生成するように構成された計算回路と、
前記ビット線のうちの第1に接続された前記メモリセルのうちの第1、及び前記ビット線のうちの第2に接続された前記メモリセルのうちの第2にプログラム動作を実行するように構成されたコントローラであって、
1つ以上のプログラミング電圧を前記第1のメモリセルに印加することと、
記出力信号のうちの第1が第1の振幅を有するように、前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加することと、
前記第1の振幅が目標値と一致しないと判定し、それに応じて、1つ以上のプログラミング電圧を前記第2のメモリセルに印加することと、によって、前記出力信号のうちの前記第1は、前記第1及び第2のビット線の信号振幅の差に基づく、コントローラと、を備える、メモリデバイス。
【請求項5】
前記コントローラは、前記1つ以上のプログラミング電圧を前記第2のメモリセルに前記印加した後に、
記出力信号のうちの前記第1が第2の振幅を有するように、前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加し、
前記第2の振幅が前記目標値と一致すると判定するように更に構成される、請求項に記載のメモリデバイス。
【請求項6】
メモリデバイスであって、
行及び列に配置された複数のメモリセルと、
前記メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、
前記ビット線の信号振幅を検出するように構成された1つ以上の検知増幅器と、
前記ビット線のうちの2つのビット線の信号振幅の差にそれぞれ基づいて出力信号を生成するように構成された計算回路と、
前記ビット線のうちの第1に接続された前記メモリセルのうちの第1、及び前記ビット線のうちの第2に接続された前記メモリセルのうちの第2にプログラム動作を実行するように構成されたコントローラであって、
a)1つ以上のプログラミング電圧を前記第1のメモリセルに印加することと、
b)前記出力信号のうちの第1が第1の振幅を有するように、前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加することと、
c)前記第1の振幅が目標値と一致する場合、前記プログラム動作を停止することと、
d)前記第1の振幅の絶対値が前記目標値より小さい場合、工程(a)~(c)を繰り返すことと、
e)前記第1の振幅の前記絶対値が前記目標値より大きいと判定し、それに応じて、
f)1つ以上のプログラミング電圧を前記第2のメモリセルに印加すること、
g)前記出力信号のうちの前記第1が第2の振幅を有するように、前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加すること、
h)前記第2の振幅の絶対値が前記目標値と一致する場合、前記プログラム動作を停止すること、
i)前記第2の振幅の絶対値が前記目標値より大きい場合、工程(f)~(h)を繰り返すことと、によって、前記出力信号のうちの前記第1は、前記第1及び第2のビット線の信号振幅の差に基づく、コントローラと、を備える、メモリデバイス。
【請求項7】
行及び列に配置された複数のメモリセルと、前記メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、それぞれが第1及び第2の入力及び出力を有する複数の差動検知増幅器であって、前記差動検知増幅器の各々について、前記差動検知増幅器は、前記第1及び第2の入力に対する信号振幅の差に基づく振幅を有する前記出力に出力信号を生成するように構成され、前記第1の入力は、前記ビット線のうちの1つに接続され、前記第2の入力は、前記ビット線のうちの別の1つに接続される、複数の差動検知増幅器と、を有するメモリデバイスをプログラミングする方法であって、前記方法は、
前記ビット線のうちの第1に接続された前記メモリセルのうちの第1、及び前記ビット線のうちの第2に接続された前記メモリセルのうちの第2にプログラム動作を実行することであって、
1つ以上のプログラミング電圧を前記第1のメモリセルに印加することと、
記差動検知増幅器のうちの第1の、前記出力の信号が第1の振幅を有するように、前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加することと、
前記第1の振幅が目標値と一致しないと判定し、それに応じて、1つ以上のプログラミング電圧を前記第2のメモリセルに印加することと、によって、前記第1及び第2のビット線は、前記差動検知増幅器のうちの前記第1の、前記第1及び第2の入力にそれぞれ接続される、実行することを含む、方法。
【請求項8】
前記1つ以上のプログラミング電圧を前記第2のメモリセルに前記印加した後に、前記方法は、
記差動検知増幅器のうちの前記第1の、前記出力の信号が第2の振幅を有するように、前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加することと、
前記第2の振幅が前記目標値と一致すると判定することと、を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
