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特許7116810カロリー消費モデルを使用する行動監視を改善するために健康器具との接続性を備えた着用可能コンピュータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】カロリー消費モデルを使用する行動監視を改善するために健康器具との接続性を備えた着用可能コンピュータ
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20220803BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20220803BHJP
   A61B 5/22 20060101ALI20220803BHJP
   G16Y 10/65 20200101ALI20220803BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20220803BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20220803BHJP
【FI】
A63B71/06 J
A63B69/00 C
A61B5/22 100
G16Y10/65
G16Y20/40
G16Y40/10
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020572476
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019040956
(87)【国際公開番号】W WO2020014196
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/697,386
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/129,664
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】ラオ, バラース ナラシンハ
(72)【発明者】
【氏名】ストラッサー, ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】スリニヴァス, ウママヘシュ
(72)【発明者】
【氏名】シェリダン, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】オクス, ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】マジッジ, ヴィナイ アール.
(72)【発明者】
【氏名】ラグラム, カルティク, ジャヤラマン
(72)【発明者】
【氏名】ハンブレ, オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ブラニク, ジェイ
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0317438(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02025369(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/06
A63B 69/00
A63B 22/00-24/00
A61B 5/22
G16Y 10/65
G16Y 20/40
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが着用する無線着用可能コンピュータの1つ以上のプロセッサによって、健康器具との無線通信接続を確立することと、
前記無線通信接続を使用する前記1つ以上のプロセッサによって、前記ユーザが前記健康器具上でのトレーニングセッション中に連動されている間に、前記健康器具から器具データを取得することと、
前記無線着用可能コンピュータの心拍数センサから、前記ユーザの心拍数データを取得することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、作業量カロリーモデルを前記器具データに適用することによって、作業量カロリー消費を判定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記心拍数データ及び前記作業量カロリー消費に基づいて前記ユーザの較正された最大酸素消費を判定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、心拍数カロリーモデルを、前記ユーザの前記心拍数データ及び前記較正された最大酸素消費に適用することによって、心拍数カロリー消費を判定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記無線着用可能コンピュータ又は健康器具に、又は、前記1つ以上のプロセッサによって、ディスプレイ用若しくはストレージ用に前記健康器具に又は他の機器に前記無線通信接続又は他の通信接続を介して、前記作業量カロリー消費又は前記心拍数カロリー消費のうちの少なくとも1つを記憶する又は送信することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記無線着用可能コンピュータの1つ以上の動きセンサから、前記健康器具上の前記ユーザの動きに応じて生成された動きデータを取得することと、
前記無線着用可能コンピュータのデジタル歩数計によって、前記動きデータに基づいて歩数計出力データを判定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記歩数計出力データ及び前記器具データに基づいて、前記ユーザの較正された歩幅を判定することと、
前記較正された歩幅を、前記作業量カロリーモデルへの入力として適用することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記器具データが、距離、ペース、又はケイデンスの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記健康器具が、トレッドミルであり、前記器具データが、速度、ペース、傾斜、勾配、又は移動距離のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記健康器具が、静止バイク又はローワーであり、前記器具データが、抵抗、歩幅、ストロークカウント、又は出力のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記健康器具が、ステアクライマーであり、前記器具データが、歩幅カウント又は獲得標高のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記作業量カロリー消費及び前記心拍数カロリー消費が、連続した非重複時間間隔にわたって推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記無線通信接続を介して、前記作業量カロリー消費又は前記心拍数カロリー消費のうちの少なくとも1つを前記健康器具に送信することが、
前記作業量カロリー消費及び前記心拍数カロリー消費の値の大きさを比較することと、
比較によって選択した前記作業量カロリー消費又は前記心拍数カロリー消費を、ユーザ消費カロリーとして前記健康器具に送信することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ウォーキングに対して二次作業量カロリーモデルが使用され、ランニングに対して線形作業量カロリーモデルが使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記線形作業量カロリーモデルが前記ユーザの指定された速度で呼び出され、前記二次作業量カロリーモデルが前記ユーザの身長に基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1つ以上の動きセンサと、
心拍数センサと、
1つ以上のプロセッサと、
を備える無線着用可能コンピュータであって、
命令を記憶しているメモリであって、前記命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
健康器具との無線通信接続を確立することと、
前記無線通信接続を使用して、ユーザが前記健康器具上でのトレーニングセッション中に連動され、かつ、前記無線着用可能コンピュータを着用している間に、前記健康器具から器具データを取得することと、
前記心拍数センサから、前記ユーザの心拍数データを取得することと、
作業量カロリーモデルを前記器具データに適用することによって、作業量カロリー消費を判定することと、
前記心拍数データ及び前記作業量カロリー消費に基づいて、前記ユーザの較正された最大酸素消費を判定することと、
心拍数カロリーモデルを、前記ユーザの前記心拍数データ及び前記較正された最大酸素消費に適用することによって、心拍数カロリー消費を判定することと、
前記無線着用可能コンピュータ又は健康器具に、又は、ディスプレイ用若しくはストレージ用に前記健康器具に又は他の機器に前記無線通信接続又は他の通信接続を介して、前記作業量カロリー消費又は前記心拍数カロリー消費のうちの少なくとも1つを前記健康器具に送信することと、
を含む動作を実行させる、メモリと、
を備える、無線着用可能コンピュータ。
【請求項12】
前記無線着用可能コンピュータの前記1つ以上の動きセンサから、前記健康器具上の前記ユーザの動きに応じて生成された動きデータを取得することと、
前記無線着用可能コンピュータのデジタル歩数計によって、前記動きデータに基づいて歩数計出力データを判定することと、
前記歩数計出力データ及び前記器具データに基づいて、前記ユーザの較正された歩幅を判定することと、
前記較正された歩幅を、前記作業量カロリーモデルへの入力として適用することと、
を更に含む、請求項11に記載の無線着用可能コンピュータ。
【請求項13】
