(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】自動薬物調合器のためのバイアルパックシステム
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20220803BHJP
A61J 3/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
A61J1/20 314Z
A61J3/00 310K
(21)【出願番号】P 2021117815
(22)【出願日】2021-07-16
(62)【分割の表示】P 2018529058の分割
【原出願日】2016-11-18
【審査請求日】2021-07-16
(32)【優先日】2015-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾリンガー、クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】キトヴィエラ、ニール
(72)【発明者】
【氏名】ファードウズ、デレク
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0257974(US,A1)
【文献】特開2015-167645(JP,A)
【文献】特開2010-246713(JP,A)
【文献】特開2013-244371(JP,A)
【文献】特表昭60-501294(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0224137(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物を含むバイアル上にバイアルパックを提供するステップと、
調合器システムのバイアルトレイ内のバイアルパック凹部内に前記バイアルパックを提供するステップと、
前記バイアルおよび前記バイアルパックを
、前記調合器システムのバイアルキャリパと位置整合した位置に移動させるために
、前記バイアルトレイを回転させるステップと、
前記バイアルパックの歯車の歯を、前記調合器システムの上に配置されている歯車の歯に係合させるステップと、
前記バイアルキャリパとの位置整合を維持しながら、前記バイアルパックおよび前記調合器システムの前記係合されている歯車を使用して、前記バイアルトレイの中の前記バイアルを回転させるステップと、
前記バイアルキャリパによって前記バイアルパックを把持するステップと、
前記バイアルキャリパに結合されたバイアルリフトを用いて、前記バイアルパックおよび前記バイアルを前記バイアルトレイから持ち上げるステップ
と
を含む、方法であって、
前記バイアルパックおよび前記バイアルを持ち上げ
ることは、前記バイアルキャリパの上方に配置されている前記調合器システムの針ハウジングを圧縮して
、針アセンブリを露出させ、前記バイアルパックおよび前記針ハウジングのシール部材を通して前記バイアル内に前記針アセンブリを延伸させ
る、方法。
【請求項2】
前記針アセンブリを介して希釈剤を前記バイアルに供給するステップと、
前記バイアルキャリパを用いて前記バイアルパックを把持しながら、前記バイアルを攪拌するステップと、
前記針アセンブリを介して前記バイアルから再構成されている薬物を抽出するステップと
をさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記バイアルおよび前記シール部材から前記針アセンブリを引き抜くために、前記バイアルリフトおよび前記バイアルキャリパを用いて前記バイアルパックおよび前記バイアルを下降させるステップをさらに含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記下降させるステップは、前記シール部材を用いて前記針アセンブリを拭うことを含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記バイアルリフトおよび前記バイアルキャリパを用いて、前記バイアルおよび前記バイアルパックを、前記バイアルトレイ内の前記バイアルパック凹部へと置き換えるステップと、
前記バイアルトレイを回転させるステップと、
前記バイアルリフトおよび前記バイアルキャリパを用いて、追加のバイアルパックおよび取り付けられているバイアルを、前記バイアルトレイから把持して持ち上げるステップと
をさらに含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記薬物を含む前記バイアル上に前記バイアルパックを提供するステップは、前記バイアルパックの下側延長部内のバイアル凹部内に前記バイアルを挿入し、前記バイアル凹部内の複数のフランジを使用して前記バイアルを前記バイアル凹部内に固定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記薬物を含む前記バイアル上に前記バイアルパックを提供するステップは、前記バイアル凹部内の少なくとも1つの円筒状突起を、前記バイアルのバイアル隔壁に押圧することを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
バイアルリフトに結合されたバイアルキャリパと、
前記バイアルキャリパの上方に配置されているカートリッジであって、前記カートリッジは、針アセンブリ、および、前記針アセンブリに流体結合された少なくとも1つの制御可能な流体経路を含む
、カートリッジと、
前記バイアルキャリパに隣接して配置されているバイアルトレイであって、前記バイアルトレイは、少なくとも1つのバイアルパック凹部を有する
、バイアルトレイと、
バイアルパックであって、
薬物を収容するバイアルを受け入れて固定するように構成された下部、ならびに
上部であり、
前記少なくとも1つのバイアルパック凹部内に着座するように構成された第1の部分、
前記バイアルキャリパによって把持されるように構成された第2の部分、および
それを通じて前記針アセンブリを受け入れるように構成されているシール部材
を有する、上部
を備える、バイアルパックと
を備え、
前記バイアルリフトは、前記針アセンブリが前記シール部材を介して提供されて、前記針アセンブリを介して前記少なくとも1つの制御可能な流体経路を前記バイアルに流体結合するように、前記バイアルキャリパによって把持された前記バイアルを前記カートリッジに向かって移動させるように構成されて
おり、前記バイアルパックの前記上部の前記第1の部分は、歯付き歯車を含み、
前記調合器システムは、(a)前記バイアルパックの前記上部の前記第1の部分の歯付き歯車と係合し、(b)前記バイアルパックが前記少なくとも1つのバイアルパック凹部内に着座している間に前記バイアルを回転させるように構成された追加の歯付き歯車をさらに備える、調合器システム。
【請求項9】
前記バイアルパックは、前記シール部材を押圧してシールを形成するように構成されている円筒部分をさらに備える、請求項
8に記載の調合器システム。
【請求項10】
前記円筒部分は前記シール部材を半径方向に圧縮する、請求項
9に記載の調合器システム。
【請求項11】
前記円筒部分が前記シール部材を半径方向に約10%圧縮する、請求項
10に記載の調合器システム。
【請求項12】
前記シール部材が前記円筒部分の凹部内に配置され、前記円筒部分内の前記凹部が前記針アセンブリを前記シール部材に案内するように構成される、請求項
9に記載の調合器システム。
【請求項13】
前記調合器システムは、前記歯車の上の第1の傾斜面と、第2の傾斜面とをさらに備え、前記第1の傾斜面および前記第2の傾斜面は、前記円筒部分を把持するために調合器システムのバイアルグリップを案内するように構成されている、請求項
12に記載の調合器システム。
【請求項14】
前記シール部材は、凸状の外面を備える、請求項
8に記載の調合器システム。
【請求項15】
前記針アセンブリを介して前記少なくとも1つの制御可能な流体経路を通って前記バイアルにまたは前記バイアルから流体を圧送するために前記カートリッジのピストンおよびバルブを動作させるように構成されたポンプヘッドアセンブリをさらに備える、請求項
8に記載の調合器システム。
【請求項16】
前記バイアル凹部の内面上に、前記バイアル凹部内に前記バイアルを固定する複数のフランジをさらに備える、請求項
8に記載の調合器システム。
【請求項17】
前記バイアルのバイアル隔壁を押圧するように構成されている、前記バイアル凹部内の円筒状突起をさらに備える、請求項
16に記載の調合器システム。
【請求項18】
前記バイアル凹部内に、前記バイアルを安定化するように構成された追加の円筒状突起をさらに備える、請求項
17に記載の調合器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動薬物調合器において使用するためにバイアルに接続するためのバイアルパックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品調合とは、患者の固有の必要性に合わせて特定の医薬品の作成を実践することである。実際には、調合は、典型的には、様々なツールを用いて適切な成分を組み合わせる薬剤師、技術者または看護師によって行われる。1つの一般的な形態の調合は、懸濁医薬組成物を生成するための、粉末薬物製剤と特定の希釈剤との組み合わせを含む。これらのタイプの組成物は、一般に、静脈内/非経口投与において使用される。医薬品および希釈剤は、調合プロセス中に無菌状態に維持されることが極めて重要であり、適切な混合特性を維持しながらプロセスを自動化する必要がある(すなわち、医薬品が溶液中に適切に混合されるが、溶液は泡立てられず、気泡が生成されないような特定の方法で、特定の医薬品を攪拌しなければならない)。使用が容易で、頻繁に使用することができ、効率的で信頼性があり、ユーザのエラーを減少させる調合システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
薬物を含むバイアルに取り付けるように構成されたバイアルパックが提供される。バイアルパックは、自動調合器システムにおいて様々なサイズのバイアルの均一な制御を容易にするための様々な機構を含む。
【0004】
一実施形態によれば、円筒中央部分と、円筒中央部分の上部から延伸する複数の実質的に垂直な延長部と、円筒中央部分から延伸する実質的に円形の歯車と、円筒中央部分の底部から延伸する底部延長部であって、底部延長部は、薬物を含むバイアルを受け入れるように構成されたバイアル凹部を有する、底部延長部と、円筒中央部分に配置されたシール部材であって、シール部材は、中央円筒部分、円形歯車およびシール部材を通じてバイアル内に貫通する針アセンブリのための滴下のないシールを提供するように構成されている、シール部材とを含む、バイアルパックが提供される。いくつかの実施形態では、中央部分は円筒形以外の形状を有してもよい。例えば、中央部分は、多角形、楕円形、不規則、または他の断面形状を有してもよい。
【0005】
別の実施形態によれば、薬物を含むバイアル上にバイアルパックを提供するステップと、調合器システムのバイアルトレイ内のバイアルパック凹部内にバイアルパックを提供するステップと、バイアルおよびバイアルパックを第1の位置に移動させるためにバイアルトレイを回転させるステップと、調合器システムのバイアルキャリパによってバイアルパックを把持するステップと、バイアルキャリパに結合されたバイアルリフトを用いて、バイアルパックおよびバイアルをバイアルトレイから持ち上げるステップと、バイアルパックおよびバイアルを持ち上げて、調合器システムの針ハウジングを圧縮して、針アセンブリを露出させ、バイアルパックおよび針ハウジングのシール部材を通してバイアル内に針アセンブリを延伸させるステップとを含む、方法が提供される。
【0006】
別の実施形態によれば、バイアルリフトに結合されたバイアルキャリパと、針アセンブリ、および、針アセンブリに流体結合された少なくとも1つの制御可能な流体経路を含むカートリッジと、少なくとも1つのバイアルパック凹部を有するバイアルトレイと、バイアルパックであって、薬物を収容するバイアルを受け入れて固定するように構成された下部、ならびに、上部であり、少なくとも1つのバイアルパック凹部内に着座するように構成された第1の部分、バイアルキャリパによって把持されるように構成された第2の部分、および、それを通じて針アセンブリを受け入れるように構成されているシール部材を有する、上部を備える、バイアルパックとを備え、バイアルリフトは、針アセンブリがシール部材を介して提供されて、針アセンブリを介して少なくとも1つの制御可能な流体経路をバイアルに流体結合するように、バイアルキャリパによって把持されたバイアルをカートリッジに向かって移動させるように構成されている、調合器システムが提供される。
【0007】