行及び列に配置された複数のメモリセルと、前記メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、それぞれが第1及び第2の入力及び出力を有する複数の差動検知増幅器であって、前記差動検知増幅器の各々について、前記差動検知増幅器は、前記第1及び第2の入力に対する信号振幅の差に基づく振幅を有する前記出力に出力信号を生成するように構成され、前記第1の入力は、前記ビット線のうちの1つに接続され、前記第2の入力は、前記ビット線のうちの別の1つに接続される、複数の差動検知増幅器と、を有するメモリデバイスをプログラミングする方法であって、前記方法は、
前記ビット線のうちの第1に接続された前記メモリセルのうちの第1、及び前記ビット線のうちの第2に接続された前記メモリセルのうちの第2にプログラム動作を実行することであって、
a)1つ以上のプログラミング電圧を前記第1のメモリセルに印加することと、
b)前記差動検知増幅器のうちの第1の、前記出力の信号が第1の振幅を有するように、前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加することと、
c)前記第1の振幅が目標値と一致する場合、前記プログラム動作を停止することと、
d)前記第1の振幅の絶対値が前記目標値より小さい場合、工程(a)~(c)を繰り返すことと、
e)前記第1の振幅の前記絶対値が前記目標値より大きいと判定し、それに応じて、
f)1つ以上のプログラミング電圧を前記第2のメモリセルに印加すること、
g)前記差動検知増幅器のうちの前記第1の、前記出力の信号が第2の振幅を有するように、前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加すること、
h)前記第2の振幅の絶対値が前記目標値と一致する場合、前記プログラム動作を停止すること、
i)前記第2の振幅の絶対値が前記目標値より大きい場合、工程(f)~(h)を繰り返すことと、によって、前記第1及び第2のビット線は、前記差動検知増幅器のうちの前記第1の、前記第1及び第2の入力にそれぞれ接続される、実行すること、を含む、方法。
【請求項10】
行及び列に配置された複数のメモリセルと、前記メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、を有するメモリデバイスをプログラミングする方法であって、前記方法は、
前記ビット線のうちの第1に接続された前記メモリセルのうちの第1、及び前記ビット線のうちの第2に接続された前記メモリセルのうちの第2にプログラム動作を実行することであって、
1つ以上のプログラミング電圧を前記第1のメモリセルに印加することと、
前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加して、前記第1及び第2のビット線に第1の読み出し信号を生成することと、
前記第1の読み出し信号の振幅の差が目標値と一致しないと判定し、それに応じて、1つ以上のプログラミング電圧を前記第2のメモリセルに印加することと、によって、実行すること、を含む、方法。
【請求項11】
前記1つ以上のプログラミング電圧を前記第2のメモリセルに前記印加した後に、前記方法は、
前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加して、前記第1及び第2のビット線に第2の読み出し信号を生成することと、
前記第2の読み出し信号の振幅の差が前記目標値と一致することを判定することと、を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
行及び列に配置された複数のメモリセルと、前記メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、を有するメモリデバイスをプログラミングする方法であって、前記方法は、
前記ビット線のうちの第1に接続された前記メモリセルのうちの第1、及び前記ビット線のうちの第2に接続された前記メモリセルのうちの第2にプログラム動作を実行することであって、
a)1つ以上のプログラミング電圧を前記第1のメモリセルに印加することと、
b)前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加して、前記第1及び第2のビット線に第1の読み出し信号を生成することと、
c)前記第1の読み出し信号の振幅の差が目標値と一致する場合、前記プログラム動作を停止することと、
d)前記第1の読み出し信号の前記振幅の差の絶対値が前記目標値より小さい場合、工程(a)~(c)を繰り返すことと、
e)前記第1の読み出し信号の前記振幅の差の前記絶対値が前記目標値より大きいと判定し、それに応じて、
f)1つ以上のプログラミング電圧を前記第2のメモリセルに印加すること、
g)前記第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加して、前記第1及び第2のビット線に第2の読み出し信号を生成すること、
h)前記第2の読み出し信号の振幅の差が前記目標値と一致する場合、前記プログラム動作を停止すること、