前記器具データが、距離、ペース、又はケイデンスのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の無線着用可能コンピュータ。
【請求項14】
前記健康器具が、トレッドミルであり、前記器具データが、速度、ペース、傾斜、勾配、又は移動距離のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の無線着用可能コンピュータ。
【請求項15】
前記健康器具が、静止バイク又はローワーであり、前記器具データが、抵抗、歩幅、ストロークカウント、又は出力のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の無線着用可能コンピュータ。
【請求項16】
前記健康器具が、ステアクライマーであり、前記器具データが、歩幅カウント又は獲得標高のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の無線着用可能コンピュータ。
【請求項17】
前記作業量カロリー消費及び前記心拍数カロリー消費が、連続した非重複時間間隔にわたって推定される、請求項11に記載の無線着用可能コンピュータ。
【請求項18】
前記無線通信接続を介して、前記作業量カロリー消費又は前記心拍数カロリー消費のうちの少なくとも1つを前記健康器具に送信することが、
前記作業量カロリー消費及び前記心拍数カロリー消費の値の大きさを比較することと、
比較によって選択した前記作業量カロリー消費又は前記心拍数カロリー消費を、ユーザ消費カロリーとして前記健康器具に送信することと、
を更に含む、請求項11に記載の無線着用可能コンピュータ。
【請求項19】
ウォーキングに対して二次作業量カロリーモデルが使用され、ランニングに対して線形作業量カロリーモデルが使用される、請求項11に記載の無線着用可能コンピュータ。
【請求項20】
前記線形作業量カロリーモデルが前記ユーザの指定された速度で呼び出され、前記二次作業量カロリーモデルが前記ユーザの身長に基づく、請求項19に記載の無線着用可能コンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、着用可能コンピュータを使用する行動監視に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの着用可能コンピュータ(例えば、スマートウォッチ、健康バンド)は、デジタル歩数計を使用して、ユーザの毎日の移動を追跡し、移動距離及び消費カロリーなどの経過及びトレーニング結果に関連するカスタム通知を提供する健康アプリケーションを含む。いくつかの健康アプリケーションはまた、ユーザの心拍数も監視し、これは、消費カロリーを算出するために使用され得る。典型的なデジタル歩数計は、いつ歩いているかを判定するために、加速度計からの加速度計データに頼っている。着用可能コンピュータが手首に着用されている場合、腕振りによる加速を使用して歩数を判定する。これらの歩数は不正確である場合があり(例えば、不規則又は弱まった腕振りに起因して)、その結果、移動距離の測定が不正確になる。心拍数は、着用可能コンピュータに埋め込まれた光センサを使用して測定することができる。
【0003】
ユーザは、ジムでトレーニングをする際、多くの場合、トレーニングを監視し、トレーニングをまとめた健康メトリックを生成するプロセッサを含む健康器具を使用する。例えば、トレッドミルは、トレーニング中の総移動距離、経過時間、及び総消費カロリーをユーザに表示することができる。総移動距離は、加速度計データではなくトレッドミルモーターシャフトの回転に基づいているため、通常は正確であるが、総消費カロリーは、多くの場合、ユーザの実際の心拍数を含まないモデルに基づく推定値であるか、又は嫌気性カロリー消費の場合、心拍数を介して観察することができない。
【発明の概要】
【0004】
カロリー消費モデルを使用する行動監視を改善するために健康器具との接続性を備えた無線着用可能コンピュータの実施形態が開示されている。一実施形態では、方法は、ユーザが着用する無線着用可能コンピュータのプロセッサによって、健康器具との無線通信接続を確立することと、通信接続を使用するプロセッサによって、ユーザが健康器具上でのトレーニングセッション中に連動されている間に、健康器具から器具データを取得することと、無線デバイスの心拍数センサから、ユーザの心拍数データを取得することと、プロセッサによって、作業量カロリーモデルを器具データに適用することによって、作業量カロリー消費を判定することと、プロセッサによって、心拍数データ及び作業量カロリー消費に基づいて、ユーザの較正された最大酸素消費を判定することと、プロセッサによって、心拍数カロリーモデルを、ユーザの心拍数データ及び較正された最大酸素消費に適用することによって、心拍数カロリー消費を判定することと、プロセッサによって、通信接続を介して、作業量カロリー消費又は心拍数カロリー消費のうちの少なくとも1つを健康器具に送信することと、を含む。
【0005】
他の実施形態は、装置、コンピューティングデバイス、及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
【0006】
主題の1つ以上の実装形態の詳細は、添付図面及び下掲の明細書に記載されている。本主題の他の特徴、態様、及び利点は、明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に従う、健康器具と無線接続された着用可能コンピュータを含む、改善された行動監視システムのための動作環境を図示している。
【0008】
図2】実施形態に従う、健康器具データと組み合わせた着用可能コンピュータデータを使用した、改善された行動監視のための例示的な行動監視システムのブロック図である。
【0009】
図3】実施形態に従う、着用可能コンピュータを健康器具に接続するための例示的なプロセスフローである。
【0010】
図4】実施形態に従う、例示的な接続確立手順のスイムレーン図である。
【0011】
図5】実施形態に従う、着用可能コンピュータとセッションを接続及び確立するための、健康器具プロセッサによって実装された、例示的なステートマシンを図示する状態図である。
【0012】
図6】実施形態に従う、健康データを算出するために着用可能コンピュータによって実行される、例示的なプロセスのフロー図である。
【0013】
図7】実施形態に従う、デジタル歩数計を較正するために着用可能コンピュータによって実行される、例示的なプロセスのフロー図である。
【0014】
図8A】実施形態に従う、トレッドミルからのデータに基づいて消費カロリーを判定するために着用可能コンピュータによって実行される、データフローのブロック図である。
【0015】
図8B】実施形態に従う、エリプティカル、室内バイク、ローワー、又はステアクライマーからのデータに基づいて消費カロリーを判定するために着用可能コンピュータによって実行される、データフローのブロック図である。
【0016】
図9】実施形態に従う、健康器具からの器具データに基づいて消費カロリーを判定するために着用可能コンピュータによって実行される、例示的なプロセスのフロー図である。
【0017】
図10図1図9を参照して記載された特徴及び動作を実施する着用可能コンピュータのための、例示的な着用可能コンピュータアーキテクチャである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
例示的な動作環境
図1は、実施形態に従う、健康器具101と無線接続された着用可能コンピュータ102を含む、改善された行動監視システムのための動作環境100を図示している。ユーザ100は、健康器具101(本実施例では、トレッドミル)上を走っている間、コンピュータ102を手首に着けている。健康器具の他の例としては、クロストレーナー(エリプティカルトレーナー)、ステップ/ステアクライマー、屋内バイク、屋内ローイングマシン、及びスキーマシンが挙げられるが、これらに限定されない。着用可能コンピュータ102は、スマートウォッチ、健康バンド、チェストバンド、ヘッドバンド、イヤーバッド、行動/健康トラッカー、ヘッドセット、スマート眼鏡、又は健康器具101と通信し、健康メトリックを算出することが可能な任意の他の着用可能コンピュータであり得る。着用可能コンピュータ102は、無線通信プロトコルを使用して、健康器具101内のプロセッサと双方向無線通信セッション103を確立する。一実施形態では、セッション103は、Bluetoothセッション又は近距離無線通信(near field communication、NFC)セッションであることができ、これらは、図4及び図5を参照して記載されたように、「ペアリング」プロセスを使用して確立され得る。一実施形態では、健康器具101は、認証されており、かつ双方向データ共有が着用可能コンピュータ102と健康器具101との間で許可される前に、データを共有するためのユーザ承諾を確認する。
【0019】
着用可能コンピュータ102は、プロセッサと、プロセッサによって実行され得る健康アプリケーションを実行するための命令を含むメモリとを含む。健康アプリケーションは、健康器具101上でのユーザのトレーニングセッション中に着用可能コンピュータ102上で実行される。健康器具101中のプロセッサは、トレーニングセッションを監視し、トレーニングセッションに関連した様々なデータ(以下「器具データ」と称される)を計算する。このデータとしては、総エネルギ使用量、総走行距離、経過時間、瞬間速度、平均速度、傾斜、及び正の獲得標高が挙げられるがこれらに限定されない。器具データは、リンク103を介してコンピュータ102に伝送され、コンピュータ102に知られているデータ(以下「着用可能コンピュータデータ」と称される)と共に健康アプリケーションによって使用され、消費カロリーなどの1つ以上の健康メトリックを算出する。以下に更に詳細に記載されているように、着用可能コンピュータ102は、ユーザの心拍数を決定するために心拍数モニタを含むことができ、これは、器具データと組み合わせて、消費カロリーを決定できる。
【0020】