本発明のさらなる理解を助けるために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、開示される実施形態を示しており、本明細書とともに、開示される実施形態の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の態様による調合システムの例示的な実施形態の一例の正面斜視図である。
【
図2】本開示の態様による透明ハウジングを有する
図1の調合システムの正面斜視図である。
【
図3】本開示の態様によるハウジングが取り外された
図1の調合システムの側面図である。
【
図4】本開示の態様によるポンプ駆動機構の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図5】本開示の態様による
図4のポンプ駆動機構の分解図である。
【
図6】本開示の態様によるモータマウントの例示的な実施形態の一例の斜視図である。
【
図7】本開示の態様による
図6のモータマウントの背面斜視図である。
【
図8】本開示の態様による
図6のモータマウントの斜視図である。
【
図9】本開示の態様によるカムハウジングの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図10】本開示の態様による
図9のカムハウジングの背面斜視図である。
【
図11】本開示の態様による歯車が取り外された
図9のカムハウジングの背面斜視図である。
【
図12】本開示の態様によるポンプヘッドアセンブリの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図13】本開示の態様による把持システムおよびバイアルパックの例示的な実施形態を有する
図12のポンプヘッドアセンブリの斜視図である。
【
図14】本開示の態様による
図13のポンプヘッドアセンブリ、把持システムおよびバイアルパックの斜視図である。
【
図15】本開示の態様による
図13のポンプヘッドアセンブリ、把持システムおよびバイアルパックの背面斜視図である。
【
図16】本開示の態様による把持システムの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図17】本開示の態様による
図16の把持システムの背面斜視図である。
【
図18】本開示の態様による
図16の把持システムの側面斜視図である。
【
図19】本開示の態様による
図16の把持システムの上面図である。
【
図20】本開示の態様による
図16の把持システムの上面図である。
【
図21】本開示の態様によるプロセスのステップの例示的な実施形態を示す流れ図である。
【
図22】本開示の態様によるカートリッジの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図23】本開示の態様によるカバーを有するカルーセルの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図24】本開示の態様による調合システムの別の例示的な実施形態の正面斜視図である。
【
図25】本開示の態様による
図24の調合システムの別の正面斜視図である。
【
図26】本開示の態様によるハウジングの部分が取り外された
図24の調合システムの正面斜視図である。
【
図27】本開示の態様によるハウジングの部分が取り外された
図24の調合システムの背面斜視図である。
【
図28】本開示の態様による
図24の調合システムの分解斜視図である。
【
図29】本開示の態様による、様々な構成要素が明瞭化のために拡大図で示されている
図24の調合システムの斜視図である。
【
図30】本開示の態様によるバイアルパックの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図31】本開示の態様による
図30のバイアルパックの斜視図である。
【
図32】本開示の態様による
図30のバイアルパックの斜視図である。
【
図33】本開示の態様による
図30のバイアルパックの断面図である。
【
図34】本開示の態様による、バイアルに取り付けられている
図30のバイアルパックの断面図である。
【
図35】本開示の態様による、シリコーン嵌合キャップを含む針アセンブリの例示的な実施形態の断面図である。
【
図36】本開示の態様によるポンプカートリッジの別の実施形態の分解斜視図である。
【
図37A】本開示の態様による
図36のカートリッジの背面平面図である。
【
図37B】本開示の態様による
図36のカートリッジの正面平面図である。
【
図38】本開示の態様による針ハウジングを通る、
図36のカートリッジの一部分の断面図である。
【
図39】本開示の態様による、エアインライン取付具を通る、
図36のカートリッジの一部分の断面図である。
【
図40】本開示の態様によるバイアルに隣接して配置された
図36のカートリッジの断面斜視図である。
【
図41】本開示の態様による、二重内腔針の近傍にある
図36のカートリッジの一部分の断面側面図である。
【
図42】本開示の態様による
図36のカートリッジの針ハウジング部材の斜視図である。
【
図43】本開示の態様による、針ハウジングの近傍にある
図36のカートリッジの一部分の斜視図である。
【
図44】本開示の態様による、バイアルに取り付けられているバイアルパックの断面図である。
【
図45】本開示の態様による、バイアルに取り付けられているバイアルパックの斜視上面図である。
【
図46】本開示の態様による、バイアルパックの一部分の断面図である。
【
図47】本開示の態様による、バイアルパックのシール部材の特徴を示す、バイアルパックの一部分の断面図である。
【
図48】本開示の態様による、バイアルパックの底面図である。
【
図49】本開示の態様による、バイアルパックの上面図である。
【
図50】本開示の態様による調合システムのバイアル・カルーセル駆動アセンブリの斜視図である。
【
図51】本開示の態様による
図50のバイアル・カルーセル駆動アセンブリの分解斜視図である。
【
図52】本開示の態様による複数のシール部材を有するバイアルパックの一部分の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に記載される詳細な説明は、本発明の主題の技術の様々な構成を記載し、本発明の主題の技術が実施され得る唯一の構成を表すことを意図するものではない。詳細な説明には、本発明の主題の技術の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれる。したがって、非限定的な例として、特定の態様に関して寸法が与えられる場合がある。しかしながら、当業者には、本発明の主題の技術がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることは明らかであろう。いくつかの事例では、本発明の主題の技術の概念を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造および構成要素がブロック図形式で示されている。
【0010】
本開示は本発明の主題の技術の例を含み、添付の特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。ここで、本発明の主題の技術の様々な態様を、特定的であるが非限定的な例に従って開示する。本開示に記載された様々な実施形態は、様々な異なる方法および変形形態において、および所望の用途または実施態様に従って実行されてもよい。
【0011】
本システムは、滅菌環境において医薬品を効率的に再構成することができ、患者に使用するために調合された医薬品を送達バッグに送達することができる調合システムをともに形成する複数の特徴および技術を含む。
【0012】
図1は、一実施形態による調合器システム10を示す。
図2は、透明な外側ハウジング12を有するシステム10を示し、
図3は、ハウジングが取り外されたシステムを示す。このシステムは、10個までの個々のカートリッジ16を収容するカルーセルアセンブリ14を備える。カルーセル14は、必要に応じて、より多いまたはより少ないカートリッジ16を保持することができる。カートリッジ16は使い捨てであり、粉末薬物(または濃縮液体薬物)を含むバイアル18、複数の希釈剤および受容器の間に独自の流体経路を提供する。カートリッジ16は、必要に応じて、蒸気廃棄物容器への流体経路を提供することもできる。しかし、他の実施形態では、ろ過された、またはろ過されていない無毒廃棄物を調合器から環境に排出し、廃棄物ポートの必要性を低減または排除することができる。各カートリッジは、ピストンポンプと、流体がカートリッジを通って受容器内に移動するときの調合プロセスのステップ中の流体の吸入、排出、および流体経路選択を制御するバルブとを含む。
【0013】
カルーセルアセンブリ14は、異なるカートリッジ16をポンプ駆動機構20と位置整合させるために回転することができるように、装置に取り付けられている。カルーセル14は、典型的には、使用済みのカルーセル14を取り外した後にカルーセル14を新しいカルーセル14と交換するために開くことができるハウジング12内に封入される。図示のように、カルーセル14は、最大10個のカートリッジ16を収容することができ、特定のカルーセルを10回まで使用することができる。この構成では、各カルーセルアセンブリは、実行される調合のタイプに応じて、例えば、10~100個の受容器をサポートすることができる。例えば、有害薬物調合のために、カルーセルアセンブリは、10個の受容器への調合をサポートすることができる。別の例では、抗生物質または鎮痛剤の調合などの非有害薬物調合のために、カルーセルアセンブリは、100個の受容器への調合をサポートすることができる。ハウジング12はまた、カルーセル14の下に位置決めされたスターホイール22を含む。スターホイール22は、カルーセル14上の特定のカートリッジ16に合わせた、またはそれとは別個の位置に、医薬品のバイアル18を回転させる。ハウジング12はまた、バイアル18をスターホイール22上の所定位置に装填するための開口24を含むこともできる。
【0014】
カルーセル14内のカートリッジ16の各々は、希釈剤および蒸気廃棄物のための複数の経路を含む使い捨てユニットである。各カートリッジ16は、受容器(例えば、IVバッグ、シリンジ、またはエラストマーバッグ)に接続するためのチューブが維持され得る「バックパック」を含むこともできる小型、単一の使い捨てユニットである。各カートリッジ16はまた、カートリッジ16を通って流体および蒸気を移動させるためのピストンポンプのような圧送機構、ならびに、バイアル18がポンプ駆動機構20によって所定位置に移動されるとバイアル18の上にあるバイアルパック26を穿刺することができるハウジング内の二重内腔針を含むこともできる。例えば、針は、針に向かって動かされるバイアルパック26の圧縮作用によってバイアルパック26を穿刺することができる。各カートリッジ16はまた、複数の希釈剤マニホールドの針と一致するように設計された複数のポートをも含む。各カートリッジ16はまた、ポンプヘッドアセンブリ28から取り付けポストおよびロックバヨネットを受け入れるための開口を含む。ロックバヨネットは一例として本明細書に記載されているが、カートリッジを取り出してポンプヘッドにロックするために他のロック機構を使用することができる(例えばグリッパ、クランプなどがポンプヘッドから延伸してもよい)。各カートリッジ16はまた、ポンプモータ機構からのバルブアクチュエータが各カートリッジ16上のバルブと相互作用することを可能にする開口を含む。
【0015】
バイアル18およびカルーセル14を保持するハウジング12に隣接して、図に示すようなIVバッグ32のような少なくとも1つの容器32を保持するための装置30がある。IVバッグ32は、典型的には、ポート34および36のような2つのポートを有する。例えば、一実施態様では、ポート34は吸入ポート34であり、ポート36は出口ポート36である。この実施態様が本明細書において一例として説明されるが、ポート34および36のいずれかを容器32の入力ポートおよび/または出口ポートとして実装することができる。例えば、別の実施態様では、チューブ38の端部においてコネクタを受け入れるための入口34を出口ポート36上に設けることができる。示された実施形態では、IVバッグ32は、保持装置30から吊下され、一実施形態では、保持装置30は、
図1~
図3に示すようなフックを備えたポストである。以下にさらに詳細に説明するように、希釈剤容器、受容器、または廃棄物容器のような容器を吊下するすためのフックの1つまたは複数に、吊下される容器の重量を検出および監視するロードセルのような重量センサを設けることができる。保持装置30は、IVバッグ32または他の医薬品容器を位置決めするために必要な他の形態を取ることができる。IVバッグ32が保持装置30上に位置決めされると、第1のチューブ38(その一部分は