i)前記第2の読み出し信号の前記振幅の差の絶対値が前記目標値より大きい場合、工程(f)~(h)を繰り返すことと、によって、実行すること、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2017年9月14日出願の米国仮特許出願第62/558,816号及び2018年7月2日出願の米国特許出願第16/025,039号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、不揮発性メモリアレイに関する。
【背景技術】
【0003】
分割ゲート型不揮発性メモリセル、及びかかるセルのアレイは周知である。例えば、米国特許第5,029,130号(「’130特許」)は、分割ゲート不揮発性メモリセルのアレイを開示する。メモリセルを図1に示す。各メモリセル10は、半導体基板12内に形成され、チャネル領域18をその間に有するソース領域及びドレイン領域14/16を含む。浮遊ゲート20は、チャネル領域18の第1の部分の上方及びドレイン領域16の一部の上方に形成され、それから絶縁される(かつその伝導率を制御する)。制御ゲート22(ワード線ゲート又は選択ゲートとも呼ばれる)は、チャネル領域18の第2の部分の上方に配設され、そこから絶縁される(かつその伝導率を制御する)第1の部分22aと、浮遊ゲート20の上方に延在する第2の部分22bと、を有する。浮遊ゲート20及び制御ゲート22は、ゲート酸化物26によって基板12から絶縁される。
【0004】
メモリセルは、制御ゲート22に高圧正電圧を印加することによって消去され(ここで電子は、浮遊ゲートから除去される)、それにより、ファウラーノルドハイムトンネリングによって浮遊ゲート20から制御ゲート22まで中間絶縁体24を通って浮遊ゲート20の電子をトンネリングさせる。
【0005】
メモリセルは、制御ゲート22に正電圧、及びドレイン16に正電圧を印加することによってプログラムされる(ここで電子は、浮遊ゲートに印加される)。電子電流は、ソース14からドレイン16に向かって流れることになる。電子は、制御ゲート22と浮遊ゲート20との間の間隙に達すると、加速し発熱する。熱せられた電子のいくらかは、浮遊ゲート20からの静電引力に起因してゲート酸化物26を通って浮遊ゲート20のに注入される。
【0006】
メモリセルは、ドレイン16及び制御ゲート22に正の読み出し電圧を印加することによって読み出される(制御ゲート下のチャネル領域をオンにする)。浮遊ゲート20が正に帯電する(すなわち、電子を消去し、ドレイン16に正に結合する)場合、浮遊ゲート20下のチャネル領域の部分は、次に同様にオンになり、電流は、チャネル領域18を流れ、これは、消去された状態つまり「1」の状態として検知される。浮遊ゲート20が負に帯電する(すなわち、電子でプログラムされる)場合、次に浮遊ゲート20下のチャネル領域の部分は、ほとんど又は完全にオフになり、電流は、チャネル領域18を流れず(又はわずかに流れる)、プログラムされた状態又は「0」の状態として検知される。
【0007】
メモリアレイのアーキテクチャを図2に示す。メモリセル10は、行及び列に配置される。各列において、メモリセルは、端から端まで鏡像的に配置され、その結果、それらのメモリセルは、それぞれが共通ソース領域14(S)を共有するメモリセルの対として形成され、メモリセル対の隣接するセットはそれぞれ共通ドレイン領域16(D)を共有する。任意の所与のメモリセルの行のソース領域14(S)は全て、ソース線14aによって電気的に接続される。任意選択的に、ソース線14aのグループ、又はメモリアレイ内の全てのソース線14aは、共通のソース線14bによって互いに電気的に接続することができる。任意の所与のメモリセルの列のドレイン領域16(D)は全て、ビット線16aによって電気的に接続される。任意の所与のメモリセルの行の制御ゲート22は全て、制御ゲート線22a(ワード線又は選択ゲート線とも呼ばれる)によって電気的に接続される。したがって、メモリセルを個々にプログラム及び読み出しすることができる一方、メモリセル消去は1行ずつ実行される(メモリセルの各行は、制御ゲート線22aへの高電圧の印加によって一緒に消去される)。特定のメモリセルが消去されるべき場合、同じ行内のメモリセル全てもまた消去されなければならない。行デコーダ及び列デコーダは、入力行及び列アドレスをデコードし、制御ゲート線22a及びビット線16aにそれぞれ適切な電圧を提供する。検知増幅器は、読み出し動作中にビット線の電圧又は電流を検知する。
【0008】
当業者は、ソース及びドレインに互換性があり得ることを理解しており、ここで浮遊ゲートは、図3に示されるようにドレインの代わりにソースの上方に部分的に延在し得る。図4は、メモリセル10、ソース線14a、ビット線16a、及び制御ゲート線22aを含む対応するメモリセルアーキテクチャを最も良く示している。これらの図から自明のように、同じ行のメモリセル10は、同じソース線14a及び同じ制御ゲート線22aを共有する一方で、同じ列の全てのセルのドレインは、同じビット線16aに電気的に接続されている。アレイの設計は、デジタルアプリケーション用に最適化されており、例えば、1.6V及び7.6Vを選択した制御ゲート線22a及びソース線14aにそれぞれ印加し、選択したビット線16aを接地することによるなど、選択したセルの個々のプログラミングを可能にする。同じ対の中の選択されていないメモリセルを妨害することは、選択されていないビット線16aに2ボルト超の電圧を印加し、残りの線を接地することによって回避される。消去に関与しているプロセス(浮遊ゲート20から制御ゲート22までの電子のファウラーノルドハイムトンネリング)は、ドレイン電圧(すなわち、同じソース線14aを共有する行方向で2つの隣接するセルにより異なり得る電圧のみ)に弱く影響を受けるだけであるので、メモリセル10を個々に消去することはできない。