トレーニングセッション中に、着用可能コンピュータ102によって算出された1つ以上の健康メトリックは、健康器具101に伝送し返され、メトリックが健康器具101のモニタに表示される。トレーニングセッション中及び/又はトレーニングセッション終了後、健康メトリックを含むトレーニング集計をコンピュータ102に伝送する。ユーザは、健康器具101上で又は着用可能コンピュータ102上で、いつでもトレーニングセッションの詳細を見ることができる。一実施形態では、着用可能コンピュータ102は、健康器具101から受信したメトリック、並びに着用可能コンピュータ102によって計算された心拍数及びカロリー(合計/アクティブ)を有するセッション中のビューを表示する。ユーザは、コンピュータ102を使用して、他の機器と直接的に又はネットワーク(例えば、インターネット)を通じて間接的に同期することにより、トレーニング集計を別の機器に伝送することができる。一実施形態では、トレーニングセッション集計は、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)又はマルチピアアドホックメッシュネットワークを通じて、ジム内の他のユーザ機器と共有することができる。このようにして、ユーザは、ジム内では、特定の健康器具について友人、トレーナー、及び他の個人と健康メトリックを比較することができる。一実施形態では、ユーザ承諾を得て、匿名の集計データをサーバコンピュータによって処理して、大きなサンプルセットについての特定の健康器具のトレーニング統計を提供できる。このような統計は、ジムオペレータ、健康器具製造者、及び他の関係団体によって使用され、どの器具が最も人気か、器具に滞在する平均時間、及び他の有用な情報を判定することができる。
【0021】
健康メトリックを算出することに加えて、着用可能コンピュータ102は、器具データを使用して、着用可能コンピュータ102上で実行されるデジタル歩数計を較正することができる。例えば、健康器具101によって計算されたトレーニングセッション中の総移動距離は、歩数計の歩数に基づくトレーニングセッション中の推定移動距離と共に使用して、較正係数(例えば、2つの数値の比)を決定することができる。較正係数を使用して、コンピュータ102によって算出された推定移動距離をスケールして、推定値の誤差を補正することができる。
システムの例
【0022】
図2は、実施形態に従う、健康器具データと組み合わせた着用可能コンピュータデータを使用した、改善された行動監視のための例示的な行動監視システムのブロック図である。システム200は、スマートウォッチ又は健康バンド等の着用可能コンピュータ102内に実装することができる。システム200は、無線インタフェース201、動きセンサ(単数又は複数)202(例えば、加速度計、ジャイロ、磁気計)、健康アプリケーション203、デジタル歩数計204、行動データ205、生理的センサ(単数又は複数)206、及び歩数計データ207を含む。システム200は、WLANアクセスポイント208(例えば、Wi-Fiルータ)を通じて、ネットワーク212と有線又は無線で結合して、ネットワークサーバコンピュータ210を通じて、データを伝送し、及び/又は行動データ211を同期することができる。
【0023】
一実施形態では、無線インタフェース201は、図1を参照して記載されたように、健康器具101との無線通信セッションを確立、維持、及び終了するための無線送受信機、並びに他のハードウェア(例えば、アンテナ)及びソフトウェア(例えば、ソフトウェア通信スタック)を含む。一実施形態では、無線インタフェース201はまた、マルチピアアドホックメッシュネットワークを通じて、WLANアクセスポイント208及び/又は他の機器213と無線通信セッションを確立、維持、並びに終了するように構成することもできる。
【0024】
一実施形態では、加速度計等の動きセンサは、歩数を決定し、ユーザの歩数及び歩幅に基づいて推定移動距離を算出するためにデジタル歩数計204によって使用され得る、加速度データを提供する。歩幅は、ユーザの性別及び身長を考慮すると、ユーザの平均歩幅に基づくことができ、又はセンサデータに基づいて自動的に判定することができる。歩数及び移動距離を含む歩数計データ207は、着用可能コンピュータ102に記憶され得る(例えば、フラッシュメモリ内に記憶)。
【0025】
健康アプリケーション203は、着用可能コンピュータ102の1つ以上のプロセッサによって実行されるソフトウェアプログラムであり得る。健康アプリケーション203は、歩数計データ207を使用して、ユーザの毎日の移動を追跡し、移動距離及び消費カロリー等の経過及びトレーニング結果に関連するカスタマイズ通知を提供する。健康アプリケーション203はまた、ユーザの心拍数及びユーザの他の生理機能も監視する。これらは、生理的センサ(単数又は複数)206によって提供されるセンサデータから算出することができる。生理的センサ206のいくつかの例としては、心拍数(パルス)センサ、血圧センサ、皮膚温度、並びに/又はコンダクタンス応答センサ、及び呼吸数センサが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、生理的センサ(単数又は複数)206は、光を感知できるフォトダイオードと対になった多数の発光ダイオード(light emitting diode、LED)を含む心拍数センサを含む。LEDは、ユーザの体の一部分(例えば、ユーザの手首)に向かって光を放ち、フォトダイオードが反射された光を測定する。光源と反射光との間の差は、ユーザの体で吸収された光の量である。従って、ユーザのハートビートは、反射光を変調し、これを処理して、ユーザの心拍数を決定できる。測定された心拍数を経時的に平均化して、平均心拍数を決定できる。
【0026】
心拍数モニタ(heart rate monitor、HRM)は、カロリー消費を測定しない。むしろ、HRMは、心拍数と酸素摂取量(VO)との間の関係を使用して、定常状態のカーディオエクササイズ中のカロリー消費を推定する。特定の行動の消費カロリーを測定するために一般に是認されている方法は、酸素摂取量(VO)を測定することである。定常状態の有酸素運動中は、酸素は、運動の強度に応じて比較的一定の割合で利用される。心拍数と酸素摂取量との間に観察可能及び再現可能な関係がある。ワークロード強度が増大すると、心拍数が増大し、逆もまた同様である。ユーザの安静中の心拍数、最大心拍数、最大酸素摂取量、及び体重が既知である場合、最大心拍数のパーセンテージ又は予備心拍数のパーセンテージに基づいて、カロリー消費を推定できる。
【0027】
タスクの代謝当量(metabolic equivalent、MET)は、特定の身体的行動中に消費されたエネルギの割合と安静時に消費されたエネルギの割合との比である。慣例により、安静代謝率(resting metabolic rate、RMR)は、3.5mL Okg-1-1であり、1METは、式1で定義される。
【数1】
【0028】
式[1]を使用すると、3METの行動は、安静時に体によって使用されるエネルギの3倍消費する。人が3METの行動を30分間行うと、3×30=90MET-分の身体的行動を行ったことになる。エネルギ消費の割合は、身体的行動の強度に依存するため、エネルギ消費はまた、トレーニングセッションで使用される健康器具のタイプにも依存するということになる。例えば、トレッドミルでの激しいジョギングは、6よりも多いMETを有することができ、固定式屋内バイクでの軽いトレーニングは、3以下のMETを有することができる。
【0029】
一実施形態では、MET値のルックアップテーブルは、行動データ211として記憶できる。トレーニングセッション中、健康器具101は、健康アプリケーション203によって使用され、身体的行動を識別して、身体的行動に好適なMETを選択することができる、健康器具タイプを含む器具データを送信する。例えば、健康器具タイプがトレッドミルを示す場合、トレッドミルでのジョギングに好適なMETが、式[2]を使用して、消費カロリーCの算出のために選択され得る。
C=MET×時間(分)×体重(kg) [2]
ここで、METは、特定の健康行動と関連付けられたMETであり、例えば、着用可能コンピュータ102によって記憶されたルックアップテーブルから取得できる。
【0030】
公表されたMET値及び特定の身体的行動のための健康器具によって使用される値は、多くの場合、人のサンプルから実験的に又は統計的に導き出された平均である。ユーザが特定の身体的行動(例えば、歩行ペース、走行速度)を実行する強度のレベルは、平均MET値からはずれる。ユーザに対するカロリー消費を個人化するために、図8及び図9を参照して説明したように、より正確なモデルを着用可能コンピュータ102上で使用して、カロリー消費を算出することができる。
例示的なユースケース
【0031】
図3は、実施形態に従う、着用可能コンピュータを健康器具に接続するための例示的なプロセスフロー300である。着用可能コンピュータと健康器具とを接続するための4つのユースケースがある。1)ユーザは、最初に健康器具とペアリングして、次いでトレーニングを開始する、2)ユーザは、着用可能コンピュータを付けてトレーニングを開始し、次いで健康器具とペアリングする、3)ユーザは、健康器具でトレーニングを開始し、次いで着用可能コンピュータとペアリングする、4)ユーザは、着用可能コンピュータ及び健康器具で同時にトレーニングする。各ユースケースについて、順番に説明する。
【0032】
第1のユースケースでは、ユーザは、ジムを訪れ、器具が着用可能コンピュータ(本実施例では、ユーザの手首に付けられたスマートウォッチである)とペアリングできることを示すバッジ(例えば、RFIDタグ)を有する健康器具を見つける。ユーザは、自分の着用可能コンピュータをバッジの近くに置きペアリングを始めることによって、新しいトレーニングセッションを開始する(301)。着用可能コンピュータがバッジの近く(例えば、10cmより小さい)である場合、例えば、着用可能コンピュータ内に位置するループアンテナとバッジとの間の磁気誘導を使用して、バッジが近接していることを検出する。
【0033】