図1に示されている)がカルーセル14上のカートリッジ16からIVバッグ32の入口34に接続される。例えば、第1のチューブは、カートリッジに取り付けられたバックパック内に収容され、IVバッグ32に達するようにバックパック内から(例えば、操作者によってまたは自動的に)延伸することができる。チューブ38の端部には、受容器32の入口34に接続するために、Texium(登録商標)コネクタのようなコネクタ37を設けることができる。
【0016】
調合器10の反対側には、複数のIVバッグ32または他の容器を保持するための保持装置40のアレイがある。調合器10の図示のバージョンでは、5つのIVバッグ42、44が描かれている。これらのバッグ42のうち3つは、生理食塩水、D5Wまたは滅菌水などの希釈剤を含むことができるが、当技術分野で知られている任意の希釈剤を利用することができる。アレイ内の追加のバッグは、混合プロセスからの潜在的に有害なまたは有毒な蒸気廃棄物などの廃棄物を収集するための空の蒸気廃棄物バッグ44であってもよい。追加のバッグ44は液体廃棄物バッグであってもよい。液体廃棄物バッグは、受容器から生理食塩水のような無毒の液体廃棄物を受け入れるように構成されてもよい。液体廃棄物は、機械的ポンプを使用して専用チューブを介して廃棄物バッグに圧送することができる。動作中、対応する容器42および44からの希釈剤ラインおよび蒸気廃棄物ラインを各々、使い捨てマニホールドを介してカートリッジ16に接続することができる。
【0017】
調合システム10はまた、複数のタイプのバイアル18に取り付けるように設計された特殊なバイアルパック26を含む。動作中、バイアルパック26は、再構成が必要な薬物を含むバイアル18の上に配置される。バイアルパック26が適所に配置されると、バイアル18は調合器10のスターホイール22に装填される。バイアルパック26上の嵌合機構が、バイアルパック26がスターホイール22内にある間、およびバイアルパック26が後で所定の位置に回転されるときの両方で適切な位置整合を提供し、それによって、調合器10は、バイアルパックをさらなる処理のためにスターホイール22から取り外すことができる。
【0018】
一実施形態によるポンプ駆動機構20が
図4に示されており、
図5に分解図で示されている。
図4および
図5に示す実施形態では、ポンプ駆動機構20は、複数の区画を含む。ポンプ駆動機構20の一端には、駆動エレクトロニクスを保持し、そのハウジング96上に、回転ハウジング46があり、1つまたは複数の希釈剤容器および/または廃棄物容器から1つまたは複数の対応するマニホールドまで延伸する可撓性チューブ50のためのロックフランジ94を含む。回転ハウジング46は、ポンプ駆動機構20の残りの部分を回転させるために、その軸回りに回転することができる。回転ハウジング46は、その端部にハウジングを回転させることが可能な軸受リブ52を含む。例えば、ポンプ駆動機構は、180°以下、または180°超などの任意の適切な角度で回転するように構成することができる。
【0019】
回転ハウジング46の隣には、一実施形態による、
図6~
図8において様々な角度から単独で示されているモータマウント54がある。
図4~
図8に示す実施形態では、
図9~
図11の様々な角度からさらに詳細に示されるカムハウジング56が、モータの回転運動ならびにポンプ駆動機構20がカートリッジ16およびバイアル18をピックアップするように所定の位置に移動するときのポンプ駆動機構20の軸方向運動を制御するカムおよび歯車を含むモータマウント54に接続される。
【0020】
調合器システムはまた、ポンプ駆動機構の側部に位置するスロット60内に取り付けられる希釈剤マガジン(図示せず)を含む。希釈剤マガジンは、希釈剤ポートとして動作可能な任意の数の個々の希釈剤マニホールドを受け入れるように構成された使い捨て部品であってもよい。希釈剤マニホールド(図示せず)はモジュール式であってもよく、そのため、それらは容易にかつ取り外し可能に互いに接続し、マガジンに接続し、および/またはポンプ駆動機構20に接続することができる。
【0021】
ポンプ駆動機構20の最後の部分は、ポンプヘッドアセンブリ28である。ポンプヘッドアセンブリ28は、バイアル把持アーム76(本明細書においてはバイアルキャリパ、またはまとめてバイアルグリップとして参照されることもある)、バイアルリフト78、ポンプカートリッジ把持部80、アーム222を有するポンプピストン偏心駆動シャフト82、バルブ作動機構84、および、希釈剤が添加されるとバイアル18内の医薬品を混合するためにポンプ駆動機構20が前進および後退ならびに回転することを可能にするモータとを含む。調合器10はまた、ユーザによるデータ入力、ならびに、ユーザに対する通知、指示およびフィードバックを提供するための、図に示されるようなタッチスクリーン86のような入力画面86を含むこともできる。
【0022】
ここで、調合器システム10の動作を、一実施形態による
図21に示された流れ図において概括的に説明する。第1のステップ88において、ユーザは、複数のマニホールド(例えば、希釈剤マニホールドおよび廃棄物マニホールド)を有する新たな希釈剤マニホールドマガジンを、ポンプヘッドアセンブリ28の側部上のスロット60に挿入する。マガジンをスロット60に設置する前または後に、マニホールドをマガジンに装填することができる。マニホールドは、カートリッジ16が後に定位置にロックされるまで、マニホールドのハウジングの内部に針を保持する。マガジンは、任意の数の希釈剤マニホールドおよび蒸気廃棄物マニホールドを含むことができる。1つの例示的なシステムでは、3つの希釈剤マニホールドおよび1つの蒸気廃棄物マニホールドが存在し得る。次のステップ92では、希釈剤チューブが対応する希釈剤バッグに接続される。チューブは、チューブを定位置に保持するために、ロックフランジを通じて調合器フレームの表面(例えば、前面)上に送ることができる。例えば、
図24の図示された実施形態では、チューブは、ロックフランジ2402によって調合器のフレーム上の適所に保持される。代替的に、当該技術分野において知られている他のタイプのクリップまたはロック機構を使用して、チューブを適所に安全に保持することができる。
図4に示す実施形態では、ポンプ駆動機構20の外側ハウジング96上に位置決めされた追加のフランジ94が、調合器の内部配線を安全確保するために設けられている。次のステップ98では、廃棄物チューブを蒸気廃棄物バッグ44に接続することができる。他の実施形態では、チューブは、マニホールドと希釈剤容器および/または廃棄物容器などの関連する容器との間に予め結合されてもよく、ステップ92および98の動作は省略されてもよい。
【0023】
必要に応じて、次のステップ100において、新たなカルーセル14を、調合器システムのカルーセルハブのようなカルーセル取り付けステーションに装填することができる。カルーセル14は、ほぼ円形の配列で配置された任意の数の使い捨てカートリッジ16を含むことができる。次のステップ110では、バイアルパック26が、再構成のために粉末医薬品または液体医薬品のバイアル18の上部に取り付けられ、バイアル18は次のステップ112においてカルーセル14の下のスターホイール22に装填される。ステップ110は、スターホイール22内の複数のバイアルパック凹部に複数のバイアル18を装填するステップを含むことができる。1つまたは複数のバイアルがスターホイールに装填された後、バイアルは所定の位置に回転されて、各バイアルのバイアルラベルの走査を可能にされ、開始される。一実施形態では、ユーザは、走査が開始される前にすべてのバイアルスロットがバイアルによって占有されるまで、バイアルをスターホイールに装填することを可能にされる。各バイアルの装填を検出するセンサを設けることができ、その後、次のバイアルパック凹部がユーザの装填位置へと回転される。ユーザが、バイアルラベルを走査する前にすべてのバイアルをスターホイールに装填することを可能にすることによって、調合の効率が向上する。しかし、他の実施態様では、各バイアルが装填された後、またはバイアルのサブセットが装填された後に、バイアルラベルの走査を行うことができる。これらの設定ステップに続いて、次のステップ114は、ユーザが入力画面上で適切な投薬量を選択することである。
【0024】
入力画面86上での選択の後、調合器10は動作116を開始する。スターホイール22は、バイアルを、ポンプヘッドアセンブリ28のバイアル把持キャリパ76と位置整合する118ように回転させる。バイアルパック26は、例えば、スキャナ(例えば、バーコードスキャナまたは1つもしくは複数のカメラ)がバイアル18上のラベルを走査する122ことができるようにバイアル18が回転する120ことを可能にする回転モータに結合された歯車とインターフェースする歯車を含む。スキャナまたはカメラ(および関連する処理回路)は、バイアルのロット番号および有効期限を決定することができる。ロット番号および有効期限は、現在の日付および/またはリコールまたはロット番号に関連付けられた他の指示などの他の情報と比較することができる。バイアル18が走査され位置整合されると、次のステップ124において、ポンプ駆動機構20は、キャリパ76によってバイアル18を把持するために、所定の位置に前進する。また、前方への移動は、ポンプヘッドアセンブリ28の前面の取り付けポスト130およびロックバヨネット128を、カートリッジ16上の対応する開口と一致して位置整合させる。次のステップ126において、カートリッジ16は、ポンプヘッドアセンブリ28上の適所においてロックバヨネット128によってロックされ、キャリパ76は、バイアル18の上部のバイアルパック26を把持する132。次に、キャリパ76は、スターホイール22から後退させることによってバイアル18を除去し132、同時にカルーセル14からカートリッジ16を引き出す134。
【0025】
いくつかの実施形態では、カートリッジ16は、コイル状チューブを含むバックパックを含む。この実施形態では、ステップ136において、ポンプ駆動機構20は、カートリッジ16をユーザの方に傾けて、チューブの端部を露出させ、ユーザにチューブをバックパックから引き出して受容バッグ32に接続するよう促す138。代替的な実施形態では、カートリッジ16がカルーセル14から引き離されると、チューブ38はカルーセル14の側部に露出される。別の代替の実施形態では、チューブ38は自動的に(例えば、バックパックの外に)押し出され、これにより、ユーザは、チューブの端部に位置するコネクタを把持し、受容器に接続することができる。システムは、ユーザに、カルーセル14からチューブを引き出し、チューブをIVバッグ32の入力部34に接続するように促す138。チューブ38が接続されると、ステップ140において、ユーザは、入力画面86と対話することによって調合プロセスを続けるように、調合器10に通知することができる。
【0026】
ステップ142において、バイアル18はカートリッジ16に向かって引き上げられ、それによって、カートリッジ16の同軸二重内腔針のような1つまたは複数の針がバイアルパック26の上部を穿刺してバイアル18の内部に入る。
図21の例は、ユーザがカートリッジからのチューブを受容器に取り付けた後の、バイアルパックと針との係合を示しているが、これは単なる例示である。別の実施形態では、ステップ138および140がステップ142の後に実施されてもよく、それによって、ユーザがカートリッジからのチューブを受容器に取り付ける前に、バイアルパックとの針の係合が行われる。
【0027】
希釈剤が、ステップ144において、カートリッジ16および第1の針を介して適切な投薬量でバイアル18に圧送される。必要に応じて、カートリッジ16に取り付けられた第2の希釈剤マニホールドまたは第3の希釈剤マニホールドを介して、バイアル18に第2の希釈剤または第3の希釈剤を添加することができる。同時に、蒸気廃棄物が、バイアル18から第2の針、カートリッジ16および蒸気廃棄物マニホールドを通じて蒸気廃棄物バッグ44へと圧送される144。ポンプヘッドアセンブリ28上のバルブアクチュエータ84は、プロセス中に必要に応じて流体流路を変更するために、カートリッジ16のバルブを開閉する。希釈剤がバイアル18に圧送されると、ポンプ駆動機構20は、バイアル18が右上がりの位置と上下逆の位置との間で回転するようにバイアルリフト78を例えば180度まで回転させることによって、次のステップ146においてバイアル18を攪拌する。攪拌プロセスは、再構成される医薬品のタイプに依存して、必要なだけ繰り返され得る。さらに、再構成される薬物のタイプに応じて異なる攪拌パターンを使用することができる。例えば、いくつかの薬物では、180度回転するのではなく、ポンプヘッドの前後左右の動きの組み合わせを行って、バイアルの旋回攪拌を発生させることができる。特定の薬物または他の医療流体のための複数のデフォルト攪拌パターンを、調合器制御回路に格納された(および/または当該回路によってアクセス可能な)薬物ライブラリに含めることができる。攪拌ステップが完了すると、ポンプ駆動機構は、バイアルを上下逆の位置または他の適切な位置に回転させ、所定位置に保持する。いくつかの実施形態では、すでに受容器32内にある希釈剤などの流体は、再構成された薬剤を受け入れるための受容器内の空間を可能にするように(例えば、カートリッジを通じてまたは別の経路を介して)液体廃棄物容器内に圧送することができる。