【0009】
3つ以上のゲートを有する分割ゲートメモリセルもまた既知である。例えば、図5に示されるように、ソース領域14、ドレイン領域16、チャネル領域18の第1の部分の上方にある浮遊ゲート20、チャネル領域18の第2の部分の上方にある制御ゲート22、浮遊ゲート20の上方にある結合ゲート28、及びソース領域14の上方にある消去ゲート30を有するメモリセルが、知られている。結合ゲートは、制御ゲートと呼ばれることもあるが、本明細書では明確にするために結合ゲートとのみ呼ばれることに留意されたい(よって、チャネル領域18の一部分を制御するために使用される制御ゲート22と区別され得る)。プログラミングは、浮遊ゲート20にそれ自体を注入するチャネル領域18からの熱せられた電子によって示される。消去は、消去ゲート30に高圧正電圧を印加することにより、浮遊ゲート20から消去ゲート30への電子トンネリングによって示される。
【0010】
4ゲートのメモリセルアレイのアーキテクチャは、図6に示されるように構成され得る。この実施形態では、それぞれの水平の制御ゲート線22aは、メモリセルのその行の制御ゲート22全てを電気的に一緒に接続する。それぞれの水平の結合ゲート線28aは、メモリセルのその行の結合ゲート28全てを電気的に一緒に接続する。それぞれの水平のソース線14aは、ソース領域14を共有するメモリセルの2つの行に対するソース領域14全てを電気的に一緒に接続する。それぞれのビット線16aは、メモリセルのその列のドレイン領域16を電気的に一緒に接続する。それぞれの消去ゲート線30aは、消去ゲート30を共有するメモリセルの2つの行に対する消去ゲート30全てを電気的に一緒に接続する。以前のアーキテクチャと同様に、個々のメモリセルは、独立してプログラム及び読み出しを行うことができる。しかしながら、セルを個々に消去する方法はない。消去は、消去ゲート線30aに高圧正電圧を印加することによって実行され、このことは同じ消去ゲート線30aを共有するメモリセルの両方の行の同時消去をもたらす。例示的な動作電圧は、以下の表1のものを挙げることができ、選択線(Sel.)は、ターゲットメモリセルを含むものであり、非選択線(Unsel.)は、ターゲットメモリセルを含まない残りの線である。
【表1】
【0011】
3つの導電ゲートを有する分割ゲート不揮発性メモリセル、及びこのようなセルのアレイも既知である。例えば、米国特許第7,315,056号(「’056特許」)は、分割ゲート不揮発性メモリセルのアレイを開示する。メモリセルを図7に示す。各メモリセル10は、半導体基板12内に形成され、チャネル領域18をその間に有するソース領域及びドレイン領域14/16を含む。浮遊ゲート20は、チャネル領域18の第1の部分の上方に配置され、そこから絶縁されて(そしてその導電性を制御して)おり、またソース領域14の一部の上方に形成されている。制御ゲート22は、チャネル領域18の第2の部分の上方に配設され、そこから絶縁される(かつその伝導率を制御する)第1の部分22aと、浮遊ゲート20の上方に延在する第2の部分22bと、を有する。プログラム/消去ゲート32は、ソース領域14の上方に配設されて浮遊ゲート20に横方向に隣接する第1の部分32aと、浮遊ゲート20の上方に延在する第2の部分32bと、を有する。
【0012】
高圧正電圧をPEゲート32に印加することによって、メモリセルが消去される(電子が浮遊ゲートから除去される)。これによって、浮遊ゲート20の電子は、中間絶縁物を通って浮遊ゲート20からPEゲート32までファウラーノルデハイムトンネリングを介してトンネルする。
【0013】
制御ゲート22に正電圧を、ソース領域14に正電圧を、PEゲート32に正電圧を印加することによって、メモリセルがプログラムされる(浮遊ゲートに電子が印加される)。ドレイン16からソース14に向かって電子電流が流れる。電子は、制御ゲート22と浮遊ゲート20との間の間隙に達すると、加速し発熱する。熱せられた電子の一部は、浮遊ゲート20からの静電引力に起因して、浮遊ゲート20にゲート酸化物を介して注入される。
【0014】
メモリセルは、ドレイン16及び制御ゲート22に正の読み出し電圧を印加することによって読み出される(制御ゲート下のチャネル領域をオンにする)。浮遊ゲート20がプラスに帯電すると(すなわち電子が消去されて、ソース14に正に結合すると)、浮遊ゲート20の下のチャネル領域の部分もターンオンして、電流がチャネル領域18をわたって流れ、消去又は「1」状態として検知される。浮遊ゲート20が負に帯電する(すなわち、電子でプログラムされる)場合、次に浮遊ゲート20下のチャネル領域の部分は、ほとんど又は完全にオフになり、電流は、チャネル領域18を流れず(又はわずかに流れる)、プログラムされた状態又は「0」の状態として検出される。