ユーザが初めて健康器具とペアリングする場合、健康器具とのデータ共有を承諾するようにユーザに要求する(303)。承諾の要求は、着用可能コンピュータのディスプレイ上に提示されたGUIアフォーダンスの形態であり得る。ユーザが既に承諾している場合(例えば、健康器具との前の接続に基づいて)、健康器具とのペアリングをユーザに要求する。つまり、この最初のユースケースでは、ユーザは、現在のトレーニングセッション中ではなく、ステップ302は、該当しない。ユーザがペアリングを許可したら、ペアリング/認証プロセスを開始する(305)。ペアリング/認証中にエラーが発生すると、エラーをユーザに報告する(304)。エラーは、接続失敗及び/又は認証失敗によるものであり得る。
【0034】
パーソナル生理学的データは、公共の健康器具に伝送されているため、着用可能コンピュータ及び健康器具は、ユーザのパーソナル健康データの共有が許可される前に認証手順を実行する。認証プロセス中に、及び公開キー-秘密キー暗号化を使用する実施形態では、健康器具は、楕円曲線デジタル署名アルゴリズム(elliptical curve digital signature algorithm、ECDSA)又は任意の他の好適なデジタル署名アルゴリズムの形態であり得る、公開キー-秘密キー対を生成及び安全に記憶する。次いで、健康器具は、秘密キー及び他のデータを使用して、メッセージダイジェスト(例えば、SHA256メッセージダイジェスト)を算出する。他のデータは、例えば、乱数、接続確認値、ローカル名データなどであり得る。次いで、健康器具は、エンコードされた公開鍵及びメッセージダイジェストを使用して認証プロセスを実行する。健康器具の認証が成功すると、着用可能コンピュータ及び健康器具は、ペアリングを開始する。
【0035】
ペアリングの成功後、ユーザは、例えば、器具を開始する(例えば、トレッドミルを開始する)ことによって健康器具での身体的トレーニングを開始する(306)。トレーニングセッション中に、着用可能コンピュータは、着用可能コンピュータと健康器具とがペアリングされており、トレーニングセッションがアクティブであることを示すアフォーダンスを表示する。アクティブトレーニングセッション中に、全ての現在のメトリックが着用可能コンピュータによって表示される。健康器具が休止されると、着用可能コンピュータ上のトレーニングセッションもまた休止し、着用可能コンピュータは、着用可能コンピュータ上のトレーニングが休止できないことを表すGUIを表示する。休止が延長されると(307)(例えば、1.5分超)、トレーニングセッションが終了し(309)、トレーニングセッション集計がユーザに表示される(310)。トレーニングセッション中に、着用可能コンピュータが健康器具から接続が切断されると、着用可能コンピュータは、健康器具から接続が切断されたことをユーザに報告する。接続の切断が延長されると(308)(例えば、1.5分超)、トレーニングセッションが終了し(309)、トレーニングセッション集計がユーザに表示される(310)。一実施形態では、GUIアフォーダンスは、着用可能コンピュータによって表示され、これにより、ユーザは、健康器具でのトレーニングに影響することなく、着用可能コンピュータでアクティブトレーニングセッションの接続を切断し、終了できる。
【0036】
第2のユースケースでは、ユーザは、既に着用可能コンピュータでトレーニングセッション中である。例えば、トレーニングセッションを着用可能コンピュータで実行させながら、ユーザは、屋外を走った後にジムに入っている場合がある。第2のユースケースでは、ユーザは、着用可能コンピュータを健康器具のバッジの近くに置くことによって、新しいトレーニングセッションを開始する(301)。一実施形態では、ユーザがデータ共有を既に承諾している場合、ユーザは、現在のトレーニングセッションを終了及び保存し、健康器具とのペアリングを開始するようにアフォーダンスで促される。ユーザが許可したら、現在のトレーニングセッションを終了及び保存し(302)、ペアリング/認証プロセスを開始する(305)。ユーザが許可しなかったら、ペアリング/認証は、実行されず、現在のトレーニングセッションは、着用可能コンピュータでアクティブなままである。一実施形態では、現在のトレーニングセッションは、着用可能コンピュータによって自動的に終了及び保存され、ペアリングスクリーンが着用可能コンピュータに表示される。
【0037】
ペアリング/認証プロセスの成功後、ユーザは、身体的トレーニングを開始する(306)。新しいトレーニングセッションが終了すると(309)(延長した休止307又は延長した接続の切断308を含む)、前の及び現在のトレーニングセッションの両方からのデータは、トレーニングセッション集計に表示される(310)。
【0038】
一実施形態では、ユーザがデータ共有を承諾しなかった場合、ユーザは、データを共有し(303)、現在のトレーニングセッションを終了及び保存し、ペアリング/認証プロセスを開始するためのユーザの承諾を要求するGUIアフォーダンスで促される。ユーザがデータ共有を承諾したら、現在のトレーニングセッションを終了及び保存し(302)、ペアリング/認証プロセスを開始する(305)。ユーザがデータ共有を承諾しなかったら、ペアリング/認証プロセスは、終了し、現在のトレーニングセッションは、着用可能コンピュータでアクティブなままである。一実施形態では、現在のトレーニングセッションは、着用可能コンピュータによって自動的に終了及び保存され、ペアリングスクリーンが着用可能コンピュータに表示される。
【0039】
第3のユースケースでは、ユーザは、着用可能コンピュータではなく健康器具で新しいトレーニングセッションを開始する(301)。トレーニングセッション中に、ユーザは、バッジに気づき、着用可能コンピュータをバッジの近くに置く。ユーザがデータ共有を既に承諾している場合、ユーザは、ペアリングを促される。ユーザがペアリングを許可したら、ペアリング/認証プロセスを開始する(305)。ペアリング/認証プロセスが成功すると、着用可能コンピュータと健康器具とがペアリングされる。ユーザは、健康器具での身体的トレーニングを継続できる(306)。健康器具でユーザによってもたらされた健康データは、着用可能コンピュータに取り込まれ、これにより、健康器具でトレーニングセッションを開始した後に着用可能コンピュータでトレーニングセッションを開始した場合であっても、ユーザは、あらゆるデータを失わない。トレーニングセッションが終了すると(309)(延長した休止307又は延長した接続の切断308を含む)、トレーニングセッションの集計が表示される(310)。
【0040】
ユーザがデータ共有を以前に承諾しなかった場合、ユーザは、承諾するように要求される(303)。ユーザが承諾すると、ペアリングが開始する(305)。ペアリング/認証プロセスが成功すると、着用可能コンピュータと健康器具とがペアリングされる。ユーザは、健康器具での身体的トレーニングを継続する(306)。トレーニングセッションが終了すると(309)(延長した休止307又は延長した接続の切断308を含む)、トレーニングセッションの集計が表示される(310)。ユーザがデータ共有を承諾しない場合、ペアリング/認証は、実行されず、ユーザは、着用可能コンピュータがトレーニングセッションを実行させることなく、健康器具での身体的トレーニングを継続できる。
【0041】
第4のユースケースでは、ユーザは、健康器具トレーニングと着用可能コンピュータトレーニングに同時に従事する。ユーザは、自分の着用可能コンピュータを健康器具のバッジの近くに置くことによって、新しいトレーニングを開始する(301)。一実施形態では、ユーザがデータ共有を既に承諾している場合、ユーザは、現在のトレーニングを終了及び保存し、ペアリングを開始するように促される。ユーザが許可したら、現在のトレーニングを終了及び保存し(302)、ペアリング/認証を開始する(305)。ユーザが許可しなかったら、ペアリング/認証プロセスは、実行されない。一実施形態では、現在のトレーニングセッションは、着用可能コンピュータによって自動的に終了及び保存され、ペアリングスクリーンが着用可能コンピュータに表示される。ペアリング/認証プロセスが成功すると、着用可能コンピュータと健康器具とがペアリングされる。新しいトレーニングセッションが終了すると(309)(延長した休止307又は延長した接続の切断308を含む)、以前に保存されたトレーニングセッション及び新しいトレーニングセッションの両方の集計が表示される(310)。
【0042】
ユーザがデータ共有を承諾しなかった場合、ユーザは、現在のトレーニングセッションを終了及び保存し(302)、データ共有を承諾(303)するように要求され、ユーザが許可した場合、現在のトレーニングセッションを終了し、トレーニングセッションの集計を保存し、ペアリングを開始する(305)。ペアリング/認証プロセスが成功すると、ユーザは、新しいトレーニングを開始する(306)。新しいトレーニングセッションが終了すると(309)(延長した休止307又は延長した接続の切断308を含む)、保存されたトレーニングセッション及び新しいトレーニングセッションの集計が表示される(310)。
【0043】
図4は、実施形態に従う、NFCを使用する例示的な接続確立手順を図示するスイムレーン図である。図では、ユーザ401、着用可能コンピュータ402、及び健康器具403を含む3つの作用主体が存在する。図中の各ステップは、「a」から始まり「q」で終わる文字で示されている。
【0044】
接続確立手順は、着用可能コンピュータを健康器具のバッジの近くに置くことによって、ユーザ401が健康器具403に健康器具403とペアリングする意図を知らせる(ステップ「a」)と開始する。
【0045】
時限接続間隔T接続準備済の間、健康器具403は、着用可能コンピュータ402によって検出され(ステップ「b」)、着用可能コンピュータ402は、セッションID(例えば、ペアリングの試み毎に固有の数字)及び帯域外(out-of-band、OOB)シークレットデータ(接続毎に固有)を健康器具403に送信し(ステップ「c」)、健康器具403は、例えば、ECDSAを使用して、識別デジタル署名を算出する(ステップ「d」)。一実施形態では、OOB秘密データは、Bluetoothコア仕様のセキュリティマネージャー仕様、ボリューム3、パートHに準拠し得る。健康器具403は、セッションID及びOOB秘密データを読み取るためのNFCリーダを含み得る。