【0028】
次のステップ148では、バルブアクチュエータ84がカートリッジのバルブの向きを変え、カートリッジ16の圧送機構が作動されて、再構成された薬物を、取り付けられたチューブを介して受容バッグ32に圧送する150。薬物が受容バッグ32内に圧送されると、次のステップ152において、ポンプ駆動機構20は、再構成された薬物のすべてが受容バッグ32に提供されることを確実にするために、別のバルブ調整の後、ろ過された空気またはより多くの希釈剤をチューブ38を通して受容バッグ32に圧送することによってチューブ38が空にされる。いくつかのシナリオでは、シリンジを受容器32として使用することができる。シリンジが受容器32として使用されるシナリオでは、再構成された薬物のシリンジへの送達後、ポンプ駆動機構20によってチューブ38内に真空が生成されて、シリンジに押し込まれた可能性がある空気または他の蒸気を除去することができ、それによって、シリンジがチューブ38から取り外されると、再構成された薬物が患者に送達するために読み取られ、空気または他の望ましくない気体はシリンジに存在しない。
【0029】
次いで、システムは、ユーザに、チューブ38を受容器32から取り外すように促す154。次いで、ユーザは、コネクタ(例えば、Texium(登録商標)またはSmartSite(登録商標)コネクタ)をバックパックまたはカルーセル内のそのスロットに挿入し、ポンプヘッドの光学センサがコネクタの存在を検知し、チューブをカルーセルまたはバックパックのいずれかに自動的に引き込むことができる。いずれのタイプのシステムが使用されているかに応じて、チューブはカルーセル14またはバックパックのいずれかに引き戻される。次のステップ156において、調合器10は、バイアル18を回転させて、スターホイール22と再び位置整合させ、それを解放する。使用済みカートリッジ16は、カルーセル14上で交換することもできる。使用済みカートリッジは、ポンプ駆動装置内のセンサが、チューブがカートリッジ内で交換されたと(例えば、カートリッジの窓を通してカートリッジのバックパック内のチューブの端部においてTexium(登録商標)コネクタのようなコネクタの存在を検知することによって)判定したときに解放することができる。カルーセル14および/またはスターホイール22は、次いで、新しい未使用のカートリッジ16および/または新しい未使用のバイアル18へと回転することができ158、プロセスが、新しい薬物について反復され得る。いくつかの状況(例えば、同じ薬物の複数の再構成)では、単一のカートリッジを2つ以上のバイアルを用いて2回以上使用することができる。
【0030】
カートリッジ16は使い捨て可能であるように設計されており、ユーザは、カルーセル14を交換する前に、所与のカルーセル14内のすべてのカートリッジ16を利用することができる。カートリッジ16が使用された後、カルーセル14は次のカートリッジ16へと回転し、システムソフトウェアは、カートリッジ16が使用されたことを記録するように更新し、したがって、他の再構成された薬物からの相互汚染が防止される。各カートリッジ16は、必要に応じて複数の希釈剤を用いて薬物を再構成するために必要なすべての流路、バルブ、フィルタおよびポンプを含み、再構成された薬物を受容器に圧送し、蒸気廃棄物をシステムから廃棄物容器に圧送し、適切な量の薬物および希釈剤が受容器に存在することを確認するために、最終的なQS工程を実施するように設計されている。この完全なパッケージは、カートリッジ16の特定のかつ独特の構造、その流路、およびそのバルブ構造によって可能になる。
【0031】
カートリッジ16の一実施形態を
図22に示す。
図22に示すように、カートリッジ16は、カートリッジフレーム160、カートリッジベゼル164、ならびに、ピストンポンプ166、針ハウジング168および針アセンブリ170を含むことができる。カートリッジフレーム160は、各カートリッジ16の主な支持を提供し、希釈剤チャンバ、蒸気廃棄物チャンバ、圧送チャンバ、疎水性排出口、出口ポート、および/または受容器32に接続するチューブに接続することができる、以下に説明するような他の機構を含む。
【0032】
カートリッジ16のフレーム160はまた、各カートリッジ16がポンプヘッドアセンブリ28に取り外し可能に取り付けられることを可能にする設置機構を含む。これらの機構は、例えば、ポンプヘッドアセンブリ28から取り付けポスト130を受け入れる3つの開口198と、ロックバヨネット128がその中に挿入され、カルーセル14から取り外すためにカートリッジ16をポンプヘッドアセンブリ28にロックするように旋回されることを可能にするキーホール210とを含む。一部の実施形態では、出口ポート延長部220が存在してもよい。ピストンポンプ166は、シリコーンピストンブーツ内に位置決めされたロッド194によってチャンバ内に取り付けられる。さらに、ベゼル164は、開口228を含み、この開口228内には、シール膜のバルブ190が配置され、バルブアクチュエータ84によってアクセスされる。さらに、ベゼル164は、流体マニホールドがカートリッジ16内の希釈剤チャンバおよび蒸気廃棄物チャンバに接続されることを可能にする開口230を含む。ベゼル164はまた、調合が完了したときにユーザがコネクタを、与えられているスロットに挿入するときに、コネクタ(例えば、Texium(登録商標)またはSmartSite(登録商標)コネクタ)の検出を容易にする開口を含むことができる。動作中、流体マニホールドの針は、ベゼル164内の開口230を通って入り、シール膜を穿刺して、カートリッジ16内でシール膜とカートリッジフレーム160との間に画定された希釈剤および蒸気廃棄物チャンバへの流体アクセスを得る。カートリッジ16の様々な実施形態のさらなる詳細については後述する。
【0033】
図23を参照すると、一実施形態による調合器10から取り外されたカルーセル14の例示的な実施形態が示されている。
図23のカルーセル14は、この実施形態では10個のカートリッジ16のアレイを含むが、カルーセル14のポケット500の一部を空にして、より多くのまたはより少ないカートリッジ16がカルーセル14上に存在してもよく、または、より多いまたはより少ないカートリッジポケット500を有するようにカルーセルのフレーム510が設計されてもよいことは理解されたい。カルーセル14はまた、ユーザが各カートリッジ16に結合されたチューブに直接アクセスすることを防止するカバー511を含む。カバー511は、必要であれば、カートリッジ16の背面にアクセスするために取り外すことができる。
図23の実施例では、Texium(登録商標)アタッチメント548などのコネクタが各カートリッジ16に隣接して配置され、アタッチメント548は各カートリッジ16の延長部220から延伸するチューブ38に取り付けられる。
【0034】
図24~
図29は、別の実施形態による調合器10を示す。
図24に示すように、保持装置40は、容器42および44のそれぞれのための取り付けデバイスのための支持を提供する延長アームとして実施されてもよい。保持装置40および保持装置30は各々、適切な量の流体が容器に添加または除去されたか否かを判定するための重量測定値を提供し、または、流体が適切な容器へと、および/もしくは、適切な容器から転送されていること(例えば、適切な希釈剤が施与されていること)を確認するように構成された重量センサのような1つまたは複数のセンサを含むことができる。各希釈剤容器および/または受容器を、調合器10に取り付けられる前および/または取り付けられた後に走査することができるスキャナ2404を設けることができる。
図24に示されるように、カルーセルカバー2400およびチューブ管理構造2402もまた、様々な実施形態において調合器10上に提供されてもよい。例えば、容器42および/または44と対応するマニホールドとの間に接続されたチューブが各々、チューブ管理構造2402の溝内に取り付けられて、調合器10の動作中にチューブの絡み合いまたは詰まりを防止することができる。
【0035】
図25に示すように、バイアル18をスターホイールに設置することができる開口2502を設けることができる。さらに、例えば受容器32から廃棄物容器44に無毒液体廃棄物を圧送するために(例えば、所望の量の生理食塩水を受容器32から迅速に、かつ液体廃棄物がカートリッジおよび/または調合器の他の部分を通過することなく圧送するために)、外部ポンプ2500が設けられてもよい。
【0036】
いくつかの容器マウント2506を含む流体モジュール2504を提供することができる。容器マウント2506は、希釈剤および廃棄物容器を吊下するために使用されてもよく、容器が吊下されたときを感知し、および/または容器の重量を感知するセンサ回路を含んでもよい。このようにして、調合器10の動作を監視して、正しい希釈剤含有物が走査されており、正しい位置に吊下されていること、および廃棄物が適切な廃棄物容器に予測される量で供給されていることを保証することができる。
【0037】
図26に示すように、ポンプ2500およびディスプレイ86をシャーシ2600に取り付けることができる。ポンプ駆動装置20は、部分的にシャーシ2600内に取り付けられてもよく、ポンプヘッドアセンブリ28は、シャーシからポンプヘッドアセンブリが回転する(例えば、バイアルを反転させるか、または攪拌する)ことを可能にする位置に延伸する。カルーセル14はまた、カートリッジ取り付け凹部500が見えるように、カートリッジが取り付けられていない状態で
図26に示されている。
【0038】
スターホイール22(本明細書ではバイアルトレイと呼ばれることもある)が
図26に示されており、いくつかのバイアルパック凹部2604は空になっている。バイアルトレイ22を回転させることができ、作動扉2608を開けてバイアルトレイ22内のバイアルパック凹部2604へのバイアル18の装填を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、扉2608は、操作者の指が回転トレイからの傷害の危険性がないことを保証するために、バイアルトレイ22の回転前に閉じてもよい。しかしながら、これは単なる例示である。他の実施形態では、扉2608の代わりに(または、加えて)センサ2650(例えば、ライトカーテン)などのセンサを設けて、トレイ22の近傍の操作者の存在を感知し、操作者または他の障害物が検出される場合に、トレイの回転を防止することができる。
【0039】
同様に、カルーセル14内に装填されたカートリッジ16の汚染を防止し、カルーセルの回転による操作者の傷害を防止するために、カルーセル14に蓋を設けることができる。蓋の位置(例えば、開位置または閉位置)を検出するために、蓋センサ(図示せず)を設けてもよい。蓋が蓋センサによって閉位置において検出されない場合、カルーセル14の回転が防止され得る。
【0040】
挿入される各バイアル18は、バイアルパック凹部2604内に配置されたときにセンサ2652のようなセンサ(例えば、荷重センサまたは光学センサ)を用いて検出されてもよい。検出されると、挿入されたバイアルは、バイアルトレイ22を回転させることによって走査位置に移動することができ、次いで、挿入されたバイアル18が、バイアル回転モータ2602を用いてバイアルトレイ22内のその位置内で回転してバイアルラベルが走査されることを可能にすることができる。
【0041】
調合器10の逆の斜視図が
図27に示されており、走査構成要素が見える。特に、カメラ2700がシャーシ2600の開口内に取り付けられており、走査位置においてバイアル18を見るように構成されている。モータ2602が、カメラ2700がバイアルラベルの画像を取得できるように、バイアル18を1回以上の完全回転を通じて回転させることができる。いくつかの実施形態では、カメラ2700を用いて撮像するためにバイアル18を照らす照明デバイス2702(例えば、発光ダイオードまたは他の光源)を設けることができる。
【0042】
図27に示すように、走査位置においてバイアル18が取り付けられるバイアルパック26上の対応する歯車と係合する、モータ2602に結合された1つまたは複数の歯車2704が設けられてもよい。バイアルトレイ22は、モータ2602が作動したときにバイアル18が回転するように、バイアルパック歯車が回転モータ歯車と噛み合うように回転することができる。