【0015】
典型的な動作電圧は以下のようにすることができる。
【表2】
【0016】
メモリアレイのアーキテクチャを図8に示す。メモリセル10は、行及び列に配置される。各列において、メモリセルは端から端まで鏡像的に配置され、その結果、それらのメモリセルは、それぞれが共通ソース領域14を共有するメモリセルの対として形成され、メモリセル対の隣接するセットはそれぞれ共通ドレイン領域16を共有する。任意の所与のメモリセルの行のソース領域14は全て、ソース線14aによって共に電気的に接続される。任意の所与のメモリセルの列のドレイン領域16は全て、ビット線16aによって共に電気的に接続される。任意の所与のメモリセルの行の制御ゲート22は全て、制御ゲート線22aによって共に電気的に接続される。任意の所与の行のメモリセルのPEゲート32は全て、PEゲート線32aによって共に電気的に接続されている。したがって、メモリセルを個々にプログラムして読み出すことができる一方で、行対によってメモリセル消去が行われる(PEゲート32を共有するメモリセルの各行対は、PEゲート線32aに高電圧を印加することにより共に消去される)。特定のメモリセルを消去する場合、2つの行にある全てのメモリセルも消去される。
【0017】
近年、マルチビットストレージ又はアナログ信号記憶装置のいずれかの特定の値(アナログ値を含む)にプログラムされる各メモリセルを必要とする、分割ゲート不揮発性メモリセルのための新しいアプリケーションが開発されている。プログラミングは、1つ以上の短いプログラム電圧パルスを使用してメモリセルをプログラミングすることによって実行することができ、続いてプログラムは、メモリセルのプログラム状態を確認するための動作を検証する。セルが十分にプログラムされている場合、1つ以上の追加のプログラムパルスが印加される。これは、プログラム検証動作は、セルが所望のプログラム状態を達成したことを確認するまで継続する。
【0018】
しかしながら、プログラム検証動作が、セルがオーバープログラムされた(すなわち、オーバーシュート)と判定する場合、そのメモリセルのみを消去する方法はない。メモリセルの行全体、複数行、ブロック、又はアレイ全体は、オーバープログラムされたセルに対処するために消去されるであろう。次いで、全ての消去されたセルのプログラミングは、最初から再びやり直す必要がある。
【0019】
周囲のメモリセルを消去する必要なく、オーバープログラムされたメモリセルの補償を可能にするメモリセルアレイが必要とされている。
【発明の概要】
【0020】
前述の問題及び必要性は、行及び列に配置された複数のメモリセルと、メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、それぞれが第1及び第2の入力及び出力を有する複数の差動検知増幅器と、を含むメモリデバイスによって対処される。差動検知増幅器の各々について、差動検知増幅器は、第1及び第2の入力に対する信号振幅の差に基づく振幅を有する出力に出力信号を生成するように構成され、第1の入力は、ビット線のうちの1つに接続され、第2の入力は、ビット線のうちの別の1つに接続される。
【0021】
メモリデバイスは、行及び列に配置された複数のメモリセルと、メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、ビット線の信号振幅を検出するように構成された1つ以上の検知増幅器と、ビット線のうちの2つのビット線の信号振幅の差にそれぞれ基づいて出力信号を生成するように構成された計算回路と、を含む。
【0022】
行及び列に配置された複数のメモリセルと、メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、それぞれが第1及び第2の入力及び出力を有する複数の差動検知増幅器であって、差動検知増幅器の各々について、差動検知増幅器は、第1及び第2の入力に対する信号振幅の差に基づく振幅を有する出力に出力信号を生成するように構成され、第1の入力は、ビット線のうちの1つに接続され、第2の入力は、ビット線のうちの別の1つに接続される、複数の差動検知増幅器と、を有するメモリデバイスをプログラミングする方法である。本方法は、ビット線のうちの第1に接続されたメモリセルのうちの第1、及びビット線のうちの第2に接続されたメモリセルのうちの第2にプログラム動作を実行することであって、第1及び第2のビット線は、1つ以上のプログラミング電圧を第1のメモリセルに印加することと、第1の差動検知増幅器の出力の信号が第2の振幅を有するように、第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加することと、第1の振幅が目標値と一致しないと判定し、それに応じて、1つ以上のプログラミング電圧を第2のメモリセルに印加することと、によって、差動検知増幅器のうちの第1の、第1及び第2の入力にそれぞれ接続される、実行すること、を含む。
【0023】