【0046】
時限発見間隔T発見の間、健康器具403は、健康器具サービス(fitness machine service、FTMS)及びセッションIDを公示する(ステップ「e」)。着用可能コンピュータ402は、公示を介して健康器具403を発見し(ステップ「f」)、公開キー及び署名要求を提供する(ステップ「g」)。
【0047】
健康器具403は、着用可能コンピュータ402に公開キー及び署名応答(ステップ「h」)を送信する。着用可能コンピュータ402は、承諾要求をユーザ401に送信し(ステップ「i」)、ユーザ401は、要求を許可する(ステップ「j」)。
【0048】
時限ペアリング間隔Tペアリングの間、着用可能コンピュータ402は、OOBペアリング要求を健康器具403に送信し(ステップ「k」)、健康器具403は、OOBペアリング応答を着用可能コンピュータ402に送信する(ステップ「l」)。
【0049】
時限認証間隔Tアクセサリ認証の間、着用可能コンピュータ402は、認証チャレンジを健康器具403に送信し(ステップ「m」)、認証応答を健康器具403から受信する(ステップ「n」)。
【0050】
認証が成功すると、ユーザ401は、トレーニングを開始し(ステップ「o」)、器具データ(例えば、健康器具タイプ、総エネルギ使用量、経過時間、総距離)は、着用可能コンピュータ402に送信され(ステップ「p」)、健康データ(例えば、瞬間心拍数及び平均心拍数、アクティブカロリー及び総カロリー)は、着用可能コンピュータ402から健康器具403に送信される(ステップ「q」)。データは、例えば、NFC又はBluetooth標準プロトコル(例えば、Bluetoothコア仕様バージョン4.2、NFC Suite B バージョン1.0)を使用して、通信される。
【0051】
図5は、実施形態に従う、着用可能コンピュータとセッションを接続及び確立するための、健康器具プロセッサによって実装された、例示的なステートマシン500を図示する図である。各状態は、「a」から始まり「f」で終わる文字で示されている。
【0052】
健康器具は、健康器具がアイドル状態であり、そのNFCリーダは、ユーザのタグを読み取る準備ができている発見状態501(状態「a」)で開始する。接続する意図のあるユーザが検出されると(「タップ」)、状態501は、接続可能な公示状態502(状態「b」)に遷移し、健康器具は、時限間隔T接続公示で公示する。公示パケットに含まれているのは、セッションID及びFTMSである。ペアリング要求を着用可能コンピュータから受信すると、状態502がペアリング状態503(状態「c」)に遷移する。状態503では、健康器具は、識別情報検証要求、認証チャレンジ、及びペアリング要求に応答する。
【0053】
ペアリングが完了すると、状態503は、接続された発見可能状態504(状態「d」)に遷移し、ここで、健康器具は、着用可能コンピュータとペアリングにされている。リンクを損失すると、接続された発見可能状態504は、接続の切断された公示状態505(ステップ「e」)に遷移する。状態505では、健康器具は、着用可能コンピュータともはや通信することはできず、発見不可能なものとして公示を開始して再接続を促進する。再接続時間T再接続が終了すると、接続の切断された公示状態505は、非ペアリング状態506(ステップ「f」)に遷移する。状態506では、健康器具は、その現在のペアリング記録を削除する。
【0054】
健康器具が、接続された発見可能状態504であり、ユーザが接続の切断を開始すると、接続された発見可能504は、非ペアリング状態506に遷移する。健康器具が接続の切断された公示状態505であり、着用可能コンピュータが再接続を開始すると、接続の切断された公示状態505は、接続の切断された発見可能状態504に遷移する。健康器具がペアリング状態503であり、ペアリング時間Tペアリングが終了すると、ペアリング状態503は、発見可能状態501に遷移する。健康器具が接続可能な公示状態502であり、発見時間T発見が終了すると、接続可能な公示状態502は、発見可能状態501に遷移する。
【0055】
一実施形態では、ユーザは、着用可能コンピュータ上でペアリングがどのように動作するかを決定できる。ユーザは、1つ以上のGUIアフォーダンス又はハードウェア入力メカニズムを使用して、様々なペアリングオプションを選択できる。例えば、スイッチで、ユーザは、自動ペアリングをオン及びオフできる。自動ペアリングとは、過去に健康器具とのペアリングが是認されている場合に、ユーザがペアリングに対してYESという必要がないものである。別のスイッチは、ユーザが常にオンする又はユーザが着用可能コンピュータの健康アプリケーションを起動したときにのみオンするように自動ペアリングを選択できるようにする。トレーニングアプリケーションが起動されたときにのみ自動ペアリングが可能である場合、ユーザは、トレーニングアプリケーションを起動して健康器具とペアリングしなければならない。一実施形態では、ユーザが着用可能コンピュータの少なくとも1つのトレーニングセッションを完了したと着用可能コンピュータが判断する場合、自動ペアリングは、健康アプリケーションが起動されているかにかかわらずオンのままになる。ユーザがトレーニングセッションを完了していない場合、ユーザは、健康アプリケーションを起動して、自動ペアリングをオンする必要がある。
【0056】
一実施形態では、GUIハードウェア又はハードウェア入力メカニズムを使用して、着用可能コンピュータに記憶されたペアリング記録にリスト化された、特定の健康器具又は全ての健康器具をクリアすることができる。しかし、着用可能コンピュータが過去に特定の健康器具とペアリングされており、かつユーザが最後のペアリングからx日(例えば、90日)以内にペアリングを試みる場合、着用可能コンピュータは、健康器具に自動接続する。さもなければ、図3図5を参照して記載されたように、ユーザは、健康器具とのペアリング/認証プロセスの実行を促される。
【0057】
図6は、実施形態に従う、健康データを算出するために着用可能コンピュータによって実行される、例示的なプロセスのフロー図である。図8を参照して記載されたように、プロセス600は、アーキテクチャ600によって実装できる。
【0058】
健康器具と無線通信を確立すること(601)によって、プロセス600は、開始できる。図3図5を参照して記載されたように、例えば、Bluetooth又はNFCセッションが健康器具と確立され得る。固有セッションID及びOOBシークレットデータを着用可能コンピュータ上で算出し、ペアリング及び認証に使用するために健康器具に送信することができる。
【0059】
健康器具から器具データを入手することによって、ペアリング後にプロセス600は継続する(602)。ペアリング及び認証の成功後、Bluetooth又はNFCセッションデータパケットを使用して、器具データを着用可能コンピュータに伝送することができる。器具データとしては、例えば、健康器具について記載するデータを挙げることができ、製造者名、モデル番号、ハードウェアリビジョン、ソフトウェアリビジョン、ベンダーID、製品IDを含むがこれらに限定されない。更には、総エネルギ量、総距離、及び経過時間等の様々な健康メトリックを器具データに含むことができる。様々なタイプの健康器具の健康メトリックのいくつかは、以下の表Iに記載されている。
【表1】
【0060】
器具データに従ってトレーニングセッションを決定すること(603)によって、プロセス600は継続する。器具データに基づいて、着用可能コンピュータは、トレーニングセッション中にユーザが従事する特定の身体的行動を学習する。例えば、健康器具がトレッドミルである場合、着用可能コンピュータは、何の健康メトリックを健康器具から受信することができるか、及びトレーニングの健康データの算出方法を知っているだろう。これは、例えば、カロリー消費を算出するための適切なMETを判定すること等のカロリーモデルのパラメータを調整することを含み得る。
【0061】
トレーニングセッションを開始すること(604)によって、プロセス600は継続する。例えば、ユーザは、健康器具を開始する。トレーニング中にユーザの生理学的データを入手すること(605)によって、プロセス600は継続する。生理学的データは、心拍数センサ、パルス検出器、血圧センサ、皮膚温度及び/又はコンダクタンス応答センサ、呼吸数センサなどが挙げられるがこれらに限定されない、トレーニング中のユーザの生理機能を測定する任意のデータであり得る。センサは、スマートウォッチ又はウォッチバンド、フィットネスバンド、チェストバンド、ヘッドバンド、フィンガークリップ、イヤクリップ、イヤバッド、ストラップレス心拍数モニタなどが挙げられ得るがこれらに限定されない、任意の好適な筐体に含まれ得る。
【0062】
生理学的データ、器具データ、及びユーザ特性(単数又は複数)に基づいて、トレーニングセッション中に、ユーザの健康データを決定すること(606)によって、プロセス600は継続する。例えば、カロリー消費モデルで使用できる、身体的行動、総エネルギ量、総距離、経過時間、表Iに示す任意の他のデータの知識を使用して、消費カロリーを算出できる。METに依存している、及びMETに依存していないモデル、並びに身長、体重、年齢、及び性別等のユーザ特性の任意のタイプ及び組み合わせを含むモデルを含む、任意の好適なカロリー消費モデルが使用できる。
【0063】
トレーニングセッション中に、健康データを健康器具に送信すること(607)によって、プロセス600は継続する。健康データを算出した後、着用可能コンピュータは、健康データを健康器具に送信し、健康データは、健康器具のモニタに表示され得る。一実施形態では、健康データはまた、着用可能コンピュータに記憶され得る。記憶された健康データは、ネットワーク形サーバコンピュータを含む別の機器と同期すること、及びクライアントサーバアーキテクチャを通じて、他の機器と共有することができる。一実施形態では、健康データは、マルチピアアドホックメッシュネットワーク内の他の機器(例えば、友人、トレーナー等が有する機器)と直接的に共有することができる。