【0043】
図27はまた、1つまたは複数のマニホールドを収容するマガジン2706がポンプヘッドアセンブリ28の凹部内にどのように取り付けられ得るかを示す。蒸気廃棄物マニホールドのマガジン2706内のマガジンスロットは、そのスロット内の希釈剤マニホールド(またはマガジン内の希釈剤スロット内の廃棄物マニホールド)の偶発的な接続を防止するために固定することができる。マガジン2706内の他の希釈剤スロットは共通の幾何学的形状を有することができ、したがって任意の希釈剤マニホールドがマガジン希釈剤スロットに嵌合することができる。マニホールドセンサ2750のような1つまたは複数のマニホールドセンサ(例えば、光学センサ)が、ポンプヘッドアセンブリ28のマニホールド凹部内に設けられてもよい。マニホールドセンサ2750は、マガジン2706内のマニホールド凹部(スロット)内のマニホールドの存在(または不存在)を検出して、適切なマニホールド(例えば、希釈剤マニホールドまたは廃棄物マニホールド)が、調合動作について予測される位置に配置されることを保証する。このようにして、ポンプヘッドはマニホールドの存在を検出することができる。ポンプヘッドおよび/またはマニホールドセンサは、希釈剤マニホールドの適切な位置決めを保証するために、希釈剤負荷センサと通信することができる。バルブアクチュエータ、針アクチュエータ、取り付けポスト、ロックバヨネット、および駆動ピンのような様々な動作構成要素2708も、ポンプカートリッジ16を固定して動作させるように構成されたポンプヘッドアセンブリ28から延伸して見られる。
【0044】
調合器10の様々な構成要素の分解図を
図28に示す。ディスプレイ86、ポンプ2500、投薬ハンガー30、流体モジュール2504、ポンプヘッドアセンブリ28を有するポンプ駆動装置20、カメラ2700、および照明デバイス2702のような、上述の構成要素が示されている。
図28には、シャーシ2600のシャーシベース2810およびシャーシハウジング2812などの追加の構成要素も示されている。電子アセンブリ2803を有する後部パネル2802をシャーシハウジング12に取り付けることができ、ポンプ駆動装置20をシャーシハウジング2812の開口2808に着座させることができ、ポンプヘッドアセンブリ28をシャーシハウジング2812から突出させることができる。調合器システム10の動作を管理するための処理回路が、電子アセンブリ2803に含まれてもよい。
【0045】
バイアルトレイおよびカルーセル駆動アセンブリ2800も示され、作動扉2608およびカルーセルハブ2814が見える。カルーセル14はカルーセルハブ上に配置され、バイアルトレイおよびカルーセル駆動アセンブリ2800によって回転されて、ハブ2814を回転させてカルーセル内の選択されたカートリッジを、ポンプ駆動装置20によって取り出され操作される位置に移動させることができる。バイアルトレイおよびカルーセル駆動アセンブリ2800は、バイアルトレイ22およびカルーセル14が独立して回転され得るように、バイアルトレイおよびカルーセルのための別々の駆動アセンブリを含み得る。
【0046】
図29は、一実施形態による、カートリッジ16が内部に取り付けられたカルーセル14、バックパック2900を有するカートリッジ16、バイアル18を取り付けるためのバイアルパック26、および、複数のマニホールド2906を収容する希釈剤マガジン2706を有するポンプヘッドアセンブリ28のような、様々な特定の構成要素の位置を強調する、調合器10の別の斜視図を示す。バイアルパックのさらなる特徴は、
図30~
図51に関連して以下で説明される。
【0047】
バイアル18が調合器10に装填される前に、調合器が各バイアル18を固定、移動および識別することができる様々な構造を提供するために、バイアルパック26の形態の嵌合システムをバイアルに取り付けることができる。
【0048】
バイアルパック26は、複数の目的を達成する。第1に、バイアルパックは、バイアル18を調合器10のバイアルトレイ22に装填する前にバイアルに取り付けることができ、再構成を必要とする薬物がその無菌性および有効性を維持するように、シールを維持することができる。次に、バイアルパック26の設計は、複数のサイズのバイアル18に取り付けることができるようなものである。このようにして、異なるサイズのバイアルを、バイアルトレイ内の均一なバイアルスロット内に配置することができる。バイアルパック26の別の特徴は、重要な薬物および再構成情報のためにバイアル18の外側を走査する目的で、バイアルを回転させるために調合器10内の機構(例えば、モータ2602に結合された1つまたは複数の歯車2704、
図27参照)と相互作用するための噛み合わせ面を提供することである。バイアルパック26はまた、再構成プロセス中の調合器10の表面の汚染を防止するために、滴下のないものでもある。上述の利点を提供する様々なバイアルパックの特徴のさらなる詳細が、以下にさらに詳細に記載される。
【0049】
図30~
図34は、バイアルパック26、および、カートリッジ16の針アセンブリ170上に位置決めされた対応する第2のシリコーンチップ418の例示的な実施形態を示す。
図30~
図34の例では、バイアルパック26は、上面400、底面410、本体412、開口414、第1のシリコーンチップ416、カートリッジ16の針アセンブリ170に取り付けられた第2のシリコーンチップ418、バイアル取り付けフランジ420、環状フランジ422、第1の歯車424、および第2の歯車426を含む。
【0050】
バイアルパック26は、例えば射出成形プラスチックから形成することができ、調合器10のキャリパ76の形状およびバイアルトレイ22の対応するバイアルスロットの形状に合致するようにほぼ円形の形状を有することができる。環状フランジ422が本体412を取り囲んでいる。第1の歯車424は、歯428から構成され、環状フランジ422の上面430に配置されている。フランジ422は、調合器内に設置されたときに、フランジがバイアルトレイの対応する円形表面によって支持されるようなサイズおよび形状にすることができる。フランジは、例えば、バイアル上のラベルを読み取るために、バイアルパックを回転させながらバイアルスロット内に載置することを可能にすることができる。歯428は、三角形として図示されているが、キャリパ76、スターホイール22および/またはパック回転機構(例えば、モータ2602に結合された1つまたは複数の歯車2704)のための把持面を提供することができる任意の形状をとることができる。第2の歯車426は、環状フランジ422の底面432上に配置されている。第2の歯車426は、三角形として図示されている歯434から構成されるが、それらの歯は、キャリパ76、スターホイール22および/またはパック回転機構のための把持面を提供することができる任意の形状をとることができる。
【0051】
バイアルパック26の上面400は、上面400から上方に延伸する延長部を含む。延長部は、その中に画定された開口414を含む。バイアルパック26の底面410は、バイアルパック26をバイアル18の定位置に保持するために、バイアルキャップ436の下面438を把持するように成形された複数のバイアル取り付けフランジ420として、例えば、
図31、
図33、および
図34に示される少なくとも1つの嵌合機構を含む。バイアル取り付けフランジ420は、バイアルキャップ436の上を摺動し、バイアルキャップ436の底面438の所定位置にスナップ嵌めするために外側に付勢することができる。
【0052】
特殊な第1のシリコーンチップ416が、開口414内に配置され得、蒸気および液体に対する密なシールを形成するために、開口414の形状と実質的に合致する。第1のシリコーンチップ416は、第1のシリコーンチップ416の本体440から環状に延伸するフランジ452に起因して、第1のシリコーンチップ416とバイアルキャップ436との間に蒸気および液体に対する密なシールを形成する。バイアルパック26がバイアルキャップ436に取り付けられると、取り付けフランジ420がバイアルキャップ436の底面438上の適所にスナップ嵌めされるときに、フランジは、開口414の下側442とバイアルキャップ436の上部との間で圧縮される。このシールは、調合器の充填および攪拌プロセス中の漏れを防止する。第1のシリコーンチップ416は、その中に画定された通路446を有し、第1のシリコーンチップ416の上面448を穿孔した後にカートリッジの針316、318が通過してバイアル18に入ることを可能にする。第1のシリコーンチップ416の上面448は、実質的に平坦であり、針316、318が容易に穿刺することを可能にする厚さであるが、針316、318が取り外されたときにバイアル18をシールするために収縮する。
【0053】
図35を参照すると、一実施形態によるカートリッジ16の針アセンブリ170の断面が示されている。
図35に示すように、針316および318は、対応する針ハウジング317aおよび第2の針ハウジング317Bによってカートリッジ16内に固定することができる。第2のシリコーンチップ418(例えば、
図30参照)を、第1の針ハウジング317Aに対向する針316、318の端部に配置することができる。
【0054】
第2のシリコーンチップ418は、バイアルパック26に取り付けられた第1のシリコーンチップ416の形状と実質的に合致する。第2のシリコーンチップ418の機能は二重である。第1に、第2のシリコーンチップは、針316、318の端部444を、それらがバイアル18内に延伸する前に覆う安全機構として働く。第2に、第2のシリコーンチップ418の上面450が第1のシリコーンチップ416の上面448に押し付けられると、蒸気または液体を漏らすことなく、針316、318が第1のシリコーンチップ416と第2のシリコーンチップ418の両方を穿刺することを可能にするシールを生成する。さらに、針がバイアル18から取り外されるとき、2つのシリコーンチップ416、418は、針316、318に対してスキージまたはワイプ効果を及ぼし、これによって、針316、318が取り外されるときの滴下を防止する。第2のシリコーンチップ416は、カートリッジ16の針ハウジング内に配置することができ、カートリッジを取り扱う操作者の負傷を防止するために、バイアルパックが針ハウジングに押し付けられていないときに針の端部がその中に配置される。
【0055】
動作中、バイアルパック26は、調合器10のバイアルトレイ22に挿入される前に、バイアルキャップ436に取り付けられる。バイアル18は、例えば
図2および
図24において、バイアルトレイ22内に示されている。
図33は、一実施形態によるバイアルに取り付けられたバイアルパック26の断面図を示す。バイアルトレイ22はバイアル18を所定の位置に回転させ、それによって、バイアル回転機構(例えば、モータ2602に結合された1つまたは複数の歯車2704)が、バイアルパック26上の歯車424および/または426と接続し、バイアル18を回転させて、バイアル18の外側に刻印された情報を走査することができる。次に、調合器10のバイアルグリップ76は、
図14に示すように、バイアルパック26を把持(捕捉)する。バイアルグリップ76およびバイアルリフト78は、バイアル18を引き上げてカートリッジ16上の針ハウジング168と接触させ、それによって、針ハウジング168の底面がバイアルパック26の上面400に接触し、針アセンブリ170が延伸され、それによって、第1のシリコーンチップ416と第2のシリコーンチップ418がともに押圧され、針316、318がチップ416、418を穿刺してバイアル18に入る。バイアルパック26は、上述した再構成プロセス全体を通じて蒸気および液体に対する密なシールを維持する。
【0056】
ここで、
図36を参照すると、カートリッジ16の別の実施形態の分解斜視図が、カートリッジ16の3つの主要部分、すなわちカートリッジフレーム160、カートリッジシール膜162、カートリッジベゼル164、ならびにピストンポンプ166、針ハウジング168および針アセンブリ170を含む。
図36の例では、カートリッジベゼル164は、カートリッジ16の流体経路内の圧力を感知することができるように、膜162上に形成された圧力ドームへのアクセスを提供する追加の開口3022を含む。調合器内のエアインライン(AIL)センサと噛み合うように構成されたエアインラインセンサ取付具3000も設けられている。
【0057】
カートリッジ内の蒸気廃棄物および無菌空気のような気体の流れを制御するために、カートリッジ16には、空気フィルタ3006およびチェックバルブカバー3002によってフレーム160に取り付けられる1つまたは複数のチェックバルブディスク3004のような気体流制御構造を設けることができる。空気フィルタ3006、チェックバルブディスク3004、およびチェックバルブカバー3002は、協働して、蒸気廃棄物がバイアルから廃棄物ポートへの一方向のみに流れることを可能にし、無菌(ろ過された)空気が空気フィルタに隣接する通気口からバイアルへの一方向にのみ流れることを可能にすることができる。