行及び列に配置された複数のメモリセルと、メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、それぞれが第1及び第2の入力及び出力を有する複数の差動検知増幅器であって、差動検知増幅器の各々について、差動検知増幅器は、第1及び第2の入力に対する信号振幅の差に基づく振幅を有する出力に出力信号を生成するように構成され、第1の入力は、ビット線のうちの1つに接続され、第2の入力は、ビット線のうちの別の1つに接続される、複数の差動検知増幅器と、を有するメモリデバイスをプログラミングする方法である。本方法は、ビット線のうちの第1に接続されたメモリセルのうちの第1、及びビット線のうちの第2に接続されたメモリセルのうちの第2にプログラム動作を実行することであって、第1及び第2のビット線は、
a)1つ以上のプログラミング電圧を第1のメモリセルに印加することと、
b)第1の差動検知増幅器の出力の信号が第1の振幅を有するように、第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加することと、
c)第1の振幅が目標値と一致する場合、プログラム動作を停止することと、
d)第1の振幅の絶対値が目標値より小さい場合、工程(a)~(c)を繰り返すことと、
e)第1の振幅の絶対値が目標値より大きいと判定し、それに応じて、
f)1つ以上のプログラミング電圧を第2のメモリセルに印加すること、
g)第1の差動検知増幅器の出力の信号が第2の振幅を有するように、第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加すること、並びに
h)第2の振幅の絶対値が目標値と一致する場合、プログラム動作を停止すること、
i)第2の振幅の絶対値が目標値より大きい場合、工程(f)~(h)を繰り返すことと、によって、差動検知増幅器のうちの第1の、第1及び第2の入力にそれぞれ接続される、実行すること、を含む。
【0024】
行及び列に配置された複数のメモリセルと、メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、を有するメモリデバイスをプログラミングする方法であって、方法は、ビット線のうちの第1に接続されたメモリセルのうちの第1、及びビット線のうちの第2に接続されたメモリセルのうちの第2にプログラム動作を実行することであって、1つ以上のプログラミング電圧を第1のメモリセルに印加することと、第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加して、第1及び第2のビット線に第1の読み出し信号を生成することと、第1の読み出し信号の振幅の差が目標値と一致しないと判定し、それに応じて、1つ以上のプログラミング電圧を第2のメモリセルに印加することと、によって、実行すること、を含む、方法である。
【0025】
行及び列に配置された複数のメモリセルと、メモリセルの列のうちの1つにそれぞれ接続された複数のビット線と、を有するメモリデバイスをプログラミングする方法である。本方法は、ビット線のうちの第1に接続されたメモリセルのうちの第1、及びビット線のうちの第2に接続されたメモリセルのうちの第2にプログラム動作を実行することであって、
a)1つ以上のプログラミング電圧を第1のメモリセルに印加することと、
b)第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加して、第1及び第2のビット線に第1の読み出し信号を生成することと、
c)第1の読み出し信号の振幅の差が目標値と一致する場合、プログラム動作を停止することと、
d)第1の読み出し信号の振幅の差の絶対値が目標値より小さい場合、工程(a)~(c)を繰り返すことと、
e)第1の読み出し信号の振幅の差の絶対値が目標値より大きいと判定し、それに応じて、
f)1つ以上のプログラミング電圧を第2のメモリセルに印加すること、
g)第1及び第2のメモリセルに1つ以上の読み出し電圧を印加して、第1及び第2のビット線に第2の読み出し信号を生成すること、並びに
h)第2の読み出し信号の振幅の差が目標値と一致する場合、プログラム動作を停止すること、
i)第2の読み出し信号の振幅の差の絶対値が目標値より大きい場合、工程(f)~(h)を繰り返すことと、によって、実行すること、を含む。
【0026】
本発明の他の目的及び特徴は、明細書、請求項、添付図面を精読することによって明らかになるであろう。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】従来の2ゲート不揮発性メモリセルの横断面図である。
図2図1の従来の2ゲート不揮発性メモリセルのアーキテクチャの概略図である。
図3】従来の2ゲート不揮発性メモリセルの対の横断面図である。
図4図3の従来の2ゲート不揮発性メモリセルのアーキテクチャの概略図である。
図5】従来の4ゲート不揮発性メモリセルの横断面図である。
図6図5の従来の4ゲート不揮発性メモリセルのアーキテクチャの概略図である。
図7】従来の3ゲート不揮発性メモリセルの横断面図である。
図8図7の従来の3ゲート不揮発性メモリセルのアーキテクチャの概略図である。
図9】差動検知増幅器に接続されたスーパーセルの概略図である。