【0064】
図7は、実施形態に従う、デジタル歩数計を較正するために着用可能コンピュータによって実行される、例示的なプロセス700のフロー図である。図8を参照して記載されたように、プロセス700は、アーキテクチャ700によって実装できる。
【0065】
健康器具と無線通信を確立すること(701)によって、プロセス700は、開始する。図4及び図5を参照して記載されたように、例えば、Bluetooth又はNFCセッションが健康器具と確立され得る。
【0066】
着用可能コンピュータ上で歩数計較正アプリケーションを起動すること(702)によって、プロセス700は継続する。歩数計アプリケーションは、着用可能コンピュータ上の加速度計によって提供される加速度計データ等のセンサデータに基づいて歩数を測定することができる。
【0067】
健康器具から器具データを入手すること(703)によって、プロセス700は継続する。ペアリング/認証プロセスの成功後、健康器具は、トレーニング中にユーザが従事した特定の身体的行動を示すデータを着用可能コンピュータに送信できる。加えて、器具データは、トレッドミルからの総距離データなどの、デジタル歩数計を較正するために使用できる情報を含むことができる。
【0068】
歩数計データを入手すること(704)によって、プロセス700は継続する。歩数計データは、歩数、又は歩数及びユーザの歩幅から算出することができる移動距離を含むことができる。
【0069】
器具データ及び歩数計データに基づいて歩数計較正係数を判定すること(705)によって、プロセス700は継続する。例えば、比は、デジタル歩数計によって提供された推定距離に対する、器具データで提供された総距離から形成することができる。この比は、その比で推定距離をスケーリングすることによって将来の歩数計測定値を補正するための較正換算係数として使用することができる。較正係数を記憶すること(706)によって、プロセス700は継続する。較正は、ユーザがトレッドミルを使用する度に実行することができる。
健康器具データを使用するカロリー消費モデルの例
【0070】
ユーザに対するカロリー消費を計算する有効かつ正確な方法は、酸素摂取量VOの使用を介するものである。VOは、エネルギ消費に密接に結び付けられているため、運動強度の良好な指標である。強度が高いほど、ユーザが消費する酸素が多くなり、ユーザが燃焼するカロリーが多くなる。American College of Sport Medicine(ACSM)は、様々なタイプの健康器具(例えば、トレッドミル、ローワー、ステアクライマー、屋内バイク、エリプティカル)に対するカロリー消費を予測するために使用できるVOモデルを提供する。例えば、ウォーキングの場合、VO=(0.1×速度)+(1.8×速度×勾配)+3.5である。この式は、かなり遅い速度範囲(1時間あたり1.9~約4マイル(mph))に対して適切である。速度は、1分あたりのメートル(m/分)で計算される。数字0.1及び1.8は、0.1=ウォーキング中に(水平方向に)体重各1キログラム(kg)を移動させる1メートルあたりの酸素コスト、及び1.8=重力に逆らって(垂直方向に)総体重を移動させる1メートルあたりの酸素コスト、を指す定数である。ランニングの場合、VO=(0.2×速度)+(0.9×速度×勾配)+3.5である。この式は、5.0mphを超える(又は対象者が本当にジョギングしている場合には3.0mph以上の)速度に対して適切である。速度は、m/分で計算される。定数は、0.2=ランニング中に(水平方向に)体重各1kgを移動させる1メートルあたりの酸素コスト、及び0.9=重力に逆らって(垂直方向に)総体重を移動させる1メートルあたりの酸素コスト、を指す。しかしながら、これらのACSMモデルは、平均身長の数人の成人を用いて開発されたため、不正確であることが多い。本明細書に記載される着用可能コンピュータは、トレッドミルマシンによって提供される速度及び勾配データなどの健康器具データを使用することによって、より正確なカロリー消費計算を提供し、次いで、新しいモデルを健康器具データに適用して、健康器具ユーザに対するより正確なカロリー消費を計算することができる。
【0071】
以下の説明において、熱量測定モデリングが、速度、標高などのパラメータの健康器具入力に基づいて、作業量(WR)カロリー推定を改善するために使用される。熱量測定モデリングはまた、ユーザが健康器具のトレーニングセッションにあるときにVO最大値を較正することによって、VO最大値の推定を改善する。
データフローの例
【0072】
図8Aは、一実施形態による、トレッドミルデータに基づいてカロリー消費を判定するためのデータフローのブロック図である。システム800は、図1図7を参照して説明したように動作する、着用可能コンピュータ102と無線通信中の健康器具101を含む。着用可能コンピュータ102は、データフローを実装するソフトウェアを含む。図示される例では、健康器具101は、トレッドミルであり、トレッドミルコンピュータによって計算されたトレッドミルデータ(例えば、距離、ペース、傾斜)を着用可能コンピュータ102に提供する。
【0073】
着用可能コンピュータ102は、センサデータ(例えば、加速度、角速度)をデジタル歩数計802に提供する1つ以上の慣性センサ801(例えば、加速度計、ジャイロスコープ)を含む。デジタル歩数計802は、センサデータを使用してユーザの歩数を判定する。歩幅較正器804は、トレッドミルデータ(例えば、真のデータと見なされる)及び歩数計出力データ(例えば、推定データと見なされる)に基づいて、較正係数を計算する。較正係数は、歩数計メータ出力データに適用され、較正された歩数計出力データは、着用可能コンピュータ102のディスプレイ上でトレーニングセッションデータとして表示されるか、又はディスプレイ用にトレッドミル101に送り戻されるか、又はディスプレイ若しくはストレージ用に別のデバイスに送信される。
【0074】
一実施形態では、歩幅較正器804は、作業量カロリーモデル805に入力される較正された歩幅を計算する。各タイプの健康器具に対して、作業量を計算することができる。トレッドミル101の場合、適用されたパワー出力又は作業量(WR)を、トレッドミルデータを使用して計算することができる。一般的に、WR=f(器具が計算しているエネルギ)であり、ここで、f(.)は括弧内のパラメータ(単数又は複数)の関数を示す。トレッドミルの場合、WR=f(ペース)g(勾配補正)、及び静止バイクの場合、WR=f(速度)g(抵抗)である。図示される例では、作業量カロリーモデル805は、トレッドミルデータを使用して(例えば、ペース及び勾配を使用して)計算された作業量に基づいて、ユーザのカロリー消費を(METsで)計算する。次に、VOの暗黙的推定値として、作業量METsをVO最大値較正器807に入力することができる。着用可能コンピュータ102内の光センサ806は、VO最大値較正器807への別の入力として心拍数データを提供する。VO最大値較正器807は、VO及び心拍数データの暗黙的推定値を使用して、VO最大値を較正する。次いで、心拍数データ及び較正されたVO最大値が、心拍数カロリーモデル808に入力される。心拍数カロリーモデル808は、ユーザの心拍数データ及び較正されたVO最大値に基づいて、ユーザのカロリー消費を(METsで)計算する。作業量METs及び心拍数METsは、着用可能コンピュータ102上でのトレーニングセッションデータとして表示することができ、又は、通信接続を介してトレッドミル101に送り返されて表示されてもよく、又はディスプレイ若しくはストレージ用の別のデバイスに送信することができる。
【0075】
一実施形態では、WR及びHRカロリー消費値(MET値)は、本明細書で「エポック」と称される連続した非重複時間間隔にわたって推定される。一実施形態では、「エポック」は、x秒(例えば、100Hzでサンプリングされた加速度計センサデータの256サンプルに対応する、2.56秒)であり得る。各エポックにわたって、単一のMET値が報告され、これは、ユーザが費やしたMETsの最良の推定値である。この最良のMET推定値は、作業量及び心拍数に対するMET値の大きさと、それらの値のそれぞれに関連付けられた信頼度とを比較する、アービトレーションロジックによって選択される。例えば、心拍数MET値は、作業量MET値よりもx%(例えば、10%)だけ大きいように選ばれ得る。一例として、傾斜に対するユーザの運動は、作業量METsによって過小評価され得るが、心拍数METsによってより正確に追跡され得る。
【0076】
一実施形態では、2つの較正方法は、較正器804、並びにケイデンスベースのルックアップテーブル及び加速度計エネルギ法によって実施される。ケイデンスベースのルックアップテーブルは、ケイデンス及び歩幅(SL)を含み、ここで、ケイデンス=Steps/unit_time、SL=D/Stepsであり、Stepsは、着用可能コンピュータ102によって計算された歩数であり、Dは、トレッドミルから受信した真の距離である。一実施形態では、Stepsは、センサデータを使用して、着用可能コンピュータ102によって測定される。一定のケイデンス下では、ケイデンスは、SLと非常に相関している。ユーザがトレッドミル101上にないとき、着用可能コンピュータ102は、現在のケイデンスを、ケイデンスベースのルックアップテーブルからのルックアップSLに使用することができる。
【0077】
加速度計エネルギ法では、着用可能コンピュータ102は、加速度データ(SL_uncal=f(accel))の関数に基づいて、未較正SL(SL_uncal)を計算する。次いで、D_uncalibrated=StepsSL_uncal及びPace_uncalibrated=time/(StepsSL_uncal)であるように、未較正距離(D_uncalibrated)が、Steps及びSL_uncalから計算される。ユーザがトレッドミル101上にある間、較正係数は、Kval=D/D_uncalibratedとして計算される。ユーザがトレッドミル101上にいない間、D_calibrated=StepsSL_uncalKvalである。ケイデンスベースのルックアップテーブル及び加速度計エネルギ法の両方に対して、勾配を含めることができる。また、ウォーキング及びランニングに対して、別個のケイデンスベースのルックアップテーブルを使用することができる。