【0058】
図36に示すように、ピストン166は、例えば、ピストン166が作動されたときにポンプチャンバの容積を制御するための可動シールを提供するピストンブーツ3007を含むことができる。
図36はまた、針アセンブリ170が、第1の針オーバーモールド317A、第2の針オーバーモールド317B、針ばね3014、および針膜3008を有する二重内腔針を含む針ハウジング168の別の実施形態の制御のための様々な構造を示す。以下にさらに詳細に説明するように、フレーム160の対応する開口3021と位置整合して、(例えば、ポンプ駆動機構のセンサによって)カートリッジ16を通じて、カートリッジ16に取り付けられたバックパック内を観察することを可能にする、ベゼル164の開口3020を設けることができる。カートリッジフレーム160の上側に形成される突起3016を、バックパックのための取り付け構造として提供することができる。
【0059】
図37Aおよび
図37Bは、ベゼル側およびフレーム側からの、
図36に示されたカートリッジの実施形態の組み立てられた図をそれぞれ示しており、そこでは、カートリッジ16を完全に貫通して観察することを可能にする開口3120(
図36の開口3020および3021によって形成される)を見ることができる。
図37Aに示すように、いくつかの実施形態では、カートリッジ16は、4つの希釈剤および廃棄物ポート3100および圧力ドーム3101を含むことができる。受容器に結合するための出力ポート180も示されている。
【0060】
図38は、バックパック3202の内部空洞3300および下側ラッチ構造3302が見えるカートリッジ・バックパックアセンブリ3203の一部分の拡大断面斜視側面図である。バックパック3202をカートリッジ16に取り付けて、カートリッジ・バックパックアセンブリを形成することができる。図示されているように、カートリッジフレーム160の突出部分3304は、バックパックを下側においてカートリッジ16に固定するために、バックパック3202のラッチ機構3302の間でフレームから垂直に(例えば、バックパック3202の開口を通って)延伸することができる。針ハウジング317Aおよび317Bもまた、カートリッジフレーム160内の針空洞3331内に配置されて示されており、針316および318がそれぞれ固定されている。バックパック3202とカートリッジ16との間に追加の構造3200を配置することができる。構造3200は、実質的に平面であり得、カートリッジ・バックパックアセンブリ3203をカルーセル14にラッチするような形状および位置にすることができる。
図39は、ポンプヘッドアセンブリ28内のエアインラインセンサによって観察および/または監視することができる流路8100をどのように取付具に設けることができるかを示す、エアインラインセンサ取付具3000の拡大断面側面図である。
【0061】
図40は、カートリッジ・バックパックアセンブリ3203の断面斜視側面図であり、そこでは、協働して、カートリッジ16をバックパック3202に結合してカートリッジ・バックパックアセンブリ3203を形成するカートリッジフレーム160の突起3016および突起3304を見ることができる。バックパック3202をカートリッジ16に設置するために、バックパック3202の開口を突起3016の上に配置することができ、バックパック3202を(例えば方向3401において)回転させて、ラッチ突起3304がラッチ機構3302の間の位置に嵌合するまで、バックパック3202のラッチ構造3302をラッチ突起3304に押し付けることができる。図示されるように、突起3016を、可撓性アーム3400上に形成することができる。可撓性アーム3400は、バックパック3202が回転されてラッチ構造3302を突起3304に押し付けるときに、バックパック3202が小さな距離だけ下方に引かれることを可能にする。可撓性アーム3400は、突起3304に対してラッチされた位置においてラッチ機構3302を保持する上向きの力を維持するために弾性であってもよい。
【0062】
また、Texium(登録商標)コネクタのようなコネクタを格納することができる開口3204も示されており、コネクタは、再構成された薬物をバイアルから受容器に提供するためにカートリッジの出口ポートからバックパックのチューブ管理構造を通って受容器へと延伸するチューブに結合される。1つまたは複数の突起3206が、バックパックの上面を通って延伸することができ、カルーセルからアセンブリ3203を解放するために、突起3206をカルーセル14内の凹部から引き出するために、構造3200の変形によって引き込み可能にすることができる。
【0063】
図40の例では、バイアル18およびバイアルパック26が、カートリッジ・バックパックアセンブリ3203に隣接して位置決めされ、針アセンブリ170が、図示されるようにともに押されるときに、滴下のないシールを提供することができ、(例えば、針アセンブリ170を介してバイアル18をカートリッジ16の1つまたは複数の制御可能な流体経路に流体結合することによって)流体がバイアル18に提供されることおよび/またはバイアル18から除去されることを可能にすることができる、カートリッジ16のシール部材3008およびバイアルパック26のシール部材3404を通じてバイアル内へと延伸される。図示されているように、針アセンブリ170がバイアル内に延伸するとき、バイアルパック26の部分は、バックパック3202のラッチ機構3302に隣接して配置され得る。バイアルパック26およびバイアル18は、バイアル把持キャリパ76によって把持され、バイアルリフト78によってバイアルトレイ22から
図40に示される位置に持ち上げられ得る。キャリパ76およびバイアルリフト78は、バイアルパックが針ハウジング168を圧縮してシール3008および3404を針アセンブリ上に持ち上げるように、バイアルパック26を持ち上げることができる。
【0064】
ともに圧縮されると、シール3008および3404は、カートリッジとバイアルとの間に乾式接続を形成する。針アセンブリはシール3008、3404を通って延伸して、再構成および調合動作のためにカートリッジとバイアルとの間に流体および/または蒸気経路を形成することができる。シール3008および/または3404は、バイアルパックおよびバイアルが取り外される(例えば、下げられる)ときに、針アセンブリがシール3008および3404によって拭き取られ、液体が針アセンブリまたはシールの外面に残らないように、針アセンブリに対するワイプ効果を引き起こすために、それぞれのハウジング内で圧縮(例えば、半径方向に10%圧縮)することができる。
【0065】
図41は、針アセンブリ170の一部分の拡大図に沿ったカートリッジ16の一部分の断面図を示す。
図41に示すように、針ハウジング186は、1つまたは複数のハウジングアーム8408を介してカートリッジフレーム160に取り付けられた環状ハウジング部材8404内に形成されたシール膜3008を含むことができる。針ハウジング317Bから針ハウジング186内に延伸するばね8410を設けることができ、それによって、針316および318をシール膜3008を通じて延伸させるためにばね8410の圧縮が必要になる。このようにして、ユーザがカートリッジ16を取り扱うことによって、針アセンブリ170へのアクセスによって傷害を受けることが防止される。動作中、バイアルパック26を環状ハウジング部材8404に押し付けて、ばね8410を圧縮することができ、それによって、針アセンブリ170がシール膜3008およびバイアルパック26のシール膜3404を通ってバイアル内に延伸する。
【0066】
二重内腔針316および318には、それぞれ、針の中央ボアに対する流体アクセスを提供する開口8400および8402を設けることができる。針316は、例えば、薬物バイアルを通気するための開口8400を有する高密度ポリエチレン(HDPE)オーバーモールド317Aによってカートリッジフレーム160内に保持される24ゲージ針であってもよい。開口8400は、針が挿入され、引き込まれるときにシール膜のコアリングを低減するために、図示のようにスロットカットを使用して形成することができる。針318は、例えば、流体をバイアルへと流入および/またはバイアルから流出させるために1つまたは複数の開口8402を有する、高密度ポリエチレン(HDPE)オーバーモールド317Bによってカートリッジフレーム160内に保持される18ゲージ針であってもよい。開口8402は、コアリングを低減し、例えば最大60mL/分の流体流を可能にするように構成された2つの穿孔を含むことができる。
【0067】
このようにして、再構成動作中、針318の開口8402を介してバイアル内に希釈剤を供給することができ、同時に、針316の開口8400を介してバイアルから蒸気廃棄物を抽出することができる。調合動作の間、再構成された薬物を、針318の開口8402を介してバイアルから引き出すことができ、無菌空気を、針316の開口8400を介してバイアルに供給することができる。
【0068】
図42は、シール膜3008を収容する一体構造からどのようにハウジング部材8404および8408を形成することができるかを示す、環状ハウジング部材8404およびハウジングアーム8408の反転斜視図を示す。針ガイド構造8500は、環状ハウジング部材8404からアーム8408の間で延伸することができる。カートリッジフレーム160内にアーム8408を固定するために、圧縮可能スナップ機構8502などの係合機構をアーム8408に設けることができる。
【0069】
図43は、カートリッジフレーム160内に部分的に配置され、カートリッジフレーム160から延伸するアーム8408を示す。図示されているように、スナップ機構8502はカートリッジフレーム160上の棚部8600と係合し、ばね8410は完全に延伸し、それによって、針アセンブリ170が針ハウジングアセンブリ内に完全に収容されている。
【0070】
図44~
図49は、バイアルパック26の別の例示的な実施形態を示す。
図44~
図49の例では、バイアルパック26は、実質的に円筒形の中央部分4400と、中央部分4400の上部から実質的に垂直に突出する複数の横方向延長部4402と、上部突起4402の下方で中央部分4400の周囲に延伸する歯4407を有する実質的に円形の歯車4405と、シール部材3404と、円筒中央部分4400の底部から延伸する下側延長部4408とを含む。歯車4405、円筒中央部分4400、横方向延長部4402、およびシール部材3404は、1つまたは複数の実施形態において、下側延長部4408によって形成されたバイアルパックの下側部分に取り付けられるバイアルパック26の上部部分であってもよい。
【0071】
針ハウジング168のシール部材3008が中央部分4400内に配置されたシール部材3404に対して圧縮され得るように、カートリッジ16の環状ハウジング部材8404が中に延伸することができる凹部4404を円筒中央部分4400に設けることができる。凹部4404には、針アセンブリをシール部材3404の上に適切に位置決めするように針ハウジングを案内する幾何学的形状を与えることができる。バイアルキャリパ76は、突起4402の下面4412と接触して、バイアルパックおよびバイアルを把持し、バイアルをバイアルトレイから持ち上げて調合動作のための位置に持ち上げることができる。キャリパ76は、例えばバイアル18の完全な反転を含むバイアルの攪拌中の安定性を可能にするために、延長部4402と歯車4405との間の中央部分4400に加えて、延長部4402の下面4412および上面4413と係合することができる。
【0072】
歯車4405は、バイアルトレイ22のバイアルパック凹部2604の1つの中に着座するように構成されてもよい。例えば、歯車4405は、バイアルパックおよびバイアルが調合器システム10に挿入されるとき、バイアルパック凹部2604内のバイアルトレイ22の対応する表面に支えられるように構成された下面4414を有することができる。歯車歯4407は、ラベル撮像動作またはバイアル18の他の位置決め動作のためにバイアル18を回転させるためのモータ2602に結合された対応する歯車2704上の対応する歯車歯と係合するように配置されてもよい。歯車歯4407は、パック26の外面上に示されているが、別の実施形態では、歯車歯は代替的に、バイアルを回転させるために対応する歯車を凹部内に下ろして歯に係合することができるように、歯車4405の内部凹部内に形成されてもよい。
【0073】