図10】差動検知増幅器に接続されたスーパーセルのアレイの概略図である。
図11】スーパーセルのアレイの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、オーバープログラムされているメモリセル、又はアンダープログラムされているメモリセルの単一セル補償を提供する分割ゲート不揮発性メモリセルのアレイ用の新規アーキテクチャ構成を含む。アーキテクチャは、メモリセルの対(「スーパーセル」40と総称される各対)を含み、メモリセル対の読み出し出力は、図9に示すように差動検知増幅器42への入力として提供される。差動検知増幅器42の出力42aは、負(-)増幅器入力の信号の振幅によって減算された正(+)増幅器入力の信号の振幅に基づく。したがって、セル10A(すなわち、そのビット線16a)の出力は、正(+)増幅器入力に接続され、セル10B(すなわち、そのビット線16a)の出力は、負(-)増幅器入力に接続され、これにより、差動検知増幅器42の出力42aの信号の振幅は、セル10Bによって生成された信号の振幅によって減算されたセル10Aによって生成された信号の振幅から導出される。差動検知増幅器は、好ましくは、ビット線の信号を(減算の前又は後のいずれかに)増幅するので、より容易に検出及び使用されることに留意されたい。そのため、出力42aの信号の振幅は、入力16aの信号間の実際の差である必要はなく、むしろ、入力16aの信号振幅間の差に基づいて(例えば、比例して、オフセットして、直線的に増加して、そうでなければ除かれて)増幅値を有することになる。
【0039】
セル10Aが所望の目標正プログラミング状態にプログラムされている場合、セル10Aをプログラムするために電圧の1つ以のプログラミングパルスが使用される。1つ以上の介在する読み出し動作は、セル10のプログラミング状態を確認するために使用される。所望のプログラミング状態が達成されるまで、プロセスを繰り返す。しかしながら、セル10Aがオーバープログラムされる場合、セル10Bをオーバーシュートにほぼ等しいレベルにプログラミングすることによって補償することができる。そして、差動検知増幅器42によるセル10Aの出力からセル10Bの出力が効果的に減算されると、(差動検知増幅器42の出力42aとして)所望のプログラミング出力が達成される。セル10Aがオーバープログラムされる場合、この解決策は、セル10Aを消去し、もう一度やり直すことを回避する。セル10Bがオーバープログラムされる場合、セル10Aは、元のプログラミングされた状態にセル10Bのオーバーシュートの量を加えたレベルにほぼ等しいレベルに再びプログラムすることができる。セル10A及び10Bのこの交互プログラミングは、スーパーセル40の正確な所望のプログラミング状態が達成されるまで継続することができる。
【0040】
同様に、所望の負のプログラミング状態が存在する場合、セル10Bは、(1つ以上の介在読み出し動作によって確認されるように)差動検知増幅器42への負入力として提供されるため、その状態を達成するようにプログラムされる。セル10Bがその状態を達成しようとするようにオーバープログラムされる場合、セル10Aは、スーパーセル40の正確な所望のプログラミング状態(差動検知増幅器42によるセル10Bの(負の)出力にセル10Aの出力が効果的に加えられるとき)が達成されるまで、オーバーシュートなどにほぼ等しいレベルにプログラムされる。したがって、いずれの場合も(所望のプログラミング状態は正又は負である)、出力42aの出力信号の絶対値が目標値と一致するまで、第1のセルのプログラミングが実行される。第1のセルが代わりにオーバープログラムされる(すなわち、出力信号の絶対値が目標値を超える)場合、第2のセルは、目標値と一致するまで出力信号の絶対値を低減するようにプログラムされる。
【0041】
図10は、コントローラ44の制御下で動作するスーパーセル40のアレイ構成を示し(すなわち、コントローラ44は、メモリセルを読み出し、プログラミングし、消去するためのワード線、ビット線、ソース線などの様々なメモリアレイ線に様々な電圧を提供する行及び列アドレスデコーダ46及び47などの回路を制御する)、各スーパーセル40は、メモリセル10A及び10Bの対を含む。メモリセルは、行及び列に配置され、図1,3,5及び7に関連して上述した2ゲート、3ゲート、又は4ゲートメモリセルなどの任意の不揮発性メモリセルであってもよい。メモリアレイは、ワード線WL0~WLn(各々が1行のメモリセルの制御ゲート22に接続され、動作電圧を供給する行アドレスデコーダ46に接続される)及びビット線BL0~BLm(各々が1列のメモリセルのドレイン領域16に接続され、動作電圧を供給する列アドレスデコーダ47に接続される)を含む。具体的には、ビット線BL0及びBL1は、第1の2列のメモリセルに接続され、そのようなセルの各行は、1つのスーパーセル40を形成する一対のメモリセル10A及び10Bを含む。したがって、ビット線BL0及びBL1に接続されたスーパーセル40の列が存在する。差動検知増幅器42-1~42-pが存在し、差動検知増幅器42-1は、ビット線BL0及びBL1に接続され(ビット線BL0が差動検知増幅器42-1の正入力に接続され、ビット線BL1が差動検知増幅器42-1の負入力に接続される)、ビット線BL2及びBL3に接続された差動検知増幅器42-2などがある。適切なワード線WLを活性化することにより、各スーパーセル40は、個々にプログラムされ、読み出されることができる。例えば、読み出し電圧(読み出し電圧の下に保持された全ての他のワード線を有する)にWL0を配置すると、スーパーセル40の第1の行は、差動検知増幅器42-1~42-pによって個々に読み出すことができる。