【0078】
任意の所望のモデルを、作業量カロリーモデル805に使用することができる。一実施形態では、ウォーキングに対して二次モデルを使用でき、ランニングに対して線形モデルを使用でき、ここで、二次モデルから線形モデルへの切り替えは特定の速度(例えば、4.5mph)においてであり、二次モデルはユーザの身長に基づく。二次モデルでは、ウォーキングからランニングに遷移するときの、歩幅の差を考慮する。一実施形態では、ウォーキングMETは、METs=k(a+bs+c)として計算され、ここで、s=マイル/時での速度であり、kは、平坦(上り坂勾配がゼロ)ではk=1、上り坂勾配が検出された場合はk>1であるような勾配補正係数であり、a、b、cは経験的に判定できる定数である。ランニングMETsは、METs=k(as+c)として計算される。モデルがウォーキングからランニングにMETsを切り替える速度は、ユーザの身長の関数として、4.2~4.8マイル/時の範囲で判定される。
【0079】
任意の所望のモデルを、心拍数カロリーモデル808に使用することができる。一実施形態では、HRカロリーモデル808は、VO最大値較正器807からのVO最大値出力を、分数心拍数(ユーザの観察された最小及び最大心拍数によって正規化された心拍数)によって、線形にスケーリングする。VO最大値は、任意の既知の方法を使用して推定することができる。例えば、
を使用して、VO最大値を、以下の式を使用して推定することができる。
【数2】
ここで、HRmaxは最大心拍数であり、HRrestは安静時心拍数である。
【0080】
図8Bは、一実施形態に従う、エリプティカル、室内バイク、ローワー、又はステアクライマーからのデータに基づいて消費カロリーを判定するために着用可能コンピュータによって実行されるデータフローのブロック図である。システム800は、図1図7を参照して説明したように動作する、着用可能コンピュータ102と無線通信する健康器具101を含む。着用可能コンピュータ102は、データフローを実装するソフトウェアを含む。
【0081】
WRカロリーモデル805は、入力健康器具データとして取り込み、(METsで)作業量の推定値を出力する。トレッドミルWRカロリーモデルの詳細は、前に上述したとおりであった。健康器具101が、エリプティカル、室内サイクル、又はローワーである場合、健康器具データは、抵抗、歩幅/ストロークカウント、及び出力を含む。健康器具101が、ステアクライマーである場合、健康器具データは、歩幅カウント及び獲得標高を含む。屋内サイクルの場合、METsは出力の線形関数である(ユーザの体重によって正規化される)。一実施形態では、METs=anormalized_power+cであり、出力は、ユーザが選択した抵抗レベル及びケイデンス、並びにユーザの体重の関数である。エリプティカル及びローワーのMETsは、室内サイクルと同様に、出力、ケイデンス、及び抵抗レベルの関数である。ステアクライマーMETsは、獲得標高及びステップケイデンスの関数である。
プロセス例
【0082】
図9は、一実施形態による、トレッドミルからのデータに基づいて消費カロリーを判定するために着用可能コンピュータによって実行される、例示的なプロセス900のフロー図である。プロセス900は、図10を参照して説明された着用可能コンピュータアーキテクチャ1000を使用して実施することができる。
【0083】
プロセス900は、ユーザが着用する無線着用可能コンピュータのプロセッサによって、健康器具との無線通信接続を確立すること(901)によって開始する。プロセス900は、通信接続を使用するプロセッサによって、ユーザが健康器具上のトレーニングセッションで連動されている間に、健康器具から器具データを取得すること(902)によって継続する。プロセス900は、無線着用可能デバイスの1つ以上の動きセンサから、健康器具上のユーザの動きに応じて生成された動きデータを取得すること(903)によって継続する。プロセス900は、無線デバイスの心拍数センサから、ユーザの心拍数データを取得すること(904)によって継続する。プロセス900は、着用可能コンピュータのデジタル歩数計によって、動きデータに基づいて歩数計出力データを判定すること(905)によって継続する。プロセス900は、プロセッサによって、歩数計出力データ及び器具データに基づいてユーザの歩幅を判定すること(906)によって継続する。プロセス900は、プロセッサによって、器具データに基づいて作業量を判定すること(907)によって継続する。プロセス900は、プロセッサによって、作業量カロリーモデルを作業量に適用することにより作業量カロリー消費を判定すること(908)によって継続する。プロセス900は、プロセッサによって、心拍数データ及び作業量カロリー消費に基づいて、ユーザの最大酸素消費を判定すること(909)によって継続する。プロセス900は、プロセッサによって、心拍数カロリーモデルを心拍数データ及び最大酸素消費に適用することにより心拍数カロリー消費を判定すること(910)によって継続する。プロセス900は、通信接続を介してプロセッサによって、作業量カロリー消費又は心拍数カロリー消費のうちの少なくとも1つをトレッドミルに送信すること(911)によって継続する。
例示的な着用可能コンピュータアーキテクチャ
【0084】
図10は、図1図9を参照して記載された特徴及び動作を実装する例示的な着用可能コンピュータアーキテクチャ1000を図示している。アーキテクチャ1000は、メモリインタフェース1002、1つ以上のデータプロセッサ、画像プロセッサ、及び/又はプロセッサ1004、並びに周辺機器インタフェース1006を含み得る。メモリインタフェース1002、1つ以上のプロセッサ1004、及び/又は周辺機器インタフェース1006は、別個の構成要素としてもよく、あるいは1つ以上の集積回路内に集積されてもよい。
【0085】
周辺機器インタフェース1006に、センサ、機器、及びサブシステムを結合することにより、多機能性を提供することができる。例えば、1つ以上の動きセンサ1010、光センサ1012、及び近接センサ1014を周辺機器インタフェース1006に結合でき、着用可能コンピュータの動き感知(例えば、加速度、回転速度)、光及び近接機能を容易にする。位置プロセッサ1015は、周辺機器インタフェース1006に接続され、地理的な位置を提供することができる。一部の実装形態では、位置プロセッサ1015は、全地球測位システム(Global Positioning System、GPS)受信機などのGNSS受信機であり得る。電子磁気計1016(例えば、集積回路チップ)はまた、周辺機器インタフェース1006に接続され、磁北の方向を判定するために使用できるデータを提供することができる。電子磁気計1016は、データを電子コンパスアプリケーションに提供できる。動きセンサ(単数又は複数)1010は、着用可能コンピュータの移動の速度及び方向の変化を判定するように構成された1つ以上の加速度計及び/又はジャイロを含み得る。気圧計1017は、モバイルデバイス周辺の大気圧を測定するように構成することができる。
【0086】
心拍数監視サブシステム1020は、手首にコンピュータを着用しているユーザのハートビートを測定するためのものである。一実施形態では、サブシステム1020は、ハートビートを検出するために、手首から反射された(手首に吸収されていない)光の量を測定するためのフォトダイオードと対になったLEDを含む。
【0087】
無線通信サブシステム1024を通じて、通信機能を容易にすることができ、それらのサブシステムとしては、高周波(RF)受信機及び送信機(又は送受信機)、並びに/あるいは光(例えば、赤外線)受信機及び送信機を挙げることができる。通信サブシステム1024の具体的な設計及び実装は、このモバイルデバイスが動作することを目的とする、通信ネットワーク(単数又は複数)次第であり得る。例えば、アーキテクチャ1000は、GSMネットワーク、GPRSネットワーク、EDGEネットワーク、Wi-Fi(商標)、及びBluetooth(商標)ネットワーク上で動作するように設計された通信サブシステム1024を含み得る。特に、無線通信サブシステム1024は、このモバイルデバイスを、他の無線デバイスのための基地局として構成できるようなホスティングプロトコルを含むことができる。
【0088】
オーディオサブシステム1026をスピーカ1028及びマイクロフォン1030に結合することにより、音声認識機能、音声複製機能、デジタル録音機能、及び電話機能などの音声使用可能な機能を容易にすることができる。オーディオサブシステム1026は、ユーザから音声コマンドを受信するように構成することができる。
【0089】
I/Oサブシステム1040は、タッチ面コントローラ1042及び/又は他の入力コントローラ(単数又は複数)1044を含み得る。タッチ面コントローラ1042は、タッチ面1046に結合することができる。タッチ面1046及びタッチ面コントローラ1042は、例えば、複数のタッチ感度技術のうちのいずれかを使用して、接触及び移動を検出することも、又は接触及び移動の中断を検出することもできる。タッチ感度技術としては、静電容量技術、抵抗性技術、赤外線技術、及び表面弾性波技術に加えて、タッチ面1046との1つ以上の接触点を判定するための、他の近接センサアレイ又は他の要素が挙げられるが、これらに限定されない。タッチ面1046は、例えば、タッチスクリーン、又はスマートウォッチのデジタルクラウンを含み得る。I/Oサブシステム1040は、プロセッサ1004からのコマンドに応じて、触知フィードバック(例えば、振動)を提供するための触覚エンジン又は装置を含むことができる。一実施形態では、タッチ面1046は、感圧性表面であり得る。
【0090】