バイアル18が歯車4405を使用して回転されるとき、歯車4405の底面4414は、バイアルが回転している間、バイアルを支持し位置決めするために、バイアルトレイ22の表面と摺動接触したままであり得る。底部延長部4408は、特定のサイズのバイアルを収容するように成形および構成することができる。バイアルパック26には、様々なサイズのバイアルを均一に調合器システム10内に配置して操作することができるように、共通のサイズの突起4402のセットと、共通のサイズの歯車4405と、様々なサイズの底部延長部4408が設けられている。例として、13mm、20mm、28mm、32mmの幅、または例えば100mLまでの容量を有するサイズを有するバイアルに取り付けることができるバイアルパック26を提供することができる。
【0074】
「容易」な(例えば、10ポンド未満の力)バイアル挿入を可能にし、相対的に取り外しを困難にする(例えば、30ポンドを超える力で)ことを可能にする、底部延長部4408内でバイアル18に係合するための一方向スナップシステムを提供するフランジ4410を、底部延長部4408内のバイアル凹部4411内に設けることができる。バイアルが下側延長部4408内に配置されるとき、フランジ1140は、バイアルキャップ436の下面を把持して、バイアルパック26をバイアル18上の定位置に保持することができる。バイアル取り付けフランジ4408は、バイアルキャップ436の上を摺動し、バイアルキャップ436の底面の所定位置にスナップ嵌めするために外側に付勢することができる。シール部材3404は、例えば、ポリイソプレンまたは使用中に乾式取り外しを可能にする同様の材料から形成された一体型乾式分離膜であってもよい。
【0075】
図46および
図47は、分かりやすくするためにバイアルが取り付けられていないバイアルパック26の断面図を示す。
図46に示すように、シール部材3404は、バイアルパック26の中央部分4400内の中央開口に配置することができ、凸状の外面4603を有することができる。シール部材3404が配置される中央開口は、バイアルパック26内に設置されるときにシール部材3404がバイアルパック26の表面4606によって圧縮される(例えば、シール部材3404に挿入されるかまたはシール部材3404から取り外される針に対するワイプ効果を提供するために、半径方向に最大または約10%だけ圧縮される)ように、シール部材3404よりも小さくすることができる。バイアルがバイアルパック26に取り付けられるときに、バイアル隔壁を押圧して密封シールを形成し、潜在的に、使用日付を超えることを可能にする円筒状の垂直延長部4602を設けることができる。
図46に示すように、延長部4402の対向する傾斜下面4412と組み合わせて、バイアルパック26を把持するための適切な位置にバイアルグリッパ76を導くのを助ける傾斜面4604を、歯車4405上に設けることができる。
【0076】
凹部4404内のバイアルパックの上面4600は、表面の簡単な消毒のための操作者による容易な交換を容易にするために滑らかな幾何学的形状を有してもよい。一実施形態では、下側延長部4408および中央部分4400は、密封シールとして作用する位置で膜3404を挟むようにともに超音波溶接されてもよい。歯車4405および延長部4402は、バイアルパック26の上部を形成するように、中央部分4400と一体的に形成することができる。
図47に示すように、下側延長部4408は、針アセンブリがそれを通って延伸することができる中央ボア4704を含むことができ、シール部材3404を押圧して、漏れ防止を保証するための冗長シールとして作用する円筒状リブ4700を含むことができる。シール部材3404は、下側延長部4408の中央ボアと位置整合した凹部4702を下面に含むことができる。
【0077】
図48は、一実施形態によるバイアルパック26の底面図を示す。
図48に示すように、円筒状突起4602に加えて、より大きなバイアル(例えば、28mmおよび32mmバイアル)に追加の円筒状突起4800をも設けて、より大きなバイアルのために改善されたバイアル安定化を提供する追加の密封シールをもたらすことができる。バイアルパック26の上面図が
図49に示されており、延長部4402、歯車4405の歯車歯4407、傾斜面4604、および凹部4404内のシール部材3404を見ることができる。
【0078】
ここで
図50を参照すると、一実施形態によるバイアル・カルーセル駆動アセンブリ13000の斜視図が示されている。
図30の例では、バイアルトレイ22が回転されており、それによって、バイアル18が、バイアル上のラベルが撮像され得る撮像位置13001にある。撮像位置3001において、バイアル18に取り付けられたバイアルパック26の歯車4405が、モータ2602の歯車2704と係合する。このようにして、バイアル18が撮像位置においてバイアルトレイ22のバイアルパック凹部にある間に、モータ2602はバイアル18を回転させるように操作することができる。モータ2602がバイアル18を回転させている間、カメラ2700などのカメラ(例えば、
図27および
図28参照)は、バイアル18上のラベルの画像を取り込むことができる。光源2702のような光源が、画像が取り込まれている間にラベルの少なくとも一部分を照明するように操作されてもよい。光源2702は、取り込まれている各画像がバイアル上の垂直線の画像を含むように、バイアルが回転されている間に、バイアル上に垂直線を照射するように構成された線形状の光源であってもよい。垂直線画像は、調合器システムがバイアルラベル全体の直線的な画像を形成するための1つまたは複数のプロセッサなど、カメラおよび/または処理回路に関連する処理回路を使用して組み合わせることができる。
【0079】
図51は、バイアル・カルーセル駆動アセンブリ13000の分解斜視図を示す。
図51に示すように、アセンブリ13000は、カルーセルハブ3814およびバイアルスピン駆動装置2602が取り付けられ、脚部13106を含むカルーセル支持フレーム13100を含むことができる。アセンブリ13000はまた、複数の歯車および/またはベルトを介して、扉2608を作動させ、バイアルトレイ22を回転させ、および/またはカルーセルハブ2814を回転させて、上部に取り付けられているカートリッジのカルーセルを回転させるように構成されるモータ13108などの1つまたは複数の追加のモータを有する駆動機構も含むことができる。図示されているように、バイアルトレイ22は、カルーセル支持フレーム13100と駆動機構3104との間に少なくとも部分的に配置することができる。
【0080】
図50および
図51に示すように、カルーセルハブ2814は、多角形形状を有することができる。カルーセル14は、カルーセル14がカルーセルハブ2814上に置かれ、カルーセルハブ2814が回転されるとき、カルーセルが対応して回転されるように、対応する多角形形状を有する中央開口を備えることができる。しかし、中央開口およびカルーセルハブ2814の他のパターン、例えば「D」形状、または他の適切な形状が企図される。
図51に示すように、駆動機構13104は、駆動機構13104のモータの動作に応答してハブ2814を回転させるカルーセルハブ2814内に延伸する延長部3114を有することができる。
【0081】
バイアルパック26のシール部材(例えば、シール部材3404)が単一のシール部材によって形成される上述の例は単なる例示に過ぎないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、改善された滴下のないシールを提供するために、各バイアルパック26のシールは、複数のシール部材によって形成することができる。一例では、バイアルパック26のシールを形成するために3つのシール部材を設けることができる。
【0082】
図52は、3つのシール部材を有する実施態様におけるバイアルパック26の一部分の断面図を示す。
図52に示すように、シール部材3404は、外側シール部材5200、中間シール部材5202、および内側シール部材5204から形成することができる。中間シール部材5202は、外側シール部材5200と内側シール部材5204との間に配置することができる。
【0083】
図52に示すように、外側シール部材5200は、
図47のシール部材3404と同様に、バイアルパック26の中央部分4400内の開口を通って延伸する部分を含むことができ、凸状の外面を有することができる。シール部材5200が配置される中央開口は、バイアルパック26内に設置されるときにシール部材5200がバイアルパック26の表面によって圧縮される(例えば、シール部材5200に挿入されるかまたはシール部材5200から取り外される針に対するワイプ効果を提供するために、半径方向に最大または約10%だけ圧縮される)ように、外側シール部材5200よりも小さくすることができる。
【0084】
外側シール部材5200は、中間シール部材5202に隣接する表面内に凹部5206を含むことができる。中間シール部材5202はまた、内側シール部材5204に隣接する内面上に凹部5208を含むこともできる。3つのシール部材(すなわち、部材5200、部材5202、部材5204)のような複数のシール部材を提供することにより、単一のシール部材による実施態様と比較して乾式取り外しを改善することを可能にするための針170の拭き取りを増強することを可能にすることができる。しかしながら、これは単なる例示である。様々な実施形態において、各バイアルパックに対して1つ、2つ、3つ、または4つ以上のシール部材を設けることができる。同様に、凹部5206および5208から形成される間隙空間は、針170の拭き取りの効率をさらに高めることができるが、様々な実施形態において、シール部材は、凹部5208および/または5208とともに、または、凹部なしで提供されてもよい。
【0085】
本発明の主題の技術は、例えば、上述した様々な態様に従って例示されている。これらの態様の様々な例は、便宜上、番号を付された概念または節(1、2、3など)として記載される。これらの概念または節は例として提供されており、本発明の主題の技術を限定するものではない。独立した概念を形成するために、従属する概念のいずれかが互いとのまたは1つまたは複数の他の独立した概念との任意の組み合わせで組み合わされてもよいことに留意されたい。以下は、本明細書に提示されたいくつかの概念の非限定的な概要である。
概念1.円筒中央部分と、
円筒中央部分の上部から延伸する複数の実質的に垂直な延長部と、
円筒中央部分から延伸する実質的に円形の歯車と、
円筒中央部分の底部から延伸する底部延長部であって、底部延長部は、薬物を含むバイアルを受け入れるように構成されたバイアル凹部を有する、底部延長部と、
円筒中央部分に配置されたシール部材であって、シール部材は、中央円筒部分、円形歯車およびシール部材を通じてバイアル内に貫通する針アセンブリのための滴下のないシールを提供するように構成されている、シール部材と
を備える、バイアルパック。
概念2.バイアル凹部の内面上に、バイアル凹部内にバイアルを固定する複数のフランジをさらに備える、概念1または任意の他の概念のバイアルパック。
概念3.バイアルのバイアル隔壁を押圧するように構成されている、バイアル凹部内の円筒状突起をさらに備える、概念2または任意の他の概念のバイアルパック。
概念4.バイアル凹部内に、バイアルを安定化するように構成された追加の円筒状突起をさらに備える、概念3または任意の他の概念のバイアルパック。
概念5.シール部材を押圧してシールを形成するように構成されている、底部延長部上の円筒状突起をさらに備える、概念1または任意の他の概念のバイアルパック。
概念6.円筒中央部分はシール部材を半径方向に圧縮する、概念1または任意の他の概念のバイアルパック。
概念7.円筒中央部分がシール部材を半径方向に約10%圧縮する、概念6のバイアルパック。
概念8.シール部材が円筒中央部分の凹部内に配置され、円筒中央部分内の凹部が針アセンブリをシール部材に案内するように構成される、概念1または任意の他の概念のバイアルパック。
概念9.歯車上の第1の傾斜面と、垂直延長部の少なくとも1つの上の第2の傾斜面とをさらに備え、第1の傾斜面および第2の傾斜面は、円筒中央部分および垂直延長部を把持するために調合器システムのバイアルグリップを案内するように構成されている、概念8または任意の他の概念のバイアルパック。
概念10.薬物を含むバイアル上にバイアルパックを提供するステップと、
調合器システムのバイアルトレイ内のバイアルパック凹部内にバイアルパックを提供するステップと、
バイアルおよびバイアルパックを第1の位置に移動させるためにバイアルトレイを回転させるステップと、
調合器システムのバイアルキャリパによってバイアルパックを把持するステップと、
バイアルキャリパに結合されたバイアルリフトを用いて、バイアルパックおよびバイアルをバイアルトレイから持ち上げるステップと、
バイアルパックおよびバイアルを持ち上げて、調合器システムの針ハウジングを圧縮して、針アセンブリを露出させ、バイアルパックおよび針ハウジングのシール部材を通してバイアル内に針アセンブリを延伸させるステップと