【0042】
左上のスーパーセル40(すなわち、ワード線WL0及びWL1及びビット線BL0及びBL1に接続されたメモリセル10A及び10Bを有するスーパーセル40)の例示的なプログラム動作は、1つ以上のプログラミング電圧をセル10Aに印加することによって開始することができる。次いで、1つ以上の読み出し電圧がスーパーセル40に印加されて、所望のプログラム状態が達成されたかどうかを判定する(すなわち、差動検知増幅器42-1の出力42aの信号の振幅は目標値と一致する)。一致は、信号振幅が正確に目標値であるか、又は目標値の周囲の特定の範囲内にある信号振幅を含む。一致する場合、プログラミングは停止する。アンダーシュートのために一致がない場合、上記プログラミング及び読み出しが繰り返される。オーバーシュートのために一致がない場合、オーバーシュートを補償するために1つ以上のプログラミング電圧がセル10Bに印加される。次いで、1つ以上の読み出し電圧がスーパーセルに印加されて、所望のプログラム状態が達成されたかどうかを判定する(すなわち、差動検知増幅器42-1の出力42aの信号の振幅は目標値と一致する)。上記のオーバーシュート又はアンダーシュートプログラミング及び読み出しは、差動検知増幅器出力の信号の振幅が目標値と一致するまで継続する。
【0043】
図11は、読み出し動作中にビット線電圧を個々に検知及び増幅する従来の検知増幅器48を含む代替実施形態を示す。次いで、検知された電圧を計算回路50に提供し、これは偶数番号のビット線の信号値から奇数番号のビット線の信号値の減算を実行して、スーパーセル40の読み出し値を判定する。
【0044】
本発明は、本明細書に図示した上記実施形態(複数可)に限定されるものではなく、任意の請求の範囲にあるあらゆる全ての変形例も包含することが理解されよう。例えば、本明細書における本発明への言及は、いかなる特許請求の範囲又は特許請求の範囲の用語も限定することを意図するものではなく、代わりに特許請求の範囲の1つ以上によって網羅され得る1つ以上の特徴に言及するにすぎない。上述の材料、プロセス、及び数値例は、単なる例示であり、請求項を限定するものと見なされるべきではない。単一の材料層は、複数のそのような又は類似の材料層として形成することができ、そして、逆もまた同様である。最後に、計算回路50は、検知増幅器48とは別個のものとして示されているが、計算回路50は、検知増幅器回路48の一部として組み込まれ得る。あるいは、計算回路50は、コントローラ44の一部として組み込まれ得る。スーパーセルは、同じ行内の2つの隣接するメモリセルとして示されているが、スーパーセルは、異なる行内に2つのメモリセルを含み得る。例えば、スーパーセル40は、ワード線WL0及びビット線BL0に接続されたメモリセルと、ワード線WL1及びBL1に接続されたメモリセルとを含み得る。実際に、ビット線BL0及びBL1のためのスーパーセル40を形成するためにメモリセルを対にすることは、ビット線BL0に接続されたメモリセルのうちのいずれか1つを、ビット線BL1に接続されたメモリセルのうちの任意の1つと対にすることを含み得る。
【0045】
本明細書で使用される、用語「~上方に(over)」及び「~の上に(on)」は共に、「直接的に~の上に」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)及び「間接的に~の上に」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を包括的に含むことに留意されるべきである。同様に、「隣接した」という用語は、「直接隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「間接的に隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を含み、「取り付けられた」は、「直接取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「間接的に取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を含み、「電気的に結合された」は、「直接電気的に結合された」(中間材料又は要素がそれらの間で要素を電気的に連結していない)、及び「間接的に電気的に結合された」(中間材料又は要素がそれらの間で要素を電気的に連結している)を含む。例えば、「基板上方に」要素を形成することは、中間材料/要素が介在せずに直接的に基板の上にその要素を形成することも、1つ以上の中間材料/要素が介在して間接的に基板の上にその要素を形成することも含む可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11