他の入力コントローラ(単数又は複数)1044は、1つ以上のボタン、ロッカスイッチ、サムホイール、赤外線ポート、及びUSBポートなどの他の入力/制御デバイス1048に結合することができる。1つ以上のボタン(図示せず)は、スピーカ1028及び/又はマイクロフォン1030の音量制御のためのアップ/ダウンボタンを含むことができる。タッチ面1046又は他のコントローラ1044(例えば、ボタン)は、指紋(単数又は複数)に基づいてユーザを認証するために、指紋認証アプリケーションと共に使用するための指紋識別回路を含むことができ、又はそれと結合することができる。
【0091】
一実装形態では、第1の持続時間でボタンを押すことにより、タッチ面1046のロックを解除することができ、第1の持続時間よりも長い第2の持続時間でボタンを押すことにより、モバイルデバイスへの電源をオン/オフすることができる。ユーザは、1つ以上のボタンの機能をカスタマイズすることができる。また、タッチ面1046を使用して、例えば、仮想ボタン又はソフトボタンを実装することもできる。
【0092】
一部の実装形態では、このモバイルデバイスは、MP3ファイル、AACファイル、及びMPEGファイルなどの記録されたオーディオファイル及び/又はビデオファイルを提示することができる。一部の実装形態では、このモバイルデバイスは、MP3プレーヤの機能性を含み得る。また、他の入出力及び制御デバイスも使用できる。
【0093】
メモリインタフェース1002は、メモリ1050に結合することができる。メモリ1050は、高速のランダムアクセスメモリ、並びに/又は、1つ以上の磁気ディスク記憶デバイス、1つ以上の光学記憶デバイス、及び/若しくはフラッシュメモリ(例えば、NAND、NOR)などの不揮発性メモリを含み得る。メモリ1050は、Apple Inc.(Cupertino,California)によって開発されたiOSオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステム1052を記憶できる。オペレーティングシステム1052は、基本システムサービスを処理するための命令、及びハードウェア依存タスクを実行するための命令を含み得る。一部の実装形態では、オペレーティングシステム1052は、カーネル(例えば、UNIXカーネル)を含み得る。
【0094】
メモリ1050はまた、1つ以上の追加のデバイス、1つ以上のコンピュータ、及び/又は1つ以上のサーバとの通信を促進するための通信命令1054、例えば、他のデバイスとの有線通信又は無線通信のためのソフトウェアスタックを実装するための命令なども記憶できる。メモリ1050は、グラフィカルユーザインタフェース処理を容易にするためのグラフィカルユーザインタフェース命令1056と、センサ関連の処理及び機能を容易にするためのセンサ処理命令1058と、電話関連の処理及び機能を容易にするための電話命令1060と、電子メッセージング関連の処理及び機能を容易にするための電子メッセージング命令1062と、ウェブブラウジング関連の処理及び機能を容易にするためのウェブブラウザ命令1064と、メディア処理関連の処理及び機能を容易にするためのメディア処理命令1066と、一般的なGNSS並びにロケーション関連の処理及び命令を容易にするためのGNSS/ロケーション命令1068と、心拍数測定を容易にするための心拍数命令1070と、を含み得る。メモリ1050は、図1図9を参照して記載された特徴及び処理を実行するための行動アプリケーション命令を更に含む。
【0095】
上記で特定された命令及びアプリケーションのそれぞれは、上記1つ以上の機能を実行する命令セットに対応し得る。これらの命令は、別個のソフトウェアプログラム、手順、又はモジュールとして実装する必要がない。メモリ1050には追加の命令を含めてもよいし、又は含まれている命令を減らしてもよい。更にまた、モバイルデバイスの様々な機能は、1つ以上の信号処理及び/又は特定用途向け集積回路を含むハードウェア及び/又はソフトウェアに実装できる。
【0096】
記載された機能は、有利なことに、データストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力機器からのデータ及び命令を受信し、並びにこれらにデータ及び命令を送信するように結合された少なくとも1つのプログラム可能プロセッサを含む、プログラム可能システム上で実行可能な1つ以上のコンピュータプログラム内に実装できる。コンピュータプログラムは、特定の行動を実行するか、又は特定の結果をもたらすために、コンピュータ内で直接的又は間接的に使用することができる命令セットである。コンピュータプログラムは、コンパイル型言語又はインタプリタ型言語を含む、任意の形態のプログラミング言語(例えば、SWIFT、Objective-C、C#、Java)で書くことができ、スタンドアロンプログラム若しくはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、ブラウザベースウェブアプリケーション、又はコンピューティング環境で使用するのに好適な他のユニットを含む、任意の形態で配布され得る。
【0097】
本明細書は、多数の特定の実装詳細を含むが、これらは、任意の発明の範囲又は特許請求され得る範囲の制限として解釈されるべきではなく、特定の発明の特定の実施形態に固有である特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態のコンテキストで本明細書に記載されている特定の特徴どうしを組み合わせて、単一の実施形態に実装することもできる。その逆に、単一の実施形態のコンテキストで記載されている様々な特徴をそれぞれ別個に複数の実施形態に、又は任意の好適な部分的組み合わせにて実装することもできる。更に、特徴が特定の組み合わせで作用するものとして上に記載されている場合もあれば、更には当初からにもそのようなものとして主張されている場合もあるが、いくつかの実例においては、主張された組み合わせの1つ以上の特徴をその組み合わせから削除することもできる。また、主張された組み合わせを部分的組み合わせ又は部分的組み合わせの変形態様に向けることもできる。
【0098】
同様に、図面において、動作は、特定の順番で表されているが、望ましい結果を達成するために、これらの動作が示された順番、若しくは逐次的順番、又は示された動作が全て実行されることを必要としていると理解すべきではない。特定の状況において、多重タスク処理及び並列処理が、有利な場合がある。そのうえ、上述した実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、あらゆる実施形態においてそのような分離が要求されるものとして理解されるべきではなく、説明したプログラム構成要素及びシステムを概してまとめて単一のソフトウェア製品に一体化してもよいし、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化してもよいことは理解されるべきである。
【0099】
上記のように、本明細書の主題のいくつかの態様は、モバイルデバイスがユーザに提供できるサービスを向上させるために、様々なソースから入手可能なデータを収集及び使用することを含む。本開示は、いくつかの場合では、この収集されたデータは、デバイスの使用に基づいて特定の位置又はアドレスを特定できることを想到する。このようなパーソナル情報データとしては、位置ベースデータ、アドレス、加入者アカウント識別子、又は他の識別情報を挙げることができる。
【0100】
本開示は、そのような個人情報データの収集、分析、開示、転送、記憶、又は他の使用目的の責任を負うエンティティが、適切に規定されたプライバシーのポリシー及び/又はプライバシーの慣行に準拠すると更に想到する。具体的には、そのようなエンティティは、個人情報データを秘密として厳重に保守するための、業界又は政府の要件を満たしているか又は上回るものとして一般に認識されている、プライバシーのポリシー及び慣行を実施し、一貫して使用するべきである。例えば、ユーザからの個人情報は、そのエンティティの合法的かつ正当な使用のために収集されるべきであり、それらの合法的使用を除いて、共有又は販売されるべきではない。更には、そのような収集は、ユーザに告知して同意を得た後にのみ実施するべきである。加えて、そのようなエンティティは、そのような個人情報データへのアクセスを保護して安全化し、その個人情報データへのアクセス権を有する他者が、それらのプライバシーのポリシー及び手順を遵守することを保証するための、あらゆる必要な措置を講じるであろう。更に、そのようなエンティティは、広く受け入れられているプライバシーのポリシー及び慣行に対する自身の遵守を証明するために、第三者による評価を自らが受けることができる。
【0101】
公示配信サービスの場合、本開示はまた、パーソナル情報データの使用又はパーソナル情報データへのアクセスを、ユーザが選択的に阻止する実施形態も想到する。すなわち、本開示は、そのような個人情報データへのアクセスを防止又は阻止するように、ハードウェア要素及び/又はソフトウェア要素を提供できることを考察する。例えば、広告配信サービスの場合において、本技術は、ユーザが、サービスの登録の間、個人情報データの収集への参加の「オプトイン」又は「オプトアウト」を選択することを可能とするように構成することができる。
【0102】
それゆえ、本開示は、1つ以上の様々な開示された実施形態を実施するための、個人情報データの使用を広範に網羅するものであるが、本開示はまた、そのような個人情報データにアクセスすることを必要とせずに、それらの様々な実施形態を実施することも可能であることを考察する。すなわち、本技術の様々な実施形態は、そのような個人情報データの全て又は一部分が欠如することにより、実施不可能となるものではない。例えば、ユーザに関連付けられたデバイスによって要求されるコンテンツなどの非個人情報データ若しくは必要最小限の個人情報、コンテンツ配信サービスが入手可能な他の非個人情報、又は公的に入手可能な情報に基づいて嗜好を推測することによって、コンテンツを選択し、ユーザへ配信することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図9(CONTINUED)】
図10