を含む、方法。
概念11.バイアルパックおよびバイアルをバイアルトレイから持ち上げる前に、
バイアルおよびバイアルパックを第2の位置に移動させるためにバイアルトレイを回転させるステップと、
バイアルパックの歯車を調合器システムの歯車に係合させるステップと、
バイアルパックおよび調合器システムの係合されている歯車を使用してバイアルを回転させるステップと
をさらに含む、概念10または任意の他の概念の方法。
概念12.針アセンブリを介して希釈剤をバイアルに供給するステップと、
バイアルキャリパを用いてバイアルパックを把持しながら、バイアルを攪拌するステップと、
針アセンブリを介してバイアルから再構成されている薬物を抽出するステップと
をさらに含む、概念11または任意の他の概念の方法。
概念13.バイアルおよびシール部材から針アセンブリを引き抜くために、バイアルリフトおよびバイアルキャリパを用いてバイアルパックおよびバイアルを下降させるステップをさらに含む、概念12または任意の他の概念の方法。
概念14.下降させるステップは、シール部材を用いて針アセンブリを拭うことを含む、概念13または任意の他の概念の方法。
概念15.バイアルリフトおよびバイアルキャリパを用いて、バイアルおよびバイアルパックを、バイアルトレイ内のバイアルパック凹部へと置き換えるステップと、
バイアルトレイを回転させるステップと、
バイアルリフトおよびバイアルキャリパを用いて、追加のバイアルパックおよび取り付けられているバイアルを、バイアルトレイから把持して持ち上げるステップと
をさらに含む、概念14または任意の他の概念の方法。
概念16.薬物を含むバイアル上にバイアルパックを提供するステップは、バイアルパックの下側延長部内のバイアル凹部内にバイアルを挿入し、バイアル凹部内の複数のフランジを使用してバイアルをバイアル凹部内に固定することを含む、概念10の方法または任意の他の概念の方法。
概念17.薬物を含むバイアル上にバイアルパックを提供するステップは、バイアル凹部内の少なくとも1つの円筒状突起を、バイアルのバイアル隔壁に押圧することを含む、概念16または任意の他の概念の方法。
概念18.バイアルリフトに結合されたバイアルキャリパと、
針アセンブリ、および、針アセンブリに流体結合された少なくとも1つの制御可能な流体経路を含むカートリッジと、
少なくとも1つのバイアルパック凹部を有するバイアルトレイと、
バイアルパックであって、
薬物を収容するバイアルを受け入れて固定するように構成された下部、ならびに
上部であり、
少なくとも1つのバイアルパック凹部内に着座するように構成された第1の部分、
バイアルキャリパによって把持されるように構成された第2の部分、および
それを通じて針アセンブリを受け入れるように構成されているシール部材
を有する、上部
を備える、バイアルパックと
を備え、
バイアルリフトは、針アセンブリがシール部材を介して提供されて、針アセンブリを介して少なくとも1つの制御可能な流体経路をバイアルに流体結合するように、バイアルキャリパによって把持されたバイアルをカートリッジに向かって移動させるように構成されている、調合器システム。
概念19.第1の部分は歯車を含み、調合器システムは、(a)第1の部分の歯車と係合し、(b)バイアルパックが少なくとも1つのバイアルパック凹部内に着座している間にバイアルを回転させるように構成された追加の歯車をさらに備える、概念18または任意の他の概念の調合器システム。
概念20.針アセンブリを介して少なくとも1つの制御可能な流体経路を通ってバイアルにまたはバイアルから流体を圧送するためにカートリッジのピストンおよびバルブを動作させるように構成されたポンプヘッドアセンブリをさらに備える、概念18または任意の他の概念の調合器システム。
【0086】
本開示は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実践することを可能にするために提供される。本開示は、本発明の主題の技術の様々な例を提供するものであり、本発明の主題の技術はこれらの例に限定されない。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、他の態様にも適用され得る。
【0087】
本明細書に記載された主題の1つまたは複数の態様または特徴は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組み合わせにおいて実現することができる。例えば、本明細書に開示された注入ポンプシステムは、1つまたは複数のプロセッサが埋め込まれているかまたは結合されている電子システムを含むことができる。そのような電子システムは、様々なタイプのコンピュータ可読媒体および様々な他のタイプのコンピュータ可読媒体のためのインターフェースを含むことができる。電子システムは、例えば、バス、処理装置(複数可)、システムメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、永久記憶装置、入力装置インターフェース、出力装置インターフェース、およびネットワークインターフェースを含むことができる。
【0088】
バスは、注入ポンプシステムの電子システムの多数の内部装置を通信可能に接続するすべてのシステムバス、周辺バスおよびチップセットバスを集合的に表すことができる。例えば、バスは、処理装置(複数可)をROM、システムメモリ、および永久記憶装置と通信可能に接続することができる。これらの様々なメモリユニットから、処理装置(複数可)は、様々なプロセスを実行するために、実行するための指示および処理するためのデータを取り出すことができる。処理装置(複数可)は、種々の実施態様において単一のプロセッサまたはマルチコアプロセッサであってもよい。
【0089】
単数形における要素への言及は、具体的に述べられていない限り「1つだけ」を意味するものではなく、むしろ「1つまたは複数」を意味する。特記しない限り、「いくつか」という用語は1つまたは複数を指す。男性系(例えば、彼の)の代名詞には、女性および中性の性別(例えば、彼女のおよびその)が含まれ、逆も成り立つ。見出しおよび小見出しは、存在する場合、便宜的にのみ使用され、本発明を限定するものではない。
【0090】
「例示的」という言葉は、本明細書においては「例または実例としての役割を果たす」ことを意味するために使用される。本明細書で「例示的」と記載されている任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計に対して好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。一態様では、本明細書に記載される様々な代替の構成および動作は、少なくとも同等であると考えられ得る。
【0091】
本明細書で使用されるように、一連の項目に先行する「少なくとも1つの」という語句は、項目のいずれかを分離する「または」という用語を用いて、リストの各項目ではなく、リスト全体を修飾する。「少なくとも1つの」という語句は、少なくとも1つの項目の選択を必要としない。むしろ、この語句は、項目のいずれか1つ、および/または項目の任意の組み合わせの少なくとも1つ、および/または項目の各々の少なくとも1つ、のうちの少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、語句「A、B、またはCの少なくとも1つ」は、Aのみ、Bのみ、もしくはCのみ、またはA、B、およびCの任意の組み合わせを指すことができる。
【0092】
「態様」のような語句は、そのような態様が本発明の主題の技術にとって必須であること、またはそのような態様が本発明の主題の技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。態様に関する開示は、すべての構成または1つもしくは複数の構成に適用され得る。一態様は、1つまたは複数の例を提供することができる。態様などの語句は、1つまたは複数の態様を参照することができ、その逆もあり得る。「実施形態」のような語句は、そのような実施形態が本発明の主題の技術に必須であること、またはそのような実施形態が本発明の主題の技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。一実施形態に関連する開示は、すべての実施形態、または1つもしくは複数の実施形態に適用され得る。一実施形態は、1つまたは複数の例を提供することができる。一実施形態のような語句は、1つまたは複数の実施形態を指すことができ、逆もまた同様である。「構成」のような語句は、そのような構成が本発明の主題の技術にとって必須であること、またはそのような構成が本発明の主題の技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。構成に関する開示は、すべての構成または1つもしくは複数の構成に適用され得る。一構成は、1つまたは複数の例を提供することができる。構成のような語句は、1つまたは複数の構成を参照することができ、逆もまた同様である。
【0093】
1つの態様では、特に明記しない限り、添付の特許請求の範囲を含めて、本明細書に記載されているすべての測定値、値、格付け、位置、大きさ、サイズおよび他の仕様は正確ではなく、近似である。1つの態様において、それらは、それらが関連する機能およびそれらが関連する技術分野において慣習的であるものと一致する合理的な範囲を有することが意図される。
【0094】
開示されているプロセスまたは方法におけるステップまたは動作の特定の順序または階層は、例示的な手法の例示であることが理解される。実施態様の選好またはシナリオに基づいて、ステップ、動作またはプロセスの特定の順序または階層を再構成することができることが理解される。ステップ、動作またはプロセスのいくつかは、同時に実行されてもよい。いくつかの実施態様の選好またはシナリオでは、特定の動作は実施される場合もあり、または、実施されない場合もある。ステップ、動作、またはプロセスの一部または全部は、ユーザの介入なしに自動的に実行されてもよい。添付の方法の請求項は、サンプル順序における様々なステップ、動作またはプロセスの要素を提示し、提示された特定の順序または階層に限定されるようには意図されていない。
【0095】
当業者に知られているかまたは後に知られる、本開示全体を通じて説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的同等物は、参照により明示的に本明細書に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることを意図されている。さらに、本明細書に開示されたものは、そのような開示が請求項に明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられるようには意図されていない。特許請求の範囲の要素は、要素が「~するための手段」という語句を用いて明示的に列挙されているか、または方法の請求項の場合は、要素が「~するためのステップ」という語句を使用して列挙されているのでない限り、米国特許法第112条(f)項の規定に基づいて解釈されるべきではない。さらに、用語「含む(include)」、「有する(have)」などが使用される限り、そのような用語は、特許請求の範囲において移行語として利用されるときに解釈されるような、用語「備える(comprise)」と同様の様式で包括的であるように意図されている。
【0096】
本開示の発明の名称、背景技術、概要、図面の簡単な説明、および要約書は、本開示に組み込まれ、限定的な説明ではなく、本開示の例示的な例として提供される。本開示は、それらが特許請求項の範囲または意味を限定するために使用されないことを理解した上で提出される。さらに、詳細な説明では、説明は例示的な例を提供し、様々な特徴は、本開示を合理化する目的で様々な実施形態においてともにグループ化されることが理解され得る。この開示方法は、特許請求されている本発明の主題の技術が、各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示された構成または動作のすべての特徴よりも少ないものである。添付の特許請求の範囲はこの詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別個に特許請求される主題としてそれ自体で独立している。
【0097】
特許請求の範囲は、本明細書に記載される態様に限定されることを意図されておらず、クレーム文言と一致する全範囲が与えられ、すべての法的等価物を包含するものとする。それにもかかわらず、特許請求項のいずれも米国特許法第101条、第102条、または第103条の要件を満たさない主題を包含するようには意図されておらず、そのように解釈されるべきでもない。